JPH11112048A - 圧電体素子、インクジェット式記録ヘッドおよびそれらの製造方法 - Google Patents
圧電体素子、インクジェット式記録ヘッドおよびそれらの製造方法Info
- Publication number
- JPH11112048A JPH11112048A JP27024597A JP27024597A JPH11112048A JP H11112048 A JPH11112048 A JP H11112048A JP 27024597 A JP27024597 A JP 27024597A JP 27024597 A JP27024597 A JP 27024597A JP H11112048 A JPH11112048 A JP H11112048A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- density
- piezoelectric
- piezoelectric layer
- layer
- piezoelectric element
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Classifications
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B41—PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
- B41J—TYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
- B41J2/00—Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
- B41J2/005—Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
- B41J2/01—Ink jet
- B41J2/135—Nozzles
- B41J2/14—Structure thereof only for on-demand ink jet heads
- B41J2/14201—Structure of print heads with piezoelectric elements
- B41J2/14233—Structure of print heads with piezoelectric elements of film type, deformed by bending and disposed on a diaphragm
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B41—PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
- B41J—TYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
- B41J2/00—Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
- B41J2/005—Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
- B41J2/01—Ink jet
- B41J2/135—Nozzles
- B41J2/14—Structure thereof only for on-demand ink jet heads
- B41J2/14201—Structure of print heads with piezoelectric elements
- B41J2/14233—Structure of print heads with piezoelectric elements of film type, deformed by bending and disposed on a diaphragm
- B41J2002/14258—Multi layer thin film type piezoelectric element
Landscapes
- Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 圧電体素子製造時においてクラック発生を防
止しうる圧電体素子、インクジェット式記録ヘッドおよ
びそれらの製造方法を提供する。 【解決手段】 上部電極403および下部電極302の
間に圧電性材料で形成された圧電体層401,402を
挟んで構成される圧電体素子において、圧電体層は、所
定の密度を有する1以上の高密度圧電体層402と、高
密度圧電体層402より密度を低くした1以上の低密度
圧電体層401と、を備えた。低密度圧電体層401
が、高密度圧電体層402の製造時に発生する残留応力
を緩和し、圧電体素子におけるクラック発生を防止す
る。
止しうる圧電体素子、インクジェット式記録ヘッドおよ
びそれらの製造方法を提供する。 【解決手段】 上部電極403および下部電極302の
間に圧電性材料で形成された圧電体層401,402を
挟んで構成される圧電体素子において、圧電体層は、所
定の密度を有する1以上の高密度圧電体層402と、高
密度圧電体層402より密度を低くした1以上の低密度
圧電体層401と、を備えた。低密度圧電体層401
が、高密度圧電体層402の製造時に発生する残留応力
を緩和し、圧電体素子におけるクラック発生を防止す
る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット式
記録ヘッドに用いる圧電体素子に係り、特に、圧電体層
中に発生する応力を緩和する密度の疎な層を形成するこ
とにより、圧電体素子の応力破壊を防止する技術に関す
る。
記録ヘッドに用いる圧電体素子に係り、特に、圧電体層
中に発生する応力を緩和する密度の疎な層を形成するこ
とにより、圧電体素子の応力破壊を防止する技術に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来の圧電体素子は、単一組成の圧電性
材料により圧電体層を形成し、金属電極膜で圧電体層を
挟持した構造を備えていた。ジルコン酸チタン酸鉛(P
ZT)等の圧電性セラミックスを圧電性材料として用い
ると、ペロブスカイト結晶構造が発達し、その結晶構造
に異方性が生じる。この異方構造により電気的エネルギ
ーと機械的エネルギーが結合される。つまり、この圧電
体素子に圧力を加えると両金属電極膜間に電界が発生す
る。これとは反対に、両電極膜間に電界を印加すると、
個々の結晶構造それぞれが変形し、それが加算されて強
い応力が発生する。この応力が圧電体素子に体積変化を
もたらす。
材料により圧電体層を形成し、金属電極膜で圧電体層を
挟持した構造を備えていた。ジルコン酸チタン酸鉛(P
ZT)等の圧電性セラミックスを圧電性材料として用い
ると、ペロブスカイト結晶構造が発達し、その結晶構造
に異方性が生じる。この異方構造により電気的エネルギ
ーと機械的エネルギーが結合される。つまり、この圧電
体素子に圧力を加えると両金属電極膜間に電界が発生す
る。これとは反対に、両電極膜間に電界を印加すると、
個々の結晶構造それぞれが変形し、それが加算されて強
い応力が発生する。この応力が圧電体素子に体積変化を
もたらす。
【0003】このような従来の圧電体素子の製造方法
は、例えば、Communications of theAmerican Ceramic
Society, vol. 79, no. 8, 2189-92 (1996)に記載され
ている。この製造方法は、圧電性物質をゾル化したもの
を、粘性制御とゾルの集約化のためにエチレングリコー
ルと混ぜて、スピンコーティング法で塗布し、圧電体層
を形成するものである。
は、例えば、Communications of theAmerican Ceramic
Society, vol. 79, no. 8, 2189-92 (1996)に記載され
ている。この製造方法は、圧電性物質をゾル化したもの
を、粘性制御とゾルの集約化のためにエチレングリコー
ルと混ぜて、スピンコーティング法で塗布し、圧電体層
を形成するものである。
【0004】インクジェット式記録ヘッドは、インクを
溜めるための圧力室基板の一面を形成する振動板上に、
この圧電体素子を設けて構成される。圧電体素子の体積
が変化すると、圧力室に設けられた振動板を変形し、圧
力室のインクに圧力が加えられてインクが吐出される。
溜めるための圧力室基板の一面を形成する振動板上に、
この圧電体素子を設けて構成される。圧電体素子の体積
が変化すると、圧力室に設けられた振動板を変形し、圧
力室のインクに圧力が加えられてインクが吐出される。
【0005】近年の記録ヘッドには高精細度印字がます
ます求められるようになったため、それに連れて個々の
圧力室の容積がより小さくなってきている。小さな容積
の圧力室で適量のインクを吐出させるためには、圧電体
素子に、より大きな体積変化を生じさせる必要がある。
この体積変化は個々の結晶構造における微少なひずみの
集積として現れるため、圧電体層の厚みを厚くすればす
る程、より大きな体積変化が得られると考えられる。ま
た、圧電体層の厚みを厚くすることにより、層内に強い
電場が生じることによる圧電特性の低下を防止する。な
お、圧電性層の厚みを増加させれば特性が向上する旨は
前記先行技術文献にも記載されてある。
ます求められるようになったため、それに連れて個々の
圧力室の容積がより小さくなってきている。小さな容積
の圧力室で適量のインクを吐出させるためには、圧電体
素子に、より大きな体積変化を生じさせる必要がある。
この体積変化は個々の結晶構造における微少なひずみの
