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JPH11119199A - 液晶樹脂複合体の製造方法および調光体 - Google Patents

液晶樹脂複合体の製造方法および調光体

Info

Publication number
JPH11119199A
JPH11119199A JP23095298A JP23095298A JPH11119199A JP H11119199 A JPH11119199 A JP H11119199A JP 23095298 A JP23095298 A JP 23095298A JP 23095298 A JP23095298 A JP 23095298A JP H11119199 A JPH11119199 A JP H11119199A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystal
resin
melt
liq
crystal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP23095298A
Other languages
English (en)
Inventor
Tomonori Korishima
友紀 郡島
Yoshinori Hirai
良典 平井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Glass Co Ltd filed Critical Asahi Glass Co Ltd
Priority to JP23095298A priority Critical patent/JPH11119199A/ja
Publication of JPH11119199A publication Critical patent/JPH11119199A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Liquid Crystal (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】透過・散乱を呈する素子を容易に形成する。 【解決手段】電極付き対向基板間に、重合硬化性のモノ
マーと液晶とを含有する溶解物を配置し、前記溶解物の
相を制御し、光照射を行い、重合硬化して得られた樹脂
がマトリクスを形成して相分離を固定し、液晶が連通構
造を有する液晶−樹脂マトリクスの分離構造であって、
液晶の配列が変化するような電圧を印加し、または、電
極間に電圧を印加せずに光の調光を行う液晶光学素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は液晶と樹脂の硬化物
との相分離を固定する液晶樹脂複合体の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、液晶を多孔体に含浸させたり、液
晶をマイクロカプセル中に封入して、液晶が樹脂マトリ
クス中に分散保持された液晶樹脂複合体を用いて液晶光
学素子とし、電界印加の有無により液晶の屈折率を変化
させ、樹脂マトリクスの屈折率との関係を調節すること
により、透過と散乱とを制御する液晶光学素子が注目さ
れてきている。
【0003】具体的には、J.L.Fergasonら
がポリビニルアルコールを使ってマイクロカプセル化し
たネマチック液晶により(特表昭58−50163
1)、またK.N.Pearlmanらは種々のラテッ
クス取り込み液晶により(特開昭60−25268
7)、またJ.W.Doaneらはエポキシ樹脂中に液
晶を分散硬化させる方法 (特表昭61−502128)
で、作成している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】液晶樹脂複合体を液晶
光学素子として用いる場合、液晶が樹脂マトリクス中に
分散保持される構造が、用いられる用途に応じて必要と
なる。しかし、従来の液晶樹脂複合体の製造方法では、
自由に系の構造を制御することが困難であり、光学素子
として充分な機能を発揮しえないといった問題があっ
た。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述の課題を
解決すべくなされたものであり、液晶に未硬化の光硬化
性樹脂が溶解した溶解物を光硬化することにより、液晶
と樹脂の硬化物との相分離を固定して、液晶が樹脂マト
リクス中に分散保持された液晶樹脂複合体を製造する方
法において、溶解物における液晶の体積分率CLCが溶解
物の相図上の臨界点における液晶の体積分率Ccritとの
間に式(1)の関係を有し、かつ、溶解物を光硬化させ
る温度TO (℃)が、溶解物が均一溶解状態から白濁を
生じる温度TS (℃)との間に式(2)の関係を有する
ことを特徴とする液晶樹脂複合体の製造方法を提供す
る。
【0006】
【数2】 Ccrit−0.05<CLC<Ccrit+0.20 (1) TS <TO <TS +25(℃) (2)
【0007】また、液晶が正の誘電異方性を有するネマ
チック液晶であり、液晶の常光屈折率(no )と得られ
る樹脂マトリクスの屈折率が一致するように選ばれた光
硬化性樹脂を使用することを特徴とする上記の製造方法
