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JPH11209475A - 水性フッ素樹脂の製造法および水性硬化性樹脂組成物 - Google Patents

水性フッ素樹脂の製造法および水性硬化性樹脂組成物

Info

Publication number
JPH11209475A
JPH11209475A JP1133798A JP1133798A JPH11209475A JP H11209475 A JPH11209475 A JP H11209475A JP 1133798 A JP1133798 A JP 1133798A JP 1133798 A JP1133798 A JP 1133798A JP H11209475 A JPH11209475 A JP H11209475A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
compound
various
silicon atom
hydrolyzable
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP1133798A
Other languages
English (en)
Inventor
Hidetoshi Tomita
秀敏 富田
Shinichi Kudo
伸一 工藤
Shinichi Kuwamura
慎一 桑村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd filed Critical Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
Priority to JP1133798A priority Critical patent/JPH11209475A/ja
Publication of JPH11209475A publication Critical patent/JPH11209475A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Other Resins Obtained By Reactions Not Involving Carbon-To-Carbon Unsaturated Bonds (AREA)
  • Silicon Polymers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 光沢保持性および耐雨垂れ汚染性に優れた硬
化物を与えることができ、しかも、保存安定性にも優れ
る、新規にして有用なる水性フッ素樹脂の製造方法と、
この製造法で得られる水性フッ素樹脂を含有する、極め
て実用性の高い水性硬化性樹脂組成物をも提供するこ
と。 【解決手段】 加水分解性シリル基および酸基を併有し
するフッ素共重合体(a−1)と、珪素原子に結合した
水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基
を有するポリシロキサン(a−2)とを縮合反応させた
のち、塩基性化合物で以て部分中和ないし完全に中和せ
しめて得られるフッ素樹脂(A−1)を、水に分散ない
しは溶解せしめる水性フッ素樹脂の製造法、および、こ
の製造法で得られる水性フッ素樹脂を必須の成分として
含有する水性硬化性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規にして有用な
る水性フッ素樹脂の新規にして有用なる製造法と、該水
性フッ素樹脂を必須の成分として含有する、新規にして
有用なる水性硬化性樹脂組成物とに関する。
【0002】さらに詳細には、本発明は、加水分解性シ
リル基および酸基を併有するフッ素共重合体、あるいは
加水分解性シリル基および酸基なる両基と、さらにこれ
ら加水分解性シリル基および酸基なる両基以外の官能基
とを併有するフッ素共重合体と、珪素原子に結合した水
酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を
有するポリシロキサンとを縮合反応させたのち、塩基性
化合物で以て部分中和ないし完全に中和せしめて得られ
る樹脂を、水に分散ないしは溶解せしめる、水性フッ素
樹脂の製造法ならびに該水性フッ素樹脂を必須の成分と
して含有する水性硬化性樹脂組成物に関し、
【0003】とりわけ、光沢保持性および耐雨垂れ汚染
性に優れる塗膜を形成することが出来て、しかも、優れ
た保存安定性を兼備した水性フッ素樹脂を提供するとい
うものであるし、該水性フッ素樹脂の製造法をも提供す
るというものであるし、加えて、該水性フッ素樹脂を含
有する、前述したような光沢保持性および耐雨垂れ汚染
性に優れる硬化塗膜を与える水性硬化性樹脂組成物をも
提供するという発明に関する。
【0004】
【従来の技術】これまでにも、加水分解性シリル基を含
有するフッ素樹脂としては、特公平6−99655号公
報などに記載されている如く、加水分解性シリル基含有
連鎖移動剤などの存在下で含フッ素ビニル単量体をその
他のビニル単量体などと共重合せて得られるフッ素樹脂
や、加水分解性シリル基含有ビニル単量体などを含フッ
素ビニル単量体に共重合せしめることによってポリマー
主鎖中に加水分解性シリル基を導入したフッ素樹脂等が
知られている。
【0005】しかしながら、このようにして得られる加
水分解性シリル基含有フッ素樹脂は、有機溶剤溶液ベー
スのものであり、当該官能基を含有する水性物は知られ
ていない。さらに、当該特公平6−99655号公報に
記載の組成物は、高度の耐候性は認められるが、耐雨垂
れ汚染性は満足できるレベルにないのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、本発明者ら
は、上述したような従来型技術における種々の問題点
を、悉く解決するべく、鋭意、研究を開始した。
【0007】したがって、本発明が解決しようとする課
題は、とりわけ、光沢保持性および耐雨垂れ汚染性に優
れた硬化物を与えることができ、しかも、保存安定性に
も優れる、新規にして有用なる水性フッ素樹脂の製造方
法とを提供することにもあるし、併せて、かかる新規に
して有用なる水性フッ素樹脂を含有する、極めて実用性
の高い水性硬化性樹脂組成物をも提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
上述したような発明が解決しようとする課題に照準を合
わせて、鋭意、検討を重ねた結果、加水分解性シリル基
および酸基を併有するフッ素共重合体、あるいは加水分
解性シリル基および酸基なる両基と、さらにこれら加水
分解性シリル基および酸基なる両基以外の官能基とも併
有するフッ素共重合体と、珪素原子に結合した水酸基お
よび/または珪素原子に結合した加水分解性基を有する
ポリシロキサンとを縮合反応させたのち、塩基性化合物
で以て部分中和ないし完全に中和せしめて得られるフッ
素樹脂を、水に分散ないしは溶解せしめて得られる水性
フッ素樹脂が、とりわけ保存安定性に優れるというこ
と、さらに、該水性フッ素樹脂を必須の成分として含有
する水性硬化性樹脂組成物が、とりわけ、光沢保持性お
よび雨垂れ汚染性に優れるということ等を見い出し、ひ
いては、上述したような発明が解決しようとする課題
を、見事に解決することが出来るということを確信する
に及んで、ここに、本発明を完成させるに到った。
【0009】すなわち、本発明は、(1) 加水分解性
シリル基および酸基を併有するフッ素共重合体(a−
1)と、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素
原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン
(a−2)とを縮合反応させたのち、塩基性化合物で以
て部分中和ないし完全に中和せしめて得られるフッ素樹
脂(A−1)を、水に分散ないしは溶解せしめることを
特徴とする水性フッ素樹脂の製造法、
【0010】(2) 前記したフッ素共重合体(a−
1)が、フルオロオレフィンを必須の成分として含有す
るフッ素共重合体である上記(1)記載の製造法、
【0011】(3) 前記したフッ素共重合体(a−
1)が、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロ
エチレン、ヘキサフルオロプロピレンおよびフッ化ビニ
リデンよりなる群から選ばれる、少なくとも1種のフル
オロオレフィンを必須の成分として含有するフッ素共重
合体である上記(1)記載の製造法、
【0012】(4) 加水分解性シリル基および酸基な
る両基と、これらの加水分解性シリル基および酸基なる
両基以外の官能基とを併有するフッ素共重合体(a−
3)と、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素
原子に結合した加水分解性基を有するポリシロキサン
(a−2)とを縮合反応させたのち、塩基性化合物で以
て部分中和ないし完全に中和せしめて得られるフッ素樹
脂(A−2)を、水に分散ないしは溶解せしめることを
特徴とする水性フッ素樹脂の製造法、
【0013】(5) 前記したフッ素共重合体(a−
3)が、フルオロオレフィンを必須の成分として含有す
るフッ素共重合体である上記(4)記載の製造法、
【0014】(6) 前記したフッ素共重合体(a−
3)が、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロ
エチレン、ヘキサフルオロプロピレンおよびフッ化ビニ
リデンよりなる群から選ばれる、少なくとも1種のフル
オロオレフィンを必須の成分として含有するフッ素共重
合体である上記(4)記載の製造法、
【0015】(7) 前記した加水分解性シリル基およ
び酸基なる両基以外の官能基が、水酸基、ブロックされ
た水酸基、3級アミノ基、シクロカーボネート基、エポ
キシ基、1級アミド基、2級アミド基、カーバメート基
および次のような構造式(S−I)
【0016】
【化2】
【0017】で示される官能基よりなる群から選ばれ
る、少なくとも1種の官能基である上記(4)、(5)
または(6)記載の製造法、
【0018】(8) 前記した、珪素原子に結合した水
酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を
有するポリシロキサン(a−2)が、一分子中に少なく
とも2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する
珪素化合物を必須成分とする珪素化合物類の加水分解縮
合物ないしは部分加水分解縮合物である上記(1)〜
(7)のいずれか1つに記載の製造法、
【0019】(9) 前記した、一分子中に少なくとも
2個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素
化合物が、テトラアルコキシシラン、オルガノトリアル
コキシシラン、ジオルガノジアルコキシシラン、それら
の部分加水分解縮合物および其の部分共加水分解縮合物
よりなる群から選ばれる、少なくとも1種のアルコキシ
シランである上記(8)記載の製造法、
【0020】(10) 前記した、珪素原子に結合した
水酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基
を有するポリシロキサン(a−2)中の、珪素原子に結
合した加水分解性基が、珪素原子に結合したアルコキシ
基である上記(1)〜(9)のいずれか1つに記載の製
造法、
【0021】(11) 前記したフッ素共重合体(a−
1)中の加水分解性シリル基が、アルコキシシリル基で
ある上記(1)〜(10)のいずれか1つに記載の製造
法、
【0022】(12) 上記(1)〜(11)のいずれ
か1つに記載の製造法で得られる水性フッ素樹脂を必須
の成分として含有することを特徴とする水性硬化性樹脂
組成物、
【0023】(13) 上記(1)〜(11)のいずれ
か1つに記載の製造法で得られる水性フッ素樹脂と、該
水性フッ素樹脂に含まれる官能基と反応する官能基を有
する化合物(B)とを、必須の成分として含有すること
を特徴とする水性硬化性樹脂組成物、および
【0024】(14) 前記した化合物(B)が、珪素
原子に結合した水酸基および/または珪素原子に結合し
た加水分解性基を有する化合物、一分子中にイソシアネ
ート基と珪素原子に結合した加水分解性基とを併有する
化合物、一分子中にエポキシ基と珪素原子に結合した加
水分解性基とを併有する化合物、ポリイソシアネート化
合物、ブロックポリイソシアネート化合物、ポリエポキ
シ化合物、ポリシクロカーボネート化合物、アミノ樹
脂、1級ないしは2級アミド基含有化合物、ポリカルボ
キシ化合物およびポリヒドロキシ化合物よりなる群から
選ばれる、少なくとも1種の化合物である上記(13)
記載の水性硬化性樹脂組成物、を提供しようとするもの
である。
【0025】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。
【0026】上記フッ素樹脂(A−1)を調製する際に
使用される、加水分解性シリル基および酸基を併有する
フッ素共重合体(a−1)とは、加水分解性シリル基お
よび酸基なる両基とを併有する重合体を指称するという
ものであるし、斯かる加水分解性シリル基とは、次のよ
うな一般式(S−II)
【0027】
【化3】
【0028】(ただし、式中のR1 はアルキル基、アリ
ール基またはアラルキル基なる1価の有機基を、R2
ハロゲン原子、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ
基、アシロキシ基、フェノキシ基、アリールオキシ基、
メルカプト基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、
イミノオキシ基またはアルケニルオキシ基を表わすもの
とし、また、aは0あるいは1または2なる整数である
ものとする。)で示されるような、加水分解されてシラ
ノール基を生成するような基を指称するというものであ
って、しかも、該加水分解性シリル基それ自体が、直接
に炭素原子と共有結合することにより、あるいはシロキ
サン結合を介して炭素原子と共有結合することにより、
此のフッ素共重合体(a−1)に結合しているものであ
るとする。
【0029】また、ここでいう酸基とは、カルボキシル
基、燐酸基、酸性燐酸エステル基、亜燐酸基、スルホン
酸基またはスルフィン酸基などで代表されるような、各
種の遊離の酸基に加えて、カルボン酸無水基、燐酸無水
基、スルホン酸無水基またはカルボン酸−スルホン酸混
合酸無水基などで代表されるような酸無水基を、さらに
は、たとえば、シリルエステル基、tert−ブチルエ
ステル基または1−アルコキシエチルエステル基などの
ように、容易に、遊離の酸基に変換されるエステル基の
形として、いわゆるブロックされた、それぞれ、カルボ
キシル基、リン酸基、酸性燐酸エステル基、亜リン酸基
またはスルホン酸基などで代表されるようなブロックさ
れた酸基などを指称するものである。
【0030】前掲したような各種の酸基のうちでも特に
望ましいもののみを例示するにとどめれば、カルボキシ
ル基、ブロックされたカルボキシル基またはカルボン酸
無水基などである。
【0031】斯かるフッ素共重合体(a−1)とは、含
フッ素ビニル単量体を必須の構成単位とする共重合体を
指称し、それら含フッ素ビニル単量体のうちでも特に代
表的なるもののみを例示するにとどめれば、フッ化ビニ
ル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、テトラ
フルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ブロ
モトリフルオロエチレン、ペンタフルオロプロピレン、
ヘキサフルオロプロピレン、3,3,3−トリフルオロ
プロペンもしくはパーフルオロ−2−メチル−2−ペン
テンの如き、各種フッ素含有−α−オレフィン類および
フッ素含有−β−オレフィン類等で代表されるフルオロ
オレフィン類;
【0032】またはトリフルオロメチルトリフルオロビ
ニルエーテル、トリフルオロメチルビニルエーテル、ペ
ンタフルオロエチルトリフルオロビニルエーテル、ペン
タフルオロエチルビニルエーテル、ヘプタフルオロプロ
ピルトリフルオロビニルエーテルもしくはヘプタフルオ
ロプロピルビニルエーテルの如き、各種パーフルオロア
ルキル・パーフルオロビニルエーテルおよび(パー)フ
ルオロアルキルビニルエーテル類;
【0033】またはβ−トリフルオロメチルアクリレー
ト、β−トリフルオロメチルメタクリレート、β−ペン
タフルオロエチルアクリレート、β−ペンタフルオロエ
チルメタクリレート、β−ヘプタフルオロプロピルアク
リレートもしくはβ−ヘプタフルオロプロピルメタクリ
レートの如き、各種パ−フルオロアルキルアクリレー
ト、パーフルオロアルキルメタクリレ−ト、フルオロア
ルキルアクリレートおよびフルオロアルキルメタクリレ
−ト類;
【0034】またはβ−トリフルオロメチルエチルアク
リレート、β−トリフルオロメチルエチルメタクリレー
ト、β−ペンタフルオロエチルエチルアクリレート、β
−ペンタフルオロエチルエチルメタクリレート、β−ヘ
プタフルオロプロピルエチルアクリレートもしくはβ−
ヘプタフルオロプロピルエチルメタクリレートの如き、
各種パ−フルオロアルキル・アルキルアクリレート、パ
ーフルオロアルキル・メタクリレ−ト、フルオロアルキ
ル・アルキルアクリレートおよびフルオロアルキル・メ
タクリレ−ト類などがある。
