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JPH11335820A - 蒸着方法及び蒸着装置 - Google Patents

蒸着方法及び蒸着装置

Info

Publication number
JPH11335820A
JPH11335820A JP13899898A JP13899898A JPH11335820A JP H11335820 A JPH11335820 A JP H11335820A JP 13899898 A JP13899898 A JP 13899898A JP 13899898 A JP13899898 A JP 13899898A JP H11335820 A JPH11335820 A JP H11335820A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vapor deposition
electron beam
deposition material
glass substrate
temperature sensor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP13899898A
Other languages
English (en)
Inventor
Fumihiro Sei
文博 清
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujitsu Ltd
Original Assignee
Fujitsu Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujitsu Ltd filed Critical Fujitsu Ltd
Priority to JP13899898A priority Critical patent/JPH11335820A/ja
Publication of JPH11335820A publication Critical patent/JPH11335820A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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  • Physical Vapour Deposition (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、プラズマディスプレイパネル等に
使用する大型基板に対して薄膜層を形成するための蒸着
方法及び蒸着装置に係り、時間経過に伴ってカソードの
形状変化が発生する場合においても、蒸着原料に対する
電子ビームの照射強度や照射位置を常に一定にすること
により、均一な薄膜層を安定して得ることのできる蒸着
方法及び蒸着装置を提供することを目的としている。 【解決手段】 蒸着原料11に電子ビーム9を照射する
ことで該蒸着原料11を蒸発させ、その蒸気12を被処
理体2表面に被着させて成膜を行なう蒸着方法におい
て、前記蒸着原料11における前記電子ビーム9の照射
位置及び照射範囲を検出し、照射位置と照射範囲の検出
結果に基づいて電子ビーム9に与える磁力を制御するこ
とで、蒸着原料11に対して常に一定の位置及び範囲に
電子ビーム9を照射することを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラズマディスプ
レイパネル等に使用する大型基板に対して薄膜層を形成
するための蒸着方法及び蒸着装置に係り、特に電子ビー
ムを照射することで蒸着原料を蒸発させ、この蒸気によ
り基板表面に薄膜を被着させる蒸着方法及び蒸着装置に
関する。
【0002】プラズマディスプレイパネル等の精密機器
においては、被着される薄膜の状態が機器の特性に大き
な影響を及ぼすため、厚さの均一な薄膜を安定して得る
ことが求められている。
【0003】
【従来の技術】図7は、従来の蒸着方法及び蒸着装置を
説明するための図であり、図7(a)は蒸着装置の概略
断面図、図7(b)は電子銃の内部構造を簡単に示す断
面図である。蒸着は真空状態中において原料を気化さ
せ、これを被処理面に被着させることで行なわれるもの
であるが、以下に従来の蒸着装置の構造を説明する。
尚、ここではプラズマディスプレイパネル(以下PDP
と称する)を構成するガラス基板に金属酸化膜を形成す
るものを例にしている。
