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JPH11349972A - トラクションドライブ用流体 - Google Patents

トラクションドライブ用流体

Info

Publication number
JPH11349972A
JPH11349972A JP10173299A JP10173299A JPH11349972A JP H11349972 A JPH11349972 A JP H11349972A JP 10173299 A JP10173299 A JP 10173299A JP 10173299 A JP10173299 A JP 10173299A JP H11349972 A JPH11349972 A JP H11349972A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
branched
linear
traction drive
carbon atoms
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10173299A
Other languages
English (en)
Inventor
Noboru Ishida
▲昇▼ 石田
Junya Kono
淳也 河野
Shinichi Shirahama
真一 白濱
Tetsuo Okawa
哲夫 大川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Eneos Corp
Original Assignee
Nippon Mitsubishi Oil Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Mitsubishi Oil Corp filed Critical Nippon Mitsubishi Oil Corp
Priority to JP10173299A priority Critical patent/JPH11349972A/ja
Publication of JPH11349972A publication Critical patent/JPH11349972A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 動力伝達能力に優れているだけでなく、油圧
制御用流体としての能力及び湿式クラッチの摩擦特性制
御用流体としての能力にも優れたトラクションドライブ
用流体を提供することにある。 【解決手段】 トラクションドライブ用流体は、下記一
般式(1)で表されるナフテン環含有カーボネートから
なる。 【化1】 (式中、R1,R2,R3,R4,R5及びR6は、それぞれ
個別に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基(ナフテ
ン環を含んでも良い)を示す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はトラクションドライ
ブ用流体に関し、さらに詳しくは、自動車用トラクショ
ンドライブ式無段変速機に使用され、また、動力伝達機
構に使用するのみならず、油圧制御機構並びに湿式クラ
ッチの摩擦特性制御機構にも使用可能であるトラクショ
ンドライブ用流体に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来か
ら、産業用機械の分野では、既に油膜を介して動力を伝
達するトラクションドライブ式動力伝達装置にトラクシ
ョンドライブ用流体が使用されている。そのような装置
では、トラクションドライブ用流体には、動力伝達能力
を示すトラクション係数が高いことが要求される。トラ
クションドライブ用流体は、自動車用の無段変速機に使
用されるべく研究開発が進められている。自動車用とし
て使用される際には、トラクションドライブ用流体は、
動力伝達機構だけではなく油圧制御機構並びに湿式クラ
ッチの摩擦特性制御機構にも使用されることとなる。と
ころで、自動車用の変速機として、油圧制御機構用並び
に湿式クラッチの摩擦特性制御機構用として使用されて
いる潤滑油としては自動変速機油(以下ATF)があ
る。ATFは、油圧制御機構としての役割を満たすため
に、高温時の動粘度がある程度以上高いこと、並びに低
温流動性が優れていることが必要とされていることはよ
く知られている事実である。また、湿式クラッチの摩擦
特性制御機構、特に、スリップ制御機構を付加した制御
機構としての役割を満たすために、ATFは、摩擦特性
に優れた、特に耐シャダー特性に優れた添加剤を配合す
ることが必要とされていることもまた、よく知られてい
る事実である。よって、トラクションドライブ用流体を
自動車用のトラクションドライブ式無段変速機に使用す
る際には、トラクションドライブ用流体は、本来その性
能が優れている動力伝達能力のみならず、ATFに必要
とされる油圧制御用流体としての能力及び湿式クラッチ
の摩擦特性制御用流体としての能力が必要となってく
る。しかし、市販されているトラクションドライブ用流
体としては、「サントトラック」があり、これは動力伝
達能力に優れることが広く知られているが、自動車用の
無段変速機に使用される際には、低温時の流動性、その
他の性能を満たすことが必要とされることから、未だ自
動車用トラクションドライブ用流体は市販に至っていな
いのが現状である。そこで、本発明は、このような実情
に鑑みなされたものであり、その目的は、動力伝達能力
に優れているだけでなく、油圧制御用流体としての能力
及び湿式摩擦材制御用流体としての能力にも優れたトラ
クションドライブ用流体を提供することにある。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の問
題を解決するために鋭意研究した結果、トラクションド
ライブ用流体、さらに詳しくは、自動車用トラクション
ドライブ式無段変速機に使用されるトラクションドライ
ブ用流体、さらに詳しくは、トラクションドライブ用流
体を動力伝達機構に使用するのみならず、油圧制御機構
並びに湿式クラッチの摩擦特性制御機構にも適用可能で
あるトラクションドライブ用流体を開発したのである。
すなわち、本発明のトラクションドライブ用流体は、下
記一般式(1)で表されるナフテン環含有カーボネート
からなるものである。
【化3】 (式中、R1,R2,R3,R4,R5及びR6は、それぞれ
個別に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基(ナフテ
ン環を含んでも良い)を示す。) また、本発明のトラクションドライブ用流体は、下記一
般式(2)で表されるナフテン環含有カーボネートから
なるものである。
【化4】 (式中、R1〜R6は、それぞれ個別に水素原子又は炭素
数1〜8のアルキル基(ナフテン環を含んでも良い)を
示し、かつ、R1,R3,R4及びR6のうち少なくとも1
つが炭素数1〜8のアルキル基(ナフテン環を含んでも
良い)を示す。) また、本発明のトラクションドライブ用流体は、前記ナ
フテン環含有カーボネートと、鉱油及び分子量が150
〜800の合成油の中から選ばれる少なくとも1つとか
らなるものである。
【0004】前記トラクションドライブ用流体に粘度指
数向上剤を配合することが好ましい。その粘度指数向上
剤が、数平均分子量が800を超え150000以下の
エチレン−α−オレフィン共重合体又はその水素化物で
あることが好ましい。また、前記トラクションドライブ
用流体に、無灰分散剤及びリン系添加剤を配合すること
が好ましい。さらに、前記トラクションドライブ用流体
に、炭素数6〜30のアルキル基あるいはアルケニル基
を分子中に少なくとも1個有し、かつ、炭素数31以上
の炭化水素基を分子中に含有しない摩擦調整剤を配合す
ることが好ましい。さらにまた、前記トラクションドラ
イブ用流体に、全塩基価が20〜450mgKOH/g
の金属系清浄剤を配合することが好ましい。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明の内容をさらに詳細
に説明する。本発明のトラクションドライブ用流体は、
下記一般式(1)で表されるナフテン環含有カーボネー
トからなるものである。
【化5】 式(1)中、R1,R2,R3,R4,R5及びR6は、それ
ぞれ個別に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基(ナ
フテン環を含んでも良い)、好ましくは水素原子又は炭
素数1〜4のアルキル基、さらに好ましくは水素原子又
はメチル基である。一般式(1)で表されるナフテン環
含有カーボネートの中で好ましいものとしては、下記一
般式(2)で表される化合物等が挙げられる。
【化6】 式(2)中、R1〜R6は、それぞれ個別に水素原子又は
炭素数1〜8のアルキル基(ナフテン環を含んでも良
い)、好ましくは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル
基、さらに好ましくは水素原子又はメチル基であり、か
つ、R1,R3,R 4及びR6から任意に選ばれる少なくと
も1つ、好ましくは少なくとも2つ以上、さらに好まし
くは少なくともR1及びR4が炭素数1〜8のアルキル基
(ナフテン環を含んでも良い)、好ましくは炭素数1〜
4のアルキル基、さらに好ましくはメチル基である。式
(1)及び(2)においてR1〜R6を示すアルキル基と
しては、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピ
ル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、
sec−ブチル基、tert−ブチル基、直鎖又は分枝
のペンチル基、直鎖又は分枝のヘキシル基、直鎖又は分
枝のヘプチル基、直鎖又は分枝のオクチル基、シクロペ
ンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロペン
チルプロピル基、メチルシクロペンチルメチル基、エチ
ルシクロペンチルメチル基、ジメチルシクロペンチルメ
チル基、メチルシクロペンチルエチル基、シクロヘキシ
ルメチル基、シクロヘキシルエチル基、メチルシクロヘ
キシルメチル基、シクロヘプチルメチル基などが挙げら
れ、これらの中でも炭素数1〜4のアルキル基が好まし
く、特にメチル基が好ましい。炭素数が9以上の場合は
流体の低温粘度が悪化するので、好ましくない。ナフテ
ン環含有カーボネートとしては、より具体的には例え
ば、以下の化合物等が挙げられる。なお、化合物中、A
【化7】 を示す。 (1)シクロヘキサン環に付加しているアルキル基の
数:0個
【化8】 (2)シクロヘキサン環に付加しているアルキル基の
数:1個
【化9】 (3)シクロヘキサン環に付加しているアルキル基の
数:2個
