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JPH11108230A - 差圧制御弁、差圧制御弁の検査方法、差圧制御弁の調整方法、及び車両用ブレーキ装置 - Google Patents

差圧制御弁、差圧制御弁の検査方法、差圧制御弁の調整方法、及び車両用ブレーキ装置

Info

Publication number
JPH11108230A
JPH11108230A JP10143342A JP14334298A JPH11108230A JP H11108230 A JPH11108230 A JP H11108230A JP 10143342 A JP10143342 A JP 10143342A JP 14334298 A JP14334298 A JP 14334298A JP H11108230 A JPH11108230 A JP H11108230A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
differential pressure
control valve
pressure control
solenoid
mover
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10143342A
Other languages
English (en)
Inventor
Masahiko Kamiya
雅彦 神谷
Yozo Mashima
要三 間嶋
Hideki Igai
英己 猪飼
Takahiro Naganuma
貴寛 永沼
Hiroyuki Shinkai
博之 新海
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Denso Corp filed Critical Denso Corp
Priority to JP10143342A priority Critical patent/JPH11108230A/ja
Publication of JPH11108230A publication Critical patent/JPH11108230A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Electromagnets (AREA)
  • Regulating Braking Force (AREA)
  • Magnetically Actuated Valves (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 可動子の移動に伴う吸引力の変化を抑制し
て、高精度の圧力制御を行なうことができる差圧制御弁
及び車両用ブレーキ装置を提供すること。 【解決手段】 差圧制御弁1は、ソレノイド2によって
駆動されるプランジャ3と、プランジャ3を摺動可能に
保持するスリーブ4と、プランジャ3の移動に伴って移
動する制御ピストン6と、制御ピストン6を摺動可能に
保持するガイド7とを備えている。また、磁気ショート
構造として、プランジャ3の下端面3aには、制御ピス
トン6を押圧可能な円柱状の凸部21が設けられ、ガイ
ド7の上端面7aには、凸部21と嵌合可能な円柱状に
凹部22が設けられている。ソレノイド2の非通電時に
は、凸部21と凹部22とは、その平行な側面にて一部
が重なり合っており、ソレノイド2の通電時には、プラ
ンジャ3は矢印A方向に移動して、制御ピストン6を同
方向に移動させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば車両の車両
用ブレーキ装置の管路に配置されて、ブレーキ液圧の差
圧を調節する差圧制御弁及び車両用ブレーキ装置に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、ブレーキ液の管路や該管路を
開閉する制御弁を備えた車両用ブレーキ装置では、ブレ
ーキペダルを踏んだ場合には、その踏込量や踏力に応じ
て、所定の制動力が得られる様に設定されている。
【0003】また、この種の車両用ブレーキ装置では、
ブレーキペダルを踏み込む際の踏力を増大させ、マスタ
シリンダ圧ひいてはホイールシリンダ圧を増加させて、
制動力を向上するために、例えばバキュームブースタの
様なブレーキ倍力装置が使用されている。
【0004】ところが、バキュームブースタ等は体格が
大きく、車載が困難な場合があるので、それに代わる技
術が提案されている。例えば特開平8−230634号
には、アンチスキッド制御やトラクション制御を行なう
場合に、戻しポンプ、切換弁、吸込弁の制御を、ブレー
キペダルの作動を表す信号に依存して行なうことによ
り、バキュームブースタの機能を肩代りする技術が提案
されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、ホイールシ
リンダ側の圧力を直接制御するために、前記切換弁とし
てオン−オフタイプの電磁弁である差圧制御弁を使用す
ると、電磁弁内の可動子の移動により、可動子の吸引力
(可動子を固定子側に吸引する力)が大きく変化するの
で、安定した差圧のコントロールができないという問題
があった。
【0006】つまり、従来の差圧制御弁は、可動子が移
動すると、図1の破線で示す様に、可動子と固定子との
間隔(プランジャストローク)が変化し、それによって
可動子と固定子との間の磁束量が大きく変化して、吸引
力も大きく変化するという特性を有している。
【0007】そのため、従来の差圧制御弁では、何等か
の原因で流量が変化すると、流量の変化を保つために可
動子の位置が変化するので、それによって、吸引力が大
きく変化してしまう。この吸引力が変化すると、結果と
して差圧も変化するので、ホイールシリンダ圧等のブレ
ーキ液圧を精密に制御できないという問題があった。
【0008】また、従来の差圧制御弁は、図2(a)の
破線で示す様に、ソレノイドへの印加電流が所定値以下
では差圧が発生しないが、所定値に達すると急激に大き
な差圧が発生するので、所定値以下の印加電流の場合に
精密なブレーキ液圧の制御ができないと言う問題もあっ
た。
【0009】これは、図2(b)の破線で示す様に、印
加電流に応じてプランジャストロークと吸引力との関係
が決まるので、例えば印加電流が2Aのときプランジャ
ストロークがPS1で、可動子がその可動範囲(実使用
範囲)にあると、プランジャストロークがPS0となる
様に急に可動子が移動して、一気に吸引力が増大する
(例えば0からK1に変化)するからである。
【0010】本発明は前記課題に鑑みなされたものであ
り、可動子の移動に伴う吸引力の変化を抑制して、高精
度の圧力制御を行なうことができる差圧制御弁及び車両
用ブレーキ装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
(1)請求項1の発明では、ブレーキ液の管路に配置さ
れて、ブレーキ液圧の差圧を調節する差圧制御弁におい
て、差圧制御弁は、ソレノイドにより発生する磁束が貫
通し、その磁力により移動する可動子と、可動子の移動
方向に配置されて、前記ソレノイドによる磁束が貫通す
る固定子と、を備えるとともに、可動子の移動に伴う可
動子及び固定子の移動方向の磁束量の変動を抑制する磁
気ショート構造を備えている。
【0012】本発明の差圧制御弁は、ソレノイドの電流
を流すことによって、可動子を移動させる吸引力を発生
させ、その吸引力に応じてブレーキ液圧の差圧を設定で
きるものである。この種の差圧制御弁では、可動子と固
定子との間隔が変化すると、可動子の移動方向の磁束量
が変化し、例えば可動子と固定子とが接近すると磁束量
が増大して吸引力が増加するが、この様に吸引力が変化
すると、安定した差圧を発生できず、また、低電流を印
加した場合の差圧の調節ができない。そこで、本発明で
は、可動子が移動しても、移動方向の磁束量が変化を抑
制する磁気ショート構造を設けている。
【0013】それにより、例えば前記図1の実線で示す
様に、可動子(プランジャ)の実使用領域では、あまり
吸引力が変化しない様にフラットな特性を実現してい
る。つまり、可動子と固定子との間隔が大きな場合に、
吸引力が低下しない様にし、また、その間隔が小さな場
合でも、吸引力が急激に増加しない様にしている(尚、
どちら一方のみをフラットに近づけても、該当する領域
では効果はある)。
【0014】その結果、可動子と固定子との間隔によっ
て吸引力が大きく変化することを防止できるので、可動
子の位置にかかわらず安定した差圧を発生させることが
でき、精密なブレーキ制御を実現することができる。ま
た、本発明では、例えば前記図2の実線で示す様に、ソ
レノイドに印加する電流値を変更しても、各電流値にお
いては、可動子の実使用領域ではあまり吸引力が変化し
ない。そのため、印加電流の値に応じて吸引力を設定で
きるので、特に、印加電流が小さい場合に精密に差圧を
調節できるという効果がある。
【0015】(2)請求項2の発明では、磁気ショート
構造は、可動子の移動に伴って、可動子と固定子との間
にて、移動方向とは異なる方向の磁束量が変化する構成
である。例えば可動子が固定子に接近すると、移動方向
の磁束量は増加せずに、例えば移動方向と垂直方向に磁
束量が増加する構成である。
【0016】この場合、例えば移動方向と垂直方向の磁
束量が増大したとしても、可動子を移動させる力、即ち
吸引力は増加しない。よって、可動子の位置によらず、
吸引力ひいては差圧を設定できるのである。 (3)請求項3の発明では、磁気ショート構造は、可動
子と固定子とに設けられ互いに嵌合可能な凹部又は凸部
であり、可動子が移動する際に、その嵌合状態が変化す
る。
【0017】この凹部や凸部は、互いに嵌合するもので
あれば、可動子及び固定子のどちらに設けられていても
よく、よって、可動子が移動すれば、その嵌合状態が変
化する。この場合、磁束量は、可動子と固定子とが接近
すると増加するが、嵌合状態が深くなると、その磁束の
方向は、移動方向よりもその垂直方向が増大する。よっ
て、可動子が固定子に接近した場合及び離れた場合にお
いて、その移動方向における磁束量の変化は少ないの
で、吸引力の変化は少なく、差圧の変化も少なくなる。
【0018】(4)請求項4の発明では、凹部及び凸部
は、移動方向と平行な面を有している。本発明は、凹部
及び凸部の形状による嵌合状態を具体的に示したもので
あり、移動方向と平行な面を有している場合は、移動方
向と垂直方向の磁束が発生し易い。よって、可動子が移
動した場合でも、吸引力の変化は少なく、差圧の変化も
少なくなる。
【0019】(5)請求項5の発明では、凹部及び凸部
は、移動方向と斜めになった面を有している。本発明
は、前記請求項4と同様に、凹部及び凸部の形状による
嵌合状態を具体的に示したものであり、移動方向と斜め
な面を有している場合は、移動方向と斜めの磁束が発生
し易い。この場合は、前記請求項4よりは効果は少ない
かも知れないが、同様に、可動子が移動した場合でも、
吸引力の変化は少なく、差圧の変化も少なくなる。
【0020】(6)請求項6の発明では、差圧制御弁が
オフの場合でも、可動子と固定子とは、可動子の移動方
向と垂直方向にて重なり合う領域を有する。つまり、差
圧制御弁のソレノイドに通電していない場合でも、可動
子と固定子とは一部重なりあっている。そのため、プラ
ンジャストロークが大きい場合でも、吸引力が低下しな
い。
【0021】(7)請求項7の発明では、磁気ショート
構造は、可動子が移動する場合に、ソレノイドのヨーク
と可動子との間の磁束量が変化する構成である。具体的
には、可動子が固定子の方向に移動すると、その移動に
伴ってヨークと可動子との間の磁束量が低減する(尚、
逆方向に移動する場合は、磁束量は増大する)。つま
り、例えば可動子が固定子に近づく場合、通常ならば、
可動子と固定子との間の磁束量が増加して吸引力が増大
するが、本発明では、ヨークと可動子との間の磁束量が
変化(この場合は低減)するので、吸引力はそれほど増
加せず、差圧の変化も少ない。
【0022】(8)請求項8の発明では、差圧制御弁
は、ソレノイドに通電する電流の大きさに応じた電流制
御により駆動する。本発明では、ソレノイドに通電する
電流値を増減させることにより、前記図2(b)の実線
で示す様に、吸引力を変化させることができるので、差
圧を精密に調節することができる。
【0023】(9)請求項9の発明では、差圧制御弁
は、ソレノイドに通電する電流のオンーオフのデューテ
ィ制御により駆動する。ソレノイドに通電する電流のオ
ンーオフのデューティ制御を行うことにより、前記電流
値を増減させる電流制御と同様に、吸引力を変化させる
ことができるので、差圧を精密に調節することができ
る。
【0024】(10)請求項10の発明では、差圧制御
