JPH11193748A - エンジンのシリンダブロック - Google Patents
エンジンのシリンダブロックInfo
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- JPH11193748A JPH11193748A JP36079697A JP36079697A JPH11193748A JP H11193748 A JPH11193748 A JP H11193748A JP 36079697 A JP36079697 A JP 36079697A JP 36079697 A JP36079697 A JP 36079697A JP H11193748 A JPH11193748 A JP H11193748A
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- JP
- Japan
- Prior art keywords
- cylinder
- sleeve
- aluminum alloy
- cylinder block
- thickness
- Prior art date
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- Pending
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- Cylinder Crankcases Of Internal Combustion Engines (AREA)
- Pistons, Piston Rings, And Cylinders (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 線膨脹係数の選択等に起因してめっき皮膜に
亀裂,剥離が発生することのないエンジンのシリンダブ
ロックを提供する。 【解決手段】 アルミ合金製のシリンダ本体部22cの
シリンダボア壁22d内にアルミ合金製のスリーブ27
を鋳込むとともに、スリーブ27の内表面にめっき皮膜
aを形成したエンジンのシリンダブロック22におい
て、上記シリンダ本体部22cのアルミ合金のSi重量
含有率,肉厚をそれぞれβb,tbとし、上記スリーブ
27のアルミ合金のSi重量含有率,肉厚をそれぞれβ
s,tsとするとき、βb>βsとするとともに、シリ
ンダ本体部22cのシリンダヘッド側端部の肉厚を上記
肉厚tbより厚肉にした。
亀裂,剥離が発生することのないエンジンのシリンダブ
ロックを提供する。 【解決手段】 アルミ合金製のシリンダ本体部22cの
シリンダボア壁22d内にアルミ合金製のスリーブ27
を鋳込むとともに、スリーブ27の内表面にめっき皮膜
aを形成したエンジンのシリンダブロック22におい
て、上記シリンダ本体部22cのアルミ合金のSi重量
含有率,肉厚をそれぞれβb,tbとし、上記スリーブ
27のアルミ合金のSi重量含有率,肉厚をそれぞれβ
s,tsとするとき、βb>βsとするとともに、シリ
ンダ本体部22cのシリンダヘッド側端部の肉厚を上記
肉厚tbより厚肉にした。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば自動二輪車
用あるいは自動車用エンジンに好適なアルミスリーブ鋳
込みタイプのシリンダブロックに関する。
用あるいは自動車用エンジンに好適なアルミスリーブ鋳
込みタイプのシリンダブロックに関する。
【0002】
【従来の技術】自動二輪車,自動車用エンジンに好適な
シリンダブロックとして、従来例えば、軽量且つ熱伝導
性の良いアルミ合金製のシリンダ本体部のシリンダボア
壁面に、ピストン摺動に対する耐摩耗性,潤滑性を向上
させるためにめっき皮膜を形成したものがある。しかし
鋳造品のシリンダボア内壁面に直接めっき皮膜を形成し
た場合、メッキに先行して鋳肌のシリンダボア壁面にボ
ーリング加工を施すこととなるが、該加工を施すとシリ
ンダボア壁面に巣穴が多数開口してしまう。このような
場合にはめっき皮膜の密着性が十分でなく、エンジンの
運転によりめっき皮膜に亀裂や剥離が発生し、エンジン
性能に悪影響を及ぼす恐れがある。このようなめっき皮
膜の剥離を防止するために、上記シリンダ本体部のシリ
ンダボア内にアルミ合金製のスリーブを鋳込み、該スリ
ーブの内表面にめっき皮膜を形成するようにしたシリン
ダブロックの製造方法が公開されている(例えば特開平
3−90594号公報)。
シリンダブロックとして、従来例えば、軽量且つ熱伝導
性の良いアルミ合金製のシリンダ本体部のシリンダボア
壁面に、ピストン摺動に対する耐摩耗性,潤滑性を向上
させるためにめっき皮膜を形成したものがある。しかし
鋳造品のシリンダボア内壁面に直接めっき皮膜を形成し
た場合、メッキに先行して鋳肌のシリンダボア壁面にボ
ーリング加工を施すこととなるが、該加工を施すとシリ
ンダボア壁面に巣穴が多数開口してしまう。このような
場合にはめっき皮膜の密着性が十分でなく、エンジンの
運転によりめっき皮膜に亀裂や剥離が発生し、エンジン
性能に悪影響を及ぼす恐れがある。このようなめっき皮
膜の剥離を防止するために、上記シリンダ本体部のシリ
ンダボア内にアルミ合金製のスリーブを鋳込み、該スリ
ーブの内表面にめっき皮膜を形成するようにしたシリン
ダブロックの製造方法が公開されている(例えば特開平
3−90594号公報)。
【0003】上記公報記載の製造方法は、アルミ合金の
押し出し材や引き抜き材によりスリーブを形成し、該ス
リーブを予め鋳型内に配置した状態でAC4C等のアル
ミ合金溶湯を注湯し、該鋳込まれたスリーブの内周面に
ボーリング加工を施し、該加工後のスリーブの内周面に
めっき皮膜を形成し、さらに該めっき皮膜にホーニング
加工を施す方法である。
押し出し材や引き抜き材によりスリーブを形成し、該ス
リーブを予め鋳型内に配置した状態でAC4C等のアル
ミ合金溶湯を注湯し、該鋳込まれたスリーブの内周面に
ボーリング加工を施し、該加工後のスリーブの内周面に
めっき皮膜を形成し、さらに該めっき皮膜にホーニング
加工を施す方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記シリン
ダ本体部の具体的な材質については、例えば、その熱伝
導性,軽量性に加え鋳造性等の観点からSiを含有する
ものが選択され、またスリーブの材質については、ピス
トン摺動面として必要な硬度,めっき皮膜の付着性等の
観点から選択される必要がある。
ダ本体部の具体的な材質については、例えば、その熱伝
導性,軽量性に加え鋳造性等の観点からSiを含有する
ものが選択され、またスリーブの材質については、ピス
トン摺動面として必要な硬度,めっき皮膜の付着性等の
観点から選択される必要がある。
【0005】ところが上記アルミ合金製シリンダ本体部
内にアルミ合金製スリーブを鋳込むタイプのシリンダブ
ロックにおいて、特にシリンダ本体部及びスリーブの材
質により線膨脹係数に差異がでるので、材質,肉厚の選
択の如何によって、エンジン運転時に上記めっき皮膜に
亀裂,剥離が発生する場合があることが判った。
内にアルミ合金製スリーブを鋳込むタイプのシリンダブ
ロックにおいて、特にシリンダ本体部及びスリーブの材
質により線膨脹係数に差異がでるので、材質,肉厚の選
択の如何によって、エンジン運転時に上記めっき皮膜に
亀裂,剥離が発生する場合があることが判った。
【0006】例えばエンジン運転時には燃焼室が高温と
なるためスリーブ,シリンダ本体部の両者とも加熱さ
れ、熱膨張するがこの傾向は上記燃焼室に近いシリンダ
ヘッド側端部ほど大きい。従ってシリンダヘッド側端部
のスリーブ内径はクランク軸側より大きくなる。そのた
めめっき皮膜とピストンとの当たりは、シリンダヘッド
側が弱くクランク軸側が強くなる。このようにめっき皮
膜とピストンとの当たりに強弱があるとめっき皮膜の亀
裂,剥離の原因となる。
なるためスリーブ,シリンダ本体部の両者とも加熱さ
れ、熱膨張するがこの傾向は上記燃焼室に近いシリンダ
ヘッド側端部ほど大きい。従ってシリンダヘッド側端部
のスリーブ内径はクランク軸側より大きくなる。そのた
めめっき皮膜とピストンとの当たりは、シリンダヘッド
側が弱くクランク軸側が強くなる。このようにめっき皮
膜とピストンとの当たりに強弱があるとめっき皮膜の亀
裂,剥離の原因となる。
【0007】本発明は、上記従来の状況に鑑みてなされ
たものであり、線膨脹係数の選択等に起因してめっき皮
膜に亀裂,剥離が発生することのないエンジンのシリン
ダブロックを提供することを目的としている。
たものであり、線膨脹係数の選択等に起因してめっき皮
膜に亀裂,剥離が発生することのないエンジンのシリン
ダブロックを提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、アル
ミ合金製のシリンダ本体部のシリンダボア壁内にアルミ
合金製のスリーブを鋳込むとともに、スリーブの内表面
にめっき皮膜を形成したエンジンのシリンダブロックに
おいて、上記シリンダ本体部のアルミ合金のSi重量含
有率,肉厚をそれぞれβb,tbとし、上記スリーブの
アルミ合金のSi重量含有率,肉厚をそれぞれβs,t
sとするとき、βb>βsとするとともに、シリンダ本
体部のシリンダヘッド側端部の肉厚を上記肉厚tbより
厚肉にしたことを特徴としている。
ミ合金製のシリンダ本体部のシリンダボア壁内にアルミ
合金製のスリーブを鋳込むとともに、スリーブの内表面
にめっき皮膜を形成したエンジンのシリンダブロックに
おいて、上記シリンダ本体部のアルミ合金のSi重量含
有率,肉厚をそれぞれβb,tbとし、上記スリーブの
アルミ合金のSi重量含有率,肉厚をそれぞれβs,t
sとするとき、βb>βsとするとともに、シリンダ本
体部のシリンダヘッド側端部の肉厚を上記肉厚tbより
厚肉にしたことを特徴としている。
【0009】請求項2の発明は、請求項1において、上
記シリンダ本体部の上記厚肉に形成されたシリンダヘッ
ド側端部のシリンダヘッドとの合面のみにガスケットの
シール点を当接させたことを特徴としている。
記シリンダ本体部の上記厚肉に形成されたシリンダヘッ
ド側端部のシリンダヘッドとの合面のみにガスケットの
シール点を当接させたことを特徴としている。
【0010】請求項3の発明は、アルミ合金製のシリン
ダ本体部のシリンダボア内にアルミ合金製のスリーブを
鋳込むとともに、スリーブの内表面にめっき皮膜を形成
したエンジンのシリンダブロックにおいて、上記シリン
ダ本体部のアルミ合金のSi重量含有率,肉厚をそれぞ
れβb,tbとし、上記スリーブのアルミ合金のSi重
量含有率,肉厚をそれぞれβs,tsとするとき、βb
<βsとするとともに、スリーブのシリンダヘッド側端
部の肉厚を上記肉厚tsより厚肉にしたことを特徴とし
ている。
ダ本体部のシリンダボア内にアルミ合金製のスリーブを
鋳込むとともに、スリーブの内表面にめっき皮膜を形成
したエンジンのシリンダブロックにおいて、上記シリン
ダ本体部のアルミ合金のSi重量含有率,肉厚をそれぞ
れβb,tbとし、上記スリーブのアルミ合金のSi重
量含有率,肉厚をそれぞれβs,tsとするとき、βb
<βsとするとともに、スリーブのシリンダヘッド側端
部の肉厚を上記肉厚tsより厚肉にしたことを特徴とし
ている。
【0011】請求項4の発明は、請求項3において、上
記スリーブの上記厚肉に形成されたシリンダヘッド側端
部のシリンダヘッドとの合面のみにガスケットのシール
点を当接させたことを特徴としている。
記スリーブの上記厚肉に形成されたシリンダヘッド側端
部のシリンダヘッドとの合面のみにガスケットのシール
点を当接させたことを特徴としている。
【0012】
【発明の作用効果】請求項1の発明によれば、上記シリ
ンダ本体部のアルミ合金のSi重量含有率βb>スリー
ブのアルミ合金のSi重量含有率βsとするとともに、
シリンダ本体部のシリンダヘッド側端部の肉厚を他の部
分の肉厚tbより厚肉にしたので、また請求項3の発明
によればβb<βsとするとともに、スリーブのシリン
ダヘッド側端部の肉厚を他の部分の肉厚tsより厚肉に
したので、つまりシリンダヘッド側端部において、シリ
ンダ本体部,スリーブのうちSi重量含有率が大きく線
膨張係数の小さい側の肉厚を厚くしたので、何れの場合
にもシリンダ本体部,スリーブ全体でみた時の単位温度
当たりの円筒外方への熱膨張量はヘッド側端部が他の部
分より小さくなる。そのためシリンダヘッド側端部が高
温となるにもかかわらず、該シリンダヘッド側端部のス
リーブ内径の増加を抑えることができ、その結果、めっ
き皮膜とピストンとの当たりがシリンダヘッド側が弱く
クランク軸側が強くなるという点を抑制でき、めっき皮
膜とピストンとの当たりの強弱を抑制してめっき皮膜の
亀裂,剥離を防止できる。
ンダ本体部のアルミ合金のSi重量含有率βb>スリー
ブのアルミ合金のSi重量含有率βsとするとともに、
シリンダ本体部のシリンダヘッド側端部の肉厚を他の部
分の肉厚tbより厚肉にしたので、また請求項3の発明
によればβb<βsとするとともに、スリーブのシリン
ダヘッド側端部の肉厚を他の部分の肉厚tsより厚肉に
したので、つまりシリンダヘッド側端部において、シリ
ンダ本体部,スリーブのうちSi重量含有率が大きく線
膨張係数の小さい側の肉厚を厚くしたので、何れの場合
にもシリンダ本体部,スリーブ全体でみた時の単位温度
当たりの円筒外方への熱膨張量はヘッド側端部が他の部
分より小さくなる。そのためシリンダヘッド側端部が高
温となるにもかかわらず、該シリンダヘッド側端部のス
リーブ内径の増加を抑えることができ、その結果、めっ
き皮膜とピストンとの当たりがシリンダヘッド側が弱く
クランク軸側が強くなるという点を抑制でき、めっき皮
膜とピストンとの当たりの強弱を抑制してめっき皮膜の
亀裂,剥離を防止できる。
【0013】また請求項2,4の発明によれば、シリン
ダヘッド側端部の円筒外方への熱膨張量を小さくするた
めに肉厚を厚くした側の合面のみに、ガスケットのシー
ル点を当接させるようにしたので、シリンダ本体部とス
リーブとの特に軸方向の熱膨張量に差異がある場合で
も、ガスケットに剪断力が作用することがなく、ガスケ
ットのシール性及び耐久性を確保できる。
ダヘッド側端部の円筒外方への熱膨張量を小さくするた
めに肉厚を厚くした側の合面のみに、ガスケットのシー
ル点を当接させるようにしたので、シリンダ本体部とス
リーブとの特に軸方向の熱膨張量に差異がある場合で
も、ガスケットに剪断力が作用することがなく、ガスケ
ットのシール性及び耐久性を確保できる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面に基づいて説明する。図1ないし図24は、本発明
の一実施形態による自動二輪車用エンジンのシリンダブ
ロック及びシール構造を説明するための図であり、図1
は該エンジンが搭載された自動二輪車の左側面図、図2
は該エンジンの右側面図、図3は該エンジンのシリンダ
ブロック,シリンダヘッド,ヘッドカバー部分の右側面
図、図4は該エンジンの断面背面展開図、図5はシリン
ダブロックの連通孔部分を示す断面図、図6はシリンダ
ブロックをクランク軸側から見た底面図、図7はシリン
ダブロックの右端気筒部分の断面側面図、図8はシリン
ダブロックの右から2番目の気筒部分の断面側面図、図
9はシリンダブロックのシリンダヘッド側から見た平面
図、図10はヘッドガスケットの平面図、図11はシリ
ンダブロックのヘッド側合面のシール状態を示す拡大
図、図12はシリンダブロックのリブ状堰を示す拡大
図、図13,14はシリンダ本体部,スリーブの拡大平
面図,拡大断面図、図15〜18は連通孔の孔明け試験
結果を示す図、図19は図17のものをホーニング加工
した状態を示す図、図20,21はめっき処理装置を示
