JPH11300455A - 連続鋳造における鋳型内液面レベルの検出方法及び装置 - Google Patents
連続鋳造における鋳型内液面レベルの検出方法及び装置Info
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- JPH11300455A JPH11300455A JP11042798A JP11042798A JPH11300455A JP H11300455 A JPH11300455 A JP H11300455A JP 11042798 A JP11042798 A JP 11042798A JP 11042798 A JP11042798 A JP 11042798A JP H11300455 A JPH11300455 A JP H11300455A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 液面レベルの急激な変動に対する応答速度が
速く、ドリフト現象が発生せず、鋳型内の溶融金属表面
が狭い場合でも採用可能な、鋳型内液面レベルの検出方
法及び装置を提供する。 【解決手段】 連続鋳造における鋳型内液面レベルの検
出方法において、鋳型内部の熱流束測定値に基づいて液
面レベルを検出することを特徴とする鋳型内液面レベル
の検出方法及び装置である。液面レベルは、鋳型内の上
下方向の複数の位置の熱流束測定値に基づいて演算を行
って検出することができる。鋳型内部の熱流束の測定
は、鋳型内の表面からの深さが異なった2点の温度の差
の測定結果に基づいて行うことができる。鋳型内の表面
からの深さが異なった2点の温度の差の測定は、1対の
熱電対の温接点と冷接点を前記2点の温度測定位置に配
置することによって行うことができる。
速く、ドリフト現象が発生せず、鋳型内の溶融金属表面
が狭い場合でも採用可能な、鋳型内液面レベルの検出方
法及び装置を提供する。 【解決手段】 連続鋳造における鋳型内液面レベルの検
出方法において、鋳型内部の熱流束測定値に基づいて液
面レベルを検出することを特徴とする鋳型内液面レベル
の検出方法及び装置である。液面レベルは、鋳型内の上
下方向の複数の位置の熱流束測定値に基づいて演算を行
って検出することができる。鋳型内部の熱流束の測定
は、鋳型内の表面からの深さが異なった2点の温度の差
の測定結果に基づいて行うことができる。鋳型内の表面
からの深さが異なった2点の温度の差の測定は、1対の
熱電対の温接点と冷接点を前記2点の温度測定位置に配
置することによって行うことができる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼等の溶融金属の
連続鋳造において、鋳型内の溶融金属の液面レベルを検
出するための鋳型内液面レベル検出方法及び装置に関す
るものである。
連続鋳造において、鋳型内の溶融金属の液面レベルを検
出するための鋳型内液面レベル検出方法及び装置に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】鋼等の溶融金属の連続鋳造においては、
タンディッシュ等の溶融金属容器から鋳型内に溶融金属
を供給し、鋳型の下方に凝固途上の鋳片を引抜くことに
よって連続的に溶融金属の鋳造を行う。上方から供給す
る溶融金属の供給速度と下方に引抜く鋳片の引抜き速度
をバランスさせることにより、鋳型内の溶融金属の液面
を一定に保つ。鋳型内の液面を一定に保つためには、鋳
型内の液面レベルを常に監視し、液面レベルに変動が生
じた場合にタンディッシュ内のストッパー等の溶融金属
の供給量調整装置で溶融金属の供給速度を調整したり、
あるいは鋳片の引抜き速度を調整することによって需給
バランスを調整する。最近は、鋳型内の液面レベルの監
視を自動的に行うための液面レベル検出方法及び装置が
種々実用化されている。
タンディッシュ等の溶融金属容器から鋳型内に溶融金属
を供給し、鋳型の下方に凝固途上の鋳片を引抜くことに
よって連続的に溶融金属の鋳造を行う。上方から供給す
る溶融金属の供給速度と下方に引抜く鋳片の引抜き速度
をバランスさせることにより、鋳型内の溶融金属の液面
を一定に保つ。鋳型内の液面を一定に保つためには、鋳
型内の液面レベルを常に監視し、液面レベルに変動が生
じた場合にタンディッシュ内のストッパー等の溶融金属
の供給量調整装置で溶融金属の供給速度を調整したり、
あるいは鋳片の引抜き速度を調整することによって需給
バランスを調整する。最近は、鋳型内の液面レベルの監
視を自動的に行うための液面レベル検出方法及び装置が
種々実用化されている。
【0003】複数の温度検出器、具体的には熱電対を鋳
型内の異なる高さの位置に埋め込んで配置し、この複数
の温度検出器が検出した鋳型内温度の相対的な関係から
液面レベルを検出する方法が知られている。以下、この
方法による検出方法を温度検出方式とよぶ。検出した温
度実績からは演算によって液面レベルを算出する。演算
方法としては、例えば側定点間の温度差及び側定点間距
離から算出される温度勾配の最大となる区間を温度分布
から検出して液面レベルを演算する方法(特公昭48−
13810号公報)(以下最大温度勾配法という)、任
意周期毎に各温度側定点における温度の時間変化率を演
算し、該時間変化率の最大値を示す素子を検出しそれを
もとに液面レベルを算出する方法(特開昭53−262
30号公報)、及び温度の時間変化からその液面の上
昇、下降、停止といった液面の状態を検出し、それぞれ
の液面の状態に応じて温度を使って液面を演算する方法
(特開昭53−81431号公報)が知られている。
型内の異なる高さの位置に埋め込んで配置し、この複数
の温度検出器が検出した鋳型内温度の相対的な関係から
液面レベルを検出する方法が知られている。以下、この
方法による検出方法を温度検出方式とよぶ。検出した温
度実績からは演算によって液面レベルを算出する。演算
方法としては、例えば側定点間の温度差及び側定点間距
離から算出される温度勾配の最大となる区間を温度分布
から検出して液面レベルを演算する方法(特公昭48−
13810号公報)(以下最大温度勾配法という)、任
意周期毎に各温度側定点における温度の時間変化率を演
