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JPH11267755A - 厚鋼板の製造方法およびそれに用いる矯正装置 - Google Patents

厚鋼板の製造方法およびそれに用いる矯正装置

Info

Publication number
JPH11267755A
JPH11267755A JP8830798A JP8830798A JPH11267755A JP H11267755 A JPH11267755 A JP H11267755A JP 8830798 A JP8830798 A JP 8830798A JP 8830798 A JP8830798 A JP 8830798A JP H11267755 A JPH11267755 A JP H11267755A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cooling
steel sheet
temperature
plate
hot
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8830798A
Other languages
English (en)
Inventor
Teruo Fujibayashi
晃夫 藤林
Hiroshi Kibe
洋 木部
Satoshi Kamioka
悟史 上岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NKK Corp, Nippon Kokan Ltd filed Critical NKK Corp
Priority to JP8830798A priority Critical patent/JPH11267755A/ja
Publication of JPH11267755A publication Critical patent/JPH11267755A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Landscapes

  • Metal Rolling (AREA)
  • Straightening Metal Sheet-Like Bodies (AREA)
  • Heat Treatment Of Strip Materials And Filament Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 冷却したままで条切りを行っても条切り歪み
が小さく、かつ鋼板全体にわたって均質な材質の鋼板を
オンラインで安定に製造可能な方法を提供する。 【解決手段】 仕上圧延機1で圧延された厚鋼板6は、
熱間矯正機2で、加速冷却装置3に装入するのに適切な
ように、フラットに矯正されてから、加速冷却装置3で
加速冷却される。熱間矯正機2の前段部分で熱間矯正し
ながら、加熱炉から仕上圧延終了までに生じた板端部付
近の温度の降下を解消するように、かつ、鋼板温度がAr
3変態点以下にはならないように鋼板を冷却し、熱間矯
正機の後段部分では、熱間矯正機の最終レベリングロー
ル位置で、矯正終了とほぼ同時に鋼板表裏面の温度が復
熱するように自然放冷して熱間矯正をおこない、その
後、幅方向に一様な冷却条件で加速冷却を行って鋼板を
製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、厚鋼板の製造方法
に関するものであり、さらに詳しくは、熱間圧延された
高温鋼板を冷却後、条切りを行った際に発生する条切り
歪みの少ない厚鋼板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、熱間圧延された高温の鋼板に
は、製造途中で発生した温度の不均一や残留応力によっ
て、鋼板を条切りした際に板が面内に歪むキャンバーや
上下に歪む反りを発生する、いわゆる条切り歪みが生じ
やすい。
【0003】近年、高強度、高靭性の厚鋼板を製造する
方法として、特定の温度域で圧下を加える、いわゆる制
御圧延と、圧延後の高温の鋼板を強冷却する加速冷却が
一般的に行われている。加速冷却の方法としては、オン
ラインで水平の状態で鋼板を通過させながら、その上下
