JPH1143748A - 高強度オーステナイト焼結鋼とその製造方法及びその用途 - Google Patents
高強度オーステナイト焼結鋼とその製造方法及びその用途Info
- Publication number
- JPH1143748A JPH1143748A JP9196755A JP19675597A JPH1143748A JP H1143748 A JPH1143748 A JP H1143748A JP 9196755 A JP9196755 A JP 9196755A JP 19675597 A JP19675597 A JP 19675597A JP H1143748 A JPH1143748 A JP H1143748A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- less
- steel
- austenitic
- heat treatment
- grain size
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Powder Metallurgy (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、結晶粒径を均一に超微細化す
ることにより高強度化し、さらに難固溶性の銅を微細分
散させる抗菌性を有するオーステナイト焼結鋼、その製
造方法及びそれらをもちいた構成部品を提供するにあ
る。 【解決手段】本発明は、重量で、C0.1%以下,Si
1%以下,Mn2.0%以下,Ni9〜30%,Cr1
4〜20%,Cu10%以下を含有し、平均結晶粒径が
1μm以下であり、90体積%以上のオーステナイト相
を有すること、またはこれにMo3%以下、Ti1.0
%以下、Zr2.0%以下、Nb1.0% 以下の少なく
とも1種を含む高強度オーステナイト焼結鋼とその鋼粉
末を用いて焼結する製造方法及びその用途、特に高応力
負荷環境下で水と接する部分に対して抗菌性を有するも
のである。
ることにより高強度化し、さらに難固溶性の銅を微細分
散させる抗菌性を有するオーステナイト焼結鋼、その製
造方法及びそれらをもちいた構成部品を提供するにあ
る。 【解決手段】本発明は、重量で、C0.1%以下,Si
1%以下,Mn2.0%以下,Ni9〜30%,Cr1
4〜20%,Cu10%以下を含有し、平均結晶粒径が
1μm以下であり、90体積%以上のオーステナイト相
を有すること、またはこれにMo3%以下、Ti1.0
%以下、Zr2.0%以下、Nb1.0% 以下の少なく
とも1種を含む高強度オーステナイト焼結鋼とその鋼粉
末を用いて焼結する製造方法及びその用途、特に高応力
負荷環境下で水と接する部分に対して抗菌性を有するも
のである。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規なオーステナイ
ト鋼に係わり、腐食環境,高応力負荷環境下で使用する
に好適な構造用オーステナイト鋼とその製造法,用途に
関する。本発明は新規なオーステナイト鋼に係わり、台
所まわり,トイレまわり等の家庭内水まわり部材,壁や
柱,屋根などの建材,熱交換器や復水器等の配管系統な
どの水と接する材料において抗菌性を有する鋼とその製
造法,用途に関する。
ト鋼に係わり、腐食環境,高応力負荷環境下で使用する
に好適な構造用オーステナイト鋼とその製造法,用途に
関する。本発明は新規なオーステナイト鋼に係わり、台
所まわり,トイレまわり等の家庭内水まわり部材,壁や
柱,屋根などの建材,熱交換器や復水器等の配管系統な
どの水と接する材料において抗菌性を有する鋼とその製
造法,用途に関する。
【0002】
【従来の技術】オーステナイト系ステンレス鋼は、耐食
性,加工性,経済性の面から構造材料として好適な特性
を具備しており、構造部品の材料として広く用いられて
いる。しかし、他の構造用鋼と比較して強度が十分でな
い欠点を有している。強度を向上させる方法として、変
形抵抗となる粒界を材料中に多数導入する所謂結晶粒径
微細化法がある。結晶粒界は異なる結晶方位を持つ単結
晶間の境界であり、粒内の整然とした原子配列の結晶格
子とは相違して乱れた結晶構造を有する。変形を担う転
位は応力下で粒内を運動して変形を起こすが、粒界の存
在は転位との相互作用を引き起こし、転位が上記の乱れ
た粒界を通過する時に大きな抵抗を生む。この変形抵抗
は結晶粒径の関数として結晶粒径の−1/2乗に比例し
て増加し、所謂ホール・ペッチの法則に従うことがよく
知られている。
性,加工性,経済性の面から構造材料として好適な特性
を具備しており、構造部品の材料として広く用いられて
いる。しかし、他の構造用鋼と比較して強度が十分でな
い欠点を有している。強度を向上させる方法として、変
形抵抗となる粒界を材料中に多数導入する所謂結晶粒径
微細化法がある。結晶粒界は異なる結晶方位を持つ単結
晶間の境界であり、粒内の整然とした原子配列の結晶格
子とは相違して乱れた結晶構造を有する。変形を担う転
位は応力下で粒内を運動して変形を起こすが、粒界の存
在は転位との相互作用を引き起こし、転位が上記の乱れ
た粒界を通過する時に大きな抵抗を生む。この変形抵抗
は結晶粒径の関数として結晶粒径の−1/2乗に比例し
て増加し、所謂ホール・ペッチの法則に従うことがよく
知られている。
【0003】近年、圧延プロセスでオーステナイト鋼に
対し加工誘起マルテンサイト変態および高温での逆変態
を起こさせ、オーステナイト結晶粒径をサブミクロンサ
イズまで微細化させた研究が進展中であり、例として製
造方法等が鉄と鋼,日本鉄鋼協会,第80巻,1994
年,529−535ページ及び日本金属学会会報,第2
7巻,第5号,1988年,400−402ページに報
告されている。
対し加工誘起マルテンサイト変態および高温での逆変態
を起こさせ、オーステナイト結晶粒径をサブミクロンサ
イズまで微細化させた研究が進展中であり、例として製
造方法等が鉄と鋼,日本鉄鋼協会,第80巻,1994
年,529−535ページ及び日本金属学会会報,第2
7巻,第5号,1988年,400−402ページに報
告されている。
【0004】また金属系抗菌材料は、銀,銅、もしくは
これらを錯体としてセラミックスに担持させたものが従
来より知られている。しかしいずれの材料も抗菌性が微
弱であったり、当初は抗菌性を示すものの、表面に酸化
皮膜が形成されてその効果が低減するといった欠点があ
り、工業的に使用しずらい欠点を有している。有機系の
抗菌材料も種々市販されているが、安全性の点でまだ確
立されていないものも多い。
これらを錯体としてセラミックスに担持させたものが従
来より知られている。しかしいずれの材料も抗菌性が微
弱であったり、当初は抗菌性を示すものの、表面に酸化
皮膜が形成されてその効果が低減するといった欠点があ
り、工業的に使用しずらい欠点を有している。有機系の
抗菌材料も種々市販されているが、安全性の点でまだ確
立されていないものも多い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一般的な傾向として溶
体化材が一気に圧延される工程である逆変態熱処理工程
あるいは熱加工工程では、結晶粒径は、強い加工性の影
響、すなわち圧延方向及び厚さ方向の加工度に強く依存
して上記方向に対して不均一となり易い。また従来方法
では加工度に上限があり、サブミクロンからナノスケー
ルまでの超微細結晶化はより困難である。
体化材が一気に圧延される工程である逆変態熱処理工程
あるいは熱加工工程では、結晶粒径は、強い加工性の影
響、すなわち圧延方向及び厚さ方向の加工度に強く依存
して上記方向に対して不均一となり易い。また従来方法
では加工度に上限があり、サブミクロンからナノスケー
ルまでの超微細結晶化はより困難である。
【0006】ナノ結晶を有するオーステナイト系ステン
レス鋼は、組成の持つ耐食性に加えて、結晶粒の超微細
化のために高強度が達成され、また超微細結晶であるが
故に粒界での不純物の希釈効果がある利点を有する。
レス鋼は、組成の持つ耐食性に加えて、結晶粒の超微細
化のために高強度が達成され、また超微細結晶であるが
故に粒界での不純物の希釈効果がある利点を有する。
【0007】オーステナイト鋼組成を有するナノ結晶化
バルク材の製造には以下の課題がある。結晶粒径のナノ
スケール化には、低温でオーステナイト相をより強加工
するプロセスが必要である。以上の課題に対して期待で
きる製造方法として機械的グラインディング法の活用が
ある。このプロセスでは、素材紛は圧延法よりもより微
細な加工誘起マルテンサイト相に変態され、そのため加
