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JPH1060465A - 金属缶用表面処理剤 - Google Patents

金属缶用表面処理剤

Info

Publication number
JPH1060465A
JPH1060465A JP24112196A JP24112196A JPH1060465A JP H1060465 A JPH1060465 A JP H1060465A JP 24112196 A JP24112196 A JP 24112196A JP 24112196 A JP24112196 A JP 24112196A JP H1060465 A JPH1060465 A JP H1060465A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acid ester
fatty acid
metal
treating agent
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP24112196A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshiro Endo
敏郎 遠藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daicel Chemical Industries Ltd filed Critical Daicel Chemical Industries Ltd
Priority to JP24112196A priority Critical patent/JPH1060465A/ja
Publication of JPH1060465A publication Critical patent/JPH1060465A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属缶表面の摩擦を低下させ、製缶工程での
取り扱いを向上させ、金属缶の外表面の摩擦を低下さ
せ、移動性を改良する金属缶用表面処理剤を提供する。 【解決手段】 カラムクロマト分析法で溶離し、紫外線
吸収検出器を用いて検出される下記一般式(1)で示され
るポリグリセリンモノ脂肪酸エステルのピーク面積が全
面積の70%以上であることを特徴とするポリグリセリ
ン脂肪酸エステルであることを特徴とする金属缶用表面
処理剤である。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属缶表面の摩擦
を低下させ、製缶工程での取り扱いを向上させるための
金属缶用表面処理剤に関し、詳しくは、ペイントやラッ
カーの付着性に悪影響を与えることなく金属缶、特にア
ルミニウム缶の外表面の摩擦を低下させ、ベルトコンベ
アー上での移動性を改良する金属缶用表面処理剤に関す
る。
【0002】
【従来の技術】金属缶は種々の製品用容器として用いら
れ、特にアルミニウム缶は最も一般的な金属缶として多
用されている。以下、アルミニウム缶を代表に説明する
と、アルミニウム缶はその本体の製造後、酸性クリーナ
ー等で洗浄され、製缶工程で付着したアルミニウム微粉
や他の汚染物を除去する。ここに、近年の環境問題や酸
洗浄後に缶上に残る残存酸液が缶内容物の匂いに悪影響
を与えること等から、洗浄は、酸性クリーナーに代わり
アルカリ洗浄が望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしアルカリ洗浄を
行うと缶外表面が粗面化し、缶への充填工程や缶表面へ
の印刷工程等のベルトコンベアー上で缶がスムーズに移
動せず、結果として、誤配給、生産性の低下、缶の損失
率の増大等の問題が生じる場合がある。このため、缶外
表面のペイントやラッカー等の付着性に悪影響を与える
ことなく缶外表面の摩擦を低下させることが望まれてい
る。
【0004】例えば金属缶用表面処理剤として、特開昭
64−85292号公報には、リン酸エステル類、脂肪
酸エチレンオキシド付加物、高級アルコールエチレンオ
キサイド付加物等が開示されている。しかし、アルミニ
ウム缶は食料品用として使用されることが多く、上記の
化合物は人体に対する安全性に問題があるため、汎用の
金属缶用表面処理剤としては使用しづらい。また、特開
平6−220472号公報には、ペイントやラッカー等
の付着性に悪影響を与えることなく缶外表面の摩擦を低
下させ、かつ、人体に対する安全性の高い金属缶用表面
処理剤として、食品添加物として認可されているポリグ
リセリン脂肪酸エステル等の利用が開示されている。し
かし、非電解質系界面活性剤としてポリグリセリン脂肪
酸エステルを用いた場合には、缶外表面の摩擦の低下が
十分でない。具体的には、当該公報のポリグリセリン脂
肪酸エステルは、ポリグリセリンと脂肪酸のエステル化
反応で製造されるが、この方法では個々の分子について
エステル化率が分布し、エステル化率の高い分子と低い