算し、該時間変化率の最大値を示す素子を検出しそれを
もとに液面レベルを算出する方法(特開昭53−262
30号公報)、及び温度の時間変化からその液面の上
昇、下降、停止といった液面の状態を検出し、それぞれ
の液面の状態に応じて温度を使って液面を演算する方法
(特開昭53−81431号公報)が知られている。
【0004】温度検出方式は、液面レベルの絶対値を精
度良く、かつ安価に測定できる特徴がある。温度検出方
法においては、鋳型及び温度検出端を溶融金属から保護
するため、鋳型が溶融金属と接触している表面からある
程度の深さの位置に温度検出端を設置することとなる。
そのため、液面レベルの変動によって鋳型表面温度が急
激に変動しても、温度検出端の位置の温度が上昇して定
常状態に到達するまでには時間を要し、その結果、検出
される温度の変動は時間的に遅れて発生するため、急激
な液面レベル変動に対する反応が遅いという問題を有す
る。
度良く、かつ安価に測定できる特徴がある。温度検出方
法においては、鋳型及び温度検出端を溶融金属から保護
するため、鋳型が溶融金属と接触している表面からある
程度の深さの位置に温度検出端を設置することとなる。
そのため、液面レベルの変動によって鋳型表面温度が急
激に変動しても、温度検出端の位置の温度が上昇して定
常状態に到達するまでには時間を要し、その結果、検出
される温度の変動は時間的に遅れて発生するため、急激
な液面レベル変動に対する反応が遅いという問題を有す
る。
【0005】上記温度検出方式において、液面レベル変
動があった場合、温度検出端の温度が定常状態に到達す
るのには時間を要するが、該温度検出端の温度が時間変
化を開始したことを察知して液面レベルの演算に反映す
る方法が、特公平7−41390号公報で提案されてい
る。この方法は、熱電対を単体で用いているため、熱電
対の応答速度が遅い影響を受けて、急激な液面変動に対
してはレベル検知が遅れる可能性がある。また、変位量
を少なく見積もる可能性もある。
動があった場合、温度検出端の温度が定常状態に到達す
るのには時間を要するが、該温度検出端の温度が時間変
化を開始したことを察知して液面レベルの演算に反映す
る方法が、特公平7−41390号公報で提案されてい
る。この方法は、熱電対を単体で用いているため、熱電
対の応答速度が遅い影響を受けて、急激な液面変動に対
してはレベル検知が遅れる可能性がある。また、変位量
を少なく見積もる可能性もある。
【0006】鋳型の一方の側にγ線発生源、他方の側に
γ線検出器を配置し、鋳型内の溶融金属がγ線を遮った
ことによるγ線の透過度の変化から液面レベルを検出す
る方法が知られている。以下、この方法をγ線方式とよ
ぶ。鋳型内液面の急激な変動に対しても、比較的よく応
答して検出することができ、ランニングコストも低い。
一方、初期投資が大きく取り扱いに注意を要するという
問題を有する。また、鋳型内にγ線を遮る溶融金属の飛
沫やパウダーベア等が付着すると、これら付着物の影響
でγ線検出値が変動し、実際の溶融金属の液面とは異な
る液面レベル値を出力する、いわゆるドリフト現象を起
こすという問題を有する。
γ線検出器を配置し、鋳型内の溶融金属がγ線を遮った
ことによるγ線の透過度の変化から液面レベルを検出す
る方法が知られている。以下、この方法をγ線方式とよ
ぶ。鋳型内液面の急激な変動に対しても、比較的よく応
答して検出することができ、ランニングコストも低い。
一方、初期投資が大きく取り扱いに注意を要するという
問題を有する。また、鋳型内にγ線を遮る溶融金属の飛
沫やパウダーベア等が付着すると、これら付着物の影響
でγ線検出値が変動し、実際の溶融金属の液面とは異な
る液面レベル値を出力する、いわゆるドリフト現象を起
こすという問題を有する。
【0007】鋳型内液面の上方に交流信号の発信コイル
と受信コイルを設置し、該コイルと液面との距離が近い
と溶融金属内に渦流が発生して受信コイルの検出値が変
動するという現象を利用して液面レベルを検出する方法
が知られている。以下、この方法を渦流方式とよぶ。液
面の急激な変動にも対応でき、取り扱いも容易であるた
め、大断面のスラブ連続鋳造装置やブルーム連続鋳造装
置において最も一般的に用いられている。一方、溶融金
属のごく近傍にコイルを設置しなければならないため、
トラブルにより溶融金属液面が急速に上昇するとその熱
でコイルが損傷する事故が発生しやすく、ランニングコ
ストが安くないという問題を有する。また、小断面のビ
レット連続鋳造装置では、渦流センサーが鋳型の壁の近
くにしか設置することができず、センサーが鋳型の壁に
近いとその影響を受け、検出感度が低下するという問題
を有する。
と受信コイルを設置し、該コイルと液面との距離が近い
と溶融金属内に渦流が発生して受信コイルの検出値が変
動するという現象を利用して液面レベルを検出する方法
が知られている。以下、この方法を渦流方式とよぶ。液
面の急激な変動にも対応でき、取り扱いも容易であるた
め、大断面のスラブ連続鋳造装置やブルーム連続鋳造装
置において最も一般的に用いられている。一方、溶融金
属のごく近傍にコイルを設置しなければならないため、
トラブルにより溶融金属液面が急速に上昇するとその熱
でコイルが損傷する事故が発生しやすく、ランニングコ
ストが安くないという問題を有する。また、小断面のビ
レット連続鋳造装置では、渦流センサーが鋳型の壁の近
くにしか設置することができず、センサーが鋳型の壁に
近いとその影響を受け、検出感度が低下するという問題
を有する。
【0008】鋳型内の液面を工業用テレビカメラ(IT
V)で観察し、観察結果を画像処理して液面レベルを検
出する方法が知られている。以下、この方法をITV方
式という。また、鋳型内の液面にレーザー光を照射し、
その反射光を検出して液面レベルを検出する方法が知ら
れている。以下、この方法をレーザー方式という。IT
V方式、レーザー方式とも、液面レベル変動に対する反
応速度は非常に速いが、パウダー鋳造で鋳型内の液面が
パウダーで覆われている場合は検出する面はあくまでパ
ウダー上面位置なので、パウダー厚みが不明の場合、液
面レベルの絶対値を検出することができないという問題
を有する。