す模式図、図22,図23は製造行程を示す図、図24
はアルミ合金のSi重量含有率と線膨脹係数との関係を
示す特性図である。なお、本実施形態でいう前後,左右
とはシート着座状態で見た場合の前後,左右を意味す
る。
図面に基づいて説明する。図1ないし図24は、本発明
の一実施形態による自動二輪車用エンジンのシリンダブ
ロック及びシール構造を説明するための図であり、図1
は該エンジンが搭載された自動二輪車の左側面図、図2
は該エンジンの右側面図、図3は該エンジンのシリンダ
ブロック,シリンダヘッド,ヘッドカバー部分の右側面
図、図4は該エンジンの断面背面展開図、図5はシリン
ダブロックの連通孔部分を示す断面図、図6はシリンダ
ブロックをクランク軸側から見た底面図、図7はシリン
ダブロックの右端気筒部分の断面側面図、図8はシリン
ダブロックの右から2番目の気筒部分の断面側面図、図
9はシリンダブロックのシリンダヘッド側から見た平面
図、図10はヘッドガスケットの平面図、図11はシリ
ンダブロックのヘッド側合面のシール状態を示す拡大
図、図12はシリンダブロックのリブ状堰を示す拡大
図、図13,14はシリンダ本体部,スリーブの拡大平
面図,拡大断面図、図15〜18は連通孔の孔明け試験
結果を示す図、図19は図17のものをホーニング加工
した状態を示す図、図20,21はめっき処理装置を示
す模式図、図22,図23は製造行程を示す図、図24
はアルミ合金のSi重量含有率と線膨脹係数との関係を
示す特性図である。なお、本実施形態でいう前後,左右
とはシート着座状態で見た場合の前後,左右を意味す
る。
【0015】図1において、1は自動二輪車であり、こ
れの車体フレーム2は側面視で略逆L字状をなす左, 右
一対のメインフレーム3の後端に車体後方に延びるシー
トレール4を接続した構造のもので、上記メインフレー
ム3の上部には燃料タンク5が、シートレール4の上部
にはメインシート6,タンデムシート7がそれぞれ搭載
されている。
れの車体フレーム2は側面視で略逆L字状をなす左, 右
一対のメインフレーム3の後端に車体後方に延びるシー
トレール4を接続した構造のもので、上記メインフレー
ム3の上部には燃料タンク5が、シートレール4の上部
にはメインシート6,タンデムシート7がそれぞれ搭載
されている。
【0016】上記メインフレーム3の前端にはヘッドパ
イプ8によりフロントフォーク9が枢支されており、該
フロントフォーク9の下端には前輪10が軸支されてい
る。また上記メインフレーム3の後端下部のリヤアーム
ブラケット3aにはリヤアーム11がピボット軸12に
より上下揺動可能に軸支されており、該リヤアーム11
の後端には後輪13が軸支されている。
イプ8によりフロントフォーク9が枢支されており、該
フロントフォーク9の下端には前輪10が軸支されてい
る。また上記メインフレーム3の後端下部のリヤアーム
ブラケット3aにはリヤアーム11がピボット軸12に
より上下揺動可能に軸支されており、該リヤアーム11
の後端には後輪13が軸支されている。
【0017】上記リヤアーム11と車体フレーム2との
間にはリヤクッション14が介設されている。このリヤ
クッション14の下端はこれの後側に起立配置されてリ
ヤアーム11に軸支された第1リンク14aの下端に連
結され、上端は車体フレームに軸支されている。また上
記第1リンク14aの上端はリヤクッション14の後側
に起立配置された第2リンク14bを介して車体フレー
ムに連結されており、該第2リンク14b及び第1リン
ク14aはリヤクッション14とで三角形をなしてい
る。このようにリヤクッション14の下端を上方に起立
配置された第1,第2リンク14a,14bにより支持
するようにしたので、いわゆるプログレッシブ特性を確
保しながらリヤクッション14の下方に大きなスペース
が確保されている。
間にはリヤクッション14が介設されている。このリヤ
クッション14の下端はこれの後側に起立配置されてリ
ヤアーム11に軸支された第1リンク14aの下端に連
結され、上端は車体フレームに軸支されている。また上
記第1リンク14aの上端はリヤクッション14の後側
に起立配置された第2リンク14bを介して車体フレー
ムに連結されており、該第2リンク14b及び第1リン
ク14aはリヤクッション14とで三角形をなしてい
る。このようにリヤクッション14の下端を上方に起立
配置された第1,第2リンク14a,14bにより支持
するようにしたので、いわゆるプログレッシブ特性を確
保しながらリヤクッション14の下方に大きなスペース
が確保されている。
【0018】上記メインフレーム3の下部にはエンジン
ユニット15が懸吊されており、該エンジンユニット1
5の前側にはラジエータ16が配設されている。また上
記エンジンユニット15の排気装置は、シリンダヘッド
23の前壁に開口する各排気ポートに接続された排気管
141,エンジンユニット15と後輪13との間でかつ
リヤクッション14の下方に配置された第1マフラ14
2,及び後輪13の右側上部に配置された第2マフラ1
43から構成されている。
ユニット15が懸吊されており、該エンジンユニット1
5の前側にはラジエータ16が配設されている。また上
記エンジンユニット15の排気装置は、シリンダヘッド
23の前壁に開口する各排気ポートに接続された排気管
141,エンジンユニット15と後輪13との間でかつ
リヤクッション14の下方に配置された第1マフラ14
2,及び後輪13の右側上部に配置された第2マフラ1
43から構成されている。
【0019】上記エンジンユニット15は水冷式4サイ
クル並列4気筒5バルブエンジンであり、気筒軸線20
を前方に傾斜させるとともに、クランク軸21を車幅方
向に向けて搭載されている。そして上記エンジンユニッ
ト15は、図2に示すように、アルミ合金製シリンダブ
ロック22の上合面にアルミ合金製シリンダヘッド23
を積層してヘッドボルトで締結し、該シリンダヘッド2
3の上合面にアルミ合金製ヘッドカバー24を装着し、
また上記シリンダブロック22の下部にアルミ合金製オ
イルパン28を接続した概略構造を有する。
クル並列4気筒5バルブエンジンであり、気筒軸線20
を前方に傾斜させるとともに、クランク軸21を車幅方
向に向けて搭載されている。そして上記エンジンユニッ
ト15は、図2に示すように、アルミ合金製シリンダブ
ロック22の上合面にアルミ合金製シリンダヘッド23
を積層してヘッドボルトで締結し、該シリンダヘッド2
3の上合面にアルミ合金製ヘッドカバー24を装着し、
また上記シリンダブロック22の下部にアルミ合金製オ
イルパン28を接続した概略構造を有する。
【0020】上記シリンダブロック22は、アルミ合金
を用いたダイキャスト鋳造により一体形成されたシリン
ダ本体部22cとユニットケース27とから構成されて
いる。そして該ユニットケース27は、クランク軸21
を収容支持するクランクケース部25と、変速機を収容
するミッションケース部26とから構成されており、か
つ該クランクケース部25及びミッションケース部26
は上,下クランクケース部25a,25b、上,下ミッ
ションケース部26a,26bに上,下に二分割されて
いる。
を用いたダイキャスト鋳造により一体形成されたシリン
ダ本体部22cとユニットケース27とから構成されて
いる。そして該ユニットケース27は、クランク軸21
を収容支持するクランクケース部25と、変速機を収容
するミッションケース部26とから構成されており、か
つ該クランクケース部25及びミッションケース部26
は上,下クランクケース部25a,25b、上,下ミッ
ションケース部26a,26bに上,下に二分割されて
いる。
【0021】上記クランク軸21は上,下クランクケー
ス部25a,25bの分割合面に形成された複数の軸受
ボス部29により滑り軸受30を介して軸支されてい
る。また上記ボス部29により各気筒ごとのクランク室
19,19・・は独立した室に区画されており、かつ後
述する連通孔52によって互いに連通している。
ス部25a,25bの分割合面に形成された複数の軸受
ボス部29により滑り軸受30を介して軸支されてい
る。また上記ボス部29により各気筒ごとのクランク室
19,19・・は独立した室に区画されており、かつ後
述する連通孔52によって互いに連通している。
【0022】上記シリンダブロック22のシリンダ本体
部22c内には4つのアルミ合金製引き抜きパイプ材を
加工してなるスリーブ27が並行にかつ同一間隔を開け
て鋳込まれている。該スリーブ27の下端の内面にはホ
ーニング加工時に刃具の逃げとなる逃げ部27aが他の
部分より大径に形成されており、外面には該スリーブ2
7のクランク軸側への抜け止めとなる面取部27bが形
成されている。またスリーブ27の上端の内面にはピス
トン挿入組立時の逃げとなる面取部27cが形成されて
おり、外面には該スリーブ27のシリンダヘッド側への
抜け止めとなる係止段部27dが他の部分より小径に形
成されている。
部22c内には4つのアルミ合金製引き抜きパイプ材を
加工してなるスリーブ27が並行にかつ同一間隔を開け
て鋳込まれている。該スリーブ27の下端の内面にはホ
ーニング加工時に刃具の逃げとなる逃げ部27aが他の
部分より大径に形成されており、外面には該スリーブ2
7のクランク軸側への抜け止めとなる面取部27bが形
成されている。またスリーブ27の上端の内面にはピス
トン挿入組立時の逃げとなる面取部27cが形成されて
おり、外面には該スリーブ27のシリンダヘッド側への
抜け止めとなる係止段部27dが他の部分より小径に形
成されている。
【0023】そして上記スリーブ27には内表面にめっ
き皮膜aを形成してなるピストン摺動面22aが形成さ
れている。該ピストン摺動面22aは、上記スリーブ2
7をシリンダ本体部22c内に鋳込み、該鋳造時の熱歪
によるシリンダボアの変形を除去するためのボーリング
加工を施し、該加工面上に後述する方法でめっき皮膜a
を形成し、該めっき皮膜aにホーニング加工を施すこと
により形成されたものである。
き皮膜aを形成してなるピストン摺動面22aが形成さ
れている。該ピストン摺動面22aは、上記スリーブ2
7をシリンダ本体部22c内に鋳込み、該鋳造時の熱歪
によるシリンダボアの変形を除去するためのボーリング
加工を施し、該加工面上に後述する方法でめっき皮膜a
を形成し、該めっき皮膜aにホーニング加工を施すこと
により形成されたものである。
【0024】ここで、上記めっき皮膜aは、上記スリー
ブ27の上端から上記逃げ部27aの途中に渡って形成
されている。そして上記ピストン摺動面22a内に摺動
自在に挿入配置されたピストン31にはピストンピン3
1bを介してコンロッド32の小端部が連結されてい
る。該コンロッド32の大端部は本体部分とキャップ部
材との上,下分割タイプのものであり、上記クランク軸
21のクランクピン21aの上側に上記本体部分を、下
側に上記キャップ部材をそれぞれ被せてボルト締め固定
することによりクランク軸21に連結されている。な
お、ピストン31の組付けに当たっては、ピストン31
にコンロッド32の上記本体部分を組付け、該本体部分
及びピストン31をスリーブ27内にシリンダヘッド側
から挿入し、該本体部分を上記キャップ部材により上記
クランクピン21aに接続することとなる。
ブ27の上端から上記逃げ部27aの途中に渡って形成
されている。そして上記ピストン摺動面22a内に摺動
自在に挿入配置されたピストン31にはピストンピン3
1bを介してコンロッド32の小端部が連結されてい
る。該コンロッド32の大端部は本体部分とキャップ部
材との上,下分割タイプのものであり、上記クランク軸
21のクランクピン21aの上側に上記本体部分を、下
側に上記キャップ部材をそれぞれ被せてボルト締め固定
することによりクランク軸21に連結されている。な
お、ピストン31の組付けに当たっては、ピストン31
にコンロッド32の上記本体部分を組付け、該本体部分
及びピストン31をスリーブ27内にシリンダヘッド側
から挿入し、該本体部分を上記キャップ部材により上記
クランクピン21aに接続することとなる。
【0025】上記ピストン31は、ピストンスカート3
1aのピストンピン31b軸端部分に切り欠き凹部31
cを形成してなるいわゆるスリッパ型のものである。該
ピストン31がその下死点位置まで下降したとき上記ピ
ストンスカート31aの下端31eは上記スリーブ27
の逃げ部27aに隙間cを開けて対面するようになって
いる。即ち、上記隙間cを設けたことにより、上記めっ
き皮膜aの下端縁a′にピストン31が接触しないよう
になっており、めっき皮膜aの下端縁a´部分からの剥
離を防止している。
1aのピストンピン31b軸端部分に切り欠き凹部31
cを形成してなるいわゆるスリッパ型のものである。該
ピストン31がその下死点位置まで下降したとき上記ピ
ストンスカート31aの下端31eは上記スリーブ27
の逃げ部27aに隙間cを開けて対面するようになって
いる。即ち、上記隙間cを設けたことにより、上記めっ
き皮膜aの下端縁a′にピストン31が接触しないよう
になっており、めっき皮膜aの下端縁a´部分からの剥
離を防止している。
【0026】ここで上記シリンダブロック22をクラン
ク軸側から見た状態を示す図6において、右端から3つ
の気筒のスリーブ27,27,27のクランク軸側開口
は、上クランクケース部25aの前側壁25c,クラン
ク室とミッション室とを画成する隔壁25d,及びクラ
ンク軸軸受ボス部29により周囲が囲まれており、その
ため後述するように、上記めっき皮膜形成工程において
エッチング液等が外部に溢れたり、ミッション室26d
側に流入したりするのを防止できる。
ク軸側から見た状態を示す図6において、右端から3つ
の気筒のスリーブ27,27,27のクランク軸側開口
は、上クランクケース部25aの前側壁25c,クラン
ク室とミッション室とを画成する隔壁25d,及びクラ
ンク軸軸受ボス部29により周囲が囲まれており、その
ため後述するように、上記めっき皮膜形成工程において
エッチング液等が外部に溢れたり、ミッション室26d
側に流入したりするのを防止できる。
【0027】一方、図6左端気筒のスリーブ27につい
ては、クランク軸21とメイン軸72とを連結する減速
小歯車82,減速大歯車82の配置スペースを確保する
必要上、上記隔壁25dに相当するものを備えていな
い。従って該左端気筒については上記めっき皮膜形成工
程における上記隔壁25dによるエッチング液等のミッ
ション室側への流入防止効果は得られない。
ては、クランク軸21とメイン軸72とを連結する減速
小歯車82,減速大歯車82の配置スペースを確保する
必要上、上記隔壁25dに相当するものを備えていな
い。従って該左端気筒については上記めっき皮膜形成工
程における上記隔壁25dによるエッチング液等のミッ
ション室側への流入防止効果は得られない。
【0028】そこで本実施形態では、上記左端気筒につ
いては、スリーブの鋳込み工程において、スリーブ27
の下端部の外面に形成された抜け止め用面取り部27b
部分をアルミ合金で覆うとともに他の部分よりもクラン
ク軸側に少し突出するリブ状の堰部25d′を一体形成
している。この堰部25d′により、上記めっき処理工
程でエッチング液等がミッションケース26側に溢れ出
すのを防止している。
いては、スリーブの鋳込み工程において、スリーブ27
の下端部の外面に形成された抜け止め用面取り部27b
部分をアルミ合金で覆うとともに他の部分よりもクラン
ク軸側に少し突出するリブ状の堰部25d′を一体形成
している。この堰部25d′により、上記めっき処理工
程でエッチング液等がミッションケース26側に溢れ出
すのを防止している。
【0029】上記シリンダヘッド23の各燃焼凹部23
aに開口する3つの吸気ポート,2つの排気ポートは吸
