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JPH1171648A - 軟磁性金属ガラス合金焼結体及びその製造方法 - Google Patents

軟磁性金属ガラス合金焼結体及びその製造方法

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Publication number
JPH1171648A
JPH1171648A JP23528897A JP23528897A JPH1171648A JP H1171648 A JPH1171648 A JP H1171648A JP 23528897 A JP23528897 A JP 23528897A JP 23528897 A JP23528897 A JP 23528897A JP H1171648 A JPH1171648 A JP H1171648A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
soft magnetic
metallic glass
sintered body
glass alloy
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP23528897A
Other languages
English (en)
Inventor
Takao Mizushima
隆夫 水嶋
Hisato Koshiba
寿人 小柴
Teruhiro Makino
彰宏 牧野
Akihisa Inoue
明久 井上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Alps Alpine Co Ltd
Original Assignee
Alps Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Alps Electric Co Ltd filed Critical Alps Electric Co Ltd
Priority to JP23528897A priority Critical patent/JPH1171648A/ja
Publication of JPH1171648A publication Critical patent/JPH1171648A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気ヘッドやトランスまたはモータのコアな
どに適用できるバルク状で磁気特性に優れた軟磁性金属
ガラス合金焼結体及びその製造方法を得る。 【解決手段】 Fe、Co、Niのうちの1種又は2種
以上からなる基金属と、Zr、Nb、Ta、Hf、M
o、Ti、Vのうちの1種又は2種以上からなる付加金
属と、Bとを含み、ΔTx=Tx−Tg(Txは結晶化
開始温度、Tgはガラス遷移温度)の式で表される過冷
却液体領域の温度間隔ΔTxが20K以上である軟磁性
金属ガラス合金の粉末を、前記の結晶化開始温度Tx以
下の温度に加熱して焼結する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁気ヘッドやトラン
スまたはモータのコアなどに適用できるバルク状で磁気
特性に優れた軟磁性金属ガラス合金焼結体及びその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】軟磁性合金材料で従来この種の用途に使
用されているものとして、例えばFe-Si、Fe-Si
-Al合金(センダスト)、Ni-Fe合金(パーマロ
イ)、Fe基及びCo基の非晶質材料等が挙げられる。
ところで、DCモータのコアなどに軟磁性合金材料を適
用する際には、高密度のバルク形状とすることが有利で
あるが、従来、上記の非晶質合金材料は、溶融金属を急
冷することによって作製されており、得られる形状は、
薄帯、線材、粉末、薄膜に限定されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで、急冷薄帯を粉
砕して得られた原料粉末を焼結してバルク状に固化成形
する方法が開発されているが、従来の非晶質合金材料で
は、焼結の際に原料粉末が結晶化しないように比較的低
温で焼結しなければならないため、高密度・高強度の焼
結体が得られないという問題があった。本発明は前記の
背景に鑑み、室温で良好な軟磁気特性を有し、高い成形
