JPH11170102A - 高速切削方法 - Google Patents
高速切削方法Info
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- JPH11170102A JPH11170102A JP2352298A JP2352298A JPH11170102A JP H11170102 A JPH11170102 A JP H11170102A JP 2352298 A JP2352298 A JP 2352298A JP 2352298 A JP2352298 A JP 2352298A JP H11170102 A JPH11170102 A JP H11170102A
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- cutting
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Landscapes
- Cutting Tools, Boring Holders, And Turrets (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 CBN焼結工具に保護膜を生成させることに
より、切削速度を増加させても、それに伴う工具寿命の
低下を防止する。 【解決手段】 CBN焼結工具に含有されるCBN焼結
体を75%以上とし、切削速度を1500m/min以
上で切削するようにした。また、CBN焼結工具を複数
装着し、正面フライスを構成し、この正面フライスの切
削速度を1500m/min以上とするとともに、正面
フライス1回転当たりにおけるCBN焼結工具1刃の送
り量を0.2mm/revから0.4mm/revで切
削するようにした。
より、切削速度を増加させても、それに伴う工具寿命の
低下を防止する。 【解決手段】 CBN焼結工具に含有されるCBN焼結
体を75%以上とし、切削速度を1500m/min以
上で切削するようにした。また、CBN焼結工具を複数
装着し、正面フライスを構成し、この正面フライスの切
削速度を1500m/min以上とするとともに、正面
フライス1回転当たりにおけるCBN焼結工具1刃の送
り量を0.2mm/revから0.4mm/revで切
削するようにした。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、立方晶窒化硼素焼
結体からなる切削工具(以下、CBN焼結工具という)
を用いた高速切削方法に関する。
結体からなる切削工具(以下、CBN焼結工具という)
を用いた高速切削方法に関する。
【0002】
【従来の技術】切削における基本的課題は、高精度、高
能率、低コストの3つである。この3つの課題のうち、
高能率加工を実現する一手段として切削速度の高速化が
求められている。CBN焼結工具はダイヤモンドについ
で高硬度で熱伝導率が大きく、また、高温になっても金
属材料と拡散反応を起こしにくいといった優れた切削性
能を有することから、超硬、サーメット、セラミックス
等の切削工具に比べて高速切削に適している。
能率、低コストの3つである。この3つの課題のうち、
高能率加工を実現する一手段として切削速度の高速化が
求められている。CBN焼結工具はダイヤモンドについ
で高硬度で熱伝導率が大きく、また、高温になっても金
属材料と拡散反応を起こしにくいといった優れた切削性
能を有することから、超硬、サーメット、セラミックス
等の切削工具に比べて高速切削に適している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、切削速度を増
加するとそれに伴って切削能率は向上するが、逆に工具
寿命が短くなり、ツールコストが増加するという問題が
ある。特にCBN焼結工具は他の工具に比べて非常に高
価であるため、上述した3つの課題のうち、低コストと
いう課題を解決することができない。さらに、工具寿命
が低下すると工具交換の頻度が増加するため生産性が悪
くなるという問題もあり、高能率加工の実現は困難なも
のとなっている。
加するとそれに伴って切削能率は向上するが、逆に工具
寿命が短くなり、ツールコストが増加するという問題が
ある。特にCBN焼結工具は他の工具に比べて非常に高
価であるため、上述した3つの課題のうち、低コストと
いう課題を解決することができない。さらに、工具寿命
が低下すると工具交換の頻度が増加するため生産性が悪
くなるという問題もあり、高能率加工の実現は困難なも
のとなっている。
【0004】本発明は上記問題を解決するためになされ
たものであり、CBN焼結工具に保護膜を生成させるこ
とにより、切削速度の増加に伴う工具寿命の低下を防止
することを目的とするものである。
たものであり、CBN焼結工具に保護膜を生成させるこ
とにより、切削速度の増加に伴う工具寿命の低下を防止
することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】一般に切削速度を増加さ
せると、それに伴って工具寿命が短くなることが、次式
のテイラーの寿命方程式として知られている。 C=VTn ・・・(1) ここで、Vは切削速度、Tは工具寿命、nとCは切削速
度以外の諸条件によって決まる定数である。
せると、それに伴って工具寿命が短くなることが、次式
のテイラーの寿命方程式として知られている。 C=VTn ・・・(1) ここで、Vは切削速度、Tは工具寿命、nとCは切削速
度以外の諸条件によって決まる定数である。