気バルブ35,排気バルブ36で開閉可能となってい
る。該各バルブ35,36は上端に装着された有底筒状
のバルブリフタ37,37を介して吸気カム軸40,排
気カム軸41で開閉駆動される。該各カム軸40,41
の軸方向右端部に取り付けられたカムスプロケット40
a,41aとクランク軸21の右端部に一体形成された
クランクスプロケット21bとはタイミングチェーン4
2によって連結されている。
aに開口する3つの吸気ポート,2つの排気ポートは吸
気バルブ35,排気バルブ36で開閉可能となってい
る。該各バルブ35,36は上端に装着された有底筒状
のバルブリフタ37,37を介して吸気カム軸40,排
気カム軸41で開閉駆動される。該各カム軸40,41
の軸方向右端部に取り付けられたカムスプロケット40
a,41aとクランク軸21の右端部に一体形成された
クランクスプロケット21bとはタイミングチェーン4
2によって連結されている。
【0030】このように構成されたカム軸駆動機構のカ
ムスプロケット40a,41a,タイミングチェーン4
2及びクランクスプロケット21bは、上記シリンダブ
ロック22,シリンダヘッド23の右外端面に一体形成
されたチェーン配置室43内に収容されている。また上
記クランク軸21のクランクスプロケット21bの内側
には外周歯を有するロータ44が装着されており、該ロ
ータ44にはクランク回転角度を検出するピックアップ
45が対向している。なお、46はタイミングチェーン
42の張力を自動調整するオートテンショナであり、4
7はチェーンガイドである。
ムスプロケット40a,41a,タイミングチェーン4
2及びクランクスプロケット21bは、上記シリンダブ
ロック22,シリンダヘッド23の右外端面に一体形成
されたチェーン配置室43内に収容されている。また上
記クランク軸21のクランクスプロケット21bの内側
には外周歯を有するロータ44が装着されており、該ロ
ータ44にはクランク回転角度を検出するピックアップ
45が対向している。なお、46はタイミングチェーン
42の張力を自動調整するオートテンショナであり、4
7はチェーンガイドである。
【0031】上記チェーン配置室43を構成するシリン
ダブロック22の外側壁22bの上記クランク軸21の
軸端に対向する部分には、上記カム軸駆動機構の組付け
用開口50が形成されており、該開口50には蓋部材5
1が着脱可能にボルト締めされている。そして隣接する
クランク室19,19同士を連通することにより、ピス
トン往復運動によるポンピングロスの低減を図るための
連通孔52が、クランク軸方向に見たとき上記組付け用
開口50内に位置するようにかつクランク軸21と平行
の同一軸線をなすように貫通形成されている。
ダブロック22の外側壁22bの上記クランク軸21の
軸端に対向する部分には、上記カム軸駆動機構の組付け
用開口50が形成されており、該開口50には蓋部材5
1が着脱可能にボルト締めされている。そして隣接する
クランク室19,19同士を連通することにより、ピス
トン往復運動によるポンピングロスの低減を図るための
連通孔52が、クランク軸方向に見たとき上記組付け用
開口50内に位置するようにかつクランク軸21と平行
の同一軸線をなすように貫通形成されている。
【0032】ここで上記連通孔52は、上記めっき加工
と上記ホーニング加工との間の工程において上記組付け
用開口50から長尺のドリルを挿入することにより穿設
加工された横断面円形のものである。そして該連通孔5
2の加工中心点bは、上記スリーブ27のクランク軸側
端部27eよりシリンダヘッド側に偏位した位置に設定
されている。なお、上記スリーブ27は上クランクケー
ス部25aより高硬度となっている。
と上記ホーニング加工との間の工程において上記組付け
用開口50から長尺のドリルを挿入することにより穿設
加工された横断面円形のものである。そして該連通孔5
2の加工中心点bは、上記スリーブ27のクランク軸側
端部27eよりシリンダヘッド側に偏位した位置に設定
されている。なお、上記スリーブ27は上クランクケー
ス部25aより高硬度となっている。
【0033】このように本実施形態では、硬度の異なる
上クランクケース部25aとスリーブ27との両方に渡
るように円形の孔をドリル加工により形成する場合に、
ドリル中心を高硬度のスリーブ27側に偏位させて設定
したので、ドリルの逃げを回避でき、加工精度及び作業
性を向上できる。この逃げ回避効果は、ドリル中心が高
硬度の部材側に位置していることから、該高硬度部材側
にドリルの移動を阻止するオーバーハング部分(図7,
図8の領域52b部分)が存在することにより得られる
ものと考えられる。ちなみに、低硬度の上クランクケー
ス部25a側に加工中心点bを偏位させた場合にはドリ
ル加工中心が高硬度のスリーブから遠ざかるようにずれ
ていく恐れがある。
上クランクケース部25aとスリーブ27との両方に渡
るように円形の孔をドリル加工により形成する場合に、
ドリル中心を高硬度のスリーブ27側に偏位させて設定
したので、ドリルの逃げを回避でき、加工精度及び作業
性を向上できる。この逃げ回避効果は、ドリル中心が高
硬度の部材側に位置していることから、該高硬度部材側
にドリルの移動を阻止するオーバーハング部分(図7,
図8の領域52b部分)が存在することにより得られる
ものと考えられる。ちなみに、低硬度の上クランクケー
ス部25a側に加工中心点bを偏位させた場合にはドリ
ル加工中心が高硬度のスリーブから遠ざかるようにずれ
ていく恐れがある。
【0034】さらにまた上記連通孔52は、上記ピスト
ン31が下死点に下降した際に上記切欠き部31c及び
ピストンピン31bと対向するように配置されており、
かつ、その上端縁52aから下死点に位置するピストン
31の下端のオイルリング31dの下縁までの距離が3
mm以上、好ましくは7mm以上となるようにその中心位置
bが設定されている。
ン31が下死点に下降した際に上記切欠き部31c及び
ピストンピン31bと対向するように配置されており、
かつ、その上端縁52aから下死点に位置するピストン
31の下端のオイルリング31dの下縁までの距離が3
mm以上、好ましくは7mm以上となるようにその中心位置
bが設定されている。
【0035】上記連通孔52の中心位置を上述のように
設定したのは以下の理由による。即ち、上記連通孔52
を形成した場合、その周縁はピストン摺動面として許容
できない程度のバリや変形が発生する。このバリ等はそ
の後のホーニング加工によって除去するのであるが、上
記連通孔52の週縁から約3mmの範囲については、ピス
トン摺動面として許容できる程度に十分に除去すること
ができない場合があることが判明したからである。
設定したのは以下の理由による。即ち、上記連通孔52
を形成した場合、その周縁はピストン摺動面として許容
できない程度のバリや変形が発生する。このバリ等はそ
の後のホーニング加工によって除去するのであるが、上
記連通孔52の週縁から約3mmの範囲については、ピス
トン摺動面として許容できる程度に十分に除去すること
ができない場合があることが判明したからである。
【0036】図15〜図19は、貫通孔52を形成した
際のバリ等の発生状況及びホーニング加工による表面仕
上状態を調査するために行った実験結果を示す。なお、
各図において、縦方向(シリンダ軸方向)については実
際の寸法を示しているのに対し、横方向については10
00倍に拡大して示してある。
際のバリ等の発生状況及びホーニング加工による表面仕
上状態を調査するために行った実験結果を示す。なお、
各図において、縦方向(シリンダ軸方向)については実
際の寸法を示しているのに対し、横方向については10
00倍に拡大して示してある。
【0037】図15〜図18は実験用シリンダブロック
の各スリーブにめっき皮膜を形成した後に図示矢印方向
にドリルを挿入して上記貫通孔を形成した際の第1〜第
4気筒におけるバリ等の発生状況を示す。各図におい
て、右側部分はドリルがめっき膜を突き破ってスリーブ
内に進入した際の状況を、左側部分はドリルがスリーブ
内からめっき膜を突き破ってシリンダ本体内に進入した
際の状況を示す。何れの気筒においてもバリ等は5〜3
0μm 程度であることが判る。
の各スリーブにめっき皮膜を形成した後に図示矢印方向
にドリルを挿入して上記貫通孔を形成した際の第1〜第
4気筒におけるバリ等の発生状況を示す。各図におい
て、右側部分はドリルがめっき膜を突き破ってスリーブ
内に進入した際の状況を、左側部分はドリルがスリーブ
内からめっき膜を突き破ってシリンダ本体内に進入した
際の状況を示す。何れの気筒においてもバリ等は5〜3
0μm 程度であることが判る。
【0038】図19はホーニング加工後のピストン摺動
面の状態を示す。図から明らかなように、ホーニング加
工により上記バリ等が除去されており、貫通孔52の上
縁52aから3mmの点より上方部分では、ピストン摺動
面として許容できる寸法として設定されたαμm(例えば
5μm)より小さくなっている。従って、ピストン31が
下死点に位置している場合に、一番下側に配設されてい
るオイルリング31dの下縁と上記貫通孔52の上縁5
2aとの寸法を3mmより大きく設定することにより、上
記オイルリング31dとピストン摺動面との隙間を許容
範囲内に設定でき、摺動抵抗の増加による出力ロスの発
生を防止できる。
面の状態を示す。図から明らかなように、ホーニング加
工により上記バリ等が除去されており、貫通孔52の上
縁52aから3mmの点より上方部分では、ピストン摺動
面として許容できる寸法として設定されたαμm(例えば
5μm)より小さくなっている。従って、ピストン31が
下死点に位置している場合に、一番下側に配設されてい
るオイルリング31dの下縁と上記貫通孔52の上縁5
2aとの寸法を3mmより大きく設定することにより、上
記オイルリング31dとピストン摺動面との隙間を許容
範囲内に設定でき、摺動抵抗の増加による出力ロスの発
生を防止できる。
【0039】また上記上クランクケース部25aの各軸
受ボス部29には、図5に示すように、クランク軸21
の軸受30と上記連通孔52の内周面とを連通する潤滑
油通路53が形成されている。この潤滑油通路53には
冷却ノズル54が挿着されており、該ノズル54の噴射
口54aは下死点に位置するピストン31の切り欠き部
31cからピストン裏面に潤滑油を噴出するように指向
している。また上記軸受ボス部29の上記連通孔52部
分のクランク軸方向厚さは、クランク軸側はW2である
のに対しピストン側はW1と幅狭になっている。そのた
め上記噴射口54aから噴射された潤滑油は連通孔52
の周縁あるいはピストンスカートに邪魔されることなく
確実にピストン裏面に供給され、該ピストン31を確実
に冷却できる。
受ボス部29には、図5に示すように、クランク軸21
の軸受30と上記連通孔52の内周面とを連通する潤滑
油通路53が形成されている。この潤滑油通路53には
冷却ノズル54が挿着されており、該ノズル54の噴射
口54aは下死点に位置するピストン31の切り欠き部
31cからピストン裏面に潤滑油を噴出するように指向
している。また上記軸受ボス部29の上記連通孔52部
分のクランク軸方向厚さは、クランク軸側はW2である
のに対しピストン側はW1と幅狭になっている。そのた
め上記噴射口54aから噴射された潤滑油は連通孔52
の周縁あるいはピストンスカートに邪魔されることなく
確実にピストン裏面に供給され、該ピストン31を確実
に冷却できる。
【0040】上記シリンダブロック22にはスリーブ2
7を囲むように水冷ジャケット90が形成されている。
該水冷ジャケット90の上記チェン配置室43側を除く
部分の深さは、上死点からクランク角度で110〜12
0°下降した位置にあるピストン31の上端面に一致す
るように設定されている。一方上記水冷ジャケット90
の上記チェン配置室43側部分90aの深さは下死点に
位置するピストン31の上端面付近に一致するように設
定されており、かつ該水冷ジャケット部分90aの底壁
90bのシリンダ軸方向高さは上記組付け用開口50の
上縁50aの高さより僅かに低くなるように設定されて
いる。なお、上記水冷ジャケット90はヘッド側合面に
て全周に渡って開口しており、かつ後述のガスケット9
1によって閉塞されている。
7を囲むように水冷ジャケット90が形成されている。
該水冷ジャケット90の上記チェン配置室43側を除く
部分の深さは、上死点からクランク角度で110〜12
0°下降した位置にあるピストン31の上端面に一致す
るように設定されている。一方上記水冷ジャケット90
の上記チェン配置室43側部分90aの深さは下死点に
位置するピストン31の上端面付近に一致するように設
定されており、かつ該水冷ジャケット部分90aの底壁
90bのシリンダ軸方向高さは上記組付け用開口50の
上縁50aの高さより僅かに低くなるように設定されて
いる。なお、上記水冷ジャケット90はヘッド側合面に
て全周に渡って開口しており、かつ後述のガスケット9
1によって閉塞されている。
【0041】このように水冷ジャケット90のチェン配
置室43側部分90aを他の部分よりも深く形成したの
で、該チェン配置室43を設けたことによりシリンダブ
ロックの該配置室43部分の冷却性が低下するのを補償
できる。即ち、シリンダブロック22のスリーブ27を
囲む部分は走行風が直接当たることによっても冷却され
るのであるが、シリンダブロック22の図9右端部分は
上記チェン配置室43で囲まれていることから走行風が
当たりにくく、冷却性が低下する懸念がある。本実施形
態では、冷却ジャケット90のチェン配置室側部分90
aをより深く形成したので上記走行風が当たらないこと
による冷却性の低下を補償できる。
置室43側部分90aを他の部分よりも深く形成したの
で、該チェン配置室43を設けたことによりシリンダブ
ロックの該配置室43部分の冷却性が低下するのを補償
できる。即ち、シリンダブロック22のスリーブ27を
囲む部分は走行風が直接当たることによっても冷却され
るのであるが、シリンダブロック22の図9右端部分は
上記チェン配置室43で囲まれていることから走行風が
当たりにくく、冷却性が低下する懸念がある。本実施形
態では、冷却ジャケット90のチェン配置室側部分90
aをより深く形成したので上記走行風が当たらないこと
による冷却性の低下を補償できる。
【0042】また上記シリンダブロック22の水冷ジャ
ケット部分90aの底壁90bのシリンダ軸方向高さを
上記組付け用開口50の上縁50aの高さより僅かに低
くなるように設定した(図4参照)ので、該部分の鋳造
用金型を簡単にすることができる。即ち、上記底壁90
bが上記上縁50aより高い場合には、スライド型が必
要となるが、本実施形態では不要である。
ケット部分90aの底壁90bのシリンダ軸方向高さを
上記組付け用開口50の上縁50aの高さより僅かに低
くなるように設定した(図4参照)ので、該部分の鋳造
用金型を簡単にすることができる。即ち、上記底壁90
bが上記上縁50aより高い場合には、スライド型が必
要となるが、本実施形態では不要である。
【0043】上記シリンダブロック22とシリンダヘッ
ド23との合面間にはガスケット91が介在している。
このガスケット91は、上記シリンダブロック22の合
面形状に合わせて切断した3枚の薄板92,93,94
を該薄板と略同じ隙間を開けて重ね合わせるとともに、
スーリブ27を囲むように該スリーブ27より大径の同
心円のシリンダボアビード部91aを形成するととも
に、上記合面の周縁に沿う形状の周縁ビード部91b,
及び上記チェン配置室43の開口縁に沿う形状のチェン
室ビード部91c等をプレス成形等で形成してなるもの
である。上記各ビード部91a〜91cは、中央の薄板
93は平坦のままとし、上,下の薄板92,94を該中