密度を有する軟磁性金属ガラス合金焼結体を提供するこ
とを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に本発明は、Fe、Co、Niのうちの1種又は2種以
上からなる基金属と、Zr、Nb、Ta、Hf、Mo、
Ti、Vのうちの1種又は2種以上からなる付加金属
と、Bとを含み、ΔTx=Tx−Tg(ただしTxは結
晶化開始温度、Tgはガラス遷移温度を示す)の式で表
される過冷却液体領域の温度間隔ΔTxが20K以上で
ある軟磁性金属ガラス合金の粉末が焼結されてなる軟磁
性金属ガラス合金焼結体を提供する。前記において、過
冷却液体領域の温度間隔ΔTxは、40K以上であるこ
とが好ましく、60K以上であると更に好ましい。特
に、前記の軟磁性金属ガラス合金は、下記の組成式で表
され、かつΔTxが60K以上のものであることが好ま
しい。 (Fe1-a-bCoaNib100-x-y-zxyz 但し、Mは、Zr、Nb、Ta、Hf、Mo、Ti、V
のうちの1種又は2種以上からなる付加金属、TはC
r、W、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Al、
Si、Ge、C、Pのうちの1種又は2種以上からなる
付加元素であり、かつ0≦a≦0.29、0≦b≦0.4
3、5原子%≦x≦20原子%、10 原子%≦y≦2
2原子%、0原子%≦z≦5原子%である。本発明はま
た、前記の軟磁性金属ガラス合金の粉末を、放電プラズ
マ焼結法により、前記の結晶化開始温度Tx以下の温度
に加熱して焼結する軟磁性金属ガラス合金焼結体の製造
方法を提供する。加熱に際しての昇温速度は40℃/分
以上とすることが好ましい。ここに得られた軟磁性金属
ガラス合金焼結体は、更に温度427℃〜627℃の範
囲内に加熱し、次いで冷却する熱処理を施すことが好ま
しい。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施例について説明する。図1は本発明に係る軟磁性金属
ガラス焼結体(以下「本焼結体」と記す)を製造するに
好適な放電プラズマ焼結装置の一例の要部を示すもの
で、この例の放電プラズマ焼結装置は、筒型のダイ1
と、このダイ1の内部に挿入される上パンチ2および下
パンチ3と、下パンチ3を支え、後述するパルス電流を
流す際の一方の電極ともなるパンチ電極4と、上パンチ
2を下側に押圧し、パルス電流を流す他方の電極となる
パンチ電極5と、上下のパンチ2、3に挟まれた原料粉
末6の温度を測定する熱電対7を主体として構成されて
いる。
【0006】図3に、前記放電プラズマ焼結装置の全体
構造を示す。図3に示す放電プラズマ焼結装置Aは、住
友石炭鉱業株式会社製のモデルSPS−2050と称さ
れる放電プラズマ焼結機の一種であり、図1に示す構造
を要部とするものである。図3に示す装置においては、
上部基盤11と下部基盤12を有し、上部の基盤11に
接してチャンバ13が設けられ、このチャンバ13の内
部に図1に示す構造の大部分が収納されて構成され、こ
のチャンバ13は図示略の真空排気装置および雰囲気ガ
スの供給装置に接続されていて、上下のパンチ2、3の
間に充填される原料粉末6を不活性ガス雰囲気などの所
望の雰囲気下に保持できるように構成されている。な
お、図1と図3では通電装置が省略されているが、上下
のパンチ2、3およびパンチ電極4、5には別途設けた
通電装置が接続されていてこの通電装置から図2に示す
ようなパルス電流をパンチ2、3およびパンチ電極4、
5を介して通電できるように構成されている。
【0007】前記構成の放電プラズマ焼結装置を用いて
本焼結体を製造するには、先ず成型用の原料粉末を調製
する。この原料粉末は、後述する所定組成の金属ガラス
合金組成物を溶融し、次いで鋳造法、単ロールもしくは
双ロールによる急冷法、液中紡糸法、溶液抽出法、又は
高圧ガス噴霧法等によって、バルク状、リボン状、線状
体、粉末等の種々の形状の金属ガラス合金を製造し、粉
末状以外のものは粉砕して粉末化することにより得られ
る。得られた粉末体を、例えば前記図1の原料粉末6と
してダイ1の上パンチ2と下パンチ3の間に挿填し、加
圧下にパルス電流を印加し、好ましくは40℃/分以上
の昇温速度で、この金属ガラス合金の結晶化開始温度T
x以下の温度まで加熱して焼結することによって本焼結
体を製造することができる。
【0008】本発明において用いる軟磁性金属ガラス合
金は、ガラス遷移温度Tgと結晶化開始温度Txとの間