弁の下流側に、圧損(背圧)を付加する圧損付加機構を
設けている。例えば、周知のトラクション制御(TRC
制御)、車両旋回時制御(VSC制御)、パワーアシス
トブレーキ制御(PAB制御)を行なう際に、差圧制御
弁の上流側(ホイールシリンダ側)が高圧で下流側(マ
スタシリンダ側)が低圧のときに、例えばブレーキペダ
ルを戻した場合には、従来では、弁体が着座する連通孔
の近傍にて、高温且つブレーキ液中の水分含有量が多い
ときに、ブレーキ液に気泡が発生(エアレーションが発
生)する恐れがあり、このエアレーションが発生する
と、ブレーキ性能が低下してしまう。
【0025】そこで、本発明では、差圧制御弁の下流側
に、圧損(背圧)を付加する圧損付加機構を設けること
により、エアレーションの発生を防止している。つま
り、ブレーキ液が高圧から低圧(大気圧)に一気に変化
すると、一時的に負圧が発生し、エアレーションが発生
し易いので、本発明では、その様な圧力の急変を低減す
る(負圧の発生を防止する)目的で、差圧制御弁の下流
側にて背圧を付加している。これにより、圧力の急変を
低減して、エアレーションの発生を抑制できるので、高
いブレーキ性能を確保することができる。
【0026】(11)請求項11の発明では、圧損付加
機構が、オリフィスである。本発明は、前記請求項10
の発明を例示したものであり、圧力付加機構として、オ
リフィスを採用している。つまり、差圧制御弁の下流側
に、オリフィスを配置することにより、背圧を付加する
ことができるので、エアレーションの発生を防止するこ
とができる。
【0027】(12)請求項12の発明では、圧損付加
機構が、付勢手段(例えばバネ)により付勢された補助
弁体である。本発明は、前記請求項10の発明を例示し
たものであり、圧力付加機構として、付勢手段により付
勢された補助弁体(いわゆるメカ弁)を採用している。
つまり、差圧制御弁の下流側にメカ弁を配置することに
より、バネ等の付勢力により背圧を付加することができ
るので、エアレーションの発生を防止することができ
る。
【0028】(13)請求項13の発明では、可動子の
動作により作動する弁体の着座位置近傍おける振動を抑
制する振動抑制機構を設けている。例えば、前記TRC
制御、VSC制御、PAB制御を行なう際に、差圧制御
弁の上流側が高圧で下流側が低圧のときに、例えばブレ
ーキペダルを戻した場合には、ブレーキ液の高速の流れ
によって、(弁体の着座位置近傍において)弁体が振動
すると、エアレーションが発生することがある。
【0029】そこで、本発明では、弁体の着座位置近傍
における振動を抑制する振動抑制機構を設けている。こ
れにより、エアレーションの発生を防止して、ブレーキ
性能を確保することができる。 (14)請求項14の発明は、振動抑制機構が、可動子
と弁体とを一体に接続する構成である。
【0030】本発明は、前記請求項13の発明を例示し
たものであり、振動抑制機構として、可動子と弁体とを
一体に接続した構成を採用できる。つまり、弁体単体で
あれば、通常軽量であるので振動し易いが、可動子と弁
体とを一体に接続した場合には、その接続体の寸法が長
くしかも大きな重量となるので、振動が発生し難い。こ
れにより、エアレーションの発生を防止することができ
る。
【0031】(15)請求項15の発明では、振動抑制
機構が、弁体が内嵌する筒状体により、弁体を摺動可能
に支持する構成である。本発明は、前記請求項13の発
明を例示したものであり、振動抑制機構として、弁体が
内嵌する筒状体により、弁体を摺動可能に支持する構成
を採用できる。
【0032】つまり、筒状体により、弁体の外側から弁
体を摺動可能に支持すれば、弁体に高速なブレーキ液が
当たっても振動し難い。これにより、エアレーションの
発生を防止することができる。 (16)請求項16の発明では、ソレノイドの磁力によ
る可動子に対する横方向の付勢力の影響を低減する横力
影響低減機構を設けている。
【0033】可動子は磁性体であるので、ソレノイドの
磁力によって、可動子は開弁又は閉弁方向(軸方向)移
動するが、その磁力は、可動子を軸方向に移動させるだ
けでなく、横方向にも作用する。ところが、横方向に作
用する力は、可動子とソレノイドとに間隔があると、必
ずしも安定しない。そのため、ソレノイドに加える電流
を増加させた場合と減少させた場合とでは、必ずしも所
望の開閉の弁動作が行われず、結果として、差圧制御弁
により所望の差圧が実現できないという問題がある。つ
まり、電流の増加又は減少により、設定できる差圧にヒ
ステリシスが発生することがある。
【0034】そこで、本発明では、横力影響低減機構に
より、可動子に加わる磁力による横力の影響を低減する
ので、上述したヒステリシスをなくして、例えば図23
に示す様に、ソレノイドに印加する電流値を決めれば、
所定の差圧を一義的に設定することが可能となる。
【0035】(17)請求項17の発明では、横力影響
低減機構が、ソレノイドにより発生する磁束の磁路外に
て、可動子を摺動可能に支持する構成である。本発明
は、前記請求項16の発明を例示したものであり、横力
影響低減機構として、ソレノイドの磁束の磁路外にて、
可動子を摺動可能に支持する構成を採用できる。
【0036】つまり、ソレノイドの磁路外で可動子を支
持すれば、当然ながら、ソレノイドの磁力による影響は
少ないので、その横力による影響を受けることも少な
く、結果として、上述したヒステリシスをなくして、印
加電流と差圧との決まった関係を確保することができ
る。
【0037】(18)請求項18の発明では、横力影響
低減機構が、可動子の周囲に非磁性部材を配置し、非磁
性部材を摺動可能に支持する構成である。本発明は、前
記請求項16の発明を例示したものであり、横力影響低
減機構として、可動子の周囲に非磁性部材を配置し、非
磁性部材を摺動可能に支持する構成を採用できる。
【0038】つまり、摺動可能に支持される部材は、非
磁性体であるので、当然ながら、ソレノイドの磁力によ
る影響は少なく、よって、その横力による影響を受ける
ことも少ない。その結果、上述したヒステリシスをなく
して、印加電流と差圧との決まった関係を確保すること
ができる。
【0039】(19)請求項19の発明では、可動子の
動作により作動する弁体のニードル先端部に、開弁時の
圧損を低減する圧損低減構造を設けている。例えば図2
6(a)に示す様に、先が尖って鋭角となっている従来
の弁体のニードル先端部の形状の場合には、開弁時に圧
損が生じ易い。
【0040】そこで、本発明では、ニードル先端部に圧
損低減構造を設けているので、開弁時の圧損を低減する
ことができる。この圧損を低減することにより、ブレー
キ解除時の応答遅れを改善できるという利点がある。 (20)請求項20の発明では、圧損低減構造が、ニー
ドル先端部を鈍角にする構成である。
【0041】本発明は、前記請求項19の発明を例示し
たものであり、圧損低減構造として、例えば図26
(c)に示す様に、ニードル先端部を鈍角にする構成を
採用している。これにより、開弁時の圧損を低減でき
る。 (21)請求項21の発明では、圧損低減構造が、ニー
ドル先端部を平坦にカットする構成である。
【0042】本発明は、前記請求項19の発明を例示し
たものであり、圧損低減構造として、例えば図26
(b)に示す様に、ニードル先端部を平坦にカット(例
えば弁体と軸方向に垂直にカット)する構成を採用して
いる。これにより、開弁時の圧損を低減できる。
【0043】(22)請求項22の発明では、圧損低減
構造が、ニードル先端部を滑らかにカーブさせる構成で
ある。本発明は、前記請求項19の発明を例示したもの
であり、圧損低減構造として、例えば図26(d)に示
す様に、ニードル先端部を滑らかにカーブさせる(従っ
て鈍角となる)構成を採用している。これにより、開弁
時の圧損を低減できる。
【0044】(23)請求項23の発明は、請求項1〜
22のいずれかに記載の差圧制御弁の検査方法であっ
て、可動子と、可動子の動作により作動する弁体と、弁
体を付勢するバネと、弁体のガイドと、を備えた差圧制
御弁の基本構造体に対して、検査に用いるソレノイド及
びスリーブを、可動子の外周に配置する工程と、弁体の
先端に、検査用ソレノイドの磁力による弁体の押圧力を
測定する測定手段(例えば荷重計)を配置する工程と、
検査用ソレノイドに通電し、そのときの弁体の押圧力を
測定手段により測定する工程と、を備えている。
【0045】本発明では、可動子、弁体、バネ及びガイ
ドを備えた基本構造体の性能をチェックするために、そ
れらに、検査用ソレノイド及びスリーブを取り付けて、
実際に作動させる。具体的には、ソレノイドに電流を印
加し、その時のソレノイドに発生する磁力によって作動
する弁体の押圧力を測定手段により測定する。
【0046】これにより、印加する電流と弁体の押圧力
との関係が分かるので、その測定結果に応じて、後述す
る請求項24〜28の発明等の各種の調整を行なって、
所望のソレノイドの吸引力特性を有する差圧制御弁を得
ることができる。 (24)請求項24の発明は、請求項1〜22のいずれ
かに記載の差圧制御弁の調整方法であって、ソレノイド
に通電する電流とソレノイドの磁力による弁体の押圧力
とが、所定の関係を満たす様に、押圧力と反対方向に弁
体を付勢するバネのオフセット荷重を調整する。
【0047】例えば前記請求項23の発明により、例え
ば図29に示す様な印加電流と弁体の押圧力(荷重)と
の関係(図の実線で示す計測値)が得られた場合には、
バネ(例えばリターンスプリング)のオフセット荷重を
調節することにより、所望のソレノイドの吸引力特性
(図の破線で示す)に一致させることができる。
【0048】(25)請求項25の発明は、請求項1〜
22のいずれかに記載の差圧制御弁の調整方法であっ
て、ソレノイドに通電する電流とソレノイドの磁力によ
る弁体の押圧力とが、所定の関係を満たす様に、ソレノ
イド吸引力特性の勾配を調整する。
【0049】例えば前記請求項23の発明により、例え
ば図30に示す様な印加電流と弁体の押圧力(荷重)と
の関係(図の実線で示す計測値)が得られた場合には、
例えば磁路の状態を調節することにより、所望の勾配の
ソレノイドの吸引力特性(図の破線で示す)とすること
ができる。
【0050】(26)請求項26の発明は、請求項1〜
22のいずれかに記載の差圧制御弁の調整方法であっ
て、ソレノイドに通電する電流とソレノイドの磁力によ
る弁体の押圧力とが、所定の関係を満たす様に、押圧力
と反対方向に弁体を付勢するバネのオフセット荷重を調
整するとともに、ソレノイド吸引力特性の勾配を調整す
る。
【0051】本発明は、前記請求項24と請求項25の
発明を組み合わせたものであり、これにより、例えば図
31に示す様に、オフセット荷重を調節してソレノイド
の吸引力特性を平行移動させ、且つ、磁路の状態を調節
して、吸引力特性の勾配を変化させることにより、所望
の吸引力特性を実現できる。
【0052】(27)請求項27の発明では、バネのオ
フセット荷重の調整を、バネのオフセット長を変える調
整シムの厚さを変更することにより行なう。本発明は、
前記請求項24又は26の発明を例示したものであり、
バネのオフセット長を変える調整シムの厚さを変更する
ことにより、バネのオフセット荷重を調整する。
【0053】つまり、バネと他の部材との間に調整シム
をかませることにより、バネの押圧力が変化するので、
この調整シムの厚さを変えることにより、オフセット荷
重を変更することができる。 (28)請求項28の発明では、バネのオフセット荷重
の調整を、バネのオフセット長を変えるラチェットの係
合組み合せ位置を変更することにより行なう。
【0054】本発明は、前記請求項24又は26の発明
を例示したものであり、バネのオフセット長を変えるラ
チェットの係合組み合せ位置を変更することにより、バ
ネのオフセット荷重を調整する。つまり、バネと他の部
材との間の相対距離を、ラチェット機構の係合状態を段
階的に変えて変更することにより、バネの押圧力が変化
するので、このラチェットの係合の組み合せを変えるこ
とにより、オフセット荷重を変更することができる。
【0055】(29)請求項29の発明では、ソレノイ
ド吸引力特性の勾配の調整を、磁路の状態を変える調整
プレートを変更することにより行なう。本発明は、前記
請求項25又は26の発明を例示したものであり、磁路
の状態を変える調整プレートを変更することにより、ソ
レノイド吸引力特性の勾配の調整を行なう。
【0056】例えば磁束が貫通する経路(磁路)の幅を
変更する調整プレートを変えることにより、印加電流を
変化させなくても磁力を調整できるので、これにより、
ソレノイドの吸引力特性の勾配を変更できる。 (30)請求項30の発明では、ソレノイド吸引力特性
の勾配の調整を、可動子と固定子との間のエアギャップ