央の薄板93に当接するように屈曲させ、周縁のかしめ
加工により固定した構成となっている。なお、図11は
上記ビード部及び上記隙間を強調するために模式的に示
されている。
ド23との合面間にはガスケット91が介在している。
このガスケット91は、上記シリンダブロック22の合
面形状に合わせて切断した3枚の薄板92,93,94
を該薄板と略同じ隙間を開けて重ね合わせるとともに、
スーリブ27を囲むように該スリーブ27より大径の同
心円のシリンダボアビード部91aを形成するととも
に、上記合面の周縁に沿う形状の周縁ビード部91b,
及び上記チェン配置室43の開口縁に沿う形状のチェン
室ビード部91c等をプレス成形等で形成してなるもの
である。上記各ビード部91a〜91cは、中央の薄板
93は平坦のままとし、上,下の薄板92,94を該中
央の薄板93に当接するように屈曲させ、周縁のかしめ
加工により固定した構成となっている。なお、図11は
上記ビード部及び上記隙間を強調するために模式的に示
されている。
【0044】上記ガスケット91をシリンダブロック2
2とシリンダヘッド23の合面間に介在させ、両者をヘ
ッドボルトで締めつけると、上記各ビード部91a,9
1bの屈曲点pが上記合面に圧設し、またこれと同時に
上,下の薄板92,94が中央の薄板93に圧接し、こ
れにより上記シリンダブロック22,シリンダヘッド2
3間がシールされる。
2とシリンダヘッド23の合面間に介在させ、両者をヘ
ッドボルトで締めつけると、上記各ビード部91a,9
1bの屈曲点pが上記合面に圧設し、またこれと同時に
上,下の薄板92,94が中央の薄板93に圧接し、こ
れにより上記シリンダブロック22,シリンダヘッド2
3間がシールされる。
【0045】図2,図4において、70は主として上記
上ミッションケース26a内に配置された変速装置であ
り、これはクランク軸21の後部上方に入力ギヤ群71
が装着されたメイン軸(入力軸)72を、また該メイン
軸72の下方に上記入力ギヤ群71に噛合する出力ギヤ
群73が装着されたドライブ軸(出力軸)74をそれぞ
れクランク軸21と平行に配置して構成されている。
上ミッションケース26a内に配置された変速装置であ
り、これはクランク軸21の後部上方に入力ギヤ群71
が装着されたメイン軸(入力軸)72を、また該メイン
軸72の下方に上記入力ギヤ群71に噛合する出力ギヤ
群73が装着されたドライブ軸(出力軸)74をそれぞ
れクランク軸21と平行に配置して構成されている。
【0046】上記ドライブ軸74は、上記クランク軸2
1が上,下クランクケース部25a,25bの分割合面
間に配置されているのと同様に上,下ミッションケース
部26a,26bの分割合面間に形成されたボス部に軸
受75を介して支持されている。また上記メイン軸72
は、上ミッションケース部26a内に配置されており、
該メイン軸72の左端部は上ミッションケース部26a
のボス部に軸受76を介して支持されている。また右側
部分は軸受77及びフランジ78を介して上ミッション
ケース部26aの右側壁26gに支持されており、該フ
ランジ78は上記右側壁26gにボルト締め固定されて
いる。
1が上,下クランクケース部25a,25bの分割合面
間に配置されているのと同様に上,下ミッションケース
部26a,26bの分割合面間に形成されたボス部に軸
受75を介して支持されている。また上記メイン軸72
は、上ミッションケース部26a内に配置されており、
該メイン軸72の左端部は上ミッションケース部26a
のボス部に軸受76を介して支持されている。また右側
部分は軸受77及びフランジ78を介して上ミッション
ケース部26aの右側壁26gに支持されており、該フ
ランジ78は上記右側壁26gにボルト締め固定されて
いる。
【0047】上記ドライブ軸74の左端部はミッション
ケース部26から外方に突出しており、該突出部に装着
された駆動スプロケット79がチェーン80を介して上
記後輪13の後輪スプロケット13aに連結されてい
る。また上記メイン軸72の右端部にはクラッチ機構8
1が装着されている。該クラッチ機構81は、クランク
軸21の減速小歯車82に噛合し、メイン軸72に軸支
された減速大歯車83にダンパを介して結合されたアウ
タドラム84と、メイン軸72にスプライン結合された
インナドラム85との間に多数のクラッチ板86を介在
させた構造のものである。このクラッチ機構81は、イ
ンナドラム85に連結されたプッシュレバー87を回動
操作することによりエンジン動力を接断する。
ケース部26から外方に突出しており、該突出部に装着
された駆動スプロケット79がチェーン80を介して上
記後輪13の後輪スプロケット13aに連結されてい
る。また上記メイン軸72の右端部にはクラッチ機構8
1が装着されている。該クラッチ機構81は、クランク
軸21の減速小歯車82に噛合し、メイン軸72に軸支
された減速大歯車83にダンパを介して結合されたアウ
タドラム84と、メイン軸72にスプライン結合された
インナドラム85との間に多数のクラッチ板86を介在
させた構造のものである。このクラッチ機構81は、イ
ンナドラム85に連結されたプッシュレバー87を回動
操作することによりエンジン動力を接断する。
【0048】上記メイン軸72,ドライブ軸74の後側
斜め上方にはこれらと平行にシフトドラム90,入力側
フォーク軸91,出力側フォーク軸92が配設されてお
り、このシフトドラム90,各フォーク軸91,92の
右端部,左端部は上記上ミッションケース部26aに一
体形成された右,左ボス部により支持されている。
斜め上方にはこれらと平行にシフトドラム90,入力側
フォーク軸91,出力側フォーク軸92が配設されてお
り、このシフトドラム90,各フォーク軸91,92の
右端部,左端部は上記上ミッションケース部26aに一
体形成された右,左ボス部により支持されている。
【0049】上記入力側フォーク軸91には1つの入力
側シフトフォーク93が、また上記出力側フォーク軸9
2には2つの出力側シフトフォーク94,94が軸方向
移動自在に装着されている。上記シフトフォーク93,
94の二股状の爪部は入力ギヤ群71,出力ギヤ群73
のギヤに形成された摺動溝71b,73bに摺動自在に
係合し、また上記シフトフォーク93,94の基部に一
体形成された係合ピンは上記シフトドラム90の外周面
に形成されたガイド溝に摺動自在に係合している。この
シフトドラム90を不図示のチェンジ機構により回動さ
せることにより、上記両シフトフォーク93,94が軸
方向に摺動して入力ギヤ群71,出力ギヤ群73のギヤ
を移動させ、その結果、最低速段〜最高速段の間で切換
が行われる。
側シフトフォーク93が、また上記出力側フォーク軸9
2には2つの出力側シフトフォーク94,94が軸方向
移動自在に装着されている。上記シフトフォーク93,
94の二股状の爪部は入力ギヤ群71,出力ギヤ群73
のギヤに形成された摺動溝71b,73bに摺動自在に
係合し、また上記シフトフォーク93,94の基部に一
体形成された係合ピンは上記シフトドラム90の外周面
に形成されたガイド溝に摺動自在に係合している。この
シフトドラム90を不図示のチェンジ機構により回動さ
せることにより、上記両シフトフォーク93,94が軸
方向に摺動して入力ギヤ群71,出力ギヤ群73のギヤ
を移動させ、その結果、最低速段〜最高速段の間で切換
が行われる。
【0050】次に上記クランク軸21,メイン軸72,
及びドライブ軸74の配置位置関係を主として図2に基
づいて説明する。上記メイン軸72は、これの軸芯とク
ランク軸21の軸芯とを結ぶクランク軸・メイン軸直線
Aと気筒軸線20とがシリンダヘッド側かつメイン軸側
にてなす第1軸角度θ1が鋭角をなすように、換言すれ
ばクランク軸21の軸芯を通り気筒軸線20と直角な直
線Cよりシリンダヘッド23側に寄せた位置に配置され
ている。
及びドライブ軸74の配置位置関係を主として図2に基
づいて説明する。上記メイン軸72は、これの軸芯とク
ランク軸21の軸芯とを結ぶクランク軸・メイン軸直線
Aと気筒軸線20とがシリンダヘッド側かつメイン軸側
にてなす第1軸角度θ1が鋭角をなすように、換言すれ
ばクランク軸21の軸芯を通り気筒軸線20と直角な直
線Cよりシリンダヘッド23側に寄せた位置に配置され
ている。
【0051】また上記ドライブ軸74は、これの軸芯と
上記メイン軸72の軸芯とを結ぶメイン軸・ドライブ軸
直線Bと上記クランク軸・メイン軸直線Aとがドライブ
軸側かつクランク軸側にてなす第2軸角度θ2が鋭角と
なるように配置されている。このようにして上記メイン
軸72,ドライブ軸74はシリンダブロック22の背面
に背負われるように配置されている。
上記メイン軸72の軸芯とを結ぶメイン軸・ドライブ軸
直線Bと上記クランク軸・メイン軸直線Aとがドライブ
軸側かつクランク軸側にてなす第2軸角度θ2が鋭角と
なるように配置されている。このようにして上記メイン
軸72,ドライブ軸74はシリンダブロック22の背面
に背負われるように配置されている。
【0052】また上記クラッチ機構81の最大外周面
(減速大ギヤの外周面)81aは、下死点に位置するピ
ストン31′の頂面を通り気筒軸線20と直角をなす直
線Dよりシリンダヘッド23側に位置している。そして
上記クラッチ機構81の減速大歯車83の軸方向投影面
内に上記メイン軸72,シフトドラム90,各フォーク
軸91,92及びドライブ軸74が位置している。
(減速大ギヤの外周面)81aは、下死点に位置するピ
ストン31′の頂面を通り気筒軸線20と直角をなす直
線Dよりシリンダヘッド23側に位置している。そして
上記クラッチ機構81の減速大歯車83の軸方向投影面
内に上記メイン軸72,シフトドラム90,各フォーク
軸91,92及びドライブ軸74が位置している。
【0053】主として図2に示すように、本実施形態の
冷却水ポンプ100,潤滑油ポンプは両方とも下ミッシ
ョンケース部26b内に収容配置されており、該両ポン
プ共通のポンプ軸102は上記クランク軸21,ドライ
ブ軸74の間の下方にこれらと平行に配置されている。
このポンプ軸102の右端に取り付けられた従動スプロ
ケット108がチェーン109を介して上記メイン軸7
2のフランジ78より外側部分に装着された駆動スプロ
ケット110に連結されている。冷却水ポンプ100か
ら吐出された冷却水は、冷却水通路119,123a,
123bを介して上記冷却ジャケット90に供給され
る。
冷却水ポンプ100,潤滑油ポンプは両方とも下ミッシ
ョンケース部26b内に収容配置されており、該両ポン
プ共通のポンプ軸102は上記クランク軸21,ドライ
ブ軸74の間の下方にこれらと平行に配置されている。
このポンプ軸102の右端に取り付けられた従動スプロ
ケット108がチェーン109を介して上記メイン軸7
2のフランジ78より外側部分に装着された駆動スプロ
ケット110に連結されている。冷却水ポンプ100か
ら吐出された冷却水は、冷却水通路119,123a,
123bを介して上記冷却ジャケット90に供給され
る。
【0054】また上記潤滑ポンプは、オイルパン28内
の潤滑油をオイルストレーナ120を介して吸引し、該
潤滑油を下クランクケース部25bの前壁に取り付けら
れたオイルフィルタ121からメインギャラリ122を
介してクランク軸21,メイン軸72,ドライブ軸7
4,及びカム軸40,41等の各エンジン潤滑部に供給
する。
の潤滑油をオイルストレーナ120を介して吸引し、該
潤滑油を下クランクケース部25bの前壁に取り付けら
れたオイルフィルタ121からメインギャラリ122を
介してクランク軸21,メイン軸72,ドライブ軸7
4,及びカム軸40,41等の各エンジン潤滑部に供給
する。
【0055】ここで、動弁機構への潤滑油は、図3に示
すように、シリンダヘッド23の第1気筒吸気側とチェ
ーン配置室43との間に開口するオイル通路126から
吸気側カム軸40に沿って延びるオイル通路127に供
給されるとともに、オイル通路128により排気側カム
軸41に沿って延びるオイル通路129に供給される。
なお各カム軸軸受部を潤滑した潤滑油はシリンダヘッド
23の第3,第4気筒の排気側間に形成されたオイル戻
り通路を通ってオイルパン28内に回収される。
すように、シリンダヘッド23の第1気筒吸気側とチェ
ーン配置室43との間に開口するオイル通路126から
吸気側カム軸40に沿って延びるオイル通路127に供
給されるとともに、オイル通路128により排気側カム
軸41に沿って延びるオイル通路129に供給される。
なお各カム軸軸受部を潤滑した潤滑油はシリンダヘッド
23の第3,第4気筒の排気側間に形成されたオイル戻
り通路を通ってオイルパン28内に回収される。
【0056】なお、図2において、135は始動用モー
タであり、これは上記上ミッションケース部26aのシ
リンダ本体部22c背面部分にクランク軸21と平行に
配置されている。上記始動用モータ135の出力は中間
ギヤ138,始動ギヤ139,一方向クラッチ14,減
速大歯車83を介してクランク軸21に伝達される。
タであり、これは上記上ミッションケース部26aのシ
リンダ本体部22c背面部分にクランク軸21と平行に
配置されている。上記始動用モータ135の出力は中間
ギヤ138,始動ギヤ139,一方向クラッチ14,減
速大歯車83を介してクランク軸21に伝達される。
【0057】ここでシリンダブロック22のシリンダ本
体部22c,スリーブ27の構造を図13,14に基づ
いてさらに詳述する。本実施形態のスリーブ27は、9
0度間隔毎に肉厚ts1,周長L1の位置決め部27f
1を有しており、該位置決め部以外の部分は肉厚ts
2,周長L2(>L1)の薄肉部27f2となってい
る。またシリンダ本体部22cのスリーブ27を囲むシ
リンダボア壁22dの、上記位置決め部27f1,薄肉
部27f2部分の肉厚はそれぞれtb1,tb2となっ
ており、この場合に(ts1+tb1)=(ts2+t
b2)に設定されている。つまりシリンダボア壁22d
の外周面は凹凸のない滑らかな形状となっており、冷却
水の淀みを防止している。
体部22c,スリーブ27の構造を図13,14に基づ
いてさらに詳述する。本実施形態のスリーブ27は、9
0度間隔毎に肉厚ts1,周長L1の位置決め部27f
1を有しており、該位置決め部以外の部分は肉厚ts
2,周長L2(>L1)の薄肉部27f2となってい
る。またシリンダ本体部22cのスリーブ27を囲むシ
リンダボア壁22dの、上記位置決め部27f1,薄肉
部27f2部分の肉厚はそれぞれtb1,tb2となっ
ており、この場合に(ts1+tb1)=(ts2+t
b2)に設定されている。つまりシリンダボア壁22d
の外周面は凹凸のない滑らかな形状となっており、冷却
水の淀みを防止している。
【0058】ここで上記位置決め部27f1の肉厚ts
1は2.5〜4.5mm程度に、薄肉部27f2の肉厚
ts2は1.25〜3.25mm程度に、またシリンダ
ボア壁22の肉厚tb1は3.2〜5.2mm程度に、
tb2は4.25〜6.25mm程度にそれぞれ設定さ
れており、この範囲内で上述の(ts1+tb1)=
(ts2+tb2)が維持される寸法が選択される。
1は2.5〜4.5mm程度に、薄肉部27f2の肉厚
ts2は1.25〜3.25mm程度に、またシリンダ
ボア壁22の肉厚tb1は3.2〜5.2mm程度に、
tb2は4.25〜6.25mm程度にそれぞれ設定さ
れており、この範囲内で上述の(ts1+tb1)=
(ts2+tb2)が維持される寸法が選択される。
【0059】また、上記位置決め部27f1は、シリン
ダボア同士が隣接する領域Aに位置しないように配置位
置が設定されており、該領域Aにおけるシリンダボア中
心同士を結ぶ直線C上におけるスリーブ27の肉厚はt
s2であり、シリンダボア壁22dの肉厚tb3は2.
