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JPH11114383A - 筒状フィルターカートリッジ - Google Patents

筒状フィルターカートリッジ

Info

Publication number
JPH11114383A
JPH11114383A JP29767997A JP29767997A JPH11114383A JP H11114383 A JPH11114383 A JP H11114383A JP 29767997 A JP29767997 A JP 29767997A JP 29767997 A JP29767997 A JP 29767997A JP H11114383 A JPH11114383 A JP H11114383A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nonwoven fabric
fiber nonwoven
filter
filter cartridge
long
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP29767997A
Other languages
English (en)
Inventor
Osamu Yamaguchi
修 山口
Shigenori Fukuda
重則 福田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JNC Corp
Original Assignee
Chisso Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Chisso Corp filed Critical Chisso Corp
Priority to JP29767997A priority Critical patent/JPH11114383A/ja
Publication of JPH11114383A publication Critical patent/JPH11114383A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】優れた濾過精度を有すると共に、耐薬品性、通
液性、濾過ライフ、濾過精度の安定性に優れた筒状プリ
ーツフィルターカートリッジを提供する。 【解決手段】フッ素樹脂微多孔膜、2成分以上の熱可塑
性樹脂からなりその成分間の最大融点差15℃以上有す
る構成繊維が互いに熱接着されている平均繊維径10μ
m以下の多成分極細繊維不織布、および長繊維不織布と
の少なくとも三者を重ねてプリーツ状に折り曲げて筒状
にした濾過材を有することを特徴とする筒状フィルター
カートリッジ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液体濾過用フィル
ターカートリッジに関する。さらに詳しくは、従来のフ
ィルターカートリッジに比べ、耐薬品性に優れ、優れた
濾過精度を持ち、濾過精度の径時劣化が少なく、耐圧強
度に優れているプリーツ加工された筒状フィルターカー
トリッジに関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、流体を浄化するため、さまざまな
フィルターが開発、生産されている。中でも、濾過精度
が0.1μm〜10μm程度の精密濾過用のフィルター
は、菌類の除去、懸濁粒子の除去、ケーク濾過装置から
流出したケークの除去など産業上の幅広い分野で使用さ
れている。
【0003】精密濾過用のフィルターにもその用途に応
じて様々な形態の物がある。特に、ひだ折りにした濾過
材を筒状に加工したフィルターは筒状プリーツフィルタ
ーカートリッジと呼ばれており、このフィルターは構造
が簡素でありながら圧力損失が小さく、濾過ライフが長
く、高精度のフィルターを作ることが可能であるなどの
理由からこれまでに多くの用途に使用されてきた。しか
しながら、このような構造のフィルターにおいてもいく
つかの改良すべき点が指摘されている。
【0004】従来の筒状プリーツフィルターカートリッ
ジの問題点の一つとして、濾過圧力が上昇するとひだの
間隔が元の状態から変化し、部分的にひだの閉塞が起こ
るために、本来の濾過流量や濾過ライフが得られないこ
とがあることが挙げられる。
【0005】この問題を解決する手段として、特開昭4
8−7357号公報には、ひだ間にスペーサーを入れて
間隔を固定する方法が上げられている。この方法ではひ
だ間隔が強固に固定されるという利点があるが、ひだ間
にスペーサーを入れる加工法が難しく、また、スペーサ
ー自体が圧力損失を有するために通液性が悪くなった
り、あるいは濾過材がスペーサーにより閉塞されて濾過
ライフが短くなることがあるという点で改良が望まれて
いる。また、スペーサーを入れる空間の分だけ筒状フィ
ルターカートリッジが有するひだ数が少なくなり、濾過
面積が減少するため、通液量が落ちてしまう点でも改良
が望まれている。
【0006】また、特開昭59−39313号公報に
は、濾過材のプリーツの折り形状に傾斜して付けられた
コルゲーション加工により濾過材自体の強度を増加させ
る方法が示されている。この方法を用いれば、先述した
ようなスペーサーによる濾過材の閉塞はないが、このよ
うな加工は技術的に困難であるため、濾過材がコルゲー
ション加工により傷んでピンホールが生じる原因となっ
たり、濾過材が適度な固さを持たないときにはコルゲー
ション加工自体が難しい。また、コルゲーション加工に
