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JPH1094298A - 同期電動機のベクトル制御方法 - Google Patents

同期電動機のベクトル制御方法

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JPH1094298A
JPH1094298A JP8267764A JP26776496A JPH1094298A JP H1094298 A JPH1094298 A JP H1094298A JP 8267764 A JP8267764 A JP 8267764A JP 26776496 A JP26776496 A JP 26776496A JP H1094298 A JPH1094298 A JP H1094298A
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armature
axis
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JP8267764A
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JP3612636B2 (ja
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Shinji Aranaka
新二 新中
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C&S Kokusai Kenkyusho KK
Original Assignee
C&S Kokusai Kenkyusho KK
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Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=17449269&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JPH1094298(A) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by C&S Kokusai Kenkyusho KK filed Critical C&S Kokusai Kenkyusho KK
Priority to JP26776496A priority Critical patent/JP3612636B2/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、磁極位置検出器の使用に起因する
諸問題を解決すべく、磁極位置検出器を一切必要としな
いしかも高い加減速性能を発揮し得るベクトル制御方法
を提供する。 【解決手段】 ベクトルコントローラ基本部12で必要
とする回転dq座標系の位相を磁極位置検出器を用いる
ことなく適切に生成するために、低周波領域用の位相を
生成する低周波領域位相生成器9と高周波領域用の位相
を生成する高周波領域位相生成器10とを用意し、更
に、これら2種の位相を周波数的に加重平均して合成す
る位相合成器11構成し、合成された最終位相を回転d
q座標系の位相とするようにし、課題を解決している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、同期電動機の制御
方法であって、低速域と高速域との間での急激かつ不断
の加速減速性能を必要とするサーボへの応用が可能なベ
クトル制御方法に関するものである。特に、ベクトル制
御の確立に、回転子の磁束と同一方向を回転直交座標系
の基軸に選定し、かつ、回転子の磁束位置検出器を必要
としないベクトル制御方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】同期電動機を低速域と高速域との間で急激
かつ不断の加減速性能を必要とするサーボ応用に用いる
場合、従来よりこのための制御方法として、同期電動機
の状態を回転子磁束に位相差ゼロで同期した回転dq座
標系上で捕らえて制御するベクトル制御方法が知られて
いる。
【0003】図12は、このベクトル制御方法を装置化
し、同期電動機に装着した場合の代表例を概略的にブロ
ック図で示したものである。1は同期電動機を、2は回
転子の磁極位置検出器を、3は電力変換器を、4は電流
検出器を、5a、5bは夫々3相2相変換器、2相3相
変換器を、6a、6bは共にベクトル回転器を、7は電
流制御器を、8は正弦信号発生器を、示している。図1
2では、5a、5bから8までの諸機器がベクトル制御
装置を構成している。
【0004】特に、5a、5b、6a、6b、7の3種
の機器は、主として、電機子電流を、回転dq座標系上
でd軸成分とq軸成分に分割し各々を制御する手段を構
成するものである。電流検出器4で検出された3相電流
は、3相2相変換器5aで固定ab座標系上の2相電流
に変換された後、ベクトル回転器6aでdq座標系の2
相電流id,iqに変換され。電流制御器7へ送られ
る。電流制御器は、変換電流id,iqが、外部から指
令された各々の指令値id*,iq*に追随すべくdq
座標系上の指令電圧vd*,vq*を生成しベクトル回
転器6bへ送る。6bでは、この2相信号を固定ab座
標系の2相指令電圧に変換し、2相3相変換器5bへ送
る。5bでは、2相信号を3相指令電圧に変換し、電力
変換器3への指令値として出力する。電力変換器3は、
指令に応じた電力を発生し、同期電動機1へ印加しこれ
を駆動する。
【0005】また、正弦信号発生器8は、回転dq座標
系の位相決定の手段を構成している。即ち、正弦信号発
生器8は、磁極位置検出器2から磁極位置情報が送られ
ると、この信号を用いて複数の正弦信号(cos、si
