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JPH1094905A - 表面被覆セラミック工具 - Google Patents

表面被覆セラミック工具

Info

Publication number
JPH1094905A
JPH1094905A JP27413596A JP27413596A JPH1094905A JP H1094905 A JPH1094905 A JP H1094905A JP 27413596 A JP27413596 A JP 27413596A JP 27413596 A JP27413596 A JP 27413596A JP H1094905 A JPH1094905 A JP H1094905A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ceramic
tool
tool base
coating layer
ceramic coating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP27413596A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideki Kato
英喜 加藤
Masaru Matsubara
優 松原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Niterra Co Ltd
Original Assignee
NGK Spark Plug Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NGK Spark Plug Co Ltd filed Critical NGK Spark Plug Co Ltd
Priority to JP27413596A priority Critical patent/JPH1094905A/ja
Publication of JPH1094905A publication Critical patent/JPH1094905A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Physical Vapour Deposition (AREA)
  • Cutting Tools, Boring Holders, And Turrets (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 セラミック被覆層と工具基体との間の密着強
度に優れ、ひいては耐摩耗性及び耐欠損性に優れた表面
被覆セラミック工具を提供する。 【解決手段】 表面被覆セラミック工具1は、セラミッ
クスで構成された工具基体3と、気相成膜法によりその
工具基体3の表面を覆う単層又は複数層に形成されたセ
ラミック被覆層2とを備え、工具基体3を構成するセラ
ミックスの電気比抵抗が1Ω・cm以下とされる。セラ
ミック被覆層2は、帯電状態の工具基体3に対し、セラ
ミック被覆層2を構成すべき成分をイオン等の帯電粒子
の形でこれに付着(あるいは堆積)させることにより形
成される。これにより、セラミック被覆層2と工具基体
3との間の密着力を著しく高めることができ、ひいては
耐摩耗性及び耐欠損性に優れた表面被覆セラミック工具
が実現される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面被覆セラミッ
ク工具に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、浸炭焼き入れ鋼、ダイス鋼、工具
鋼等の高硬度材の加工効率を高めるために、CBN(立
方晶窒化ホウ素)工具が使用されている。しかし、CB
N工具は切削性能には優れるものの、非常に高価である
ため、ユーザーの間では安価でかつCBN工具に匹敵す
る性能を有するセラミック工具の開発を望む声が高い。
そこで、例えば特開平4−289002号及び特開平5
−69205号公報に開示されているように、アルミナ
−炭化チタン系等の比較的安価なセラミックスを工具基
体として、その表面にアルミナ、炭化チタン、チタンと
アルミニウムとの合金の炭化物等からなるセラミック被
膜を形成することによリ、耐摩耗性に優れた工具を提供