を提供する。また、光硬化性樹脂のモノマーとオリゴマ
ーとの比を15:85〜90:10の範囲内で調整して
溶解物とすることを特徴とする上記の製造方法を提供す
る。また、上記の製造方法で得られた液晶樹脂複合体を
一対の電極付基板間に挟持したことを特徴とする液晶光
学素子を提供する。
【0008】本発明では、液晶に未硬化の光硬化性樹脂
が溶解した溶解物に光照射することにより、光硬化性樹
脂を硬化させ、同時に生じる溶解性の低下により、液晶
を樹脂中から析出させ、その相分離構造を固定化するこ
とにより、液晶が樹脂マトリクス中に分散保持された液
晶樹脂複合体を得ることができる。
【0009】本発明では、電圧を印加していない状態
で、光照射により硬化させられた光硬化性樹脂による樹
脂マトリクスの屈折率が、液晶の常光屈折率(no )と
一致するようにされる。
【0010】これにより、本発明の液晶樹脂複合体を一
対の電極付基板間に挟持した素子では、電界が印加され
ていない場合は、配列していない液晶の屈折率と、樹脂
マトリクスの屈折率との違いにより、散乱状態(つまり
白濁状態)を示し、また電界を印加した場合は、液晶が
配列し、液晶の常光屈折率(no )と光硬化により得ら
れた樹脂マトリクスの屈折率とが一致することにより透
過状態を示すものであり、可逆的な透過−散乱特性機能
をもつ。
【0011】なお、本発明ではこの樹脂マトリクスの屈
折率と、使用する液晶の常光屈折率(no )とを一致さ
せるものであり、この一致とは完全に一致させることが
好ましいが、透過状態に悪影響を与えない程度に、ほぼ
一致するようにしておけばよい。具体的には、屈折率の
差を0.15程度以下にしておくことが好ましい。
【0012】本発明で使用される光硬化性樹脂として
は、未硬化状態で液晶と相溶性のある光硬化性樹脂であ
って、硬化後は液晶と相溶性を有さない光硬化性樹脂が
使用できる。この光硬化性樹脂としては、それ自身が光
反応性をもつもの、光照射によって生成した物質により
硬化が誘起されるもの、具体的には、光照射によって分
解硬化するものと、重合硬化するもの等公知の種々のも
のが使用できる。なかでも、光硬化性ビニル系樹脂が好
ましい。特に、それらのモノマーとオリゴマーとを組み
合わせて用い、相図の所望の状態に設定すればよい。
【0013】この光硬化性樹脂は、単独もしくは複数混
合して用いてもよく、光硬化開始剤、その他液晶樹脂複
合体作成に必要な改質剤、作成した液晶樹脂複合体の改
質剤などを含んでいてもよい。具体的には、架橋剤、界
面活性剤、希釈剤、増粘剤、消泡剤、接着性付与剤、安
定剤、重合促進剤、連鎖移動剤、重合禁止剤などを含ん
でいてよい。また、光硬化開始剤は、ベンゾインエーテ
ル系、ベンゾフェノン系、アセトフェノン系、チオキサ
ントン系などが例示される。
【0014】本発明で使用される液晶は、ネマチック液
晶、スメクチック液晶等があり、単独で用いても組成物
を用いてもよいが、動作温度範囲、動作電圧など種々の
要求性能を満たすには組成物を用いた方が有利といえ
る。特に、ネマチック液晶の使用が好ましい。また、使
用される液晶物質は、光硬化性樹脂に均一に溶解し、光
照射後の樹脂マトリクスとは溶解しない、もしくは溶解
困難なものが必要であり、組成物を用いる場合は、個々
の液晶の溶解度ができるだけ近いものが望ましい。
【0015】本発明の液晶樹脂複合体を製造する際、未
硬化の光硬化性樹脂と液晶とは、その溶解物の液晶の体
積分率CLCが、溶解物の相図上の臨界点における液晶の
体積分率Ccritと式(1)の関係を有する溶解物とすれ
ばよく、液状または粘稠物として使用されればよい。こ
れは、液晶樹脂複合体では、サブミクロン〜ミクロンオ
ーダーの液晶粒が樹脂マトリクス中に均一に分散保持さ
れていることが必要であり、その粒径がより均一である
ことがコントラスト比、低電圧駆動特性等の電気光学特
性の向上において必要なためである。
【0016】未硬化状態の樹脂と、液晶との溶解物は、
一般に高温において均一溶解状態(透明)、低温におい
ては白濁状態となるが、均一溶解状態から白濁状態とな
る温度は、その組成により異なり、一般に図1に示すよ
うな相図となる。
【0017】図1において、は相溶領域(均一溶解状
態)、は非相溶領域、は液晶相であり、AとBの線
は、均一溶解状態(透明溶液状態)から白濁状態となる
点、CとDの線は液晶相から白濁状態となる点を示して
いる。この前者の線は、2つの線からなり、図中の線A
(点Qの左側)で示される相溶−非相溶線と、線B(点
Qの右側)で示される相溶−液晶析出線である。この線
A、Bの位置関係は、液晶のネマチック−等方性転移点
NI、液晶と未硬化の光硬化性樹脂との相溶性、液晶お
よび未硬化の光硬化性樹脂の分子量等により変化する。
なお、図中のPは臨界点を示す。
【0018】前述したような均一な粒径で均一な分散を
得ようとすると、溶解物の相図上のAB線を同時に有効
に利用するすることが重要となる。これは、線Aの相溶
−非相溶線による作用、すなわち、相溶状態から液晶を
多く含む成分と、液晶をほとんど含まない成分への相分
離(スピノーダル分解)と、線Bの相溶−液晶析出線に
よる作用、すなわち、均一溶液からの液晶の析出との両
者が同時に進行することが重要となるためである。
【0019】このための条件として、式(1)の条件を
