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JPH11233228A - 嵌合型接続端子の製造方法 - Google Patents

嵌合型接続端子の製造方法

Info

Publication number
JPH11233228A
JPH11233228A JP2970098A JP2970098A JPH11233228A JP H11233228 A JPH11233228 A JP H11233228A JP 2970098 A JP2970098 A JP 2970098A JP 2970098 A JP2970098 A JP 2970098A JP H11233228 A JPH11233228 A JP H11233228A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
plating layer
copper
tin
terminal
fitting
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2970098A
Other languages
English (en)
Inventor
Jun Shiotani
準 塩谷
Atsuhiko Fujii
淳彦 藤井
Yoshifumi Saka
喜文 坂
Atsushi Nakamura
篤 中村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Wiring Systems Ltd
AutoNetworks Technologies Ltd
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Wiring Systems Ltd
Sumitomo Electric Industries Ltd
Harness System Technologies Research Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Wiring Systems Ltd, Sumitomo Electric Industries Ltd, Harness System Technologies Research Ltd filed Critical Sumitomo Wiring Systems Ltd
Priority to JP2970098A priority Critical patent/JPH11233228A/ja
Publication of JPH11233228A publication Critical patent/JPH11233228A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Manufacturing Of Electrical Connectors (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 安定した接触抵抗を維持したまま端子の挿入
力を低下できる嵌合型接続端子の製造方法を提供する。 【解決手段】 銅または銅合金の母材3に下地銅めっき
層2を形成し、さらにその表面に錫めっき層1を形成す
る。その後、端子の嵌合部分における摺動面18bとは
反対側の面18aにレーザ照射を行うことにより、摺動
面18b、28bにおけるレーザのビームスポットに対
応する部分が伝熱により加熱され、錫めっき層1と下地
銅めっき層2との界面に銅錫合金層4が形成される。こ
のときに錫めっき層を薄く残留させるようなレーザ照射
条件とすれば、安定した接触抵抗を維持したまま端子の
挿入力を低下することができる。また、端子の嵌合部分
における摺動面18bには直接レーザ照射を行わないた
め、摺動面18bの錫めっき層が溶融変形して接触抵抗
が高くなるのを防ぐことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車、産業機器
などの電気配線に用いられる嵌合型接続端子の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、一般に、自動車、産業機器な
どの電気配線において電線同士の接続に用いられる嵌合
型接続端子には、錫めっきが施されてきた。これは、端
子の接続時に、錫めっきの表面酸化皮膜を摩擦によって
破壊し、新鮮な錫を凝着させることにより、低い接触抵
抗を安定して得ることを目的としたものである。
【0003】また、自動車のABS(アンチロックブレ
ーキシステム)やエアバックなど、特に重要な信号回路
に用いられる電気配線には、接続端子に金めっきを施し