する技術が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述のよう
な工具において、工具基体にセラミック被膜を形成する
方法としては、高周波スパッタ等の物理蒸着法が使用さ
れている。ここで、物理蒸着法で形成されたセラミック
被膜は、処理温度が低い(〜600℃)ことから被膜の
密着強度が低くなりがちであり、切削途中で膜が剥離し
たり、膜中の圧縮残留応力によって膜が自己破壊する問
題が生ずることがあった。そのため、そのような物理蒸
着法による被膜の密着強度を向上させるために、従来種
々の対策が講じられてきた。その一例としては、被膜形
成に先立って、例えぱArやH2ガスなどの気体イオン
を用いたスパッタクリーニングや、Tiなどの金属イオ
ンによるボンバードクリーニングにより基体の表面を清
浄化したり、被膜組成を傾斜化して膜内の圧縮応力を緩
和する等の方法が例示されるが、それら方法によって達
成される密着強度は必ずしも十分とはいえなかった。
【0004】本発明の課題は、セラミック被膜と工具基
体との間の密着強度に優れ、ひいては耐摩耗性や耐欠損
性に優れた表面被覆セラミック工具を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】上述の課
題を解決するために、本発明の表面被覆セラミック工具
は、セラミックスで構成された工具基体と、気相成膜法
によりその工具基体の表面を覆う単層又は複数層に形成
されたセラミック被覆層とを備え、工具基体を構成する
セラミックスの電気比抵抗が1Ω・cm以下であること
を特徴とする。
【0006】上記構成工具の構成においては、工具基体
が電気比抵抗が1Ω・cm以下のセラミックスにより構
成されており、成膜時に工具基体を正又は負に容易に帯
電させることができる。そして、その帯電状態の工具基
体に対し、セラミック被覆層を構成すべき成分をイオン
等の帯電粒子の形でこれに付着(あるいは堆積)させる
ことにより、上記成分の付着に基づいて形成されるセラ
ミック被覆層と工具基体との間の密着力を著しく高める
ことができ、ひいては耐摩耗性及び耐欠損性に優れた表
面被覆セラミック工具が実現される。
【0007】具体的には、セラミック被覆層は、該セラ
ミック被覆層の構成成分となるべき1又は複数種類のイ
オンを、該イオンとは逆極性に帯電させた工具基体の表
面に対し気相を介して付着させることにより形成された
ものとすることができる。そして、このような被膜を形
成するための代表的な気相成膜法として、イオンプレー
ティング法を例示することができる。
【0008】ここで、工具基体を構成するセラミックス
の電気比抵抗が1Ω・cmを超えると、工具基体は電圧
印加により分極を起こしやすくなり、必要な帯電状態を
形成することが困難になるので、形成されるセラミック
被覆層と工具基体との間に十分な密着力を確保すること
ができなくなる。なお、上記セラミックスとしては、よ
り望ましくはその電気比抵抗が0.7Ω・cm以下のも
のを使用するのがよい。
【0009】工具基体を構成するセラミックスは、その
平均結晶粒径が1μm以下の焼成体とすることが望まし
い。焼成体の平均結晶粒径が1μmを超えると、その電
気比抵抗の値を1Ω・cm以下に維持することが困難に
なる場合がある。例えば、後述するようにアルミナ等の
絶縁性セラミック粒子とTiN等の導電性セラミック粒
子とが混在した焼成体を用いる場合、焼成体の平均結晶
粒径が1μmを超えると導電性セラミック粒子の平均粒
径も大きくなり、その連なりによって形成される焼成体
の導電経路に迂回が生じやすくなって電気比抵抗の値が
増大する。なお、焼成体の平均結晶粒径は、より望まし
くは0.7μm以下とするのがよい。一方、工具基体を
構成するセラミックスは、そのビッカース硬度が200
0kg/mm2以上の焼成体とすることが望ましい。焼成
体のビッカース硬度が2000kg/mm2未満になる
と、工具として必要な耐磨耗性が確保できなくなる。な
お、焼成体は、より望ましくはそのビッカース硬度が2
100kg/mm2以上のものを用いるのがよい。
【0010】次に、工具基体を構成するセラミックスと
しては、アルミナを主体に構成され、さらにTi、V、
Cr、Al、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta及びWの炭
