【発明の詳細な説明】
7-エーテル-タキソールアナログ、
抗新生生物用途およびそれを含有する医薬組成物
発明の背景
タキソールは以下に示す構造:
を有する、ジテルペンのタキサンファミリーのメンバーである。タキソールにつ
いて示す番号付け系は、IUPACにより推奨されているものである(IUPAC
、Commission on the Nomenclature of Organic Chemistry、1978)。
潜在的な抗ガン-ジテルペノイドであるタキソールおよびそのアナログの化学
は、単離および分析、構造修飾、部分合成、および構造-活性相関を強調しつつ
、David G.I.Kingston「タキソールの化学(The Chemistry of Taxol)」
、Pharmac.Ther.,Vol.52,pp1-34,1991によって概説されている。
タキソールの臨床薬理学は、Eric K.RowinskyおよびRoss C.Donehower
「ガン化学療法における抗微小管剤の臨床薬理学および使用(The Clinical P
harmacology and Use of Antimicrotubule Agents in Cancer Chemo-thera
peutics)」、Pharmac.Ther.,Vol.52,pp35-84,1991によって概説されている。
タキソールでの臨床および前臨床的研究は、William J.SlichenmyerおよびD
aniel D.Von Hoff「タキソール:新規かつ有効な抗-ガン薬(Taxol:A
New and Effective Anti-cancer Drug)」、Anti-Cancer Drugs,Vol.2,p
p519-530,1991により概説されている。
タキソールおよびそのアナログは、種々の特許の主題であり、それらには、例
えば、米国特許第4,814,470号;第4,857,653号;第4,942,184号;第4,924,011号;第
4,924,012号;第4,960,790号;第5,015,744号;第5,157,049号;第5,059,699号;第5,
136,060号;第4,876,399号;第5,227,400号;第5,248,796号ならびにPCT国際公
開WO 92/09589号、欧州特許出願90305845.1号(公開番号A2 0 400 971号)、90312
366.9号(公開番号A1 0 428 376号)、89400935.6号(公開番号A1 0 366 841号)およ
び90402333.0号(公開番号0 414 610 A1号)、87401669.4号(公開番号A1 0 253 739
号)、92308608.6号(A1 0 534 708号)、92308609.4号(A1 534 709号)およびPC
T国際公開WO 91/17977号、WO9 1/19776号、WO 91/13066号号、WO 91/13053号が
含まれる。
タキソール(ならびにその中間体およびアナログ)の種々の製法は、Tetrahedron
Letters,1992,33,5185;J.Org.Chem.,1991,56,1681およびJ.Org.Chem.,
1991,56,5114に記載されている。
Chenら「不活化アングラーメチル基のアンキメリックの関与を介したシクロプ
ロパンを含むタキソールアナログの予期せぬ合成(Serendipitous Synthesis o
f a Cyclopropane-Containing Taxol Analog via Anchimeric Participat
ion of an Unactivated Angular Methyl Group)」Advance ACS Abstrac
ts,Vol 1,No.2,1993年6月15日は、ジクロロメタン中のDASTで7-epiタキソ
ール誘導体を処理すると、C-19メチル基が関与する予期せぬ反応およびシク
ロプロパン環のクリーンな形成に通じることを報告している。また、J.Org.C
hem.,1993,58,4520(1993年8月13日)および米国特許第5,254,580号(1993年10月19
日付与参照)。
米国特許第5,248,796号(1993年9月28日付与)は、10-デスアセトキシ-11,
12-ジヒドロタキソール-10,12(18)-ジエン誘導体および10-デスアセ
トキシタキソールの調製に関する。
欧州特許出願0 558 959 A1号は、高い水溶解度を有する種々のタキソールのホ
スホノオキシおよびカーボネート2'タキソール誘導体を開示している。
水溶性プロ-タキソールアナログは、Nicolaou,K.C.;Riemer,C.;Kerr,
M.A.;Rideout,D.;Wrasidlo,W.,Nature,364:464-66(1993)に開示されて
いる。
J.Am.Chem.Soc.、Vol.116、No.4、1599-1600(1994年)は、7-BOMバクカ
シンIIIの製造を記載している。7-BOMバクカシンIIIをリチウムヘキサメチ
ルジシルアジドで処理し、得られたアルコキシドを(3R,4S)-N-ベンゾイル-
3-O-TES-4-フェニル-2-アゼテジノンと反応させて、7-BOM-2'-TE
S-タキソールを得た。これをHF-ピリジンと反応させて7-BOM-タキソール
を得た。
207 Annual Meeting of the American Chemical Society)にて、L.Kleinは
、特定の7-OMeおよび7-アリルアナログの「驚くべき良好な活性の9-OH-
タキソテレの7-エーテルアナログ」を記載している。
米国特許第5,229,526号(Holton)は、式中のC-7およびC'-2ヒドロキシル
保護基がエステル結合およびタキサン置換基を妨害しないような温和な条件下に
て水酸化される、種々の生物学的に活性なバクカシンIIIの誘導体および10-デ
アセチルバクカシンIIIの調製における7-O-保護基(すなわち、トリエチルシリ
ルおよびエトキシエチルを含むT1)の使用を開示している。
発明の概要
本発明は、式I:
で示されるタキソールアナログを提供する。
式Iで示される化合物は、ヒト卵巣ガン、乳ガン、および悪性メラノーマ、な
らびに肺ガン、胃ガン、腸ガン、頭部および首部のガンおよび白血病を包含する
タキソールが有効性を示すのと同一のガンの治療に有用である。
式の約束および変数の定義
明細書および請求の範囲中の種々の化合物または分子フラグメントを表す化学
式は、表して規定した構造特徴に加えて、変数置換基を含み得る。これらの変数
置換基は、文字または文字に続く下付き記号、例えば、「Z1」または「Ri」(
ここに、「i」は整数)によって同定される。これらの変数置換基は、一価また
は二価のいずれかで、すなわち、これらは1また2本の化学結合によって式に結
合した基を表している。例えば、基Z1は、式CH3-C(=Z1)Hに結合した場合
には二価変数を表すであろう。基RiおよびRjは、式CH3-CH2-C(Ri)(Rj)-
Hに結合した場合には一価変数置換基を表すであろう。化学式が前記のごとく線
状様式で描かれている場合、括弧内に含まれる変数置換基は、括弧内に囲まれて
いる変数置換基のすぐ左側の原子に結合している。2またはそれを超える連続す
る変数置換基が括弧内に囲まれている場合、各連続する変数置換基は、括弧内に
囲まれていない左側の直前の原子に結合している。かくして、前記の式において
は、RiおよびRjの両方が直前の炭素原子に結合している。また、タキソールの
ごとき、確立された系の炭素原子番号付けを有するいずれもの分子については、
これらの炭素原子はCi(「i」は炭素原子数に対応する整数)として示される。
例えば、C6とは、当業者により伝統的に示される核中の6位または炭素原子数
を表す。
線状様式で描かれている化学式またはその一部分は、直鎖中の原子を表す。「-」
なる記号は、鎖中の2個の原子の間の結合を表す。かくして、CH3-O-CH2-
CH(Ri)-CH3とは、2-置換-1-メトキシプロパン化合物を表す。同様にして
、「=」なる記号は、例えば、CH2=C(Ri)-O-CH3のような二重結合を表し、「
≡」なる記号は、例えば、HC≡C-CH(Ri)-CH2-CH3のような三重結合を
表す。カルボニル基は、2つの方法:-CO-または-C(=O)-のうちのいずれか
一方で表されるが、シンプルなことから前者が好ましい。
環式(環)化合物または分子フラグメントの化学式は線状様式で表され得る。か
くして、化合物4-クロロ-2-メチルピリジンは、アスタリスク(*)で印を付けた
原子が互いに結合して環を形成するという約束で、N*=C(CH3)-CH=CCl-
CH=C*Hにより線状様式で表され得る。同様にして、環状分子フラグメント、
4-(エチル)-1-ピペラジニルは、-N*-(CH2)2-N(C2H5)-CH2-C*H2によ
って表され得る。同様にして、2-フリルは、-C*-O-CH=CH-C*H=によっ
て表され得、2-チエニルは-C*-S-CH=CH-C*H=によって表され得る。
本明細書に記載するいずれの化合物についての剛直な環式(環)構造は、剛直な
環式化合物の各炭素原子に結合する置換基用の環の面に対しての向きを規定する
。環系の一部である炭素原子に結合した2個の置換基を有する飽和化合物につい
ては、-C(X1)(X2)-の2個の置換基は、該環に対してアキシアルまたはエクア
トリアル位のいずれかで存在し得、アキシアル/エクアトリアルの間で変化し得
る。しかしながら、環およびお互いに対する2個の置換基の位置は固定されたま
まである。同時にいずれかの置換基が環の面の上側または下側(アキシアル)とい
うよりむしろ環の面中(エクアトリアル)に存在し得るが、1個の置換基は常にも
う1個の上側にある。かかる化合物を描く化学構造式において、もう1個の置換基
(X2)の「下側」にある置換基(X1)は、アルファ(α)立体配置にあると同定され、
該炭素原子に結合した破線、ダッシュ線または点線、すなわち記号「---」または「
...」によって同定されよう。対応する置換基が「上側」(X2)に結合する場合、
もう1個(X1)はベータ(β)立体配置にあるとして同定され、該炭素原子に結合
する破線によって示される。
変数置換基が二価である場合、原子価は変数の定義と一緒または別々、あるい
はその両方とすることができる。例えば、-C(=Ri)-として炭素原子に結合する
変数Riは二価となり得、オキソまたはケト(したがって、カルボニル基(-CO-)
を形成する)としてか、または別々に結合した2個の一価変数置換基α-Ri-jお
よびβ-Ri-kとして定義し得る。二価置換基Riが2個の一価変数置換基より
なると定義される場合、約束を用いて、該二価変数を「α-Ri-j:β-Ri-k」ま
たはその変形と定義される。かかる場合においては、α-Ri-jおよびβ-Ri-kの
両方が該炭素原子に結合して-C(α-Ri-j)(β-Ri-k)となる。例えば、二価変
数R6の場合には、-C(R6)-は2個の一価置変数置換基よりなると規定され、2
個の一価変数置換基はα-R6-1:β-R6-2、...α-R6-9:β-R6-10他で、-C(α-
R6-1)(β-R6-2)-、...-C(α-R6-9)(β-R6-10)-他となる。同様にして、二
価変数R11については、-C(=R11)-において、2個の一価変数置換基はα-R11-1
:β-R11-2である。(例えば、環中に炭素二重結合が存在するために)αおよびβ
を分離する環置換基については、向きが存在せず、環の一部分でない炭素原子に
結合する置換基については、前記の約束を以然として用いるが、αおよびβは省
略する。
二価変数が2個の別々の一価変数置換基として定義し得るように、2個の別々
の一価変数置換基は、一緒になって二価変数を形成すると定義し得る。例えば、
式-C1(Ri)H-C2(Rj)H-(C1およびC2は、各々、第一および第二の炭素原子
の軌道を規定する)において、RiおよびRjは一緒になって(1)C1およびC2の
間の第二の結合、または(2)オキサ(-O-)のごとき二価基を形成すると定義され
得、それによる式はエポキシドを記載している。RiおよびRjが一緒になって、
基-X-Y-のごとき、より複雑な基を形成する場合、該基の向きは前記式中のC1
がXに結合しC2がYに結合するごときである。かくして、約束により、「...Ri
およびRiが一緒になって-CH2-CH2-O-CO-...を形成する」なる記載は、カ
ルボニルがC2に結合したラクトンを意味する。しかしながら、「...Rjおよび
Riが一緒になって-CO-O-CH2-CH2-を形成する」と記載されている場合に
は、約束はカルボニルがC1に結合したラクトンを意味している。
変数置換基の炭素原子含量は、2つの方法のうちの一方で示される。第一の方
法は、「C1-C4」のごとく変数の全体の名称に対する接頭辞を用い、ここに、
「1」および「4」は両方とも、該変数中の炭素原子の最大数および最小数を示
す整数である。接頭辞は空欄により変数から離されている。例えば、「C1-C4
アルキル」とは、1ないし4個の炭素原子を有するアルキル(別段記載のない限
り、その異性体形をも含む)を表す。この一文字接頭辞が記載れている場合には
、該接頭辞は定義される変数の全体の炭素原子含量を示す。かくして、C2-C4
アルコキシカルボニルは、基CH3-(CH2)n-O-CO-と記載され、ここにnは
0、1または2である。第二の方法によると、定義される各部分のみの炭素原子
含量は、括弧内に囲まれて示す「Ci-Cj」によって別々に示され、それは定義
する定義部分の直前に(仲介する空欄なしに)置かれる。この任意の約束により、(
C1-C3)アルコキシカルボニルは、C2-C4アルコキシカルボニルと同一の意味
を有する。なぜなら、「C1-C3」がアルコキシ基の炭素原子含量のみを示すか
らである。同様にして、C2-C6アルコキシアルキルおよび(C1-C3)アルキルは
両方とも2ないし6個の炭素原子を含有するアルコキシアルキル基を規定するが
、前者規定がアルコキシまたはアルキル部のいずれかのみを単独で許容するのに
対して、後者の規定は3個の炭素原子のこれらの基に限定される。
請求の範囲がかなり複雑な(環状)置換基を含む場合、命名し/記号を示す節の
終わりに、特定の置換基が(括弧)に記載されていて、それはその特定の置換基の
化学構造式も示す1つのチャート/図中の同一の命名/記号に対応するであろう。
「Boc」なる語は、C(O)O-t-ブチルを示し、「Troc」とはC(O)CH2CCl3
を示し、TESとはSi(Et)3を示し、Phとはフェニルを示し、AcとはC(
O)CH3を示し、BzとはC(O)Phを示し、CbzとはC(O)OCH2C6H5を示
す。
発明の詳細な説明
さらに詳細には、本発明は、一般式I:
[式中:
R1は、
-CH3、
-C6H5、または1、2もしくは3個のC1-C4アルキル、C1-C3アルコキシ
、ハロゲン、C1-C3アルキルチオ、トリフルオロメチル、C2-C6ジアルキルア
ミノ、ヒドロキシもしくはニトロで置換されたフェニル、