V)で観察し、観察結果を画像処理して液面レベルを検
出する方法が知られている。以下、この方法をITV方
式という。また、鋳型内の液面にレーザー光を照射し、
その反射光を検出して液面レベルを検出する方法が知ら
れている。以下、この方法をレーザー方式という。IT
V方式、レーザー方式とも、液面レベル変動に対する反
応速度は非常に速いが、パウダー鋳造で鋳型内の液面が
パウダーで覆われている場合は検出する面はあくまでパ
ウダー上面位置なので、パウダー厚みが不明の場合、液
面レベルの絶対値を検出することができないという問題
を有する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来知
られている鋳型内液面レベルの検出方法は、いずれも長
所と短所とを有しており、すべての点において短所を有
しない検出方法は存在していない。本発明は、液面レベ
ルの急激な変動に対する応答速度が速く、ドリフト現象
が発生しない鋳型内液面レベルの検出方法を、低いラン
ニングコストで実現することを目的とする。
られている鋳型内液面レベルの検出方法は、いずれも長
所と短所とを有しており、すべての点において短所を有
しない検出方法は存在していない。本発明は、液面レベ
ルの急激な変動に対する応答速度が速く、ドリフト現象
が発生しない鋳型内液面レベルの検出方法を、低いラン
ニングコストで実現することを目的とする。
【0010】特に、小断面ビレット連続鋳造装置のよう
に、鋳型内の溶融金属表面が狭いために渦流方式を用い
る方法が採用できない場合であっても、液面レベルの急
激な変動に対する応答速度が速く、ドリフト現象が発生
しない鋳型内液面レベルの検出方法を実現することを目
的とする。
に、鋳型内の溶融金属表面が狭いために渦流方式を用い
る方法が採用できない場合であっても、液面レベルの急
激な変動に対する応答速度が速く、ドリフト現象が発生
しない鋳型内液面レベルの検出方法を実現することを目
的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決することを目的になされたものであり、その要旨とす
るところは以下の通りである。
決することを目的になされたものであり、その要旨とす
るところは以下の通りである。
【0012】その第1は、連続鋳造における鋳型内液面
レベルの検出方法において、鋳型内部の熱流束測定値に
基づいて液面レベルを検出することを特徴とする鋳型内
液面レベルの検出方法である。液面レベルは、鋳型内の
上下方向の複数の位置の熱流束測定値に基づいて演算を
行って検出することができる。鋳型内部の熱流束の測定
は、鋳型内の表面からの深さが異なった2点の温度の差
の測定結果に基づいて行うことができる。鋳型内の表面
からの深さが異なった2点の温度の差の測定は、1対の
熱電対の温接点と冷接点を前記2点の温度測定位置に配
置することによって行うことができる。
レベルの検出方法において、鋳型内部の熱流束測定値に
基づいて液面レベルを検出することを特徴とする鋳型内
液面レベルの検出方法である。液面レベルは、鋳型内の
上下方向の複数の位置の熱流束測定値に基づいて演算を
行って検出することができる。鋳型内部の熱流束の測定
は、鋳型内の表面からの深さが異なった2点の温度の差
の測定結果に基づいて行うことができる。鋳型内の表面
からの深さが異なった2点の温度の差の測定は、1対の
熱電対の温接点と冷接点を前記2点の温度測定位置に配
置することによって行うことができる。
【0013】その第2は、連続鋳造における鋳型内液面
レベルの検出装置において、鋳型内の上下方向の複数の
位置の熱流束測定手段と、該熱流束測定手段による熱流
速測定結果に基づいて液面レベルを演算する演算手段と
を有し、前記熱流速測定手段は、鋳型内の表面からの深
さが異なった2点の温度の差の測定結果に基づいて熱流
束を測定することを特徴とする鋳型内液面レベルの検出
装置である。
レベルの検出装置において、鋳型内の上下方向の複数の
位置の熱流束測定手段と、該熱流束測定手段による熱流
速測定結果に基づいて液面レベルを演算する演算手段と
を有し、前記熱流速測定手段は、鋳型内の表面からの深
さが異なった2点の温度の差の測定結果に基づいて熱流
束を測定することを特徴とする鋳型内液面レベルの検出
装置である。
【0014】鋳型内での急激な液面レベル上昇により、
それまで液面より上方であった鋳型における特定位置の
表面に溶融金属が到達した場合、鋳型表面の温度は急速
に上昇する。温度検出方式における温度検出端は、鋳型
表面から距離をおいた位置に存在するため、温度検出端
の温度の上昇は、鋳型表面の温度上昇に対して時間遅れ
を有する。一方、温度検出端の温度が上昇するために
は、それに先立って鋳型表面から熱が供給され、熱流束
が発生していることが必要である。即ち、温度検出端の
温度上昇に先立って当該位置の熱流束の増大が見られる
ので、この熱流束の変化を検出することによって、急激
な液面レベルの変動に際し、温度検出方式よりも応答速
度が優れた液面レベルの検出が可能となるのである。図
4に熱流束と鋳型温度の時間変化の挙動を示す。図4に
おいて、(a)は液面レベル上昇前の鋳型の断面を示す
図、(b)は液面レベル上昇後の鋳型の断面を示す図、
(c)は鋳型内の特定深さに配置した温度検出端におけ
る熱流束と鋳型温度の時間変化を示す図である。鋳型温
度の時間変化に比較して、熱流束の時間変化は液面レベ
ルの変動に対して急速に応答していることが明らかであ
る。
それまで液面より上方であった鋳型における特定位置の
表面に溶融金属が到達した場合、鋳型表面の温度は急速
に上昇する。温度検出方式における温度検出端は、鋳型
表面から距離をおいた位置に存在するため、温度検出端
の温度の上昇は、鋳型表面の温度上昇に対して時間遅れ
を有する。一方、温度検出端の温度が上昇するために
は、それに先立って鋳型表面から熱が供給され、熱流束
が発生していることが必要である。即ち、温度検出端の
温度上昇に先立って当該位置の熱流束の増大が見られる
ので、この熱流束の変化を検出することによって、急激
な液面レベルの変動に際し、温度検出方式よりも応答速
度が優れた液面レベルの検出が可能となるのである。図
