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JPH1134597A - 曲面転写方法 - Google Patents

曲面転写方法

Info

Publication number
JPH1134597A
JPH1134597A JP20839297A JP20839297A JPH1134597A JP H1134597 A JPH1134597 A JP H1134597A JP 20839297 A JP20839297 A JP 20839297A JP 20839297 A JP20839297 A JP 20839297A JP H1134597 A JPH1134597 A JP H1134597A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
transfer
layer
sheet
resin
transfer sheet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP20839297A
Other languages
English (en)
Inventor
Mitsutoyo Miyakoshi
光豊 宮越
Hirohisa Yoshikawa
浩久 吉川
Reiko Suga
玲子 菅
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP20839297A priority Critical patent/JPH1134597A/ja
Publication of JPH1134597A publication Critical patent/JPH1134597A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 三次元的な凹凸面を持つ化粧材等の転写製品
の凹部内部にまで転写層が転写できる様にする。 【解決手段】 凹凸表面を有する被転写基材Bの凹凸表
面側に、支持体1と転写層2とからなる転写シートSの
転写層側を対向させ、該転写シートの支持体側に固体粒
子Pを衝突させ、その衝突圧を利用して、被転写基材の
凹凸表面への転写シートの圧接を行い、転写層が被転写
基材に接着後、転写シートの支持体を剥離除去すること
で、転写層を被転写基材に転写する曲面転写方法とし
て、しかも転写シートに、転写層のうちの少なくとも1
層が熱可塑性ウレタン樹脂を主成分樹脂とする層からな
る転写シートを用いる。衝突圧で転写シートが基材表面
凹凸に急激に追従変形する場合でも、転写層も転写シー
トの変形に追従して延伸できるので、転写層の割れや剥
脱による転写不良が生じない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、住宅の外装及び内
装材、家具、家電製品等に用いる凹凸装飾面を有する化
粧材等の転写製品を製造する為の曲面転写方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、化粧板の基材面に直刷り法、ラミ
ネート法、転写法等により絵柄等の装飾を施した化粧板
が種々の用途で使用されている。この場合、基材の表面
が平面ならば、絵柄装飾は容易にできるが、凹凸表面に
対しては格別の工夫により絵柄装飾を施している。例え
ば、窓枠、面縁材等の柱状で基材装飾面が二次元的凹凸
〔円柱の様に一方向(母線、或いは高さ方向に直交する
方向)にのみ曲率を有する形状〕の場合に適用できる曲
面装飾技術の一つが、特公昭61−5895号公報に提
案されている。すなわち、同号公報の技術はラミネート
法による表面装飾法であり、片面に接着剤を塗布した表
装シートを供給し、一方基材を表装シートの供給速度と
同調した速度で水平に搬送し、併設した多数の押え治具
にて表装シートの端部が貼着されない状態を維持しつつ
表装シートの接着剤塗布面側を基材に対して小面積毎に
段階的に押圧し、表装シートを基材面に加熱貼着するも
のである。なお、この方法はラッピング加工法と言われ
ている。また、表面凹凸がエンボス形状等の三次元的凹
凸(すなわち、半球面の様に2方向に曲率を有する形
状)の場合に適用できる曲面装飾技術としては、例えば
特開平5−139097号公報に提案されている。すな
わち、同号公報の技術は転写法による表面装飾法であ
り、転写シートの支持体として熱可塑性樹脂フィルムを
用い、該支持体上に剥離層、絵柄層、及び接着層を順次
設けた構成の転写シートを、凹凸表面を有する基材上に
設置し、支持体の裏面からゴム硬度60°以下のゴム製
の熱ローラで押圧して、絵柄を転写することによって化
粧板を得るものである。また、支持体と剥離層間に転写
時の熱で発泡する発泡層を設け、この発泡も利用して基
材の凹凸表面に追従させようとするものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
様な従来の方法では、特公昭61−5895号公報に開
示の技術では、二次元的曲面までしか対応できず、ま
た、特開平5−139097号公報が提案する技術で
は、三次元的曲面も対応できるが、基本的に回転する熱
ローラのゴムによる弾性変形を利用して表面凹凸に追従
させる為に、浅いエンボス形状は良いとしても大きな表
面凹凸には適用できない。その上、被転写基材の凹凸の
隅角部によって軟質のゴムローラが損耗し易い。また、
転写シートに発泡層を設ける構成では、転写シートが複
雑高価になり過ぎる。また、全体として平板状の基材に
限定されるといった問題があった。また、上記の様な凹
凸形状表面に転写層を成形させつつ転写する場合、転写
層のバインダー樹脂としては、塩化ビニル−酢酸ビニル
共重合体、ポリメチルメタクリレート等の熱可塑性樹脂
を用いる必要が有るが、この様な熱可塑性のバインダー
樹脂として従来汎用されているものは、一般に、耐有機
溶剤性が弱く、転写後、転写層上に、これを保護する塗
料を塗装する際に、塗料中の希釈溶剤や単量体等の低分
子量成分によって溶解し、転写した絵柄が流れたり滲ん
だりする欠点があった。一方、2液硬化型(熱硬化型)
ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂をバイン
ダー樹脂として用いることで、この欠点は解消できる
が、その代わり今度は、凹凸形状に成形される際、転写
層に亀裂を生じるという別の欠点を生じた。
【0004】そこで、本発明は、大きな三次元的凹凸表
面にも転写でき表面装飾性に優れた化粧材等の転写製品
が得られ、塗装時の絵柄の流動や滲みも無く、且つ転写
圧の押圧に特殊形状の治具を必要とせず、ゴムローラ等
部品の損耗による交換の必要の無い、曲面転写方法を提
供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで、上記課題を解決
すべく、本発明の曲面転写方法では、支持体と転写層と
からなる転写シートを被転写基材へ押圧して圧接する手
段として、転写シートの支持体側に固体粒子を衝突さ
せ、その衝突圧を利用した。すなわち、凹凸表面を有す
る被転写基材の凹凸表面側に、支持体と転写層とからな
る転写シートの転写層側を対向させ、該転写シートの支
持体側に固体粒子を衝突させ、その衝突圧を利用して、
被転写基材の凹凸表面への転写シートの圧接を行い、転
写層が被転写基材に接着後、転写シートの支持体を剥離
除去することで、転写層を被転写基材に転写する。しか
も、転写シートとして、転写層のうちの少なくとも1層
が熱可塑性ウレタン樹脂を主成分樹脂とする層からなる
転写シートを用いることで、固体粒子衝突圧を受けて、
転写シートが基材表面凹凸に急激に追従して変形する場
合でも、転写層も転写シートの変形に追従して延伸し
て、転写層の割れや剥脱による転写不良が生じない様に
した。なお且つ、上塗り塗装時に絵柄等の転写層に生じ
る流動、滲みも防止できる様にした。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の曲面転写方法の実
施の形態を説明する。
【0007】先ず、図1は本発明の一形態を示す概念図
である。すなわち、支持体1と転写層2とからなる転写
シートSとして、転写層のうちの少なくとも1層が熱可
塑性ウレタン樹脂を主成分樹脂とする層からなる転写シ
ートを用いる。また、同図に示す形態では、被転写基材
Bにはその凹凸表面に予め接着剤層Aを設けておく。そ
して、転写シートSの転写層2側を、被転写基材Bの接
着剤層Aが既に設けてある凹凸表面側に対向させて〔図
1(A)〕、転写シートSの支持体1側に多数の固体粒
子Pを衝突させ、その衝突圧を利用して、転写シートS
を被転写基材Bに押圧して、転写シートSを被転写基材