【化10】
【化11】 (4)シクロヘキサン環に付加しているアルキル基の
数:3個
【化12】
【化13】 (5)シクロヘキサン環に付加しているアルキル基の
数:4個
【化14】
【化15】 なお、前記(2)〜(5)に例示された化合物中のシク
ロヘキサン環から延びる直線はそれぞれアルキル基を示
す。これら化合物のうちでも、好ましいものは、(2−
1),(3−2),(3−3),(3−4),(3−1
1),(3−12),(3−13),(4−6),(4
−7),(4−8),(4−10),(4−11),
(4−12),(4−14),(4−15),(4−1
6),(4−17),(4−21),(5−10),
(5−11),(5−14),(5−15),(5−1
7)及び(5−18)で表される化合物である。より好
ましいものは、(3−10),(4−2),(4−
3),(4−4),(5−5)及び(5−6)で表され
る化合物である。より一層好ましいものは、(3−
1),(4−5),(4−9),(4−13),(5−
7),(5−8),(5−9),(5−12),(5−
13)及び(5−16)で表される化合物である。さら
により一層好ましいものは、(4−1),(5−2),
(5−3)及び(5−4)で表される化合物である。最
も好ましいものは(5−1)で表される化合物である。
一般式(1)で表されるナフテン環含有カーボネート
の合成方法は、特に限定されず、従来周知の種々の方法
を適用することができ、例えば、エステル交換反応によ
る合成方法等である。 エステル交換反応 下記の一般式(a)で表されるジエチルカーボネート及
び一般式(b)で表されるアルキルシクロヘキサノール
を原料として、金属ナトリウム、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウムなどのアルカリ触媒を使用して100〜2
00℃の温度下でエステル交換反応を行うことによっ
て、下記一般式(1)で表されるナフテン環含有カーボ
ネートを合成することができる。
【化16】
【化17】
【化18】
【0006】本発明のトラクションドライブ用流体は、
前記ナフテン環含有カーボネートと、鉱油及び分子量が
150〜800、好ましくは150〜500の合成油の
中から選ばれる少なくとも1つとからなることが好まし
い。本発明において鉱油としては、具体的には例えば、
原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られた潤滑油留分
を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、
接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の精製
処理などを適宜組み合わせて精製したパラフィン系、ナ
フテン系などの油やノルマルパラフィンなどが使用でき
る。なお、鉱油を用いる場合の鉱油の動粘度は、特に限
定されず任意であるが、100℃における動粘度が、通
常、1〜10mm2/s、好ましくは2〜8mm2/sで
あるものを用いるのが望ましい。本発明において合成油
としては、分子量が150〜800であることが必要で
あり、好ましくは150〜500である。分子量が15
0未満の場合は蒸発損失が大きくなり、一方、800を
超える場合は低温流動性が悪化するので、好ましくな
い。合成油としては、特に制限はないが、ポリ−α−オ
レフィン(1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴ
マー、エイチレン−プロピレンオリゴマーなど)及びそ
の水素化物、イソブテンオリゴマー及びその水素化物、
イソパラフィン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレ
ン、ジエステル(ジトリデシルグルタレート、ジ2−エ
チルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジ
トリデシルアジペート、ジ2−エチルヘキシルセバケー
トなど)、ポリオールエステル(トリメチロールプロパ
ンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネー
ト、ペンタエリスリトール2−エチルヘキサノエート、
ペンタエリスリトールペラルゴネートなど)、ポリオキ
シアルキレングリコール、ジアルキルジフェニルエーテ
ル、並びにポリフェニルエーテルなどが使用できる。ま
た、合成油のうちでも、イソブテンオリゴマーあるいは
その水素化物、あるいは下記の一般式(3)〜(7)で
表される合成油は、トラクションドライブ用流体に配合
することにより、特に、トラクション係数が高く、か
つ、低温流動性に優れ、かつ、高い高温粘度を有してお
り、総合的な性能に優れているトラクションドライブ用
流体が得られる点から特に好ましい合成油として挙げら
れる。
【化19】 (式中、R7,R8,R9,R10,R11,R12,R13及び
14は、それぞれ個別に水素原子又は炭素数1〜8のア
ルキル基(ナフテン環を含んでも良い)、好ましくは炭
素数1〜4のアルキル基を示す。)
【化20】 (式中、R15,R16,R17,R18,R19,R20,R21
22,R23及びR24は、それぞれ個別に水素原子又は炭
素数1〜8のアルキル基(ナフテン環を含んでも良
い)、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
【化21】 (式中、R25,R26,R27,R28,R29,R30,R31
32,R33,R34,R35及びR36は、それぞれ個別に水
素原子又は炭素数1〜8のアルキル基(ナフテン環を含
んでも良い)、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基を
示す。)
【化22】 (式中、R37,R38,R39,R40,R41及びR42は、そ
れぞれ水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基(ナフテ
ン環を含んでも良い)、好ましくは炭素数1〜4のアル
キル基を示す。)
【化23】 (式中、R43,R44,R45,R46,R47及びR48は、そ
れぞれ水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基(ナフテ
ン環を含んでも良い)、好ましくは炭素数1〜4のアル
キル基を示す。) 一般式(3)〜(7)においてR7〜R48を示すアルキ
ル基としては、具体的には例えば、メチル基、エチル
基、n-プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、
イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル
基、直鎖又は分枝のペンチル基、直鎖又は分枝のヘキシ
ル基、直鎖又は分枝のヘプチル基、直鎖又は分枝のオク
チル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチ
ル基、シクロペンチルプロピル基、メチルシクロペンチ
ルメチル基、エチルシクロペンチルメチル基、ジメチル
シクロペンチルメチル基、メチルシクロペンチルエチル
基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル
基、メチルシクロヘキシルメチル基、シクロヘプチルメ
チル基などが挙げられ、これらの中でも炭素数1〜4の
アルキル基が特に好ましい。ナフテン環含有カーボネー
トと、鉱油及び/又は合成油との配合比率は、特に限定
されないが、1:99〜100:0、好ましくは5:9
5〜100:0が望ましい。
【0007】また、本発明のトラクションドライブ用流
体は粘度指数向上剤を配合することが好ましい。本発明
において粘度指数向上剤(V成分)としては、例えば、
下記の一般式(8)、(9)及び(10)で表される
(V−1)化合物の中から選ばれる1種又は2種以上の
モノマーの共重合体あるいはその水素化物などのいわゆ
る非分散型粘度指数向上剤、あるいは、(V−1)化合
物の中から選ばれる1種又は2種以上のモノマーと、一
般式(11)及び(12)で表される(V−2)化合物
の中から選ばれる1種又は2種以上のモノマーとの共重
合体あるいはその水素化物などの、いわゆる分散型粘度
指数向上剤などが挙げられる。
【化24】 (8)式中、R49は水素原子又はメチル基を示し、R50
は炭素数1〜18のアルキル基を示す。
【化25】 (9)式中、R51は水素原子又はメチル基を示し、R52
は炭素数1〜12の炭化水素基を示す。
【化26】 (10)式中、Y1及びY2は、それぞれ個別に水素原
子、炭素数1〜18のアルキルアルコールの残基(−O
53:R53は炭素数1〜18のアルキル基)、あるい
は、炭素数1〜18のモノアルキルアミンの残基(−N
HR54:R54は炭素数1〜18のアルキル基)を示す。
50を示す炭素数1〜18のアルキル基としては、具体
的には例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、
イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec
−ブチル基、tert−ブチル基、直鎖又は分枝のペン
チル基、直鎖又は分枝のヘキシル基、直鎖又は分枝のヘ
プチル基、直鎖又は分枝のオクチル基、直鎖又は分枝の
ノニル基、直鎖又は分枝のデシル基、直鎖又は分枝のデ
シル基、直鎖又は分枝のウンデシル基、直鎖又は分枝の
ドデシル基、直鎖又は分枝のトリデシル基、直鎖又は分
枝のテトラデシル基、直鎖又は分枝のペンタデシル基、
直鎖又は分枝のヘキサデシル基、直鎖又は分枝のヘプタ
デシル基、直鎖又は分枝のオクタデシル基などが挙げら
れる。R52を示す炭化水素基としては、具体的には例え
ば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピ
ル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル
基、tert−ブチル基、直鎖又は分枝のペンチル基、
直鎖又は分枝のヘキシル基、直鎖又は分枝のヘプチル
基、直鎖又は分枝のオクチル基、直鎖又は分枝のノニル
基、直鎖又は分枝のデシル基、直鎖又は分枝のウンデシ
ル基、直鎖又は分枝のドデシル基などのアルキル基;直
鎖又は分枝のブテニル基、直鎖又は分枝のペンテニル
基、直鎖又は分枝のヘキセニル基、直鎖又は分枝のヘプ
テニル基、直鎖又は分枝のオクテニル基、直鎖又は分枝
のノネニル基、直鎖又は分枝のデセニル基、直鎖又は分
枝のウンデセニル基、直鎖又は分枝のドデセニル基など
のアルケニル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル
基、シクロヘプチル基などの炭素数5〜7のシクロアル