-2-フリル、2-チエニル、1-ナフチル、2-ナフチルおよび、
3,4-メチレンジオキシフェニルよりなる群から選択され;
R2は、-H、-NHC(O)H、-NHC(O)C1-C10アルキル(好ましくは-NH
C(O)C4-C6アルキル)、-NHC(O)フェニル、または1、2もしくは3個の
C1-C4アルキル、C1-C3アルコキシ、ハロゲン、C1-C3アルキルチオ、トリ
フルオロメチル、C2-C6ジアルキルアミノ、ヒドロキシもしくはニトロで置換
された-NHC(O)フェニル、または-NHC(O)C(CH3)=CHCH3、-NHC
(O)OC(CH3)3、-NHC(O)OCH2フェニル、-NH2、-NHSO4-4-メチ
ルフェニル、-NHC(O)(CH2)3COOH、-NHC(O)-4-(SO3H)フェニ
ル、-OH、-NHC(O)-1-アダマンチル、-NHC(O)O-3-テトラヒドロフ
ラニル、-NHC(O)O-4-テトラヒドロピラニル、-NHC(O)CH2C(CH3)3
、-NHC(O)C(CH3)3、-NHC(O)OC1-C10アルキル、-NHC(O)NHC1
-C10アルキル、-NHC(O)NHPh、および1、2もしくは3個のC1-C4ア
ルキル、C1-C3アルコキシ、ハロゲン、C1-C3アルキルチオ、トリフルオロメ
チル、C2-C6ジアルキルアミノもしくはニトロで置換された-NHC(O)NHP
h、および-NHC(O)C3-C8シクロアルキル、-NHC(O)OC(CH2CH3)2C
H3、-NHC(O)OC(CH3)2CH2Cl、-NHC(O)OC(CH3)2CH2CH3
、-NHC(O)-1-フェニル-1-シクロペンチル、-NHC(O)-1-メチル-1-シ
クロヘキシル、-NHC(S)NHC(CH3)3および-NHC(O)NHC(CH3)3よ
りなる群から選択され;
R3は、-H、-NHC(O)フェニルおよび-NHC(O)OC(CH3)3よりなる群
から選択され、但し、全体として、R2およびR3のうちの一方は-Hであるが、
R2およびR3が両方とも-Hとなることはない;
R4は、-H、または-OH、-OAc(-OC(O)CH3)、-OC(O)OCH2C(Cl)3
、-OCOCH2CH2NH3 +HCOO-、-NHC(O)フェニル、-NHC(O)OC
(CH3)3、-OCOCH2CH2COOHおよびその医薬上許容される塩、-OCO
(CH2)3COOHおよびその医薬上許容される塩、および-OC(O)-Z-C(O)-
R'[ここに、Zはエチレン(-CH2CH2-)、プロピレン(-CH2CH2CH2-)、-
CH=CH-、1,2-シクロヘキサンまたは1,2-フェニレン、R'は-OH、-O
H塩基、-NR'2R'3、-OR'3、-SR'3、-OCH2C(O)NR'4R'5(ここに、
R'2は-Hまたは-CH3、R'3は-(CH2)nNR'6R'7または(CH2)nN+R'6R'7
R'8X-(nは1-3)、R'4は-Hまたは-C1-C4アルキル、R'5は-H、-C1-C4
アルキル、ベンジル、ヒドロキシエチル、-CH2CO2Hまたはジメチルアミノ
エチル)、R'6およびR'7は-CH3、-CH2CH3、ベンジル、あるいはR'6およ
びR'7はNR'6R'7の窒素と一緒になってピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ
またはN-メチルピペリジノ基を形成し;R'8は-CH3、-CH2CH3またはベン
ジル、X-はハロゲン化物、および塩基はNH3、(HOC2H4)3N、N(CH3)3、
CH3N(C2H4)2NH、NH2(CH2)6NH2、N-メチルグルカミン、NaOH
またはKOH]、-OC(O)(CH2)nNR2R3[ここに、nは1-3、R2は-Hまたは
-C1-C3アルキルおよびR3は-Hまたは-C1-C3アルキル]、-OC(O)CH(R''
)NH2[ここに、R''は-H、-CH3、-CH2CH(CH3)2、-CH(CH3)CH2CH3
、-CH(CH3)2、-CH2フェニル、-(CH2)4NH2、-CH2CH2COOH、-(
CH2)3NHC(=NH)NH2よりなる群から選択され]、アミノ酸プロリン残基、
-OC(O)CH=CH2、-C(O)CH2CH2C(O)NHCH2CH2SO3 -Y+、-O
C(O)CH2CH2C(O)NHCH2CH2CH2SO3 -Y+(ここに、Y+はNa+ま
たはN+(Bu)4)、-OC(O)CH2CH2C(O)OCH2CH2OHよりなる群から
選択され;
R5は、-Hまたは-OH、但し、全体として、R5が-OHである場合、R4は-
Hであって、さらにR5が-Hである場合、R4は-H以外のものであり;
R6は-H:-H;
R7は、α-R91:β-R92、ここにR91およびR92の一方が-Hである場合、R91
およびR92のもう一方は-Wで、ここにWは、
-O-C1-C10アルキル、
-O-C3-C10不飽和アルキル(好ましくはアリルおよびクロチル)、
-O-C5-C15ヘテロアルキル[例えば、-OCH2(2-または3-フリル)、-OC
H2(2-または3-ピロリル)、-OCH2(2-、3-または4-ピリジル)、-OCH2
(2-、3-、4-、5-、6-、7-、もしくは8-キノリニル)、-OCH2(1-、3-
、4-、5-、6-、7-または8-イソキノリニル)、-OCH2(2-、4-または5-
イミダゾイル)、-OCH2(3-、4-または5-ピラゾリル)、-OCH2(2-ピラジ
ニル)、-OCH2(2-、4-、5-または6-ピリミジニル)、-OCH2(2-、3-、
4-、5-、6-または7-インドリル)、-OCH2(3-、4-または5-イソキサゾ
リル);好ましくは-OCH2(2または3-フリル)、-OCH2(2-または3-ピロ
リル)、-OCH2(2-、3-または4-ピリジル)、-OCH2(2-、4-または5-イ
ミダゾイル)または-OCH2(3-、4-または5-イソキサゾリル)]、
-O-CH(R21)OR22、ここに
R21は-Hまたは-C1-C6アルキルであって
R22は-C1-C10アルキル、-C3-C10不飽和アルキル(好ましくはアリルお
よびクロチル)、-C5-C15ヘテロアルキル[例えば、CH2-(2-または3-フリル)
、CH2(2-または3-ピロリル)、CH2(2-、3-または4-ピリジル)、CH2(
2-、3-、4-、5-、6-、7-または8-キノリニル)、CH2(1-、3-、4-、
5-、6-、7-または8-イソキノリニル)、CH2(2-、4-または5-イミダゾイ
ル)、CH2(3-、4-または5-ピラゾリル)、CH2(2-ピラジニル)、CH2(2-
、4-、5-または6-ピリミジニル)、CH2(2-、3-、4-、5-、6-または7-
インドリル)、CH2(3-、4-または5-イソキサゾリル);好ましくはCH2-(2
-または3-フリル)、CH2(2-または3-ピロリル)、CH2(2-、3-または4-
ピリジル)、CH2(2-、4-または5-イミダゾイル)、CH2(3-、4-または5-
イソキサゾリル);好ましくはCH2-(2-または3-フリル)、CH2(2-または3
-ピロリル)、CH2(2-、3-または4-ピリジル)、CH2(2-、4-または5-イ
ミダゾ
イル)またはCH2(3-、4-または5-イソキサゾリル)]、
あるいは、R21およびR22が一緒になった場合には、4ないし6個の炭素原
子を有する環(好ましくは、5または6個の炭素原子を有する環)を形成し、
-CH(R28)S(O)mAr、
ここに、Arはフェニル、または1、2もしくは3個のC1-C4アルキル、
C1-C3アルコキシ、ハロゲン、C1-C3アルキルチオ、トリフルオロメチル、C2
-C6ジアルキルアミノもしくはニトロで置換されたフェニル、
-CH(R28)S(O)mCH2R28、
ここに、R28は、
C1-C6アルキル、
-C3-C10不飽和アルキル(好ましくはアリルおよびクロチル)、
-(CH2)qフェニル(qは0-6)、
1、2もしくは3個のC1-C4アルキル、C1-C3アルコキシ、ハロゲン、
C1-C3アルキルチオ、トリフルオロメチル、C2-C6ジアルキルアミノ
もしくはニトロで置換された-(CH2)qフェニル(qは0-6)、
-ナフチル、
1、2もしくは3個のC1-C4アルキル、C1-C3アルコキシ、ハロゲン、
C1-C3アルキルチオ、トリフルオロメチル、C2-C6ジアルキルアミノ
もしくはニトロで置換された-ナフチル、
-C5-C15ヘテロアルキル[例えば、-(2-または3-フリル)、(2-または
3-ピロリル)、(2-、3-または4-ピリジル)、(2-、3-、4-、5-、6-、7-
または8-キノリニル)、(1-、3-、4-、5-、6-、7-または8-イソキノリニ
ル)、(2-、4-または5-イミダゾイル)、(3-、4-または5-ピラゾリル)、(2
-ピラジニル)、(2-、4-、5-または6-ピリミジニル)、(2-、3-、4-、5-
、6-または7-インドリル)、(3-、4-または5-イソキサゾリル);好ましくは-(
2-または3-フリル)、(2-または3-ピロリル)、(2-、3-または4-ピリジル)
、(2-、4-または5-イミダゾイル)、(3-、4-または5-イソキサゾリル)]、
あるいは、R28およびR28が一緒になった場合には、4ないし6個の炭素原子
を有する環(好ましくは5または6個の炭素原子を有する環)を形成し;
mは0ないし2;
R8は-CH3;
R30は-H、OHまたは-OC(O)CH3]で示される7-エーテル-タキソールア
ナログ、ならびにその化合物が酸性または塩基性の官能基を含む場合には、その
医薬上許容される塩を提供する。
本発明の一具体例は、式I[2位は、-O-C(O)フェニルよりむしろ、-OR40
(ここに、R40は1、2または3個のアジド、シアノ、メトキシまたはハロゲン
で置換された-O(O)フェニル;好ましくは-C(O)-3-アジドフェニル)]で示さ
れる化合物である。
本発明の好ましい具体例は、式I[式中、R1はフェニル、またはハロゲンで置
換されたフェニル、R2は-NHC(O)C6H5、R3およびR5は-H、R4は-OH
、およびR30は-OHまたは-OC(O)CH3]で示される化合物である。本発明の
もう1つの好ましい具体例は、式I[式中、R1は好ましくはフェニル、またはハ
ロゲンで置換されたフェニル、R2は-NHC(O)OC(CH3)3、R3およびR5は
-H、R4は-OH、およびR30は-Hまたは-COCH3]で示される化合物である
。本発明の好ましい具体例は、式I[式中、R1は好ましくはフェニルまたはハ
ロゲンで置換されたフェニル、R2は-NHC(O)NHC(CH3)3、R3およびR5
は-H、R4は-OH、およびR30は-OHまたは-OCOCH3]で示される化合物
である。
Wは好ましくは:
-O-C1-C10アルキル(さらに好ましくは、-O-C1-C10アルキル);
-O-C3-C10不飽和アルキル(さらに好ましくは、-O-C3-C4不飽和アルキル)
;
-O-CH(R21)OR22、ここに、
R21はHまたはC1-C6アルキルであって
R22は好ましくは-C1-C6アルキルまたは-C3-C10不飽和アルキル(さらに
好ましくは、-O-C3-C4不飽和アルキル);
-CH(R28)S(O)mAr、ここにArはフェニル、または1、2もしくは3個
のC1-C4アルキル、C1-C3アルコキシ、ハロゲン、C1-C3アルキルチオ、ト
リフルオロメチル、C2-C6ジアルキルアミノもしくはニトロで置換されたフェ
ニル;
-CH(R28)S(O)mCH2R28、ここに、
R28は、
C1-C6アルキル、
-C3-C10不飽和アルキル(さらに好ましくは、-O-C3-C4不飽和アルキル)
、または
-(CH2)qフェニル(qは0-3)よりなる群から選択され;および
mは0である。
本発明の具体例は式I[式中、R2は-NHC(O)C6H5、R4はヒドロキシ、R3
およびR5は-H、R1はフェニルまたは置換フェニル、および-Wは:
-O-C1-C10アルキル(さらに好ましくは-O-C1-C10アルキル);
-O-C3-C10不飽和アルキル(さらに好ましくは-O-C3-C4不飽和アルキル
);
-O-CH(R21)OR22、ここに、
R21はHまたはC1-C6アルキル、および
R22は好ましくは-C1-C6アルキルまたは-C3-C10不飽和アルキル(さら
に好ましくは、-O-C3-C4不飽和アルキル);
-CH(R28)S(O)mAr、ここにArはフェニル、または1、2もしくは3
個のC1-C4アルキル、C1-C3アルコキシ、ハロゲン、C1-C3アルキルチオ、
トリフルオロメチル、C2-C6ジアルキルアミノもしくはニトロで置換されたフ
ェニル;
-CH(R28)S(O)mCH2R28、ここに、
R28は、
C1-C6アルキル、
-C3-C10不飽和アルキル(さらに好ましくは、-O-C3-C4不飽和アルキ
ル)、または
-(CH2)qフェニル(qは0-3)よりなる群から選択され;および
mは0]で示される化合物である。
本発明のさらなる具体例は、式I[式中、R2は-NHC(O)OC(CH3)3、R1
はフェニルまたは置換フェニル、R4はヒドロキシ、R3およびR5は-H、および
-Wは:
-O-C1-C10アルキル(さらに好ましくは、-O-C1-C10アルキル);
-O-C3-C10不飽和アルキル(さらに好ましくは、-O-C3-C4不飽和アルキル)
;
-O-CH(R21)OR22、ここに、
R21はHまたはC1-C6アルキル、および
R22は好ましくは-C1-C6アルキルまたは-C3-C10不飽和アルキル(さらに
好ましくは-O-C3-C4不飽和アルキル);
-CH(R28)S(O)mAr、ここにArはフェニル、または1、2もしくは3個
のC1-C4アルキル、C1-C3アルコキシ、ハロゲン、C1-C3アルキルチオ、ト
リフルオロメチル、C2-C6ジアルキルアミノもしくはニトロで置換されたフェ
ニル;
-CH(R28)S(O)mCH2R28、ここにR28は、
C1-C6アルキル、
-C3-C10不飽和アルキル(さらに好ましくは、-O-C3-C4不飽和アルキル)
、または
-(CH2)qフェニル(qは0-3);および
mは0]で示される化合物である。
本発明の具体例は式I
[式中、
R1は、-CH3、-C6H5または1、2もしくは3個のC1-C4アルキル、C1-
C3アルコキシ、ハロゲン、C1-C3アルキルチオ、トリフルオロメチル、C2-C6
ジアルキルアミノ、ヒドロキシまたはニトロで置換されたフェニル;
R2は-H、-NHC(O)H、-NHC(O)C1-C10アルキル(好ましくは、-NH
C(O)C4-C6アルキル)、-NHC(O)フェニル、または1、2もしくは3個の
C1-C4アルキル、C1-C3アルコキシ、ハロゲン、C1-C3アルキルチオ、トリ
フルオロメチル、C2-C6ジアルキルアミノ、ヒドロキシもしくはニトロで置換
されたフェニル、または-NHC(O)C(CH3)=CHCH3、-NHC(O)OC(C
H3)3、-NHC(O)OCH2フェニル、-NH2、-NHSO4-4-メチルフェニル
、-NHC(O)(CH2)3COOH、-NHC(O)-4-(SO3H)フェニル、-OH、