Bの凹凸表面へ追従成形させ、転写シートSを被転写基
材Bに圧接する〔図1(B)〕。なお、ここで固体粒子
Pに付記した矢印は固体粒子の速度ベクトルを表す。転
写層の被転写基材への接着は、同図では、被転写基材B
上の接着剤層Aにより行われる。そして、転写シートの
転写層2が、被転写基材Bに接着した後、転写シートS
の支持体1を被転写基材Bから剥離除去する事で、転写
層2が被転写基材Bの凹凸表面に転写された化粧材Dが
得られる〔図1(C)〕。転写層のうちの少なくとも1
層は熱可塑性ウレタン樹脂を主成分樹脂とする層から構
成されているので、被転写基材の凹凸表面への転写層の
良好な形状追従性を以て転写が行われることになる。そ
の結果、凹部等で転写シートが衝突圧で急激に変形して
も、転写層の割れや剥脱による転写不良が生じない。
【0008】以下、さらに本発明を詳述する。
【0009】〔被転写基材〕被転写基材Bとしては、被
転写面が平坦な平面でももちろん適用できるが、本発明
が真価を発揮するのは被転写面が凹凸表面であり、特に
その凹凸が三次元的である被転写基材である。従来の回
転接触する押さえ治具(前述の特公昭61−5895号
公報)や、ゴム製の転写ローラ(前述の特開平5−13
9097号公報参照)では、その回転軸による方向性を
本質的に有しているために、適用できる表面凹凸形状が
制約される。即ち前者では、1軸方向にのみ曲率を有す
る二次元的凹凸に限定され、また、後者では2軸方向に
曲率を有する三次元的凹凸への転写が可能でもその三次
元形状は任意の方向に均質に適用できない。例えば、木
目導管柄の長手方向は、転写シートの送り方向に平行に
しないと、導管凹部には旨く転写できない。しかも、後
者は基材形状は平板状に事実上限定され、それ以外は基
材形状毎にその都度合わせた特殊形状の転写ローラとで
もしない限り不可能である。ところが、本発明では、後
述の様に、流体的に振る舞うことができる固体粒子群の
衝突圧を利用するため、表面凹凸の三次元的形状に対し
て圧力印加領域の面的な方向性を本質的に持たない。
(この方向性とは、圧力が印加される被転写基材上のポ
イントの時間的位置変化の方向のことである。)従っ
て、転写シートや被転写基材の送り方向に凹凸がある形
状を持つ被転写基材でも構わない。すなわち、送り方向
のみ又は幅方向のみ等と一方向にのみ凹凸がある二次元
的凹凸、送り方向及び幅方向の両方等と2方向に凹凸が
ある三次元的凹凸にも適用できることを意味する。な
お、固体粒子群の衝突圧が方向性を持たない点は、枚葉
の転写シートを被転写基材上に載置し一つずつ圧接密着
する様に、固体粒子を噴出する噴出器を移動、又は噴出
器固定で転写シートと被転写基材とを移動させて、衝突
圧が印加される領域が移動していく様子を考えれば、容
易に理解できる。
【0010】また、被転写基材は全体として(包絡面形
状が)平板状の板材だけでなく、断面が円弧状に凸又は
凹に送り方向又は幅方向に湾曲した二次元的凹凸を有す
る基材でも良く、またその湾曲面にさらに細かい三次元
的な表面凹凸があってもよい。なお、本発明では、被転
写基材の円弧状等の二次元的な凹凸に対して、それを例
えば幅方向として、或いは送り方向として転写するかは
作業性等を考慮して任意にできる。また、大柄な凹凸に
重畳して微細な凹凸を有する凹凸表面の被転写基材、或
いは凹凸表面の凹部底部や凹部内側面に転写すべき面を
有する被転写基材も可能である。前記大柄な凹凸と微細
な凹凸とは、例えば図2(A)の平面図及び図2(B)
の要部斜視図で示す一例の如く、被転写基材の凹凸が大
柄な凹凸401、402とその凸部402上にある微細
な凹凸403とからなるもので、大柄の凹凸形状は段差
が1〜10mm、凹部の幅が1〜10mm、凸部の幅が
5mm以上のもので構成されるものであり、微細な凹凸
形状は、段差及び幅ともに大柄な凹凸形状よりも小さ
く、具体的には段差が0.1〜5mm程度、凹部の幅及
び凸部の幅が0.1mm以上で、大柄な凹凸形状の凸部
の幅の1/2未満程度である。大柄な凹凸と微細な凹凸
との組み合わせの凹凸から成り、且つ三次元的な表面凹
凸を持つ化粧材の凹凸模様の具体例としては、例えば、
大柄な凹凸として目地、溝等を有するタイル、煉瓦、石
等の二次元配列模様を有し、その上に微細な凹凸として
スタッコ調、リシン調等の吹き付け塗装面の凹凸模様、
花崗岩の劈開面やトラバーチン大理石板等の石材表面の
凹凸等の石目調凹凸模様、或いは大柄な凹凸模様として
目地、溝、簓、サネ等を有する羽目板模様、浮造木目板
模様を有し、その上に微細凹凸として導管溝、ヘアライ
ン等を有する木目調の凹凸模様が挙げられる。なお、凹
凸面を構成する各面は、平面のみから、曲面のみらか、
或いは平面と曲面の組み合わせと任意である。従って、
本発明の被転写基材上の曲面とは、断面が下駄の歯形の
様に複数の平面のみから構成される曲面を持たない凹凸
面も意味する。また、本発明でいう曲率とは、立方体の
辺或いは頂点の周辺の様に角張っている曲率無限大(曲
率半径=0)の場合も包含する。なお、被転写基材表面
を所望の凹凸とするには、プレス加工、エンボス加工、
押し出し加工、切削加工、成形加工等によれば良い。
【0011】被転写基材の材質は任意であり、例えば、
板材であれば、ケイ酸カルシウム板、スラグセメント
板、ALC(軽量発泡コンクリート)板、GRC(硝子
繊維強化コンクリート)板等の非陶磁器窯業系板、木材
単板や木材合板、パーティクルボード、或いは木質中密
度繊維板(MDF)等の木質板、また、鉄、アルミニウ
ム、銅等の金属板、陶磁器やガラス等のセラミックス、
ポリプロピレン、ABS樹脂、フェノール樹脂等の樹脂
成形品等でも良い。なお、後述の様に固体粒子加速流体
として液体を用い、該液体と共に固体粒子を噴出させる
場合は、該液体に対して不溶性且つ非吸収性の物が好ま
しい。例えば金属板、樹脂成形品、陶磁器やガラス等の
セラミックス等である。また、これらの被転写基材表面
には、予め、接着剤との接着を補助する為の易接着プラ
イマー、或いは表面の微凹凸や多孔質を目止めし封じる
シーラー剤を塗工しておいても良い。易接着プライマ
ー、或いはシーラー剤としては、イソシアネート、2液
硬化ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、酢酸
ビニル樹脂等の樹脂を塗工し形成する。
【0012】〔転写シート〕転写シートSは支持体1と
転写移行する転写層2とからなる。転写層は少なくとも
装飾層からなる。また、接着剤を、転写層の一部となる
接着剤層として、転写シートに形成しておいても良い。
そして、本発明では、転写層のうちの少なくとも1層は
熱可塑性ウレタン樹脂を主成分樹脂とする層から構成す
る。装飾層のみの場合は、装飾層を熱可塑性ウレタン樹
脂を主成分樹脂にする。また、例えば装飾層及び接着剤
層から転写層が構成される場合は、何方か一方、より好
ましくは両方を熱可塑性ウレタン樹脂を主成分樹脂とす
る。転写層が複層の場合は全層を熱可塑性ウレタン樹脂
を主成分樹脂とする層とするのが、好ましいが、複層の
うちの一部の層に該樹脂を用いる場合は、より厚い層に
用いるのが、その効果を得やすい点で好ましい。なお液
体を固体粒子加速流体に用い、液体と共に固体粒子を噴
出する場合は、支持体や転写層には、該液体に対して不
溶性の物を用いる。例えば、液体が水であれば、水溶性
樹脂等を除けば、一般の転写シートとして使用している
材料から下記に従い適宜選択使用すれば良い。
【0013】(支持体)上記支持体には、被転写基材が
二次元的凹凸表面であれば、延伸性が無い紙(但し、固
体粒子加速流体が液体の場合は、該液体に対して不溶性
のものを選ぶ)等も可能だが、本発明が真価を発揮する
三次元的凹凸表面に適用する為には、少なくとも転写時
には延伸性の有る支持体を用いる。延伸性により固体粒
子の衝突圧印加時に、被転写基材表面の凹部内部まで転
写シートを追従させて密着し転写することができる。転
写シート全体の延伸性は、転写層と支持体との両方の延
伸性に支配される。従って、支持体には、従来公知の熱
可塑性樹脂フィルムの他に、常温でも延伸するゴム膜も
使用できる。熱可塑性樹脂フィルムの場合、室温での装
飾層等の転写層形成時には延伸性が殆どなく、転写時に
は、加熱により充分な延伸性を発現し、且つ冷却後は変
形した形状を保持し続け、弾性による形状の復元を生じ
ない転写シートとして、従来公知の通常の転写シート同
様に容易に、本発明で用い得る転写シートは用意出来
る。支持体の具体例としては、延伸性の点で、従来多用
されている2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィル
ムでも、表面凹凸形状次第で、加熱条件、衝突圧条件等
の設定によって、必要充分な延伸性を発現させることが