化物、窒化物及び炭窒化物(例えば、TiC、TiN、
TiCN、TaC、WC等)の1種又は2種以上を合計
で20〜40重量%含有する複合焼成体を使用すること
ができる。上記複合焼成体においては、上記炭化物、窒
化物及び炭窒化物の粒子が前述の導電性セラミック粒子
として機能し、その連なりによって焼成体の導電経路が
形成されるとともに、アルミナ粒子により強固な骨格が
形成されて焼成体の強度が高められている。このような
複合焼成体を使用することにより、本発明に必要とされ
る前述の電気比抵抗の条件を充足し、かつ十分な強度を
有する工具基体を得ることができる。
【0011】なお、上記炭化物、窒化物及び炭窒化物の
合計含有量が20重量%未満になると、焼成体の電気比
抵抗を1Ω・cm以下に維持できなくなる。一方、40
重量%を超えると、焼結性が低下して緻密な焼成体を得
るのが困難となり、十分な強度を有する工具基体が得ら
れなくなる。なお、炭化物、窒化物及び炭窒化物の合計
含有量は、より望ましくは25〜35重量%の範囲で調
整するのがよい。
【0012】工具基体を構成する上記複合焼成体には、
焼結助剤を0.2〜5.0重量%の範囲で添加すること
ができる。焼結助剤としては、例えばY23等の希土類
酸化物、及びMgO、CaO、SiO2等の1種又は2
種以上を使用することができる。焼結助剤の添加量が
0.2重量%末満になると、助剤添加による焼成体の緻
密化効果が十分に得られなくなる。また、5.0重量%
を超えると、結晶粒成長が生じて焼成体の強度が低下す
ることにつながる。なお、焼結助剤の添加量は、より望
ましくは0.5〜1.5重量%の範囲で調整するのがよ
い。
【0013】また、セラミック被覆層は、Ti、V、C
r、Al、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta及びWの炭化
物、窒化物及び炭窒化物の1種又は2種以上を主体に構
成することができる。該材質で構成されたセラミック被
覆層は、焼成体との親和性に優れて高い密着性を有し、
また硬度も高く耐摩耗性等に優れる。なお、セラミック
被覆層は、1層のみを形成するようにしても、複数層に
形成してもいずれでもよく、後者の場合は複数の層の少
なくとも一部のもの同士の間でその材質を異ならせるよ
うにしてもよい。このようなセラミック被覆層を例えば
イオンプレーティング法で形成する場合には、例えば、
その構成金属成分源となる金属を抵抗加熱、電子ビーム
加熱、スッパタリング、あるいはアーク蒸発等の公知の
方法により蒸発させて気相化し、これに窒素ないし炭素
成分源となる窒素ガス、メタンガス等を導入・混合し、
さらに、グロー放電、コロナ放電、高周波放電、マイク
ロ波放電等の公知の方法によりイオン化して、帯電させ
た工具基体の表面にそれらイオンを付着させる方法を採
用することができる。
【0014】セラミック被覆層は、その合計厚さが0.
5〜5μmの範囲となるように形成することが望まし
い。合計厚さが0.5μm未満になると、被覆層が少し
摩耗しただけですぐ工具の寿命が尽きてしまうこととな
る。一方、合計厚さが5μmを超えると、膜中の残留応
力が大きくなって剥離等の問題が生じやすくなる。な
お、上記合計厚さは、より望ましくは0.5〜2μmの
範囲で調整するのがよい。
【0015】なお、セラミック被覆層は、具体的には、
TiNを主体とする厚さ0.5〜2μmの単層として構
成することができる。このような被覆層は、単層であり
ながら密着強度と耐摩耗性に優れ、しかも製造が容易で
ある。また、該セラミック被覆層が黄金色に近い明るい
色調を示すのに対し、工具基体が前述の複合焼成体で構
成される場合にはこれが黒っぽい色調のものとなるの
で、例えば使用済みの工具エッジ等、セラミック被覆層
の摩滅が進んで下地となる工具基体部分が露出した場合
には、これを容易に判別することができる利点も有す
る。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に示す実施例により説明する。図1は、本発明の表面被
覆セラミック工具の一実施例としての旋削用工具チップ
1(以下、単にチップともいう)を示している。該チッ
プ1は、図1(a)及び(b)に示すように、偏平な略
三角柱形状に形成された工具基体3の外面全体をセラミ