より濾過材の見かけの厚さが増えるため、筒状フィルタ
ーカートリッジが有するひだ数が少なくなってしまい、
十分な濾過面積が確保できない。
【0007】濾過材の強度を上げるための方法として、
特開昭53−87981号公報には、濾過材にポリエチ
レン粉末を塗布してそれを熱融着させる方法が上げられ
ている。この方法を用いると濾過材の強度を上げること
ができるが、溶融したポリエチレン粉末が濾過材の孔を
塞いでしまうために通液性や濾過ライフ特性が悪くなる
という新たな問題が生じる。
【0008】筒状プリーツフィルターカートリッジの別
の改良すべき点として、濾過材が薄く、強度を有しない
ために、濾過圧力が上昇したりあるいは使用に伴って濾
過材の空孔が閉塞されていった場合に、プッシュアウト
と呼ばれる粒子の下流側への流出現象が起こることが挙
げられる。特に、不織布を濾過材とした筒状プリーツフ
ィルターカートリッジの場合には、濾過圧力が上がると
孔を構成している繊維が動くために、この現象がより顕
著に見られることが多い。
【0009】また、筒状プリーツフィルターカートリッ
ジ製造において、濾過材をプリーツ加工する工程では、
不織布をひだ折り加工した後に、その折り目の形状が固
定するように、ひだを折り畳んだ状態で加熱処理を行う
ことが多く、その温度範囲は濾過材の原料樹脂のガラス
転移点以上から融点以下の温度に設定することが多い。
しかしながら、その加工温度は原料樹脂の融点に近いこ
とが多いために、加熱温度や時間が不十分であった場合
には折り目の形状が固定されないことがあり、逆に加熱
をしすぎた場合には濾過材の構成繊維が熱変形して濾過
材の強度低下が起こったり、濾過材にピンホールが生じ
てフィルター性能が低下することがあった。
【0010】濾過材を強化するための別の方法として、
特開平6−262013号公報には、濾過材に熱融着性
極細複合繊維不織布と熱融着性複合モノフィラメント製
ネットとを熱融着したものを使用する方法が開示されて
いる。この方法を使うと、濾過材が熱融着性複合素材か
らなるために、濾過材を構成する繊維が熱接着してお
り、先述したような加工をすることなく強力の高い濾過
材を得ることができる。しかしながら、この方法では極
細複合繊維不織布の製法にメルトブロー法を使用してい
るために、濾過精度が数ミクロン程度となり、エアある
いは洗浄液等のプレフィルターとしては有用であるもの
の、半導体分野、飲料水分野、食品分野などで要求され
るような大きさ1ミクロン以下の微生物あるいは極めて
微細な粒子を捕集する用途に使用する場合には、濾液を
さらに孔径の小さなフィルターで処理する必要があっ
た。
【0011】また、筒状プリーツフィルターカートリッ
ジは主として医薬品分野、ヘルスケア分野、化学薬品分
野など、濾過材からの溶出分を極度に嫌う分野に使われ
ることが多い。このようなフィルターの素材としてはポ
リテトラフルオロエチレンなど耐薬品性に優れた素材が
望まれる。その例として特開昭60−58208号公報
および特開昭61−149218号公報には濾過材にフ
ッ素樹脂を使用したプリーツフィルターカートリッジの
製造方法が開示されている。しかしながら、この発明に
よるフィルターの濾過材は単にフッ素樹脂製のフィルタ
ー膜とネット状物を重ね合わせたものにすぎないため、
耐薬品性には優れているものの、濾過材強度の不足や圧
力上昇時のプッシュアウトを始めとする先述した問題を
解決するものではない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
課題を解決し、優れた濾過精度を有すると共に、耐薬品
性、通液性、濾過ライフ、濾過精度の安定性に優れた筒
状プリーツフィルターカートリッジを提供することにあ
る。
【0013】
【解決するための手段】本発明は下記の構成を有する。 (1)フッ素樹脂微多孔膜、2成分以上の熱可塑性樹脂
からなりその成分間の最大融点差15℃以上有する構成
繊維が互いに熱接着されている平均繊維径10μm以下
の多成分極細繊維不織布、および長繊維不織布との少な
くとも三者を重ねてプリーツ状に折り曲げて筒状にした
濾過材を有することを特徴とする筒状フィルターカート
リッジ。 (2)長繊維不織布が、融点差が15℃以上有する2成
分の熱可塑性樹脂からなり構成繊維が互いに熱接着され
ている長繊維不織布である前記(1)に記載の筒状フィ
ルターカートリッジ。 (3)多成分極細繊維不織布と長繊維不織布が熱接着さ
れた前記(1)または(2)に記載の筒状フィルターカ
ートリッジ。 (4)濾過材が、フッ素樹脂微多孔膜、多成分極細繊維
不織布、長繊維不織布に加えてネットを重ねてプリーツ
状に折り曲げて作られている前記(1)〜(3)のいず
れかに記載の筒状フィルターカートリッジ。 (5)濾過材を構成する材料が全てフッ素樹脂からなる
前記(1)〜(4)のいずれかに記載の筒状フィルター
カートリッジ。 (6)フッ素樹脂が、ポリテトラフルオロエチレン、ポ
リフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−パーフ
ルオロアルキルビニルエーテル共重合体、エチレン−テ
トラフルオロエチレン共重合体、ポリトリフルオロクロ
ロエチレン、エチレン−トリフルオロクロロエチレン共
重合体、ポリフッ化ビニル、テトラフルオロエチレン−
ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニ
ルエーテル共重合体の群から選ばれた少なくとも1種で
ある前記(1)〜(5)のいずれかに記載の筒状フィル