できるので曲面転写は可能である。ただ、より低温・低
圧で延伸性が発現し易い好ましい支持体としては、例え
ば、エチレンテレフタレート・イソフタレート共重合
体、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹
脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテ
ン等のポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、エチレン
−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共
重合体、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、或いは天然ゴ
ム、合成ゴム、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウ
レタン系熱可塑性エラストマー等を単体又は混合物で、
単層又は異種の複層とした樹脂フィルムを用いることが
てきる。これら樹脂フィルムは低延伸又は無延伸の物が
好ましい。例えば、具体的にはポリプロピレン系熱可塑
性エラストマーフィルムは、延伸特性に優れ且つ廃棄燃
焼時に塩酸ガスを発生せず環境対策的にも好ましい支持
体の一つである。支持体の厚さは、通常20〜200μ
mである。なお、固体粒子加速流体に液体を用いる場合
には、転写時に接する液体に対して、膨潤はするが不溶
である樹脂フィルムを使用する事も可能である。この様
な膨潤性且つ不溶性樹脂フィルムの例としては、液体と
して水又は水溶液を用いる場合には、特開昭54−15
0208号公報、特公昭61−3276号公報等に開示
される様な、ポリビニルアルコール系フィルムであっ
て、平均重合度300〜3000、鹸化度65〜97m
ol%、厚さ20〜200μmのフィルムが代表的なも
のである。
【0014】また、支持体には必要に応じ、その転写層
側に転写層との剥離性を向上させる為、離型層を設けて
も良い。この離型層は支持体を剥離時に支持体と共に転
写層から剥離除去される。離型層としては、例えば、シ
リコーン樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタ
ン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ワックス等の単体又はこ
れらを含む混合物が用いられる。また、支持体には、転
写層側の面に凹凸模様を設ければ、転写後の転写層表面
に砂目、梨地、木目等の凹凸模様を賦形できる。凹凸模
様は、特に被転写基材の凸部402上(図2参照)に元
々凹凸が無く平面的な場合に効果的である。凹凸模様
は、エンボス加工、サンドブラスト加工、賦形層(離型
層)による盛り上げ印刷加工等の公知の方法で形成す
る。
【0015】(転写層)少なくとも1層が熱可塑性ウレ
タン樹脂を主成分樹脂とする層からなる転写層は、少な
くとも装飾層から構成し、更に適宜、剥離層、接着剤層
等も転写層の構成要素とすることもある。接着剤層を有
する構成では、転写の際に転写シート又は被転写基材の
片方又は両方に接着剤を施すことを省略できる。なお、
熱可塑性ウレタン樹脂は主成分樹脂であるので、該当層
の樹脂分100重量部に対して51重量部以上含有す
る。装飾層はグラビア印刷、シルクスクリーン印刷、オ
フセット印刷等の従来公知の方法、材料で絵柄等を印刷
した絵柄層、アルミニウム、クロム、金、銀等の金属を
公知の蒸着法等を用いて部分的或いは全面に形成した金
属薄膜層等であり、用途に合わせたものを用いる。金属
薄膜層は前記絵柄層と併用する事もある。金属薄膜層の
みが装飾層の場合は、熱可塑性ウレタン樹脂を主成分樹
脂とする層として、転写層は接着剤層や剥離層等の装飾
層以外の層を少なくとも1層有する。絵柄としては、被
転写基材の表面凹凸に合わせて、木目模様、石目模様、
布目模様、タイル調模様、煉瓦調模様、皮絞模様、文
字、幾何学模様、全面ベタ等を用いる。薄色の透明層も
全面ベタである。なお、絵柄層用インキは、バインダー
等からなるビヒクル、顔料や染料等の着色剤、これに適
宜加える各種添加剤からなる。バインダーには、熱可塑
性ウレタン樹脂を好ましくは用いる。しかし、転写層の
他層が樹脂層であり、それに熱可塑性ウレタン樹脂を主
成分樹脂とするならば、他の樹脂を用いることもでき
る。例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共
重合体、ポリエステル樹脂、セルロース系樹脂、熱硬化
性ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂等の単体又はこれらを
含む混合物を用いる。また、前記熱可塑性ウレタン樹脂
を主成分樹脂として、副成分樹脂としてこれらを1類又
は2種以上混合使用しても良い。着色剤の顔料として
は、チタン白、カーボンブラック、弁柄、黄鉛、群青等
の無機顔料、アニリンブラック、キナクリドン、イソイ
ンドリノン、フタロシアニンブルー等の有機顔料を用い
る。
【0016】また、剥離層を、支持体乃至は離型層と装
飾層との間の剥離性を調整する為、また、転写後の装飾
層の表面保護の為等に、これら層間に設けるのは、従来
公知の転写シートと同様である。剥離層には、例えば、
熱可塑性ウレタン樹脂の他、上記絵柄層用インキのバイ
ンダーに用いる樹脂等を用いる。なお、この剥離層は転
写時に装飾層と共に被転写基材側に転写され、装飾層の
表面を被覆する。また、転写時に転写シートと被転写基
材との間に残留する空気を排除し易くする手段として、
必要に応じて転写シート全層を貫通する小孔を多数転写
シートに穿設しても良い。
【0017】(熱可塑性ウレタン樹脂)熱可塑性ウレタ
ン樹脂としては、水酸基を末端に有するポリオールと、
ポリイソシアネートとを反応させた線状高分子からなる
ウレタン樹脂を用いる事ができる。イソシアネートと反
応させる活性水素化合物としては、この他アミン化合物
等もあるが、ポリオールが取扱い易さの点で代表的であ
る。熱硬化性ではなく熱可塑性とする為に、通常、イソ
シアネートにはジイソシアネートを用い、これにポリオ
ールとしてジオールを用いる。また、2官能を越える多
官能の過剰のポリオールをジイソシアネートと反応させ
ても良い。イソシアネート基は残存させず、残存させる
ならば、イソシアネート基に対して水酸基過剰として合
成した、水酸基を残した熱可塑性ウレタン樹脂が好まし
い。水酸基は支持体と転写層との剥離性を低下させるこ
となく上塗り塗膜(保護層)との接着性を向上させる。
残存イソシアネート基は、層間密着力を経時的に変化さ
せ、例えば、転写層と支持体との剥離力を強め、支持体
が剥離できなくなる事があるからである。以上の様な、
熱可塑性ウレタン樹脂によって、凹部等で転写シートが
衝突圧で急激に変形しても、転写層の割れや剥脱による
転写不良が生じない。特に、従来の転写法の様に弾性体
ローラを用いず、固体粒子衝突圧を用いる本発明では、
衝突圧の設定にもよるが、その衝突圧により転写シート
が急激に変形し易いので、この効果は大きい。弾性体ロ
ーラの場合では、その転写速度を遅くする(ローラ回転
速度を遅くする)事で、転写シート変形速度を低下させ
ることができるが、固体粒子衝突圧の場合では、衝突圧
に曝されている部分では、転写シートや被転写基材の搬
送速度を落としても、衝突圧による転写シートの変形速
度は落とせないからである。例えば、熱可塑性樹脂とし
て、アクリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の
混合物や、アクリルポリオールを転写層に用いると、転
写時に箔落ちを生じ易いが、樹脂を熱可塑性ウレタン樹
脂に代えると解消する。
【0018】ポリオールとしては、例えばポリ(エチレ
ンアジペート)、ポリ(ブチレンアジペート)、ポリ
(ネオペンチルアジペート)、ポリ(ヘキサメチレンア
ジペート)、ポリ(ブチレンアゼラエート)、ポリ(ブ
チレンセバケート)、ポリカプロラクトン等のポリエス
テルジオール、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレ
ンオキサイド、ポリ(テトラメチレンエーテル)等のポ
リエーテルジオール、ポリ(ブチレンカーボネート)、
ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)等のポリカーボネ
ートポリオール、或いは、アクリルポリオール、ウレタ
ンポリオール、フッ素系ポリオール、アクリルシリコー
ン系ポリオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピ
レングリコール等が挙げられる。なかでも、被転写基材
がセメント系(ALC等)、ケイ酸カルシウム板等のア
ルカリ性基材の場合には、アクリルポリオールは耐アル
カリ性の点で好ましい。
【0019】また、ジイソシアネート成分としては、ポ
リウレタン分野にて従来公知の脂肪族(乃至は脂環式)
又は芳香族の各種ジイソシアネートが挙げられる。例え
ば、脂肪族(乃至は脂環式)系としては、ヘキサメチレ
ンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の
2価のイソシアネート、芳香族としては、2,4−トリ
レンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネ
ート、キシレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニ
ルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソ
シアネート、水素添加トリレンジイソシアネート等であ
る。なお、外装用途等の耐候性の点、また、適度な反応
の遅さの点では、ヘキサメチレンジイソシアネート、イ
ソホロンジイソシアネート等の脂肪族(乃至は脂環式)
系が好ましい。
【0020】熱可塑性ウレタン樹脂の具体例としては、
例えば、ポリオール成分には、アジペートジオール、ポ
リカーボネートジオール等を用い、これにイソシアネー
ト成分としてIPDI(イソホロンジイソシアネー
ト)、MDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)等を
用いた樹脂である。例えば、ポリエステルポリオールと
IPDI(イソホロンジイソシアネート)からなる樹
脂、ポリカーボネートジオールとIPDI及びMDI
(ヘキサメチレンジイソシアネート)からなる樹脂、ア
ジペートジオールとIPDIからなる樹等である。ま
た、転写層となる熱可塑性ウレタン樹脂は、例えば、破
断伸度が500〜1000%、100%伸時応力が20
〜50〔kg/cm2 〕、熱軟化温度が70〜130
〔℃〕、分子量が40,000〜60,000と、各特
性値がそれぞれの範囲に納まる物で、好ましい結果が得
られる。
【0021】〔接着剤〕接着剤は、転写シートの転写層
を構成する接着剤層としてや、被転写基材上の接着剤層
として、事前にオフライン塗工で、又は転写の直前にイ
ンライン塗工やオフライン塗工で施す。転写層の接着剤
層とする場合は、熱可塑性ウレタン樹脂を主成分樹脂と
するのが好ましい。また、接着剤を被転写基材に施す場
合には、転写シート転写層の接着剤層を省略できる。用
いる接着剤は、転写層の接着剤層とする場合の熱可塑性
ウレタン樹脂も含めて、用途、要求物性等により適宜選
択すれば良いが、固体粒子加速流体に液体を用いる場合
には、該液体に対して不溶性の物を選択する。用いる接
着剤としては、転写層の接着剤層とする場合、熱可塑性
ウレタン樹脂が好ましいが、装飾層等に熱可塑性ウレタ
ン樹脂(熱融着型接着剤となる)用いる場合は、接着剤
には必ずしも熱可塑性ウレタン樹脂とする必要はない。
基材側との接着性等を考慮して選択しても良い。この様
な場合、熱可塑性ウレタン樹脂を用いた接着剤以外の接
着剤として、例えば、感熱型接着剤、湿気硬化型感熱溶
融型接着剤、ホットメルト接着剤、湿気硬化型ホットメ
ルト接着剤、2液硬化型接着剤、電離放射線硬化型接着
剤、水性接着剤、或いは粘着剤による感圧型接着剤等の
各種接着剤を使用できる。なお、水を固体粒子加速流体
に用いる場合は、湿気硬化型の接着剤や水性接着剤は避
ける。上記感熱型接着剤としては、熱可塑性樹脂を用い
た熱融着型と、熱硬化性樹脂を用いた熱硬化型とのいず
れの接着剤も使用できる。但し、短時間で接着が完了す
るという点からは、熱融着型(感熱溶融型接着剤)が好
ましい。また、接着剤は、熱可塑性ウレタン樹脂による
場合も含めて、溶剤希釈又は無溶剤、或いは常温で液体
又は固体のいずれでも良く、適宜使い分ける。また、粘
着性を呈する感圧型の粘着剤以外の接着剤では、接着剤
層の単層のみで転写層とすることができる。接着剤層中
に顔料等の着色剤を添加すれば、全面ベタのインク層か
らなる装飾層ともいえる。
【0022】感熱溶融型接着剤としては、ポリ酢酸ビニ
ル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹
脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、熱可塑性ウレタン樹
脂、ダイマー酸とエチレンジアミンとの縮重合により得
られるポリアミド樹脂等の従来公知の接着剤を用いるこ
とができる。熱硬化型接着剤としては、フェノール樹
脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、熱硬化型ウレ
タン樹脂、エポキシ樹脂等を用いることがてきる。
【0023】また、湿気硬化型感熱溶融型接着剤も感熱
溶融型接着剤の一種である。湿気硬化型感熱溶融型接着
剤は、自然放置により空気中の水分で硬化反応が進行す
るので、作業安定性の点で転写直前に施す。また、湿気
硬化型感熱溶融型接着剤は、転写直後は、通常の感熱溶
融型接着剤同様の接着力だが、自然放置により空気中の
水分で架橋・硬化反応が徐徐に進行する為に、最終的に
クリープ変形及び熱溶融がなく耐熱性等に優れ、大きな
接着力が得られる。但し、転写終了後に湿気で接着剤の
架橋・硬化を進行させる為、湿気を含む空気中に転写後
の化粧材を放置して養生する。養生の際の好ましい雰囲
気条件は、大体、相対湿度50%RH以上、気温10℃
以上である。温度・相対湿度とも高い方が、より短時間
で硬化が完了する。標準的な硬化完了時間は、通常の場
合、20℃、60%RHの雰囲気中で10時間程度であ
る。
【0024】湿気硬化型感熱溶融型接着剤は、分子末端
にイソシアネート基を有するプレポリマーを必須成分と
する組成物である。前記プレポリマーは、通常は分子両
末端に各々イソシアネート基を1個以上有するポリイソ
シアネートプレポリマーであり、常温で固体の熱可塑性
樹脂の状態にあるものである。イソシアネート基同士が
空気中の水分により反応して鎖延長反応を起こして、そ
の結果、分子鎖中に尿素結合を有する反応物を生じて、
この尿素結合に更に分子末端のイソシアネート基が反応
して、ビウレット結合を起こして分岐し、架橋反応を起
こす。分子末端にイソシアネート基を有するプレポリマ
ーの分子鎖の骨格構造は任意であるが、具体的には、ウ
レタン結合を有するポリウレタン骨格、エステル結合を
有するポリエステル骨格、ポリブタジン骨格等である。
適宜これら1種又は2種以上の骨格構造を採用すること
で、接着剤物性を調整できる。なお、分子鎖中にウレタ
ン結合ある場合は、このウレタン結合とも末端イソシア
ネート基が反応して、アロファネート結合を生じて、こ
のアロファネート結合によっても架橋反応を起こす。
【0025】ポリイソシアネートプレポリマーの具体例
としては、例えば、ポリオールに過剰のポリイソシアネ
ートを反応させた分子末端にイソシアネート基を有し、
且つ分子鎖中にウレタン結合を有するポリウレタン骨格
の、ウレタンプレポリマーがある。また、特開昭64−
14287号公報に開示されている様な、ポリイソシア
ネートに、ポリエステルポリオールと、ポリブタジエン
骨格を有するポリオールとを任意の順序で加え付加反応
させて得られた、ポリエステル骨格とポリブタジエン骨
格とがウレタン結合により結合された構造を有し且つ分
子末端にイソシアネート基を有する結晶性ウレタンプレ
ポリマー、或いは、特開平2−305882号公報に開
示されている様な、ポリカーボネート系ポリオールとポ
リイソシアネートを反応させて得られる分子中に2個以
上のイシソアネート基を有するポリカーボネート系ウレ
タンプレポリマー、ポリエステル系ポリオールとポリイ
ソシアネートを反応させて得られる分子中に2個以上の
イシソアネート基を有するポリエステル系ウレタンプレ
ポリマー等が挙げられる。
【0026】また、湿気硬化型感熱溶融型接着剤として
は、上記各種ポリイソシアネートプレポリマーの他に、
各種物性を調整する為に、上記必須反応成分に更に、必
要に応じて、熱可塑性樹脂、粘着付与剤、可塑剤、充填
剤等の各種副材料添加することもできる。これらの副材
料としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、
低分子量ポリエチレン、変性ポリオレフィン、アタクチ
ックポリプロピレン、線状ポリエステル、エチレン−エ
チルアクリレート(EAA)等の熱可塑性樹脂、テルペ
ン−フェノール樹脂、アビエチン酸ロジンエステル等の