満たす必要がある。光硬化時には、相図上のAB線はと
もに高温側に移動するために、式(1)の範囲とするこ
とにより、相分離と液晶の析出が同時に起こり、均一な
液晶樹脂複合体が得られる。
【0020】式(1)の範囲よりもCLCを小さくする
と、光硬化時の初期過程において相分離のみが先に生
じ、液晶の析出が生じないので、液晶の多くが樹脂中に
残ったまま硬化が進行して、相分離後に充分な量の液晶
粒が形成されなく、所望の電気光学特性が得られない。
また、逆に、式(1)の範囲よりもCLCを大きくする
と、光硬化時に液晶の析出が先に進行するために、分離
した液晶の粒径が不均一になりやすく、所望の電気光学
特性が得られない。
【0021】なお、溶解物の相図上の臨界点Pにおける
液晶の体積分率Ccritは、使用する液晶および未硬化の
光硬化性樹脂(モノマー、オリゴマー)の分子量等によ
って異なるが、一般的には0.45〜0.65程度が典
型的な範囲であり、実験的に求めればよい。
【0022】また、光硬化を起こす温度も重要な要因で
ある。具体的には、この溶解物を光硬化させる温度TO
(℃)が、液晶の体積分率がCLCである溶解物が、均一
溶解状態から白濁を生じる温度TS (℃)と式(2)の
関係を有するようにすることが、優れた電気光学特性を
得るために必要である。
【0023】TO ≦TS とすると、光硬化前に、液晶の
析出または相分離が生じるため、均一な液晶樹脂複合体
が形成されにくい。また、逆に、TS +25(℃)≦T
O とすると、光硬化直後にはその点は相溶領域にあるの
で、相分離、液晶の析出が起きなく、ある程度硬化が進
行してから相分離、液晶の析出が生じてくるので、液晶
の多くが樹脂に含まれたままで残る傾向があり、相分離
後に充分な量の液晶粒が形成されにくく、所望の電気光
学特性が得られにくい。
【0024】このため、式(1)および式(2)の両方
を満足するようにすることにより、粒径が均一で、かつ
樹脂マトリクス中に液晶粒が均一に分散していて、散乱
−透過の電気光学特性のよい液晶樹脂複合体を得ること
ができる。
【0025】さらには、液晶の組成、未硬化の光硬化性
樹脂の組成、それらの混合割合、硬化時の温度、照射光
量等を、さらに細かく設定することにより、液晶の粒径
および液晶粒の密度を制御することもできる。
【0026】一般には、液晶の体積分率を増加させる
と、粒径は大きくなる傾向があり、動作する液晶量も増
える。硬化速度に関しては、硬化速度が速いほど、粒径
は小さく密になる傾向がある。硬化温度に関しては、T
O −TS が大きくなるほど、粒径は小さく、動作しうる
液晶量は減少するが、高温になると、液晶、樹脂の粘性
も低下するために、粒径はTO −TS がある程度の値を
持つときに最大になる場合もある。このように、本発明
によれば、いくつかの要因によって、材料や組成を変え
ることなしに、分離した液晶の粒径、密度を制御でき
る。
【0027】光硬化性樹脂のモノマー、オリゴマーの比
によっても、この相図を大きく変化させることができる
ため、モノマー、オリゴマーの比を15:85〜90:
10程度に変化させて所望の電気光学特性を得るように
できる。これは、モノマーとオリゴマーとは異なった分
子量を持ち、液晶との相溶性も異なるため、それらを併
用することにより、容易に相図を変化させることができ
るためである。換言すれば、未硬化状態で、溶解物の相
溶性を制御できるということであり、さらには硬化後に
得られる液晶樹脂複合体の液晶−樹脂マトリクスの分離
構造をも制御できることになる。
【0028】オリゴマーの分子量は通常モノマーの分子
量の数倍以上あるので、液晶との相溶性は、オリゴマー
の方がモノマーよりも低い。このため、オリゴマー/モ
ノマー比を増加させると、相図の臨界点Pは、図中左側
(ΦLCの低い側)に移動する。
【0029】また、上記の説明では、液晶が完全に球形
の液泡を形成しているかのごとく説明したが、これは完
全に球形でなくてもよく、個々の液泡が独立していな
く、連通しているものであってもよい。この液晶の粒径
は、液晶がほぼ球状の液泡を形成している場合には、そ
の直径を表し、液晶が多孔質の連通構造を有する場合に
は、液晶のディレクタが互いに相関を持つ領域の直径を
表す。
【0030】本発明の液晶樹脂複合体は、例えば、In
23 −SnO2 (ITO)、SnO2 等の透明電極付
のガラス、プラスチック等の基板間に挟持させて液晶光
学素子とされる。この液晶光学素子の製造方法として
は、一対の電極付基板を相対向するように配して周辺を
シールして空セルを形成し、注入口から液晶と未硬化の
光硬化性樹脂の溶解物を注入し、注入口を封止して、光
照射して光硬化性樹脂を硬化させて相分離してもよく、
一方の電極付基板上に溶解物を供給し、他方の電極付基
板を重ねて、光照射して光硬化性樹脂を硬化させて相分
離してもよい。この基板間ギャップは、5〜100μm
にて動作することができるが、印加電圧、オン・オフ時
のコントラストを配慮すれば、7〜40μmに設定する
ことが適当である。
【0031】樹脂マトリクスの屈折率を液晶の常光屈折
率no と一致させているので、光照射前は、基板間に保
持された溶解物は透明であるが、光照射後は配列してい
ない液晶と樹脂マトリクスによる屈折率散乱のため白濁
状態となる。こうして作成した本発明の液晶光学素子