【0006】ところが、本発明者は種々の実験を重ねた
結果、FC300、FC250等のパーライト組織の鋳
鉄をCBN焼結工具を用いて高切削速度で切削したと
き、上記テイラーの寿命方程式に反して、切削速度の増
加に伴って工具寿命が延長されることを見いだした。こ
の現象を解析した結果、パーライト組織の鋳鉄に含有さ
れる物質が工具表面に付着して保護膜を形成し、この保
護膜の存在により工具寿命が延長されるということがわ
かった。
結果、FC300、FC250等のパーライト組織の鋳
鉄をCBN焼結工具を用いて高切削速度で切削したと
き、上記テイラーの寿命方程式に反して、切削速度の増
加に伴って工具寿命が延長されることを見いだした。こ
の現象を解析した結果、パーライト組織の鋳鉄に含有さ
れる物質が工具表面に付着して保護膜を形成し、この保
護膜の存在により工具寿命が延長されるということがわ
かった。
【0007】本発明は、上記の現象を利用して高速加工
を実現しようとするものであり、請求項1に記載の発明
は、立方晶窒化硼素焼結体を75%以上含有する切削工
具を形成し、前記切削工具によってパーライト組織の鋳
鉄を切削速度を1500m/min以上で切削すること
を特徴とするものである。また、請求項2に記載の発明
は、請求項1に記載の切削工具を複数用いてフライスを
構成し、このフライスによってパーライト組織の鋳鉄を
切削速度1500m/min以上で切削することを特徴
とするものである。
を実現しようとするものであり、請求項1に記載の発明
は、立方晶窒化硼素焼結体を75%以上含有する切削工
具を形成し、前記切削工具によってパーライト組織の鋳
鉄を切削速度を1500m/min以上で切削すること
を特徴とするものである。また、請求項2に記載の発明
は、請求項1に記載の切削工具を複数用いてフライスを
構成し、このフライスによってパーライト組織の鋳鉄を
切削速度1500m/min以上で切削することを特徴
とするものである。
【0008】また、上記の現象はパーライト組織の鋳鉄
を高切削速度で切削したときのみに現れる現象であるか
ら、他の工作物に対しては適用できない。そこで、パー
ライト組織の鋳鉄以外の工作物に対応するために、請求
項3に記載の発明は、立方晶窒化硼素焼結体を75%以
上含有させるともに、シリコン(Si)、マンガン(M
n)、チタン(Ti)およびこれらの酸化物のうちの一
種または複数種を組み合わせて切削工具を形成し、前記
切削工具によってパーライト組織の鋳鉄を切削速度を1
500m/min以上で切削することを特徴とするもの
である。
を高切削速度で切削したときのみに現れる現象であるか
ら、他の工作物に対しては適用できない。そこで、パー
ライト組織の鋳鉄以外の工作物に対応するために、請求
項3に記載の発明は、立方晶窒化硼素焼結体を75%以
上含有させるともに、シリコン(Si)、マンガン(M
n)、チタン(Ti)およびこれらの酸化物のうちの一
種または複数種を組み合わせて切削工具を形成し、前記
切削工具によってパーライト組織の鋳鉄を切削速度を1
500m/min以上で切削することを特徴とするもの
である。
【0009】さらに、請求項4の発明は、請求項3に記
載の切削工具を複数用いてフライスを構成し、このフラ
イスによってパーライト組織の鋳鉄を切削速度1500
m/min以上で切削することを特徴とするものであ
る。また、請求項5の発明は、請求項2もしくは請求項
4に記載のフライスの1回転当たりにおいて複数の切削
工具の一刃の送り量が0.2mm/revから0.4mm/revで
あることを特徴とするものであり、請求項6の発明は、
請求項2または請求項4もしくは請求項5に記載の発明
のフライスを構成する複数の切削工具の真のすくい角を
−42度から−58度としたことを特徴とするものであ
る。
載の切削工具を複数用いてフライスを構成し、このフラ
イスによってパーライト組織の鋳鉄を切削速度1500
m/min以上で切削することを特徴とするものであ
る。また、請求項5の発明は、請求項2もしくは請求項
4に記載のフライスの1回転当たりにおいて複数の切削
工具の一刃の送り量が0.2mm/revから0.4mm/revで
あることを特徴とするものであり、請求項6の発明は、
請求項2または請求項4もしくは請求項5に記載の発明
のフライスを構成する複数の切削工具の真のすくい角を
−42度から−58度としたことを特徴とするものであ
る。
【0010】また、請求項7の発明は、立方晶窒化硼素
焼結体を75%以上含有した切削工具を用いてパーライ
ト組織の鋳鉄からなるダミーワークを1500m/mi
n以上の切削速度で切削することにより、工具の表面に
前記ダミーワーク中に含有される物質による保護膜を生
成させた後、前記工具を用いて加工対象物の切削を行う
ことを特徴とするものである。
焼結体を75%以上含有した切削工具を用いてパーライ
ト組織の鋳鉄からなるダミーワークを1500m/mi
n以上の切削速度で切削することにより、工具の表面に
前記ダミーワーク中に含有される物質による保護膜を生
成させた後、前記工具を用いて加工対象物の切削を行う
ことを特徴とするものである。
【0011】また、請求項8に記載の発明は請求項1乃
至請求項7の発明において、切削速度の好適なものとし
て切削速度が3600m/min以上であることを特徴
とするものである。
至請求項7の発明において、切削速度の好適なものとし
て切削速度が3600m/min以上であることを特徴
とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】次に本発明の高速切削方法の実施