量を変更して磁路の状態を変えることにより行なう。
【0057】本発明は、前記請求項25又は26の発明
を例示したものであり、磁路の状態を変える可動子と固
定子との間のエアギャップ量を変更することにより、ソ
レノイド吸引力特性の勾配の調整を行なう。例えば弁座
の圧入位置を変更することにより、磁気回路上のエアギ
ャップを調整でき、印加電流を変化させなくても磁力を
調整できるので、これにより、ソレノイドの吸引力特性
の勾配を変更できる。
【0058】(31)請求項31の発明では、車両制動
時に、ブレーキ液圧発生手段(例えばマスタシリンダ)
にてブレーキ液圧が発生すると、このブレーキ液圧は、
車輪制動力発生手段(例えばホイールシリンダ)に伝達
されて、車輪制動力が発生する。また、必要に応じて、
ブレーキ液移動手段(例えばポンプ)により、ブレーキ
液圧発生手段側から車輪制動力発生手段側にブレーキ液
を移動させる。
【0059】そして、この車両用ブレーキ装置におい
て、ブレーキ液圧発生手段と車輪制動力発生手段側との
間の管路に、請求項1〜22のいずれかに記載の差圧制
御弁を配置し、この差圧制御弁により区分された車輪制
動力発生手段側のブレーキ液圧を増圧可能としている。
【0060】つまり、差圧制御弁により管路を区分した
状態で、ブレーキ液移動手段によりブレーキ液を車輪制
動力発生手段側に移動させることにより、車輪制動力発
生手段側のブレーキ液圧を増大させるとともに、差圧制
御弁により、ブレーキ液圧発生手段側と車輪制動力発生
手段側とのブレーキ液圧の差圧を調節することができ
る。
【0061】(32)請求項32の発明では、車両制動
時に、ブレーキ液圧発生手段(例えばマスタシリンダ)
にてブレーキ液圧が発生すると、このブレーキ液圧は、
車輪制動力発生手段(例えばホイールシリンダ)に伝達
されて、車輪制動力が発生する。
【0062】そして、この車両用ブレーキ装置におい
て、ブレーキ液圧発生手段と車輪制動力発生手段側との
間の管路に、請求項1〜22のいずれかに記載の差圧制
御弁を配置し、差圧制御弁により区分された車輪制動力
発生手段側のブレーキ液圧を減圧可能としている。
【0063】つまり、差圧制御弁は、差圧制御弁が配置
された管路の両側のブレーキ液圧の差圧を調節できるも
のであるので、ブレーキ液圧発生手段側より車輪制動力
発生手段側のブレーキ液圧の方が小さくなる様に、差圧
制御弁を接続すれば、車輪制動力発生手段側のブレーキ
液圧をブレーキ液圧発生手段側よりも減圧することがで
きる。
【0064】
【発明の実施の形態】以下、本発明の差圧制御弁及び車
両用ブレーキ装置の好適な実施の形態を、例(実施例)
を挙げて図面に基づいて詳細に説明する。 (実施例1) a)まず、差圧制御弁について説明する。
【0065】図3に示す様に、本実施例の差圧制御弁1
は、ソレノイド2に通電することによって駆動される電
磁弁である。この差圧制御弁1は、ソレノイド2によっ
て駆動される可動子(プランジャ)3と、プランジャ3
の外周を覆ってプランジャ3を摺動可能に保持するスリ
ーブ4と、プランジャ3の移動に伴って押圧されて移動
する棒状の制御ピストン6と、制御ピストン6の外周を
覆って制御ピストン6を摺動可能に保持するガイド7と
を備えている。
【0066】このうち、ソレノイド2は、印加される電
流の大きさに比例して図の破線で示す磁束の量(磁束
量)が変化するものであり、その外周を覆う様に、磁束
が貫通するヨーク8が配置されている。前記スリーブ4
は、非磁性体のステンレス製であり、前記プランジャ3
の矢印B方向への移動を所定量に規制するために、図3
の上端側が閉塞され、下端側はガイド7の上端に外嵌さ
れている。
【0067】前記制御ピストン6は、非磁性体のステン
レスからなるボディバルブ(弁体)であり、上端側の太
径部6a、下端側の小径部6b、更に小径部6bの先端
側に位置する円錐状のニードル先端部6cから構成され
ている。そして、このニードル先端部6cが、ガイド7
の中空部11に内嵌された筒状の弁座12の(弁部オリ
フィスである)連通孔13を閉鎖して、ブレーキ液の流
路を閉ざす様に構成されている。尚、制御ピストン6は
バネ14により、矢印B方向(即ち開弁方向)に付勢さ
れている。
【0068】前記ガイド7は、プランジャ3が吸引され
る側の固定子であり。制御ピストン6が摺動する中空部
11は、その下端の先端連通孔16を介して、図5に示
すポンプ36側及びホイールシリンダ32側に連通する
とともに、側面連通孔17を介してマスタシリンダ31
側(図5参照)に連通している。
【0069】特に本実施例では、図4にその要部である
磁気ショート構造を示す様に、プランジャ3の下端面3
aには、制御ピストン6を押圧可能な円柱状の凸部21
が設けられるとともに、ガイド7の上端面7aには、そ
の凸部21と嵌合可能な様に、円柱状に凹部22が設け
られている。
【0070】そして、図4(a)に示す様に、ソレノイ
ド2の非通電時には、プランジャ3の下端面3aとガイ
ド7の上端面7aとが、一定の間隔を保つ様に設定され
ており、その場合、凸部21と凹部22とは、その平行
な側面にて、わずかにわたり重なり合っている。尚、下
端面3aと上端面7aとの間隔が、いわゆるギャップと
呼ばれるプランジャストロークの最大値(PS1)であ
る。
【0071】また、図4(b)に示す様に、ソレノイド
2の通電時は、プランジャ3は図の下方(矢印A方向;
閉弁方向)に移動して制御ピストン6を同方向に移動さ
せるが、その結果、ピストン6が弁座12に着座して、
プランジャ3の矢印A方への動きが停止する様に設定さ
れている。この着座により、下端面3aと上端面7aと
の間隔は、プランジャストロークの最小値(PS0)と
なる。
【0072】b)次に、上述した構成の差圧制御弁1が
用いられる車両用ブレーキ装置について説明する。尚、
ここでは、4輪のうちの1輪の構成を例に挙げて説明す
る。図5に示す様に、本実施例の差圧制御弁1は、マス
タシリンダ(M/C)31とホイールシリンダ(W/
C)32とを接続する管路33に配置されており、この
差圧制御弁1を迂回する管路34には、吸入側をマスタ
シリンダ31側とし、吐出側をホイールシリンダ32側
とするように、ポンプ36が配置されている。尚、マス
タシリンダ31には、踏力を倍力するブレーキブースタ
37を介して、ブレーキペダル38が接続されている。
【0073】従って、この車両用ブレーキ装置は、差圧
制御弁1を作動させた状態でポンプ36を作動させるこ
とにより、マスタシリンダ圧(M/C圧)よりホイール
シリンダ圧(W/C圧)を高めることができる。尚、こ
の車両用ブレーキ装置は、図示しないが、電子制御装置
(ECU)により、各種のセンサ、例えば車輪速度を検
出する車輪速度センサ、車両の速度を検出する車速セン
サ、マスタシリンダ圧を検出するマスタシリンダ圧セン
サ、ホイールシリンダ圧を検出するホイールシリンダ圧
センサ、ブレーキブースタ37に導入される負圧を検出
する負圧センサ、ブレーキペダル38の踏力を検出する
踏力センサ、搭載される荷物等の荷重を検出する荷重セ
ンサ等からの信号に基づいて、各種の電磁弁やポンプ3
6等のアクチュエータを駆動して、後述する各種の制御
を実行する。
【0074】c)次に、前記差圧制御弁1の基本動作を
説明する。 マスタシリンダ圧よりもホイールシリンダ圧を増大さ
せる場合、つまり、マスタシリンダ圧とホイールシリン
ダ圧との間に差圧を発生させる場合には、前記図5に示
す様に、ポンプ36を作動させて、ブレーキ液をマスタ
シリンダ31側からホイールシリンダ32側に送るとと
もに、差圧制御弁1のソレノイド2に通電して、差圧制
御弁1を作動させる。
【0075】このソレノイド2への通電により、電磁力
(吸引力F)によって、プランジャ3はバネ14の付勢
力に抗して図5の下方(矢印A方向)に移動し、一旦弁
座12に着座する。この着座したときには、下記式
(1)が成立する。
【0076】A(P2−P1)=F …(1) 但し、A;弁座の連通孔の受圧面積 P2;ホイールシリンダ圧 P1;マスタシリンダ圧 従って、ソレノイド2に通電し且つポンプ36を作動さ
せることにより、下記式(2)の様に、ホイールシリン
ダ圧(P2)を増圧することができる。
【0077】P2=P1+F/A …(2) また、後に詳述するが、ソレノイド2に通電する電流値
(I)に正確に比例して吸引力が発生する。よって、前
記式(2)から、図6に示す様に、電流値を増減させる
ことによって、吸引力を変化させて、マスタシリンダ圧
とホイールシリンダ圧との関係を調節することができ
る。
【0078】次に、ソレノイド2に通電する電流値に
正確に比例して吸引力が発生する理由を説明する。通
常、プランジャ3及びガイド7を貫く磁束は、プランジ
ャ3の移動に伴って変化する。つまり、ソレノイド2へ
の通電直後は、プランジャ3とガイド7とはやや離れて
いるので、プランジャ3とガイド7とを貫く磁束量は少
ないが、その後、プランジャ3がガイド7に近づくに連
れて、プランジャ3とガイド7とを貫く磁束量は増加し
てゆく。
【0079】ところが、本実施例の場合、プランジャ3
及びガイド7には、互いに嵌合する凸部21及び凹部2
2が設けてあるので、プランジャ3はガイド7に接近す
ると、凸部21及び凹部22の平行な側面において重な
り合う領域が増加する。そのため、図7(a)〜(c)
に磁束の変化を示す様に、プランジャ3がガイド7に接
近した場合でも、プランジャ3の移動方向(矢印A方
向)の磁束量は増加せずに、凸部21及び凹部22の側
面間、即ち移動方向とは垂直方向(径方向)の磁束量が
増大する。
【0080】つまり、プランジャ3の移動にともなう磁
束の変化は、移動方向の磁束量が変化せずに、径方向の
磁束量が変化するのみである。よって、プランジャ3が
ガイド7に接近しても、そのプランジャ3を吸引する吸
引力は増加せず、常に安定した力で、プランジャ3はガ
イド7側に吸引されることになる。そのため、一定の力
で制御ピストン6が下方に付勢されることになるので、
差圧制御弁1においては、常に一定の差圧を発生させる
ことができる。
【0081】このことを前記図1の実線で示すが、本実
施例では、プランジャストロークが変化しても吸引力が
変化しないので、あるマスタシリンダ圧に対して常に所
定のホイールシリンダ圧となる関係を保持することがで
きる。また、その吸引力は、ソレノイド2に通電する電
流値によって調節することができるので、電流値を調節
することにより、所定の制御範囲において、前記図6に
示した様に、マスタシリンダ圧とホイールシリンダ圧と
の関係を任意に設定することができる。
【0082】また、前記図2の実線に示す様に、実使用
領域において、電流値が低い場合でも、電流値に応じて
吸引力を設定することができるので、低い電流値でも差
圧の制御を精密に行うことができる。 d)次に、上述した差圧制御弁1を用いた車両用ブレー
キ装置における制御処理について、図8,図9のフロー
チャートに基づいて説明する。
【0083】ここでは、ホイールシリンダ圧をマスタ
シリンダ圧より増加させて、制動力を増大する圧力増幅
アシストブレーキ制御(PAB)について説明する。ま
ず、図8のステップ100にて、ブレーキペダル38が
踏まれて、図示しないストップスイッチがオン(ON)
となったか否かを判定する。ここで、肯定判断されると
ステップ110に進み、一方否定判断されると一旦本処
理を終了する。
【0084】ステップ110では、本圧力増幅アシスト
ブレーキ制御を実施する条件が満たされたか否かを判定
する。ここで肯定判断されるとステップ120に進み、
一方否定判断されると一旦本処理を終了する。この判定
条件としては、例えば、ペダルストローク速度が所定値
(XAmm/sec)以上か否か、あるいは踏力変化速
度が所定値(XBkgf/sec)以上か否か等が挙げ
られる。
【0085】ステップ120では、図示しないポンプモ
ータをオンして、ポンプ36を作動させる。続くステッ
プ130では、踏力から目標油圧を算出する。続くステ
ップ140では、目標油圧から差圧制御弁1に印加する
電流値を算出する。あるいは、その電流値に対応した電
流値(又はデューティ比)を算出する。
【0086】続くステップ150では、算出した電流値
(又はデューティ比)に基づいて、ソレノイド2に印加
する電流を制御して、差圧制御弁1を駆動する。続くス
テップ160では、本圧力増幅アシストブレーキ制御を
終了するための終了条件が満たされたか否かを判定す
る。ここで、肯定判断されるとステップ170に進み、
一方否定判断されると前記ステップ130に戻る。この
判定条件としては、例えば、踏力減少量が所定値XCを
上回るか否か、あるいは踏力が所定値XDを下回るか否
か等が挙げられる。
【0087】ステップ170では、ソレノイド2への通
電をオフ(OFF)して、差圧制御弁1の作動を停止す