【0035】これらのうちでも、特に長期間にわたる曝
露後の、高光沢保持率を考慮すると、含フッ素ビニル単
量体として、前記したフルオロオレフィン類、より好ま
しくは、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロ
エチレン、ヘキサフルオロエチレン、フッ化ビニリデン
の使用が適切である。
【0036】こうした含フッ素ビニル単量体は、単独使
用でも2種類以上の併用でもよいことは、勿論である。
【0037】斯かるフッ素共重合体(a−1)を調製す
るには、たとえば、(i)加水分解性シリル基を有する
ビニル系単量体と、カルボキシル基、ブロックされたカ
ルボキシル基またはカルボン酸無水基の如き、いわゆる
酸基を有するビニル系単量体などのような、種々の酸基
含有ビニル系単量体と、含フッ素ビニル単量体とを共重
合せしめたり、これらの単量体類と、該単量体と共重合
可能なる其の他の単量体類とを共重合せしめるという方
法であるとか、
【0038】(ii)予め調製しておいた、水酸基と酸基
とを併有するフッ素共重合体に、3−イソシアナートプ
ロピルトリエトキシシランのような、各種のイソシアナ
ート基含有シラン化合物を反応せしめるという方法であ
るとか、
【0039】(iii) メルカプト基と加水分解性シリル
基とを併有する連鎖移動剤を使用して、カルボキシル
基、ブロックされたカルボキシル基またはカルボン酸無
水基の如き、各種の酸基を有するビニル系単量体などの
ような、いわゆる酸基含有ビニル系単量体と、含フッ素
ビニル単量体とを共重合せしめたり、これらの単量体類
と、該単量体と共重合可能なる其の他の単量体とを共重
合せしめという方法であるとか、
【0040】(iv)メルカプト基と加水分解性シリル基
とを併有する連鎖移動剤を使用して、加水分解性シリル
基含有ビニル系単量体と、カルボキシル基、ブロックさ
れたカルボキシル基またはカルボン酸無水基の如き、各
種の酸基を有するビニル系単量体などのような、いわゆ
る酸基含有ビニル系単量体と、含フッ素ビニル単量体を
共重合せしめたり、これらの単量体類と、該単量体と共
重合可能なる其の他の単量体類とを共重合せしめという
方法であるとか、
【0041】(v)加水分解性シリル基を有する重合開
始剤を使用して、カルボキシル基、ブロックされたカル
ボキシル基またはカルボン酸無水基の如き、各種の酸基
を有するビニル系単量体などのような、いわゆる酸基含
有ビニル系単量体と、含フッ素ビニル単量体とを共重合
せしめたり、これらの単量体類と、該単量体と共重合可
能なる其の他の単量体類とを共重合せしめという方法で
あるとか、
【0042】(vi)加水分解性シリル基を有する重合開
始剤を使用して、加水分解性シリル基含有ビニル系単量
体と、カルボキシル基、ブロックされたカルボキシル基
またはカルボン酸無水基の如き、各種の酸基を有するビ
ニル系単量体などのような、いわゆる酸基含有ビニル系
単量体と、含フッ素ビニル単量体を共重合せしめたり、
これらの単量体類と、該単量体と共重合可能なる其の他
の単量体類とを共重合せしめるという方法
【0043】などのような、種々の方法を利用し適用す
ることが出来るが、これらのうちでも、特に、上記
(i)なる方法によるのが、最も簡便であるので推奨さ
れ得よう。
【0044】当該フッ素共重合体(a−1)を調製する
際に使用される、加水分解性シリル基含有ビニル系単量
体とは、前掲したような構造式(S−II)で示される加
水分解性シリル基を有する単量体を指称するというもの
であって、斯かる単量体として特に代表的なもののみを
例示するにとどめれば、ビニルトリメトキシシラン、ビ
ニルトリエトキシシラン、ビニルトリ−n−ブトキシシ
ラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリス
(2−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリメトキシ
シラン、2−トリメトキシシリルエチルビニルエーテ
ル、2−トリエトキシシリルエチルビニルエーテル、2
−(メチルジメトキシシリル)エチルビニルエーテル、
3−トリメトキシシリルプロピルビニルエーテル、3−
トリエトキシシリルプロピルビニルエーテルもしくは3
−(メチルジメトキシシリル)プロピルビニルエーテ
ル、
【0045】または3−(メタ)アクリロイルオキシプ
ロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイル
オキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アク
リロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランもしく
は3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジク
ロロシランなどがある。
【0046】これらのうちでも、先に述べたように長期
間の曝露後の高度の光沢保持率を確保する目的で、フッ
素単量体としてフルオロオレフィン類を使用する場合に
は、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシ
ラン、ビニルトリ−n−ブトキシシラン、ビニルメチル
ジメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキ
シ)シラン、アリルトリメトキシシラン、2−トリメト
キシシリルエチルビニルエーテル、2−トリエトキシシ
リルエチルビニルエーテル、2−(メチルジメトキシシ
リル)エチルビニルエーテル、3−トリメトキシシリル
プロピルビニルエーテル、3−トリエトキシシリルプロ
ピルビニルエーテルもしくは3−(メチルジメトキシシ
リル)プロピルビニルエーテルなどの使用が好ましい。
【0047】フッ素共重合体(a−1)を調製する際に
使用される、酸基含有ビニル系単量体のうち、遊離のカ
ルボキシル基を含有するビニル系単量体として特に代表
的なもののみを例示するにとどめれば、
【0048】(メタ)アクリル酸、2−カルボキシエチ
ル(メタ)アクリレート、クロトン酸、イタコン酸、マ
レイン酸またはフマル酸の如き、各種の不飽和カルボン
酸類;
【0049】イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノ−
n−ブチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノ−
n−ブチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノ−n−
ブチルの如き、重合性不飽和ジカルボン酸類と、飽和1
価アルコール類との各種のモノエステル類(ハーフエス
テル類);アジピン酸モノビニルまたはコハク酸モノビ
ニルの如き、各種の飽和ジカルボン酸のモノビニルエス
テル類;
【0050】無水コハク酸、無水グルタル酸、無水フタ
ル酸または無水トリメリット酸の如き、各種の飽和ポリ
カルボン酸の無水物類と、後掲するような各種の水酸基
含有ビニル系単量体類との付加反応生成物などである
し、さらには、前掲したような各種のカルボキシル基含
有単量体類と、ラクトン類とを付加反応せしめて得られ
るような各種の単量体類などがある。
【0051】これらのうちでも、先に述べたように長期
間の曝露後の高度の光沢保持率を確保する目的で、フッ
素単量体としてフルオロオレフィン類を使用する場合に
は、クロトン酸、不飽和ジカルボン酸類と、飽和1価ア
ルコール類との各種のモノエステル類(ハーフエステル
類)および飽和ジカルボン酸のモノビニルエステル類な
どの使用が好ましい。
【0052】フッ素共重合体(a−1)を調製する際に
使用される酸基含有単量体のうち、ブロックされたカル
ボキシル基を有する単量体として特に代表的なもののみ
を例示するにとどめれば、
【0053】トリメチルシリル(メタ)アクリレート、
ジメチル−tert−ブチルシリル(メタ)アクリレー
トもしくはトリメチルシリルクロトネートの如き、特開
昭62−254876号公報に開示されているような、
各種のシリルエステル基含有ビニル系単量体類;
【0054】1−エトキシエチル(メタ)アクリレー
ト、1−n−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2
−メトキシ−2−(メタ)アクリロイルオキシプロパン
もしくは2−(メタ)アクリロイルオキシテトラヒドロ
フランの如き、特開平5−222134号公報に開示さ
れているような、各種の、ヘミアセタールエステル基な
いしはヘミケタールエステル基含有単量体類;またはt
ert−ブチル(メタ)アクリレートもしくはtert
−ブチルクロトネートの如き、各種のtert−ブチル
エステル基含有単量体類などがある。
【0055】これらのうちでも、先に述べたように長期
間の曝露後の高度の光沢保持率を確保するには、特に好
ましくは、トリメチルシリルクロトネートおよびter
t−ブチルクロトネートなどが挙げられる。
【0056】フッ素共重合体(a−1)を調製する際に
使用される酸基含有単量体のうち、カルボン酸無水基含
有単量体として特に代表的なもののみを例示するにとど
めれば、無水マレイン酸、無水シトラコン酸もしくは無
水イタコン酸の如き、各種の不飽和ポリカルボン酸の無
水物類;無水アクリル酸もしくは無水メタクリル酸の如
き、各種の不飽和モノカルボン酸の無水物類;またはア
クリル酸もしくはメタクリル酸の如き、各種の不飽和カ
ルボン酸と、酢酸、プロピオン酸もしくは安息香酸など
のような、種々の飽和カルボン酸との混合酸無水物など
がある。
【0057】これらのうちでも、先に述べたように長期
間の曝露後の高度の光沢保持率を確保するには、特に好
ましくは、無水マレイン酸、無水シトラコン酸もしくは
無水イタコン酸の如き、重合性不飽和ポリカルボン酸の
無水物類などが挙げられる。
【0058】そしてまた、前述した(i)なる方法に従
って、斯かるフッ素共重合体(a−1)を調製する際に
使用することが出来る、加水分解性シリル基含有単量
体、酸基を有するビニル系単量体および含フッ素ビニル
単量体と共重合可能なる其の他のビニル系単量体として
特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
【0059】メチル(メタ)アクリレート、エチル(メ
タ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレー
ト、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メ
タ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリ
レートもしくはラウリル(メタ)アクリレートの如き、
1 〜C22なる炭素数の1級ないしは2級アルキルアル
コールと、(メタ)アクリル酸との各種エステル類;
【0060】ベンジル(メタ)アクリレートもしくは2
−フェニルエチル(メタ)アクリレートの如き、各種の
アラルキル(メタ)アクリレート類;シクロヘキシル
(メタ)アクリレートもしくはイソボロニル(メタ)ア
クリレートの如き、各種のシクロアルキル(メタ)アク
リレート類;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート
もしくは4−メトキシブチル(メタ)アクリレートの如
き、各種のω−アルコキシアルキル(メタ)アクリレー
ト類;
【0061】スチレン、p−tert−ブチルスチレ
ン、α−メチルスチレンもしくはビニルトルエンの如
き、各種の芳香族ビニル系単量体類;酢酸ビニル、プロ
ピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸
ビニルもしくは安息香酸ビニルの如き、各種のカルボン
酸ビニルエステル類;
【0062】クロトン酸メチルもしくはクロトン酸エチ
ルの如き、各種のクロトン酸のアルキルエステル類;ジ
メチルマレート、ジ−n−ブチルマレート、ジメチルフ
マレート、ジ−n−ブチルフマレート、ジメチルイタコ
ネートもしくはジ−n−ブチルイタコネートの如き、各
種の不飽和二塩基酸のジアルキルエステル類;
【0063】(メタ)アクリロニトリルもしくはクロト
ノニトリルの如き、各種のシアノ基含有単量体類;塩化
ビニルもしくは塩化ビニリデンの如き、各種のクロル化
オレフィン類;エチレン、プロピレン、イソブチレン、
1−ブテンもしくは1−ヘキセンの如き、各種のα−オ
レフィン類;
【0064】エチルビニルエーテル、n−ブチルビニル
エーテル、イソブチルビニルエーテルもしくはn−ヘキ
シルビニルエーテルの如き、各種のアルキルビニルエー
テル類;シクロペンチルビニルエーテル、シクロヘキシ
ルビニルエーテルもしくは4−メチルシクロヘキシルビ
ニルエーテルの如き、各種のシクロアルキルビニルエー
テル類;
【0065】メチルアリルエーテル、エチルアリルエー
テルもしくはシクロヘキシルアリルエーテルの如き、各
種の(シクロ)アルキルアリルエーテル類;
【0066】メトキシポリエチレングリコールもしくは
メトキシポリプロピレングリコールの如き、1分子中に
1個の水酸基を有するポリエーテル類と、(メタ)アク
リル酸とのエステル類、または該ポリエーテル類と、ビ
ニルアルコール等との脱水縮合物のようなビニルエーテ
ル類、または該ポリエーテル類と、アリル基とのアリル
エーテル類の如き、各種の含ポリエーテル含有単量体類
などがある。
【0067】これらのうちでも、先に述べたように長期
間の曝露後の高度の光沢保持率を確保する目的で、フッ
素単量体としてフルオロオレフィン類を使用する場合に
は、カルボン酸ビニルエステル類、α−オレフィン類、
(シクロ)アルキルビニルエーテル類、(シクロ)アル
キルアリルエーテル、1分子中に1個の水酸基を有する
ポリエーテル類と、ビニル基とのビニルエーテル類、ま
たは該ポリエーテル類と、アリル基とのアリルエーテル
類などの、一般にフルオロオレフィンとの共重合性が良
い単量体類等を選択し、使用することが好ましい。
【0068】以上に掲げられたような種々の単量体を用
いて、当該フッ素共重合体(a−1)を調製するには、
溶液重合法、非水分散重合法または塊状重合法などのよ
うな、種々の重合法を利用し適用することが出来るが、
それらのうちでも、特に、有機溶剤中での溶液ラジカル
重合法によるのが、最も簡便である。
【0069】此の溶液ラジカル重合法を適用する際に使
用できる重合開始剤としては、勿論ながら、種々の化合
物が使用できるけれども、それらのうちでも特に代表的
なもののみを例示するにとどめれば、
【0070】2,2′−アゾビス(イソブチロニトリ
ル)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニ
トリル)もしくは2,2′−アゾビス(2−メチルブチ
ロニトリル)の如き、各種のアゾ化合物類;
【0071】またはtert−ブチルパーオキシピバレ
ート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、te
rt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、
ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイ
ド、アセチルパーオキサイド、
【0072】ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジ
クミルパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパー
オキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、メチルエ
チルケトンパーオキサイドもしくはジイソプロピルパー
オキシカーボネートの如き、各種の過酸化物類などがあ
る。
【0073】また、溶液ラジカル重合法を適用する際に
使用できる有機溶剤としては、公知慣用の有機溶剤のい
ずれをも使用することが出来るし、しかも、それらは、
単独使用でも2種類以上の併有でもよいことは、勿論で
ある。
【0074】それらのうちでも特に代表的なもののみを
例示するにとどめれば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、
n−オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタンもしく
はシクロオクタンの如き、各種の脂肪族系ないしは脂環
式系の炭化水素類;
【0075】トルエン、キシレンもしくはエチルベンゼ
ンの如き、各種の芳香族炭化水素類;ギ酸メチル、ギ酸
エチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチルもしくは酢酸n−
アミル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテ
ートまたはエチレングリコールモノエチルエーテルアセ
テートもしくはエチレングリコールモノブチルエーテル
アセテートの如き、各種のエステル類;
【0076】メタノール、エタノール、n−プロパノー
ル、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノー
ル、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−
アミルアルコール、i−アミルアルコールもしくはte
rt−アミルアルコール
