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JPH11293165A - 水性顔料分散体、その製造方法およびその利用 - Google Patents

水性顔料分散体、その製造方法およびその利用

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Publication number
JPH11293165A
JPH11293165A JP9421298A JP9421298A JPH11293165A JP H11293165 A JPH11293165 A JP H11293165A JP 9421298 A JP9421298 A JP 9421298A JP 9421298 A JP9421298 A JP 9421298A JP H11293165 A JPH11293165 A JP H11293165A
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JP
Japan
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pigment
water
aqueous
ink
pigment dispersion
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JP9421298A
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English (en)
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Hisatsugu Uraki
久嗣 浦木
Shinya Fujimatsu
慎也 藤松
Yasuharu Iida
保春 飯田
Jun Satake
順 佐武
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Artience Co Ltd
Original Assignee
Toyo Ink Mfg Co Ltd
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Publication date
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Publication of JPH11293165A publication Critical patent/JPH11293165A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐光性が優れた顔料を水性媒体中に分散してな
り、その保存安定性と耐水性が優れ、インクジェットイ
ンキの着色剤としても十分使用可能な水性顔料分散体、
およびその製造方法に提供、および保存安定性と耐水性
が優れるインクジェットインキの提供。 【解決手段】顔料表面に酸性官能基を有する水溶性樹脂
を吸着させたのちカップリング剤で処理してなる表面処
理顔料を水性媒体中に分散してなる水性顔料分散体、顔
料と酸性官能基を有する水溶性樹脂を水性媒体中で分散
し、顔料表面に水溶性樹脂を吸着させたのち、カップリ
ング剤で架橋することを特徴とする水性顔料分散体の製
造方法、および前記水性顔料分散体を着色剤として含む
インクジェットインキ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水性顔料分散体と
その製造方法および該水性顔料分散体を着色剤として含
むインクジェットインキに関する。
【0002】
【従来の技術】従来のインクジェットインキは、着色剤
として水溶性染料を含有するものが多く、染料の溶解液
を含有するインキが広く用いられている。しかし、水溶
性染料を含有するインキは、安定性は高いものの、水に
対する溶解性が高いので、記録物の耐水性が悪く、水な
どで容易ににじむ問題があった。このような耐水性の不
良を改善するため、染料の一部構造を変えたり、記録紙
とインキとの反応を利用して耐水性向上する試みもなさ
れている。これらの方法は、特定の記録紙では効果をあ
げているものの汎用性に欠け、やはり十分な耐水性が得
られていないことが多い。最近では、さまざまな記録基
材への記録物に対して耐水性や耐光性が望まれてきてお
り、着色剤として有機顔料やカーボンブラックのような
水に不溶で耐光性の良好な着色剤を用いた水性顔料分散
体が注目されている。
【0003】インクジェットインキの着色剤として水性
顔料分散体を用いるためには、低粘度で安定かつ微粒子
化して顔料を水性媒体中に分散させなければならない。
しかし、顔料粒子が微細になるほど比表面積が増大し、
貯蔵中に粘度増加や顔料凝集が発生しやすくなる。 水性顔料分散体の分散剤として、一般的には界面活性剤
や水溶性樹脂が用いられている。界面活性剤は疎水性基
と親水性基を併せ持ち、疎水性基の顔料表面に対する吸
着と、末端にカルボキシル基、スルホン基、リン酸基等
の陰イオン解離性の親水性基の電荷反発によって安定化
している場合が多い。界面活性剤は分子量が低く、低粘
度であるが、泡立ちやすい傾向がある。
【0004】一方、水溶性樹脂は界面活性剤に比べ分子
量が高いので、高分子分散剤とも呼ばれ、基本的には界
面活性剤と構造上類似し、顔料に吸着する疎水性基と分
散安定化を担う親水性基から構成され、やはりイオン解
離性基で電荷反発によって安定化している場合が多い。
水溶性樹脂は、界面活性剤に比べ分子量が高いので粘度
が高く、水溶性樹脂を分散剤として用いた水性顔料分散
体を含有するインキは記録物の耐水性が良好である。 こ