工粉末の固形化熱処理においても粗大化が抑制されて、
ナノ結晶化され易い。また本法では加工粉末の固形化熱
処理およびそれに続く組織調整のための高温での加工熱
処理においても結晶粒径の不均一性は圧延プロセスに比
べて十分に小さいことが期待される。
バルク材の製造には以下の課題がある。結晶粒径のナノ
スケール化には、低温でオーステナイト相をより強加工
するプロセスが必要である。以上の課題に対して期待で
きる製造方法として機械的グラインディング法の活用が
ある。このプロセスでは、素材紛は圧延法よりもより微
細な加工誘起マルテンサイト相に変態され、そのため加
工粉末の固形化熱処理においても粗大化が抑制されて、
ナノ結晶化され易い。また本法では加工粉末の固形化熱
処理およびそれに続く組織調整のための高温での加工熱
処理においても結晶粒径の不均一性は圧延プロセスに比
べて十分に小さいことが期待される。
【0008】オーステナイト鋼自身に抗菌性を持たせる
ために、抗菌性を付与する金属として、安価で人体に対
して安全で抗菌性があることを広く知られている銅を用
いて、オーステナイト鋼中に銅を微細に分散させる必要
があるが、オーステナイト鋼に対して銅はほとんど固溶
しない難固溶性金属のため、微細に分散させることが困
難で十分な抗菌性を付与することができない。この課題
に対して期待できる製造方法として機械的グラインディ
ング法の活用があり、銅の強制固溶または微細分散が可
能となることから十分な抗菌性を付与できることが期待
される。
ために、抗菌性を付与する金属として、安価で人体に対
して安全で抗菌性があることを広く知られている銅を用
いて、オーステナイト鋼中に銅を微細に分散させる必要
があるが、オーステナイト鋼に対して銅はほとんど固溶
しない難固溶性金属のため、微細に分散させることが困
難で十分な抗菌性を付与することができない。この課題
に対して期待できる製造方法として機械的グラインディ
ング法の活用があり、銅の強制固溶または微細分散が可
能となることから十分な抗菌性を付与できることが期待
される。
【0009】本発明の目的は、結晶粒径を均一に超微細
化し、さらに難固溶性の銅を強制固溶または微細分散す
ることにより、抗菌性,強度に優れた高強度オーステナ
イト焼結鋼、その製造方法及びそれを用いた構成部品を
提供するにある。
化し、さらに難固溶性の銅を強制固溶または微細分散す
ることにより、抗菌性,強度に優れた高強度オーステナ
イト焼結鋼、その製造方法及びそれを用いた構成部品を
提供するにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、重量で、C
0.1%以下,Si1%以下,Mn2.0%以下,Ni9
〜30%,Cr14〜20%,Cu10%以下,Fe4
5%以上を含有し、平均結晶粒径が1μm以下であり、
90体積%以上のオーステナイト相を有することを特徴
とする好ましくは抗菌性を有する高強度オーステナイト
焼結鋼にある。
0.1%以下,Si1%以下,Mn2.0%以下,Ni9
〜30%,Cr14〜20%,Cu10%以下,Fe4
5%以上を含有し、平均結晶粒径が1μm以下であり、
90体積%以上のオーステナイト相を有することを特徴
とする好ましくは抗菌性を有する高強度オーステナイト
焼結鋼にある。
【0011】更に、本発明は上述の合金に、Mo3%以
下,Ti1.0%以下,Zr2.0%以下,Nb1.0%
以下の1種又は複数の元素を総量で2.0% 以下を含む
ものである。
下,Ti1.0%以下,Zr2.0%以下,Nb1.0%
以下の1種又は複数の元素を総量で2.0% 以下を含む
ものである。
【0012】また、本発明は重量で、C0.1%以下,
Si1%以下,Mn2.0%以下,Ni9〜30%,C
r14〜20%,Cu10%以下及びFe45%以上を
含有する鋼粉又はこれにMo3%以下,Ti1.0% 以
下,Zr2.0% 以下,Nb1.0%以下の1種又は複
数の元素を2.0%以下を含有する鋼粉に結晶粒径20
nm以下でかつ加工誘起マルテンサイト変態相を有する
加工粉末を形成する工程と、前記加工粉末を1000℃
以下の温度で熱間静水圧焼結又は熱間押し出し加工を施
す工程とを有することを特徴とする好ましくは抗菌性を
有する高強度オーステナイト焼結鋼の製造方法にある。
Si1%以下,Mn2.0%以下,Ni9〜30%,C
r14〜20%,Cu10%以下及びFe45%以上を
含有する鋼粉又はこれにMo3%以下,Ti1.0% 以
下,Zr2.0% 以下,Nb1.0%以下の1種又は複
数の元素を2.0%以下を含有する鋼粉に結晶粒径20
nm以下でかつ加工誘起マルテンサイト変態相を有する
加工粉末を形成する工程と、前記加工粉末を1000℃
以下の温度で熱間静水圧焼結又は熱間押し出し加工を施
す工程とを有することを特徴とする好ましくは抗菌性を
有する高強度オーステナイト焼結鋼の製造方法にある。
【0013】本発明は、重量で、C0.1% 以下,Si
1%以下,Mn2.0% 以下,P0.045%以下,S
0.03% 以下,Ni9〜30%,Cr14〜20%,
Cu10%以下,Fe45%以上を含有するオーステナ
イト鋼の加工誘起マルテンサイト相を含む機械的加工粉
末を用いて700℃〜1050℃の温度で固形化熱処
理、あるいは固形化熱処理とそれに続く該固形化物の加
工熱処理を実施し、室温の体積率で90%以上がオース
テナイト相であり、該相の平均結晶粒径が10nm〜1
000nmであることを特徴とする好ましくは抗菌性を
有する高強度オーステナイト焼結鋼の製造方法にある。
1%以下,Mn2.0% 以下,P0.045%以下,S
0.03% 以下,Ni9〜30%,Cr14〜20%,
Cu10%以下,Fe45%以上を含有するオーステナ
イト鋼の加工誘起マルテンサイト相を含む機械的加工粉
末を用いて700℃〜1050℃の温度で固形化熱処
理、あるいは固形化熱処理とそれに続く該固形化物の加
工熱処理を実施し、室温の体積率で90%以上がオース
テナイト相であり、該相の平均結晶粒径が10nm〜1
000nmであることを特徴とする好ましくは抗菌性を
有する高強度オーステナイト焼結鋼の製造方法にある。
【0014】本発明は前述と同様にMo,Ti,Zr及
びNbを含むものである。
びNbを含むものである。
【0015】本発明は、重量で、C0.1%以下,Si
1%以下,Mn2.0%以下,Ni9〜30%及びCr
14〜20%,Cu10%以下及びFe45%以上を含
有する鋼粉又はこれにMo3%以下,Ti1.0%以
下,Zr2.0%以下,Nb1.0%以下の少なくとも1
種でTi,Zr,Nbの複数の元素を合計で2.0% 以
下を含有する鋼粉をアトマイズ粉末あるいは総体として
該組成を満たす混合粉末を100℃以下で30〜100
時間アトライタあるいはボールミルを用いて機械的にグ
ラインディングまたは合金化処理し、結晶粒径15nm
以下の加工誘起マルテンサイト変態相を有する加工粉末
を形成する工程と、該加工粉末を熱間静水圧焼結または
熱間押し出し法にて700℃〜1050℃の温度範囲で
固形化熱処理あるいは固形化熱処理とそれに続く上記温
度域での最終加工熱処理をすることにより室温の体積率
で90%以上がオーステナイト相となり、10nm〜1
000nmの範囲で平均結晶粒径を調整することを特徴
とする好ましくは抗菌性を有する高強度オーステナイト
焼結鋼の製造方法にある。
1%以下,Mn2.0%以下,Ni9〜30%及びCr
14〜20%,Cu10%以下及びFe45%以上を含
有する鋼粉又はこれにMo3%以下,Ti1.0%以
下,Zr2.0%以下,Nb1.0%以下の少なくとも1
種でTi,Zr,Nbの複数の元素を合計で2.0% 以
下を含有する鋼粉をアトマイズ粉末あるいは総体として
該組成を満たす混合粉末を100℃以下で30〜100
時間アトライタあるいはボールミルを用いて機械的にグ
ラインディングまたは合金化処理し、結晶粒径15nm
以下の加工誘起マルテンサイト変態相を有する加工粉末
を形成する工程と、該加工粉末を熱間静水圧焼結または
熱間押し出し法にて700℃〜1050℃の温度範囲で
固形化熱処理あるいは固形化熱処理とそれに続く上記温
度域での最終加工熱処理をすることにより室温の体積率
で90%以上がオーステナイト相となり、10nm〜1
000nmの範囲で平均結晶粒径を調整することを特徴
とする好ましくは抗菌性を有する高強度オーステナイト
焼結鋼の製造方法にある。
【0016】本発明は、重量で、C0.1%以下,Si
1%以下,Mn2.0%以下,Ni9〜30%,Cr1
4〜20%,Cu10%以下及びFe45%以上を含有
するオーステナイト焼結鋼又はこれにMo3%以下,T
i1.0%以下,Zr2.0%以下,Nb1.0% 以下の