集積として現れるため、圧電体層の厚みを厚くすればす
る程、より大きな体積変化が得られると考えられる。ま
た、圧電体層の厚みを厚くすることにより、層内に強い
電場が生じることによる圧電特性の低下を防止する。な
お、圧電性層の厚みを増加させれば特性が向上する旨は
前記先行技術文献にも記載されてある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、圧電体
素子の製造時には大きな残留応力(residual stress)
が発生し、これがクラックを発生させるという問題があ
った。
素子の製造時には大きな残留応力(residual stress)
が発生し、これがクラックを発生させるという問題があ
った。
【0007】すなわち、圧電体素子の圧電体層を形成す
る際、アモルファス状態であった分子構造が緻密な結晶
構造となる。このとき応力、主として張力が発生する。
また、圧電体層を熱処理する際にも、熱応力が生ずる。
さらに圧電体層の基礎となる下部電極とシリコン基板に
も複雑な熱応力が生じる。圧電体層内部には、これら応
力が作用しあって、複雑な内部応力が生ずる。内部応力
は圧電体素子の厚みが厚くなるに連れて大きくなるた
め、従来の圧電体素子の構造では、あまり圧電体素子の
厚みを厚くすると、内部応力により、内部破壊、すなわ
ちクラックを生じた。クラック発生を避けるためには、
ある程度以上厚みの厚い圧電体素子を製造することがで
きず、インクジェット式記録ヘッドの高精細度化に技術
的な制約が生じていた。
る際、アモルファス状態であった分子構造が緻密な結晶
構造となる。このとき応力、主として張力が発生する。
また、圧電体層を熱処理する際にも、熱応力が生ずる。
さらに圧電体層の基礎となる下部電極とシリコン基板に
も複雑な熱応力が生じる。圧電体層内部には、これら応
力が作用しあって、複雑な内部応力が生ずる。内部応力
は圧電体素子の厚みが厚くなるに連れて大きくなるた
め、従来の圧電体素子の構造では、あまり圧電体素子の
厚みを厚くすると、内部応力により、内部破壊、すなわ
ちクラックを生じた。クラック発生を避けるためには、
ある程度以上厚みの厚い圧電体素子を製造することがで
きず、インクジェット式記録ヘッドの高精細度化に技術
的な制約が生じていた。
【0008】そこで、上記問題に鑑み、本発明の第1の
課題は、圧電体層に生ずる応力を緩和して、厚みを厚く
してもクラック等の応力破壊を生ずることのない圧電体
素子を提供することにより、圧電体素子の厚膜化を可能
とし、大きな体積変化を生ずる圧電体素子を提供するこ
とである。
課題は、圧電体層に生ずる応力を緩和して、厚みを厚く
してもクラック等の応力破壊を生ずることのない圧電体
素子を提供することにより、圧電体素子の厚膜化を可能
とし、大きな体積変化を生ずる圧電体素子を提供するこ
とである。
【0009】本発明の第2の課題は、圧電体層に応力破
壊を生じない構造における諸条件を提供することによ
り、より大きな体積変化を生ずる圧電体素子を提供する
ことである。
壊を生じない構造における諸条件を提供することによ
り、より大きな体積変化を生ずる圧電体素子を提供する
ことである。
【0010】本発明の第3の課題は、厚みを厚くしても
応力破壊を生ずることのない圧電体素子を用いることに
より、良好な圧電特性を維持する圧電体素子を使用して
高精細度印字が可能なインクジェット式記録ヘッドを提
供することである。
応力破壊を生ずることのない圧電体素子を用いることに
より、良好な圧電特性を維持する圧電体素子を使用して
高精細度印字が可能なインクジェット式記録ヘッドを提
供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】第1の課題を解決する発
明は、第1の課題を解決するものであり、上部電極およ
び下部電極の間に圧電性材料で形成された圧電体層を挟
んで構成される圧電体素子において、圧電体層は、 (a) 所定の密度を有する1以上の高密度圧電体層
と、 (b) 高密度圧電体層より密度を低くした1以上の低
密度圧電体層と、を備える。
明は、第1の課題を解決するものであり、上部電極およ
び下部電極の間に圧電性材料で形成された圧電体層を挟
んで構成される圧電体素子において、圧電体層は、 (a) 所定の密度を有する1以上の高密度圧電体層
と、 (b) 高密度圧電体層より密度を低くした1以上の低
密度圧電体層と、を備える。
【0012】圧電性材料とは、電気的エネルギーと機械
的エネルギーを結合し、相互のエネルギー変換を行いう
る圧電特性を備えた物質をいい、ジルコン酸チタン酸鉛
(PZT)等の圧電性セラミックスをいう。高密度圧電
体層とは、圧電性セラミックスを用いて普通に製造され
る密度の層をいう。これに対し、低密度圧電体層とは、
多孔性である等、圧電性物質の密度が相対的に低い層を
いう。
的エネルギーを結合し、相互のエネルギー変換を行いう
る圧電特性を備えた物質をいい、ジルコン酸チタン酸鉛
(PZT)等の圧電性セラミックスをいう。高密度圧電
体層とは、圧電性セラミックスを用いて普通に製造され
る密度の層をいう。これに対し、低密度圧電体層とは、
多孔性である等、圧電性物質の密度が相対的に低い層を
いう。
【0013】高密度圧電体層および低密度圧電体層は、
それぞれ一層づつ積層しても、複数層積層してもよい。
製造時に積層する順番はいずれが先であってもよい。
それぞれ一層づつ積層しても、複数層積層してもよい。
製造時に積層する順番はいずれが先であってもよい。
【0014】第2の課題を解決する発明によれば、低密
度圧電体層は、密度がバルクの90%よりも小さく、高
密度圧電体層は、密度がバルクの90%〜100%とな
るように構成されている。
度圧電体層は、密度がバルクの90%よりも小さく、高
密度圧電体層は、密度がバルクの90%〜100%とな
るように構成されている。
【0015】第2の課題を解決する発明によれば、圧電
体層が、PZTを主成分とする材料からなり、低密度圧
電体層の密度が7.0g/cm3よりも小さく、高密度
圧電体層の密度が、7.0g/cm3〜7.8g/cm
3となるように構成されている。
体層が、PZTを主成分とする材料からなり、低密度圧
電体層の密度が7.0g/cm3よりも小さく、高密度
圧電体層の密度が、7.0g/cm3〜7.8g/cm
3となるように構成されている。
【0016】第2の課題を解決する発明によれば、低密
度圧電体層は,多孔性の圧電体物質により構成されてい
る。
度圧電体層は,多孔性の圧電体物質により構成されてい
る。
【0017】第2の課題を解決する発明によれば、多孔
性の圧電性物質は、各孔が熱処理の際に高分子物質が蒸
発することにより形成されている。
性の圧電性物質は、各孔が熱処理の際に高分子物質が蒸
発することにより形成されている。
【0018】第2の課題を解決する発明によれば、高分
子物質は、ポリエチレングリコールにより組成されてい
る。
子物質は、ポリエチレングリコールにより組成されてい
る。
【0019】第2の課題を解決する発明によれば、多孔
性の圧電性物質は、その多孔度が15%以上となるよう
に形成されている。
性の圧電性物質は、その多孔度が15%以上となるよう
に形成されている。
【0020】第2の課題を解決する発明によれば、低密
度圧電体層は、400nm以上かつ1000nm以下の
厚みである。
度圧電体層は、400nm以上かつ1000nm以下の
厚みである。
【0021】第3の課題を解決する発明によれば、本発
明の圧電体素子を、インクを充填するための圧力室の少
なくとも一方の面を形成する振動板上に配置して構成さ
れた圧力室基板を備えるインクジェット式記録ヘッドで
ある。
明の圧電体素子を、インクを充填するための圧力室の少
なくとも一方の面を形成する振動板上に配置して構成さ
れた圧力室基板を備えるインクジェット式記録ヘッドで
ある。
【0022】第1の課題を解決する発明によれば、 (a) 導電性材料よりなる下部電極を形成する下部電
極形成工程と、 (b) 下部電極の上に第1の密度を有する第1密度圧
電体層を形成する第1密度圧電体層形成工程と、 (c) 第1密度圧電体層の上に第2の密度を有する第
2密度圧電体層を形成する第2密度圧電体層形成工程
と、 (d) 第2密度圧電体層の上に導電性材料よりなる上
部電極を形成する上部電極形成工程と、を備える。
極形成工程と、 (b) 下部電極の上に第1の密度を有する第1密度圧
電体層を形成する第1密度圧電体層形成工程と、 (c) 第1密度圧電体層の上に第2の密度を有する第
2密度圧電体層を形成する第2密度圧電体層形成工程
と、 (d) 第2密度圧電体層の上に導電性材料よりなる上
部電極を形成する上部電極形成工程と、を備える。
【0023】そして、第1の密度と第2の密度とは異な
るように製造する。
るように製造する。
【0024】第2の課題を解決する発明によれば、第1
密度圧電体層形成工程および第2密度圧電体層形成工程
は、圧電体物質に、高分子物質の添加量を変えて添加す
ることにより、第1密度圧電体層および第2密度圧電体
層を形成するものである。
密度圧電体層形成工程および第2密度圧電体層形成工程
は、圧電体物質に、高分子物質の添加量を変えて添加す
ることにより、第1密度圧電体層および第2密度圧電体
層を形成するものである。
【0025】第2の課題を解決する発明によれば、高密
度圧電体層または低密度圧電体層のうちいずれか一方の
圧電体層には、圧電体層に含まれる圧電体成分の原料1
molに対し高分子物質を45mol%以下添加し、他
方の圧電体層には、圧電体層に含まれる圧電体成分の材
料1molに対し高分子物質を55mol%以上添加す
る。
度圧電体層または低密度圧電体層のうちいずれか一方の
圧電体層には、圧電体層に含まれる圧電体成分の原料1