れらの分散剤はいずれも、顔料に対する吸着が物理的な
相互作用によるので、いかに安定な分散状態を保持する
かが課題となる。 また、顔料に未吸着の分散剤は、イン
クジェットインキを製造する上で、粘性ならびに表面張
力や泡立ち、その他記録物の画像品質に影響を及ぼすこ
とこともあり、未だ十分な性能を得られるまでには至っ
ていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、耐光
性が優れた顔料を水性媒体中に分散してなり、その保存
安定性と耐水性が優れ、インクジェットインキの着色剤
としても十分使用可能な水性顔料分散体、およびその製
造方法を提供することにある。また、本発明の目的は、
保存安定性と耐水性が優れるインクジェットインキを提
供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、顔料表面
に、顔料に吸着する疎水性基と陰イオン解離性で電荷反
発によって分散を安定化させる酸性官能基を有する水溶
性樹脂を吸着させたのち、カップリング剤で処理するこ
とにより、酸性官能基を有する水溶性樹脂との間での酸
塩基相互作用が生じると共に、カップリング剤からシラ
ノール基が生成し、引き続きシラノール基の脱水縮合反
応によって網目状に水溶性樹脂が顔料表面を被覆し固定
化されることを見いだし、本発明に至った。水溶性樹脂
が表面に固定化された表面処理顔料は、水性媒体中に安
定に分散できる。さらに、この水性顔料分散体を着色剤
として含むインクジェットインキの記録物は、固定化し
た水溶性樹脂が定着剤としても働くため、耐水性が良好
である。
【0007】すなわち、本発明は、顔料表面に酸性官能
基を有する水溶性樹脂を吸着させたのちカップリング剤
で処理してなる表面処理顔料を水性媒体中に分散してな
る水性顔料分散体に関する。また、本発明は、顔料と酸
性官能基を有する水溶性樹脂を水性媒体中で分散し、顔
料表面に水溶性樹脂を吸着させたのち、カップリング剤
で架橋することを特徴とする水性顔料分散体の製造方法
に関する。さらに、本発明は、上記水性顔料分散体を着
色剤として含むインクジェットインキに関する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に、本発明をさらに詳しく説
明する。顔料としては、有機顔料および無機顔料を用い
ることができる。有機顔料として具体的には、トルイジ
ンレッド、トルイジンマルーン、ハンザエロー、ベンジ
ジンエロー、ピラゾロンレッドなどの不溶性アゾ顔料、
リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレ
ット、パーマネントレッド2Bなどの溶性アゾ顔料、ア
リザリン、インダンスレン、チオインジゴマルーンなど
の建染染料から誘導される顔料、フタロシアニンブル
ー、フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系顔
料、キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタなどの
キナクリドン系顔料、ペリレンレッド、ペリレンスカー
レットなどのペリレン系顔料、イソインドリノンエロ
ー、イソインドリノンオレンジなどのイソインドリノン
系顔料、キノフタロン系顔料、ジアンスラキノニルレッ
ドなどの系顔料が挙げられる。また、無機顔料として具
体的には、カーボンブラック、酸化チタン系顔料、酸化
鉄系顔料、カドミウム系顔料、コバルト系顔料が挙げら
れる。
【0009】また、顔料をカラーインデックス(C.I.)ナ
ンバーで示すと、C.I.ピグメントエロー12、13、1
4、17、20、24、74、83、86、93、10
9、110、117、125、128、137、13
8、147、148、153、154、166、16
8、C.I.ピグメントオレンジ13、16、36、43、
51、55、59、61、C.I.ピグメントレッド9、4
8、49、52、53、57、97、122、123、
149、168、177、180、192、215、2
16、217、220、223、224、226、22
7、228、238、240、C.I.ピグメントバイオレ
ット19、23、29、30、37、40、50、C.I.
ピグメントブルー15、15:1、15:4、15:
6、22、60、64、C.I.ピグメントグリーン7、3
6、C.I.ピグメントブラウン23、25、26、C.I.ピ
グメントブラック7、C.I.ピグメントホワイト6、C.I.
ピグメントエロー37、C.I.ピグメントレッド101、
C.I.ピグメントブルー28等が例示できる。
【0010】なかでも、耐光性の観点から、フタロシア
ニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系
顔料、キノフタロン系顔料およびカーボンブラックが好
適に用いられる。顔料は、場合によっては異なる二種類
以上を併用してもよい。顔料の平均一次粒子径は、電子
顕微鏡による測定において10〜70nm、さらには1
0〜40nmであることが好ましい。顔料の平均一次粒
子径が10nmより小さいと顔料粒子の凝集が起こりや
すく、保存安定性が良くない。 また、70nmを越える
と、得られる水性顔料分散体の保存により顔料粒子が沈
降しやすくなる。顔料の平均一次粒子が70nm超える
場合には、顔料をソルトミリング処理することにより、
機械的に微細化することが好ましい。
【0011】ソルトミルング処理は、顔料と水溶性の無
機塩の混合物に、潤滑剤として水溶性の溶剤を加え、ニ
ーダー等で強く機械的に混練して顔料を微小化したの
