JPS649372B2 - - Google Patents
Info
- Publication number
- JPS649372B2 JPS649372B2 JP56191573A JP19157381A JPS649372B2 JP S649372 B2 JPS649372 B2 JP S649372B2 JP 56191573 A JP56191573 A JP 56191573A JP 19157381 A JP19157381 A JP 19157381A JP S649372 B2 JPS649372 B2 JP S649372B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- acicular
- particles
- compound
- feooh
- magnesium
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired
Links
Classifications
-
- H—ELECTRICITY
- H01—ELECTRIC ELEMENTS
- H01F—MAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
- H01F1/00—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
- H01F1/01—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
- H01F1/03—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
- H01F1/032—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of hard-magnetic materials
- H01F1/04—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of hard-magnetic materials metals or alloys
- H01F1/06—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of hard-magnetic materials metals or alloys in the form of particles, e.g. powder
- H01F1/061—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of hard-magnetic materials metals or alloys in the form of particles, e.g. powder with a protective layer
Landscapes
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Power Engineering (AREA)
- Manufacture Of Metal Powder And Suspensions Thereof (AREA)
- Hard Magnetic Materials (AREA)
Description
本発明は、磁気記録用に使用されるP化合物と
Si化合物とNi及び/又はAl化合物とで被覆され
た針状晶Fe−Mg合金磁性粒子粉末に関するもの
である。詳しくは、平均値で長軸0.3〜2.0μm軸比
20:1以上という優れた針状晶を有するマグネシ
ウムを含有する針状晶α−FeOOH粒子を生成さ
せ、次いで、該マグネシウムを含有する針状晶α
−FeOOH粒子をP化合物とSi化合物で被覆処理
してP化合物とSi化合物で被覆されたマグネシウ
ムを含有する針状晶α−FeOOH粒子を得、該粒
子を非還元性雰囲気中500〜900℃の温度範囲で加
熱処理することにより高密度化されたP化合物と
Si化合物で被覆されたマグネシウムを含有する針
状晶α−Fe2O3粒子とした後、還元性ガス中で加
熱還元してP化合物とSi化合物とNi及び/Al化
合物で被覆された針状晶Fe−Mg合金磁性粒子と
するに当り、上記加熱処理前のP化合物とSi化合
物で被覆されたマグネシウムを含有する針状晶α
−FeOOH粒子又は上記加熱処理後の高密度化さ
れたP化合物とSi化合物で被覆されたα−Fe2O3
粒子のいずれかをNi及び/又はAl化合物で被覆
処理してNi及び/又はAl化合物で表面を被覆し
て置くことにより、非表面積が大きく、且つ、高
い保磁力Hcを有する針状晶の優れたP化合物と
Si化合物とNi及び/又はAl化合物で被覆された
針状晶Fe−Mg合金磁性粒子粉末を得ることを目
的とする。 磁気記録媒体の製造に際して、本発明の方法に
より得られるP化合物とSi化合物とNi及び/又
はAl化合物で被覆された針状晶Fe−Mg合金磁性
粒子を用いた場合には、比表面積が大きく、且
つ、優れた針状晶を有し、しかも、高い保磁力を
有することに起因して磁気記録テープの記録再生
時に生じるノイズのレベルルが低く、且つ、針状
晶合金磁性粒子のビークル中での分散性、塗膜中
での配向性及び充填性が極めて優れた磁気記録媒
体を得ることができる。 近年、磁気記録再生用機器の小型軽量化が進む
につれて、記録媒体に対する高性能化の必要性が
益々生じてきている。 即ち、高密度記録、高出力特性、殊に、周波数
特性の向上、及びノイズレベルの低下が要求され
る。 磁気記録媒体に対する上記のような要求を満足
させる為に適した磁性材料の特性は、粉体特性に
おいては、比表面積ができるだけ大きく、且つ、
針状晶が優れていることであり、磁気特性におい
ては、飽和磁化σsが大きく、且つ、高い保磁力
Hcを有することである。 ところで、従来から磁気記録媒体に用いられて
いる磁性材料は、マグネタイト、マグヘマイト、
二酸化クロム等の磁性粉末であり、これら磁性粉
末は飽和磁化σs70〜85emu/g、保磁力Hc250〜
500Oeを有するものである。 殊に、上記酸化物磁性粒子粉末のσsは最大
85emu/g程度であり、一般にはσs70〜80emu/
gであることが再生出力並びに記録密度に限度を
与えている主因となつている。 更にCoを含有しているCo−マグネタイトやCo
−マグヘマイト磁性粉末も使用されているが、こ
れらの磁性粒子粉末は保磁力Hcが400〜800Oeと
高いという特徴を有するが、これに反して飽和磁
化σsが60〜80emu/gと低いものである。 最近、高出力並びに高密度記録に適する特性を
備えた磁性粒子粉末すなわち、飽和磁化σsが大き
く、且つ、高い保磁力を有する磁性粒子粉末の開
発が盛んであり、そのような特性を有する磁性粒
子粉末は、一般に、針状晶含水酸化鉄粒子、針状
晶酸化鉄粒子若しくは、これらに鉄以外の異種金
属を含むものを還元性ガス中350℃程度で加熱還
元することにより得られる針状晶鉄磁性粒子粉末
若しくは針状晶合金磁性粒子粉末である。 これら針状晶鉄磁性粒子粉末若しくは針状晶合
金磁性粒子粉末は、従来用いられている磁性酸化
鉄粒子粉末並びに、Co含有磁性酸化鉄粒子粉末
に比較して飽和磁化σsが著しく大きく、保磁力
Hcが高いという特徴を有しており、磁気記録媒
体として塗布した場合、大きい残留磁束密度Br
と高い保磁力Hcを有する為に高密度記録、高出
力特性が得られるので注目をあびており近年実用
化がなされている。 磁気記録媒体に起因するノイズレベルは、特に
磁性粒子粉末の比表面積による影響が大きく、磁
性粒子粉末の比表面積が大きくなる程、ノズルレ
ベルが低下する傾向があることが一般的によく知
られている。 即ち、この現象は、電子通信学会技術研究報告
MR81−11第27頁23−9の「Fig.3」から明らか
である。「Fig.3」はCo被着針状晶マグヘマイト
粒子粉末における粒子の比表面積とノイズレベル
との関係を示す図であり、粒子の比表面積が大き
くなる程ノイズレベルは直線的に低下している。 この現象は、針状晶鉄磁性粒子粉末及び針状晶
合金磁性粒子粉末についても同様に言えることで
ある。 次に、保磁力Hcに関して言えば、高ければ高
い程高密度記録、高出力特性、殊に、周波数特性
の向上をはかることが期待できるがオーデイオ
用、ビデオ用等の磁気記録機器のヘツドの記録再
生時における性能を考慮した場合、針状晶鉄磁性
粒子粉末並びに針状晶合金磁性粒子粉末に要求さ
れる保磁力にも好ましい値が存在しており、用途
に応じた最適保磁力を有することが重要である。 更に、磁気テープ、磁気デイスク等磁気記録媒
体の出力特性、感度特性は、残留磁束密度Brに
依存し、残留磁束密度Brは、磁性粒子粉末のビ
ークル中での分散性、途膜中での配向性及び充填
性に依存している。 そして、塗膜中での配向性及び充填性を向上さ
せるためには、ビークル中に分散させる磁性粒子
粉末ができるだけ優れた針状晶を有する事が要求
される。 優れた針状晶を有する針状晶鉄磁性粒子粉末並
びに針状晶合金磁性粒子粉末を得るためには、出
発原料である針状晶α−FeOOH粒子が優れた針
状晶を有することが必要であり、次に、いかにし
てこの優れた針状晶を保持継承させながら加熱還
元して針状晶鉄磁性粒子粉末又は針状晶合金磁性
粒子粉末とするかが大きな課題となつてくる。 従来、PH11以上のアルカリ領域で針状晶α−
FeOOH粒子を製造する方法として最も代表的な
公知方法は、第一鉄塩溶液に当量以上のアルカリ
溶液を加えて得られる水酸化第一鉄粒子を含む溶
液をPH11以上にて80℃以下の温度で酸化反応を行
うことにより、該反応溶液中に針状晶α−
FeOOH粒子を生成させるものである。 この方法により得られた針状晶α−FeOOH粒
子粉末は、長さ0.5〜1.5μ程度の針状形態を呈し
た粒子であるが、軸比(長軸:短軸)は高々10:
1程度であり、優れた針状晶を有する粒子である
とは言い難い。 このように軸比が10:1程度の針状晶α−
FeOOH粒子を還元工程を経て針状晶鉄磁性粒子
とする場合には、還元工程に於て粒子が収縮する
ので得られた針状晶鉄磁性粒子の軸比は、高々
2:1程度のものとなつてしまう。 一方、本発明者は、長年にわたり針状晶α−
FeOOH粒子粉末の製造及び開発にたずさわつて
いるものであるが、その過程において、針状晶α
−FeOOH粒子の製造に際して原料鉄塩である第
一鉄塩水溶液に、Fe以外のある種の異種金属イ
オンを添加した場合には、一般に、粒子の長軸方
向に成長しやすくなり、軸比の大きなα−
FeOOH粒子が得られるという現象を見い出して
いる。 Fe以外のある種の異種金属イオンとしては、
例えば、Co,Ni,Cr,Mn,Cd、等である。 しかし、これらFe以外の異種金属イオンの添
加は、一般的に、針状晶α−FeOOH粒子の極微
細化を招来し、添加量の増加に伴つて、その傾向
は益々、顕著になることが知られている。 本発明者は、上述した従来技術に鑑み、PH11以
上のアルカリ領域で得られる針状晶α−FeOOH
粒子粉末の極微細化を招来することなく軸比の向
上をはかるべく、種々検討を重ねた結果、第一鉄
塩水溶液とアルカリ水溶液とを反応させて得られ
たFe(OH)2を含むPH11以上の懸濁液に酸素含有
ガスを通気して酸化反応を行わせることにより該
反応溶液中に針状晶α−FeOOH粒子を生成させ
るにあたり、酸素含有ガスを通気して酸化する前
にあらかじめ上記懸濁液に水可溶性マグネシウム
塩をFeに対しMg換算で0.5〜20.0原子%添加して
おいた場合には、針状晶α−FeOOH粒子の極微
細化を招来させることなく軸比を向上させること
ができ、平均値で長軸0.3〜2.0μm、軸比(長軸:
短軸)20:1以上のマグネシウムを含有する針状
晶α−FeOOH粒子を得ることができるという技
術を既に完成している(特願昭55−73512号)。 この技術について説明すると次のようである。 マグネシウムを含有する針状晶α−FeOOH粒
子の生成反応は、マグネシウムを含むFe(OH)2
懸濁液からのマグネシウムを含有する針状晶α−
FeOOH核粒子の発生という段階と、該マグネシ
ウムを含有する針状晶α−FeOOH核粒子の成長
という二段階からなるものであるが、酸素含有ガ
スを通気して酸化する前にあらかじめ、Fe
(OH)2を含む懸濁液中に水可溶性マグネシウム
塩を添加しておく場合には、マグネシウムイオン
がマグネシウムを含有する針状晶α−FeOOH核
粒子の発生の段階で軸比の優れたマグネシウムを
含有する針状晶α−FeOOH核粒子を生成させ、
更に、該マグネシウムを含有する針状晶α−
FeOOH核粒子の成長段階では粒子の短軸方向へ
の成長を抑制し、粒子の長軸方向への成長を促進
させるので、軸比の優れたマグネシウムを含有す
る針状晶α−FeOOH粒子を得ることができるの
である。 この現象に於ける水可溶性マグネシウム塩の作
用についての理論的な解明は未だ十分には行つて
いないが、本発明者は、マグネシウムイオンがマ
グネシウムを含有する針状晶α−FeOOH核粒子
の成長段階で粒子の短軸方向への成長を抑制し、
且つ、粒子の長軸方向への成長を促進させるとい
う作用・効果を有するのは、マグネシウムイオン