キル基;メチルシクロペンチル基、ジメチルシクロペン
チル基(全ての構造異性体を含む)、メチルエチルシク
ロペンチル基(全ての構造異性体を含む)、ジエチルシ
クロペンチル基(全ての構造異性体を含む)、メチルシ
クロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基(全ての構
造異性体を含む)、メチルエチルシクロヘキシル基(全
ての構造異性体を含む)、ジエチルシクロヘキシル基
(全ての構造異性体を含む)、メチルシクロヘプチル
基、ジメチルシクロヘプチル基(全ての構造異性体を含
む)、メチルエチルシクロヘプチル基(全ての構造異性
体を含む)、ジエチルシクロヘプチル基(全ての構造異
性体を含む)などの炭素数6〜11のアルキルシクロア
ルキル基;フェニル基、ナフチル基などのアリール基:
トリル基(全ての構造異性体を含む)、キシリル基(全
ての構造異性体を含む)、エチルフェニル基(全ての構
造異性体を含む)、直鎖又は分枝のプロピルフェニル基
(全ての構造異性体を含む)、直鎖又は分枝のブチルフ
ェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖又は分枝の
ペンチルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖
又は分枝のヘキシルフェニル基(全ての構造異性体を含
む)などの炭素数7〜12の各アルキルアリール基;ベ
ンシル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基(プ
ロピル基の異性体を含む)、フェニルブチル基(ブチル
基の異性体を含む)、フェニルペンチル基(ペンチル基
の異性体を含む)、フェニルヘキシル基(ヘキシル基の
異性体を含む)などの炭素数7〜12の各アリールアル
キル基;などが挙げられる。(V−1)成分のモノマー
として好ましいものとしては、具体的には例えば、炭素
数1〜18アルキルアクリレート、炭素数1〜18アル
キルメタクリレート、炭素数2〜20のオレフィン、ス
チレン、メチルスチレン、無水マレイン酸エステル、無
水マレイン酸アミド及びこれらの混合物などが挙げられ
る。
【化27】 (11)式中、R55は水素原子又はメチル基を示し、R
56は炭素数2〜18のアルキレン基を示す、Z1は窒素
原子を1〜2個、酸素原子を0〜2個含有するアミン残
基又は複素環残基を示す。また、aは0又は1の整数で
ある。
【化28】 (12)式中、R57は水素原子又はメチル基を示し、Z
2は窒素原子を1〜2個、酸素原子を0〜2個含有する
アミン残基又は複素環残基を示す。R56を示すアルキレ
ン基としては、具体的には例えば、直鎖又は分枝のエチ
レン基、直鎖又は分枝のプロピレン基、直鎖又は分枝の
ブチレン基、直鎖又は分枝のペンチレン基、直鎖又は分
枝のヘキシレン基、直鎖又は分枝のへプチレン基、直鎖
又は分枝のオクチレン基、直鎖又は分枝のノニレン基、
直鎖又は分枝のデシレン基、直鎖又は分枝のウンデシレ
ン基、直鎖又は分枝のドデシレン基、直鎖又は分枝のト
リデシレン基、直鎖又は分枝のテトラデシレン基、直鎖
又は分枝のペンタデシレン基、直鎖又は分枝のヘキサデ
シレン基、直鎖又は分枝のヘプタデシレン基、直鎖又は
分枝のオクタデシレン基などが挙げられる。Z1及びZ2
を示す基としては、具体的には例えば、それぞれ個別
に、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピル
アミノ基、ジブチルアミノ基、アニリノ基、トルイジノ
基、キシリジノ基、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミ
ノ基、モルホリノ基、ピロリル基、ピロリノ基、ピリジ
ル基、メチルピリジル基、ピロリジニル基、ピペリジニ
ル基、キノニル基、ピロリドニル基、ピロリドノ基、イ
ミダゾリノ基、ピラジノ基などが挙げられる。(V−
2)成分の含窒素モノマーとして好ましいものとして
は、具体的には例えば、ジメチルアミノメチルメタクリ
レート、ジエチルアミノメチルメタクリレート、ジメチ
ルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチル
メタクリレート、2−メチル−5−ビニルピリジン、モ
ルホリノメチルメタクリレート、モルホリノエチルメタ
クリレート、N−ビニルピロリドン及びこれらの混合物
などが挙げられる。なお、本発明における分散型粘度指
数向上剤とは、前記の(V−2)成分のような含窒素モ
ノマーをコモノマーとする共重合体を意味している。こ
の分散型粘度指数向上剤は、前記(V−1)化合物の中
から選ばれる1種又は2種以上のモノマーと、(V−
2)化合物の中から選ばれる1種又は2種以上の含窒素
モノマーとを共重合することにより得ることができる。
共重合の際の(V−1)成分と(V−2)成分のモル比
は任意であるが、一般に、80:20〜95:5程度で
ある。また共重合の反応方法も任意であるが、通常、ベ
ンゾイルパーオキシドなどの重合開始剤の存在下で(V
−1)成分と(V−2)成分をラジカル溶液重合させる
ことにより容易に共重合体が得られる。粘度指数向上剤
の具体例としては、非分散型及び分散型ポリメタクリレ
ート類、非分散型及び分散型エチレン−α−オレフィン
共重合体及びその水素化物、ポリイソブチレン及びその
水素化物、スチレン−ジエン水素化共重合体、スチレン
−無水マレイン酸エステル共重合体並びにポリアルキル
スチレンなどが挙げられる。これら粘度指数向上剤の中
から任意に選ばれる、1種類あるいは2種類以上を配合
することにより、特に自動車用トラクションドライブ用
流体に必要とされる高温粘度を高くし、かつ、低温流動
性とのバランスを改善することが可能となる。粘度指数
向上剤の添加量は、特に限定されないが、0.1〜20
質量%、好ましくは0.1〜10質量%が望ましい。そ
の添加量が20質量%を超えると、流体のトラクション
係数が低下し、一方、0.1質量%未満であると添加効
果に乏しいからである。通常、粘度指数向上剤は、その
合成上の溶媒と共に使用されるが、当該発明において
は、前記一般式(1)で表されるナフテン環含有カーボ
ネート、イソブテンオリゴマーあるいはその水素化物及
び前記一般式(3)〜(7)で表される化合物などを、合
成上の溶媒として使用することが望ましい。これら粘度
指数向上剤の分子量は、せん断安定性を考慮して選定す
ることが必要である。具体的には、粘度指数向上剤の数
平均分子量は、例えば分散型及び非分散型ポリメタクリ
レートの場合では、5000〜150000、好ましく
は5000〜35000のものが望ましい。また、ポリ
イソブチレン及びその水素化物の場合は800〜500
0、好ましくは2000〜4000のものが望ましい。
ポリイソブチレン及びその水素化物の数平均分子量が8
00未満であると、増粘性が低く、トラクション係数が
低下し、5000を超えると、せん断安定性が悪化した
り、低温流動性が悪化したりする。これら粘度指数向上
剤の中でも、特に、数平均分子量が800を超え150
000以下、好ましくは3000〜20000のエチレ
ン−α−オレフィン共重合体又はその水素化物は、トラ
クションドライブ用流体に配合することにより、高いト
ラクション係数を有し、かつ、低温流動性に優れ、か
つ、高温粘度が高い、総合的に優れた性能を有している
トラクションドライブ用流体が得られる点から特に好ま
しい合成油として挙げられる。エチレン−α−オレフィ
ン共重合体又はその水素化物の数平均分子量が800未
満であると、増粘性が低く、トラクション係数が低下
し、150000を超えると、せん断安定性が悪化す
る。エチレン−α−オレフィン共重合体又はその水素化
物におけるエチレン成分含有率は、特に限定されない
が、30〜80モル%が好ましく、より好ましくは50
〜80モル%である。α−オレフィとしては、プロピレ
ン、1−ブテンなどが挙げられ、プロピレンがより好ま
しい。
【0008】また、本発明のトラクションドライブ用流
体は無灰分散剤及びリン系添加剤を配合することが好ま
しい。これら無灰分散剤(Q成分)及びリン系添加剤
(P成分)の配合により、油圧制御機構に必要な耐摩耗
性、酸化安定性並びに清浄性を付加することができる。
本発明においてQ成分としては、例えば炭素数40〜4
00のアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくと
も1個有する含窒素化合物又はその誘導体、あるいはア
ルケニルコハク酸イミドの変性品などが挙げられ、これ
らの中から任意に選ばれる1種類あるいは2種類以上を
配合することができる。このアルキル基又はアルケニル
基としては、直鎖状でも分枝状でも良いが、好ましいも
のとしては、具体的には、プロピレン、1−ブテン、イ
ソブチレンなどのオレフィンのオリゴマーやエチレンと
プロピレンのコオリゴマーから誘導される分枝状アルキ
ル基や分枝状アルケニル基などが挙げられる。このアル
キル基又はアルケニル基の炭素数は40〜400、好ま
しくは60〜350である。アルキル基又はアルケニル
基の炭素数が40未満の場合は化合物の潤滑油基油に対
する溶解性が低下し、一方、アルキル基又はアルケニル
基の炭素数が400を越える場合は、トラクションドラ
イブ用流体の低温流動性が悪化するため、それぞれ好ま
しくない。Q成分の1例として挙げた含窒素化合物の窒
素含有量は任意であるが、耐摩耗性、酸化安定性及び摩
擦特性等の点から、通常、その窒素含有量が0.01〜
10質量%、好ましくは0.1〜10質量%のものが望
ましく用いられる。Q成分の具体的としては、例えば、 (Q−1)炭素数40〜400のアルキル基又はアルケ
ニル基を分子中に少なくとも1個有するコハク酸イミ
ド、あるいはその誘導体 (Q−2)炭素数40〜400のアルキル基又はアルケ
ニル基を分子中に少なくとも1個有するベンジルアミ
ン、あるいはその誘導体 (Q−3)炭素数40〜400のアルキル基又はアルケ
ニル基を分子中に少なくとも1個有するポリアミン、あ
るいはその誘導体 の中から選ばれる1種又は2種以上の化合物などが挙げ
られる。前記の(Q−1)コハク酸イミドとしては、よ
り具体的には、例えば、下記の一般式(13)又は(1
4)で示される化合物等が挙げられる。
【化29】 (式中、R58は炭素数40〜400、好ましくは60〜
350のアルキル基又はアルケニル基を示し、bは1〜
5、好ましくは2〜4の整数である。)
【化30】 (式中、R59及びR60は、それぞれ個別に炭素数40〜
400、好ましくは60〜350のアルキル基又はアル
ケニル基を示し、cは0〜4、好ましくは1〜3の整数
である。) なお、コハク酸イミドとは、イミド化に際しては、ポリ
アミンの一端に無水コハク酸が付加した、一般式(1
3)のようないわゆるモノタイプのコハク酸イミドと、
ポリアミンの両端に無水コハク酸が付加した、一般式
(14)のようないわゆるビスタイプのコハク酸イミド