から冷却水を注水して冷却を施す方法が一般的である。
この加速冷却前の鋼板の板幅方向の温度分布は、スラブ
の加熱炉抽出から圧延終了までに熱が板の端部から2次
元的に放熱するため、板端部の温度が板幅中央部の温度
より下がった分布となっている。
【0004】よって、この状態で加速冷却を施すと、幅
方向に一様な冷却を行っても、冷却前の温度分布はその
まま相似な形で引き継がれ、冷却終了時においても板端
部の温度が板幅中央部の温度より下がった分布となって
いる。この状態でレベリング(熱間矯正)を行うと、レ
ベリング終了時に板形状は平坦であったとしても、幅方
向に存在するこの温度分布に応じて板端部と板中央部と
の熱収縮量に違いが生じ、常温に至った段階で、板中央
部に圧縮、板端部に引張りの残留応力が生じる。この板
をそのまま条切りすると残留応力が解放されて、図5に
示すような条切り歪みが生じてしまう。
【0005】この条切り歪みをなくす手段としては (1)圧延途中や加速冷却前に幅方向の温度分布をフラ
ットにするために冷却を行う方法(特開昭62−930
10号公報、特開昭60−36625号公報) (2)加速冷却装置内にレベリングロールを設けて、冷
却しながら矯正を施す方法(特開昭61−231124
号公報) (3)加速冷却後に鋼板幅方向の温度分布がフラットと
なるように加速冷却中に板端部の冷却を少なくする方法
(特開昭62ー289315号公報、特開昭55ー15
3616号公報、実用新案登録2549694号公報、
特開昭58ー32511号公報、特開平6ー28553
1号公報、特開平6ー184623号公報)が提案され
ている。また、加速冷却後に内部に残留する応力を除去
する目的で歪取りの熱処理を施す、いわゆるテンパ処理
が行われてきた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
62−93010号公報、特開昭60−36625号公
報に見られる、圧延途中や加速冷却前に幅方向の温度分
布をフラットにするために冷却を行う方法には、幅方向
の温度分布をフラットにするために冷却を行う途中で冷
却歪みが発生し、この歪みが次の加速冷却装置における
冷却において幅方向の冷却水流れを不均一にしたり、冷
却水を局所的に滞留させたりして冷却不均一を引き起こ
すという問題点がある。
【0007】また、この加速冷却前に幅方向の温度分布
をフラットにするために冷却を行う方法において、その
冷却の前後に矯正を行う方法、幅方向の温度分布をフラ
ットにするための冷却の直後に矯正を行う方法が考えら
れるが、この方法では、矯正中にさらに鋼板端部の温度
が時間の経過とともに降下し、加速冷却前に再び、板幅
方向の温度分布がついた状態となって、加速冷却開始時
には板端部の温度が板中央部に比べて下がった状態とな
り、幅方向の温度分布をフラットにするための冷却の効
果が十分に得られないという問題点がある。
【0008】また、特開昭61−231124号公報に
見られる、速冷却装置内にレベリングロールを設けて、
冷却しながら矯正を施す方法では、加速冷却装置内で矯
正を行うと、レベリングロールの存在が冷却水の流れを
妨げたり、局所的な冷却ムラを助長させたりするという
問題点がある。さらに冷却終了時には鋼板表面温度が下
がった状態であるが、冷却装置を出てしばらくしてから
鋼板表面温度が復熱により上昇する。復熱段階で鋼板の
上面と下面の温度が異なった場合(例えば、加速冷却中
の微少な上下面の冷却のアンバランスによる)には、非
常に大きな反りの歪みが発生するという問題点がある。
【0009】加速冷却後に鋼板幅方向の温度分布がフラ
ットとなるように加速冷却中に板端部の冷却を少なくす
る方法、すなわち、ラミナー冷却水のうち板中央部に供
給される冷却水量に対して板端部に供給される冷却水量
を絞ることによって、板端部の冷却を小さくしようとす
る方法(特開昭62ー289315号公報、特開昭55
ー153616号公報)、冷却水を遮蔽板によって端部
に落下する冷却水を切る方法(実用新案登録25496
94号公報、特開昭58ー32511号公報)、板に沿
ったスリットノズルから冷却水を注水するスリットノズ
ルにおいて、スリットノズルの先端のスリット部分にス
リットを遮蔽する幅方向に移動可能な遮蔽体を設けて板
端部に冷却水がかからないようにする方法(特開平6ー