が粒子の長軸に垂直な面に比べ、長軸に平行な面
に吸着しやすいことが一要因と考えている。 上述した現象について、本発明者が行なつた数
多くの実験例から、その一部を抽出して説明すれ
ば、次の通りである。 図1は、水可溶性マグネシウム塩の添加量とマ
グネシウムを含有する針状晶α−FeOOH粒子の
軸比との関係図である。 即ち、Feに対しMg換算で0.1〜20.0原子%を含
むように硫酸マグネシウムを添加して得られた硫
酸第一鉄1.0mol/水溶液と苛性ソーダ水溶液
とを用いてPH13のFe(OH)2を含む懸濁液を得、
該懸濁液に、温度45℃において毎分1000の空気
を通気して酸化反応を行わせることにより得られ
たマグネシウムを含有する針状晶α−FeOOH粒
子の軸比と硫酸マグネシウムの添加量の関係を示
したものである。 図1に示されるように水可溶性マグネシウム塩
の添加量の増加に伴つてマグネシウムを含有する
針状晶α−FeOOH粒子の軸比は向上する傾向を
示す。 図2は、水可溶性マグネシウム塩の添加量と図
1の場合と同一の反応条件のもとで生成されたマ
グネシウムを含有する針状晶α−FeOOH粒子の
長軸との関係を示したものである。 図2に示されるように、水可溶性マグネシウム
塩の添加量がFeに対しMg換算で2原子%までは
水可溶性マグネシウム塩の増加に伴つてマグネシ
ウムを含有する針状晶α−FeOOH粒子の長軸
は、増加する傾向を示す。 水可溶性マグネシウム塩の添加量がFeに対し
Mg換算で2原子%を越えて増加すると次第に長
軸が減少する。 この現象は、水可溶性マグネシウム塩の添加量
が増加した為にマグネシウムイオンが粒子の長軸
に垂直な面にも吸着し、粒子の長軸方向への成長
も抑制されたものと考えられる。 しかし、同時に粒子の長軸に平行な面に対して
もマグネシウムイオンの吸着が増加する為に短軸
方向への成長は益々抑制されることになり、従つ
て、粒子自体の軸比は図1に示されるように、水
可溶性マグネシウム塩の添加量がFeに対しMg換
算で2原子%以上になつても低下することはな
い。 図3は、図1においてFeに対しMg換算で2.0原
子%を含むように硫酸マグネシウムを添加し存在
させた場合に得られたマグネシウムを含有する針
状晶α−FeOOH粒子粉末の電子顕微鏡写真(×
20000)を示したものである。 図3から明らかなように、マグネシウムを含有
する針状晶α−FeOOH粒子粉末は優れた針状晶
を有するものである。 従来、α−FeOOH粒子粉末の生成においてマ
グネシウムを添加させるものとして粉体粉末冶金
協会昭和49年度春季大会講演概要集108ページに
記載の方法がある。 この方法の反応系は、アルカリとして炭酸アル
カリを用い、PH7〜11の領域でα−FeOOH粒子
を生成させるものであり、得られる粒子の形状は
紡錘形を呈したものである。 この反応系において「炭酸アルカリ中にヘキサ
メタリ酸、ピロリン酸、酒石酸等のナトリウム塩
を、あるいは、第一鉄塩中にZn,Cu,Mg,
Mn,Cr,Al等の硫酸塩を第一鉄に対し0.2〜2
重量%添加した場合、反応生成物は微細な粒径を
有する」ものとなる旨記載されている。 例えば、この反応系において、温度50℃で得ら
れたα−FeOOH粒子の長軸は平均値で1.0μm程
度であるが、ヘキサメタリン酸ナトリウムを2%
添加した場合は平均値で0.15μm程度となる。 従つて、この反応系においては、上記添加剤を
添加した場合には粒子の微細化を招来し、これは
本発明における水可溶性マグネシウム塩の作用効
果とはまつたく相異するものである。 次に、いかにして上記に詳述した方法により得
られた優れた針状晶を有するマグネシウムを含有
する針状晶α−FeOOH粒子の針状晶を保持継承
させながら加熱還元して針状晶Fe−Mg合金磁性
粒子とするかが問題となる。 優れた針状晶を有するマグネシウムを含有する
針状晶α−FeOOH粒子を還元性ガス中350℃〜
600℃の温度範囲で加熱還元して針状晶Fe−Mg
合金磁性粒子粉末を得る場合、加熱温度が高くな
ると、このFe−Mg合金磁性粒子粉末の針状晶粒
子の変形と粒子および粒子相互間の焼結が著しく
なり、得られたFe−Mg合金磁性粒子粉末の保磁
力が極度に低下することになる。 殊に、粒子の形状は加熱温度の影響を受けやす
く、特に雰囲気が還元性である場合には、粒子成
長が著しく、単一粒子が形骸粒子の大きさを越え
て成長し、形骸粒子の外形は漸次消え、粒子形状
の変形と粒子および粒子相互間の焼結を引き起こ
す。その結果、保磁力が低下するのである。 このように還元性ガス中において粒子形状の変
形と粒子および粒子相互間の焼結が生起するの
は、マグネシウムを含有する針状晶α−FeOOH
粒子を加熱脱水して得られたマグネシウムを含有
する針状晶α−Fe2O3粒子が、粒子成長が十分で
はなく、従つて、粒子の結晶度合が小さいために
加熱還元過程において単一粒子の粒子成長、即
ち、物理的変化が急激であるため、単一粒子の均
一な粒子成長が生起し難く、従つて、単一粒子の
粒子成長が急激に生起した部分では粒子および粒
子相互間の焼結が生起し、粒子形状が崩れやすく
なると考えられる。 また、加熱還元過程においては酸化物から金属
への急激な体積収縮が生起することにより粒子形
状は一層崩れやすいものとなる。 従つて、加熱還元過程において粒子形状の変形
と粒子および粒子相互間の焼結を防止するために
は、加熱還元過程に先立つて、予めマグネシウム
を含有する針状晶α−Fe2O3粒子の単一粒子の十
分、且つ、均一な粒子成長を図ることにより結晶
性の度合が高められた実質的に高密度であり、且
つ、マグネシウムを含有する針状晶α−FeOOH
粒子の針状晶を保持継承しているマグネシウムを
含有する針状晶α−Fe2O3粒子としておく必要が
ある。 このような結晶性の度合が高められた、実質的
に高密度な針状晶α−Fe2O3粒子を得る方法とし
て、針状晶α−FeOOH粒子を非還元性雰囲気中
500〜900℃の温度範囲で加熱処理する方法が知ら
れている。 一般に、針状晶α−FeOOH粒子を加熱脱水し
て得られる針状晶α−Fe2O3粒子は、非還元性雰
囲気中で加熱処理する温度が高ければ高い程、効
果的に単一粒子の粒子成長をはかることができ、
従つて、結晶性の度合も高めることができるが、
一方、加熱処理温度が650℃を越えて高くなると
焼結が進んで針状晶粒子がくずれることが知られ
ている。 従つて、結晶性の度合が高められた実質的に高
密度であり、且つ、針状晶α−FeOOH粒子の針
状晶を保持継承している針状晶α−Fe2O3粒子を
得る為には、非還元性雰囲気中500〜900℃の温度
範囲で加熱処理するに先立つて、あらかじめ、焼
結防止効果を有する有機化合物、無機化合物で針
状晶α−FeOOH粒子の粒子表面を被覆する方法
が知られている。 本発明者は、長年に亘り、針状晶磁性粒子粉末
の製造及び開発にたずさわつているものである
が、その研究過程において、焼結防止効果を有す
るSi化合物で被覆された針状晶α−FeOOH粒子
を製造する方法を既に開発している。 例えば、次に述べるようである。 即ち、P化合物とSi化合物で被覆されたマグネ
シウムを含有する針状晶α−FeOOH粒子粉末
は、第一鉄塩水溶液とアルカリ水溶液との湿式反
応により生成したマグネシウムを含有する針状晶
α−FeOOH粒子を母液から分離した後、水中に
懸濁させ、該懸濁液のPH値8以上の状態でマグネ
シウムを含有する針状晶α−FeOOH粒子に対し
0.1〜2wt%(PO3に換算)のリン酸塩を添加し、
次いで、0.1〜7.0wt%(SiO2に換算)の水可溶性
ケイ酸塩を添加することにより、得ることができ
る。 上記の方法について説明すれば次のようであ
る。 一般に、マグネシウムを含有する針状晶α−
FeOOH粒子は、湿式反応時における反応母液中
の結晶生長の過程でかなり強固にからみ合い、結
合し合つているマグネシウムを含有する針状晶α
−FeOOH粒子の粒子群をそのまま焼結防止剤で
被覆した場合には、それ以上の焼結を防止するだ
けで、反応母液中の結晶成長の過程で発生したか
らみ合い、結合はそのままの状態である為、上記
からみ合い、結合し合つているマグネシウムを含
有する針状晶α−FeOOH粒子を非還元性雰囲気
中で加熱処理した後、加熱還元して得られた針状
晶Fe−Mg合金磁性粒子粉末も粒子がからみ合
い、結合し合つたものとなる。 このような粒子は、ビークル中での分散性、塗
膜中での配向性及び充填性が十分であるとは言い
難い。 従つて、マグネシウムを含有する針状晶α−
FeOOH粒子をSi化合物で被覆するに先立つて、
あらかじめ、反応母液中の結晶成長の過程で発生
したからみ合い、結合を解きほぐしておく必要が
ある。 マグネシウムを含有する針状晶α−FeOOH粒
子を母液から分離した後、水中に懸濁させ、該懸
濁液のPH値8以上の状態でマグネシウムを含有す
る針状晶α−FeOOH粒子に対し0.1〜2wt%
(PO3に換算)のリン酸塩を添加することにより、
マグネシウムを含有する針状晶α−FeOOH粒子
のからみ合い、結合を解きほぐすことが可能であ
る。 マグネシウムを含有する針状晶α−FeOOH粒
子は、マグネシウムを含有する針状晶α−
FeOOH粒子の生成後、常法により反応母液より
別、水洗したものを用いれば良い。 懸濁液の濃度は、水に対して20wt%以下であ
るのが望ましい。20wt%以上の場合には懸濁液
の粘度が高すぎて、リン酸塩の添加によるからみ
合い等を解きほぐす効果が不十分となる。 リン酸塩の添加量は、懸濁液中のマグネシウム
を含有する針状晶α−FeOOH粒子に対しPO3に
換算して0.1〜2wt%であれば、該粒子のからみ合
い等を解きほぐし、粒子を均一に分散させること
ができる。添加量が0.1wt%以下の場合には添加
効果が十分でない。 一方、添加量が2wt%以上の場合には粒子を分
散させることはできるが、粒子が液中に均一に強
分散している為、液中からの別分離が困難とな
り適当でない。 添加するリン酸塩としては、例えば、メタリン
酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム等が挙げら
れる。 リン酸塩を添加する懸濁液のPH値は8以上でな
ければならない。 PH値が8以下である場合には、粒子を分散させ
ようとするリン酸塩を2wt%以上添加しなければ
ならず、リン酸塩を2wt%以上添加すると前述し
た通り、別分離において幣害が生ずる為、好ま
しくない。 次に、マグネシウムを含有する針状晶α−
FeOOH粒子の粒子表面に形成させるSi化合物被
膜について述べると、該Si化合物被膜の形成は、
必ず、リン酸塩によりマグネシウムを含有する針
状晶α−FeOOH粒子のからみ合い等を解きほぐ
した後でなければならない。 水可溶性ケイ酸塩を添加する際の懸濁液のPH値
は8以上の状態であることが望ましい。 PH値が8以下の状態で水可溶性ケイ酸塩を添加
すると、添加と同時に固体であるSiO2として単
独に析出してしまい、粒子表面に効率よく薄膜と
して形成させることができない。 従つて、懸濁液のPH値が8以上の状態で水可溶
性ケイ酸塩を添加し、該懸濁液中に均一に混合し
た後にPH値をSiO2の析出する範囲、即ち、PH値
を3〜7に調整すれば、SiO2は粒子の表面上に
析出して被膜を形成する。 添加する水可溶性ケイ酸塩の量は、SiO2に換
算してマグネシウムを含有する針状晶α−
FeOOH粒子に対し0.1〜7.0wt%である。 0.1wt%以下の場合には、添加の効果が顕著に
現われず、7.0wt%以上である場合には、優れた
針状晶を有するFe−Mgを主成分とする針状晶合
金磁性粒子粉末を得ることができるが純度の低下
により、飽和磁化が減少し好ましくない。 尚、添加する水可溶性ケイ酸塩としては、ケイ
酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等が挙げられる。 次に、マグネシウムを含有する針状晶α−
FeOOH粒子にP化合物とSi化合物で被膜を形成
させた後、懸濁液中から該粒子を別分離する場
合、過効率を高める為には、前記したリン酸塩
の添加により分散させた粒子が適度に凝集してい
ることが好ましい。 リン酸塩の添加量を0.1〜2wt%の範囲内とした
場合、懸濁液のPH値を7以下とすれば懸濁液の粘
度は上昇し、粒子の凝集が起き、別を容易に行
なうことができ、また、分散させる為に添加した
リン酸塩はほとんど全量マグネシウムを含有する
針状晶α−FeOOH粒子に吸着し、排水公害等の
問題が発生する恐れがなくなる。 また、懸濁液のPH値を3以下とした場合にもマ
グネシウムを含有する針状晶α−FeOOH粒子の
凝集及びリン酸塩の吸着、更には前述したSiO3
被膜の形成は可能となるが、設備上の問題及び品
質上の問題(溶解等)が発生する為、好ましくな
い。 尚、PH3〜7に調整する為には、酢酸、硫酸、
リン酸等を使用することができる。 以上、説明したところによつて得られるP化合
物とSi化合物で被覆されたマグネシウムを含有す
る針状晶α−FeOOH粒子を非還元性雰囲気中
500℃〜900℃の温度範囲で加熱処理して得られた
マグネシウムを含有する針状晶α−Fe2O3粒子