て使用していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記錫めっきの凝着
は、錫の硬度が低い(ビッカース硬度40〜80)こと
に起因するものである。しかし、錫の硬度が低いこと
は、接続時の挿入力を上昇させるという問題の原因とも
なっている。すなわち、端子の嵌合接続時には錫めっき
の凝着磨耗が発生し、錫の変形抵抗に逆らって嵌合させ
るため、挿入力が上昇することとなる。
【0005】ところで、自動車などの電気配線では複数
の電線の束(以下、「ワイヤーハーネス」と称する)を
1つのコネクタで接続するのが一般的であり、コネクタ
の接続に必要な力は、端子1個当たりの挿入力に電線の
本数(従来は、一般に10極〜20極)を乗じた値とし
て概算することができる。従って、端子1個当たりの挿
入力が高いと、コネクタの接続に必要な力はワイヤーハ
ーネスの電線数に応じた大きな値となる。
【0006】特に、近年のカーエレクトロニクスの著し
い進歩・発展は、自動車に搭載する電子機器やCPUの
数を飛躍的に増加させ、それに伴ってワイヤーハーネス
の電線本数を増加し、コネクタの多極化(30極〜40
極)を図りたいとの要望も強まっている。
【0007】しかしながら、上述の如く、コネクタを多
極化すると当該コネクタの接続に必要な力も電線本数に
比例して上昇し、ボルトやてこなどの補助機構なしで
は、コネクタの接続ができなくなる。このため、端子を
小型化しても、補助機構がコネクタの小型化・軽量化を
阻害することとなる。
【0008】端子の挿入力を低減するには、接点圧力
(嵌合部で接点に与える押しつけ力)を低下させること
が考えられるが、この場合は、安定した低い接触抵抗が
得られなくなる。換言すれば、安定した接触抵抗を維持
したまま端子の挿入力を低下させることが困難であるた
め、コネクタを多極化する際に補助機構が不可欠とな
り、コネクタの小型化・軽量化を阻害する要因となって
いる。
【0009】なお、接続端子に金めっきを使用すれば、
低い接点圧力でも低い接触抵抗が安定して得られるた
め、端子の挿入力を低くすることができ、コネクタを多
極化してもその接続に要する力が著しく上昇することは
ないが、金めっきは錫めっきに比較して数倍〜数十倍の
コストを要するため、特に多極化したコネクタには適し
ない。
【0010】本発明は、上記課題に鑑みてなされたもの
であり、安定した接触抵抗を維持したまま端子の挿入力
を低下できる嵌合型接続端子の製造方法を提供すること
を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、請求項1の発明は、雄部品および雌部品の嵌合によ
って電気的接触を得る嵌合型接続端子の製造方法であっ
て、(a)前記雄部品または前記雌部品のうち少なくとも
一方の銅または銅合金母材の表面に錫めっき層を形成す
るめっき工程と、(b)前記錫めっき層が形成された前記
銅または銅合金母材のうち前記嵌合における嵌合部分の
みにレーザ照射による熱処理を行って、前記嵌合部分に
おける前記錫めっき層のうち前記銅または銅合金母材と
の界面近傍のみを銅錫合金に合金化するレーザ照射工程
と、を備える。
【0012】また、請求項2の発明は、請求項1の発明
に係る嵌合型接続端子の製造方法において、前記熱処理
を、前記錫めっき層が形成された前記銅または銅合金母
材のうち前記嵌合における摺動面とは反対側の面へのレ
ーザ照射により行わせている。
【0013】また、請求項3の発明は、請求項1または
請求項2のいずれかの発明に係る嵌合型接続端子の製造
方法において、前記レーザ照射工程に、前記雄部品また
は前記雌部品のうちの一方の前記嵌合部分のみに0.1
μm〜0.3μmの厚さの錫めっき層を残留させ、他方
の前記嵌合部分のみに0.1μm以上の厚さの錫めっき
層を残留させる工程を含ませている。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ本発明の
実施の形態について詳細に説明する。
【0015】<A.嵌合型接続端子の形態>図1は本発
明に係る製造方法によって製造された嵌合型接続端子の
側面図であり、また、図2は当該嵌合型接続端子の接続
部分の一部切欠平面図である。
【0016】図示のように、本発明に係る嵌合型接続端
子は雄端子10と雌端子20とで構成されている。雄端
子10は、電線との圧着を行う圧着部分である圧着部1
1と、雌端子20との嵌合部分であるタブ12とを形成
している。また、タブ12の上面および下面は平滑な摺
動面としている。
【0017】雌端子20は、電線との圧着を行う圧着部
分である圧着部24と、雄端子10との嵌合部分である
嵌合部25とを形成している。嵌合部25は、中空の箱
形状であり、舌片21、エンボス22およびビード23
