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JPH11204847A - 積層型圧電アクチュエータ - Google Patents

積層型圧電アクチュエータ

Info

Publication number
JPH11204847A
JPH11204847A JP10002032A JP203298A JPH11204847A JP H11204847 A JPH11204847 A JP H11204847A JP 10002032 A JP10002032 A JP 10002032A JP 203298 A JP203298 A JP 203298A JP H11204847 A JPH11204847 A JP H11204847A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
piezoelectric actuator
piezoelectric element
laminated
metal plate
laminate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10002032A
Other languages
English (en)
Inventor
Mikiya Shinohara
原 幹 弥 篠
Satoshi Ichikawa
川 聡 市
Katsuhiko Onizuka
塚 克 彦 鬼
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyocera Corp
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Kyocera Corp
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyocera Corp, Nissan Motor Co Ltd filed Critical Kyocera Corp
Priority to JP10002032A priority Critical patent/JPH11204847A/ja
Publication of JPH11204847A publication Critical patent/JPH11204847A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • General Electrical Machinery Utilizing Piezoelectricity, Electrostriction Or Magnetostriction (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 内部および外部電極間の絶縁信頼性を確保
し、圧電素子の面積利用効率が高い積層型圧電アクチュ
エータを提供する。 【解決手段】 板状の圧電素子2と電気接続片3Eをそ
なえた金属板3とを交互に重ね合わせた積層体4の構造
を有し、ひとつ置きの金属板3の電気接続片3Eをそれ
ぞれ同一の方向に圧電素子2,2間より突出させ、同一
の方向に突出した電気接続片3Eを電気的に接続して外
部電極6A,6Bとするとともに、前記積層体4の表面
に樹脂被覆を施してなる積層型圧電アクチュエータ1に
おいて、前記積層体4は前記外部電極6A,6Bを角部
に設けた四角柱形状をなす。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、縦効果を利用した
積層型圧電アクチュエータに係わり、例えば、自動車用
エンジンの燃料噴射弁、光学装置等の精密位置決め機
構、防振台の除振マウント等のアクチュエータとして使
用される積層型圧電アクチュエータに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】電歪効果を応用して大きな変位量を得る
ために、圧電セラミックス板と内部電極層とを交互に積
層した積層型の圧電アクチュエータの構造が提案されて
いる。このような構造の積層型圧電アクチュエータとし