2〜5.2mm程度に設定されている。そして上記各肉
厚は以下の関係になるように選択される。 (tb3+2×ts2)>(ts1+tb1)=(ts
2+tb2)>(tb3+ts2) 即ち、シリンダボア壁とスリーブの肉厚を合計した厚さ
でみると、上記領域Aの厚さはそれ以外の領域Bの厚さ
より厚くなっているが、その差はスリーブ27の薄肉部
27f2の厚さts2以内に設定されている。なお、上
記領域Aの厚さは、隣接するシリンダボア同士で共有し
ているのであるから、1つのシリンダボアについては上
記(tb3+2×ts2)の1/2となり、上記領域B
よりも薄いと見ることもできる。
ダボア同士が隣接する領域Aに位置しないように配置位
置が設定されており、該領域Aにおけるシリンダボア中
心同士を結ぶ直線C上におけるスリーブ27の肉厚はt
s2であり、シリンダボア壁22dの肉厚tb3は2.
2〜5.2mm程度に設定されている。そして上記各肉
厚は以下の関係になるように選択される。 (tb3+2×ts2)>(ts1+tb1)=(ts
2+tb2)>(tb3+ts2) 即ち、シリンダボア壁とスリーブの肉厚を合計した厚さ
でみると、上記領域Aの厚さはそれ以外の領域Bの厚さ
より厚くなっているが、その差はスリーブ27の薄肉部
27f2の厚さts2以内に設定されている。なお、上
記領域Aの厚さは、隣接するシリンダボア同士で共有し
ているのであるから、1つのシリンダボアについては上
記(tb3+2×ts2)の1/2となり、上記領域B
よりも薄いと見ることもできる。
【0060】また上記スリーブ27の外周には機械加工
により凹溝Mが該スリーブを取り囲むように形成されて
いる。該凹溝Mは鋳込みによりシリンダボア壁22dが
係止し、抜け止めとして機能する。
により凹溝Mが該スリーブを取り囲むように形成されて
いる。該凹溝Mは鋳込みによりシリンダボア壁22dが
係止し、抜け止めとして機能する。
【0061】また本実施形態のシリンダ本体部22c,
スリーブ27は何れもアルミ合金製であるが、アルミ合
金の場合、図24に示すように、Siのwt%(重量含
有率)に応じて線膨張係数が変化する。具体的には、S
iが23〜0wt%に変化すると線膨張係数は16〜2
3×10-6/Kの範囲で変化する。従って、Siの重量
含有率を変化させることにより所望の線膨張係数を得る
ことができる。本実施形態では、通常の鋳造性,機械的
強度等に加えて線膨張係数を適宜設定する観点からSi
の重量含有率を選択している。
スリーブ27は何れもアルミ合金製であるが、アルミ合
金の場合、図24に示すように、Siのwt%(重量含
有率)に応じて線膨張係数が変化する。具体的には、S
iが23〜0wt%に変化すると線膨張係数は16〜2
3×10-6/Kの範囲で変化する。従って、Siの重量
含有率を変化させることにより所望の線膨張係数を得る
ことができる。本実施形態では、通常の鋳造性,機械的
強度等に加えて線膨張係数を適宜設定する観点からSi
の重量含有率を選択している。
【0062】また本実施形態では、シリンダ本体部22
cのアルミ合金は5〜20重量%のSiを含有し、シリ
ンダ本体部22cのアルミ合金のSi重量含有率βbを
スリーブのアルミ合金のSi重量含有率βsで除して1
00倍したものをαとする時、50<α<150を満足
するように、スリーブのアルミ合金を選択する。そし
て、βb>βsとしている。その結果、図24によりわ
かる通り、アルミ合金のSi重量含有率と線膨張係数に
は所定の関係があるので、シリンダ本体部22cの線膨
張係数αb<スリーブ27の線膨張係数αsとなってい
る。
cのアルミ合金は5〜20重量%のSiを含有し、シリ
ンダ本体部22cのアルミ合金のSi重量含有率βbを
スリーブのアルミ合金のSi重量含有率βsで除して1
00倍したものをαとする時、50<α<150を満足
するように、スリーブのアルミ合金を選択する。そし
て、βb>βsとしている。その結果、図24によりわ
かる通り、アルミ合金のSi重量含有率と線膨張係数に
は所定の関係があるので、シリンダ本体部22cの線膨
張係数αb<スリーブ27の線膨張係数αsとなってい
る。
【0063】また上述のようにスリーブ27のシリンダ
ヘッド側端部に面取り部27dを形成することによりシ
リンダボア壁22dのシリンダヘッド側端部の肉厚を他
の部分の肉厚tb1又はtb2より厚肉にしている。そ
してこのシリンダボア壁22dの厚肉に形成されたシリ
ンダヘッド側端部のシリンダヘッドとの合面22fのみ
に、つまりスリーブ27のシリンダヘッド側合面22g
にかかることなくガスケット91のシール点pを当接さ
せている(図11参照)。
ヘッド側端部に面取り部27dを形成することによりシ
リンダボア壁22dのシリンダヘッド側端部の肉厚を他
の部分の肉厚tb1又はtb2より厚肉にしている。そ
してこのシリンダボア壁22dの厚肉に形成されたシリ
ンダヘッド側端部のシリンダヘッドとの合面22fのみ
に、つまりスリーブ27のシリンダヘッド側合面22g
にかかることなくガスケット91のシール点pを当接さ
せている(図11参照)。
【0064】次に本実施形態シリンダブロック22の製
造工程を説明する。本実施形態のシリンダブロック22
を構成するシリンダ本体部22c,上クランクケース部
25a及び上ミッションケース部26a(以下シリンダ
ブロック母材と記す場合がある)のダイカスト鋳造用ア
ルミニウム合金としては、以下の表1の内のアルミニウ
ム合金を使用する。なお、別の実施形態として容湯低圧
の金型鋳造によりシリンダブロック22を構成する場合
には、表2に示すJIS規格のアルミニウム合金が使用
可能である。なお両実施形態において鋳込まれる上記ス
リーブ27用アルミニウム合金としては表3に示す合金
が使用可能である。
造工程を説明する。本実施形態のシリンダブロック22
を構成するシリンダ本体部22c,上クランクケース部
25a及び上ミッションケース部26a(以下シリンダ
ブロック母材と記す場合がある)のダイカスト鋳造用ア
ルミニウム合金としては、以下の表1の内のアルミニウ
ム合金を使用する。なお、別の実施形態として容湯低圧
の金型鋳造によりシリンダブロック22を構成する場合
には、表2に示すJIS規格のアルミニウム合金が使用
可能である。なお両実施形態において鋳込まれる上記ス
リーブ27用アルミニウム合金としては表3に示す合金
が使用可能である。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
【表3】 上記表1〜表3に示したように、母材のアルミニウム合
金はSiを5〜20%(重量%)含有し、スリーブ27
のアルミニウム合金としては、(スリーブ27のSi重
量含有率/母材の重量含有率)×100をαとすると、 50<α<150 となるようなSi含有量のアルミニウム合金を用いる。
このような構成のアルミニウム合金を用いて母材および
スリーブをそれぞれ形成することにより、母材とスリー
ブの熱膨張率の差が小さくなり、母材とスリーブ間での
ヒートスポットの発生やスリーブ内周面の熱変形が軽減
して、スリーブ内周面に施しためっき皮膜aの剥がれが
抑制される。
金はSiを5〜20%(重量%)含有し、スリーブ27
のアルミニウム合金としては、(スリーブ27のSi重
量含有率/母材の重量含有率)×100をαとすると、 50<α<150 となるようなSi含有量のアルミニウム合金を用いる。
このような構成のアルミニウム合金を用いて母材および
スリーブをそれぞれ形成することにより、母材とスリー
ブの熱膨張率の差が小さくなり、母材とスリーブ間での
ヒートスポットの発生やスリーブ内周面の熱変形が軽減
して、スリーブ内周面に施しためっき皮膜aの剥がれが
抑制される。
【0068】なお、例えば表2のAC4Cによりシリン
ダブロック母材を形成する場合には、母材のSi重量含
有率は6.5〜7.5%となるので、表3の合金1ある
いは合金2において、Si含有量を例えば3.75〜
9.75重量%に変更した合金を使用し、上記スリーブ
のSi重量含有率/母材のSi重量含有率の条件を満足
させるようにする。同様に、ADC10によりシリンダ
ブロック母材60を形成する場合には、母材60のSi
重量含有率は7.5〜9.5%となるので、表3の合金
1あるいは合金2において、Si含有量を例えば4.7
5〜15重量%に変更した合金を使用し、上記スリーブ
のSi重量含有率/母材のSi重量含有率の条件を満足
させるようにする。
ダブロック母材を形成する場合には、母材のSi重量含
有率は6.5〜7.5%となるので、表3の合金1ある
いは合金2において、Si含有量を例えば3.75〜
9.75重量%に変更した合金を使用し、上記スリーブ
のSi重量含有率/母材のSi重量含有率の条件を満足
させるようにする。同様に、ADC10によりシリンダ
ブロック母材60を形成する場合には、母材60のSi
重量含有率は7.5〜9.5%となるので、表3の合金
1あるいは合金2において、Si含有量を例えば4.7
5〜15重量%に変更した合金を使用し、上記スリーブ
のSi重量含有率/母材のSi重量含有率の条件を満足
させるようにする。
【0069】さらに、表3に示すようにスリーブのアル
ミニウム合金は各々少なくとも0.2以上10以下のC
uとMgの両方を含有する。これにより、下記するよう
にT6処理をして容易に硬度をHB70以上とすること
ができる。なお、CuとMgの内一方のみ含有する場合
でもT6処理をして容易に硬度をHB70以上とするこ
とができる。また、表1及び表2に示すように母材のア
ルミニウム合金はCuとMgの一方あるいは両方を含有
する。これにより、下記するようにスリーブとともに母
材にT6処理をして容易に硬度を上げることができ、ス
リーブのめっき層支持部のめっき保持能力の向上を図り
つつ、シリンダブロック全体の剛性を上昇させることが
でき、エンジンの耐久性を向上させることができる。
ミニウム合金は各々少なくとも0.2以上10以下のC
uとMgの両方を含有する。これにより、下記するよう
にT6処理をして容易に硬度をHB70以上とすること
ができる。なお、CuとMgの内一方のみ含有する場合
でもT6処理をして容易に硬度をHB70以上とするこ
とができる。また、表1及び表2に示すように母材のア
ルミニウム合金はCuとMgの一方あるいは両方を含有
する。これにより、下記するようにスリーブとともに母
材にT6処理をして容易に硬度を上げることができ、ス
リーブのめっき層支持部のめっき保持能力の向上を図り
つつ、シリンダブロック全体の剛性を上昇させることが
でき、エンジンの耐久性を向上させることができる。
【0070】図22は、上記スリーブ27の鋳込みによ
るシリンダブロック22の製造工程を説明するためのフ
ローチャートである。このフローにおいて、ステップS
0は、規格品であるアルミ合金製パイプ材を使った押し
出し行程と、素材としての全長を与えるための切断加工
行程からなる。押し出しによりスリーズ外周の位置決め
部となる厚肉部27f1と位置決め部外の薄肉部27f
2の形状と、加工代を付けた内周形状を成形する。ステ
ップS1においてT6処理がなされる。このT6処理
は、スリーブのめっき皮膜支持部となる内周面の表面硬
度を高めるために、JIS規格H5202に基づき、ス
リーブ単体またはスリーブを鋳込んだシリンダブロック
全体を所定の温度で溶体化後時効硬化するものである。
るシリンダブロック22の製造工程を説明するためのフ
ローチャートである。このフローにおいて、ステップS
0は、規格品であるアルミ合金製パイプ材を使った押し
出し行程と、素材としての全長を与えるための切断加工
行程からなる。押し出しによりスリーズ外周の位置決め
部となる厚肉部27f1と位置決め部外の薄肉部27f
2の形状と、加工代を付けた内周形状を成形する。ステ
ップS1においてT6処理がなされる。このT6処理
は、スリーブのめっき皮膜支持部となる内周面の表面硬
度を高めるために、JIS規格H5202に基づき、ス
リーブ単体またはスリーブを鋳込んだシリンダブロック
全体を所定の温度で溶体化後時効硬化するものである。
【0071】その後、スリーブ機械加工(ステップS
3)において、スリーズの内周加工と、スリーブの外周
の内両端部と、図14に示すように、スリーズ27の外
周面の長手方向中間部に抜け止め用凹部Mを加工する。
そしてステップS5において、スリーブ27を鋳込むシ
リンダダイカスト成形が実施される。この場合の鋳込み
はスリーブを金型内に収容し、スリーブ内周の一部を支
持部材で支えた状態で、金型とスリーブ外周との間の空
隙に、所定のアルミ合金の溶湯を高圧で導くことにより
行う。そしてステップS7においてシリンダブロック2
2の各部及びシリンダボアの機械加工が実施される。
3)において、スリーズの内周加工と、スリーブの外周
の内両端部と、図14に示すように、スリーズ27の外
周面の長手方向中間部に抜け止め用凹部Mを加工する。
そしてステップS5において、スリーブ27を鋳込むシ
リンダダイカスト成形が実施される。この場合の鋳込み
はスリーブを金型内に収容し、スリーブ内周の一部を支
持部材で支えた状態で、金型とスリーブ外周との間の空
隙に、所定のアルミ合金の溶湯を高圧で導くことにより
行う。そしてステップS7においてシリンダブロック2
2の各部及びシリンダボアの機械加工が実施される。
【0072】なお、T6処理は本実施形態においてステ
ップS1で実施しているが、ステップS1、S4、S6
のいずれか1回行えばよい。このようなT6処理により
スリーブ表面硬度をHB70以上(70〜150)とす
ることが望ましい。なお、スリーブの押出し又は引き抜
き成形により、内周面の表面硬度をHB70以上とした
場合には、その後のT6処理により表面硬化処理を省略
することもできる。
ップS1で実施しているが、ステップS1、S4、S6
のいずれか1回行えばよい。このようなT6処理により
スリーブ表面硬度をHB70以上(70〜150)とす
ることが望ましい。なお、スリーブの押出し又は引き抜
き成形により、内周面の表面硬度をHB70以上とした
場合には、その後のT6処理により表面硬化処理を省略
することもできる。
【0073】なお、ステップS1、S4のいずれかのT
6処理によれば、スリーブのみ硬度上昇を図ることがで
きる。鋳込み時、溶湯状態の母材側の熱によりスリーブ
の硬度が若干低下するが、鋳造時間そのものはT6処理
に相対して短く、スリーブの内周側の硬度をHB70以
上に保つことができる。また、ステップS6のT6処理
によれば、スリーブの硬度上昇に加えシリンダブロック
の母材の硬度も上昇することができ、シリンダブロック
全体の剛性を上昇させることができ、エンジン振動によ
り各部の摺動部のクリアランス等が小さくなって摺動摩
耗が増加する等に起因する、エンジンの耐久性の低下を
防止することができる。そして、鋳込み時には容湯が上
記空隙内で凝固する過程で収縮するので、スリーブを外
側から締めつけることとなる。このため、スリーブへの
ステップS1,S6におけるT6が有効である。
6処理によれば、スリーブのみ硬度上昇を図ることがで
きる。鋳込み時、溶湯状態の母材側の熱によりスリーブ
の硬度が若干低下するが、鋳造時間そのものはT6処理
に相対して短く、スリーブの内周側の硬度をHB70以
上に保つことができる。また、ステップS6のT6処理
によれば、スリーブの硬度上昇に加えシリンダブロック