粘着付与剤、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、
アルミナ等の微粉末からなる充填剤(体質顔料)、着色
顔料、硬化触媒、水分除去剤、貯蔵安定剤、老化防止剤
等である。
【0027】電離放射線硬化型接着剤として用いる得る
電離放射線硬化性樹脂は、電離放射線により硬化可能な
組成物であり、具体的には、分子中にラジカル重合性不
飽和結合、又はカチオン重合性官能基を有する、プレポ
リマー(所謂オリゴマーも包含する)及び/又はモノマ
ーを適宜混合した電離放射線により硬化可能な組成物が
好ましくは用いられる。これらプレポリマー又はモノマ
ーは単体又は複数種を混合して用いる。
【0028】上記プレポリマー又はモノマーは、具体的
には、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アク
リロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、エポキ
シ基等のカチオン重合性官能基等を有する化合物からな
る。また、ポリエンとポリチオールとの組み合わせによ
るポリエン/チオール系のプレポリマーも好ましくは用
いられる。なお、例えば(メタ)アクリロイル基とは、
アクリロイル基又はメタクリロイル基の意味である。ラ
ジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーの例として
は、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メ
タ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メ
ラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アク
リレート等が使用できる。分子量としては、通常250
〜100,000程度のものが用いられる。ラジカル重
合性不飽和基を有するモノマーの例としては、単官能モ
ノマーとして、メチル(メタ)アクリレート、2−エチ
ルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル
(メタ)アクリレート等がある。また、多官能モノマー
として、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ト
リメチールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメ
チロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アク
リレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アク
リレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アク
リレート等もある。カチオン重合性官能基を有するプレ
ポリマーの例としては、ビスフェノール型エポキシ樹
脂、ノボラック型エポキシ化合物等のエポキシ系樹脂、
脂肪酸系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル等の
ビニルエーテル系樹脂のプレポリマーがある。チオール
としては、トリメチロールプロパントリチオグリコレー
ト、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等の
ポリチオールがある。また、ポリエンとしては、ジオー
ルとジイソシアネートによるポリウレタンの両端にアリ
ルアルコールを付加したもの等がある。
【0029】なお、紫外線又は可視光線にて硬化させる
場合には、上記電離放射線硬化性樹脂に、さらに光重合
開始剤を添加する。ラジカル重合性不飽和基を有する樹
脂系の場合は、光重合開始剤として、アセトフェノン
類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイ
ン、ベンゾインメチルエーテル類を単独又は混合して用
いることができる。また、カチオン重合性官能基を有す
る樹脂系の場合は、光重合開始剤として、芳香族ジアゾ
ニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム
塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル
等を単独又は混合物として用いることができる。なお、
これらの光重合開始剤の添加量としては、電離放射線硬
化性樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部程
度である。なお、電離放射線としては、接着剤中の分子
を架橋させ得るエネルギーを有する電磁波又は荷電粒子
が用いられる。通常用いられるものは、紫外線又は電子
線であるが、この他、可視光線、X線、イオン線等を用
いる事も可能である。紫外線源としては、超高圧水銀
灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラ
ックライト、メタルハライドランプ等の光源が使用され
る。紫外線の波長としては通常190〜380nmの波
長域が主として用いられる。電子線源としては、コック
クロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器
型、絶縁コア変圧器型、或いは、直線型、ダイナミトロ
ン型、高周波型等の各種電子線加速器を用い、100〜
1000keV、好ましくは、100〜300keVの
エネルギーをもつ電子を照射するものが使用される。
【0030】上記電離放射線硬化性樹脂に、更に必要に
応じて、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビ
ニル、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂等の熱可塑性
樹脂を添加することもできる。なお、希釈溶剤は添加せ
ずに用いれば、ホットメルト接着剤となる。
【0031】なお、電離放射線硬化型接着剤を用いた場
合には、照射は、衝突圧印加中、印加後、或いは印加中
及び印加後に行う。
【0032】また、接着剤に用いる上記各種樹脂に更
に、必要に応じて、各種添加剤を添加することもでき
る。これらの添加剤としては、例えば、炭酸カルシウ
ム、硫酸バリウム、シリカ、アルミナ等の微粉末からな
る体質顔料(充填剤)、有機ベントナイト等のチキソト
ロピック付与剤(特に凹凸段差の大きい被転写基材の場
合、接着剤が凸部から凹部へ流入する事を防止する為に
添加すると良い。)等である。
【0033】接着剤を、転写シート等のシートや被転写
基材に施すには、水、有機溶剤等の溶媒(又は分散媒)
に溶解(又は分散)した溶液(又は分散液)の形態で、
或いは熱溶融した熱可塑性組成物又は室温液状の未硬化
樹脂を無溶剤の樹脂液の形態で施す。塗工法としては、
従来公知の塗工法であるグラビアロールコート等による
溶液塗工や、アプリケータ等による熔融塗工(溶融塗
工)法により施せば良い。また、被転写基材の表面凹凸
が大きい場合は、軟質ゴムロールやスポンジロール等の
ロールを使用したロールコート、カーテンフローコー
ト、スプレーコート等の塗工法により施せばよい。希釈
溶剤を添加せずに用いれば、溶剤乾燥は不要である。例
えば、感熱溶融型接着剤は、それぞれ無溶剤のホットメ
ルト接着剤として使用できる。また、電離放射線硬化型
接着剤なども無溶剤で施すことができる。ホットメルト
型接着剤として使用する場合は無溶剤なので、転写直前
の塗工でも溶剤乾燥が不要で、高速生産できる。なお、
接着剤の塗布量は、接着剤の組成、基材の種類及び表面
状態で異なるが、通常10〜200g/m2 (固形分)
程度である。
【0034】また、接着剤をホットメルト接着剤として
用いる場合で、更に被転写基材の凹凸形状に転写シート
を追従変性させて転写する場合には、必然的に転写シー
トの支持体として、ポリプロピレン系樹脂等の熱可塑性
樹脂シートの様に室温乃至加熱状態で熱可塑性或いはゴ
ム弾性を呈する物を選ぶ必要があるが、これは別の観点
から観ると支持体に耐熱性が低い物を選ばざるを得ない
という事を意味する。故に、該接着剤を熔融塗工して転
写シートとする場合、接着剤層を厚く塗工すると、熔融
塗工時の熱で支持体が軟化し、また、接着剤塗工装置に
おいて加熱状態のアプリケータローラにシートが粘着
し、引きずられてシートが伸びたり、歪んだり、或いは
巻き込まれたりすることがある。そこで、この様な場合
には、シートに接着剤を直接に熔融塗工せず、離型シー
ト(セパレータ)経由で接着剤を施して転写シートとす