n信号)を生成し、回転dq座標系の位相情報として、
ベクトル回転器6a,6bへ向け出力する。同図では、
簡明のため、複数の正弦信号を1つの位相ベクトルとし
て捕らえ、1本の太線で表現している。なお、以下、他
の図においても、太線はベクトル信号線を示すものとす
る。正弦信号の形の位相情報が電力変換器3に通じるベ
クトル回転器6bに与えられたことより容易に理解され
るように、この位相情報は、電源角周波数を決定するこ
とになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のベクトル制
御方法においては、同図が明確に示すように、回転dq
座標系の位相決定に、回転子の磁極位置情報が不可欠で
ある。このため、アブソリュートエンコーダに代表され
る磁極位置検出器を中心とした磁極位置検出系を構成し
なければならなかった。しかし、磁極位置検出器を含む
磁極位置検出系は同期電動機本体に比較すると極めて脆
弱であり、同期電動機含む全駆動システムの信頼性を著
しく低下させていた。例えば、磁極位置検出器は電動機
が受ける衝撃に対し著しく弱く、また、磁極位置検出器
の信号は一般に数ボルトであり送信時にはノイズに対す
る特別の配慮が必要であり、更には、磁極位置検出器の
電源線や信号線の安全な配線にも配慮が求められた。ま
た、脆弱な磁極位置検出系が異常を起こした場合の対策
も要求された。このような磁極位置検出系の実装はコス
ト面でも不利であった。加えて、検出器の実装に際して
は、電動機の軸方向の寸法が大きくなるなど、電動機の
設置においても不利であった。
【0007】このため、エンコーダ等の磁極位置検出器
を用いないで、磁極位置を推定するような方法が研究さ
れてきたが、これらは、基本的に、単一の方法で回転子
磁極位置あるいは回転dq軸座標の位相を決定しようと
するものであり、これが主原因の1つとなり、検出磁極
位置の検出精度、検出範囲、検出安定性等の諸問題の内
の幾つかを誘発し、低速域と高速域との間での急激かつ
不断の加速減速性能を必要とするサーボへの応用は進ん
でいない。ベクトル制御は元来急激な加減速を伴うサー
ボ応用を狙ったものであり、従来より磁極位置検出器の
使用に起因する諸問題がベクトル制御の解決すべき課題
として残置されてきた。
【0008】本発明は、以上の背景のもとになされたも
のであり、その目的は、磁極位置検出器の使用に起因す
る諸問題を解決すべく、磁極位置検出器を一切必要とし
ないしかも高い加減速性能を発揮し得るベクトル制御方
法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1の発明は、回転子の磁束と同一方向をd軸
に選定しこれと直交する軸をq軸に選定する回転dq座
標系上で、電機子電流をd軸成分とq軸成分に分割し制
御する工程と、回転dq座標系の位相を決定する工程と
を有する同期電動機のベクトル制御方法であって、該回
転dq座標系の位相を決定する工程において、低周波領
域用の位相決定方法と高周波領域用の位相決定方法の2
種の位相決定方法を用い、各々位相を生成し、該低周波
領域用の位相決定方法で生成された位相と該高周波領域
用の位相決定方法で生成された位相とを周波数的に加重
平均して、該回転dq座標系の位相とすることを特徴と
するものである。
【0010】請求項2の発明は、請求項1の同期電動機
のベクトル制御方法であって、直流ゲインが1の低域通
過フィルタF(s)の周波数特性を該低周波領域用の位
相決定方法で生成された位相の主たる加重とし、低域遮
断フィルタ(1ーF(s))の周波数特性を該高周波領
域用の位相決定方法で生成された位相の主たる加重とし
て、該周波数的加重平均を行うことを特徴とするもので
ある。請求項3の発明は、回転子の磁束と同一方向をd
軸に選定しこれと直交する軸をq軸に選定する回転dq
座標系上で、電機子電流をd軸成分とq軸成分に分割し
制御する工程と、回転dq座標系の位相を決定する工程
とを有する同期電動機のベクトル制御方法であって、該
回転dq座標系の位相を決定する工程において、電源角
周波数と電機子鎖交磁束のd軸成分あるいはその磁束推
定近似値で表現されるd磁束値との積と、電機子電圧の
q軸成分あるいはその電圧推定近似値から、電機子電流
のq軸成分あるいはその電流推定近似値を直列接続され
た電機子抵抗と電機子インダクタンスに流した際に発生
する降下電圧を減じて得られた残電圧値とを、直接的に
等しくすべく、該残電圧値と該d磁束値との演算処理に
より該電源角周波数を決定し、決定した該電源角周波数
の積分及び三角関数処理値を該回転dq座標系の位相の
低周波領域部分に使用することを特徴とするものであ
る。
【0011】請求項4の発明は、請求項3の同期電動機
のベクトル制御方法であって、該d磁束値に対し正の下
限値を設定し、該d磁束値が該下限値より常時大きな値
を取るようにしたことを特徴とするするものである。
【0012】請求項5の発明は、請求項3の同期電動機
のベクトル制御方法であって、該残電圧値の生成工程に
おいて、低域通過フィルタによるフィルタリング処理を
行うことを特徴とするものである。
【0013】請求項6の発明は、回転子の磁束と同一方
向をd軸に選定しこれと直交する軸をq軸に選定する回
転dq座標系上で、電機子電流をd軸成分とq軸成分に
分割し制御する工程と、回転dq座標系の位相を決定す
る工程とを有する同期電動機のベクトル制御方法であっ
て、該回転dq座標系の位相を決定する工程において、
回転dq座標系の位相決定の基準となる固定ab座標系
上で電機子の電圧と電流を表現し、電機子電圧あるいは
その推定近似値から、電機子電流あるいはその推定近似
値を直列接続された電機子抵抗と電機子インダクタンス
に流した際に発生する降下電圧値を減じることにより得
られる信号を、F(s)を直流ゲインが1の低域通過フ
ィルタとするとき(1ーF(s))/sと同様の周波数
