JPS621407Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、エンジンの燃料蒸発ガス吸着装置
の改良に関するものである。

従来、エンジンの燃料蒸発ガス吸着装置として
は、実開昭53−165116号に開示されている第１図
の装置の如く、エンジン停止時に燃料タンクのガ
ソリン蒸気をガス通路１から吸着剤（活性炭）２
を収容する室３に導入して一時吸着させると共
に、エンジン運転時に大気導入口４から新気を導
入して吸着剤２からガソリンを遊離させ、エンジ
ンの吸着通路５に吸入させるようにしたものが提
案されている。

ところで、このような装置においては大気導入
口４と吸着剤２との間にフイルター６を設け、大
気中のダストの侵入を防止しているが、長期の使
用においてフイルタ６が目詰まりを起こす問題が
ある。特に大径のフイルタ６の中央部分に小径の
大気導入口４を対向させる構成の場合は新気がフ
イルタ６の中央部分に集中して目詰まりが生じや
すいので吸入抵抗が増加しエンジンの始動性を悪
化させるという問題があつた。

さらに図示のようにガス通路１に連通する捕集
管７は通常は吸着剤２の周辺部分に臨ませている
ので当該周辺部分のガソリン吸着量が多いにもか
かわらず新気はフイルタ６の中央部分に集中し、
吸着ガソリンを吸気に導入する効果が充分得られ
ないという問題もあつた。

この考案は、上記従来の問題点に鑑みてなされ
たもので、容器内を、吸着剤収容の中央室とエン
ジン吸気系連通の第１室と大気導入口を有する第
２室とに仕切り、中央室に燃料蒸発ガス通路を連
通させる一方、中央室と第２室との間に配置され
たフイルタ部材と大気導入口との間で大気導入口
に対向するバツフルプレートを設けると共に、第
２室の胴部内周面及びバツフルプレートの大気導
入口の対向する面のうち少なくとも一方にダスト
捕獲部材を設けて、新気をフイルタ部材の周囲に
均一に拡散させると同時に比重が大きなダストを
ダスト捕獲部材で予め分離して、空燃比の変動を
抑制すると共に局部的な目詰まりを防止して吸入
抵抗の減少を図りエンジンの始動性を向上させる
ようにしたものである。

以下、この考案の実施例を添付図面について詳
細に説明する。

第２図に示すように、エンジンの燃料蒸発ガス
吸着装置は、有底筒状の胴部１０の上部を天板１
１で閉塞した容器１２を備え、該容器１２内は、
上下のメツシユプレート１３，１４で上下方向に
３室に仕切り、中央室１５には下部メツシユプレ
ート１４上にフイルタ１６を敷設して、該フイル
タ１６上に燃料蒸発ガスの吸着剤１７を収容す
る。

該中央室１５の周辺部分には捕集管１８を配置
し、該捕集管１８に、燃料タンク１９にチエツク
バルブ２０を介して連通する燃料蒸発ガス通路２
１を連結する。

上記容器１２内の上部メツシユプレート１３と
天板１１との間の第１室２２は、天板１１の混合
ガス導出口２２ａをエンジン２３のエアクリーナ
２４に連結する。

上記容器１２内の下部メツシユプレート１４と
底板２５との間の第２室２６は、底板２５の中央
部に大気導入口２７を設けて大気に連通する。

上記第２室２６内には、フイルタ１６を敷設し
た下部メツシユプレート１４と大気導入口２７を
有する底板２５との上下方向の中間で、大気導入
口２７に対向して該導入口２７よりやや大径の円
弧状のバツフルプレート２８を配置する。該バツ
フルプレート２８の下面には上記フイルタ１６と
同素材のフイルタ片（ダスト捕獲部材）２９貼付
ける。

上記のように燃料蒸発ガス吸着装置を構成すれ
ば、エンジン２３の停止時には、燃料タンク１９
のガソリン蒸気は、チエツクバルブ２０を介して
ガス通路２１から捕集管１８をへて中央室１５内
に導入され、主として周辺部分の吸着剤１７に一
時吸着される。