ては、例えば、特開昭62−299093号公報に記載
されたものがあり、図11に示すような構造のものとな
っている。
【0003】すなわち、この積層型圧電アクチュエータ
101は、あらかじめ焼成・加工されていると共に両面
にAg等の(積層後は内部電極として機能する)焼成電
極102を形成した圧電素子103と、例えば、ステン
レス鋼等よりなり且つ120°間隔で3つの電気接続片
104Eをそなえた金属板104とを交互に重ね合わせ
た積層体105の構造を有し、圧電素子103を挟んで
互いに隣り合う金属板104は垂直軸周りに位相が約6
0°ずれて配置されている。したがって、ある一つの金
属板104の3つの電気接続片104Eが、隣り合う他
の金属板104の3つの電気接続片104Eのそれぞれ
の間に位置するものとしている。そして、各金属板10
4のうち同位相にある金属板104、すなわちひとつ置
きに位置している金属板104の電気接続片104E
は、一方の外部電極106Aとなる帯状金属板および他
方の外部電極106Bとなる帯状金属板にそれぞれ溶接
または半田付けする等して互いに電気的に接続された構
造をなしている。
【0004】このような構造において、帯状金属板から
なる外部電極106A,106Bに電圧を印加すること
によって、個々の圧電素子103に電界が印加され、各
圧電素子103が歪を発生して軸方向に変位することに
よって、アクチュエータとして機能する。
【0005】このような構造をなす積層型圧電アクチュ
エータは、特開昭59−175176号公報に記載され
ているような圧電素子と内部電極の焼成を積層後に同時
に行うタイプの積層型圧電アクチュエータに比べて、大
型のアクチュエータの製造が容易であるというメリット
があり、主に、断面の直径が10mm以上の積層型圧電
アクチュエータに用いられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来の技術においては、次のような問題点があった。
【0007】すなわち、内部電極102としてAg等の
エレクトロマイグレーションを引き起こし易い材料を使
用するため、湿度の高い環境下で駆動させた場合、電界
が集中する内部電極102と外部電極106との間でA
gがエレクトロマイグレーションを発生し、ショートに
よる破損が発生しやすくなる。そのため、内部電極とな
る焼き付け電極102を圧電素子103の全平面に形成
せず、圧電素子周辺部に幅1mm以上の余白を残す必要
があった。
【0008】しかし、この方法では、圧電素子103の
全面積に対して、実際に変位を発生する部分の面積が小
さくなり、圧電素子103の単位面積あたりの発生力は
一定であるので、結局、発生力が低下するという問題が
あった。
【0009】そこで、内部電極102の面積を極力拡大
して発生力の効率を改良することも考えられるが、この
ようにした場合に生じる問題を解決するためには、エレ
クトロマイグレーションを発生しにくいPtやPd等を
内部電極材料として使用するか、積層体105の側面を
エポキシ等の樹脂で被覆して、水分が積層体側面の内部
電極102と外部電極106との間の圧電素子表面に浸
入するのを防止する手段がある。
【0010】しかし、PtやPdはAgより材料コスト
が高く、樹脂被覆に関しても、側面を樹脂で被覆した積
層型圧電アクチュエータを作動させると、樹脂被覆に部
分的な剥離を生じる場合があり、剥離が外部電極の近傍
で発生すると、積層体側面と樹脂被覆との境界にできた
隙間に水分が浸入し、Ag電極がエレクトロマイグレー
ションを発生し、ショートによる破損が起こりやすくな
るという問題があった。
【0011】
【発明の目的】本発明は、このような従来の課題に鑑み
てなされたものであって、積層型圧電アクチュエータの
側面に施す樹脂被覆の密着力を上げることにより、積層
型圧電アクチュエータの動作時における樹脂被覆の剥離
を防止し、Ag等の安価な焼成電極を使用しながら、内
部および外部電極間の絶縁信頼性を確保し、圧電素子の
面積利用効率が高い積層型圧電アクチュエータを提供す
ることを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる積層型圧