の形態について説明する。図1は本発明に用いるCBN
焼結工具1を示すものであり、図2は図1のII−II矢視
拡大図であり、2はすくい面、3はチャンファ部、4は
逃げ面である。このCBN焼結工具1を図3及び図4に
示すように、円周上に等間隔に配置して正面フライス6
を製作し、この正面フライス6を用いてパーライト組織
の鋳鉄であるFC300の正面フライス加工を行った。
加工条件は以下のとおりである。
の形態について説明する。図1は本発明に用いるCBN
焼結工具1を示すものであり、図2は図1のII−II矢視
拡大図であり、2はすくい面、3はチャンファ部、4は
逃げ面である。このCBN焼結工具1を図3及び図4に
示すように、円周上に等間隔に配置して正面フライス6
を製作し、この正面フライス6を用いてパーライト組織
の鋳鉄であるFC300の正面フライス加工を行った。
加工条件は以下のとおりである。
【0013】 ・切削速度 300〜6000m/min ・1刃当たりの送り量 0.33mm/rev ・切り込み 1.0mm ・クーラントの有無 乾式切削 ・切削方向 ダウンカット 図5は切削速度Vm/minを300m/min、80
0m/min、1500m/min、3600m/mi
n、6000m/minと変化させたときの1刃当たり
の切削距離L(m)と工具寿命の指標の一つである逃げ
面摩耗幅VB (mm)との関係を示すものである。な
お、逃げ面摩耗幅VB は図6に図示されるように、逃げ
面4及びチャンファ部3に発生した摩耗4aの幅を示す
ものである。
0m/min、1500m/min、3600m/mi
n、6000m/minと変化させたときの1刃当たり
の切削距離L(m)と工具寿命の指標の一つである逃げ
面摩耗幅VB (mm)との関係を示すものである。な
お、逃げ面摩耗幅VB は図6に図示されるように、逃げ
面4及びチャンファ部3に発生した摩耗4aの幅を示す
ものである。
【0014】ここで、切削速度が800m/min以上
で切削した場合、工具摩耗がほとんど進行しない領域が
現れる。切削速度800m/minでは切削距離約20
m〜約40mの間で、切削速度1500m/minでは
切削距離約20m〜約60mの間で工具摩耗がほとんど
進行しておらず、特に切削速度6000m/minでは
切削距離約20mから工具摩耗がほとんど進行しなくな
り、図示はされていないが、切削距離120mを超えて
も工具摩耗はほとんど進行しなかった。
で切削した場合、工具摩耗がほとんど進行しない領域が
現れる。切削速度800m/minでは切削距離約20
m〜約40mの間で、切削速度1500m/minでは
切削距離約20m〜約60mの間で工具摩耗がほとんど
進行しておらず、特に切削速度6000m/minでは
切削距離約20mから工具摩耗がほとんど進行しなくな
り、図示はされていないが、切削距離120mを超えて
も工具摩耗はほとんど進行しなかった。
【0015】このように切削速度が大きい程、この工具
摩耗がほとんど進行しない領域が長くなり、工具寿命に
達するまでの切削距離が長くなっていることがわかる。
(ここでは、工具寿命は逃げ面摩耗幅が0.3mm以上
となったときとしている。)この結果は、上記テイラー
の寿命方程式に反するものであるため、この現象を解析
するべく、切削後の工具表面をSEM(Scanning Elect
orn Microscope)観察を行った。図7は切削速度600
0m/minで切削した後の工具形状を測定したもので
あり、図1のII−II矢視図である。図7に示すように、
工具表面、特にチャンファ部3および逃げ面4に付着物
5が確認された。この付着物5は1500m/min以
上の切削速度で切削したときに観察され、それ以下の切
削速度で切削したときには確認されなかった。
摩耗がほとんど進行しない領域が長くなり、工具寿命に
達するまでの切削距離が長くなっていることがわかる。
(ここでは、工具寿命は逃げ面摩耗幅が0.3mm以上
となったときとしている。)この結果は、上記テイラー
の寿命方程式に反するものであるため、この現象を解析
するべく、切削後の工具表面をSEM(Scanning Elect
orn Microscope)観察を行った。図7は切削速度600
0m/minで切削した後の工具形状を測定したもので
あり、図1のII−II矢視図である。図7に示すように、
工具表面、特にチャンファ部3および逃げ面4に付着物
5が確認された。この付着物5は1500m/min以
上の切削速度で切削したときに観察され、それ以下の切
削速度で切削したときには確認されなかった。
【0016】この付着物を解析した結果、FC300に
含有されるマンガン(Mn)、シリコン(Si)、チタ
ン(Ti)、あるいはこれらの酸化物が切削に伴う熱お
よび圧力によって工具表面に生成されるものであり、こ
の付着物が工具を保護し工具寿命が延長されることが判
明した。図8は切削速度Vm/minを変化させたとき
の切削距離L(m)と表面粗さS(μmRz)との関係
を示すグラフである。図8からわかるように、切削速度
3600m/min以上になると表面粗さが悪くなる。
これは、本実施の形態においては正面フライス加工であ
るため、フライス後刃が切削後の被削材表面に接触し、
その際、工具表面に生成された付着物がワーク表面に悪
影響を与えたことが原因であると考えられる。すなわ
ち、表面粗さが悪化する程、厚い付着物が生成されてい
るということを意味している。切削速度が1500m/
minで切削したときは付着物が確認されたにも係わら
ず、表面粗さが悪化していないことから、切削速度が3
600m/min以上の切削速度で切削したときは15