の温度間隔ΔTxが20K以上、組成によっては40K
以上、更には60K以上と広いので、結晶化開始温度T
x以下の温度で焼結すれば結晶化することなく、非晶質
状態を保ちながら厚みのある均質なバルク状の焼結体を
得ることができる。
【0009】本発明で用いられる軟磁性金属ガラス合金
の組成は、基本的に下記3群の元素を必須成分として含
んでいる。 基金属…Fe、Co、Niのうちの1種又は2種以
上、 付加金属(M)…Zr、Nb、Ta、Hf、Mo、T
i、Vのうちの1種又は2種以上、及び ホウ素…B。 更に、任意的に下記群の元素を含むことができる。 付加元素(T)…Cr、W、Ru、Rh、Pd、O
s、Ir、Pt、Al、Si、Ge、C、Pのうちの1
種又は2種以上。
【0010】これらの元素の配合割合は、好ましくは、
下記の式1 (Fe1-a-bCoaNib100-x-y-zxyz …式1 (式中、Mは前記の付加金属、Tは前記の付加元素であ
る)において0≦a≦0.29、0≦b≦0.43、5原
子%≦x≦20原子%、10原子%≦y≦22原子%、
0原子%≦z≦5原子%とされる。
【0011】本焼結体として用いることができる好まし
い軟磁性金属ガラス合金組成物の具体例としては、例え
ば Fe60Co3Ni7Zr1020、 Fe56Co7Ni7Zr1020、 Fe49Co14Ni7Zr1020、 Fe46Co17Ni7Zr1020、 Fe64Co3Ni3Zr1020、 Fe56Co7Ni7Zr8Nb220 Fe56Co7Ni7Zr10-xNbx20(x=4,6,8,1
0原子%) 等を挙げることができる。
【0012】前記の金属ガラス合金組成物は、何れの組
成のものであっても、 ΔTx=Tx−Tg …式2 (ただしTxは結晶化開始温度、Tgはガラス遷移温度
を示す)で表される過冷却液体領域の温度間隔ΔTxが
20K以上であることが必要であり、好ましくは40K
以上、更に好ましくは60K以上である。
【0013】前記の金属ガラス合金組成物において、
の基金属であるFe、Co、Niは磁性を担う元素であ
り、高い飽和磁束密度と優れた軟磁気特性を得るために
重要である。具体的には、50K〜60KのΔTxを確
実に得るためには、Coの組成比を示すaの値を0≦a
≦0.29、Niの組成比を示すbの値を0≦b≦0.4
3の範囲、60K以上のΔTxを確実に得るためには、
Coの組成比を示すaの値を0.042≦a≦0.29、
Niの組成比を示すbの値を0.042≦b≦0.43の
範囲とすることが好ましい。
【0014】更に前記の範囲内において、良好な軟磁気
特性を得るためには、Coの組成比を示すaの値を0.
042≦a≦0.25の範囲とすることが好ましく、高
い飽和磁束密度を得るためには、Niの組成比を示すb
の値を0.042≦b≦0.1の範囲とすることがより好
ましい。
【0015】前記の付加金属Mは、Zr、Nb、T
a、Hf、Mo、Ti、Vのうちの1種又は2種以上か
らなる。これらは非晶質を生成させるために有効な元素
であり、5原子%〜20原子%の範囲内とすることが好
ましい。更に高い磁気特性を得るためには、より好まし
くは5原子%〜15原子%の範囲内にするとよい。これ
ら付加金属Mのうち、特にZrとHfが非晶質化にとっ
て有効である。
【0016】前記において、Zr又はHfはその一部を
Nbなど、Zr又はHf以外の付加金属(M’’)と置
換してもよい。置換する場合の組成比は、式1における
Mを式3 (M’1-cM’’c) …式3 (M’はZr及び/又はHf、M’’はNb、Ta、M
o、Ti、Vのうちの1種または2種以上からなる)に
代替するとき、0≦c≦0.6であることが広いΔTx
を得るために好ましく、0.2≦c≦0.4の範囲内であ
ると、ΔTxを80K以上とすることも可能となるので
更に好ましい。
【0017】Bは、高い非晶質形成能があり、本発明で
は10原子%〜22原子%の範囲内で添加する。この範
囲を外れると、Bが10原子%未満であると、ΔTxが
消滅するために好ましくなく、22原子%よりも大きく
なると非晶質が形成できなくなるために好ましくない。
より高い非晶質形成能と良好な磁気特性を得るために
は、Bは16原子%〜20原子%の範囲内とすることが
より好ましい。
【0018】前記の組成系に更に、の付加元素Tで示
されるCr、W、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、P
t、Al、Si、Ge、C、Pのうちの1種又は2種以