-NHC(O)-1-アダマンチル、-NHC(O)O-3-テトラヒドロフラニル、-N
HC(O)O-4-テトラヒドロピラニル、-NHC(O)CH2C(CH3)3、-NHC(
O)C(CH3)3、-NHC(O)OC1-C10アルキル、-NHC(O)NHC1-C10ア
ルキル、または1、2もしくは3個のC1-C4アルキル、C1-C3アルコキシ、ハ
ロゲン、C1-C3アルキルチオ、トリフルオロメチル、C2-C6ジアルキルアミノ
、またはニトロで置換された-NHC(O)NHPhまたは-NHC(O)C3-C8シク
ロアルキル、-NHC(O)OC(CH2CH3)2CH3、-NHC(O)OC(CH3)2C
H2Cl、-NHC(O)OC(CH3)2CH2CH3、-NHC(O)-1-フェニル-1-シ
クロペンチル、-NHC(O)-1-メチル-1-シクロヘキシル、-NHC(S)NHC
(CH3)3および-NHC(O)NHC(CH3)3よりなる群から選択される]
で示される化合物である。
式Iで示されるさらなる好ましい具体例には:
7-(O-エトキシメチル)-13-(N-Boc-β-フェニル イソセリニル)-バクカ
シンIII(4)、
7-(O-メトキシエトキシメチル)-13-(N-Boc-β-フェニル イソセリニル)
-バクカシンIII(6)、
7-(O-メトキシメチル)-13-(N-Boc-2'-β-フェニル イソセリニル)-バ
クカシンIII(8)、
7-(O-ベンジルオキシメチル)-13-(N-Boc-β-フェニル イソセリニル)-
バクカシンIII(10)、
7-[O-(2,2,2-トリクロロエトキシ)メチル]-13-(N-Boc-β-フェニル
イソセリニル)-バクカシンIII(21)、
7-[O-(2,2,2-トリクロロエトキシ)メトキシメチル]-13-(N-Boc-β-
フェニル イソセリニル)-バクカシンIII(22)、
7-(O-メチルチオメチル)タキソール(42)、
7-(O-メチルチオメチル)-13-(N-Boc-β-フェニル イソセリニル)-バク
カシンIII(44)および
7-(O-フェニルチオメチル)タキソール(46)、
7-O-メチルタキソール(47)、
7-[O-エチル(1-チオエチル)]タキソール(49)、
13-(N-(t-ブチルアミノカルボニル)-b-フェニル イソセリニル)-バクカ
シンIII 7-O-メチルチオメチルエーテル(55)、
13-(N-(t-ブチルアミノカルボニル)-b-フェニル イソセリニル)-バクカ
シンIII 7-O-メチルエーテル(56)、
13-(N-Boc-2'-TES-b-フェニル イソセリニル)-バクカシンIII 7-O
-メチルエーテル(58)、
さらに好ましくは:
7-(O-エトキシメチル)-13-(N-(t-ブチルアミノカルボニル)-β-フェニ
ル イソセリニル)-バクカシンIII(14)および
7-(O-メトキシメチル)-13-(N-(t-ブチルアミノカルボニル)-β-フェニ
ル イソセリニル)-バクカシンIII(27)
が包含される。
本発明の好ましい具体例は式I
[式中、R1は好ましくはフェニル、またはハロゲンで置換されたフェニル、R2
は-NHC(O)NHC(CH3)3、R3およびR5は-H、R4は-OH、およびR30は
-OHまたは-OCOCH3]で示される化合物である。
式Iで示される化合物には、7-αおよび7-β立体配置の7-エーテル置換基
の両方が包含される。
基-O-C5-C15ヘテロアルキルの好ましいメンバーには:
OCH2-(2-または3-フリル)、OCH2(2-または3-ピロリル)、OCH2(2-
、
3-または4-ピリジル)、OCH2(2-、4-または5-イミダゾイル)およびOC
H2(3-、4-または5-イソキサゾリル)が含まれる。
本発明の具体例は、一般式I
[式中、
R1は-CH3、-C6H5または1、2もしくは3個のC1-C4アルキル、C1-C3
アルコキシ、ハロゲン、C1-C3アルキルチオ、トリフルオロメチル、C2-C6ジ
アルキルアミノ、ヒドロキシまたはニトロで置換されたフェニルよりなる群から
選択され;
R2は-H、-NHC(O)C1-C10アルキル(好ましくは-NHC(O)C4-C6アル
キル)、-NHC(O)フェニル、または1、2もしくは3個のC1-C4アルキル、
C1-C3アルコキシ、ハロゲン、C1-C3アルキルチオ、トリフルオロメチル、C2
-C6ジアルキルアミノ、ヒドロキシもしくはニトロで置換された-NHC(O)フ
ェニル、または-NHC(O)C(CH3)=CHCH3、-NHC(O)OC(CH3)3、-
NH2、-NHSO4-4-メチルフェニル、-NHC(O)(CH2)3COOH、-NH
C(O)-4-(SO3H)フェニル、-OH、-NHC(O)-1-アダマンチル、-NHC
(O)O-3-テトラヒドロフラニル、-NHC(O)O-4-テトラヒドロピラニル、-
NHC(O)CH2C(CH3)3、-NHC(O)C(CH3)3、-NHC(O)OC1-C10
アルキル、-NHC(O)NHC1-C10アルキル、-NHC(O)NHC(CH3)3、ま
たは1、2もしくは3個のC1-C4アルキル、C1-C3アルコキシ、ハロゲン、C1
-C3アルキルチオ、トリフルオロメチル、C2-C6ジアルキルアミノもしくはニ
トロで置換された-NHC(O)NHPh、および-NHC(O)C3-C8シクロアルキ
ル;よりなる群から選択され、
R3は、-H、-NHC(O)フェニルまたは-NHC(O)OC(CH3)3;但し、全
体として、R2およびR3のうちの一方は-Hであるが、R2およびR3が両方とも-
Hとなることはない;
R4は-H、または、-OH、-OAc(-OC(O)CH3)、-OC(O)OCH2C(
Cl)3、-OCOCH2CH2NH3 +HCOO-、-NHC(O)フェニル、-NHC(O)
OC(CH3)3、-OCOCH2CH2COOHおよびその医薬上許容される塩、-O
CO(CH2)3COOHおよびその医薬上許容される塩、および-OC(O)-Z-C(
O)-R'[ここに、Zはエチレン(-CH2CH2-)、プロピレン(-CH2CH2CH2-)
、-CH=CH-、1,2-シクロヘキサンまたは1,2-フェニレン、R'は-OH、-
OH塩基、-NR'2R'3、-OR'3、-SR'3、-OCH2C(O)NR'4R'5(ここに
R'2は-Hまたは-CH3、R'3は-(CH2)nNR'6R'7または(CH2)nN+R'6R'7
R'8X-、ここにnは1-3、R'4は-Hまたは-C1-C4アルキル、R'5は-H、-
C1-C4アルキル、ベンジル、ヒドロキシエチル、-CH2CO2Hまたはジメチル
アミノエチル、R'6およびR'7は-CH3、-CH2CH3、ベンジル、あるいはR'6
およびR'7はNR'6R'7の窒素と一緒になって、ピロリジノ、ピペリジノ、モ
ルホリノもしくはN-メチルピペリジノ基を形成し;R'8は-CH3、-CH2CH3
またはベンジル、X-はハロゲン化物、および塩基はNH3、(HOC2H4)3N、
N(CH3)3、CH3N(C2H4)2NH、NH2(CH2)6NH2、N-メチルグルカミ
ン、NaOHまたはKOH]、-OC(O)(CH2)nNR2R3[ここに、nは1-3、
R2は-Hまたは-C1-C3アルキル、およびR3-Hまたは-C1-C3アルキル]、-O
C(O)CH(R'')NH2[ここに、R''は-H、-CH3、-CH2CH(CH3)2、-C
H(CH3)CH2CH3、-CH(CH3)2、-CH2フェニル、-(CH2)4NH2、-C
H2CH2COOH、-(CH2)3NHC(=NH)NH2]、アミノ酸残基はプロリン、
-OC(O)CH=CH2、-C(O)CH2CH2C(O)NHCH2CH2SO3 -Y+、-O
C(O)CH2CH2C(O)NHCH2CH2CH2SO3 -Y+、ここにY+はNaまた
はN+(Bu)4、-OC(O)CH2CH2C(O)OCH2CH2OH;
R5は-Hまたは-OH、但し、全体として、R5が-OHである場合、R4は-H
であって、さらに但し、R5が-Hである場合、R4は-H以外であり;
R30は-H、-OHまたは-OC(O)CH3]
で示される7-デオキシ-7-W-タキソールアナログ、ならびに、その化合物が酸
性または塩基性官能基のいずれかを含む場合、その医薬上許容される塩である。
本発明のもう1つの具体例は一般式I:
[式中、
R1は、-CH3、-C6H5、または1、2もしくは3個のC1-C4アルキル、C1
-C3アルコキシ、ハロゲン、C1-C3アルキルチオ、トリフルオロメチル、C2-
C6ジアルキルアミノ、ヒドロキシもしくはニトロで置換されたフェニルよりな
る群から選択され;
R2は、-H、-NHC(O)C1-C10アルキル(好ましくは、-NHC(O)C4-C6
アルキル)、-NHC(O)フェニル、または1、もしくは3個のC1-C4アルキル
、C1-C3アルコキシ、ハロゲン、C1-C3アルキルチオ、トリフルオロメチル、
C2-C6ジアルキルアミノ、ヒドロキシもしくはニトロで置換された-NHC(O)
フェニル、または-NHC(O)C(CH3)=CHCH3、-NHC(O)OC(CH3)3
、-NH2、-NHSO2-4-メチルフェニル、-NHC(O)(CH2)3COOH、-N
HC(O)-4-(SO3H)フェニル、-OH、-NHC(O)-1-アダマンチル、-NH
C(O)O-3-テトラヒドロフラニル、-NHC(O)O-4-テトラヒドロピラニル
、-NHC(O)CH2C(CH3)3、-NHC(O)C(CH3)3、-NHC(O)OC1-C10
アルキル、-NHC(O)NHC1-C10アルキル、-NHC(O)NHC(CH3)3、
または1、2もしくは3個のC1-C4アルキル、C1-C3アルコキシ、ハロゲン、
C1-C3アルキルチオ、トリフルオロメチル、C2-C6ジアルキルアミノもしくは
ニトロで置換された-NHC(O)NHPh、および-NHC(O)C3-C8シクロアル
キルよりなる群から選択され;および
Wは、
O-メチル;
O-プロピル;
O-アリル;
O-メトキシメチル;
O-エトキシメチル;
O-メトキシエトキシメチル;
O-ベンジルオキシメチル;
O-(2,2,2-トリクロロエトキシ)メチル;
O-(2,2,2-トリクロロエトキシ)メトキシメチル;
O-メチルチオメチル;および
O-フェニルチオメチル
よりなる群から選択され;
R3、R4、R5およびR30は前記定義に同じ]
で示される7-デオキシ-7-W-タキソールアナログである。
本発明のさらに好ましい具体例は、一般式I:
[式中、
R1は、-CH3、-C6H5、および1、2もしくは3個のC1-C4アルキル、C1
-C3アルコキシ、ハロゲン、C1-C3アルキルチオ、トリフルオロメチル、C2-
C6ジアルキルアミノ、ヒドロキシもしくはニトロで置換されたフェニルよりな
る群から選択され;
R2は、-H、-NHC(O)C1-C10アルキル(好ましくは、-NHC(O)C4-C6
アルキル)、-NHC(O)フェニル、および1、2もしくは3個のC1-C4アルキ
ル、C1-C3アルコキシ、ハロゲン、C1-C3アルキルチオ、トリフルオロメチル
、C2-C6ジアルキルアミノ、ヒドロキシもしくはニトロで置換された-NHC(
O)フェニル、および-NHC(O)C(CH3)=CHCH3、-NHC(O)OC(CH3
)3、-NH2、-NHSO2-4-メチルフェニル、-NHC(O)(CH2)3COOH、-
NHC(O)-4-(SO3H)フェニル、-OH、-NHC(O)-1-アダマンチル、-N
HC(O)O-3-テトラヒドロフラニル、-NHC(O)O-4-テトラヒドロピラニ
ル、-NHC(O)CH2C(CH3)3、-NHC(O)C(CH3)3、-NHC(O)OC1-
C10アルキル、-NHC(O)NHC1-C10アルキル、NHC(O)NHC(CH3)3
、および1、2もしくは3個のC1-C4アルキル、C1-C3アルコキシ、ハロゲン
、C1-C3アルキルチオ、トリフルオロメチル、C2-C6ジアルキルアミノもしく
はニトロで置換された-NHC(O)NHPh、および-NHC(O)C3-C8シクロア
ルキルよりなる群から選択され;
Wは、
O-エトキシメチル;
O-メトキシエトキシメチル;
O-ベンジルオキシメチル;
O-(2,2,2-トリクロロエトキシ)メチル;
O-(2,2,2-トリクロロエトキシ)メトキシメチル;
O-メチルチオメチル;および
O-フェニルチオメチル
よりなる群から選択され;および
R3、R4、R5およびR30は前記定義に同じ]
で示される7-デオキシ-7-W-タキソールアナログである。
式Iで示される化合物において、Wは、好ましくは、
O-メチル;
O-プロピル;
O-アリル;
O-メトキシメチル;
O-エトキシメチル;
O-メトキシエトキシメチル;
O-ベンジルオキシメチル;
O-(2,2,2-トリクロロエトキシ)メチル;
O-(2,2,2-トリクロロエトキシ)メトキシメチル;
O-メチルチオメチル;および
O-フェニルチオメチル;
さらに好ましくは、
O-メトキシメチル;
O-エトキシメチル;
O-メトキシエトキシメチル;
O-ベンジルオキシメチル;
O-(2,2,2-トリクロロエトキシ)メチル;
O-(2,2,2-トリクロロエトキシ)メトキシメチル;
O-メチルチオメチル;および
O-フェニルチオメチル
よりなる群から選択される。
-O-C5-C15ヘテロアルキルの例には:-OCH2(2-または3-フリル)、-O
CH2(2-または3-ピロリル)、-OCH2(2-、3-または4-ピリジル)、-OC
H2(2-、3-、4-、5-、6-、7-または8-キノリニル)、-OCH2(1-、3-
、4-、5-、6-、7-または8-イソキノリニル)、-OCH2(2-、4-または5-
イミダゾイル)、-OCH2(3-、4-または5-ピラゾリル)、-OCH2(2-ピラジ
ニル)、-OCH2(2-、4-、5-または6-ピリミジニル)、-OCH2(2-、3-、
4-、5-、6-または7-インドリル)および-OCH2(3-、4-または5-イソキ
サゾリル)が含まれる。
C1-C6アルキルの例には、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、t-ブチ
ル、イソブチルおよび2-メチル-ペンチルを含む直鎖または分岐鎖アルキルが包
含される。
C1-C3アルコキシの例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシおよびそれらの
異性体である。
また、本発明は、
式3:
[式中、R1およびR3は前記定義に同じ、R2は-NHC(O)H、-NHC(O)C1-
C10アルキル(好ましくは-NHC(O)C4-C6アルキル)、-NHC(O)フェニル
、または1、2もしくは3個のC1-C4アルキル、C1-C3アルコキシ、ハロゲン
、C1-C3アルキルチオ、トリフルオロメチル、C2-C6ジアルキルアミノ、ヒド
ロキシもしくはニトロで置換された-NHC(O)フェニル、または-NHC(O)C
(CH3)=CHCH3、-NHC(O)OC(CH3)3、-NHC(O)OCH2フェニル、
-NHSO2-4-メチルフェニル、-NHC(O)(CH2)3COOH、-NHC(O)-