1種又は複数の元素を合計で2.0% 以下を含有するオ
ーステナイト焼結鋼よりなることを特徴とする好ましく
は抗菌性を有する配管部材にあり、他前述のオーステナ
イト鋼によって構成される。
1%以下,Mn2.0%以下,Ni9〜30%,Cr1
4〜20%,Cu10%以下及びFe45%以上を含有
するオーステナイト焼結鋼又はこれにMo3%以下,T
i1.0%以下,Zr2.0%以下,Nb1.0% 以下の
1種又は複数の元素を合計で2.0% 以下を含有するオ
ーステナイト焼結鋼よりなることを特徴とする好ましく
は抗菌性を有する配管部材にあり、他前述のオーステナ
イト鋼によって構成される。
【0017】本発明は、重量で、C0.1%以下,Si
1%以下,Mn2.0%以下,Ni9〜30%,Cr1
4〜20%,Cu10%以下及びFe45%以上を含有
するオーステナイト焼結鋼又はこれにMo3%以下,T
i1.0%以下,Zr2.0%以下,Nb1.0% 以下の
1種又は複数の元素を合計で2.0% 以下を含有するオ
ーステナイト焼結鋼よりなることを特徴とする好ましく
は抗菌性を有する締結部材にあり、他前述のオーステナ
イト鋼によって構成される。
1%以下,Mn2.0%以下,Ni9〜30%,Cr1
4〜20%,Cu10%以下及びFe45%以上を含有
するオーステナイト焼結鋼又はこれにMo3%以下,T
i1.0%以下,Zr2.0%以下,Nb1.0% 以下の
1種又は複数の元素を合計で2.0% 以下を含有するオ
ーステナイト焼結鋼よりなることを特徴とする好ましく
は抗菌性を有する締結部材にあり、他前述のオーステナ
イト鋼によって構成される。
【0018】本発明は、水と接触するオーステナイト鋼
からなる構造部材において、該部材は平均結晶粒径が1
μm以下であることを特徴とする抗菌性高強度構造部材
にある。
からなる構造部材において、該部材は平均結晶粒径が1
μm以下であることを特徴とする抗菌性高強度構造部材
にある。
【0019】本発明が解決しようとするオーステナイト
鋼の高強度化は、結晶粒径の超微細化により解決でき
る。このことは、結晶粒界が塑性変形を担う転位のすべ
り運動の障害物になることから粒界の密度を極限まで高
めることで塑性変形抵抗性が飛躍化できることで説明さ
れる。また、抗菌化は抗菌性を有する金属がイオンとな
って環境中に溶け出すことで、菌や藻に作用を与えるこ
とによる。すなわち銅を材料中に微細に分散させること
で達成できると説明される。
鋼の高強度化は、結晶粒径の超微細化により解決でき
る。このことは、結晶粒界が塑性変形を担う転位のすべ
り運動の障害物になることから粒界の密度を極限まで高
めることで塑性変形抵抗性が飛躍化できることで説明さ
れる。また、抗菌化は抗菌性を有する金属がイオンとな
って環境中に溶け出すことで、菌や藻に作用を与えるこ
とによる。すなわち銅を材料中に微細に分散させること
で達成できると説明される。
【0020】ナノスケールまでのオーステナイト鋼結晶
粒の超微細化は、加工によるオーステナイト系ステンレ
ス鋼の加工誘起マルテンサイト変態および高温でのオー
ステナイト相への逆変態の性質を応用するのがより効率
的である。従来加工法の圧延法では加工度に上限があ
り、微細な加工誘起マルテンサイトが十分蓄積されな
い。超微細化には粒末冶金法を適用して、極めて強加工
が達成でき、合金化プロセスの併用が可能な機械的グラ
インディングを活用するのがよい。粉末素材の強加工に
は加工粉末の量産が期待できるアトライタあるいは遊星
型ボールミルが適している。加工により初期結晶構造が
面心立方構造のオーステナイト相(γ)である粉末を体
心立方構造のマルテンサイト相(α′)に変態させる
が、逆変態で少なくとも数10nm粒径の超微細γ相を
得るには粒径が少なくとも15nm以下のα′とするの
がよい。
粒の超微細化は、加工によるオーステナイト系ステンレ
ス鋼の加工誘起マルテンサイト変態および高温でのオー
ステナイト相への逆変態の性質を応用するのがより効率
的である。従来加工法の圧延法では加工度に上限があ
り、微細な加工誘起マルテンサイトが十分蓄積されな
い。超微細化には粒末冶金法を適用して、極めて強加工
が達成でき、合金化プロセスの併用が可能な機械的グラ
インディングを活用するのがよい。粉末素材の強加工に
は加工粉末の量産が期待できるアトライタあるいは遊星
型ボールミルが適している。加工により初期結晶構造が
面心立方構造のオーステナイト相(γ)である粉末を体
心立方構造のマルテンサイト相(α′)に変態させる
が、逆変態で少なくとも数10nm粒径の超微細γ相を
得るには粒径が少なくとも15nm以下のα′とするの
がよい。
【0021】上記加工粉末の固形化は現状技術で大型部
材が得やすいHIPあるいは熱間押し出し法が好適であ
る。固形化温度は要求される最終結晶粒径に依存する
が、加工粉末の焼結が可能な温度域以上、すなわち70
0℃以上が望ましく、特にナノスケール粒径を求める場
合は再結晶温度900℃以下の条件を付した方がよい。
再結晶温度以上では原子拡散がより活発で、粒径の成長
が生じる。サブミクロンサイズの結晶粒径を得る時には
900℃以上での処理も可能である。加工粉末では、加
工により導入される多量の格子欠陥(点欠陥)の働きで
原子拡散がより低温でも活発である。またこの上記下限
近くの温度での固形化熱処理で固化物中に未焼結部分が
存在する場合には、その後の上記下限温度以上の熱間加
工でそれらを消滅させることが可能である。いずれにし
ても要求される最終の結晶粒径に調整および均質な組織
とするためには、さらに700℃〜1050℃間で圧延
等の熱間加工を実施することが望ましい。棒,板,帯及
び管形状等の種々の形状の部材を製造する場合には、上
記最終粒径調整工程で加工することが望ましい。
材が得やすいHIPあるいは熱間押し出し法が好適であ
る。固形化温度は要求される最終結晶粒径に依存する
が、加工粉末の焼結が可能な温度域以上、すなわち70
0℃以上が望ましく、特にナノスケール粒径を求める場
合は再結晶温度900℃以下の条件を付した方がよい。
再結晶温度以上では原子拡散がより活発で、粒径の成長
が生じる。サブミクロンサイズの結晶粒径を得る時には
900℃以上での処理も可能である。加工粉末では、加
工により導入される多量の格子欠陥(点欠陥)の働きで
原子拡散がより低温でも活発である。またこの上記下限
近くの温度での固形化熱処理で固化物中に未焼結部分が
存在する場合には、その後の上記下限温度以上の熱間加
工でそれらを消滅させることが可能である。いずれにし
ても要求される最終の結晶粒径に調整および均質な組織
とするためには、さらに700℃〜1050℃間で圧延
等の熱間加工を実施することが望ましい。棒,板,帯及
び管形状等の種々の形状の部材を製造する場合には、上
記最終粒径調整工程で加工することが望ましい。
【0022】本オーステナイト鋼に関しては、耐食性,
強度の要求を満たす条件に依存し、望ましい結晶の平均
粒径は、10nmから1000nmの範囲にあることで
あり、特に微細結晶オーステナイト鋼の変形挙動によっ
て要求される結晶粒径は三つの領域に分類される。金
属,合金におけるナノスケールまでの結晶粒径と耐力の
関係は一般的な傾向として図1に示されるように耐力の
ピーク点に対応する粒径Aを持つ。粒径の減少と共に耐
力が減少し、転位による変形が起き難い(伸びが小さ
い)領域、すなわち10nmから最大耐力値を示すAま
での領域Iと、上記したホール・ペッチ則に従って耐力
が増加し、結晶粒内での転位のすべり運動により変形が
進行して比較的塑性伸びを有する粒径領域、すなわちA
から500nmまでの領域II及び500nmから1000
nmまでの領域III とに分けられる。領域Iの下限10
nmの設定は、最終γ相粒径を得るための上記α′の微
細化が最大に見積っても5nmから10nmの範囲にと
どまることによる。また上限の1000nmは現状の超
微細化技術動向の下限と思われるからである。またこの
領域は高温での粒界すべリによる超塑性効果を持ち、高
温での加工性を向上させる利点を有している。領域IIが
強度的に最も好適な領域であり、使用強度の要求が最も
望まれる部材に好適である。領域III は靭性を期待する
部材に好適である。
強度の要求を満たす条件に依存し、望ましい結晶の平均
粒径は、10nmから1000nmの範囲にあることで
あり、特に微細結晶オーステナイト鋼の変形挙動によっ
て要求される結晶粒径は三つの領域に分類される。金
属,合金におけるナノスケールまでの結晶粒径と耐力の
関係は一般的な傾向として図1に示されるように耐力の
ピーク点に対応する粒径Aを持つ。粒径の減少と共に耐
力が減少し、転位による変形が起き難い(伸びが小さ