特性をもつフィルタに通して残電圧値を生成し、該残電
圧値のa軸成分とb軸成分より該残電圧値の位相を決定
し、決定した位相を該回転dq座標系の位相の高周波領
域部分に使用することを特徴とするものである。
【0014】請求項7の発明は、請求項6の同期電動機
のベクトル制御方法であって、該残電圧値が高周波領域
に属する場合に限り該残電圧値のノルムを新たに同定
し、該残電圧値のa軸成分とb軸成分に対しノルムの最
新同定値で除算して、該残電圧値の位相を決定すること
を特徴とするものである。
【0015】つぎに本発明の作用について説明する。請
求項1の本発明によれば、低周波領域の位相決定にはこ
れに適した低周波領域用の位相決定方法を用いることが
でき、高周波領域の位相決定にはこれに適した高周波領
域用の位相決定方法を用いることができる。しかも、本
発明によれば、各々適した方法で決定された2種の位相
が周波数的な加重平均により周波数的に連続に結合され
得るので、この最終的な位相を回転dq座標系の位相と
することにより、低速域と高速域との間での急激かつ不
断の加減速性能を要求するサーボ応用のためのベクトル
制御に利用可能な位相を生成できるという作用が得られ
る。
【0016】請求項2の本発明によれば、請求項1のベ
クトル制御方法であって、周波数的な加重平均用の主た
る加重として、直流ゲインが1の低域通過フィルタF
(s)の周波数特性と低域遮断フィルタ(1ーF
(s))の周波数特性を利用するので、2つの位相決定
方法で生成された各々の位相を、単にこれらのフィルタ
でフィルタリング処理するだけで、周波数的な加重を簡
単に付加できるという作用が得られる。しかも、フィル
タの周波数特性を単に変更するだけで、この周波数的な
加重を簡単に変更できるという作用が得られる。例え
ば、フィルタの遮断特性を極低周波に設定すると、極低
周波領域用と低中高周波領域用との2種の加重を簡単に
設定することができる。
【0017】請求項3の本発明によれば、回転子磁束と
同一方向をd軸に選定しこれと直交する軸をq軸に選定
する回転dq座標系に必要な位相確立のための電源角周
波数が、回転子の磁極位置情報を用いることなく、生成
されると言う作用が得れることを、先ずノイズ等を含ま
ない正確な信号を用いて説明する。
【0018】電源角周波数をω1、電機子鎖交磁束のd
軸成分をφd、電機子電圧のq軸成分をvq、電機子電
流のd軸成分をid、またq軸成分をiqと表現するな
らば、本発明は、回転子の磁極位置信号を一切含まない
次の関係式(1)が成立するように、式(1)の右辺で
示される信号を信号φdによる除算等の演算により、直
接的に電源角周波数ω1を生成しようとするものであ
る。
【数1】 ここに、ここにRは電機子抵抗を、Lは電機子インダク
タンスを、sは微分演算子d/dtを示している。上式
右辺第2項の信号は、電機子電流q軸成分を、直列接続
された電機子抵抗と電機子インダクタンスに流した際に
発生する降下電圧を示しており、また右辺全体の信号
は、電機子電圧q軸成分からこの降下電圧を減じて得ら
れた残電圧値を示している。また、このときの電機子鎖
交磁束d軸成分φdは、直接検出することなく、電機子
電流d軸成分idを用いたつぎの式(2)に従い推定近
似しようとするものである。
【数2】 なお、上式におけるΦは、回転子磁束を2軸直交座標系
で表現した場合の最大値である。
【0019】ところで、同期電動機においては、内部状
態において、一般に次式(3)に示す関係が成立してい
る。
【数3】 ここに、φmqは回転子磁束φmのq軸成分である。
【0020】さてここで、本発明の基本を示す式(1)
を式(3)に用いると、sφmq=0なる結果が得られ
る。sφmq=0なる結果は、φmq=一定を意味し、
回転子磁束が電源角周波数に同期して回転していること
を示している。特に、式(2)に示したように、φdを
構成する回転子磁束分としてその最大値Φを利用する場
合には、φmq=0が平衡状態の唯一の解となる。φm
q=0は、とりもなおさず、回転子の磁束と同一方向を
d軸に選定しこれと直交する軸をq軸に選定する回転d
q座標系ための位相が確立されることを意味している。
以上の説明より明らかなように、請求項3の本発明によ
れば、本質的に、回転子磁束と同一方向をd軸に選定し
これと直交する軸をq軸に選定する回転dq座標系の位
相確立に必要な電源角周波数が、回転子の磁極位置情報
を用いることなく、生成されると言う作用が得れる。更
に付言するならば、回転子の磁極位置の推定が困難ある
いは実質的に不可能な停止あるいは低速回転領域で使用
しうる電源角周波数が生成されるという作用が得られ
る。
【0021】請求項3の本発明では、電機子電圧のq軸
成分、電機子電流のd軸成分、q軸成分がノイズ等の影
響により正確な値が入手できない場合には、これらの近
似推定値により電源角周波数を生成するようにしてい
る。本発明は、回転dq座標系の位相確立に必要な本質
的条件を直接満足させることを電源角周波数の生成原理
としているのでいるので、ノイズ等の影響が強い場合に
も、上記信号の近似推定値を利用することにより、現実
的な電源角周波数を生成できると言う作用が得られる。
【0022】請求項4の本発明によれば、請求項3の発
明におけるベクトル制御方法であって、d磁束値に対し
正の下限値を設定し、d磁束値が該下限値より常時大き
な値を取るようにするので、電源角周波数の生成を、残
電圧値のd磁束値による除算という簡単な演算で実施す
る場合にも、ゼロあるいは極小値で除算を行うというゼ
ロ割り現象を確実に回避することができるという作用が
得られる。
【0023】請求項5の本発明によれば、請求項3の発
明におけるベクトル制御方法であって、残電圧値の生成
工程に、低域通過フィルタによるフィルタリング処理を
行うので、残電圧値を与える式(1)の右辺が示すよう
に電機子インダクタンスLが関与する電圧生成には純粋