る。これにより、差圧制御弁1は完全に開弁する。続く
ステップ180では、ポンプモータをオフして、ポンプ
36の作動を停止し、一旦処理を終了する。
【0088】よって、上述した制御により、ホイールシ
リンダ圧をマスタシリンダ圧より高めて制動力を高める
ことができる。 次に、ブレーキペダル38の踏力を倍力するブレーキ
ブースタ37の失陥時の制御について説明する。
【0089】まず、ブレーキブースタ37は大気を導入
する大気室と負圧を導入する負圧室との差により駆動さ
れるが、ステップ200にて、その負圧室の圧力(内
圧)が、所定値(−XEmmHg)を上回るか否かを判
定する。ここで、肯定判断されると、必要な内圧が得ら
れていない、即ちブレーキブースタ37の失陥時である
として、ステップ210に進む。一方、否定判断される
と、ブレーキブースタ37は正常であるとして、一旦本
処理を終了する。
【0090】ステップ210では、ブレーキペダル38
が踏まれて、ストップスイッチがオンとなったか否かを
判定する。ここで、肯定判断されるとステップ220に
進み、一方否定判断されると一旦本処理を終了する。ス
テップ220では、ポンプモータをオンして、ポンプ3
6を作動させる。
【0091】続くステップ230では、踏力から目標油
圧を算出する。続くステップ240では、目標油圧から
差圧制御弁1に印加する電流値を算出する。あるいは、
その電流値に対応した電流のデューティ比を算出する。
続くステップ250では、算出した電流値(又はデュー
ティ比)に基づいて、ソレノイド2に印加する電流を制
御して、差圧制御弁1を駆動する。
【0092】続くステップオン260では、本ブレーキ
ブースタ37の失陥時の制御を終了するための終了条件
が満たされたか否かを判定する。ここで、肯定判断され
るとステップ270に進み、一方否定判断されると前記
ステップ220に戻る。この判定条件としては、例え
ば、踏力が所定値(XF)以下であるか否か等が挙げら
れる。
【0093】ステップ270では、ソレノイド2への通
電をオフして、差圧制御弁1の作動を停止する。続くス
テップ280では、ポンプモータをオフして、ポンプ3
6の作動を停止し、一旦処理を終了する。
【0094】よって、上述した制御により、ブレーキブ
ースタ37が失陥した場合に、ホイールシリンダ圧をマ
スタシリンダ圧より高めることにより、ブレーキブース
タ37の差圧を利用した倍力作用に代わって制動力を高
めることができる。 更に、上述した車両用ブレーキ装置を利用して、高G
助勢の制御、即ち踏力が高く、ブレーキブースタ37の
助勢力を使いきった領域にて、倍力作用をする制御を行
うことができる。
【0095】この高G助勢の制御は、前記図8に示す制
御とほぼ同様であるので、詳しい説明は省略するが、前
記図8のステップ110の制御実行条件及びステップ1
60の制御終了条件が異なる。つまり、制御実行条件と
して、マスタシリンダ圧が所定値(XGbar)を上回
るか否か、あるいはブレーキブースタ37内の差圧が所
定値(XHmmHg)を下回るか否か等の条件を採用で
きる。
【0096】また、制御終了条件として、マスタシリン
ダ圧が所定値(XGbar)を下回るか否か、あるいは
ブレーキブースタ37内の差圧が所定値(XHmmH
g)を上回るか否か等の条件を採用できる。この様に、
本実施例では、プランジャ3及びガイド7に、互いに嵌
合する凸部21及び凹部22からなる磁気ショート構造
が設けてあるので、ソレノイド2に通電してプランジャ
3を移動させた場合でも、吸引力が変化しない。そのた
め、差圧制御弁1はソレノイド2に印加する電流値に応
じて、電流値の低い値から高い値まで、精密に差圧を設
定することができる。
【0097】また、この様に、差圧制御弁1により差圧
を正確に設定できるので、この差圧制御弁1を用いた車
両用ブレーキ装置では、圧力増幅アシストブレーキ制
御、ブレーキブースタ37の失陥時の制御、高G助勢の
制御を好適に行うことができる。
【0098】(実施例2)次に、実施例2について説明
するが、前記実施例1と同様な箇所の説明は省略又は簡
略化する。本実施例は、前記実施例1の差圧制御弁を他
の車両用ブレーキ装置に適用したものである。
【0099】この車両用ブレーキ装置は、周知のアンチ
スキッド制御(ABS)やトラクション制御(TRC)
に加え、旋回時の車両挙動を制御する旋回時制御(VS
C)を行なうことができる車両用ブレーキ装置である。
図10に示す様に、この車両用ブレーキ装置は、タンデ
ム型のマスタシリンダ41を有し、このマスタシリンダ
41には、ブレーキブースタ42を介してブレーキペダ
ル43が接続されている。
【0100】マスタシリンダ41には、マスタリザーバ
46が接続されるとともに、X配管(ダイアゴナル配
管)の油圧2系統で構成されてブレーキ油圧を調節する
油圧制御回路50が接続されており、油圧制御回路50
は、第1油圧配管51a及び第2油圧配管51bから構
成されている。
【0101】前記油圧制御回路50では、第1油圧配管
51aを経て右前(FR)輪のホイールシリンダ55と
左後(RL)輪のホイールシリンダ56とが連通されて
いる。また、第2油圧配管51bを経て右後(RR)輪
のホイールシリンダ57と左前(FL)輪のホイールシ
リンダ58とが連通されている。
【0102】前記第1油圧配管51aには、FR輪のホ
イールシリンダ55の油圧を制御するための周知の増圧
制御弁61及び減圧制御弁65と、RL輪のホイールシ
リンダ56の油圧を制御するための増圧制御弁62及び
減圧制御弁66とが設けられ、第2油圧配管51bに
は、RR輪のホイールシリンダ57の油圧を制御するた
めの増圧制御弁63及び減圧制御弁67と、FL輪のホ
イールシリンダ58の油圧を制御するための増圧制御弁
64及び減圧制御弁68とが設けられている。
【0103】ここで、第1油圧配管51aについて説明
する。各増圧制御弁61,62よりマスタシリンダ41
側には、前記実施例1と同様の差圧制御弁71が配置さ
れている。この差圧制御弁71により、(SRC弁74
の開状態で)油圧ポンプ78を駆動させた場合には、油
圧経路75a側の油圧をマスタシリンダ41側よりも任
意の圧力分を高くすることが可能となる。
【0104】更に、第1の油圧配管51aには、各減圧
制御弁65,66から排出されたブレーキ油を一時的に
蓄えるリザーバ76と、ブレーキ油を油圧経路75aに
圧送するための油圧ポンプ78が備えられている。尚、
油圧ポンプ78からのブレーキ油の吐出経路には、内部
の油圧の脈動を抑えるダンパ87が設けられている。
【0105】また、第1油圧配管51aには、ホイール
シリンダ圧を加圧する際に、マスタシリンダ41から油
圧ポンプ78に直接ブレーキ油を供給するための油圧経
路79aが設けられ、この油圧経路79aには、その油
圧経路79aを連通・遮断するカットバルブ(SRC
弁)74が設けられている。
【0106】一方、第2油圧配管51bには、前記第1
油圧配管51aと同様に、増圧制御弁63,64、減圧
制御弁67,68、差圧制御弁72、リザーバ77、油
圧ポンプ79、ダンパ88、SRC弁75等が、同様な
箇所に設けられている。尚、前記両油圧ポンプ78,7
9は、電動ポンプモータ81に連結されて駆動される構
成となっている。
【0107】b)次に、本実施例における制御処理につ
いて、図11のフローチャートに基づいて説明する。
尚、ここでは、TRC制御について説明する。図11の
ステップ300では、ブレーキペダル43が踏まれて、
図示しないストップスイッチがオフとなったか否かを判
定する。ここで、肯定判断されるとステップ310に進
み、一方否定判断されると一旦本処理を終了する。
【0108】ステップ310では、駆動輪車輪速度Va
が転動輪車輪速度Vbより大であるか否か、即ちスリッ
プ状態が過大であるか否かを判定する。ここで、肯定判
断されるとステップ320に進み、一方否定判断される
と一旦本処理を終了する。ステップ320では、ポンプ
モータ81をオンして、ポンプ78,79を作動させ
る。
【0109】続くステップ330では、図示しないソレ
ノイドに通電して、差圧制御弁71,72、SRC弁7
4,75を駆動する。続くステップ340では、増圧制
御弁61〜64及び減圧制御弁65〜68を制御して、
駆動輪車輪速度Vaを制御する。
【0110】続くステップ350では、駆動輪車輪速度
Vaが転動輪車輪速度Vbと同じであるか否かを判定す
る。ここで、肯定判断されるとステップ360に進み、
一方否定判断されると前記ステップ340に進む。ステ
ップ360では、ポンプモータ81をオフして、ポンプ
78,79の作動を停止する。
【0111】続くステップ370では、ソレノイドへの
通電をオフして、差圧制御弁71,72、SRC弁7
4,75の作動を停止し、一旦本処理を終了する。この
様に、本実施例では、上述した車両用ブレーキ装置に差
圧制御弁71,72を用いるので、TRC制御等の各種
の制御を、差圧制御弁71,72のソレノイドに印加す
る電流を調節することにより、精密に行うことができ
る。
【0112】(実施例3)次に、実施例3について説明
するが、前記実施例1と同様な箇所の説明は省略又は簡
略化する。本実施例は、前記実施例1の差圧制御弁の接
続方向を逆にして車両用ブレーキ装置に配置することに
より、後輪側より前輪側のブレーキ液圧を高くすること
ができるものである。
【0113】a)図12に示す様に、本実施例の車両用
ブレーキ装置においては、差圧制御弁91は、マスタシ
リンダ92と後輪側のホイールシリンダ93とを接続す
る管路94に配置されており、管路94から分岐した管
路95には、前輪側のホイールシリンダ94が接続され
ている。
【0114】特に本実施例では、差圧制御弁91の先端
連通孔97(高圧側)が、マスタシリンダ92側と前輪
のホイーシリンダ94側に接続され、一方、差圧制御弁
91の側面連通孔98(低圧側)が後輪のホイールシリ
ンダ93側に接続されている。
【0115】b)次に、この車両用ブレーキ装置の動作
を説明する。図示しないソレノイドに通電して、差圧制
御弁91を作動させたときには、図13に示す様に、ソ
レノイドに印加する電流値に応じて、マスタシリンダ圧
と後輪側のホイールシリンダ圧との関係が設定される。
【0116】従って、ブレーキペダル99が踏まれた場
合に、差圧制御弁91を作動させたときには、前輪側の
ホイールシリンダ94には、マスタシリンダ圧がそのま
ま伝わるが、図13の様に、前輪側より後輪側のブレー
キ液圧を任意に低く設定できる。
【0117】そのため、例えば制動時において、後輪側
より前輪側のブレーキ液圧を高めて、いわゆる(車輪ロ
ック時における)前輪先行ロックを実現することがで
き、ロックの車両の制動をより安定して行うことができ
る。また、後輪側と前輪側のブレーキ液圧の差は、ソレ
ノイドに印加する電流の大きさにより任意に設定できる
ので、例えば車両に搭乗する人数や搭載する荷物の荷重
等に応じて、適宜その差圧を設定することにより、前後
制動力配分を車両の最大の制動力が発揮できる配分とし
て、制動時における車両の安定性を高めるとともに、制
動性能を大きく向上することができる。
【0118】c)次に、前記車両用ブレーキ装置におけ
る制御処理を、図14のフローチャートに基づいて説明
する。尚、本制御は、制動力配分を調節する制御であ
る。図14のステップ400にて、例えば荷重センサか
らの信号に基づいて、車両の積載量を検出する。
【0119】続くステップ410では、図示しないブレ
ーキスイッチがオンであるか否かを判定し、ここで肯定
判断されるとステップ420に進み、一方否定判断され
ると一旦本処理を終了する。ステップ420では、踏力
センサからの信号に基づいて、踏力を検出する。
【0120】ステップ430では、踏力と積載状態とに
基づいて、目標油圧を算出する。続くステップ440で
は、目標油圧と踏力とに基づいて、差圧制御弁91のソ
レノイドに印加する電流値(あるいはそのデューティ
比)を算出する。続くステップ450では、算出した電
流値(あるいはそのデューティ比)に基づき、差圧制御
弁91を駆動する。
【0121】続くステップ460では、ブレーキスイッ
チがオンか否かを判定し、ここで肯定判断されると前記
ステップ410に戻り、一方否定判断されるとステップ
470に進む。ステップ470では、ソレノイドをオフ
して、差圧制御弁91の駆動を停止し、一旦本処理を終
了する。
【0122】つまり、この様な制御により、好適な制動
力配分にて、優れた制動性能を発揮することができる。
また、この様に制動力配分を行うことにより、例えば車
両の搭載荷重が変化した場合でも、同じ踏力で同様な制
動力を実現することができる。
【0123】(実施例4)次に、実施例4について説明
するが、前記実施例1と同様な箇所の説明は省略又は簡