285531号公報、特開平6ー184623号公報)
については、これらのいずれの方法も、加速冷却時に、
板端部の冷却開始温度が板中央部の冷却開始温度に比べ
て低くなっており、これに起因して、板端部の強度や靭
性が板中央部と異なって製品品質のバラツキを生じるの
で、厳しい温度管理が求められる近年の制御圧延や制御
冷却の条件に合わないという問題点がある。
【0010】さらに、板端部への冷却水量が板中央部の
冷却水量に比べて少ないために板端部の冷却速度が板中
央部の冷却速度に比べて小さくなり、板端部は所要の冷
却速度が得られなくなるという問題があり、これは冷却
開始温度の幅方向のバラツキと同様に製品品質のバラツ
キを生じる原因となっている。
【0011】また、加速冷却後に、残留応力が残った場
合には、その応力を除去するために応力除去焼鈍処理を
行うことが一般に行われているが、これは再加熱に膨大
なエネルギと時間を費やすことになり、コスト的に不利
である。
【0012】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たもので、冷却したままで条切りを行っても条切り歪み
が小さく、かつ鋼板全体にわたって均質な材質の鋼板を
オンラインで安定に製造可能な方法を提供することを課
題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記課題は、熱間圧延さ
れた高温鋼板を加速冷却して鋼板を製造する鋼板の製造
方法であって、仕上圧延された高温の鋼板を熱間矯正機
に搬送し、熱間矯正機の前段部分で熱間矯正しながら、
加熱炉から仕上圧延終了までに生じた板端部付近の温度
の降下を解消するように、かつ、鋼板温度がAr3変態点
以下にはならないように鋼板を冷却し、熱間矯正機の後
段部分では、熱間矯正機の最終レベリングロール位置
で、矯正終了とほぼ同時に鋼板表裏面の温度が復熱する
ように自然放冷して熱間矯正をおこない、その後、幅方
向に一様な冷却条件で加速冷却を行って鋼板を製造する
ことを特徴とする厚鋼板の製造方法(請求項1)により
解決される。
【0014】本手段においては、仕上圧延機と加速冷却
装置の間に設けられた熱間矯正機で矯正中に鋼板幅方向
の温度むらを調整する。すなわち、鋼板幅方向中央部を
冷却することにより、鋼板中央部温度を鋼板端部の温度
に合わせ、温度むらを解消する。この際、鋼板温度がAr
3変態点以下にはならないようにするのは、Ar3変態点以
下で矯正を加えると、鋼板表層部に母材とは異なる異常
組織が残留してしまうので、これを防ぐためである。ま
た、熱間矯正機の前段部分でのみ冷却を行うのは、熱間
矯正機の最終レベリングロール位置で鋼板表裏面の温度
が復熱し終わった状態とし、その状態で最終レベリング
を行うことにより、加速冷却装置に入る前に冷却歪が発
生しないようにするためである。
【0015】このようにして熱間矯正され、幅方向の温
度差をなくされた鋼板は、その後、幅方向に一様な冷却
条件で加速冷却されるので、鋼板各部の冷却速度、温度
履歴(冷却開始温度、冷却停止温度)が鋼板各部で一定
となり、均質な材質が得られる。そのため、常温まで自
然放冷後に鋼板内に残留応力が残存せず、従って条切り
を施しても歪みが生じない。また、鋼板の幅方向温度を
均一にする作用は、鋼板の矯正作業と同時に行われるの
で、幅方向温度調節のために生産能率が低下することが
ない。
【0016】前記手段を実施するために好適な手段は、
仕上圧延機と加速冷却装置の中間に設置され、前段部分
に、幅方向鋼板温度分布を制御可能な鋼板冷却装置を有
する矯正装置(請求項2)である。
【0017】この手段によれば、前段部分に設けられた
鋼板冷却装置において、鋼板幅方向の温度分布を解消し
ながら鋼板を矯正し、後段においては鋼板表裏面温度を
復熱させながら矯正を行うことができる。
【0018】
【実施例】次に本発明の実施例を図を用いて詳細に説明
する。図1は、本発明の実施例に使用した設備の概要を
示す概略図である。図1において、1は仕上圧延機、2
は第1の熱間矯正機、3は加速冷却装置、4は第2の熱
間矯正機、5は冷却床、6は厚鋼板、7は仕上圧延機後
面の表面温度計、8は加速冷却装置前面の表面温度計、
9は加速冷却装置後面の表面温度計である。仕上圧延機