ち、水溶性の無機塩および水溶性の溶剤を除去する処理
である。顔料と水溶性の無機塩と水溶性の溶剤とを機械
的に混練する際の、顔料に対する水溶性の無機塩の量は
2〜20重量倍、さらには3〜10重量倍が好ましい。
また、顔料に対する水溶性の溶剤の量は0.5〜3重量
倍、さらには0.7〜2重量倍が好ましい。水溶性の無
機塩および水溶性の溶剤の除去は、顔料と水溶性の無機
塩と水溶性の溶剤との混練物を水中に投入して攪拌し、
スラリー状としたのち、濾過および水洗を繰り返して行
う。
【0012】水溶性の無機塩としては、塩化ナトリウ
ム、塩化カリウムなどが用いられる。水溶性の溶剤とし
ては、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブト
キシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノー
ル、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレング
リコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、
ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレン
グリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコー
ル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液体
ポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノ
ール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレン
グリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテ
ル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、液体
ポリプロピレングリコール等が用いられる。
【0013】酸性官能基を有する水溶性樹脂は、顔料に
吸着する疎水性基を有するモノマーと分散安定化を担う
酸性官能基を有するモノマーとから構成され、これらの
モノマーの種類、組み合わせと組成比を変えることによ
り共重合される種々の水溶性樹脂が好適に用いられる。
酸性官能基を有する水溶性樹脂の重量平均分子量は、1
000〜15000、さらには4000〜12000で
あることが好ましい。樹脂の重量平均分子量が1500
0を越えると、得られる水性顔料分散体の粘性、分散粒
径が大きくなって、インクジェットインキに着色剤とし
て使用したときに吐出安定性が得られない。一方、10
00未満であると、水性顔料分散体の保存安定性が良く
ない。
【0014】また、水溶性樹脂の酸価は100〜49
5、さらには150〜480であることが好ましい。酸
価が100未満では水溶性樹脂の可溶性が悪くなり、4
95を越えると耐水性が低下するため、好ましくない。
また、水溶性樹脂は、予め水性媒体中に塩基性化合物を
用いて溶解されている方が好ましい。さらに、水溶性樹
脂のガラス転移点は20〜160℃、さらには30〜1
50℃であることが好ましい。ガラス転移点が20℃未
満では塗膜が乾燥し難く、160℃を超えると塗膜が脆
くを擦過定着性が好ましくない。
【0015】顔料表面に水溶性樹脂を吸着させる働きを
する疎水性基を有するモノマーとしては、スチレン、α
−メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル
モノマー、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アク
リル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、オクチル、メタ
クリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブ
チル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸オクチ
ル、メタクリル酸2−エチルヘキシ、メタクリル酸ラウ
リル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリ
ル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ジベン
ジル、メタクリル酸2−ヒドロキシル、メタクリル酸エ
チル2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸グリシジ
ル、メタクリル酸テトラヒドロキフリル、メタクリル酸
ジエチレングリコールモノ(メタ)エステル、メタクリ
ル酸ジプロピレングリコールモノ(メタ)エステル、ジ
メタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸トリ
エチレングリコール、ジメタクリル酸テトラエチレング
リコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコー
ル、等の(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
【0016】酸性官能基を有するモノマーは、水性媒体
中に表面処理顔料を安定に分散させる働きをすると共に
カップリング剤との相互作用を発生させる働きをする。
酸性官能基を有するモノマーとしては、電荷反発によっ
て安定化するようなイオン解離性基を有するモノマーが