があるが、(Q−1)成分としては、そのいずれでも、
またこれらの混合物でも使用可能である。前記の(Q−
2)ベンジルアミンとしては、より具体的には例えば、
一般式(15)で表せる化合物等が挙げられる。
【化31】 (式中、R61は炭素数40〜400、好ましくは60〜
350のアルキル基又はアルケニル基を示し、dは1〜
5、好ましくは2〜4の整数である。) このベンジルアミンの製造方法は何ら限定されるもので
はないが、例えば、プロピレンオリゴマー、ポリブテ
ン、エチレン−α−オレフィン共重合体等のポリオレフ
ィンをフェノールと反応させてアルキルフェノールとし
た後、これにホルムアルデヒドとジエチレントリアミ
ン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミ
ン、ペンタエチレンヘキサミン等のポリアミンをマンニ
ッヒ反応により反応させることにより得ることができ
る。前記の(Q−3)ポリアミンとしては、より具体的
には例えば、一般式(16)で表せる化合物等が挙げら
れる。
【化32】 (式中、R62は炭素数40〜400、好ましくは60〜
350のアルキル基又はアルケニル基を示し、eは1〜
5、好ましくは2〜4の整数である。) このポリアミンの製造法は何ら限定される物ではない
が、例えば、プロピレンオリゴマー、ポリブテン、エチ
レン−α−オレフィン共重合体等のポリオレフィンを塩
素化した後、これにアンモニヤやエチレンジアミン、ジ
エチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラ
エチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等のポ
リアミンを反応させることにより得ることができる。ま
た、Q成分の1例として挙げた含窒素化合物の誘導体と
しては、具体的には例えば、前述したような含窒素化合
物に炭素数2〜30のモノカルボン酸(脂肪酸など)や
シュウ酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸
などの炭素数2〜30のポリカルボン酸を作用させて、
残存するアミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部を
中和したり、アミド化した、いわゆる酸変性化合物;前
述したような含窒素化合物にホウ酸を作用させて、残存
するアミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部を中和
したり、アミド化した、いわゆるホウ素変性化合物;前
述したような含窒素化合物に硫黄化合物を作用させた硫
黄変性化合物;及び前述したような含窒素化合物に酸変
性、ホウ素変性、硫黄変性から選ばれた2種以上の変性
を組み合わせた変性化合物;などが挙げられる。また、
Q成分の含有量は、特に限定されず、組成物全量基準で
0.01〜10.0重量%、好ましくは0.1〜7.0
重量%が望ましい。Q成分の含有量が0.01質量%未
満の場合は、清浄性に対する効果がなくなる。一方、1
0.0質量%を越える場合は、トラクションドライブ用
流体の低温流動性が大幅に悪化するため、それぞれ好ま
しくない。
【0009】本発明においてP成分としては、アルキル
ジチオリン酸亜鉛、リン酸、亜リン酸、リン酸モノエス
テル類、リン酸ジエステル類、リン酸トリエステル類、
亜リン酸モノエステル類、亜リン酸ジエステル類、亜リ
ン酸トリエステル類、及び前述したエステル類とアミン
類、アルカノールアミン類との塩などが挙げられる。こ
こに挙げたP成分のうち、リン酸、亜リン酸を除いたも
のは、炭素数3から18のアルキル基及び/又はアルケ
ニル基及び/又はフェニル基やトルイル基などの芳香族
からなるエステルである。これらP成分は、1種類ある
いは2種類以上を任意に配合することができる。これら
P成分の配合量は特に限定されず、任意に決めることが
できるが、通常リン元素として0.005〜0.2重量
%が望ましい。0.005未満の場合は、耐摩耗性に対して
効果がなく、0.2を超える場合は、酸化安定性が悪化
するため、それぞれ好ましくない。
【0010】また、本発明のトラクションドライブ用流
体は摩擦調整剤を配合することが好ましい。この摩擦調
整剤は、炭素数6〜30のアルキル基あるいはアルケニ
ル基を分子中に少なくとも1個有し、かつ、炭素数31
以上の炭化水素基を分子中に含有しないものであり、こ
の摩擦調整剤(S成分)の配合により、摩擦特性を最適
化したトラクションドライブ用流体を得られる。摩擦調
整剤のアルキル基又はアルケニル基としては、直鎖状で
も分枝状でも良いが、炭素数は6〜30、好ましくは9
〜24の化合物が望ましい。アルキル基又はアルケニル
基の炭素数が6未満や30を越える場合は、湿式クラッ
チの摩擦特性が悪化するため、それぞれ好ましくない。
このアルキル基又はアルケニル基としては、具体的には
例えば、直鎖又は分枝のヘキシル基、直鎖又は分枝のヘ
プチル基、直鎖又は分枝のオクチル基、直鎖又は分枝の
ノニル基、直鎖又は分枝のデシル基、直鎖又は分枝のウ
ンデシル基、直鎖又は分枝のドデシル基、直鎖又は分枝
のトリデシル基、直鎖又は分枝のテトラデシル基、直鎖
又は分枝のペンタデシル基、直鎖又は分枝のヘキサデシ
ル基、直鎖又は分枝のヘプタデシル基、直鎖又は分枝の
オクタデシル基、直鎖又は分枝のノナデシル基、直鎖又
は分枝のイコシル基、直鎖又は分枝のヘンイコシル基、
直鎖又は分枝のドコシル基、直鎖又は分枝のトリコシル
基、直鎖又は分枝のテトラコシル基、直鎖又は分枝のペ
ンタコシル基、直鎖又は分枝のヘキサコシル基、直鎖又
は分枝のヘプタコシル基、直鎖又は分枝のオクタコシル
基、直鎖又は分枝のノナコシル基、直鎖又は分枝のトリ
アコンチル基などのアルキル基;直鎖又は分枝のヘキセ
ニル基、直鎖又は分枝のヘプテニル基、直鎖又は分枝の
オクテニル基、直鎖又は分枝のノネニル基、直鎖又は分
枝のデセニル基、直鎖又は分枝のウンデセニル基、直鎖
又は分枝のドデセニル基、直鎖又は分枝のトリデセニル
基、直鎖又は分枝のテトラデセニル基、直鎖又は分枝の
ペンタデセニル基、直鎖又は分枝のヘキサデセニル基、
直鎖又は分枝のヘプタデセニル基、直鎖又は分枝のオク
タデセニル基、直鎖又は分枝のノナデセニル基、直鎖又
は分枝のイコセニル基、直鎖又は分枝のヘンイコセニル
基、直鎖又は分枝のドコセニル基、直鎖又は分枝のトリ
コセニル基、直鎖又は分枝のテトラコセニル基、直鎖又
は分枝のペンタコセニル基、直鎖又は分枝のヘキサコセ
ニル基、直鎖又は分枝のヘプタコセニル基、直鎖又は分
枝のオクタコセニル基、直鎖又は分枝のノナコセニル
基、直鎖又は分枝のトリアコンテニル基などのアルケニ
ル基;などが挙げられる。また摩擦調整剤として炭素数
が31以上の炭化水素基を含有する場合は、湿式クラッ
チの摩擦特性が悪化するため好ましくない。
【0011】摩擦調整剤(S成分)としては、具体的に
は例えば、 (S−1)炭素数9〜30のアルキル基又はアルケニル
基を分子中に少なくとも1個有し、かつ、炭素数31以
上の炭化水素基を分子中に含有しないアミン化合物、又
はその誘導体 (S−2)炭素数9〜30のアルキル基又はアルケニル
基を分子中に少なくとも1個有し、かつ、炭素数31以
上の炭化水素基を分子中に含有しないリン化合物、又は
その誘導体、 (S−3)炭素数9〜30のアルキル基又はアルケニル
基を分子中に少なくとも1個有し、かつ、炭素数31以
上の炭化水素基を分子中に含有しないする脂肪酸のアミ
ド又は金属塩の中から選ばれる1種又は2種以上の化合
物等が好ましい化合物として挙げられる。ここでいう
(S−1)のアミン化合物としては、より具体的には例
えば、下記の一般式(17)で表される脂肪族モノアミ
ン又はそのアルキレンオキシド付加物、下記の一般式
(18)で表される脂肪族ポリアミン、一般式(19)
で表されるイミダゾリン化合物などが挙げられる。
【化33】 (式中、R63は炭素数9〜30、好ましくは11〜24
のアルキル基又はアルケニル基を示し、R64及びR65
それぞれ個別にエチレン基又はプロピレン基を示し、R
66及びR67はそれぞれ個別に水素原子又は炭素数1〜3
0の炭化水素基を示し、f及びgは、それぞれ個別に0
〜10、好ましくは0〜6の整数であり、かつ、f+g
=0〜10、好ましくは0〜6である。)
【化34】 (式中、R68は炭素数9〜30、好ましくは11〜24
のアルキル基又はアルケニル基を示し、R69はエチレン
基又はプロピレン基を示し、R70及びR71はそれぞれ個
別に水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基を示し、
hは、1〜5、好ましくは1〜4の整数である。)
【化35】 (式中、R72は炭素数9〜30、好ましくは11〜24
のアルキル基又はアルケニル基を示し、R73はエチレン
基又はプロピレン基を示し、R74は水素原子又は炭素数
1〜30の炭化水素基を示し、iは、0〜10、好まし
くは0〜6の整数である。) なお、R63、R68及びR72を示すアルキル基又はアルケ
ニル基としては、直鎖状でも分枝状でも良いが、その炭
素数は6〜30、好ましくは9〜24が望ましい。 ア
ルキル基又はアルケニル基の炭素数が6未満の場合や3
0を超える場合は湿式クラッチの摩擦特性が悪化するた
め、それぞれ好ましくない。R63、R68及びR72を示す
アルキル基又はアルケニル基としては、具体的には例え
ば前述したような各種のアルキル基やアルケニル基など
が挙げられるが、特に湿式クラッチの摩擦特性により優
れる点から、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル
基、ステアリル基、オレイル基などの炭素数12〜18
の直鎖アルキル基又はアルケニル基が特に好ましい。ま
た、R66、R67、R70、R71及びR74を示す基として
は、具体的には例えば、水素原子;メチル基、エチル
基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、
イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル
基、直鎖又は分枝のペンチル基、直鎖又は分枝のヘキシ
ル基、直鎖又は分枝のヘプチル基、直鎖又は分枝のオク
チル基、直鎖又は分枝のノニル基、直鎖又は分枝のデシ
ル基、直鎖又は分枝のウンデシル基、直鎖又は分枝のド
デシル基、直鎖又は分枝のトリデシル基、直鎖又は分枝
のテトラデシル基、直鎖又は分枝のペンタデシル基、直
鎖又は分枝のヘキサデシル基、直鎖又は分枝のヘプタデ
シル基、直鎖又は分枝のオクタデシル基、直鎖又は分枝
のノナデシル基、直鎖又は分枝のイコシル基、直鎖又は
分枝のヘンイコシル基、直鎖又は分枝のドコシル基、直
鎖又は分枝のトリコシル基、直鎖又は分枝のテトラコシ
ル基、直鎖又は分枝のペンタコシル基、直鎖又は分枝の