00m/minで切削したときよりも厚い付着物が生成
されるため、工具寿命がさらに延長されるものと考えら
れる。
含有されるマンガン(Mn)、シリコン(Si)、チタ
ン(Ti)、あるいはこれらの酸化物が切削に伴う熱お
よび圧力によって工具表面に生成されるものであり、こ
の付着物が工具を保護し工具寿命が延長されることが判
明した。図8は切削速度Vm/minを変化させたとき
の切削距離L(m)と表面粗さS(μmRz)との関係
を示すグラフである。図8からわかるように、切削速度
3600m/min以上になると表面粗さが悪くなる。
これは、本実施の形態においては正面フライス加工であ
るため、フライス後刃が切削後の被削材表面に接触し、
その際、工具表面に生成された付着物がワーク表面に悪
影響を与えたことが原因であると考えられる。すなわ
ち、表面粗さが悪化する程、厚い付着物が生成されてい
るということを意味している。切削速度が1500m/
minで切削したときは付着物が確認されたにも係わら
ず、表面粗さが悪化していないことから、切削速度が3
600m/min以上の切削速度で切削したときは15
00m/minで切削したときよりも厚い付着物が生成
されるため、工具寿命がさらに延長されるものと考えら
れる。
【0017】以上の結果から、CBN焼結工具を使用し
てパーライト組織の鋳鉄を切削することによって、工具
表面に保護膜を生成させるための切削速度は1500m
/min以上、さらに好ましくは3600m/min以
上であることがわかる。また、このCBN焼結工具の表
面に保護膜が生成された状態で、CBN焼結工具自体の
材質が工具寿命にどのような影響を及ぼすかを観測して
みた。
てパーライト組織の鋳鉄を切削することによって、工具
表面に保護膜を生成させるための切削速度は1500m
/min以上、さらに好ましくは3600m/min以
上であることがわかる。また、このCBN焼結工具の表
面に保護膜が生成された状態で、CBN焼結工具自体の
材質が工具寿命にどのような影響を及ぼすかを観測して
みた。
【0018】なお、このときの加工条件は保護膜が確実
に生成されるよう、正面フライスでパーライト組織の鋳
鉄を切削速度6000m/minで切削し、他の加工条
件は以下のとおりとした。 ・CBN焼結工具のCBN焼結体の含有率 41%〜89% ・1刃当たりの送り量 0.33mm/rev ・切り込み 1.0mm ・クーラントの有無 乾式切削 ・切削方向 ダウンカット 図9は、CBN焼結工具に含有されるCBN焼結体の含
有率を41%、77%、89%と変化させたときの1刃
当たりの切削距離L(m)と工具寿命の指標の一つであ
る逃げ面摩耗幅VB (mm)との関係を示すものであ
る。
に生成されるよう、正面フライスでパーライト組織の鋳
鉄を切削速度6000m/minで切削し、他の加工条
件は以下のとおりとした。 ・CBN焼結工具のCBN焼結体の含有率 41%〜89% ・1刃当たりの送り量 0.33mm/rev ・切り込み 1.0mm ・クーラントの有無 乾式切削 ・切削方向 ダウンカット 図9は、CBN焼結工具に含有されるCBN焼結体の含
有率を41%、77%、89%と変化させたときの1刃
当たりの切削距離L(m)と工具寿命の指標の一つであ
る逃げ面摩耗幅VB (mm)との関係を示すものであ
る。
【0019】ここで、CBN焼結工具のCBN焼結体の
含有率が77%では切削距離約30m〜約120mの間
で、CBN焼結工具のCBN焼結体の含有率が89%で
は切削距離約30mから工具摩耗がほとんど進行しなく
なり、切削距離200mを超えても工具摩耗はほとんど
進行してない。このようにCBN焼結工具に含有される
CBN焼結体の含有率が多くなる程、この工具摩耗がほ
とんど進行しない領域が長くなり、工具寿命に達するま
での切削距離が長くなっていることがわかる。
含有率が77%では切削距離約30m〜約120mの間
で、CBN焼結工具のCBN焼結体の含有率が89%で
は切削距離約30mから工具摩耗がほとんど進行しなく
なり、切削距離200mを超えても工具摩耗はほとんど
進行してない。このようにCBN焼結工具に含有される
CBN焼結体の含有率が多くなる程、この工具摩耗がほ
とんど進行しない領域が長くなり、工具寿命に達するま
での切削距離が長くなっていることがわかる。
【0020】以上のことから、CBN焼結工具のCBN
焼結体の含有率が多くなるほど、工具寿命に達するまで
の切削距離が長くなり、上記結果からCBN焼結体の含
有率が77%付近から工具摩耗の進行がしなくなること
から、実用上はCBN焼結体の含有率が75%以上のC
BN焼結工具を用いることが好ましいと考えられる。さ
らに、上記CBN焼結体の含有率89%のCBN焼結工
具を取り付けた正面フライスを用い、正面フライス1回
転あたりにおけるCBN焼結工具1刃の送り量を変化さ
せてみたところ、1刃当たりの送り量と工具寿命の関係
は図10に示すような結果となった。
焼結体の含有率が多くなるほど、工具寿命に達するまで
の切削距離が長くなり、上記結果からCBN焼結体の含
有率が77%付近から工具摩耗の進行がしなくなること
から、実用上はCBN焼結体の含有率が75%以上のC
BN焼結工具を用いることが好ましいと考えられる。さ
らに、上記CBN焼結体の含有率89%のCBN焼結工
具を取り付けた正面フライスを用い、正面フライス1回
転あたりにおけるCBN焼結工具1刃の送り量を変化さ
せてみたところ、1刃当たりの送り量と工具寿命の関係
は図10に示すような結果となった。
【0021】この図10から1刃当たり送り量は、0.
