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JPWO2008087800A1 - マイクロチップの製造方法、及びマイクロチップ - Google Patents

マイクロチップの製造方法、及びマイクロチップ Download PDF

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JPWO2008087800A1
JPWO2008087800A1 JP2008553977A JP2008553977A JPWO2008087800A1 JP WO2008087800 A1 JPWO2008087800 A1 JP WO2008087800A1 JP 2008553977 A JP2008553977 A JP 2008553977A JP 2008553977 A JP2008553977 A JP 2008553977A JP WO2008087800 A1 JPWO2008087800 A1 JP WO2008087800A1
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Abstract

親水化された微細流路の形状を維持しつつ、マイクロチップ基板同士を強固に接合することが可能なマイクロチップの製造方法を提供する。マイクロチップ基板10の微細流路11が形成された面と、マイクロチップ基板13の表面を、紫外線照射、イオンビーム照射、又はプラズマ照射によって活性化する。このとき、接合面の純水接触角が30°以下、好ましくは15°以下になるまで活性化を行う。その後、微細流路11が形成された面を内側にして、圧力を加えながらマイクロチップ基板10とマイクロチップ基板13を接合する。

Description

この発明は、流路用溝が形成されたマイクロチップの製造方法、及びマイクロチップに関する。
微細加工技術を利用してシリコンやガラス基板上に微細な流路や回路を形成し、微小空間上で核酸、タンパク質、血液などの液体試料の化学反応や、分離、分析などを行うマイクロ分析チップ、あるいはμTAS(Micro Total Analysis Systems)と称される装置が実用化されている。このようなマイクロチップの利点としては、サンプルや試薬の使用量又は廃液の排出量が軽減され、省スペースで持ち運び可能な安価なシステムの実現が考えられる。
マイクロチップは、少なくとも一方の部材に微細加工が施された部材2つをはり合わせることにより製造される。従来においては、マイクロチップにはガラス基板が用いられ、様々な微細加工方法が提案されている。しかしながら、ガラス基板は大量生産には向かず、非常に高コストであるため、廉価で使い捨て可能な樹脂製マクロチップの開発が望まれている。
ここで、従来技術に係るマイクロチップの構成について図3及び図4を参照して説明する。図3は、従来技術に係るマイクロチップの上面図である。図4は、従来技術に係るマイクロチップの断面図であり、図3のIV−IV断面図である。マイクロチップ100は、表面に微細流路111が形成されたマイクロチップ基板110と、微細流路111をカバーするための平板状のマイクロチップ基板120とを備えて構成されている。このマイクロチップ100は、微細流路111を内側にしてマイクロチップ基板110、120を接合することで製造される。また、マイクロチップ100には、ゲルや液体状の試薬を微細流路111に導入したり、微細流路111から排出したりするための開口部112が形成されている。図3及び図4に示す例では、微細流路111が形成されたマイクロチップ基板110に貫通孔が形成されており、マイクロチップ110、120を接合することで開口部112が形成される。この開口部112から微細流路111に試薬などを導入し、又は、微細流路111の試薬などを開口部112から排出する。
このようなマイクロチップのように微細流路中に通液して検査を行うような素子においては、流路にタンパク質などの液体試料が付着しないように、流路表面に親水性の性質を付与する処理が行われている。流路表面に親水性の性質を付与する処理としては、SiO膜のコーティング、プラズマ処理、流路内に溶液を流すことによる表面修飾などの手法が挙げられる。
一方、マイクロチップ基板を接合する方法として、接着剤を用いて接合する方法、有機溶剤で樹脂基板の表面を溶かして接合する方法(例えば特許文献1)、超音波融着を利用して接合する方法(例えば特許文献2)、熱融着を利用して接合する方法(例えば特許文献3)、レーザ融着を利用する方法などがある(例えば特許文献4)。
ところが、接着剤や有機溶剤が微細流路にはみ出すと、親水性が阻害されてしまうため、マイクロチップ基板の接合方法としては、超音波融着、熱融着、レーザ融着などが用いられてきた。
特開2005−80569号公報 特開2005−77239号公報 特開2005−77218号公報 特開2005−74796号公報
しかしながら、超音波融着、熱融着、レーザ融着では、熱エネルギーで樹脂基板の表面を溶解させるため、微細流路の形状の維持が困難であったり、マイクロチップ基板の接合不足が生じたりして、良好なマイクロチップを製造することが困難であった。例えば図4に示す微細流路111のように、熱エネルギーによるダメージを受けることにより、形状が変形してしまう場合がある。また、マイクロチップ基板110、120の接合面(図4中、破線で囲んだ部分A)のように、熱エネルギーによるダメージを受けることにより、形状が変形して平坦性が失われる場合がある。このように接合面の平坦性が失われると、マイクロチップ基板110、120を強固に接合することが困難になる。
この発明は上記の問題を解決するものであり、親水化された微細流路の形状を維持しつつ、マイクロチップ基板同士を強固に接合することが可能なマイクロチップの製造方法、及びマイクロチップを提供することを目的とする。