1で圧延された厚鋼板6は、熱間矯正機2で、加速冷却
装置3に装入するのに適切なように、フラットに矯正さ
れてから、加速冷却装置3で加速冷却される。そして、
加速冷却中に生じた歪が最終的に熱間矯正機4で矯正さ
れ、フラットにされた厚鋼板6が冷却床5で常温まで冷
却される。
【0019】加速冷却装置3の詳細図を図2に示す。図
2において、10は上ロール、11は下ロール、12は
スリットノズル、13は円管である。なお、以下の図に
おいては、前出の図で示されたものと同じ構成要素には
同じ符号を付してその説明を省略する。この加速冷却装
置3は上下に挟まれた20組の上ロール12(図には1
0組のみを示す)、下ロール13間に、圧延直後の厚鋼
板を挟んで搬送しながらオンラインで冷却する装置であ
って、各ロール間のピッチは1000mmである。各上ロール
12間の上面側には板搬送方向の上流側の上ロールから
下流側の上ロールに向かって、板の進行方向にスリット
ノズル12から2m3/min・mの水を板に沿って流してお
り、一方下面は100mmピッチで設けた水中に没した円管
13から水を噴射し、その随伴流で生じた液流で冷却を
施している。
【0020】この20組の拘束ロールにおいて、下ロー
ル11は搬送ロールを兼ねており、固定式であるが、上
ロール10は直径0.25mで、上下に昇降が可能でその隙
間は0.5mmピッチで制御可能である。さらにこの上ロー
ル12は鋼板が通過した際にそのセットされたギャップ
以上の厚みの鋼板が通過するときは、上ロール両端部か
ら油圧シリンダーを介して拘束力がかかる構造となって
いる。
【0021】熱間矯正機2の詳細を図3に示す。これ
は、請求項2に係る発明の実施の形態の1例をを示すも
のである。図3において、14a〜14iは矯正ロー
ル、15はスプレーノズル、16は空気噴射ノズル、1
7は水切りロール、18は搬送ロールである。
【0022】熱間矯正機2は、図4に示されるようにロ
ール径450mmの9本の矯正ロール14a〜14iで構成
される矯正機で、最終5本のロール14e〜14iにお
いて上ロールの押し込み量を調整することで板幅方向の
C反り量を意図的に発生させている。
【0023】この熱間矯正機2において、矯正機前と第
5のレベリングロール14e前までの矯正機の前段部分
には、鋼板上下面に幅方向に100mmピッチ、長手方向に1
50mmピッチで市販のスプレーノズル9が千鳥配置され、
鋼板の冷却を行うことが可能である。この冷却装置は、
上面ノズルは搬送テーブルから1.5m上に、下面は搬送
テーブルから500mm下にそれぞれ配置されている。
【0024】板幅方向に冷却能力を変更可能とし、特に
板端部の冷却能力を制御するために下面ノズルは幅方向
にON-OFF制御が可能とされている。また、上面では、板
端部に冷却水がかからないように、板端部に空気噴射ノ
ズル16を設けて、このノズルから空気を板端部約150m
mの範囲に噴射することにより、落下した冷却水が板端
部に接触しないような工夫が施されている。
【0025】以上の装置構成によって、板幅方向の冷却
能力、特に板端部付近の冷却能力を変更することが可能
である。冷却能力調整は、下面についてはノズルのON-O
FFによって、温度調整量とその幅を、上面については、
空気を噴射するノズルの数とその幅方向の位置によって
温度調整量とその幅を変更することが可能である。また
矯正中の鋼板の前に冷却水が鋼板上面を伝わって流出し
ないように水切りロール17が熱間矯正機2前に設けら
れている。
【0026】この実施例は、熱間圧延によって厚み250m
m、幅1600mm、長さ3500mmのスラブから、幅4000mm、厚
み25mm、製品長さ約14mの厚鋼板を製造した例である。
前記鋼板製造設備において、加熱炉で約1250℃に加熱し
たスラブをデスケーリング後粗圧延機し、続いて仕上圧
延機1で圧延して、板厚25mmの厚鋼板6とした。圧延終
了時の鋼板表面温度を放射温度計7で測定した結果、図
4(1)に示すように板端部の温度が約880℃、板中央
部付近の温度が950℃であった。すなわち、この段階で
板端部の温度は板中央部に比べて約70℃低くなってお
り、その温度が降下した部分は板端部から約140mmの範
囲に及んでいた。
【0027】この鋼板を直ちに第1の熱間矯正機2に搬