ヘキサコシル基、直鎖又は分枝のヘプタコシル基、直鎖
又は分枝のオクタコシル基、直鎖又は分枝のノナコシル
基、直鎖又は分枝のトリアコンチル基などのアルキル
基;直鎖又は分枝のブテニル基、直鎖又は分枝のペンテ
ニル基、直鎖又は分枝のヘキセニル基、直鎖又は分枝の
ヘプテニル基、直鎖又は分枝のオクテニル基、直鎖又は
分枝のノネニル基、直鎖又は分枝のデセニル基、直鎖又
は分枝のウンデセニル基、直鎖又は分枝のドデセニル
基、直鎖又は分枝のトリデセニル基、直鎖又は分枝のテ
トラデセニル基、直鎖又は分枝のペンタデセニル基、直
鎖又は分枝のヘキサデセニル基、直鎖又は分枝のヘプタ
デセニル基、直鎖又は分枝のオクタデセニル基、直鎖又
は分枝のノナデセニル基、直鎖又は分枝のイコセニル
基、直鎖又は分枝のヘンイコセニル基、直鎖又は分枝の
ドコセニル基、直鎖又は分枝のトリコセニル基、直鎖又
は分枝のテトラコセニル基、直鎖又は分枝のペンタコセ
ニル基、直鎖又は分枝のヘキサコセニル基、直鎖又は分
枝のヘプタコセニル基、直鎖又は分枝のオクタコセニル
基、直鎖又は分枝のノナコセニル基、直鎖又は分枝のト
リアコンテニル基などのアルケニル基;シクロペンチル
基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基などの炭素数
5〜7のシクロアルキル基;メチルシクロペンチル基、
ジメチルシクロペンチル基(全ての構造異性体を含
む)、メチルエチルシクロペンチル基(全ての構造異性
体を含む)、ジエチルシクロペンチル基(全ての構造異
性体を含む)、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシク
ロヘキシル基(全ての構造異性体を含む)、メチルエチ
ルシクロヘキシル基(全ての構造異性体を含む)、ジエ
チルシクロヘキシル基(全ての構造異性体を含む)、メ
チルシクロヘプチル基、ジメチルシクロヘプチル基(全
ての構造異性体を含む)、メチルエチルシクロヘプチル
基(全ての構造異性体を含む)、ジエチルシクロヘプチ
ル基(全ての構造異性体を含む)などの炭素数6〜11
のアルキルシクロアルキル基;フェニル基、ナフチル基
などのアリール基:トリル基(全ての構造異性体を含
む)、キシリル基(全ての構造異性体を含む)、エチル
フェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖又は分枝
のプロピルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直
鎖又は分枝のブチルフェニル基(全ての構造異性体を含
む)、直鎖又は分枝のペンチルフェニル基(全ての構造
異性体を含む)、直鎖又は分枝のヘキシルフェニル基
(全ての構造異性体を含む)、直鎖又は分枝のヘプチル
フェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖又は分枝
のオクチルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直
鎖又は分枝のノニルフェニル基(全ての構造異性体を含
む)、直鎖又は分枝のデシルフェニル基(全ての構造異
性体を含む)、直鎖又は分枝のウンデシルフェニル基
(全ての構造異性体を含む)、直鎖又は分枝のドデシル
フェニル基(全ての構造異性体を含む)などの炭素数7
〜18の各アルキルアリール基;ベンジル基、フェニル
エチル基、フェニルプロピル基(プロピル基の異性体を
含む)、フェニルブチル基(ブチル基の異性体を含
む)、フェニルペンチル基(ペンチル基の異性体を含
む)、フェニルヘキシル基(ヘキシル基の異性体を含
む)などの炭素数7〜12の各アリールアルキル基;な
どが挙げられる。前記式(17)で表される脂肪族モノ
アミン又はそのアルキレンオキシド付加物としては、湿
式クラッチの摩擦特性により優れる点から、式(17)
において、 R66及びR67が、別個に水素原子又は炭素数1〜6の
アルキル基であり、かつ、f=g=0である脂肪族モノ
アミンや、 R66及びR67が水素原子であり、かつ、f及びgが別
個に0〜6でありf+g=1〜6となる数である、脂肪
族モノアミンのアルキレンオキシド付加物がより好まし
く用いられる。また、前記式(18)で表される脂肪族
ポリアミンとしては、湿式クラッチの摩擦特性により優
れる点から、式(18)において、R70及びR71が、別
個に水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基である脂肪
族ポリアミンがより好ましく用いられる。また、前記式
(19)で表されるイミダゾリン化合物としては、湿式
クラッチの摩擦特性により優れる点から、式(19)に
おいてR74が、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基
であるイミダゾリン化合物がより好ましく用いられる。
一方、(S−1)でいうアミン化合物の誘導体として
は、具体的には例えば、 前記式(17)〜(19)のようなアミン化合物に炭
素数2〜30のモノカルボン酸(脂肪酸など)や、シュ
ウ酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸など
の炭素数2〜30のポリカルボン酸を作用させて、残存
するアミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部を中和
したり、アミド化した、いわゆる酸変性化合物; 式(17)〜(19)のようなアミン化合物にホウ酸
を作用させて、残存するアミノ基及び/又はイミノ基の
一部又は全部を中和した、いわゆるホウ酸変性化合物; 式(17)〜(19)のようなアミン化合物に、その
分子中に炭素数1〜30の炭化水素基を1〜2個有し、
炭素数31以上の炭化水素基を含まず、かつ、少なくと
も1個の水酸基をする酸性リン酸エステル又は酸性亜リ
ン酸エステルを作用させて、残存するアミノ基及び/又
はイミノ基の一部又は全部を中和した、リン酸エステル
塩; 式(18)又は(19)のようなアミン化合物に、エ
チレンオキシドやプロピレンオキシドなどのアルキレン
オキシドを反応させた、いわゆるアミン化合物のアルキ
レンオキシド付加物;これら〜の中から選ばれる
2種以上の変性を組み合わせて得られるアミン化合物の
変性物;などが挙げられる。(S−1)のアミン化合物
又はその誘導体としては、具体的には、湿式クラッチの
摩擦特性に優れる点から、ラウリルアミン、ラウリルジ
エチルアミン、ラウリルジエタノールアミン、ドデシル
ジプロパノールアミン、パルミチルアミン、ステアリル
アミン、ステアリルテトラエチレンペンタミン、オレイ
ルアミン、オレイルプロピレンジアミン、オレイルジエ
タノールアミン、N−ヒドロキシエチルオレイルイミダ
ゾリンなどのアミン化合物;これらアミン化合物のアル
キレンオキシド付加物;これらアミン化合物と酸性リン
酸エステル(例えばジ2−エチルヘキシルリン酸エステ
ル)、酸性亜リン酸エステル(例えばジ2−エチルヘキ
シル亜リン酸エステル)との塩;これらアミン化合物、
アミン化合物のアルキレンオキシド付加物又はアミン化
合物の(亜)リン酸エステル塩のホウ酸変性物;又はこ
れらの混合物などが特に好ましく用いられる。
【0012】前記(S−2)のリン化合物としては、よ
り具体的には例えば、下記の一般式(20)で表される
リン酸エステル及び下記の一般式(21)で表される亜
リン酸エステルなどが挙げられる。
【化36】 (式中、R75は炭素数6〜30、好ましくは9〜24の
アルキル基又はアルケニル基を示し、R76及びR77はそ
れぞれ水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基を示
し、X1、X2、X3及びX4はそれぞれ個別に酸素原子又
は硫黄原子であり、かつ、X1、X2、X3及びX4のうち
少なくとも一つは酸素原子である。)
【化37】 (式中、R78は炭素数6〜30、好ましくは9〜24の
アルキル基又はアルケニル基を示し、R79及びR80はそ
れぞれ個別に水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基
を示し、X5、X6及びX7はそれぞれ個別に酸素原子又
は硫黄原子であり、かつ、X5、X6及びX7のうち少な
くとも一つは酸素原子である。) なお、R75及びR78を示すのアルキル基又はアルケニル
基としては、直鎖状でも分枝状でも良いが、その炭素数
は6〜30、好ましくは9〜24が望ましい。アルキル
基又はアルケニル基の炭素数が6未満の場合や30を超
える場合は、湿式クラッチの摩擦特性が悪化するため、
それぞれ好ましくない。このアルキル基又はアルケニル
基としては、具体的には例えば前述したような各種のア
ルキル基やアルケニル基などが挙げられるが、特に湿式
クラッチの摩擦特性により優れる点から、ラウリル基、
ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、オレイル
基などの炭素数12〜18の直鎖アルキル基又はアルケ
ニル基が特に好ましい。またR76、R77、R79及びR80
を示す基としては、具体的には例えば、個別に水素原
子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピ
ル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル
基、tert−ブチル基、直鎖又は分枝のペンチル基、
直鎖又は分枝のヘキシル基、直鎖又は分枝のヘプチル
基、直鎖又は分枝のオクチル基、直鎖又は分枝のノニル
基、直鎖又は分枝のデシル基、直鎖又は分枝のウンデシ
ル基、直鎖又は分枝のドデシル基、直鎖又は分枝のトリ
デシル基、直鎖又は分枝のテトラデシル基、直鎖又は分
枝のペンタデシル基、直鎖又は分枝のヘキサデシル基、
直鎖又は分枝のヘプタデシル基、直鎖又は分枝のオクタ
デシル基、直鎖又は分枝のノナデシル基、直鎖又は分枝
のイコシル基、直鎖又は分枝のヘンイコシル基、直鎖又
は分枝のドコシル基、直鎖又は分枝のトリコシル基、直
鎖又は分枝のテトラコシル基、直鎖又は分枝のペンタコ
シル基、直鎖又は分枝のヘキサコシル基、直鎖又は分枝
のヘプタコシル基、直鎖又は分枝のオクタコシル基、直
鎖又は分枝のノナコシル基、直鎖又は分枝のトリアコン
チル基などのアルキル基;直鎖又は分枝のブテニル基、
直鎖又は分枝のペンテニル基、直鎖又は分枝のヘキセニ
ル基、直鎖又は分枝のヘプテニル基、直鎖又は分枝のオ
クテニル基、直鎖又は分枝のノネニル基、直鎖又は分枝
のデセニル基、直鎖又は分枝のウンデセニル基、直鎖又
は分枝のドデセニル基、直鎖又は分枝のトリデセニル
基、直鎖又は分枝のテトラデセニル基、直鎖又は分枝の
ペンタデセニル基、直鎖又は分枝のヘキサデセニル基、
直鎖又は分枝のヘプタデセニル基、直鎖又は分枝のオク
タデセニル基、直鎖又は分枝のノナデセニル基、直鎖又