電アクチュエータは、請求項1に記載しているように、
板状の圧電素子と電気接続片をそなえた金属板とを交互
に重ね合わせた積層体の構造を有し、ひとつ置きの金属
板の電気接続片をそれぞれ同一の方向に圧電素子間より
突出させ、同一の方向に突出した電気接続片を電気的に
接続して外部電極とするとともに、前記積層体の表面に
樹脂被覆を施してなる積層型圧電アクチュエータにおい
て、前記積層体は前記外部電極を角部に設けた多角柱形
状をなし、且つ前記外部電極を設けた角部の内角が14
5°以下である構成としたことを特徴としている。
【0013】そして、本発明に係わる積層型圧電アクチ
ュエータの実施態様においては、請求項2に記載してい
るように、積層体の端部には平行な端面を有し且つ圧電
素子と同質材料からなるセラミックス板をそなえている
ものとしたことを特徴としている。
【0014】
【発明の作用】本発明による積層型圧電アクチュエータ
は、従来の積層型圧電アクチュエータにおいて、樹脂被
覆の積層体側面への密着力を以下のように考察すること
によりなされた。
【0015】樹脂被覆の下地への密着力は、樹脂が下地
表面の微細形状になじんで接着する他に、樹脂被覆内の
残留応力が寄与しているものと推測される。すなわち、
図11に示したような円柱形状の積層型圧電アクチュエ
ータの側面を樹脂被覆で覆う場合、積層体の側面に樹脂
を被覆したのち加熱処理により樹脂を硬化させる。
【0016】この加熱硬化時において、被覆された樹脂
は収縮し、樹脂被覆内に引張応力が発生する。この引張
応力の発生により、樹脂被覆が積層体側面に対して、あ
る圧力で収縮しようとする作用を発生させ、密着力に寄
与していると考えられる。いま、樹脂被覆に引張応力σ
が発生して、積層体側面に圧力Pが作用しているとする
と、図11に示した円柱状側面を覆っている樹脂被覆の
圧力Pは、次のように見積もられる。
【0017】すなわち、図9(A)に示すように、円柱
形状の積層体105の表面を覆っている樹脂被覆108
は、その端面方向から見ると図9(B)に示すような円
筒断面形状になっている。この円筒断面を図9(C)に
示すようにx軸で2分し、この半分について2分した面
に垂直なy方向の力の平衡を考える(断面方向は単位長
さであるとする)。
【0018】つまり、2分した部位に作用している応力
σ(y方向、樹脂被覆内の残留応力に等しい)と、樹脂
被覆の微小領域rdθに作用する圧力は反力P(圧力
と同じ大きさ)のy方向成分Prdθsinθが平
衡していると考え、 となる。従って、円柱状の積層体側面に樹脂を被覆した
のち加熱硬化させた場合、樹脂の収縮による被覆内引張
応力σの密着力への寄与は、全円周で均一であり、
(2)式のように見積もられる。
【0019】そこで、図10(A)に示すように積層体
(105)を角柱形状とし、角部に外部電極(106)
を設け、樹脂被覆(108)の加熱硬化時の収縮による
応力を積極的に外部電極(106)の部位に集中させる
ことにより、円柱形状の積層体側面の場合よりも、外部
電極部位の密着力を向上させる手段が考えられる。
【0020】角柱形状の積層体側面に形成した樹脂被覆
が加熱硬化時の収縮により発生する応力σによって、角
部に発生する密着力成分Fは、図10(B)に示すよう
に角部の内角をαとすると2σcos(α/2)となる
から(断面深さ方向は単位長さ)、外部電極(106)
の幅がWであるとすると、外部電極部位の密着圧力P
は近似的に P=F/W=(2σcos(α/2))/W ・・・(3) と考えられる。従って、P>Pとなるように、外部
電極部位の内角を設定すれば、外部電極部位の樹脂被覆
の密着力を円柱形状の積層体の場合よりも向上させるこ
とができる。そして、外部電極(106)の幅Wを実施
例に記載した理由により3mm以下、従来の円柱形状の
積層体の半径rは前記のごとく10mm以上であるの
で、(2),(3)式より、望ましくはα<145°に
設定すれば良いこととなる。
【0021】
【発明の効果】本発明による積層型圧電アクチュエータ
では、請求項1に記載しているように、板状の圧電素子
と電気接続片をそなえた金属板とを交互に重ね合わせた
積層体の構造を有し、ひとつ置きの金属板の電気接続片