の母材の硬度も上昇することができ、シリンダブロック
全体の剛性を上昇させることができ、エンジン振動によ
り各部の摺動部のクリアランス等が小さくなって摺動摩
耗が増加する等に起因する、エンジンの耐久性の低下を
防止することができる。そして、鋳込み時には容湯が上
記空隙内で凝固する過程で収縮するので、スリーブを外
側から締めつけることとなる。このため、スリーブへの
ステップS1,S6におけるT6が有効である。
【0074】なお、本実施形態では外周ショットブラス
ト(ステップS3)は必要に応じて実施すれば良い。こ
の外周ショットブラスト(ステップS3)は、スリーブ
外周面に細かい凹凸を形成し、母材との接合性を高める
ためのものである。このようにスリーブの鋳込み前にス
リーブ外周面に凹凸を形成することにより、運転中の母
材とスリーブの熱膨張率の違いにより緊迫力が低下して
も、スリーブの抜けを確実に防止できる。このようなス
リーブ外周面の凹凸は、ショットブラスト以外にも他の
機械加工あるいはスリーブ全体の酸洗い(エッチング)
等により形成することができる。また、ショットブラス
ト等によりスリーブ外周に凹凸を形成して母材との接合
性を高める方法に代えて、低融点半田を用いてスリーブ
と母材とを接合しスリーブの抜け防止を図ってもよい。
ト(ステップS3)は必要に応じて実施すれば良い。こ
の外周ショットブラスト(ステップS3)は、スリーブ
外周面に細かい凹凸を形成し、母材との接合性を高める
ためのものである。このようにスリーブの鋳込み前にス
リーブ外周面に凹凸を形成することにより、運転中の母
材とスリーブの熱膨張率の違いにより緊迫力が低下して
も、スリーブの抜けを確実に防止できる。このようなス
リーブ外周面の凹凸は、ショットブラスト以外にも他の
機械加工あるいはスリーブ全体の酸洗い(エッチング)
等により形成することができる。また、ショットブラス
ト等によりスリーブ外周に凹凸を形成して母材との接合
性を高める方法に代えて、低融点半田を用いてスリーブ
と母材とを接合しスリーブの抜け防止を図ってもよい。
【0075】ここでショットブラストとは、粒径が50
〜150μmの鋼球、超硬ビーズ、ステンレス鋼球、亜
鉛ビーズ、ガラスビーズや、粒径はもう少し大きい石英
を多く含む川砂等を、投射機で、例えば40〜80m/
sの投射速度でワークを投射するものを言う。なお、ス
テップS8においてめっき処理した後、めっきが施され
るシリンダボアのホーニング加工(ステップS9)と、
シリンダブロック22の洗浄(ステップS9)が実施さ
れる。
〜150μmの鋼球、超硬ビーズ、ステンレス鋼球、亜
鉛ビーズ、ガラスビーズや、粒径はもう少し大きい石英
を多く含む川砂等を、投射機で、例えば40〜80m/
sの投射速度でワークを投射するものを言う。なお、ス
テップS8においてめっき処理した後、めっきが施され
るシリンダボアのホーニング加工(ステップS9)と、
シリンダブロック22の洗浄(ステップS9)が実施さ
れる。
【0076】図23は上記めっき処理工程(ステップS
8)の詳細なフローチャートであり、図20,図21は
このめっき処理を行うめっき処理装置の構成図である。
図22のフローチャートにおいて、スリーブ内面のめっ
き処理は、基本的には、脱脂処理(ステップS11)、
アルカリエッチング処理(ステップS13)、混酸エッ
チング処理(ステップS15)からなる前処理と、下地
処理のアルマイト処理(ステップS17)と、複合めっ
き処理(ステップS19)の5つの工程からなり、各工
程の後に水洗処理(ステップS12、14、16、1
8、20)が施される。
8)の詳細なフローチャートであり、図20,図21は
このめっき処理を行うめっき処理装置の構成図である。
図22のフローチャートにおいて、スリーブ内面のめっ
き処理は、基本的には、脱脂処理(ステップS11)、
アルカリエッチング処理(ステップS13)、混酸エッ
チング処理(ステップS15)からなる前処理と、下地
処理のアルマイト処理(ステップS17)と、複合めっ
き処理(ステップS19)の5つの工程からなり、各工
程の後に水洗処理(ステップS12、14、16、1
8、20)が施される。
【0077】上記水洗処理は各工程ごとに別々の2つの
水槽(合計10個)を用いて、シリンダブロック全体を
順番に2つの水槽内に浸漬し上下に動かして前工程の処
理液を除去するものである。水槽内の水は定期的に新し
い清浄な水と交換される。各水洗処理終了後に次の工程
への移動はできるだけ速やかに行い、表面に水膜がつい
ている状態で次の処理を行うことが望ましい。これによ
り、処理部への塵埃等の付着や空気中の酸素が直接触れ
ることを防止して酸化膜の形成等を防止し、後の工程で
の処理の信頼性を高めることができる。これは特にめっ
き処理の場合有効である。
水槽(合計10個)を用いて、シリンダブロック全体を
順番に2つの水槽内に浸漬し上下に動かして前工程の処
理液を除去するものである。水槽内の水は定期的に新し
い清浄な水と交換される。各水洗処理終了後に次の工程
への移動はできるだけ速やかに行い、表面に水膜がつい
ている状態で次の処理を行うことが望ましい。これによ
り、処理部への塵埃等の付着や空気中の酸素が直接触れ
ることを防止して酸化膜の形成等を防止し、後の工程で
の処理の信頼性を高めることができる。これは特にめっ
き処理の場合有効である。
【0078】図20,図21に示すように、スリーブ2
7を母材に鋳込んだシリンダブロック22は、スリーブ
27の内周面に各処理を施すために、シリンダ本体部2
2cの合面を下側にして、各工程において専用の装置本
体100a,100b上にシール用ガスケット101
a,101bを介して搭載される。各工程でそれぞれ専
用の処理液糟102a,102b内の処理液105a,
105bが専用のポンプ106a,106bにより装置
本体100a,100bの内部に供給され、スリーブ2
7の内側を上昇して内筒107a,107bを通って処
理液糟102a,102bに戻る。
7を母材に鋳込んだシリンダブロック22は、スリーブ
27の内周面に各処理を施すために、シリンダ本体部2
2cの合面を下側にして、各工程において専用の装置本
体100a,100b上にシール用ガスケット101
a,101bを介して搭載される。各工程でそれぞれ専
用の処理液糟102a,102b内の処理液105a,
105bが専用のポンプ106a,106bにより装置
本体100a,100bの内部に供給され、スリーブ2
7の内側を上昇して内筒107a,107bを通って処
理液糟102a,102bに戻る。
【0079】図20はアルカリエッチング,混酸エッチ
ング処理状態を示す。このエッチング処理の範囲は、上
記めっき皮膜の形成範囲に対して余裕を持たせる必要が
あることから、上記スリーブ27の上記逃げ部27aの
クランク軸側端部付近までとされる。そしてこの場合の
処理範囲の管理は、上記内筒107aの上端面107
a′の高さ位置によって処理液105bの液面を管理す
ることによって行われるが、この方法では精度良く行う
には限界がある。仮に上記エッチンク処理液105がミ
ッションケース26側等に溢れ出た場合、図6左端の気
筒についてはミッションケース26側の加工済み面を荒
らす恐れがある。
ング処理状態を示す。このエッチング処理の範囲は、上
記めっき皮膜の形成範囲に対して余裕を持たせる必要が
あることから、上記スリーブ27の上記逃げ部27aの
クランク軸側端部付近までとされる。そしてこの場合の
処理範囲の管理は、上記内筒107aの上端面107
a′の高さ位置によって処理液105bの液面を管理す
ることによって行われるが、この方法では精度良く行う
には限界がある。仮に上記エッチンク処理液105がミ
ッションケース26側等に溢れ出た場合、図6左端の気
筒についてはミッションケース26側の加工済み面を荒
らす恐れがある。
【0080】そこで本実施形態では、上記左端の気筒に
ついては、上述のようにミッションケース26側部分に
リブ状の堰部25d′を形成したものであり、これによ
りエッチング処理液がミッションケース側に溢れ出るの
を防止できる。
ついては、上述のようにミッションケース26側部分に
リブ状の堰部25d′を形成したものであり、これによ
りエッチング処理液がミッションケース側に溢れ出るの
を防止できる。
【0081】上記ガスケット101a,101bは、各
処理工程における処理液の漏れを防止するためのシール
材であるとともにアルマイト処理工程(ステップS1
7)および複合めっき工程(ステップS19)において
は電解作用の絶縁材として機能する。このアルマイト処
理工程と複合めっき工程においては、図21に示すよう
に、それぞれ、例えば交流電源108から整流器109
および制御回路110を介してシリンダ本体部22cと
内筒107間に直流電圧を印加して電解液中に直流電流
を流す。なお、その他の工程においては処理液中に直流
電流は流さない。
処理工程における処理液の漏れを防止するためのシール
材であるとともにアルマイト処理工程(ステップS1
7)および複合めっき工程(ステップS19)において
は電解作用の絶縁材として機能する。このアルマイト処
理工程と複合めっき工程においては、図21に示すよう
に、それぞれ、例えば交流電源108から整流器109
および制御回路110を介してシリンダ本体部22cと
内筒107間に直流電圧を印加して電解液中に直流電流
を流す。なお、その他の工程においては処理液中に直流
電流は流さない。
【0082】上記複合めっき処理は高速メッキ処理であ
り、所定のめっき条件で、専用の処理液糟102b内の
メッキ液105bをポンプ106bにより装置本体10
0b内に供給し、内筒107bを通して処理液糟102
bに戻すといった経路を高速で循環させながらスリーブ
27の内面にめっき皮膜を形成する。この高速めっき工
程においては、内筒107bを電源回路の(+)側に、
シリンダ本体部22cを(−)側に接続し、直流電流を
めっき液中に流す。これにより、後述の組成のめっき液
中のNi+ およびP+ がスリーブ内周面に付着し、これ
に伴って分散剤であるSiC粒子がめっき層中に巻き込
まれる。このようにして、スリーブ内周面に、SiCを
含み耐摩耗性および循環性に優れためっき皮膜aが50
〜150μmの厚さに形成される。
り、所定のめっき条件で、専用の処理液糟102b内の
メッキ液105bをポンプ106bにより装置本体10
0b内に供給し、内筒107bを通して処理液糟102
bに戻すといった経路を高速で循環させながらスリーブ
27の内面にめっき皮膜を形成する。この高速めっき工
程においては、内筒107bを電源回路の(+)側に、
シリンダ本体部22cを(−)側に接続し、直流電流を
めっき液中に流す。これにより、後述の組成のめっき液
中のNi+ およびP+ がスリーブ内周面に付着し、これ
に伴って分散剤であるSiC粒子がめっき層中に巻き込
まれる。このようにして、スリーブ内周面に、SiCを
含み耐摩耗性および循環性に優れためっき皮膜aが50
〜150μmの厚さに形成される。
【0083】また上記ステップS19の高速めっき処理
ではスリーブ27の上端部にカバー111が装着され
る。このカバー111は、高速で循環するめっき液10
5bの飛散噴出を防止するとともに、スリーブ27の内
面のめっき範囲を規制する。めっき範囲は、スリーブ2
7の内周面のうち、シリンダヘッドとの境界部になるガ
スケット101bからカバー111のOリング112ま
での範囲に規制される。従って上記Oリング112の位
置を上記逃げ部27aの途中に設定することにより上述
のようにめっき皮膜aの下端縁a′にピストン31の外
周面下端部が接触しないようにできる。
ではスリーブ27の上端部にカバー111が装着され
る。このカバー111は、高速で循環するめっき液10
5bの飛散噴出を防止するとともに、スリーブ27の内
面のめっき範囲を規制する。めっき範囲は、スリーブ2
7の内周面のうち、シリンダヘッドとの境界部になるガ
スケット101bからカバー111のOリング112ま
での範囲に規制される。従って上記Oリング112の位
置を上記逃げ部27aの途中に設定することにより上述
のようにめっき皮膜aの下端縁a′にピストン31の外
周面下端部が接触しないようにできる。
【0084】上記ステップS19の複合めっき処理の
後、再びステップS20の水洗処理が実施されてめっき
液が除去され、ステップS21のエアーブローによりシ
リンダブロック22に付着する水分が除去される。そし
て以上のめっき処理ステップS8の後、ホーニングステ
ップS9でスリーブ27内周面のめっき層にホーニング
仕上げを施し、めっき皮膜の厚みを望ましくは約50μ
m、場合によっては20μm〜100μmとするととも
に、めっき層の面粗さを1.0μmRz以下にする。こ
れにより、確実にめっき層表面を滑らかにすることがで
きてピストン31およびピストンリング31dの摺動時
の摩擦係数を小さくすることができるとともに、エンジ
ンオイルの保持性が向上し潤滑性を向上させることがで
きる。なお、RzとはJIS規格のB0601に定めら
れたものである。
後、再びステップS20の水洗処理が実施されてめっき
液が除去され、ステップS21のエアーブローによりシ
リンダブロック22に付着する水分が除去される。そし
て以上のめっき処理ステップS8の後、ホーニングステ
ップS9でスリーブ27内周面のめっき層にホーニング
仕上げを施し、めっき皮膜の厚みを望ましくは約50μ
m、場合によっては20μm〜100μmとするととも
に、めっき層の面粗さを1.0μmRz以下にする。こ
れにより、確実にめっき層表面を滑らかにすることがで
きてピストン31およびピストンリング31dの摺動時
の摩擦係数を小さくすることができるとともに、エンジ
ンオイルの保持性が向上し潤滑性を向上させることがで
きる。なお、RzとはJIS規格のB0601に定めら
れたものである。
【0085】次に本実施形態の作用効果について説明す
る。本実施形態では、シリンダ本体部22cと上クラン
クケース部25a及び上ミッションケース部26aをア
ルミ合金のダイカスト鋳造により一体形成したので、部
品点数を削減できるとともに軽量化を図ることができ
る。
る。本実施形態では、シリンダ本体部22cと上クラン
クケース部25a及び上ミッションケース部26aをア
ルミ合金のダイカスト鋳造により一体形成したので、部
品点数を削減できるとともに軽量化を図ることができ
る。
【0086】また上記シリンダ本体部22c内にアルミ
合金の引き抜きパイプ材からなるスリーブ27を鋳込
み、これの内表面にめっき皮膜aを形成するようにした
ので、該スリーブ27の内表面には、ダイカスト鋳造面
にめっき皮膜を直接形成する場合のような巣がないこと
から、めっきの付着性が良好であり、生産不良率を低減
できる。
合金の引き抜きパイプ材からなるスリーブ27を鋳込
み、これの内表面にめっき皮膜aを形成するようにした
ので、該スリーブ27の内表面には、ダイカスト鋳造面
にめっき皮膜を直接形成する場合のような巣がないこと
から、めっきの付着性が良好であり、生産不良率を低減
できる。
【0087】また上記めっき皮膜aの形成に当たって、
めっき液をスリーブ27の内面と処理液層との間で高速
で循環させようにした高速めっき法を採用したので、静
止浴内にワーク全体を浸漬してめっきする方法に比較し
て生産性を向上できる。