は分枝のイコセニル基、直鎖又は分枝のヘンイコセニル
基、直鎖又は分枝のドコセニル基、直鎖又は分枝のトリ
コセニル基、直鎖又は分枝のテトラコセニル基、直鎖又
は分枝のペンタコセニル基、直鎖又は分枝のヘキサコセ
ニル基、直鎖又は分枝のヘプタコセニル基、直鎖又は分
枝のオクタコセニル基、直鎖又は分枝のノナコセニル
基、直鎖又は分枝のトリアコンテニル基などのアルケニ
ル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘ
プチル基などの炭素数5〜7のシクロアルキル基;メチ
ルシクロペンチル基、ジメチルシクロペンチル基(全て
の構造異性体を含む)、メチルエチルシクロペンチル基
(全ての構造異性体を含む)、ジエチルシクロペンチル
基(全ての構造異性体を含む)、メチルシクロヘキシル
基、ジメチルシクロヘキシル基(全ての構造異性体を含
む)、メチルエチルシクロヘキシル基(全ての構造異性
体を含む)、ジエチルシクロヘキシル基(全ての構造異
性体を含む)、メチルシクロヘプチル基、ジメチルシク
ロヘプチル基(全ての構造異性体を含む)、メチルエチ
ルシクロヘプチル基(全ての構造異性体を含む)、ジエ
チルシクロヘプチル基(全ての構造異性体を含む)など
の炭素数6〜11のアルキルシクロアルキル基;フェニ
ル基、ナフチル基などのアリール基:トリル基(全ての
構造異性体を含む)、キシリル基(全ての構造異性体を
含む)、エチルフェニル基(全ての構造異性体を含
む)、直鎖又は分枝のプロピルフェニル基(全ての構造
異性体を含む)、直鎖又は分枝のブチルフェニル基(全
ての構造異性体を含む)、直鎖又は分枝のペンチルフェ
ニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖又は分枝のヘ
キシルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖又
は分枝のヘプチルフェニル基(全ての構造異性体を含
む)、直鎖又は分枝のオクチルフェニル基(全ての構造
異性体を含む)、直鎖又は分枝のノニルフェニル基(全
ての構造異性体を含む)、直鎖又は分枝のデシルフェニ
ル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖又は分枝のウン
デシルフェニル基(全ての構造異性体を含む)、直鎖又
は分枝のドデシルフェニル基(全ての構造異性体を含
む)などの炭素数7〜18の各アルキルアリール基;ベ
ンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基(プ
ロピル基の異性体を含む)、フェニルブチル基(ブチル
基の異性体を含む)、フェニルペンチル基(ペンチル基
の異性体を含む)、フェニルヘキシル基(ヘキシル基の
異性体を含む)などの炭素数7〜12の各アリールアル
キル基;などが挙げられる。(S−2)のリン化合物と
しては、湿式クラッチの摩擦特性により優れる点から、
前記式(20)においてR76及びR77の少なくとも1つ
が水素原子である酸性リン酸エステルや、前記式(2
1)においてR79及びR80の少なくとも1つが水素原子
である酸性亜リン酸エステルがより好ましく用いられ
る。また、(S−2)でいうリン化合物の誘導体として
は、具体的には例えば、前記式(20)においてR76
びR77の少なくとも1つが水素原子である酸性リン酸エ
ステルや、前記式(21)においてR79及びR80の少な
くとも1つが水素原子である酸性亜リン酸エステルに、
アンモニアや炭素数1〜8の炭化水素基又は水酸基含有
炭化水素基のみを分子中に含有するアミン化合物などの
含窒素化合物を作用させて、残存する酸性水素の一部又
は全部を中和した塩などが挙げられる。この含窒素化合
物としては、具体的には例えば、アンモニア;モノメチ
ルアミン、モノエチルアミン、モノプロピルアミン、モ
ノブチルアミン、モノペンチルアミン、モノヘキシルア
ミン、モノヘプチルアミン、モノオクチルアミン、ジメ
チルアミン、メチルエチルアミン、ジエチルアミン、メ
チルプロピルアミン、エチルプロピルアミン、ジプロピ
ルアミン、メチルブチルアミン、エチルブチルアミン、
プロピルブチルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルア
ミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチ
ルアミンなどのアルキルアミン(アルキル基は直鎖状で
も分枝状でも良い);モノメタノールアミン、モノエタ
ノールアミン、モノプロパノールアミン、モノブタノー
ルアミン、モノペンタノールアミン、モノヘキサノール
アミン、モノヘプタノールアミン、モノオクタノールア
ミン、モノノナノールアミン、ジメタノールアミン、メ
タノールエタノールアミン、ジエタノールアミン、メタ
ノールプロパノールアミン、エタノールプロパノールア
ミン、ジプロパノールアミン、メタノールブタノールア
ミン、エタノールブタノールアミン、プロパノールブタ
ノールアミン、ジブタノールアミン、ジペンタノールア
ミン、ジヘキサノールアミン、ジヘプタノールアミン、
ジオクタノールアミンなどのアルカノールアミン(アル
カノール基は直鎖状でも分枝状でも良い);及びこれら
の混合物などが挙げられる。(S−2)のリン化合物又
はその誘導体としては、具体的には、湿式クラッチの摩
擦特性に優れる点から、モノラウリルリン酸エステル、
ジラウリルリン酸エステル、モノステアリルリン酸エス
テル、ジステアリルリン酸エステル、モノオレイルリン
酸エステル、ジオレイルリン酸エステル、モノラウリル
亜リン酸エステル、ジラウリル亜リン酸エステル、モノ
ステアリル亜リン酸エステル、ジステアリル亜リン酸エ
ステル、モノオレイル亜リン酸エステル、ジオレイル亜
リン酸エステル、モノラウリルチオリン酸エステル、ジ
ラウリルチオリン酸エステル、モノステアリルチオリン
酸エステル、ジステアリルチオリン酸エステル、モノオ
レイルチオリン酸エステル、ジオレイルチオリン酸エス
テル、モノラウリルチオ亜リン酸エステル、ジラウリル
チオ亜リン酸エステル、モノステアリルチオ亜リン酸エ
ステル、ジステアリルチオ亜リン酸エステル、モノオレ
イルチオ亜リン酸エステル、ジオレイルチオ亜リン酸エ
ステル、及びこれらリン酸エステル、亜リン酸エステ
ル、チオリン酸エステル、チオ亜リン酸エステルのアミ
ン塩(モノ2−エチルヘキシルアミン塩など)、及びこ
れらの混合物などが特に好ましく用いられる。
【0013】前記(S−3)の脂肪酸アミド又は脂肪酸
金属塩における脂肪酸としては、直鎖脂肪酸でも分枝脂
肪酸でもよく、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でも良い
が、そのアルキル基又はアルケニル基の炭素数は、6〜
30、好ましくは9〜24が望ましい。 脂肪酸のアル
キル基又はアルケニル基の炭素数が6未満の場合や30
を超える場合は、湿式クラッチの摩擦特性が悪化するた
め、それぞれ好ましくない。この脂肪酸としては、具体
的には例えば、直鎖又は分枝のヘプタン酸、直鎖又は分
枝のオクタン酸、直鎖又は分枝のノナン酸、直鎖又は分
枝のデカン酸、直鎖又は分枝のウンデカン酸、直鎖又は
分枝のドデカン酸、直鎖又は分枝のトリデカン酸、直鎖
又は分枝のテトラデカン酸、直鎖又は分枝のペンタデカ
ン酸、直鎖又は分枝のヘキサデカン酸、直鎖又は分枝の
ヘプタデカン酸、直鎖又は分枝のオクタデカン酸、直鎖
又は分枝のノナデカン酸、直鎖又は分枝のイコサン酸、
直鎖又は分枝のヘンイコサン酸、直鎖又は分枝のドコサ
ン酸、直鎖又は分枝のトリコサン酸、直鎖又は分枝のテ
トラコサン酸、直鎖又は分枝のペンタコサン酸、直鎖又
は分枝のヘキサコサン酸、直鎖又は分枝のヘプタコサン
酸、直鎖又は分枝のオクタコサン酸、直鎖又は分枝のノ
ナコサン酸、直鎖又は分枝のトリアコンチル基などの飽
和脂肪酸;直鎖又は分枝のヘプテン酸、直鎖又は分枝の
オクテン酸、直鎖又は分枝のノネン酸、直鎖又は分枝の
デセン酸、直鎖又は分枝のウンデセン酸、直鎖又は分枝
のドデセン酸、直鎖又は分枝のトリデセン酸、直鎖又は
分枝のテトラデセン酸、直鎖又は分枝のペンタデセン
酸、直鎖又は分枝のヘキサデセン酸、直鎖又は分枝のヘ
プタデセン酸、直鎖又は分枝のオクタデセン酸、直鎖又
は分枝のノナデセン酸、直鎖又は分枝のイコセン酸、直
鎖又は分枝のヘンイコセン酸、直鎖又は分枝のドコセン
酸、直鎖又は分枝のトリコセン酸、直鎖又は分枝のテト
ラコセン酸、直鎖又は分枝のペンタコセン酸、直鎖又は
分枝のヘキサコセン酸、直鎖又は分枝のヘプタコセン
酸、直鎖又は分枝のオクタコセン酸、直鎖又は分枝のノ
ナコセン酸、直鎖又は分枝のトリアコンテン酸などの不
飽和脂肪酸;などが挙げられるが、特に湿式クラッチの
摩擦特性により優れる点から、ラウリン酸、ミリスチン
酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、各種油
脂から誘導される直鎖脂肪酸(ヤシ油脂肪酸など)の直
鎖脂肪酸やオキソ法などで合成される直鎖脂肪酸と分枝
脂肪酸の混合物が好ましく用いられる。(S−3)でい
う脂肪酸アミドとしては、具体的には例えば、前記脂肪
酸やその酸塩化物をアンモニアや炭素数1〜8の炭化水
素基又は水酸基含有炭化水素基のみを分子中に含有する
アミン化合物などの含窒素化合物を反応させて得られる
アミドなどが挙げられる。この含窒素化合物としては、
具体的には例えば、アンモニア;モノメチルアミン、モ
ノエチルアミン、モノプロピルアミン、モノブチルアミ
ン、モノペンチルアミン、モノヘキシルアミン、モノヘ
プチルアミン、モノオクチルアミン、ジメチルアミン、
メチルエチルアミン、ジエチルアミン、メチルプロピル
アミン、エチルプロピルアミン、ジプロピルアミン、メ
チルブチルアミン、エチルブチルアミン、プロピルブチ
ルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキ
シルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミンなど
のアルキルアミン(アルキル基は直鎖状でも分枝状でも
良い);モノメタノールアミン、モノエタノールアミ
ン、モノプロパノールアミン、モノブタノールアミン、
モノペンタノールアミン、モノヘキサノールアミン、モ
ノヘプタノールアミン、モノオクタノールアミン、モノ
ノナノールアミン、ジメタノールアミン、メタノールエ
タノールアミン、ジエタノールアミン、メタノールプロ
パノールアミン、エタノールプロパノールアミン、ジプ
ロパノールアミン、メタノールブタノールアミン、エタ
ノールブタノールアミン、プロパノールブタノールアミ
ン、ジブタノールアミン、ジペンタノールアミン、ジヘ
キサノールアミン、ジヘプタノールアミン、ジオクタノ
ールアミンなどのアルカノールアミン(アルカノール基
は直鎖状でも分枝状でも良い);及びこれらの混合物な