ターカートリッジ。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】本発明に係る筒状プリーツフィルターカー
トリッジの濾過材は、フッ素樹脂微多孔膜、長繊維不織
布、融点差が15℃以上ある2成分以上の熱可塑性樹脂
からなり構成繊維が互いに熱接着されている平均繊維径
10μm以下の多成分極細繊維不織布の少なくとも3種
類からなる。
【0016】本発明に用いられる多成分極細繊維不織布
は、分割繊維不織布、メルトブロー不織布などが利用で
きる。特に安価でありかつ微細な繊維から構成されるこ
とからメルトブロー不織布を用いることが好ましい。
【0017】この多成分極細繊維不織布は融点が異なる
2成分以上の熱可塑性樹脂からなり、そのうち最も高融
点の樹脂と最も低融点の樹脂との融点差が15℃以上あ
る必要がある。これらの樹脂の混合形態としては、不織
布の構成繊維を並列型複合、鞘芯型複合、偏心鞘芯型複
合などの複合繊維にする方法、および2種以上の樹脂そ
れぞれからなる繊維を混繊、混綿などして混ぜ合わせる
方法等を用いることができる。
【0018】また、本発明に用いられる多成分極細繊維
不織布は、平均繊維径10μm以下の構成繊維が熱接着
されている。つまり、少なくとも2成分間の融点差が1
5℃以上ある熱可塑性樹脂を含むため、低融点樹脂が熱
加工により容易に溶けて構成繊維が熱接着する。このた
め、本発明のフィルターは、その構成繊維同士が熱接着
しており、濾過材の孔が広がることがなく、また、使用
に伴う濾過精度の低下がほとんど起こらないのである。
しかも樹脂バインダー等を使って濾過材を強化したフィ
ルターと比較すると、本発明のフィルターはバインダー
による閉塞がないために不織布の空隙率、開孔率が高
い。なおかつ濾過材の強度が高いため、通液性、濾過ラ
イフに優れており、また、濾過材からの溶出分が極めて
少なく、耐薬品性にも優れているのである。また、熱加
工後の保形性に優れるために、加熱による折り形状の固
定が容易となるので、単一成分で作られた不織布に比べ
てひだ折り加工性にも優れたものとなる。
【0019】本発明に用いられる多成分極細繊維不織布
に使用できる樹脂の例としては、ポリプロピレン(P
P)、線状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、
高密度ポリエチレン(HDPE)、プロピレンと他のα
−オレフィンとの共重合体などのポリオレフィン系、あ
るいはポリエチレンテレフタレート、共重合ポリエステ
ル、低融点熱可塑性ポリエステルなどのポリエステル
系、あるいはナイロン6、ナイロン66などのポリアミ
ド系、あるいはポリスチレン系、塩化ビニル系、熱可塑
性エラストマーなどの熱可塑性樹脂およびこれらの混合
物からなる合成樹脂をあげることができる。また、特に
耐熱性、耐薬品性が求められる用途に使用する場合に
は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフ
ッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−パーフルオ
ロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエ
チレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン
−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリトリフルオロ
クロロエチレン、エチレン−トリフルオロクロロエチレ
ン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニ
ル、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレ
ン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体等の
フッ素系樹脂を用いるのが好ましい。
【0020】また、該多成分極細繊維不織布に使用する
樹脂の組み合わせは前記要件を満たしていれば特に限定
されるものではないが、樹脂を2成分とする場合の低融
点樹脂と高融点樹脂の組合せの例として、高密度ポリエ
チレン/ポリプロピレン、線状低密度ポリエチレン/ポ
リプロピレン、低密度ポリエチレン/ポリプロピレン、
プロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体/ポリプ
ロピレン、線状低密度ポリエチレン/高密度ポリエチレ
ン、低密度ポリエチレン/高密度ポリエチレン、各種の
ポリエチレン/熱可塑性ポリエステル、ポリプロピレン
/熱可塑性ポリエステル、共重合ポリエステル/熱可塑
性ポリエステル、各種のポリエチレン/ナイロン6、ポ
リプロピレン/ナイロン6、ナイロン6/ナイロン6
6、ナイロン6/熱可塑性ポリエステルなどをあげるこ
とができる。また、特に耐熱性、耐薬品性を持たせる場
合には、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキ
ルビニルエーテル共重合体/ポリテトラフルオロエチレ
ン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレ
ン共重合体/ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−
テトラフルオロエチレン共重合体/ポリテトラフルオロ
エチレン、ポリトリフルオロクロロエチレン/ポリテト
ラフルオロエチレン、エチレン−トリフルオロクロロエ