molに対し高分子物質を45mol%以下添加し、他
方の圧電体層には、圧電体層に含まれる圧電体成分の材
料1molに対し高分子物質を55mol%以上添加す
る。
【0026】第2の課題を解決する発明によれば、高分
子物質は、ポリエチレングリコールである。
子物質は、ポリエチレングリコールである。
【0027】第3の課題を解決する発明によれば、本発
明の圧電体素子を使用したインクジェット式記録ヘッド
の製造方法であって、 (a) シリコン基板に振動板膜を形成する振動板膜形
成工程と、 (b) 圧電体素子を当該振動板膜上に形成後、圧電体
素子を所定の形状に成形する成形工程と、 (c) 所定の形状に成形された圧電体素子に対応する
領域のシリコンをエッチングすることにより、インクを
充填するための圧力室をシリコン基板に形成する圧力室
形成工程と、を備える。
明の圧電体素子を使用したインクジェット式記録ヘッド
の製造方法であって、 (a) シリコン基板に振動板膜を形成する振動板膜形
成工程と、 (b) 圧電体素子を当該振動板膜上に形成後、圧電体
素子を所定の形状に成形する成形工程と、 (c) 所定の形状に成形された圧電体素子に対応する
領域のシリコンをエッチングすることにより、インクを
充填するための圧力室をシリコン基板に形成する圧力室
形成工程と、を備える。
【0028】
【発明の実施の形態】次に、本発明の最良の実施形態
を、図面を参照して説明する。本実施形態は、本発明の
圧電体素子をインクジェット式記録ヘッドに適用したも
のである。
を、図面を参照して説明する。本実施形態は、本発明の
圧電体素子をインクジェット式記録ヘッドに適用したも
のである。
【0029】(インクジェットプリンタの構成)図1
に、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドが用いら
れるインクジェットプリンタの斜視図を示す。同図に示
すように、本インクジェットプリンタ100は、本体2
に、本発明に係るインクジェット式記録ヘッド1、トレ
イ3および排出口4等を備えて構成されている。トレイ
3は、用紙5を載置可能に構成される。インクジェット
式記録ヘッド1は、図示しない内部移送機構により、用
紙5の幅方向に移送自在に構成されている。
に、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドが用いら
れるインクジェットプリンタの斜視図を示す。同図に示
すように、本インクジェットプリンタ100は、本体2
に、本発明に係るインクジェット式記録ヘッド1、トレ
イ3および排出口4等を備えて構成されている。トレイ
3は、用紙5を載置可能に構成される。インクジェット
式記録ヘッド1は、図示しない内部移送機構により、用
紙5の幅方向に移送自在に構成されている。
【0030】この構成において、コンピュータから印字
用データがこのインクジェットプリンタ100に供給さ
れると、図示しない内部ローラが用紙5を本体2に取り
入れる。用紙5は、ローラの近傍を通過するとき、同図
矢印方向に駆動されるインクジェットプリンタヘッド1
により印字され、排出口4から排出される。
用データがこのインクジェットプリンタ100に供給さ
れると、図示しない内部ローラが用紙5を本体2に取り
入れる。用紙5は、ローラの近傍を通過するとき、同図
矢印方向に駆動されるインクジェットプリンタヘッド1
により印字され、排出口4から排出される。
【0031】図2に、本実施形態のインクジェット式記
録ヘッドの構造を説明する斜視図を示す。同図に示すよ
うに、インクジェット式記録ヘッド1は、ノズル11の
設けられたノズル板10、および振動板30の設けられ
た圧力室基板20を、筐体50に嵌め込んで構成され
る。圧力室基板20は、本発明に係る製造方法により、
キャビティ(圧力室)21、側壁22およびリザーバ2
3等が形成されている。
録ヘッドの構造を説明する斜視図を示す。同図に示すよ
うに、インクジェット式記録ヘッド1は、ノズル11の
設けられたノズル板10、および振動板30の設けられ
た圧力室基板20を、筐体50に嵌め込んで構成され
る。圧力室基板20は、本発明に係る製造方法により、
キャビティ(圧力室)21、側壁22およびリザーバ2
3等が形成されている。
【0032】なお、本実施形態では、インクを溜めるリ
ザーバが流路基板に設けられているが、ノズル板を多層
構造にし、その内部にリザーバを設けるものでもよい。
ザーバが流路基板に設けられているが、ノズル板を多層
構造にし、その内部にリザーバを設けるものでもよい。
【0033】(インクジェット式記録ヘッドの構成)図
3に、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドの一部
拡大斜視図を示す。一部は断面図になっている。この図
は、図2に示すインクジェット式記録ヘッドの構造のう
ち、圧力室基板20および振動板30の部分を反対側か
ら拡大して見た図に相当する。同図に示すように、本イ
ンクジェット式記録ヘッド1は、ノズル板10、圧力室
基板20、振動板30および圧電体素子40を備えて構
成されている。
3に、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドの一部
拡大斜視図を示す。一部は断面図になっている。この図
は、図2に示すインクジェット式記録ヘッドの構造のう
ち、圧力室基板20および振動板30の部分を反対側か
ら拡大して見た図に相当する。同図に示すように、本イ
ンクジェット式記録ヘッド1は、ノズル板10、圧力室
基板20、振動板30および圧電体素子40を備えて構
成されている。
【0034】ノズル板10は、圧力室基板20に複数設
けられたキャビティ(圧力室)21の各々に対応する位
置にそのノズル11が配置されるよう、圧力室基板20
に貼り合わせられて構成されている。
けられたキャビティ(圧力室)21の各々に対応する位
置にそのノズル11が配置されるよう、圧力室基板20
に貼り合わせられて構成されている。
【0035】圧力室基板20は、キャビティ21、側壁
22、リザーバ23および供給口24を備えている。圧
力室基板20のキャビティ21は、シリコン等の基板を
エッチングすることにより複数形成されるものであり、
個々のキャビティにはインクが充填可能に形成される。
側壁22は、エッチングされずに残った部分であり、キ
ャビティ21間を仕切るよう構成される。リザーバ23
は、各キャビティ21にインクを供給可能な共通の流路
として構成されている。供給口24は、各キャビティ2
1にインクを導入可能に構成されている。
22、リザーバ23および供給口24を備えている。圧
力室基板20のキャビティ21は、シリコン等の基板を
エッチングすることにより複数形成されるものであり、
個々のキャビティにはインクが充填可能に形成される。
側壁22は、エッチングされずに残った部分であり、キ
ャビティ21間を仕切るよう構成される。リザーバ23
は、各キャビティ21にインクを供給可能な共通の流路
として構成されている。供給口24は、各キャビティ2
1にインクを導入可能に構成されている。
【0036】振動板30は、圧力室基板20の一方の面
に設けられている。振動板30の一部には、インクタン
ク口31が設けられており、筐体50を介して、図示し
ないインクタンクからのインクをリザーバ23に供給可
能な構成になっている。
に設けられている。振動板30の一部には、インクタン
ク口31が設けられており、筐体50を介して、図示し
ないインクタンクからのインクをリザーバ23に供給可
能な構成になっている。
【0037】圧電体素子40は、本発明に係る部材であ
り、振動板30上に所定の形状で形成されている。
り、振動板30上に所定の形状で形成されている。
【0038】(圧電素子の層構造)図4に、振動板30
および圧電体素子40の層構造を断面図で示す。同図に
示すように、振動板30が、絶縁膜301および下部電
極膜302を積層して構成され、圧電体素子40が、低
密度圧電体層401、高密度圧電体層402、さらに上
部電極膜403を積層して構成されている。
および圧電体素子40の層構造を断面図で示す。同図に
示すように、振動板30が、絶縁膜301および下部電
極膜302を積層して構成され、圧電体素子40が、低
密度圧電体層401、高密度圧電体層402、さらに上
部電極膜403を積層して構成されている。
【0039】絶縁膜301は、導電性のない材料、例え
ば、シリコン基板を熱酸化等して形成された二酸化珪素
により構成され、圧電体素子の体積変化により変形し、
キャビティ21の内部の圧力を瞬間的に高めることが可
能に構成されている。
ば、シリコン基板を熱酸化等して形成された二酸化珪素
により構成され、圧電体素子の体積変化により変形し、
キャビティ21の内部の圧力を瞬間的に高めることが可
能に構成されている。
【0040】下部電極膜302は、上部電極膜403と
対になる、圧電体層に電圧を印加するための電極であ
り、導電性を有する複数の材料、例えば、チタン(T
i)層、白金(Pt)層、チタン(Ti)層等を積層し
て構成されている。このように複数の層を積層して下部
電極膜を構成するのは、低密度圧電体層の結晶配向を制
御したり、下部電極層と絶縁膜との密着性を高めたりす
るためである。
対になる、圧電体層に電圧を印加するための電極であ
り、導電性を有する複数の材料、例えば、チタン(T
i)層、白金(Pt)層、チタン(Ti)層等を積層し
て構成されている。このように複数の層を積層して下部
電極膜を構成するのは、低密度圧電体層の結晶配向を制
御したり、下部電極層と絶縁膜との密着性を高めたりす
るためである。
【0041】上部電極膜403は、圧電体素子に電圧を
印加するための電極であり、導電性を有する材料、例え