【0077】またはエチレングリコールモノメチルエー
テル、エチレングリコールモノエチルエーテルもしくは
エチレングリコールモノn−ブチルエーテルの如き、各
種のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メ
チルイソブチルケトン、メチルn−アミルケトンまたは
シクロヘキサノンの如き、各種のケトン類;
【0078】あるいはジメトキシエタン、テトラヒドロ
フラン、ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、ジ−n
−ブチルエーテルまたはメチレングリコールジメチルエ
ーテルの如き、各種のエーテル類;クロロホルム、メチ
レンクロライド、四塩化炭素、トリクロロエタンまたは
テトラクロロエタンの如き、各種の塩素化炭化水素類な
どであるし、さらには、N−メチルピロリドン、ジメチ
ルフォルムアミド、ジメチルアセトアミドまたはエチレ
ンカーボネートなどがある。
【0079】当該フッ素共重合体(a−1)を調製する
際に、酸基含有単量体の使用量が多くなると、重合時
に、ゲル化が起こることが、屡々あるので、注意を要す
る。
【0080】こうしたゲル化を防止するためには、エチ
ルオルソアセテート、エチルオルソ−n−ブチレート、
エチルオルソフォーメイト、エチルオルソプロピオネー
トまたはメチルオルソフォーメイトの如き、各種の加水
分解性エステル類を、前掲したような溶剤類と併用する
というようにすればよい。
【0081】以上に掲げたような、それぞれ、単量体
類、重合開始剤類および有機溶剤類を使用して、溶液ラ
ジカル重合法を利用し適用することによって、常圧また
は加圧条件下で、目的とする加水分解性シリル基および
酸基を併有するフッ素共重合体(a−1)を調製するこ
とが出来る。
【0082】前記したフッ素樹脂(A−2)を調製する
際に使用される、加水分解性シリル基および酸基なる両
基と、此の加水分解性シリル基および酸基なる両基以外
の官能基とを併有するフッ素共重合体(a−3)とは、
前記したような加水分解性シリル基と、前記したような
酸基とに加えて、これらの加水分解性シリル基および酸
基なる両基以外の、種々の官能基をも含有するという形
の重合体を指称するものである。
【0083】当該フッ素共重合体(a−3)に導入され
るべき酸基としては、前記フッ素共重合体(a−1)に
導入できるものとして既に例示したような各種の基が挙
げられるが、それらのうちでも特に望ましいもののみを
例示するにとどめれば、カルボキシル基、ブロックされ
たカルボキシル基またはカルボン酸無水基などである。
【0084】さらに、当該フッ素共重合体(a−3)に
導入されるべき、加水分解性シリル基および酸基なる両
基以外の官能基として特に代表的なもののみを例示する
にとどめれば、水酸基、ブロックされた水酸基、1級ア
ミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、シクロカーボネ
ート基、鎖状カーボネート基、エポキシ基、1級アミド
基、2級アミド基、カーバメート基、オキサゾリン基、
カルボニル基、アセトアセチル基または次のような構造
式(S−I)
【0085】
【化4】
【0086】で示される官能基などである。
【0087】そして、上記した2級アミド基は、N−ヒ
ドロキシメチルアミド基、N−アルコキシメチルアミド
基または次のような構造式(S−III)
【0088】
【化5】 −C(O)−NH−CH(OR3)−COOR4 (S−III)
【0089】(ただし、式中のR3 は水素原子、炭素数
が1〜8なるアルキル基またはアリール基を表わし、ま
た、R4 は炭素数が1〜8なるアルキル基またはアリー
ル基を表わすものとする。)で示される官能基をも包含
するというものである。
【0090】また、これらの官能基は、当該フッ素共重
合体(a−3)中に、1種のみを含有させるというよう
にしてもよいし、2種以上を含有させるというようにす
ることもできる。
【0091】加水分解性シリル基および酸基なる両基以
外の、前掲したような各種の官能基のうちでも望ましい
もののみを例示するにとどめれば、水酸基、ブロックさ
れた水酸基、3級アミノ基、シクロカーボネート基、エ
ポキシ基、1級アミド基、2級アミド基、カーバメート
基または前掲した構造式(S−I)で示されるような官
能基などがあり、さらに好ましいものとしては、顔料分
散性や付着性に優れるものが得られることから、水酸
基、ブロックされた水酸基、3級アミノ基、エポキシ基
などがある。
【0092】こうした各種の官能基を有するフッ素共重
合体(a−3)とは、前記した含フッ素ビニル単量体を
必須の構成単位とする共重合体を指称するものである。
【0093】また、当該フッ素共重合体(a−3)を調
製するには、種々の方法を利用し適用することができる
が、それらのうちでも、水酸基、ブロックされた水酸
基、3級アミノ基、シクロカーボネート基、エポキシ
基、1級アミド基、2級アミド基、カーバメート基また
は前掲した構造式(S−I)で示されるような官能基の
如き、加水分解性シリル基および酸基なる両基以外の各
種官能基よりなる群から選ばれる、少なくとも1種の官
能基を有する単量体と、加水分解性シリル基を有する種
々のビニル系単量体と、酸基を有する種々の単量体と、
含フッ素ビニル単量体とを共重合せしめるというような
方法であるとか、
【0094】あるいは前記した四タイプの単量体とに加
えて、これらと共重合可能なる其の他のビニル系単量体
とを共重合せしめるというような方法が、特に簡便であ
る。
【0095】こうした諸々の方法によって、当該フッ素
共重合体(a−3)を調製する際に使用される、加水分
解性シリル基含有ビニル系単量体、酸基含有単量体およ
び此等と共重合可能なる其の他のビニル系単量体として
特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、前記し
たフッ素共重合体(a−1)を調製する際に使用される
ものとして、それぞれにつき、既に例示したような、各
種の単量体などがある。
【0096】また、此のフッ素共重合体(a−3)を調
製する際に使用される、水酸基含有ビニル系単量体とし
て特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
【0097】2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートもし
くは4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートの如
き、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;2−
ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチ
ルビニルエーテルもしくはポリオキシアルキレングリコ
ールのモノビニルエーテルなどで以て代表されるよう
な、各種の水酸基含有ビニルエーテル類;
【0098】2−ヒドロキシエチルアリルエーテルもし
くはポリオキシアルキレングリコールのモノアリルエー
テルなどで以て代表されるような、各種の水酸基含有ア
リルエーテル類;ポリエチレングリコールなどで以て代
表されるような、種々のポリエーテルポリオールと、
(メタ)アクリル酸などで以て代表されるような、種々
の不飽和カルボン酸とから得られる、各種のポリオキシ
アルキレングリコールのモノエステル類;
【0099】あるいは前掲したような各種の水酸基含有
単量体類と、ε−カプロラクトンなどで以て代表される
ような、種々のラクトン類との付加物;またはグリシジ
ル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルな
どで以て代表されるような、種々のエポキシ基含有不飽
和単量体と、酢酸などで以て代表されるような、種々の
酸類との付加物などがあるし、
【0100】さらには、(メタ)アクリル酸などで以て
代表されるような、種々の不飽和カルボン酸類と、「カ
ーデュラ E」(オランダ国シェル社製の商品名)など
で以て代表されるような、α−オレフィンのエポキサイ
ド系化合物以外の、種々のモノエポキシ化合物との付加
物などのような種々の水酸基含有単量体類などがある。
【0101】此のフッ素共重合体(a−3)を調製する
際に使用される、ブロックされた水酸基を有するビニル
系単量体として特に代表的なもののみを例示するにとど
めれば、
【0102】2−トリメチルシロキシエチル(メタ)ア
クリレート、2−トリメチルシロキシプロピル(メタ)
アクリレート、4−トリメチルシロキシブチル(メタ)
アクリレート、2−トリメチルシロキシエチルビニルエ
ーテルもしくは4−トリメチルシロキシブチルビニルエ
ーテルの如き、特開昭62−283163号公報に開示
されているような、各種のシリルエーテル基含有ビニル
系単量体類;
【0103】2−(1−エトキシ)エトキシエチル(メ
タ)アクリレート、2−(1−n−ブトキシ)エトキシ
エチル(メタ)アクリレート、2−〔2−(メタ)アク
リロイルオキシ〕エトキシテトラヒドロフランもしくは
2,2−ジメチル−4−(メタ)アクリロイルオキシメ
チルジオキソランの如き、特開平4−41515号公報
に開示されているような、各種のアセタール基ないしは
ケタール基含有含有ビニル系単量体類;
【0104】または3−〔2−(メタ)アクリロイルオ
キシ〕エチルオキサゾリン、2,2−ジメチル−3−
〔2−(メタ)アクリロイルオキシ〕エチルオキサゾリ
ンもしくは2−イソブチル−2−メチル−3−〔2−
(メタ)アクリロイルオキシ〕エチルオキサゾリンの如
き、各種のオキサゾリン基含有ビニル系単量体類などが
ある。
【0105】此のフッ素共重合体(a−3)を調製する
際に使用される、3級アミノ基含有ビニル系単量体とし
て特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
【0106】2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリ
レート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレー
ト、2−ジ−n−プロピルアミノエチル(メタ)アクリ
レート、3−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレ
ートもしくは4−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリ
レートまたはN−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]
エチルモルホリンの如き、各種の3級アミノ基含有(メ
タ)アクリル酸エステル類;
【0107】ビニルピリジン、N−ビニルカルバゾール
もしくはN−ビニルキノリンの如き、各種の3級アミノ
基含有芳香族ビニル系単量体類;
【0108】N−(2−ジメチルアミノ)エチル(メ
タ)アクリルアミド、N−(2−ジエチルアミノ)エチ
ル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジ−n−プロピ
ルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、N−(3−
ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、N
−(4−ジメチルアミノ)ブチル(メタ)アクリルアミ
ドまたはN−[2−(メタ)アクリルアミド]エチルモ
ルホリンの如き、各種の3級アミノ基含有(メタ)アク
リルアミド類;
【0109】N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミ
ド、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−(メ
タ)アクリロイルピロリジン、N−ビニルピロリドンの
如き、3級アミド基含有単量体類;
【0110】N−(2−ジメチルアミノ)エチルクロト
ン酸アミド、N−(2−ジエチルアミノ)エチルクロト
ン酸アミド、N−(2−ジ−n−プロピルアミノ)エチ
ルクロトン酸アミド、N−(3−ジメチルアミノ)プロ
ピルクロトン酸アミドまたはN−(4−ジメチルアミ
ノ)ブチルクロトン酸アミドの如き、各種の3級アミノ
基含有クロトン酸アミド類;
【0111】2−ジメチルアミノエチルビニルエーテ
ル、2−ジエチルアミノエチルビニルエーテル、3−ジ
メチルアミノプロピルビニルエーテルまたは4−ジメチ
ルアミノブチルビニルエーテルの如き、各種の3級アミ
ノ基含有ビニルエーテル類などがある。
【0112】此のフッ素共重合体(a−3)を調製する
際に使用される、シクロカーボネート基含有ビニル系単
量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれ
ば、
【0113】2,3−カーボネートプロピル(メタ)ア
クリレート、2−メチル−2,3−カーボネートプロピ
ル(メタ)アクリレート、3,4−カーボネートブチル
(メタ)アクリレート、3−メチル−3,4−カーボネ
ートブチル(メタ)アクリレート、4−メチル−3,4
−カーボネートブチル(メタ)アクリレート、4,5−
カーボネートペンチル(メタ)アクリレート、6,7−
カーボネートヘキシル(メタ)アクリレート、5−エチ
ル−5,6−カーボネートヘキシル(メタ)アクリレー
トもしくは7,8−カーボネートオクチル(メタ)アク
リレート、2,3−カーボネートプロピルビニルエーテ
ル、ジ(2,3−カーボネートプロピル)マレートまた
はジ(2,3−カーボネートプロピル)イタコネートの
如き、5員環のシクロカーボネート基含有ビニル系単量
体類などをはじめ、
【0114】さらには、〔5−N−(メタ)アクリロイ
ルカルバモイルオキシ〕メチル−5−エチル−1,3−
ジオキサン−2−オン、5−〔N−{2−(メタ)アク
リロイルオキシ}エチルカルバモイルオキシ〕メチル−
5−エチル−1,3−ジオキサン−2−オン、5−エチ
ル−5−(メタ)アクリロイルオキシメチル−1,3−
ジオキサン−2−オンまたは4−(5−エチル−2−オ
キソ−1,3−ジオキサン−5−イル)メトキシメチル
スチレンの如き、6員環のシクロカーボネート基含有ビ
ニル系単量体類がある。
【0115】此のフッ素共重合体(a−3)を調製する
際に使用される、エポキシ基含有ビニル系単量体として
特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、グリシ
ジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)
アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル
(メタ)アクリレート、ビニルシクロヘキセンオキシ
ド、グリシジルビニルエーテル、メチルグリシジルビニ
ルエーテルまたはアリルグリシジルエーテルの如き、種
々の化合物などがある。
【0116】当該フッ素共重合体(a−3)を調製する
際に使用される、1級アミド基ないしは2級アミド基含
有ビニル系単量体として特に代表的なもののみを例示す
るにとどめれば、(メタ)アクリルアミド、N−イソプ
ロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)ア
クリルアミド、N−ビニルフォルムアミド、メチル(メ
タ)アクリルアミドグリコレート、メチル(メタ)アク
リルアミドグリコレートメチルエーテル、N−メチロー
ル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブトキシメチル
(メタ)アクリルアミド、2−イソシアナートエチル
(メタ)アクリレートとアセチルアセトンまたはアセト
酢酸エステル類との付加反応物の如き、種々の化合物な
どがある。
【0117】此のフッ素共重合体(a−3)を調製する
際に使用される、カーバメート基含有ビニル系単量体と
して特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、N
−(メタ)アクリロイルカルバミン酸メチル、N−(メ
タ)アクリロイルカルバミン酸エチル、N−〔2−
((メタ)アクリロイルオキシ〕エチルカルバミン酸エ
チル、2−カルバモイルオキシエチル(メタ)アクリレ
ート、2−(N−メチルカルバモイルオキシ)エチル
(メタ)アクリレート、2−(N−エチルカルバモイル
オキシ)エチル(メタ)アクリレートもしくは3−イソ
プロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート
と、2−ヒドロキシプロピルカーバメートとの付加反応
物;2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート
と、フェノールとの付加反応物;2−イソシアナートエ
チル(メタ)アクリレートと、エタノールとの付加反応
物;または2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレ
ートと、メチルエチルケトオキシムとの付加反応物のよ
うな種々の化合物などがある。
【0118】当該フッ素共重合体(a−3)を調製する
際に使用される、前掲した構造式(S−I)で示される
ような官能基を有するビニル系単量体として特に代表的
なもののみを例示するにとどめれば、2−イソシアナー
トエチル(メタ)アクリレートもしくは3−イソプロペ
ニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネートの如