分子、場合によってはエステル化されていない分子が混
在することが多く、目的とするモノエステルのみなら
ず、未反応のポリグリセリン、ジエステル、トリエステ
ル、テトラエステル等の多置換エステル化物が残存す
る。このため金属缶用表面処理剤に使用すると水難溶性
成分が残存し缶表面へ残存し好ましくない。また、未反
応のポリグリセリンが残存し、缶外表面の摩擦の低下が
十分でない。
【0005】本発明は、ペイントやラッカー等の付着性
に悪影響を与えることなく缶外表面の摩擦を低下させ、
かつ、人体に対する安全性の高い金属缶用表面処理剤を
提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決するため、ポリグリセリン脂肪酸エステルについ
て詳細に検討した結果、脂肪酸とグリシドールから合成
したポリグリセリン脂肪酸モノエステルの含有率の高い
ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルを使用することによ
り、上記問題点を解決し得ることを見い出し本発明を完
成するに至った。
【0007】すなわち本発明は、カラムクロマト分析法
で溶離し、紫外線吸収検出器を用いて検出される下記一
般式(1)で示されるポリグリセリンモノ脂肪酸エステル
のピーク面積が全面積の70%以上であることを特徴と
するポリグリセリン脂肪酸エステルを含有することを特
徴とする金属缶用表面処理剤を提供するものである。ま
た、カラムクロマト分析法がアルコール系溶媒及び/又
は蒸留水を溶離液とするオクタデシルシリル基結合シリ
カゲルカラムを用いる高速液体クロマトグラフィーであ
ることを特徴とする前記金属缶用表面処理剤を提供する
ものである。更に、ポリグリセリンモノ脂肪酸エステル
が、下記一般式(2)で示される脂肪酸とグリシドール
をリン酸系酸性触媒の存在下で反応させて得たものであ
ることを特徴とする前記金属缶用表面処理剤を提供する
ものである。加えて、リン酸系酸性触媒がリン酸または
酸性リン酸エステルである前記金属缶用表面処理剤を提
供するものである。以下、詳細に本発明を説明する。
【0008】
【化3】
【0009】
【化4】
【0010】
【発明の実施の形態】本発明で用いるポリグリセリン脂
肪酸エステルは、上記一般式(1)で表されるモノ脂肪
酸エステルを70%以上含有するものであり、グリシド
ールと脂肪酸との付加重合反応により製造することがで
きる。脂肪酸としては、炭素数6〜22の脂肪酸であれ
ば飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよく、また直鎖状脂
肪酸でも側鎖をもつ脂肪酸でも、更にはヒドロキシル基
置換脂肪酸でもよい。具体的には、カプロン酸、カプリ
ル酸、2−エチルヘキサン酸、カプリン酸、ラウリン
酸、イソトリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、
パルミトレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、
オレイン酸、リノール酸、ベヘン酸、エルカ酸、リシノ
ール酸、ヒドロキシステアリン酸等が例示できる。これ
らは単独でもまた2種以上を混合して使用するすること
もできる。
【0011】脂肪酸とグリシドールの反応は酸性触媒の
存在下で反応させることが好ましい。酸性触媒として
は、リン酸類またはリン酸のエステル類であり、具体的
には、リン酸、無水リン酸、ポリリン酸、オルトリン
酸、メタリン酸、ピロリン酸、三リン酸、四リン酸など
のリン酸類または、メチルアシッドホスフェート、エチ
ルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフ
ェート、ブチルアシッドホスフェート、2エチルヘキシ
ルアシッドホスフェート等の酸性リン酸エステル類など
を用いることができる。なお、これらの酸性リン酸エス
テルはモノエステル体、ジエステル体、及びそれらの混
合物のいずれも使用することができる。更に上記酸性触
媒は、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を混
合して使用してもよい。
【0012】触媒の添加量は脂肪酸に対して0.01〜
10重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量
%である。0.01量%未満では反応速度が小さく、そ
の一方、10重量%を越えても効果の向上は期待でき
ず、むしろ使用する触媒によっては触媒が重合開始剤と
なるためグリシドールの付加重合体が多く生成する場合
があるからである。
【0013】付加重合反応は反応容器中に脂肪酸をと
り、これに前記の触媒を添加しグリシドールを少量ずつ
添加して行う。反応温度は50〜180℃、好ましくは
70〜160℃であり、より好ましくは120〜140
℃である。50℃未満では反応速度が小さく、また18
0℃を越えると着色が激しくなる。特に、230℃以上