い)領域、すなわち10nmから最大耐力値を示すAま
での領域Iと、上記したホール・ペッチ則に従って耐力
が増加し、結晶粒内での転位のすべり運動により変形が
進行して比較的塑性伸びを有する粒径領域、すなわちA
から500nmまでの領域II及び500nmから1000
nmまでの領域III とに分けられる。領域Iの下限10
nmの設定は、最終γ相粒径を得るための上記α′の微
細化が最大に見積っても5nmから10nmの範囲にと
どまることによる。また上限の1000nmは現状の超
微細化技術動向の下限と思われるからである。またこの
領域は高温での粒界すべリによる超塑性効果を持ち、高
温での加工性を向上させる利点を有している。領域IIが
強度的に最も好適な領域であり、使用強度の要求が最も
望まれる部材に好適である。領域III は靭性を期待する
部材に好適である。
【0023】上記の範囲のオーステナイト鋼の抗菌性は
耐食性の化学組成を有する理由以外にも抗菌性を有する
銅を微細分散化することにより達成できる。機械的グラ
インディングは、溶融凝固で製造された鋼に比して、非
平衡固溶体の加工粉末の製造と低温での固形化により粒
内での溶質原子の偏析,析出が少ない組織とすることが
でき、難固溶性の銅を強制的に固溶させることが可能で
ある。これは、溶融過程を経ないことによる。
耐食性の化学組成を有する理由以外にも抗菌性を有する
銅を微細分散化することにより達成できる。機械的グラ
インディングは、溶融凝固で製造された鋼に比して、非
平衡固溶体の加工粉末の製造と低温での固形化により粒
内での溶質原子の偏析,析出が少ない組織とすることが
でき、難固溶性の銅を強制的に固溶させることが可能で
ある。これは、溶融過程を経ないことによる。
【0024】以上のように、材料の結晶粒径を微細化し
て結晶粒界を多数導入することで、強度が増し、銅を微
細に分散させることで抗菌性を持たせることができる。
本発明は強度を上昇させるとともに、抗菌性を向上させ
たオーステナイト焼結鋼にある。
て結晶粒界を多数導入することで、強度が増し、銅を微
細に分散させることで抗菌性を持たせることができる。
本発明は強度を上昇させるとともに、抗菌性を向上させ
たオーステナイト焼結鋼にある。
【0025】Feは鋼の基本組成となるものであり、4
5%以上とする。好ましくは50%以上、より好ましく
は51〜70%である。
5%以上とする。好ましくは50%以上、より好ましく
は51〜70%である。
【0026】Niはオーステナイト相を安定にし、耐食
性を高めるのに9%以上含有させる。高Ni量は耐食性
を向上させるが、他の部材と同一腐食環境下で使用する
場合には接触部で電気化学反応を生じ、他の部材の腐食
を促進させるので、上限は30%である。10.0〜1
4.0%が好ましい。
性を高めるのに9%以上含有させる。高Ni量は耐食性
を向上させるが、他の部材と同一腐食環境下で使用する
場合には接触部で電気化学反応を生じ、他の部材の腐食
を促進させるので、上限は30%である。10.0〜1
4.0%が好ましい。
【0027】Crは耐食性を向上させるために14%以
上が必要である。しかし、20%を越えるとオーステナ
イト相を不安定化し、またσ相を生成させ脆化させるた
め14〜20%である。
上が必要である。しかし、20%を越えるとオーステナ
イト相を不安定化し、またσ相を生成させ脆化させるた
め14〜20%である。
【0028】Cuは抗菌性を付与するために必須の合金
成分であり、この効果は0.3% 以上で顕著となる。し
かし10%を越えると、抗菌効果は飽和し、加工性も低
下するため10%以下の添加とする。Cuはオーステナ
イト鋼に対して固溶量が小さいが、機械的合金化法(M
A法)によってより粒径1μm以下の微細に分散させる
ことにより0.3〜1.0%と少量の含有量でも抗菌性が
得られる効果を有する。より微細な分散にはMA法にお
ける処理時間を長時間必要とする。短時間処理では粒径
1〜10μmとなり、このCuの大きな分散の場合には
1〜5%とするのが好ましい。
成分であり、この効果は0.3% 以上で顕著となる。し
かし10%を越えると、抗菌効果は飽和し、加工性も低
下するため10%以下の添加とする。Cuはオーステナ
イト鋼に対して固溶量が小さいが、機械的合金化法(M
A法)によってより粒径1μm以下の微細に分散させる
ことにより0.3〜1.0%と少量の含有量でも抗菌性が
得られる効果を有する。より微細な分散にはMA法にお
ける処理時間を長時間必要とする。短時間処理では粒径
1〜10μmとなり、このCuの大きな分散の場合には
1〜5%とするのが好ましい。
【0029】Si,Mnは素材粉末鋼の製造の際、脱酸
剤として添加され、さらにMnは脱硫剤として添加され
ている。市販SUS304,SUS316等のJIS規格に準じてS
iは1%以下、Mnは2%以下である。特に、Siは
0.5%以下、より0.1%以下、Mnは0.5〜1.5%
が好ましい。
剤として添加され、さらにMnは脱硫剤として添加され
ている。市販SUS304,SUS316等のJIS規格に準じてS
iは1%以下、Mnは2%以下である。特に、Siは
0.5%以下、より0.1%以下、Mnは0.5〜1.5%
が好ましい。
【0030】P,Sは素材粉末の製造時に含有され、耐
食性に悪い効果を有している。市販SUS304,SUS316等の
JIS規格に準じてPは0.045%以下,Sは0.03
%以下が好ましい。
食性に悪い効果を有している。市販SUS304,SUS316等の
JIS規格に準じてPは0.045%以下,Sは0.03
%以下が好ましい。
【0031】Moは耐食性及び固溶強化型添加元素であ
る。しかし3%を越えて添加するとσ相を生成させ、材
料の脆化を引き起こすので、良好な耐食性及び強度を付
与するには3%以下、2〜3%の添加が好ましい。
る。しかし3%を越えて添加するとσ相を生成させ、材
料の脆化を引き起こすので、良好な耐食性及び強度を付
与するには3%以下、2〜3%の添加が好ましい。
【0032】Cは材料が溶接継ぎ手として使用される場
合は熱影響部の耐食性からできるだけ低減させることが
好ましく、利用できる素材粉末中のC量に依存する。し
かし非溶接部材として利用する場合には材料の強化,粒
界の強化に高めに添加するほうがよい。上限で0.1%
である。これ以上では炭化物の析出が起こりやすくな
り、本来のオーステナイト鋼の特性が失われる。
合は熱影響部の耐食性からできるだけ低減させることが
好ましく、利用できる素材粉末中のC量に依存する。し
かし非溶接部材として利用する場合には材料の強化,粒
界の強化に高めに添加するほうがよい。上限で0.1%
である。これ以上では炭化物の析出が起こりやすくな
り、本来のオーステナイト鋼の特性が失われる。
【0033】Ti,Zr,Nbは、炭化物及び酸化物形
成元素であり、必要に応じて添加される合金元素であ
る。0.1% 以上の高炭素組成においては、これらの元
素の添加はそれらの元素を含む多量の炭化物を生成して
材料を脆くするため、有効でない。一般に素材粉末は
0.2% 近くの酸素を含有しており、また含有C量も考
慮してO,Cを固定化するためにはTi,Zr,Nbの
添加は、単独添加では、それぞれ1.0,2.0,1.0
%、また複合添加では最大1.5%までである。添加元
素の余剰分は固溶して結晶粒を細粒化する効果を発揮す
る。下限は0.03%が好ましい。
成元素であり、必要に応じて添加される合金元素であ
る。0.1% 以上の高炭素組成においては、これらの元
素の添加はそれらの元素を含む多量の炭化物を生成して
材料を脆くするため、有効でない。一般に素材粉末は
0.2% 近くの酸素を含有しており、また含有C量も考
慮してO,Cを固定化するためにはTi,Zr,Nbの
添加は、単独添加では、それぞれ1.0,2.0,1.0
%、また複合添加では最大1.5%までである。添加元
素の余剰分は固溶して結晶粒を細粒化する効果を発揮す
る。下限は0.03%が好ましい。
【0034】以上のように、本発明は、オーステナイト
鋼に限らず、Cr9.0〜19.0%を含むフェライト系
ステンレス鋼,C0.05〜0.5%,Si0.5% 以
下,Mn1.5% 以下の炭素鋼、この炭素鋼の組成にC
r,Mo,Ni等を2%以下含む低合金鋼に対しても同
様に銅を微細に分散させるとともに材料の結晶粒径を微
細化して結晶粒界を多数導入することで、強度が増し、
更に抗菌性が向上する。
鋼に限らず、Cr9.0〜19.0%を含むフェライト系
ステンレス鋼,C0.05〜0.5%,Si0.5% 以
下,Mn1.5% 以下の炭素鋼、この炭素鋼の組成にC
r,Mo,Ni等を2%以下含む低合金鋼に対しても同