き、各種のイソシアナート基含有ビニル系単量体と、ε
−カプロラクタムもしくはγ−ブチロラクタムの如き、
各種のアミド化合物との付加反応物のような種々の化合
物などがある。
【0119】此のフッ素共重合体(a−3)を調製する
際に使用される、前記したような種々の官能基のうちの
2種以上の官能基を併有するビニル系単量体として特に
代表的なもののみを例示するにとどめれば、モノ−(2
−ヒドロキシエチル)イタコネートまたはモノ−(2,
3−カーボネートプロピル)イタコネートなどのような
種々の化合物などがある。
【0120】上述した、加水分解性シリル基含有単量体
と、酸基含有単量体と、加水分解性シリル基および酸基
なる両基以外の官能基とを併有する単量体と、さらに必
要に応じて、これらと共重合可能なる其の他の単量体と
を使用して、此のフッ素共重合体(a−3)を調製する
には、前述したフッ素共重合体(a−1)を調製する際
に使用されるものとして既に例示したような、それぞ
れ、溶剤類、重合開始剤、さらには、必要に応じて、重
合時のゲル化を防止するための、前掲したような各種の
加水分解性エステル類を使用して、種々の方法に従っ
て、溶液ラジカル重合せしめるというようにすればよ
い。
【0121】また、含フッ素ビニル単量体として、フル
オロオレフィンを使用するときには、前述のように、該
フルオロオレフィンと共重合性が良い単量体を使用する
ことが好ましい。
【0122】以上に掲げたような、単量体類、重合開始
剤類および有機溶剤類を使用して、溶液ラジカル重合法
を利用し適用することによって、常圧または加圧条件下
で、目的とする加水分解性シリル基および酸基なる両基
と、加水分解性シリル基および酸基なる両基以外の官能
基とを併有するフッ素共重合体(a−3)を調製するこ
とが出来る。
【0123】上述のようにして調製されるフッ素共重合
体(a−1)または(a−3)中に導入されるべき加水
分解性シリル基の量としては、それぞれの重合体の固形
分の1,000グラム当たり、0.005〜10モルな
る範囲内が適切であり、好ましくは0.01〜2モルな
る範囲内、さらに一層好ましくは0.05〜1モルなる
範囲内である。
【0124】0.005モル未満の場合には、どうして
も、フッ素共重合体(a−1)または(a−3)と、珪
素原子に結合した水酸基および/または加水分解性基を
有するポリシロキサン(a−2)との縮合反応が進行し
ずらくなり、ひいては、得られる硬化物の耐久性などを
低下するようになるし、一方、10モルを超えて余りに
も多くなる場合には、どうしても、前記した縮合反応時
の溶液粘度が上昇し、ひいては、ゲル化が起きてしまう
など不都合が惹起されるということにもなる。
【0125】また、これらのフッ素共重合体(a−1)
または(a−3)中に導入されるべき酸基量としては、
それぞれの重合体の固形分の1,000グラム当たり、
0.005〜13.5モルなる範囲内が適切であるし、
好ましくは0.07〜7.0モルなる範囲内、最も好ま
しくは0.1〜2.0モルなる範囲内である。
【0126】さらに、フッ素共重合体(a−3)中に導
入されるべき、それぞれ、水酸基、ブロックされた水酸
基、3級アミノ基、シクロカーボネート基、エポキシ
基、1級アミド基、2級アミド基、カーバメート基また
は前掲の構造式(S−I)で示されるような官能基など
により代表される、加水分解性シリル基および酸基なる
両基以外の官能基の少なくとも1種の官能基の量として
は、フッ素共重合体(a−3)の固形分の1,000グ
ラム当たり、0.01〜20モルなる範囲内が適切であ
り、好ましくは0.2〜3モルなる範囲内、さらに一層
好ましくは0.3〜2モルなる範囲内である。20モル
を超えて余りにも多くなるような場合には、どうして
も、硬化物の、とりわけ、耐水性ならびに耐薬品性など
が低下するようになる。
【0127】さらに、本発明の特徴である、高光沢保持
率を得るためには、次の組成のものが好ましい。すなわ
ち、加水分解性シリル基および酸基と、必要に応じて加
水分解性シリル基および酸基なる両基以外の官能基の少
なくとも1種の官能基の所要量が前述した範囲内であ
り、かつ、含フッ素ビニル単量体類の量が、5〜95重
量%、好ましくは10〜90重量%、さらに一層好まし
くは 20〜80重量%であり、ビニルエーテル類、ビ
ニルエステル類およびアリルエーテル類よりなる群から
選ばれる、少なくとも1種のビニル単量体の量が、5〜
95重量%、好ましくは10〜90重量%、さらに一層
好ましくは20〜80重量%であり、α−オレフィン類
の量が、0〜80重量%、好ましくは0.1〜50重量
%、さらに一層好ましくは0.5〜20重量%であるこ
とが適切である。
【0128】また、これらのフッ素共重合体(a−1)
または(a−3)の数平均分子量としては、500〜1
00,000なる範囲内が適切であり、好ましくは1,
000〜50,000なる範囲内、一層好ましくは1,
500〜30,000なる範囲内である。
【0129】これらのフッ素共重合体(a−1)または
(a−3)の数平均分子量が、500未満の場合には、
どうしても、硬化性や、硬化物の機械的強度などが劣る
ようになるし、一方、100,000を超えて余りにも
高くなる場合には、どうしても、本発明に係る水性硬化
性樹脂組成物の不揮発分が著しく低くなったり、塗装作
業性などにも劣るようになったり、また、硬化塗膜の外
観が低下したりする。
【0130】フッ素共重合体(a−1)あるいは(a−
3)としては、それぞれ重合性不飽和二重結合を有す
る、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂な
どのようなフッ素共重合体以外の重合体の存在下に、加
水分解性シリル基含有単量体と、酸基含有単量体とを必
須成分とする単量体混合物を、ラジカル重合せしめると
いうことによって得られる、加水分解性シリル基および
酸基なる両基とを併有するフッ素共重合体セグメントを
グラフト化せしめた形の、アクリル樹脂、ポリエステル
樹脂、アルキド樹脂などを使用することも出来る。
【0131】本発明において用いられるフッ素樹脂(A
−1)または(A−2)を調製する際に使用される他方
の成分である、前記した、珪素原子に結合した水酸基お
よび/または珪素原子に結合した加水分解性基を有する
ポリシロキサン(a−2)とは、一般的に、シラノール
基と呼称される、珪素原子に結合した水酸基および/ま
たは珪素原子に結合した加水分解性基を有するポリシロ
キサンを指称するというものである。
【0132】ここにおいて、珪素原子に結合した加水分
解性基とは、珪素原子に結合した、それぞれ、ハロゲン
原子、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルコキシア
ルコキシ基、アシロキシ基、フェノキシ基、メルカプト
基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、イミノオキ
シ基またはアルケニルオキシ基の如き、加水分解されて
シラノール基を生成するというような種々の基を指称す
るというものである。
【0133】こうしたポリシロキサン(a−2)として
特に代表的なるもののみを例示するにとどめれば、一分
子中に、少なくとも2個の、珪素原子に結合した加水分
解性基を有する珪素化合物を加水分解縮合せしめるとい
うことによって調製される形の、当該珪素化合物の加水
分解縮合物あるいは斯かる珪素化合物を部分加水分解縮
合せしめるということによって調製される形の、当該珪
素化合物の部分加水分解縮合物などである。
【0134】フッ素樹脂(A−1)または(A−2)を
調製するに際して使用される、当該ポリシロキサン(a
−2)としては、後掲するような手段ないしは処方によ
って調製されるような、一分子中に、少なくとも2個
の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合
物の加水分解縮合物ないしは部分加水分解縮合物を使用
するということが出来る。
【0135】前記した、一分子中に少なくとも2個の、
珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合物の
加水分解ないしは部分加水分解によって、当該ポリシロ
キサン(a−2)を調製する際に使用される、珪素原子
に結合した加水分解性基を有する珪素化合物としては、
種々の化合物が、いずれも、使用できるけれども、それ
らのうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめ
れば、次のような一般式(S−IV)
【0136】
【化6】R5 bSiR6 4-b (S−IV)
【0137】(ただし、式中のR5 は、それぞれ、置換
基を有していても有していなくてもい、アルキル基、ア
リール基、アラルキル基またはアルケニル基なる1価の
有機基を、R6 はハロゲン原子、アルコキシ基、アルコ
キシアルコキシ基、置換アルコキシ基、アシロキシ基、
フェノキシ基、メルカプト基、アミノ基、アミド基、ア
ミノオキシ基、イミノオキシ基またはアルケニルオキシ
基を表わすものとし、また、bは0あるいは1または2
なる整数であるものとする。)で以て示される珪素化合
物;
【0138】これらの珪素化合物の1種の部分加水分解
縮合によって得られる形の部分加水分解縮合物;または
此等の珪素化合物の2種以上の混合物の部分加水分解縮
合によって得られる形の部分共加水分解縮合物;あるい
【0139】
【化7】 (CH3CH2O)3 SiCH2CH2Si(OCH2CH3)3
【0140】または
【0141】
【化8】(CH3CH2O)3SiCH2CH2 CH2Si(O
CH2CH3)3
【0142】などのような、一分子中に2個以上の加水
分解性シリル基を有する珪素化合物などである。
【0143】前掲したような一般式で示される珪素化合
物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれ
ば、
【0144】テトラエトキシシラン、テトラメトキシシ
ランもしくはテトラ−n−ブトキシシランの如き、各種
のテトラアルコキシシラン類;
【0145】メチルトリメトキシシラン、メチルトリエ
トキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、エチ
ルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エ
チルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリメト
キシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−ブ
チルトリメトキシシランもしくはn−ブチルトリエトキ
シシラン、
【0146】フェニルトリメトキシシラン、フェニルト
リエトキシシラン、フェニルトリ−n−ブトキシシラ
ン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシ
ラン、ビニルトリ−n−ブトキシシラン、ビニルトリス
(2−メトキシエトキシ)シランもしくはアリルトリメ
トキシシラン、
【0147】または2−トリメトキシシリルエチルビニ
ルエーテル、2−トリエトキシシリルエチルビニルエー
テル、3−トリメトキシシリルプロピルビニルエーテ
ル、3−トリエトキシシリルプロピルビニルエーテル、
3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシ
シランもしくは3−(メタ)アクリロイルオキシプロピ
ルトリエトキシシランの如き、各種のオルガノトリアル
コキシシラン類;
【0148】ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエ
トキシシラン、ジメチルジ−n−ブトキシシラン、ジエ
チルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ
−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジ
エトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシランもし
くはジ−n−ブチルジエトキシシラン、
【0149】またはジフェニルジメトキシシラン、ジフ
ェニルジエトキシシラン、ジフェニルジ−n−ブトキシ
シラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェ
ニルジエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラ
ン、2−(メチルジメトキシシリル)エチルビニルエー
テル、3−(メチルジメトキシシリル)プロピルビニル
エーテルもしくは3−(メタ)アクリロイルオキシプロ
ピルメチルジメトキシシランの如き、各種のジオルガノ
ジアルコキシシラン類;
【0150】テトラクロロシラン、メチルトリクロロシ
ラン、エチルトリクロロシラン、n−プロピルトリクロ
ロシラン、フェニルトリクロロシラン、ビニルトリクロ
ロシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルト
リクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジエチルジ
クロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、メチルフェ
ニルジクロロシラン、ビニルメチルジクオロロシランも
しくは3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチル
ジクロロシランの如き、各種のクロロシラン類;
【0151】またはテトラアセトキシシラン、メチルト
リアセトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、
ジメチルジアセトキシシランもしくはジフェニルジアセ
トキシシランの如き、各種のアセトキシシラン類などが
ある。
【0152】これらの加水分解性基を有する珪素化合物
のうちで、ポリシロキサン(a−2)を調製する際に使
用される化合物として特に望ましいもののみを例示する
にとどめれば、テトラアルコキシシラン、オルガノトリ
アルコキシシランまたはジオルガノジアルコキシシラ
ン、それらの部分加水分解縮合物または其れらの部分共
加水分解縮合物などがあるし、さらには、各種のクロル
シラン類の加水分解縮合物などがある。
【0153】また、当該珪素化合物として、テトラエト
キシシランなどに代表されるような4官能の珪素化合物
を使用する際には、フッ素共重合体(a−1)または
(a−3)と、ポリシロキサン(a−2)との間の縮合
反応中のゲル化の防止、ならびに塩基性化合物による中
和反応中のゲル化の防止などのためにも、2ないしは3
官能の珪素化合物を併用するというのが望ましい。
【0154】斯かるポリシロキサン(a−2)を調製す
るに際して、前掲したような各種の珪素化合物に加え
て、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシ
ラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシ
シラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエ
トキシシラン、トリメチルクロロシラン、トリエチルク
ロロシランまたはトリフェニルクロロシランのような、
一分子中に珪素原子に結合した加水分解性基を1個のみ
有する、いわゆる1官能性の珪素化合物をも併用すると
いうことが出来る。
【0155】前記したような各種の珪素化合物を加水分
解縮合ないしは部分加水分解縮合せしめることによっ
て、ポリシロキサン(a−2)として使用される加水分
解縮合物ないしは部分加水分解縮合物を得るということ
が出来るが、その際に、触媒を使用してもよいし、使用
しなくてもよく、これらの縮合反応を容易に進行せしめ
るようにするという面からは、触媒を使用することが望
ましい。
【0156】ここにおいて、触媒を使用する場合には、
種々の触媒のいずれをも使用することが出来るし、しか
も、それらは単独使用でも、2種類以上の併用でもよい
ことは、勿論である。
【0157】斯かる触媒として特に代表的なもののみを
例示するにとどめれば、塩酸、硫酸または燐酸の如き、
各種の無機酸類;p−トルエンスルホン酸、燐酸モノイ
ソプロピルまたは酢酸の如き、各種の有機酸類;
【0158】水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの
如き、各種の無機塩基類;テトライソプロピルチタネー
トまたはテトラブチルチタネートの如き、各種のチタン
酸エステル類;ジブチル錫ジラウレートまたはオクチル
酸錫の如き、各種の錫カルボン酸塩類;
【0159】鉄、コバルト、マンガンまたは亜鉛の如
き、各種の金属のナフテン酸塩;あるいはオクチル酸塩
の如き、各種の金属カルボン酸塩類;あるいは亦、アル
ミニウムトリスアセチルアセトネートの如き、各種のア
ルミニウム化合物;
【0160】1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウ
ンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ
[4.3.0]ノネン−5(DBN)、1,4−ジアザ
ビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、トリ
−n−ブチルアミンもしくはジメチルベンジルアミンま
たはブチルアミンもしくはオクチルアミン、
【0161】モノエタノールアミン、ジエタノールアミ
ン、トリエタノールアミン、イミダゾール、1−メチル
イミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾールもしくは
1,4−ジエチルイミダゾールの如き、各種のアミン化
合物類;
【0162】テトラメチルアンモニウム塩、テトラブチ
ルアンモニウム塩、トリメチル(2−ヒドロキシルプロ
ピル)アンモニウム塩、シクロヘキシルトリメチルアン
モニウム塩、テトラキス(ヒドロキシルメチル)アンモ
ニウム塩、ジラウリルジメチルアンモニウム塩、トリオ
クチルメチルアンモニウム塩もしくはo−トリフルオロ
メチルフェニルトリメチルアンモニウム塩の如き、各種
の4級アンモニウム塩類であって、
【0163】さらには、代表的なる対アニオンとして、
それぞれ、クロライド、ブロマイド、カルボキシレート
もしくはハイドロオキサイドなどを有する4級アンモニ
ウム塩類などである。
【0164】使用される斯かる触媒の量としては、加水
分解ないしは部分加水分解に供される珪素化合物に対し
て、0.000001〜10重量%なる範囲内が、好ま
しくは0.000005〜5重量%なる範囲内が、特に
好ましくは0.00001〜1重量%なる範囲内が適切
である。
【0165】また、前記した反応に用いられる水の量と
しては、かかる珪素化合物の珪素原子に結合している加
水分解性基の1モルに対して、0.05モル以上が、好
ましくは0.1モル以上が、さらに好ましくは0.2モ
ル以上が適切である。
【0166】0.05モル未満の場合には、どうして
も、加水分解の速度が著しく遅くなってしまうけれど
も、此の水の量が、5モルとか、10モルとか、珪素原
子に結合している加水分解性基の1モルに対して、余り
にも過剰となるように使用するということは、一向に、
支障が無い。
【0167】そして、これらの触媒および水の添加は、
一括添加でも、分割添加でもよく、また、触媒と水を混
合した形で以て添加しても、あるいは別々に、添加して
もよいことは、勿論である。
【0168】斯かる反応の反応温度としては、0℃〜1
50℃、好ましくは20℃〜100℃が適切であるし、
一方、これらの反応の圧力としては、常圧、加圧または
減圧下の、いずれの条件においても行なうということが
出来る。
【0169】そして、こうした反応の副生成物である、
それぞれ、アルコールや水などが、引き続いて行われる
フッ素共重合体(a−1)と、ポリシロキサン(a−
2)との縮合反応や、得られる水性硬化性樹脂組成物の
安定性などの上で以て問題を起こすようであれば、蒸留
などの手段によって系外に除くことが出来るし、問題が
無ければ、そのまま系内に存在させておいて一向に支障
は無い。
【0170】また、かかる反応にあっては、有機溶剤を
使用してもよいし、使用しなくてもよいけれども、攪拌
などが容易に行なえるというようにするためにも、有機
溶剤を使用することが望ましい。
【0171】ここにおいて、斯かる有機溶剤を使用する
というような場合には、公知慣用の種々の有機溶剤のい
ずれをも使用することが出来るし、しかも、それらは単
独使用でも2種類以上の併用でもよいことは勿論であ
る。
【0172】その際に使用される有機溶剤としては、フ
ッ素共重合体(a−1)または(a−3)を調製する際
に使用できるものとして既に掲げたような種々のものを
使用することが出来る。
【0173】そして、斯かる有機溶剤を使用して、当該
ポリシロキサン(a−2)を調製する際には、一分子中
に少なくとも2個の珪素原子に結合した加水分解性基を
有する珪素化合物の、斯かる有機溶剤中における濃度と
しては、5重量%以上にするということが望ましい。
【0174】また、当該ポリシロキサン(a−2)とし
て、市販のポリシロキサンを使用することもできるが、
そのようなポリシロキサンとして特に代表的なもののみ
を例示するにとどめれば、シラノール基あるいは珪素原
子に結合したメトキシ基を有するポリシロキサンとして
市販されているような、それぞれ、「TSR−160も
しくは165」〔東芝シリコーン(株)製の商品名〕、
「SH−6018」〔東レ・ダウコーニング・シリコー
ン(株)製の商品名〕または「GR−100、908も
しくは950」〔昭和電工(株)製の商品名〕などで以
て代表されるような、線状、環状、分岐状(分枝状)あ
るいはラダー(型)構造を有する、加水分解縮合物ない
しは部分加水分解縮合物などがある。
【0175】上述したようなポリシロキサンのうちで
も、水性フッ素樹脂の安定性などの面からは、当該ポリ
シロキサン(a−2)を構成する全珪素原子のうち、1
0モル%以上、好ましくは20モル%以上、さらに好ま
しくは40モル%以上の珪素原子に、フェニル基、シク
ロヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブ
チル基および/または炭素数が3以上の長鎖アルキル基
などのような、エチル基よりも比較的嵩高い基が結合し
た形の化合物を単独または併用で使用するのが適切であ
る。
【0176】また、水性フッ素樹脂の硬化性と耐久性と
の面からは、当該ポリシロキサン(a−2)を構成する
全珪素原子のうち、10モル%以上、好ましくは20モ
ル%以上、さらに好ましくは30モル%以上が、メチル
トリアルコキシシラン類、メチルトリクロロシラン、フ
ェニルトリアルコキシラン類またはフェニルトリクロロ
シランのような、いわゆる3官能シラン化合物に由来す
るものを使用するというようにすることが適切である。
【0177】次いで、前記したフッ素共重合体(a−
1)または(a−3)と、前記したポリシロキサン(a
−2)との縮合反応について述べることにする。
【0178】当該縮合反応を行なうに当たり、フッ素共
重合体(a−1)または(a−3)と、ポリシロキサン
(a−2)の使用割合は、〔フッ素共重合体(a−1)
または(a−3)〕:(a−2)なる重量割合として、
5:95〜99:1になるように、好ましくは15:8
5〜95:5になるように、さらに好ましくは20:8
0〜85:15になるように設定するのがよい。
【0179】フッ素共重合体(a−1)または(a−
3)の重量割合が5%未満になるように設定すると、ど
うしても、ポリシロキサン(a−2)が多すぎるため
に、耐アルカリ性などに乏しい硬化塗膜が得られるとい
うようになってしまうし、一方、フッ素共重合体(a−
1)または(a−3)の重量割合が99%を超えて余り
にも多くなるような場合には、どうしても、ポリシロキ
サン(a−2)が少なすぎるために、耐雨垂れ汚染性を
有する硬化塗膜が得られ難くなる。
【0180】こうしたフッ素共重合体(a−1)または
(a−3)と、ポリシロキサン(a−2)との縮合反応
を行なうに当たり、此の反応をスムーズに進行させるた
めに、触媒を添加することが出来るが、斯かる触媒とし
ては、ポリシロキサン(a−2)を調製する際に使用さ
れるものとして既に掲げたような種々の触媒類を、その
まま、使用することが出来る。
【0181】また、当該縮合反応に際して、殊更に、触
媒を添加せずとも、前述したような手段ないしは処方で
以て調製されたポリシロキサン(a−2)中に残留して
いる触媒のみでも、当該縮合反応を促進せしめ得ること
は可能である。
【0182】使用される触媒の量としては、フッ素共重
合体(a−1)または(a−3)と、ポリシロキサン
(a−2)の合計量に対して、0.0001〜10重量
%なる範囲内が、好ましくは0.0005〜3重量%な
る範囲内が、特に好ましくは0.0005〜1重量%な
る範囲内が適切である。
【0183】また、フッ素共重合体(a−1)または
(a−3)と、ポリシロキサン(a−2)との間の縮合
反応をスムーズに進行せしめるというためには、フッ素
共重合体(a−1)または(a−3)中に含有される加
水分解性シリル基の加水分解と、ポリシロキサン(a−
2)中に場合によっては含有される珪素原子に結合した
加水分解性基の加水分解とを円滑に進行せしめることが
望ましく、したがって、こうした縮合反応を水の存在下
で以て行なうということが特に望ましい。
【0184】水の存在下に当該縮合反応を行なって縮合
物を得るには、フッ素共重合体(a−1)または(a−
3)と、ポリシロキサン(a−2)との混合物に、水を
加えて、フッ素共重合体(a−1)または(a−3)中
に含まれる加水分解性シリル基と、ポリシロキサン(a
−2)中に場合によっては含まれる珪素原子に結合した
加水分解性基との双方を加水分解せしめ、引き続いて縮
合反応を行なうというようにすればよいし、
【0185】また、殊更に、水を加えずに、前記したよ
うな手段ないしは処方で以て調製された、此のポリシロ
キサン(a−2)中に残存している水を利用するという
ことによって、フッ素共フッ素共重合体(a−1)中に
含まれる加水分解性シリル基と、ポリシロキサン(a−
2)中に場合によっては含まれる珪素原子に結合した加
水分解性基との双方を加水分解せしめ、しかるのち、引
き続いて縮合反応を行なうということによっても達成す
ることが出来る。
【0186】当該縮合反応を行なう際に添加される水の
量は、適宜、選択することが出来るし、触媒および水の
添加方法は、一括添加でもよいし、分割添加でもよい
し、また、触媒と水とを混合した形で以て添加しても、
あるいは別々に、添加してもよいということは、勿論で
ある。
【0187】こうした縮合反応の反応温度としては、0
〜150℃が適切で、好ましくは20〜100℃であ
り、一方、当該縮合反応の圧力としては、常圧下と、加
圧または減圧下との、いずれの条件においても行なうと
いうことが出来る。
【0188】また、当該縮合反応の副生成物である、ア
ルコールや水などは、蒸留などの手段によって、これら
を系外に除くということが出来るし、問題が無ければ、
そのまま系内に存在させておいても一向に支障は無い。
【0189】さらに、当該縮合反応にあっては、有機溶
剤を使用してもよいし、使用しなくてもよいが、攪拌な
どが容易に行なえるようにするためには、フッ素共フッ
素共重合体(a−1)を調製する際に使用できるものと
して既に掲げたような、種々の有機溶剤類を使用するこ
とが望ましい。
【0190】ここにおいて、有機溶剤を使用するという
場合には、それらは、単独使用でも2種類以上の併用で
もよいことは、勿論である。
【0191】また、有機溶剤の存在下において、当該縮
合反応を行なう場合の、それぞれ、フッ素共重合体(a
−1)または(a−3)と、ポリシロキサン(a−2)
との、有機溶剤中における濃度としては、両成分の合計
量として5重量%以上にすることが望ましい。
【0192】このようにして調製される、フッ素共重合
体(a−1)または(a−3)と、ポリシロキサン(a
−2)との縮合反応生成物中に含有される酸基を、塩基
性化合物で以て、部分的に、あるいは完全に中和反応せ
しめるということによって、それぞれ、フッ素樹脂(A
−1)および(A−2)が調製される。
【0193】かかる中和反応の際に使用される此の塩基
性化合物として特に代表的なもののみを例示するにとど
めれば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルア
ミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミ
ン、n−ブチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、2−
アミノ−2−メチルプロパノ−ル、2−アミノエタノ−
ルもしくは2−ジメチルアミノエタノ−ルなどによって
代表されるような、各種の有機アミン化合物;
【0194】またはアンモニアをはじめ、さらには、水
酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムなどによって代
表されるような、各種の無機塩基性物質;またはテトラ
メチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラ−n−
ブチルアンモニウムハイドロオキサイドもしくはトリメ
チルベンジルアンモニウムハイドロオキサイドなどによ
って代表されるような、各種の第四級アンモニウムハイ
ドロオキサイド類などがある。
【0195】このような各種の塩基性化合物のうちで
も、アンモニアまたは各種の有機アミン類の使用が、特
に望ましい。
【0196】そして、斯かる塩基性化合物の添加量とし
ては、少なくとも、前記したフッ素共重合体(a−1)
または(a−3)と、前記したポリシロキサン(a−
2)の縮合反応生成物に対して、水分散性を付与すると
いうことが可能なる量であり、これらのフッ素共重合体
(a−1)または(a−3)と、ポリシロキサン(a−
2)との縮合反応生成物中に含まれる酸基の当量数に対
する、当該塩基性化合物の当量数の比率、つまり、当該
塩基性化合物の当量数/〔フッ素共重合体(a−1)ま
たは(a−3)と、ポリシロキサン(a−2)との縮合
反応生成物中の酸基の当量数〕なる当量比が0.1以上
となるような量が適切ではあるが、塗膜諸性能を損なわ
ない範囲の量として、好ましくは0.1〜3なる範囲内
が適切であるし、最も好ましくは、0.3〜2なる範囲
内が適切である。
【0197】斯かる中和反応は、水の存在下において行
なってもよいし、また、水が存在しない状態で行なって
もよいが、水が存在しない状態においては、前記したフ
ッ素共重合体(a−1)または(a−3)あるいは前記
したポリシロキサン(a−2)などの種類や其れらの組
成であるとか、さらには、当該中和反応の条件などによ
って、当該中和反応時における溶液粘度が上昇する処と
なり、ひいては、ゲル化が起きてしまうというような場
合にさえなることもあるので、注意を要する。
【0198】こうした問題が生じるような場合には、当
該中和反応を、水の共存下で行なうことが特に望まし
く、この際に添加される水の量は、前記したフッ素共重
合体(a−1)または(a−3)と、前記したポリシロ
キサン(a−2)との縮合反応生成物の固形分1000
グラムに対して、100グラム以上、好ましくは200
グラム以上、さらに好ましくは500グラム以上という
比率となるように設定するのが適切である。
【0199】そして、当該中和反応を行なう際の塩基性
化合物および水の添加方法は、一括添加でも、分割添加
でもよいし、また、別々に添加してもよいということ
は、勿論であるが、特に塩基性化合物と水とを混合した
形で以て添加するのが最適である。
【0200】こうした中和反応の反応温度としては、0
〜150℃程度が適切であり、好ましくは、20〜10
0℃が適切であるし、一方、これらの反応の圧力として
は、常圧下と、加圧または減圧下との、いずれの条件に
おいても行なうことが出来る。
【0201】このようにして得られるフッ素樹脂(A−
1)または(A−2)から、それぞれ、前記した水性フ
ッ素樹脂を調製するには、種々の方法を適用することが
出来る。たとえば、これらのフッ素樹脂(A−1)また
は(A−2)に対して、単に、水を添加せしめるか、あ
るいはフッ素樹脂(A−1)または(A−2)を、水に
対して加えるということによって、水中に分散せしる
か、あるいは溶解せしめるということによって、フッ素
樹脂(A−1)からは水性フッ素樹脂(A−I)を、ま
た、フッ素樹脂(A−2)からは水性フッ素樹脂(A−
II)を、それぞれ、製造するということが出来る。
【0202】また、前述したように、こうした中和反応
を、多量の水の存在下で以て行なうというような場合に
は、当該中和反応の終了後において、殊更に、水を添加
せずとも、水性樹脂を調製することが出来る。
【0203】さらにまた、必要に応じて、このようにし
て得られる水性フッ素樹脂(A−I)または(A−II)
に含有される有機溶剤を、加熱および/または減圧によ
って、部分的に、あるいは完全に除去するということに
よって、有機溶剤の含有率が低いか、あるいは有機溶剤
を含有しない形の水性フッ素樹脂(A−I)または(A
−II)を調製することが出来る。
【0204】このようにして得られる水性フッ素樹脂
(A−I)中に含まれる官能基は、フッ素共重合体(a
−1)と、ポリシロキサン(a−2)とに由来するシラ
ノール基と、場合によっては含有される珪素原子に結合
した加水分解性基と、フッ素共重合体(a−1)に由来
する遊離の酸基と、塩基性化合物により中和された酸基
とである。
【0205】また、このようにして得られる水性フッ素
樹脂(A−II)中に含まれる官能基は、フッ素共重合体
(a−3)と、ポリシロキサン(a−2)とに由来する
シラノール基と、場合によっては含有される珪素原子に
結合した加水分解性基と、フッ素共重合体(a−3)に
由来する遊離の酸基と、塩基性化合物により中和された
酸基とに加えて、フッ素共重合体(a−3)に由来す
る、それぞれ、水酸基、ブロックされた水酸基、3級ア
ミノ基、シクロカーボネート基、エポキシ基、1級アミ
ド基、2級アミド基、カーバメート基および/または前
掲した構造式(S−I)で示される官能基などのうち
の、加水分解性シリル基および酸基なる両基以外の官能
基の、少なくとも1種のものとである。
【0206】水性フッ素樹脂(A−I)または(A−I
I)を調製する過程で、フッ素共重合体(a−1)また
は(a−2)中に、酸基として、ブロックした酸基ある
いは酸無水基を導入せしめたものを使用したような場合
には、かかるブロックした酸基あるいは酸無水基のうち
の少なくとも一部分は、ポリシロキサン(a−2)との
縮合過程で、あるいは塩基性化合物による中和過程で、