は、結晶性の度合が高められた実質的に高密度な
ものであり、且つ、粒子のからみ合いや結合のな
い優れた針状晶を保持継承したものである。 非還元性雰囲気中の加熱処理温度が500℃以下
である場合は、P化合物とSi化合物で被覆された
マグネシウムを含有する針状晶α−Fe2O3粒子の
結晶性の度合が高められた実質的に高密度な粒子
とは言い難く、900℃以上である場合は、針状晶
粒子の変形と粒子および粒子相互間の焼結をひき
起してしまう。また、精度の高い設備、高度な技
術を必要とし工業的経済的ではない。 上述した優れた針状晶を有するマグネシウムを
含有する針状晶α−FeOOH粒子を生成させ、該
粒子の針状晶を保持継承しながら加熱還元して得
られた針状晶Fe−Mg合金磁性粒子粉末は、優れ
た針状晶を有し、且つ、大きな飽和磁化σsと高い
保磁力を有するものであると同時に、比表面積も
従来使用されている針状晶鉄磁性粒子粉末及び針
状晶合金磁性粒子粉末に比較して大きな値をもつ
ものではある。しかしながら、オーデイオ用、ビ
デオ用針状晶合金磁性粒子粉末としては、更にノ
イズレベルの低い磁性粒子粉末の開発が要求され
ており、その為にはより比表面積の大きな磁性粒
子粉末とすることが必要である。 本発明者は、上述したところに鑑み、針状晶
Fe−Mg合金磁性粒子粉末の比表面積を一層増加
させる方法について種々検討した結果、本発明に
到達したのである。 即ち、本発明は、第一鉄塩水溶液とアルカリ水
溶液とを反応させて得られたFe(OH)2を含むPH
11以上の懸濁液に酸素含有ガスを通気して酸化反
応を行わせることにより該反応溶液中に針状晶α
−FeOOH粒子を生成させるにあたり、前記第一
鉄塩水溶液、前記アルカリ水溶液及び酸素含有ガ
スを通気して酸化反応を行わせる前の前記懸濁液
のいずれかの液中に水可溶性マグネシウム塩を
Feに対しMg換算で0.5〜20.0原子%添加しておく
ことにより、平均値で長軸0.3〜2.0μm、軸比(長
軸:短軸)20:1以上であるマグネシウムを含有
する針状晶α−FeOOH粒子を生成させ、次い
で、該マグネシウムを含有する針状晶α−
FeOOH粒子を水中に懸濁させ、該懸濁液のPH値
を8以上の状態でマグネシウムを含有する針状晶
α−FeOOH粒子に対し0.1〜2wt%(PO3に換算)
のリン酸塩を添加し、且つ、マグネシウムを含有
する針状晶α−FeOOH粒子に対し0.1〜7.0wt%
(SiO2に換算)の水可溶性ケイ酸塩を添加するこ
とにより、P化合物とSi化合物で被覆されたマグ
ネシウムを含有する針状晶α−FeOOH粒子を
得、該粒子を非還元性雰囲気中500〜900℃の温度
範囲で加熱処理することにより高密度化されたP
化合物とSi化合物で被覆された針状晶α−Fe2O3
粒子とした後、還元性ガス中で加熱還元してP化
合物とSi化合物とNi及び/又はAl化合物で被覆
された針状晶Fe−Mg合金磁性粒子とするに当
り、上記加熱処理前のP化合物とSi化合物で被覆
されたマグネシウムを含有する針状晶α−
FeOOH粒子又は上記加熱処理後の高密度化され
たP化合物とSi化合物で被覆された針状晶α−
Fe2O3粒子のいずれかを水中に懸濁させ、該懸濁
液中にFeに対しNi及び/又はAl換算で0.5〜10.0
原子%のNi及び/又はAl化合物を添加、混合す
ることにより、Ni及び/又はAl化合物で表面を
被覆して置くことよりなる針状晶合金磁性粒子粉
末の製造法である。 次に、本発明の完成するに至つた技術的背景及
び本発明の構成について述べる。 本発明者は、優れた針状晶を有し、且つ、大き
な飽和磁化σsと高い保磁力を有する針状晶Fe−
Mg合金磁性粒子粉末の比表面積を一層増加させ
るべく、金属化合物の種類、その添加、混合方法
及び存在量について種々検討を重ねた結果、優れ
た針状晶を有するマグネシウムを含有する針状晶
α−FeOOH粒子を水中に懸濁させ、該懸濁液の
PH値8以上の状態でマグネシウムを含有する針状
晶α−FeOOH粒子に対し0.1〜2wt%(PO3に換
算)のリン酸塩を添加し、且つ、マグネシウムを
含有する針状晶α−FeOOH粒子に対し0.1〜
7.0wt%(SiO2に換算)の水可溶性ケイ酸塩を添
加することにより、P化合物とSi化合物で被覆さ
れたマグネシウムを含有する針状晶α−FeOOH
粒子を得、該粒子を非還元性雰囲気中500〜900℃
の温度範囲で加熱処理することにより高密度化さ
れたP化合物とSi化合物で被覆された針状晶α−
Fe2O3粒子とした後、還元性ガス中で加熱還元し
てP化合物とSi化合物とNi及び/又はAl化合物
で被覆された針状晶Fe−Mg合金磁性粒子とする
に当り、上記加熱処理前のP化合物とSi化合物で
被覆されたマグネシウムを含有する針状晶α−
FeOOH粒子又は上記加熱処理後の高密度化され
たP化合物とSi化合物で被覆された針状晶α−
Fe2O3粒子のいずれかを水中に懸濁させ、該懸濁
液中にFeに対しNi及び/又はAl換算で0.5〜10.0
原子%のNi及び/Al化合物を添加、混合するこ
とにより、Ni及び/又はAl化合物で表面を被覆
して置いた場合には、針状晶Fe−Mg合金磁性粒
子粉末の比表面積を一層増加させることができる
という新規な知見を得た。 P化合物とSi化合物で被覆されたマグネシウム
を含有する針状晶α−FeOOH粒子を高温加熱処
理することにより、高密度化されたP化合物とSi
化合物で被覆された針状晶α−Fe2O3粒子とした
後、還元性ガス中加熱還元してP化合物とSi化合
物とNi及び/又はAlで被覆された針状晶Fe−
Mg合金磁性粒子とするに当り、上記加熱処理前
のP化合物とSi化合物で被覆されたマグネシウム
を含有する針状晶α−FeOOH粒子又は上記加熱
処理後の高密度化されたP化合物とSi化合物で被
覆された針状晶α−Fe2O3粒子のいずれかをNi及
び/又はAl化合物で被覆処理することにより表
面をNi及び/又はAl化合物で被覆した場合には、
何故、針状晶Fe−Mg合金磁性粒子粉末の比表面
積を増加させることができるのかについての理論
的解明は未だ行えてはいないが、後出する比較例
に見られるようにマグネシウムを含有するい針状
晶α−FeOOH粒子の生成反応中にNi及び/又は
Al化合物を添加したり又はマグネシウムを含有
しない針状晶α−FeOOH粒子をNi及び/又はAl
化合物で被覆した場合には、目的物粒子の比表面
積を増加させる効果は余りないことから、本発明
者はマグネシウムと粒子表面に存在するNi及
び/又はAl化合物との相乗効果によるものと考
えている。 従来、針状晶合金磁性粒子粉末の製造におい
て、Ni化合物又はAl化合物を単独で存在させる
ものとしては、例えば特開昭55−71002号公報、
特開昭54−122664号公報、特開昭56−98401号公
報、特公昭47−30477号公報、及び特公昭56−
28967号公報に記載の方法がある。 特開昭55−71002号公報に記載の方法は、第一
鉄塩水溶液とアルカリ水溶液との反応により針状
晶α−FeOOH粒子粉末を生成させるにあたり、
前記第一鉄塩水溶液中にNi塩を添加するもので
あり、目的物たる針状晶Fe−Ni合金磁性粒子粉
末の耐食性の改良を目的とするものである。 特開昭54−122664号公報及び特開昭56−98401
号公報に記載の方法は、いずれも針状晶α−
FeOOH粒子又は針状晶酸化鉄粒子をNi化合物で
被覆処理するものであり、目的物たる針状晶合金
磁性粒子粉末の保磁力の向上又は、酸化安定性の
改良を目的とするものである。 特公昭47−30477号公報に記載の方法は、第一
鉄塩水溶液とアルカリ水溶液との反応により針状
晶α−FeOOH粒子粉末を生成する際にAl化合物
を添加するものであり、特公昭56−28967号公報
に記載の方法は、針状晶α−FeOOH粒子又は針
状晶酸化鉄粒子をAl化合物で被覆処理するもの
であり、いずれも目的物たる針状晶合金磁性粒子
粉末の保磁力の向上を目的とするものである。 上述したように、従来周知の方法は、Ni化合
物又はAl化合物を単独で使用するものであり、
その結果は目的物たる針状晶合金磁性粒子粉末の
保磁力の向上及び耐食性、酸化安定性を改良する
ことに限られている。 これに対し、本発明は、マグネシウムとNi化
合物及び/又はAl化合物との相乗効果により目
的物たる針状晶合金磁性粒子粉末の比表面積を増
加させるものであり、従来技術とはその作用・効
果を全く異にするものである。 次に、本発明方法実施にあたつての諸条件につ
いて述べる。 本発明において使用される第一鉄塩水溶液とし
ては、硫酸第一鉄水溶液、塩化第一鉄水溶液等が
ある。 本発明において使用される水可溶性マグネシウ
ム塩としては、硫酸マグネシウム、塩化マグネシ
ウム、硝酸マグネシウム等を使用することができ
る。 水可溶性マグネシウム塩の添加時期について
は、本発明ではFe(OH)2を含む懸濁液中に酸素
含有ガスを通気して酸化反応を行わせてα−
FeOOH粒子粉末を生成させる前にマグネシウム
を存在させておくことが必要であり、このために
は、第一鉄塩水溶液中、アルカリ水溶液中又は酸
素含有ガス通気前のFe(OH)2を含む懸濁液中の
いずれかに水可溶性マグネシウム塩を添加してお
けばよい。 尚、酸素含有ガス通気開始後、酸化反応によつ
て既に一部針状晶α−FeOOH核粒子が生成して
いる段階で水可溶性マグネシウム塩を添加しても
十分な効果は得られない。 本発明において、水可溶性マグネシウム塩の添
加量は、Feに対しMg換算で0.5〜20.0原子%であ
る。 水可溶性マグネシウム塩の添加量がFeに対し
Mg換算で0.5原子%以下である場合には針状晶α
−FeOOH粒子粉末の針状晶を向上させる効果が
十分ではない。 20.0原子%以上である場合も、優れた針状晶を
有するマグネシウムを含有する針状晶α−
FeOOH粒子粉末を得ることができるが、得られ
るP化合物とSi化合物とNi及び/又はAl化合物
で被覆された針状晶Fe−Mg合金磁性粒子粉末は
純度の低下により、飽和磁化が大巾に減少し好ま
しくはない。 得られるP化合物とSi化合物とNi及び/又は
Al化合物で被覆された針状晶Fe−Mg合金磁性粒
子粉末の飽和磁化を考慮した場合、0.5〜15.0原
子%が好ましい。 得られるマグネシウムを含有する針状晶α−
FeOOH粒子粉末は、平均値で長軸0.3〜2.0μm、
軸比(長軸:短軸)20:1以上である。 長軸が平均値で0.3μm以下、2.0μm以上である
場合は磁気記録用出発原料として好ましくない。 マグネシウムを含有する針状晶α−FeOOH粒
子粉末の軸比(長軸:短軸)が20:1以下である
場合には、得られるP化合物とSi化合物とNi及
び/又はAl化合物で被覆された針状晶Fe−Mg合
金磁性粒子粉末は、加熱還元工程に於いて粒子が
収縮するので軸比が優れたものとは言い難く、従
つて、磁気記録用出発原料としてのマグネシウム
を含有する針状晶α−FeOOH粒子粉末の軸比は
20:1以上であることが好ましい。 本発明において使用されるニツケル化合物とし
ては硫酸ニツケル、塩化ニツケル、硝酸ニツケル
等を、アルミニウム化合物としては硫酸アルミニ
ウム、塩化アルミニウム、アルミン酸ナトリウム
等を使用することができる。 Ni及び/又はAl化合物による被覆処理に際し
て用いられる被処理粒子としては、反応母液中に
生成しているマグネシウム含有針状晶α−
FeOOH粒子、反応母液から別、水洗した後の
マグネシウム含有針状晶α−FeOOH粒子、反応
母液から別、水洗、乾燥した後のマグネシウム
含有針状晶α−FeOOH粒子及びマグネシウム含
有針状晶α−FeOOH粒子を高温加熱処理するこ
とにより得られた高密度化された針状晶α−
Fe2O3粒子のいずれをも使用することができ、い
ずれの場合も同様の効果を得ることができる。 Ni及び/又はAl化合物は、粒子表面に均一に
被覆されることが必要であり、Ni及び/又はAl
化合物をアルカリを用いてNi及び/又はAlの水
酸化物として沈着させることが好ましい。 アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム等を使用することができる。 Ni及び/又はAl化合物とアルカリの添加順序
は、いずれが先でもよく、また同時に添加しても
よい。Ni及び/又はAl化合物の添加量は、Feに
対しNi及び/又はAl換算で0.5〜10.0原子%であ
る。0.5原子%以下である場合には、本発明の目
的を十分達成することができない。 10原子%以上である場合には、得られたP化合
物とSi化合物とNi及び/又はAl化合物で被覆さ
れた針状晶Fe−Mg合金磁性粒子粉末は純度の低
下により、飽和磁化が大巾に減少し好ましくな
い。 以上の通りの構成の本発明は、次の通りの効果
を奏するものである。 即ち、本発明によれば、比表面積が大きく、且
つ、大きな飽和磁化σsと高い保磁力Hcを有する
針状晶の優れたP化合物とSi化合物とNi及び/
又はAl化合物で被覆された針状晶Fe−Mg合金磁
性粒子粉末を得ることができるので、現在最も要
求されている高出力、高感度、高記録密度用磁性
粒子粉末として使用することができる。 更に、磁性塗料の製造に際して、上記のP化合
物とSi化合物とNi及び/又はAl化合物で被覆さ