上の元素を添加することもできる。これらの元素は、5
原子%以下の範囲内で添加することができる。これらの
元素は主に耐食性を向上させる目的で添加するもので、
この範囲を越えると、軟磁気特性が低下すると共に非晶
質形成能が劣化するために好ましくない。
【0019】前記組成系の軟磁性金属ガラス合金材を製
造するには、例えば、各成分の元素単体粉末を用意し、
前記組成範囲になるようにこれらの元素単体粉末を混合
し、次いでこの混合粉末をArガス等の不活性ガス雰囲
気中、るつぼ等の溶解装置で溶解して合金溶湯を得、次
にこの合金溶湯を単ロール法等を用いて冷却・固化させ
る。単ロール法とは、回転している金属ロールに溶湯を
吹き付けて急冷し、薄帯状の金属ガラスを得る方法であ
る。この際の好適な冷却速度は、合金の組成、製造法、
製品のサイズ、形状等によって変化するが、通常は10
3〜106K/秒程度の範囲を目安とするとよい。実際に
は、ガラス相(glassy phase)中に結晶相が析出するか
どうかを確認して決定することが好ましい。
【0020】前記の組成の金属ガラス合金は、室温にお
いて軟磁性を示し、また熱処理により更に良好な磁性を
示すようになり、また1.5μΩm以上の高い比抵抗値
を有している。
【0021】次に、得られた原料粉末の焼結法について
詳しく説明する。図1あるいは図3に示す放電プラズマ
焼結装置の上下のパンチ2、3の間に原料粉末を挿填
し、チャンバ13の内部を真空引き又は不活性ガス置換
すると共に、パンチ2、3で上下から圧力を加え、例え
ば図2に示すようなパルス電流を原料粉末に印加して加
熱し成形する。
【0022】この放電プラズマ焼結処理によれば、原料
粉末の全ての部分を所定の速度で均一に昇温することが
でき、また、通電電流の値に応じて原料粉末の温度を厳
密に管理できるので、ヒータによる加熱などよりも遥か
に正確に温度管理ができ、外側と内部とで焼結の程度に
ムラがない、高密度の焼結体が得られる。
【0023】本発明において、焼結温度は、原料粉体を
固化成形するために300℃以上とすることが必要であ
るが、原料粉末として用いられる金属ガラス合金は、大
きな過冷却液体の温度間隔ΔTxを有しているので、こ
の温度領域で加圧焼結することによって、好適に高密度
・高強度の焼結体を得ることができる。ただし、焼結温
度が結晶化開始温度Txに近いと、結晶核の生成開始
(構造的短範囲秩序化)や結晶析出開始による磁気異方
性を生じるので軟磁気特性が劣化する惧れがある。ま
た、放電プラズマ焼結装置の機構上、モニターされる焼
結温度は金型に設置されている熱電対の温度であるた
め、粉末試料にかかる温度よりも若干低い温度である。
従って、本発明における焼結温度は、結晶化開始温度T
xを越えないように設定するべきである。
【0024】本発明において、焼結を行う際の昇温速度
は、緩慢な昇温速度では結晶相が生成する可能性がある
ため、40℃/分以上とすることが好ましい。また焼結
の際の圧力については、加圧力が低すぎると焼結体が形
成できないため、3t/cm 2以上とすることが好まし
い。
【0025】得られた焼結体は、再度熱処理を施した後
に冷却することにより透磁率を更に向上させることがで
きる。このときの熱処理温度はキュリー温度以上であ
り、かつ磁気特性を劣化させる結晶の析出温度以下とさ
れ、具体的には427℃(700K)〜627℃(90
0K)の範囲内が好ましく、より好ましくは477℃〜
527℃の範囲内である。加熱後の冷却に際しては、徐
冷すると結晶相が析出して非晶質が維持できなくなる可
能性があるので、熱処理後の冷却速度は、炉冷か水焼き
入れによりできるだけ速くすることが好ましい。
【0026】得られた本焼結体は、原料粉末として用い
られた前記金属ガラス合金と同じ組成を有するものであ
るから、室温で優れた軟磁気特性を有し、また再度の熱
処理により更に透磁率が向上する。このため、優れたSo
ft magnetic特性(軟磁気特性)を有する材料として、
こ の焼結体を磁気ヘッドのコア、あるいはトランスの
コア、更にはパルスモータの磁心等のような磁気部品等
に広く適用することができ、従来材に比べて優れた特性
の磁気部品を製造することができる。
【0027】なお上記説明では、本焼結体を放電プラズ
マ焼結法により成形する方法のみを示したが、焼結体の
成形方法はこれに限定されるものではなく、他の公知の
方法、例えば、押し出し加圧焼結法等も採用することが
できる。
【0028】
【実施例】