送して矯正を施した。熱間矯正機2における板幅方向の
C反り量は、最終5本のロールに14e〜14iの押し
込み量によって変化し、押し込み量によっては下に凸や
上に凸のC反りが発生するが、ここではレベラー後の鋼
板の急峻度が0.5%以下となるように設定し、その押し
込み量で矯正を行った。
【0028】この冷却装置を用いて、板中央部の温度を
選択的に下げることによって板内の温度差を約20℃にま
で低減することが可能であった。板端部の冷却調整幅
は、加熱炉から仕上圧延終了までに生じた板端部付近の
温度の降下部分に相当するので、板端部からおおよそ最
大でスラブ厚みの1.5倍、通常はスラブ厚み程度の幅で
ある。この幅は、実際には圧延条件(パス数や幅出し圧
延(スラブを90度回転させて圧延する回数)回数によっ
て異なる))によって異なる。本実施例ではスラブから
圧延し、この板厚になるまでのパス数が比較的少なかっ
たため、実質温度調整幅は板端部から140mmであった。
【0029】また、冷却中の鋼板温度は、その後の加速
冷却における制御冷却効果が失われないように、鋼板各
部の温度がAr3温度よりも下がらないような冷却を施す
必要がある。
【0030】なお、幅方向の冷却能力、特に板端部の冷
却を弱める方法としては上記方法以外に、例えば、ノズ
ルと鋼板の間にマスキング板を挿入し、板端部への冷却
水を遮蔽する方法、ノズルの角度を変更して、あるいは
扁平なスプレーパターンを持つスプレーノズルを回転さ
せて、板端部への冷却水供給を制御する方法等がある。
【0031】本実施例では、9本のレベリングロールの
内、前段5段目のロール以前で冷却を終了するようにし
たところ、最終レベリングロール到達時には鋼板表面温
度が十分に復熱していた。なお、通常この復熱時間は板
厚によって異なるが5〜30秒必要である。操業上は7段
目のレベリングロールまで冷却をすることも可能であ
る。
【0032】第1の熱間矯正機2で矯正された鋼板は、
ただちに加速冷却装置3に送られて冷却された。この時
鋼板の冷却開始温度は加速冷却装置3前に設けた表面温
度計8で計測したところ、板中央部で785℃、板端部で7
75℃であった(図4(2))。冷却終了温度は、加速冷
却装置3後に設けた表面温度計9で計測したところ、板
中央部で500℃、板端部で485℃であり(図4(3))、
冷却速度はほぼ30℃/sで板内部にほぼ一様であった。
【0033】本実施例では、冷却中に発生する冷却歪量
をなるべく小さくするため、また、第2の熱間矯正機4
における矯正負荷を小さくするため、上面下面に上述の
冷却方式を採用したが、これ以外に、スプレー冷却、ジ
ェット冷却、フラットラミナー冷却、円管ラミナー冷
却、ミスト冷却等が置換可能な冷却方法として挙げら
れ、それらの冷却方式を採用してもよい。
【0034】加速冷却装置3で冷却された鋼板は続いて
第2の熱間矯正機4へ送られ、冷却中生じた反りが矯正
された。第2の熱間矯正機4はロールが9本の矯正機で
ある。矯正後には鋼板に大きな反りや変形はなく、また
この段階で板内の温度偏差は10℃以内であった。
【0035】なお、本発明ではこの第2の熱間矯正機は
必ずしも必要としないが、実際の操業では、加速冷却中
に生じる不可避的な歪み防止の点から設置することが望
ましい。
【0036】さらにこの鋼板を冷却床5に搬送して自然
放冷した。冷却床5で冷却後も特に大きな変形はなく、
製品が得られた。また、冷却後に得られた鋼板の材質を
調査した結果、幅方向に硬度や強度のバラツキが少な
く、特に大きな硬度分布差はなかった。強度のバラツキ
は降伏応力で5MPa以下ときわめて均質な鋼板が得られ
た。
【0037】冷却後、幅方向に幅500mmで8条にガス切
断によって条切りを行った。条切り後に条切り材のキャ
ンバー量を計測したところ、10mあたり5mm以下であ
り、ほとんど条切り変形することはなかった。よって、
焼き戻しなどの残留応力を除去する工程は不要であっ
た。
【0038】(比較例)比較例として、前記実施例1と
同じ圧延ラインにおいて、4種類の変わった条件で、同
じサイズの鋼板を製造した。すなわち、厚み250mm、幅1
600mm、長さ3500mmのスラブから、幅4000mm、厚み25m
m、製品長さ約14mの厚鋼板を製造した。比較例1は、
熱間矯正機内での冷却を行わず、代わりに加速冷却前に