れた針状晶Fe−Mg合金磁性粒子粉末を用いた場
合には、ノイズレベルが低く、且つ、ビークル中
での分散性、塗膜中での配向性及び充填性が極め
て優れ、好ましい磁気記録媒体を得ることができ
る。 次に、実施例並びに比較例により本発明を説明
する。 尚、前出の実験例及び以下の実施例及び比較例
における粒子の比表面積はBET法により示した
ものであり、粒子の軸比(長軸:短軸)、長軸は、
いずれも電子顕微鏡写真から測定した数値の平均
値で示した。 また、粒子中のMg量、Ni量及びAl量は螢光X
線分析により測定した。磁気テープの諸特性は外
部磁場10KOeの下で測定した結果である。 <針状晶α−FeOOH粒子粉末の製造> 実施例1〜9比較例1〜3; 実施例 1 Feに対しMg換算で1.0原子%を含むように硫酸
マグネシウム(MgSO4・7H2O)895gを添加させ
て得られた硫酸第一鉄0.80mol/水溶液450
を、あらかじめ反応器中に準備された5.62−Nの
NaOH水溶液450に加え、PH13.5、温度45℃に
おいてマグネシウムを含むFe(OH)2懸濁液の生
成反応を行つた。 上記マグネシウムを含むFe(OH)2懸濁液に温
度45℃において、毎分1000の空気を14.8時間通
気してマグネシウムを含有する針状晶α−
FeOOH粒子を生成した。 酸化反応終点は、反応液の一部を抜き取り塩酸
酸性に調整した後、赤血塩溶液を用いてFe2+の
青色呈色反応の有無で判定した。 生成粒子は、常法により、別水洗した後、一
部を乾燥、粉砕して分析及び電子顕微鏡観察に用
いるサンプルとした。 得られたマグネシウムを含有する針状晶α−
FeOOH粒子は、X線回折の結果、α−FeOOH
粒子の結晶構造と同じ回折図形が得られた。また
螢光X線分析の結果、Mgが検出された。 従つて、マグネシウムが針状晶α−FeOOH粒
子中に固溶していると考えられる。 このマグネシウムを含有する針状晶α−
FeOOH粒子は、電子顕微鏡観察の結果、平均値
で長軸0.68μm、軸比(長軸:短軸)32:1であ
り、針状晶が優れたものであつた。 実施例 2〜9 第一鉄塩水溶液の種類、NaOH水溶液の濃度、
及び水可溶性マグネシウム塩の種類、添加量、添
加時期を種々変化させた以外は実施例1と同様に
してマグネシウムを含有する針状晶α−FeOOH
粒子粉末を得た。 この時の主要製造条件及び特性を表1に示す。 比較例 1 硫酸マグネシウムを添加しない以外は実施例1
と同様にして針状晶α−FeOOH粒子粉末を生成
した。 この時の主要製造条件及び特性を表1に示す。 比較例 2 Feに対しMg換算で1.0原子%を含むように硫酸
マグネシウム(MgSO4・7H2O)895g及びFeに
対しNi換算で2.0原子%を含むように硫酸ニツケ
ル(NiSO4・6H2O)を1922gを添加させて得ら
れた硫酸第一鉄0.80mo/水溶液450を、あ
らかじめ反応器中に準備された4.05−NのNaOH
水溶液450に加え、PH13.0、温度45℃において
マグネシウム及びニツケルを含むFe(OH)2懸濁
液の生成反応を行つた。 上記マグネシウム及びニツケルを含むFe
(OH)2懸濁液に温度45℃において、毎分1000
の空気を9.8時間通気してマグネシウム及びニツ
ケルを含有する針状晶α−FeOOH粒子を生成し
た。 酸化反応終点は、反応液の一部を抜き取り塩酸
酸性に調整した後、赤血塩溶液を用いてFe2+の
青色呈色反応の有無を判定した。 生成粒子は、常法により、別、水洗、乾燥、
粉砕した。 得られたマグネシウム及びニツケルを含有する
針状晶α−FeOOH粒子粉末は、平均値で長軸
0.62μm軸比(長軸:短軸)24:1であつた。 比較例 3 Feに対しMg換算で1.0原子%を含むように硫酸
マグネシウム(MgSO4・7H2O)895g及びFeに
対しAl換算で1.5原子%を含むように硫酸アルミ
ニウム(Al2(SO4)3・18H2O)を3599gを添加さ
せて得られた硫酸第一鉄0.80mo/水溶液450
を、あらかじめ反応器中に準備された5.64−N
のNaOH水溶液450に加え、PH13.4、温度45℃
においてマグネシウム及びアルミニウムを含む
Fe(OH)2懸濁液に温度45℃において、毎分1000
の空気を14.5時間通気してマグネシウム及びア
ルミニウムを含有する針状晶α−FeOOH粒子を
生成した。 酸化反応終点は、反応液の一部を抜き取り塩酸
酸性に調整した後、赤血塩溶液を用いて、Fe2+
の青色呈色反応の有無を判定した。 生成粒子は、常法により、別、水洗、乾燥、
粉砕した。 得られたマグネシウム及びアルミニウムを含有
する針状晶α−FeOOH粒子粉末は平均値で長軸
0.66μm、軸比(長軸:短軸)28:1であつた。 <P化合物とSi化合物とNi及び/又はAl化合物
とによる被覆処理> 実施例10〜31比較例4〜9; 実施例 10 実施例1で得られた別、水洗したマグネシウ
ムを含有する針状晶α−FeOOH粒子のペースト
12.5Kg(マグネシウムを含有する針状晶α−
FeOOH粒子約3000gに相当する。)を100の水
中に懸濁させた。 この時の懸濁液のPH値は10.0であつた。 次いで、上記懸濁液にヘキサメタリン酸ナトリ
ウム18gを含む水溶液500ml(マグネシウムを含
有する針状晶α−FeOOH粒子に対しPO3として
0.42wt%に相当する。)を添加して30分撹拌した。 次いで、上記懸濁液に硫酸ニツケル(NiSO4・
6H2O)355gを添加し、撹拌しながら2−Nの
NaOH水溶液1.4を添加した。 引き続き、上記懸濁液にケイ酸ナトリウム(3
号水ガラス)300g(マグネシウムを含有する針状
晶α−FeOOH粒子に対しSiO2として2.8wt%に
相当する。)を添加し30分間撹拌した後、懸濁液
のPH値が6.0となるように10%の酢酸を添加した
後、プレスフイルターによりマグネシウムを含有
する針状晶α−FeOOH粒子を別、乾燥してP
化合物とNi化合物とSi化合物とで被覆されたマ
グネシウムを含有する針状晶α−FeOOH粒子粉
末を得た。 実施例11〜31、比較例8,9 被処理粒子の種類、リン酸塩添加時の懸濁液の
PH、リン酸塩の添加量、Ni及び/又はAl化合物
による被覆処理時におけるNi及び/又はAl化合
物の種類、添加量、水可溶性ケイ酸塩の添加量及
び調整後のPHを種々変化させた以外は実施例10と
同様にしてP化合物とNi及び/又はAl化合物と
Si化合物で被覆されたマグネシウムを含有する針
状晶α−FeOOH粒子粉末及び針状晶α−
FeOOH粒子粉末を得た。 この時の主要製造条件を表2に示す。 尚、実施例19及び実施例30は、Si化合物による
被覆処理を施した後、それぞれNi化合物及びAl
化合物による被覆処理を施した。 比較例 4〜7 被処理粒子の種類、リン酸塩添加時の懸濁液の
PH、リン酸塩の添加量、水可溶性ケイ酸塩の添加
量及び調整後のPHを種々変化させ、且つ、Ni及
び/又はAl化合物による被覆処理を施さない以
外は実施例10と同様にして、P化合物とSi化合物
で被覆された針状晶α−FeOOH粒子粉末、マグ
ネシウムを含有する針状晶α−FeOOH粒子粉
末、マグネシウムとニツケルを含有する針状晶α
−FeOOH粒子粉末及びマグネシウムとアルミニ
ウムを含有する針状晶α−FeOOH粒子粉末を得
た。 この時の主要製造条件を表2に示す。 <高密度化された針状晶α−Fe2O3粒子粉末の製
造> 実施例32〜54比較例10〜15; 実施例 32 実施例10で得られたP化合物とNi化合物とSi
化合物で被覆されたマグネシウムを含有する針状
晶α−FeOOH粒子粉末1000gを空気中750℃で加
熱処理して、P化合物とNi化合物とSi化合物で
被覆されたマグネシウムを含有する針状晶α−
Fe2O3粒子粉末を得た。 この粒子は、電子顕微鏡観察の結果、平均値で
長軸0.66μm、軸比(長軸:短軸)32:1であつ
た。 実施例33〜53、比較例10〜15 針状晶α−FeOOH粒子粉末の種類、加熱処理
温度及び非還元性雰囲気を種々変化させた以外
は、実施例32と同様にして針状晶α−Fe2O3粒子
粉末を得た。 この時の主要製造条件及び特性を表3に示す。 実施例 54 実施例3のマグネシウムを含有する針状晶α−
FeOOH粒子粉末のペースト12.5Kg(マグネシウ
ムを含有する針状晶α−FeOOH粒子約3000gに
相当する。)を100の水中に懸濁させた。 この時の懸濁液のPH値は9.9であつた。 次いで、上記懸濁液にヘキサメタリン酸ナトリ
ウム18gを含む水溶液500ml(マグネシウムを含
有する針状晶α−FeOOH粒子に対しPO3として
0.42wt%に相当する。)を添加して30分間撹拌し
た。 次いで、上記懸濁液にケイ酸塩ナトリウム(3
号水ガラス)390g(マグネシウムを含有する針状
晶α−FeOOH粒子に対しSiO2として3.6wt%に
相当する。)を添加し30分間撹拌した後、懸濁液
のPH値が6.0となるように10%の酢酸を添加した
後、プレスフイルターによりマグネシウムを含有
する針状晶α−FeOOH粒子を別、乾燥してP
化合物とSi化合物で被覆されたマグネシウムを含
有する針状晶α−FeOOH粒子粉末を得た。 得られたP化合物とSi化合物で被覆されたマグ
ネシウムを含有する針状晶α−FeOOH粒子粉末
2000gを空気中700℃で加熱処理して高密度化さ
れたP化合物とSi化合物で被覆されたマグネシウ
ムを含有する針状晶α−Fe2O3粒子粉末を得た。 この粒子は、電子顕微鏡観察の結果、平均値で
長軸0.78μm、軸比(長軸:短軸)58:1であつ
た。 上記の高密度化されたP化合物とSi化合物で被
覆されたマグネシウムを含有する針状晶α−
Fe2O3粒子粉末1000gを30の水中に懸濁させ、
硫酸ニツケル(NiSO4・6H2O)82gを添加し、
撹拌しながら2−NのNaOH水溶液0.6を添加
した。この懸濁液を30分間撹拌した後、プレスフ
イルターによりP化合物とSi化合物で被覆された
マグネシウムを含有する針状晶α−Fe2O3粒子を
別、乾燥してP化合物とSi化合物とNi化合物
で被覆された高密度化されたマグネシウムを含有
する針状晶α−Fe2O3粒子粉末を得た。 <針状晶鉄又は合金磁性粒子粉末の製造> 実施例55〜77、比較例16〜21; 実施例 55 実施例32で得られたP化合物とNi化合物とSi
化合物で被覆されたマグネシウムを含有する針状
晶α−Fe2O3粒子粉末120gを3の一端開放型レ
トルト容器中に投入し、駆動回転させながらH2
ガスを毎分50の割合で通気し、還元温度490℃
で還元した。 還元して得られたP化合物とNi化合物とSi化
合物で被覆された針状晶Fe−Mg合金磁性粒子粉
末は、空気中に取り出したとき急激な酸化を起さ
ないように、一旦、トルエン液中に浸漬して、こ
れを蒸発させることにより、粒子表面に安定な酸
化皮膜を施した。 このP化合物とNi化合物とSi化合物とで被覆
された針状晶Fe−Mg合金磁性粒子粉末の諸特性
を表4に示す。 実施例56〜77、比較例16〜21 出発原料の種類、還元温度を種々変化させた以
外は、実施例55と同様にして針状晶合金磁性粒子
粉末を得た。 得られた粒子粉末の諸特性を表4に示す。
Si化合物とNi及び/又はAl化合物とで被覆され
た針状晶Fe−Mg合金磁性粒子粉末に関するもの
である。詳しくは、平均値で長軸0.3〜2.0μm軸比
20:1以上という優れた針状晶を有するマグネシ
ウムを含有する針状晶α−FeOOH粒子を生成さ
せ、次いで、該マグネシウムを含有する針状晶α
−FeOOH粒子をP化合物とSi化合物で被覆処理
してP化合物とSi化合物で被覆されたマグネシウ
ムを含有する針状晶α−FeOOH粒子を得、該粒
子を非還元性雰囲気中500〜900℃の温度範囲で加
熱処理することにより高密度化されたP化合物と
Si化合物で被覆されたマグネシウムを含有する針
状晶α−Fe2O3粒子とした後、還元性ガス中で加
熱還元してP化合物とSi化合物とNi及び/Al化
合物で被覆された針状晶Fe−Mg合金磁性粒子と
するに当り、上記加熱処理前のP化合物とSi化合
物で被覆されたマグネシウムを含有する針状晶α
−FeOOH粒子又は上記加熱処理後の高密度化さ
れたP化合物とSi化合物で被覆されたα−Fe2O3
粒子のいずれかをNi及び/又はAl化合物で被覆
処理してNi及び/又はAl化合物で表面を被覆し
て置くことにより、非表面積が大きく、且つ、高
い保磁力Hcを有する針状晶の優れたP化合物と
Si化合物とNi及び/又はAl化合物で被覆された
針状晶Fe−Mg合金磁性粒子粉末を得ることを目
的とする。 磁気記録媒体の製造に際して、本発明の方法に
より得られるP化合物とSi化合物とNi及び/又
はAl化合物で被覆された針状晶Fe−Mg合金磁性
粒子を用いた場合には、比表面積が大きく、且
つ、優れた針状晶を有し、しかも、高い保磁力を
有することに起因して磁気記録テープの記録再生
時に生じるノイズのレベルルが低く、且つ、針状
晶合金磁性粒子のビークル中での分散性、塗膜中
での配向性及び充填性が極めて優れた磁気記録媒
体を得ることができる。 近年、磁気記録再生用機器の小型軽量化が進む
につれて、記録媒体に対する高性能化の必要性が
益々生じてきている。 即ち、高密度記録、高出力特性、殊に、周波数