ック被覆層2で覆った構造を有しており、例えばその主
面1cがすくい面を、側面1eが逃げ面を形成する。同
図(c)に示すように、チップ1は、その各コーナー部
1aにアールが施され、また、各エッジ部1bには面取
りが施されている。また、同図(a)に示すように、そ
の主面1cの中央には、図示しないチップホルダにチッ
プ1を装着するためのねじ挿通孔1dが厚さ方向に貫通
して形成されている。
【0017】工具基体3は、アルミナを主体に構成さ
れ、さらにTi、V、Cr、Al、Zr、Nb、Mo、
Hf、Ta及びWの炭化物、窒化物及び炭窒化物(例え
ば、TiC、TiN、TiCN、TaC、WC等)の1
種又は2種以上を合計で20〜40重量%、望ましくは
25〜35重量%含有する複合焼成体として構成されて
おり、必要に応じて焼結助剤として、Y23等の希土類
酸化物、及びMgO、CaO、SiO2等の1種又は2
種以上が0.2〜5.0重量%、望ましくは0.5〜
1.5重量%の範囲で添加されている。そして、その平
均結晶粒径は1μm以下、望ましくは0.7μmとされ、
電気比抵抗は1Ω・cm以下、望ましくは0.7Ω・c
mで調整されている。また、そのビッカース硬度が20
00kg/mm2以上、望ましくは2100kg/mm2以上
で調整されている。
【0018】また、セラミック被覆層2は、Ti、V、
Cr、Al、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta及びWの炭
化物、窒化物及び炭窒化物の1種又は2種以上を主体に
構成された単層又は複数層からなる被覆層とされてお
り、その合計厚さが0.5〜5μm、望ましくは0.5
〜2μmの範囲で調整される(なお、図1では、セラミ
ック被覆層2の厚さは誇張して描いている)。本実施例
では、セラミック被覆層2は、具体的には、TiNを主
体とする厚さ0.5〜2μmの単層として構成されてい
る。
【0019】以下、上記工具チップ1の製造方法の一例
について説明する。まず、アルミナ粉末、上記炭化物、
窒化物ないし炭窒化物粉末、及び焼結助剤粉末等の原料
粉末を所定量配合し、これに必要に応じてバインダを添
加・混合して、これをプレス成形(冷間静水圧プレス法
を含む)あるいは射出成形等の公知の方法で成形するこ
とによりグリーン成形体を作製し、さらに該成形体を所
定の炉内で焼成することにより工具基体3を得る。な
お、上記方法に代えて、あるいは上記方法による焼成に
続いて、熱間静水圧プレス法による焼成を行ってもよ
い。
【0020】次に、この工具基体3の表面にイオンプレ
ーティング法によりセラミック被覆層2を形成する。図
2は(a)、アークイオンプレーティング装置の一例を
概念的に示しており、チャンバー10内にターンテーブ
ル式基板ホルダ31が配置されてこれに工具基体3が固
定される一方、これと対向して1ないし複数の蒸発源と
しての金属ターゲット33が設けられ、各々直流電源3
2に接続されている。チャンバー10内は、排気口10
aから減圧排気され、ガス導入口13から反応ガスとし
ての窒素ガスが導入される。そして、その状態で工具基
体3及び金属ターゲット33は、各直流電源32により
各々負に帯電するように電圧が印加されるが、その各印
加電圧のレベルは金属ターゲット33側が相対的に正、
工具基体3側が相対的に負となるように調整される。こ
れにより、金属ターゲット33と工具基体3との間には
アーク放電が生じ、その発熱により金属ターゲット33
を構成する金属原料が蒸発する一方、金属ターゲット3
3と工具基体3との間の電位勾配により蒸発した金属原
料及び窒素ガスがイオン化し、これを工具基体3の表面
に付着・堆積させることにより、TiNを主体とするセ
ラミック被覆層2(図1)が形成される。
【0021】一方、図2(b)は、抵抗加熱蒸発式のイ
オンプレーティング装置の一例を概念的に示しており、
チャンバー10内に配置された図示しない基板ホルダを
介して工具基体3が固定され、これとほぼ対向する位置
に例えばボート状の抵抗加熱フィラメント11が設けら
れて、ここにセラミック被覆層2の金属成分源としての
金属原料(本実施例ではTi金属)Mが配置されるよう
になっている。そして、チャンバー10内を排気口10
aから減圧排気しつつ、加熱電源12により抵抗加熱フ
ィラメント11に通電して金属原料Mを加熱・蒸発させ