様に銅を微細に分散させるとともに材料の結晶粒径を微
細化して結晶粒界を多数導入することで、強度が増し、
更に抗菌性が向上する。
【0035】本発明の鋼は、一般的に粒界が材料劣化の
主因となり得る環境化で使用される強度部材に適用され
得る。また、台所まわり,トイレまわり等の家庭内水ま
わり部材だけでなく、壁や柱,屋根などの建材,熱交換
器や復水器等の配管系統部材等水と接触する構造部材に
適用され得る。本発明の鋼は細菌のみならず、青カビや
黒カビ等の真菌類対しても有効であり、ふじつぼやむら
さき貝のような海洋生物が付着しない効果がある。
主因となり得る環境化で使用される強度部材に適用され
得る。また、台所まわり,トイレまわり等の家庭内水ま
わり部材だけでなく、壁や柱,屋根などの建材,熱交換
器や復水器等の配管系統部材等水と接触する構造部材に
適用され得る。本発明の鋼は細菌のみならず、青カビや
黒カビ等の真菌類対しても有効であり、ふじつぼやむら
さき貝のような海洋生物が付着しない効果がある。
【0036】
実施例1 本発明に係わる結晶粒超微細化オーステナイト鋼の作製
方法の実施例を説明する。本実施例では機械的合金化処
理に図2のアトライタを使用した。この装置の構成は、
容積25リットルのステンレス製粉砕タンク1,タンク
1の冷却水入口2,冷却水出口3,アルゴンまたは窒素
ガスの置換ガスをシールするガスシール4,重量5kgの
混合粉末5,粉砕タンク内の直径10mmの鋼製ボール
6,アジテータアーム7からなる。外部駆動系から回転
がアーム軸8に伝えられ、アジテータアーム7が回転運
動する。アジテータアーム7によってボール6が撹拌さ
れ、ボール6間同士、ボール6とタンク1の内壁間で衝
突が生じ、混合粉末5が強加工され微細結晶粒を有する
合金粉末が得られた。アーム軸8の回転速度は170rp
m で行った。本発明に係る各種結晶粒超微細化オーステ
ナイト鋼の主要化学成分(重量%)が表1中No.1−8
に示される。代表例として本発明のNo.5の鋼種につい
て図3,図4及び図5にミリング時間とX線回折法によ
り測定した回折ピーク,平均結晶粒径及び相変化の関係
をそれぞれ示した。平均結晶粒径は100nm以下につい
てはX線回折法を用い、100nm以上については電子
顕微鏡を用いて測定した。電子顕微鏡観察において粗大
な銅析出物は観察されなかった。ミリング時間が30時
間以上で平均結晶粒径はほぼ8nmで飽和してγ→α′
変態が完了しており、60時間ミリングした該粉末を熱
間等方加圧処理(HIP)〔条件1:850℃×0.5
時間,2000kgf/cm2〕、によりバルク材とした。
表2に、HIP処理条件をまとめた。
方法の実施例を説明する。本実施例では機械的合金化処
理に図2のアトライタを使用した。この装置の構成は、
容積25リットルのステンレス製粉砕タンク1,タンク
1の冷却水入口2,冷却水出口3,アルゴンまたは窒素
ガスの置換ガスをシールするガスシール4,重量5kgの
混合粉末5,粉砕タンク内の直径10mmの鋼製ボール
6,アジテータアーム7からなる。外部駆動系から回転
がアーム軸8に伝えられ、アジテータアーム7が回転運
動する。アジテータアーム7によってボール6が撹拌さ
れ、ボール6間同士、ボール6とタンク1の内壁間で衝
突が生じ、混合粉末5が強加工され微細結晶粒を有する
合金粉末が得られた。アーム軸8の回転速度は170rp
m で行った。本発明に係る各種結晶粒超微細化オーステ
ナイト鋼の主要化学成分(重量%)が表1中No.1−8
に示される。代表例として本発明のNo.5の鋼種につい
て図3,図4及び図5にミリング時間とX線回折法によ
り測定した回折ピーク,平均結晶粒径及び相変化の関係
をそれぞれ示した。平均結晶粒径は100nm以下につい
てはX線回折法を用い、100nm以上については電子
顕微鏡を用いて測定した。電子顕微鏡観察において粗大
な銅析出物は観察されなかった。ミリング時間が30時
間以上で平均結晶粒径はほぼ8nmで飽和してγ→α′
変態が完了しており、60時間ミリングした該粉末を熱
間等方加圧処理(HIP)〔条件1:850℃×0.5
時間,2000kgf/cm2〕、によりバルク材とした。
表2に、HIP処理条件をまとめた。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】実施例2 本発明に係わる結晶粒超微細化オーステナイト鋼の作製
方法の実施例を説明する。本実施例では機械的合金化処
理に図6の遊星型ボールミル装置を使用した。この装置
の構成は、真空引き弁9と、Arガスまたは窒素ガスの
置換弁10及び温度計測用の小穴11を具備するステン
レス製の蓋12,容積500ccのステンレス容器13,
重量300gの混合粉末14,容器13内の直径10mm
の鋼製ボール15からなる。外部駆動系から回転が回転
盤16に伝えられ、その上に十文字に配置された4基の
容器13には遠心力が生じると共に各容器13自身の回
転も起こり、ボール15は容器13の内壁に沿って回転
運動し、ボール15間同士、ボール15と容器13の内
壁間で衝突が生じ、混合粉末14が強加工され微細結晶
粒を有する合金粉末が得られた。回転盤の回転速度は1
50rpm で行った。本発明に係る各種結晶粒超微細化オ
ーステナイト鋼の主要化学成分が表1中No.1−24に
示される。微細結晶粒を有する合金粉末を熱間等方加圧
処理(HIP)〔条件1:850℃×0.5時間,200
0kgf/cm2〕、によりバルク材とした。電子顕微鏡観
察において粗大な銅析出物は観察されなかった。
方法の実施例を説明する。本実施例では機械的合金化処
理に図6の遊星型ボールミル装置を使用した。この装置
の構成は、真空引き弁9と、Arガスまたは窒素ガスの
置換弁10及び温度計測用の小穴11を具備するステン
レス製の蓋12,容積500ccのステンレス容器13,
重量300gの混合粉末14,容器13内の直径10mm
の鋼製ボール15からなる。外部駆動系から回転が回転
盤16に伝えられ、その上に十文字に配置された4基の
容器13には遠心力が生じると共に各容器13自身の回
転も起こり、ボール15は容器13の内壁に沿って回転
運動し、ボール15間同士、ボール15と容器13の内
壁間で衝突が生じ、混合粉末14が強加工され微細結晶
粒を有する合金粉末が得られた。回転盤の回転速度は1
50rpm で行った。本発明に係る各種結晶粒超微細化オ
ーステナイト鋼の主要化学成分が表1中No.1−24に
示される。微細結晶粒を有する合金粉末を熱間等方加圧
処理(HIP)〔条件1:850℃×0.5時間,200
0kgf/cm2〕、によりバルク材とした。電子顕微鏡観
察において粗大な銅析出物は観察されなかった。
【0040】実施例3 表1に示した組成の結晶粒超微細化オーステナイト鋼の
HIP処理したバルク材料を、900℃,950℃,1
000℃,1050℃の温度でそれぞれ0.5時間真空
焼鈍した。また、1050℃で、0.25,0.5,1.
0,2.0,5.0,10.0時間真空焼鈍し、これらの試
料に室温で引張試験(歪み速度:〜10-4/s)を行っ
た。C濃度の高い鋼及びTi,Zr,Nbを添加した鋼
では、C濃度の低い鋼及びTi,Zr,Nbを添加しな
い鋼に比して結晶粒の成長が遅れ、C,Ti,Zr,N
bには結晶粒成長抑制効果があった。代表例として本発
明のNo.5の鋼種について図7に焼鈍時間30分の場合
の焼鈍温度と平均結晶粒径、図8に焼鈍温度1050℃
の場合の焼鈍時間と平均結晶粒径、図9に平均結晶粒径
と耐力の関係を従来材の実用316L鋼と共にそれぞれ
示し、表3には平均結晶粒径と耐力及び伸びの関係を示
した。また表4に本発明のNo.5,No.7、及びNo.1
7の鋼種について、1050℃で、0.5 時間真空焼鈍
した時の平均結晶粒径,耐力及び伸びをまとめた。平均
結晶粒径は100nm以下についてはX線回折法を用
い、100nm以上については電子顕微鏡を用いて測定
した。いずれの熱処理条件においても電子顕微鏡観察に
おいて粗大な銅析出物は観察されなかった。表1に示し
た組成の機械的合金化処理粉末に実施例1及び2よりも
高い温度でHIP処理〔条件2:900℃×0.5時
間,2000kgf/cm2,条件3:950℃×0.5時
間,2000kgf/cm2〕した。条件2では実施例1及
び2よりも平均結晶粒径は大きくなり、条件3ではサブ
ミクロンサイズの平均結晶粒径が得られた。代表的な例
として本発明のNo.5の鋼種について表5にそれぞれの
条件で得られた結晶粒径をまとめた。
HIP処理したバルク材料を、900℃,950℃,1
000℃,1050℃の温度でそれぞれ0.5時間真空
焼鈍した。また、1050℃で、0.25,0.5,1.