特性の向上、及びノイズレベルの低下が要求され
る。 磁気記録媒体に対する上記のような要求を満足
させる為に適した磁性材料の特性は、粉体特性に
おいては、比表面積ができるだけ大きく、且つ、
針状晶が優れていることであり、磁気特性におい
ては、飽和磁化σsが大きく、且つ、高い保磁力
Hcを有することである。 ところで、従来から磁気記録媒体に用いられて
いる磁性材料は、マグネタイト、マグヘマイト、
二酸化クロム等の磁性粉末であり、これら磁性粉
末は飽和磁化σs70〜85emu/g、保磁力Hc250〜
500Oeを有するものである。 殊に、上記酸化物磁性粒子粉末のσsは最大
85emu/g程度であり、一般にはσs70〜80emu/
gであることが再生出力並びに記録密度に限度を
与えている主因となつている。 更にCoを含有しているCo−マグネタイトやCo
−マグヘマイト磁性粉末も使用されているが、こ
れらの磁性粒子粉末は保磁力Hcが400〜800Oeと
高いという特徴を有するが、これに反して飽和磁
化σsが60〜80emu/gと低いものである。 最近、高出力並びに高密度記録に適する特性を
備えた磁性粒子粉末すなわち、飽和磁化σsが大き
く、且つ、高い保磁力を有する磁性粒子粉末の開
発が盛んであり、そのような特性を有する磁性粒
子粉末は、一般に、針状晶含水酸化鉄粒子、針状
晶酸化鉄粒子若しくは、これらに鉄以外の異種金
属を含むものを還元性ガス中350℃程度で加熱還
元することにより得られる針状晶鉄磁性粒子粉末
若しくは針状晶合金磁性粒子粉末である。 これら針状晶鉄磁性粒子粉末若しくは針状晶合
金磁性粒子粉末は、従来用いられている磁性酸化
鉄粒子粉末並びに、Co含有磁性酸化鉄粒子粉末
に比較して飽和磁化σsが著しく大きく、保磁力
Hcが高いという特徴を有しており、磁気記録媒
体として塗布した場合、大きい残留磁束密度Br
と高い保磁力Hcを有する為に高密度記録、高出
力特性が得られるので注目をあびており近年実用
化がなされている。 磁気記録媒体に起因するノイズレベルは、特に
磁性粒子粉末の比表面積による影響が大きく、磁
性粒子粉末の比表面積が大きくなる程、ノズルレ
ベルが低下する傾向があることが一般的によく知
られている。 即ち、この現象は、電子通信学会技術研究報告
MR81−11第27頁23−9の「Fig.3」から明らか
である。「Fig.3」はCo被着針状晶マグヘマイト
粒子粉末における粒子の比表面積とノイズレベル
との関係を示す図であり、粒子の比表面積が大き
くなる程ノイズレベルは直線的に低下している。 この現象は、針状晶鉄磁性粒子粉末及び針状晶
合金磁性粒子粉末についても同様に言えることで
ある。 次に、保磁力Hcに関して言えば、高ければ高
い程高密度記録、高出力特性、殊に、周波数特性
の向上をはかることが期待できるがオーデイオ
用、ビデオ用等の磁気記録機器のヘツドの記録再
生時における性能を考慮した場合、針状晶鉄磁性
粒子粉末並びに針状晶合金磁性粒子粉末に要求さ
れる保磁力にも好ましい値が存在しており、用途
に応じた最適保磁力を有することが重要である。 更に、磁気テープ、磁気デイスク等磁気記録媒
体の出力特性、感度特性は、残留磁束密度Brに
依存し、残留磁束密度Brは、磁性粒子粉末のビ
ークル中での分散性、途膜中での配向性及び充填
性に依存している。 そして、塗膜中での配向性及び充填性を向上さ
せるためには、ビークル中に分散させる磁性粒子
粉末ができるだけ優れた針状晶を有する事が要求
される。 優れた針状晶を有する針状晶鉄磁性粒子粉末並
びに針状晶合金磁性粒子粉末を得るためには、出
発原料である針状晶α−FeOOH粒子が優れた針
状晶を有することが必要であり、次に、いかにし
てこの優れた針状晶を保持継承させながら加熱還
元して針状晶鉄磁性粒子粉末又は針状晶合金磁性
粒子粉末とするかが大きな課題となつてくる。 従来、PH11以上のアルカリ領域で針状晶α−
FeOOH粒子を製造する方法として最も代表的な
公知方法は、第一鉄塩溶液に当量以上のアルカリ
溶液を加えて得られる水酸化第一鉄粒子を含む溶
液をPH11以上にて80℃以下の温度で酸化反応を行
うことにより、該反応溶液中に針状晶α−
FeOOH粒子を生成させるものである。 この方法により得られた針状晶α−FeOOH粒
子粉末は、長さ0.5〜1.5μ程度の針状形態を呈し
た粒子であるが、軸比(長軸:短軸)は高々10:
1程度であり、優れた針状晶を有する粒子である
とは言い難い。 このように軸比が10:1程度の針状晶α−
FeOOH粒子を還元工程を経て針状晶鉄磁性粒子
とする場合には、還元工程に於て粒子が収縮する
ので得られた針状晶鉄磁性粒子の軸比は、高々
2:1程度のものとなつてしまう。 一方、本発明者は、長年にわたり針状晶α−
FeOOH粒子粉末の製造及び開発にたずさわつて
いるものであるが、その過程において、針状晶α
−FeOOH粒子の製造に際して原料鉄塩である第
一鉄塩水溶液に、Fe以外のある種の異種金属イ
オンを添加した場合には、一般に、粒子の長軸方
向に成長しやすくなり、軸比の大きなα−
FeOOH粒子が得られるという現象を見い出して
いる。 Fe以外のある種の異種金属イオンとしては、
例えば、Co,Ni,Cr,Mn,Cd、等である。 しかし、これらFe以外の異種金属イオンの添
加は、一般的に、針状晶α−FeOOH粒子の極微
細化を招来し、添加量の増加に伴つて、その傾向
は益々、顕著になることが知られている。 本発明者は、上述した従来技術に鑑み、PH11以
上のアルカリ領域で得られる針状晶α−FeOOH
粒子粉末の極微細化を招来することなく軸比の向
上をはかるべく、種々検討を重ねた結果、第一鉄
塩水溶液とアルカリ水溶液とを反応させて得られ
たFe(OH)2を含むPH11以上の懸濁液に酸素含有
ガスを通気して酸化反応を行わせることにより該
反応溶液中に針状晶α−FeOOH粒子を生成させ
るにあたり、酸素含有ガスを通気して酸化する前
にあらかじめ上記懸濁液に水可溶性マグネシウム
塩をFeに対しMg換算で0.5〜20.0原子%添加して
おいた場合には、針状晶α−FeOOH粒子の極微
細化を招来させることなく軸比を向上させること
ができ、平均値で長軸0.3〜2.0μm、軸比(長軸:
短軸)20:1以上のマグネシウムを含有する針状
晶α−FeOOH粒子を得ることができるという技
術を既に完成している(特願昭55−73512号)。 この技術について説明すると次のようである。 マグネシウムを含有する針状晶α−FeOOH粒
子の生成反応は、マグネシウムを含むFe(OH)2
懸濁液からのマグネシウムを含有する針状晶α−
FeOOH核粒子の発生という段階と、該マグネシ
ウムを含有する針状晶α−FeOOH核粒子の成長
という二段階からなるものであるが、酸素含有ガ
スを通気して酸化する前にあらかじめ、Fe
(OH)2を含む懸濁液中に水可溶性マグネシウム
塩を添加しておく場合には、マグネシウムイオン
がマグネシウムを含有する針状晶α−FeOOH核
粒子の発生の段階で軸比の優れたマグネシウムを
含有する針状晶α−FeOOH核粒子を生成させ、
更に、該マグネシウムを含有する針状晶α−
FeOOH核粒子の成長段階では粒子の短軸方向へ
の成長を抑制し、粒子の長軸方向への成長を促進
させるので、軸比の優れたマグネシウムを含有す
る針状晶α−FeOOH粒子を得ることができるの
である。 この現象に於ける水可溶性マグネシウム塩の作
用についての理論的な解明は未だ十分には行つて
いないが、本発明者は、マグネシウムイオンがマ
グネシウムを含有する針状晶α−FeOOH核粒子
の成長段階で粒子の短軸方向への成長を抑制し、
且つ、粒子の長軸方向への成長を促進させるとい
う作用・効果を有するのは、マグネシウムイオン
が粒子の長軸に垂直な面に比べ、長軸に平行な面
に吸着しやすいことが一要因と考えている。 上述した現象について、本発明者が行なつた数
多くの実験例から、その一部を抽出して説明すれ
ば、次の通りである。 図1は、水可溶性マグネシウム塩の添加量とマ
グネシウムを含有する針状晶α−FeOOH粒子の
軸比との関係図である。 即ち、Feに対しMg換算で0.1〜20.0原子%を含
むように硫酸マグネシウムを添加して得られた硫
酸第一鉄1.0mol/水溶液と苛性ソーダ水溶液
とを用いてPH13のFe(OH)2を含む懸濁液を得、
該懸濁液に、温度45℃において毎分1000の空気
を通気して酸化反応を行わせることにより得られ
たマグネシウムを含有する針状晶α−FeOOH粒
子の軸比と硫酸マグネシウムの添加量の関係を示
したものである。 図1に示されるように水可溶性マグネシウム塩
の添加量の増加に伴つてマグネシウムを含有する
針状晶α−FeOOH粒子の軸比は向上する傾向を
示す。 図2は、水可溶性マグネシウム塩の添加量と図
1の場合と同一の反応条件のもとで生成されたマ
グネシウムを含有する針状晶α−FeOOH粒子の
長軸との関係を示したものである。 図2に示されるように、水可溶性マグネシウム
塩の添加量がFeに対しMg換算で2原子%までは
水可溶性マグネシウム塩の増加に伴つてマグネシ
ウムを含有する針状晶α−FeOOH粒子の長軸
は、増加する傾向を示す。 水可溶性マグネシウム塩の添加量がFeに対し
Mg換算で2原子%を越えて増加すると次第に長
軸が減少する。 この現象は、水可溶性マグネシウム塩の添加量
が増加した為にマグネシウムイオンが粒子の長軸
に垂直な面にも吸着し、粒子の長軸方向への成長
も抑制されたものと考えられる。 しかし、同時に粒子の長軸に平行な面に対して
もマグネシウムイオンの吸着が増加する為に短軸
方向への成長は益々抑制されることになり、従つ
て、粒子自体の軸比は図1に示されるように、水
可溶性マグネシウム塩の添加量がFeに対しMg換
算で2原子%以上になつても低下することはな
い。 図3は、図1においてFeに対しMg換算で2.0原
子%を含むように硫酸マグネシウムを添加し存在
させた場合に得られたマグネシウムを含有する針
状晶α−FeOOH粒子粉末の電子顕微鏡写真(×
20000)を示したものである。 図3から明らかなように、マグネシウムを含有
する針状晶α−FeOOH粒子粉末は優れた針状晶
を有するものである。 従来、α−FeOOH粒子粉末の生成においてマ
グネシウムを添加させるものとして粉体粉末冶金
協会昭和49年度春季大会講演概要集108ページに
記載の方法がある。 この方法の反応系は、アルカリとして炭酸アル
カリを用い、PH7〜11の領域でα−FeOOH粒子
を生成させるものであり、得られる粒子の形状は
紡錘形を呈したものである。 この反応系において「炭酸アルカリ中にヘキサ
メタリ酸、ピロリン酸、酒石酸等のナトリウム塩
を、あるいは、第一鉄塩中にZn,Cu,Mg,
Mn,Cr,Al等の硫酸塩を第一鉄に対し0.2〜2
重量%添加した場合、反応生成物は微細な粒径を
有する」ものとなる旨記載されている。 例えば、この反応系において、温度50℃で得ら
れたα−FeOOH粒子の長軸は平均値で1.0μm程
度であるが、ヘキサメタリン酸ナトリウムを2%
添加した場合は平均値で0.15μm程度となる。 従つて、この反応系においては、上記添加剤を
添加した場合には粒子の微細化を招来し、これは
本発明における水可溶性マグネシウム塩の作用効
果とはまつたく相異するものである。 次に、いかにして上記に詳述した方法により得
られた優れた針状晶を有するマグネシウムを含有
する針状晶α−FeOOH粒子の針状晶を保持継承
させながら加熱還元して針状晶Fe−Mg合金磁性
粒子とするかが問題となる。 優れた針状晶を有するマグネシウムを含有する
針状晶α−FeOOH粒子を還元性ガス中350℃〜
600℃の温度範囲で加熱還元して針状晶Fe−Mg
合金磁性粒子粉末を得る場合、加熱温度が高くな
ると、このFe−Mg合金磁性粒子粉末の針状晶粒
子の変形と粒子および粒子相互間の焼結が著しく
なり、得られたFe−Mg合金磁性粒子粉末の保磁
力が極度に低下することになる。 殊に、粒子の形状は加熱温度の影響を受けやす
く、特に雰囲気が還元性である場合には、粒子成
長が著しく、単一粒子が形骸粒子の大きさを越え
て成長し、形骸粒子の外形は漸次消え、粒子形状
の変形と粒子および粒子相互間の焼結を引き起こ
す。その結果、保磁力が低下するのである。 このように還元性ガス中において粒子形状の変
形と粒子および粒子相互間の焼結が生起するの
は、マグネシウムを含有する針状晶α−FeOOH
粒子を加熱脱水して得られたマグネシウムを含有
する針状晶α−Fe2O3粒子が、粒子成長が十分で
はなく、従つて、粒子の結晶度合が小さいために
加熱還元過程において単一粒子の粒子成長、即
ち、物理的変化が急激であるため、単一粒子の均
一な粒子成長が生起し難く、従つて、単一粒子の
粒子成長が急激に生起した部分では粒子および粒
子相互間の焼結が生起し、粒子形状が崩れやすく
なると考えられる。 また、加熱還元過程においては酸化物から金属
への急激な体積収縮が生起することにより粒子形
状は一層崩れやすいものとなる。 従つて、加熱還元過程において粒子形状の変形
と粒子および粒子相互間の焼結を防止するために
は、加熱還元過程に先立つて、予めマグネシウム
を含有する針状晶α−Fe2O3粒子の単一粒子の十