【0004】従来の蒸着装置61は、図7(a)に示す
とおり、内部を真空状態とすることのできる密閉筐体に
より覆われてなるものであり、主要構成部として、蒸着
原料(例えば酸化マグネシウム)71を収容するハース
70、電子ビーム69を照射する電子銃66、電子ビー
ム69を集束及び偏向するための磁力を与える集束コイ
ル67及び偏向コイル68を備えている。
【0005】これら主要構成部の上方には、被処理体で
あるガラス基板62が搬送される搬送路が備えられてお
り、矢印の方向に一定速度で通過するガラス基板62の
下表面に金属酸化膜が被着される構造となっている。こ
のような構造の蒸着装置61において、電子銃66より
照射される電子ビーム69は、集束コイル67及び偏向
コイル68により、その進行方向等を制御され、ハース
70に収容される蒸着原料71の表面に入射する。
【0006】蒸着原料71は、電子ビーム69が入射さ
れることにより温度が上がり、所定温度に到達した部分
は蒸発する。これによって上昇する蒸着原料71の蒸気
72がガラス基板62表面に被着して、所定の金属酸化
膜を形成する。尚、装置内には不要な部分への蒸気72
の被着を防ぐために、防着板73が設置されている。ま
た、図示していないが、ガラス基板62に近接するよう
に蒸着領域を規定するためのマスク、更にガラス基板6
2を搭載して搬送するキャリアを備えている。
【0007】ここで電子ビーム69を照射する電子銃6
6の構造を簡単に説明する。電子銃66は、図7(b)
に示すように、熱を発生するフィラメント81と一対の
電極、即ちカソード82及びアノード83とを有するも
のであり、フィラメント81により加熱されたカソード
82から放出される電子をアノードで加速させることに
より、電子ビーム69を照射する。
【0008】照射される電子ビームの強度は、カソード
82−アノード83間に流される電流値によって決めら
れるものであり、必要な膜厚やガラス基板62の搬送速
度等を考慮してこの電流値を調整している。この時、電
圧値は一定としている。尚、図7(b)では、電子銃6
6に密接して設けられる集束コイル67も示している。
【0009】図8は、蒸着対象物の一例であるガラス基
板を備えるPDPの構造を示すための断面図であり、以
下に簡単に説明する。PDPは、放電空間100を介し
て一対の基板、つまり前面ガラス基板91と背面ガラス
基板95を貼り合わせて構成するものであり、各基板に
はそれぞれ所定の構造物が形成されている。
【0010】前面ガラス基板91には、最初に放電を発
生させるための表示電極92が所定間隔で形成され、こ
れを覆うように電荷を蓄積するための誘電体層93、更
に誘電体層93及び表示電極92を保護するための保護
膜94が形成されている。一般的に保護膜94には酸化
マグネシウム等の金属酸化膜が使用されている。一方、
背面ガラス基板95には、表示画素を指定するためのア
ドレス電極96、誘電体層97、放電領域を画定するた
めの隔壁98、隔壁98間にカラー表示のための蛍光体
層99が順次形成されている。
【0011】図7における蒸着装置61は、前面ガラス
基板91の保護膜94を形成するためのものであり、図
7のガラス基板62は、表示電極92や誘電体層93が
形成された状態とされている。保護膜94は表示電極9
2や誘電体層93を保護するものであるが、表示特性に
影響を与える放電状態の維持や不要な放電電流の抑制等
の作用を有しており、PDPの寿命にも多大な影響を及
ぼすものであるため、均一で安定した膜の形成が必要と
される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の蒸着装置6
1による蒸着においては、電子銃66におけるカソード
82−アノード83間に流す電流や、集束コイル67及
び偏向コイル68による磁力を設定することにより、蒸
着原料71に照射される電子ビーム69の強度及び入射
位置等を調整して、ガラス基板62に必要な薄膜層を形
成する構成となっている。
【0013】しかしながら、図7(b)に示す電子銃6
6におけるカソード82は、電子を放出する一方、イオ
ンによる衝撃を受けていることから、時間の経過に伴っ
てその表面が削り取られて形状の変化が生じる。これに
よって電子ビームの放出方向や強度にばらつきが生じる
こととなり、蒸着原料71に対する照射位置や範囲が不
安定となる。
【0014】その結果、蒸着原料71の蒸発位置や蒸発
量が変化し、ガラス基板62に被着される膜の状態も変
化することから、均一な薄膜層を安定して形成すること