は、電圧印加することにより、液晶が配列し、樹脂マト
リクスと屈折率が一致するため透過状態となる。
【0032】本発明では、さらに溶解物中に顔料や色
素、ガラス粒子、プラスチック粒子、セラミック粒子等
の間隙制御用のスペーサを添加したり、基板に着色基板
を使用したり、カラーフィルタを積層したりすることも
できる。
【0033】本発明では、液晶物質を溶媒として使用
し、光照射により光硬化性樹脂を硬化させるため、硬化
時に不要となる単なる溶媒や水を蒸発させる必要がな
い。このため、密閉系で硬化できるため、信頼性が高
く、かつ、光硬化性樹脂で2枚の基板を接着する効果も
有するため、シール材を不要にすることもできる。
【0034】このような液晶樹脂複合体を使用すること
により、大面積にしても、上下の透明電極が短絡する危
険性が低く、かつ、通常のツイストネマチック型の表示
素子のように配向や基板間隙を厳密に制御する必要もな
く、大面積を有する液晶光学素子もきわめて生産性良く
製造できる。
【0035】このような液晶光学素子は、表示素子とし
ても使用可能であるし、大面積化が容易であることおよ
び後で切断して所望のサイズにできること等から調光体
としても好適である。この場合、電極の一部に低抵抗化
するための金属リード部を併設したりしてもよく、調光
鏡として使用する場合には、一方の電極を反射電極とし
てもよい。
【0036】この液晶光学素子は、基板がプラスチック
や薄いガラスの場合にさらに保護のためにプラスチック
やガラス等の補強板を積層したり、基板を強化ガラス、
合せガラス、線入ガラス等にしてもよい等種々の応用が
可能である。この液晶光学素子を用い、駆動手段を付加
した調光体の用途としては窓、天窓、間仕切り、扉等の
建築材料、窓、ムーンルーフ等の車両用材料、各種電気
製品用のケース、ドア、蓋等の材料がある。
【0037】また、この調光体を使用して、種々の物体
を配置する配置手段と組み合せることにより、各種商品
を展示するショーウインドウ、ショーケース等の物体展
示体に使用することもできる。これには、ショーケース
に使用して通常は白濁して中が見えないが、電圧を印加
して透明にすれば中が見えるというような応用もある。
【0038】また、液晶光学素子を、文字や図形を表示
するという表示装置にも使用できる。例えば、大型の公
衆表示にも好適であるし、基板の一方をTFT等の能動
素子を画素毎に形成したアクティブマトリクス基板とし
た高密度表示素子にも使用できる。
【0039】本発明の液晶光学素子は、電圧を印加する
時には、液晶の配列が変化するような交流電圧を印加す
ればよい。具体的には、5〜100Vで10〜1000
Hz程度の交流電圧を印加すればよい。また、電圧を印
加しない時には、電極間をオープンにするか短絡すれば
よい。もちろん、液晶樹脂複合体が散乱状態に保たれる
程度の低電圧が印加されていてもよい。さらには、電圧
−透過率曲線が緩やかであるので、中位の電圧を印加し
て階調表示もできる。
【0040】
【作用】未硬化状態の樹脂と、液晶との溶解物に光を照
射することにより、樹脂が硬化し、分子量が大きくなる
ため、液晶との相溶性が低下し、液晶が独立に析出し
て、液晶が樹脂マトリクス中に分散された液晶樹脂複合
体となる。
【0041】この際に、相図上のどの点から光硬化−相
分離を生じさせるかが重要になる。すなわち、図1の線
Aの相溶−非相溶線による相溶状態から液晶を多く含む
成分と、液晶をほとんど含まない成分への相分離と、線
Bの相溶−液晶析出線による均一溶液からの液晶の析出
との両者が同時に進行するような点とするかが重要とな
る。
【0042】このため、式(1)および式(2)の両方
を満足するようにすることにより、粒径が均一で、かつ
樹脂マトリクス中に液晶粒が均一に分散しているきわめ
て均一性がよい液晶樹脂複合体を得ることができる。
【0043】
【実施例】以下、実施例により、本発明を具体的に説明
する。
【0044】(実施例)一対のITO付ガラス基板を1
0μmの間隙で注入口を除いて周辺でシールし、空セル
を形成した。液晶としてBDH社製「E−8」、未硬化
の光硬化性樹脂としてアクリル系モノマーとウレタンア
クリレート系オリゴマー(モノマー:オリゴマー=6
0:40)、光硬化開始剤としてメルク社製「ダロキュ
アー1116」を用いた組成物の相図を図2に示す。
【0045】この相図中(a)、(b)、(c)の組成
物を別々に前記の空セルに注入して、注入口を封止し、
相図に示される温度で60秒間紫外線を照射して、光硬
化性樹脂を硬化させるとともに、樹脂と液晶の相分離を
起こさせ、液晶樹脂複合体を電極付基板間に挟持した液
晶光学素子を製造した。
【0046】これらの液晶光学素子は、いずれも光硬化
した時点で、散乱状態(白濁状態)であった。この電極
間に交流電圧(AC30V、50Hz)を印加したとこ
ろ透明な状態になり、電圧印加を止めたところ散乱状態
にもどり、充分な散乱−透過特性が得られた。
【0047】(比較例)実施例の相図で(d)、
(e)、(f)の組成物を、相図の温度で実施例と同様
にして光硬化させた。
【0048】(d)の液晶光学素子は、液晶の体積分率
が少ない比較例であり、光硬化後もほとんど透明であっ
た。さらに、数日放置したところ数百μmサイズの球晶
状物が現れた。(e)の液晶光学素子は、組成として