をそれぞれ同一の方向に圧電素子間より突出させ、同一
の方向に突出した電気接続片を電気的に接続して外部電
極とするとともに、前記積層体の表面に樹脂被覆を施し
てなる積層型圧電アクチュエータにおいて、前記積層体
は前記外部電極を角部に設けた多角柱形状をなし、且つ
前記外部電極を設けた角部の内角が145°以下である
ものとしたから、積層体側面に樹脂被覆を設ける場合で
あっても、樹脂の硬化時の収縮による応力を積極的に外
部電極部位に集中させることができ、円柱形状の積層体
側面の場合よりも外部電極部位の密着力をさらに向上さ
せることが可能であって、内部電極と外部電極との間で
の絶縁耐久性をより一層良好なものとすることが可能で
あり、積層体側面の内部電極と外部電極との間の圧電素
子表面に水分が浸入するのを防止することができ、湿度
の高い環境下で使用したときでも内部電極と外部電極と
の間で短絡を防ぐことが可能であると共に、圧電素子の
全面積に対して内部電極の面積を従来よりも広くして、
圧電素子周辺部の余白を減らすことができ、アクチュエ
ータとしての発生力をさらに改善することが可能である
という著しく優れた効果がもたらされる。
【0022】そして、請求項2に記載しているように、
積層体の端部には平行な端面を有し且つ圧電素子と同質
材料からなるセラミックス板をそなえているものとする
ことによって、この圧電板を適宜加工することにより積
層体の端面における平行度がより一層向上した積層型圧
電アクチュエータとすることが可能であるという著しく
優れた効果がもたらされる。
【0023】
【発明の実施形態】次に、本発明の実施形態について、
図面を参照して説明する。
【0024】図1ないし図4は本発明に係る積層型圧電
アクチュエータの実施形態を示すものであって、この積
層型圧電アクチュエータ1は、板状の圧電素子2と金属
板3とを交互に重ね合わせることによって積層体4の構
造を有するものとなっている。
【0025】この圧電素子2と金属板3との間には導電
性接着層5が介在させてあり、両者を接合するとともに
圧電素子2の表面と金属板3とを電気的に接続してい
る。そして、圧電素子2と金属板3は、四角形状をなし
ており、金属板3は四角形状の角部の対向する2カ所に
電気接続片3Eをそなえている。
【0026】そして、圧電素子2と金属板3とを交互に
重ね合わせて積層体4を構成する際に、金属板3の対向
する電気接続片3Eは、隣の金属板3の電気接続片3E
との関係において異なる角部に位置するものとしてお
り、ひとつ置きの金属板3において電気接続片3Eが同
じ角部に来るように配置される。
【0027】このようにして金属板3の電気接続片3E
をひとつ置きに同じ向きにして配置することにより、積
層された金属板3はひとつ置きに同じ電圧を印加するこ
とができるようになっている。この場合、積層体4の側
面角部より突出した金属板3の電気接続片3Eは角部に
沿って下方に折り曲げられ、溶接や半田等により電気的
に接続されて外部電極6A,6Bを構成するようになっ
ている。
【0028】また、外部電極6A,6Bと積層体4との
間の空隙や、積層体4外周の圧電素子2との間の部分
で、導電性接着層5や金属板四角形部の端部が露出する
部分は、樹脂被覆8によって被覆されるものとしてお
り、導電性接着層5中の導電性材料がエレクトロマグレ
ーションを生ずるのを防止している。
【0029】さらに、外部電極6A,6Bには、リード
線9A,9Bが接続され、リード線9A,9Bに電圧を
印加することによって、積層体内の個々の圧電素子2に
電圧が印加されるようになっており、積層体4の端部に
は平行な端面を有し且つ前記圧電素子2と同一材料から
なるセラミックス板11,12が接着剤により接合して
ある。
【0030】本発明に係る積層型圧電アクチュエータ1
の構成要素である圧電素子2は、例えば、チタン酸ジル
コン酸鉛(PbZrO−PbTiO:PZT)を主
成分とする焼結体が使われるが、圧電性を有するセラミ
ックスであれば良く、圧電定数d33の大きなものを使
うことが望ましい。そして、この圧電素子2の形状は、
多角形をなすものであり、大型の素子から積層体を製造
できる本構成のメリットを活かし、かつ、圧電素子2の