この発明の第1の形態は、2つの樹脂製基板のうち少なくとも1つの樹脂製基板には表面に流路用溝が形成され、前記2つの樹脂製基板を、前記流路用溝が形成されている面を内側にして接合するマイクロチップの製造方法であって、前記2つの樹脂製基板のそれぞれに対して前記接合する面を活性化し、その後、圧力を加えながら前記2つの樹脂製基板を接合することを特徴とするマイクロチップの製造方法である。
また、この発明の第2の形態は、第1の形態に係るマイクロチップの製造方法であって、前記接合する面の純水接触角が30°以下になるまで前記活性化を行うことを特徴とする。
また、この発明の第3の形態は、第1の形態又は第2の形態のいずれかに係るマイクロチップの製造方法であって、前記活性化後における前記接合する面は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルデヒド基のうち、少なくとも1つを含むことを特徴とする。
また、この発明の第4の形態は、第1の形態に係るマイクロチップの製造方法であって、前記接合する面に析出している離型剤、又は前記接合する面に付着している有機物が除去されるまで前記活性化を行うことを特徴とする。
また、この発明の第5の形態は、第1の形態から第4の形態のいずれかに係るマイクロチップの製造方法であって、紫外線を前記接合する面に照射することで前記活性化を行うことを特徴とする。
また、この発明の第6の形態は、第1の形態から第4の形態のいずれかに係るマイクロチップの製造方法であって、プラズマを前記接合する面に照射することで前記活性化を行うことを特徴とする。
また、この発明の第7の形態は、第1の形態から第4の形態のいずれかに係るマイクロチップの製造方法であって、イオンビームを前記接合する面に照射することで前記活性化を行うことを特徴とする。
また、この発明の第8の形態は、第1の形態から第7の形態のいずれかに係るマイクロチップの製造方法であって、前記2つの樹脂製基板の厚さが0.5mm〜2.0mmであることを特徴とする。
また、この発明の第9の形態は、第1の形態から第7の形態のいずれかに係るマイクロチップの製造方法であって、前記2つの樹脂製基板のうち、一方の樹脂製基板は、厚さが0.5mm〜2.0mmで、表面に前記流路用溝が形成され、他方の樹脂製基板は、厚さが30μm〜300μmであることを特徴とする。
また、この発明の第10の形態は、2つの樹脂製基板のうち少なくとも1つの樹脂製基板には流路用溝が形成され、前記2つの樹脂製基板を、前記流路用溝が形成されている面を内側にして接合されたマイクロチップであって、前記2つの樹脂製基板の厚さが0.5mm〜2.0mmであり、前記2つの樹脂製基板のそれぞれにおける前記接合する面が活性化されていることを特徴とするマイクロチップである。
また、この発明の第11の形態は、表面に流路用溝が形成され、厚さが0.5mm〜2.0mmの樹脂製基板と、厚さが30μm〜300μmの樹脂製基板とが、前記流路用溝を内側にして接合され、前記2つの樹脂製基板のそれぞれにおける前記接合する面が活性化されていることを特徴とするマイクロチップである。
また、この発明の第12の形態は、第10の形態又は第11の形態のいずれかに係るマイクロチップであって、前記接合する面は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルデヒド基のうち、少なくとも1つを含むことを特徴とする。
また、この発明の第13の形態は、第10の形態から第12の形態のいずれかに係るマイクロチップであって、前記2つの樹脂製基板は、同一の樹脂材料で構成されていることを特徴とする。
また、この発明の第14の形態は、第13の形態に係るマイクロチップであって、前記樹脂材料は、非晶質シクロオレフィンポリマー(COP)であることを特徴とする。
また、この発明の第15の形態は、第13の形態に係るマイクロチップであって、前記樹脂材料は、メタクリル樹脂(PMMA)であることを特徴とする。
この発明によると、樹脂製基板の表面を活性化することで、樹脂製基板の表面に形成された流路用溝を親水化することができ、さらに、活性化後の樹脂製基板同士を接合することで、流路用溝の形状を維持しつつ接合することができる。また、樹脂製基板同士の接合面を平坦に維持することができるため、樹脂製基板同士を強固に接合することが可能となる。
この発明の実施形態に係るマイクロチップの断面図である。 この発明の実施例と比較例に関する条件を示す表である。 従来技術に係るマイクロチップの上面図である。 従来技術に係るマイクロチップの断面図であり、図3のIV−IV断面図である。
符号の説明
10、13 マイクロチップ基板
11 微細流路
12 開口部
この発明の実施形態に係るマイクロチップの製造方法、及びその製造方法によって製造されるマイクロチップについて、図1を参照して説明する。図1は、この発明の実施形態に係るマイクロチップの断面図である。
(マイクロチップの構成)
この実施形態に係るマイクロチップは、マイクロチップ基板10とマイクロチップ基板13を備えて構成されている。マイクロチップ基板10の表面には溝状の微細流路11が形成されている。さらに、マイクロチップ基板10には、基板を貫通して形成された貫通孔が形成されている。この貫通孔は微細流路11に接して形成されており、マイクロチップ基板10とマイクロチップ基板13を接合することで開口部12となる。マイクロチップ基板10の接合の相手方となるマイクロチップ基板13は、平板状の基板である。微細流路11が形成されている面を内側にして、マイクロチップ基板10とマイクロチップ基板13を接合する。これにより、マイクロチップ基板13が微細流路11の蓋(カバー)として機能し、マイクロチップ基板10に形成されている貫通孔は開口部12となる。なお、マイクロチップ基板10、13が、この発明の「樹脂製基板」の1例に相当する。