4に熱流束と鋳型温度の時間変化の挙動を示す。図4に
おいて、(a)は液面レベル上昇前の鋳型の断面を示す
図、(b)は液面レベル上昇後の鋳型の断面を示す図、
(c)は鋳型内の特定深さに配置した温度検出端におけ
る熱流束と鋳型温度の時間変化を示す図である。鋳型温
度の時間変化に比較して、熱流束の時間変化は液面レベ
ルの変動に対して急速に応答していることが明らかであ
る。
【0015】
【発明の実施の形態】鋳型内の特定位置の熱流束の測定
は、最も一般的には鋳型表面からの深さの異なる2点の
温度実測値の差を求めることによって行う。2点間の温
度差を2点間の鋳型表面からの距離の差で割り、これに
熱流束測定位置における構成材料の熱伝導度をかけるこ
とによって熱流束が算出できる。該2点は鋳型表面から
の同一垂線上に位置に存することが好ましいが、液面レ
ベルは鋳型内で常に水平であるので、該2点は鋳型内の
上下方向の高さが同一であれば、左右方向には異なった
位置に存在してもかまわない。熱流束の測定は、特開平
6−74837号公報にあるように、薄い金属をはさむ
構造として温接点を直列に設けて熱流速を測定するセン
サーによって行うこともできる。
は、最も一般的には鋳型表面からの深さの異なる2点の
温度実測値の差を求めることによって行う。2点間の温
度差を2点間の鋳型表面からの距離の差で割り、これに
熱流束測定位置における構成材料の熱伝導度をかけるこ
とによって熱流束が算出できる。該2点は鋳型表面から
の同一垂線上に位置に存することが好ましいが、液面レ
ベルは鋳型内で常に水平であるので、該2点は鋳型内の
上下方向の高さが同一であれば、左右方向には異なった
位置に存在してもかまわない。熱流束の測定は、特開平
6−74837号公報にあるように、薄い金属をはさむ
構造として温接点を直列に設けて熱流速を測定するセン
サーによって行うこともできる。
【0016】液面レベルの急激な変動が発生した直後
は、鋳型内において非定常な熱伝達が発生しているの
で、鋳型内の上下方向同一位置でも深さ方向で熱流束の
大きさは異なる。溶融金属と接する鋳型表面に近いほ
ど、液面レベル変動に伴う急速な熱流束の供給があり、
応答性の良い測定結果が得られるので、熱流束の測定位
置は鋳型表面に近いほど良好な応答性を確保することが
できる。ただし、熱流束測定端を設置するためには鋳型
の裏面から鋳型に測定端を埋設する埋設口を穿孔する必
要があるので、溶融金属から鋳型への均一な抜熱の確
保、鋳型寿命の確保のためには、鋳型表面から熱流束検
出端までの距離をある程度以上に保つ必要がある。
は、鋳型内において非定常な熱伝達が発生しているの
で、鋳型内の上下方向同一位置でも深さ方向で熱流束の
大きさは異なる。溶融金属と接する鋳型表面に近いほ
ど、液面レベル変動に伴う急速な熱流束の供給があり、
応答性の良い測定結果が得られるので、熱流束の測定位
置は鋳型表面に近いほど良好な応答性を確保することが
できる。ただし、熱流束測定端を設置するためには鋳型
の裏面から鋳型に測定端を埋設する埋設口を穿孔する必
要があるので、溶融金属から鋳型への均一な抜熱の確
保、鋳型寿命の確保のためには、鋳型表面から熱流束検
出端までの距離をある程度以上に保つ必要がある。
【0017】小断面ビレット連続鋳造装置においては、
銅製の鋳型は表面・裏面ともにフラットな筒状をなし、
裏面がジャケット方式で水冷されている。鋳型銅板の厚
みは一般的に5mm〜15mmである。表面からの深さ
の異なる2点の温度差に基づいて熱流束を測定する場
合、表面に近い温度測定端は表面から3mm〜10mm
の位置に設置可能である。表面からの距離が3mmより
も小さくなると、測定点とそれ以外の点での抜熱挙動お
よび銅板変形挙動が異なるため、ブレークアウト等の鋳
片欠陥の原因となる可能性が生ずるという問題が発生す
る。また、10mmよりも大きいと、急激な液面レベル
の変動に対する熱流束変動の応答が遅くなり、応答性の
良い液面レベル測定ができなくなる。
銅製の鋳型は表面・裏面ともにフラットな筒状をなし、
裏面がジャケット方式で水冷されている。鋳型銅板の厚
みは一般的に5mm〜15mmである。表面からの深さ
の異なる2点の温度差に基づいて熱流束を測定する場
合、表面に近い温度測定端は表面から3mm〜10mm
の位置に設置可能である。表面からの距離が3mmより
も小さくなると、測定点とそれ以外の点での抜熱挙動お
よび銅板変形挙動が異なるため、ブレークアウト等の鋳
片欠陥の原因となる可能性が生ずるという問題が発生す
る。また、10mmよりも大きいと、急激な液面レベル
の変動に対する熱流束変動の応答が遅くなり、応答性の
良い液面レベル測定ができなくなる。
【0018】大断面のスラブ連続鋳造装置においては、
鋳型を構成する4面はそれぞれ別個の銅板で構成され、
銅板の裏面には一定間隔でスリットが形成され、そのス
リット内に冷却水を流すことによって鋳型の冷却が行わ
れる。このような鋳型においては、一定幅、一定間隔で
複数個の熱電対が埋め込まれ、熱電対設置位置とスリッ
トの位置はずらして設置する。漏水の発生を防止するた
めである。
鋳型を構成する4面はそれぞれ別個の銅板で構成され、
銅板の裏面には一定間隔でスリットが形成され、そのス
リット内に冷却水を流すことによって鋳型の冷却が行わ
れる。このような鋳型においては、一定幅、一定間隔で
複数個の熱電対が埋め込まれ、熱電対設置位置とスリッ
トの位置はずらして設置する。漏水の発生を防止するた
めである。
【0019】温度を測定する2点の鋳型表面からの距離
の関係については、距離の差が大きいほど測定する温度
差も大きくなり、熱流束を安定してとらえることができ
る。一方、急激な温度変動が起きている場合は、鋳型内
において同一部位であっても表面からの距離が異なると
熱流束は同一ではないので、鋳型内の特定の部位の熱流
束を正確に把握するためには、距離の差は少ない方が良
好である。具体的には、2点が鋳型表面からの同一垂線
上に位置する場合は、部位が異なることによる測定誤差
がないので距離の差を小さくすることができ、1mm〜
5mmが適当である。2点が鋳型内の異なった部位にあ
る場合は、部位が異なることによる測定誤差の影響を回
避するため、距離の差を若干大きくすることが好まし