2mm/revから工具寿命が上昇し、約0.3mm/
rev近傍でピークとなり、その後、工具寿命が下降し
てゆくことがわかった。このことから、1刃当たり送り
量は0.2mm/revから0.4mm/revが好ま
しく、最適値としては0.3mm/rev近傍である。
2mm/revから工具寿命が上昇し、約0.3mm/
rev近傍でピークとなり、その後、工具寿命が下降し
てゆくことがわかった。このことから、1刃当たり送り
量は0.2mm/revから0.4mm/revが好ま
しく、最適値としては0.3mm/rev近傍である。
【0022】次にCBN焼結工具の正面フライスへの取
付け方による工具寿命に関して観測してみた。このCB
N焼結工具の正面フライスへの取付け方の観測は、切削
抵抗やCBN焼結工具の工具寿命と深い関わりがあると
考えられている真のすくい角Tを変化させたときの工具
寿命を観測した。ここで真のすくい角Tは次式によって
表される。
付け方による工具寿命に関して観測してみた。このCB
N焼結工具の正面フライスへの取付け方の観測は、切削
抵抗やCBN焼結工具の工具寿命と深い関わりがあると
考えられている真のすくい角Tを変化させたときの工具
寿命を観測した。ここで真のすくい角Tは次式によって
表される。
【0023】 tan T=tan R・cos C+tan A・sin C・・・(2) 但し、Rはラジアルレーキ角、Aはアキシャルレーキ
角、Cはアプローチ角であり、それぞれ図3および図4
に示すように、CBN焼結工具の正面フライスへ取付け
たときの角度である。図11は上記(2)式から求めら
れる真のすくい角を−62度から−42度の間で変化さ
せたときの工具寿命について観測した結果である。
角、Cはアプローチ角であり、それぞれ図3および図4
に示すように、CBN焼結工具の正面フライスへ取付け
たときの角度である。図11は上記(2)式から求めら
れる真のすくい角を−62度から−42度の間で変化さ
せたときの工具寿命について観測した結果である。
【0024】なお、このときの加工条件は下記のとおり
である。 ・切削速度 6000m/min ・CBN焼結工具のCBN焼結体の含有率 89% ・一刃当たりの送り量 0.33mm/rev ・切り込み 1.0mm ・クーラントの有無 乾式切削 ・切削方向 ダウンカット この図11に示されるに真のすくい角と工具寿命の関係
は、真のすくい角が−60度から−48度までの間は工
具寿命が上昇傾向にあり、約−48度から下降してゆ
く。
である。 ・切削速度 6000m/min ・CBN焼結工具のCBN焼結体の含有率 89% ・一刃当たりの送り量 0.33mm/rev ・切り込み 1.0mm ・クーラントの有無 乾式切削 ・切削方向 ダウンカット この図11に示されるに真のすくい角と工具寿命の関係
は、真のすくい角が−60度から−48度までの間は工
具寿命が上昇傾向にあり、約−48度から下降してゆ
く。
【0025】このことから、真のすくい角は−42度か
ら−58度が実用上好ましく、最適値としては−48度
近傍である。以上のような結果から、CBN焼結工具の
刃面に保護膜を形成できる切削速度は、1500m/m
in以上であり、CBN焼結工具のCBN焼結体の含有
率を75%以上とすれば、工具寿命を延ばすことができ
る。
ら−58度が実用上好ましく、最適値としては−48度
近傍である。以上のような結果から、CBN焼結工具の
刃面に保護膜を形成できる切削速度は、1500m/m
in以上であり、CBN焼結工具のCBN焼結体の含有
率を75%以上とすれば、工具寿命を延ばすことができ
る。
【0026】これら切削速度とCBN焼結工具のCBN
焼結体の含有率の条件に、1刃あたりの送り量を0.2
mm/revから0.4mm/revに設定したり、真
のすくい角を−58度から−42度に設定すれば、さら
に工具寿命を延ばすことができる。一方、工作物がFC
300等のパーライト組織の鋳鉄の場合は、上記したよ
うに工具保護膜を生成しながら切削が行われるので、高
速切削が可能となる。しかし、パーライト組織の鋳鉄以
外の他の材質の工作物に対する切削では保護膜は生成さ
れない。そこで、任意の材質の工作物に対する切削方法
の実施の形態について説明する。
焼結体の含有率の条件に、1刃あたりの送り量を0.2
mm/revから0.4mm/revに設定したり、真
のすくい角を−58度から−42度に設定すれば、さら
に工具寿命を延ばすことができる。一方、工作物がFC
300等のパーライト組織の鋳鉄の場合は、上記したよ
うに工具保護膜を生成しながら切削が行われるので、高
速切削が可能となる。しかし、パーライト組織の鋳鉄以
外の他の材質の工作物に対する切削では保護膜は生成さ
れない。そこで、任意の材質の工作物に対する切削方法
の実施の形態について説明する。
【0027】CBN焼結工具の製造過程において、CB
N粉末およびTiC、Al2 O3 等の通常用いられるバ
インダーの他に、SiO2 およびMnO2 をあらかじめ
混合し、この状態で従来の製造方法と同様に、プレス成
形し、高温高圧下で焼結を行う。このようにして得られ
たCBN焼結工具は、SiO2 およびMnO2 が予め含
有されているので、上記パーライト組織の鋳鉄を切削す
るときと同様に、CBN焼結工具のCBN焼結体の含有
率75%以上にして切削速度を1500m/min以上
で切削すれば、工作物の材質に係わらず、切削に伴う圧
力や熱により、工具中のSiO2 およびMnO2 によっ
て工具保護膜が生成され、工具寿命が延長される。さら
に上記パーライト組織の鋳鉄を切削するときと同様に、
1刃あたりの送り量を0.2mm/revから0.4m
m/revに設定し、真のすくい角を−58度から−4
2度に設定すれば、さらに工具寿命を延ばすことができ
る。
N粉末およびTiC、Al2 O3 等の通常用いられるバ
インダーの他に、SiO2 およびMnO2 をあらかじめ
混合し、この状態で従来の製造方法と同様に、プレス成
形し、高温高圧下で焼結を行う。このようにして得られ
たCBN焼結工具は、SiO2 およびMnO2 が予め含
有されているので、上記パーライト組織の鋳鉄を切削す
るときと同様に、CBN焼結工具のCBN焼結体の含有
率75%以上にして切削速度を1500m/min以上
で切削すれば、工作物の材質に係わらず、切削に伴う圧
力や熱により、工具中のSiO2 およびMnO2 によっ
て工具保護膜が生成され、工具寿命が延長される。さら
に上記パーライト組織の鋳鉄を切削するときと同様に、
1刃あたりの送り量を0.2mm/revから0.4m
m/revに設定し、真のすくい角を−58度から−4