0,2.0,5.0,10.0時間真空焼鈍し、これらの試
料に室温で引張試験(歪み速度:〜10-4/s)を行っ
た。C濃度の高い鋼及びTi,Zr,Nbを添加した鋼
では、C濃度の低い鋼及びTi,Zr,Nbを添加しな
い鋼に比して結晶粒の成長が遅れ、C,Ti,Zr,N
bには結晶粒成長抑制効果があった。代表例として本発
明のNo.5の鋼種について図7に焼鈍時間30分の場合
の焼鈍温度と平均結晶粒径、図8に焼鈍温度1050℃
の場合の焼鈍時間と平均結晶粒径、図9に平均結晶粒径
と耐力の関係を従来材の実用316L鋼と共にそれぞれ
示し、表3には平均結晶粒径と耐力及び伸びの関係を示
した。また表4に本発明のNo.5,No.7、及びNo.1
7の鋼種について、1050℃で、0.5 時間真空焼鈍
した時の平均結晶粒径,耐力及び伸びをまとめた。平均
結晶粒径は100nm以下についてはX線回折法を用
い、100nm以上については電子顕微鏡を用いて測定
した。いずれの熱処理条件においても電子顕微鏡観察に
おいて粗大な銅析出物は観察されなかった。表1に示し
た組成の機械的合金化処理粉末に実施例1及び2よりも
高い温度でHIP処理〔条件2:900℃×0.5時
間,2000kgf/cm2,条件3:950℃×0.5時
間,2000kgf/cm2〕した。条件2では実施例1及
び2よりも平均結晶粒径は大きくなり、条件3ではサブ
ミクロンサイズの平均結晶粒径が得られた。代表的な例
として本発明のNo.5の鋼種について表5にそれぞれの
条件で得られた結晶粒径をまとめた。
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】
【表5】
【0044】本実施例と実施例1及び2で固化したバル
ク材料に、700℃〜1050℃の温度範囲で5%〜4
0%の圧下率まで熱間圧延を行い急冷し、その後室温で
引張試験(歪み速度:〜10-4/s)した。HIP処理
による固化成形後に真空焼鈍した材料よりも耐力,伸び
が向上した。代表的な例として本発明のNo.5の鋼種に
ついて700℃で20%の圧下率まで熱間圧延した試料
の応力−歪曲線を図10に示し、表6に700℃で熱間
圧延したときに得られた平均結晶粒径を示した。
ク材料に、700℃〜1050℃の温度範囲で5%〜4
0%の圧下率まで熱間圧延を行い急冷し、その後室温で
引張試験(歪み速度:〜10-4/s)した。HIP処理
による固化成形後に真空焼鈍した材料よりも耐力,伸び
が向上した。代表的な例として本発明のNo.5の鋼種に
ついて700℃で20%の圧下率まで熱間圧延した試料
の応力−歪曲線を図10に示し、表6に700℃で熱間
圧延したときに得られた平均結晶粒径を示した。
【0045】
【表6】
【0046】実施例4 実施例1で作製した本発明のNo.5の結晶粒超微細化オ
ーステナイト鋼を800℃で熱間鍛造し、一般産業用構
造部材として直径20mm,長さ300mmの棒及び幅5
0mm,長さ200mm,厚さ5mmの板を製造した。また、
実施例1で作製した本発明のNo.2,No.5及びNo.1
7の結晶粒超微細化オーステナイト鋼を800℃で熱間鍛
造し、外径300mm,肉厚3mm,長さ1000mmの円筒
を作製した。 実施例5 実施例1で作製した本発明の合金No.1〜10を用いて
抗菌性をハロー法により測定した。大腸菌を混合して作
製した寒天培地に試料を乗せ、37℃の恒温槽で24時
間保持した後、無菌域の半径を測定した。比較材料とし
て、抗菌性のある純銅と、抗菌性の無いSUS316を使用し
た。表7にCu濃度と無菌半径をまとめた結果を示し
た。本発明合金ではいずれも抗菌性があることが確認で
き、Cu濃度が高い方が抗菌性に優れることが明らかと
なった。純銅は無菌領域が広いものの表面が変色してい
た。
ーステナイト鋼を800℃で熱間鍛造し、一般産業用構
造部材として直径20mm,長さ300mmの棒及び幅5
0mm,長さ200mm,厚さ5mmの板を製造した。また、
実施例1で作製した本発明のNo.2,No.5及びNo.1
7の結晶粒超微細化オーステナイト鋼を800℃で熱間鍛
造し、外径300mm,肉厚3mm,長さ1000mmの円筒
を作製した。 実施例5 実施例1で作製した本発明の合金No.1〜10を用いて
抗菌性をハロー法により測定した。大腸菌を混合して作
製した寒天培地に試料を乗せ、37℃の恒温槽で24時
間保持した後、無菌域の半径を測定した。比較材料とし
て、抗菌性のある純銅と、抗菌性の無いSUS316を使用し
た。表7にCu濃度と無菌半径をまとめた結果を示し
た。本発明合金ではいずれも抗菌性があることが確認で
き、Cu濃度が高い方が抗菌性に優れることが明らかと
なった。純銅は無菌領域が広いものの表面が変色してい
た。
【0047】
【表7】
【0048】実施例6 実施例1で作製した本発明の合金No.1〜10を用いて
抗菌性をハロー法により測定した。ぶどう球菌を混合し
て作製した寒天培地に試料を乗せ、37℃の恒温槽で2
4時間保持した後、無菌域の半径を測定した。比較材料
として、抗菌性のある純銅と、抗菌性の無いSUS316を使
用した。表8にCu濃度と無菌半径をまとめた結果を示
した。本発明合金ではいずれも抗菌性があることが確認
でき、Cu濃度が高い方が抗菌性に優れることが明らか
となった。純銅は無菌領域が広いものの表面が変色して
いた。
抗菌性をハロー法により測定した。ぶどう球菌を混合し
て作製した寒天培地に試料を乗せ、37℃の恒温槽で2
4時間保持した後、無菌域の半径を測定した。比較材料
として、抗菌性のある純銅と、抗菌性の無いSUS316を使
用した。表8にCu濃度と無菌半径をまとめた結果を示
した。本発明合金ではいずれも抗菌性があることが確認
でき、Cu濃度が高い方が抗菌性に優れることが明らか
となった。純銅は無菌領域が広いものの表面が変色して
いた。
【0049】
【表8】
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、一般的に粒界が材料劣
化の主因となり得る環境化で使用される強度部材に適用
され、耐食性,強度に優れるため、製品の安全性,信頼
性の向上に顕著な効果が得られる。また、台所まわり,
トイレまわり等の家庭内水まわり部材だけでなく、壁や
柱,屋根などの建材,熱交換器や復水器等の配管系統部
材等水と接触する構造部材に適用され、抗菌性に優れる
ため、製品の安全性,信頼性の向上に顕著な効果が得ら
れる。
化の主因となり得る環境化で使用される強度部材に適用
され、耐食性,強度に優れるため、製品の安全性,信頼
性の向上に顕著な効果が得られる。また、台所まわり,
トイレまわり等の家庭内水まわり部材だけでなく、壁や
柱,屋根などの建材,熱交換器や復水器等の配管系統部
材等水と接触する構造部材に適用され、抗菌性に優れる
ため、製品の安全性,信頼性の向上に顕著な効果が得ら
れる。
【図1】本発明の結晶粒超微細化オーステナイト鋼の平
均結晶粒径と耐力及び伸びの関係を示す図。
均結晶粒径と耐力及び伸びの関係を示す図。
【図2】本発明に係る結晶粒超微細化オーステナイト鋼
を製造するのに用いた装置の構成を示す図。
を製造するのに用いた装置の構成を示す図。
【図3】本発明の結晶粒超微細化オーステナイト鋼を製
造するのに用いた機械的合金化粉末のミリング時間とX
線回折強度の関係を示す線図。
造するのに用いた機械的合金化粉末のミリング時間とX
線回折強度の関係を示す線図。
【図4】本発明の結晶粒超微細化オーステナイト鋼を製
造するのに用いた機械的合金化粉末のミリング時間と平
均結晶粒径の関係を示す線図。
造するのに用いた機械的合金化粉末のミリング時間と平