い。
の関係については、距離の差が大きいほど測定する温度
差も大きくなり、熱流束を安定してとらえることができ
る。一方、急激な温度変動が起きている場合は、鋳型内
において同一部位であっても表面からの距離が異なると
熱流束は同一ではないので、鋳型内の特定の部位の熱流
束を正確に把握するためには、距離の差は少ない方が良
好である。具体的には、2点が鋳型表面からの同一垂線
上に位置する場合は、部位が異なることによる測定誤差
がないので距離の差を小さくすることができ、1mm〜
5mmが適当である。2点が鋳型内の異なった部位にあ
る場合は、部位が異なることによる測定誤差の影響を回
避するため、距離の差を若干大きくすることが好まし
い。
【0020】鋳型内の温度の測定は、銅製の鋳型裏面3
から所定の深さの熱電対挿入孔19を穿孔し、この熱電
対挿入孔19にコンスタンタン線7を挿入して挿入孔の
先端6で鋳型銅板と接合し、銅−コンスタンタン熱電対
を構成することによって行うことができる。銅とコンス
タンタンの接合点が温度測定点6となる。
から所定の深さの熱電対挿入孔19を穿孔し、この熱電
対挿入孔19にコンスタンタン線7を挿入して挿入孔の
先端6で鋳型銅板と接合し、銅−コンスタンタン熱電対
を構成することによって行うことができる。銅とコンス
タンタンの接合点が温度測定点6となる。
【0021】図1(a)に示すように、鋳型内上下方向
が同一の高さに穿孔深さの異なる2つの熱電対挿入孔1
9を穿孔し、それぞれに上記銅−コンスタンタン熱電対
を構成して両者の測定温度の差を算出することにより、
熱流束を測定することができる。熱流束の算出に際して
用いる熱伝導度は、銅の熱伝導度である。熱電対挿入孔
19が熱流束分布に与える影響を最小限にするため、熱
電対挿入孔19の直径は小さいほどよい。φ5mm〜φ
10mmの挿入孔を穿孔し、これに2mm〜5mmの直
径のコンスタンタン線7を挿入する。鋳型1の銅板とコ
ンスタンタン線7との間に電圧を印加して両者の接点を
通電加熱し、熱電対の接点を接合する方法が採用でき
る。
が同一の高さに穿孔深さの異なる2つの熱電対挿入孔1
9を穿孔し、それぞれに上記銅−コンスタンタン熱電対
を構成して両者の測定温度の差を算出することにより、
熱流束を測定することができる。熱流束の算出に際して
用いる熱伝導度は、銅の熱伝導度である。熱電対挿入孔
19が熱流束分布に与える影響を最小限にするため、熱
電対挿入孔19の直径は小さいほどよい。φ5mm〜φ
10mmの挿入孔を穿孔し、これに2mm〜5mmの直
径のコンスタンタン線7を挿入する。鋳型1の銅板とコ
ンスタンタン線7との間に電圧を印加して両者の接点を
通電加熱し、熱電対の接点を接合する方法が採用でき
る。
【0022】図1(b)に示すように、温度を測定する
2点(6a、6b)が鋳型表面2からの同一垂線上に配
置できれば熱流束の測定精度を向上することができる。
上記のコンスタンタン細線を挿入する挿入孔に比較する
と直径の大きな挿入孔19を穿孔し、この孔の先端に厚
みの薄いコンスタンタン片10を挿入し、更に挿入孔の
側壁に接しないように銅製の棒11を挿入する。鋳型銅
板とコンスタンタン片10との接点が熱電対の温接点と
なり、コンスタンタン片10と銅製の棒11との接点が
熱電対の冷接点となって、鋳型銅板と銅製の棒との間の
熱起電力を測定することにより、2点間の温度差が測定
でき、熱流束が算出される。この場合、2点間に存する
材料はコンスタンタンなので、熱流束算出に際してはコ
ンスタンタンの熱伝導度を用いる。上記熱流束測定手段
を挿入することによる熱流束の乱れを最小限とするた
め、コンスタンタン片10の厚みは最小限とするととも
に、挿入する銅製の棒11は挿入孔19の側壁に接しな
い範囲で極力挿入孔の直径に近い直径を有することが好
ましい。また、コンスタンタン片10の先に銅片を配置
し、銅片、コンスタンタン片、銅製の棒を事前に接合し
てユニット化しておけば、熱流束測定手段を鋳型に組み
込む作業が容易になる。
2点(6a、6b)が鋳型表面2からの同一垂線上に配
置できれば熱流束の測定精度を向上することができる。
上記のコンスタンタン細線を挿入する挿入孔に比較する
と直径の大きな挿入孔19を穿孔し、この孔の先端に厚
みの薄いコンスタンタン片10を挿入し、更に挿入孔の
側壁に接しないように銅製の棒11を挿入する。鋳型銅
板とコンスタンタン片10との接点が熱電対の温接点と
なり、コンスタンタン片10と銅製の棒11との接点が
熱電対の冷接点となって、鋳型銅板と銅製の棒との間の
熱起電力を測定することにより、2点間の温度差が測定
でき、熱流束が算出される。この場合、2点間に存する
材料はコンスタンタンなので、熱流束算出に際してはコ
ンスタンタンの熱伝導度を用いる。上記熱流束測定手段
を挿入することによる熱流束の乱れを最小限とするた
め、コンスタンタン片10の厚みは最小限とするととも
に、挿入する銅製の棒11は挿入孔19の側壁に接しな
い範囲で極力挿入孔の直径に近い直径を有することが好
ましい。また、コンスタンタン片10の先に銅片を配置
し、銅片、コンスタンタン片、銅製の棒を事前に接合し
てユニット化しておけば、熱流束測定手段を鋳型に組み
込む作業が容易になる。
【0023】鋳型内の溶融金属の液面が熱流束測定位置
よりも上にあれば鋳型表面が熱せられて熱流束が高い値
となり、液面が熱流束測定位置よりも下にあれば鋳型表
面が冷却されるので熱流束が低い値となる。この現象に
より、最低限鋳型内の1箇所において熱流束を測定すれ
ば、液面がその測定点よりも上にあるか下にあるかとい
う観点で液面レベルを検出することができる。
よりも上にあれば鋳型表面が熱せられて熱流束が高い値
となり、液面が熱流束測定位置よりも下にあれば鋳型表
面が冷却されるので熱流束が低い値となる。この現象に
より、最低限鋳型内の1箇所において熱流束を測定すれ
ば、液面がその測定点よりも上にあるか下にあるかとい
う観点で液面レベルを検出することができる。
【0024】更に、図2に示すように、鋳型内の上下方
向の複数の位置で熱流束を測定し、その熱流束測定結果
に基づいて演算を行うことにより、より定量的に液面レ
ベルを検出することができる。鋳型内上下方向の熱流束