製造歩留りが悪化しない程度の大きさにとどめる必要
上、φ10〜20mm程度の円と同等の面積を有する大
きさであるものとすることが望ましい。また、本発明の
積層型圧電アクチュエータ1では、あらかじめ焼結した
圧電素子を積層するため、圧電素子の厚さは、この圧電
素子を板状に成形・焼結するにせよ、ブロック体を焼結
後板状に切り出し加工するにせよ、0.2mm以上の厚
さとするのが現実的であるが、厚すぎると高い駆動電圧
が必要になり、電源が高価になるため、0.6mm以下
の厚さとすることが望ましい。
【0031】金属板3は、電気抵抗が低く後述する導電
性接着剤の焼成温度より融点の高いものであることが望
ましく、例えば、銀、真鍮、銅、燐青銅、ステンレス鋼
等が望ましく、厚さは、金属板自体の弾性変形が積層型
圧電アクチュエータの発生歪量(変位量)に影響を与え
ないよう、なるべく薄いものとするのが望ましく、数十
μm程度のものとするのが望ましい。また、金属板3の
形状は、圧電素子2と相似形状である多角形部の角部の
対向する2ケ所に電気接続片3Eをそなえたものであ
り、多角形部は積層体4への組み立て時に、積層体4の
側面からはみ出して外部電極6と接触することがないよ
う、最低限の余裕を持たせる必要があり、圧電素子2に
重ねた状態で、金属板3の周囲に圧電素子2が幅0.3
mm以上の余白を生じる大きさであることが望ましい。
【0032】また、電気接続片3Eの幅は、容易に溶接
または半田付けが可能な広さがあり、また、積層体4の
角部で樹脂被覆8の応力が集中する部位に設置される関
係上、積層体側面の全周長さより十分小さいことが望ま
しい。従って、電気接続片3Eの幅は、1〜3mm程度
が望ましい。
【0033】圧電素子2は、前述のように多角形である
が、外部電極6の設置部位となる角部の内角は、当該部
位における樹脂被覆8の接着力が、同等の断面積を有す
る円柱形状の圧電アクチュエータより大きくなる範囲と
され、前記(2)、(3)式に1mm<W<3mm、1
0/2mm<r<20/2mmを代入して求められるよ
うに、145°以下とすることが望ましい。
【0034】導電性接着層5は、導電性接着層用ペース
トを圧電素子2の両面に塗布・乾燥することにより形成
され、印刷誤差により圧電素子2の側面に達しないよ
う、圧電素子2の周囲に0.3mm程度の余白を残して
形成されることが望ましい。この導電性接着層用ペース
トは、Ag等の金属粉末とガラス粉末を含有し、金属板
3が溶融しない温度(300〜600℃程度)でかつガ
ラス粉末が溶融する温度で焼成されることが望ましく、
ガラス粉末としては例えばPbO−SiO−B
を主成分とするものが望ましい。
【0035】樹脂被覆8は、例えば200℃以下の温度
で加熱硬化処理を行うことが可能であって、硬化収縮す
る性質のもの(例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂
等)を用いる。
【0036】
【実施例】(実施例1)図1ないし図4に示した本発明
の第1実施例による積層型圧電アクチュエータ1を製造
するに際し、まず、圧電アクチュエータ用材料として適
している正方形のPZT系焼結体の両面をラッピング研
磨して、一辺の長さ12.6mm、厚さ0.3mmの圧
電セラミック板(圧電素子2)を製造した。
【0037】次に、この圧電素子2の両面に、Ag等の
金属粉末とガラス粉末を含有する接着剤ペーストを、圧
電素子2の周辺部に幅0.3mmの余白を残して印刷乾
燥して厚さ10μmの厚膜とし、520℃で焼成して内
部電極を形成した。
【0038】一方、厚さ25μmのAg薄板を図3に示
すように、対向する2個所の角部に2×4mmの電気接
続片3Eを有する一辺長さ12mmの正方形に打ち抜く
ことによって金属板3を製造した。
【0039】そして、圧電素子2を100枚用いて、図
4に示すように、圧電素子2と金属板3とを交互に重ね
合わせ、金属板3の電気接続片3Eが一層おきに同じ位
置に来るように、90度ずつずらして配置された積層体
4を組み上げた。
【0040】そして、積層体4の上下端には、圧電素子
2と同じ正方形状でかつ金属板3と接着する面に圧電素