4-(S
O3H)フェニル、-NHC(O)-1-アダマンチル、-NHC(O)O-3-テトラヒド
ロフラニル、-NHC(O)O-4-テトラヒドロピラニル、-NHC(O)CH2C(C
H3)3、-NHC(O)C(CH3)3、-NHC(O)OC1-C10アルキル、-NHC(O)
NHC1-C10アルキル、または1、2もしくは3個のC1-C4アルキル、C1-C3
アルコキシ、ハロゲン、C1-C3アルキルチオ、トリフルオロメチル、C2-C6ジ
アルキルアミノもしくはニトロで置換された-NHC(O)NHPh、または-NH
C(O)C3-C8シクロアルキル、-NHC(O)C(CH2CH3)2CH3、-NHC(O
)C(CH3)2CH2Cl、-NHC(O)C(CH3)2CH2CH3、-NHC(O)-1-フ
ェニル-1-シクロ-ペンチル、-NHC(O)-1-メチル-1-シクロヘキシル、-N
HC(S)NHC(CH3)3、-NHC(O)NHC(CH3)3または-NHC(O)NHP
h]で示されるヒドロキシ-アミンを、
(1)式4A:
で示される電子リッチなベンズアルデヒド、または
(2)式4
[式中、nは1-3]
で示される電子リッチなアセタールと反応されることよりなる
式5:
[式中、
R1は前記定義に同じ;
R9はC1-C6アルキルから選択され;
R11は、-(OC1-C2アルキル)nで置換されたフェニル(nは1ないし3);
R12は、-C(O)H、-C(O)C1-C10アルキル(好ましくは-C(O)C4-C6ア
ルキル)、-C(O)フェニル、および1、2もしくは3個のC1-C4アルキル、C1
-C3アルコキシ、ハロゲン、C1-C3アルキルチオ、トリフルオロメチル、C2-
C6ジアルキルアミノ、ヒドロキシもしくはニトロで置換された-C(O)フェニル
、および-C(O)C(CH3)=CHCH3、-C(O)OC(CH3)3、-C(O)OCH2
フェニル、-SO2-4-メチルフェニル、-C(O)(CH2)3COOH、-C(O)-4-
(SO3H)フェニル、-C(O)-1-アダマンチル、-C(O)O-3-テトラヒドロフ
ラニル、-C(O)O-4-テトラヒドロピラニル、-C(O)CH2C(CH3)3、-C(
O)C(CH3)3、-C(O)OC1-C10アルキル、-C(O)NHC1-C10アルキル、
または1、2もしくは3個のC1-C4アルキル、C1-C3アルコキシ、ハロゲン、
C1-C3アルキルチオ、トリフルオロメチル、C2-C6ジアルキルアミノもしくは
ニトロで置換された-C(O)NHPh、または-C(O)C3-C8シクロアルキル、-
C(O)C(CH2CH3)2CH3、-C(O)C(CH3)2CH2Cl、-C(O)C(CH3)2
CH2CH3、-C(O)-1-フェニル-1-シクロペンチル、-C(O)-1-メチル-1-
シクロヘキシル、-C(S)NHC(CH3)3、-C(O)NHC(CH3)3または-C(O
)NHPhよりなる群から選択される]
で示されるオキサゾリジンの製法を提供する。
加えて、本発明は、脱水剤存在下にて、
式7:
で示されるオキサゾリジン遊離酸と、
式8:
で示されるバクカシン化合物とを反応させることよりなる
式:
で示される化合物の製法を提供する。式中、R10およびR14は同一または異なり
、-C(O)C1-C6アルキル(好ましくは-C(O)CH3)、-C(O)OC1-C6アルキ
ル、-C(O)OCH2CX3(ここに、Xはハロゲン)、-C(O)OCH2CH2SiR20
(ここに、R20はC1-C6アルキル)、および-Si(R20)3よりなる群から選択
され、あるいはR14は、
-C1-C10アルキル、
-C3-C10不飽和アルキル(好ましくは、アリル、クロチル)、
-C5-C15ヘテロアルキル[例えば、-CH2(2-もしくは3-フリル)、-CH2(2-
もしくは3-ピロリル)、-CH2(2-、3-または4-ピリジル)、-CH2(2-、3-
、4-、5-、6-、7-または8-キノリニル)、-CH2(1-、3、4-、5-、6-
、7-または8-イソキノリニル)、-CH2(2-、4-または5-イミダゾイル)、-
CH2(3-、4-または5-ピラゾリル)、-CH2(2-ピラジニル)、-CH2(2-、
4-、5-または6-ピリミジニル)、-CH2(2-、3-、4-、5-、6-または7-
インド
リル)、-CH2(3-、4-または5-イソキサゾリル);好ましくは-CH2(2-また
は3-フリル)、-CH2(2-または3-ピロリル)、-CH2(2-、3-または4-ピリ
ジル)、-CH2(2-、4-または5-イミダゾイル)、-CH2(3-、4-または5-イ
ソキサゾリル)]
-O-CH(R21)OR22、ここに、
R21は-H、-C1-C6アルキル、および
R22は-C1-C10アルキル、-C3-C10不飽和アルキル(好ましくはアリル、
クロチル)、-C5-C15ヘテロアルキル[例えば、-CH2(2-または3-フリル)、-
CH2(2-または3-ピロリル)、-CH2(2、3-または4-ピリジル)、-CH2(2-
、3-、4-、5-、6-、7-または8-キノリニル)、-CH2(1-、3-、4-、5-
、6-、7-または8-イソキノリニル)、-CH2(2-、4-または5-イミダゾイル
)、-CH2(3-、4-または5-ピラゾリル)、-CH2(2-ピラジニル)、-CH2(2
-、4-、5-または6-ピリミジニル)、-CH2(2-、3-、4-、5-、6-または
7-インドリル)、-CH2(3-、4-または5-イソキサゾリル);好ましくは-CH2(
2-または3-フリル)、-CH2(2-または3-ピロリル)、-CH2(2-、3-または
4-ピリジル)、-CH2(2-、4-または5-イミダゾイル)、-CH2(3-、4-また
は5-イソキサゾリル)]、
あるいは、R21およびR22は一緒になって、4ないし6個の原子を有する環を
形成し、
-CH(R28)S(O)mAr、
ここに、Arはフェニル、または1、2もしくは3個のC1-C4アルキル、
C1-C3アルコキシ、ハロゲン、C1-C3アルキルチオ、トリフルオロメチル、C2
-C6ジアルキルアミノもしくはニトロで置換されたフェニル、
-CH(R28)S(O)mCH2R28、
ここに、R28は、
C1-C6アルキル、
-C3-C10不飽和アルキル(好ましくはアリル、クロチル)、
-(CH2)qフェニル(qは1-6)、
1、2もしくは3個のC1-C4アルキル、C1-C3アルコキシ、ハロゲン、C1
-C3アルキルチオ、トリフルオロメチル、C2-C6ジアルキルアミノもしくはニ
トロで置換された-(CH2)qフェニル(qは1-6)、
-ナフチル、
1、2もしくは3個のC1-C4アルキル、C1-C3アルコキシ、ハロゲン、C1
-C3アルキルチオ、トリフルオロメチル、C2-C6ジアルキルアミノもしくはニ
トロで置換された-ナフチル、
-C5-C15ヘテロアルキル[例えば、-(2-または3-フリル)、-(2-または3-
ピロリル)、-(2-、3-または4-ピリジル)、-(2-、3-、4-、5-、6-、7-
または8-キノリニル)、-(1-、3-、4-、5-、6-、7-または8-イソキノリ
ニル)、-(2-、4-または5-イミダゾイル)、-(3-、4-または5-ピラゾリル)
、-(2-ピラジニル)、(2-、4-、5-または6-ピリミジニル)、-(2-、3-、4
-、5-、6-または7-インドリル)、-(3-、4-または5-イソキサゾリル);好
ましくは-(2-または3-フリル)、-(2-または3-ピロリル)、-(2-、3-または
4-ピリジル)、-(2-、4-または5-イミダゾイル)、-(3-、4-または5-イソ
キサゾリル)]で置換された-ナフチル、
あるいは、R28およびR28は一緒になって、4ないし6個の炭素原子を有する
環を形成し;
mは0ないし2;および
R11およびR12は前記定義に同じである。
本発明の化合物(式I)は、チャートA'、A''、A'''およびBに示す方法によ
って調製し得る。
チャート2-20で用いるごとく、R20、R23、R24、R25、R26およびR27
なる語は、以下のごとく規定される:
R20は
-C1-C10アルキル、
-C3-C10不飽和アルキル(好ましくはアリル、クロチル)、
-C5-C15ヘテロアルキル[例えば、-CH2(2-または3-フリル)、-CH2(2-
または3-ピロリル)、-CH2(2-、3-または4-ピリジル)、-CH2(2-、3-、
4-、5-、6-、7-または8-キノリニル)、-CH2(1-、3-、4-、5-、6-、
7-または8-イソキノリニル)、-CH2(2-、4-または5-イミダゾイル)、-CH2
(3-、4-または5-ピラゾリル)、-CH2(2-ピラジニル)、-CH2(2-、4-、
5-または6-ピリミジニル)、-CH2(2-、3-、4-、5-、6-または7-インド
リル)、-CH2(3-、4-または5-イソキサゾリル);好ましくは-CH2(2-また
は3-フリル)、-CH2(2-または3-ピロリル)、-CH2(2-、3-または4-ピリ
ジル)、-CH2(2-、4-または5-イミダゾイル)、-CH3(3-、4-または5-イ
ソキサゾリル)]、
-O-CH(R21)OR22、ここに
R21は-H、-C1-C6アルキル、および
R22は-C1-C10アルキル、-C3-C10不飽和アルキル(好ましくは、アリル
、クロチル)、-C5-C15ヘテロアルキル[例えば、-CH2(2-または3-フリル)
、-CH2(2-または3-ピロリル)、-CH2(2-、3-または4-ピリジル)、-CH2
(2-、3-、4-、5-、6-、7-または8-キノリニル)、-CH2(1-、3-、4-
、5-、6-、7-または8-イソキノリニル)、-CH2(2-、4-または5-イミダ
ゾイル)、-CH2(3-、4-または5-ピラゾリル)、-CH2(2-ピラジニル)、-C
H2(2-、4-、5-または6-ピリミジニル)、-CH2(2-、3-、4-、5-、6-
または7-インドリル)、-CH2(3-、4-または5-イソキサゾリル);好ましく
は-CH2(2-または3-フリル)、-CH2(2-または3-ピロリル)、-CH2(2-、
3-または4-ピリジル)、-CH2(2-、4-または5-イミダゾイル)、-CH2(3-
、4-または5-イソキサゾリル)]、
あるいは、R21およびR22が一緒になった場合、4ないし6個の炭素原子を有
する環を形成し、
-CH(R28)S(O)mAr、
ここに、Arはフェニル、または1、2もしくは3個のC1-C4アルキル、
C1-C3アルコキシ、ハロゲン、C1-C3アルキルチオ、トリフルオロメチル、C2
-C6ジアルキルアミノもしくはニトロで置換されたフェニル、
-CH(R28)S(O)mCH2R28、
ここに、R28は、
C1-C6アルキル、
-C3-C10不飽和アルキル(好ましくは、アリル、クロチル)、
-(CH2)qフェニル(qは1-6)、
1、2もしくは3個のC1-C4アルキル、C1-C3アルコキシ、ハロゲン、C1
-C3アルキルチオ、トリフルオロメチル、C2-C6ジアルキルアミノもしくはニ
トロで置換された-(CH2)qフェニル(qは1-6)、
-ナフチル、
1、2もしくは3個のC1-C4アルキル、C1-C3アルコキシ、ハロゲン、C1
-C3アルキルチオ、トリフルオロメチル、C2-C6ジアルキルアミノもしくはニ
トロで置換された-ナフチル、
-C5-C15ヘテロアルキル[例えば、-(2-または3-フリル)、-(2-または3
-ピロリル)、-(2-、3-または4-ピリジル)、-(2-、3-、4-、5-、6-、7-
または8-キノリニル)、-(1-、3-、4-、5-、6-、7-または8-イソキノリ
ニル)、-(2-、4-または5-イミダゾイル)、-(3-、4-または5-ピラゾリル)、-
(2-ピラジニル)、(2-、4-、5-または6-ピリミジニル)、-(2-、3-、4-、
5-、6-または7-インドリル)、-(3-、4-または5-イソキサゾリル);好まし
くは、-(2-または3-フリル)、-(2-または3-ピロリル)、-(2-、3-または4
-ピリジル)、-(2-、4-または5-イミダゾイル)、-(3-、4-または5-イソキ
サゾリル)]、
あるいは、R28およびR28は一緒になって、4ないし6個の炭素原子を有する
環を形成し;
mは0ないし2;
R23は、-H、-C1-C10アルキル(好ましくは-C4-C6アルキル)、-フェニル
、または1、2もしくは3個のC1-C4アルキル、C1-C3アルコキシ、ハロゲン
、C1-C3アルキルチオ、トリフルオロメチル、C2-C6ジアルキルアミノ、ヒド
ロキシもしくはニトロで置換された-フェニル、または-C(CH3)=CHCH3、
-OC(CH3)3、-OCH2フェニル、-SO2-4-メチルフェニル、-(CH2)3CO
OH、-4-(SO3H)フェニル、-1-アダマンチル、-O-3-テトラヒドロフラニ
ル、-O-4-テトラヒドロピラニル、-CH2C(CH3)3、-C(CH3)3、-OC1-
C10アルキル、-NHC1-C10アルキル、1、2もしくは3個のC1-C4アルキル
、C1-C3アルコキシ、ハロゲン、C1-C3アルキルチオ、トリフルオロメチル、
C2-C6ジアルキルアミノもしくはニトロで置換された-NHPh、または-C3-C8
シクロアルキル、-C(CH2CH3)2CH3、-C(CH3)2CH2Cl、-C(CH3)2
CH2CH3、--1-フェニル-1-シクロペンチル、-1-メチル-1-シクロヘキシ
ル、-C(S)NHC(CH3)3、-NHC(CH3)3および-NHPhよりなる群から選
択され;
R24は好ましくはTrocおよびTES;
R25は-(OC1-C2アルキル)nで置換されたフェニル、nは1ないし3;
R26は-H;および
R27は、-C(O)C1-C6アルキル(好ましくは-C(O)CH3)、-C(O)OC1-
C6アルキル、-C(O)OCH2CX3(Xはハロゲン)、-C(O)OCH2CH2Si
R20(R20はC1-C6アルキル)および-Si(R20)3、好ましくはTrocおよびTE
Sよりなる群から選択される。
3-アジド-2-ヒドロキシ-カルボン酸エステル1の調製は、文献記載のごとく
調製し得る(Denis,J-N.;Correa,A.;Greene,A.E.,J.Org.Chem.,1990
,55,1957参照)。文献は、アジドを還元する前にヒドロキシ-アシル化中間体を調
製することによってこの中間体を回避することを強調しているが、これらの物質
は容易に水素化して遊離アミン2となる。アミン2は、それを単離し、それを直
接用いてN-アシル化遊離ヒドロキシ化合物3を調製することにおいて、問題に
全く直面せず十分に安定である。ヒドロキシ基を保護することにより、化合物3
を利用して、該エステルの酸への加水分解、および直接的に、またはオキサジノ
ンへの転化後にバクカシンIII誘導体で縮合する(欧州特許第0 428 376A1号、米
国特許第436235号)。これらの方法は、大過剰量のアシル化剤を要し、かつ一般
に約60%完了を超えて進行しないため、きわだって劣る。また、方法はベータ
-
ラクタム中間体を用いることも記載しているが、これらも大過剰量の試薬、また