マイクロチップ基板10の貫通孔は微細流路11に接して形成されているため、その貫通孔による開口部12は微細流路11に繋がっている。この開口部12は、ゲル、試料、緩衝液の導入、保存、排出を行うための孔である。開口部12の形状は、円形状や矩形状の他、様々な形状であっても良い。この開口部12に、分析装置に設けられたチューブやノズルを接続し、そのチューブやノズルを介して、ゲル、試料、又は緩衝液などを微細流路11に導入し、又は、微細流路11から排出する。
(マイクロチップ基板の材料)
マイクロチップ基板10、13には樹脂が用いられる。その樹脂としては、成形性(転写性、離型性)が良いこと、透明性が高いこと、紫外線や可視光に対する自己蛍光性が低いことなどが条件として挙げられるが、特に限定されるものではない。例えば、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン6、ナイロン66、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、ポリエチレン、ポリジメチルシロキサン、環状ポリオレフィンなどが用いられる。マイクロチップ基板10とマイクロチップ基板13とで、同じ材料を用いても良く、異なる材料を用いても良い。
また、マイクロチップ基板10とマイクロチップ基板13とで、同じ材料を用いることが好ましい。同じ材料であれば、マイクロチップ基板10、13を接合する際に、両基板の表面状態が等しくなるため、接合しやすいという効果がある。
また、マイクロチップ基板10、13の材料に、非晶質シクロオレフィンポリマー(COP)を用いることが好ましい。非晶質シクロオレフィンポリマー(COP)は、低吸湿性であり、長時間の浸水に耐えるからである。また、低複屈折性、低バックグラウンドノイズの特性を有するからである。
また、マイクロチップ基板10、13の材料に、メタクリル樹脂(PMMA)を用いることが好ましい。メタクリル樹脂(PMMA)は、低複屈折性、高透過性の特性を有するからである。
(マイクロチップ基板の形状)
マイクロチップ基板10、13の形状は、ハンドリング、分析しやすい形状であればどのような形状であっても良い。例えば、10mm角〜200mm角程度の大きさが好ましく、10mm角〜100mm角がより好ましい。マイクロチップ基板10、13の形状は、分析手法、分析装置に合わせれば良く、正方形、長方形、円形などの形状が好ましい。
(微細流路の形状)
微細流路11の形状は、分析試料、試薬の使用量を少なくできること、成形金型の作製精度、転写性、離型性などを考慮して、幅、深さともに、10μm〜200μmの範囲内の値であることが好ましいが、特に限定されるものではない。また、アスペクト比(溝の深さ/溝の幅)は、0.1〜3程度が好ましく、0.2〜2程度がより好ましい。また、微細流路11の幅と深さは、マイクロチップの用途によって決めれば良い。なお、説明を簡便にするために、図1に示す微細流路11の断面の形状は矩形状となっているが、この形状は微細流路11の1例であり、曲面状となっていても良い。
(マイクロチップ基板の厚さ)
また、微細流路11が形成されたマイクロチップ基板10の厚さと、蓋(カバー)として機能するマイクロチップ基板13の厚さは、ともに0.5mm以上であることが好ましい。マイクロチップ基板10、13の厚さが、ともに0.5mm以上であれば、接合後のマイクロチップの厚さが1.0mm以上となるため、取扱いや分析機器へのセッティングの際にたわむことが少ないからである。たわみが少なければ、接合面を剥離する力となる剪断力を面全体で分散して受けることができ、接合面が剥離しにくくなる。特に、マイクロチップ基板の接合力が弱くなる微細流路11付近や開口部12付近の強度を維持するために有効である。マイクロチップ基板10、13のそれぞれの厚さを2mmより厚くすると、材料のロス、重量の増加、透明度の減少、熱伝導性の低下の原因となる。そのため、マイクロチップ基板10、13の厚さは、0.5mm〜2mmがより好ましい。
また、蓋(カバー)として機能するマイクロチップ基板13に微細流路を形成しない場合、板状の部材ではなく、フィルム(シート状の部材)を用いても良い。この場合、フィルムの厚さは、30μm〜300μmでることが好ましく、50μm〜150μmであることがより好ましい。このように、蓋(カバー)とするマイクロチップ基板13の厚さを30μm〜300μmとすることで、フィルムの柔軟性を利用して、接合しにくい微細流路11付近や開口部12付近において基板同士を十分に密着させることができ、良好な接合状態を実現できる。さらに、マイクロチップ基板13をフィルム状とするとことで、低コスト化、重量の減少、透明度の増加、熱伝導率の向上などの効果がある。なお、マイクロチップ基板13の厚さを30μmより薄くすると、フィルム自体の強度が不足し、取扱いや分析機器へのセッティングの際に破断してしまうおそれがある。
(マイクロチップの製造方法)
マイクロチップ基板10とマイクロチップ基板13を接合する前に、両基板の接合面を活性化する。具体的には、マイクロチップ基板10に対しては、微細流路11が形成されている面(マイクロチップ基板13と接合する面)を活性化し、マイクロチップ基板13に対しては、マイクロチップ基板10と接合する面を活性化する。その後、微細流路11を内側にして、圧力を加えながらマイクロチップ基板10とマイクロチップ基板13を接合する。
(活性化の方法)