子2に印刷したのと同じ接着剤ペーストを予め印刷焼成
したセラミックス板11,12を積層した。次いで、こ
のようにして組み上げた積層体4を適切な荷重で加圧し
ながら、600℃,30分の加熱処理を行って接着剤を
溶融させることにより接合一体化した。
【0041】次に、図2に示すように、積層体4の外部
に突出した電気接続片3Eを積層体4の軸方向に下方に
折り曲げ、同じ角部で突出している電気接続片3Eを半
田により接合して外部電極6を形成した。
【0042】このようにして積層体4の外周角部の4個
所に外部電極6を形成することにより、積層体4を構成
する100枚の金属板3は、一方の外部電極6Aにより
電気的に接続された50枚の金属板3の組と、他方の外
部電極6Bにより電気的に接続されかつ前記50枚の金
属板3とは圧電素子2を隔てて絶縁されている50枚の
金属板3の組との2組に分けられる(図1)。
【0043】さらに、外部電極6A,6Bの上にリード
線9A,9Bを半田付けにより接合し、さらに、積層体
4の外周側面をエポキシ樹脂で被覆し、脱泡処理を行っ
て外部電極6と積層体4の側面との間隙に樹脂を完全に
充填させた後、150℃で30分加熱硬化させることに
よって樹脂被覆8を施した。さらに、積層体4の端部に
設けたセラミックス板11,12を研削加工することに
より、上下面の平行度を調整した。
【0044】さらに、この積層体4を80℃のシリコン
オイル中に入れ、直流電源の正極にリード線9Aを接続
すると共に、負極にリード線9Bを接続し、圧電素子2
に3kV/mmの電界を30分間印加して圧電素子2を
分極処理することにより本発明実施例1の積層型圧電ア
クチュエータ1を得た。
【0045】このような製造工程により得られた積層型
圧電アクチュエータ1において、分極時の電界と同じ方
向に500Vの直流電圧を印加したところ、40μm以
上の変位を得ることができ、アクチュエータとして正常
に機能することを確認した。さらに、本実施例の積層型
圧電アクチュエータ10個について湿度95%の環境
で、0Vから500Vの交流電界を50Hzの周波数で
印加し、1×10回連続駆動したところ、全て放電を
発生せず正常に動作した。さらに、外部電極6と積層体
4の側面との間の樹脂被覆8に剥離などの不具合は認め
られなかった。
【0046】(実施例2,3)図5および図6に、それ
ぞれ、第2および第3の実施例による積層型圧電アクチ
ュエータ1に使用される圧電素子2と金属板3の形状を
示す。
【0047】図5に示す第2実施例では、外部電極6が
設けられる角部の内角が108°に設定され、図6に示
す第3実施例では、外部電極6が設けられる角部の内角
が120°に設定されている。
【0048】これらの圧電素子2と金属板3を使用し
て、第1実施例と同様の工程により積層型圧電アクチュ
エータ1を製造し、前記と同様の連続駆動試験を実施し
たところ、いずれの実施例の積層型圧電アクチュエータ
1においても、外部電極6と積層体4の側面との間の樹
脂被覆8に剥離などの不具合は認められなかった。
【0049】(比較例1,2)図7および図8は本発明
の比較例の積層型圧電アクチュエータ(1)に使用され
る圧電素子(2)と金属板(3)の形状を示すものであ
って、図7に示す比較例1では圧電素子(2)および金
属板(3)がともに円形をなすものであり、図8に示す
比較例2では外部電極(6)が設けられる角部の内角が
160°に設定されたものである。
【0050】これらの円形状をなす圧電素子(2)と金
属板(3)を使用し、また、角部の内角が160°であ
る圧電素子(2)と金属板(3)を使用して、第1実施
例と同様の工程により積層型圧電アクチュエータ(1)
を製造し、前記と同様の連続駆動試験を実施したとこ
ろ、連続駆動回数10回未満にて、どちらも供試アク
チュエータの半数以上にショートによる故障が発生し
た。そして、故障したアクチュエータの外部電極(6)
と積層体(4)の側面との間には、樹脂被覆(8)の剥
離が数個所認められた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る積層型圧電アクチュエータの一実
施例を示す説明図であって、図1(A)は斜面説明図、