チレン共重合体/ポリテトラフルオロエチレン、ポリフ
ッ化ビニリデン/ポリテトラフルオロエチレン、ポリフ
ッ化ビニル/ポリテトラフルオロエチレン、テトラフル
オロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオ
ロアルキルビニルエーテル共重合体/ポリフッ化ビニリ
デン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキル
ビニルエーテル共重合体/ポリフッ化ビニリデン、テト
ラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合
体/ポリフッ化ビニリデン、エチレン−テトラフルオロ
エチレン共重合体/ポリフッ化ビニリデン、ポリトリフ
ルオロクロロエチレン/ポリフッ化ビニリデン、エチレ
ン−トリフルオロクロロエチレン共重合体/ポリフッ化
ビニリデン、ポリフッ化ビニル/ポリフッ化ビニリデ
ン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレ
ン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体/ポ
リフッ化ビニリデン等の組み合わせを挙げることができ
る。これらの中でも、価格と加工性、接着性に優れてい
ることから、高密度ポリエチレン/ポリプロピレン、プ
ロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体/ポリプロ
ピレン、共重合ポリエステル/熱可塑性ポリエステルの
組み合わせが好ましい。また、フッ素樹脂を用いる場合
には、価格、加工性、接着性、耐薬品性の点から、テト
ラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエー
テル共重合体/ポリテトラフルオロエチレン、テトラフ
ルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体/
ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン
−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビ
ニルエーテル共重合体/ポリテトラフルオロエチレンの
組み合わせが好ましい。
【0021】続いて、多成分極細繊維不織布の構成繊維
を熱接着する方法について説明する。熱接着する方法と
しては、紡糸時の加熱空気の余熱による接着の他、エア
ースルー加工法、遠赤外線ヒーター加熱法等の公知の方
法を使用することができる。その際の加工温度は、使用
する方法にもよるわけだが、不織布表面の雰囲気温度が
不織布の低融点樹脂の融点より1℃以上高く、高融点樹
脂の融点より低いことが望ましい。加工温度と低融点樹
脂の融点との差が1℃未満であると、繊維の接着が不十
分となるため好ましくない。また、加工温度が高融点樹
脂の融点以上の場合、不織布全体が溶融して形態が崩れ
るため好ましくない。ただし、該不織布の構成繊維を鞘
芯型複合繊維など高融点樹脂が繊維表面に現れない構造
にして、加熱時間を不織布の構成繊維表面のみを溶かす
程度の極めて短い間にするなどして、該不織布の構成繊
維の高融点樹脂が実質的に融点以上の温度にさらされな
いようにすれば、加熱温度が該不織布の高融点樹脂の融
点以上であっても問題はない。
【0022】また、本発明に用いられる多成分極細繊維
不織布は、通過粒径を小さくするためにフラットカレン
ダーロールなどで圧密加工しても良い。その圧密加工の
程度としては、加工後の空隙率が50%〜90%となる
ようにすることが望ましい。この値が50%よりも小さ
いと、不織布の通液性が極度に悪くなり、また、均一な
圧密加工が難しくなるため好ましくない。また、加工後
の空隙率が90%を越えると圧密加工する意味がなくな
る。なお、この圧密加工に加熱ロールを使用すれば、圧
密加工によって不織布の構成繊維が接着するため、先述
したエアースルー加工、遠赤外線ヒーター加熱等を省略
することもできる。
【0023】次に、本発明に用いられる長繊維不織布に
ついて説明する。本発明に用いられる長繊維不織布の製
造法は特に限定されるものではないが、安価で強度が高
い点からスパンボンド不織布を用いることが望ましい。
該長繊維不織布に使用できる樹脂としては、ポリオレフ
ィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、
フッ素樹脂など、先述した極細繊維不織布に使用できる
樹脂の内、任意のものを用いることができる。特に、耐
熱性、耐薬品性が要求される分野にフィルターを使用す
るときには、フッ素樹脂を使用することが好ましい。
【0024】また、本発明に用いられる長繊維不織布
は、融点差が15℃以上ある2成分の熱可塑性樹脂から
なるものであっても良い。2成分の混合形態としては、
並列型複合、鞘芯型複合、偏心鞘芯型複合などの複合、
あるいは混繊、混綿などを用いることができる。この場
合、長繊維不織布を予め熱加工することにより構成繊維
同士を接着させると、濾過材が通液性を損なわずに強度
を持ったものとなり、好ましい。この長繊維不織布の2
成分の組み合わせは、先述した多成分極細繊維不織布に
使用する樹脂の低融点樹脂と高融点樹脂の組み合わせの
うち、任意のものを用いることができる。この長繊維不
織布の熱加工法は、先述した多成分極細繊維不織布の構
成繊維を熱接着する方法と同様に、エアースルー加工、
遠赤外線ヒーター加熱法等を使用することができる。