微分が要求されるが、この純粋微分を回避することがで
きると言う作用が得られる。ひいては、残電圧値が現実
的な信号に対して不必要な過大値を示したり、ノイズ等
の外乱に対し不都合な過激反応することを回避すること
ができると言う作用が得られる。
【0024】請求項6の本発明によれば、回転子磁束と
同一方向をd軸に選定しこれと直交する軸をq軸に選定
する回転dq座標系に必要な位相が、高周波領域に限定
されるが、生成されると言う作用が得れることを、先ず
ノイズ等を含まない正確な信号を用いて説明する。
【0025】固定ab座標系上では、電機子電圧、電機
子電流、電機子鎖交磁束の回転子磁束分を2次元のベク
トル量として夫々v、i、φmと表現するとき、つぎの
関係が成立している。
【数4】
【0026】式(4)の右辺は、電機子電圧から、電機
子電流を直列接続された電機子抵抗Rと電機子インダク
タンスLに流した際に発生する降下電圧値を減じること
により得られる信号を示している。式(4)で表現した
信号に対し、例えば直流ゲインが1の低域通過フィルタ
F(s)としてα/(s+α)を考え(1ーF(s))
/s=1/(s+α)なるフィルタを用意し、フィルタ
リング処理すると次式(5)に示す信号、すなわち残電
圧値が得られる。
【数5】
【0027】式(5)の左辺が明確に示すように、上式
右辺の残電圧値は、結果として回転子磁束φmを低域遮
断フィルタs/(s+α)でフィルタリング処理した信
号そのものとなっている。このときの回転子磁束φmに
関してはつぎの関係式(6)が成立している。
【数6】
【0028】式(5)、式(6)より明白なように、式
(5)右辺の信号を、回転子磁束の最大値Φで除算すれ
ば、回転dq座標系に必要な位相(cosθ,sin
θ)が、高周波領域に限定されるが、生成されるという
作用が得られる。即ち、高周波領域に限定されるが、磁
極位置検出器を用いることなく、電機子の電圧及び電流
の情報から回転dq座標系に必要な位相を生成すること
ができるという作用が得られる。
【0029】請求項6の本発明では、回転子磁束φmに
対しては、実質的に、低域遮断フィルタによるフィルタ
リングと同等な処理を行っているので、本発明の位相生
成法によれば、低周波領域のオフセット、ドリフトに頑
健であるという作用も得られる。
【0030】また、請求項6の本発明では、電機子電
圧、電機子電流が高周波領域のノイズ等の影響により正
確な値が入手できない場合には、これらの近似推定値に
より回転dq座標系に必要な位相を生成するようにして
いるので、高周波領域のノイズ等の影響が強い場合に
も、上記信号の近似推定値を利用することにより、現実
的な位相を生成できると言う作用が得られる。
【0031】請求項7の本発明によれば、請求項6の発
明におけるベクトル制御方法であて、該残電圧値のノル
ム値を同定するので、回転子磁束の最大値Φが不明の場
合にも、同定したノルム値を回転子磁束の最大値Φとし
て利用することができるので、回転dq座標系の位相を
生成できるという作用が得られる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて、本発明の実
施形態を詳細に説明する。本発明のベクトル制御方法を
適用したベクトル制御装置と同期電動機の1実施形態例
の基本的構造を図1に示す。図1における電動機等の
1、2、3は、従来のベクトル制御方法を適用した図1
2と同一である。同図の12は、回転dq座標系上で、
電機子電流をd軸成分とq軸成分に分割し制御する工程
を司るベクトルコントローラの基本部であり、これも従
来のベクトル制御方法による場合と同様である。図1で
は、同期電動機に磁極位置検出器は装着されておらず、
これに代わって、回転dq座標系の位相を決定する工程
を司る機器として、低周波領域位相生成器9、高周波領
域位相生成器10及び位相合成器11が新たに用意され
ている。低周波位相生成器では、回転dq座標系の位相
の低周波領域部分を生成している。一方、高周波領域位
相生成器は、回転dq座標系の位相の高周波領域部分を
生成している。位相合成器は、これらの2種の位相を合
成して、最終的な位相(cosθf,sinθf)を生
成し、ベクトルコントローラ基本部12へ詳細にはベク
トルコントローラ基本部内のベクトル回転器6a、6b
へ出力している。このときの2種の位相の合成は、以下
詳しく説明するように、周波数的加重平均により実行し
ている。
【0033】図2は、図1における低周波領域位相生成
器9、高周波領域位相生成器10、位相合成器11とベ
クトルコントローラ基本部12との関係の詳細を示した
ものである。本実施形態例では、低周波領域位相生成器
9には、電機子電流のd軸成分id、q軸成分iq、及
び電機子電圧q軸成分の近似推定値としてその指令値v
q*が、入力されている。また、高周波領域位相生成器
10には、電機子電流のa,b軸成分及び電機子電圧の
近似推定値としてその指令値v*のa、b軸成分が、入
力されている。
【0034】図3は、低周波領域位相生成器9の内部を
示したものである。9aは電源角周波数生成器を、9b
は積分器を、9cは正弦信号発生器を、9dは直流ゲイ
ンが1の2個の低域通過フィルタF(s)を示してい
る。電源角周波数生成器で電源角周波数ω1を生成する
と、これは積分器にて積分処理され電源角θ1として出
力される。電源角は正弦信号発生器にて複数の正弦信号
(cosθ1、sinθ1)に変換される。この複数の
正弦信号は、直流ゲインが1の2個の低域通過フィルタ
9dに各々入力される。低域通過フィルタ9dの役割
は、正弦信号(cosθ1、sinθ1)に、フィルタ
F(s)の周波数特性に応じた、低周波を中心とした周
波数的な加重を付加することにある。こうして、低域通
過フィルタ9dから低周波領域用の位相情報が最終的に
出力される。直流ゲインが1の低域通過フィルタF