2度に設定すれば、さらに工具寿命を延ばすことができ
る。
【0028】なお、上記のように予めSiO2 およびM
nO2 をCBN粉末およびTiC、Al2 O3 等に混合
してCBN焼結工具を形成するのではなく、CBN工具
の刃面部分にのみSiO2 およびMnO2 を添加し、予
め保護膜を刃面に形成しておくような方法でもよい。ま
た、図11は任意の材質の工作物に対する高速切削方法
の他の実施の形態について説明したもので、6は正面フ
ライスであり、先端に図略のCBN焼結体を75%以上
含有したCBN焼結工具が取り付けられている。7は加
工対象物、8はパーライト組織の鋳鉄であるFC300
からなるダミーワークであり、共に図略のテーブルに固
定されている。
nO2 をCBN粉末およびTiC、Al2 O3 等に混合
してCBN焼結工具を形成するのではなく、CBN工具
の刃面部分にのみSiO2 およびMnO2 を添加し、予
め保護膜を刃面に形成しておくような方法でもよい。ま
た、図11は任意の材質の工作物に対する高速切削方法
の他の実施の形態について説明したもので、6は正面フ
ライスであり、先端に図略のCBN焼結体を75%以上
含有したCBN焼結工具が取り付けられている。7は加
工対象物、8はパーライト組織の鋳鉄であるFC300
からなるダミーワークであり、共に図略のテーブルに固
定されている。
【0029】上記の様な構成において、図略のモータに
よってフライス工具6を回転駆動させると共に、正面フ
ライス6とテーブルを相対移動させて、1500m/m
in以上の切削速度でダミーワーク8の切削を行う。す
ると工具表面には上記したように保護膜が生成されるの
で、この保護膜が生成された状態で、任意の加工対象物
7に対する切削を行う。ここで、工具表面には保護膜が
生成されているので、加工対象物7に対する切削は切削
速度を大きくしてもそれに伴って工具寿命が低下するこ
とはない。
よってフライス工具6を回転駆動させると共に、正面フ
ライス6とテーブルを相対移動させて、1500m/m
in以上の切削速度でダミーワーク8の切削を行う。す
ると工具表面には上記したように保護膜が生成されるの
で、この保護膜が生成された状態で、任意の加工対象物
7に対する切削を行う。ここで、工具表面には保護膜が
生成されているので、加工対象物7に対する切削は切削
速度を大きくしてもそれに伴って工具寿命が低下するこ
とはない。
【0030】また、加工対象物7に対する切削距離が長
い場合は、切削の途中で工具表面の保護膜が摩耗する
が、その際は再びダミーワーク8を切削して保護膜を生
成させればよく、ダミーワーク8と加工対象物7との切
削を繰り返し行うことにより、切削距離の長い加工対象
物にも対応できる。なお、この繰り返しのタイミングは
加工対象物の材質、切削速度等に応じて最適なタイミン
グを選択すればよい。
い場合は、切削の途中で工具表面の保護膜が摩耗する
が、その際は再びダミーワーク8を切削して保護膜を生
成させればよく、ダミーワーク8と加工対象物7との切
削を繰り返し行うことにより、切削距離の長い加工対象
物にも対応できる。なお、この繰り返しのタイミングは
加工対象物の材質、切削速度等に応じて最適なタイミン
グを選択すればよい。
【0031】図12は別の実施の形態を示すものであ
り、ダミーワーク8が加工対象物7を挟むように一体的
にテーブルに固定されている。この状態でCBN焼結工
具で1500m/min以上の切削速度で切削を行う。
するとCBN焼結工具はダミーワーク8を切削する際に
保護膜が生成された後、その状態で加工対象物7の切削
を行うため、高速切削であるにも係わらず、それに伴っ
て工具寿命が低下することはない。
り、ダミーワーク8が加工対象物7を挟むように一体的
にテーブルに固定されている。この状態でCBN焼結工
具で1500m/min以上の切削速度で切削を行う。
するとCBN焼結工具はダミーワーク8を切削する際に
保護膜が生成された後、その状態で加工対象物7の切削
を行うため、高速切削であるにも係わらず、それに伴っ
て工具寿命が低下することはない。
【0032】ここで、上記実施の形態では、ダミーワー
ク8が加工対象物7を挟むように配置されているが、こ
れに限定されるものではなく、ダミーワーク8を切削し
た後、加工対象物7を切削できるように配置されていさ
えすればよい。また、上記の実施の形態は正面フライス
加工であるが、これに限定されることなく他の切削にも
使用できるものである。
ク8が加工対象物7を挟むように配置されているが、こ
れに限定されるものではなく、ダミーワーク8を切削し
た後、加工対象物7を切削できるように配置されていさ
えすればよい。また、上記の実施の形態は正面フライス
加工であるが、これに限定されることなく他の切削にも
使用できるものである。
【0033】なお、本発明の切削方法によると、フライ
ス加工の場合、切削速度が3600m/min以上で上
述したように保護膜の存在により、フライス後刃が加工
対象物に接触する際に表面粗さを悪化させるという問題
点があるが、主軸軸心を加工対象物に対して傾斜させて
加工を行う傾斜切削を採用することにより、フライス後
刃が加工対象物に接触しないようにして表面粗さの悪化
を防止することができ、高精度、高能率、低コストとい
う3つの課題をともに満足することができる。
ス加工の場合、切削速度が3600m/min以上で上
述したように保護膜の存在により、フライス後刃が加工
対象物に接触する際に表面粗さを悪化させるという問題
点があるが、主軸軸心を加工対象物に対して傾斜させて
加工を行う傾斜切削を採用することにより、フライス後
刃が加工対象物に接触しないようにして表面粗さの悪化
を防止することができ、高精度、高能率、低コストとい
う3つの課題をともに満足することができる。
【0034】
【発明の効果】本発明の高速切削方法によれば、CBN
焼結体を75%以上含有したCBN焼結工具を用い、パ
ーライト組織の鋳鉄を切削速度1500m/min以上
で切削することにより、工具表面に保護膜を生成し、工
具の製造過程において特殊なコーティング処理を施すこ
となく、切削速度の増加に伴って工具寿命が低下するこ
とのない長寿命な工具を得ることができる。
焼結体を75%以上含有したCBN焼結工具を用い、パ
ーライト組織の鋳鉄を切削速度1500m/min以上
で切削することにより、工具表面に保護膜を生成し、工
具の製造過程において特殊なコーティング処理を施すこ
となく、切削速度の増加に伴って工具寿命が低下するこ
とのない長寿命な工具を得ることができる。
【0035】また、上記CBN焼結体を75%以上含有