好ましく、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸など
の不飽和モノカルボン酸、イタコン酸、マレイン酸など
の不飽和ジカルボン酸、不飽和ジカルボン酸のモノアル
キルエステル、モノアリールエステル、モノアリールア
ルキルエステル等のカルボキシル基を有するモノマーが
挙げられる。酸性官能基を有する水溶性樹脂として具体
的には、スチレン−アクリル酸系、スチレン−メタクリ
ル酸系、スチレン−マレイン酸系等の樹脂が挙げられ
る。
【0017】酸性官能基を有する水溶性樹脂は、顔料1
00重量部に対して、1〜30重量部を吸着させること
が好ましい。顔料100重量部に対する吸着量が1重量
部未満であると、表面処理顔料を水性媒体中に安定に分
散させることが困難となる。一方、吸着量が30重量部
を超えると、得られる水性顔料分散体が凝集しやすく、
保存時に粘度上昇が起こりやすくなる。
【0018】水溶性樹脂を水性媒体中に溶解するために
は、塩基性化合物を用いることができる。塩基性化合物
としては、アンモニア、アルキルアミン、アルカノール
アミン及びアルキルアルカノールアミン等が挙げられ
る。これらの塩基性化合物は、水溶性樹脂の中和剤とし
ても、水性顔料分散体に適宜調整して加えることがで
き、この場合はpH6〜10の所望のpHに調整するこ
とが好ましい。水性媒体は、水、または水溶性有機溶剤
と水との混合物からなる。 水としては、金属イオン等を
除去したイオン交換水または蒸留水を用いることが好ま
しい。水溶性有機溶剤の量は特に限定されないが、0〜
50重量%の範囲が好ましい。
【0019】水溶性有機溶剤としては、メタノール、エ
タノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノー
ル、イソブタノール、エチレングリコール、ジエチレン
グリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリ
コール、ポリエチレングリコール、グリセリン、テトラ
エチレングリコール、ジプロピレングリコール、アセト
ン、ジアセトンアルコール、テトラヒドロフラン(TH
F)、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエー
テル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチ
レングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコ
ールモノエチルエーテル、2−ピロリドン、2−メチル
ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,2−ヘ
キサンジオール、2,4,6−ヘキサントリオール、テ
トラフルフリルアルコール、4−メトキシ−4メチルペ
ンタノン等が挙げられる。
【0020】カップリング剤としては、シラン系カップ
リング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート
系カップリング剤が挙げられる。なかでも、末端にアミ
ノ基を有するシランカップリング剤は、水性媒体に溶解
でき、酸性官能基を有する水溶性樹脂との間での酸塩基
の相互作用を利用して、近傍に分子存在させることがで
きるため好適に用いられる。
【0021】末端にアミノ基を有するカップリング剤と
しては、3−[N−アリル−N(2−アミノエチル)]
アミノプロピルトリメトキシシラン、p−[(2−アミ
ノエチル)アミノメチル]フェネチルトリメトキシシラ
ン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメ
チルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3
−アミノプロピルトリメトキシシラン、1−(3−アミ
ノプロピル)−1,1,3,3,3−ペンタメチルジシ
ロキサン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3
−アミノプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン
などが挙げられる。
【0022】カップリング剤は、顔料100重量部に対
して1〜5重量部で処理されることが好ましい。顔料1
00重量部に対する処理量が1重量部未満であると、架
橋剤としての機能に欠け、水性顔料分散体の樹脂の固定
化に支障をきたし、分散安定性が不十分となる。一方、
処理量が重量部を超えると、カップリング剤同士の反応
が進行し易くなり、水性顔料分散体が凝集しやすく保存
時に粘度上昇が起こり易くなる。
【0023】本発明の水性顔料分散体は、顔料と酸性官
能基を有する水溶性樹脂とを分散機で水性媒体中に混合
分散し、顔料表面に水溶性樹脂を吸着させたのち、カッ
プリング剤を徐々に添加、攪拌して水溶性樹脂を架橋す
ることによって製造する。使用する分散機は、サンドミ
ル、ダイノミル、ホモジナイザー、アトライター、ボー
ルミル、ペイントシェーカー、フルイダイザー、高速ミ
キサー、超音波分散機等であり、ミル媒体として、ガラ
スビーズ、ジルコニアビーズ、ステンレスビーズなどを
使用してもよいし、しなくてもよい。分散時間は5分〜
24時間、好ましくは30分〜8時間である。
【0024】粗大粒子を除去するため、遠心分離機にか
ける工程を、顔料表面に水溶性樹脂を吸着させたのち、
カップリング剤で架橋する前に実施することができる。
また、未吸着の水溶性樹脂を限外ろ過等によって除去し
てもよい。カップリング剤の添加後、分散体は20〜9
0℃に保ち、反応を十分進めることが好ましい。なお、