の分布は、図3に示すように、液面直下に熱流束が最大
のφ1 となるポイントが有り、それより下方は鋳片凝固
シェル16の凝固厚みが増大することと凝固シェル16
と鋳型1との間に空隙18が生じることにより熱流束は
減少する。また、液面よりも上方は鋳型表面が空間にさ
らされるので、当然のことながら熱流束は大きく減少す
る。液面を基準とした鋳型内上下方向の熱流束のプロフ
ィルを把握した上で、鋳型内の上下方向の複数の位置で
熱流束を測定し、把握した熱流束プロフィルに基づいて
演算を行うことにより、液面レベルを算出することがで
きる。
向の複数の位置で熱流束を測定し、その熱流束測定結果
に基づいて演算を行うことにより、より定量的に液面レ
ベルを検出することができる。鋳型内上下方向の熱流束
の分布は、図3に示すように、液面直下に熱流束が最大
のφ1 となるポイントが有り、それより下方は鋳片凝固
シェル16の凝固厚みが増大することと凝固シェル16
と鋳型1との間に空隙18が生じることにより熱流束は
減少する。また、液面よりも上方は鋳型表面が空間にさ
らされるので、当然のことながら熱流束は大きく減少す
る。液面を基準とした鋳型内上下方向の熱流束のプロフ
ィルを把握した上で、鋳型内の上下方向の複数の位置で
熱流束を測定し、把握した熱流束プロフィルに基づいて
演算を行うことにより、液面レベルを算出することがで
きる。
【0025】鋳型内の上下方向に配置した複数の熱流束
測定点の相互間の間隔は短いほど液面レベル測定精度は
向上するが、あまり短くすると必要な測定領域に配置す
べき熱流束測定点の数が増大するので好ましくない。上
下方向の間隔は10mmあれば十分な液面レベル測定精
度を得ることができ、それより短くしても測定精度は飽
和して向上しろはわずかである。また、30mmよりも
大きいと実用的な液面レベル測定精度を得ることができ
なくなる。
測定点の相互間の間隔は短いほど液面レベル測定精度は
向上するが、あまり短くすると必要な測定領域に配置す
べき熱流束測定点の数が増大するので好ましくない。上
下方向の間隔は10mmあれば十分な液面レベル測定精
度を得ることができ、それより短くしても測定精度は飽
和して向上しろはわずかである。また、30mmよりも
大きいと実用的な液面レベル測定精度を得ることができ
なくなる。
【0026】熱流束の測定結果に基づく液面レベルの演
算については、鋳型内の温度測定結果に基づく液面レベ
ルの演算に関する公知の技術を用いることができる。こ
れら公知の技術において、温度を熱流速に変更すること
によって液面レベルが算出できる。
算については、鋳型内の温度測定結果に基づく液面レベ
ルの演算に関する公知の技術を用いることができる。こ
れら公知の技術において、温度を熱流速に変更すること
によって液面レベルが算出できる。
【0027】好適な演算方法として以下の方法が有用で
ある。鋳型内上下方向を縦軸とし、熱流束の測定値を横
軸としたグラフにおいて、鋳型内上下方向に配置した熱
流束測定点の測定結果を折れ線で結ぶ。液面レベルは最
も熱流束が大きい値を示した測定点の上方に有り、液面
レベルの熱流束は熱流束最大点の熱流束の0.7倍であ
ることが判明している。図3において、φ2 /φ1 の値
は概略0.7である。そこで、熱流束の値が最大の点よ
り上方側の上記折れ線上において、熱流束が熱流束最大
値の0.7倍となる点を算定し、この点を液面レベルと
する演算を行うことができる(以下、最大熱流束按分法
という)。この演算方法は、比較的単純であるが精度良
く液面レベルを算出できる演算手法として有用である。
ある。鋳型内上下方向を縦軸とし、熱流束の測定値を横
軸としたグラフにおいて、鋳型内上下方向に配置した熱
流束測定点の測定結果を折れ線で結ぶ。液面レベルは最
も熱流束が大きい値を示した測定点の上方に有り、液面
レベルの熱流束は熱流束最大点の熱流束の0.7倍であ
ることが判明している。図3において、φ2 /φ1 の値
は概略0.7である。そこで、熱流束の値が最大の点よ
り上方側の上記折れ線上において、熱流束が熱流束最大
値の0.7倍となる点を算定し、この点を液面レベルと
する演算を行うことができる(以下、最大熱流束按分法
という)。この演算方法は、比較的単純であるが精度良
く液面レベルを算出できる演算手法として有用である。
【0028】本発明の鋳型内液面レベルの検出装置にお
いては、液面レベルを演算する演算手段を有する。最も
好ましい実施の形態として、コンピュータを用いて演算
を行わせる演算手段を採用することができる。演算方式
としては、上記に示した最大熱流束按分法をはじめとす
る方式を採用することができる。鋳型内の上下方向の複
数の位置の熱流束を熱流束測定手段で測定し、熱流束測
定結果を前記演算手段に入力し、演算手段において液面
レベルを演算して出力するものである。
いては、液面レベルを演算する演算手段を有する。最も
好ましい実施の形態として、コンピュータを用いて演算
を行わせる演算手段を採用することができる。演算方式
としては、上記に示した最大熱流束按分法をはじめとす
る方式を採用することができる。鋳型内の上下方向の複
数の位置の熱流束を熱流束測定手段で測定し、熱流束測
定結果を前記演算手段に入力し、演算手段において液面
レベルを演算して出力するものである。
【0029】
【実施例】鋼の小断面ビレット連続鋳造において本発明
を適用した。本発明例の熱流束検出は、図1(b)に示
す形式を採用した。比較例として、熱電対を用いた温度
検出方式(比較例1)、γ線方式(比較例2)を用い
た。また、液面レベル変動に対する反応速度が最も速い
方法として渦流方式を採用し、この渦流方式による液面
レベル変動の検出に対して本発明例、各比較例がどれだ
け液面レベル変動の検出に遅延が生じたかを評価するこ
とで、各方法の検出反応速度を評価した。
を適用した。本発明例の熱流束検出は、図1(b)に示
す形式を採用した。比較例として、熱電対を用いた温度
検出方式(比較例1)、γ線方式(比較例2)を用い
た。また、液面レベル変動に対する反応速度が最も速い
方法として渦流方式を採用し、この渦流方式による液面
レベル変動の検出に対して本発明例、各比較例がどれだ
け液面レベル変動の検出に遅延が生じたかを評価するこ