が困難となっている。蒸着装置61に透過窓を設置し
て、蒸着原料71への電子ビーム69の入射位置等を作
業者が確認した上、マニュアル操作により、電子ビーム
69に加える磁力を制御することも行なわれている。し
かしながら、作業者が常時確認を実施することは、面倒
であると共に非効率的である。また、この方法は強く光
っている部分を目視することによって、電子ビーム69
の入射位置及び入射範囲を判断するものであるため、微
妙な変化を見極めることは極めて困難である。
【0015】本発明は上記従来の課題を解決して、時間
経過に伴ってカソードの形状変化が発生する場合におい
ても、蒸着原料に対する電子ビームの照射強度や照射位
置を常に一定にすることにより、均一な薄膜層を安定し
て得ることのできる蒸着方法及び蒸着装置を提供するこ
とを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の蒸着方法は、蒸
着原料に電子ビームを照射することで該蒸着原料を蒸発
させ、その蒸気を被処理体表面に被着させて成膜を行な
う蒸着方法において、前記蒸着原料における前記電子ビ
ームの照射位置及び照射範囲を検出し、この照射位置と
照射範囲の検出結果に基づいて電子ビームに与える磁力
を制御することで、蒸着原料に対して常に一定の位置及
び範囲に電子ビームを照射するものである。
【0017】また、本発明の蒸着装置は、蒸着原料に電
子ビームを照射することで該蒸着原料を蒸発させ、その
蒸気を被処理体表面に被着させて成膜を行なう蒸着装置
において、前記蒸着原料における温度分布を検出するた
めの温度センサと、該温度センサによる温度分布の検出
結果に基づいて、前記電子ビームに印加する磁力を制御
する制御装置とを備えるものである。
【0018】このような本発明においては、電子ビーム
の発生源である電子銃の状態が変化したとしても、蒸着
原料に対する電子ビームの入射位置及び入射範囲を常に
一定にすることができる。従って、蒸着原料の蒸発状態
を安定させることができ、被処理体に対して均一な膜を
連続して形成することが可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の実施形態を説明する。図1及び図2は、本発明の第1
の実施形態を説明するための図であり、図1は蒸着装置
の断面図、図2は本実施形態の特徴部である温度センサ
の構成を説明する図である。
【0020】本実施形態に係る蒸着装置1は、内部を真
空状態とすることのできる密閉筐体により覆われてなる
ものであり、主要構成部として、電子ビーム9を照射す
る電子銃6、電子ビーム9を集束及び偏向するための磁
力を発生する集束コイル7及び偏向コイル8、蒸着原料
(酸化マグネシウム)11を収容すると共に温度センサ
14が埋設されるハース10、更に温度センサ14から
の信号によって集束コイル7及び偏向コイル8を制御す
る制御装置15を備えている。
【0021】これら主要構成部の上方には、PDPの表
示画面となるガラス基板2が搬送される搬送路が備えら
れており、矢印の方向に一定速度で搬送されるガラス基
板2の下表面に酸化マグネシウム膜が被着される構造と
なっている。本蒸着装置1により処理されるガラス基板
2は、図8にて説明したように、表示電極及び誘電体層
が形成されたものであり、マスク3によって蒸着領域を
画定された状態で、キャリア4によって搬送される。図
1ではわかりにくいが、マスク3とキャリア4とは枠状
とされており、ガラス基板2を保持した状態で搬送ロー
ラ5上を移動する。
【0022】更に、装置内には不要な部分への膜の被着
を防止するための防着板13が設けられ、防着板13の
下方で膜が被着される位置には膜厚センサ16を設置し
ている。この膜厚センサ16は、電子銃6に接続され、
検出結果に基づく信号により電子銃6を制御している。
更に、搬送路内には、ガラス基板2を加熱するためのヒ
ータ17が備えられている。
【0023】このような構造の蒸着装置1において、電
子銃6より照射される電子ビーム9は、集束コイル7及
び偏向コイル8により、その太さや進行方向等を制御さ
れ、ハース10に収容される蒸着原料11の表面に入射
する。蒸着原料11は、ペレット状の酸化マグネシウム
であり、電子ビーム9の入射によって2000℃程度に
加熱されることで蒸発する。その結果、蒸気12が上昇
して、搬送路中のガラス基板2の露出面に被着して、所
定の保護膜が形成される。
【0024】尚、蒸着装置1内には図示していないが、