この反応は分散体100ml当たり2〜4時間がよい。
カップリング剤は、水性媒体中で顔料に吸着した酸性官
能基を有する水溶性樹脂との間で酸塩基相互作用を生
じ、顔料表面に吸着した水溶性樹脂間に介在すると共
に、カップリング剤のアルコキシ基の加水分解反応によ
ってシラノール基を生成する。次いで、シラノール基が
脱水縮合し、結果的に網目状に顔料表面を被覆した水溶
性樹脂が固定化される。カップリング剤と顔料または樹
脂との反応で生じた副生成物は、遠心分離機にかけ分別
され、未吸着のカップリング剤は限外ろ過等によって除
去してもよい。
【0025】本発明の水性顔料分散体の平均分散粒径
は、10〜150nmであることが好ましい。平均分散
粒径が10nm未満であると、表面処理顔料の凝集が起
こり易く、保存安定性が良くない。また、平均分散粒径
が150nmを超えると、保存時に沈降が起こりやすく
表面処理顔料の安定した分散状態が得られない。また、
本発明の水性顔料分散体の顔料の含有量は、0.1〜5
0重量%であることが好ましい。顔料の含有量が0.1
重量%未満であると、着色剤としての機能に欠け、イン
キに使用した場合に印字濃度が不十分となる。一方、顔
料の含有量が50重量%を超えると、分散体が凝集しや
すく、保存時に沈降が起こりやすくなる。
【0026】本発明の水性顔料分散体は、経時安定性に
優れ、耐水性や耐光性が良好であるので、着色剤とし
て、インクジェット、情報端末のプロターや水性ボール
ペン、水性サインペン、フェルトペン、万年筆、毛筆、
製図用ドローイングペンの筆記具などに使用できる。 特
に、インクジェットインキの着色剤として好適に用いら
れる。インキは、本発明の水性顔料分散体に、水、必要
に応じて水溶性有機溶剤、添加剤等を加えて製造するこ
とができる。
【0027】インキ中の顔料の量は特に限定されない
が、一般的にはインキの全重量に対して1〜15重量
%、さらには1〜10重量%の範囲が好ましい。また、
インキ中の水の量は、インキの全重量に対して40〜9
0重量%の範囲が好ましい。水溶性有機溶剤は、ノズル
部分やフェルト部分などのインキの乾燥、インキの固化
を防止し、安定なインキの噴射や筆記およびノズルやフ
ェルトの保存時の乾燥を防止するために添加される。水
溶性有機溶剤としては、水性顔料分散体の媒体として例
示したものと同様の水溶性有機溶剤を単独または混合し
て、インキの全重量に対して1〜50重量%の範囲で含
有させることができる。
【0028】また、インキの紙での乾燥を速める目的
で、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール
等のアルコール類も用いることができる。インキの被印
刷体が紙のような浸透性のある材料のときには、紙への
インキの浸透を早め、見掛けの乾燥性を早くするため浸
透剤を加えることができる。浸透剤としては、表面張力
を低下させるような界面活性剤、例えばラウリル硫酸ナ
トリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オ
レイン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリ
ウム等を用いることができる。これらは、インキの全重
量に対して5重量%以下の含有量で十分な効果があり、
これよりも多いと印字の滲み、紙抜け(プリントスル
ー)を起こし好ましくなくなる。
【0029】本発明のインキには、アンモニア、アミ
ン、無機アルカリ等の水性樹脂の中和剤を適宜調整して
加えることができ、この場合においてもpH6〜10内
の所望のpHに調整しておくのが好ましい。また、本発
明のインキには、黴の発生を防止するために、防黴剤を
インキの0.05〜1.0重量%の範囲で添加すること
ができる。防黴剤としては、ジヒドロ酢酸ナトリウム、
安息香酸ナトリウム、ソジウムピリジンチオン−1−オ
キサイド、ジンクピリジンチオン−1−オキサイド、
1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、1−ベンズ
イソチアゾリン−3−オンのアミン塩等が用いられる。
【0030】また、ノズル部での金属の析出やインキ中
で不溶解性物の析出等を防止するために、キレート剤を
インキの0.005〜0.5重量%の範囲で添加するこ
とができる。キレート剤はインキ中の金属イオンを封鎖
するものであり、具体的には、エチレンジアミンテトラ
アセティックアシド、エチレンジアミンテトラアセティ
ックアシドのナトリウム塩、エチレンジアミンテトラア
セティックアシドのジアンモニウム塩、エチレンジアミ
ンテトラアセティックアシドのテトラアンモニウム塩等
が挙げられる。
【0031】また、インキの循環、移動、あるいはイン
キの製造時の泡の発生を防止するため、消泡剤を添加す
ることもできる。さらに、その他の添加剤として、尿
素、ジメチル尿素、チオ尿素等を加えることもできる。
本発明のインキは、孔径3μm以下、好ましくは1.0
μm以下、さらに好ましくは0.45μm以下のフィル
ターで濾過することが好ましい。フィルター濾過に先立
って、遠心分離によって大きな粒径のものを除くことも
でき、これによりフィルター濾過における目詰まりを少
なくし、フィルターの使用期間を長くすることができ
る。また、インキは、記録装置の方式にもよるが、粘度
0.8〜15cps(25℃)、表面張力25〜50m
N/mの液体として調整することが好ましく、インキの
平均分散粒径は、インキの保存安定性の点から、10〜
150nmが好ましい。
【0032】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明を説明する。