分、且つ、均一な粒子成長を図ることにより結晶
性の度合が高められた実質的に高密度であり、且
つ、マグネシウムを含有する針状晶α−FeOOH
粒子の針状晶を保持継承しているマグネシウムを
含有する針状晶α−Fe2O3粒子としておく必要が
ある。 このような結晶性の度合が高められた、実質的
に高密度な針状晶α−Fe2O3粒子を得る方法とし
て、針状晶α−FeOOH粒子を非還元性雰囲気中
500〜900℃の温度範囲で加熱処理する方法が知ら
れている。 一般に、針状晶α−FeOOH粒子を加熱脱水し
て得られる針状晶α−Fe2O3粒子は、非還元性雰
囲気中で加熱処理する温度が高ければ高い程、効
果的に単一粒子の粒子成長をはかることができ、
従つて、結晶性の度合も高めることができるが、
一方、加熱処理温度が650℃を越えて高くなると
焼結が進んで針状晶粒子がくずれることが知られ
ている。 従つて、結晶性の度合が高められた実質的に高
密度であり、且つ、針状晶α−FeOOH粒子の針
状晶を保持継承している針状晶α−Fe2O3粒子を
得る為には、非還元性雰囲気中500〜900℃の温度
範囲で加熱処理するに先立つて、あらかじめ、焼
結防止効果を有する有機化合物、無機化合物で針
状晶α−FeOOH粒子の粒子表面を被覆する方法
が知られている。 本発明者は、長年に亘り、針状晶磁性粒子粉末
の製造及び開発にたずさわつているものである
が、その研究過程において、焼結防止効果を有す
るSi化合物で被覆された針状晶α−FeOOH粒子
を製造する方法を既に開発している。 例えば、次に述べるようである。 即ち、P化合物とSi化合物で被覆されたマグネ
シウムを含有する針状晶α−FeOOH粒子粉末
は、第一鉄塩水溶液とアルカリ水溶液との湿式反
応により生成したマグネシウムを含有する針状晶
α−FeOOH粒子を母液から分離した後、水中に
懸濁させ、該懸濁液のPH値8以上の状態でマグネ
シウムを含有する針状晶α−FeOOH粒子に対し
0.1〜2wt%(PO3に換算)のリン酸塩を添加し、
次いで、0.1〜7.0wt%(SiO2に換算)の水可溶性
ケイ酸塩を添加することにより、得ることができ
る。 上記の方法について説明すれば次のようであ
る。 一般に、マグネシウムを含有する針状晶α−
FeOOH粒子は、湿式反応時における反応母液中
の結晶生長の過程でかなり強固にからみ合い、結
合し合つているマグネシウムを含有する針状晶α
−FeOOH粒子の粒子群をそのまま焼結防止剤で
被覆した場合には、それ以上の焼結を防止するだ
けで、反応母液中の結晶成長の過程で発生したか
らみ合い、結合はそのままの状態である為、上記
からみ合い、結合し合つているマグネシウムを含
有する針状晶α−FeOOH粒子を非還元性雰囲気
中で加熱処理した後、加熱還元して得られた針状
晶Fe−Mg合金磁性粒子粉末も粒子がからみ合
い、結合し合つたものとなる。 このような粒子は、ビークル中での分散性、塗
膜中での配向性及び充填性が十分であるとは言い
難い。 従つて、マグネシウムを含有する針状晶α−
FeOOH粒子をSi化合物で被覆するに先立つて、
あらかじめ、反応母液中の結晶成長の過程で発生
したからみ合い、結合を解きほぐしておく必要が
ある。 マグネシウムを含有する針状晶α−FeOOH粒
子を母液から分離した後、水中に懸濁させ、該懸
濁液のPH値8以上の状態でマグネシウムを含有す
る針状晶α−FeOOH粒子に対し0.1〜2wt%
(PO3に換算)のリン酸塩を添加することにより、
マグネシウムを含有する針状晶α−FeOOH粒子
のからみ合い、結合を解きほぐすことが可能であ
る。 マグネシウムを含有する針状晶α−FeOOH粒
子は、マグネシウムを含有する針状晶α−
FeOOH粒子の生成後、常法により反応母液より
別、水洗したものを用いれば良い。 懸濁液の濃度は、水に対して20wt%以下であ
るのが望ましい。20wt%以上の場合には懸濁液
の粘度が高すぎて、リン酸塩の添加によるからみ
合い等を解きほぐす効果が不十分となる。 リン酸塩の添加量は、懸濁液中のマグネシウム
を含有する針状晶α−FeOOH粒子に対しPO3に
換算して0.1〜2wt%であれば、該粒子のからみ合
い等を解きほぐし、粒子を均一に分散させること
ができる。添加量が0.1wt%以下の場合には添加
効果が十分でない。 一方、添加量が2wt%以上の場合には粒子を分
散させることはできるが、粒子が液中に均一に強
分散している為、液中からの別分離が困難とな
り適当でない。 添加するリン酸塩としては、例えば、メタリン
酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム等が挙げら
れる。 リン酸塩を添加する懸濁液のPH値は8以上でな
ければならない。 PH値が8以下である場合には、粒子を分散させ
ようとするリン酸塩を2wt%以上添加しなければ
ならず、リン酸塩を2wt%以上添加すると前述し
た通り、別分離において幣害が生ずる為、好ま
しくない。 次に、マグネシウムを含有する針状晶α−
FeOOH粒子の粒子表面に形成させるSi化合物被
膜について述べると、該Si化合物被膜の形成は、
必ず、リン酸塩によりマグネシウムを含有する針
状晶α−FeOOH粒子のからみ合い等を解きほぐ
した後でなければならない。 水可溶性ケイ酸塩を添加する際の懸濁液のPH値
は8以上の状態であることが望ましい。 PH値が8以下の状態で水可溶性ケイ酸塩を添加
すると、添加と同時に固体であるSiO2として単
独に析出してしまい、粒子表面に効率よく薄膜と
して形成させることができない。 従つて、懸濁液のPH値が8以上の状態で水可溶
性ケイ酸塩を添加し、該懸濁液中に均一に混合し
た後にPH値をSiO2の析出する範囲、即ち、PH値
を3〜7に調整すれば、SiO2は粒子の表面上に
析出して被膜を形成する。 添加する水可溶性ケイ酸塩の量は、SiO2に換
算してマグネシウムを含有する針状晶α−
FeOOH粒子に対し0.1〜7.0wt%である。 0.1wt%以下の場合には、添加の効果が顕著に
現われず、7.0wt%以上である場合には、優れた
針状晶を有するFe−Mgを主成分とする針状晶合
金磁性粒子粉末を得ることができるが純度の低下
により、飽和磁化が減少し好ましくない。 尚、添加する水可溶性ケイ酸塩としては、ケイ
酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等が挙げられる。 次に、マグネシウムを含有する針状晶α−
FeOOH粒子にP化合物とSi化合物で被膜を形成
させた後、懸濁液中から該粒子を別分離する場
合、過効率を高める為には、前記したリン酸塩
の添加により分散させた粒子が適度に凝集してい
ることが好ましい。 リン酸塩の添加量を0.1〜2wt%の範囲内とした
場合、懸濁液のPH値を7以下とすれば懸濁液の粘
度は上昇し、粒子の凝集が起き、別を容易に行
なうことができ、また、分散させる為に添加した
リン酸塩はほとんど全量マグネシウムを含有する
針状晶α−FeOOH粒子に吸着し、排水公害等の
問題が発生する恐れがなくなる。 また、懸濁液のPH値を3以下とした場合にもマ
グネシウムを含有する針状晶α−FeOOH粒子の
凝集及びリン酸塩の吸着、更には前述したSiO3
被膜の形成は可能となるが、設備上の問題及び品
質上の問題(溶解等)が発生する為、好ましくな
い。 尚、PH3〜7に調整する為には、酢酸、硫酸、
リン酸等を使用することができる。 以上、説明したところによつて得られるP化合
物とSi化合物で被覆されたマグネシウムを含有す
る針状晶α−FeOOH粒子を非還元性雰囲気中
500℃〜900℃の温度範囲で加熱処理して得られた
マグネシウムを含有する針状晶α−Fe2O3粒子
は、結晶性の度合が高められた実質的に高密度な
ものであり、且つ、粒子のからみ合いや結合のな
い優れた針状晶を保持継承したものである。 非還元性雰囲気中の加熱処理温度が500℃以下
である場合は、P化合物とSi化合物で被覆された
マグネシウムを含有する針状晶α−Fe2O3粒子の
結晶性の度合が高められた実質的に高密度な粒子
とは言い難く、900℃以上である場合は、針状晶
粒子の変形と粒子および粒子相互間の焼結をひき
起してしまう。また、精度の高い設備、高度な技
術を必要とし工業的経済的ではない。 上述した優れた針状晶を有するマグネシウムを
含有する針状晶α−FeOOH粒子を生成させ、該
粒子の針状晶を保持継承しながら加熱還元して得
られた針状晶Fe−Mg合金磁性粒子粉末は、優れ
た針状晶を有し、且つ、大きな飽和磁化σsと高い
保磁力を有するものであると同時に、比表面積も
従来使用されている針状晶鉄磁性粒子粉末及び針
状晶合金磁性粒子粉末に比較して大きな値をもつ
ものではある。しかしながら、オーデイオ用、ビ
デオ用針状晶合金磁性粒子粉末としては、更にノ
イズレベルの低い磁性粒子粉末の開発が要求され
ており、その為にはより比表面積の大きな磁性粒
子粉末とすることが必要である。 本発明者は、上述したところに鑑み、針状晶
Fe−Mg合金磁性粒子粉末の比表面積を一層増加
させる方法について種々検討した結果、本発明に
到達したのである。 即ち、本発明は、第一鉄塩水溶液とアルカリ水
溶液とを反応させて得られたFe(OH)2を含むPH
11以上の懸濁液に酸素含有ガスを通気して酸化反
応を行わせることにより該反応溶液中に針状晶α
−FeOOH粒子を生成させるにあたり、前記第一
鉄塩水溶液、前記アルカリ水溶液及び酸素含有ガ
スを通気して酸化反応を行わせる前の前記懸濁液
のいずれかの液中に水可溶性マグネシウム塩を
Feに対しMg換算で0.5〜20.0原子%添加しておく
ことにより、平均値で長軸0.3〜2.0μm、軸比(長
軸:短軸)20:1以上であるマグネシウムを含有
する針状晶α−FeOOH粒子を生成させ、次い
で、該マグネシウムを含有する針状晶α−
FeOOH粒子を水中に懸濁させ、該懸濁液のPH値
を8以上の状態でマグネシウムを含有する針状晶
α−FeOOH粒子に対し0.1〜2wt%(PO3に換算)
のリン酸塩を添加し、且つ、マグネシウムを含有
する針状晶α−FeOOH粒子に対し0.1〜7.0wt%
(SiO2に換算)の水可溶性ケイ酸塩を添加するこ
とにより、P化合物とSi化合物で被覆されたマグ
ネシウムを含有する針状晶α−FeOOH粒子を
得、該粒子を非還元性雰囲気中500〜900℃の温度
範囲で加熱処理することにより高密度化されたP
化合物とSi化合物で被覆された針状晶α−Fe2O3
粒子とした後、還元性ガス中で加熱還元してP化
合物とSi化合物とNi及び/又はAl化合物で被覆
された針状晶Fe−Mg合金磁性粒子とするに当
り、上記加熱処理前のP化合物とSi化合物で被覆
されたマグネシウムを含有する針状晶α−
FeOOH粒子又は上記加熱処理後の高密度化され
たP化合物とSi化合物で被覆された針状晶α−
Fe2O3粒子のいずれかを水中に懸濁させ、該懸濁
液中にFeに対しNi及び/又はAl換算で0.5〜10.0
原子%のNi及び/又はAl化合物を添加、混合す
ることにより、Ni及び/又はAl化合物で表面を
被覆して置くことよりなる針状晶合金磁性粒子粉
末の製造法である。 次に、本発明の完成するに至つた技術的背景及
び本発明の構成について述べる。 本発明者は、優れた針状晶を有し、且つ、大き
な飽和磁化σsと高い保磁力を有する針状晶Fe−
Mg合金磁性粒子粉末の比表面積を一層増加させ
るべく、金属化合物の種類、その添加、混合方法
及び存在量について種々検討を重ねた結果、優れ
た針状晶を有するマグネシウムを含有する針状晶
α−FeOOH粒子を水中に懸濁させ、該懸濁液の
PH値8以上の状態でマグネシウムを含有する針状
晶α−FeOOH粒子に対し0.1〜2wt%(PO3に換
算)のリン酸塩を添加し、且つ、マグネシウムを
含有する針状晶α−FeOOH粒子に対し0.1〜
7.0wt%(SiO2に換算)の水可溶性ケイ酸塩を添
加することにより、P化合物とSi化合物で被覆さ
れたマグネシウムを含有する針状晶α−FeOOH
粒子を得、該粒子を非還元性雰囲気中500〜900℃
の温度範囲で加熱処理することにより高密度化さ
れたP化合物とSi化合物で被覆された針状晶α−
Fe2O3粒子とした後、還元性ガス中で加熱還元し
てP化合物とSi化合物とNi及び/又はAl化合物
で被覆された針状晶Fe−Mg合金磁性粒子とする
に当り、上記加熱処理前のP化合物とSi化合物で
被覆されたマグネシウムを含有する針状晶α−
FeOOH粒子又は上記加熱処理後の高密度化され
たP化合物とSi化合物で被覆された針状晶α−
Fe2O3粒子のいずれかを水中に懸濁させ、該懸濁
液中にFeに対しNi及び/又はAl換算で0.5〜10.0
原子%のNi及び/Al化合物を添加、混合するこ
とにより、Ni及び/又はAl化合物で表面を被覆
して置いた場合には、針状晶Fe−Mg合金磁性粒
子粉末の比表面積を一層増加させることができる
という新規な知見を得た。 P化合物とSi化合物で被覆されたマグネシウム
を含有する針状晶α−FeOOH粒子を高温加熱処
理することにより、高密度化されたP化合物とSi
化合物で被覆された針状晶α−Fe2O3粒子とした
後、還元性ガス中加熱還元してP化合物とSi化合