加水分解、酸触媒分解、熱分解またはアルコリシスなど
によって、遊離の酸基に変換されて、水性化のための親
水性基として機能するようになる。
【0207】もし、酸基として、前記したブロックした
酸基あるいは酸無水基を導入せしめたような際に、塩基
性化合物による中和過程ののちも、水性化に必要なる量
の遊離の酸基が生成しない場合には、斯かる中和過程あ
るいはポリシロキサン(a−2)との縮合過程の反応条
件を厳しくするということによって、遊離の酸基に変換
せしめる必要がある。
【0208】また、水性フッ素樹脂(A−II)を調製す
る際に、フッ素共重合体(a−3)に、ブロックされた
水酸基、エポキシ基またはシクロカーボネート基を導入
せしめた形のものを使用した場合には、フッ素共重合体
(a−3)と、ポリシロキサン(a−2)とを縮合反応
させる段階で以て、さらには、縮合反応ののちに行なわ
れる塩基性化合物を用いた中和反応によるフッ素フッ素
樹脂(A−2)の調製段階で以て、さらに加えて、水に
対するフッ素フッ素樹脂(A−2)の分散または溶解の
段階で以て、これらの官能基の少なくとも一部分は、加
水分解、酸触媒分解またはアルコリシスなどによって、
遊離の水酸基に変換されるということもある。
【0209】そして、斯かるブロックされた水酸基、エ
ポキシ基またはシクロカーボネート基の種類とか、ある
いはフッ素共重合体(a−3)と、ポリシロキサン(a
−2)との縮合反応、該縮合反応ののちに行なう中和反
応ならびに水に対する分散ないしは溶解せしめる際の諸
条件などによっては、斯かる各種の官能基は、完全に、
遊離の水酸基に変換されるということもある。
【0210】このようにして得られる水性フッ素樹脂
(A−I)または(A−II)から、本発明に係る水性硬
化性樹脂組成物を調製するには、一つには、水性フッ素
樹脂(A−I)および(A−II)は、それら自体が自己
硬化性を有するという処から、これらの水性フッ素樹脂
(A−I)または(A−II)を必須成分として含有する
形の自己硬化性の樹脂組成物とするというようにすれば
よいし、二つには、水性フッ素樹脂(A−I)または
(A−II)に、さらに、前記した化合物(B)を配合せ
しめるということによって、これらの水性フッ素樹脂
(A−I)または(A−II)中に含まれる官能基と、化
合物(B)中に含まれる官能基との間の架橋反応をも利
用するという形の水性硬化性樹脂組成物とすることも出
来る。
【0211】後者の方の水性硬化性樹脂組成物を調製す
るに際して使用される、斯かる化合物(B)とは、前述
した水性フッ素樹脂(A−I)または(A−II)中に含
まれる、前述のような各種の官能基と反応する官能基の
少なくとも1種を有する、種々の化合物を指称するもの
である。
【0212】まず、こうした官能基として特に代表的な
もののみを例示するにとどめれば、イソシアネート基、
ブロックされたイソシアネート基、水酸基、ブロックさ
れた水酸基、カルボキシル基、ブロックされたカルボキ
シル基、カルボン酸無水基、アミノ基、シクロカーボネ
ート基、鎖状カーボネート基、エポキシ基、1級アミド
基、2級アミド基、カーバメート基、オキサゾリン基、
N−ヒドロキシメチルアミノ基、N−アルコキシメチル
アミノ基、カルボニル基、アセトアセチル基、シラノー
ル基、珪素原子に結合した加水分解性基または次のよう
な構造式(S−III)
【0213】
【化9】 −C(O)−NH−CH(OR3)−COOR4 (S−III)
【0214】(ただし、式中のR3 は水素原子、炭素数
が1〜8なるアルキル基またはアリール基を表わし、R
4 は炭素数が1〜8なるアルキル基またはアリール基を
表わすものとする。)で示される部類の官能基などであ
る。
【0215】そして、斯かる化合物(B)中に含まれる
官能基は、水性フッ素樹脂(A−I)または(A−II)
中に含まれる官能基の種類に応じて、適宜、選択して組
み合わせることが出来る。そうした組み合わせとして特
に代表的なもののみを例示するにとどめれば、シラノー
ル基−シラノール基、シラノール基−アルコキシシリル
基、アルコキシシリル基−アルコキシシリル基、カルボ
キシル基−エポキシ基、カルボキシル基−シクロカーボ
ネート基、3級アミノ基−エポキシ基、水酸基−N−ヒ
ドロキシメチルアミノ基または水酸基−イソシアネート
基などがある。
【0216】そして、当該化合物(B)としては、水性
フッ素樹脂(A−I)または(A−II)中に含まれる官
能基によっては、前述したような種々の官能基のうちの
2種以上を有するというようなものであってもよい。ま
た、当該化合物(B)としては、比較的、分子量の低い
化合物に加えて、各種の樹脂類を使用するということが
出来る。このような樹脂類として特に代表的なもののみ
を例示するにとどめれば、フッ素樹脂、アクリル樹脂、
ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂ま
たはエポキシ樹脂などがある。
【0217】斯かる化合物(B)として特に代表的なも
ののみを例示するにとどめれば、珪素原子に結合した水
酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を
有する化合物;一分子中にイソシアネート基と珪素原子
に結合した加水分解性基を併有する化合物;一分子中に
エポキシ基と珪素原子に結合した加水分解性基とを併有
する化合物;または一分子中にアミノ基と珪素原子に結
合した加水分解性基とを併有する化合物などをはじめ、
【0218】ポリイソシアネート化合物、ブロックポリ
イソシアネート化合物、ポリエポキシ化合物、ポリシク
ロカーボネート化合物、アミノ樹脂、1級ないしは2級
アミド基含有化合物、ポリカルボキシ化合物、ポリヒド
ロキシ化合物、ポリアジリジン化合物、ポリアクリレー
ト化合物、ポリカーボジイミド化合物、ブロックされた
水酸基を含有する化合物、ポリアミン化合物、少なくと
も2個のカルボン酸無水基を含有する化合物またはポリ
オキサゾリン化合物などがあり、これらの諸々の化合物
類は、単独使用であってもよいし、2種以上の併用であ
ってもよいことは、勿論である。
【0219】これらのうちでも特に望ましい化合物とし
ては、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原
子に結合した加水分解性基を有する化合物;一分子中に
イソシアネート基と珪素原子に結合した加水分解性基を
併有する化合物;または一分子中にエポキシ基と珪素原
子に結合した加水分解性基とを併有する化合物などが挙
げられるし、ポリイソシアネート化合物、ブロックポリ
イソシアネート化合物、ポリエポキシ化合物、ポリシク
ロカーボネート化合物、アミノ樹脂、1級ないしは2級
アミド基含有化合物、ポリカルボキシ化合物またはポリ
ヒドロキシ化合物などが挙げられる。
【0220】前記した、珪素原子に結合した水酸基およ
び/または加水分解性基を有する珪素化合物中でも特に
代表的なもののみを例示するにとどめれば、前掲したよ
うな一般式(S−IV)で以て示される珪素化合物;これ
らの珪素化合物の加水分解物あるいは加水分解縮合物;
これらの珪素化合物の1種の部分加水分解縮合により得
られる部分加水分解縮合物;または此等の珪素化合物の
2種以上の部分加水分解縮合により得られる部分共加水
分解縮合物などがある。
【0221】これらのうちでも、当該珪素化合物として
特に望ましく代表的なるものは、テトラメトキシシラン
およびテトラエトキシシラン、それらの部分加水分解縮
合物または其れらの部分共加水分解縮合物などである。
【0222】前記した、一分子中に、それぞれ、イソシ
アネート基と、珪素原子に結合した加水分解性基とを併
せ有する化合物として特に代表的なる化合物のみを例示
するにとどめることにするならば、
【0223】3−イソシアナートプロピルトリメトキシ
シラン、3−イソシアナートプロピルメチルジメトキシ
シラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラ
ンもしくは3−イソシアナートプロピルメチルジエトキ
シシランの如き、各種の珪素化合物;
【0224】あるいは前掲したような、加水分解性シリ
ル基を有するビニル系単量体と、後掲するような、イソ
シアネート基含有ビニル系単量体からなる種々の共重合
体、または此等の両単量体を、該両単量体と共重合可能
なる、それぞれ、(メタ)アクリル系、ビニルエステル
系、ビニルエーテル系、芳香族ビニル系もしくはフルオ
ロオレフィン系ビニル単量体類などと共重合せしめると
いうことによって得られるような、エポキシ基と加水分
解性シリル基とを併有する、アクリル系共重合体、ビニ
ルエステル系共重合体またはフルオロオレフィン系共重
合体の如き、種々のビニル系共重合体類などがある。
【0225】前記した、一分子中に、それぞれ、エポキ
シ基と、珪素原子に結合した加水分解性基とを併せ有す
る化合物として特に代表的なる化合物のみを例示するに
とどめることにするならば、
【0226】3−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランもし
くは3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン
の如き、珪素化合物;これらの珪素化合物の1種の部分
加水分解縮合により得られる部分加水分解縮合物;また
は此等の珪素化合物の2種以上の部分加水分解縮合によ
り得られる部分共加水分解縮合物;
【0227】「EGM−202」〔東レ・ダウコーニン
グ・シリコーン社製の、珪素原子に結合したメトキシ基
と、3−グリシドキシプロピルとを併有する、環状のポ
リシロキサン〕;「KP−392」〔信越化学(株)製
の3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの部分
加水分解縮合物〕;
【0228】あるいは前掲したような、各種のエポキシ
基を有するビニル単量体と、同じく前掲した加水分解性
シリル基を有するビニル系単量体からなる種々の共重合
体、または此等両単量体を、該両単量体と共重合可能な
る、それぞれ、(メタ)アクリル系、ビニルエステル
系、ビニルエーテル系、芳香族ビニル系もしくはフルオ
ロオレフィン系ビニル単量体類などと共重合せしめるこ
とによって得られるような、エポキシ基と加水分解性シ
リル基を併有するアクリル系共重合体、ビニルエステル
系共重合体またはフルオロオレフィン系共重合体の如
き、種々のビニル系共重合体類などがある。
【0229】前記したポリイソシアネート化合物として
特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、トリレ
ンジイソシアネートもしくはジフェニルメタン−4,
4′−ジイソシアネートの如き、各種の芳香族ジイソシ
アネート類;
【0230】メタ−キシリレンジイソシアネート、α,
α,α′,α′−テトラメチル−メタ−キシリレンジイ
ソシアネートの如き、各種のアラルキルジイソシアネー
ト類;
【0231】ヘキサメチレンジイソシアネート、リジン
ジイソシアネート、1,3−ビスイソシアナートメチル
シクロヘキサン、2−メチル−1,3−ジイソシアナー
トシクロヘキサン、2−メチル−1,5−ジイソシアナ
ートシクロヘキサンもしくはイソホロンジイソシアネー
トの如き、各種の脂肪族ないしは脂環式ジイソシアネー
ト類;
【0232】前掲したような各種のポリイソシアネート
類を、多価アルコール類と付加反応せしめて得られる、
イソシアネート基を有するプレポリマー類;
【0233】前掲したような各種のポリイソシアネート
類を環化三量化せしめて得られる、イソシアヌレート環
を有するプレポリマー類;
【0234】前掲したような各種のポリイソシアンート
類と、水とを反応せしめて得られる、ビウレット構造を
有するポリイソシアネート類;
【0235】さらには、2−イソシアナートエチル(メ
タ)アクリレート、3−イソプロペニル−α,α−ジメ
チルベンジルイソシアネートもしくは(メタ)アクリロ
イルイソシアネートの如き、各種のイソシアネート基を
有するビニル単量体の単独重合体
【0236】または此等のイソシアネート基含有ビニル
単量体を、該単量体と共重合可能なる、それぞれ、(メ
タ)アクリル系、ビニルエステル系、ビニルエーテル
系、芳香族ビニル系またはフルオロオレフィン系のビニ
ル単量体類などと共重合せしめるということによって得
られる、
【0237】それぞれ、イソシアネート基含有の、アク
リル系共重合体、ビニルエステル系共重合体またはフル
オロオレフィン系共重合体のような、種々のビニル系共
重合体類などがある。
【0238】そして、斯かるポリイソシアネートのうち
にあって、特に、耐候性などの面からは、脂肪族ないし
は脂環式ジイソシアネート化合物、それらの各ジイソシ
アネート化合物から誘導される、種々のプレポリマーあ
るいはイソシアネート基含有ビニル系重合体などの使用
が、特に望ましい。
【0239】前記したブロック・ポリイソシアネート化
合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれ
ば、前掲したような各種のポリイソシアネート化合物
を、後掲するような種々のブロック剤で以てブロック化
せしめるということによって得られる形の種々のブロッ
クポリイソシアネート化合物や、
【0240】イソシアネート基を環化二量化せしめると
いうことによって得られる形の種々のウレトジオン構造
を含む化合物のように、熱によって、イソシアネート基
が再生するという部類の化合物などがある。
【0241】そして、ブロック・ポリイソシアネート化
合物を調製する際に使用される、ブロック剤として特に
代表的なもののみを例示するにとどめれば、メタノー
ル、エタノール、ベンジルアルコールもしくは乳酸エス
テルの如き、各種のカルビノール基含有化合物類;
【0242】フェノール、サリチル酸エステルもしくは
クレゾールの如き、各種のフェノール性水酸基含有化合
物類;またはε−カプロラクタム、2−ピロリドンもし
くはアセトアニリドの如き、各種のアマイド類;
【0243】あるいはアセトンオキシムもしくはメチル
エチルケトオキシムの如き、各種のオキシム類などであ
るし、さらには、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル
もしくはアセチルアセトンの如き、各種の活性メチレン
化合物類などがある。
【0244】前記したポリエポキシ化合物として特に代
表的なもののみを例示するにとどめれば、エチレングリ
コール、ヘキサンジオ−ル、ネオペンチルグリコール、
トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリ
セリン、ペンタエリスリトール、ソルビトールまたは水
添ビスフェノールAの如き、各種の脂肪族ないしは脂環
式ポリオールのポリグリシジルエーテル類;
【0245】ヒドロキノン、カテコール、レゾルシン、
ビスフェノールA、ビスフェノールSもしくはビスフェ
ノールFの如き、各種の芳香族系ジオールのポリグリシ
ジルエーテル類;上掲したような芳香族系ジオール類の
エチレンオキシドもしくはプロピレンオキシド付加体の
如き、該芳香族系ジオール誘導体類のジグリシジルエー
テル類;
【0246】ポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコールもしくはポリテトラメチレングリコールの如
き、各種のポリエーテルポリオールのポリグリシジルエ
ーテル類;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌ
レ−トのポリグリシジルエーテル類;アジピン酸、ブタ
ンテトラカルボン酸、プロパントリカルボン酸、フタル
酸、テレフタル酸もしくはトリメリット酸の如き、各種
の脂肪族ないしは芳香族ポリカルボン酸のポリグリシジ
ルエステル類;
【0247】ブタジエン、ヘキサジエン、オクタジエ
ン、ドデカジエン、シクロオクタジエン、α−ピネンも
しくはビニルシクロヘキセンの如き、各種の炭化水素系
ジエンの種々のビスエポキシド類;ビス(3,4ーエポ
キシシクロヘキシルメチル)アジペートもしくは3,4
−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシ
クロヘキシルカルボキシレートの如き、各種の脂環式ポ
リエポキシ化合物;またはポリブタジエンもしくはポリ
イソプレンの如き、各種のジエンポリマーの種々のエポ
キシ化物;
【0248】「EX−612」〔ナガセ化成工業(株)
製の、ソルビトールポリグリシジルエーテルの商品
名〕;または「EGM−400」〔東レ・ダウコーニン
グ・シリコーン(株)製の、3−グリシドキシプロピル
を有する、環状のポリシロキサンの商品名〕;
【0249】あるいは前掲したような各種のエポキシ基
含有ビニル単量体の種々の単独重合体または此等のエポ
キシ基含有ビニル単量体を、該単量体と共重合可能な
る、それぞれ、(メタ)アクリル系、ビニルエステル
系、ビニルエーテル系、芳香族ビニル系もしくはフルオ
ロオレフィン系ビニル単量体類などと共重合せしめると
いうことによって得られるような、エポキシ基含有の、
それぞれ、アクリル系共重合体、ビニルエステル系共重
合体またはフルオロオレフィン系共重合体の如き、種々
のビニル系共重合体類などがある。
【0250】ポリシクロカーボネート化合物として特に
代表的なもののみを例示するにとどめれば、前掲したよ
うな各種のポリエポキシ化合物を、たとえば、触媒の存
在下に、二酸化炭素と反応せしめるということによっ
て、此のエポキシ基を、シクロカーボネート基に変換せ