ハース10にペレットを供給するための供給路が備えら
れており、蒸発することにより減少する蒸着原料11の
補充を可能にしている。従って、蒸着原料11の状態は
変化しない。本実施形態においては、ハース10に温度
センサ14が埋設されており、蒸着原料11の温度分布
を検出することが可能となっている。以下に温度センサ
14の具体的構成を説明する。
【0025】図2は、図1における温度センサの詳細を
説明するための図であり、図2(a)はハース斜視図、
図2(b)はハース上面図である。尚、いずれの図も内
部に埋設される温度センサを点線で示している。図2
(a)に示すように、ハース10は方形の立方体であ
り、その上部に蒸着原料11が収容され、蒸着原料11
の下方にあたる内部に温度センサ14が埋設されてい
る。温度センサ14は、個々に温度検出能力を有する複
数の熱電対からなるものであり、蒸着原料11全体の温
度分布を検出することが可能である。
【0026】即ち、図2(b)に示すように、温度セン
サ14は、それぞれ熱電対を配置する複数の個別検出領
域14aを備えており、個別検出領域14a毎の温度を
検出することにより、蒸着原料11の温度分布を認識す
る。蒸着原料11は、電子ビーム6が入射している領域
の温度が最も高くなるため、蒸着原料11の温度分布を
認識することによって、電子ビーム9の入射位置及びそ
の範囲を検出することができる。
【0027】尚、個別検出領域14aを小さくするほど
検出精度は向上する。また、ハース10はその下部或い
は周辺部に備えられる冷却手段(図示なし)によって冷
却されるが、温度センサ14は蒸着原料11の温度が直
接伝えられる近傍部分に設置されているため、確実な温
度検出が可能である。このようにして検出された蒸着原
料11の温度分布、つまり電子ビーム9の入射位置と入
射範囲の検出結果を図1に示す制御装置15に送り、こ
れにより集束コイル8及び偏向コイル9を制御する。
【0028】蒸着処理を続けることで、電子銃6のカソ
ード(図7(b)カソード82参照)がイオン衝撃によ
り変形して、蒸着原料11に対する電子ビーム9の照射
位置の移動、或いは照射範囲の変化が生ずることがある
が、上記温度センサ14及び制御装置15の動作によ
り、集束コイル8及び偏向コイル9の磁力を調整するこ
とができるため、速やかに所定の位置及び範囲へ電子ビ
ーム9を戻すことが可能である。
【0029】尚、カソードは、長時間の使用によって、
穴が開く等電子ビームの照射自体が妨げられる状態にな
るため、定期的に交換する必要があるが、本発明は交換
に至るまでのカソードの経時変化に対応するものであ
る。以上のように、本実施例によれば蒸着原料11に対
する電子ビーム9の入射位置や入射範囲を監視し、常に
所定の位置及び範囲となるように制御していることか
ら、蒸着原料11の蒸発位置や蒸発量が変化することが
なく、ガラス基板2への金属酸化膜の形成が安定したも
のとなる。
【0030】更に、本実施例においては、膜厚センサ1
6を設置して、ガラス基板2に形成される膜の蒸着レー
トを検出し、この結果に基づいて電子ビーム9の強度を
調整している。膜厚センサ16は、振動係数が変わるこ
とで膜厚の変化を検出することができる水晶振動子から
なるものであり、単位時間当たりの膜厚変化により蒸着
レートを認識して、この結果に基づいて電子銃6に流す
電流値を調整する。これによって電子銃6のカソードの
変形や装置内の微妙な圧力変化によって生じる蒸着レー
トを安定化させることができる。
【0031】蒸着レートは、電子ビーム6の蒸着原料1
1に対する入射位置や入射範囲を安定させたとしても、
装置内の圧力変化等により微妙に変化し、膜形成に影響
を与えることになるため、本実施形態の如く電子ビーム
9の強度を調整することにより、この影響をなくし、更
なる蒸着の安定化が望める。尚、搬送路内に設置するヒ
ータ17は、ガラス基板2を加熱するものであり、被処
理体であるガラス基板2を数百℃程度に加熱しておくこ
とにより、蒸着される金属酸化膜を緻密にすることがで
きる。
【0032】次に本発明の第2の実施形態を説明する。
図3〜図5は、本発明の第2実施形態を説明するための
図であり、図3は蒸着装置の断面図、図4は蒸着装置上
面図、図5は本実施形態に係るハース構造を示す斜視図
である。本実施形態は、前述した第1の実施形態に対し
て、ハース及び膜厚センサの構成に特徴を有するもので
あり、これらの構成を明確にするため、図3に示す断面
図は、図1とは直交する方向のものとしている。即ち、