ではグリシドールが分解して副反応を起こし好ましくな
い。付加重合反応には、反応温度の上昇を防止するため
にグリシドールと反応しない低沸点化合物を添加しても
よい。なお、反応は窒素ガス雰囲気下で行うのが望まし
く、必要に応じて加圧してもよい。
【0014】得られたポリグリセリン脂肪酸エステルを
含有する反応溶液に水を添加し、次いで加熱、脱
水すると、反応溶液中に含まれる未反応グリシドール
や、副反応生成物と考えられるオキシラン基含有化合物
に由来するオキシラン基濃度を低減させることができ
る。 添加する水の量は、含まれるポリグリセリン脂肪酸エ
ステルに対して0.1〜20重量%の範囲、特に好まし
くは1〜10重量%の範囲で選ぶのが好ましい。水の量
が0.1重量%未満では、未反応グリシドールを十分に
低減することができず、一方、20重量%を越えると後
処理操作が繁雑になり好ましくない。 加熱により、未反応グリシドールをグリセリンに変換
することができる。加熱温度は、60〜200℃の範
囲、特に好ましくは80〜160℃の範囲で行うことが
好ましい。加熱温度が60℃未満であると、未反応グリ
シドールや残存するオキシラン基濃度を十分に低減する
ことができず、その一方、200℃を越えると生成物の
ポリグリセリン脂肪酸エステルが着色する。なお、加熱
時間は、温度にもよるが0.5〜15時間、特に好まし
くは1〜7時間の範囲である。 脱水は、蒸留、共沸蒸留、減圧蒸留などで行うことが
できる。蒸留する際の加熱温度は、100〜200℃の
範囲、特に好ましくは110〜160℃の範囲で選ぶこ
とが好ましい。加熱温度が100℃未満であると、製品
のポリグリセリン脂肪酸エステルに含まれる水を除去す
るのに十分でなく、その一方、200℃を越えると生成
物のポリグリセリン脂肪酸エステルが着色するので好ま
しくない。なお、脱水時間は、温度、減圧度にもよる
が、1〜10時間の範囲であることが好ましく、特に好
ましくは、1〜6時間の範囲である。溶媒を使用した場
合には、この脱水操作で除去することができるが、脱水
操作とは別の操作で除去してもよい。
【0015】得られたポリグリセリン脂肪酸エステル中
のモノ脂肪酸エステルの含有率の測定は、以下の分析条
件に従う。オクタデシルシリル基(ODS基)、オクチ
ルシリル基、ブチルシリル基、トリメチルシリル基、フ
ェニルシリル基を結合したシリカゲルを担体として用い
る逆相分配カラム分析法、アミノプロピル基、シアノプ
ロピル基を有するシリカゲルを担体として用いる順相分
配カラム分析法、4級アンモニウム基、フェニルスルホ
ン酸基を有するシリカゲルを担体として用いるイオン交
換カラム分析法、多孔性シリカゲルを担体として用いる
吸着カラム分析法が挙げられる。これらの中で、オクタ
デシルシリル基が結合したシリカゲルを担体として用い
る逆相分配カラム分析法であることが好ましい。また、
分離能を向上させるためカラムサイズは4.6mmφ×
250mm以上が好ましく、カラムを直列に繋ぐと分離
能力を向上させることができるためより好ましい。
【0016】逆相分配カラム分析法により分析する場合
を以下に説明する。展開溶媒は、ポリグリセリン脂肪酸
エステルの脂肪酸の種類やグリシドールの付加モル数に
より異なるため、被検体の溶解性および分離性から展開
溶媒を決定することが好ましい。具体的には、被検体の
溶解性および分離性に優れた具体的な展開溶媒として
は、アルコール系の溶媒および/または蒸留水が好まし
く、具体的には、ラウリン酸ポリグリセリンエステルに
はメタノールを、ステアリン酸ポリグリセリンエステル
にはエタノールを使用することが好ましい。
【0017】展開溶媒の流速は、使用するカラムの耐圧
及び得られるクロマトグラムの分離度合により選択し、
通常0.05〜1.0ml/minの範囲、より好まし
くは、0.1〜0.8ml/minの範囲である。カラ
ム温度は、好ましくは30〜60℃の範囲である。な
お、紫外線吸収検出器の波長は210nmを用いる。
【0018】HPLCに供する試料は、使用する展開液
を溶媒として用いることが好ましく、濃度及び注入量は
被検体の溶解性および分離性に優れた量を選択する。具
体的には、試料の濃度は1〜50%が好ましく、注入量
は0.1〜20μlが好ましい。
【0019】含有量の測定は、以下に従う。ODSカラ
ムによるHPLC分析では、一般に極性の順に溶離され
る。従って、ポリグリセリン同士であれば、まず極性の
高い無置換ポリグリセリンが溶離され、次いでポリグリ
セリンモノ脂肪酸エステル、ポリグリセリンジ脂肪酸エ
ステルが検出される。一方、グリセリンモノ脂肪酸エス
テル同士であれば、極性の高いポリグリセリンモノエス
テルが最初に溶離され、最後にグリセリンモノエステル
が溶離される。従ってポリグリセリン、グリセリンモノ
脂肪酸の標準品を同条件でHPLC分析し、標準品と検
体との保持時間を比較検討し、グリセリンモノエステル
の溶離以降に溶離されるものをジエステル以上の多置換
エステ成分とした。ポリグリセリンモノ脂肪酸エステル