はLDAのごとき非常に強い塩基を要し、このことがそれらをより行うことが困
難とし、ある種のアナログに不適としている(Ojima,I.;Habus,I.;Zhao,M.;
George,G.I.;Jayasinghe,L.R.、J.Org.Chem.,1991,56,1681、EP 0 4009
71 A2号)。2位に水素置換基の2個の非水素置換基を有するオキサゾリジンへヒ
ドロキシ-アミン3を転化することに関与する非常に効率的な縮合方法は、
Lett.,1992,33,5185およびWO 92/09589号により記載されている。縮合は非常に
高収率で進行したが、保護基の除去には脱保護条件下にて感受性タキソールアナ
ログが破壊されるに十分に強い酸を要する。本発明者らは、前記研究者が用いた
ごとき、ケトンではなく、電子リッチなベンズアルデヒド4でオキサゾリジン5
を形成することによって、この方法を修飾し改善した。
かかる化学は、Didier,E.;Fouque,E.;Taillepied,I.;Commercon,A.;
Tetrahedron Lett.,1994,35,2349によって最近記載された。ベンズアルデヒド
4由来のオキサゾリジンは、ジアステレオマー混合物として生成するが、これら
はある場合には分離し、該ジアステレオマーは合成を行う場合に等しく有用であ
ることが示された。オキサゾリジン5は塩6および酸7に容易に加水分解する。
酸はラービルで、調製後にすぐに使用する必要がある。両方のオサキゾリジン異
性体は、保護バクカシン8との縮合反応に同等に有効で、最高の収量のオキサゾ
リジン保護タキソールアナログ9が得られる。より重要なことには、これらの電
子リッチなベンズアルデヒドからの両方のオキサゾリジン異性体は、非常に温和
な酸性条件下にて容易に加水分解して、10のごとき非常に酸性感受性のタキソ
ール誘導体の望ましくない変換を引き起こすことなく脱保護でき、このことは本
発明の主題である。ジオキソランのごとき、1,2-ジオールの保護用の電子リッ
チなアルデヒドの使用に関する参照はあるが、先に引用したDidier参照を除い
て、2-ヒドロキシ保護アミン保護用のかかるアルデヒドの使用に関する以前の
参照はない。脱保護は、オキサゾリジンおよび9の7-保護ヒドロキシルが両方
とも同時に除去されるか、または各々が独立して除去されるように行い得る。さ
らに記載するのは、選択したウレタンアナログ10の遊離アミン11への脱保護
である(チャートB)。ついで、これらを種々のアミンアシル化アナログ10に再
転化する。
アジド1のアミン2への転化は、当該分野で公知の還元によって行う。かくし
て、該反応は、パラジウム、白金、ロジウムまたはルーテニウムのごとき種々の
水素化触媒存在下の水素化によって行い得る。別法として、該アジドは、亜鉛、
鉄またはスズのごとき金属存在下の、トリフェニルまたはトリブチル ホスフィ
ンのごときホスフィンでの処理によって、または塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸
または臭化水素酸のごとき酸によって還元し得る。これらの反応は、エタノール
、メタノール、酢酸エチル、メチル t-ブチルエーテルまたはテトラヒドロフラ
ン等のごとき溶媒中で行い得る。アミン2のそのアシル化誘導体3への転化は、
アシル化剤を入れたトリエチルアミンまたはエチルジイソプロピルアミンのごと
き第3級アミンを含有するピリジン、または塩化メチレンもしくはテトラヒドロ
フランのごとき非塩基性溶媒中のアミンの処理によって行う。3がウレタンであ
る場合、ベンジルクロロホルメート、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル
クロリド、ジ-tert-ブチルジカーボネートまたは当該分野で公知である他のウレ
タン形成剤のごとき剤で2を処理する。3がアミドである場合、酸ハロゲン化物
および酸無水和物のごときアシル化剤、または当該分野で公知である他のアシル
化剤で2を処理する。3が尿素またはチオウレアである場合、アルキルまたはア
リール イソシアネート、アルキルまたはイソチオシアネート、または当該分野
で公知である他の尿素またはチオウレア形成剤のごとき剤で2を処理する。
式3で示される化合物(式中、R2=R12NH-、R3=-H、およびR9=-H)調
製の別法を、チャートA"に示す。チャートA"に示す終わりから2番目の化合物
は、式3で示される化合物(式中、R2=R12NH-、R3=-H、およびR9=-t-
Bu)である。チャートA"において、TMSとはトリメチルシリル基、TMSCl
とはクロロトリメチルシラン、およびLDAとはリチウム ジイソプロピル アミ
ドである。
式3で示される化合物(式中、R2=R12NH-、R3=-HおよびR9=-H)調製
のもう1つの別法をチャートA'"に示す。チャートA'"において、Tsとはp-
トルエンスルホニル(トシル)基である。
チャートA"およびチャートA'"で調製したヒドロキシ酸は、ジアゾメタンで
の反応、または当該分野で公知の他の方法によるエステル化により、さらに式3
で示される化合物(式中、R2=R12NH-、R3=-H、およびR9=-CH3)に転
化し得る。
ヒドロキシアミドまたはウレタン3は、テトラヒドロフラン、トルエン、塩化
メチレンまたは他の非プロトン性溶媒のごとき溶媒中にて、電子リッチなベンズ
アルデヒド、またはジメチルもしくはジエチルアセタール4のごときそのアセタ
ールおよびp-トルエンスルホン酸、ピリジンp-トルエンスルホン酸のごとき酸
触媒または当該分野で公知の他の酸触媒で処理することによって、オキサゾリジ
ン5に転化する。電子リッチなベンズアルデヒドの例には、限定するものではな
いが、2-,3-,4-メトキシベンズアルデヒド;2,4-、3,5-、2,5-ジメト
キシベンズアルデヒド;2,4,6-トリメトキシベンズアルデヒド;および4-エ
トキシベンズアルデヒドが含まれる。好ましいベンズアルデヒドは、2,4-ジメ
トキシベンズアルデヒドである。オキサゾリジン形成は、一般的に、両方の該溶
媒を加熱還流させて蒸留し、放出した水またはアルコールを留去することによっ
て行う。水、メタノール、エタノールまたは他のプロトン性溶媒のごとき溶媒中
、アルカリまたは第4級アミン水酸化物で処理することによって、またはアルカ
リ炭酸塩または当該分野で公知である他の塩基によって、5で示されるエステル
を塩6に加水分解する。該反応は、-78℃ないし100℃で行い得る。生成物
6は安定で、該溶媒の蒸発によって単離し、固形物として保存でき、あるいは、
酸で処理することによって6を酸7に転化するために該反応を直接用いることが
できる。一般的に、分離漏斗中の6の水溶液を、塩酸、硫酸、硫酸水素カリウム
等のごとき十分な酸で処理し、所望の酸を酢酸エチル、塩化メチレン、エーテル
等のごとき有機溶媒に分配させ、溶媒を蒸発させることによって7を得る。得ら
れた酸7は、次の反応で使用するのに十分に純粋かつ安定であるが、一般的に、
長期保存には十分に安定ではない。酸7をバクカシン誘導体8で縮合して、脱水
剤
でエステル9を形成する。この方法に最も好ましいのは、ジシクロヘキシル カ
ルボジイミド、ジイソプロピル カルボジイミド、ジ-p-トリル カルボジイミド
、エチル ジメチルアミノプロピル カルボジイミド塩酸塩等のごときカルボジイ
ミド、および塩基触媒、好ましくは、4-ジメチルアミノピリジンである。一般
に、反応はトルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のごとき非
プロトン性溶媒中、25℃ないし100℃にて行う。9を形成させるための他の
脱水方法を、塩化トルエンスルホニルまたは塩化ベンゼンスルホニルのごときス
ルホン酸とのその混合エステルへの7の転化、または酸感受性のカルボン酸とし
て当該分野で公知である塩化オキサリル存在下での乾燥した6から酸ハロゲン化
物の形成のごときに用いることができる。オキサゾリジン9は、保護オキサゾリ
ジンおよびバクカシン7位でヒドロキシルを遮断する基が、個別に、7位の保護
基および反応条件に依存して順番に、または両方ともが除去されるように、脱保
護することができる。R14がシリルエーテルのごとき酸ラービル基である場合、
オキサゾリジンの加水分解は温和な酸条件下で行うことができ、7位脱保護に通
じ、同時に10MZが直接得られる。かかる転化の条件には、0℃ないし50℃
の0.01〜0.1Nの酢酸水溶液、アルコール酸水溶液、または0℃ないし50
℃の0.01N〜0.1Nのアルコール酸中の加水分解が含まれる。別法として、
7位の保護は、それが酸置換活性でない場合には、第二工程で除去できる。例え
ば、7位のトリクロロエトキシカルボニル基は、当該分野で公知である還元によ
って10MY(チャートB)から除去して、10MZを得ることができる。10M
Z(チャートB)の窒素上の保護基(すなわち、R2またはR3)の性質に依存して該
保護基を除去して11Zが得られる。例えば、R2がPhCH2OC(O)NHであ
る場合、それは温和な水素化分解によって除去し得る。かかる転化用の条件には
、室温、1ないし3大気圧にて、エタノールまたは酢酸エチルのごとき溶媒中、
パラジウムのごとき金属触媒上での水素による還元が含まれる。他の方法は当該
分野で公知である。得られたアミン11Zは2から3への転化で前記したアシル
化法によってアミドまたはウレタン10MZ(チャートB)に再転化することがで
きる。生成物10MZは2'ヒドロキシル上で保護して12MZ(チャートB)を
得るこ
とができる。例えば、2'ヒドロキシルは、第3級アミン塩基を含有する、ピリ
ジンまたは他の芳香族アミン溶媒中の、またはトルエン、塩化メチレンまたはテ
トラヒドロフランのごとき非塩基性溶媒中の塩化トリクロロエトキシカルボニル
でアシル化し得る。該反応は-50℃ないし100℃で行い得る。かかるアシル
化の他の方法は、当該分野でよく知られている。
タキソール、タキソールアナログ10MZ(R10はアセテートまたは他の適当
なアシル基)、バクカシンIIIまたはバクカシンIIIアナログ8(R10はアセテート
または他の適当なアシル基)とヒドラジンとの反応は、10-デアセチルタキソー
ル、10-デアセチルタキソールアナログ(10MZ、R10=H)、10-デアセチ
ルバクカシンIII、および10-デアシルバクカシンIIIアナログ(8、R10=H)
の調製に特に有利な方法よりなる。タキソールおよびバクカシン構造のこの位か
らのアシル基を除去するための報告された方法(Samaranakayke,G.ら;J.Org
.Chem.,1991,56,5114)、すなわちメタノール中の臭化亜鉛により所望の脱アシ
ル化産物に加えて多数の他の生成物が得られるが、ヒドラジンとの反応により所
望の脱アシル化産物がほぼ得られる。該反応は有機溶媒中、室温にて行うことが
でき、基質に依存して、通常は15分間ほどの短時間または24時間の長時間を
要する。該反応に好ましい溶媒は95%エタノールであり、98%ヒドラジンが
好ましい形態の試薬である。
本発明の式Iで示される化合物[式中、R40は-C(O)C6H5と同等ではない]
は、Chaundhary,A.G.ら;J.Am,Chem.Soc.、1994、116、4097-8の方法に従っ
て、チャートDに示す方法によって調製し得る。
式Iで示される化合物の一般的な合成法を以下に記載する。
チャート2のタキソールアナログIIIは、イミダゾールまたはピリジンのごと
き塩基存在下のTHF、ピリジンまたはDMFのごとき非プロトン性溶媒中にて
、トリアルキルクロロシランと反応させることによって、あるいは塩化メチレン
またはピリジンのごとき非プロトン性溶媒およびピリジン、トリエチルアミンま
たはジイソプロピルエチルアミンのごとき添加塩基中にて、トリクロロエチルク
ロロホルメート、ベンジルオキシクロロホルメートまたはアリルオキシクロロホ
ル
メートのごときアルコキシカルボニルクロリドと反応させることによって、2'-
保護誘導体IVに転化し得る。タキソールアナログIIIは、3を5に転化するの
にチャートA'に記載したごとく、2',3'-オキサゾリジン誘導体Vに転化し得
る。
チャート3のバクカシンアナログVIは、イミダゾールまたはピリジンのごとき
塩基存在下、THF、ピリジンまたはDMFのごとき非プロトン性溶媒中にてト
リアルキルクロロシランと反応させることによって、あるいは塩化メチレンまた
はピリジンのごとき非プロトン性溶媒およびピリジン、トリエチルアミンまたは
ジイソプロピルエチルアミンのごとき添加塩基中にて、トリクロロエチルクロロ
ホルメート、ベンジルオキシクロロホルメートまたはアリルオキシクロロホルメ
ートのごときアルコキシカルボニルクロリドと反応させることによって、7-保
護バクカシンVIIに転化し得る。チャート3の7-保護バクカシンVIIは、オキサ
ゾリジン酸VIIIで縮合して、脱水剤でエステルIXを形成し得る。この方法に最も
好ましいのは、ジシクロヘキシル カルボジイミド、ジイソプロピル カルボジイ
ミド、ジ-p-トリル カルボジイミド、エチル ジメチルアミノプロピル カルボ
ジイミド塩酸塩等のごときカルボジイミド、および塩基性触媒、好ましくは4-
ジメチルアミノピリジンである。該反応は、一般に、トルエン、ベンゼン、テト
ラヒドロフラン、ジオキサン等のごとき非プロトン性溶媒中、25℃ないし100
℃にて行う。IXを形成するための他の脱水法を、の塩化トルエンスルホン酸また
は塩化ベンゼンスルホニルのごときスルホン酸でのVIIIのその混合エステルへの
転化、あるいは、酸感受性カルボン酸として当該分野で知られている塩化オキサ
リル存在下、VIIIで示される乾燥アルカリ金属塩から酸ハロゲン化物の形成のご
ときに用いることができる。7-保護オキサゾリジンIXは、7-ヒドロキシ オキ
サゾリジンVに選択的に脱保護し得る。R27がトリアルキル シリル基である場
合、IXからVへの転化は、THFまたは塩化メチレンのごとき不活性溶媒中にて
、フッ化テトラブチルアンモニウム、フッ化ピリジンまたはトリエチルアンモニ
ウムトリヒドロフロリドのごときフッ化物で行い得る。R27がトリクロロエトキ
シカルボニルのごとき保護基である場合、酢酸もしくはメタノールまたはかかる
溶媒の水性混合液のごとき溶媒中の、酢酸または塩化アンモニウムのごとき弱酸
存在下に
て、亜鉛または他の金属で還元することによって、それは除去し得る。
アルコキシメチル-またはアリールオキシメチルエーテルとしてのR20を有す
るチャート4の2'-保護タキソールアナログXは、当該分野で公知のクロロメチ
ルアルキルまたはクロロメチルアリールエーテルと反応させることによって、2
'-保護-7-ヒドロキシ-タキソールIVから生成し得る(Braun,H.,Hind,W.;A
ngew.Chem.Int.Ed.Eng.,1984,23,723;Danishefsky,S.,Barbachyn,M.;
J.Am.Chem.Soc.,1985,107,7761;McCarvey,G.J.,Bajiva,J.S.;J.