図3は、その紙面垂直方向がガラス基板の搬送方向とな
る断面図であり、電子銃やコイル、電子ビームは示され
ていない。これに対して図4は紙面方向を搬送方向とす
るものである。
【0033】本実施形態に係る蒸着装置21は、主要構
成部として、電子ビーム29を照射する電子銃26、電
子ビーム29を集束及び偏向するための磁力を発生する
集束コイル27及び偏向コイル28(以上図4参照)、
ペレット状の酸化マグネシウムからなる蒸着原料31を
収容すると共に温度センサ34が内部に設置されるリン
グ状のハース30、更に温度センサ34からの信号によ
って集束コイル27及び偏向コイル28を制御する制御
装置35を備えている。
【0034】尚、本実施形態では、より均一な成膜を行
なうために、ガラス基板22の搬送方向に直交する方
向、即ちガラス基板22の長手方向に併設されるよう一
対のハース30を設置している。これら主要構成部の上
方には、PDPの表示画面となるガラス基板22が、表
示電極及び誘電体層を形成された状態で搬送される搬送
路が備えられており、矢印の方向(図3では手前方向)
に一定速度で搬送されるガラス基板22の下表面に酸化
マグネシウム膜が被着される構造となっている。
【0035】ガラス基板22は、マスク23によって蒸
着領域を画定された状態で、キャリア24によって搬送
される。マスク23とキャリア24とは枠状とされてお
り、ガラス基板22を保持した状態で搬送ローラ25上
を移動する。また、装置内には不要な部分に膜が被着す
ることを防ぐために防着板33が設置されている。そし
てハース30に対向するガラス基板22の僅かに上方に
は、複数の膜厚センサ36が設置され、ガラス基板22
の非通過時に蒸着がなされることで蒸着レートの検出を
可能としている。
【0036】この検出結果は、平均値を算出するための
演算装置38に送られて、演算結果に基づいて、電子銃
26の制御が行なわれることになる。更に、搬送路内に
は、ガラス基板22を加熱するためのヒータ37が備え
られている。このような蒸着装置21において、電子銃
26より照射される電子ビーム29は、集束コイル27
及び偏向コイル28により、その太さや進行方向等を制
御され、ハース30に収容される蒸着原料31の表面に
入射する。
【0037】本実施例においては、上述したように一対
のハース30が併設される構成になっており、1ヶ所の
電子銃26から両方のハース30の蒸着原料31に電子
ビーム29を照射する必要があるため、2段の偏向コイ
ル28を備えている。即ち、水平方向に偏向させるため
のコイルと垂直方向に偏向させるためのコイルをそれぞ
れ有している。
【0038】ここで、本実施形態に係るハース30を図
5を参照して詳細に説明する。ハース30は、図5に示
すように、リング形状をしており、同様にリング形状の
収容部に蒸着原料31が収容されると共に、電子ビーム
29が入射される部分には、温度センサ34が設置され
ている。また、図示していないが、ハース30には第1
の実施形態と同様、酸化マグネシウムペレットを補充す
るための供給路及び冷却手段が設けられている。
【0039】電子銃26から照射される電子ビーム29
は、図5からわかるように、リング状の蒸着原料31の
2ヶ所に入射されるため、温度センサ34はこれに対応
して設けられている。以上の如き構造のハース30は、
図5に矢印で示すように、回転可能となっており、回転
状態において電子ビーム29を入射することにより、蒸
着原料31の一点が集中的に蒸発することを防止してい
る。つまり、ハース30が回転することにより、蒸着原
料31に対して円周状に電子ビーム29が入射されるこ
とになる。
【0040】本実施形態では、一個のハース30に対し
て2ヶ所に電子ビーム29を入射しているが、各電子ビ
ーム29を蒸着原料31のそれぞれ異なる円周状に位置
させることによっても、蒸発領域を分散させている。
尚、電子ビーム29は、図4に示す偏向コイル28によ
る磁力を調整することによって、蒸着材料31の2ヶ所
へ高速で振られている。また、ハース30の回転速度
は、蒸着原料31の電子ビーム29による温度上昇効率
を考慮して、低速にしている。
【0041】ハース30内の温度センサ34の設置部
は、円周状に空洞とされており、ハース30が回転する
も、温度センサ34は固定されており、電子ビーム29
の入射部付近に位置する。また、ハース30に設置され
る一対の温度センサ34は、第1の実施形態と同様、複
数の個別検出領域に熱電対を備える構成で、所定領域内
の温度分布を検出することにより、それぞれの電子ビー