の含有率(%)は、以下に従いピーク面積比で表すこと
とした。分析チャートから、ポリグリセリンのピーク面
積、ポリグリセリンモノ脂肪酸エステル(「ポリグリセ
リン」とあるが、本発明においてはグリセリン部分はポ
リグリセリンからモノグリセリンまでを含む。)のピー
ク面積、およびジエステル以上の多置換エステル成分の
ピーク面積を求めた。次いで、下記式に従い算出した。
なお、溶媒は、ピーク位置がポリグリセリン、モノ脂肪
酸エステル、ジエステル以上の多置換エステルのいずれ
のピークとも重複しないものを選択した。また下記式
は、溶媒の保持時間がジエステルの溶離以降であること
を前提とする。
【0020】
【数1】 式:ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルの含有率(%)
={ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルのピーク面積/
(ポリグリセリンのピーク面積+ポリグリセリンモノ脂
肪酸エステルのピーク面積+ジエステル以上の多置換エ
ステルのピーク面積)}×100(%)
【0021】本発明の金属缶用表面処理剤の使用量は、
金属缶外表面の静止摩擦係数が1.5以下となる量を適
用することがよい。具体的には、たとえば、金属缶外表
面1m2 当たり概ね3〜60mg(ポリグリセリン脂肪酸
エステル純分として)を使用する。使用に際し、従来公
知の方法を全て使用することができる。たとえば、水ま
たは水溶性溶剤(環境衛生の点からは水が好ましい)に
て希釈して、スプレー、ローラー等によって塗布、散布
等をすることができる。また、本発明の金属缶用表面処
理剤は、金属缶製造のいかなる工程およびその前後にお
いても使用することができ、金属缶の充填工程もしくは
印刷工程の前であれば、金属缶製造後でも使用すること
ができる。
【0022】本発明の金属缶用表面処理剤は、所望によ
り他の潤滑剤、安定剤、抗菌剤等とともに使用すること
ができる。
【0023】本発明の金属缶用表面処理剤に使用するポ
リグリセリン脂肪酸エステルは、食品添加物として認可
され、人体に対する安全性が高い。従って食品用金属缶
にも安全に使用することができる。またこの金属缶用表
面処理剤は、化学的吸着または物理的吸着により、金属
缶、特にアルミニウム缶の外表面と反応し薄い有機物膜
を形成させ、この膜が静止摩擦係数を低下させる潤滑剤
として作用する。なお、本発明の金属缶用表面処理剤
は、缶に塗装されるペイントやラッカーの付着性にも悪
影響を与えない。
【0024】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0025】(測定項目) (1)移動性 実験室用静止摩擦係数試験機HEIDON−14型を用
いて、缶外表面の静止摩擦係数を測定した。 (2)ペイント付着性 表面処理後、塗装を終えた缶4〜6個を1組とし、試験
溶液A(1%Joy水溶液:Procter and
Ganble社製溶液状皿洗い洗浄剤「Joy」をイオ
ン交換水:水道水=3:1で1%濃度に溶解したもの;
温度80℃)または試験溶液B(1%Joy水溶液:P
rocter and Ganble社製溶液状皿洗い
洗浄剤「Joy」をイオン交換水で1%濃度に溶解した
もの;温度100℃)に20分間さらした。次に、各缶
に鋭い金属物を使用して横に線を引き、ペイントまたは
ラッカーを通してアルミニウムの線が見えるようにし
た。この上に透明なテープ(3M社製Scotch N
o.610)をしっかり張り付けた後、素早く引っ張り
取った。この試験を缶の外側側壁、内側側壁、内側ボト
ムで行った。評価は以下に従った。 10:缶表面からペイントは全く剥がれない 8:実用上問題なし 0:ペイントがテープ幅で完全に剥がれる
【0026】[合成例1]窒素導入管、攪拌機、冷却
管、温度調節器、滴下シリンダーを備えた1リットルの
4ツ口フラスコにラウリン酸0.5mol(100.1
6g)とリン酸(85%品)0.0622gを加え、1
40℃に加熱した。次いで、反応温度を140℃に保ち
ながらグリシドール3.0mol(222.24g)を
5時間かけて滴下し、さらに温度を保ち、26時間反応
を続けた。その後、引続き同じフラスコに水を2重量%
添加し、攪拌下、フラスコ内温を140℃に加熱し、還
流下、この温度で2時間保持した。次いで、フラスコ内
温を140℃に昇温し、この温度に維持しつつ、フラス
コ内を減圧して減圧蒸留により脱水した。減圧蒸留を4
時間行った際の、最終減圧度は10mmHgであった。
得られたポリグリセリン脂肪酸エステル(ヘキサグリセ
リンモノラウリン酸エステル)を下記HPLC分析条件
を使用した評価したところ、モノエステルの含有率は8
7.7%であった。
【0027】(HPLCの分析条件) カラム:Wakosil II 5C18HG(和光純
薬工業(株)製:逆相分配カラムであるオクタデシルシ
リル基を官能基として持つカラム、サイズ:4.6mm
φ×250mm)、展開溶媒:メタノール、流速:0.