しめることにより得られる5員環シクロカーボネート基
を有するポリシクロカーボネート化合物;あるいは前掲
したような各種のシクロカーボネート基を有するビニル
単量体の種々の単独重合体;
【0251】または此等のシクロカーボネート基含有ビ
ニル単量体を、該単量体と共重合可能なる、それぞれ、
(メタ)アクリル系、ビニルエステル系、ビニルエーテ
ル系、芳香族ビニル系もしくはフルオロオレフィン系ビ
ニル単量体類などと共重合せしめるということによって
得られるような、シクロカーボネート基含有の、それぞ
れ、アクリル系共重合体、ビニルエステル系共重合体ま
たはフルオロオレフィン系共重合体のような、種々のビ
ニル系共重合体類などがある。
【0252】アミノ樹脂として特に代表的なもののみを
例示するにとどめれば、メラミン、ベンゾグアナミン、
アセトグアナミン、尿素またはグリコウリルの如き、各
種のアミノ基含有化合物を、ホルムアルデヒドまたはア
セトアルデヒドの如き、各種のアルデヒド化合物(ない
しはアルデヒド供給物質)と反応せしめるということに
よって得られるような部類の、アルキロール基を有する
種々のアミノ樹脂;
【0253】あるいは斯かるアルキロール基を有するア
ミノ樹脂を、メタノール、エタノール、n−ブタノール
またはi−ブタノールの如き、各種の低級アルコールと
反応せしめて得られる、アルコキシアルキル基を有する
アミノ樹脂などがある。
【0254】また、1級ないしは2級アミド基含有化合
物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれ
ば、フッ素共重合体(a−3)を調製する際に使用され
るものとして既に例示したような、1級ないしは2級ア
ミド基を有する、種々のビニル単量体の単独重合体;
【0255】または此等の1級ないしは2級アミド基含
有ビニル単量体を、該単量体と共重合可能なる、それぞ
れ、(メタ)アクリル系、ビニルエステル系、ビニルエ
ーテル系、芳香族ビニル系またはフルオロオレフィン系
ビニル単量体類などと共重合せしめるということによっ
て得られるような、1級ないしは2級アミド基を有す
る、各種のアクリル系共重合体、ビニルエステル系共重
合体またはフルオロオレフィン系共重合体の如き、種々
のビニル系共重合体類などがある。
【0256】また、ポリカルボキシ化合物として特に代
表的なもののみを例示するにとどめれば、シュウ酸、マ
ロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバチン
酸、アゼライン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタ
ル酸、タルトロン酸、リンゴ酸、酒石酸またはクエン酸
などの低分子量の化合物などであり、さらに、
【0257】フッ素共重合体(a−1)を調製する際に
使用されるものとして既に例示したような、カルボキシ
ル基を有する、種々のビニル単量体の単独重合体;
【0258】または此等のカルボキシル基含有ビニル単
量体を、該単量体と共重合可能なる、それぞれ、(メ
タ)アクリル系、ビニルエステル系、ビニルエーテル
系、芳香族ビニル系またはフルオロオレフィン系ビニル
単量体類などと共重合せしめるということによって得ら
れるような、カルボキシル基を有する、各種のアクリル
系共重合体、ビニルエステル系共重合体またはフルオロ
オレフィン系共重合体の如き、種々のビニル系共重合体
類などがある。
【0259】ポリヒドロキシ化合物として特に代表的な
もののみを例示するにとどめれば、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ブチレングリコールもしく
はグリセリンなどの低分子化合物などであり、また、ポ
リエチレングリコールもしくはポリプロピレングリコー
ルなどであり、さらに、フッ素共重合体(a−3)を調
製する際に使用されるものとして既に例示したような、
水酸基を有する、種々のビニル単量体の単独重合体;
【0260】または此等の水酸基含有ビニル単量体を、
該単量体と共重合可能なる、それぞれ、(メタ)アクリ
ル系、ビニルエステル系、ビニルエーテル系、芳香族ビ
ニル系またはフルオロオレフィン系ビニル単量体類など
と共重合せしめるということによって得られるような、
水酸基を有する、各種のアクリル系共重合体、ビニルエ
ステル系共重合体またはフルオロオレフィン系共重合体
の如き、種々のビニル系共重合体類などがある。
【0261】当該化合物(B)を、水性フッ素樹脂(A
−I)または(A−II)に配合せしめる際に、当該化合
物(B)が水溶性のものであったり、或る程度の親水性
を有するものであるというような場合には、当該化合物
(B)が、水性フッ素樹脂(A−I)または(A−II)
の中に、均一に溶解ないしは均一に分散した形の組成物
として得ることが出来る。
【0262】しかしながら、当該化合物(B)の親水性
が低いというような場合には、水性フッ素樹脂(A−
I)または(A−II)と混合しても、均一に溶解ないい
しは分散した形の組成物を得ることが出来ない。このよ
うな場合には、種々の方法により、当該化合物(B)中
に、親水性基などを導入せしめるということによって、
当該化合物(B)の親水性を向上化せしめ、ひいては、
均一なる組成物を得ることが出来る。
【0263】当該化合物(B)が、それ自体、重合体で
あるというような場合には、当該化合物(B)として
は、それぞれ、無溶剤液状物、有機溶剤溶液、水溶液な
いしは水分散体のいずれの形態であっても使用するとい
うことができる。そして、当該化合物(B)がビニル重
合体であるという場合には、エマルジョン重合体として
使用するというのも好適である。
【0264】前記した水性フッ素樹脂(A−I)または
(A−II)と、当該化合物(B)とから成る水性硬化性
樹脂組成物を調製するに当たって、此の化合物(B)
が、珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子
に結合した加水分解性基を有する化合物であるという場
合には、水性フッ素樹脂(A−I)または(A−II)の
固形分の100重量部に対して、化合物(B)の固形分
量が、0.1〜200重量部なる範囲内、好ましくは
0.5〜150重量部なる範囲内、一層好ましくは1〜
100重量部なる範囲内となるように、此の化合物
(B)を配合せしめるようにすればよい。
【0265】また、化合物(B)が、一分子中に、イソ
シアネート基と珪素原子に結合した加水分解性基とを併
有する化合物であるとか、ポリイソシアネート化合物で
あるとか、ブロックポリイソシアネート化合物であると
いうような場合には、水性フッ素樹脂(A−I)または
(A−II)中に含まれる、イソシアネート基またはブロ
ックイソシアネート基と反応する官能基の1当量に対し
て、此の化合物(B)に含まれるイソシアネート基また
はブロックイソシアネート基の量が0.1〜10当量な
る範囲内、好ましくは0.3〜5当量なる範囲内、一層
好ましくは0.5〜2当量なる範囲内となるように、此
の化合物(B)を配合せしめるようにすればよい。
【0266】さらに、化合物(B)が、一分子中に、エ
ポキシ基と珪素原子に結合した加水分解性基とを併有す
る化合物、ポリエポキシ化合物あるいはポリシクロカー
ボネート化合物であるというような場合には、水性フッ
素樹脂(A−I)または(A−II)に含まれる、エポキ
シ基またはシクロカーボネート基と反応する官能基の1
当量に対して、此の化合物(B)中に含まれるエポキシ
基量および/またはシクロカーボネート基量の合計量
が、0.2〜5.0当量なる範囲内、好ましくは0.5
〜3.0当量なる範囲内、一層好ましくは0.7〜2当
量なる範囲内となるように、此の化合物(B)を配合せ
しめるようにすればよい。
【0267】さらに亦、化合物(B)がアミノ樹脂であ
るというような場合には、水性フッ素樹脂(A−I)ま
たは(A−II)の固形分の100重量部に対して、化合
物(B)の固形分量が、5〜200重量部なる範囲内、
好ましくは10〜150重量部なる範囲内、一層好まし
くは15〜100重量部なる範囲内となるように、配合
せしめるようにすればよい。
【0268】また、化合物(B)が1級ないしは2級ア
ミド基を含有する化合物であるというような場合には、
水性フッ素樹脂(A−I)または(A−II)に含まれ
る、1級ないしは2級アミド基と反応する官能基の1当
量に対して、化合物(B)中に含まれる1級ないしは2
級アミド基量が、0.2〜5.0当量なる範囲内、好ま
しくは0.5〜3.0当量なる範囲内、一層好ましくは
0.7〜2当量なる範囲内となるように、此の化合物
(B)を配合せしめるようにすればよい。
【0269】さらに、化合物(B)がポリカルボキシ化
合物であるというような場合には、水性フッ素樹脂(A
−I)または(A−II)に含まれる、カルボキシル基と
反応する官能基の1当量に対して、化合物(B)中に含
まれるカルボキシル基量が、0.2〜5.0当量なる範
囲内、好ましくは0.5〜3.0当量なる範囲内、一層
好ましくは0.7〜2当量なる範囲内となるように、此
の化合物(B)を配合せしめるようにすればよい。
【0270】さらに亦、化合物(B)がポリヒドロキシ
化合物であるというような場合には、水性フッ素樹脂
(A−I)または(A−II)に含まれる、ヒドロキシ基
と反応する官能基の1当量に対して、化合物(B)中に
含まれる水酸基量が、0.2〜5.0当量なる範囲内、
好ましくは0.5〜3.0当量なる範囲内、一層好まし
くは0.7〜2当量なる範囲内となるように、此の化合
物(B)を配合せしめるようにすればよい。
【0271】上述のようにして調製される、それぞれ、
水性フッ素樹脂(A−I)または(A−II)を必須成分
として含有するという形の、本発明に係る水性硬化性樹
脂組成物、あるいは、水性フッ素樹脂(A−I)または
(A−II)に、さらに、化合物(B)をも配合せしめた
形の、本発明に係る水性硬化性樹脂組成物は、着色顔料
を含まない形の、いわゆるクリヤーな組成物として使用
することが出来るし、また、種々の有機系あるいは無機
系の顔料を含有する着色組成物としても、使用すること
が出来る。
【0272】また、本発明の水性硬化性樹脂組成物に
は、さらに、硬化触媒、流動調整剤、染料、レベリング
剤、増粘剤、レオロジーコントロール剤、造膜助剤、紫
外線吸収剤、酸化防止剤または可塑剤などのような、種
々の添加剤類などをも配合せしめた形で、種々の用途に
利用し適用することが出来る。
【0273】こうした添加剤類のうち、硬化触媒として
特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、前記し
たようなポリシロキサン(a−2)を調製する際に使用
されるものとして既に掲げたような各種の触媒類を使用
することが出来るし、これらの既掲の触媒類に加えて、
テトラメチルホスホニウム塩、テトラエチルホスホニウ
ム塩、テトラプロピルホスホニウム塩、テトラブチルホ
スホニウム塩、トリメチル(2−ヒドロキシルプロピ
ル)ホスホニウム塩、トリフェニルホスホニウム塩また
はベンジルホスホニウム塩類などを使用することが出来
る。
【0274】かくして得られる、本発明に係る水性硬化
性樹脂組成物は、それを構成する水性フッ素樹脂(A−
I)または(A−II)の種類により、(B)成分の有無
により、あるいは(B)成分を添加した場合には、その
種類と量とにより、最適なる硬化条件は異なるけれど
も、通常は、室温で、3〜10日間程度のあいだ乾燥せ
しめるか、あるいは、80〜250℃の温度範囲で、3
0秒〜約2時間のあいだ焼き付けを行なうということに
よって、実用性の高い硬化物を得ることが出来る。
【0275】本発明に係る水性樹脂は、とりわけ、耐久
性などに極めて優れる硬化物を与えるものであるという
処から、該水性樹脂を必須の成分として含有する、本発
明に係る水性硬化性樹脂組成物は、主として、自動車上
塗り用塗料、PCM用塗料、建築外装用塗料あるいは建
材用塗料などの、種々の塗料用に利用し適用することが
出来る。特に、高耐候性を要求される用途として、壁材
あるいは屋根材のトップコートとして、最適である。さ
らには、接着剤用、インク用、繊維・紙の含浸剤用なら
びに表面処理剤用などとして、広範囲なる用途にも利用
し適用することも出来る。
【0276】
【実施例】次に、本発明を、参考例、実施例および比較
例により、一層、具体的に説明をすることにするが、本
発明は、決して、これらの例示例のみに限定されるもの
ではない。なお、以下において、部および%は、特に断
りの無い限り、すべて、重量基準であるものとする。
【0277】参考例1〔フッ素共重合体(a−1)の調
製例〕 内部が窒素ガスで置換された、内容積が3リットルなる
ステンレス製のオートクレーブに、イソプロパノール
(IPA)の910部と、メチルオルソフォーメイトの
10部と、マレイン酸モノブチル(MBM)の68部
と、酢酸ビニルの120部と、エチルビニルエーテル
(EVE)の352部と、ビニルトリス(β−メトキシ
エトキシ)シラン(VTMES)の60部と、重合開始
剤たるtert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサ
ノエート(TBPOEH)の50部とを仕込んだ。
【0278】次いで、ここへ、液化採取したクロロトリ
フルオロエチレン(CTFE)の400部を圧入せしめ
た。攪拌しながら、60℃で、15時間の間反応を続行
せしめることによって、不揮発分が51.2%なる、カ
ルボキシル基およびトリメトキシシリル基を併有する、
目的のフッ素共重合体の溶液を得た。以下、このフッ素
共重合体を(a−1−1)と略記する。
【0279】しかるのち、かくして得られたフッ素共重
合体(a−1−1)の溶液を、ヘプタン中に投入して、
共重合体を析出せしめ、引き続いて、析出した此のフッ
素共重合体を減圧乾燥せしめた。かくして得られたフッ
素共重合体の重量と、反応前に仕込んだ単量体の全重量
との比から算出した収率は96%であった。
【0280】また、このフッ素共重合体(a−1−1)
のポリスチレン換算の数平均分子量は10,000であ
り、アリザリン・コンプレクソン法によりフッ素含有率
を測定したところ、19.6%であることが確認され
た。
【0281】参考例2〔フッ素共重合体(a−3)の調
製例〕 単量体の種類と、それらの使用量とを、第1表(1−
1)に示すように変更した以外は、参考例1と同様に重
合を行なって、第1表(1−2)に示すような性状値を
有する、目的のフッ素共重合体(a−3)を得た。それ
らの重合体は、同第1表(1−2)に示すように略記を
する。
【0282】
【表1】
【0283】《第1表(1−1)の脚注》原料類の使用
割合を示す各数値は、いずれも、重量部数であるものと
する。
【0284】 MEF :フマル酸モノエチル VPv :ピバリン酸ビニル EVE :エチルビニルエーテル HBVE :ヒドロキシブチルビニルエーテル VTMES :ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン HFP :ヘキサフルオロプロピレン TBPOEH:tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート
【0285】
【表2】
【0286】参考例3(同上) 内部が窒素ガスで置換された、内容積が3リットルなる
ステンレス製のオートクレーブに、イソプロパノール
(IPA)の920部と、ヒドロキシブチルビニルエー
テル(HBVE)の100部と、エチルビニルエーテル
(EVE)の140部と、シクロヘキシルビニルエーテ
ル(CHVE)の150部と、ビニルトリメトキシシラ
ン(VTMS)の60部と、重合開始剤たるtert−
ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(TBP
OEH)の50部とを仕込んだ。
【0287】次いで、ここへ、液化採取したクロロトリ
フルオロエチレン(CTFE)の550部を圧入せしめ
た。攪拌しながら、60℃で、15時間の間反応を続行
せしめることによって、不揮発分が51.2%なる、ト
リメトキシシリル基を含有する、フッ素共重合体の溶液
を得た。該フッ素共重合体の溶液1000gに、無水コ
ハク酸の9gを加えて、さらに、トリエチルベンジルア
ンモニウムクロリドの1gを添加した。攪拌しながら、
110℃で、2時間の間反応を続行せしめることによっ
て、不揮発分が52.0%なる、カルボキシル基および
トリメトキシシリル基を含有する、目的のフッ素共重合
体の溶液を得た。以下、このフッ素共重合体を(a−3
−2)と略記する。
【0288】しかるのち、かくして得られたフッ素共重
合体(a−3−2)の溶液を、ヘプタン中に投入して、
共重合体を析出せしめ、引き続いて、析出した此のフッ
素共重合体を減圧乾燥せしめた。かくして得られたフッ
素共重合体の重量と、反応前に仕込んだ単量体の全重量
との比から算出した収率は95%であった。
【0289】また、このフッ素共重合体(a−3−2)
のポリスチレン換算の数平均分子量は11,000であ
り、アリザリン・コンプレクソン法によりフッ素含有率
を測定したところ、26.5重量%であることが確認さ
れた。
【0290】参考例4および5〔重合体(R−1)およ
び(R−2)の調製例〕 単量体の種類と、それらの使用量とを、第1表(2−
1)に示すように変更した以外は、参考例1と同様に重
合を行なって、第1表(2−2)に示すような性状値を
有する重合体(R−1)と(R−2)を得た。これら重
合体(R−1)と(R−2)は、比較対照用樹脂を調製
する際にそれぞれ使用する。