どが挙げられる。(S−3)の脂肪酸アミドとしては、
具体的には、湿式クラッチの摩擦特性により優れる点か
ら、ラウリン酸アミド、ラウリン酸ジエタノールアミ
ド、ラウリン酸モノプロパノールアミド、ミリスチン酸
アミド、ミリスチン酸ジエタノールアミド、ミリスチン
酸モノプロパノールアミド、パルミチン酸アミド、パル
ミチン酸ジエタノールアミド、パルミチン酸モノプロパ
ノールアミド、ステアリン酸アミド、ステアリン酸ジエ
タノールアミド、ステアリン酸モノプロパノールアミ
ド、オレイン酸アミド、オレイン酸ジエタノールアミ
ド、オレイン酸モノプロパノールアミド、ヤシ油脂肪酸
アミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪
酸モノプロパノールアミド、炭素数12〜13の合成混
合脂肪酸アミド、炭素数12〜13の合成混合脂肪酸ジ
エタノールアミド、炭素数12〜13の合成混合脂肪酸
モノプロパノールアミド、及びこれらの混合物などが特
に好ましく用いられる。一方、(S−3)でいう脂肪酸
金属塩としては、具体的には例えば、前記脂肪酸のアル
カリ土類金属塩(マグネシウム塩、カルシウム塩など)
や亜鉛塩などが挙げられる。(S−3)の脂肪酸金属塩
としては、具体的には、湿式クラッチの摩擦特性により
優れる点から、ラウリン酸カルシウム、ミリスチン酸カ
ルシウム、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸カル
シウム、オレイン酸カルシウム、ヤシ油脂肪酸カルシウ
ム、炭素数12〜13の合成混合脂肪酸カルシウム、ラ
ウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、
ステアリン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、ヤシ油脂肪酸亜
鉛、炭素数12〜13の合成混合脂肪酸亜鉛、及びこれ
らの混合物などが特に好ましく用いられる。
【0014】任意に選ばれた1種類あるいは2種類以上
のS成分は、他の性能、例えば酸化安定性などに影響を
与えない限り、任意の量を配合することができる。摩擦
特性の耐久性を高くするためには、S成分の劣化による
摩擦特性の劣化を防ぐことが必要であり、S成分を多量
に配合することは、摩擦特性の耐久性を高くするために
は効果的である。しかし多量に配合しすぎると、湿式ク
ラッチの結合を維持するために高いことが必要である静
摩擦係数も低下してしまう。したがって、S成分の配合
量には限界がある。摩擦特性の耐久性を高くするため
に、この限界量以上のS成分を配合することが必要とな
った際には、摩擦係数を高くする添加剤(Y成分)を配
合するこができる。ここでいうY成分としては、以下の
ようなものがある。 (Y−1) 同一分子内に、S成分で示した極性基を持
ち、かつ、親油基が、炭素数100以下の炭化水素基で
ある化合物。Y−1成分の使用にあたっては、その極性
基は、使用するS成分と同一であっても異なっていても
よい。 (Y−2) 炭素数が60以下の炭化水素基をもつ、窒
素含有化合物(例えばコハク酸イミドやアミド化合物な
ど)、あるいは、そのホウ素化合物(例えばホウ酸な
ど)や硫黄化合物などによる変性品である化合物。
【0015】また、本発明のトラクションドライブ用流
体は金属系清浄剤を配合することが好ましい。この金属
系清浄剤(T成分)の配合により、湿式クラッチの摩擦
特性を最適化し、かつ、繰り返し圧縮に対する強度低下
を抑えることができる。金属系清浄剤としては、その全
塩基価が20〜450mgKOH/g、好ましくは50
〜400mgKOH/gの塩基性金属系清浄剤が望まし
い。なおここで言う全塩基価とは、JIS K2501
「石油製品及び潤滑油−中和価試験法」の7.に準拠し
て測定される過塩素酸法による全塩基価を意味してい
る。金属系清浄剤の全塩基価が20mgKOH/g未満
の場合は、湿式クラッチの繰り返し圧縮に対する強度低
下を抑制する効果が不十分であり、一方、全塩基価が4
50mgKOH/gを越える場合は構造的に不安定であ
り、組成物の貯蔵安定性が悪化するため、それぞれ好ま
しくない。T成分の具体的としては、例えば (T−1)全塩基価が20〜450mgKOH/gのア
ルカリ土類金属スルフォネート (T−2)全塩基価が20〜450mgKOH/gのア
ルカリ土類金属フェネート (T−3)全塩基価が20〜450mgKOH/gのア
ルカリ土類金属サリシレートの中から選ばれる1種類又
は2種類以上の金属系清浄剤などが挙げられる。ここで
いう(T−1)アルカリ土類金属スルフォネートとして
は、より具体的には、例えば分子量100〜1500、
好ましくは200〜700のアルキル芳香族化合物をス
ルフォン化することによって得られるアルキル芳香族ス
ルフォン酸のアルカリ土類金属塩、特にマグネシウム塩
及び/又はカルシウム塩が好ましく用いられ、アルキル
芳香族スルフォン酸としては、具体的にはいわゆる石油
スルフォン酸や合成スルフォン酸などが挙げられる。石
油スルフォン酸としては、一般に鉱油の潤滑油留分のア
ルキル芳香族化合物をスルフォン化したものやホワイト
オイル製造時に副生する、いわゆるマホガニー酸などが
用いられる。また合成スルフォン酸としては、例えば洗
剤の原料となるアルキルベンゼン製造プラントから副生
したり、ポリオレフィンをベンゼンにアルキル化するこ
とにより得られる、直鎖状や分枝状のアルキル基を有す
るアルキルベンゼンを原料とし、これをスルフォン化し
たもの、あるいはジノニルナフタレンをスルフォン化し
たものなどが用いられる。またこれらアルキル芳香族化
合物をスルフォン化する際のスルフォン化剤としては特
に制限はないが、通常、発煙硫酸や硫酸が用いられる。
また、ここでいう(T−2)アルカリ土類金属フェネー
トとしては、より具体的には例えば、炭素数4〜30、
好ましくは6〜18の直鎖状又は分枝状のアルキル基を
少なくとも1個有するアルキルフェノール、このアルキ
ルフェノールと元素硫黄を反応させて得られるアルキル
フェノールサルファイド又はこのアルキルフェノールと
ホルムアルデヒドを反応させて得られるアルキルフェノ
ールのマンニッヒ反応生成物のアルカリ土類金属塩、特
にマグネシウム塩及び/又はカルシウム塩が好ましく用
いられる。また、ここでいう(T−3)アルカリ土類金
属サリシレートとしては、より具体的には例えば、炭素
数4〜30、好ましくは6〜18の直鎖状又は分枝状の
アルキル基を少なくとも1個有するアルキルサリチル酸
のアルカリ土類金属塩、特にマグネシウム塩及び/又は
カルシウム塩が好ましく用いられる。また、アルカリ土
類金属スルフォネート、アルカリ土類金属フェネート及
びアルカリ土類金属サリシレートには、その金属塩が2
0〜450mgKOH/gの範囲にある限りにおいて、
アルキル芳香族スルフォン酸、アルキルフェノール、ア
ルキルフェノールサルファイド、アルキルフェノールの
マンニッヒ反応生成物、アルキルサリチル酸などを、直
接、マグネシウム及び/又はカルシウムのアルカリ土類
金属の酸化物や水酸化物などのアルカリ土類金属塩基と
反応させたり、又は一度ナトリウム塩やカリウム塩など
のアルカリ金属塩としてからアルカリ土類金属塩と置換
させることなどにより得られる中性塩(正塩)だけでな
く、さらにこれら中性塩(正塩)と過剰のアルカリ土類
金属塩やアルカリ土類金属塩基(アルカリ土類金属の水
酸化物や酸化物)を水の存在下で加熱することにより得
られる塩基性塩や、炭酸ガスの存在下で中性塩(正塩)
をアルカリ土類金属の塩基と反応させることにより得ら
れる過塩基性塩(超塩基性塩)も含まれる。なお、これ
らの反応は、通常、溶媒(ヘキサン等の脂肪族炭化水素
溶剤、キシレン等の芳香族炭化水素溶剤、軽質潤滑油基
油など)中で行われる。また、金属系清浄剤は通常、軽
質潤滑油基油などで希釈された状態で市販されており、
また、入手可能であるが、一般的に、その金属含有量が
1.0〜20質量%、好ましくは2.0〜16質量%の
ものを用いるのが望ましい。任意に選ばれた1種類ある
いは2種類以上のT成分の配合量は、特に限定されず、
0.01〜5.0質量%、好ましくは0.05〜4.0
質量%配合することが望ましい。配合量が0.01質量
%未満の場合には、湿式クラッチの繰り返し圧縮に対す
る強度低下を抑制する効果が不十分であり、一方、5.
0質量%を越えると、組成物の酸化安定性が低下するた
め、それぞれ好ましくない。
【0016】なお、Q、P、T及びS成分を配合するこ
とで、トラクションドライブ用流体に、油圧制御機構に
必要な耐摩耗性、酸化安定性及び清浄性と湿式クラッチ
の摩擦特性制御機構に必要な湿式クラッチに対する摩擦
特性、湿式クラッチの繰り返し圧縮に対する強度などを
付加することが可能となるが、これらの性能を更に向上
させ、かつ、銅系材料などの非鉄金属に対する耐腐食
性、及びナイロン材などの樹脂類の耐久性などを向上さ
せる目的で、酸化防止剤、極圧添加剤、腐食防止剤、ゴ
ム膨潤剤、消泡剤、着色剤などを単独あるいは数種類組
み合わせて更に配合することができる。酸化防止剤とし
ては、フェノール系化合物やアミン系化合物など、潤滑
油に一般的に使用されているものであれば使用可能であ
る。具体的には、2−6−ジ−tert−ブチル−4−
メチルフェノールなどのアルキルフェノール類、メチレ
ン−4,4−ビスフェノール(2,6−ジ−tert−
ブチル−4−メチルフェノール)などのビスフェノール
類、フェニル−α−ナフチルアミンなどのナフチルアミ
ン類、ジアルキルジフェニルアミン類、ジ−2−エチル
ヘキシルジチオリン酸亜鉛などのジアルキルジチオリン
酸亜鉛類、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒド
ロキシフェニル)脂肪酸(プロピオン酸など)と1価又
は多価アルコール、例えばメタノール、オクタデカノー
ル、1,6ヘキサジオール、ネオペンチルグリコール、
チオジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
ペンタエリスリトールなどとのエステルなどが挙げられ
る。これらの中から任意に選ばれた1種類あるいは2種
類以上の化合物は、任意の量を配合することができる
が、通常0.01〜5.0質量%配合することが望まし
い。極圧添加剤としては、例えば、ジスルフィド類、硫
化オレフィン類、硫化油脂類などの硫黄系化合物などが
挙げられる。これらの中から任意に選ばれた1種類ある
いは2種類以上の化合物は、任意の量を配合することが
できるが、通常0.1〜5.0質量%配合することが望
ましい。腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾ
ール系、トリルトリアゾール、チアジアゾール系、イミ
ダゾール系化合物などが挙げられる。これらの中から任
意に選ばれた1種類あるいは2種類以上の化合物は、任
意の量を配合することができるが、通常0.01〜3.