は、(c)と同一であったが、硬化温度が高すぎる例で
あり、光硬化後もほとんど透明であり、交流電圧(AC
50V、50Hz)を印加しても、透明性がやや上がる
程度であった。(f)の液晶光学素子は、液晶の体積分
率が多すぎる比較例であり、光硬化後にやや散乱状態で
あったが、白濁性が充分でないものであった。
【0049】この結果からも明らかなように、式
(1)、(2)の範囲外で製造したものは、散乱性が不
充分となり、電気光学特性が低いものであった。
【0050】
【発明の効果】以上のごとく、本発明は液晶樹脂複合体
の製造方法を提供するものであり、液晶に未硬化の光硬
化性樹脂が溶解した溶解物を光硬化することにより、液
晶と樹脂の硬化物との相分離を固定して、液晶が樹脂マ
トリクス中に分散保持された液晶樹脂複合体を製造する
液晶樹脂複合体の製造方法において、溶解物における液
晶の体積分率CLCが溶解物の相図上の臨界点における液
晶の体積分率Ccritと式(1)の関係を有し、かつ、溶
解物を光硬化させる温度TO (℃)が、溶解物が均一溶
解状態から白濁を生じる温度TS (℃)と式(2)の関
係を有することを特徴とする液晶樹脂複合体の製造方法
である。
【0051】これにより、液晶と未硬化の光硬化性樹脂
とが相溶状態から、液晶を多く含む成分と液晶をほとん
ど含まない成分への相分離と、均一溶液からの液晶の析
出との両者が同時に進行するようにされ、粒径が均一
で、かつ樹脂マトリクス中に液晶粒が均一に分散してい
る均一性がよく、散乱−透過の電気光学特性のよい液晶
樹脂複合体を得ることができる。
【0052】また、この相図を変化させることにより、
所望の液晶粒径、密度の液晶樹脂複合体を容易に製造で
きる。特に、オリゴマーとモノマーとの比率を変えるこ
とにより、容易にこれに対応できる。この液晶樹脂複合
体を、電極付基板間に挟持することにより、透過−散乱
制御型の液晶光学素子を容易に得られる。これは本発明
の均一粒径、均一分散の液晶樹脂複合体を用いているの
で、電気光学特性が優れている。本発明は、この外、本
発明の効果を損しない範囲内で種々応用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的な未硬化状態の樹脂と液晶との混合物の
相図。
【図2】実施例の未硬化状態の樹脂と液晶との混合物の
相図。
【符号の説明】
A:相溶−非相溶線 B:相溶−液晶析出線 P:臨界点 (a)、(b)、(c):実施例 (d)、(e)、(f):比較例
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年9月16日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】明細書
【発明の名称】液晶樹脂複合体の製造方法および調光体
【特許請求の範囲】
【数1】 crit+0.3<C LC ・・・(1)
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は液晶と光硬化性樹脂
材料の硬化物との相分離を固定する液晶樹脂複合体の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、液晶を多孔体に含浸させたり、液
晶をマイクロカプセル中に封入して、液晶が樹脂マトリ
クス中に分散保持された液晶樹脂複合体を用いて液晶光
学素子とし、電界印加の有無により液晶の屈折率を変化
させ、樹脂マトリクスの屈折率との関係を調節すること
により、透過と散乱とを制御する液晶光学素子が注目さ
れてきている。
【0003】具体的には、J.L.Fergasonら
がポリビニルアルコールを使ってマイクロカプセル化し
たネマチック液晶により(特表昭58−50163
1)、またK.N.Pearlmanらは種々のラテッ
クス取り込み液晶により(特開昭60−25268
7)、またJ.W.Doaneらはエポキシ樹脂中に液
晶を分散硬化させる方法 (特表昭61−502128)
で、作成している。これらの従来例では樹脂マトリクス
の分量が多く、液晶は液晶カプセルまたは液晶滴と呼ば
れるような構造を有して基板間に配置されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】液晶樹脂複合体を液晶
光学素子として用いる場合、液晶が樹脂マトリクス中に
分散保持される構造が、用いられる用途に応じて必要と
なる。しかし、従来の液晶樹脂複合体の製造方法では、
自由に系の構造を制御することが困難であり、光学素子
として充分な機能を発揮しえないといった問題があっ
た。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述の課題を
解決すべくなされたものであり、液晶に未硬化の光硬化
性樹脂材料を溶解させた溶解物に光照射して、光硬化性
樹脂材料を光硬化せしめることにより、液晶と硬化樹脂
の相分離を固定して、液晶樹脂マトリクスを備える
液晶樹脂複合体を製造する方法において、(イ)溶解物
における液晶の体積分率CLCが溶解物の相図上の臨界点
における液晶の体積分率Ccritとの間に式(1)の関係
を有するようにし、(ロ)基板間ギャップが5〜100
μmに対向配置された電極付き基板間に挟持された溶解