幅方向の温度分布をフラットにするために冷却を行った
場合、比較例2は、熱間矯正機内での冷却を行わず、加
速冷却装置3内にレベリングロールを設けて、加速冷却
しながら矯正を施した場合、比較例3は実施例と同じ設
備構成、製造工程とし、熱間矯正機2で板端部の温度調
整を行っていない場合、比較例4は比較例3と同じ設備
構成、製造工程とし、加速冷却装置3内で、板端部への
冷却水の供給を上面についてはノズル出口に遮蔽体を挿
入することで、下面についてはマスキング板を挿入する
ことで板端部の冷却能力を調整した場合である。
【0039】(比較例1)工程として、粗圧延機→仕上
圧延機→調整冷却→加速冷却(幅方向一様冷却)の順に
処理を行うもので、実施例におけ熱間矯正機中での幅方
向温度調整の代わりに、仕上圧延機の後に設けられた冷
却装置により、幅方向温度調整を行ったものである。
【0040】この方法では、圧延後の高温鋼板を幅方向
の温度分布をフラットにするために冷却を行った結果、
冷却後に板端部が板中央部に比べて30mm上に反ったいわ
れるC反りといわれる下に凸の冷却歪みが発生した。こ
の理由は、冷却後の幅方向の温度分布はほぼフラットで
温度偏差は±10℃以内であったが、仕上圧延段階で幅方
向に温度分布が付いた状態(板端部が板中央部に比べて
50℃程度温度が低い)でフラットな形状に仕上げたため
に、その段階から蓄積された歪みが顕在化したと考えら
れる。
【0041】そして、この歪みが次の加速冷却装置3に
おける冷却において幅方向の冷却水流れを不均一にし、
加速冷却装置3を抜けた段階で、板中央部付近に冷却水
が局所的に滞留して冷却不均一を引き起こしていた。加
速冷却終了後の鋼板の幅方向の温度差は約70℃となって
いた。その後熱間矯正機でこの反りを矯正したが、放冷
後、条切り材のキャンバー量は、10mあたり90mmと大き
く変形した。従って、この材料は焼き戻しなどの残留歪
みを除去する工程でも、そのキャンバーを無くすことが
不可能であった。また、板内の引っ張り強度のバラツキ
は、板の加速冷却停止温度がばらついたために40MPa
であった。
【0042】(比較例2)工程として、粗圧延機→仕上
圧延機→加速冷却装置(加速冷却中矯正)の順に処理を
行うものであり、加速冷却装置3内にレベリングロール
を設けて、加速冷却しながら矯正を施した場ものであ
る。
【0043】この方法においては、加速冷却終了時には
板はフラットであったが、その後、加速冷却装置3を出
てしばらくたってから鋼板表面温度が復熱するのに対応
し、板の端部が中央部に比べて50mm高くなる下に凸の大
きなC反りが発生した。その後、熱間矯正機4でこの反
りを矯正したが、放冷後、条切り材のキャンバー量は、
10mあたり80mmと大きく変形した。従って、この材料は
焼き戻しなどの残留歪みを除去する工程でもそのキャン
バーをなくすことが不可能であった。また板内の引っ張
り強度のバラツキは、10MPaであった。
【0044】(比較例3)工程として、粗圧延機→仕上
圧延機→熱間矯正機(冷却せず)→加速冷却装置(幅方
向一様冷却)の順に処理を行うものであり、熱間矯正機
において冷却を行っていない点が実施例と異なる。
【0045】この場合には、加速冷却前および終了後の
鋼板の幅方向の温度差は約70℃となっていた。加速冷却
装置3を出た後で、熱間矯正機4で矯正し、フラットな
板に矯正したが、冷却床で冷却中に上に凸のC反りが発
生し、その後条切りをおこなってその条切り材のキャン
バー量を調べたところ、10mあたり60mmと大きく変形し
た。したがってこの材料は焼き戻しなどの残留歪みを除
去する工程を必要とした。また板内の引っ張り強度のバ
ラツキは35MPaであった。この原因は、加速冷却の開始
温度が、70℃と大きくばらついていたためと考えられ
る。
【0046】(比較例4)比較例3と同じ工程で、加速
冷却装置3内で板端部の冷却制御を行う点のみが異なっ
ているものである。すなわち、加速冷却装置3内で、板
端部への冷却水の供給を上面についてはノズル出口に遮
蔽体を挿入することで、下面についてはマスキング板を
挿入することで板端部の冷却能力を調整した。
【0047】この場合、加速冷却前の鋼板の幅方向の温
度差は約70℃となっていが、加速冷却後の板幅方向の温