ム29の入射位置及び入射範囲を検出している。この検
出結果に基づいて電子ビーム29の入射位置及び範囲を
認識している。
【0042】電子ビーム29が所定の位置或いは範囲に
入射されていない場合には、第1の実施形態と同様、制
御装置35(図3参照)により、集束コイル27や偏向
コイル28を制御して、所定の入射位置及び範囲を維持
する構成としている。以上のように、リング状のハース
30を用いるものにおいて、蒸着原料31に対する電子
ビーム29の入射位置や入射範囲を監視し、常に所定の
位置及び範囲となるように制御していることから、蒸着
原料31の蒸発位置や蒸発量が変化することがなく、ガ
ラス基板2への薄膜の形成が安定したものとなる。
【0043】更に、本実施例においては、図3及び図4
に示すように、膜厚センサ16をガラス基板22の僅か
上方に複数個設置して、これら複数の膜厚センサ16に
より単位時間当たりの蒸着レートを検出している。つま
り、ガラス基板22における蒸着条件とほぼ同様な条件
となる位置に設置される複数の膜厚センサ16により、
まず個別領域の蒸着レートを検出して、演算装置38に
よりこれらの平均値を算出することで、所定領域におけ
る蒸着レートを精度良く認識することを可能としてい
る。
【0044】以上の如く検出する蒸着レートに基づい
て、電子銃26に流す電流を制御し、電子ビーム29の
強度を設定する。このように正確な情報を基に電子銃2
6を制御していることから、所望の蒸着レートを確実に
得ることができる。尚、膜厚センサ36は、ガラス基板
22の上方に設置されていることから、膜厚センサ36
に蒸着されるのはガラス基板22がハース30上に存在
しない時であるが、膜厚センサ36は第1の実施形態同
様、僅かな振動係数の変化を認識できる水晶振動子を使
用しているため、上記タイミングでの蒸着により十分な
検出が可能である。
【0045】次に本発明の第3の実施形態を説明する。
図6は、本発明の第3実施形態を説明するための蒸着装
置断面図である。本実施形態は、前述した第1、第2の
実施形態に対して、温度センサの構成を変更したもので
ある。本実施形態の蒸着装置41は、第1、第2実施形
態と同様、内部を真空状態とすることのできる密閉筐体
により覆われてなるものであり、主要構成部として、電
子ビーム49を照射する電子銃46、電子ビーム49を
集束及び偏向するための磁力を発生する集束コイル47
及び偏向コイル48、蒸着原料(酸化マグネシウム)5
1を収容するハース50を備えている。
【0046】これら主要構成部の上方には、PDPの表
示画面となるガラス基板42が表示電極及び誘電体層を
形成された状態で搬送される搬送路が備えられており、
矢印の方向に一定速度で搬送されるガラス基板42の下
表面に酸化マグネシウム膜が被着される構造となってい
る。ガラス基板42は、枠状のマスク43によって蒸着
領域を画定され、やはり枠状のキャリア44によって保
持された状態で搬送ローラ45上を搬送されるものであ
る。
【0047】更に、装置内には不要な部分への膜の被着
を防止するための防着板53が設けられ、防着板53の
下方で膜が被着される位置には膜厚センサ56を設置し
ている。この膜厚センサ56は、電子銃6に接続され、
検出結果に基づく信号により電子銃56を制御してい
る。本実施形態における温度センサ54は、ハース50
内の蒸着原料51から放出される赤外線を感知すること
で、蒸着原料51の温度分布を検出する赤外線温度セン
サであり、ハース50に対向するガラス基板42上に設
置されている。
【0048】蒸着原料51は、その表面から温度に応じ
た波長の赤外線を放出しており、この赤外線を感知する
ことで、蒸着原料51の温度分布は検出できる。このよ
うに蒸着原料51の温度分布の検出を行なうことによ
り、電子ビーム49の入射位置及び入射範囲を認識する
ことが可能である。赤外線はガラス基板42を透過する
ため、本実施形態ではハース50の対向部であるガラス
基板42の上方に赤外線温度センサ54を設置すること
で、確実な赤外線検出を行なっている。
【0049】温度センサ54の検出結果は、集束コイル
47及び偏向コイル48を制御するための制御装置55
に伝えられて、電子ビーム49に所望の磁力を与えてい
る。即ち、温度センサ54の検出結果により、電子ビー
ム49が設定位置及び範囲を外れている場合には、磁力
を変更することにより、所望の位置及び範囲となるよう
に電子ビーム49の調整を行なって、安定した蒸着を実
施する。