2ml/min.、カラムオーブン温度:40℃、検出
方法:紫外線吸収法(λ=210nm)、試料濃度:5
%(溶媒:メタノール)、注入量:10μl、各成分の
保持時間は、ポリグリセリン:14分以前、モノエステ
ル:14分〜16.5分、ジエステル以上:16.5分
以降、メタノ−ル成分:18分であった。
【0028】[合成例2]グリシドールを4.0mol
(296.32g)使用した以外は合成例1と同様な操
作を行い、冷却後反応物を取り出し、オクタグリセリン
モノラウリン酸エステルを約400g得た。得られたポ
リグリセリンモノラウリン酸エステル(オクタグリセリ
ンモノラウリン酸エステル)を合成例1と同様にしてH
PLCで評価したところ、モノエステルの含有率は8
4.5%であった。
【0029】[合成例3]グリシドール5.0mol
(370.40g)使用した以外は合成例1と同様の操
作を行い、冷却後反応物を取り出し、デカグリセリンモ
ノラウリン酸エステルを約470g得た。得られたポリ
グリセリンモノラウリン酸エステル(デカグリセリンモ
ノラウリン酸エステル)を合成例1と同様にしてHPL
Cで評価したところ、モノエステルの含有率は77.2
%であった。
【0030】[参考例1:脂肪酸とポリグリセリンとの
反応の場合]窒素導入管、攪拌機、冷却管、温度調節
器、滴下シリンダーを備えた1リットルの4ツ口フラス
コにポリグリセリン(ダイセル化学工業(株)製PGL
06:ヘキサグリセリン、水酸基価960)175.3
g(0.5mol)を取り、80℃に加熱し、反応温度
を80℃に保ちながらラウリン酸0.5mol(10
0.16g)を加え溶解させた。次いで、炭酸ナトリウ
ム0.75gと亜硫酸水素ナトリウム0.25gを加
え、210℃でエステル化反応を行った。2時間の反応
で、酸価が0.89mgKOH/gとなり、100℃に
冷却後、反応生成物を取り出した。得られたポリグリセ
リンモノラウリン酸エステルを合成例1と同様にしてH
PLCで評価したところ、モノエステルの含有率は5
5.1%であった。
【0031】[参考例2,3:市販品ポリグリセリン脂
肪酸エステルの評価結果]ポリグリセリンと脂肪酸の反
応より製造される市販品ポリグリセリン脂肪酸エステル
として、SYグリスター(阪本薬品工業製)の2品番
(ML−500、ML−750)を選択した。これらの
ポリグリセリンモノラウリン酸エステルを合成例1と同
様にしてHPLCで評価したところ、ML−500、M
L−750のモノエステルの含有率はそれぞれ52.0
%、44.3%であった。それぞれを参考例2、3とす
る。
【0032】(実施例1〜8および比較例1)金属缶表
面処理剤濃度の違いによる移動性、ペイント付着性を以
下に従い評価した。未洗浄のアルミニウム缶を、酸性ク
リーナー(日本ペイント社製サーフクリーナーNHC−
100;pH1)を用いて、75℃で60秒洗浄した。
洗浄には実験室用ミニ洗浄器(処理能力14缶)を用い
た。洗浄最後のリンス段階で、アルミニウム缶に合成例
1で得たポリグリセリン脂肪酸エステルを表−1に示す
濃度に調整した金属処理剤で処理後、オーブン中で乾燥
した。処理後、缶製造ラインでの缶の移動性および塗装
後のペイント付着性を評価した。
【0033】
【表1】
【0034】(実施例9〜11、比較例2〜4)金属缶
表面処理剤の種類による移動性、および印刷後のペイン
ト付着性を評価した。アルミニウム缶を酸性クリーナー
(日本ペイント社製サーフクリーナー124C;pH
1.1)を用いて、50℃で60秒洗浄した。次いで、
表−2に示す成分を1リットルの水に0.5g溶解させ
て各金属缶用表面処理液を調製し、この金属缶用表面処
理液を用いてアルミニウム缶の表面を処理した。処理後
の缶について移動性を評価した。印刷後の缶を切り開
き、試験溶液A(ペイント付着性試験参照)中で10分
間煮沸し、次いで脱イオン水中でリンス後乾燥した。次
いでペイント付着性を評価した。