とをその内部に備えている。なお、図2は、嵌合部25
の内部を示した一部切欠平面図である。
【0018】エンボス22は、舌片21の上部に設けら
れた凸状の部材であり、雄端子10との嵌合時には、タ
ブ12の摺動面と点接触する。舌片21は、接点圧力す
なわちエンボス22をタブ12に押しつける圧力を作用
させるバネとしての機能を有している。また、ビード2
3も凸状の部材であり、タブ12とエンボス22が接触
する面と反対側の摺動面で接触し、当該エンボス22が
タブ12に及ぼす接点圧力を受ける。
【0019】雄端子10を雌端子20に嵌合させる際に
は、タブ12をエンボス22とビード23との間隙に挿
入する。そして、このときにタブ12の上下面のうちの
一方はエンボス22と、他方はビード23と摺動する。
エンボス22はタブ12と点接触しているため、エンボ
ス22の摺動部分は点であり、また、タブ12の摺動部
分は線である。また、ビード23についてはタブ12と
の接触部分がそのまま摺動部分となり、タブ12側の摺
動部分は上記同様線となる。
【0020】なお、圧着部11、24のうち厳密な意味
で電線との接続に供されるのはワイヤバレル11a、2
4aであるが、以降の説明の都合上、本明細書では圧着
部11、24を圧着部分とする。
【0021】<B.嵌合型接続端子の製造方法>次に、
嵌合型接続端子の製造方法について説明する。本実施形
態における嵌合型接続端子は、 板状の条材に錫めっき処理を行う、 条材から型を打ち抜く、 打ち抜いた型にレーザ照射を行う、 図1の形態に加工する、 電線との圧着を行う、 という工程を経て作製される。
【0022】<B−1.錫めっき工程>本発明に係る嵌
合型接続端子の母材としては銅または銅合金を使用す
る。これは、本発明に係る嵌合型接続端子においては、
後述する錫との合金化工程が重要であり、銅または銅合
金は錫と金属間化合物を形成しやすいためである。以
下、本実施形態においては、黄銅(銅亜鉛合金)を使用
するものとする。
【0023】まず、錫めっき層の密着性を高めるために
黄銅の板状条材表面の洗浄や酸化皮膜の除去などの前処
理を行う。なお、本実施形態では、黄銅の条材の板厚は
0.25mmとしている。
【0024】そして、次に、条材の表面に厚さ0.8μ
mの銅下地めっき層を形成し、さらにその上に錫めっき
処理を施して錫めっき層を形成する。なお、錫めっき層
は条材の両面の表面全面に形成する。このときの錫めっ
き層の厚さは0.5μm以上2.0μm以下であればよ
く、0.8μm以上1.2μm以下とするのが望まし
い。本実施形態では錫めっき層の厚さを1.0μmとし
ている。
【0025】<B−2.打抜き工程>錫めっき処理後、
条材から型を打ち抜く。図3は、嵌合型接続端子の製造
に使用される銅または銅合金の板状の条材を示す平面図
である。図3(a)は雄端子10用の条材19であり、
また図3(b)は雌端子20用の条材29である。そし
て、条材19および条材29の内部に図示する輪郭形状
が打抜き工程で打抜かれてそれぞれ雄端子10および雌
端子20の成形加工に供される型18、28を示してい
る。
【0026】<B−3.レーザ照射工程>次に、条材か
ら打ち抜かれた型18、28にレーザ照射による熱処理
を行う。図4は、本発明に係る嵌合型接続端子にレーザ
照射を行う様子を説明する図である。
【0027】この実施形態においてレーザ照射に使用す
るのはYAGレーザであり、レーザ照射源50から型1
8、28に照射が行われる。このときに、レーザ照射
は、型18、28の全体に対して行われるのではなく、
後工程の加工によりタブ12、嵌合部25として成形さ
れる部分にのみレーザ照射を行う。さらに、タブ12、
嵌合部25として成形される部分の両面にレーザ照射を
行うのではなく、それぞれの摺動部分を有する摺動面1
8b、28bとは反対側の面18a、28aにのみレー
ザ照射を行う。すなわち、圧着部11、24に成形され
る部分およびタブ12、嵌合部25として成形される部
分のうち摺動面18b、28bに対してはレーザ照射を
行わない。
【0028】<B−3−1.レーザ照射による合金化>
以上のようなレーザ照射を行うことにより、型18、2
8のうちタブ12および嵌合部25として成形される部
分は加熱されて温度が上昇し、当該部分に形成された錫
めっき層と母材との間で合金化が促進される。このとき
の錫めっき層の変化について図5を用いて説明する。
【0029】レーザ照射前においては、黄銅の母材3の
表面に下地銅めっき層2が形成され、さらにその表面に
錫めっき層1が形成されている。そして、タブ12、嵌
合部25として成形される部分の摺動面18b、28b
とは反対側の面18a、28aにレーザ照射を行うこと
により、摺動面18b、28bにおけるレーザのビーム
スポットに対応する部分が伝熱により加熱され、錫めっ