略化する。本実施例は、前記実施例1とは、差圧制御弁
の磁気ショート構造が異なっている。
【0124】図15(a)に示す様に、本実施例の差圧
制御弁101においては、スリーブ102に内嵌された
プランジャ103の下端の凸部104には、プランジャ
103及びガイド105に内嵌された制御ピストン10
6の移動方向(図の上下方向)から傾斜した凸側テーパ
部104aが形成されている。一方、ガイド105の上
端の凹部108には、凸側テーパ部104aと平行な凹
側テーパ部108aが形成されている。それにより、図
に示す磁気ショート構造が形成されている。
【0125】本実施例の差圧制御弁101においても、
プランジャ103の図の下方への移動により、磁束量が
増加するが、その増加分は、凸側テーパ部104aと凹
側テーパ部108aとの間の磁束量であり、プランジャ
103の移動方向の磁束量はそれほど増加することがな
い。
【0126】よって、プランジャ103の移動によって
吸引力が増加することがないので、前記実施例1と同様
に、差圧制御弁101により差圧の設定を精密に行うこ
とができる。 (実施例5)次に、実施例5について説明するが、前記
実施例1と同様な箇所の説明は省略又は簡略化する。
【0127】本実施例は、前記実施例1とは、差圧制御
弁の磁気ショート構造が異なっている。図15(b)に
示す様に、本実施例の差圧制御弁111においては、ス
リーブ112に内嵌されたプランジャ113の下端に
は、円柱状の凹部114が設けられ、ガイド115の上
端には、円筒状の凸部116が設けられ、その凸部11
6を貫通する様に、ガイド115に制御ピストン117
が内嵌されている。それにより、図に示す磁気ショート
構造が形成されている。
【0128】本実施例の差圧制御弁111においても、
プランジャ113の図の下方への移動により、磁束量が
増加するが、その増加分は、凹部114と凸部116と
の間の磁束量であり、プランジャ113の移動方向の磁
束量はそれほど増加することがない。
【0129】よって、プランジャ113の移動によって
吸引力が増加することがないので、前記実施例1と同様
に、差圧制御弁111により差圧の設定を精密に行うこ
とができる。 (実施例6)次に、実施例6について説明するが、前記
実施例1と同様な箇所の説明は省略又は簡略化する。
【0130】本実施例は、前記実施例1とは、差圧制御
弁の磁気ショート構造が異なっている。図15(c)に
示す様に、本実施例の差圧制御弁121においては、ス
リーブ122に内嵌されたプランジャ123は、バネ1
24により図の上方に付勢されており、このプランジャ
123の下端には、先端が円錐状になった円柱状の凸部
125が設けられている。一方、ガイド126の中空部
127には、凸部125の円錐状の部分に対応して段差
128が設けられている。それにより、図に示す磁気シ
ョート構造が形成されている。
【0131】本実施例の差圧制御弁121においても、
プランジャ123の図の下方への移動により、磁束量が
増加するが、その増加分は、凸部125の先端部分と段
差128との間の磁束量であり、プランジャ123の移
動方向の磁束量はそれほど増加することがない。
【0132】よって、プランジャ123の移動によって
吸引力が増加することがないので、前記実施例1と同様
に、差圧制御弁121により差圧の設定を精密に行うこ
とができる。 (実施例7)次に、実施例7について説明するが、前記
実施例1と同様な箇所の説明は省略又は簡略化する。
【0133】本実施例は、前記実施例1とは、差圧制御
弁の磁気ショート構造が異なっている。図15(d)に
示す様に、本実施例の差圧制御弁131においては、ス
リーブ132に内嵌されたプランジャ133の下端には
凹凸がなく平坦となっている。一方、制御ピストン13
4が内嵌されたガイド135の上端も平坦である。
【0134】特に、本実施例では、スリーブ132のほ
ぼ全体は磁性体であるが、下端側の一部には環状に非磁
性体が配置されている。つまり、プランジャ133が上
方に移動した場合にその下端の位置と前記非磁性体の下
端の位置とが、ほぼ同じ位置に設定されている。それに
より、図に示す磁気ショート構造が形成されている。
【0135】本実施例の差圧制御弁131においても、
プランジャ133の図の下方への移動により、磁束量が
増加するが、その増加分は、プランジャ133の下部と
スリーブ132の磁性体の下部132aとの間の磁束量
であり、プランジャ133の移動方向の磁束量はそれほ
ど増加することがない。
【0136】よって、プランジャ133の移動によって
吸引力が増加することがないので、前記実施例1と同様
に、差圧制御弁131により差圧の設定を精密に行うこ
とができる。 (実施例8)次に、実施例8について説明するが、前記
実施例1と同様な箇所の説明は省略又は簡略化する。
【0137】本実施例は、前記実施例1とは、差圧制御
弁の磁気ショート構造が異なっている。図16に示す様
に、本実施例の差圧制御弁141においては、プランジ
ャ142を内嵌するスリーブ143の外側には、ソレノ
イド144が配置され、ソレノイド144の外周を覆う
様に、ヨーク145が配置されている。
【0138】特に、本実施例では、ヨーク145の上部
と、プランジャ142が図の上方の移動した場合の上部
の位置とが、ほぼ同じ位置に設定されている。それによ
り、図に示す磁気ショート構造が形成されている。本実
施例の差圧制御弁141においては、図17(a)に示
す様に、プランジャが図の上方に位置している場合に
は、ヨーク145とプランジャとを貫く磁束量は多い
が、図17(b)に示す様に、プランジャ142が図の
下方に移動した場合には、ヨーク145とプランジャ1
42とを貫く磁束量が減少する。
【0139】よって、プランジャ142が前記図16の
下方に移動して、通常なら、プランジャ142とガイド
146との間の磁束量は増加するはずであるが、本実施
例では、前記図17(b)に示す様に、磁気ショート構
造における磁束量が減少するので、図16の破線で示す
全体の磁束量は変化しない。そのため、吸引力が増加す
ることがないので、前記実施例1と同様に、差圧制御弁
141により差圧の設定を精密に行うことができる。
【0140】(実施例9)次に、実施例9について説明
するが、前記実施例1と同様な箇所の説明は省略又は簡
略化する。本実施例では、差圧制御弁の下流側に、圧損
を付加する圧損付加機構としてオリフィスを配置してい
る。
【0141】a)まず、本実施例の差圧制御弁の構成に
ついて説明する。図18に示す様に、本実施例の差圧制
御弁151においては、前記実施例1と同様な磁気ショ
ート構造を備えるとともに、磁気可動子であるプランジ
ャ152と、プランジャ152を磁力により付勢するソ
レノイド153と、弁体である制御ピストン154と、
制御ピストン154を内嵌するガイド156と、制御ピ
ストン154のニードル先端部155が着座する弁座1
57と、制御ピストン154をソレノイド153の付勢
力に抗して図の上方に付勢するバネ(リターンスプリン
グ)158等を備えている。
【0142】特に本実施例では、プランジャ152と制
御ピストン154とは、結合用ピン159により、一体
に接続されている。従って、両者152,154は、常
に一体となって上下動する。また、本実施例では、ポン
プ側(及びホイールシリンダ側)と、制御ピストン15
4が配置されたガイド156の中空部161とは、上流
オリフィス162を有する主連通路163により接続さ
れている。しかも、ホイールシリンダ側とマスタシリン
ダ側とは、チェック弁164を介して接続されている。
【0143】更に、前記中空部161は、下流側連通路
167,168を介してマスタシリンダ側と連通してい
るが、この下流側連通路167,168には、差圧制御
弁151の下流側にて圧損(背圧)を付加するために、
下流オリフィス166,169が設けられている。
【0144】尚、主連通路163に至る流路及び下流側
連通路167,168には、各々フィルタ171,17
2が配置されている。また、前記ガイド156は、ハウ
ジング174に固定されており、ハウジング174と前
記ソレノイド153との間には、磁路の一部を形成する
枠体176が配置されている。従って、ソレノイド15
3によって発生する磁束は、同図に破線で示す様に、ヨ
ーク177や枠体176を貫通する磁路を形成する。
【0145】尚、本実施例のソレノイド153は、前記
実施例1の円筒状とは多少異なり、図の左右で非対象で
あるが、その機能はほぼ同一である。 b)次に、本実施例の差圧制御弁151の作用効果を説
明する。本実施例の差圧制御弁151においては、その
下流側(マスタシリンダ側)に下流オリフィス166,
169が設けてある。
【0146】従って、例えば上述したTRC、VSC、
PAB等の機能を用いる場合において、ブレーキペダル
43を緩めた時に、この差圧制御弁151を、ポンプ上
流圧のリリーフ機能(高圧を逃がす機能)として用いる
場合でも、高圧のホイールシリンダ側に対して直ちに大
気圧(マスタシリンダ圧)にリリーフせずに、下流オリ
フィス166,169により、若干の背圧がかかること
になる。
【0147】これにより、ブレーキ液が高圧から低圧に
なる場合に発生し易いエアレーションの発生を抑制する
ことができるので、ブレーキ性能を確実に保持すること
ができる。また、本実施例では、プランジャ152と制
御ピストン154が一体化しているので、前記高圧のホ
イールシリンダ圧をリリーフする場合に、制御ピストン
154が振動し難い。よって、この点からも、エアレー
ションを防止することができるという利点がある。
【0148】(実施例10)次に、実施例10について
説明するが、前記実施例9と同様な箇所の説明は省略又
は簡略化する。本実施例では、差圧制御弁の下流側に、
圧損を付加する圧損付加機構として、補助弁体を備えた
一方向オリフィスを配置している。
【0149】図19に示す様に、本実施例の差圧制御弁
181には、ガイド182の中空部183とマスタシリ
ンダ側とを連通する下流側連通路184に、溝状の切欠
オリフィス186、球状の補助弁体187、及び補助バ
ネ188からなる一方向オリフィス189が設けられて
いる。
【0150】前記切欠オリフィス186は常開であり、
補助弁体187は補助バネ188により常に閉弁方向
(矢印A)方向に付勢されている。この補助弁体187
は(ホイールシリンダ側が大の)差圧が大きくなると矢
印B方向に移動して下流側連通路184を開く。
【0151】この一方向オリフィス189は、ホイール
シリンダ側とマスタシリンダ側との差圧が大きい場合
に、ブレーキペダル43を緩めたときには、補助弁体1
87が図のA方向に移動して大きく流路を開くので、ブ
レーキ液の流量を確保することができる。それによっ
て、いわゆるひきずり感(ブレーキペダル43を離して
も制動力がなかなか弱くならない現象)を防止すること
ができる。
【0152】一方、差圧が小さな場合には、補助弁体1
87は補助バネ188の付勢力により移動しないので、
通常のオリフィスとして機能し、前記実施例9と同様
に、エアレーションの発生を防止することができる。ま
た、差圧の大きさにより、補助弁体187の移動量(従
ってその開度)が異なるので、補助弁体187がわずか
に移動する差圧の場合には、その差圧に応じたオリフィ
スとしての機能を有する。
【0153】尚、本実施例では、一方向オリフィス18
9を設けるために、中空部183の内径が小さくなって
いる。 (実施例11)次に、実施例11について説明するが、
前記実施例9と同様な箇所の説明は省略又は簡略化す
る。
【0154】本実施例では、制御ピストンの先端側に、
圧損を付加する圧損付加機構として、オリフィスを備え
た制御スリーブを配置している。図20に示す様に、本
実施例の差圧制御弁191には、制御ピストン192の
先端側の外周に、円筒状の制御スリーブ193が一体に
固定されており、この制御スリーブ193は、制御ピス
トン192の中径部192a及びバネ194の周囲を覆
っている。また、制御スリーブ193の先端は、一部が
短冊状に切り欠かれて、複数の切欠部196が設けられ
ている。
【0155】一方、弁座197の上面には、制御スリー
ブ193の先端の外周を覆う様に、環状の凸部198が
設けられている。そして、この環状の凸部198の内周
面と制御スリーブ193の外周面との間に、わずかに隙
間がある様に、各部材の径が設定されている。
【0156】従って、制御ピストン192が上昇してい
る場合には、主連通路201と下流側連通路202と
は、制御スリーブ193の切欠196を介して、ブレー
キ液の流量が充分に確保できる様に、その流路が開かれ
ている。一方、制御ピストン192が下降している場合
には、環状の凸部198の内周面と制御スリーブ193
の外周面との隙間が、オリフィスとして機能するので、