【0025】また、先述したようなプリーツ加工性、濾
過材の強度向上、濾過性能の向上などの特性を更に高め
るために、多成分極細繊維不織布と長繊維不織布とを単
に重ね合わせるだけでなく熱接着しても良い。この熱接
着の方法としては、エンボスロール、フラットロールな
どのカレンダーロールを使用してもよいし、エアースル
ー加工法、遠赤外線ヒーター加熱などを使用しても良
い。この場合には、多成分極細繊維不織布および長繊維
不織布に使用する樹脂の組合せを、ポリオレフィン系樹
脂の組合せ、ポリエステル系樹脂の組合せとするなど、
相溶性の高い樹脂の組み合わせとすると、接着性が向上
するため好ましい。さらには上記長繊維不織布が複合長
繊維不織布である場合、熱接着する際に必要以上に熱を
加えることなく穏やかな条件で加工できるので、より好
ましい態様である。
【0026】次に、本発明で使われるフッ素樹脂微多孔
膜について説明する。このフッ素樹脂多孔膜の製造法は
特に限定される物ではなく、例えば相転換法、延伸法、
トラックエッチ法などを使用することができる。特に、
原料がフッ素樹脂であるため、延伸法を用い、微細なフ
ッ素樹脂の粉体と成形助剤を混ぜて作られたフィルムを
一軸または二軸で延伸する方法をさせて作る方法が有用
である。また、フッ素樹脂微多孔膜の孔径は0.01μ
mから5μmの間であることが好ましい。孔径が0.0
1μmよりも小さいと、膜の開孔率が低くなるため、通
液性が悪くなり好ましくない。また孔径が5μmよりも
大きいものは、メルトブロー法などで作られた不織布と
比べて価格的に不利となるため好ましくない。また、フ
ッ素樹脂微多孔膜の厚さは特に限定されるものではない
が、30μm〜200μmのものが強度、加工性の点か
ら利用しやすい。また、この膜は親水化処理されたもの
であってもよい。
【0027】次に、筒状プリーツフィルターカートリッ
ジの濾過材の組合せについて説明する。本発明の濾過材
は少なくともフッ素樹脂微多孔膜、多成分極細繊維不織
布、長繊維不織布の3種類から構成されるが、この組合
せは上流側から長繊維不織布、多成分極細繊維不織布、
フッ素樹脂微多孔膜とすることが好ましい。このような
組合せにした場合、それぞれの不織布あるいは膜で捕集
できる粒子の大きさが上流側から徐々に小さくなってい
くために、濾過材の寿命が長くなる。また、濾過材の強
度をさらに高めるため、あるいはひだ数を多くした場合
の通液スペースを確保しておくため、多成分極細繊維不
織布とフッ素樹脂微多孔膜との間、あるいはフッ素樹脂
微多孔膜よりも下流側にも長繊維不織布を使用しても良
い。
【0028】また、フッ素樹脂微多孔膜は、単に重ね合
わせるだけでもよいが、プリーツ加工する前に、予めフ
ラットカレンダーロールなどを使って上記の長繊維不織
布、多成分極細繊維不織布またはそれらを熱接着したも
のと貼り合わせておいてもよい。このことにより、柔ら
かいフッ素樹脂多孔膜のプリーツ加工性を飛躍的に改善
することができ、補強効果も向上する。さらには同様の
改善を目的として上記の長繊維不織布、多成分極細繊維
不織布またはそれらを熱接着したものとは別途に不織布
などの有孔シートと貼り合わせておいてもよい。貼り合
わせる相手の有孔シートとしては、上記の長繊維不織
布、多成分極細繊維不織布と同じものを使用してもよ
く、他の不織布、織布、ネット、パンチングシートなど
も使用することができる。この有孔シートの素材は特に
限定されるものではないが、安価で強度が高いことか
ら、スパンボンド不織布を使うことが好ましく、また耐
熱性、耐薬品性が要求されるフィルターカートリッジを
製造する場合はフッ素樹脂を使用した有孔シートが好ま
しい。
【0029】また、筒状プリーツフィルターカートリッ
ジの濾過材として、上記有孔シートとは別にさらにネッ
トを重ね合わせて使用してもよい。このネットの素材は
特に限定される物ではないが、耐熱性、耐薬品性に優れ
ることからフッ素樹脂が好ましい。ネットを使用すれば
ひだの間に液が入り込むためのスペースを確保すること
ができるために、濾過材の表面全体をより効率的に使用
することができる。ネットを重ね合わせる場合、濾過材
全体の内側外側どちらの面に重ねてもよく、両面に重ね
合わせてもよい。
【0030】次に、組み合わせた濾過材を筒状プリーツ
フィルターカートリッジの形状にする方法について説明
する。
【0031】まず、前記フッ素樹脂微多孔膜、多成分極
細繊維不織布、長繊維不織布の三者を組み合わせた濾過
材のひだ折り加工を行い、その折り形状を固定するため
に折り畳んだ状態で熱処理を行う。その熱処理の温度
は、濾過材に混合されているいくつかの樹脂のうち最も
ガラス転移点の低い樹脂のガラス転移点から融点の間に
設定すればよい。本発明では濾過材が融点の異なる複数
の成分からなるために、ひだ折り加工後の熱処理を比較
的低温で行うことができるため、従来の方法のように濾
過材が熱劣化して強度低下やピンホールが生じることが
ないのである。
【0032】次に、得られたひだ折りされた濾過材の両
端を接着して筒状に成形する。この際、通常は筒状フィ
ルターカートリッジの外側から内側に向かって濾過が行
われるため、濾過材の上流側が筒の外側となるように成
形するが、反対方向(内側から外側)の濾過を目的とし
たフィルターカートリッジを製造する場合は逆にすれば
よい。成形を行う際、従来の単一成分の濾過材、とりわ
けフッ素樹脂製の濾過材では接着が困難であるが、本発
明の濾過材は成分間の最大融点差が15℃以上有する2
成分以上の熱可塑性樹脂からなるため、ヒートシール