るとともに、ガス導入口13から反応ガスとしての窒素
ガスを導入する。そして、その状態で抵抗加熱フィラメ
ント11側が正、工具基体3側が負となるように直流電
源装置14によりバイアス電圧を印加して、蒸発した金
属原料及び窒素ガスをイオン化し、これを工具基体3の
表面に付着・堆積させることにより、TiNを主体とす
るセラミック被覆層2(図1)が形成される。
【0022】なお、図3に示すように、チャンバー内に
金属網あるいは穴あき金属板等で構成された円筒状の容
器体18内に工具基体3を収容し、これをモータ19a
を含む回転機構19により周方向に回転させながら、該
容器体18を介して工具基体3を帯電させることによ
り、セラミック被覆層2(図1)を形成することもでき
る。これにより、工具基体3の外面全体に均一かつ能率
的にセラミック被覆層2を形成することができる。
【0023】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。 (実施例1)A123粉末(平均粒径0.5μm)、T
iC、TiCN及びTiN粉末(平均粒径1μm)、焼
結助剤としてのMgO粉末(平均粒径0.2μm)及び
23粉末(平均粒径1μm)を各種配合割合で配合し
てボールミルにより湿式混合を行い、次いでこれを乾燥
して得られる原料粉末を圧力2ton/cm2で金型プ
レス成形することにより、所定の成形体を得た。次に、
この成形体を、不活性ガス雰囲気中で温度1700〜1
800℃で2時間予備焼成し、さらに温度1500℃、
圧力1500気圧で2時間HIP処理を行った後、得ら
れた焼成体を図1に示す形状に研削加工して工具基体と
した。なお、工具基体の寸法は、厚さ約4.76mm、一
辺が約13.5mmの偏平略三角柱形状であり、そのコー
ナー部1aに施されたアールの大きさRは約0.8mmと
した。また、エッジ部1bに施された面取り部は、図5
に示すように、主面1c側の幅tが約0.2mm、主面1
cに対する傾斜角度θが約25°となるように形成し
た。
【0024】こうして得られた工具基体の密度をアルキ
メデス法により、電気比抵抗を直流四端子法により測定
した。また、その平均粒径をSEMによる組織写真に基
づいて算出し、ビッカース硬度を所定のビッカース硬度
計により測定した。一方、各工具基体の組成をEDSに
より分析した。以上の結果を表1(実施例:試料No.
1〜5)及び表2(比較例:試料No.11〜15)に
示す。
【0025】次に、得られた各工具基体3の表面に、既
存のアークイオンプレーティング装置によりセラミック
被覆層としての厚さ2μmのTiN層を形成して工具チ
ップとした。なお、イオンプレーティングの条件は、ア
ーク電流:100A、工具基体に対するバイアス電圧:
−100V、雰囲気圧力:1×10-2torr、成膜速度:
約0.1μm/minとした。そして、得られた各工具チッ
プに対し、TiN層2の密着強度をスクラッチテスター
を用いて測定した。すなわち、図4に示すように、ビッ
カース硬度測定用のダイヤモンド圧子25をTiN層2
に接触させ、圧子25に加える荷重Lを増大させながら
TiN層2に沿って該圧子25を移動させ、TiN層2
に破壊ないし剥離が生じ始める荷重(スクラッチ臨界荷
重)により密着強度を評価した。なお、試料の測定面の
面粗さは0.8μm Rmaxとし、荷重Lは、圧子25の
移動距離1mmにつき10N(ニュートン)の割合で増大
するように制御した。その結果を表1及び表2に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】以上の結果から明らかなように、本発明の
実施例に係る工具チップ(表1)については、TiN層
の密着強度が比較例(表2)の工具チップに比べて優れ
ていることがわかる。
【0029】(実施例2)表1のNo.2の工具基体を
用いて、既存のアークイオンプレーティング装置によ
り、表3に示す各セラミック被覆層を種々の膜厚で形成
し(試料No.21〜34)、それらの密着強度を実施
例1と同様の方法により評価した。その結果を表3に示
す。
【0030】
【表3】
【0031】すなわち、セラミック被覆層は、その厚さ
が5μm以下である場合は良好な密着強度を維持する
が、5μmを越えると密着強度が低下して剥離等が生じ
ていることがわかる。なお、セラミック被覆層は、厚さ