ると良い。すなわち、耐熱性及び離型性のある離型シー
トに、接着剤を加熱熔融塗工後、塗工された接着剤によ
り離型シートと、転写シートになるシートとをニップロ
ーラ等により一旦熱ラミネートし、次いで、剥離ローラ
等により離型シートのみをシートから剥離することで、
シートへの熱ダメージを少なくして、接着剤層が形成さ
れた転写シートとすることができる。なお離型シートに
は延伸性等は不要で2軸延伸ポリエチレンテレフタレー
トシート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレー
ト、ポリイミド等の耐熱性樹脂シートや紙等を基材とし
て、この表面をシリコーン樹脂、ポリメチルペンテン等
の塗工で、離型処理した従来公知の離型シートが使用で
きる。離型シートの厚みは通常50〜200μm程度で
ある。
【0035】なお、接着剤に感熱溶融型接着剤等の感熱
型接着剤を用い、接着剤を活性化して熱融着させる為に
加熱するタイミングは、衝突圧印加前、衝突圧印加中、
或いは衝突圧印加前及び印加中などのいずれでも良い。
接着剤の加熱は転写シートや被転写基材を加熱して行
う。接着剤が施された材料(転写シートや被転写基材)
を加熱しても良く、接着剤が施されていない側の材料を
加熱しても良く、或いはこれら両方の材料を加熱しても
良い。また、衝突圧印加中の加熱には、加熱固体粒子
や、固体粒子加速流体を加熱流体として用いても良い。
なお、これらの接着剤に対する加熱のタイミングや方法
は、転写シートを加熱軟化する場合にも同様な事が言え
る。一方、転写シートが被転写基材の表面形状に追従
し、成形され、接着剤が十分活性化すれば、冷風等の冷
却手段で接着剤の冷却を促進しても良い。冷風は、転写
シート側や被転写基材側から吹き付ける。また、冷却手
段として、冷却固体粒子、冷却流体も用いることもでき
る。冷却促進は、被転写基材の凹凸表面の凹部内部にま
で追従成形された転写シートが衝突圧開放後に復元力が
ある場合に戻るのも防止する。
【0036】〔固体粒子〕固体粒子Pとしては、ガラス
ビーズ、セラミックビーズ、炭酸カルシウムビーズ、ア
ルミナビーズ、ジルコニアビーズ、アランダムビーズ、
コランダムビーズ等の無機粉体である非金属無機粒子、
鉄、炭素鋼、ステンレス鋼等の鉄合金、アルミニウム、
又はジュラルミン等のアルミニウム合金、チタン、亜鉛
等の金属ビーズ等の金属粒子、或いは、フッ素樹脂ビー
ズ、ナイロンビーズ、シリコーン樹脂ビーズ、ウレタン
樹脂ビーズ、尿素樹脂ビーズ、フェノール樹脂ビーズ、
架橋ゴムビーズ等の樹脂ビーズ等の有機粒子、或いは金
属等の無機粒子と樹脂とからなる無機物・樹脂複合粒子
等を使用することができる。なお、液体の水を固体粒子
加速流体に使う場合は、固体粒子には、水で錆や腐食し
ないステンレスビーズや、ガラスビーズ、セラミックビ
ーズ、樹脂ビーズ等の非金属が好ましい。形状は球形状
が好ましいが、回転楕円体形状、多面体形状、鱗片状、
無定形、その他の形状のものでも用い得る。固体粒子の
粒径としては、通常10〜1000μm程度である。
【0037】なお、固体粒子は加熱手段や冷却手段を兼
用することもできる。加熱された加熱固体粒子を用いれ
ば、接着剤の加熱活性化やその架橋硬化の促進、或いは
転写シートの加熱による延伸性の向上を、転写シートの
押圧と共に行うこともできる。この場合、衝突圧印加前
に他の加熱方法で、ある程度まで転写シート、被転写基
材、接着剤を加熱しておいても良い。また、固体粒子
は、接着後の冷却促進目的で、接着時の接着剤の温度よ
りも低温の固体粒子を、冷却固体粒子として用いる事も
できる。また、固体粒子はその一部又は全部を加熱固体
粒子、冷却固体粒子として用いたり、加熱固体粒子を衝
突させた後、冷却固体粒子を衝突させる等と、併用して
も良い。また、他の加熱方法で転写シートや被転写基
材、接着剤等の加熱を要するものを充分に加熱してお
き、これに冷却固体粒子を用いて、転写シートの成形と
接着及び冷却を殆ど同時に行うこともできる。固体粒子
を加熱又は冷却するには、固体粒子の貯蔵をホッパ等の
形態のタンクに貯蔵する場合は、貯蔵中に加熱又は冷却
しておけば良い。また、固体粒子が輸送管を通過中に加
熱又は冷却しても良い。
【0038】〔固体粒子による衝突圧印加〕固体粒子を
転写シートに衝突させて衝突圧を印加し、転写シートを
被転写基材に押圧するには、固体粒子を噴出する噴出器
から固体粒子を転写シートに向かって噴出させて、転写
シートに衝突圧を印加する。噴出器には、代表的には羽
根車や吹出ノズルを用いる。羽根車はその回転により固
体粒子を加速し、吹出ノズルは固体粒子加速流体として
高速の流体流で固体粒子を搬送し加速する。羽根車や吹
出ノズルには、サンドブラスト或いはショットブラス
ト、ショットピーニング等とブラスト分野にて使用され
ているものを流用できる。例えば羽根車には遠心式ブラ
スト装置、吹出ノズルには加圧式や吸引式ブラスト装
置、ウェットブラスト装置等である。遠心式ブラスト装
置は羽根車の回転力で固体粒子を加速し噴出する。加圧
式ブラスト装置は、圧縮空気に混合しておいて固体粒子
を、空気と共に噴出する。吸引式ブラスト装置は、圧縮
空気の高速流で生ずる負圧部に固体粒子を吸い込み、空
気と共に噴出する。ウェットブラスト装置は、固体粒子
を液体と混合して噴出する。また、噴出器には、吹出ノ
ズルや羽根車以外にも、重力による自由落下を利用して
固体粒子を加速する方法、磁性体粒子を磁場によって加
速する方法等を採用することも可能である。なお、羽根
車、重力、磁場を用いた噴出器の場合は、真空中で固体
粒子を転写シートに向かって噴出させる事も可能であ
る。
【0039】〔噴出器:羽根車〕図3及び図4は、羽根
車による噴出器の一例を示す概念図である。羽根車81
2は、複数の羽根813がその両側を2枚の側面板81
4で固定され、且つ回転中心部は羽根813が無い中空
部815となっている。中空部内には方向制御器816
を有する(図4参照)。方向制御器は、外周の一部が円
周方向に開口した開口部817を有し中空筒状で羽根車
812の回転軸芯と同一回転軸芯で、羽根車とは独立し
て回動自在となっている。使用時は、方向制御器の開口
部の向きの設定より固体粒子の噴出方向を調整する。更
に、方向制御器内には、内部中空で羽根車812と同一
回転軸芯のもう一つの羽根車が散布器818を有する
(図4参照)。散布器は外側の羽根車812と共に回転
する。そして、前記側面板814の回転中心には回転軸
819が固定され、回転軸819は軸受820で回転自
在に軸支され電動機等の回転動力源(図示略)によって
駆動回転され、羽根車812が回転する。そして、固体
粒子Pをホッパ等から散布器818の内部に供給する。
すると、固体粒子は散布器の羽根車で外側に飛び散り、
方向制御器816の開口部817によって許された方向
にのみ放出され、外側の羽根車812の羽根813と羽
根813との間に供給される。そして、固体粒子は羽根
813と衝突し、羽根車812の回転力で加速されて、
羽根車から噴出するというものである。なお、羽根車8
12の寸法は、通常直径5〜60cm程度、羽根の幅は
5〜20cm程度、羽根の長さは、ほぼ羽根車の直径程
度、羽根車の回転数は500〜5000〔rpm〕程度
である。そして、固体粒子の噴出速度は、10〜50
〔m/s〕程度、投射密度(基材単位面積当たりに衝突
させる固体粒子総重量)は10〜150〔kg/m2
程度である。
【0040】〔噴出器:吹出ノズル〕次に、図5は吹出
ノズルを用いた噴出器の一例を示す概念図である。同図
の噴出器840は固体粒子加速流体として空気等の気体
を用い、固体粒子噴出時に該気体と固体粒子を混合して
噴出する形態の噴出器の一例である。噴出器840は、
固体粒子Pと流体Fを混合する誘導室841と、誘導室
内に流体を噴出する内部ノズル842と、ノズル開口部
843から固体粒子及び流体を噴出する吹出ノズル部8
44からなる。圧縮機等からの加圧状態の流体Fを、内
部ノズル842から噴出し誘導室841を経てノズル8
44のノズル開口部843から噴出する際に、噴出器内
の誘導室841にて、高速で流れる流体流の作用で負圧
を作り、この負圧により固体粒子を流体流に導き混合
し、流体流で固体粒子を加速、搬送して、ノズル844
のノズル開口部843から流体流と共に噴出するもので
ある。なお、固体粒子加速流体に液体を用いる吹出ノズ
ル等もある。流体圧は吹付圧力で通常0.1〜10kg
/cm2 程度である。流体流の流速は、液流では通常1
〜20m/秒程度、気流では通常5〜80m/秒程度で
ある。
【0041】〔噴出器の使い方〕噴出器は、1個のみで
は加圧領域を所望の形状、大きさに出来ない場合は、複
数用いる。例えば、転写シート及び基材の送り方向に直
交して幅方向に全幅を加圧領域とするには、幅方向に一