前記実施例9と同様に、差圧制御弁191の下流側に
て、背圧を付加することができる。それにより、エアレ
ーションの発生を防止できる。
【0157】特に、本実施例では、ブレーキペダル43
を戻した場合には、制御ピストン192が上昇して、ブ
レーキ液の流量が確保できるので、前記引きずり現象が
少なく、応答性がよいという利点がある。尚、本実施例
では、前記実施例9の様な下流側連通路の下流オリフィ
スを備えていない。
【0158】(実施例12)次に、実施例12について
説明するが、前記実施例9と同様な箇所の説明は省略又
は簡略化する。本実施例では、制御ピストンの先端側
に、圧損を付加する圧損付加機構として、別体の制御ス
リーブ等を配置している。
【0159】図21に示す様に、本実施例の差圧制御弁
211には、制御ピストン212の先端側の外周に、制
御ピストン212とは別体の円筒状の制御スリーブ21
3が、摺動可能に配置されている。この制御スリーブ2
13は、バネ(補助スプリング)214により閉弁方向
(図の下方)に付勢されている。更に、制御スリーブ2
13の先端は、一部が切り欠かれて、オリフィスとして
機能する切欠部216が設けられている。
【0160】また、制御スリーブ213と制御ピストン
212の中径部212aとの間には、ストッパ217が
配置されている。このストッパ217は、バネ(リター
ンスプリング)218により、図の上方に付勢されて、
段差部212bに着座しており、制御スリーブ213の
下方への移動を規制している。
【0161】一方、弁座215の上面には、バネ218
と制御スリーブ213の先端との間にて、環状に突出す
る凸部219が設けられている。この凸部219の外周
は傾斜しており、この外周に制御スリーブ213の下端
が着座する構成である。本実施例では、ソレノイド22
1に通電されると、制御ピストン212が下降するが、
このとき、バネ214の付勢力により、制御スリーブ2
13も下降する。そして、制御ピストン212の閉弁手
前で、制御スリーブ213の先端が凸部219の外周に
着座し、切欠部216にてオリフィスの機能が発揮され
る。これにより、差圧制御弁211の下流側にて背圧を
付加することができるので、エアレーションの発生を防
止できる。
【0162】尚、制御ピストン212の閉弁手前で、制
御ピストン212の先端が凸部219の外周に着座し、
制御ピストン212が閉弁しないのは、制御ピストン2
12での調圧制御時に、確実に切欠部216でのオリフ
ィス機能を持たせるためである。
【0163】一方、ソレノイド221を非通電とする
と、制御ピストン212及び制御スリーブ213がバネ
218の付勢力により上昇するので、ブレーキ液の流路
が充分に開かれ、流量が確保されるが、オリフィスの機
能がなくなる。これにより、ブレーキペダル43の戻し
時に、ブレーキのひきずり感を無くして、応答性を向上
できる。
【0164】尚、本実施例では、前記実施例9の様な下
流側連通路の下流オリフィスを備えていない。 (実施例13)次に、実施例13について説明するが、
前記実施例9と同様な箇所の説明は省略又は簡略化す
る。
【0165】本実施例では、ソレノイドの磁力による横
力(サイドフォース)の影響を低減する横力影響低減機
構を設けている。 a)図22(ハッチング略)に示す様に、本実施例の差
圧制御弁231には、プランジャ232の上部に、プラ
ンジャ232の外径を小さくする様な凹部(磁路逃げ
部)233が、全周にわたり設けてある。更に、凹部2
33の上方には、スリーブ234に摺動可能に支持され
る凸部236が、プランジャ232の全周にわたり設け
てある。この凸部236の形成位置は、ソレノイド23
7により発生する磁束が殆どない領域、即ち磁路外であ
る。つまり、ソレノイド237により発生する磁束によ
る磁路は、図示する様に、凹部233より下方の位置と
なる。
【0166】b)次に、本実施例の作用効果を説明す
る。プランジャ232と磁束を発生する箇所(ソレノイ
ド237及びヨーク238)との間には、スリーブ23
4が存在することにより、磁束が発生する部材とその磁
束による付勢力を受ける部材との間に距離(サイドギャ
ップ)がある。また、磁束が発生した場合には、プラン
ジャ232は、閉弁方向の押圧力だけでなく、横方向の
付勢力(横力=サイドフォース)を受ける。ところが、
この横力は、前記サイドギャップがあると、かならずし
も安定しないので、ソレノイド237に印加する電流の
増加又は減少の際して、印加電流に応じて(差圧制御弁
231の上流側と下流側との間にて)決まった差圧が発
生しないことがある。つまり、ヒステリシスが生じてし
まう。
【0167】そこで、本実施例では、このヒステリシス
の原因であるソレノイド237の磁力による横力の影響
を低減するために、磁路外に、プランジャ232の凸部
236を設け、この凸部236がスリーブ234に支持
されて、プランジャ232が摺動する様にしている。
【0168】それにより、図23に示す様に、ソレノイ
ド232に所定の電流を加えれば、常に決まった差圧△
Pを一義的に設定することができる。具体的には、例え
ば電流値をAとすれば、差圧制御弁231により設定さ
れる差圧を△PAとすることができ、それより大きな電
流値Bとすれば、それより大きな差圧△PBとすること
ができる。
【0169】尚、前記実施例9では説明しなかったが、
前記図18に示す様に、プランジャ152の上部に環状
の凹部152aが設けてあり、更に凹部152aの上方
に本実施例と同様な凸部152bが磁路外に設けてあ
る。この凸部152bも、本実施例と同様に、横力の影
響を低減する機能を有する。
【0170】(実施例14)次に、実施例14について
説明するが、前記実施例9と同様な箇所の説明は省略又
は簡略化する。本実施例も、前記実施例13と同様に、
ソレノイドの磁力による横力(サイドフォース)の影響
を低減する横力影響低減機構を設けている。
【0171】図24に示す様に、本実施例の差圧制御弁
241には、プランジャ242の上部に、プランジャ2
42の外径を小さくする様な切欠部243が、全周にわ
たり設けてある。更に、切欠部243の下端には、スリ
ーブ244に摺動可能に支持される非磁性リング246
が外嵌している。
【0172】本実施例の場合には、プランジャ242
は、非磁性リング246により径方向の位置決めがされ
ているので、ソレノイド247の磁力による横力の影響
を低減することができる。それにより、上述したソレノ
イド247に印加する電流の増加又は減少におけるヒス
テリシスの発生を防止でき、前記図23に示す様な好ま
しい特性を実現することができる。
【0173】(実施例15)次に、実施例15について
説明するが、前記実施例9と同様な箇所の説明は省略又
は簡略化する。本実施例も、前記実施例13,14と同
様に、ソレノイドの磁力による横力(サイドフォース)
の影響を低減する横力影響低減機構を設けている。
【0174】図25に示す様に、本実施例の差圧制御弁
251では、プランジャ252の外径が、上方にゆくほ
ど小さくなって、逃げ部253が形成されている。この
逃げ部253は、後述する支持部257でのクリアラン
スによる傾きに対して、スリーブ255との間に確実に
クリアランスを持ち、プランジャ252の動きを安定化
する機能を有する。
【0175】また、プランジャ252と一体に接続され
た弁体254の外周には、軸方向にブレーキ液が通過で
きる複数の溝256が形成してある。また、各溝256
の間は、軸方向に沿って、弁体254の外周方向に突出
した支持部257が形成されており、この支持部257
がガイド258に支持されて摺動することにより、弁体
254が上下方向に移動可能となっている。
【0176】つまり、本実施例では、弁体254の支持
部257がガイド258に摺動可能に支持されているの
で、ソレノイド259の磁力における横力の影響を低減
でき、よって、上述したヒステリシスをなくすることが
できる。また、この弁体254の支持部257がガイド
258に摺動可能に支持されている構成により、前記実
施例9と同様に、弁体254の着座位置近傍における振
動の発生を防止して、エアレーションの発生を抑制する
ことができる。
【0177】(実施例16)次に、実施例16について
説明するが、前記実施例9と同様な箇所の説明は省略又
は簡略化する。本実施例は、開弁時の圧損を低減する様
に、ニードル先端部の形状を工夫したものである。
【0178】従来では、図26(a)に示す様に、ニー
ドル先端部が鋭角になっており、それにより、弁体の開
弁時には、圧損が生じていた。そこで、本実施例では、
図26(b)に示す様に、弁体261のニードル先端部
262の形状として、先端を平坦に(軸方向と垂直に)
カットしている。これにより、開弁時の圧損を低減でき
る。
【0179】また、他の実施例では、図26(c)に示
す様に、弁体271のニードル先端部272の形状とし
て、先端を鈍角の円錐形状としている。これにより、開
弁時の圧損を低減できる。更に、他の実施例では、図2
6(d)に示す様に、弁体281のニードル先端部28
2の形状として、先端を滑らかなカーブ(略球状)形状
としている。これにより、開弁時の圧損を低減できる。
【0180】(実施例17)次に、実施例17について
説明する。本実施例は、差圧制御弁の検査方法を示すも
のであり、ここでは、検査対象の差圧制御弁として、前
記実施例9の差圧制御弁を例に挙げる。
【0181】図27に示す様に、検査用のユニット30
1としては、組み付け前の差圧制御弁において、プラン
ジャ152、制御ピストン154、バネ158、弁座1
57、ガイド156等を組み付けたものを用いる。この
検査用ユニット301に対し、そのプランジャ152側
(図では上方)から検査用基準コイル部302をかぶせ
る。この検査用基準コイル部302とは、ソレノイド1
53、ヨーク177、枠体176、スリーブ160等か
らなる磁力発生用のものである。
【0182】そして、図28に示す様に、検査用ユニッ
ト301と検査基準コイル部302とを組み合せ、ソレ
ノイド153に電源303を接続するとともに、電源3
03と直接に電流計304を配置する。一方、マスタシ
リンダ側の主連通孔163内(但しフィルタ171はな
い)に、測定装置306を配置する。この測定装置30
6は、円錐部307の先端からロッド308が延長され
た形状をしており、ロッド308の上端はニードル先端
部165の下端に接触している。また、測定装置306
の下方には、測定装置306に加わる押圧力、即ちニー
ドル先端部165からロッド308に加わる押圧力を測
定するために、図示しない荷重計が配置されている。
【0183】この構成において、例えばソレノイド15
3に印加する電流を変化させ、その場合の荷重(ソレノ
イド153の磁力による制御ピストン154の押圧力)
を調べ、この電流と荷重との関係から、所望のソレノイ
ド吸引力特性が得られているかどうかを調べることがで
きる。
【0184】(実施例18)次に、実施例18について
説明する。本実施例は、調整シムを用いた差圧制御弁の
調整方法を示すものであり、ここでは、検査対象の差圧
制御弁として、前記実施例9の差圧制御弁を例に挙げ
る。
【0185】例えば前記実施例17で示した検査方法
で、図29の実線で示す測定結果(ソレノイド153の
吸引力特性)が得られたとする。この場合、目標とする
吸引力特性は、同図の破線で示すものである。尚、制御
ピストン154は、バネ(リターンスプリング)158
により開弁方向に付勢されているので、ソレノイド15
3に印加する電流が0の場合には、荷重Fは、バネ15
8のオフセット荷重(但し逆方向であるので−)とな
る。
【0186】そこで、この測定された実線の吸引力特性
を、目標とする破線の吸引力特性となる様に変更するた
めに、シム調整を行なう。このシム調整とは、図30に
示す様に、バネ158と制御ピストン154との間に調
整シム401をかませて(配置して)、バネ158のオ
フセット荷重を調節するものである。例えば、調整シム
401をかませることにより、オフセット荷重は、図2
9に示す様に、下方に△tだけ平行移動する。その結
果、実線の吸引力特性を破線の吸引力特性に変更するこ
とができるのである。
【0187】前記調整シムの厚さを変更することで、オ
フセット荷重を変えることができるので、吸引力特性を
任意の位置に平行移動させて変更することができる。
尚、荷重F(又はFA)とは、実際の差圧制御弁を使用
する際には、差圧△P(又は△PA)×弁部(上流)オ
リフィス162の断面積Sに相当する。
【0188】(実施例19)次に、実施例19について
説明する。本実施例は、前記実施例18に示した調整シ
ムを用いた差圧制御弁の調整方法の別態様を示すもので
あり、ここでは、検査対象の差圧制御弁として、前記実
施例9とほぼ同様な差圧制御弁を例に挙げる。