活性化とは、原子や分子が光・熱などのエネルギーを得て高いエネルギー状態になることをいう。この実施形態においてマイクロチップ基板10、13の表面が活性化されるとは、マイクロチップ基板10、13の表面に付着している有機物などを光・熱などの高いエネルギーを照射することで分解、除去し、さらに表面の高分子主鎖を切断してラジカルを生成したり、表面にヒドロキシル基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、アルデヒド基(−CHO)などの反応性の高い官能基を置換又は生成したりして、化学反応を起こし易い状態になることをいう。また、飛行時間型二次イオン質量分析装置(TOF−SIMS)を使用すれば、試料表面の構成元素や化学構造に関する情報を得ることができるため、官能基が生成されたことを確認できる。なお、活性化するための照射条件は、基板材料すなわち高分子の種類、成形方法、添加剤の種類などにより異なる。また、各照射方法のなかでも、照射パラメータは多数存在するため、基板材料の種類などに応じて照射条件を変えて活性化を行う。活性化の手法としては、紫外線照射、プラズマ照射、イオンビーム照射が挙げられる。以下、紫外線照射、イオンビーム照射、及びプラズマ照射について詳しく説明する。
(紫外線照射の例)
紫外線照射によってマイクロチップ基板10、13の表面を活性化させる場合、波長が170nm〜180nmの紫外線を基板表面に照射して活性化させることが好ましい。例えば、ウシオ電機株式会社製のエキシマ光照射ユニット(形式UER20−172C)を使用し、波長が172nm、放射強度が10mW/cmの条件で、エキシマ光照射を行い、マイクロチップ基板10、13の表面を活性化する。マイクロチップ基板10、13の表面にエキシマ光を照射することで、表面の微量な有機物を分解、除去し、表面の高分子主鎖のC−C結合、C=C結合を切断してラジカルを生成、さらには、高分子側鎖にヒドロキシル基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、アルデヒド基(−CHO)などの反応性の高い官能基を置換又は生成してマイクロチップ基板10、13の表面を活性化させる。また、エキシマ光が空間に存在する酸素に直接作用することで、励起酸素原子、オゾンなどの活性酸素種を高濃度に発生させ、微量の有機物を分解、除去、側鎖の官能基の置換又は生成を行い、同様にマイクロチップ基板10、13の表面を活性化させる。
例えば、波長が172nmのエキシマ光の光エネルギーは166.6kcal/molであり、ほとんどの分子結合エネルギーよりも高いため、マイクロチップ基板10、13の表面の活性化には有効である。
本特許出願に係る発明者が行った実験では、200mJ/cm〜2000mJ/cmの強度が望ましいことが確認された。200mJ/cm未満の強度では、接触角の改善が不十分であり、2000mJ/cmより高い強度で照射すると、樹脂が黄変してしまうことが分かった。ただし、樹脂の種類で適切な照射強度の範囲にばらつきがあり、成形された樹脂で適宜純水接触角を測定する、表面を分析するなどして、照射条件を調整する必要がある。
(イオンビーム照射の例)
また、イオンビーム照射によってマイクロチップ基板10、13を活性化させる場合、例えば、株式会社オプトラン製のRFイオンソース(形式OIS−two)を使用し、酸素ガス流量が50sccm、アルゴンガス流量が8sccm、ビーム電圧が500V、ビーム電流が400mA、真空度が1.5×10−2Paの条件で、イオンビーム照射を行い、マイクロチップ基板10、13の表面を活性化する。マイクロチップ基板10、13の表面に酸素イオン、アルゴンイオンを照射することで、表面の微量な有機物を分解、除去し、表面の高分子主鎖のC−C結合、C=C結合を切断してラジカルを生成、さらには高分子側鎖にヒドロキシル基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、アルデヒド基(−CHO)などの反応性の高い官能基を置換又は生成してマイクロチップ基板10、13の表面を活性化させる。
本特許出願に係る発明者が行った実験では、300mJ/cm〜3000mJ/cmの強度が望ましいことが確認された。300mJ/cm未満の強度では、接触角の改善が不十分であり、3000mJ/cmより高い強度で照射すると、樹脂が反ってしまうことが分かった。ただし、樹脂の種類で適切な照射強度の範囲にバラツキがあり、成形された樹脂で適宜純水接触角を測定する、表面を分析するなどして、照射条件を調整する必要がある。
(プラズマ照射の例)
また、プラズマ照射によってマイクロチップ基板10、13を活性化させる場合、例えば、サムコ株式会社製のプラズマドライクリーナー(形式PC−1000)を使用し、酸素ガス流量が200sccm、RF出力が400W、真空度が50Paの条件で、プラズマ照射を行い、マイクロチップ基板10、13の表面を活性化する。マイクロチップ基板10、13の表面にプラズマを照射することで、表面の微量な有機物を分解、除去し、表面の高分子主鎖のC−C結合、C=C結合を切断してラジカルを生成、さらには高分子側鎖にヒドロキシル基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、アルデヒド基(−CHO)などの反応性の高い官能基を置換又は生成してマイクロチップ基板10、13の表面を活性化させる。プラズマ中には、ガス、電子、励起種、イオン、ラジカルが存在し、それらがマイクロチップ基板10、13の表面に作用することで表面を活性化させる。
本特許出願に係る発明者が行った実験では、30J/cm〜300J/cmの強度が望ましいことが確認された。上述したエキシマ光やイオンビームと比較して出力が著しく高いが、基板に照射したエネルギーのみを測定することが困難であり、投入した電力を単純に装置の照射面積で除算して算出した値だからである。ほとんどのエネルギーは、ガスの分解に利用されたと考えられる。30J/cm未満の強度では、接触角の改善が不十分であり、300J/cmより高い強度で照射すると、樹脂が反ってしまうことが分かった。ただし、樹脂の種類で適切な照射強度の範囲にバラツキがあり、成形された樹脂で適宜純水接触角を測定する、表面を分析するなどして、照射条件を調整する必要がある。