【0050】尚、搬送路内には、第1、第2の実施形態
同様、蒸着される金属酸化膜を緻密にするためにガラス
基板42を加熱するヒータ57が設けられている。以上
説明した本発明の実施形態は、何れもPDPのガラス基
板に対する酸化マグネシウム膜の形成を例にしたが、本
発明は、大面積の被処理体に対して安定した蒸着処理を
連続的に行なうことを目的とするものであり、蒸着材料
や被処理体は実施形態に限定されるものではない。
【0051】
【発明の効果】以上説明した本発明の蒸着方法及び蒸着
装置によれば、電子ビームを照射する電子銃の状態が変
化する場合においても、蒸着原料に対する電子ビームの
照射強度や照射位置を一定にすることにより、被処理体
に対して均一な薄膜層を安定して形成することが可能で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を説明するための蒸着
装置断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る温度センサを説
明するための図である。
【図3】本発明の第2の実施形態を説明するための蒸着
装置断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態を説明するための蒸着
装置上面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るハース構造を示
す斜視図である。
【図6】本発明の第3の実施形態を説明するための蒸着
装置断面図である。
【図7】従来技術を説明するための断面図である。
【図8】プラズマディスプレイパネルの構造を示す断面
図である。
【符号の説明】
1,21,41 蒸着装置 2,22,42 ガラス基板 6,26,46 電子銃 7,27,47 集束コイル 8,28,48 偏向コイル 9,29,49 電子ビーム 10,30,50 ハース 11,21,41 蒸着原料 14,34,54 温度センサ 16,36,56 膜厚センサ

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蒸着原料に電子ビームを照射することで
    該蒸着原料を蒸発させ、その蒸気を被処理体表面に被着
    させて成膜を行なう蒸着方法において、 前記蒸着原料における前記電子ビームの照射位置及び照
    射範囲を検出し、 照射位置と照射範囲の検出結果に基づいて電子ビームに
    与える磁力を制御することで、蒸着原料に対して常に一
    定の位置及び範囲に電子ビームを照射することを特徴と
    する蒸着方法。
  2. 【請求項2】 前記蒸着原料における電子ビームの照射
    位置及び照射範囲の検出は、前記蒸着原料の温度分布を
    検出することで行なうことを特徴とする請求項1記載の
    蒸着方法。
  3. 【請求項3】 前記蒸着原料の温度分布は、蒸着原料を
    収容するハースの温度により間接的に検出することを特
    徴とする請求項2記載の蒸着方法。
  4. 【請求項4】 前記蒸着原料の温度分布は、蒸着原料か
    ら発生する赤外線により検出することを特徴とする請求
    項2記載の蒸着方法。
  5. 【請求項5】 前記被処理体へ成膜レートを検出し、そ
    の検出結果に基づいて電子ビームの強度を制御すること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の蒸着方
    法。
  6. 【請求項6】 蒸着原料に電子ビームを照射することで
    該蒸着原料を蒸発させ、その蒸気を被処理体表面に被着
    させて成膜を行なう蒸着装置において、 前記蒸着原料における温度分布を検出するための温度セ
    ンサと、 該温度センサによる温度分布の検出結果に基づいて、前
    記電子ビームに印加する磁力を制御する制御装置と、 を備えることを特徴とする蒸着装置。
  7. 【請求項7】 前記温度センサは、前記蒸着原料を収容
    するハース内に設置され、個別領域毎の温度検出を行な
    う複数の熱電対温度センサであることを特徴とする請求
    項6記載の蒸着装置。
  8. 【請求項8】 前記温度センサは、前記蒸着原料の対向
    部に設置され、該蒸着材料から放出される赤外線を感知
    する赤外線温度センサであることを特徴とする請求項6
    記載の蒸着装置。
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