(軟磁性金属ガラス合金の製造)FeとCoとNiとZ
rの単体純金属と純ボロン結晶をArガス雰囲気中にお
いて混合しアーク溶解して母合金を製造した。次に、こ
の母合金をルツボで溶解し、アルゴンガス雰囲気中にお
いて40m/秒で回転している銅ロールにルツボ下端の
0.4mm径のノズルから射出圧力0.39×105Pa
で吹き出して急冷する単ロール法を実施することによ
り、幅0.4〜1mm、厚さ13〜22μmの金属ガラ
ス合金薄帯の試料を製造した。
【0029】(軟磁性金属ガラス合金の特性)得られた
試料について、示差走査熱量測定(DSC)により過冷
却液体領域の温度間隔ΔTxを求め、また磁気特性とし
て、単ロール法で急冷した状態における飽和磁束密度
(Bs)と保磁力(Hc)と1kHzの透磁率(μe)とを
測定した。
【0030】図4は、Fe60Co3Ni7Zr1020、F
56Co7Ni7Zr1020、Fe49Co14Ni7Zr10
20、Fe46Co17Ni7Zr1020の組成を有する金
属ガラス合金薄帯試料のDSC曲線を示す。いずれの試
料も、ガラス遷移温度Tgと結晶化開始温度Txとの間
に60Kを越える広い過冷却液体領域ΔTxが存在する
ことがわかる。
【0031】金属ガラス合金の組成と、それぞれの飽和
磁束密度(Bs)、保磁力(Hc)及び1kHzの透磁率
(μe)の測定結果を下に示す。この結果から、これら
の金属ガラス合金が優れた軟磁性特性を有していること
がわかる。 組成 Bs Hc μe Fe64Co3Ni3Zr1020 0.91 3.4 4666 Fe60Co3Ni7Zr1020 0.92 2.7 4173 Fe56Co7Ni7Zr1020 0.95 6.1 5100 Fe49Co14Ni7Zr1020 0.94 9.9 4000 Fe46Co17Ni7Zr1020 0.96 10.8 3800
【0032】(本焼結体の製造)前記金属ガラス合金薄
帯の試料を粉砕して得られた約2gの原料粉末をWC製
のダイスの内部にハンドプレスを用いて充填した後、図
1に示すダイ1の内部に挿填し、チャンバの内部を、3
×10-5torrの雰囲気中で上下のパンチ2、3で加圧す
るとともに、通電装置から原料粉末にパルス波を通電し
て加熱した。パルス波形は図2に示すように12パルス
流した後で2パルス休止するものとし、最高4700〜
4800Aの電流で原料粉末を加熱した。焼結は、試料
に6.5t/cm2の圧力をかけた状態で室温から焼結
温度まで試料を加熱し、約5分間保持して行った。昇温
速度は100℃/分とした。
【0033】図5は、組成Fe56Co7Ni7Zr8Nb2
20の原料粉末を焼結温度480℃、500℃、530
℃、560℃でそれぞれ放電プラズマ焼結したとき、及
び急冷薄帯のままの状態における試料のX線回折チャー
トを示す。チャートはいずれもハローなパターンを示し
ており、非晶質単相組織を形成していることがわかる。
【0034】図6は、組成Fe56Co7Ni7Zr8Nb2
20の原料粉末を放電プラズマ焼結法を用いて焼結した
際の焼結温度と、得られた焼結体の密度(●で示す)、
及び焼結後に523℃×3分の熱処理を施したバルク材
の密度(○で示す)、並びに熱処理を施したバルク材の
密度、透磁率(μe)、保磁力(Hc)、及び飽和磁束
密度(Bs)の関係を示している。この図に示されるよ
うに、焼結温度の上昇に伴って焼結体の密度は増大し、
500℃以上の焼結温度で焼結することによって、相対
密度90%以上の高密度の焼結体が得られている。な
お、焼結時の圧力を高くすれば、より低い温度でも高密
度の成形体を得ることが可能である。また磁気特性につ
いては、焼結温度530℃付近までは、保磁力(Hc)
はほぼ一定であり、透磁率(μe)および飽和磁束密度
(Bs)は焼結温度の上昇に伴って向上し、特に焼結温
度530℃で優れた軟磁気特性が得られている。ところ
が焼結温度が560℃になると、逆に飽和磁束密度の低
下、保磁力の増大、透磁率の低下が生じ、軟磁気特性が
大きく劣化した。
【0035】これらの結果より、本実施例では、焼結温
度を530℃以下の温度範囲、すなわち結晶化開始温度
Tx以下とすることによって、高密度であると共に非晶
質単相組織を有し、熱処理後において良好な軟磁気特性
を示す焼結体が得られたことがわかる。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように本発明の軟磁性金属
ガラス合金焼結体は、Fe、Co、Niのうちの1種又