(s)として、例えば簡単な1次フィルタ(α/(s+
α))を2個用意するならば(図3の9の出力はこの例
を示している)、つぎの信号が、低周波領域用の位相情
報として出力される。
【数7】
【0035】図4は、電源角周波数生成器9aの内部の
構成を示したものである。同図の9aaは、電機子電圧
q軸成分指令値から電機子電流のq軸成分を直列接続さ
れた電機子抵抗と電機子インダクタンスに流した際に発
生する降下電圧を減じた残電圧値を生成する残電圧生成
部である。9abは、電機子電流d軸成分idと回転子
磁束の最大値とから電機子鎖交磁束d軸成分の磁束推定
近似値を生成するd磁束生成部であり、9acは、d磁
束生成部の出力信号と電源角周波数との積が上記残電圧
生成部の出力信号と直接的に等しくなるように電源角周
波数を決定する電源角周波数演算部である。
【0036】図5は、残電圧値生成部9aaの1実施形
態例を示したものである。図5の例では、低域通過フィ
ルタf/(s+f)によるフィルタリング処理を実施し
ている点に特徴がある。残電圧生成部の構成は、基本的
には式(1)の右辺に従っており、この右辺が示すよう
に電機子インダクタンスLが関与する電圧生成には理想
的状況では純粋微分が要求されるが、図5の例は、低域
通過フィルタf/(s+f)によりこの純粋微分を回避
していることを、明確に示している。
【0037】図6は、d磁束生成部の1実施形態例の詳
細を示したものである。d磁束生成部は、基本的は式
(2)に示した信号処理を行い、d磁束値をその出力信
号としている。この例では、理解を容易にするため、機
能別に構成を分けた3段構成で、d磁束生成部を構成し
ている。d磁束生成部第1段は基本部9abaであり、
式(2)に示した関係を忠実に具現化したものである。
d磁束生成部第2段9abbはバランス部であり、前述
の残電圧生成部の出力信号に対しゲインと位相のバラン
スを保つことを目的に用意されている。したがって、こ
の1例では、簡単には、残電圧生成部に導入した低域通
過フィルタf/(s+f)と同一のものを設置すればよ
い。d磁束生成部第3段はリミッタ部9abcであり、
これにより、d磁束生成部の最終的な出力信号であるd
磁束値が予め設定した正の下限値より、常時大きな値を
取ることができる。
【0038】電源角周波数演算部9acの働きは、d磁
束生成部の出力信号と電源角周波数との積が該残電圧生
成部の出力信号と直接的に等しくなるように電源角周波
数を決定することにあるが、本例では、残電圧生成部の
出力信号をd磁束生成部の出力信号により除算すると言
う最も簡単な決定法を利用している。除算による場合に
も、前述のd磁束生成部においてd磁束値が予め設定し
た下限値より常時大きな値を取るようにしているので、
ゼロあるいは極小値で除算を行うというゼロ割り現象を
確実に回避することができる。
【0039】つぎに、高周波領域位相生成器10の1実
施形態について説明する。図7は、高周波領域位相生成
器10の本実施形態での詳細を示したものである。この
高周波領域位相生成器内では、簡明のため、作用の説明
で使用したフィルタを用い、式(4)、(5)、(6)
に準じた処理を実施する例を示した。また、本実施形態
では、固定ab座標系の電機子電圧指令値v*と電機子
電流情報iがベクトル信号として入力され、それぞれa
軸成分、b軸成分の信号としてまとめられ、例えばa軸
成分の信号に関しては、まず次式に示した処理がフィル
タ部10aで実施される。
【数8】 図8はフィルタ部10aにおけるフィルタリング処理の
ための具体的なフィルタの1実現例をブロックで示した
ものであり、このフィルタの出力信号が、残電圧値とな
る。式(8)および図8より明白なように、この処理
は、電機子電圧の推定近似値の1つである電機子電圧指
令値から、電機子電流を直列接続された電機子抵抗と電
機子インダクタンスに流した際に発生する降下電圧値を
減じることにより得られる信号を、直流ゲインが1の低
域通過フィルタF(s)=α/(s+α)と(1ーF
(s))/sなる関係をもつフィルタ(1/(s+
α))に通して残電圧値を生成している。a軸成分を例
に残電圧値生成の説明したが、フィルタ部10bによる
b軸成分の残電圧値生成はa軸成分の場合と同一である
ので、説明は省略する。
【0040】a軸成分、b軸成分の両成分について残電
圧値が生成されたならば、図7に示すように、この両信
号に対し、演算部10cにおいて回転子磁束の最大値Φ
で単に除算することにより、該残電圧値の位相を決定す
る。こうして決定された残電圧値の位相は、図7及び次
式(9)に示すように、既に式(7)に双対の周波数的
加重を付与したものとなっている。
【数9】 低周波遮断の周波数特性を加重として付与されたこの位
相が、回転dq座標系の位相の高周波領域部分として使
用される。
【0041】位相合成器11には、低周波領域位相生成
器9によって生成された位相(式(7)参照)が、また
高周波領域位相生成器10によって生成された位相(式
(9)参照)が、入力されている。位相合成器の入力信
号は既に周波数的な加重が付与されているので、位相合
成器では、次式が示すように、これらの入力信号を各成
分ごとに単純に加算することにより平均化し、回転dq
座標系の最終的な位相ベクトル[cosθf,sinθ
f]を生成し、これをベクトル回転器6a,6bに出力
している。
【数10】
【0042】図9は、本発明を用いた上記実施形態のベ
クトル制御装置により、同期電動機を駆動制御した場合
の実験結果の1例を示したものである。左上が電機子電
流q軸成分の指令値を、右上が生成された回転dq座標
系用の最終的位相ベクトルの1つであるcosθfを、
左下が発生トルクを、右下が回転子の速度を、各々5秒
間表示している。実験結果は、α=20と設計した1例
であるが、力行・回生性能、1300(r/m)の正転
逆転を1.5秒という加減速性能、正確なトルク発生性