法、超音波接着法などの熱融着法を使用すれば容易に端
部の接着を行うことができるのである。また、特に接着
力を上げる場合には、濾過材両端接着面の間に、多成分
極細繊維不織布の最も低い低融点樹脂として使用した樹
脂と同じ樹脂のフィルムを挟んでもよい。
【0033】次に、筒状にした濾過材の中央部に多孔性
筒状のコアを配置するかまたは濾過材の外側に多孔性筒
状の外筒を配置し、その両端部にキャップを接着するこ
とによって本発明の筒状フィルターカートリッジを得
る。コアを使用するか外筒を使用するかは、圧力のかか
る方向によって決まり、外側から内側へ向かって濾過を
行う通常のタイプのフィルターカートリッジとする場合
はコアを用い、反対方向の濾過を行うタイプの場合は外
筒を用いればよい。また、逆洗浄を可能にするためにコ
アと外筒の両者を併用してもよい。このときに使用する
コア(または外筒)、およびキャップの素材としては、
フッ素樹脂を始めとする先述した極細繊維不織布に使用
できる樹脂の内、任意のものを用いることができる。特
に、濾過材との接着性をよくするために、濾過材と相溶
性のよい樹脂を使用することが好ましい。キャップを接
着する方法としては、濾過材をその低融点樹脂の融点以
上の温度に加熱して低融点樹脂を溶かして接着してもよ
いし、キャップに多成分極細繊維不織布の樹脂の内、最
も低融点の樹脂を溶かして流し込んで接着させてもよ
い。また、キャップの接着面を加熱溶融させることによ
り接着させても良い。
【0034】
【実施例】以下実施例、比較例により、本発明を更に詳
細に説明する。なお、各例において濾過材の物性や濾過
性能等の評価は以下に記載する方法で行った。
【0035】(不織布の繊維径)不織布から無作為に5
カ所サンプリングしてそれらを走査型電子顕微鏡で撮影
し、1カ所につき20本の繊維を無作為に選んでそれら
の繊維径を測定し、その平均値をその不織布の繊維径と
した。
【0036】(樹脂の融点)示差熱分析機(DSC)を
使用し、昇温速度10℃/分で測定した樹脂の溶融曲線
に現れるピークの頂点温度をその樹脂の融点とした。ま
た、明確なピークが現れないものについては、樹脂の小
片を光学顕微鏡で観察しながら昇温速度10℃/分で加
熱し、小片の形状が完全に失われた温度をその樹脂の融
点とした。
【0037】(初期捕集効率、初期圧力損失、0.2M
Pa時捕集効率、濾過ライフ)循環式濾過性能試験機の
ハウジングにフィルター1つを取り付け、ポンプで流量
を毎分10リットルに調節して通水循環する。このとき
のフィルター前後の圧力損失を初期圧力損失とした。次
に循環している水にエアクリーナー用ファイン・テスト
ダスト(ACFTDと略す。中位径:6.6〜8.6μ
m)とエアクリーナー用コース・テストダスト(ACC
TDと略す。中位径:27〜31μm)を重量比1:1
で混合したケーキを毎分4g/分で連続添加し、添加開
始から5分後に原液と濾液を採取し、それぞれの液に含
まれる直径0.5ミクロンの粒子の数を光散乱式粒子検
出器を用いて計測して初期捕集効率を算出した。続けて
ケーキを添加し、フィルターの圧力損失が0.2MPa
に達した時点で原液と濾液を採取し、それぞれの液に含
まれる直径0.5ミクロンの粒子の数を光散乱式粒子検
出器を用いて計測して0.2MPa時捕集効率を算出し
た。また、0.2MPaに達するまでの時間を濾過ライ
フとした。
【0038】(耐薬品性)前記の循環式濾過性能試験機
のハウジングにフィルター1つを取り付け、濾液として
灯油を使用して温度20℃、通液量毎分10リットルの
条件で10分間通液循環する。その後のフィルターを取
り出して乾燥重量を測定し、使用前の重量との差が0.
1%未満のものを○、0.1%以上5%未満のものを
△、5%以上のものを×として判定した。また、濾液と
してトルエンを使用して同様の試験を行った。
【0039】(実施例1)フッ素樹脂微多孔膜として、
厚さ100μmで孔径0.45μmのポリテトラフルオ
ロエチレン(以下、PTFEと略記する)微多孔膜を使
用した。また、孔径が0.3mmで、高融点樹脂の紡糸
孔と低融点樹脂の紡糸孔とが1mm間隔で交互に一列に
並んだメルトブロー用紡糸口金を用い、第1成分である
メルトフローレート(MFR、温度230℃)が80g
/10分で融点が165℃のポリプロピレンと、第2成
分であるMFRが65g/10分で融点が138℃のプ
ロピレン(91.7重量%)・エチレン(3.8重量
%)・ブテン−1(4.5重量%)ランダムコポリマー
とを、それぞれ単孔吐出量0.25g/分で吐出させ、
300℃の加熱空気でブローイングして、繊維径が2μ
mで目付量50g/m2の2成分極細繊維不織布を得
た。この2成分極細繊維不織布は、紡糸時の加熱空気で
構成繊維の各接合点が熱接着されたものであった。一
方、孔径0.35mmのスパンボンド用紡糸口金を用
い、MFRが35g/10分で融点が165℃のポリプ
ロピレンを用い、単孔吐出量を0.8g/分で吐出さ
せ、この吐出した長繊維群をエアーサッカーに導入して
牽引延伸し、さらにエアーサッカーより排出された長繊
維群を無端サクションコンベア上に捕集し、それを加熱
された凸凹ロールと平滑ロールとで構成されたポイント
ボンド加工機の加圧されたロール間に導入することによ
り、目付30g/m2、繊度4d/f(デニール/繊
維)の長繊維不織布を得た。そして、長繊維不織布、2
成分極細繊維不織布、フッ素樹脂微多孔膜の順に3枚を
重ねて折り幅13mmにひだ折り加工し、折り目を固定
するために90℃で加熱した。折り山数140山の所で
切断してその両端をヒートシール機により接着して筒状