き層1と下地銅めっき層2との界面に銅錫合金層4が形
成される。本実施形態においては、下地銅めっき層2の
表面に錫めっき層1が形成されているため、加熱に伴う
銅錫合金化には下地銅めっき層2の銅が寄与しているも
のと考えられるが、銅または銅合金の母材3の表面に直
接錫めっき層1を形成してもよく、この場合は母材3の
銅と錫めっき層1の錫とが合金化される。
【0030】ここで、摺動面18b、28bに直接レー
ザ照射を行わず、その反対側の面18a、28aにレー
ザ照射を行うのは、レーザビームのスポット径(本実施
形態では、0.8mmφ)の内部におけるエネルギー分
布が均一でなく、その中央部が高エネルギー密度となる
ため、摺動面18b、28bに直接レーザ照射を行うと
均一な合金化が促進されず、また一部においては表面の
錫めっき層1が溶融変形し、端子の接点部分の形状が維
持できなくなり、接触抵抗が高くなるからである。但
し、本実施形態の条件下では、レーザ出力を4Jより大
きくすると摺動面18b、28bにも変形の可能性があ
るため、レーザ出力は4J以下にする必要がある。
【0031】レーザ照射による熱処理によって、銅錫合
金層4が形成され、それに伴い残留錫めっき層1の厚さ
が薄くなる。嵌合部分の摺動面18b、28bの錫めっ
き層1が完全に銅錫合金層4に変化すると、銅錫合金は
抵抗が高く、また表面に銅が現出するとその銅が腐食さ
れるため、端子の接触抵抗が高くなることもある。そこ
で、本実施形態では、レーザ照射条件を調節して摺動面
18b、28bの錫めっき層1を残留させるとともに、
端子挿入力の低下を目的としてその残留厚さを制御して
いる。以下この技術について説明する。
【0032】<B−3−2.摺動面における残留錫めっ
き層の厚さ制御>嵌合部分の摺動面における残留錫めっ
き層1の厚さ制御は、主として端子の挿入力低下の観点
から行われる。すなわち、安定して低い接触抵抗を得る
ためには錫めっき層1を残留させる必要があるが、当該
錫めっき層1が厚いと既述したように錫の凝着に起因し
て挿入力が上昇する。
【0033】そこで本実施形態においては、嵌合部分の
摺動面に錫めっき層1を厚さ0.1μm〜1.0μmの
範囲内で残留させることによって端子の接触部分の見か
けの硬度を高くし、挿入力を低減させている。発明者等
は予め残留錫めっき層の厚さと挿入力との相関関係を調
査するための実験を行っており、残留錫めっき層の厚さ
制御による挿入力低減効果について調査実験の結果を使
用して説明する。
【0034】実験は、雄端子10および雌端子20の嵌
合部分における錫めっき層の厚さをそれぞれ0.1μm
〜1.0μmまで変化させ、当該雄端子10を雌端子2
0に嵌合させるときの挿入力を測定して行った。なお、
この実験自体は、めっき処理時において錫めっき層の厚
さを調整して行ったものである。次の表1はその実験結
果である。
【0035】
【表1】
【0036】従来における端子への錫めっき厚さを1.
0μmとすると、端子挿入力は0.74kgfである。
以下、この従来の挿入力を基準値として説明を続ける。
【0037】実験結果が示すように、雄端子10または
雌端子20のうちの一方の嵌合部分の錫めっき層1の厚
さを0.1μm〜0.3μmとし、他方の錫めっき層1
の厚さを0.1μm以上とすると、基準値と比較して挿
入力を少なくとも10%以上低減(0.67kgf以
下)できる。これは、錫めっき層1が薄くなるにしたが
って、銅錫合金層4の硬度が嵌合部分の硬度に影響する
ようになり、当該嵌合部分の見かけの硬度が高くなる。
そして、嵌合部分の見かけの硬度が高くなることによっ
て、錫めっきの凝着が抑制され、挿入力が低くなったも
のである。
【0038】また、発明者等は、錫めっき層1の厚さが
0.1μm以上あれば、耐食性および接触抵抗について
端子に要求される条件を満たすことを実験によって確認
している。
【0039】従って、必要な挿入力低減効果を得るため
には、雄端子10および雌端子20の嵌合部分における
摺動面の錫めっき層1を所定の厚さだけ残留させるよう
にレーザ照射の条件を調節すればよい。以下、一例とし
て、雌端子20の嵌合部25の錫めっき層1の厚さを
1.0μmとしたとき(雌端子20についてはめっき処
理のままで熱処理を行わない)に、雄端子10のレーザ
照射条件を変化させてタブ12の摺動面に所定の厚さの
錫めっき層1を残留させ、必要な挿入力低減効果を得る
手法について説明する。
【0040】図6は、雌端子20の嵌合部25の錫めっ
き層1の厚さを1.0μmとしたときの、雄端子10の
タブ12の残留錫めっき層1の厚さと端子挿入力との相
関を示す図である。なお、この図は表1の結果の一部を
示したものである。
【0041】図6より、端子挿入力を10%低減するた