とで、各方法の検出反応速度を評価した。
【0030】鋳型の銅板厚みは8mm、熱流束計の溶鋼
に近い側の温度検出点6aは鋳型表面から4mmの位置
に配置し、温度検出点6aと6bの間の距離は1mmと
した。比較例1の温度検出点と鋳型表面との距離も4m
mとした。本発明例、および比較例1においては、熱流
束計および温度検出端をそれぞれ鋳型の長手方向に20
mm間隔で7点配置した。本発明例の液面レベル演算手
法として、上記最大熱流束按分法を用いた。また、比較
例1においては、前記最大温度勾配法を用いた。
に近い側の温度検出点6aは鋳型表面から4mmの位置
に配置し、温度検出点6aと6bの間の距離は1mmと
した。比較例1の温度検出点と鋳型表面との距離も4m
mとした。本発明例、および比較例1においては、熱流
束計および温度検出端をそれぞれ鋳型の長手方向に20
mm間隔で7点配置した。本発明例の液面レベル演算手
法として、上記最大熱流束按分法を用いた。また、比較
例1においては、前記最大温度勾配法を用いた。
【0031】図5に各方法による液面レベルの検出結果
を示す。液面レベルが急激に変動した場合において、渦
流方式に対する遅れを評価した結果、本発明例は遅れが
1秒、比較例1(温度検出方式)は2.3秒、比較例2
(γ線方式)は1秒という結果が得られた。本発明例の
熱流束方式は、温度検出方式に比較すると液面レベルの
変動に対する応答速度が速くなり、γ線方式と同等の応
答速度になるという結果を得ることができた。
を示す。液面レベルが急激に変動した場合において、渦
流方式に対する遅れを評価した結果、本発明例は遅れが
1秒、比較例1(温度検出方式)は2.3秒、比較例2
(γ線方式)は1秒という結果が得られた。本発明例の
熱流束方式は、温度検出方式に比較すると液面レベルの
変動に対する応答速度が速くなり、γ線方式と同等の応
答速度になるという結果を得ることができた。
【0032】
【発明の効果】連続鋳造における鋳型内液面レベルの検
出方法において、鋳型内部の熱流束測定値に基づいて液
面レベルを検出することにより、鋳型内部の温度測定値
に基づく液面レベル測定方法に比較して急激な液面レベ
ル変動時の測定応答速度が改善された。本発明法にはγ
線式液面レベル検出方法が有するドリフトの問題もな
く、また渦流式液面レベル検出方法と異なり小断面ビレ
ット連続鋳造装置にも適用が可能であり、ITV方式や
レーザー方式のように鋳型内溶融金属表面のパウダーに
妨害されることなく液面を測定することが可能である。
出方法において、鋳型内部の熱流束測定値に基づいて液
面レベルを検出することにより、鋳型内部の温度測定値
に基づく液面レベル測定方法に比較して急激な液面レベ
ル変動時の測定応答速度が改善された。本発明法にはγ
線式液面レベル検出方法が有するドリフトの問題もな
く、また渦流式液面レベル検出方法と異なり小断面ビレ
ット連続鋳造装置にも適用が可能であり、ITV方式や
レーザー方式のように鋳型内溶融金属表面のパウダーに
妨害されることなく液面を測定することが可能である。
【図1】本発明の熱流束測定手段を示す図であり、
(a)は2点の温度測定点を異なった位置に配置した場
合の水平方向断面図、(b)は2点の温度測定点を鋳型
表面からの同一の垂線上に配置した場合の断面図であ
る。
(a)は2点の温度測定点を異なった位置に配置した場
合の水平方向断面図、(b)は2点の温度測定点を鋳型
表面からの同一の垂線上に配置した場合の断面図であ
る。
【図2】本発明の熱流束測定手段を鋳型上下方向に複数
配置した状況を示す断面図である。
配置した状況を示す断面図である。
【図3】鋳型内上下方向の熱流束の分布を示す図であ
る。
る。
【図4】液面レベルが急激に上昇したときの鋳型内の熱
流束と鋳型温度の時間変化を表した図であり、(a)は
液面レベル上昇前の鋳型の断面を示す図、(b)は液面
レベル上昇後の鋳型の断面を示す図、(c)は鋳型内の
熱流束と鋳型温度の時間変化を示す図である。
流束と鋳型温度の時間変化を表した図であり、(a)は
液面レベル上昇前の鋳型の断面を示す図、(b)は液面
レベル上昇後の鋳型の断面を示す図、(c)は鋳型内の
熱流束と鋳型温度の時間変化を示す図である。
【図5】本発明及び比較例の液面レベルの検出結果を示
す図である。
す図である。
1 鋳型 2 鋳型表面 3 鋳型裏面 4 冷却水流路 5 冷却水チャンバー 6 温度測定点 7 コンスタンタン線 8 温度検出器 9 熱流束検出器 10 コンスタンタン片 11 銅製の棒 12 銅線 13 熱流束測定手段 14 液面レベル演算手段 15 液面レベル 16 凝固シェル 17 溶融金属 18 空隙 19 挿入孔 20 鋳片
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中島 美敏 君津市君津1番地 新日本製鐵株式会社君 津製鐵所内 (72)発明者 近藤 茂 君津市君津1番地 新日本製鐵株式会社君 津製鐵所内
Claims (5)
- 【請求項1】 連続鋳造における鋳型内液面レベルの検
出方法において、鋳型内部の熱流束測定値に基づいて液
面レベルを検出することを特徴とする鋳型内液面レベル
の検出方法。 - 【請求項2】 鋳型内の上下方向の複数の位置の熱流束
測定値に基づいて演算を行い、液面レベルを検出するこ
とを特徴とする請求項1に記載の鋳型内液面レベルの検
出方法。 - 【請求項3】 鋳型内部の熱流束の測定は、鋳型内の表
面からの深さが異なった2点の温度の差の測定結果に基
づいて行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の鋳
型内液面レベルの検出方法。 - 【請求項4】 鋳型内の表面からの深さが異なった2点
の温度の差の測定は、1対の熱電対の温接点と冷接点を
前記2点の温度測定位置に配置することによって行うこ
とを特徴とする請求項3に記載の鋳型内液面レベルの検
出方法。 - 【請求項5】 連続鋳造における鋳型内液面レベルの検
出装置において、鋳型内の上下方向の複数の位置の熱流
束測定手段と、該熱流束測定手段による熱流速測定結果
に基づいて液面レベルを演算する演算手段とを有し、前