にし、円筒形状の中央部にポリプロピレン製の多孔性筒
状のコアを配置し、その端部にポリプロピレン製のキャ
ップを熱板溶着法により接着して内径30mm、外径6
6mm、長さ250mmの筒状プリーツフィルターカー
トリッジを得た。その性能を表2に示す。
【0040】(比較例1)極細繊維不織布の素材として
MFR(230℃)が80g/10分で融点が165℃
のポリプロピレンを使用することによって、極細繊維不
織布を単一組成にした他は、全て実施例1と同じ方法で
筒状プリーツフィルターカートリッジを得た。その性能
を表2に示す。比較例1のフィルターは、初期性能は実
施例1のフィルターと同程度であるが、使用に伴っての
捕集効率の低下が著しく、従って実施例1のフィルター
よりも劣るものであった。また、濾液に灯油を使用した
場合、繊維交点が熱接着されていない極細繊維不織布を
使用しているので、灯油によって強度の低下した繊維が
脱落しやすく、フィルター重量の低減が実施例1に比較
して大きかった。
【0041】(実施例2)フッ素樹脂微多孔膜、極細繊
維不織布、長繊維不織布は実施例1と同じ物を使用し
た。そして、長繊維不織布、2成分極細繊維不織布、長
繊維不織布、フッ素樹脂微多孔膜、長繊維不織布の順に
5枚を重ねて折り幅13mmにひだ折り加工し、折り目
を固定するために90℃で加熱したものを濾過材として
用いた他は、全て実施例1と同じ方法で内径30mm、
外径66mm、長さ250mmの筒状プリーツフィルタ
ーカートリッジを得た。その性能を表2に示す。実施例
2のフィルターは実施例1のフィルターに比較して、初
期圧力損失が低く、通液性に優れたものであった。
【0042】(比較例2)極細繊維不織布の素材として
MFR(230℃)が80g/10分で融点が165℃
のポリプロピレンを使用することによって、極細繊維不
織布を単一組成にした他は、全て実施例2と同じ方法で
筒状プリーツフィルターカートリッジを得た。その性能
を表2に示す。比較例2のフィルターは、初期性能は実
施例2のフィルターと同程度であるが、使用に伴っての
捕集効率の低下が著しく、従って実施例2のフィルター
よりも劣るものであった。また、濾液に灯油を使用した
場合、繊維交点が熱接着されていない極細繊維不織布を
使用しているので、灯油によって強度の低下した繊維が
脱落しやすく、フィルター重量の低減が実施例2に比較
して大きかった。
【0043】(実施例3)孔径が0.4μmの、第1成
分と第2成分とが交互に吐出する孔数比50/50の混
繊型の紡糸口金を用い、第1成分であるMFR (温度
230℃)が60g/10分で融点が164℃のポリプ
ロピレンと、第2成分であるMFR(190℃)が22
g/10分で融点が133℃の高密度ポリエチレンとを
使用し、単孔吐出量を0.8g/分で吐出させ、この吐
出した長繊維群をエアーサッカーに導入して牽引延伸
し、さらにエアーサッカーより排出された長繊維群を無
端サクションコンベア上に捕集し、それを加熱された凸
凹ロールと平滑ロールとで構成されたポイントボンド加
工機の加圧されたロール間に導入することにより、目付
30g/m2、繊度4d/fの長繊維不織布を得た。こ
の長繊維不織布は繊維接合点が熱接着されたものであっ
た。筒状フィルターカートリッジの濾過材の長繊維不織
布としてこの長繊維不織布を用いた他は、全て実施例2
と同様の方法で筒状プリーツフィルターカートリッジを
得た。その性能を表2に示す。実施例3のフィルター
は、実施例2のフィルターに比較して、初期性能は同程
度であるが、使用に伴う捕集効率の低下が実施例2に比
較して小さく、実施例2より優れたものであった。
【0044】(実施例4)フッ素樹脂微多孔膜、極細繊
維不織布、長繊維不織布として、実施例3と同じものを
使用した。始めに、長繊維不織布/極細繊維不織布/長
繊維不織布の順に3枚を重ねて、温度140℃のスルー
エアー機で繊維交点及び不織布同士を加熱接着して積層
貼り合わせ不織布を作った。そして、この積層貼り合わ
せ不織布に、さらにフッ素樹脂微多孔膜、長繊維不織布
の順に3枚を重ねて折り幅13mmにひだ折り加工し、
折り目を固定するために90℃で加熱した。その後は実
施例2と同様の方法で、筒状プリーツフィルターカート
リッジを得た。その性能を表2に示す。実施例4のフィ
ルターは、実験誤差範囲内で、使用に伴う捕集効率の低
下がほとんど見られなかった。
【0045】(比較例3)極細繊維不織布、長繊維不織
布として、比較例2と同じものを使用した他は、すべて
実施例4と同じ方法で、筒状プリーツフィルターカート
リッジを得た。その性能を表2に示す。比較例3の濾過
材はスルーエアー機で繊維交点が熱接着されなかったた
め、その捕集効率は比較例2のフィルターとほとんど変
わらず、初期圧力損失や濾過ライフはかえって劣るもの
となった。従って、実施例4のフィルターよりも性能が
劣るものであった。
【0046】(実施例5)ネットとして目合い(繊維間
隔)1mm、繊度300d/fのポリプロピレン製ネッ
トを使用した。そしてフッ素樹脂微多孔膜、極細繊維不
織布、長繊維不織布は実施例2と同じものを使用し、ネ
ット、長繊維不織布、極細繊維不織布、長繊維不織布、
PTFE微多孔膜、長繊維不織布、ネットの順に7枚を
重ねて折り幅13mmにひだ折り加工し、折り山数を1
20山にした他は、すべて実施例2と同じ方法で筒状プ
リーツフィルターカートリッジを得た。その性能を表2
に示す。実施例5のフィルターは実施例2のフィルター
よりも初期圧力損失が低く、通液性に優れたものであっ
た。
【0047】(実施例6)多成分極細繊維不織布の第1