めには雄端子10の錫めっき層1の厚さを0.40μ
m、また、20%低減するためには0.23μm、30
%低減するためには0.16μmそれぞれ残留させれば
よいことが分かる。
【0042】次に、図7は、レーザ出力3.5Jでのレ
ーザのショット数と残留錫めっき層1の厚さとの相関を
示す図である。なお、この図は初期の錫めっき層1の厚
さを1.0μmとして予め行った実験から求められた結
果である。また、本実施形態における1ショットの時間
は20msec.である。
【0043】図7によれば、雄端子10のタブ12にお
ける摺動面の残留錫めっき層1の厚さを0.40μm以
下に(端子挿入力を10%以上低減)するためには、出
力3.5Jで3ショット照射を行えばよいことが分か
る。さらに、出力3.5Jで4ショット照射を行うと、
タブ12の摺動面の残留錫めっき層1の厚さは0.1μ
mとなり、端子挿入力は30%以上低減することが可能
となる。
【0044】なお、上記レーザ照射条件は一例であり、
雄端子10または雌端子20のうちの一方または両方に
ついて、それらの板厚等に応じた種々の条件でレーザ照
射を行い、所定の錫めっき層1の厚さを残留させるよう
にして、必要な挿入力低減効果を得ればよい。
【0045】<B−4.加工工程>レーザ照射による熱
処理が終了すると、型18、28をそれぞれ加工して図
1および図2に示すような形態の雄端子10および雌端
子20に成形する。このときには、摺動面18b、28
bがそれぞれ雄端子10および雌端子20の表面側とな
るように成形加工される。
【0046】<B−5.圧着工程>以上のような雄端子
10および雌端子20の加工の終了後は、雄端子10お
よび雌端子20の嵌合部分については適度に錫めっき層
が残留しているため、安定した接触抵抗を維持したまま
端子の挿入力を低下させることができる。一方、雄端子
10および雌端子20の圧着部分(圧着部11、24)
については、レーザ照射が行われていないため、錫めっ
き層と母材との間で合金化が促進されることもない。
【0047】このようにしているのは、 圧着部分については嵌合させることがないため、挿入
力を低減させたいという要望もなく、錫めっき層と母材
との間で合金化を促進させる必要性に乏しいという消極
的理由、 圧着部分は電線との圧着を行う部分であり、圧着に際
しては錫めっき層を厚くする必要があるという積極的理
由、に基づくものである。
【0048】これらのうち理由については上記記載の
通りであり、以下理由について説明する。図8は、電
線Lとワイヤバレル11a(図1)との圧着の様子を説
明する図である。
【0049】図示のように、ワイヤバレル11aの内側
には電線Lが置かれ、当該ワイヤバレル11aは下金型
45にはめ込まれている。そして、上金型40が降下す
ることによってワイヤバレル11aが内側に曲げられ
て、電線Lとの圧着が行われる。
【0050】圧着に際し、ワイヤバレル11aは変形を
受けつつその外面が上金型40に対して摺動することに
なるが、ワイヤバレル11aの錫めっき層が厚いと軟ら
かい錫がワイヤバレル11aの外面と上金型40との間
に薄く延び潤滑剤としての役割を果たすこととなる。し
たがって、硬い金属間化合物によって上金型40が磨耗
されることはなくなり、その寿命を縮める懸念はない。
【0051】また、ワイヤバレル11aの曲げ加工にと
もなって、ワイヤバレル11aの外面の錫めっき層に割
れが生じることもあるが、軟らかい錫めっき層が厚けれ
ばき裂が伝播して、母材表面に達することはない。その
結果、母材の露出にともなう耐食性の低下や母材自身に
割れが伝播するおそれもない。
【0052】さらに、ワイヤバレル11aの内面の錫め
っき層が厚ければ、電線Lと錫めっき層とが密に凝着す
るため、圧着部分における接触抵抗は十分に低いものと
なる。
【0053】以上、本発明の実施の形態について説明し
たが、この発明は上記の例に限定されるものではなく、
例えば、初期の錫めっき層2の厚さを0.5μm以上
2.0μm以下としてもよい。勿論、初期の錫めっき層
2の厚さが1.0μm以外の場合は、図5の相関関係が
異なるため、それに応じた熱処理時間とする必要があ
る。
【0054】また、雄端子10および雌端子20の形態
も図1および図2に記載した形態に限定されるものでは
なく、雄端子および雌端子の嵌合によって電気的接触を
得る嵌合型接続端子であればよい。
【0055】また、上記実施形態では銅または銅合金の
母材上に銅の下地めっき層を形成し、その上に錫めっき
層を形成していたが、母材上に直接錫めっき層を形成す
るようにしてもよい。また、銅の下地めっきの代わりに
ニッケルまたは銀の下地めっきを行った後、その上に錫
めっき層を形成するようにしてもよい。これらの場合
は、錫銅金属間化合物の代わりに錫ニッケル金属間化合