(純水接触角)
上記活性化は、マイクロチップ基板10、13の表面の純水接触角が30°以下になるまで行う。また、マイクロチップ基板10、13の表面の純水接触角が15°以下になるまで活性化を行うことがより好ましい。純水接触角が30°以下になるまで活性化することで、マイクロチップ基板10、13を強固に接合することができ、15°以下になるまで活性化することで、更に強固に接合できるからである。
液滴面と固体面が接する点で、液滴面に接線を引いて固体面との間の角度をθとするとき、角度θをその液体のその固体上への接触角という。接触角が大きいときは、固体表面をぬらしにくくなり、小さいときは固体表面をぬらしやすくなる。ぬれは、固体表面に吸着されていた気体が液体にとってかわる現象であり、接触角を測定することで固体の表面自由エネルギーを求めることができる。
接触角が、0°<θ≦90°の範囲にあるとき、
Wi=γs−γsl=γl・cosθの式が成立する。
ただし、
Wi:浸漬のぬれ仕事
γs:固体の表面自由エネルギー
γsl:固体と液体の界面の自由エネルギー
γl:液体の表面自由エネルギー
である。
すなわち、接触角θが小さくなったとき、固体の表面自由エネルギーγsは大きくなり、固体表面が親水性を示すとともに、表面が活性化されたといえる。
本特許出願の発明者は、純水接触角の値と、樹脂製のマイクロチップ基板10、13の接合のしやすさを検討した結果、基板表面における純水接触角θが30°以下であれば、マイクロチップ基板10、13の表面が十分に活性化され、マイクロチップ基板10、13を強固に接合できることを見出した。さらに、純水接触角θが15°以下であれば、更に強固に接合できることを見出した。
(離型剤、有機物の除去)
また、この実施形態では、マイクロチップ基板10、13の表面に付着又は析出している離型剤や、ごみなどの有機物を除去するまで、マイクロチップ基板10、13の表面を活性化する。離型剤は、成形品を成形型から取り出すときの粘着を防止し、作業操作を容易にするために用いられ、流動パラフィン、高級脂肪酸、低分子ポリエチレン、シリコーン油などが主に用いられる。これら離型剤は金型の内面に塗布するか、成形材料の中に予め混合しておく。いずれの場合も、成形品の表面にごくわずかであるが、離型剤が付着又は析出しており、これらを除去しなければ、樹脂製のマイクロチップ基板10、13を強固に接合できないことが分かった。そこで、マイクロチップ基板10、13の表面に付着又は析出している離型剤や、ごみなどの有機物を除去するまで、マイクロチップ基板10、13の表面を活性化する。
エキシマ光をマイクロチップ基板10、13の表面に照射することで、上述した活性酸素種が有機物の主成分である炭素に作用し、二酸化炭素などに酸化分解・揮発させることが可能であるため、マイクロチップ基板10、13の表面に付着又は析出している離型剤などの有機物を除去することができる。また、プラズマをマイクロチップ基板10、13の表面に照射した場合も同様に活性酸素種が発生するため、エキシマ光と同様の効果を奏することができる。また、プラズマにバイアスを印加すれば、加速されたイオンの衝撃で有機物を直接除去することも可能である。また、イオンビームをマイクロチップ基板10、13の表面に照射することで、加速されたイオンの衝撃で有機物を直接除去することが可能である。なお、マイクロチップ基板10、13にダメージを与えないように、イオンビームの運動エネルギーを適宜調整すれば良い。
(マイクロチップ基板の接合)
マイクロチップ基板10、13の表面を活性化させた後、微細流路11が形成されている面を内側にして、マイクロチップ基板10とマイクロチップ基板13を合わせ、圧力を加えながらマイクロチップ基板10、13を接合する。表面が活性化されているため、マイクロチップ基板10とマイクロチップ基板13を接合することができ、マイクロチップが製造されたことになる。
(作用及び効果)
以上のように、紫外線照射、イオンビーム照射、又はプラズマ照射によってマイクロチップ基板10、13の表面を活性化させることで、マイクロチップ基板10、13の表面を親水化させることが可能となる。これにより、微細流路11の内面を親水化させることが可能となる。また、いずれの方法においても、マイクロチップ基板10、13の表面の高分子層のみを活性化することができるため、微細流路11の内面をひずませず、その形状を維持することができ、また、基板同士の接合面をひずませず、接合面の平坦性を維持することができる。このように、接合面を平坦に維持することができるため、接合不良になりにくく、マイクロチップ基板同士を強固に接合することが可能となる。例えば図1に示す接合面(破線で示す部分A)においては、表面の高分子層のみが活性化されるため、接合面がひずまず、平坦な面を維持することできる。そのため、接合不良になりにくく、基板同士を強固に接合することが可能となる。このように、マイクロチップ基板10、13の表面を活性化させることで、微細流路11の内面を親水化させ、さらに、基板同士を強固に接合することができるため、低コストでマイクロチップを製造することが可能となる。
なお、この実施形態においては、マイクロチップ基板10に微細流路11と貫通孔を形成したが、この発明はこの形態に限定されない。マイクロチップ基板10、13のうち、いずれか一方のマイクロチップ基板に微細流路が形成されていれば良く、両方のマイクロチップ基板に微細流路が形成されていても良い。また、マイクロチップ基板13に貫通孔を形成して、開口部を形成しても良い。
次に、具体的な実施例について図2を参照して説明する。図2は、実施例と比較例に関する条件を示す表である。まず、実施例に対する比較例について説明し、その後、実施例について説明する。