したCBN焼結工具を用い、パーライト組織の鋳鉄を切
削速度1500m/min以上で切削する本発明の高速
切削方法に、フライスを用いた場合には、フライス1回
転当たりにおける1刃の送り量を0.2mm/revか
ら0.4mm/revに設定するか、あるいは真のすく
い角を−58度から−42度に設定するか、もしくは、
これら1刃あたりの送り量と真のすくい角の両方を上記
値にすれば、さらに工具寿命を延ばすことができる。
したCBN焼結工具を用い、パーライト組織の鋳鉄を切
削速度1500m/min以上で切削する本発明の高速
切削方法に、フライスを用いた場合には、フライス1回
転当たりにおける1刃の送り量を0.2mm/revか
ら0.4mm/revに設定するか、あるいは真のすく
い角を−58度から−42度に設定するか、もしくは、
これら1刃あたりの送り量と真のすくい角の両方を上記
値にすれば、さらに工具寿命を延ばすことができる。
【0036】さらに、パーライト組織の鋳鉄以外の任意
の材質の加工対象物を切削する場合には、CBN焼結工
具にCBN焼結体を75%以上含有させることと合わせ
て、SiO2 、MnO2 を添加し、切削速度1500m
/min以上で切削することにより、パーライト組織の
鋳鉄をときと同様に工具表面に保護膜を生成し、工具寿
命が低下することのない長寿命な工具を得ることができ
る。
の材質の加工対象物を切削する場合には、CBN焼結工
具にCBN焼結体を75%以上含有させることと合わせ
て、SiO2 、MnO2 を添加し、切削速度1500m
/min以上で切削することにより、パーライト組織の
鋳鉄をときと同様に工具表面に保護膜を生成し、工具寿
命が低下することのない長寿命な工具を得ることができ
る。
【0037】また、パーライト組織の鋳鉄からなるダミ
ーワークを切削することによっても工具表面に保護膜が
生成され、その保護膜が生成された工具によって加工対
象物の切削を行うため、任意の加工対象物の切削に際し
て切削速度を高速化させても、それに伴って工具寿命が
低下することがなく、高速切削を低コストで実現するこ
とができる。
ーワークを切削することによっても工具表面に保護膜が
生成され、その保護膜が生成された工具によって加工対
象物の切削を行うため、任意の加工対象物の切削に際し
て切削速度を高速化させても、それに伴って工具寿命が
低下することがなく、高速切削を低コストで実現するこ
とができる。
【0038】さらに、パーライト組織の鋳鉄からなるダ
ミーワークと加工対象物とを繰り返し切削することによ
り、切削距離の長い加工対象物にも対応することがで
き、パーライト組織の鋳鉄からなるダミーワークと加工
対象物とを同時に切削することにより、上記の繰り返し
切削する場合に比べてサイクルタイムを短縮することが
できる。
ミーワークと加工対象物とを繰り返し切削することによ
り、切削距離の長い加工対象物にも対応することがで
き、パーライト組織の鋳鉄からなるダミーワークと加工
対象物とを同時に切削することにより、上記の繰り返し
切削する場合に比べてサイクルタイムを短縮することが
できる。
【0039】特に、本発明の高速切削方法を用いれば、
従来の工具では切削開始直後に欠けが発生して加工不可
能になるような、あるいは切削開始直後に欠けは発生し
ないが工具寿命が極めて短くなるような高切削速度での
切削が可能となり、高能率加工を実現することができ
る。
従来の工具では切削開始直後に欠けが発生して加工不可
能になるような、あるいは切削開始直後に欠けは発生し
ないが工具寿命が極めて短くなるような高切削速度での
切削が可能となり、高能率加工を実現することができ
る。
【図1】CBN焼結工具の上面図である。
【図2】図1のII−II矢視拡大図である。
【図3】正面フライスの正面図である。
【図4】正面フライスの側面図である。
【図5】切削距離と工具逃げ面摩耗幅との関係を示すグ
ラフである。
ラフである。
【図6】CBN焼結工具に発生した工具逃げ面摩耗幅V
Bを示す図である。
Bを示す図である。
【図7】切削速度6000m/minで切削したときの
工具表面の状態を示す、図1のII−II矢視拡大図であ
る。
工具表面の状態を示す、図1のII−II矢視拡大図であ
る。
【図8】切削距離と表面粗さとの関係を示すグラフであ
る。
る。
【図9】CBN焼結体の含有率を変化させたときの1刃
当たりの切削距離と逃げ面摩耗幅VB (mm)との関係
を示すグラフである。
当たりの切削距離と逃げ面摩耗幅VB (mm)との関係
を示すグラフである。
【図10】1刃当たりの送り量と工具寿命の関係を示す
グラフである。
グラフである。
【図11】正面フライスに取付けられたCBN焼結工具
の真のすくい角と工具寿命の関係を示すグラフである。
の真のすくい角と工具寿命の関係を示すグラフである。
【図12】本発明の高速切削方法を示す斜視図である。
【図13】本発明の高速切削方法の別の実施の形態を示
す斜視図である。
す斜視図である。
1 CBN焼結工具 2 すくい面 3 チャンファ部 4 逃げ面 5 付着物(工具保護膜) 6 正面フライス 7 加工対象物 8 ダミーワーク
Claims (8)
- 【請求項1】 立方晶窒化硼素焼結体を75%以上含有
する切削工具を形成し、前記切削工具によってパーライ
ト組織の鋳鉄を切削速度を1500m/min以上で切
削することを特徴とする高速切削方法。 - 【請求項2】 パーライト組織の鋳鉄からなるワークを
フライスにより切削するための高速切削方法であって、
前記フライスを構成する複数の切削工具を、立方晶窒化
硼素焼結体を75%以上含有させて形成し、前記フライ
スを回転させながら前記パーライト組織の鋳鉄を切削速
度1500m/min以上で切削することを特徴とする
高速切削方法。 - 【請求項3】 立方晶窒化硼素焼結体を75%以上含有
させるとともに、シリコン(Si)、マンガン(M
n)、チタン(Ti)およびこれらの酸化物のうちの一
種または複数種を組み合わせて切削工具を形成し、前記
切削工具によってパーライト組織の鋳鉄を切削速度を1
500m/min以上で切削することを特徴とする高速
切削方法。 - 【請求項4】 ワークをフライスにより切削するための
高速切削方法であって、前記正面フライスを構成する複
数の切削工具を、立方晶窒化硼素焼結体を75%以上含
有させるとともに、シリコン(Si)、マンガン(M
n)、チタン(Ti)およびこれらの酸化物のうちの一
種または複数種を組み合わせて形成し、前記フライスに
よって切削速度1500m/min以上で切削すること
を特徴とする高速切削方法。 - 【請求項5】 請求項2もしくは請求項4に記載の高速