は2種以上からなる基金属と、Zr、Nb、Ta、H
f、Mo、Ti、Vのうちの1種又は2種以上からなる
付加金属と、Bとを含み、ΔTxが20K以上である軟
磁性金属ガラス合金の粉末が焼結されてなるものである
ので、高い成形密度を有すると共に、優れた軟磁気特性
を有している。また本発明の軟磁性金属ガラス合金焼結
体の製造方法は、前記の軟磁性金属ガラス合金の粉末
を、放電プラズマ焼結法により前記の結晶化開始温度T
x以下の温度に加熱して焼結するものであるので、非晶
質単相組織を維持しながら高い成形密度と優れた軟磁性
特性とを有する焼結体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明方法を実施するために用いる放電プラ
ズマ焼結装置の一例の要部構造を示す断面図である。
【図2】 図1に示す放電プラズマ焼結装置で原料粉末
に印加するパルス電流波形の一例を示す図である。
【図3】 放電プラズマ焼結装置一例の全体構成を示す
正面図である。
【図4】 実施例における原料粉末のDSC曲線を示す
図である。
【図5】 実施例における焼結体のX線回折チャートで
ある。
【図6】 実施例における焼結体を製造する際の焼結温
度と、得られた焼結体の密度及び磁気特性との関係を示
すグラフである。
【符号の説明】
A …放電プラズマ焼結装置 1 …ダイ 2 …上パンチ 3 …下パンチ 6 …原料粉末 4、5 …パンチ電極 7 …熱電対 11 …上部基盤 12 …下部基盤 13 …チャンバ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小柴 寿人 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 牧野 彰宏 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 井上 明久 宮城県仙台市青葉区川内元支倉35番地 川 内住宅11−806

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Fe、Co、Niのうちの1種又は2種
    以上からなる基金属と、Zr、Nb、Ta、Hf、M
    o、Ti、Vのうちの1種又は2種以上からなる付加金
    属と、Bとを含み、ΔTx=Tx−Tg(ただしTxは
    結晶化開始温度、Tgはガラス遷移温度を示す)の式で
    表される過冷却液体領域の温度間隔ΔTxが20K以上
    である軟磁性金属ガラス合金の粉末が焼結されてなるこ
    とを特徴とする軟磁性金属ガラス合金焼結体。
  2. 【請求項2】 前記の軟磁性金属ガラス合金が、下記の
    組成式で表されかつΔTxが60K以上であることを特
    徴とする請求項1に記載の軟磁性金属ガラス合金焼結
    体。 (Fe1-a-bCoaNib100-x-y-zxyz 但し、Mは、Zr、Nb、Ta、Hf、Mo、Ti、V
    のうちの1種又は2種以上からなる付加金属、TはC
    r、W、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Al、
    Si、Ge、C、Pのうちの1種又は2種以上からなる
    付加元素であり、かつ0≦a≦0.29、0≦b≦0.4
    3、5原子%≦x≦20原子%、10 原子%≦y≦2
    2原子%、0原子%≦z≦5原子%である。
  3. 【請求項3】 前記請求項1又は請求項2に記載の軟磁
    性金属ガラス合金の粉末を、放電プラズマ焼結法によ
    り、前記の結晶化開始温度Tx以下の温度に加熱して焼
    結することを特徴とする軟磁性金属ガラス合金焼結体の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 前記請求項3の製造方法で得られた軟磁
    性金属ガラス合金焼結体を温度427℃〜627℃の範
    囲内に加熱し、次いで冷却する熱処理を施すことを特徴
    とする軟磁性金属ガラス合金焼結体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN116904831A (zh) * 2023-09-12 2023-10-20 北京科技大学 一种Fe-Si-B基大块非晶合金制备方法及材料

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