0質量%配合することが望ましい。消泡剤としては、例
えば、ジメチルシリコーン、フルオロシリコーンなどの
シリコーン類が挙げられる。これらの中から任意に選ば
れた1種類あるいは2種類以上の化合物は、任意の量を
配合することができるが、通常0.001〜0.05質
量%配合することが望ましい。着色剤は任意の量を配合
することができるが、通常0.001〜1.0質量%配
合することが望ましい。
【0017】
【発明の効果】以上のように本発明のトラクションドラ
イブ用流体は、動力伝達能力に優れているだけではな
く、特に自動車用無段変速機として必要とされる、従来
から市販されているトラクションドライブ用流体には備
わっていない、油圧制御用流体としての能力、湿式クラ
ッチの摩擦特性制御用流体としての能力を得ることが可
能となり、自動車用トラクションドライブ用流体として
その性能をいかんなく発揮させることが可能となった。
【0018】
【実施例】以下、本発明の内容を実施例及び比較例によ
りさらに具体的に説明するが、本発明はこれらによりな
んら限定されるものではない。
【0019】まず、表1の流体5(下記の一般式(2
2)で表されるナフテン環含有カーボネートの代表例で
ある流体5(表1に示すように一般式(5)中、R1
びR4はメチル基を示し、R2,R3,R5及びR6は水素
原子を示す。)を次の方法で合成した。
【化38】 2−メチルシクロヘキサノール1713g及び金属ナト
リウム5.8gを容量2Lの丸底フラスコに入れ、窒素
を吹き込みながら120゜Cに加熱した。金属ナトリウ
ムがシクロヘキサノールと反応して完全に溶解した後、
886gのジエチルカーボネートを約4時間かけて滴下
した。その後、3時間150゜Cで加熱し,反応を終了
した。反応により生成したエタノールはトラップし,フ
ラスコ内に戻らないようにした。反応後、中性になるま
で水洗し,乾燥させた後減圧蒸留を行い、本発明のナフ
テン環含有カーボネートであるジ−2−メチルシクロヘ
キシルカーボネートを得た。最終的な収量は約80%で
あった。次にこの合成方法に基づいて表1の各種の構造
を有する各流体1〜4,6,7をそれぞれ合成した。
【0020】
【表1】
【0021】このようにして得られた流体1,2,5,
7、これら流体を表2に示した割合で混合した流体8〜
10及び産業用機械の分野では既に利用されており、高
いトラクション係数を有していることが知られているサ
ントトラック50のトラクション係数をそれぞれ計測し
た。その結果を表2に示した。なお、流体3,4,6の
トラクション係数は他の流体に基づいて計算した。な
お、トラクション係数は、4ローラートラクション係数
試験機を用いて計測した。試験条件は、周速3.14m
/s、油温100℃、最大ヘルツ圧1.49GPa、す
べり率2%である。
【0022】
【表2】 注1:トラクション係数に加成性が成り立つと仮定し
て、流体1,5,8の測定結果から計算した値。 注2:トラクション係数に加成性が成り立つと仮定し
て、流体1,7,9の測定結果から計算した値。 注3:トラクション係数に加成性が成り立つと仮定し
て、流体5,7,10の測定結果から計算した値。
【0023】前記実施例の流体5(B成分)と、イソブ
テンオリゴマー(数平均分子量(Mn):350)(F成
分)と、2−メチル−2,4−ジシクロヘキシルペンタ
ン(G成分)と、これら成分を表3に示すような割合で
混合した混合物をつくり、これらについて、それぞれト
ラクション係数とブルックフィールド粘度(BF粘度)
@−30℃を計測した。その結果を表3に示した。
【0024】
【表3】
【0025】前記実施例の流体5、流体5にポリメタク
リレート(PMA)、ポリイソブチレン(PIB)、エ
チレン−α−オレフィン共重合体(OCP)をそれぞれ
配合したもの(流体13〜15)を製造し、これら流体
5,13〜15について、それぞれ動粘度@100℃、
低温粘度@−30℃及びトラクション係数を計測した。
その結果を表4に示した。なお、用いたPMA、PIB
及びOCPの数平均分子量(Mn)及び添加量は、それ
ぞれPMA:Mn18000,7.5mass%、PI
B:Mn2700,6.7mass%、OCP:Mn9
900,2.8mass%である。
【0026】
【表4】
【0027】前記実施例の流体5に無灰分散剤及びリン
系添加剤等を表5の各例(流体16〜21)に示すよう
な割合で配合したものをそれぞれ製造し、これら流体1
6〜21について、それぞれ耐摩耗性、酸化安定性の評
価を行った。その結果を表5に示した。
【0028】
【表5】 ASTM D2882:indicating the wear characte
ristics ofpetrorium and non-petrorium hydraulic fl
uidsin a constant volume vane pump JIS K2514:潤滑油、酸化安定度試験 無灰分散剤A:アルケニルコハク酸イミド(数平均分子
量5500) 無灰分散剤B:ホウ素化アルケニルコハク酸イミド(数
平均分子量4500) リン系添加剤A:ジフェニルハイドロジェンホスファイ
【0029】前記実施例の流体5及び表6の各例(流体
22〜27)に示すような割合で配合したものをそれぞ
れ製造し、これら流体5,22〜27について、それぞ
れ低速スリップ試験機を用いて以下の条件で摩擦係数の
すべり速度の依存性を測定した。その結果を表6に示し
た。 <試験条件:JASO M349−95(自動変速機油
シャダー防止性能試験方法)に準拠> 油量:0.2L 油温:80℃ 面圧:0.98
MPa
【0030】
【表6】 無灰分散剤A:アルケニルコハク酸イミド(数平均分子
量5500) 無灰分散剤B:ホウ素化アルケニルコハク酸イミド(数
平均分子量4500) リン系添加剤A:ジフェニルハイドロジェンホスファイ
ト MgスルフォネートA:石油系、全塩基価(過塩素酸
法)300mgKOH/g CaスルフォネートA:石油系、全塩基価(過塩素酸
法)300mgKOH/g
【0031】表7の各例(流体28〜30,16)に示
すような割合で配合したものをそれぞれ製造し、これら
流体28〜30,16について、それぞれ湿式クラッチ
の繰り返し圧縮に対する強度に及ぼす添加剤の影響を調
べた。ストローク試験機を用いて、以下の条件で湿式ク
ラッチの繰り返し圧縮を行い、摩擦材表層の剥離が起こ
るまでのサイクル数を測定した。その結果を表7に示し
た。 <試験条件> 摩擦材:セルロース系摩擦材 面圧:9.8 MPa
油温:120℃1サイクル:押付け 3秒/ 開放
7秒
【0032】
【表7】 無灰分散剤A:アルケニルコハク酸イミド(数平均分子
量5500) 無灰分散剤B:ホウ素化アルケニルコハク酸イミド(数
平均分子量4500) リン系添加剤A:ジフェニルハイドロジェンホスファイ
ト CaスルフォネートA:石油系、全塩基価(過塩素酸
法)300mgKOH/g CaスルフォネートB:石油系、全塩基価(過塩素酸
法)400mgKOH/g CaスルフォネートC:石油系、全塩基価(過塩素酸
法) 13mgKOH/g
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C10M 129/40 C10M 129/40 133/04 133/04 133/16 133/16 133/56 133/56 137/04 137/04 137/10 137/10 A 143/04 143/04 159/20 159/20 // C10N 10:04 20:00 20:04 30:04 30:06 40:04 (72)発明者 大川 哲夫 神奈川県横浜市中区千鳥町8番地 日石三 菱株式会社中央技術研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で表されるナフテン環
    含有カーボネートからなるトラクションドライブ用流
    体。 【化1】 (式中、R1,R2,R3,R4,R5及びR6は、それぞれ
    個別に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基(ナフテ
    ン環を含んでも良い)を示す。)
  2. 【請求項2】 下記一般式(2)で表されるナフテン環
    含有カーボネートからなるトラクションドライブ用流
    体。 【化2】 (式中、R1〜R6は、それぞれ個別に水素原子又は炭素
    数1〜8のアルキル基(ナフテン環を含んでも良い)を
    示し、かつ、R1,R3,R4及びR6のうち少なくとも1
    つが炭素数1〜8のアルキル基(ナフテン環を含んでも
    良い)を示す。)
  3. 【請求項3】 前記請求項1又は2に記載のトラクショ
    ンドライブ用流体と、鉱油及び分子量が150〜800
    の合成油の中から選ばれる少なくとも1つとからなる請
    求項1又は2記載のトラクションドライブ用流体。
  4. 【請求項4】 前記請求項1,2又は3に記載のトラク
    ションドライブ用流体に、粘度指数向上剤を配合するこ
    とを特徴とするトラクションドライブ用流体。
  5. 【請求項5】 前記粘度指数向上剤が、数平均分子量が
    800を超え150000以下のエチレン−α−オレフ
    ィン共重合体又はその水素化物である請求項4記載のト
    ラクションドライブ用流体。
  6. 【請求項6】 前記請求項1,2,3,4又は5に記載
    のトラクションドライブ用流体に、無灰分散剤及びリン
    系添加剤を配合することを特徴とするトラクションドラ
    イブ用流体。
  7. 【請求項7】 前記請求項1,2,3,4,5又は6に
    記載のトラクションドライブ用流体に、炭素数6〜30
    のアルキル基あるいはアルケニル基を分子中に少なくと
    も1個有し、かつ、炭素数31以上の炭化水素基を分子
    中に含有しない摩擦調整剤を配合することを特徴とする
    トラクションドライブ用流体。
  8. 【請求項8】 前記請求項1,2,3,4,5,6又は
    7に記載のトラクションドライブ用流体に、全塩基価が
    20〜450mgKOH/gの金属系清浄剤を配合する
    ことを特徴とするトラクションドライブ用流体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001279286A (ja) * 2000-03-29 2001-10-10 Nippon Mitsubishi Oil Corp 潤滑油組成物
JP2001354988A (ja) * 2000-06-12 2001-12-25 Nippon Mitsubishi Oil Corp トラクションドライブ用流体組成物

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2001279286A (ja) * 2000-03-29 2001-10-10 Nippon Mitsubishi Oil Corp 潤滑油組成物
JP4663843B2 (ja) * 2000-03-29 2011-04-06 Jx日鉱日石エネルギー株式会社 潤滑油組成物
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