【0189】この場合、調整の効果としては、前記実施
例18と同様であり、リターンスプリングのセット長変
更により、オフセット荷重調整を行なうものであるが、
本実施例では、弁座及びスリーブの圧入及び溶接後の組
み付けにおける後工程において、調整を可能にしたこと
が、前記実施例18と相違する。
【0190】つまり、前記実施例18では、リターンス
プリングとボディバルブの段付部(スプリングの受け
面)との間に、調整シムをかませたが、この構成では、
弁座又はスリーブの組み付け前に調整シムを選択する必
要があり、その後の組み付けによる特性変化まではカバ
ーできない。
【0191】そこで、本実施例においては、図31及び
図32に示す様に、調整シム501をリターンスプリン
グ503と弁座505との間に、ガイド507に設けた
穴(挿入穴)509を通して、外部より挿入可能として
いる。前記調整シム501は、先端側(両図において左
側)が二つに分岐するとともに、後端側が垂直(図31
の下方)に曲げられており、分岐した箇所にて、制御ピ
ストン510のニードル先端部511が進入可能な様
に、略U字状の切欠部513が設けられている。これに
より、リターンスプリング503の下端は、調整シム5
01の上面に当接して受けられることになる。
【0192】つまり、本実施例では、弁座505及びス
リーブ515の圧入及び溶接後の組み付けにおける後工
程において、即ち組み付け最終工程において、最終的な
弁構成としての特性調整が可能となり、より精度の良い
特性調整が可能となる。尚、調整シム501は、抜け防
止のために、ロック機構を備えていることがより望まし
い。このロック機構とは、図31及び図32において、
調整シム501の後端側の係合部517と、ガイド50
7の挿入穴509におけるロック用溝部519である。
【0193】(実施例20)次に、実施例20について
説明する。本実施例は、前記実施例18及び実施例19
と同様の差圧制御弁のオフセット荷重調整方法の別態様
を示すものであり、ここでは、検査対象の差圧制御弁と
して、前記実施例9とほぼ同様な差圧制御弁を例に挙げ
る。
【0194】この場合、調整の効果としては、前記実施
例18及び実施例19と同様であり、リターンスプリン
グのセット長変更により、オフセット荷重調整を行なう
ものであるが、本実施例では、前記実施例19と同様な
組み付け後工程における特性調整を、前記実施例19と
は別手段により行なうものである。
【0195】つまり、前記実施例18及び実施例19で
は、シム調整により、リターンスプリングのセット荷重
を変更していたが、本実施例では、ラチェット機構の係
合の組み合せを変えることにより、段階的にリターンス
プリングのセット荷重を変更するものである。
【0196】具体的には、図33に示す様に、リターン
スプリング601と弁座603との間に、円盤状のラチ
ェット605を配置する。このラチェット605には、
図34に示す様に、スプライン状の外周歯部605aと
ラチェット状の下面歯部605bとが設けてあり、下面
歯部605bと向き合う弁座603側には、爪部607
が設けてある。
【0197】そして、ラチェット605と弁座603側
の爪部607との係合の組み合せ、即ち図34(c)の
、、のうちのどちらかの組み合せを、組み付け最
終工程にて、図33に示すガイド609に設けられた調
整穴611より、ドライバ等にて、ラチェット605の
外周歯部605aに、引っかけて回転することにより、
変更可能とした。
【0198】これにより、ラチェット605と弁座60
3との相対位置が変わり、結果として、リターンスプリ
ング601のセット長を調整できる。従って、本実施例
では、前記実施例19と同様に、組み付け最終工程にお
いて、最終的な弁構成としての特性調整が可能となり、
より精度の良い特性調整が可能となる。また、調整のた
めの構成が簡易であるという利点がある。
【0199】(実施例21)次に、実施例21について
説明する。本実施例は、調整プレートを用いた差圧制御
弁の調整方法を示すものであり、ここでは、検査対象の
差圧制御弁として、前記実施例9の差圧制御弁を例に挙
げる。
【0200】例えば前記実施例17で示した検査方法
で、図35の実線で示す測定結果(吸引力特性)が得ら
れたとする。この場合、目標とする吸引力特性は、同図
の破線で示すものである。そこで、この測定された実線
の吸引力特性を、目標とする破線の吸引力特性となる様
に変更するために、磁気絞り調整を行なう。
【0201】この磁気絞り調整とは、前記図30に示す
様に、枠体176を構成する複数の板状の調整プレート
402を交換して、磁気絞り部403の形状を変更し、
それにより、磁路の状態、即ち枠体176を通過する磁
束を調整して、吸引力特性の勾配を調節するものであ
る。
【0202】尚、前記調整プレート402としては、リ
ング状のものを採用でき、磁気絞り部403を構成する
部分のみが切り欠かれた調整プレート402を、複数用
意して選択して使用することにより、枠体176を構成
する。例えば、調整プレート402を変更して、磁気絞
り部403を大きくする(特に図の上下方向における断
面積)と磁路が小さくなる。その結果、印加電流を大き
くしても、荷重が増加しにくくなる。即ち、磁気絞り部
403を大きくすると、吸引力特性の勾配が小さくな
る。
【0203】従って、オフセット荷重は変更しないので
あるから、磁気絞り部403を大きくすれば、図35に
示す様に、吸引力特性の勾配が△αだけ小さくなる。そ
の結果、実線の吸引力特性を破線の吸引力特性に変更す
ることができる。 (実施例22)次に、実施例22について説明する。
【0204】本実施例は、磁気回路上の可動子と固定子
の間のエアギャップ調整による差圧制御弁の調整方法を
示すものであり、ここでは、検査対象の差圧制御弁とし
て、前記実施例9の差圧制御弁を例に挙げる。例えば前
記実施例17で示した検査方法で、図35の実線で示す
測定結果(吸引力特性)が得られたとする。この場合、
目標とする吸引力特性は、同図の破線で示すものであ
る。
【0205】そこで、本実施例では、この測定された実
線の吸引力特性を、目標とする破線の吸引力特性となる
様に変更するために、エアギャップ調整を行なう。この
エアギャップ調整とは、前記図30に示す様に、ガイド
156に対する弁座157の圧入量を調節することによ
り、磁気回路を構成する可動子(プランジャ152)と
固定子(ガイド156)の間のエアギャップを変更し、
それにより、磁路の状態、即ちエアギャップを通過する
磁束を調節して、吸引力特性の勾配を調節するものであ
る。
【0206】例えば、弁座157の圧入量を変更して
(多くして)、閉弁時のエアギャップを大きくすると、
発生磁力が低下する。その結果、印加電流を大きくして
も、荷重が増加しにくくなる。即ち、エアギャップを大
きくすると、吸引力特性の勾配は小さくなる。
【0207】従って、オフセット荷重は変更しないので
あるから、エアギャップを大きくすれば、図35に示す
様に、吸引力特性の勾配が△αだけ小さくなる。その結
果、実線の吸引力特性を破線の吸引力特性に変更するこ
とができる。尚、前記とは逆に、エアギャップを小さく
すると、吸引力特性の勾配は大きくなる。
【0208】(実施例23)次に、実施例23について
説明する。本実施例では、前記実施例18に示したリタ
ーンスプリングのセット荷重調整によるオフセット荷重
変更と、前記実施例22に示したエアギャップ調整によ
る吸引力特性の変更とを、弁座の圧入量調整により同時
に実現する方法を示す。
【0209】前記実施例22に対する構成及び効果の相
違点として、図36に示す様に、リターンスプリング7
01の受け面を、弁座703ではなく、ガイド705に
変更する。これにより、弁座703の圧入量(シート圧
入量)を調節することにより、可動子(プランジャ70
7)と固定子(ガイド705)との間のエアギャップを
変更できるとともに、同時にリターンスプリング701
のセット長(調整時の状態である閉弁側)も変更でき
る。
【0210】そのため、図1に示す様なエアギャップに
対する吸引力変化の少ない領域(図1の実使用領域)で
あっても、調整の効果がセット長がかわることにより、
調整のゲインを維持できる。即ち、図1の実使用領域で
は、エアギャップを若干変更しても吸引力の変化が少な
く調整の効果が出にくいが、本実施例では、同時にオフ
セット荷重変更も伴う調整であるため、この分の調整効
果は常に確保されている。
【0211】また、本実施例では、弁座703の構成を
簡易化でき、チェック弁709部分の穴加工もガイド7
05側に集中できるため、スペース上余裕ができ、製造
上も有利になる。 (実施例24)次に、実施例24について説明する。
【0212】本実施例は、調整シム及び調整プレートを
用いた差圧制御弁の調整方法を示すものであり、ここで
は、検査対象の差圧制御弁として、前記実施例9の差圧
制御弁を例に挙げる。本実施例は、前記実施例18と実
施例21の調整とを共に行ったものである。
【0213】例えば前記実施例17で示した検査方法
で、図37の実線で示す測定結果(吸引力特性)が得ら
れたとする。この場合、目標とする吸引力特性は、同図
の破線で示すものである。そこで、この測定された実線
の吸引力特性を、目標とする破線の吸引力特性となる様
に変更するために、磁気絞り調整及びシム調整を行な
う。
【0214】まず、磁気絞り調整により、実線の吸引力
特性の勾配を変更して、一点鎖線で示す吸引力特性とす
る。次に、シム調整により、前記一点鎖線で示す吸引力
特性を平行移動して、図の破線で示す吸引力特性とす
る。
【0215】これにより、測定対象の差圧制御弁の吸引
力特性が、目標とする吸引力特性から大きくずれている
場合でも、この磁気絞り調整及びシム調整により、容易
に目標とする吸引力特性とすることができる。尚、磁気
絞り調整では、吸引力特性の勾配を小さくする例を挙げ
たが、基準となる磁気絞り部を設定しており、その磁気
絞り部を大きくして勾配を小さくし、磁気絞り部を小さ
くして勾配を大きくすることができる。
【0216】同様に、シム調整に関しても、基準となる
調整シムを配置しておき、調整シムを厚くすることでオ
フセット荷重を大きくして、図37の下方に吸引力特性
を平行移動させることができ、一方、調整シムを薄くす
ることでオフセット荷重を小さくして、図37の上方に
吸引力特性を平行移動させることができる。
【0217】尚、本発明は前記実施例に何ら限定される
ことなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない限り、種々
の態様で実施できることはいうまでもない。例えば上述
した各実施例の差圧制御弁は、前記図5,図10,図1
2の車両用ブレーキ装置に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明と従来例とを比較して、吸引力とプラ
ンジャストロークとの関係を示す説明図である。
【図2】 本発明と従来例とを比較して示し、(a)は
発生差圧と印加電流との関係を示す説明図、(b)は吸
引力とプランジャストロークとの関係を示す説明図であ
る。
【図3】 実施例1の差圧制御弁の構造を示す説明図で
ある。
【図4】 実施例1の差圧制御弁の磁気ショート構造を
拡大して示す説明図である。
【図5】 実施例1の差圧制御弁が用いられる車両用ブ
レーキ装置を示す概略構成図である。
【図6】 実施例1によるW/C圧とM/C圧との関係
を示す説明図である。
【図7】 実施例1の差圧制御弁の磁気ショート構造に
おける磁束の変化を示す説明図である。
【図8】 実施例1の圧力増幅アシストブレーキ制御を
示すフローチャートである。
【図9】 実施例1のブレーキブースタの失陥時の制御
を示すフローチャートである。
【図10】 実施例2の車両用ブレーキ装置を示す概略
構成図である。
【図11】 実施例2のトラクション制御を示すフロー
チャートである。
【図12】 実施例3の車両用ブレーキ装置を示す概略
構成図である。
【図13】 実施例3による後輪側のW/C圧とM/C
圧との関係を示す説明図である。
【図14】 実施例3による制動力配分の制御を示すフ
ローチャートである。
【図15】 他の実施例を示し、(a)は実施例4の磁
気ショート構造を示す説明図、(b)実施例5の磁気シ
ョート構造を示す説明図、(c)は実施例6の磁気ショ
ート構造を示す説明図、(d)実施例7の磁気ショート
構造を示す説明図である。
【図16】 実施例8の磁気ショート構造を示す説明図
である。
【図17】 実施例8の磁気ショート構造における磁束
の変化を示す説明図である。
【図18】 実施例9の差圧制御弁を示す説明図であ
る。
【図19】 実施例10の差圧制御弁を示す説明図であ
る。
【図20】 実施例11の差圧制御弁を示す説明図であ
る。