直線状に複数個を配置して、幅方向に直線状で幅広の帯
状形状の加圧領域とする。また、衝突圧印加時間を長く
するには、噴出器は、例えば転写シート及び基材の送り
方向に向かって2列以上配置する多段配置とする。複数
個を配列時は、個々の噴出器の隣接する加圧領域を互い
に一部重複させることが好ましい。また、固体粒子の衝
突圧は、例えば転写シート送り方向に直交する幅方向の
中央部が最大で、幅方向両端部に近い程低下する山型圧
力分布等と、不均一に設定することもできる。この設定
は、中央部から両端部に向かって順次段階的に圧着を進
行させ、内部に空気を抱き込むことを防ぐ。もちろん、
衝突圧は転写が完全に行える圧以上で、且つ転写シート
の歪み、被転写基材の変形、破損等の生じない圧以下の
適正圧力範囲内とする。また、複数の噴出器を用いる場
合、被転写基材の被転写面の包絡面(の搬送方向に直交
する断面形状)が例えば円型になる円筒状の凸曲面であ
れば、各噴出器が主とし受け持つ個別の衝突面に対し
て、略垂直に固体粒子が衝突する様に、噴出器の向き
を、近接する被転写基材の包絡面法線方向にして配置す
ることもできる。
【0042】〔実際の曲面転写装置による転写〕固体粒
子を実際に使用する際は、固体粒子を周囲の雰囲気中に
飛散させずに且つ循環再利用するのが好ましい。そこ
で、チャンバを使用して固体粒子の飛散防止及び循環再
利用をしながら連続転写を行う曲面転写装置の一例の概
念図を示す図6に従い、本発明の曲面転写方法の一例を
詳述する。
【0043】同図装置は、転写シートSには連続帯状の
シートを用い、被転写基材Bには凹凸がある被転写面の
包絡面が平面である平板状の基材を用い、装飾層等を順
次連続的に転写する装置である。すなわち、駆動回転ロ
ーラ列、ベルトコンベア等の基材搬送装置10で搬送す
る被転写基材Bに対して、転写シートSをシート搬送装
置20のシート送出装置21から巻き出して、被転写基
材と等速度で搬送しつつ衝突圧印加部30のチャンバ3
3内で、噴出器32から固体粒子Pを噴出させて、固体
粒子を転写シートの支持体側の面に衝突させ、その衝突
圧で転写シートを被転写基材に押圧して転写圧を与え
る。そして、転写シートが被転写基材に圧接して接着
後、剥離ローラ60で転写シートの支持体を剥離すれ
ば、化粧材Dが得られる。なお、剥離ローラ通過後の転
写シート支持体は、シート排出装置23で排出ロールと
して巻き取られる。チャンバ33は、転写シート及び被
転写基材の出入口を除いて、衝突圧にさらされる転写シ
ート及び被転写基材、噴出器の少なくとも開口部を外部
から覆い、固体粒子を外部の作業雰囲気中に漏らさない
ようにしている。この為、チャンバ内部は好ましくは外
部よりも気圧を低く(負圧)する。
【0044】固体粒子Pは、ホッパ31からチャンバ3
3内にある噴出器32に供給され、そこで加速されてチ
ャンバ33内で転写シートSに向かって噴出する。そし
て、転写シートは、噴出器から噴出する固体粒子の衝突
にさらされる。衝突時の固体粒子の単位時間当たりの運
動量の変化分が、転写シートを基材へ押し付ける衝突圧
となる。衝突圧印加領域は、例えば被転写基材及び転写
シートの搬送方向に直交方向に被転写基材全幅を覆う帯
状形状であり、被転写基材及び転写シートが搬送される
につれて、搬送方向の全領域が順次衝突圧にさらされて
いく。そして、転写シートに衝突後の固体粒子は、シー
ト支持装置22の側面を迂回しチャンバ33の下部に集
まり、そこからドレン管34で吸引され元のホッパ31
に収集される。また、固体粒子の回収搬送用としてチャ
ンバ中の空気も、固体粒子と共にドレン管34で吸引さ
れ、ホッパ上部に設けたフィルター等を用いた分離装置
35で固体粒子と分離され、真空ポンプ36で系外に排
出される。
【0045】なお、図6の装置では、接着剤層や下塗り
層を塗工する基材塗工装置50、それらを乾燥したり、
被転写基材上の接着剤層や被転写基材を加熱する基材加
熱装置41を、チャンバ33の外上流側に備え、適宜、
転写と同時に出来る様にしてある。また、転写シートS
は、シートの延伸性向上が必要な場合は、衝突圧印加直
前に、赤外線輻射ヒーター、誘電加熱等によるシート加
熱装置40で加熱軟化させておくと良い。加熱は、図6
では、転写シートがチャンバ33内でシート支持装置2
2で幅方向両端を挟持されて搬送される様になってか
ら、赤外線加熱等によるシート加熱装置40で行い、シ
ートが伸びて搬送に支障を来さない様にしてある。ま
た、同図のシート加熱装置40による加熱は、転写シー
トが基材に接近後としてあるので、間接的に被転写基材
上の接着剤層や被転写基材を加熱し、又はその放熱の防
止の役割も担う。
【0046】そして、転写シートは、固体粒子衝突圧に
よる転写圧で被転写基材に押圧され、被転写基材の凹凸
表面の凹部内へも転写シートは延ばされて変形すること
で、表面凹凸形状に追従して成形されて圧接し、活性化
している接着剤層により被転写基材の凹凸表面に圧着す
る。そして、図6の場合は、転写シートが密着した被転
写基材は、チャンバ33の外下流側の第2チャンバ71
内で、除去装置70(風冷による冷却装置を兼用)で転
写シート上に残留した固体粒子に空気を吹き付けて固体
粒子を吹き飛ばして除去すると同時に、接着剤層、被転
写基材及び転写シートを、支持体が剥離可能な温度にま
で冷却させる。
【0047】〔接着剤等の加熱方法〕転写圧押圧に固体
粒子衝突圧を用いる場合でも、従来の弾性体ローラを用
いる転写方法と同様に、転写圧押圧時や、その前に接着
剤、転写シート、被転写基材等を適宜加熱することがで
きる。図6の例では、衝突圧押圧前に被転写基材(及び
その上の接着剤層)を基材加熱装置41加熱し、更に転
写シートも含めてシート加熱装置40で加熱して、衝突
圧を加える方法であった。衝突圧押圧時の加熱は、固体
粒子に加熱固体粒子を用いたり、吹出ノズルによる噴出
器では、その固体粒子加速流体も加熱流体も用いる。ま
た、転写シート支持体側や被転写基材裏面側からの赤外
線ヒータによる輻射加熱等でも良い。もちろん、衝突圧
の押圧前及び押圧中の加熱、或いは押圧押圧中のみの加
熱でも良く適宜使い分ける。但し、熱風加熱はチャンバ
内で行うと内部に気体を流入しチャンバ圧力バランスに
影響するので、チャンバ外が行う方が好ましい。
【0048】〔その他〕なお、本発明の曲面転写方法は
図6による説明に限定されるものではない。例えば図6
の例では、噴出器の位置は固定で、被転写基材及び転写
シートを移動させて被転写面全面に衝突圧を順次印加す
る方法だが、被転写基材及び転写シートは固定で、噴出
器を移動させ、基材一個毎に間欠的に転写する等しても
良い。また、被転写基材の被転写面は水平で上方から衝
突圧を加える以外に、垂直や傾斜状態で、或いは下方か
ら衝突圧を加えてもよい。また衝突圧印加前に、弾性体
ローラによる転写シートの被転写基材への押圧を予備的
に行う等しても良い。
【0049】〔後加工〕転写後の表面に、耐久性、意匠
感等を付与する為に、更に透明保護層(トップコート
層)を塗装する等しても良い。この様な透明保護層とし
ては、1液又は2液の硬化性ウレタン樹脂、紫外線や電
子線で硬化させる電離放射線硬化性樹脂、ポリ4フッ化
エチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂、ポリ
メタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、シリコーン樹脂
等の1種又は2種以上等をバインダーとし、これに必要
に応じて、ベンゾトリアゾール、超微粒子酸化セリウム
等の紫外線吸収剤(紫外線硬化で無い場合)、ヒンダー
ドアミン系ラジカル捕捉剤等の光安定剤、着色顔料、体
質顔料、滑剤等を添加した塗料を用いる。特に本発明で
は、転写層の少なくとも1層に熱可塑性ウレタン樹脂を
用いているので、その層が最外層となる場合は、透明保
護層との密着性が良い。また、該熱可塑性ウレタン樹脂
に水酸基やアミノ基を有する樹脂を用いれば、より密着
が良い。塗工はスプレー塗装、フローコート、軟質ゴム
ロールやスポンジロールを使用したロールコート等を用
いる。透明保護層の膜厚は1〜100μm程度である。
【0050】〔化粧材〕本発明の転写方法で得られる化
粧材としては、外壁、塀、屋根、門扉、破風板等の外装
材、壁面、天井等の建築内装材、窓枠、扉、手摺、敷
居、鴨居等の建具、箪笥等の家具の表面材、弱電・OA
機器のキャビネット、或いは自動車等の車両内装材等の
各種分野で用いられ得る。
【0051】
【実施例】次に実施例により本発明を更に説明する。
【0052】〔実施例1〕先ず、三次元的表面凹凸を有
する被転写基材Bとして図2(A)の平面図及び図2
(B)の要部斜視図に例示する様な、大柄な凹凸として