めっき液をスリーブ27の内面と処理液層との間で高速
で循環させようにした高速めっき法を採用したので、静
止浴内にワーク全体を浸漬してめっきする方法に比較し
て生産性を向上できる。
【0088】また変速装置を収容する上ミッションケー
ス部26aの上縁部26cを上記シリンダ本体部22c
のシリンダヘッド側合面より下方に位置させたので、図
20,21に示すように、上記めっき処理工程において
シリンダヘッド側合面を下側に向けてめっき処理用装置
本体100a,100b上に搭載した場合に、上ミッシ
ョンケース部26aの上縁部26cが装置本体100
a,100bに干渉しにくくなり、それだけめっき処理
作業におけるワークの支持が容易でありめっき処理作業
性を向上できる。
ス部26aの上縁部26cを上記シリンダ本体部22c
のシリンダヘッド側合面より下方に位置させたので、図
20,21に示すように、上記めっき処理工程において
シリンダヘッド側合面を下側に向けてめっき処理用装置
本体100a,100b上に搭載した場合に、上ミッシ
ョンケース部26aの上縁部26cが装置本体100
a,100bに干渉しにくくなり、それだけめっき処理
作業におけるワークの支持が容易でありめっき処理作業
性を向上できる。
【0089】さらにまた図2に示すように、クランク軸
21,メイン軸72,及びドライブ軸74を、クランク
軸・メイン軸直線Aと気筒軸線20とのなす第1軸角度
θ1、及び上記軸直線Aとメイン軸・ドライブ軸直線B
とのなす第2軸角度θ2がそれぞれ鋭角をなすように配
置したので、クランク軸21とドライブ軸74との軸間
距離を縮小でき、エンジン前後長を短くでき、従ってミ
ッションケース部26のシリンダ本体部22cからのオ
ーバーハング量を小さくでき、この点からもワークの支
持が容易でありめっき処理作業性を向上できる。
21,メイン軸72,及びドライブ軸74を、クランク
軸・メイン軸直線Aと気筒軸線20とのなす第1軸角度
θ1、及び上記軸直線Aとメイン軸・ドライブ軸直線B
とのなす第2軸角度θ2がそれぞれ鋭角をなすように配
置したので、クランク軸21とドライブ軸74との軸間
距離を縮小でき、エンジン前後長を短くでき、従ってミ
ッションケース部26のシリンダ本体部22cからのオ
ーバーハング量を小さくでき、この点からもワークの支
持が容易でありめっき処理作業性を向上できる。
【0090】また上記メイン軸72をクランク軸21を
通る直角直線Cよりシリンダヘッド23側に寄せて配置
したので、メイン軸72はシリンダブロック22の背面
に背負うように配置されることとなり、エンジンユニッ
ト15の前後長さをさらに縮小できる。さらにクラッチ
機構81をこれの最大外周面81aが下死点のピストン
頂面を通る直角直線Dよりシリンダヘッド23側に位置
するように配置したので、この点からもエンジンユニッ
ト15を小型化できる。
通る直角直線Cよりシリンダヘッド23側に寄せて配置
したので、メイン軸72はシリンダブロック22の背面
に背負うように配置されることとなり、エンジンユニッ
ト15の前後長さをさらに縮小できる。さらにクラッチ
機構81をこれの最大外周面81aが下死点のピストン
頂面を通る直角直線Dよりシリンダヘッド23側に位置
するように配置したので、この点からもエンジンユニッ
ト15を小型化できる。
【0091】上記クラッチ機構81の最大径部分の軸方
向投影面内にメイン軸72,シフトドラム90,各フォ
ーク軸91,92及びドライブ軸74を配置したので、
各軸の配置がコンパクトとなり、ユニットケース25の
出っ張りを小さくでき、この点からもエンジンを小型で
きる。
向投影面内にメイン軸72,シフトドラム90,各フォ
ーク軸91,92及びドライブ軸74を配置したので、
各軸の配置がコンパクトとなり、ユニットケース25の
出っ張りを小さくでき、この点からもエンジンを小型で
きる。
【0092】またシリンダ本体部22cのピストン摺動
面22aを構成するスリーブ27(シリンダ内壁)の下
端でかつミッションケース部26側の部位に反ミッショ
ンケース部側に比べてクランク軸21側に突出するリブ
状の堰部25d′を設けたので、上述のめっき処理行程
において、特にエッチッグ液等の処理液がミッションケ
ース26側に溢れるのを、スリーブ27を必要以上にク
ランク軸21側に延長することなく回避でき、既に加工
済みの面がエッチング液等で荒らされるのを防止でき
る。
面22aを構成するスリーブ27(シリンダ内壁)の下
端でかつミッションケース部26側の部位に反ミッショ
ンケース部側に比べてクランク軸21側に突出するリブ
状の堰部25d′を設けたので、上述のめっき処理行程
において、特にエッチッグ液等の処理液がミッションケ
ース26側に溢れるのを、スリーブ27を必要以上にク
ランク軸21側に延長することなく回避でき、既に加工
済みの面がエッチング液等で荒らされるのを防止でき
る。
【0093】また上記堰部25d′を設けるに当たり、
クランク軸軸受ボス部29間に出力取出部を有する気筒
のミッションケース側の部位にのみ該堰部25d′を設
け、他の気筒についてはクランク室とミッション室との
間に両者を仕切り、かつ上記ピストン摺動面22a(ス
リーブ27)の下端よりシリンダ軸21方向高さの高い
隔壁25dを設けたので、該隔壁25dを上記堰部25
d′に兼用できる。
クランク軸軸受ボス部29間に出力取出部を有する気筒
のミッションケース側の部位にのみ該堰部25d′を設
け、他の気筒についてはクランク室とミッション室との
間に両者を仕切り、かつ上記ピストン摺動面22a(ス
リーブ27)の下端よりシリンダ軸21方向高さの高い
隔壁25dを設けたので、該隔壁25dを上記堰部25
d′に兼用できる。
【0094】さらにまたスリーブ27(シリンダ内壁)
のクラン軸側端部にピストン摺動面22aより大径の逃
げ部27aを形成し、めっき皮膜aをこの逃げ部27a
の途中部位まで渡るように形成し、ピストン31が下死
点位置に下降したとき、該ピストン31の下端部と上記
めっき皮膜の下端縁a′との間に隙間cが形成されるよ
うにしたので、めっき皮膜aの縁部a′がピストン31
の外周面に接することがなく、該めっき皮膜aの端縁か
らの剥離,脱落の問題を回避できる。
のクラン軸側端部にピストン摺動面22aより大径の逃
げ部27aを形成し、めっき皮膜aをこの逃げ部27a
の途中部位まで渡るように形成し、ピストン31が下死
点位置に下降したとき、該ピストン31の下端部と上記
めっき皮膜の下端縁a′との間に隙間cが形成されるよ
うにしたので、めっき皮膜aの縁部a′がピストン31
の外周面に接することがなく、該めっき皮膜aの端縁か
らの剥離,脱落の問題を回避できる。
【0095】またピストン31が下死点に下降したと
き、該ピストン31の下端部が上記逃げ部27aに重な
るようにしたので、同じピストンストロークを備えなが
らエンジン高さを低くできる。即ち、上記逃げ部を設け
ない場合において、ピストン下端部がめっき皮膜の端縁
に当接するのを回避するにはスリーブ長さを長くする必
要があり、それだけエンジン高さ寸法が大きくなるが、
本実施形態ではこの問題を回避できる。
き、該ピストン31の下端部が上記逃げ部27aに重な
るようにしたので、同じピストンストロークを備えなが
らエンジン高さを低くできる。即ち、上記逃げ部を設け
ない場合において、ピストン下端部がめっき皮膜の端縁
に当接するのを回避するにはスリーブ長さを長くする必
要があり、それだけエンジン高さ寸法が大きくなるが、
本実施形態ではこの問題を回避できる。
【0096】シリンダ本体部22cに挿入されたスリー
ブ27とクランクケース部25との境界部に各気筒用ク
ランク室19同士を連通する横断面円形の連通孔52を
ドリルにより形成する場合に、該ドリルの加工中心点b
を上記スリーブ27とクランクケース部25との境界よ
りスリーブ27側に偏位させたので、上記連通孔52を
所定の位置に容易確実に形成できる。ちなみに低硬度の
上ランクケース部25a側に加工中心点bを偏位させた
場合にはドリル加工中心がスリーブから遠ざかるように
ずれていく恐れがある。
ブ27とクランクケース部25との境界部に各気筒用ク
ランク室19同士を連通する横断面円形の連通孔52を
ドリルにより形成する場合に、該ドリルの加工中心点b
を上記スリーブ27とクランクケース部25との境界よ
りスリーブ27側に偏位させたので、上記連通孔52を
所定の位置に容易確実に形成できる。ちなみに低硬度の
上ランクケース部25a側に加工中心点bを偏位させた
場合にはドリル加工中心がスリーブから遠ざかるように
ずれていく恐れがある。
【0097】また上記連通孔52をスリーブ27のピス
トン摺動面22aに渡るように貫通形成する場合に、該
ピストン摺動面22aの上記連通孔上縁52aから下死
点位置にあるピストン31の下端のオイルリング31a
までの寸法を3mm以上に設定したので、ピストン摺動面
22aのホーニング加工によりその面粗さ等が許容範囲
にある部分のみでピストンリングを摺動させることがで
き、ピストンリングとピストン摺動面22aとの隙間が
許容寸法以下に狭くなってしまうといった問題を解消で
きる。
トン摺動面22aに渡るように貫通形成する場合に、該
ピストン摺動面22aの上記連通孔上縁52aから下死
点位置にあるピストン31の下端のオイルリング31a
までの寸法を3mm以上に設定したので、ピストン摺動面
22aのホーニング加工によりその面粗さ等が許容範囲
にある部分のみでピストンリングを摺動させることがで
き、ピストンリングとピストン摺動面22aとの隙間が
許容寸法以下に狭くなってしまうといった問題を解消で
きる。
【0098】さらにまた上記連通孔52を、クランク軸
方向に見たときシリンダブロック22の外側壁22bに
設けられたカム軸駆動機構の組付け用開口50内に位置
するように形成したので、該組付け開口50を利用して
機械加工することにより連通孔52を穿設することがで
き、機械加工用の開口を別個に形成する等の余分な加工
をする必要がなく、従って該加工用開口の専用蓋部材で
の閉塞を不要にでき、製造コストを低減できる。
方向に見たときシリンダブロック22の外側壁22bに
設けられたカム軸駆動機構の組付け用開口50内に位置
するように形成したので、該組付け開口50を利用して
機械加工することにより連通孔52を穿設することがで
き、機械加工用の開口を別個に形成する等の余分な加工
をする必要がなく、従って該加工用開口の専用蓋部材で
の閉塞を不要にでき、製造コストを低減できる。
【0099】また、潤滑油通路53を上ケース26の各
ボス部29に連通孔52の内周面に開口するよう形成
し、該通路53を通して潤滑油をピストン裏面に噴射す
るように構成する場合に、上記連通孔52の上部の幅W
1を下部の幅W2より狭くしたので、噴射された潤滑油
は連通孔52の上縁によって遮断されることなく確実に
ピストン裏面に供給されることとなり、従来のようにク
ランク室壁に噴射通路を切り欠き形成する必要がなく、
コスト上昇を招くことなくピストン31を効率良く冷却
できる。
ボス部29に連通孔52の内周面に開口するよう形成
し、該通路53を通して潤滑油をピストン裏面に噴射す
るように構成する場合に、上記連通孔52の上部の幅W
1を下部の幅W2より狭くしたので、噴射された潤滑油
は連通孔52の上縁によって遮断されることなく確実に
ピストン裏面に供給されることとなり、従来のようにク
ランク室壁に噴射通路を切り欠き形成する必要がなく、
コスト上昇を招くことなくピストン31を効率良く冷却
できる。
【0100】さらにまた本実施形態では、ピストンスカ
ート31aに切り欠き凹部31cを形成してなるスリッ
パ型ピストン31を採用し、上記潤滑油通路53の噴射
口54aを下死点に位置するピストン31の切り欠き凹
部31cを通してピストン裏面に指向させたので、ピス
トンスカート31aにより潤滑油の噴射流が遮断される
ことがなく、この点からも冷却効率を向上できる。また
上記切欠き凹部31cを設けたのでピストンスカート3
1aにより連通孔52の有効面積が狭められるという問
題も回避できる。あるいは、スカートによる面積減少を
避けるためにコンロッドを長くするといったことも不要
となる。
ート31aに切り欠き凹部31cを形成してなるスリッ
パ型ピストン31を採用し、上記潤滑油通路53の噴射
口54aを下死点に位置するピストン31の切り欠き凹
部31cを通してピストン裏面に指向させたので、ピス
トンスカート31aにより潤滑油の噴射流が遮断される
ことがなく、この点からも冷却効率を向上できる。また
上記切欠き凹部31cを設けたのでピストンスカート3
1aにより連通孔52の有効面積が狭められるという問
題も回避できる。あるいは、スカートによる面積減少を
避けるためにコンロッドを長くするといったことも不要
となる。
【0101】アルミ合金製シリンダブロック本体部22
c内にピストン摺動面を構成するスリーブ27を鋳込ん
でなるシリンダブロック22とアルミ合金製シリンダヘ
ッド23との間にガスケット91を介在させる場合に、
上記シリンダブロック本体部22cとシリンダヘッド2
3とを熱膨張係数の略等しい材料で形成するとともに、
上記ガスケット91のビード部91aのシリンダブロッ
ク側のシール点p,pを上記スリーブ27に渡ることな
くシリンダ本体部22a側のみに当接させたので、シー
ル性を確保できるとともに、ガスケットの寿命を確保で
きる。
c内にピストン摺動面を構成するスリーブ27を鋳込ん
でなるシリンダブロック22とアルミ合金製シリンダヘ
ッド23との間にガスケット91を介在させる場合に、
上記シリンダブロック本体部22cとシリンダヘッド2
3とを熱膨張係数の略等しい材料で形成するとともに、
上記ガスケット91のビード部91aのシリンダブロッ
ク側のシール点p,pを上記スリーブ27に渡ることな
くシリンダ本体部22a側のみに当接させたので、シー
ル性を確保できるとともに、ガスケットの寿命を確保で
きる。
【0102】即ち、スリーブ27はピストン摺動面22
aを形成する必要があることから、上記シリンダ本体部
22cと熱膨張係数が異なるものとなる場合が多く、そ
のため熱間運転状態では、シリンダ部本体22cとスリ
ーブ27の合面間にシリンダ軸方向の段差が生じる可能
性がある。仮に上記ビード部91のシリンダブロック側
シール点p,pがシリンダ本体部22cとスリーブ27
との両方に渡って当接している場合には、上記段差によ
りガスケット91のビード部91a部分に剪断方向の力
が作用し、その寿命が短縮したりあるいはシール性が低
下する懸念がある。
aを形成する必要があることから、上記シリンダ本体部
22cと熱膨張係数が異なるものとなる場合が多く、そ
のため熱間運転状態では、シリンダ部本体22cとスリ
ーブ27の合面間にシリンダ軸方向の段差が生じる可能
性がある。仮に上記ビード部91のシリンダブロック側
シール点p,pがシリンダ本体部22cとスリーブ27
との両方に渡って当接している場合には、上記段差によ
りガスケット91のビード部91a部分に剪断方向の力
が作用し、その寿命が短縮したりあるいはシール性が低
下する懸念がある。
【0103】本実施形態によれば、βb>βsとするこ
とによりシリンダ本体部22cの線膨張係数αb<スリ
ーブ27の線膨張係数αsとするとともに、シリンダ本
体部22cのシリンダヘッド側端部22 の肉厚を他の
部分の肉厚tbより厚肉にしたので、つまりシリンダヘ