度分布は実施例とほぼ同じで、その差は約15℃であっ
た。その結果、条切り材のキャンバー量は、10mあたり
10mmであった。ところが、冷却後に得られた鋼板の材質
を調査した結果、幅方向に硬度や強度のバラツキが大き
く、特に板端部は強度、硬度のバラツキがあった。板全
体で強度YSの差は45MPaと大きくばらついた。これ
は、加速冷却装置3入り側での板端部の温度が板中央部
に比べて低いため、加速冷却の冷却開始温度が低かった
こと、および板端部の冷却が弱く所要の冷却速度が得ら
れなかったことによるものと考えられる。
【0048】実施例と各比較例における温度分布、条切
り時のキャンバ量、材質のバラツキを比較したものを表
1に示す。
【0049】以上説明したごとく、熱間矯正機の前段部
分で熱間矯正しながら、加熱炉から仕上圧延終了までに
生じた板端部付近の温度の降下を解消するように、か
つ、鋼板温度がAr3変態点以下にはならないように鋼板
を冷却し、熱間矯正機の後段部分では、熱間矯正機の最
終レベリングロール位置で、矯正終了とほぼ同時に鋼板
表裏面の温度が復熱するように自然放冷して熱間矯正を
おこない、その後、幅方向に一様な冷却条件で加速冷却
を行う、本発明の実施例の場合、比較例に比して、鋼板
全体の強度のバラツキが少なく、かつ条切り歪みの少な
い鋼板を製造することが可能であることが分かる。
【0050】
【表1】
【0051】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば次のような効果を得ることができる。 (1)本発明によって鋼板全体の強度のバラツキが少な
く、かつ条切り歪みの少ない鋼板を製造することが可能
である。 (2)板端部の過冷却や冷却不足による端部の規格はず
れがなくなり製品の歩留が上がる。 (3)板の変形が少なくなり、レベラーやプレスによる
精製工程が省略でき、製造コストが下がる。 (4)冷却後の板は焼き戻しなどの歪み除去せずにも条
切りが可能となる。
【0052】これらにより、製品の品質が向上すると共
に再加熱のためのエネルギーが省かれ、プロセス省力化
を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に使用した設備の概要を示す概
略図である。
【図2】加速冷却装置の詳細図である。
【図3】本発明の実施の形態の1例である熱間矯正機の
詳細を示す図である。
【図4】本発明の実施例における鋼板温度分布を示す図
である。
【図5】条切り時に発生する歪み(キャンバー)を模式
的に示した図である。
【符号の説明】
1…仕上圧延機、2…第1の熱間矯正機、3…加速冷却
装置、4…第2の熱間矯正機、5…冷却床、6…厚鋼
板、7、8、9…表面温度計、10…上ロール、11…
下ロール、12…スリットノズル、13…円管、14a
〜14i…矯正ロール、15…スプレーノズル、16…
空気噴射ノズル、17…水切りロール、18…搬送ロー

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱間圧延された高温鋼板を加速冷却して鋼
    板を製造する鋼板の製造方法において、仕上げ圧延され
    た高温の鋼板を熱間矯正機に搬送し、熱間矯正機の前段
    部分で熱間矯正しながら、加熱炉から仕上圧延終了まで
    に生じた板端部付近の温度の降下を解消するように、か
    つ、鋼板温度がAr3変態点以下にはならないように鋼板
    を冷却し、熱間矯正機の後段部分では、熱間矯正機の最
    終レベリングロール位置で、矯正終了とほぼ同時に鋼板
    表裏面の温度が復熱するように自然放冷して熱間矯正を
    おこない、その後、幅方向に一様な冷却条件で加速冷却
    を行って鋼板を製造することを特徴とする厚鋼板の製造
    方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の厚鋼板の製造方法に用い
    るのに好適な矯正装置であって、仕上圧延機と加速冷却
    装置の中間に設置され、前段部分に、幅方向鋼板温度分
    布を制御可能な鋼板冷却装置を有することを特徴とする
    矯正装置。
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