例中、部および%とあるは、重量部および重量%を示
す。なお、実施例および比較例で用いた顔料の平均一次
粒子径は、電子顕微鏡により測定した。
【0033】(実施例1)サンドミルに下記原料を入れ
て2時間分散したのち、攪拌しながら、 N-(2-アミノエ
チル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン3部を
スポイトで徐々に添加した。 その後、80℃で10時間攪拌
を続けた。室温に冷却後、ろ紙 No.2でろ過し、次いで
限外ろ過膜で等量の精製水を加えて等量の溶液を排出
し、顔料濃度20重量%の水性顔料分散体を得た。なお、
スチレンマレイン酸樹脂水溶液は、2リッターのフラス
コ中で、スチレンマレイン酸樹脂(elf atochem 社製
「SMA1000 」、酸価480 、重量平均分子量5700、ガラス
転移点154 ℃)200部と、中和率50%になる量のジメチル
アミノエタノールを溶解させた水 800部とを混合攪拌
し、80℃で加熱溶解させて調製した。樹脂水溶液の粘度
は、20〜40cps(25℃) であった。 カーボンブラック 100部 (Degussa 社製「Printex55 」、平均一次粒子径25nm) スチレンマレイン酸樹脂水溶液(固形分20%) 25部 精製水 372部
【0034】(実施例2)サンドミルに下記原料を入れ
て2時間分散したのち、攪拌しながら、 N-(2-アミノエ
チル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン3部を
スポイトで徐々に添加し、実施例1と同様にして顔料濃
度20重量%の水性顔料分散体を得た。 カーボンブラック 100部 (Degussa 社製「Printex55 」、平均一次粒子径25nm) 実施例1と同様のスチレンマレイン酸樹脂水溶液(固形分20%)250部 精製水 147部
【0035】(実施例3)サンドミルに下記原料を入れ
て2時間分散したのち、攪拌しながら、 N-(2-アミノエ
チル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン3部を
スポイトで徐々に添加し、実施例1と同様にして顔料濃
度20重量%の水性顔料分散体を得た。 カーボンブラック 100部 (Degussa 社製「Printex55 」、平均一次粒子径25nm) 実施例1と同様のスチレンマレイン酸樹脂水溶液(固形分20%) 3部 精製水 394部
【0036】(実施例4)サンドミルに下記原料を入れ
て2時間分散したのち、攪拌しながら、 N-(2-アミノエ
チル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン 0.5部
をスポイトで徐々に添加し、実施例1と同様にして顔料
濃度20重量%の水性顔料分散体を得た。 カーボンブラック 100部 (Degussa 社製「Printex55 」、平均一次粒子径25nm) 実施例1と同様のスチレンマレイン酸樹脂水溶液(固形分20%) 50部 精製水 349.5部
【0037】(実施例5)サンドミルに下記原料を入れ
て2時間分散したのち、攪拌しながら、 N-(2-アミノエ
チル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン6部を
スポイトで徐々に添加し、実施例1と同様にして顔料濃
度20重量%の水性顔料分散体を得た。 カーボンブラック 100部 (Degussa 社製「Printex55 」、平均一次粒子径25nm) 実施例1と同様のスチレンマレイン酸樹脂水溶液(固形分20%) 50部 精製水 344部
【0038】(実施例6) [微細化処理]ステンレス製1ガロンニーダー(井上製
作所社製)に、キナクリドン系赤色顔料(ヘキスト社製
「Hostaperm Pink E」、平均一次粒子径110nm) 250部、
塩化ナトリウム2500部およびジエチレングリコール 200
部を仕込み、3時間混練した。つぎに、この混合物を
2.5リットルの温水に投入し、約80℃に加熱しながらハ
イスピードミキサーで約1時間撹拌してスラリー状とし
た後、濾過、水洗を5回くりかえして塩化ナトリウムお
よび溶剤を除き、微細化処理顔料の乾燥品を得た。微細
化処理顔料の平均一次粒子径は20nmであった。
【0039】[水性顔料分散体の作成]サンドミルに下記
原料を入れて2時間分散したのち、攪拌しながら、 N-
(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシ
シラン3部をスポイトで徐々に添加した。次いで、70
℃で10時間攪拌を続けたのち、実施例1と同様にして
ろ過し、顔料濃度20重量%の水性顔料分散体を得た。 微細化処理顔料 100部 スチレンマレイン酸変性樹脂水溶液(固形分20%) 33部 (ジョンソンポリマー社製「ジョンクリルJ501」、重量平均分子量12000 、 酸価205 、ガラス転移点65℃、アンモニア中和120% 固形分29.5%) 精製水 364部
【0040】(実施例7) [微細化処理]ステンレス製1ガロンニーダー(井上製
作所社製)に、フタロシアニン系青色顔料(東洋インキ
製造社製「リオノールブルー KLH-T」、平均一次粒子径
93nm)250部、塩化ナトリウム1000部およびジエチレング
リコール 180部を仕込み、3時間混練した。つぎに、こ
の混合物を 2.5リットルの温水に投入し、約80℃に加熱
しながらハイスピードミキサーで約1時間撹拌してスラ
リー状とした後、濾過、水洗を5回くりかえして塩化ナ
トリウムおよび溶剤を除き、微細化処理顔料の乾燥品を
得た。微細化処理顔料の平均一次粒子径は60nmであっ