物とNi及び/又はAlで被覆された針状晶Fe−
Mg合金磁性粒子とするに当り、上記加熱処理前
のP化合物とSi化合物で被覆されたマグネシウム
を含有する針状晶α−FeOOH粒子又は上記加熱
処理後の高密度化されたP化合物とSi化合物で被
覆された針状晶α−Fe2O3粒子のいずれかをNi及
び/又はAl化合物で被覆処理することにより表
面をNi及び/又はAl化合物で被覆した場合には、
何故、針状晶Fe−Mg合金磁性粒子粉末の比表面
積を増加させることができるのかについての理論
的解明は未だ行えてはいないが、後出する比較例
に見られるようにマグネシウムを含有するい針状
晶α−FeOOH粒子の生成反応中にNi及び/又は
Al化合物を添加したり又はマグネシウムを含有
しない針状晶α−FeOOH粒子をNi及び/又はAl
化合物で被覆した場合には、目的物粒子の比表面
積を増加させる効果は余りないことから、本発明
者はマグネシウムと粒子表面に存在するNi及
び/又はAl化合物との相乗効果によるものと考
えている。 従来、針状晶合金磁性粒子粉末の製造におい
て、Ni化合物又はAl化合物を単独で存在させる
ものとしては、例えば特開昭55−71002号公報、
特開昭54−122664号公報、特開昭56−98401号公
報、特公昭47−30477号公報、及び特公昭56−
28967号公報に記載の方法がある。 特開昭55−71002号公報に記載の方法は、第一
鉄塩水溶液とアルカリ水溶液との反応により針状
晶α−FeOOH粒子粉末を生成させるにあたり、
前記第一鉄塩水溶液中にNi塩を添加するもので
あり、目的物たる針状晶Fe−Ni合金磁性粒子粉
末の耐食性の改良を目的とするものである。 特開昭54−122664号公報及び特開昭56−98401
号公報に記載の方法は、いずれも針状晶α−
FeOOH粒子又は針状晶酸化鉄粒子をNi化合物で
被覆処理するものであり、目的物たる針状晶合金
磁性粒子粉末の保磁力の向上又は、酸化安定性の
改良を目的とするものである。 特公昭47−30477号公報に記載の方法は、第一
鉄塩水溶液とアルカリ水溶液との反応により針状
晶α−FeOOH粒子粉末を生成する際にAl化合物
を添加するものであり、特公昭56−28967号公報
に記載の方法は、針状晶α−FeOOH粒子又は針
状晶酸化鉄粒子をAl化合物で被覆処理するもの
であり、いずれも目的物たる針状晶合金磁性粒子
粉末の保磁力の向上を目的とするものである。 上述したように、従来周知の方法は、Ni化合
物又はAl化合物を単独で使用するものであり、
その結果は目的物たる針状晶合金磁性粒子粉末の
保磁力の向上及び耐食性、酸化安定性を改良する
ことに限られている。 これに対し、本発明は、マグネシウムとNi化
合物及び/又はAl化合物との相乗効果により目
的物たる針状晶合金磁性粒子粉末の比表面積を増
加させるものであり、従来技術とはその作用・効
果を全く異にするものである。 次に、本発明方法実施にあたつての諸条件につ
いて述べる。 本発明において使用される第一鉄塩水溶液とし
ては、硫酸第一鉄水溶液、塩化第一鉄水溶液等が
ある。 本発明において使用される水可溶性マグネシウ
ム塩としては、硫酸マグネシウム、塩化マグネシ
ウム、硝酸マグネシウム等を使用することができ
る。 水可溶性マグネシウム塩の添加時期について
は、本発明ではFe(OH)2を含む懸濁液中に酸素
含有ガスを通気して酸化反応を行わせてα−
FeOOH粒子粉末を生成させる前にマグネシウム
を存在させておくことが必要であり、このために
は、第一鉄塩水溶液中、アルカリ水溶液中又は酸
素含有ガス通気前のFe(OH)2を含む懸濁液中の
いずれかに水可溶性マグネシウム塩を添加してお
けばよい。 尚、酸素含有ガス通気開始後、酸化反応によつ
て既に一部針状晶α−FeOOH核粒子が生成して
いる段階で水可溶性マグネシウム塩を添加しても
十分な効果は得られない。 本発明において、水可溶性マグネシウム塩の添
加量は、Feに対しMg換算で0.5〜20.0原子%であ
る。 水可溶性マグネシウム塩の添加量がFeに対し
Mg換算で0.5原子%以下である場合には針状晶α
−FeOOH粒子粉末の針状晶を向上させる効果が
十分ではない。 20.0原子%以上である場合も、優れた針状晶を
有するマグネシウムを含有する針状晶α−
FeOOH粒子粉末を得ることができるが、得られ
るP化合物とSi化合物とNi及び/又はAl化合物
で被覆された針状晶Fe−Mg合金磁性粒子粉末は
純度の低下により、飽和磁化が大巾に減少し好ま
しくはない。 得られるP化合物とSi化合物とNi及び/又は
Al化合物で被覆された針状晶Fe−Mg合金磁性粒
子粉末の飽和磁化を考慮した場合、0.5〜15.0原
子%が好ましい。 得られるマグネシウムを含有する針状晶α−
FeOOH粒子粉末は、平均値で長軸0.3〜2.0μm、
軸比(長軸:短軸)20:1以上である。 長軸が平均値で0.3μm以下、2.0μm以上である
場合は磁気記録用出発原料として好ましくない。 マグネシウムを含有する針状晶α−FeOOH粒
子粉末の軸比(長軸:短軸)が20:1以下である
場合には、得られるP化合物とSi化合物とNi及
び/又はAl化合物で被覆された針状晶Fe−Mg合
金磁性粒子粉末は、加熱還元工程に於いて粒子が
収縮するので軸比が優れたものとは言い難く、従
つて、磁気記録用出発原料としてのマグネシウム
を含有する針状晶α−FeOOH粒子粉末の軸比は
20:1以上であることが好ましい。 本発明において使用されるニツケル化合物とし
ては硫酸ニツケル、塩化ニツケル、硝酸ニツケル
等を、アルミニウム化合物としては硫酸アルミニ
ウム、塩化アルミニウム、アルミン酸ナトリウム
等を使用することができる。 Ni及び/又はAl化合物による被覆処理に際し
て用いられる被処理粒子としては、反応母液中に
生成しているマグネシウム含有針状晶α−
FeOOH粒子、反応母液から別、水洗した後の
マグネシウム含有針状晶α−FeOOH粒子、反応
母液から別、水洗、乾燥した後のマグネシウム
含有針状晶α−FeOOH粒子及びマグネシウム含
有針状晶α−FeOOH粒子を高温加熱処理するこ
とにより得られた高密度化された針状晶α−
Fe2O3粒子のいずれをも使用することができ、い
ずれの場合も同様の効果を得ることができる。 Ni及び/又はAl化合物は、粒子表面に均一に
被覆されることが必要であり、Ni及び/又はAl
化合物をアルカリを用いてNi及び/又はAlの水
酸化物として沈着させることが好ましい。 アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム等を使用することができる。 Ni及び/又はAl化合物とアルカリの添加順序
は、いずれが先でもよく、また同時に添加しても
よい。Ni及び/又はAl化合物の添加量は、Feに
対しNi及び/又はAl換算で0.5〜10.0原子%であ
る。0.5原子%以下である場合には、本発明の目
的を十分達成することができない。 10原子%以上である場合には、得られたP化合
物とSi化合物とNi及び/又はAl化合物で被覆さ
れた針状晶Fe−Mg合金磁性粒子粉末は純度の低
下により、飽和磁化が大巾に減少し好ましくな
い。 以上の通りの構成の本発明は、次の通りの効果
を奏するものである。 即ち、本発明によれば、比表面積が大きく、且
つ、大きな飽和磁化σsと高い保磁力Hcを有する
針状晶の優れたP化合物とSi化合物とNi及び/
又はAl化合物で被覆された針状晶Fe−Mg合金磁
性粒子粉末を得ることができるので、現在最も要
求されている高出力、高感度、高記録密度用磁性
粒子粉末として使用することができる。 更に、磁性塗料の製造に際して、上記のP化合
物とSi化合物とNi及び/又はAl化合物で被覆さ
れた針状晶Fe−Mg合金磁性粒子粉末を用いた場
合には、ノイズレベルが低く、且つ、ビークル中
での分散性、塗膜中での配向性及び充填性が極め
て優れ、好ましい磁気記録媒体を得ることができ
る。 次に、実施例並びに比較例により本発明を説明
する。 尚、前出の実験例及び以下の実施例及び比較例
における粒子の比表面積はBET法により示した
ものであり、粒子の軸比(長軸:短軸)、長軸は、
いずれも電子顕微鏡写真から測定した数値の平均
値で示した。 また、粒子中のMg量、Ni量及びAl量は螢光X
線分析により測定した。磁気テープの諸特性は外
部磁場10KOeの下で測定した結果である。 <針状晶α−FeOOH粒子粉末の製造> 実施例1〜9比較例1〜3; 実施例 1 Feに対しMg換算で1.0原子%を含むように硫酸
マグネシウム(MgSO4・7H2O)895gを添加させ
て得られた硫酸第一鉄0.80mol/水溶液450
を、あらかじめ反応器中に準備された5.62−Nの
NaOH水溶液450に加え、PH13.5、温度45℃に
おいてマグネシウムを含むFe(OH)2懸濁液の生
成反応を行つた。 上記マグネシウムを含むFe(OH)2懸濁液に温
度45℃において、毎分1000の空気を14.8時間通
気してマグネシウムを含有する針状晶α−
FeOOH粒子を生成した。 酸化反応終点は、反応液の一部を抜き取り塩酸
酸性に調整した後、赤血塩溶液を用いてFe2+の
青色呈色反応の有無で判定した。 生成粒子は、常法により、別水洗した後、一
部を乾燥、粉砕して分析及び電子顕微鏡観察に用
いるサンプルとした。 得られたマグネシウムを含有する針状晶α−
FeOOH粒子は、X線回折の結果、α−FeOOH
粒子の結晶構造と同じ回折図形が得られた。また
螢光X線分析の結果、Mgが検出された。 従つて、マグネシウムが針状晶α−FeOOH粒
子中に固溶していると考えられる。 このマグネシウムを含有する針状晶α−
FeOOH粒子は、電子顕微鏡観察の結果、平均値
で長軸0.68μm、軸比(長軸:短軸)32:1であ
り、針状晶が優れたものであつた。 実施例 2〜9 第一鉄塩水溶液の種類、NaOH水溶液の濃度、
及び水可溶性マグネシウム塩の種類、添加量、添
加時期を種々変化させた以外は実施例1と同様に
してマグネシウムを含有する針状晶α−FeOOH
粒子粉末を得た。 この時の主要製造条件及び特性を表1に示す。 比較例 1 硫酸マグネシウムを添加しない以外は実施例1
と同様にして針状晶α−FeOOH粒子粉末を生成
した。 この時の主要製造条件及び特性を表1に示す。 比較例 2 Feに対しMg換算で1.0原子%を含むように硫酸
マグネシウム(MgSO4・7H2O)895g及びFeに
対しNi換算で2.0原子%を含むように硫酸ニツケ
ル(NiSO4・6H2O)を1922gを添加させて得ら
れた硫酸第一鉄0.80mo/水溶液450を、あ
らかじめ反応器中に準備された4.05−NのNaOH
水溶液450に加え、PH13.0、温度45℃において
マグネシウム及びニツケルを含むFe(OH)2懸濁
液の生成反応を行つた。 上記マグネシウム及びニツケルを含むFe
(OH)2懸濁液に温度45℃において、毎分1000
の空気を9.8時間通気してマグネシウム及びニツ
ケルを含有する針状晶α−FeOOH粒子を生成し
た。 酸化反応終点は、反応液の一部を抜き取り塩酸
酸性に調整した後、赤血塩溶液を用いてFe2+の
青色呈色反応の有無を判定した。 生成粒子は、常法により、別、水洗、乾燥、
粉砕した。 得られたマグネシウム及びニツケルを含有する
針状晶α−FeOOH粒子粉末は、平均値で長軸
0.62μm軸比(長軸:短軸)24:1であつた。 比較例 3 Feに対しMg換算で1.0原子%を含むように硫酸
マグネシウム(MgSO4・7H2O)895g及びFeに
対しAl換算で1.5原子%を含むように硫酸アルミ
ニウム(Al2(SO4)3・18H2O)を3599gを添加さ
せて得られた硫酸第一鉄0.80mo/水溶液450
を、あらかじめ反応器中に準備された5.64−N
のNaOH水溶液450に加え、PH13.4、温度45℃
においてマグネシウム及びアルミニウムを含む
Fe(OH)2懸濁液に温度45℃において、毎分1000
の空気を14.5時間通気してマグネシウム及びア
ルミニウムを含有する針状晶α−FeOOH粒子を
生成した。 酸化反応終点は、反応液の一部を抜き取り塩酸
酸性に調整した後、赤血塩溶液を用いて、Fe2+
の青色呈色反応の有無を判定した。 生成粒子は、常法により、別、水洗、乾燥、
粉砕した。 得られたマグネシウム及びアルミニウムを含有
する針状晶α−FeOOH粒子粉末は平均値で長軸
0.66μm、軸比(長軸:短軸)28:1であつた。 <P化合物とSi化合物とNi及び/又はAl化合物
とによる被覆処理> 実施例10〜31比較例4〜9; 実施例 10 実施例1で得られた別、水洗したマグネシウ
ムを含有する針状晶α−FeOOH粒子のペースト
12.5Kg(マグネシウムを含有する針状晶α−
FeOOH粒子約3000gに相当する。)を100の水
中に懸濁させた。 この時の懸濁液のPH値は10.0であつた。 次いで、上記懸濁液にヘキサメタリン酸ナトリ
ウム18gを含む水溶液500ml(マグネシウムを含
有する針状晶α−FeOOH粒子に対しPO3として
0.42wt%に相当する。)を添加して30分撹拌した。 次いで、上記懸濁液に硫酸ニツケル(NiSO4・
6H2O)355gを添加し、撹拌しながら2−Nの