物に光照射し、(ハ)連通する液晶層と樹脂マトリクス
を形成することを特徴とする液晶樹脂複合体の製造方法
提供する。
【0006】
【数2】 crit+0.3<C LC ・・・(1)
【0007】また、溶解物が等方相または液晶相である
上記の製造方法を提供する。また、基板間ギャップが7
〜40μmである上記の製造方法を提供する。また、異
なる分子量の光硬化性樹脂材料を併用する上記の製造方
法を提供する。また、上記の製造方法で製造した液晶樹
脂複合体が、車両の窓、ムーンルーフに用いられてなる
調光体を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】 本発明では、液晶に未硬化の光硬
化性樹脂材料を溶解させた溶解物に光照射することによ
り、光硬化性樹脂を重合硬化させ、その相分離構造を固
定化する
【0009
【0010
【0011
【0012】本発明で使用される光硬化性樹脂材料とし
ては、未硬化状態で液晶と相溶性があり、硬化後は液晶
と相溶性を有さないものが使用できる。この光硬化性樹
材料としては、それ自身が光反応性をもつもの、光照
射によって生成した物質により硬化が誘起されるもの、
具体的には、重合硬化する種々のものが使用できる。な
かでも、光硬化性ビニル系樹脂材料が好ましい。特に、
それらのモノマーとオリゴマーとを組み合わせて用い、
相図の所望の状態に設定すればよい。
【0013】この光硬化性樹脂材料は単独もしくは複数
混合して用いてもよく、光硬化開始剤、その他液晶樹脂
複合体作成に必要な改質剤、作成した液晶樹脂複合体の
改質剤などを含んでいてもよい。具体的には、架橋剤、
界面活性剤、希釈剤、増粘剤、消泡剤、接着性付与剤、
安定剤、重合促進剤、連鎖移動剤、重合禁止剤などを含
んでいてよい。また、光硬化開始剤は、ベンゾインエー
テル系、ベンゾフェノン系、アセトフェノン系、チオキ
サントン系などが例示される。
【0014】本発明で使用される液晶は、ネマチック液
晶、スメクチック液晶等があり、単独で用いても組成物
を用いてもよいが、動作温度範囲、動作電圧など種々の
要求性能を満たすには組成物を用いた方が有利といえ
。また、使用される液晶物質は、光硬化性樹脂材料
均一に溶解し、光照射後の樹脂マトリクスとは溶解しな
い、もしくは溶解困難なものが必要であり、組成物を用
いる場合は、個々の液晶の溶解度ができるだけ近いもの
が望ましい。
【0015】本発明の液晶樹脂複合体を製造する際、未
硬化の光硬化性樹脂材料と液晶とは、その溶解物の液晶
の体積分率CLCが、溶解物の相図上の臨界点における液
晶の体積分率Ccritと式(1)の関係を有する溶解物と
すればよく、液状または粘稠物として使用されればよ
【0016
【0017
【0018
【0019
【0020
【0021】なお、溶解物の相図上の臨界点Pにおける
液晶の体積分率Ccritは、使用する液晶および未硬化の
光硬化性樹脂材料(モノマー、オリゴマー)の分子量等
によって異なるが、0.45〜0.65の範囲に分布し
ており、実験的に求めればよい。相図については後述す
る。
【0022
【0023
【0024
【0025】さらには、液晶の組成、未硬化の光硬化性
樹脂の組成、それらの混合割合、硬化時の温度、照射光
量等を、さらに細かく設定することにより相分離を制
きる。
【0026】一般には、液晶の体積分率を増加させると
相分離後の液晶量も増え、動作する液晶量も増える。
発明では液晶の体積分率を大きくすることを必須条件と
する。
【0027】光硬化性樹脂材料のモノマー、オリゴマー
の比によっても、この相図を大きく変化させることがで
きるため、モノマー、オリゴマーの比を15:85〜9
0:10程度に変化させて所望の電気光学特性を得るよ
うにできる。これは、モノマーとオリゴマーとは異なっ
た分子量を持ち、液晶との相溶性も異なるため、それら
を併用することにより、容易に相図を変化させることが
できるためである。換言すれば、未硬化状態で、溶解物
の相溶性を制御できるということであり、さらには硬化
後に得られる液晶樹脂複合体の液晶−樹脂マトリクスの
分離構造をも制御できることになる。
【0028】オリゴマーの分子量は通常モノマーの分子
量の数倍以上あるので、液晶との相溶性は、オリゴマー
の方がモノマーよりも低い。このため、オリゴマー/モ
ノマー比を増加させると、相図の臨界点Pは、図中左側
(ΦLCの低い側)に移動する。
【0029】本発明では液晶の体積分率の大きい条件を
採用するので、個々の液泡が独立していなく、連通して
いるものとなる。このとき液晶層は多孔質状の樹脂マト
リクスの空隙を満たしたような連通構造を有する
【0030】本発明の液晶樹脂複合体は、例えば、In
23 −SnO2 (ITO)、SnO2 等の透明電極付
のガラス、プラスチック等の基板間に挟持させて液晶光
学素子とされる。この液晶光学素子の製造方法として
は、一対の電極付基板を相対向するように配して周辺を
シールして空セルを形成し、注入口から液晶と未硬化の
光硬化性樹脂材料を溶解させた溶解物を注入し、注入口
を封止して、光照射して光硬化性樹脂材料を硬化させて
相分離してもよく、一方の電極付基板上に溶解物を供給
し、他方の電極付基板を重ねて、光照射して光硬化性樹
材料を硬化させて相分離させてもよい。この基板間ギ
ャップは、5〜100μmに設定する。印加電圧、オン