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】(結果)表−1から表面処理を施した缶
は、缶外表面の静止摩擦係数が減少し移動性が向上し
た。またペイント付着性には影響を及ぼさなかった。表
面処理剤は、低い濃度でも十分な効果が得られ、20〜
100回の試験を行っても、ペイント付着性に影響がな
かった。なお、実施例3および実施例8は、外側側壁の
ペイントの剥がれは殆どみられなかった。また表−3か
ら、モノ脂肪酸エステルの含有率が77.2〜87.7
%のポリグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有するポリ
グリセリン脂肪酸エステルを金属缶表面処理剤として使
用した場合にも、移動性、印刷後のペイント付着性に優
れていることが分かった。一般に缶表面にはウォーター
ブレイクがないこと、すなわち缶表面が水の連続的な薄
い膜で覆われていることが望ましい。ウォーターブレイ
クがあると大きな水滴を有し、缶表面の水の膜は不均
一、不連続となるからである。実施例9〜11および比
較例2〜4の各溶液で処理した缶の表面はウォーターブ
レイクで完全に覆われており、これが印刷に影響を及ぼ
すと考えられたが、印刷後のペイント付着性は良好であ
った。
【0038】
【発明の効果】本発明の金属缶用表面処理剤は、缶外表
面の静止摩擦係数を減少させるため缶の移動性が向上
し、金属缶製造の生産性を高めることができる。さら
に、この金属缶用表面処理剤は、印刷時のペイントやラ
ッカーの付着性に悪影響を与えることもない。また、本
発明の金属缶用表面処理剤は食品添加物として認可さ
れ、食品用の金属缶の処理に用いても人体に対する安全
性が高い。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カラムクロマト分析法で溶離し、紫外線
    吸収検出器を用いて検出される下記一般式(1)で示され
    るポリグリセリンモノ脂肪酸エステルのピーク面積が全
    面積の70%以上であることを特徴とするポリグリセリ
    ン脂肪酸エステルを含有することを特徴とする金属缶用
    表面処理剤。 【化1】
  2. 【請求項2】 カラムクロマト分析法がアルコール系溶
    媒及び/又は蒸留水を溶離液とするオクタデシルシリル
    基結合シリカゲルカラムを用いる高速液体クロマトグラ
    フィーであることを特徴とする請求項1記載の金属缶用
    表面処理剤。
  3. 【請求項3】 ポリグリセリンモノ脂肪酸エステルが、
    下記一般式(2)で示される脂肪酸とグリシドールをリ
    ン酸系酸性触媒の存在下で反応させて得たものであるこ
    とを特徴とする請求項1または2記載の金属缶用表面処
    理剤。 【化2】
  4. 【請求項4】 リン酸系酸性触媒がリン酸または酸性リ
    ン酸エステルである請求項3記載の金属缶用表面処理
    剤。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003509536A (ja) * 1999-09-07 2003-03-11 ヘンケル−エコラープ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・オッフェネ・ハンデルスゲゼルシャフト ポリヒドロキシ化合物を含有する滑剤の使用
JP2003529627A (ja) * 1999-09-07 2003-10-07 ヘンケル−エコラープ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・オッフェネ・ハンデルスゲゼルシャフト ポリシロキサンをベースとする滑剤の使用

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