ば、厚み0.1μmの白金(Pt)で形成されている。
印加するための電極であり、導電性を有する材料、例え
ば、厚み0.1μmの白金(Pt)で形成されている。
【0042】低密度圧電体層401および高密度圧電体
層402は、圧電特性を有する圧電性セラミックスによ
り構成されている。例えば、チタン酸鉛(PbTi
O3)、ジルコン酸チタン酸鉛(Pb(Zr、Ti)O
3:PZT)、ジルコン酸鉛(PbZrO3)、チタン
酸鉛ランタン((Pb,La)TiO3)、ジルコン酸
鉛ランタン((Pb,La)(Zr、TiO3):PL
ZT)またはマグネシウムニオブ酸ジルコン酸チタン酸
鉛(Pb(Zr0.56Ti0.44)0.9(Mg
1/3Nb2/3)0.1O3)等で構成される。
層402は、圧電特性を有する圧電性セラミックスによ
り構成されている。例えば、チタン酸鉛(PbTi
O3)、ジルコン酸チタン酸鉛(Pb(Zr、Ti)O
3:PZT)、ジルコン酸鉛(PbZrO3)、チタン
酸鉛ランタン((Pb,La)TiO3)、ジルコン酸
鉛ランタン((Pb,La)(Zr、TiO3):PL
ZT)またはマグネシウムニオブ酸ジルコン酸チタン酸
鉛(Pb(Zr0.56Ti0.44)0.9(Mg
1/3Nb2/3)0.1O3)等で構成される。
【0043】ただし、低密度圧電体層401と高密度圧
電体層402とでは、その密度が異なっている。例え
ば、PZTを主成分とする材料からなり、低密度圧電体
層401は、密度が7.0g/cm3よりも小さくなる
よう構成され、高密度圧電体層402は、密度が7.0
g/cm3〜7.8g/cm3となるように構成されて
いる。
電体層402とでは、その密度が異なっている。例え
ば、PZTを主成分とする材料からなり、低密度圧電体
層401は、密度が7.0g/cm3よりも小さくなる
よう構成され、高密度圧電体層402は、密度が7.0
g/cm3〜7.8g/cm3となるように構成されて
いる。
【0044】特に、圧電性セラミックス材料として、マ
グネシウムニオブ酸ジルコン酸チタン酸鉛(Pb(Zr
0.56Ti0.44)0.9(Mg1/3N
b2/3)0.1O3)を用いた場合、低密度圧電体層
401の密度を、6.5g/cm3にすると、圧電体素
子に発生する残留応力を効果的に緩和することができ
る。
グネシウムニオブ酸ジルコン酸チタン酸鉛(Pb(Zr
0.56Ti0.44)0.9(Mg1/3N
b2/3)0.1O3)を用いた場合、低密度圧電体層
401の密度を、6.5g/cm3にすると、圧電体素
子に発生する残留応力を効果的に緩和することができ
る。
【0045】高密度圧電体層402は、通常の圧電体薄
膜を製造する方法に基づいて製造することにより、緻密
な層に形成する。これに対し、低密度圧電体層401
は、密度が低くなるような製造方法で製造される疎な層
である。例えば、この低密度圧電体層401は多孔性に
形成される。つまり、高密度圧電体層402と同一の圧
電性セラミックスを用いながらも、気泡のような間隙が
無数に含まれるような多孔性に形成することで、低密度
圧電体層401の平均密度を高密度圧電体層402より
低く設定する。圧電体層を多孔性に形成するには、高分
子物質を圧電性セラミックスに一定量混入させて製造す
る。高分子物質としては、例えばポリエチレングリコー
ル等、製造過程で揮発しうる高分子物質を使用する。完
全に揮発しない物質でも圧電体層より密度の低い有機物
質であれば、低密度圧電体層に混入することができる。
高分子物質の含有量としては、例えば、圧電体セラミッ
クスに含有される鉛(Pb)の量に対して、55mol
%以上混ぜる。
膜を製造する方法に基づいて製造することにより、緻密
な層に形成する。これに対し、低密度圧電体層401
は、密度が低くなるような製造方法で製造される疎な層
である。例えば、この低密度圧電体層401は多孔性に
形成される。つまり、高密度圧電体層402と同一の圧
電性セラミックスを用いながらも、気泡のような間隙が
無数に含まれるような多孔性に形成することで、低密度
圧電体層401の平均密度を高密度圧電体層402より
低く設定する。圧電体層を多孔性に形成するには、高分
子物質を圧電性セラミックスに一定量混入させて製造す
る。高分子物質としては、例えばポリエチレングリコー
ル等、製造過程で揮発しうる高分子物質を使用する。完
全に揮発しない物質でも圧電体層より密度の低い有機物
質であれば、低密度圧電体層に混入することができる。
高分子物質の含有量としては、例えば、圧電体セラミッ
クスに含有される鉛(Pb)の量に対して、55mol
%以上混ぜる。
【0046】製造後の圧電体層は、その多孔度が15%
以上となるように形成されている。これより多孔度が小
さくなると、高密度圧電体層の密度と密度差が少なくな
り、応力緩和機能が期待できないからである。
以上となるように形成されている。これより多孔度が小
さくなると、高密度圧電体層の密度と密度差が少なくな
り、応力緩和機能が期待できないからである。
【0047】低密度圧電体層401の厚みは、400n
m以上かつ1000nm以下の厚みに設定する。低密度
圧電体層それ自体は、圧電特性が低いので、あまりに厚
みが厚いと、その低い圧電特性の影響が圧電体素子全体
に及ぶからである。またあまりに厚みが薄いと、残留応
力を吸収できる程度が低下するからである。
m以上かつ1000nm以下の厚みに設定する。低密度
圧電体層それ自体は、圧電特性が低いので、あまりに厚
みが厚いと、その低い圧電特性の影響が圧電体素子全体
に及ぶからである。またあまりに厚みが薄いと、残留応
力を吸収できる程度が低下するからである。
【0048】高密度圧電体層402の厚みは、400n
m〜1000nm程度が好ましい。あまりに厚くする
と、高い駆動電圧が必要となり、あまりに薄くすると、
厚みを均一に形成できずエッチング後に分離された各圧
電体素子の特性がばらついたり、製造工数が多くなり、
妥当なコストで製造できなくなったりするからである。
m〜1000nm程度が好ましい。あまりに厚くする
と、高い駆動電圧が必要となり、あまりに薄くすると、
厚みを均一に形成できずエッチング後に分離された各圧
電体素子の特性がばらついたり、製造工数が多くなり、
妥当なコストで製造できなくなったりするからである。
【0049】(作用)圧電体層を乾燥させ脱脂および結
晶化させる際、アモルファス状態であった分子構造が緻
密な結晶構造となり、このとき張力が発生する。さら
に、圧電体層を熱処理する際にも、熱応力が生ずる。さ
らに熱処理の過程において圧電体層の基礎となる下部電
極とシリコン基板にも熱応力が生じる。圧電体層内部に
は、これら応力が作用しあって、複雑な内部応力が生ず
る。この内部応力は圧電体素子の厚みが厚くなるに連れ
て大きくなる。従来の圧電体素子の構造では、あまり圧
電体素子の厚みを厚くすると、内部応力により、内部破
壊、すなわちクラック(割れ目)が発生する。クラック
が発生した圧電体素子は、均一な圧電特性を呈すること
ができなくなるため、製品にすることができない。従来
はこの制約により圧電体層の厚みを厚くすることができ
なかった。
晶化させる際、アモルファス状態であった分子構造が緻
密な結晶構造となり、このとき張力が発生する。さら
に、圧電体層を熱処理する際にも、熱応力が生ずる。さ
らに熱処理の過程において圧電体層の基礎となる下部電
極とシリコン基板にも熱応力が生じる。圧電体層内部に
は、これら応力が作用しあって、複雑な内部応力が生ず
る。この内部応力は圧電体素子の厚みが厚くなるに連れ
て大きくなる。従来の圧電体素子の構造では、あまり圧
電体素子の厚みを厚くすると、内部応力により、内部破
壊、すなわちクラック(割れ目)が発生する。クラック
が発生した圧電体素子は、均一な圧電特性を呈すること
ができなくなるため、製品にすることができない。従来
はこの制約により圧電体層の厚みを厚くすることができ
なかった。
【0050】本発明では、通常の(高密度)圧電体層の
他に、この圧電体層より密度の低い低密度圧電体層を設
けた。このため、密度の低い低密度圧電体層が、高密度
圧電体層内部に発生した残留応力を緩和するため、圧電
体素子を厚膜化する際に、圧電体素子にクラック等の破
壊が生ずることがなくなるのである。
他に、この圧電体層より密度の低い低密度圧電体層を設
けた。このため、密度の低い低密度圧電体層が、高密度
圧電体層内部に発生した残留応力を緩和するため、圧電
体素子を厚膜化する際に、圧電体素子にクラック等の破
壊が生ずることがなくなるのである。
【0051】一方、複数の圧電体層が積層されている場
合の圧電体素子全体の圧電特性は、個々の圧電体層の有
する圧電特性のうち、比較的高い方の圧電g定数や誘電
率によって定まる。本発明のように、高密度圧電体層と
低密度圧電体層とを積層した場合には、主として高密度
圧電体層の特性により、圧電体素子全体の特性が定めら
れる。このため、低密度圧電体層の存在により圧電体素
子の圧電特性が低下することは少ない。
合の圧電体素子全体の圧電特性は、個々の圧電体層の有
する圧電特性のうち、比較的高い方の圧電g定数や誘電
率によって定まる。本発明のように、高密度圧電体層と
低密度圧電体層とを積層した場合には、主として高密度
圧電体層の特性により、圧電体素子全体の特性が定めら
れる。このため、低密度圧電体層の存在により圧電体素
子の圧電特性が低下することは少ない。
【0052】本実施形態のインクジェット式記録ヘッド
におけるインク滴吐出の原理を説明する。圧電体素子4
0の下部電極302と上部電極403との間に電圧が印
加されていない場合、圧電性薄膜である低密度圧電体層
401および高密度圧電体層402には、体積変化を生
じさせない。したがって、電圧が印加されない圧電体素
子40に対応するキャビティ21内の圧力に変化は生じ