深さ2mm、開口幅6mmの目地の溝状凹部401と、
煉瓦積み模様の平坦凸部402とを有し、微細な凹凸と
して平坦凸部上に深さが0.1〜0.5mmの範囲に分
布する梨地調の微細凹凸403を有する、大柄な凹凸と
微細な凹凸とが重畳した三次元的表面凹凸を有する厚さ
12mmのケイ酸カルシウム板を用意した。そして、該
凹凸面に下地塗装及び下塗り塗装をオフラインで別の装
置で行った。また、転写シートSは支持体に厚さ100
μmのポリプロピレン系熱可塑性エラストマーフィルム
の片面に、転写層となる装飾層として凹凸面形状と位置
同調したセメントの目地を有する煉瓦調の絵柄を順次グ
ラビア印刷したものを用意した。絵柄インキのバインダ
ーの樹脂としては、熱可塑性ポリウレタン樹脂を、ま
た、着色顔料としては、弁柄、イソインドリノン、カー
ボンブラック、チタン白を用いた。熱可塑性ポリウレタ
ン樹脂には、ポリオール成分にポリエステルをイソシア
ネート成分にイソホロジイソシアネートを用いた水酸基
を有する樹脂を用いた。また、この樹脂は分子量40,
000、ガラス転移温度−45℃、破断伸度600%、
100%伸時応力36〔kg/cm2 〕、熱軟化温度1
00℃であった。
【0053】次に、図6に示す様な装置で、噴出器には
図2及び図3の様な羽根車を用いた噴出器を使用し、上
記被転写基材Bを、その凹凸面を上にして搬送用ローラ
列からなる基材搬送装置10上に載置して搬送し、基材
塗工装置50にて、アクリルウレタン2液硬化型接着剤
を10g/m2 (固形分)の厚さに溶液塗工後、基材加
熱装置41で接着剤の加熱乾燥と被転写基材の加熱し
て、被転写基材の温度を110〜120℃に加熱後、衝
突圧印加部30に供給した。一方転写シートSも、シー
ト供給装置20により、その支持体側を上にして、しか
も絵柄の目地部と被転写基材の目地状の溝状凹部とが位
置合わせ(見当合わせ)される様にして衝突圧印加部に
供給した。被転写基材Bが衝突圧印加部のチャンバ33
に入ったところで、転写シートを被転写基材に接近させ
た。そして、1対のエンドレスベルト状のシート支持装
置22で転写シートの幅方向両端を表裏で挟持した。そ
の状態で、転写シートの支持体側から電熱線ヒータによ
る輻射熱を用いたシート加熱装置40で、転写シートの
予熱、接着剤の活性化、被転写基材の加熱を行った。
【0054】次いで、固体粒子Pとして平均粒径0.4
mmの球形の亜鉛球を、噴出器32から噴出させて転写
シートの支持体側に衝突させて、転写シートを被転写基
材に圧接した。噴出器の羽根車の回転数は3600〔r
pm〕、固体粒子の噴出速度は35〔m/s〕であっ
た。そして、転写シートが目地の凹部内にまで延ばされ
て熱融着し、チャンバ33から続いてその下流側に設け
た第2チャンバ71内に於いて冷却装置70で20℃の
冷風を吹き付けて、接着剤を冷却して接着温度以下に冷
却すると共に、転写シート上に残留した固体粒子を転写
シート端部からチャンバ下部に向かって落として除去し
た後、転写シートの支持体を剥離ローラ60で剥がし取
り、化粧材Dを得た。化粧材は表面凹凸に追従して絵柄
が転写されていた。また、特に目地溝の凹部内で大きく
転写シートが伸ばされた部分では、転写層の割れや転写
抜けが無く、凹部形状に追従して転写されていた。更
に、この化粧材の転写層の表面に、2重量%のベンゾト
リアゾール系紫外線吸収剤を含むポリフッ化ビニリデン
のエマルション塗料を乾燥時厚さ10μmに塗布して、
透明保護層を形成して、透明保護層付きの化粧材を得
た。
【0055】〔実施例2〜4〕転写層となる装飾層の樹
脂を、表1に示す熱可塑性ウレタン樹脂に代えた他は、
実施例1と同様にして、実施例2〜4の化粧板を得た。
その結果、実施例2〜4の全てに於いて、実施例1同様
に、化粧材は表面凹凸に追従して絵柄が転写されてい
た。また、特に目地溝の凹部内で大きく転写シートが伸
ばされた部分では、転写層の割れや転写抜けが無く、凹
部形状に追従して転写されていた。
【0056】
【表1】 注:PCDはポリカーボネートジオール、ADはアジペートジオール。 IPDIはイソホロンジイソシアネート、 MDIはヘキサメチレンジイソシアネート。
【0057】
【発明の効果】 本発明によれば、大きな三次元的凹凸表面が装飾され
た化粧材が容易に得られる。もちろん、窓枠、サッシ等
の二次元的凹凸も可能であり、平板状の板材以外にも、
瓦の様に全体として(包絡面形状が)波うち形状のも
の、或いは凸又は凹に湾曲した形状のものでも容易に得
られる。しかも、大柄な凹凸表面の凸部上、凹部内(底
部や凸部と底部の連結部分である側面)も転写できる。
また、大柄な凹凸の凸部上に、更に微細な凹凸模様(例
えば、ヘアライン、梨地等)が有る場合でも、その微細
凹凸の凹部内にまで、転写にて装飾できる。 特に、転写層に熱可塑性ウレタン樹脂を用いているの
で、大柄な凹凸の凹部部分等で転写シートが衝突圧で急
激に大きく伸ばされて転写される部分でも、転写層が支
持体から剥離すること(箔落ち)無く転写シートの伸び
に追従して成形されるので、凹部内部でも転写抜けが発
生せずに転写できる。特に、固体粒子衝突圧を転写圧に
用いる本発明の曲面転写方法では、大きな凹凸にも転写
でき、しかも従来の弾性体ローラの様に転写速度を低速
にすることで転写シートの変形速度を落とせないので、
重要である。また、転写層の樹脂が熱可塑性ウレタン樹
脂なので、他の熱可塑性樹脂に比べて密着が良い。例え
ばそれが最外層の場合は、その上に透明保護層等を塗装
形成しても密着が良い。 また、従来のゴムローラ押圧方式の様に、被転写基材
の凹凸部によるローラ等部品の損耗も無い。 以上の結果、従来に無く極めて意匠性に優れた化粧材
が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の曲面転写方法を概説する概念図。
【図2】被転写基材の一例として、三次元表面凹凸有す
る例を示す説明図であり、(A)は平面図、(B)は要
部斜視図。
【図3】羽根車を用いた噴出器の一例を概念的に説明す
る斜視図。
【図4】図3の羽根車内部を説明する概念図。
【図5】吹出ノズルによる噴出器の一例を概念的に説明
する断面図。
【図6】本発明の曲面転写方法を実施し得る曲面転写装
置の一例の概念図で、(A)は基材搬送方向の側面から
見た図で、(B)は(A)の装置の噴出器部分を基材搬
送方向から見た概略装置図。
【符号の説明】
1 支持体 2 転写層 10 基材搬送装置 20 シート搬送装置 21 シート送出装置 22 シート支持装置 23 シート排出装置 30 衝突圧印加部 31 ホッパ 32 噴出器 33 チャンバ 34 ドレン管 35 分離装置 36 真空ポンプ 40 シート加熱装置 41 基材加熱装置 50 基材塗工装置 60 剥離ローラ 70 除去装置(兼冷却装置) 71 第2チャンバ 401 溝状凹部 402 平坦凸部 403 微細凹凸 812 羽根車 813 羽根 814 側面板 815 中空部 816 方向制御器 817 開口部 818 散布器 819 回転軸 820 軸受 840 吹出ノズルを用いた噴出器 841 誘導室 842 内部ノズル 843 ノズル開口部 844 ノズル A 接着剤層 B 基材 D 化粧板 P 固体粒子 S 転写シート

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 凹凸表面を有する被転写基材の凹凸表面
    側に、支持体と転写層とからなる転写シートの転写層側
    を対向させ、該転写シートの支持体側に固体粒子を衝突
    させ、その衝突圧を利用して、被転写基材の凹凸表面へ
    の転写シートの圧接を行い、転写層が被転写基材に接着
    後、転写シートの支持体を剥離除去することで、転写層
    を被転写基材に転写する曲面転写方法であって、 転写シートとして、転写層のうちの少なくとも1層が熱
    可塑性ウレタン樹脂を主成分樹脂とする層からなる転写
    シートを用いる、曲面転写方法。
JP20839297A 1997-07-18 1997-07-18 曲面転写方法 Withdrawn JPH1134597A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007052579A1 (ja) * 2005-11-02 2007-05-10 Nippon Shokubai Co., Ltd. 転写法により機能性を付与された熱可塑性樹脂シートおよびその製造方法
JP2008109864A (ja) * 2006-10-30 2008-05-15 Hitachi Ltd 遺伝子配列解析システム

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