た。
【0041】[水性顔料分散体の作成]サンドミルに下記
原料を入れて2時間分散したのち、攪拌しながら、 N-
(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラ
ン5部をスポイトで徐々に添加した。次いで、70℃で
10時間攪拌を続けたのち、実施例1と同様にしてろ過
し、顔料濃度20重量%の水性顔料分散体を得た。なお、
スチレンアクリル樹脂水溶液は、2リッターのフラスコ
中で、スチレンアクリル樹脂(ジョンソンポリマー社製
「ジョンクリルJ683」、重量平均分子量7300、酸価150
、ガラス転移点69℃)200部と、中和率 100%になる量
のトリエタノールアミンを溶解させた水 800部とを混合
攪拌し、80℃で加熱溶解させて調製した。樹脂水溶液の
粘度は、20〜40cps(25℃) であった。 微細化処理顔料 100部 スチレンアクリル樹脂水溶液(固形分20%) 150部 精製水 245部
【0042】(実施例8) [微細化処理]ステンレス製1ガロンニーダー(井上製
作所社製)に、キノフタロン系黄色顔料(BASF社製「Pa
liotol Yellow K0961HD 」、平均一次粒子径200nm) 250
部、塩化ナトリウム2500部およびジエチレングリコール
200部を仕込み、3時間混練した。つぎに、この混合物
を 2.5リットルの温水に投入し、約80℃に加熱しながら
ハイスピードミキサーで約1時間撹拌してスラリー状と
した後、濾過、水洗を5回くりかえして塩化ナトリウム
および溶剤を除き、微細化処理顔料の乾燥品を得た。微
細化処理顔料の平均一次粒子径は40nmであった。
【0043】[水性顔料分散体の作成]サンドミルに下記
原料を入れて2時間分散したのち、攪拌しながら、3-ア
ミノプロピルトリエトキシシラン4部をスポイトで徐々
に添加した。次いで、70℃で10時間攪拌を続けたの
ち、実施例1と同様にしてろ過し、顔料濃度20重量%の
水性顔料分散体を得た。なお、スチレンアクリル樹脂水
溶液は、2リッターのフラスコ中で、スチレンアクリル
樹脂(ジョンソンポリマー社製「ジョンクリルJ690」、
重量平均分子量15500、酸価240 、ガラス転移点 102℃)
200部と、中和率 100%になる量のジエチルアミノエタ
ノールを溶解させた水 800部とを混合攪拌し、80℃で加
熱溶解させて調製した。樹脂水溶液の粘度は、20〜40cp
s(25℃) であった。 微細化処理顔料 100部 スチレンアクリル樹脂水溶液(固形分20%) 100部 精製水 296部
【0044】(比較例1)精製水 372部を 375部に変
え、 N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキ
シシラン3部を除いた以外は、実施例1と同様にして顔
料濃度20重量%の水性顔料分散体を得た。
【0045】(比較例2)サンドミルに下記原料を入れ
て2時間分散したのち、ろ紙 No.2でろ過し、顔料濃度
20重量%の水性顔料分散体を得た。 カーボンブラック(Degussa 社製「Printex55 」) 100部 ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 5部 精製水 395部
【0046】(比較例3)黒色染料の水溶液(オリエン
ト社製「WATER BLACK 100-L 」、染料濃度20重量%)を
そのまま用いた。
【0047】実施例1〜8、比較例1〜2の水性顔料分
散体および比較例3の染料水溶液の初期物性として平均
分散粒径、粘度および表面張力を測定し、保存安定性の
評価を行った。以下に物性測定方法および評価基準を記
し、表1に結果を示す。 [粘度]B型粘度計を用いて25℃にて測定した。 [平均分散粒径]レーザー回折方式の粒度分布計(島津
製作所社製「SALD−1100」)で測定した。 [表面張力]FACE−CBVP式の表面張力計(協和
界面科学社製)を用いて25℃にて測定した。
【0048】[保存安定性]水性顔料分散体および染料
水溶液30ccをねじ口瓶に入れ、60℃で1ヶ月放置
したのち、その状態を目視で評価した。 ◎:沈殿物が見られない。 ○:沈殿物が見られないが、平均分散粒径と粘度の変化
がわずかにある。 △:沈殿物が見られ、平均分散粒径と粘度の変化があ
る。 ×:沈殿物が見られ、平均分散粒径の変化および粘度変
化が大きい。
【0049】次に、実施例1〜8、比較例1〜2の水性
顔料分散体および比較例3の染料水溶液を着色剤として
含むインクジェットインキを製造し、得られたインクジ
ェットインキの初期物性として平均分散粒径、粘度およ
び表面張力を上記方法で測定し、印字安定性、耐水性、
耐光性および保存安定性の評価を行った。下記に評価方
法および評価基準を記し、表2に結果を示す。インキの
製造は、下記に示す原料を混合したのち、孔径1μm、
90mmφのメンブランフィルターを用いて濾過し、続
いて孔径0.45μm、90mmφのメンブランフィル
ターを用いて濾過して行った。
【0050】 水性顔料分散体あるいは染料水溶液(固形分20%) 25.0部 グリセリン 4.0部 ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(浸透剤) 1.0部 ジメチルアミノエタノール 1.0部 1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(防黴剤) 0.3部 エチレンジアミンテトラアセティックアシドのナトリウム塩 0.1部 精製水 68.6部 合計 100.0部
【0051】[印字安定性]インキをインクジェットプ
リンター(HP社製「Desktop560」)のカー