成分としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹
脂を使用し、第2成分としてテトラフルオロエチレン−
パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PF
A)を使用し、また、長繊維不織布の素材としてポリテ
トラフルオロエチレン樹脂を使用し、紡糸温度を400
℃、加熱空気の温度を450℃にした他は、実施例2と
同じ製法で同じ目付、及び同じ繊維径で繊維接合点が熱
接着されたフッ素樹脂製極細繊維不織布と長繊維不織布
を得た。そして、長繊維不織布、2成分極細繊維不織
布、長繊維不織布、実施例2と同じPTFE微多孔膜、
長繊維不織布の順に5枚を重ねて折り幅13mmにひだ
折り加工し、折り目を固定するために200℃で加熱し
た。折り山数140山の所で切断してその両端をヒート
シール機により接着して筒状にし、円筒形状の中央部に
PFA製の多孔性筒状のコアを配置し、その端部にPF
A製のキャップを熱板溶着法により接着して筒状プリー
ツフィルターカートリッジを得た。その性能を表2に示
す。実施例6のフィルターの濾過性能は、実施例2のフ
ィルターとほとんど同じでありながら、耐薬品性がはる
かに優れたものであった。
【0048】(比較例4)極細繊維不織布としてポリテ
トラフルオロエチレン樹脂のみで作られたものを使用し
た他は、すべて実施例6と同じ濾過材及び方法で筒状プ
リーツフィルターカートリッジを得た。その性能を表2
に示す。比較例4のフィルターは、初期の濾過性能は実
施例6と同程度であったが、0.2MPa時捕集効率が
非常に低く、総合的には実施例6のフィルターよりもか
なり劣るものであった。
【0049】以上をまとめると、実施例のフィルターは
いずれも使用している極細繊維不織布の繊維交点が接着
しているため、初期圧力損失の増加や濾過ライフの減少
を伴うことなく、捕集効率の変化が非常に少ないもので
あった。それに比較して、比較例のフィルターはいずれ
も繊維交点が接着していないために、捕集効率の低下が
著しいものであった。また、フィルターに灯油を通液さ
せた場合、実施例のフィルターはいずれも使用している
極細繊維不織布の繊維交点が接着しているために、灯油
による構成繊維の脱落がなく、重量の減少が少なかっ
た。それに対して、比較例1〜3のフィルターは繊維交
点が接着していないために、構成繊維が灯油により比較
的容易に脱落するため、通液後のフィルター重量の減少
が見られた。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、濾
過材としてフッ素樹脂微多孔膜、2成分以上の熱可塑性
樹脂からなり成分間の最大融点差が15℃以上有する構
成繊維が互いに熱接着されている平均繊維径10μm以
下の極細繊維不織布、及び、長繊維不織布との少なくと
も三者を組み合わせて使用することにより、捕集効率の
低下をなくすることができた。さらに濾過材をフッ素樹
脂とすることにより、耐薬品性に非常に優れ、かつ従来
のフッ素樹脂製フィルターと比べて捕集効率の低下がほ
とんど見られないものとすることができた。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フッ素樹脂微多孔膜、2成分以上の熱可塑
    性樹脂からなりその成分間の最大融点差15℃以上有す
    る構成繊維が互いに熱接着されている平均繊維径10μ
    m以下の多成分極細繊維不織布、および長繊維不織布と
    の少なくとも三者を重ねてプリーツ状に折り曲げて筒状
    にした濾過材を有することを特徴とする筒状フィルター
    カートリッジ。
  2. 【請求項2】長繊維不織布が、融点差が15℃以上有す
    る2成分の熱可塑性樹脂からなり構成繊維が互いに熱接
    着されている長繊維不織布である請求項1に記載の筒状
    フィルターカートリッジ。
  3. 【請求項3】多成分極細繊維不織布と長繊維不織布が熱
    接着された請求項1または2に記載の筒状フィルターカ
    ートリッジ
  4. 【請求項4】濾過材が、フッ素樹脂微多孔膜、多成分極
    細繊維不織布、長繊維不織布に加えてネットを重ねてプ
    リーツ状に折り曲げて作られている請求項1〜3のいず
    れかに記載の筒状フィルターカートリッジ。
  5. 【請求項5】濾過材を構成する材料が全てフッ素樹脂か
    らなる請求項1〜4のいずれかに記載の筒状フィルター
    カートリッジ。
  6. 【請求項6】フッ素樹脂が、ポリテトラフルオロエチレ
    ン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−
    パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、エチレ
    ン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリトリフルオ
    ロクロロエチレン、エチレン−トリフルオロクロロエチ
    レン共重合体、ポリフッ化ビニル、テトラフルオロエチ
    レン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキ
    ルビニルエーテル共重合体の群から選ばれた少なくとも
    1種である請求項1〜5のいずれかに記載の筒状フィル
    ターカートリッジ。
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