NaOH水溶液1.4を添加した。 引き続き、上記懸濁液にケイ酸ナトリウム(3
号水ガラス)300g(マグネシウムを含有する針状
晶α−FeOOH粒子に対しSiO2として2.8wt%に
相当する。)を添加し30分間撹拌した後、懸濁液
のPH値が6.0となるように10%の酢酸を添加した
後、プレスフイルターによりマグネシウムを含有
する針状晶α−FeOOH粒子を別、乾燥してP
化合物とNi化合物とSi化合物とで被覆されたマ
グネシウムを含有する針状晶α−FeOOH粒子粉
末を得た。 実施例11〜31、比較例8,9 被処理粒子の種類、リン酸塩添加時の懸濁液の
PH、リン酸塩の添加量、Ni及び/又はAl化合物
による被覆処理時におけるNi及び/又はAl化合
物の種類、添加量、水可溶性ケイ酸塩の添加量及
び調整後のPHを種々変化させた以外は実施例10と
同様にしてP化合物とNi及び/又はAl化合物と
Si化合物で被覆されたマグネシウムを含有する針
状晶α−FeOOH粒子粉末及び針状晶α−
FeOOH粒子粉末を得た。 この時の主要製造条件を表2に示す。 尚、実施例19及び実施例30は、Si化合物による
被覆処理を施した後、それぞれNi化合物及びAl
化合物による被覆処理を施した。 比較例 4〜7 被処理粒子の種類、リン酸塩添加時の懸濁液の
PH、リン酸塩の添加量、水可溶性ケイ酸塩の添加
量及び調整後のPHを種々変化させ、且つ、Ni及
び/又はAl化合物による被覆処理を施さない以
外は実施例10と同様にして、P化合物とSi化合物
で被覆された針状晶α−FeOOH粒子粉末、マグ
ネシウムを含有する針状晶α−FeOOH粒子粉
末、マグネシウムとニツケルを含有する針状晶α
−FeOOH粒子粉末及びマグネシウムとアルミニ
ウムを含有する針状晶α−FeOOH粒子粉末を得
た。 この時の主要製造条件を表2に示す。 <高密度化された針状晶α−Fe2O3粒子粉末の製
造> 実施例32〜54比較例10〜15; 実施例 32 実施例10で得られたP化合物とNi化合物とSi
化合物で被覆されたマグネシウムを含有する針状
晶α−FeOOH粒子粉末1000gを空気中750℃で加
熱処理して、P化合物とNi化合物とSi化合物で
被覆されたマグネシウムを含有する針状晶α−
Fe2O3粒子粉末を得た。 この粒子は、電子顕微鏡観察の結果、平均値で
長軸0.66μm、軸比(長軸:短軸)32:1であつ
た。 実施例33〜53、比較例10〜15 針状晶α−FeOOH粒子粉末の種類、加熱処理
温度及び非還元性雰囲気を種々変化させた以外
は、実施例32と同様にして針状晶α−Fe2O3粒子
粉末を得た。 この時の主要製造条件及び特性を表3に示す。 実施例 54 実施例3のマグネシウムを含有する針状晶α−
FeOOH粒子粉末のペースト12.5Kg(マグネシウ
ムを含有する針状晶α−FeOOH粒子約3000gに
相当する。)を100の水中に懸濁させた。 この時の懸濁液のPH値は9.9であつた。 次いで、上記懸濁液にヘキサメタリン酸ナトリ
ウム18gを含む水溶液500ml(マグネシウムを含
有する針状晶α−FeOOH粒子に対しPO3として
0.42wt%に相当する。)を添加して30分間撹拌し
た。 次いで、上記懸濁液にケイ酸塩ナトリウム(3
号水ガラス)390g(マグネシウムを含有する針状
晶α−FeOOH粒子に対しSiO2として3.6wt%に
相当する。)を添加し30分間撹拌した後、懸濁液
のPH値が6.0となるように10%の酢酸を添加した
後、プレスフイルターによりマグネシウムを含有
する針状晶α−FeOOH粒子を別、乾燥してP
化合物とSi化合物で被覆されたマグネシウムを含
有する針状晶α−FeOOH粒子粉末を得た。 得られたP化合物とSi化合物で被覆されたマグ
ネシウムを含有する針状晶α−FeOOH粒子粉末
2000gを空気中700℃で加熱処理して高密度化さ
れたP化合物とSi化合物で被覆されたマグネシウ
ムを含有する針状晶α−Fe2O3粒子粉末を得た。 この粒子は、電子顕微鏡観察の結果、平均値で
長軸0.78μm、軸比(長軸:短軸)58:1であつ
た。 上記の高密度化されたP化合物とSi化合物で被
覆されたマグネシウムを含有する針状晶α−
Fe2O3粒子粉末1000gを30の水中に懸濁させ、
硫酸ニツケル(NiSO4・6H2O)82gを添加し、
撹拌しながら2−NのNaOH水溶液0.6を添加
した。この懸濁液を30分間撹拌した後、プレスフ
イルターによりP化合物とSi化合物で被覆された
マグネシウムを含有する針状晶α−Fe2O3粒子を
別、乾燥してP化合物とSi化合物とNi化合物
で被覆された高密度化されたマグネシウムを含有
する針状晶α−Fe2O3粒子粉末を得た。 <針状晶鉄又は合金磁性粒子粉末の製造> 実施例55〜77、比較例16〜21; 実施例 55 実施例32で得られたP化合物とNi化合物とSi
化合物で被覆されたマグネシウムを含有する針状
晶α−Fe2O3粒子粉末120gを3の一端開放型レ
トルト容器中に投入し、駆動回転させながらH2
ガスを毎分50の割合で通気し、還元温度490℃
で還元した。 還元して得られたP化合物とNi化合物とSi化
合物で被覆された針状晶Fe−Mg合金磁性粒子粉
末は、空気中に取り出したとき急激な酸化を起さ
ないように、一旦、トルエン液中に浸漬して、こ
れを蒸発させることにより、粒子表面に安定な酸
化皮膜を施した。 このP化合物とNi化合物とSi化合物とで被覆
された針状晶Fe−Mg合金磁性粒子粉末の諸特性
を表4に示す。 実施例56〜77、比較例16〜21 出発原料の種類、還元温度を種々変化させた以
外は、実施例55と同様にして針状晶合金磁性粒子
粉末を得た。 得られた粒子粉末の諸特性を表4に示す。
【表】
【表】
【表】
【表】
【表】
図1は、水可溶性マグネシウム塩の添加量とマ
グネシウムを含有する針状晶α−FeOOH粒子の
軸比の関係図である。図2は、水可溶性マグネシ
ウム塩の添加量と図1の場合と同一の反応条件の
もとで生成されたマグネシウムを含有する針状晶
α−FeOOH粒子の長軸との関係を示したもので
ある。図3は、マグネシウムを含有する針状晶α
−FeOOH粒子粉末(Feに対しMg換算で2.0原子
%を含有)の電子顕微鏡写真(×20000)である。
グネシウムを含有する針状晶α−FeOOH粒子の
軸比の関係図である。図2は、水可溶性マグネシ
ウム塩の添加量と図1の場合と同一の反応条件の
もとで生成されたマグネシウムを含有する針状晶
α−FeOOH粒子の長軸との関係を示したもので
ある。図3は、マグネシウムを含有する針状晶α
−FeOOH粒子粉末(Feに対しMg換算で2.0原子
%を含有)の電子顕微鏡写真(×20000)である。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 第一鉄塩水溶液とアルカリ水溶液とを反応さ
せて得られたFe(OH)2を含むPH11以上の懸濁液
に酸素含有ガスを通気して酸化反応を行わせるこ
とにより該反応溶液中に針状晶α−FeOOH粒子
を生成させるにあたり、前記第一鉄塩水溶液、前
記アルカリ水溶液及び酸素含有ガスを通気して酸
化反応を行わせる前の前記懸濁液のいずれかの液
中に水可溶性マグネシウム塩をFeに対しMg換算
で0.5〜20.0原子%添加しておくことにより、平
均値で長軸0.3〜2.0μm、軸比(長軸:短軸)20:
1以上であるマグネシウムを含有する針状晶α−
FeOOH粒子を生成させ、次いで、該マグネシウ
ムを含有する針状晶α−FeOOH粒子を水中に懸
濁させ、該懸濁液のPH値8以上の状態でマグネシ
ウムを含有する針状晶α−FeOOH粒子に対し0.1
〜2wt%(PO3に換算)のリン酸塩を添加し、且
つ、マグネシウムを含有する針状晶α−FeOOH
粒子に対し0.1〜7.0wt%(SiO2に換算)の水可溶
性ケイ酸塩を添加することにより、P化合物とSi
化合物で被覆されたマグネシウムを含有する針状
晶α−FeOOH粒子を得、該粒子を非還元性雰囲
気中500〜900℃の温度範囲で加熱処理することに
より高密度化されたP化合物とSi化合物で被覆さ
れた針状晶α−Fe2O3粒子とした後、還元性ガス
中で加熱還元してP化合物とSi化合物とNi及
び/又はAl化合物で被覆された針状晶Fe−Mg合
金磁性粒子とするに当り、上記加熱処理前のP化
合物とSi化合物で被覆されたマグネシウムを含有
する針状晶α−FeOOH粒子又は上記加熱処理後
の高密度化されたP化合物とSi化合物で被覆され
た針状晶α−Fe2O3粒子のいずれかを水中に懸濁
させ、該懸濁液中にFeに対しNi及び/又はAl換
算で0.5〜10.0原子%のNi及び/又はAl化合物を
添加、混合することにより、Ni及び/又はAl化
合物で表面を被覆して置くことを特徴とする針状
晶合金磁性粒子粉末の製造法。 2 Fe(OH)2を含む懸濁液中に添加しておく水
可溶性マグネシウム塩が、Feに対しMg換算で0.5
〜15.0原子%である特許請求の範囲第1項記載の
針状晶合金磁性粒子粉末の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP56191573A JPS5893806A (ja) | 1981-11-28 | 1981-11-28 | 針状晶合金磁性粒子粉末の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP56191573A JPS5893806A (ja) | 1981-11-28 | 1981-11-28 | 針状晶合金磁性粒子粉末の製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS5893806A JPS5893806A (ja) | 1983-06-03 |
JPS649372B2 true JPS649372B2 (ja) | 1989-02-17 |
Family
ID=16276908
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP56191573A Granted JPS5893806A (ja) | 1981-11-28 | 1981-11-28 | 針状晶合金磁性粒子粉末の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS5893806A (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0615231B1 (en) * | 1993-03-08 | 1997-10-15 | Ishihara Sangyo Kaisha, Ltd. | Process for producing magnetic metal particles |
-
1981
- 1981-11-28 JP JP56191573A patent/JPS5893806A/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS5893806A (ja) | 1983-06-03 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JPS6113362B2 (ja) | ||
JPS5853688B2 (ja) | Fe−Mgを主成分とする針状晶合金磁性粒子粉末の製造法 | |
JP3427871B2 (ja) | コバルト被着型針状磁性酸化鉄粒子粉末 | |
JPS649372B2 (ja) | ||
JPH0130884B2 (ja) | ||
JPH026805B2 (ja) | ||
JPS6239203B2 (ja) | ||
JPS6361362B2 (ja) | ||
JPH0647681B2 (ja) | 紡錘形状を呈した鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末及びその製造法 | |
JPS649371B2 (ja) | ||
JP3171223B2 (ja) | 針状磁性粒子粉末の製造法 | |
JPS6149252B2 (ja) | ||
JP3166809B2 (ja) | 針状磁性酸化鉄粒子粉末の製造法 | |
JP3253768B2 (ja) | ヘミモルファイト被膜を有するコバルト含有磁性酸化鉄の製造方法 | |
JPS5921364B2 (ja) | 針状晶Fe−Zn合金磁性粒子粉末の製造法 | |
JP2883962B2 (ja) | 針状ゲータイト粒子粉末の製造法 | |
JP3055308B2 (ja) | 針状磁性酸化鉄粒子粉末の製造法 | |
JPS6314484B2 (ja) | ||
JPS63140005A (ja) | 強磁性金属微粒子粉末の製造法 | |
JP2970699B2 (ja) | 針状磁性酸化鉄粒子粉末の製造法 | |
JPS648042B2 (ja) | ||
JPS58151333A (ja) | 針状晶酸化鉄粒子粉末の製造法 | |
JPH0651574B2 (ja) | 紡錘型を呈した磁性酸化鉄粒子粉末の製造法 | |
JPH0261124B2 (ja) | ||
JPS5950607B2 (ja) | 針状晶磁性酸化鉄粒子粉末の製造法 |