トリッジに入れて、普通紙(ゼロックス社製「K」)に
室温で印字を行い、印字の乱れ、欠け、不吐出の有無を
目視で評価した。また、印字1時間放置後に同様に評価
した。 ○:連続印字中にインキの不吐出、印字の乱れ、欠けが
認められない。 △:連続印字中にベタ印字部分で数カ所のインキの不吐
出が僅かに認められる。 ×:連続印字中にベタ印字部分で数カ所のインキの不吐
出が認められる。
【0052】[耐水性]普通紙(ゼロックス社製
「K」)に記録した記録物を乾燥後、1分間水に浸漬し
た時のインキのにじみ、流れだしの有無を目視にて評価
した。また、浸浸部にろ紙を押し当て、インキ移りを目
視にて評価した。 ◎:インキのにじみ、流れだし無く、インキ移りもな
い。 ○:インキのにじみ、流れだし無いが、僅かにインキ移
りが見られた。 △:インキのにじみ、流れだしが少し有り、インキ移り
が見られた。 ×:インキのにじみ、流れだし有り、インキ移りが見ら
れた。
【0053】[耐光性]普通紙(ゼロックス社製
「K」)に記録した記録物をキセノンランプに1週間曝
した後、記録直後の記録物と比較し、色相の変化を目視
で評価した。 ○:色あせが確認できない。 ×:色あせが確認できる。 [保存安定性]インキ30ccをねじ口瓶に入れ、60
℃で1ヶ月放置したのち、インキの状態を目視で評価し
た。 ◎:沈殿物が見られない。 ○:沈殿物が見られないが、平均分散粒径と粘度の変化
がわずかにある。 △:沈殿物が見られ、平均分散粒径と粘度の変化があ
る。 ×:沈殿物が見られ、平均分散粒径の変化および粘度変
化が大きい。
【0054】次に、実施例1〜8、比較例1〜2の水性
顔料分散体および比較例3の染料水溶液を着色剤として
含むフェルトペンインキを製造し、得られたフェルトペ
ンインキの初期物性として粘度を上記方法で測定し、保
存安定性を下記方法で評価した。また、得られたフェル
トペンインキをフェルトペンに詰め、筆記特性、耐水
性、耐光性を下記方法で評価した。表3に結果を示す。
インキの製造は、下記に示す原料を混合して行った。
【0055】 水性顔料分散体(固形分20%) 50.0部 エチレングリコール 5 0部 グリセリン 18.0部 水酸化カリウム 0.1部 チオ尿素 11.1部 精製水 15.8部 合計 100.0部
【0056】[筆記特性]フェルトペンを用いて普通紙
(ゼロックス社製「K」)に筆記を行い、筆記状態を目
視で評価した。 ○:かすれが認められない。 △:かすれが僅かに認められる。 ×:かすれが認められる。
【0057】[耐水性]普通紙(ゼロックス社製
「K」)に筆記した記録物を乾燥後、1分間水に浸漬し
た時のインキのにじみ、流れだしの有無を目視にて評価
した。 ○:インキのにじみ、流れだし無い。 △:インキのにじみ、流れだしが少し有る。 ×:インキのにじみ、流れだし有る。 [耐光性]普通紙(ゼロックス社製「K」)に筆記した
記録物をキセノンランプに1週間曝した後、記録直後の
記録物と比較し、色相の変化を目視で評価した。 ○:色あせが確認できない。 ×:色あせが確認できる。
【0058】[保存安定性]インキ30ccをねじ口瓶
に入れ、60℃で1ヶ月放置したのち、インキを評価し
た。 ◎:粘度の変化がない。 ○:粘度の変化がほとんどない。 △:粘度の変化がある。 ×:粘度変化が大きい。
【0059】
【表1】
【0060】
【発明の効果】本発明の水性顔料分散体は、耐水性と耐
光性が良好で初期および保存安定性に優れるので、イン
クジェットインキやフェルトペンインキの着色剤として
好適に用いることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐武 順 東京都中央区京橋二丁目3番13号東洋イン キ製造株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】顔料表面に酸性官能基を有する水溶性樹脂
    を吸着させたのちカップリング剤で処理してなる表面処
    理顔料を水性媒体中に分散してなる水性顔料分散体。
  2. 【請求項2】顔料100重量部に対して、1〜30重量
    部の酸性官能基を有する水溶性樹脂を吸着させることを
    特徴とする請求項1記載の水性顔料分散体。
  3. 【請求項3】顔料100重量部に対して、1〜5重量部
    のカップリング剤で処理することを特徴とする請求項1
    または2項記載の水性顔料分散体。
  4. 【請求項4】カップリング剤が、末端にアミノ基を有す
    るシランカップリング剤であることを特徴とする請求項
    1ないし3いずれか1項に記載の水性顔料分散体。
  5. 【請求項5】酸性官能基を有する水溶性樹脂の酸価が1
    00〜495であることを特徴とする請求項1ないし4
    いずれか1項に記載の水性顔料分散体。
  6. 【請求項6】顔料の平均一次粒子径が10〜70nmで
    あることを特徴とする請求項1ないし5いずれか1項に
    記載の水性顔料分散体。
  7. 【請求項7】顔料の含有量が0.1〜50重量%である
    ことを特徴とする請求項1ないし6いずれか1項に記載
    の水性顔料分散体。
  8. 【請求項8】顔料と酸性官能基を有する水溶性樹脂を水
    性媒体中で分散し、顔料表面に水溶性樹脂を吸着させた
    のち、カップリング剤で架橋することを特徴とする水性
    顔料分散体の製造方法。
  9. 【請求項9】請求項1ないし7いずれか1項に記載の水
    性顔料分散体を着色剤として含むインクジェットイン
    キ。
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