が2μm以下の場合に密着強度が特に良好である。
【0032】(実施例3)実施例1及び2で作製した工
具チップを用い、図5において、工具チップ1の主面1
cをすくい面、側面1eを逃げ面として用いることによ
り、以下の条件により旋削テストを行った。実施例の工
具チップとしては、表3の試料No.21、22、2
4、25を、比較例の工具チップとしては表2の試料N
o.13及び14を使用した。 被削材:SCM415浸炭焼き入れ材(Hv:850〜
700) 切削速度:200m/min 送り速度:1回転当り0.1mm 切り込み量:0.3mm
【0033】そして、上記条件にて30分間旋削加工し
た後、各チップの平均逃げ面摩耗量(逃げ面1eに生ず
る摩耗領域の旋削方向における平均幅:VB摩耗量)を
測定した。結果を表4に示す。
【0034】
【表4】
【0035】すなわち、本発明の実施例に係る工具チッ
プは、いずれもセラミック被覆層が剥離することなく、
またVB摩耗量も小さいことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表面被覆セラミック工具の一実施例と
しての工具チップを示す斜視図、側面部分断面模式図及
び部分拡大斜視図。
【図2】イオンプレーティング装置の一例を示す概念
図。
【図3】同じくその変形例を示す概念図。
【図4】スクラッチテストの方法説明図。
【図5】工具チップのエッジ部分を拡大して示す側面断
面模式図。
【符号の説明】
1 旋削用工具チップ(表面被覆セラミック工具) 2 セラミック被覆層 3 工具基体

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミックスで構成された工具基体と、 気相成膜法によりその工具基体の表面を覆う単層又は複
    数層に形成されたセラミック被覆層とを備え、 前記工具基体を構成するセラミックスの電気比抵抗が1
    Ω・cm以下であることを特徴とする表面被覆セラミッ
    ク工具。
  2. 【請求項2】 前記セラミック被覆層は、該セラミック
    被覆層の構成成分となるべきイオンを、該イオンとは逆
    極性に帯電させた前記工具基体の表面に対し気相を介し
    て付着させることにより形成されたものである請求項1
    記載のセラミック工具。
  3. 【請求項3】 前記工具基体を構成するセラミックス
    は、その平均結晶粒径が1μm以下の焼成体である請求
    項1又は2に記載のセラミック工具。
  4. 【請求項4】 前記工具基体を構成するセラミックス
    は、そのビッカース硬度が2000kg/mm2以上の焼
    成体である請求項1ないし3のいずれかに記載のセラミ
    ック工具。
  5. 【請求項5】 前記工具基体を構成するセラミックス
    は、アルミナを主体に構成され、さらにTi、V、C
    r、Al、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta及びWの炭化
    物、窒化物及び炭窒化物の1種又は2種以上を合計で2
    0〜40重量%含有する複合焼成体である請求項1ない
    し4のいずれかに記載のセラミック工具。
  6. 【請求項6】 前記セラミック被覆層は、Ti、V、C
    r、Al、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta及びWの炭化
    物、窒化物及び炭窒化物の1種又は2種以上を主体に構
    成されるものである請求項1ないし5のいずれかに記載
    のセラミック工具。
  7. 【請求項7】 前記セラミック被覆層は、TiNを主体
    とする厚さ0.5〜2μmの単層として構成されている
    請求項6記載のセラミック工具。
JP27413596A 1996-09-24 1996-09-24 表面被覆セラミック工具 Pending JPH1094905A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2000144378A (ja) * 1998-11-05 2000-05-26 Yamaguchi Prefecture 低摩擦係数の複合硬質皮膜の形成法
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