能と言ったサーボの重要性能を示しており、これから容
易に理解されるように、優れたサーボ性能が得られてい
る。
【0043】以上、1実施形態を説明したが、上記の例
に代わって、以下に示すような実施形態も可能であるこ
とを、低周波領域位相生成器9、高周波領域位相生成器
10、位相合成器11に分けて、指摘しておく。
【0044】低周波領域位相生成器9に関しては、第1
に、電源角周波数生成器9aに使用する電流信号として
上の例では電機子電流のd軸成分id及びq軸成分iq
を用いたが、この近似推定値の1つとしてこれらの電流
指令を用いてもよく、また、電機子電圧q軸成分の信号
として上の例ではその指令値vq*を用いたが、当然の
ことながら、電圧の実測値あるいはこの他の推定近似値
を用いてよいことを指摘しておく。
【0045】また、残電圧生成部9aaに使用したフィ
ルタの次数は1次である必要はなく、2次、3次の高次
であってよい。また、このフィルタの第1義的目的は、
純粋微分の回避であるので、これが回避できる他の方法
・手段によっても差し支えないことを指摘しておく。
【0046】d磁束生成部9abに関しては、第1、
2、3段に分けて構成する1例を示したが、第1段と第
2段は順序を入れ替えることが可能である。また、d磁
束生成部を第1、2、3段のように分けることなく、一
体的に構成するこも可能であることを指摘しておく。ま
た、d磁束生成部内のバランス部は、残電圧生成部で使
用したフィルタに対し、両生成部出力信号間のゲインと
位相を保つために導入されたものであり、この帯域が十
分広い場合、あるいは電機子電流d軸成分の指令値id
*が常時一定の場合には、省略可能であることも指摘し
ておく。当然のことながら、残電圧生成部でフィルタを
使用しない場合には、バランス部は必要ない。同期電動
機のベクトル制御では、電機子電流d軸成分の指令値i
d*を常時ゼロに設定する場合が多いが、この場合に
は、d磁束生成部の出力信号は、回転子磁束の最大値Φ
そのものであり、回転子磁束の最大値Φが既知であれば
バランス部もリミッタ部も不要で、極めて簡単にd磁束
生成部を構成することができる。
【0047】回転子磁束の最大値Φが未知の場合には、
これを何等かの方法で同定し、d磁束生成部9abでは
この同定値を回転子磁束の最大値Φに代わって使用すれ
ばよい。回転子磁束の最大値Φの同定方法の1例に関し
ては、図10、11に関連して、後に詳しく説明する。
【0048】残電圧生成部9aaの出力信号に対し、ス
ケーリング処理を実施する場合には、d磁束生成部9a
bの出力信号に対しても、同様なスケーリング処理が当
然必要であることを指摘しておく。
【0049】電源角周波数演算部9acにおける演算処
理に関して、除算による方法を上に例示したが、除算を
一切使用しない繰り返し的方法で電源角周波数を決定で
きることを指摘しておく。
【0050】低周波領域位相生成器9内の低域通過フィ
ルタ9dは、直流ゲインが1で、かつ高周波領域位相生
成器10内のフィルタと周波数加重としての周波数特性
に関して合致していれば、上の示した実施形態例のよう
に1次フィルタに限定する必要はない。2次、3次のフ
ィルタを利用してよいことを指摘しておく。
【0051】d軸インダクタンスLdとq軸インダクタ
ンスLqが異なる突極性を有する同期電動機に対して
は、これまで説明における電機子電流のd軸成分に関連
したインダクタンスLをLdに、電機子電流のq軸成分
に関連したインダクタンスLをLqに置換すれば、これ
までの説明してきた方法がそのまま成立することを指摘
しておく。
【0052】つぎに、高周波領域位相生成器10に関す
る他の実施形態について指摘しておく。高周波領域位相
生成器10で使用するフィルタとしては、F(s)を直
流ゲインが1の低域通過フィルタとするとき(1ーF
(s))/sと同様の周波数特性をもつフィルタであれ
ばよく、正確に(1ーF(s))/sである必要はな
い。F(s)に比較し十分に通過帯域が広くかつ直流ゲ
インが1の低域通過フィルタをG(s)とするとき、高
周波領域位相生成器10で使用するフィルタとしてG
(s)(1ーF(s))/sを用いてよいことを指摘し
ておく。
【0053】高周波領域位相生成器10では、回転子磁
束の最大値Φが未知の場合には、これを同定し、所要の
高周波領域の位相を出力することが可能であることを指
摘しておく。図10は、この1実施形態をブロック図で
示したものである。図10と図9の違いは、新たにノル
ム同定器10dが付加されている点にある。図11は、
このノルム同定器10dの同定処理の内容を流れ図で示
したものである。起動前にすなわちステップs1で先ず
ノルムの同定初期値を可能な限り適切に与えておく。起
動後、ステップs2で10a、10bから残電圧値のa
軸成分、b軸成分を取得する。シテップs3でこの取得
信号の周波数を検査する。つぎのステップs4で検査し
た周波数が高周波領域に属するか否かを判定する。この
ときの高周波領域とは、高周波位相生成器が位相生成を
担う周波数領域である。周波数が高周波領域に問題なく
属すると判定された場合に限りつぎのステップs5へ進
み、取得信号からノルム値を新たに計算し、これを用い
て旧ノルム値を更新する。更新された最新のノルム同定
値がつぎのステップs6で演算部10cへ向け出力され
る。ステップs4で周波数が高周波領域に問題なく属さ
ないと判定された場合には、旧ノルム値の更新は行われ
ず、ステップs6では、最新のノルム同定値として、旧
ノルム値がそのまま出力される。以下、ステップs2に
戻り、同様な処理が繰り返される。図10に示すよう
に、演算部10cでは、最新の同定値をノルム同定器1
0dより受け取ると、これを用いて残電圧値のa軸成
分、b軸成分を除算して、該残電圧値の位相を決定す
る。この残電圧値の位相は、これまでの説明で明白なよ
うに、回転dq座標系の位相の高周波領域部分として使