・オフ時のコントラストを配慮すれば、7〜40μmに
設定することが適当である。
【0031
【0032】本発明では、さらに溶解物中に顔料や色
素、ガラス粒子、プラスチック粒子、セラミック粒子等
の間隙制御用のスペーサを添加したり、基板に着色基板
を使用したり、カラーフィルタを積層したりすることも
できる。
【0033】本発明では、液晶物質を溶媒として使用
し、光照射により光硬化性樹脂材料を硬化させるため、
硬化時に不要となる単なる溶媒や水を蒸発させる必要が
ない。このため、密閉系で硬化できるため、信頼性が高
い。
【0034】このような液晶樹脂複合体を使用すること
により、大面積にしても、上下の透明電極が短絡する危
険性が低く、かつ、通常のツイストネマチック型の表示
素子のように配向や基板間隙を厳密に制御する必要もな
く、大面積を有する液晶光学素子もきわめて生産性良く
製造できる。
【0035】このような液晶光学素子は、表示素子とし
ても使用可能であるし、大面積化が容易であることおよ
び後で切断して所望のサイズにできること等から調光体
としても好適である。この場合、電極の一部に低抵抗化
するための金属リード部を併設したりしてもよく、調光
鏡として使用する場合には、一方の電極を反射電極とし
てもよい。
【0036】この液晶光学素子は、基板がプラスチック
や薄いガラスの場合にさらに保護のためにプラスチック
やガラス等の補強板を積層したり、基板を強化ガラス、
合せガラス、線入ガラス等にしてもよい等種々の応用が
可能である。この液晶光学素子を用い、駆動手段を付加
した調光体の用途としては窓、天窓、間仕切り、扉等の
建築材料、窓、ムーンルーフ等の車両用材料、各種電気
製品用のケース、ドア、蓋等の材料がある。
【0037】また、この調光体を使用して、種々の物体
を配置する配置手段と組み合せることにより、各種商品
を展示するショーウインドウ、ショーケース等の物体展
示体に使用することもできる。例えば、ショーケースに
使用して通常は白濁して中が見えないが、電圧を印加し
て透明にすれば中が見えるというような応用もある。
【0038】また、液晶光学素子を、文字や図形を表示
するという表示装置にも使用できる。例えば、大型の公
衆表示にも好適であるし、基板の一方をTFT等の能動
素子を画素毎に形成したアクティブマトリクス基板とし
た高密度表示素子にも使用できる。
【0039】本発明の液晶光学素子は、電圧を印加する
時には、液晶の配列が変化するような交流電圧を印加す
ればよい。具体的には、5〜100Vで10〜1000
Hz程度の交流電圧を印加すればよい。また、電圧を印
加しない時には、電極間をオープンにするか短絡すれば
よい。もちろん、液晶樹脂複合体が散乱状態に保たれる
程度の低電圧が印加されていてもよい。さらには、電圧
−透過率曲線が緩やかであるので、中位の電圧を印加し
て階調表示もできる。
【0040】
【作用】未硬化状態の樹脂材料と、液晶との溶解物に
光を照射することにより、樹脂材料重合硬化し、分子
量が大きくなるため、液晶との相溶性が低下し、液晶
析出または液晶中から光硬化せしめられた樹脂が析出
て、液晶層と樹脂マトリクスとに分離し、液晶樹脂複合
が形成される。
【0041】この際に、相図上のどの点から光硬化−相
分離を生じさせるかが重要になる。すなわち、図1の線
Aの相溶−非相溶線による相溶状態から液晶を多く含む
成分と、液晶をほとんど含まない成分への相分離と、線
Bの相溶−液晶析出線による均一溶液からの液晶の析出
との両者が同時に進行するような点とするかが重要とな
る。
【0042】このため、(イ)、(ロ)および(ハ)
満足するようにすることにより、液晶層がセル内で連通
して分散し、すぐれた光学特性を持つ液晶樹脂複合体を
得ることができる。
【0043】
【実施例】以下、実施例および比較例により、本発明を
具体的に説明する。未硬化状態の樹脂材料と、液晶と、
の溶解物は、一般に高温において均一溶解状態(透
明)、低温においては白濁状態となるが、均一溶解状態
から白濁状態となる温度は、その組成により異なり、一
般に図1に示すような相図となる。図1において、は
相溶領域(均一溶解状態)、は非相溶領域、は液晶
相であり、AとBの線は、均一溶解状態(透明溶液状
態)から白濁状態となる点、CとDの線は液晶相から白
濁状態となる点を示している。この前者の線は、2つの
線からなり、図中の線A(点Qの左側)で示される相溶
−非相溶線と、線B(点Qの右側)で示される相溶−液
晶析出線である。この線A、Bの位置関係は、液晶のネ
マチック−等方性転移点T NI、液晶と未硬化の光硬化性
樹脂材料との相溶性、液晶および未硬化の光硬化性樹脂
材料の分子量等により変化する。なお、図中のPは臨界
点を示す。本発明は(イ)の条件を満たす。光硬化時に
は、相図上のAB線はともに高温側に移動するために、
式(1)の範囲に設けることにより、光硬化時に液晶の
析出が先に進行する、または、の液晶相から硬化樹脂
を析出させるようにする。
【0044】一対のITO付ガラス基板を10μmの間
隙で注入口を除いて周辺でシールし、空セルを形成し
た。液晶としてBDH社製「E−8」(誘電率異方性が
正のネマチック液晶)、未硬化の光硬化性樹脂材料とし
てアクリル系モノマーとウレタンアクリレート系オリゴ
マー(モノマー:オリゴマー=60:40)、光硬化開