【図21】 実施例12の差圧制御弁を示す説明図であ
る。
【図22】 実施例13の差圧制御弁を示す説明図であ
る。
【図23】 目標とする差圧制御弁の特性を示す説明図
である。
【図24】 実施例14の差圧制御弁を示す説明図であ
る。
【図25】 実施例15の差圧制御弁を示す説明図であ
る。
【図26】 ニードル先端部を示し、(a)は従来のニ
ードル先端部の説明図、(b)は実施例16のニードル
先端部の説明図、(c)は他の実施例のニードル先端部
の説明図、(d)は更に他の実施例のニードル先端部で
ある。
【図27】 実施例17の差圧制御弁の検査方法を示す
説明図である。
【図28】 実施例17の差圧制御弁の検査方法を示す
説明図である。
【図29】 実施例18の差圧制御弁の調整方法を示す
説明図である。
【図30】 吸引力特性を変更するための構成を示す説
明図である。
【図31】 実施例19の差圧制御弁を示す説明図であ
る。
【図32】 実施例19の差圧制御弁に用いる調整シム
近傍を、制御ピストン側から示す説明図である。
【図33】 実施例20の差圧制御弁を示す説明図であ
る。
【図34】 実施例20のラチェット機構を示し、
(a)はラチェットを示す側面図、(b)はラチェット
を示す底面図、(c)はラチェットと弁座と係合関係を
示すために360゜展開した状態を示す説明図である。
【図35】 実施例21の差圧制御弁の調整方法を示す
説明図である。
【図36】 実施例23の差圧制御弁を示す説明図であ
る。
【図37】 実施例24の差圧制御弁の調整方法を示す
説明図である。
【符号の説明】
1,71,72,91,101,111,121,13
1,141,151,181,191,211,23
1,245,251…差圧制御弁 2,144,153,221,237,247,259
…ソレノイド 3,103,113,123,133,142,15
2,232,242,252,707…プランジャ 4,102,122,132,160,234,24
4,515…スリーブ 6,106,117,134,154,192,21
2,254,261,271,281,510…制御ピ
ストン 7,105,115,126,135,146,15
6,182,258,507,609,705…ガイド 8,145,177,238…ヨーク 21,104,116,125…(磁気ショート部にお
ける)凸部 22,108,114…(磁気ショート部における)凹
部 31,41,92…マスタシリンダ 32,55,56,57,58,93,94…ホイール
シリンダ 36,77,79…ポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 永沼 貴寛 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 (72)発明者 新海 博之 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内

Claims (32)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ブレーキ液の管路に配置されて、ブレー
    キ液圧の差圧を調節する差圧制御弁において、 該差圧制御弁は、 ソレノイドにより発生する磁束が貫通し、その磁力によ
    り移動する可動子と、 該可動子の移動方向に配置されて、前記ソレノイドによ
    る磁束が貫通する固定子と、を備えるとともに、 前記可動子の移動に伴う前記可動子及び固定子の前記移
    動方向の磁束量の変動を抑制する磁気ショート構造を備
    えることを特徴とする差圧制御弁。
  2. 【請求項2】 前記磁気ショート構造は、前記可動子の
    移動に伴って、前記可動子と前記固定子との間にて、前
    記移動方向とは異なる方向の磁束量が変化する構成であ
    ることを特徴とする前記請求項1に記載の差圧制御弁。
  3. 【請求項3】 前記磁気ショート構造は、前記可動子と
    前記固定子とに設けられ互いに嵌合可能な凹部又は凸部
    であり、該可動子が移動する際に、その嵌合状態が変化
    することを特徴とする前記請求項1又は2に記載の差圧
    制御弁。
  4. 【請求項4】 前記凹部及び凸部は、前記移動方向と平
    行な面を有していることを特徴とする前記請求項3に記
    載の差圧制御弁。
  5. 【請求項5】 前記凹部及び凸部は、前記移動方向と斜
    めになった面を有していることを特徴とする前記請求項
    3に記載の差圧制御弁。
  6. 【請求項6】 前記差圧制御弁がオフの場合でも、前記
    可動子と前記固定子とは、前記可動子の移動方向と垂直
    方向にて重なり合う領域を有することを特徴とする前記
    請求項3〜5のいずれかに記載の差圧制御弁。
  7. 【請求項7】 前記磁気ショート構造は、前記可動子が
    移動する場合に、前記ソレノイドのヨークと前記可動子
    との間の磁束量が変化する構成であることを特徴とする
    前記請求項1に記載の差圧制御弁。
  8. 【請求項8】 前記差圧制御弁は、前記ソレノイドに通
    電する電流の大きさに応じた電流制御により駆動するこ
    とを特徴とする前記請求項1〜7のいずれかに記載の差
    圧制御弁。
  9. 【請求項9】 前記差圧制御弁は、前記ソレノイドに通
    電する電流のオンーオフのデューティ制御により駆動す
    ることを特徴とする前記請求項1〜7のいずれかに記載
    の差圧制御弁。
  10. 【請求項10】 前記差圧制御弁の下流側に、圧損を付
    加する圧損付加機構を設けたことを特徴とする前記請求
    項1〜9のいずれかに記載の差圧制御弁。
  11. 【請求項11】 前記圧損付加機構が、オリフィスであ
    ることを特徴とする前記請求項10に記載の差圧制御
    弁。
  12. 【請求項12】 前記圧損付加機構が、付勢手段により
    付勢された補助弁体であることを特徴とする前記請求項
    10に記載の差圧制御弁。
  13. 【請求項13】 前記可動子の動作により作動する弁体
    の着座位置近傍における振動を抑制する振動抑制機構を
    設けたことを特徴とする前記請求項1〜12のいずれか
    に記載の差圧制御弁。
  14. 【請求項14】 前記振動抑制機構が、前記可動子と前
    記弁体とを一体に接続する構成であることを特徴とする
    前記請求項13に記載の差圧制御弁。
  15. 【請求項15】 前記振動抑制機構が、前記弁体が内嵌
    する筒状体により、該弁体を摺動可能に支持する構成で
    あることを特徴とする前記請求項13に記載の差圧制御
    弁。
  16. 【請求項16】 前記ソレノイドの磁力による前記可動
    子に対する横方向の付勢力の影響を低減する横力影響低
    減機構を設けたことを特徴とする前記請求項1〜15の
    いずれかに記載の差圧制御弁。
  17. 【請求項17】 前記横力影響低減機構が、前記ソレノ
    イドにより発生する磁束の磁路外にて、前記可動子を摺
    動可能に支持する構成であることを特徴とする前記請求
    項16に記載の差圧制御弁。
  18. 【請求項18】 前記横力影響低減機構が、前記可動子
    の周囲に非磁性部材を配置し、該非磁性部材を摺動可能
    に支持する構成であることを特徴とする前記請求項16
    に記載の差圧制御弁。
  19. 【請求項19】 前記可動子の動作により作動する弁体
    のニードル先端部に、開弁時の圧損を低減する圧損低減
    構造を設けたことを特徴とする前記請求項1〜18のい
    ずれかに記載の差圧制御弁。
  20. 【請求項20】 前記圧損低減構造が、ニードル先端部
    を鈍角にする構成であること特徴とする前記請求項19
    に記載の差圧制御弁。
  21. 【請求項21】 前記圧損低減構造が、ニードル先端部
    を平坦にカットする構成であること特徴とする前記請求
    項19に記載の差圧制御弁。
  22. 【請求項22】 前記圧損低減構造が、ニードル先端部
    を滑らかにカーブさせる構成であること特徴とする前記
    請求項19に記載の差圧制御弁。
  23. 【請求項23】 前記請求項1〜22のいずれかに記載
    の差圧制御弁の検査方法であって、 前記可動子と、該可動子の動作により作動する弁体と、
    該弁体を付勢するバネと、前記弁体のガイドと、を備え
    た差圧制御弁の基本構造体に対して、検査に用いるソレ
    ノイド及びスリーブを、前記可動子の外周に配置する工
    程と、 前記弁体の先端に、前記検査用ソレノイドの磁力による
    前記弁体の押圧力を測定する測定手段を配置する工程
    と、 前記検査用ソレノイドに通電し、そのときの前記弁体の
    押圧力を前記測定手段により測定する工程と、 を備えたことを特徴とする差圧制御弁の検査方法。
  24. 【請求項24】 前記請求項1〜22のいずれかに記載
    の差圧制御弁の調整方法であって、 前記ソレノイドに通電する電流と該ソレノイドの磁力に
    よる前記弁体の押圧力とが、所定の関係を満たす様に、
    該押圧力と反対方向に前記弁体を付勢するバネのオフセ
    ット荷重を調整することを特徴とする差圧制御弁の調整
    方法。
  25. 【請求項25】 前記請求項1〜22のいずれかに記載
    の差圧制御弁の調整方法であって、 前記ソレノイドに通電する電流と該ソレノイドの磁力に
    よる前記弁体の押圧力とが、所定の関係を満たす様に、
    前記ソレノイド吸引力特性の勾配を調整することを特徴
    とする差圧制御弁の調整方法。
  26. 【請求項26】 前記請求項1〜22のいずれかに記載
    の差圧制御弁の調整方法であって、 前記ソレノイドに通電する電流と該ソレノイドの磁力に
    よる前記弁体の押圧力とが、所定の関係を満たす様に、
    該押圧力と反対方向に前記弁体を付勢するバネのオフセ
    ット荷重を調整するとともに、前記ソレノイド吸引力特
    性の勾配を調整することを特徴とする差圧制御弁の調整
    方法。
  27. 【請求項27】 前記バネのオフセット荷重の調整を、
    該バネのオフセット長を変える調整シムの厚さを変更す
    ることにより行なうことを特徴とする前記請求項24又
    は26に記載の差圧制御弁の調整方法。
  28. 【請求項28】 前記バネのオフセット荷重の調整を、
    該バネのオフセット長を変えるラチェットの係合組み合
    せ位置を変更することにより行なうことを特徴とする前
    記請求項24又は26に記載の差圧制御弁の調整方法。
  29. 【請求項29】 前記ソレノイド吸引力特性の勾配の調
    整を、磁路の状態を変える調整プレートを変更すること
    により行なうことを特徴とする前記請求項25又は26
    に記載の差圧制御弁の調整方法。
  30. 【請求項30】 前記ソレノイド吸引力特性の勾配の調
    整を、可動子と固定子との間のエアギャップ量を変更し
    て磁路の状態を変えることにより行なうことを特徴とす
    る前記請求項25又は26に記載の差圧制御弁の調整方
    法。
  31. 【請求項31】 車両制動時に、ブレーキ液圧を発生す
    るブレーキ液圧発生手段と、 該ブレーキ液圧発生手段からのブレーキ液圧を受けて車
    輪制動力を発生する車輪制動力発生手段と、 前記ブレーキ液圧発生手段側から前記車輪制動力発生手
    段側に、ブレーキ液を移動させるブレーキ液移動手段
    と、 を備えた車両用ブレーキ装置において、 前記ブレーキ液圧発生手段と前記車輪制動力発生手段側
    との間の管路に、前記請求項1〜22のいずれかに記載
    の差圧制御弁を配置し、前記ブレーキ液移動手段を作動
    させた場合に、該差圧制御弁により区分された前記車輪
    制動力発生手段側のブレーキ液圧を増圧可能としたこと
    を特徴とする車両用ブレーキ装置。
  32. 【請求項32】 車両制動時に、ブレーキ液圧を発生す
    るブレーキ液圧発生手段と、 該ブレーキ液圧発生手段からのブレーキ液圧を受けて車
    輪制動力を発生する車輪制動力発生手段と、 を備えた車両用ブレーキ装置において、 前記ブレーキ液圧発生手段と前記車輪制動力発生手段側
    との間の管路に、前記請求項1〜22のいずれかに記載
    の差圧制御弁を配置し、該差圧制御弁により区分された
    前記車輪制動力発生手段側のブレーキ液圧を減圧可能と
    したことを特徴とする車両用ブレーキ装置。
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