記熱流速測定手段は、鋳型内の表面からの深さが異なっ
た2点の温度の差の測定結果に基づいて熱流束を測定す
ることを特徴とする鋳型内液面レベルの検出装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11042798A JPH11300455A (ja) | 1998-04-21 | 1998-04-21 | 連続鋳造における鋳型内液面レベルの検出方法及び装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11042798A JPH11300455A (ja) | 1998-04-21 | 1998-04-21 | 連続鋳造における鋳型内液面レベルの検出方法及び装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11300455A true JPH11300455A (ja) | 1999-11-02 |
Family
ID=14535485
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11042798A Pending JPH11300455A (ja) | 1998-04-21 | 1998-04-21 | 連続鋳造における鋳型内液面レベルの検出方法及び装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11300455A (ja) |
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002206958A (ja) * | 2001-01-10 | 2002-07-26 | Nippon Steel Corp | 湯面高さ検知装置、方法、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体 |
JP2004025202A (ja) * | 2002-06-21 | 2004-01-29 | Nippon Steel Corp | 湯面位置検知方法、装置、コンピュータプログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体 |
EP1769864A1 (de) * | 2005-09-29 | 2007-04-04 | Concast Ag | Verfahren und Vorrichtung zur Bestimmung der Höhe des Badspiegels in einer Stranggiesskokille |
JP2011017669A (ja) * | 2009-07-10 | 2011-01-27 | Japan Atomic Energy Agency | 温度・熱流束測定装置、温度測定方法、熱流束測定方法 |
JP2011102652A (ja) * | 2009-11-10 | 2011-05-26 | Mitsubishi Electric Corp | 冷媒状態判定装置及び冷媒状態判定システム及び冷媒液面位置の検出方法 |
JP2016175114A (ja) * | 2015-03-20 | 2016-10-06 | 新日鐵住金株式会社 | 連続鋳造鋳型内の湯面プロフィール計測方法、装置及びプログラム、並びに連続鋳造の制御方法 |
JP2016175107A (ja) * | 2015-03-20 | 2016-10-06 | 新日鐵住金株式会社 | 連続鋳造鋳型内の溶鋼流量制御方法、装置及びプログラム |
JP2016175106A (ja) * | 2015-03-20 | 2016-10-06 | 新日鐵住金株式会社 | 連続鋳造鋳型内の偏流検知方法及び偏流制御方法、湯面変動検知方法及び湯面変動制御方法、装置並びにプログラム |
-
1998
- 1998-04-21 JP JP11042798A patent/JPH11300455A/ja active Pending
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002206958A (ja) * | 2001-01-10 | 2002-07-26 | Nippon Steel Corp | 湯面高さ検知装置、方法、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体 |
JP2004025202A (ja) * | 2002-06-21 | 2004-01-29 | Nippon Steel Corp | 湯面位置検知方法、装置、コンピュータプログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体 |
EP1769864A1 (de) * | 2005-09-29 | 2007-04-04 | Concast Ag | Verfahren und Vorrichtung zur Bestimmung der Höhe des Badspiegels in einer Stranggiesskokille |
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JP2016175114A (ja) * | 2015-03-20 | 2016-10-06 | 新日鐵住金株式会社 | 連続鋳造鋳型内の湯面プロフィール計測方法、装置及びプログラム、並びに連続鋳造の制御方法 |
JP2016175107A (ja) * | 2015-03-20 | 2016-10-06 | 新日鐵住金株式会社 | 連続鋳造鋳型内の溶鋼流量制御方法、装置及びプログラム |
JP2016175106A (ja) * | 2015-03-20 | 2016-10-06 | 新日鐵住金株式会社 | 連続鋳造鋳型内の偏流検知方法及び偏流制御方法、湯面変動検知方法及び湯面変動制御方法、装置並びにプログラム |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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