ず、ノズル11からインク滴は吐出されない。
におけるインク滴吐出の原理を説明する。圧電体素子4
0の下部電極302と上部電極403との間に電圧が印
加されていない場合、圧電性薄膜である低密度圧電体層
401および高密度圧電体層402には、体積変化を生
じさせない。したがって、電圧が印加されない圧電体素
子40に対応するキャビティ21内の圧力に変化は生じ
ず、ノズル11からインク滴は吐出されない。
【0053】一方、圧電体素子40の下部電極302と
上部電極403との間に、圧電体素子に体積変化を生じ
させる電圧が印加されている場合、低密度圧電体層40
1および高密度圧電体層402は体積変化を生じる。し
たがって、電圧が印加されている圧電体素子40が取り
付けられた振動板30が大きくたわみ、そのキャビティ
21内の体積を減少させる。このためキャビティ21内
の圧力が瞬間的に高まり、ノズル11からインク滴が吐
出される。
上部電極403との間に、圧電体素子に体積変化を生じ
させる電圧が印加されている場合、低密度圧電体層40
1および高密度圧電体層402は体積変化を生じる。し
たがって、電圧が印加されている圧電体素子40が取り
付けられた振動板30が大きくたわみ、そのキャビティ
21内の体積を減少させる。このためキャビティ21内
の圧力が瞬間的に高まり、ノズル11からインク滴が吐
出される。
【0054】(製造方法の説明)次に、本発明のインク
ジェット式記録ヘッドの製造方法を説明する。
ジェット式記録ヘッドの製造方法を説明する。
【0055】絶縁膜形成工程(図5(a)): まず、
加圧室基板の基礎となるシリコン基板201に絶縁膜3
01を形成する。シリコン基板201は、例えば200
μm程度、絶縁膜301は、1μm程度の厚みに形成す
る。絶縁膜の製造には、公知の熱酸化法等を用いる。
加圧室基板の基礎となるシリコン基板201に絶縁膜3
01を形成する。シリコン基板201は、例えば200
μm程度、絶縁膜301は、1μm程度の厚みに形成す
る。絶縁膜の製造には、公知の熱酸化法等を用いる。
【0056】下部電極膜形成工程(図5(b)): 次い
で絶縁膜301の上に下部電極膜302を形成する。下
部電極膜302は、例えば、チタン層、酸化チタン層、
チタン層、白金層、チタン層を0.01μm、0.01
μm、0.005μm,0.5μm、0.005μmの
厚みで積層する。これら層の製造は、公知の直流スパッ
タ法等を用いる。
で絶縁膜301の上に下部電極膜302を形成する。下
部電極膜302は、例えば、チタン層、酸化チタン層、
チタン層、白金層、チタン層を0.01μm、0.01
μm、0.005μm,0.5μm、0.005μmの
厚みで積層する。これら層の製造は、公知の直流スパッ
タ法等を用いる。
【0057】低密度圧電体層形成工程(図5(c)):
低密度圧電体層を形成するために、まず前述した組成
の圧電性セラミックスに高分子物質を混入させた溶解液
を調合する。高分子物質は、脱脂工程において揮発する
ものである。高分子物質としては、例えばポリエチレン
グリコールを、圧電体セラミックスに含有される圧電体
成分の原料1molに対して、55mol%以上混ぜ
る。ポリエチレングリコールの他に、脱脂工程で揮発し
うる高分子物質を使用することができる。また、脱脂工
程では完全に揮発しないが、圧電体層より密度の低い高
分子物質であれば、低密度圧電体層に混入する高分子物
質として使用することができる。
低密度圧電体層を形成するために、まず前述した組成
の圧電性セラミックスに高分子物質を混入させた溶解液
を調合する。高分子物質は、脱脂工程において揮発する
ものである。高分子物質としては、例えばポリエチレン
グリコールを、圧電体セラミックスに含有される圧電体
成分の原料1molに対して、55mol%以上混ぜ
る。ポリエチレングリコールの他に、脱脂工程で揮発し
うる高分子物質を使用することができる。また、脱脂工
程では完全に揮発しないが、圧電体層より密度の低い高
分子物質であれば、低密度圧電体層に混入する高分子物
質として使用することができる。
【0058】高分子物質を混入した溶解液を一定の厚み
に塗布する。例えば、公知のスピンコート法を用いる場
合には、毎分500回転で30秒、毎分1500回転で
30秒、最後に毎分500回転で10秒間塗布する。塗
布後、一定温度(例えば180度)で一定時間(例えば
10分程度)乾燥させる。乾燥時にゲル状の圧電性セラ
ミックスが、高分子物質の固まりである「島」を包含す
る。
に塗布する。例えば、公知のスピンコート法を用いる場
合には、毎分500回転で30秒、毎分1500回転で
30秒、最後に毎分500回転で10秒間塗布する。塗
布後、一定温度(例えば180度)で一定時間(例えば
10分程度)乾燥させる。乾燥時にゲル状の圧電性セラ
ミックスが、高分子物質の固まりである「島」を包含す
る。
【0059】乾燥後、さらに、ポリエチレングリコール
等の高分子物質や有機溶媒を蒸発させるべく、大気雰囲
気下において、所定の高温(例えば400度)で一定時
間(30分間)脱脂する。脱脂により、「島」状に固ま
った高分子物質が揮発し、圧電体層が多孔性になる。
等の高分子物質や有機溶媒を蒸発させるべく、大気雰囲
気下において、所定の高温(例えば400度)で一定時
間(30分間)脱脂する。脱脂により、「島」状に固ま
った高分子物質が揮発し、圧電体層が多孔性になる。
【0060】この塗布→乾燥→脱脂の各工程を8回繰り
返して8層のセラミックス層を積層する。
返して8層のセラミックス層を積層する。
【0061】セラミックス層を4層重ねた後と8層重ね
た後には、さらに、セラミックス層の結晶化を促進し、
圧電体としての特性を向上させるために、所定の雰囲気
下で熱処理する。例えば、4層積層後、酸素雰囲気下に
おいて、高速熱処理(RAT)で、600度で5分間、
さらに725度で1分間加熱する。8層積層後、酸素雰
囲気下において、RATで、650度で5分間、さらに
900度で1分間加熱する。
た後には、さらに、セラミックス層の結晶化を促進し、
圧電体としての特性を向上させるために、所定の雰囲気
下で熱処理する。例えば、4層積層後、酸素雰囲気下に
おいて、高速熱処理(RAT)で、600度で5分間、
さらに725度で1分間加熱する。8層積層後、酸素雰
囲気下において、RATで、650度で5分間、さらに
900度で1分間加熱する。
【0062】上記処理により、低密度圧電体層401が
所定の厚み、例えば0.8μm程度で形成される。
所定の厚み、例えば0.8μm程度で形成される。
【0063】高密度圧電体層形成工程(同図(d)):
低密度圧電体層401上に、さらに高密度圧電体層40
2を積層する。製造方法は、上記低密度圧電体層形成工
程とほぼ同様である。圧電性セラミックス材料も同様の
ものを使用する。ただし、圧電性セラミックスに混入す
るポリエチレングリコールの量は、低密度圧電体層40
1の製造時より少なくする。例えば、45mol%以下
とする。この程度の高分子物質の含有量であれば、製造
後の圧電体層は多孔性になりにくい。
低密度圧電体層401上に、さらに高密度圧電体層40
2を積層する。製造方法は、上記低密度圧電体層形成工
程とほぼ同様である。圧電性セラミックス材料も同様の
ものを使用する。ただし、圧電性セラミックスに混入す
るポリエチレングリコールの量は、低密度圧電体層40
1の製造時より少なくする。例えば、45mol%以下
とする。この程度の高分子物質の含有量であれば、製造
後の圧電体層は多孔性になりにくい。
【0064】上記処理により、高密度圧電体層402が
0.8μm程度の厚みで形成される。高密度圧電体層4
02の成形時、内部には複雑な残留応力が生ずるが、低
密度圧電体層401が形成してあるので、応力が極端に
高くなることがなく、圧電体素子にクラックが入ること
を避けることができる。
0.8μm程度の厚みで形成される。高密度圧電体層4
02の成形時、内部には複雑な残留応力が生ずるが、低
密度圧電体層401が形成してあるので、応力が極端に
高くなることがなく、圧電体素子にクラックが入ること
を避けることができる。
【0065】上部電極形成工程(同図(e)): 高密度
圧電体層402の上に、さらに電子ビーム蒸着法、スパ
ッタ法等の技術を用いて、上部電極膜403を形成す
る。上部電極の材料は、白金(Pt)等を用いる。厚み
は100nm程度にする。
圧電体層402の上に、さらに電子ビーム蒸着法、スパ
ッタ法等の技術を用いて、上部電極膜403を形成す
る。上部電極の材料は、白金(Pt)等を用いる。厚み
は100nm程度にする。
【0066】成形工程(図6(a)): 各層を形成後、
振動板膜30(301,302)上の積層構造(40
1,402および403)を、各キャビティ21の形状
に合わせた形状になるようマスクし、その周囲をエッチ
ングする。すなわち、低密度圧電体層401、高密度圧
電体層402および上部電極膜403を取り除く。エッ
チングする際、スピンナー法、スプレー法等の方法を用
いて均一な厚さのレジストを塗布し、露光・現像して、
レジストが上部電極膜403上に形成される。これに、
通常用いるイオンミリング、あるいはドライエッチング
法等を適用して、不要な層構造部分を除去する。
振動板膜30(301,302)上の積層構造(40
1,402および403)を、各キャビティ21の形状
に合わせた形状になるようマスクし、その周囲をエッチ
ングする。すなわち、低密度圧電体層401、高密度圧
電体層402および上部電極膜403を取り除く。エッ
チングする際、スピンナー法、スプレー法等の方法を用
いて均一な厚さのレジストを塗布し、露光・現像して、
レジストが上部電極膜403上に形成される。これに、
通常用いるイオンミリング、あるいはドライエッチング