Org.Chem.,1984,49,409;Falck,J.R.;Yadageri,P.;J.Org.Chem.,19
89,54,5851;Andreev,V.M.;Fonchenko,Z.V.;Cherkayev,G.V.;Moch
alin,V.B.;Kheifits,L.A.;Khim.Farm.Zh.,1990,24,50;Swindel,C.S
.;Kraus,N.E.;Horwitz,S.B.;Ringel,I.;J.Med.Chem.,1991,34,1
176;Wu,Z.F.;Fraserreid,B.;Mootoo,D.R.;Tetrahedron Lett.,198
8,29,6549)。アルキル、アリールまたはアルカリルエーテルとしてのR20を有す
るチャート4の2'-保護タキソールアナログは、チャート7-20に示す方法に
よって、または-20℃ないし150℃の温度にてTHF、ジオキサンまたはD
MFのごとき非プロトン性溶媒中のロージウム、ルーテニウムまたはパラジウム
のごとき遷移金属触媒存在下にて、ジアゾアルカンまたはアリールジアゾ化合物
と反応させることによって、2'-保護-7-ヒドロキシ-タキソールIVから生成し
得る。タキソールアナログXIは、当該分野で公知の2'-保護基の脱保護によって
、2'-保護アナログXから調製し得る。
アルコキシメチル-またはアリールオキシメチルエーテルとしてR20を有する
チャート5のオキサゾリジニル-タキソールアナログVIIは、当該分野で公知であ
るクロロメチルアルキルまたはクロロメチルアリールエーテルとの反応によって
(Braun,H.;Hild,W.;Angew.Chem.Int.Ed.Eng.,1984,23,723;Danishe
fsky,S.;Barbachyn,M.;J.Am.Chem.Soc.,1985,107,7761;McCarvey,
G.J.;Bajiva,J.S.;J.Org.Chem.,1984,49,409;Falck,J.R.;Yada
geri,P.;J.Org.Chem.,1989,54,5851;Andreev,V.M.;Fonchenko,Z.V
.;Cherkayev,G.V.;Mochalin,V.B.;Kheifits,L.A.;
Khim.Farm.Zh.,1990,25,50;Swindel,C.S.;Kraus,N.E.;Horwitz,S
.B.;Ringel,I.;J.Med.Chem.,1991,34,1176;Wu,Z.F.;Fraserreid,
B.;Mootoo,D.R.;Tetrahedron Lett.,1988,29,6549)、オキサゾリジニル-
7-ヒドロキシ-タキソールVから生成し得る。アルキル-、アリルまたはアルカ
リルエーテルとしてR20を有するチャート5のオキサゾリジニルタキソールまた
はアナログXIIは、チャート7-20に示す方法によって、あるいは、-20℃な
いし150℃の温度にて、THF、ジオキサンまたはDMFのごとき非プロトン
性溶媒中、ロージウム、ルーテニウムまたはパラジウムのごとき遷移金属触媒存
在下にて、ジアゾアルカンまたはアリールジアゾ化合物と反応させることによっ
て、オキサゾリジニル-7-ヒドロキシ-タキソールVから生成し得る。タキソー
ルアナログXIは、0℃ないし50℃にて0.01ないし0.1Nの酢酸水溶液、ア
ルコール酸水溶液中、または0℃ないし50℃にて0.01ないし0.1Nのアル
コール酸での加水分解、または当該分野で知られている他の方法によって、オキ
サゾリジニルアナログVIIから調製し得る。
チャート6のバクカシンアナログVIIは、チャート4のIVをXに転化したのと
同様にして、7-エーテルバクカシンXIIIに転化し得る。チャート6の7-エー
テルバクカシンXIIIは、チャート3のVIIのVIIIでの縮合について記載した脱水
剤で、オキサゾリジン酸VIIIで縮合してエステルXIIを形成し得る。オキサゾリ
ジンXIIは、チャート5記載のごとくアナログXIに脱保護し得る。
チャート7の2'-保護タキソール7-エーテルXIVは、THF、ジオキサンも
しくは塩化メチレンのごとき非プロトン性溶媒中、水素化ナトリウムもしくは硝
酸銀のごとき強塩基とトリエチルアミンもしくはジイソプロピルエチルアミンの
ごとき第3級塩基との存在下にて、ジアルキルスルフィドおよび過酸化ベンゾイ
ルと反応させるか(Medina,J.C.;Soloman,M.;Kyler,K.S.;Tetrahedron
Lett.,1988,29,3773)、または、クロロアルキルチオアリールエーテルと反応
させる(Holton,R.A.;Davis,R.G.;Tetrahedron Lett.,1977,533;Suz
uki,K.;Inanaga,J.;Yamaguchi,M.;Chem.Lett.,1979,1277)ことによっ
て調製し得る。同様にして、チャート7の2'-保護タキソール 7-アリール
チオアルキルエーテルXVは、THF、ジオキサンもしくは塩化メチレンのごと
き非プロトン性溶媒中、水素化ナトリウムまたは硝酸銀のごとき強塩基、および
トリエチルアミンもしくはジイソプロピルエチルアミンのごとき第3級塩基存在
下にて、アリールアルキルスルフィドおよび過酸化ベンゾイルと反応させるか(
Medina,J.C.;Soloman,M.;Kyler,K.S.;Tetrahedron Lett.,1988,29,
3773)、またはクロロアルキルチオアリールエーテルと反応させることによって
、2-保護タキソールアナログIVから調製し得る(Holton,R.A.;Davis,R.G
.;Tetrahedron Lett.,1977,533;Suzuki,K.;Inanaga,J.;Yamaguchi,
M.;Chem.Lett.,1979,1277)。
チャート8の2'-保護タキソール 7-アルキルチオアルキルXIVは、メタ過ヨ
ウ素酸ナトリウムおよびアルコール溶媒によるか、または当該分野で公知である
他の方法によって(Carrasco,M.;Jones,R.J.;Kamel S.;Rapoport,H.;
Truong,T.;Org.Syn.,1991,20 29;Johnson,C.;Keiser,L.;Org.Syn.
Coll Vol.V,1973,791)、スルホキシドXVIに酸化し得る。同様にして、チャー
ト9の2'-保護タキソール 7-アリールチオアルキルエーテルXVは、メタ過ヨ
ウ素酸ナトリウムおよびアルコール溶媒によるか、または当該分野で公知である
他の方法(Carrasco,M.;Jones,R.J.;Kamel S.;Rapoport,H.;Truong
,T.;Org.Syn.,1991,2029;Johnson,C.;Keiser,L.;Org.Syn.Coll
Vol.V,1973,791)または当該分野で公知である他の方法によってスルフォキシド
XVIIIに酸化し得る。
チャート8の2'-保護タキソール 7-アルキルチオアルキルエーテルXIVは、
塩化メチレンまたはTHFのごとき非プロトン性溶媒中のメタクロロ過ベンゼン
酸によるか、または塩化メチレン、メタノールまたはエタノールのごとき非プロ
トン性またはプロトン性溶媒中の過酸化水素によるか(Carpino,L.A.;McAda
ms,L.V.、Org.Syn.Coll.Vol.VI、1988、403;Paquette,L.A.;Carr,R.
V.C.;Org.Syn.,1985,64,157)、または当該分野で公知である他の方法によ
ってスルホンXVIIに酸化し得る。同様にして、チャート9の2'-保護タキソー
ル 7-アリールチオアルキルXVは、塩化メチレンまたはTHFのごと
き非プロトン性溶媒中のメタクロロ過ベンゼン酸によるか、または塩化メチレン
、メタノールもしくはエタノールのごとき非プロトン性もしくはプロトン性溶媒
中の過酸化水素によるか(Carpino,L.A.;McAdams,L.V.、Org.Syn.Col
l.Vol.VI,1988,403;Paquette,L.A.;Carr,R.V.C.;Org.Syn.,1985,6
4,157)、または当該分野で公知である他の方法によってスルホンXIXに酸化し得
る。
チャート10の2'-保護タキソール 7-アリールチオオキソメチルエーテルX
VIII(R28=H)は、THF、エーテル、ジオキサンもしくは1,2-ジメトキシエ
タンのごとき非プロトン溶媒中の、水素化ナトリウム、リチウム ジエチル アミ
ド、リチウム ヘキサメチル ジシラジドのごとき強塩基または同様の強塩基で処
理し、つづいてヨウ化アルキル、臭化アルキルもしくはアルキルアルコールスル
ホン酸エステルのごときアルキル化剤で処理することによって、2'-保護タキソ
ール 7-アリールチオオキソアルキルエーテルXVIII(R28=アルキル)にアルキ
ル化し得る。同様にして、チャート11の2'-保護タキソール 7-アリールチオ
ジオキソメチルエーテルXIX(R28=H)は、THF、エーテル、ジオキサンもし
くは1,2-ジメトキシエタンのごとき非プロトン溶媒中、水素化ナトリウム、リ
チウム ジエチル アミド、リチウム ヘキサメチル ジシラジドのごとき強塩基ま
たは同様の強塩基、で処理し、つづいてヨウ化アルキル、臭化アルキルもしくは
アルキルアルコールスルホン酸エステルのごときアルキル化剤で処理することに
よって、2'-保護タキソール 7-アリールチオジオキソアルキルエーテルXIX(
R28=アルキル)にアルキル化し得る。
チャート12の2',3'-オキサゾリジン保護タキソール 7-エーテルXXIIは
、THF、ジオキサンもしくは塩化メチレンのごとき非プロトン溶媒中、ジアル
キルスルフィドおよび過酸化ベンゾイルと反応させるか(Medina,J.C.;Solom
an,M.;Kyler,K.S.;Tetrahedron Lett.,1988,29,3773)、またはクロロア
ルキルチオアルキルエーテル、およびトリエチルアミンまたはジイソプロピルエ
チルアミンのごとき第3級塩基と反応させることによって、2',3'-オキサゾリ
ジン保護タキソール・アナログVから調製し得る。同様にして、チャート12の
2',3'-オキサゾリジン保護タキソール 7-アリールチオアルキル エーテル
XXIIIは、THF、ジオキサンもしくは塩化メチレンのごとき非プロトン溶媒
中、アリール アルキル スルフィドおよび過酸化ベンゾイルと反応させるか(Me
dina,J.C.;Soloman,M.;Ky1lr,K.S.;Tetrahedron Lett.,1988,29,377
3)、またはクロロアルキルチオアリールエーテル、およびトリエチルアミンもし
くはジイソプロピル エチル アミンのごとき第3級塩基と反応させることによっ
て、2',3'-オキサゾリジン保護タキソールアナログVから調製し得る。チャー
ト13の2',3'-オキサゾリジンタキソール 7-アルキルチオアルキルXXIIは
、メタ過ヨウ素酸ナトリウムおよびアルコール溶媒によるか、または当該分野で
公知である他の方法(Carrasco,M.;Jones,R.J.;Kamel S.;Rapoport,
H.;Truong,T.;Org.Syn.,1991,2029;Johnson,C.;Keiser,L.;Org.
Syn.Coll Vol.V,1973,791)によって、スルフォキシドXXIVに酸化し得る。
同様にして、チャート14の2',3'-オキサゾリジンタキソール 7-アリールチ
オアルキル エーテルXXXIIIは、メタ過ヨウ素酸ナトリウムおよびアルコール
溶媒によるか、または当該分野で公知である他の方法(Carrasco,M.;Jones,
R.J.;Kamel S.;Rapoport,H.;Truong,T.;Org.Syn.,1991,2029;J
ohnson,C.;Keiser,L.;Org.Syn.Coll Vol.V,1973,791)によって、スル
フォキシドXXVIに酸化し得る。
チャート13の2',3'-オキサゾリジン保護タキソール 7-アルキルチオアル
キルエーテルXXIIは、塩化メチレンもしくはTHFのごとき非プロトン溶媒中
のメタクロロ過ベンゼン酸によるか、または塩化メチレン、メタノールもしくは
エタノールのごとき非プロトン性またはプロトン性溶媒中の過酸化水素によって
(Carpino,L.A.;McAdams,L.V.、Org.Syn.Coll.Vol.VI,1988,403;P
aquette,L.A.;Carr,R.V.C.;Org.Syn.,1985,64,157)または当該分野で
公知である他の方法によって、スルホンXXVに酸化し得る。同様にして、チャ
ート14の2',3'-オキサゾリジン保護タキソール 7-アリールチオアルキルX
XIIIは、塩化メチレンもしくはTHFのごとき非プロトン性溶媒中のメタクロ
ロ過ベンゼン酸によるか、または塩化メチレン、メタノールもしくはエタノール
のごとき非プロトン性またはプロトン性溶媒中の過酸化水素によるか(Carpino,
L.A.;McAdams,L.V.、Org.Syn.Coll.Vol.VI、1988、403;Paquette,L.