均結晶粒径の関係を示す線図。
【図5】本発明の結晶粒超微細化オーステナイト鋼を製
造するのに用いた機械的合金化粉末のミリング時間とX
線回折強度から求めた相変化の関係を示す線図。
造するのに用いた機械的合金化粉末のミリング時間とX
線回折強度から求めた相変化の関係を示す線図。
【図6】本発明に係る結晶粒超微細化オーステナイト鋼
を製造するのに用いた装置の構成図。
を製造するのに用いた装置の構成図。
【図7】本発明のNo.5オーステナイト鋼の熱処理温度
と平均結晶粒径の関係を示す線図。
と平均結晶粒径の関係を示す線図。
【図8】本発明のNo.5オーステナイト鋼の熱処理時間
と平均結晶粒径の関係を示す線図。
と平均結晶粒径の関係を示す線図。
【図9】本発明のNo.5オーステナイト鋼と従来材実用
316L鋼の平均結晶粒径と耐力の関係を示す図。
316L鋼の平均結晶粒径と耐力の関係を示す図。
【図10】本発明のNo.5オーステナイト鋼の真空焼鈍
材と圧延急冷材の応力−歪曲線を示す線図。
材と圧延急冷材の応力−歪曲線を示す線図。
1…粉砕タンク、2…冷却水入口、3…冷却水出口、7
…アジテータアーム、13…ステンレス容器、16…回
転盤。
…アジテータアーム、13…ステンレス容器、16…回
転盤。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B22F 3/15 B22F 3/24 B 3/24 3/14 M
Claims (13)
- 【請求項1】重量で、C0.1%以下,Si1%以下,
Mn2.0%以下,Ni9〜30%,Cr14〜20
%,Cu10%以下及びFe45%以上を含有し、平均
結晶粒径が1μm以下であり、90体積%以上のオース
テナイト相を有することを特徴とする高強度オーステナ
イト焼結鋼。 - 【請求項2】重量で、C0.1%以下,Si1%以下,
Mn2.0%以下,Ni9〜30%,Cr14〜20
%,Mo3%以下,Cu10%以下及びFe45%以上
を含有し、平均結晶粒径が1μm以下であり、90体積
%以上のオーステナイト相を有することを特徴とする高
強度オーステナイト焼結鋼。 - 【請求項3】重量で、C0.1%以下,Si1%以下,
Mn2.0%以下,Ni9〜30%,Cr14〜20
%,Cu10%以下と、Ti1.0%以下,Zr2.0%
以下,Nb1.0% 以下の1種又は複数の元素を2.0
% 以下と、Fe45%以上とを含有し、平均結晶粒径
が1μm以下であり、90体積%以上のオーステナイト
相を有することを特徴とする高強度オーステナイト焼結
鋼。 - 【請求項4】重量で、C0.1%以下,Si1%以下,
Mn2.0%以下,Ni9〜30%,Cr14〜20
%,Mo3%以下,Cu10%以下と、Ti1.0% 以
下,Zr2.0%以下,Nb1.0%以下の1種又は複数
の元素を2.0% 以下と、Fe45%以上とを含有し、
平均結晶粒径が1μm以下であり、90体積%以上のオ
ーステナイト相を有することを特徴とする高強度オース
テナイト焼結鋼。 - 【請求項5】重量で、C0.1%以下,Si1%以下,
Mn2.0%以下,Ni9〜30%,Cr14〜20
%,Cu10%以下及びFe45%以上を含有する鋼粉
又はこれにMo3%以下,Ti1.0% 以下,Zr2.
0%以下,Nb1.0%以下の1種又は複数の元素を2.
0% 以下を含有する鋼粉に結晶粒径20nm以下でか
つ加工誘起マルテンサイト変態相を有する加工粉末を形
成する工程と、前記加工粉末を1000℃以下の温度で
熱間静水圧焼結又は熱間押し出し加工を施す工程とを有
することを特徴とする高強度オーステナイト焼結鋼の製
造方法。 - 【請求項6】重量で、C0.1%以下,Si1%以下,
Mn2.0%以下,P0.045% 以下,S0.03%
以下,Ni9〜30%,Cr14〜20%,Cu10%
以下及びFe45%以上を含有するオーステナイト鋼の
加工誘起マルテンサイト相を含む機械的加工粉末を用い
て700℃〜1050℃の温度で固形化熱処理、あるい
は固形化熱処理とそれに続く該固形化物の加工熱処理を
実施し、室温の体積率で90%以上がオーステナイト相
であり、該相の平均結晶粒径が10nm〜1000nmである
ことを特徴とする高強度オーステナイト焼結鋼の製造方
法。 - 【請求項7】重量で、C0.1%以下,Si1%以下,
Mn2.0%以下,P0.045% 以下,S0.03%
以下,Ni9〜30%,Cr14〜20%,Cu10%
以下,Mo2〜3%及びFe45%以上を含有するオー
ステナイト鋼の加工誘起マルテンサイト相を含む機械的
加工粉末を用いて、700℃〜1050℃の温度で固形
化熱処理、あるいは固形化熱処理とそれに続く該固形化
物の加工熱処理を実施し、室温の体積率で90%以上が
オーステナイト相であり、該相の平均結晶粒径が10n
m〜1000nmであることを特徴とする高強度オース
テナイト焼結鋼の製造方法。 - 【請求項8】重量で、C0.1%以下,Si1%以下,
Mn2.0%以下,P0.045% 以下,S0.03%
以下,Ni9〜30%,Cr14〜20%,Cu10%
以下と、Ti1.0%以下,Zr2.0%以下,Nb1.
0% 以下のうち少なくとも1種あるいは複数の元素を
2.0% 以下と、Fe45%以上とを含むオーステナイ
ト鋼の加工誘起マルテンサイト相を含む機械的加工粉末
を用いて700℃〜1050℃の温度で固形化熱処理、ある
いは固形化熱処理とそれに続く該固形化物の加工熱処理
を実施し、室温での体積率で90%以上がオーステナイ
ト相であり、該相の平均結晶粒径が10nm〜1000
nmであることを特徴とする高強度オーステナイト焼結
鋼の製造方法。 - 【請求項9】重量で、C0.1%以下,Si1%以下,
Mn2.0%以下,P0.045% 以下,S0.03%
以下,Ni9〜30%,Cr14〜20%,Mo2.0
〜3.0%,Cu10%以下と、Ti1.0%以下,Zr
2.0%以下,Nb1.0% 以下の1種あるいは複数の
元素を2.0% 以下と、Fe45%以上とを含むオース
テナイト鋼の加工誘起マルテンサイト相を含む機械的加
工粉末を用いて700℃〜1050℃の温度で固形化熱
処理、あるいは固形化熱処理とそれに続く該固形化物の
加工熱処理を実施し、室温の体積率で90%以上がオー
ステナイト相であり、該相の平均結晶粒径が10nm〜
1000nmであることを特徴とする高強度オーステナ
イト焼結鋼の製造方法。 - 【請求項10】重量で、C0.1%以下,Si1%以
下,Mn2.0%以下,Ni9〜30%,Cr14〜2
0%,Cu10%以下及びFe45%以上を含有する鋼
粉又はこれにMo3%以下,Ti1.0%以下,Zr2.
0%以下,Nb1.0% 以下の1種又は複数の元素を合
計で2.0% 以下を含有する鋼粉をアトマイズ粉末ある
いは総体として該組成を満たす混合粉末を100℃以下
で30〜100時間アトライタあるいはボールミルを用
いて機械的にグラインディングまたは合金化処理し、結
晶粒径が15nm以下の加工誘起マルテンサイト変態相
を有する加工粉末を形成する工程と、該加工粉末を熱間
静水圧焼結または熱間押し出し法にて700℃〜105
0℃の温度範囲で固形化熱処理あるいは固形化熱処理と
それに続く上記温度域での最終加工熱処理をすることに
より室温の体積率で90%以上がオーステナイト相とな
り、10nm〜1000nmの範囲で平均結晶粒径を調
整することを特徴とする高強度オーステナイト焼結鋼の
製造方法。 - 【請求項11】重量で、C0.1%以下,Si1%以
下,Mn2.0%以下,Ni9〜30%,Cr14〜2
0%,Cu10%以下及びFe45%以上を含有するオ
ーステナイト焼結鋼又はこれにMo3%以下,Ti1.