法等を適用して、不要な層構造部分を除去する。
【0067】圧力室形成工程(同図(b)): 圧電体
素子40を形成した圧力室基板の他方の面をエッチング
してキャビティ21を形成する。例えば、異方性エッチ
ング、平行平板型反応性イオンエッチング等の活性気体
を用いた異方性エッチングを用いて、キャビティ21空
間のエッチングを行う。エッチングされずに残された部
分が側壁22になる。
素子40を形成した圧力室基板の他方の面をエッチング
してキャビティ21を形成する。例えば、異方性エッチ
ング、平行平板型反応性イオンエッチング等の活性気体
を用いた異方性エッチングを用いて、キャビティ21空
間のエッチングを行う。エッチングされずに残された部
分が側壁22になる。
【0068】ノズル板貼り合わせ工程(同図(c)):
エッチング後のシリコン基板201にノズル板10
を、樹脂等を用いて貼り合わせる。このとき、各ノズル
11がキャビティ21各々の空間に配置されるよう位置
合せする。ノズル板11の貼り合わせられた圧力室基板
20を筐体50に取り付け(図2参照)、インクジェッ
ト式記録ヘッド1が完成する。
エッチング後のシリコン基板201にノズル板10
を、樹脂等を用いて貼り合わせる。このとき、各ノズル
11がキャビティ21各々の空間に配置されるよう位置
合せする。ノズル板11の貼り合わせられた圧力室基板
20を筐体50に取り付け(図2参照)、インクジェッ
ト式記録ヘッド1が完成する。
【0069】(実施例)上記実施形態の製造方法に沿っ
て圧電体素子を製造した圧電体素子の実施例を示す。圧
電体層を構成する材料には、Pb(Zr0.56Ti
0.44)0.9(Mg1/3Nb2/3)0.1O3
の組成を有するものを用いた。
て圧電体素子を製造した圧電体素子の実施例を示す。圧
電体層を構成する材料には、Pb(Zr0.56Ti
0.44)0.9(Mg1/3Nb2/3)0.1O3
の組成を有するものを用いた。
【0070】図7に、下部電極上に直接高密度圧電体層
を形成した場合の断面SEM(Scanning Electron Micr
oscopy)写真を示す。同図に示すように、圧電性セラミ
ックスに混入させる高分子密度が低いので、製造後の圧
電体層は多孔性を示さない緻密な層となっている。同図
の下半分は下部電極膜であり、高密度圧電体層が垂直に
発達した結晶柱状構造を呈している。
を形成した場合の断面SEM(Scanning Electron Micr
oscopy)写真を示す。同図に示すように、圧電性セラミ
ックスに混入させる高分子密度が低いので、製造後の圧
電体層は多孔性を示さない緻密な層となっている。同図
の下半分は下部電極膜であり、高密度圧電体層が垂直に
発達した結晶柱状構造を呈している。
【0071】図8に、下部電極上に直接低密度圧電体層
を形成した場合の断面SEM写真を示す。同図に示すよ
うに、圧電性セラミックスに混入させる高分子密度を相
対的に高くしているため、高分子物質が揮発することに
よって形成された空洞が散在した疎な層となっている。
多孔性の層となっているため、平均密度が低くなること
が分かる。
を形成した場合の断面SEM写真を示す。同図に示すよ
うに、圧電性セラミックスに混入させる高分子密度を相
対的に高くしているため、高分子物質が揮発することに
よって形成された空洞が散在した疎な層となっている。
多孔性の層となっているため、平均密度が低くなること
が分かる。
【0072】表1に、緻密な高密度圧電体層のみで形成
した従来の圧電体素子、疎な低密度圧電体層のみで形成
した圧電体素子および両者を積層した本発明の圧電体素
子の3者について、圧電特性等の比較結果を示す。比較
項目は、圧電特性を決定する圧電d定数、圧電g定数お
よび誘電率εと、クラックの発生なく積層可能な圧電体
層の厚みである。なお、圧電d定数および圧電g定数の
添え字31は、圧電体素子の厚み方向についての定数で
あることを示す。
した従来の圧電体素子、疎な低密度圧電体層のみで形成
した圧電体素子および両者を積層した本発明の圧電体素
子の3者について、圧電特性等の比較結果を示す。比較
項目は、圧電特性を決定する圧電d定数、圧電g定数お
よび誘電率εと、クラックの発生なく積層可能な圧電体
層の厚みである。なお、圧電d定数および圧電g定数の
添え字31は、圧電体素子の厚み方向についての定数で
あることを示す。
【0073】
【表1】
【0074】表1から分かるように、高密度圧電体層に
低密度圧電体層を積層した実施例の圧電体素子では、圧
電d定数や圧電g定数の比較的高い方の影響を受けるた
め、低密度圧電体層を積層しても、圧電特性に大きな劣
化が生じていない。厚みに関しては、従来の緻密な圧電
体層のみで圧電体素子を形成した場合には、0.8μm
以上積層するとクラックを発生するおそれがあったが、
低密度圧電体層を積層することで、2倍近い厚みまで積
層できるようになった。
低密度圧電体層を積層した実施例の圧電体素子では、圧
電d定数や圧電g定数の比較的高い方の影響を受けるた
め、低密度圧電体層を積層しても、圧電特性に大きな劣
化が生じていない。厚みに関しては、従来の緻密な圧電
体層のみで圧電体素子を形成した場合には、0.8μm
以上積層するとクラックを発生するおそれがあったが、
低密度圧電体層を積層することで、2倍近い厚みまで積
層できるようになった。
【0075】つまり、低密度圧電体層が寄与することに
より、残留応力を減じ、高密度圧電体層が寄与すること
により、圧電特性が維持されることもわかる。
より、残留応力を減じ、高密度圧電体層が寄与すること
により、圧電特性が維持されることもわかる。
【0076】上記したように本実施形態によれば、高分
子物質を圧電性セラミックスに混入したことにより圧電
体層を多孔性にすることができ、残留応力を緩和させる
ことができる。したがって、圧電体素子の厚みを厚くす
ることができるので、従来より大きな体積変化をもたら
す圧電体素子を提供することができる。
子物質を圧電性セラミックスに混入したことにより圧電
体層を多孔性にすることができ、残留応力を緩和させる
ことができる。したがって、圧電体素子の厚みを厚くす
ることができるので、従来より大きな体積変化をもたら
す圧電体素子を提供することができる。
【0077】<その他の変形例>本発明は、上記各実施
形態によらず種々に変形して適応することが可能であ
る。例えば、上記実施形態では、低密度圧電体層を一層
のみ設けたが、高密度圧電体層と低密度圧電体層とを交
互に複数設けてもよい。
形態によらず種々に変形して適応することが可能であ
る。例えば、上記実施形態では、低密度圧電体層を一層
のみ設けたが、高密度圧電体層と低密度圧電体層とを交
互に複数設けてもよい。
【0078】また、上記実施形態では、低密度圧電体層
と高密度圧電体層における圧電性セラミックスの組成を
同じにしたが、両圧電体層における圧電性セラミックス
の組成を異ならせてもよい。組成を異ならせて設定した
場合でも、圧電特性は主として高密度圧電体層の組成に
より規定され、圧電体素子の厚みは主として低密度圧電
体層の厚みで決まる。
と高密度圧電体層における圧電性セラミックスの組成を
同じにしたが、両圧電体層における圧電性セラミックス
の組成を異ならせてもよい。組成を異ならせて設定した
場合でも、圧電特性は主として高密度圧電体層の組成に
より規定され、圧電体素子の厚みは主として低密度圧電
体層の厚みで決まる。
【0079】なお、上記実施形態では、低密度圧電体層
の各孔は、高分子物質が蒸発した後の空洞として形成さ
れていたが、製造過程で不揮発の高分子物質等を含んで
構成してもよい。空洞に高分子物質を混入させて低密度
圧電体層を構成する場合には、低密度の高分子物質を混
入させればよい。
の各孔は、高分子物質が蒸発した後の空洞として形成さ
れていたが、製造過程で不揮発の高分子物質等を含んで
構成してもよい。空洞に高分子物質を混入させて低密度
圧電体層を構成する場合には、低密度の高分子物質を混
入させればよい。
【0080】また、本発明の圧電体素子は、上記インク
ジェット式記録ヘッドの圧電体素子のみならず、不揮発
性半導体記憶装置、薄膜コンデンサ、パイロ電気検出
器、センサ、表面弾性波光学導波管、光学記憶装置、空
間光変調器、ダイオードレーザ用周波数二倍器等のよう
な圧電体装置、圧電体装置、パイロ電気装置、圧電装
置、および電気光学装置の製造に適応することができ
る。
ジェット式記録ヘッドの圧電体素子のみならず、不揮発
性半導体記憶装置、薄膜コンデンサ、パイロ電気検出
器、センサ、表面弾性波光学導波管、光学記憶装置、空
間光変調器、ダイオードレーザ用周波数二倍器等のよう
な圧電体装置、圧電体装置、パイロ電気装置、圧電装
置、および電気光学装置の製造に適応することができ
る。
【0081】
【発明の効果】本発明の圧電体素子は、圧電体層に生ず
る残留応力を緩和する密度の低い圧電体層を設けたの
で、製造過程で生じた残留応力を緩和し、圧電体層にク
ラック等の破壊を生ずることがない。したがって、圧電
体素子を従来のものより厚く形成することができ、より
大きな体積変化を生じうる圧電体素子およびインクジェ
ット式記録ヘッドを提供することが可能である。
る残留応力を緩和する密度の低い圧電体層を設けたの
で、製造過程で生じた残留応力を緩和し、圧電体層にク
ラック等の破壊を生ずることがない。したがって、圧電
体素子を従来のものより厚く形成することができ、より
大きな体積変化を生じうる圧電体素子およびインクジェ
ット式記録ヘッドを提供することが可能である。
【0082】本発明によれば、低密度圧電体層を形成す
るための諸条件を提供したので、より大きな体積変化を
生ずる圧電体素子およびインクジェット式記録ヘッドを
提供することができる。
るための諸条件を提供したので、より大きな体積変化を