用される。
【0054】本高周波領域位相生成器に図3ー6に示し
た低周波領域位相生成器を併用する実施形態では、ステ
ップs3における周波素の領域判定に使用する周波数
は、図3の電源角周波数生成器9aの出力信号ω1を利
用すればよい。また、本高周波領域位相生成器で同定し
たノルム値は、電源角周波数生成器9a内のd磁束生成
部9abで必要とされる回転子磁束の最大値Φが未知の
場合には、この同定値として利用することができる。
【0055】図2を用いて説明した実施形態では、低周
波領域用の位相決定方法を装置化した低周波領域位相生
成器9として、図3ー6に示したものを使用した。ま
た、高周波領域用の位相決定方法を装置化した高周波領
域位相生成器10として、図7、8、10に示したもの
を使用した。本発明の基本構成を示した図1において
は、低周波領域位相生成器9、高周波領域位相生成器1
0としてはこれら2個の位相生成器いずれか1つまたは
全部を、他のものと置換してよいことを指摘しておく。
【0056】図2を用いて説明した実施形態では、低周
波領域位相生成器9、高周波領域位相生成器10の内部
で位相に周波数的加重を付加した。このため、位相合成
器では、単に2種の加重付き位相を加算すれば、加重平
均を実施できた。例示した実施形態以外の低周波領域位
相生成器あるいは高周波領域位相生成器による場合に
は、位相合成器内で周波数加重を実施し、加重平均する
方が合理的であり得る可能性があることを指摘してお
く。
【0057】以上説明した低周波領域位相生成器9、高
周波領域位相生成器10、位相合成器11の実現は、連
続時間的な実現と同様に、離散時間的実現も可能である
ことを指摘しておく。離散時間的実現に際しては、z演
算子による離散時間表現が必要であるが、これには、例
えば簡単には、これまでの説明で使用したs演算子をオ
イラー近似、台形近似等を用いてz演算子の表現に置換
すればよい。離散時間的実現に際しては、ハードウェア
ー的実現のみならず、ソフトウェアー的実現も、当然な
がら、可能であることを指摘しておく。特に、本発明の
実行に要する演算量は、最近のマイクロプロセッサ等の
演算素子によれば、何等の問題なくソフトウェアー的実
現を達成することができる。
【0058】
【発明の効果】低速域と高速域との間での急激かつ不断
の加速減速性能を必要とする同期電動機のベクトル制御
方法においては、回転dq座標系の位相の決定は不可欠
であり、従来よりこれに関連して回転子の磁極位置検出
器が使用されており、この使用に起因する種々の問題が
不可避的に残置されてきた。しかし、以上の説明より明
白なように、本発明によれば、磁極位置検出器を一切必
要としない、かつ低速域と高速域との間での急激かつ不
断の加速減速性能を達成できるベクトル制御方法を実現
できるので、従来の方法が不可避的に内臓していた磁極
位置検出器に起因する種々の問題を解決でき、本発明の
目的を十分に達成し得る優れた効果が得られる。
【0059】特に、請求項1の本発明によれば、回転子
の磁極位置検出器を用いない場合にも、低速域と高速域
との間での急激かつ不断の加速減速性能を必要とするサ
ーボ性能を発揮し得るベクトル制御に必要な回転dq座
標系の位相を生成できるので、この結果、回転子の磁極
位置検出器を用いることなく、サーボ応用に必要な低速
域と高速域との間での急激かつ不断の加速減速性能を発
揮し得るベクトル制御を実現できるという効果が得られ
る。
【0060】特に、請求項2の本発明によれば、位相信
号にフィルタリング処理を施すという簡単処理で位相信
号に周波数的な加重を付加できるので、周波数的な加重
平均を通じて最終位相を生成する請求項1のベクトル制
御方法を簡単に実現できるという効果が得られる。
【0061】特に、請求項3の本発明によれば、回転d
q座標系の位相確立に必要な電源角周波数が、回転子の
磁極位置の推定が困難あるいは実質的に不可能な停止あ
るいは低速回転領域で使用しうる電源角周波数が生成さ
れるという作用が得られるので、この作用の結果、磁極
検出器を一切用いない低周波領域用のベクトル制御方法
を実現できるという効果が得られる。
【0062】特に、請求項4の本発明によれば、電源角
周波数の生成を、残電圧値にd磁束値による除算という
簡単な演算で実施する場合にも、ゼロあるいは極小値で
除算を行うというゼロ割り現象を確実に回避することが
できるという作用が得られるので、この結果、請求項3
のベクトル制御方法を簡単に実現できるようになるとい
う効果が得られる。
【0063】特に請求項5の本発明によれば、残電圧値
の生成工程において、純粋微分を回避することができる
と言う作用が、ひいては、残電圧値が現実的な信号に対
して不必要な過大値を示したり、ノイズ等の外乱に対し
不都合な過激反応することを回避することができると言
う作用が得られるので、この結果、請求項3のベクトル
制御方法の実現に、ノイズ等の外乱に対しロバスト性を
付与できると言う効果が得られる。
【0064】特に、請求項6の本発明によれば、回転子
の磁極位置検出器を用いない場合にも、回転dq座標系
に必要な位相が、高周波領域に限定されるが、生成され
ると言う作用が得れるので、この結果、回転子検出器を
一切用いないで高周波領域用のベクトル制御方法を実現
できるという効果が得られる。
【0065】特に、請求項7の本発明によれば、回転子
磁束の最大値Φを正の有意の値で近似同定できるので、
回転子磁束の最大値Φが不明の場合にも、請求項6のベ
クトル制御方法を実現できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】1実施形態に係わるベクトル制御装置の基本構
成を示すブロック図
【図2】1実施形態に係わるベクトル制御装置の概略構
成を示すブロック図
【図3】同ベクトル制御装置の低周波領域位相生成器内
部の概略構成を示すブロック図
【図4】同低周波領域位相生成器内部の電源角周波数生