(比較例)
比較例では、図4に示す従来技術に係るマイクロチップを作製して評価を行った。
(マイクロチップ基板)
射出成形機で透明樹脂材料の環状ポリオレフィン樹脂(日本ゼオン社製、ゼオノア)を成形し、外形寸法が50mm×50mm×1mmの板状部材に幅50μm、深さ50μmの複数の微細流路と、内径2mmの複数の貫通孔で構成される流路側マイクロチップ基板を作製した。この流路側マイクロチップ基板が、図4に示す微細流路111が形成されたマイクロチップ基板110に相当する。また、同様に外形寸法が50mm×50mm×1mmのカバー側マイクロチップ基板を作製した。このカバー側マイクロチップ基板が、図4に示すマイクロチップ基板120に相当する。
そして、微細流路を内側にして流路側マイクロチップ基板とカバー側マイクロチップ基板を合わせ、加熱プレス機にて120℃、1kgf/cmの条件下で1分間保持することで、基板同士を接合した。これにより、内径2mm、深さ1mmの開口部(図4の開口部112に相当する)が形成された。
(評価)
比較例のマイクロチップをシリンジポンプにつなぎ、水を0.13MPaで圧送したところ、微細流路に水を流すことができたが、開口部付近から水が漏れてしまった。このように水が漏れてしまうと、試料を正確に混合できない、電気泳動の際に絶縁破壊してしまうなどの不具合が生じてしまう。開口部付近から水が漏れた原因は、開口部付近にわずかな成形ひずみが残留しており、基板の接合時に、開口部付近において、流路側マイクロチップ基板とカバー側マイクロチップ基板との間に隙間が生じてしまったためであると考えられる。
(実施例1)
次に、実施例1について説明する。実施例1では、プラズマ照射によってマイクロチップ基板の表面を活性化した。
(マイクロチップ基板)
射出成形機で透明樹脂材料の環状ポリオレフィン樹脂(日本ゼオン社製、ゼオノア)を成形し、外形寸法が50mm×50mm×1mmの板状部材に幅50μm、深さ50μmの複数の微細流路と、内径2mmの複数の貫通孔で構成される流路側マイクロチップ基板を作製した。この流路側マイクロチップ基板が、上記実施形態における微細流路11が形成されたマイクロチップ基板10に相当する。また、同様に外形寸法が50mm×50mm×1mmのカバー側マイクロチップ基板を作製した。このカバー側マイクロチップ基板が、上記実施形態における蓋(カバー)として機能するマイクロチップ基板13に相当する。
(活性化処理)
サムコ(株)製のプラズマドライクリーナー(形式PC−1000)を使用し、酸素ガス流量200sccm、RF出力400W、真空度50Paの条件にて、流路側マイクロチップ基板とカバー側マイクロチップ基板の表面にプラズマを5分間照射した。これにより、流路側マイクロチップ基板の微細流路が形成された表面と、カバー側マイクロチップ基板の表面を活性化した。プラズマ照射後の流路側マイクロチップ基板の表面とカバー側マイクロチップ基板の表面の接触角は、10°程度であった。
また、光電子分光装置(ESCA)を使用して流路側マイクロチップ基板とカバー側マイクロチップ基板の表面状態を測定したところ、離型剤由来の成分は付着していないことが確かめられた。さらに、飛行時間型二次イオン質量分析装置(TOF−SIMS)を使用し、流路側マイクロチップ基板とカバー側マイクロチップ基板の表面状態を測定したところ、ヒドロキシル基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、アルデヒド基(−CHO)が生成されていることを確認した。
(接合)
そして、基板表面の活性状態が失われないよう、プラズマ照射後5分以内に大気開放してから、微細流路が形成された面を内側にして、流路側マイクロチップ基板とカバー側マイクロチップ基板を合わせ、1kgf/cmの力で圧着させ、基板同士を接合した。なお、実施例1においては、大気に開放した状態で基板同士を接合したが、プラズマ照射後に大気開放せずに真空中で基板同士を圧着させれば、より強固に接合できる。この接合によって、内径2mm、深さ1mmの開口部(実施形態の開口部12に相当する)が形成された。
(評価)
実施例1のマイクロチップをシリンジポンプにつなぎ、水を0.13MPaで圧送したところ、微細流路、開口部付近から液体が漏れることなく十分な密封性を示した。また、開口部の内面や微細流路の内面がプラズマ照射によって活性化されたことにより親水性を有するため、水や試薬を圧送しなくても毛細管現象によって、開口部や微細流路にスムースに導入できるという効果があることも分かった。
(実施例2)
次に、実施例2について説明する。実施例2では、紫外線照射によってマイクロチップ基板の表面を活性化した。
(マイクロチップ基板)
射出成形機で透明樹脂材料の環状ポリオレフィン樹脂(日本ゼオン社製、ゼオノア)を成形し、外形寸法が50mm×50mm×1mmの板状部材に幅50μm、深さ50μm、の複数の微細流路と、内径2mmの複数の貫通孔で構成される流路側マイクロチップ基板を作製した。この流路側マイクロチップ基板が、上記実施形態における微細流路11が形成されたマイクロチップ基板10に相当する。また、同様に外形寸法が50mm×50mm×1mmのカバー側マイクロチップ基板を作製した。このカバー側マイクロチップ基板が、第2実施形態における蓋(カバー)として機能するマイクロチップ基板13に相当する。
(活性化処理)
ウシオ電機製のエキシマ光照射ユニット(形式UER20−172C)を使用し、波長172nm、放射強度10mW/cmの条件にて、流路側マイクロチップ基板とカバー側マイクロチップ基板の表面にエキシマ光を30秒間照射した。これにより、流路側マイクロチップ基板の微細流路が形成された表面と、カバー側マイクロチップ基板の表面を活性化した。エキシマ光照射後の流路側マイクロチップ基板の表面とカバー側マイクロチップ基板の表面の接触角は、10°程度であった。