A.;Carr,R.V.C.;Org.Syn.,1985,64,157)、または当該分野で公知であ
る他の方法によって、スルホンXXVIIに酸化し得る。
チャート15の2',3'-オキサゾリジン保護タキソール 7-アリールチオオキ
ソメチルエーテルXXVI(R28=H)は、THF、エーテル、ジオキサンもしくは
1,2-ジメトキシメタンのごとき非プロトン溶媒中、水素化ナトリウム、リチウ
ム ジエチル アミド、リチウム ヘキサメチル ジシラジドのごとき強塩基または
同様の強塩基で処理し、つづいてヨウ化アルキル、臭化アルキルもしくはアルキ
ルアルコールスルホン酸エステルのごときアルキル化剤で処理することによって
、2',3'-オキサゾリジン保護タキソール 7-アリールチオ-オキソアルキルエ
ーテルXXVI(R28=アルキル)にアルキル化し得る。同様にして、チャート16
の2',3-オキサゾリジン保護タキソール 7-アリールチオジオキソメチルエー
テルXXVII(R28=H)は、THF、エーテル、ジオキサンもしくは1,2-ジメ
トキシメタンのごとき非プロトン性溶媒中、水素化ナトリウム、リチウム ジエ
チルアミド、リチウム ヘキサメチル ジシラジドのごとき強塩基または同様の強
塩基で処理し、つづいてヨウ化アルキル、臭化アルキルもしくはアルキルアルコ
ールスルホン酸エステルのごときアルキル化剤で処理することによって、2',3
'-オキサゾリジン保護タキソール 7-アリールチオジオキソアルキルエーテルX
XVII(R28=アルキル)にアルキル化し得る。
2'-保護タキソール 7-アルキルチオアルキルXIV(チャート17)、2'-保護
タキソール 7-アリールチオアルキルエーテルXV(チャート18)、7-メチル
チオオキソメチルエーテルXVI(チャート8、R28=H)、7-アルキルチオオキ
ソアルキルエーテルXVI(チャート8、R28=アルキル)、7-メチルチオジオキ
ソメチルエーテルXVII(チャート8、R28=H)、7-アルキルチオジオキソアル
キルエーテルXVII(R28=アルキル)、7-アリールチオオキソメチルエーテルX
VIII(チャート9、R28=H)、7-アリールチオオキソアルキルエーテルXVIII(
チャート10、R28=アルキル)、7-アリールチオジオキソメチルエーテルXIX
(チャート9、R28=H)または7-アリールチオジオキソアルキルエーテルX
IX(チャート11、R28=アルキル)は、ラネイニッケル(Raney Ni)(Pettit,
G.R.;Van Tamelen,E.E.;Organic Reactions,1962,12,356)で対応する
2-保護タキソールエーテルXXに脱硫し得る。2'-保護タキソールエーテルX
Xは、XIIからXIへの転化について先に記載したごとく(チャート5)、タキソー
ル7エーテルアナログに脱保護し得る。
2',3'-オキサゾリジン保護タキソール 7-アルキルチオアルキルXXII(チ
ャート19)、2',3'-オキサゾリジン保護タキソール 7-アリールチオアルキ
ルエーテルXXIII(チャート20)、2',3'-オキサゾリジン保護タキソール7-
メチルチオオキソメチルエーテルXXIV(チャート13、R28=H)、2',3'-オ
キサゾリジン保護タキソール 7-アルキルチオオキソアルキルエーテルXXIV(
チャート13、R28=アルキル)、2',3'-オキサゾリジン保護タキソール 7-
メチルチオジオキソメチルエーテルXXV(チャート13、R28=H)、2',3'-
オキサゾリジン保護タキソール 7-アルキルチオジオキソアルキルエーテルXX
V(チャート13、R28=アルキル)、2',3'-オキサゾリジン保護タキソール
7-アリールチオオキソメチルエーテルXXVI(チャート14、R28=H)、2',
3'-オキサゾリジン保護タキソール 7-アリールチオオキソアルキルエーテルX
XVI(チャート15、R28=アルキル)、2',3'-オキサゾリジン保護タキソール
7-アリールチオジオキソメチルエーテルXXVII(チャート14、R28=H)、
または2',3'-オキサゾリジン保護タキソール 7-アリールチオジオキソアルキ
ルエーテルXXVII(チャート16、R28=アルキル)は、ラネイニッケル(Petti
t,G.R.;Van Tamelen,E.E.;Organic Reactions、1962、12、356)で対応す
る2',3'-オキサゾリジン保護タキソールエーテルXXVIIIに脱硫し得る。2',
3'-オキサゾリジン保護タキソールエーテルXXVIIIは、XIIからXIのへの転化
で先に記載したごとく(チャート6)、7-エーテルアナログXXIに脱保護し得る
。
実施例1 13-(N-Boc-2'-TES-β-フェニルイソセリニル)-バクカシンII
I(2)の調製
13-(N-Boc-β-フェニル イソセリニル)-バクカシンIII(1、1.36g、
1.
6ミリモル)を乾燥ピリジン(16mL)に溶解し、その溶液を0℃に冷却する。
これに、クロロトリエチルシラン(0.3mL、1.76ミリモル)を添加する。反
応物を0℃にて2時間撹拌させる。室温にて一晩撹拌した後に、TLCは出発物
質がまだ幾分存在することを示す。反応物を0℃に再冷却し、クロロトリエチル
シラン(0.3mL、1.76ミリモル)を再度添加する。さらに2時間後に、クロ
ロトリエチルシラン(0.2mL、0.25mL、および0.20mL)添加を各3
回繰り返す。ついで、反応物を室温に温め、一晩撹拌する。ついで、TLCは出
発物質が全く残っていないことを示す。溶液を飽和CuSO4で2回抽出する。
水性層を酢酸エチルで再-抽出する。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムを通して
濾過し、真空下にて濃縮する。残渣を1:9のEtOAc:ヘキサン中に充填した
シリカゲル(150g)のカラム上のクロマトグラフィーに付す。カラムを(1:
9)EtOAc:ヘキサン(300mL)、(1:4)EtOAc:ヘキサン(1L)、(1
:3)EtOAc:ヘキサン(500mL)および(1:1)EtOAc:ヘキサン(1L
)で溶出し、70mLフラクションを採取する。白色固形物としての13-(N-B
oc-2'-TES-β-フェニル イソセリニル)-バクカシンIII(2、1.24g、8
0%収率)は、フラクション53-69の蒸発の際に見い出される。
プロトンNMR(CDCl3;TMS):δ0.39(m,6H);0.78(m,9H);1.90(m,4H);2
.25(s,3H);2.39(m);2.53(s);2.50-2.63(m);3.83(d,1H);4.20(d,1H);4.34(d,1H);
4.47(m,1H);4.55(s,1H);5.00(d,1H);5.28(m,1H);5.49(m,1H);5.68(d,1H);6.30(m
,2H);7.28(m);7.37(m,2H);7.50(m,2H);7.61(m,1H);8.12(d,2H)
質量分析(FAB-高分解能) 理論値:964.4514;
実測値:964.4528
実施例2 7-(O-エトキシメチル)-13-(N-Boc-2'-TES-β-フェニルイ
ソセリニル)-バクカシンIII(3)の調製
13-(N-Boc-2'-TES-β-フェニルイソセリニル)-バクカシンIII(2、1
00mg、0.104mM)を窒素下、塩化メチレン(1mL)中、RTにて撹拌す
る。その溶液に、クロロメチルエチルエーテル(58mL、0.624mM)お
よびジイソプロピルエチルアミン(109mL、0.624mM)を添加する。2
日後に、その反応が完全であることがTLCにより判明する。ついで、反応物を
塩化メチレン-水の間に分配する。層を分離し、水性層を塩化メチレンで再-抽出
する。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、これを合わせて真空下にて蒸発させ
る。粗製生成物を、(20-80)アセトン-ヘキサンで溶出する、シリカゲル(1
0g)上のクロマトグラフィーに付す。3mLフラクションを採取し、それらを
TLCによって分析する。生成物はフラクション13-28に見い出され、それ
らを合わせ、真空下にて蒸発させる際に、7-(O-エトキシメチル)-13-(N-B
oc-2'-TES-β-フェニル イソセリニル)-バクカシンIII(3、104mg、9
8%収率)が白色固形物として残る。
TLC(シリカゲル):(30-70)アセトン-ヘキサン;Rf:O.48
プロトンNMR(CDCl3;TMS):δ0.3-0.50(m,6H);0.74-0.84(t,9H);1.1
0-1.20(t,3H);1.21(s,3H);1.26(s,3H);1.33(s,9H);1.76(s,3H);1.96(s,3H);2.21
(s,3H);2.33-2.46(m,1H);2.52(s,3H);2.78-2.94(m,1H);3.35-3.48(m,1H);3.60-3
.74(m,1H);3.85-3.94(d,1H);4.10-4.20(m,1H);4.15-4.23(d,1H);4.30-4.37(d,1H
);4.56(s,1H);4.75(s,2H);4.92-5.00(d,1H);5.20-5.33(bd,1H);5.43-5.55(bd,1H
);5.64-5.73(d,1H);6.20-6.31(t,1H);6.37(s,1H);7.14-7.34(m,3H);7.34-7.43(t
,2H);7.43-7.55(t,2H);7.55-7.64(t,1H);8.08-8.16(d,2H)
実施例3 7-(O-エトキシメチル)-13-(N-Boc-β-フェニル イソセリニル)
-バクカシンIII(4)の調製
7-(O-エトキシメチル)-13-(N-Boc-2'-TES-β-フェニル イソセリニ
ル)-バクカシンIII(3、104mg、0.102mM)を、窒素下、MeOH(1m
L、塩化アセチル71mLおよびMeOH10mLから調製した)中の0.1N
HCl中、RTにて撹拌する。15分後のTLCは、出発物質が全く存在しない
ことを示す。ついで、反応物を酢酸エチル-5%重炭酸ナトリウムの間に分配す
る。層を分離し、水層を酢酸エチルで再抽出する。有機層を硫酸ナトリウム上で
乾燥し、合わせて真空下にて蒸発させる。粗製生成物は、(30-70)アセトン-
ヘキサン
で溶出する、シリカゲル10g上のクロマトグラフィーに付す。フラクション3
mLを採取し、それらをTLCによって分析する。生成物はフラクション17-
29に見い出され、これらを合わせて真空下にて蒸発する際に、7-(O-エトキ
シメチル)-13-(N-Boc-β-フェニル イソセリニル)-バクカシンIII(4、7
1mg、77%収率)が白色固形物として残る。
TLC(シリカゲル):40-60アセトン-ヘキサン;Rf:0.64
プロトンNMR(CDCl3;TMS):δ1.10-1.20(t,3H);1.21(s,3H);1.22(s,
3H);1.35(s,9H);1.75(s,3H);1.88(s,3H);2.21(s,3H);2.36(s,3H);2.76-2.90(m,1
H);3.33-3.49(m,1H);3.55(bs,1H);3.59-3.73(m,1H);3.80-3.90(d,1H);4.03-4.22
(m,2H);4.24-4.34(d,1H);4.61(bs,1H);4.73(s,2H);4.86-4.96(d,1H);5.19-5.31(
bd,1H);5.41-5.54(bd,1H);5.60-5.70(d,1H);6.09-6.23(t,1H);6.34(s,1H);7.25-
7.43(m,5H);7.43-7.54(t,2H);7.54-7.65(t,1H);8.00-8.13(d,2H);
質量分析(FAB、m/z)(M+H)+ 測定値:908.4089;
C48H62N1O16として 理論値:908.4068;
908,627,585,105,59,57
実施例4 7-(O-メトキシエトキシメチル)-13-(N-Boc-2'-TES-β-フ
ェニル イソセリニル)-バクカシンIII(5)の調製
13-(N-Boc-2'-TES-β-フェニル イソセリニル)-バクカシンIII(2、
100mg、0.104mM)を、窒素下、塩化メチレン(1mL)中、RTにて撹
拌し、その溶液をMEM塩化物(71mL、0.624mM)およびジイソプロピ
ルエチルアミン(109mL、0.624mM)で処理する。その反応物を2日間
反応させその時点でそれはまだ不完全である。さらなるMEM塩化物(71mL
、0.624mM)およびジイソプロピルエチルアミン(109mL、0.624m
M)を添加する。その反応物をさらに3日間反応させ、その時点で反応が完全で
あることが判明する。その反応物を塩化メチレン-水の間に分配させる。層を分
離し、水層を塩化メチレンで再-抽出する。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し
、合わせて真空下にて蒸発させる。粗製生成物は、20-80アセトン-ヘキサン
で溶出
する、シリカゲル(11g)上のクロマトグラフィーに付す。フラクション3mL
を採取し、それらをTLCによって分析する。白色固形物としての7-(O-メト
キシエトキシメチル)-13-(N-Boc-2'-TES-β-フェニル イソセリニル)-
バクカシンIII(5、101mg、93%収率)は、その後に合わせ、真空下にて
蒸発させた際にフラクション17-37に見い出される。
TLC(シリカゲル):(30-70)アセトン-ヘキサン;Rf:0.44
プロトンNMR(CDCl3;TMS):δ0.3-0.51(m,6H);0.75-0.85(t,9H);1.2
1(s,3H);1.26(s,3H);1.33(s,9H);1.76(s,3H);1.95(s,3H);2.20(s,3H);2.31-2.45
(m,1H);2.52(s,3H);2.80-2.95(m,1H);3.35(s,3H);3.47-3.60(m,1H);3.51(s,2H);
3.70-3.82(m,1H);3.86-3.95(d,1H);4.13-4.24(m,2H);4.29-4.37(d,1H);4.55(s,1
H);4.75-4.87(q,2H);4.92-5.00(d,1H);5.20-5.34(bd,1H);5.44-5.56(bd,1H);5.6
5-5.73(d,1H);6.19-6.33(t,1H);6.36(s,1H);7.23-7.43(m,5H);7.44-7.54(t,2H);
7.54-7.64(t,1H);8.06-8.16(d,2H)
実施例5 7-(O-メトキシエトキシメチル)-13-(N-Boc-β-フェニルイソセ
リニル)-バクカシンIII(6)の調製
7-(O-メトキシエトキシメチル)-13-(N-Boc-2'-TES-β-フェニル イ
ソセリニル)-バクカシンIII(5、101mg、0.096mM)を、窒素下、(80
-20)HOAc-水(2mL)中、RTにて撹拌する。5時間で、TLCにより反
応が完全であることが判明する。ついで、反応混合物を凍結乾燥する。粗製生成
物を、(30-70)アセトン-ヘキサンで溶出する、シリカゲル(10g)上のクロ
マトグラフィーに付す。フラクション3mLを採取し、それらをTLCによって
分析する。合わせ、真空下にて蒸発させる際に、白色固形物としての7-(O-メ
トキシエトキシメチル)-13-(N-Boc-β-フェニル イソセリニル)-バクカシン
III(6、90mg、100%収率)が、フラクション23-48に見い出される。
TLC(シリカゲル):(30-70)アセトン-ヘキサン;Rf:0.27
プロトンNMR(CDCl3;TMS):δ1.20(s,3H);1.24(s,3H);1.35(s,9H);1
.75(s,3H);1.87(s,3H);2.21(s,3H);2.36(s,3H);2.81-2.96(m,1H);3.34(s,3H);
3.50(s,2H);3.46-3.60(m,1H);3.66(bs,1H);3.72-3.82(m,1H);3.82-3.91(d,1H);4
.08-4.23(m,2H);4.26-4.36(d,1H);4.63(bs,1H);4.73-4.85(m,2H);4.88-4.98(d,1
H);5.21-5.34(bd,1H);5.52-5.62(bd,1H);5.62-5.71(d,1H);6.14-6.26(t,1H);6.3
3(s,1H);7.28-7.43(m,5H);7.43-7.55(t,2H);7.56-7.68(t,1H);8.02-8.16(d,2H)
質量分析(FAB,m/z)(M+H)+
C49H64N1O17として 測定値:938.4166;
理論値:938.4174;
938,882,878,657,105,89,59,57
実施例6 7-(O-メトキシメチル)-13-(N-Boc-2'-TES-β-フェニル イ
ソセリニル)-バクカシンIII(7)の調製
13-(N-Boc-2'-TES-β-フェニル イソセリニル)-バクカシンIII(2、
100mg、0.104mM)を、窒素下、乾燥THF(1mL)中、RTにて撹拌
し、溶液をクロロメチルメチルエーテル(47mL、0.624mM)およびジイ
ソプロピルエチルアミン(109mL、0.624mM)で処理する。反応物をR
Tにて一晩放置し、その間にTHFを蒸発させて約半分の容量で沈殿形とする。
その沈殿物を塩化メチレン(0.5mL)を添加することによって再溶解する。T
LCによると、この時点で、反応は不完全であると判明したので、それを半分の
容量に濃縮し、クロロメチルメチルエーテル(47mL、0.624mM)および
ジイソプロピルエチルアミン(109mL、0.624mM)で処理する。ついで
、反応をさらに4日間進行させ、この際に反応が完全になる。その反応物を塩化
メチレン-水の間に分配させる。層を分離し、水層を塩化メチレンで再-抽出する
。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、合わせて真空下にて蒸発させる。粗製生
成物は、(20-80)アセトン-ヘキサンで溶出する、シリカゲル(10g)上の
クロマトグラフィーに付す。フラクション3mLを採取し、それらをTLCによ
って分析する。生成物はフラクション15-26に見い出され、これを合わせて
真空下にて蒸発させる際に白色物固形物としての7-(O-メトキシメチル)-13-
(N-2'-TES-β-フェニルイソセリニル)-バクカシンIII(7、76mg、72
%収率)が残る。
TLC(シリカゲル):(30-70)アセトン-ヘキサン;Rf:0.44
プロトンNMR(CDCl3;TMS);0.3-0.52(m,6H);0.74-0.85(t,9H);1.22(s,3H);1.2
6(s,3H);1.33(s,9H);1.77(s,3H);1.97(s,3H);2.21(s,3H);2.32-2.47(m,1H);2.5
3(s,3H);2.75-2.90(m,1H);3.30(s,3H);3.86-3.94(d,1H);4.10-4.20(m,1H);4.15-
4.24(d,1H);4.30-4.36(d,1H);4.56(s,1H);4.63-4.70(d,1H);4.70-4.79(d,1H);4.