ッド側端部において、線膨脹係数の小さいシリンダ本体
部22cの肉厚を厚くしたので、シリンダ本体部22
c,スリーブ27全体でみた時の平均線膨脹係数はヘッ
ド側端部が他の部分より小さくなる。そのためシリンダ
ヘッド側端部が高温となるにもかかわらず、該シリンダ
ヘッド側端部のスリーブ内径の増加を押さえることがで
き、その結果、めっき皮膜とピストンとの当たりがシリ
ンダヘッド側が弱くクランク軸側が強くなるという点を
抑制でき、めっき皮膜とピストンとの当たりの強弱を防
止してめっき皮膜の亀裂,剥離を防止できる。
とによりシリンダ本体部22cの線膨張係数αb<スリ
ーブ27の線膨張係数αsとするとともに、シリンダ本
体部22cのシリンダヘッド側端部22 の肉厚を他の
部分の肉厚tbより厚肉にしたので、つまりシリンダヘ
ッド側端部において、線膨脹係数の小さいシリンダ本体
部22cの肉厚を厚くしたので、シリンダ本体部22
c,スリーブ27全体でみた時の平均線膨脹係数はヘッ
ド側端部が他の部分より小さくなる。そのためシリンダ
ヘッド側端部が高温となるにもかかわらず、該シリンダ
ヘッド側端部のスリーブ内径の増加を押さえることがで
き、その結果、めっき皮膜とピストンとの当たりがシリ
ンダヘッド側が弱くクランク軸側が強くなるという点を
抑制でき、めっき皮膜とピストンとの当たりの強弱を防
止してめっき皮膜の亀裂,剥離を防止できる。
【0104】またシリンダヘッド側端部の円筒外方への
熱膨張量を小さくするために線膨張係数を小さく且つ肉
厚を厚くしたシリンダ本体部のシリンダヘッド側合面2
2fのみに、ガスケット91のシール点pを当接させる
ようにしたので、シリンダ本体部22cとスリーブ27
との間に軸方向の熱膨張量差がある場合でも、ガスケッ
ト91に剪断力が作用することがなく、該ガスケット9
1のシール性及び耐久性を確保できる。
熱膨張量を小さくするために線膨張係数を小さく且つ肉
厚を厚くしたシリンダ本体部のシリンダヘッド側合面2
2fのみに、ガスケット91のシール点pを当接させる
ようにしたので、シリンダ本体部22cとスリーブ27
との間に軸方向の熱膨張量差がある場合でも、ガスケッ
ト91に剪断力が作用することがなく、該ガスケット9
1のシール性及び耐久性を確保できる。
【0105】ここで、上記実施形態では、シリンダ本体
部22c及びスリーブ27の高温となるシリンダヘッド
側端部の全体としての円筒外方への熱膨張量を小さくす
るために、βb>βsとしてシリンダ本体部22cの線
膨張係数αbをスリーブ側より小さいものとするととも
に、該シリンダ本体部22cのシリンダヘッド合面側端
部を厚肉にしたが、これとは逆にβb<βsとしてスリ
ーブ27の線膨張係数αsをシリンダ本体側より小さい
ものとするとともに該スリーブ27のシリンダヘッド合
面側の肉厚を厚く設定することもできる。
部22c及びスリーブ27の高温となるシリンダヘッド
側端部の全体としての円筒外方への熱膨張量を小さくす
るために、βb>βsとしてシリンダ本体部22cの線
膨張係数αbをスリーブ側より小さいものとするととも
に、該シリンダ本体部22cのシリンダヘッド合面側端
部を厚肉にしたが、これとは逆にβb<βsとしてスリ
ーブ27の線膨張係数αsをシリンダ本体側より小さい
ものとするとともに該スリーブ27のシリンダヘッド合
面側の肉厚を厚く設定することもできる。
【0106】このようにしたのが請求項3,4の発明で
あり、図25は請求項3,4の発明に係る第2実施形態
を示す。本第2実施形態では、上記第1実施形態と同様
に、シリンダ本体部22cのアルミ合金は5〜20重量
%のSiを含有するとともに、スリーブのアルミ合金と
して、50<α<150を満足するSi重量含有率のア
ルミ合金を選択している。そして、βbとβsの関係に
ついては本実施形態においては、βb<βsとしてい
る。図24によりわかる通り、アルミ合金のSi重量含
有率と線膨張係数には所定の関係があるので、シリンダ
本体部22cの線膨張係数αb>スリーブ27の線膨張
係数αsとされている。また上述のようにスリーブ27
のシリンダヘッド側端部の肉厚は他の部分の肉厚ts1
又はts2より厚肉に形成されている。そしてこのスリ
ーブ27の厚肉に形成されたシリンダヘッド側端部のシ
リンダヘッドとの合面27g′のみに、つまりシリンダ
本体部22cのシリンダヘッド側合面22f′にかかる
ことなくガスケット91のシール点pを当接させてい
る。
あり、図25は請求項3,4の発明に係る第2実施形態
を示す。本第2実施形態では、上記第1実施形態と同様
に、シリンダ本体部22cのアルミ合金は5〜20重量
%のSiを含有するとともに、スリーブのアルミ合金と
して、50<α<150を満足するSi重量含有率のア
ルミ合金を選択している。そして、βbとβsの関係に
ついては本実施形態においては、βb<βsとしてい
る。図24によりわかる通り、アルミ合金のSi重量含
有率と線膨張係数には所定の関係があるので、シリンダ
本体部22cの線膨張係数αb>スリーブ27の線膨張
係数αsとされている。また上述のようにスリーブ27
のシリンダヘッド側端部の肉厚は他の部分の肉厚ts1
又はts2より厚肉に形成されている。そしてこのスリ
ーブ27の厚肉に形成されたシリンダヘッド側端部のシ
リンダヘッドとの合面27g′のみに、つまりシリンダ
本体部22cのシリンダヘッド側合面22f′にかかる
ことなくガスケット91のシール点pを当接させてい
る。
【0107】本第2実施形態においても、上記第1実施
形態と同様に、シリンダ本体部22c,スリーブ27全
体でみた時の円筒外方への熱膨張量はヘッド側端部が他
の部分より小さくなっており、そのためシリンダヘッド
側端部が高温となるにもかかわらず、該シリンダヘッド
側端部のスリーブ内径の増加を押さえることができ、そ
の結果、めっき皮膜とピストンとの当たりがシリンダヘ
ッド側が弱くクランク軸側が強くなるという点を抑制で
き、めっき皮膜とピストンとの当たりの強弱を防止して
めっき皮膜の亀裂,剥離を防止できる。
形態と同様に、シリンダ本体部22c,スリーブ27全
体でみた時の円筒外方への熱膨張量はヘッド側端部が他
の部分より小さくなっており、そのためシリンダヘッド
側端部が高温となるにもかかわらず、該シリンダヘッド
側端部のスリーブ内径の増加を押さえることができ、そ
の結果、めっき皮膜とピストンとの当たりがシリンダヘ
ッド側が弱くクランク軸側が強くなるという点を抑制で
き、めっき皮膜とピストンとの当たりの強弱を防止して
めっき皮膜の亀裂,剥離を防止できる。
【0108】またシリンダヘッド側端部の線膨張係数を
小さくするために肉厚を厚くしたスリーブ27のシリン
ダヘッド側合面27g′のみに、ガスケット91のシー
ル点pを当接させるようにしたので、シリンダ本体部2
2cとスリーブ27との間に軸方向の熱膨張量差がある
場合でも、ガスケット91に剪断力が作用することがな
く、該ガスケット91のシール性及び耐久性を確保でき
る。
小さくするために肉厚を厚くしたスリーブ27のシリン
ダヘッド側合面27g′のみに、ガスケット91のシー
ル点pを当接させるようにしたので、シリンダ本体部2
2cとスリーブ27との間に軸方向の熱膨張量差がある
場合でも、ガスケット91に剪断力が作用することがな
く、該ガスケット91のシール性及び耐久性を確保でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるエンジンが搭載され
た自動二輪車の左側面図である。
た自動二輪車の左側面図である。
【図2】上記エンジンの右側面図である。
【図3】上記エンジンのチェーン配置室回りの構造を示
す右側面図である。
す右側面図である。
【図4】上記エンジンの断面背面展開図である。
【図5】上記エンジンの連通孔部分を示す断面図であ
る。
る。
【図6】上記エンジンのシリンダブロックのクランク軸
側から見た底面図である。
側から見た底面図である。
【図7】上記シリンダブロックの右端気筒部分の断面側
面図である。
面図である。
【図8】上記シリンダブロックの右端から2番目の気筒
部分の断面側面図である。
部分の断面側面図である。
【図9】上記シリンダブロックの平面図である。
【図10】上記シリンダブロックとシリンダヘッドとの
間のガスケットの平面図である。
間のガスケットの平面図である。
【図11】上記シリンダブロックのシリンダヘッドとの
間のシール構造を示す拡大断面図である。
間のシール構造を示す拡大断面図である。
【図12】上記シリンダブロックのスリーブ下端部を示
す拡大断面図である。
す拡大断面図である。
【図13】上記シリンダブロックの平面拡大図である。
【図14】上記シリンダブロックの断面拡大図(図13
のXIV-XIV 線断面図) である。
のXIV-XIV 線断面図) である。
【図15】上記シリンダブロックの連通孔形成実験の結
果を示す図である。
果を示す図である。
【図16】上記シリンダブロックの連通孔形成実験の結
果を示す図である。
果を示す図である。
【図17】上記シリンダブロックの連通孔形成実験の結
果を示す図である。
果を示す図である。
【図18】上記シリンダブロックの連通孔形成実験の結
果を示す図である。
果を示す図である。
【図19】上記シリンダブロックの連通孔形成実験にお
けるホーニング後状態を示す図である。
けるホーニング後状態を示す図である。
【図20】上記めっき処理工程におけるエッチング処理
装置を示す模式図である。
装置を示す模式図である。
【図21】上記めっき処理工程における高速めっき処理
装置を示す模式図である。
装置を示す模式図である。
【図22】上記シリンダブロックの製造工程を示すフロ
ーチャートである。
ーチャートである。
【図23】上記製造工程におけるめっき処理工程の詳細
を示すフローチャートである。
を示すフローチャートである。
【図24】Si重量含有率と線膨張係数との関係を示す
特性図である。
特性図である。
【図25】請求項3,4の発明の一実施形態を説明する
ための合面部分の模式図である。
ための合面部分の模式図である。
15 エンジン 22 シリンダブロック 22c シリンダ本体部 22d シリンダボア壁 22f シリンダ本体部の合面 27 スリーブ 27g′ スリーブの合面 91 ガスケット a めっき皮膜 p シール点
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI F02F 11/00 F02F 11/00 D F16J 10/00 F16J 10/00 Z
Claims (4)
- 【請求項1】 アルミ合金製のシリンダ本体部のシリン
ダボア壁にアルミ合金製のスリーブを鋳込むとともに、
スリーブの内表面にめっき皮膜を形成したエンジンのシ
リンダブロックにおいて、上記シリンダ本体部のアルミ
合金のSi重量含有率,肉厚をそれぞれβb,tbと
し、上記スリーブのアルミ合金のSi重量含有率,肉厚
をそれぞれβs,tsとするとき、βb>βsとすると
ともに、シリンダ本体部のシリンダヘッド側端部の肉厚
を上記肉厚tbより厚肉にしたことを特徴とするエンジ
ンのシリンダブロック。 - 【請求項2】 請求項1において、上記シリンダ本体部
の上記厚肉に形成されたシリンダヘッド側端部のシリン
ダヘッドとの合面のみにガスケットのシール点を当接さ
せたことを特徴とするエンジンのシリンダブロック。 - 【請求項3】 アルミ合金製のシリンダ本体部のシリン
ダボア壁にアルミ合金製のスリーブを鋳込むとともに、
スリーブの内表面にめっき皮膜を形成したエンジンのシ
リンダブロックにおいて、上記シリンダ本体部のアルミ
合金のSi重量含有率,肉厚をそれぞれβb,tbと
し、上記スリーブのアルミ合金のSi重量含有率,肉厚
をそれぞれβs,tsとするとき、βb<βsとすると
ともに、スリーブのシリンダヘッド側端部の肉厚を上記
肉厚tsより厚肉にしたことを特徴とするエンジンのシ
リンダブロック。 - 【請求項4】 請求項3において、上記スリーブの上記
厚肉に形成されたシリンダヘッド側端部のシリンダヘッ
ドとの合面のみにガスケットのシール点を当接させたこ
とを特徴とするエンジンのシリンダブロック。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP36079697A JPH11193748A (ja) | 1997-12-26 | 1997-12-26 | エンジンのシリンダブロック |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP36079697A JPH11193748A (ja) | 1997-12-26 | 1997-12-26 | エンジンのシリンダブロック |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11193748A true JPH11193748A (ja) | 1999-07-21 |
Family
ID=18470960
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP36079697A Pending JPH11193748A (ja) | 1997-12-26 | 1997-12-26 | エンジンのシリンダブロック |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11193748A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002089353A (ja) * | 2000-09-11 | 2002-03-27 | Toyota Motor Corp | 内燃機関のシリンダブロック |
WO2002053899A1 (fr) * | 2000-12-07 | 2002-07-11 | Yamaha Motor Co., Ltd. | Moteur a combustion interne |
-
1997
- 1997-12-26 JP JP36079697A patent/JPH11193748A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002089353A (ja) * | 2000-09-11 | 2002-03-27 | Toyota Motor Corp | 内燃機関のシリンダブロック |
WO2002053899A1 (fr) * | 2000-12-07 | 2002-07-11 | Yamaha Motor Co., Ltd. | Moteur a combustion interne |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Effective date: 20040705 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20070213 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070220 |
|
A02 | Decision of refusal |
Effective date: 20070724 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 |