また、光電子分光装置(ESCA)を使用して流路側マイクロチップ基板とカバー側マイクロチップ基板の表面状態を測定したところ、離型剤由来の成分は付着していないことが確かめられた。さらに、飛行時間型二次イオン質量分析装置(TOF−SIMS)を使用し、流路側マイクロチップ基板とカバー側マイクロチップ基板の表面状態を測定したところ、ヒドロキシル基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、アルデヒド基(−CHO)が生成されていることを確認した。
(接合)
そして、基板表面の活性状態が失われないように、紫外線照射後1分以内に流路側マイクロチップ基板とカバー側マイクロチップ基板を合わせ、1kgf/cmの力で圧着させ、基板同士を接合した。この接合によって、内径2mm、深さ1mmの開口部(実施形態の開口部12に相当する)が形成された。
(評価)
実施例2のマイクロチップをシリンジポンプにつなぎ、水を0.13MPaで圧送したところ、微細流路、開口部付近から液体が漏れることなく十分な密封性を示した。また、開口部の内面や微細流路の内面が紫外線照射によって活性化されたことにより親水性を有するため、水や試薬を圧送しなくても毛細管現象によって、開口部や微細流路にスムースに導入できるという効果があることも分かった。
(実施例3)
次に、実施例3について説明する。実施例3では、イオンビーム照射によってマイクロチップ基板の表面を活性化した。
(マイクロチップ基板)
射出成形機で透明樹脂材料の環状ポリオレフィン樹脂(日本ゼオン社製、ゼオノア)を成形し、外形寸法が50mm×50mm×1mmの板状部材に幅50μm、深さ50μmの複数の微細流路と、内径2mmの複数の貫通孔で構成される流路側マイクロチップ基板を作製した。この流路側マイクロチップ基板が、上記実施形態における微細流路11が形成されたマイクロチップ基板10に相当する。また、同様に外形寸法が50mm×50mm×1mmのカバー側マイクロチップ基板を作製した。このカバー側マイクロチップ基板が、実施形態における蓋(カバー)として機能するマイクロチップ基板13に相当する。
(活性化処理)
(株)オプトラン製のRFイオンソース(形式OIS−two)を使用し、酸素ガス流量50sccm、アルゴンガス流量8sccm、ビーム電圧500V、ビーム電流400mA、真空度1.5E−2Paの条件にて、流路側マイクロチップ基板とカバー側マイクロチップ基板の表面にイオンビームを30秒間照射した。これにより、流路側マイクロチップ基板の微細流路が形成された表面と、カバー側マイクロチップ基板の表面を活性化した。イオンビーム照射後の流路側マイクロチップ基板の表面とカバー側マイクロチップ基板の表面の接触角は、15°程度であった。
また、光電子分光装置(ESCA)を使用して流路側マイクロチップ基板とカバー側マイクロチップ基板の表面状態を測定したところ、離型剤由来の成分は付着していないことが確かめられた。さらに、飛行時間型二次イオン質量分析装置(TOF−SIMS)を使用し、流路側マイクロチップ基板とカバー側マイクロチップ基板の表面状態を測定したところ、ヒドロキシル基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、アルデヒド基(−CHO)が生成されていることを確認した。
(接合)
そして、基板表面の活性状態が失われないよう、イオンビーム照射後5分以内に大気開放してから、微細流路が形成された面を内側にして、流路側マイクロチップ基板とカバー側マイクロチップ基板を合わせ、1kgf/cmの力で圧着させ、基板同士を接合した。なお、実施例3においては、大気に開放した状態で基板同士を接合したが、イオンビーム照射後に大気開放せずに真空中で基板同士を圧着させれば、より強固に接合できる。この接合によって、内径2mm、深さ1mmの開口部(実施形態の開口部12に相当する)が形成された。
(評価)
実施例3のマイクロチップをシリンジポンプにつなぎ、水を0.13MPaで圧送したところ、微細流路、開口部付近から液体が漏れることなく十分な密封性を示した。また、開口部の内面や微細流路の内面がイオンビーム照射によって活性化されたことにより親水性を有するため、水や試薬を圧送しなくても毛細管現象によって、開口部や微細流路にスムースに導入できるという効果があることも分かった。
(実施例4)
次に、実施例4について説明する。実施例4では、プラズマ照射によってマイクロチップ基板の表面を活性化した。
(マイクロチップ基板)
射出成形機で透明樹脂材料の環状ポリオレフィン樹脂(日本ゼオン社製、ゼオノア)を成形し、外形寸法が50mm×50mm×1mmの板状部材に幅50μm、深さ50μmの複数の微細流路と、内径2mmの複数の貫通孔で構成される流路側マイクロチップ基板を作製した。この流路側マイクロチップ基板が、上記実施形態における微細流路11が形成されたマイクロチップ基板10に相当する。また、カバー側マイクロチップ基板には、透明樹脂フィルム(日本ゼオン社製、ゼオノアフィルム)を流路側マイクロチップ基板と同様の大きさに切断して使用した。フィルムの厚さは100μmである。このフィルム状のカバー側マイクロチップ基板が、実施形態における蓋(カバー)として機能するマイクロチップ基板13に相当する。
(活性化処理)
サムコ(株)製のプラズマドライクリーナー(形式PC−1000)を使用し、酸素ガス流量200sccm、RF出力400W、真空度50Paの条件にて、流路側マイクロチップ基板とカバー側マイクロチップ基板の表面にプラズマを5分間照射した。これにより、流路側マイクロチップ基板の微細流路が形成された表面と、カバー側マイクロチップ基板の表面を活性化した。プラズマ照射後の流路側マイクロチップ基板の表面とカバー側マイクロチップ基板の表面の接触角は、10°程度であった。