生ずる圧電体素子およびインクジェット式記録ヘッドを
提供することができる。
【0083】本発明のインクジェット式記録ヘッドは、
厚みを厚くしてもクラック等を発生させることなく製造
される圧電体素子を使用したので、良好な圧電特性を維
持する圧電体素子により高精細度印字が可能である。
厚みを厚くしてもクラック等を発生させることなく製造
される圧電体素子を使用したので、良好な圧電特性を維
持する圧電体素子により高精細度印字が可能である。
【図1】実施形態のインクジェットプリンタの構造を説
明する斜視図である。
明する斜視図である。
【図2】実施形態のインクジェット式記録ヘッドの構造
を説明する斜視図である。
を説明する斜視図である。
【図3】実施形態のインクジェット式記録ヘッドの斜視
図一部断面図である。
図一部断面図である。
【図4】本発明の圧電体素子の積層構造を説明する断面
図である。
図である。
【図5】本発明のインクジェット式記録ヘッドにおける
圧電体素子の製造方法を説明する製造工程断面図であ
る。
圧電体素子の製造方法を説明する製造工程断面図であ
る。
【図6】本発明のインクジェット式記録ヘッドにおける
圧力室基板の製造方法を説明する製造工程断面図であ
る。
圧力室基板の製造方法を説明する製造工程断面図であ
る。
【図7】実施例における高密度圧電体層の断面SEM図
である。
である。
【図8】実施例における低密度圧電体層の断面SEM図
である。
である。
10…ノズル板 11…ノズル 20…圧力室基板 21…キャビティ 22…側壁 23…リザーバ 201…シリコン基板 30…振動板 301…絶縁膜 302…下部電極膜 40…圧電体素子 401…低密度圧電体層 402…高密度圧電体層 403…上部電極膜
Claims (14)
- 【請求項1】 上部電極および下部電極の間に圧電性材
料で形成された圧電体層を挟んで構成される圧電体素子
において、 前記圧電体層は、所定の密度を有する1以上の高密度圧
電体層と、前記高密度圧電体層より密度を低くした1以
上の低密度圧電体層と、を備えたことを特徴とする圧電
体素子。 - 【請求項2】 前記低密度圧電体層は、密度がバルクの
90%よりも小さく、前記高密度圧電体層は、密度がバ
ルクの90%〜100%となるように構成されている請
求項1に記載の圧電体素子。 - 【請求項3】 前記圧電体層が、PZTを主成分とする
材料からなり、前記低密度圧電体層の密度が、7.0g
/cm3よりも小さく、前記高密度圧電体層の密度が、
7.0g/cm3〜7.8g/cm3となるように構成
されている請求項2に記載の圧電体素子。 - 【請求項4】 前記低密度圧電体層は,多孔性の圧電体
物質により構成されている請求項1に記載の圧電体素
子。 - 【請求項5】 前記多孔性の圧電性物質は、各孔が熱処
理の際高分子物質が蒸発することにより形成されている
請求項4に記載の圧電体素子。 - 【請求項6】 前記高分子物質は、ポリエチレングリコ
ールにより組成されている請求項5に記載の圧電体素
子。 - 【請求項7】 前記多孔性の圧電性物質は、その多孔度
が15%以上となるように形成されている請求項4に記
載の圧電体素子。 - 【請求項8】 前記低密度圧電体層は、400nm以上
かつ1000nm以下の厚みである請求項1に記載の圧
電体素子。 - 【請求項9】 請求項1乃至請求項8のいずれかに記載
の圧電体素子を、インクを充填するための圧力室の少な
くとも一方の面を形成する振動板上に配置して構成され
た圧力室基板を備えたインクジェット式記録ヘッド。 - 【請求項10】 導電性材料よりなる下部電極を形成す
る下部電極形成工程と、 下部電極の上に第1の密度を有する第1密度圧電体層を
形成する第1密度圧電体層形成工程と、 前記第1密度圧電体層の上に第2の密度を有する第2密
度圧電体層を形成する第2密度圧電体層形成工程と、 前記第2密度圧電体層の上に導電性材料よりなる上部電
極を形成する上部電極形成工程と、を備え、 前記第1の密度と前記第2の密度とは異なるように製造
することを特徴とする圧電体素子の製造方法。 - 【請求項11】 前記第1密度圧電体層形成工程および
前記第2密度圧電体層形成工程は、圧電体物質に、高分
子物質の添加量を変えて添加することにより、前記第1
密度圧電体層および前記第2密度圧電体層を形成するも
のである請求項10に記載の圧電体素子の形成方法。 - 【請求項12】 前記高密度圧電体層または前記低密度
圧電体層のうちいずれか一方の圧電体層には、圧電体層
に含まれる圧電体成分の原料1molに対し高分子物質
を45mol%以下添加し、他方の圧電体層には、圧電
体層に含まれる圧電体成分の原料1molに対し高分子
物質を55mol%以上添加する請求項10に記載の圧
電体素子の製造方法。 - 【請求項13】 前記高分子物質は、ポリエチレングリ
コールである請求項11または請求項12のいずれか一
項に記載の圧電体素子の製造方法。 - 【請求項14】 請求項1乃至請求項8のいずれか一項
に記載の圧電体素子を使用したインクジェット式記録ヘ
ッドの製造方法であって、 シリコン基板に振動板膜を形成する振動板膜形成工程
と、 前記圧電体素子を当該振動板膜上に形成後、圧電体素子
を所定の形状に成形する成形工程と、 所定の形状に成形された圧電体素子に対応する領域のシ
リコンをエッチングすることにより、インクを充填する
ための圧力室を前記シリコン基板に形成する圧力室形成
工程と、を備えるインクジェット式記録ヘッドの製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27024597A JPH11112048A (ja) | 1997-10-02 | 1997-10-02 | 圧電体素子、インクジェット式記録ヘッドおよびそれらの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27024597A JPH11112048A (ja) | 1997-10-02 | 1997-10-02 | 圧電体素子、インクジェット式記録ヘッドおよびそれらの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11112048A true JPH11112048A (ja) | 1999-04-23 |
Family
ID=17483577
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP27024597A Withdrawn JPH11112048A (ja) | 1997-10-02 | 1997-10-02 | 圧電体素子、インクジェット式記録ヘッドおよびそれらの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11112048A (ja) |
Cited By (13)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH11214762A (ja) * | 1998-01-22 | 1999-08-06 | Seiko Epson Corp | 圧電体素子及びそれを用いたインクジェット式記録ヘッド |
WO2003061024A1 (fr) * | 2002-01-15 | 2003-07-24 | Matsushita Electric Industrial Co.,Ltd. | Dispositif de commande piezo-electrique, tete a jet d'encre et imprimante a jet d'encre |
JP2008218716A (ja) * | 2007-03-05 | 2008-09-18 | Seiko Epson Corp | 圧電素子、インクジェット式記録ヘッド、およびインクジェットプリンター |
JP2009514765A (ja) * | 2005-11-04 | 2009-04-09 | セラコンプ カンパニー, リミテッド | 圧電単結晶及びその製造方法、並びにその圧電単結晶を利用した圧電応用部品及び誘電応用部品 |
JP2011096969A (ja) * | 2009-11-02 | 2011-05-12 | Fujifilm Corp | 圧電体膜とその成膜方法、圧電素子、液体吐出装置、及び圧電型超音波振動子 |
US20130076207A1 (en) * | 2011-09-22 | 2013-03-28 | Matthew Harvey Krohn | Transducer structure for a transducer probe and methods of fabricating same |
US8444256B2 (en) | 2009-07-23 | 2013-05-21 | Seiko Epson Corporation | Piezoelectric actuator and liquid ejecting head |
JP2015022064A (ja) * | 2013-07-17 | 2015-02-02 | 富士フイルム株式会社 | ミラー駆動装置及びその駆動方法 |
JP2015022065A (ja) * | 2013-07-17 | 2015-02-02 | 富士フイルム株式会社 | ミラー駆動装置及びその駆動方法 |
WO2016052548A1 (ja) * | 2014-09-30 | 2016-04-07 | 富士フイルム株式会社 | ミラー駆動装置及びその駆動方法 |
WO2016052547A1 (ja) * | 2014-09-30 | 2016-04-07 | 富士フイルム株式会社 | ミラー駆動装置及びその駆動方法 |