図1(B)は上部端面説明図である。
【図2】図1に示す積層型圧電アクチュエータの外部電
極部位を軸方向に切断した内部断面説明図である。
【図3】図1に示す積層型圧電アクチュエータに使用さ
れる金属板の形状を示す平面説明図である。
【図4】図1に示す積層型圧電アクチュエータの分解斜
面説明図である。
【図5】本発明に係る積層型圧電アクチュエータの第二
実施例に用いられる圧電素子と金属板の形状を示す平面
説明図である。
【図6】本発明に係る積層型圧電アクチュエータの第三
実施例に用いられる圧電素子と金属板の形状を示す平面
説明図である。
【図7】本発明の比較例1(従来例)の積層型圧電アク
チュエータに用いられる圧電素子と金属板の形状を示す
平面説明図である。
【図8】本発明の比較例2の積層型圧電アクチュエータ
に用いられる圧電素子と金属板の形状を示す平面説明図
である。
【図9】円柱形状をなす積層型圧電アクチュエータの側
面を覆っている樹脂被覆における被覆内引張応力σと収
縮圧力Pとの関係を示す説明図であって、図9(A)
は側面が樹脂で被覆された円柱形状をなす積層型圧電ア
クチュエータの外観説明図、図9(B)は図9(A)の
端面説明図、図9(C)は被覆内引張応力σと収縮圧力
の平衡状態を示す説明図である。
【図10】角柱形状をなす積層型圧電アクチュエータの
側面を覆っている樹脂被覆における被覆内引張応力σと
外部電極部位における収縮力との関係を示す説明図であ
って、図10(A)は側面が樹脂で被覆された角柱形状
をなす積層型圧電アクチュエータの外観説明図、図10
(B)は被覆内引張応力σと収縮圧力の関係を示す説明
図である。
【図11】従来例による積層型圧電アクチュエータを示
す説明図であって、図11(A)は斜面説明図、図11
(B)は金属板の形状を示す平面説明図、図11(C)
は分解斜面説明図である。
【符号の説明】
1 積層型圧電アクチュエータ 2 板状の圧電素子 3 金属板 3E 電気接続片 4 積層体 5 導電性接着層 6A,6B 外部電極 8 樹脂被覆 9A,9B リード線 11,12 セラミックス板 α 角部の内角
フロントページの続き (72)発明者 鬼 塚 克 彦 鹿児島県国分市山下町1番4号 京セラ株 式会社総合研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 板状の圧電素子と電気接続片をそなえた
    金属板とを交互に重ね合わせた積層体の構造を有し、ひ
    とつ置きの金属板の電気接続片をそれぞれ同一の方向に
    圧電素子間より突出させ、同一の方向に突出した電気接
    続片を電気的に接続して外部電極とするとともに、前記
    積層体の表面に樹脂被覆を施してなる積層型圧電アクチ
    ュエータにおいて、前記積層体は前記外部電極を角部に
    設けた多角柱形状をなし、且つ前記外部電極を設けた角
    部の内角が145°以下であることを特徴とする積層型
    圧電アクチュエータ。
  2. 【請求項2】 積層体の端部には平行な端面を有し且つ
    圧電素子と同質材料からなるセラミックス板をそなえて
    いることを特徴とする請求項1に記載の積層型圧電アク
    チュエータ。
JP10002032A 1998-01-08 1998-01-08 積層型圧電アクチュエータ Pending JPH11204847A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006041278A (ja) * 2004-07-28 2006-02-09 Denso Corp 積層型圧電体素子及びその製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006041278A (ja) * 2004-07-28 2006-02-09 Denso Corp 積層型圧電体素子及びその製造方法
JP4631342B2 (ja) * 2004-07-28 2011-02-16 株式会社デンソー 積層型圧電体素子の製造方法

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