成器の概略構成を示すブロック図
【図5】同電源角周波数生成器を構成する残電圧生成部
の概略構成を示すブロック図
【図6】同電源角周波数生成器を構成するd磁束生成部
の概略構成を示すブロック図
【図7】図2における高周波領域位相生成器の概略構成
を示すブロック図
【図8】同高周波領域位相生成器内部のフィルタ部の構
成を示すブロック図
【図9】実施形態に係わる実験結果の1例
【図10】図2における高周波領域位相生成器の他の実
施形態による概略構成を示すブロック図
【図11】同高周波領域位相生成器内のノルム同定部に
おける処理内容を示す流れ図
【図12】従来のベクトル制御装置の概略構成を示すブ
ロック図
【符号の説明】
1 同期電動機 2 磁極位置検出器 3 電力変換器 4 電流検出器 5a 3相2相変換器 5b 2相3相変換器 6a ベクトル回転器 6b ベクトル回転器 7 電流制御器 8 正弦信号発生器 9 低周波領域位相生成器 9a 電源角周波数生成器 9aa 残電圧生成部 9ab d磁束生成部 9aba 基本部 9abb バランス部 9abc リミッタ部 9ac 電源角周波数演算部 9b 積分器 9c 正弦信号発生器 9d 低域通過フィルタ 10 高周波領域位相生成器 10a フィルタ部 10b フィルタ部 10c 演算部 10d ノルム同定部 11 位相合成器 12 ベクトルコントローラ基本部

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】回転子の磁束と同一方向をd軸に選定しこ
    れと直交する軸をq軸に選定する回転dq座標系上で、
    電機子電流をd軸成分とq軸成分に分割し制御する工程
    と、回転dq座標系の位相を決定する工程とを有する同
    期電動機のベクトル制御方法であって、 該回転dq座標系の位相を決定する工程において、低周
    波領域用の位相決定方法と高周波領域用の位相決定方法
    の2種の位相決定方法を用い、各々位相を生成し、該低
    周波領域用の位相決定方法で生成された位相と該高周波
    領域用の位相決定方法で生成された位相とを周波数的に
    加重平均して、該回転dq座標系の位相とすることを特
    徴とする同期電動機のベクトル制御方法。
  2. 【請求項2】直流ゲインが1の低域通過フィルタF
    (s)の周波数特性を該低周波領域用の位相決定方法で
    生成された位相の主たる加重とし、低域遮断フィルタ
    (1ーF(s))の周波数特性を該高周波領域用の位相
    決定方法で生成された位相の主たる加重として、該周波
    数的加重平均を行うことを特徴とする請求項1の同期電
    動機のベクトル制御方法。
  3. 【請求項3】回転子の磁束と同一方向をd軸に選定しこ
    れと直交する軸をq軸に選定する回転dq座標系上で、
    電機子電流をd軸成分とq軸成分に分割し制御する工程
    と、回転dq座標系の位相を決定する工程とを有する同
    期電動機のベクトル制御方法であって、 該回転dq座標系の位相を決定する工程において、電源
    角周波数と電機子鎖交磁束のd軸成分あるいはその磁束
    推定近似値で表現されるd磁束値との積と、電機子電圧
    のq軸成分あるいはその電圧推定近似値から、電機子電
    流のq軸成分あるいはその電流推定近似値を直列接続さ
    れた電機子抵抗と電機子インダクタンスに流した際に発
    生する降下電圧を減じて得られた残電圧値とを、直接的
    に等しくすべく、該残電圧値と該d磁束値との演算処理
    により該電源角周波数を決定し、決定した該電源角周波
    数の積分及び三角関数処理値を該回転dq座標系の位相
    の低周波領域部分に使用することを特徴とする同期電動
    機のベクトル制御方法。
  4. 【請求項4】該d磁束値に対し正の下限値を設定し、該
    d磁束値が該下限値より常時大きな値を取るようにした
    ことを特徴とする請求項3の同期電動機のベクトル制御
    方法。
  5. 【請求項5】該残電圧値の生成工程において、低域通過
    フィルタによるフィルタリング処理を行うことを特徴と
    する請求項3の同期電動機のベクトル制御方法。
  6. 【請求項6】回転子の磁束と同一方向をd軸に選定しこ
    れと直交する軸をq軸に選定する回転dq座標系上で、
    電機子電流をd軸成分とq軸成分に分割し制御する工程
    と、回転dq座標系の位相を決定する工程とを有する同
    期電動機のベクトル制御方法であって、 該回転dq座標系の位相を決定する工程において、回転
    dq座標系の位相決定の基準となる固定ab座標系上で
    電機子の電圧と電流を表現し、電機子電圧あるいはその
    推定近似値から、電機子電流あるいはその推定近似値を
    直列接続された電機子抵抗と電機子インダクタンスに流
    した際に発生する降下電圧値を減じることにより得られ
    る信号を、F(s)を直流ゲインが1の低域通過フィル
    タとするとき(1ーF(s))/sと同様の周波数特性
    をもつフィルタに通して残電圧値を生成し、該残電圧値
    のa軸成分とb軸成分より該残電圧値の位相を決定し、
    決定した位相を該回転dq座標系の位相の高周波領域部
    分に使用することを特徴とする同期電動機のベクトル制
    御方法。
  7. 【請求項7】該残電圧値が高周波領域に属する場合に限
    り該残電圧値のノルムを新たに同定し、該残電圧値のa
    軸成分とb軸成分に対しノルムの最新同定値で除算し
    て、該残電圧値の位相を決定することを特徴とする請求
    項6の同期電動機のベクトル制御方法。
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