また、光電子分光装置(ESCA)を使用して流路側マイクロチップ基板とカバー側マイクロチップ基板の表面状態を測定したところ、離型剤由来の成分は付着していないことが確かめられた。さらに、飛行時間型二次イオン質量分析装置(TOF−SIMS)を使用し、流路側マイクロチップ基板とカバー側マイクロチップ基板の表面状態を測定したところ、ヒドロキシル基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、アルデヒド基(−CHO)が生成されていることを確認した。
(接合)
そして、基板表面の活性状態が失われないよう、プラズマ照射後5分以内に大気開放してから、微細流路が形成された面を内側にして、流路側マイクロチップ基板とカバー側マイクロチップ基板を合わせ、1kgf/cmの力で圧着させ、基板同士を接合した。なお、実施例4においては、大気に開放した状態で基板同士を接合したが、プラズマ照射後に大気開放せずに真空中で基板同士を圧着させれば、より強固に接合できる。この接合によって、内径2mm、深さ1mmの開口部(実施形態の開口部12に相当する)が形成された。
(評価)
実施例4のマイクロチップをシリンジポンプにつなぎ、水を0.13MPaで圧送したところ、微細流路、開口部付近から液体が漏れることなく十分な密封性を示した。また、開口部の内面や微細流路の内面がプラズマ照射によって活性化されたことにより親水性を有するため、水や試薬を圧送しなくても毛細管現象によって、開口部や微細流路にスムースに導入できるという効果があることも分かった。
以上のように、実施例1から実施例4によると、マイクロチップ基板の表面を、紫外線照射、イオンビーム照射、又はプラズマ照射によって活性化させることで、微細流路の内面を親水化させることができ、さらに、微細流路を破壊することなく、マイクロチップ基板同士を接合することが可能となる。なお、実施例1から実施例4に示したマイクロチップ基板の材料は1例であり、この発明がこれらに限定されるものではない。

Claims (15)

  1. 2つの樹脂製基板のうち少なくとも1つの樹脂製基板には表面に流路用溝が形成され、前記2つの樹脂製基板を、前記流路用溝が形成されている面を内側にして接合するマイクロチップの製造方法であって、
    前記2つの樹脂製基板のそれぞれに対して前記接合する面を活性化し、その後、圧力を加えながら前記2つの樹脂製基板を接合することを特徴とするマイクロチップの製造方法。
  2. 前記接合する面の純水接触角が30°以下になるまで前記活性化を行うことを特徴とする請求の範囲第1項に記載のマイクロチップの製造方法。
  3. 前記活性化後における前記接合する面は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルデヒド基のうち、少なくとも1つを含むことを特徴とする請求の範囲第1項又は請求の範囲第2項のいずれかに記載のマイクロチップの製造方法。
  4. 前記接合する面に析出している離型剤、又は前記接合する面に付着している有機物が除去されるまで前記活性化を行うことを特徴とする請求の範囲第1項に記載のマイクロチップの製造方法。
  5. 紫外線を前記接合する面に照射することで前記活性化を行うことを特徴とする請求の範囲第1項から請求の範囲第4項のいずれかに記載のマイクロチップの製造方法。
  6. プラズマを前記接合する面に照射することで前記活性化を行うことを特徴とする請求の範囲第1項から請求の範囲第4項のいずれかに記載のマイクロチップの製造方法。
  7. イオンビームを前記接合する面に照射することで前記活性化を行うことを特徴とする請求の範囲第1項から請求の範囲第4項のいずれかに記載のマイクロチップの製造方法。
  8. 前記2つの樹脂製基板の厚さが0.5mm〜2.0mmであることを特徴とする請求の範囲第1項から請求の範囲第7項のいずれかに記載のマイクロチップの製造方法。
  9. 前記2つの樹脂製基板のうち、一方の樹脂製基板は、厚さが0.5mm〜2.0mmで、表面に前記流路用溝が形成され、他方の樹脂製基板は、厚さが30μm〜300μmであることを特徴とする請求の範囲第1項から請求の範囲第7項のいずれかに記載のマイクロチップの製造方法。
  10. 2つの樹脂製基板のうち少なくとも1つの樹脂製基板には流路用溝が形成され、前記2つの樹脂製基板を、前記流路用溝が形成されている面を内側にして接合されたマイクロチップであって、
    前記2つの樹脂製基板の厚さが0.5mm〜2.0mmであり、
    前記2つの樹脂製基板のそれぞれにおける前記接合する面が活性化されていることを特徴とするマイクロチップ。
  11. 表面に流路用溝が形成され、厚さが0.5mm〜2.0mmの樹脂製基板と、厚さが30μm〜300μmの樹脂製基板とが、前記流路用溝を内側にして接合され、前記2つの樹脂製基板のそれぞれにおける前記接合する面が活性化されていることを特徴とするマイクロチップ。
  12. 前記接合する面は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルデヒド基のうち、少なくとも1つを含むことを特徴とする請求の範囲第10項又は請求の範囲第11項のいずれかに記載のマイクロチップ。
  13. 前記2つの樹脂製基板は、同一の樹脂材料で構成されていることを特徴とする請求の範囲第10項から請求の範囲第12項のいずれかに記載のマイクロチップ。
  14. 前記樹脂材料は、非晶質シクロオレフィンポリマー(COP)であることを特徴とする請求の範囲第13項に記載のマイクロチップ。
  15. 前記樹脂材料は、メタクリル樹脂(PMMA)であることを特徴とする請求の範囲第13項に記載のマイクロチップ。
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