CN110696493A (zh) * | 2019-10-11 | 2020-01-17 | 大连瑞林数字印刷技术有限公司 | 一种喷墨打印头压电振动结构 |
JP2021114536A (ja) * | 2020-01-17 | 2021-08-05 | 富士通セミコンダクターメモリソリューション株式会社 | 半導体装置及び半導体装置の製造方法 |
-
1997
- 1997-10-02 JP JP27024597A patent/JPH11112048A/ja not_active Withdrawn
Cited By (23)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH11214762A (ja) * | 1998-01-22 | 1999-08-06 | Seiko Epson Corp | 圧電体素子及びそれを用いたインクジェット式記録ヘッド |
WO2003061024A1 (fr) * | 2002-01-15 | 2003-07-24 | Matsushita Electric Industrial Co.,Ltd. | Dispositif de commande piezo-electrique, tete a jet d'encre et imprimante a jet d'encre |
US7264340B2 (en) | 2002-01-15 | 2007-09-04 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | Piezoelectric actuator and ink-jet head, and ink-jet recorder |
JP2009514765A (ja) * | 2005-11-04 | 2009-04-09 | セラコンプ カンパニー, リミテッド | 圧電単結晶及びその製造方法、並びにその圧電単結晶を利用した圧電応用部品及び誘電応用部品 |
US8119022B2 (en) | 2005-11-04 | 2012-02-21 | Ceracomp Co., Ltd. | Piezoelectric single crystal and method of production of same, piezoelectric element, and dielectric element |
JP2008218716A (ja) * | 2007-03-05 | 2008-09-18 | Seiko Epson Corp | 圧電素子、インクジェット式記録ヘッド、およびインクジェットプリンター |
US8444256B2 (en) | 2009-07-23 | 2013-05-21 | Seiko Epson Corporation | Piezoelectric actuator and liquid ejecting head |
JP2011096969A (ja) * | 2009-11-02 | 2011-05-12 | Fujifilm Corp | 圧電体膜とその成膜方法、圧電素子、液体吐出装置、及び圧電型超音波振動子 |
US20130076207A1 (en) * | 2011-09-22 | 2013-03-28 | Matthew Harvey Krohn | Transducer structure for a transducer probe and methods of fabricating same |
US8853918B2 (en) * | 2011-09-22 | 2014-10-07 | General Electric Company | Transducer structure for a transducer probe and methods of fabricating same |
JP2015022064A (ja) * | 2013-07-17 | 2015-02-02 | 富士フイルム株式会社 | ミラー駆動装置及びその駆動方法 |
JP2015022065A (ja) * | 2013-07-17 | 2015-02-02 | 富士フイルム株式会社 | ミラー駆動装置及びその駆動方法 |
US9678335B2 (en) | 2013-07-17 | 2017-06-13 | Fujifilm Corporation | Mirror drive device and driving method thereof |
US9864189B2 (en) | 2013-07-17 | 2018-01-09 | Fujifilm Corporation | Mirror drive device and driving method thereof |
WO2016052548A1 (ja) * | 2014-09-30 | 2016-04-07 | 富士フイルム株式会社 | ミラー駆動装置及びその駆動方法 |
WO2016052547A1 (ja) * | 2014-09-30 | 2016-04-07 | 富士フイルム株式会社 | ミラー駆動装置及びその駆動方法 |
JPWO2016052548A1 (ja) * | 2014-09-30 | 2017-07-27 | 富士フイルム株式会社 | ミラー駆動装置及びその駆動方法 |
JPWO2016052547A1 (ja) * | 2014-09-30 | 2017-09-07 | 富士フイルム株式会社 | ミラー駆動装置及びその駆動方法 |
US10281716B2 (en) | 2014-09-30 | 2019-05-07 | Fujifilm Corporation | Mirror driving device and driving method thereof |
US10371940B2 (en) | 2014-09-30 | 2019-08-06 | Fujifilm Corporation | Mirror driving device and driving method thereof |
CN110696493A (zh) * | 2019-10-11 | 2020-01-17 | 大连瑞林数字印刷技术有限公司 | 一种喷墨打印头压电振动结构 |
CN110696493B (zh) * | 2019-10-11 | 2020-12-15 | 大连瑞林数字印刷技术有限公司 | 一种喷墨打印头压电振动结构 |
JP2021114536A (ja) * | 2020-01-17 | 2021-08-05 | 富士通セミコンダクターメモリソリューション株式会社 | 半導体装置及び半導体装置の製造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3882946B2 (ja) | 圧電体素子の製造方法 | |
JP3379479B2 (ja) | 機能性薄膜、圧電体素子、インクジェット式記録ヘッド、プリンタ、圧電体素子の製造方法およびインクジェット式記録ヘッドの製造方法、 | |
JPH11129478A (ja) | インクジェット式記録ヘッド、その製造方法および圧電体素子 | |
JPH11307833A (ja) | 圧電体素子、インクジェット式記録ヘッドおよびそれらの製造方法 | |
JPH11112048A (ja) | 圧電体素子、インクジェット式記録ヘッドおよびそれらの製造方法 | |
JP2004104066A (ja) | 圧電体素子、液体吐出ヘッド及びこれらの製造方法 | |
JP3956134B2 (ja) | 圧電体素子の製造方法、及び液体吐出ヘッドの製造方法 | |
CN100433393C (zh) | 压电元件、液体喷出头及它们的制造方法 | |
JP4069578B2 (ja) | 圧電体膜及びこれを備えた圧電体素子 | |
JPH10287468A (ja) | 圧電性薄膜、その製造方法、圧電体素子およびインクジェットプリンタヘッド | |
JP3695625B2 (ja) | 圧電体素子およびその製造方法 | |
JPH1187791A (ja) | 圧電体素子、インクジェット式記録ヘッドおよびそれらの製造方法 | |
JP3899639B2 (ja) | 圧電体素子、インクジェット式記録ヘッド | |
JP3750413B2 (ja) | 圧電体素子の製造方法及びインクジェット式記録ヘッドの製造方法 | |
JP3542018B2 (ja) | 圧電体素子、インクジェット式記録ヘッド及びそれらの製造方法 | |
JPH10264384A (ja) | インクジェット式記録ヘッド、その製造方法および圧電体素子 | |
JP3591316B2 (ja) | 圧電アクチュエータ、インクジェット式記録ヘッド、及びプリンタ | |
JP3684815B2 (ja) | インクジェット式記録ヘッドおよびそれらの製造方法 | |
JP4310672B2 (ja) | 圧電体素子、インクジェット式記録ヘッド、及びプリンタ | |
JP4737027B2 (ja) | 圧電体素子の製造方法、及びインクジェット式記録ヘッドの製造方法 | |
JPH11307834A (ja) | 圧電体素子、インクジェット式記録ヘッドおよびそれらの製造方法 | |
JPH11157068A (ja) | 圧電体素子、インクジェット式記録ヘッドおよびそれらの製造方法 | |
JP4055329B2 (ja) | 圧電体素子の製造方法 | |
JP3644267B2 (ja) | 圧電アクチュエータの製造方法及びインクジェット式記録ヘッドの製造方法 | |
JP3646773B2 (ja) | 圧電体素子、インクジェット式記録ヘッドおよびそれらの製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20041207 |