ついで、エンジン２３の運転時には、エンジン
２３の吸気負圧で大気導入口２７から第２室２６
内に新気が導入され、導入された新気はバツフル
プレート２８に突き当つてフイルタ片２９により
バツフルプレート２８で減勢された大きなダスト
が回収される。これにより、フイルター１６の目
詰まりが防止される。このダストは、車体振動等
で大気導入口２７から自然に外部へ落下排出され
る。

バツフルプレート２８に突き当つた新気は、下
部メツシユプレート１４の周辺部分に均一に拡散
されるようになり、フイルタ１６を介してガソリ
ン吸着量の多い吸着剤１７の周辺部分を通過して
ガソリンを遊離させ、空燃比が安定な混合ガスと
して第１室２２に入り、ガス導出口２２ａからエ
アクリーナ２４を介してエンジン２３の吸気通路
３０に吸入されるようになる。

バツフルプレート２８により新気が周辺部分に
拡散されるので、フイルタ１６の目詰まりが局部
的に集中することがなく、フイルタ片２９による
大きなダストの未然回収と相まつて長期間にわた
つて吸入抵抗の減少が図られる。

上記実施例は、バツフルプレート２８の下面に
フイルタ片２９を貼付けたものであつたが、第３
図に示すように、第２室２６の胴部１０の内周面
にフイルタ片（ダスト捕獲部材）３１を貼付ける
構成としてもよい。

以上のように、この考案は、中央室のフイルタ
部材と、第２室の大気導入口との間に、バツフル
プレートを設け、該バツフルプレートの大気導入
口と対向する面及び第２室の胴部内周面のうち少
なくとも一方にダスト捕獲部材を設けたものであ
るから、大気導入口からの新気中の大きなダスト
はバツフルプレートで減勢されてダスト捕獲部材
で予め分離されるので、フイルタ部材の目詰まり
が防止される一方、バツフルプレートで新気が周
辺部分に均一に拡散されるので、空燃比が安定
し、さらにフイルタ部材の局部的な目詰まりが防
止されるので吸入抵抗の増加が抑制されてエンジ
ンの始動性が向上するようになる。

また、大気導入口からフイルター部材に吸気が
到達するまでの内周壁あるいはバツフルプレート
にダスト捕獲部材が設けられているから、導入さ
れた新気の流れが変更される部位の表面でダスト
を捕獲でき、しかも新気はダスト捕獲部材の厚さ
方向には流れずダスト捕獲部材自体が目詰まりを
生ずることがなく、実質的な通路が閉塞されるこ
とがない。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の燃料蒸発ガス吸着装置の断面
図、第２図はこの考案に係る燃料蒸発ガス吸着装
置の断面図、第３図は第２図の変形例の断面図で
ある。 １２……容器、１５……中央室、１６……フイ
ルタ、１７……吸着剤、１９……燃料タンク、２
１……燃料蒸発ガス通路、２２……第１室、２３
……エンジン、２４……エアクリーナ、２６……
第２室、２７……大気導入口、２８……バツフル
プレート、２９，３１……フイルター片（ダスト
捕獲部材）、３０……吸気通路。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 燃料蒸発ガスの吸着剤を収容する中央室と、該
   中央室の一側に位置してエンジンの吸気系と連通
   する第１室と、該中央室の他側に位置して大気側
   に連通する大気導入口を有する第２室とに仕切ら
   れた容器と、 燃料タンクと上記中央室とを連通する燃料蒸発
   ガス通路と、 上記中央室と第２室との間に配設されたフイル
   ター部材と、 上記第２室内においてフイルター部材と大気導
   入口との間で大気導入口に対向して設けられたバ
   ツフルプレートと、 第２室の胴部内周面及びバツフルプレートの大
   気導入口と対向する面のうち少なくとも一方に設
   けられたダスト捕獲部材とを備えたことを特徴と
   するエンジンの燃料蒸発ガス吸着装置。