物または錫銀金属間化合物が生成して錫銅金属間化合物
と同様の役割を果たすこととなる。
【0056】また、使用するレーザはYAGレーザに限
らず、その他の固体レーザや気体レーザを使用するよう
にしてもよい。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
よれば、雄部品または雌部品のうち少なくとも一方の銅
または銅合金母材の表面に錫めっき層を形成するめっき
工程と、錫めっき層が形成された銅または銅合金母材の
うち嵌合における嵌合部分のみにレーザ照射による熱処
理を行って、当該嵌合部分における錫めっき層のうち銅
または銅合金母材との界面近傍のみを銅錫合金に合金化
するレーザ照射工程と、を備えているため、当該嵌合部
分においては厚さの薄い錫めっき層を残留させることが
でき、安定した接触抵抗を維持したまま端子の挿入力を
低下することができる。
【0058】また、請求項2の発明によれば、錫めっき
層が形成された銅または銅合金母材のうち嵌合における
摺動面とは反対側の面へレーザ照射を行っているため、
当該摺動面の錫めっき層が溶融変形して接触抵抗が高く
なるのを防ぐことができる。
【0059】また、請求項3の発明によれば、雄部品ま
たは雌部品のうちの一方の嵌合部分に0.1μm〜0.
3μmの厚さの錫めっき層を残留させ、他方の嵌合部分
に0.1μm以上の厚さの錫めっき層を残留させている
ため、従来と比較して挿入力を少なくとも10%以上低
減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る製造方法によって製造された嵌合
型接続端子の側面図である。
【図2】図1の嵌合型接続端子の接続部分の一部切欠平
面図である。
【図3】図1の嵌合型接続端子の製造に使用される銅ま
たは銅合金の板状の条材を示す平面図である。
【図4】本発明に係る嵌合型接続端子にレーザ照射を行
う様子を説明する図である。
【図5】レーザ照射による嵌合部分の錫めっき層の変化
を説明するための図である。
【図6】雄端子の嵌合部分の残留錫めっき層厚さと端子
挿入力との相関を示す図である。
【図7】レーザのショット数と残留錫めっき層の厚さと
の相関を示す図である。
【図8】電線とワイヤバレルとの圧着の様子を説明する
図である。
【符号の説明】
10 雄端子 11、24 圧着部 11a、24a ワイヤバレル 12 タブ 20 雌端子 21 舌片 22 エンボス 23 ビード 25 嵌合部 31 赤外線ランプ 32 遮蔽板 33 冷却板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤井 淳彦 愛知県名古屋市南区菊住1丁目7番10号 株式会社ハーネス総合技術研究所内 (72)発明者 坂 喜文 愛知県名古屋市南区菊住1丁目7番10号 株式会社ハーネス総合技術研究所内 (72)発明者 中村 篤 三重県四日市市西末広町1番14号 住友電 装株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 雄部品および雌部品の嵌合によって電気
    的接触を得る嵌合型接続端子の製造方法であって、 (a) 前記雄部品または前記雌部品のうち少なくとも一方
    の銅または銅合金母材の表面に錫めっき層を形成するめ
    っき工程と、 (b) 前記錫めっき層が形成された前記銅または銅合金母
    材のうち前記嵌合における嵌合部分のみにレーザ照射に
    よる熱処理を行って、前記嵌合部分における前記錫めっ
    き層のうち前記銅または銅合金母材との界面近傍のみを
    銅錫合金に合金化するレーザ照射工程と、を備えること
    を特徴とする嵌合型接続端子の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の嵌合型接続端子の製造方
    法において、 前記熱処理は、前記錫めっき層が形成された前記銅また
    は銅合金母材のうち前記嵌合における摺動面とは反対側
    の面へのレーザ照射により行うことを特徴とする嵌合型
    接続端子の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の嵌合型
    接続端子の製造方法において、 前記レーザ照射工程は、前記雄部品または前記雌部品の
    うちの一方の前記嵌合部分のみに0.1μm〜0.3μ
    mの厚さの錫めっき層を残留させ、他方の前記嵌合部分
    のみに0.1μm以上の厚さの錫めっき層を残留させる
    工程を含むことを特徴とする嵌合型接続端子の製造方
    法。
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