【0291】
【表3】
【0292】《第1表(2−1)の脚注》 MBM :マレイン酸モノブチル EVE :エチルビニルエーテル CTFE :クロロトリフルオロエチレン CHVE : シクロヘキシルビニルエーテル HBVE :ヒドロキシブチルビニルエーテル TBPOEH:tert−ブチルパーオキシ−2−エチ
ルヘキサノエート
【0293】
【表4】
【0294】参考例6〔比較対照用樹脂の調製例〕 温度計、還流冷却器、攪拌機および滴下漏斗を備えた反
応容器に、重合体(R−1)の1,311部を仕込ん
で、80℃にまで昇温した。
【0295】次いで、同温度で、トリエチルアミンの4
9部と、イオン交換水の1,001部との混合物を、3
0分間を要して滴下したのち、減圧蒸留で、溶剤である
イソプロパノールを除いて、不揮発分が42.3%で、
加水分解性シリル基不含の比較対照用の水性フッ素樹脂
を得た。以下、これを対照用樹脂1と略記する。
【0296】参考例7(同上) 重合体(R−2)をトルエンで希釈し、不揮発分が4
3.0%で、加水分解性シリル基と酸基が不含の比較対
照用の溶剤系フッ素樹脂を得た。以下、これを対照用樹
脂2と略記する。
【0297】実施例1 本例は、水性フッ素樹脂(A−I)の調製例を示すもの
である。温度計、還流冷却器、攪拌機および滴下漏斗を
備えた反応容器に、フェニルトリメトキシシランの35
4部およびイソプロパノールの365部を仕込んで、8
0℃にまで昇温した。
【0298】次いで、同温度で、「AP−3」〔大八化
学工業所(株)製の、イソプロピルアシッドホスフェー
トの商品名〕の2.9部と、イオン交換水の96部と
を、5分間を要して滴下し、同温度で4時間のあいだ攪
拌したのちに、核磁気共鳴分析( 1H−NMR)で以
て、フェニルトリメトキシシランの加水分解が100%
進行していることを確認した。
【0299】しかるのち、フッ素共重合体(a−1−
1)の1,480部を添加し、同温度で4時間のあいだ
攪拌して、ポリシロキサン(フェニルトリメトキシシラ
ンの加水分解物)とフッ素共重合体(a−1−1)との
縮合物を調製した。この縮合物を、1H−NMRで分析
した処、此のフッ素共重合体(a−1−1)に含まれて
いたトリス(β−メトキシエトキシ)シリル基の加水分
解が100%進行していることが判明した。
【0300】次いで、同温度で、トリエチルアミンの5
5部と、イオン交換水の1,485部との混合物を、3
0分間かけて滴下したのち、減圧蒸留でメタノール、イ
ソプロパノールなどのアルコール類を除いて、不揮発分
が44.9%なる目的水性樹脂を得た。以下、これを
(A−I−1)と略記する。
【0301】しかるのち、此の水性フッ素樹脂(A−I
−1)を、40℃に、1ヶ月間のあいだ保存したが、保
存後の水性フッ素樹脂において、ゲル化や、沈殿物の析
出などの異常は全く認められずに、此の水性フッ素樹脂
(A−I−1)は、極めて、保存安定性に優れるもので
あるということが判明した。
【0302】実施例2〜4 この諸例も亦、水性フッ素樹脂(A−I)の調製例を示
すものである。ポリシロキサン(a−2)を合成するた
めの珪素化合物の種類と、その量ならびに溶剤、触媒お
よび水の使用量とを、そして、フッ素共重合体(a−
1)の種類と、その使用量とを、さらには亦、中和反応
の際の塩基性化合物の使用量と、水の使用量とを、第2
表(1−1)に示すように変更した以外は、実施例1と
同様に縮合反応、中和反応ならびに水性化を行なって、
同表に示すような性状値を有する、各種の水性フッ素樹
脂(A−I)を得た。それらの水性フッ素樹脂は、同表
に示すように略記をする。
【0303】
【表5】
【0304】《第2表(1−1)の脚注》原料類の使用
割合を示す各数値は、いずれも、重量部数であるものと
する。
【0305】 PTMS :フェニルトリメトキシシラン DMDMES :ジメチルジメトキシシラン MTES :メチルトリエトキシシラン SH−6018 :東レ・ダウコーニング・シリコー
ン(株)製の、シラノール基含有ポリシロキサンの商品
【0306】「保存安定性」は、上記のように調製され
た、それぞれの水性フッ素樹脂を、40℃に1ヵ月間の
あいだ保存をして、保存後の水性フッ素樹脂において、
保存前には認められなかった、それぞれ、ゲル化や沈澱
物の析出などの、いわゆる異状が無いかどうかを確認し
た、それらの結果を示しているものである。
【0307】実施例5および6 これらの諸例は、水性フッ素樹脂(A−II)の調製例を
示すものである。ポリシロキサン(a−2)を合成する
ための珪素化合物の種類と、その使用量ならびに溶剤、
触媒および水の使用量とを、そして、フッ素共重合体
(a−3)の種類と、その使用量とを、さらには亦、中
和反応の際の塩基性化合物の使用量と、水の使用量と
を、第2表(1−2)に示すように変更した以外は、実
施例1と同様にして、縮合反応、中和反応ならびに水性
化を行なって、同表に示すような性状値を有する、各種
の水性フッ素樹脂(A−II)を得た。それらの水性樹脂
は、同表に示すように略記をする。
【0308】
【表6】
【0309】《第2表(1−2)の脚注》原料類の使用
割合を示す各数値は、いずれも、重量部数であるものと
する。
【0310】 PTMS :フェニルトリメトキシシラン
【0311】「保存安定性」は、上記のように調製され
た、それぞれの水性フッ素樹脂を、40℃に1ヵ月間の
あいだ保存をして、保存後の水性フッ素樹脂において、
保存前には認められなかった、それぞれ、ゲル化や沈澱
物の析出などの、いわゆる異状が無いかどうかを確認し
た、それらの結果を示しているものである。
【0312】実施例7〜14および比較例1〜2 まず、水性フッ素樹脂(A−I)、水性フッ素樹脂(A
−II)、対照用樹脂1又は対照用樹脂2の一部と、顔料
と、エチレングリコールモノブチルエーテル(EGMB
E)との混合物を、サンドミルを使用して分散せしめ、
顔料重量濃度(PWC)が60%なる、各種のミルベー
スを調製せしめ、次いで、それぞれのミルベースに、水
性フッ素樹脂(A−I)または(A−II)の残りの全量
を添加して、混合せしめるということによって、各種の
白色ベースを調製した。
【0313】そして、それぞれの白色ベースに対して、
水と、必要に応じて、化合物(B)とを配合せしめると
いうことによって、PWCが35%なる、各種の白色塗
料を調製した。
【0314】上記のように調製される、それぞれの白色
塗料に使用した、水性フッ素樹脂(A−I)、水性フッ
素樹脂(A−II)、対照用樹脂1又は対照用樹脂2、顔
料、エチレングリコールモノブチルエーテル(EGMB
E)および化合物(B)の使用比率は、第3表(1−
1)、第3表(2−1)または第3表(3−1)に示す
通りである。
【0315】かくして得られた、それぞれの白色塗料
を、予め、塩素化ポリオレフィン系の塗料が塗装され、
十分に乾燥されたスレート板上に、乾燥膜厚が約40マ
イクロ・メーター(μm)となるように、アプリケータ
ーで塗布し、第3表(1−2)、第3表(2−2)また
は第3表(3−2)に示すような硬化条件で以て、各種
の硬化塗膜を得た。
【0316】此処において得られた、本発明に係る水性
硬化性樹脂組成物を用いた、それぞれの塗膜についての
諸性能の評価判定を行なった。それらの結果は、まとめ
て第3表(1−2)、第3表(2−2)または第3表
(3−2)に示す。
【0317】
【表7】
【0318】《第3表(1−1)の脚注》原料類の使用
割合を示す各数値は、いずれも、重量部数であるものと
する。
【0319】CR−97:「タイペーク CR−97」
の略記であって、石原産業(株)製の、ルチル型酸化チ
タンの商品名。 EGMBE:エチレングリコールモノブチルエーテル
【0320】
【表8】
【0321】《第3表(1−2)の脚注》「耐候性」
は、サンシャイン・ウエザオメーターによる、4,00
0時間に及ぶ曝露を行なったのちの、塗膜の60度鏡面
反射率(%)なる光沢値を、未曝露時における、塗膜の
同上の光沢値で以て除して、それを、100倍した値
(光沢保持率:%)を表示したものである。その値が大
きいほど、耐候性が良好であるということを示してい
る。
【0322】「耐汚染性」は、屋外において、6ヵ月間
に及ぶ曝露を行なったのちの塗膜と、未曝露時の塗膜と
の色差△Eを表示したものである。その値が、0に近い
ほど、耐汚染性が良好であるということを示している。
【0323】
【表9】
【0324】《第3表(2−1)の脚注》原料類の使用
割合を示す各数値は、いずれも、重量部数であるものと
する。
【0325】DN−950:「バーノック DN−95
0」の略記であって、大日本インキ化学工業(株)製
の、イソシアネート・プレポリマーの商品名
【0326】
【表10】
【0327】
【表11】
【0328】《第3表(3−1)の脚注》原料類の使用
割合を示す各数値は、いずれも、重量部数であるものと
する。
【0329】S−695 :「ウーターゾール S−
695」の略記であって、大日本インキ化学工業(株)
製の、メチルエーテル化メチロールメラミン樹脂水溶
液;66%の商品名 KP−392:信越化学工業(株)製の、3−グリシド
キシプロピルトリメトキシシランの部分加水分解縮合物
【0330】
【表12】
【0331】実施例15〜22 本例は、各種の水性フッ素樹脂についての、とりわけ、
保存安定性の評価判定を行なっているものである。実施
例1〜6において得られた、各種の水性フッ素樹脂(A
−I)および(A−II)を、40℃に1ヵ月間のあいだ
保存せしめたのち、実施例7〜14と同様の方法で以
て、各種の白色ベースを調製し、水を、さらに必要に応
じて、化合物(B)をも配合せしめるということによっ
て、PWCが35%なる各種の白色塗料を調製した。
【0332】次いで、実施例7〜14と同様の方法で以
て、それぞれの白色塗料を試験塗板上に塗布せしめ、し
かるのち、同表に示すような硬化条件で以て硬化せしめ
るということによって、各種の硬化塗膜を得た。
【0333】此処において得られた、40℃に1ヵ月間
のあいだ保存したのちの水性フッ素樹脂より調製された
白色ベースを含有する、本発明に係る水性硬化性樹脂組
成物を用いた、それぞれの塗膜は、いずれも、その諸性
能が、第3表(1−2)、第3表(2−2)または第3
表(3−2)に示す実施例7〜14の結果と、殆ど差異
が認められなかった。
【0334】此等の各事実から、水性フッ素樹脂(A−
I)および(A−II)は、とりわけ、保存安定性に優れ
るというものであると判断される。
【0335】
【発明の効果】本発明の製造法で得られる水性フッ素樹
脂は、とりわけ、優れた保存安定性を有するというもの
であり、こうした水性フッ素樹脂を必須の成分として含
有する、本発明に係る水性硬化性樹脂組成物は、とりわ
け、曝露時の光沢保持性と耐雨垂れ汚染性に優れる硬化
塗膜を形成することの出来る、特に、被覆用組成物とし
て、極めて実用性の高いものである。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加水分解性シリル基および酸基を併有す
    るフッ素共重合体(a−1)と、珪素原子に結合した水
    酸基および/または珪素原子に結合した加水分解性基を
    有するポリシロキサン(a−2)とを縮合反応させたの
    ち、塩基性化合物で以て部分中和ないし完全に中和せし
    めて得られるフッ素樹脂(A−1)を、水に分散ないし
    は溶解せしめることを特徴とする水性フッ素樹脂の製造
    法。
  2. 【請求項2】 前記したフッ素共重合体(a−1)が、
    フルオロオレフィンを必須の成分として含有するフッ素
    共重合体である請求項1記載の製造法。
  3. 【請求項3】 前記したフッ素共重合体(a−1)が、
    テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレ
    ン、ヘキサフルオロプロピレンおよびフッ化ビニリデン
    よりなる群から選ばれる、少なくとも1種のフルオロオ
    レフィンを必須の成分として含有するフッ素共重合体で
    ある請求項1記載の製造法。
  4. 【請求項4】 加水分解性シリル基および酸基なる両基
    と、これらの加水分解性シリル基および酸基なる両基以
    外の官能基とを併有するフッ素共重合体(a−3)と、
    珪素原子に結合した水酸基および/または珪素原子に結
    合した加水分解性基を有するポリシロキサン(a−2)
    とを縮合反応させたのち、塩基性化合物で以て部分中和
    ないし完全に中和せしめて得られるフッ素樹脂(A−
    2)を、水に分散ないしは溶解せしめることを特徴とす
    る水性フッ素樹脂の製造法。
  5. 【請求項5】 前記したフッ素共重合体(a−3)が、
    フルオロオレフィンを必須の成分として含有するフッ素
    共重合体である請求項4記載の製造法。
  6. 【請求項6】 前記したフッ素共重合体(a−3)が、
    テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレ
    ン、ヘキサフルオロプロピレンおよびフッ化ビニリデン
    よりなる群から選ばれる、少なくとも1種のフルオロオ
    レフィンを必須の成分として含有するフッ素共重合体で
    ある請求項4記載の製造法。
  7. 【請求項7】 前記した加水分解性シリル基および酸基
    なる両基以外の官能基が、水酸基、ブロックされた水酸
    基、3級アミノ基、シクロカーボネート基、エポキシ
    基、1級アミド基、2級アミド基、カーバメート基およ
    び次のような構造式(S−I) 【化1】 で示される官能基よりなる群から選ばれる、少なくとも
    1種の官能基である請求項4、5または6記載の製造
    法。
  8. 【請求項8】 前記した、珪素原子に結合した水酸基お
    よび/または珪素原子に結合した加水分解性基を有する
    ポリシロキサン(a−2)が、一分子中に少なくとも2
    個の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化
    合物を必須成分とする珪素化合物類の加水分解縮合物な
    いしは部分加水分解縮合物である請求項1〜7のいずれ
    か1つに記載の製造法。
  9. 【請求項9】 前記した、一分子中に少なくとも2個
    の、珪素原子に結合した加水分解性基を有する珪素化合
    物が、テトラアルコキシシラン、オルガノトリアルコキ
    シシラン、ジオルガノジアルコキシシラン、それらの部
    分加水分解縮合物および其の部分共加水分解縮合物より
    なる群から選ばれる、少なくとも1種のアルコキシシラ
    ンである請求項8記載の製造法。
  10. 【請求項10】 前記した、珪素原子に結合した水酸基
    および/または珪素原子に結合した加水分解性基を有す
    るポリシロキサン(a−2)中の、珪素原子に結合した
    加水分解性基が、珪素原子に結合したアルコキシ基であ
    る請求項1〜9のいずれか1つに記載の製造法。
  11. 【請求項11】 前記したフッ素共重合体(a−1)中
    の加水分解性シリル基が、アルコキシシリル基である請
    求項1〜10のいずれか1つに記載の製造法。
  12. 【請求項12】 請求項1〜11のいずれか1つに記載
    の製造法で得られる水性フッ素樹脂を必須の成分として
    含有することを特徴とする水性硬化性樹脂組成物。
  13. 【請求項13】 請求項1〜11のいずれか1つに記載
    の製造法で得られる水性フッ素樹脂と、該水性フッ素樹
    脂に含まれる官能基と反応する官能基を有する化合物
    (B)とを、必須の成分として含有することを特徴とす
    る水性硬化性樹脂組成物。
  14. 【請求項14】 前記した化合物(B)が、珪素原子に
    結合した水酸基および/または珪素原子に結合した加水
    分解性基を有する化合物、一分子中にイソシアネート基
    と珪素原子に結合した加水分解性基とを併有する化合
    物、一分子中にエポキシ基と珪素原子に結合した加水分
    解性基とを併有する化合物、ポリイソシアネート化合
    物、ブロックポリイソシアネート化合物、ポリエポキシ
    化合物、ポリシクロカーボネート化合物、アミノ樹脂、
    1級ないしは2級アミド基含有化合物、ポリカルボキシ
    化合物およびポリヒドロキシ化合物よりなる群から選ば
    れる、少なくとも1種の化合物である請求項13記載の
    水性硬化性樹脂組成物。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009142074A1 (ja) * 2008-05-22 2009-11-26 Dic株式会社 水性複合樹脂組成物、それを含むコーティング剤、及びそれを用いた積層体
JP2010090367A (ja) * 2008-09-09 2010-04-22 Dic Corp 金属用コーティング剤
JP2010196034A (ja) * 2009-01-30 2010-09-09 Dic Corp プラスチック基材用コーティング剤及びそれを用いた積層体

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JP2010090367A (ja) * 2008-09-09 2010-04-22 Dic Corp 金属用コーティング剤
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