切削方法において、前記正面フライスの1回転当たり前
記複数の切削工具の一刃の送り量が0.2mm/revから
0.4mm/revであることを特徴とする高速切削方法。 - 【請求項6】 請求項2または請求項4もしくは請求項
5に記載の高速切削方法において、前記切削工具の真の
すくい角を−42度から−58度としたことを特徴とす
る高速切削方法。 - 【請求項7】 立方晶窒化硼素焼結体を75%以上含有
させて切削工具を形成し、前記切削工具を用いてパーラ
イト組織の鋳鉄からなるダミーワークを1500m/m
in以上の切削速度で切削することにより、工具の表面
に前記ダミーワーク中に含有される物質による保護膜を
生成させた後、前記工具を用いて加工対象物の切削を行
うことを特徴とする高速切削方法。 - 【請求項8】 請求項1乃至請求項7に記載の高速切削
方法において、前記切削速度は3600m/min以上
であることを特徴とする高速切削方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2352298A JPH11170102A (ja) | 1997-10-10 | 1998-02-04 | 高速切削方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9-293261 | 1997-10-10 | ||
JP29326197 | 1997-10-10 | ||
JP2352298A JPH11170102A (ja) | 1997-10-10 | 1998-02-04 | 高速切削方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11170102A true JPH11170102A (ja) | 1999-06-29 |
Family
ID=26360892
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2352298A Pending JPH11170102A (ja) | 1997-10-10 | 1998-02-04 | 高速切削方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11170102A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003039202A (ja) * | 2001-07-30 | 2003-02-12 | Nissan Motor Co Ltd | 切削加工方法および切削加工装置 |
US7930954B2 (en) | 2003-12-17 | 2011-04-26 | Showa Denko K.K. | Method for producing forging die, forging die and forged article |
DE102019003601A1 (de) | 2018-05-29 | 2019-12-05 | Fanuc Corporation | Vorrichtung zur Lebensdauervorhersage und Vorrichtung für maschinelles Lernen |
US10635081B2 (en) | 2017-02-24 | 2020-04-28 | Fanuc Corporation | Tool state estimation apparatus and machine tool |
US10649435B2 (en) | 2016-12-22 | 2020-05-12 | Fanuc Corporation | Tool life estimating device |
-
1998
- 1998-02-04 JP JP2352298A patent/JPH11170102A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003039202A (ja) * | 2001-07-30 | 2003-02-12 | Nissan Motor Co Ltd | 切削加工方法および切削加工装置 |
US7930954B2 (en) | 2003-12-17 | 2011-04-26 | Showa Denko K.K. | Method for producing forging die, forging die and forged article |
US10649435B2 (en) | 2016-12-22 | 2020-05-12 | Fanuc Corporation | Tool life estimating device |
US10635081B2 (en) | 2017-02-24 | 2020-04-28 | Fanuc Corporation | Tool state estimation apparatus and machine tool |
DE102018103599B4 (de) | 2017-02-24 | 2024-02-29 | Fanuc Corporation | Werkzeugzustandsschätzungsgerät und Werkzeugmaschine |
DE102019003601A1 (de) | 2018-05-29 | 2019-12-05 | Fanuc Corporation | Vorrichtung zur Lebensdauervorhersage und Vorrichtung für maschinelles Lernen |
US11402817B2 (en) | 2018-05-29 | 2022-08-02 | Fanuc Corporation | Life predicting device and machine learning device |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
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A131 | Notification of reasons for refusal |
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A02 | Decision of refusal |
Effective date: 20041102 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 |