0%以下,Zr2.0%以下,Nb1.0% 以下の1種
又は複数の元素を合計で2.0% 以下を含有するオース
テナイト焼結鋼よりなることを特徴とする配管部材。 - 【請求項12】重量で、C0.1%以下,Si1%以
下,Mn2.0%以下,Ni9〜30%,Cr14〜2
0%,Cu10%以下及びFe45%以上を含有するオ
ーステナイト焼結鋼又はこれにMo3%以下,Ti1.
0%以下,Zr2.0%以下,Nb1.0% 以下の1種
又は複数の元素を合計で2.0% 以下を含有するオース
テナイト焼結鋼よりなることを特徴とする締結部材。 - 【請求項13】水と接触するオーステナイト鋼からなる
構造部材において、該部材は平均結晶粒径が1μm以下
であることを特徴とする抗菌性高強度構造部材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9196755A JPH1143748A (ja) | 1997-07-23 | 1997-07-23 | 高強度オーステナイト焼結鋼とその製造方法及びその用途 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9196755A JPH1143748A (ja) | 1997-07-23 | 1997-07-23 | 高強度オーステナイト焼結鋼とその製造方法及びその用途 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1143748A true JPH1143748A (ja) | 1999-02-16 |
Family
ID=16363083
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9196755A Pending JPH1143748A (ja) | 1997-07-23 | 1997-07-23 | 高強度オーステナイト焼結鋼とその製造方法及びその用途 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1143748A (ja) |
Cited By (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002146485A (ja) * | 2000-11-14 | 2002-05-22 | Nippon Steel Corp | 耐応力腐食割れ性に優れた燃料タンク用表面被覆オーステナイト系ステンレス鋼 |
EP1234894A1 (en) * | 2001-02-27 | 2002-08-28 | Hitachi, Ltd. | Corrosion resistant, high strength alloy and a method for manufacturing the same |
WO2004029312A1 (ja) * | 2002-09-27 | 2004-04-08 | Nano Technology Institute, Inc | 超硬質・強靭で優れた耐食性を有するナノ結晶オ−ステナイト鋼バルク材及びその製造方法 |
WO2004029313A1 (ja) * | 2002-09-30 | 2004-04-08 | Nano Technology Institute, Inc | 高硬度・高強度で強靭なナノ結晶金属バルク材及びその製造方法 |
JP2009138259A (ja) * | 2007-11-13 | 2009-06-25 | Seiko Epson Corp | 粉末冶金用金属粉末、焼結体および焼結体の製造方法 |
CN104889379A (zh) * | 2014-03-04 | 2015-09-09 | 精工爱普生株式会社 | 粉末冶金用金属粉末、复合物、造粒粉末及烧结体 |
WO2015133460A1 (ja) * | 2014-03-05 | 2015-09-11 | 国立大学法人北海道大学 | 高耐熱オーステナイト系ステンレス鋼 |
US20160194740A1 (en) * | 2015-01-06 | 2016-07-07 | Seiko Epson Corporation | Metal powder for powder metallurgy, compound, granulated powder, and sintered body |
CN115341128A (zh) * | 2018-07-26 | 2022-11-15 | 广东美芝制冷设备有限公司 | 无铜冶金材料的制备方法及无铜冶金材料、平衡块和压缩机 |
WO2023082164A1 (zh) * | 2021-11-12 | 2023-05-19 | 港大科桥有限公司 | 一种抗菌抗病毒含铜不锈钢及其制备方法和应用 |
-
1997
- 1997-07-23 JP JP9196755A patent/JPH1143748A/ja active Pending
Cited By (15)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002146485A (ja) * | 2000-11-14 | 2002-05-22 | Nippon Steel Corp | 耐応力腐食割れ性に優れた燃料タンク用表面被覆オーステナイト系ステンレス鋼 |
JP4480257B2 (ja) * | 2000-11-14 | 2010-06-16 | 新日鐵住金ステンレス株式会社 | 耐応力腐食割れ性に優れた燃料タンク用表面被覆オーステナイト系ステンレス鋼 |
EP1234894A1 (en) * | 2001-02-27 | 2002-08-28 | Hitachi, Ltd. | Corrosion resistant, high strength alloy and a method for manufacturing the same |
US7662207B2 (en) | 2002-09-27 | 2010-02-16 | Nano Technology Institiute, Inc. | Nano-crystal austenitic steel bulk material having ultra-hardness and toughness and excellent corrosion resistance, and method for production thereof |
WO2004029312A1 (ja) * | 2002-09-27 | 2004-04-08 | Nano Technology Institute, Inc | 超硬質・強靭で優れた耐食性を有するナノ結晶オ−ステナイト鋼バルク材及びその製造方法 |
WO2004029313A1 (ja) * | 2002-09-30 | 2004-04-08 | Nano Technology Institute, Inc | 高硬度・高強度で強靭なナノ結晶金属バルク材及びその製造方法 |
JP2009138259A (ja) * | 2007-11-13 | 2009-06-25 | Seiko Epson Corp | 粉末冶金用金属粉末、焼結体および焼結体の製造方法 |
CN104889379A (zh) * | 2014-03-04 | 2015-09-09 | 精工爱普生株式会社 | 粉末冶金用金属粉末、复合物、造粒粉末及烧结体 |
US20150252459A1 (en) * | 2014-03-04 | 2015-09-10 | Seiko Epson Corporation | Metal powder for powder metallurgy, compound, granulated powder, and sintered body |
WO2015133460A1 (ja) * | 2014-03-05 | 2015-09-11 | 国立大学法人北海道大学 | 高耐熱オーステナイト系ステンレス鋼 |
US20160194740A1 (en) * | 2015-01-06 | 2016-07-07 | Seiko Epson Corporation | Metal powder for powder metallurgy, compound, granulated powder, and sintered body |
CN105750536A (zh) * | 2015-01-06 | 2016-07-13 | 精工爱普生株式会社 | 粉末冶金用金属粉末、复合物、造粒粉末及烧结体 |
CN105750536B (zh) * | 2015-01-06 | 2020-04-28 | 精工爱普生株式会社 | 粉末冶金用金属粉末、复合物、造粒粉末及烧结体 |
CN115341128A (zh) * | 2018-07-26 | 2022-11-15 | 广东美芝制冷设备有限公司 | 无铜冶金材料的制备方法及无铜冶金材料、平衡块和压缩机 |
WO2023082164A1 (zh) * | 2021-11-12 | 2023-05-19 | 港大科桥有限公司 | 一种抗菌抗病毒含铜不锈钢及其制备方法和应用 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3689009B2 (ja) | 高耐食性高強度オーステナイト系ステンレス鋼とその製法 | |
JP7601463B2 (ja) | 高エントロピーのオーステナイト系ステンレス鋼及びその製造方法 | |
Ma et al. | A repetitive thermomechanical process to produce nano-crystalline in a metastable austenitic steel | |
EP1548138A1 (en) | Nano-crystal austenitic metal bulk material having high hardness, high strength and toughness , and method for production thereof | |
US7922841B2 (en) | Method for preparing high-temperature nanophase aluminum-alloy sheets and aluminum-alloy sheets prepared thereby | |
CN111826550B (zh) | 一种中等强度耐硝酸腐蚀钛合金 | |
JP6229180B1 (ja) | 準安定オーステナイト系ステンレス鋼帯または鋼板並びにその製造方法 | |
EP0584596A2 (en) | High strength and anti-corrosive aluminum-based alloy | |
RU2117065C1 (ru) | Высокопрочный высокопластичный титановый сплав и способ его изготовления | |
JPH1143748A (ja) | 高強度オーステナイト焼結鋼とその製造方法及びその用途 | |
Maehara et al. | Superplasticity of steels and ferrous alloys | |
KR102429733B1 (ko) | 내부식성 물체 및 그 제조 방법 | |
CN113832369B (zh) | 增材制造的具有超高屈服强度和高塑性的亚稳态β钛合金 | |
JP2018508652A (ja) | 耐食性物品および製造方法 | |
JP3020924B1 (ja) | 高強度高耐食性フェライト鋼の製造方法 | |
Sahu et al. | A novel method for development of hard nano crystalline surface through SMAT and mechanical alloying | |
Lumley et al. | Nanoengineering of metallic materials | |
Lee et al. | Effect of aging treatment on the mechanical properties of C-250 maraging steel by flow forming | |
JP2003055747A (ja) | 焼結工具鋼及びその製造方法 | |
Khan et al. | Micro-Alloyed Steels | |
JPH0693393A (ja) | 高強度耐食性アルミニウム基合金 | |
CN116065101B (zh) | 无钴钢、制备方法及应用 | |
Astafurov et al. | The effect of thermo-mechanical processing regime on high-temperature tensile properties of v-alloyed high-nitrogen steel | |
Suryanarayana et al. | Alloyed steels: mechanically | |
Wang et al. | Effect of Chromium-enhanced Diffusivity on Reverted Transformation in Metastable Austenitic Stainless Steels: Theoretical Calculation and Experiment |