始剤としてメルク社製「ダロキュアー1116」を用い
た組成物の相図を図2に示す。このとき、臨界点Pは
0.5に位置し、およそ、組成物の体積分率は(d)が
0.31、(a)が0.50、(b)が0.56、
(c)と(e)が0.60、そして、(f)が0.80
であった。
【0045】(比較例a、b、c)図2の相図中
(a)、(b)、(c)の組成物を別々に前記の空セル
に注入して、注入口を封止し、相図に示される温度で6
0秒間紫外線を照射して、光硬化性樹脂を硬化させると
ともに、樹脂と液晶の相分離を起こさせ、液晶樹脂複合
体を電極付基板間に挟持した液晶光学素子を製造した。
【0046】これらの液晶光学素子は、いずれも光硬化
した時点で、散乱状態(白濁状態)であった。この電極
間に交流電圧(AC30V、50Hz)を印加したとこ
ろ透明な状態になり、電圧印加を止めたところ散乱状態
にもどり、充分な散乱−透過特性が得られた。これは、
電圧無印加時には、セル内で液晶が配列を持っていない
ためにセル内部での屈折率が一様ではなくなり、散乱を
生じ、電極間に電圧を印加すると、発生した電界方向
(基板面に垂直方向)に液晶が配列し、光が透過するも
のであった。
【0047】(比較例d、e、実施例f)図2の相図で
(d)、(e)、(f)の組成物を、相図の温度で上記
比較例(a)、(b)、(C)と同様にして光硬化させ
た。(f)の組成物は液晶量が多く、かつ相溶−液晶析
出線Bの近傍に位置しているものであった(図2の各例
のうち最も右側に位置)。
【0048】(d)の液晶光学素子は、液晶の体積分率
が少ない比較例であり、光硬化後もほとんど透明であっ
た。さらに、数日放置したところ数百μmサイズの球晶
状物が現れた。(e)の液晶光学素子は、組成として
は、(c)と同一であったが、硬化温度が高すぎる例で
あり、光硬化後もほとんど透明であり、交流電圧(AC
50V、50Hz)を印加しても、透明性がやや上がる
程度であった。(f)の液晶光学素子は、液晶の体積分
率が多く、光硬化後にやや散乱状態で、白濁性が充分で
はなかった。この状態は、相分離によって形成された液
晶層がセル内で連通し、狭い基板間ギャップに影響され
て弱い配列を持ち、樹脂マトリクスがあるにもかかわら
ず、電圧無印加時にやや散乱性を示すからであった(基
板の一面から他面に通過する光の成分が存在する)。そ
して、電圧の印加によりこの液晶の配列が変化し、透過
・散乱特性に影響を生じるものであり、より大きな電圧
印加時に液晶が基板面に垂直に配列して透明性を示すも
のであった。
【0049
【0050】
【発明の効果】以上のごとく、本発明は液晶樹脂複合体
の製造方法を提供するものであり、液晶に未硬化の光硬
化性樹脂材料を溶解させた溶解物に光照射して、光硬化
性樹脂材料を光硬化せしめることにより、液晶と硬化
の相分離を固定して、液晶樹脂マトリクスを備え
液晶樹脂複合体を製造する方法において、上記の
(イ)、(ロ)、および(ハ)を満足する液晶樹脂複合
体の製造方法である。
【0051】これにより、液晶と未硬化の光硬化性樹脂
材料とが相溶状態から、液晶を多く含む成分と液晶をほ
とんど含まない成分への相分離と、均一溶液からの液晶
の析出との両者が同時に進行するようにされ、樹脂マト
リクス中に大量の液晶が連通して分散し、電圧無印加時
にやや散乱を示し、電圧印加により散乱性がやや増し、
さらに電圧を印加すると散乱性が低下する液晶樹脂複合
体を得ることができる。
【0052】また、この相図を変化させることにより、
所望の液晶樹脂複合体を容易に製造できる。特に、オリ
ゴマーとモノマーとの比率を変えることにより、容易に
これに対応できる。この液晶樹脂複合体を、電極付基板
間に挟持することにより、透過−散乱制御型の液晶光学
素子を容易に得られ、電気光学特性が優れたものであ
る。本発明は、この外、本発明の効果を損しない範囲内
で種々応用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的な未硬化状態の樹脂材料と液晶との混合
物の相図。
【図2】実施例と比較例の未硬化状態の樹脂と液晶との
混合物の相図。
【符号の説明】 A:相溶−非相溶線 B:相溶−液晶析出線 P:臨界点 (a)、(b)、(c)、(d)、(e):比較例 (f):実施例

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】液晶に未硬化の光硬化性樹脂が溶解した溶
    解物を光硬化することにより、液晶と樹脂の硬化物との
    相分離を固定して、液晶が樹脂マトリクス中に分散保持
    された液晶樹脂複合体を製造する方法において、溶解物
    における液晶の体積分率CLCが溶解物の相図上の臨界点
    における液晶の体積分率Ccritとの間に式(1)の関係
    を有し、かつ、溶解物を光硬化させる温度TO (℃)
    が、溶解物が均一溶解状態から白濁を生じる温度TS
    (℃)との間に式(2)の関係を有することを特徴とす
    る液晶樹脂複合体の製造方法。 【数1】 Ccrit−0.05<CLC<Ccrit+0.20 (1) TS <TO <TS +25(℃) (2)
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