92-5.02(d,1H);5.22-5.34(bd,1H);5.44-5.56(bd,1H);5.67-5.74(d,1H);6.20-6.3
0(t,1H);6.39(s,1H);7,24-7.34(m,3H);7.34-7.44(t,2H);7.45-7.55(t,2H);7.56-
7.65(t,1H);8.07-8.16(d,2H)
実施例7 7-(O-メトキシメチル)-13-(N-Boc-2'-β-フェニル イソセリ
ニル)-バクカシンIII(8)の調製
7-(O-メトキシメチル)-13-(N-Boc-2'-TES-β-フェニル イソセリニ
ル)-バクカシンIII(7、76mg、0.075mM)を、窒素下、RTにて(80-
20)HOAc-水(2mL)に溶解する。数分後に、沈殿が生じる。THF(2ml
)を添加することによってその沈殿を再溶解する。その反応物を1.5日間放置し
、幾分かのTHFを蒸発させる。この時点で、反応はTLCによって完全である
ことが判明する。ついで、その反応混合物を凍結乾燥する。粗製生成物を(30-7
0)アセトン-ヘキサンで溶出する、シリカゲル(10g)上のクロマトグラフィー
に付す。フラクション3mLを採取し、それらをTLCによって分析する。生成
物はフラクション15-29に見い出され、これらを合わせて真空下にて蒸発さ
せる際に7-(O-メトキシメチル)-13-(N-Boc-2'-β-フェニルイソセリニル)
-バクカシンIII(8、63mg、94%収率)が白色固形物として残る。
TLC(シリカゲル):(30-70)アセトン-ヘキサン;Rf:0.28
プロトンNMR(CDCl3;TMS):δ1.21(s,3H);1.23(s,3H);1.35(s,9H);1
.76(s,3H);1.90(s,3H);2.21(s,3H);2.37(s,3H);2.72-2.87(m,1H);3.29(s,3H);3.
56(bs,1H);3.80-3.90(d,1H);4.04-4.20(m,2H);4.25-4.34(d,1H);4.54-4.68(d,
1H);4.58(bs,1H);4.68-4.75(d,1H);4.87-4.96(d,1H);5.20-5.31(bd,1H);5.42-5.
56(bd,1H);5.62-5.70(d,1H);6.10-6.23(t,1H);6.36(s,1H);7.24-7.44(m,5H);7.4
4-7.54(t,2H);7.54-7.66(t,1H);8.01-8.13(d,2H)
質量分析(FAB,m/z)(M+H)+
C47H60N1O16として 測定値:894.3943;
理論値:894.3912;
894,838,613,571,553,105,57
実施例8 7-ベンジルオキシメチル-13-(N-Boc-2'-TES-β-フェニル
イソセリニル)-バクカシンIII(9)
13-(N-Boc-2'-TES-β-フェニル イソセリニル)-バクカシンIII(2、
100mg、0.104mM)を、窒素下、塩化メチレン(1mL)中、RTにて撹
拌し、その溶液をベンジルクロロメチルエーテル(104mL、0.624mM、
80%純度)およびジイソプロピルエチルアミン(109mL、0.624mM)で
処理する。その反応物を2日間放置し、その時点でそれが完全であることがTL
Cによって判明する。ついで、その反応物を塩化メチレン-水の間に分配させる
。層を分離し、その水性層を塩化メチレンで再抽出する。有機層を硫酸ナトリウ
ム上で乾燥し、合わせて真空下にて蒸発させる。粗製生成物は、(20-80)ア
セトン-ヘキサンで溶出する、シリカゲル(15g)上のクロマトグラフィーに付
す。フラクション3mLを採取し、それらをTLCによって分析する。生成物は
フラクション19-33に見い出され、これらを合わせて真空下にて蒸発させる
際に、白色固形物として7-(O-ベンジルオキシメチル)-13-(N-Boc-2'-T
ES-β-フェニル イソセリニル)-バクカシンIII(9、92mg、81%収率)が
残る。
TLC(シリカゲル):(30-70)アセトン-ヘキサン;Rf:0.50
プロトンNMR(CDCl3;TMS):δ0.3-0.53(m,6H);0.70-0.85(t,9H);1.2
2(s,3H);1.26(s,3H);1.33(s,9H);1.79(s,3H);1.95(s,3H);2.20(s,3H);2.33-2.46
(m,1H);2.51(s,3H);2.83-2.98(m,1H);3.88-3.96(d,1H);4.15-4.29(m,2H);4.30-4
.38(d,1H);4.40-4.49(d,1H);4.55(s,1H);4.64-4.74(d,1H);4.86(s,2H);
4.90-5.00(d,1H);5.21-5.34(bd,1H);5.44-5.58(bd,1H);5.67-5.76(d,1H);6.21-6
.32(t,1H);6.40(s,1H);7.20-7.44(m,5H);7.44-7.54(t,2H);7.54-7.64(t,1H);8.0
6-8.15(d,2H)
実施例9 7-(O-ベンジルオキシメチル)-13-(N-Boc-β-フェニル イソセ
リニル)-バクカシンIII(10)の調製
7-(O-ベンジルオキシメチル)-13-(N-Boc-2'-TES-β-フェニル イソ
セリニル)-バクカシンIII(9、92mg、0.085mM)を、窒素下、RTにて
(80-20)EtOAc-水(2mL)に溶解する。数分後に沈殿が生じ、THF(2
mL)を添加することによってこれを再溶解する。反応物をRTにて1.5日間、
45℃にて3日間放置する。この時点で、TLCにより反応がほぼ完全であるこ
とが判明する。ついで、反応混合物を凍結-乾燥する。粗製生成物は、(30-0)
アセトン-ヘキサンで溶出する、シリカゲル(10g)上のクロマトグラフィーに
付す。フラクション3mLを採取し、それらをTLCによって分析する。生成物
はフラクション15-26に見い出され、これらを合わせて真空下にて蒸発させ
る際に、白色固形物として7-(O-ベンジルオキシメチル)-13-(N-Boc-β-フ
ェニル イソセリニル)-バクカシンIII(10、70mg、85%収率)が残る。
TLC(シリカゲル):(30-70)アセトン-ヘキサン;Rf:0.30
プロトンNMR(CDCl3;TMS):δ1.22(s,3H);1.23(s,3H);1.35(s,9H);1
.78(s,3H);1.87(s,3H);1.95-2.10(m,1H);2.21(s,3H);2.36(s,3H);2.82-2.96(m,1
H);3.48-3.58(bd,1H);3.82-3.92(d,1H);4.13-4.24(m,2H);4.28-4.36(d,1H);4.39
-4.48(d,1H);4.64(bs,1H);4.65-4.72(d,1H);4.81-4.90(m,2H);4.90-4.98(d,1H);
5.22-5.32(bd,1H);5.42-5.54(bd,1H);5.62-5.71(d,1H);6.12-6.24(t,1H);6.37(s
,1H);7.21-7.43(m,10H);7.43-7.54(t,2H);7.55-7.65(t,1H);8.04-8.15(d,2H)
質量分析(FAB,m/z)(M+H)+
C53H64N1O16として 測定値:970.4242;
理論値:970.4225;
970,914,689,647,105,57,43
実施例9a 7-TES-バクカシンIII-(4S,5R)-N-t-ブチルウレア-2-(
2,4-ジメトキシフェニル)-4-フェニル-5-オキサゾリジンカルボン酸エステ
ル(11)の調製
粗製(4S,5R)-N-t-ブチルウレア-2-(2,4-ジメトキシフェニル)-4-フ
ェニル-5-オキサゾリジンカルボン酸メチルエステル(475mg、1.07mM
)をメタノール(10mL)に溶解し、水(0.4mL)およびK2CO3(190mg)
を添加する。一晩撹拌した後に、TLCは基底のみにスポットを示す。溶液を真
空下にて濃縮し、残渣をCH2Cl2および5%NaHSO4溶液の間に分配する。
層を分離し、水性層をEtOAcで抽出する。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウ
ムを通して濾過し、真空下にて濃縮すると、(4S,5R)-N-t-ブチルウレア-
2-(2,4-ジメトキシフェニル)-4-フェニル-5-オキサゾリジンカルボン酸が
残る。7-TES-バクカシンIII(500mg、0.71mM)をトルエン(7ml)
に溶解する。前記からのすべての(4S,5R)-N-t-ブチルウレア-2-(2,4-
ジメトキシフェニル)-4-フェニル-5-オキサゾリジン-カルボン酸をCH2Cl2
溶液に添加する。その溶液を80℃に加熱し、CH2Cl2を留去した後に、DC
C(240mg、1.15mM)およびDMAP(45mg、0.36mM)を添加す
る。0.5時間後に、TLCが出発物質をほとんど示さなければ、スラリーを冷
却する。反応物をセライト(Celite)を通して濾過し、濾液を真空下にて濃縮し
、(1:3)EtOAc:ヘキサン中のシリカゲル(80g)のカラム上のクロマトグ
ラフィーに付す。カラムを(1:3)EtOAc:ヘキサン(200ml)および(1:
2)EtOAc:ヘキサン(1L)で溶出してフラクション40mlを採取する。7-T
ES-バクカシンIII-(4S,5R)-N-t-ブチルウレア-2-(2,4-ジメトキシフ
ェニル)-4-フェニル-5-オキサゾリジンカルボン酸エステル(11、906mg
)はフラクション28-47に見い出される。
質量分析: 理論値:1111.5198;
実測値:1111.5189
プロトンNMR(CDCl3;TMS):δ0.59(m,6H);0.92(m,9H);1.20(m);1.92
(s,3H);2.13(s,3H);2.19(s,3H);2.50(m,1H);3.84(m);3.92(s,3H);4.13(d,1H);4.
26(d,1H);4.48(m,2H);4.88(d,1H);4.95(d,1H);5.55(d,1H);5.69(d,1H);6.50(m);
6.72(m);7.27-7.64(m,10H);8.06(d,2H)
実施例10 バクカシンIII-13-(4S,5R)-N-(t-ブチルアミノカルボニル)-
2-(2,4-ジメトキシフェニル)-4-フェニル-5-オキサゾリジンカルボン酸エ
ステル(12)および7-エピ-バクカシンIII-13-(4S,5R)-N-(t-ブチルア
ミノカルボニル)-2-(2,4-ジメトキシフェニル)-4-フェニル-5-オキサゾリ
ジンカルボン酸エステルの調製
バクカシンIII-13-(4S,5R)-N-(t-ブチルアミノカルボニル)-2-(2.
4-ジメトキシフェニル)-4-フェニル-5-オキサゾリジンカルボン酸エステル(
11、198mg、0.178mM)を、窒素下、乾燥THF(3mL)中、RTに
て撹拌する。その溶液に、フッ化テトラ-n-ブチルアンモニウム(56mg、0.
178mM)を添加する。反応をTLCによって追跡し、これは出発物質が45
分で消費され、2種の高極性生成物が生じていることを示す。ついで、その反応
混合物を酢酸エチル-5%重炭酸ナトリウム-ブラインの間に分配させる。水性層
を酢酸エチルで再抽出する。有機層を合わせ、硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空
下にて蒸発させる。粗製生成物は、(50-50)酢酸エチル-ヘキサンで溶出する
、シリカゲル(20g)上のクロマトグラフィーに付す。混合フラクションは再ク
ロマトグラフィーに付す。フラクション3mLを採取し、それらをTLCによっ
て分析する。バクカシンIII-13-(4S,5R)-N-(t-ブチルアミノカルボニル
)-2-(2,4-ジメトキシフェニル)-4-フェニル-5-オキサゾリジンカルボン酸
エステル(12、61mg、34%収率)は、フラクション42-56を蒸発させ
た際に白色固形物として、7-エピ-バクカシンIII-13-(4S,5R)-N-(t-ブ
チルアミノカルボニル)-2-(2,4-ジメトキシフェニル)-4-フェニル-5-オキ
サゾリジンカルボン酸エステル(68mg、38%収率)はフラクション24-3
1を蒸発させた際に白色固形物として見い出される。
7-エピ-バクカシンIII-13-(4S,5R)-N-(t-ブチルアミノカルボニル)-
2-(2,4-ジメトキシフェニル)-4-フェニル-5-オキサゾリジンカルボン酸エ
ステルに関するデータ:
TLC(シリカゲル):(50-50)酢酸エチル-ヘキサン;Rf:0.39
プロトンNMR(CDCl3;TMS):δ1.16(s,12H);1.23(s,3H);1.65(s,3H);
2.00(s,3H);2.04(s,3H);2.22(s,3H);3.65-3.74(bd,1H);3.86(s,3H);3.90(s,3H);
4.34(s,2H);4.57(s,1H);4.80-4.92(m,2H);4.94-4.98(d,1H);5.58-5.61(d,1H);5.
73-5.78(d,1H);6.23-6.33(t,1H);6.49-6.56(d,1H);6.53(s,1H);6.70(s,1H);6.86
(s,1H);7.26-7.58(m,8H);7.58-7.66(t,1H);8.01-8.09(d,2H)
バクカシンIII-13-(4S,5R)-N-(t-ブチルアミノカルボニル)-2-(2,
4-ジメトキシフェニル)-4-フェニル-5-オキサゾリジンカルボン酸エステル(
12)に関するデータ:
TLC(シリカゲル):(50-50)酢酸エチル-ヘキサン;Rf:0.24
プロトンNMR(CDCl3;TMS):δ1.16(s,12H);1.28(s,3H);1.66(s,3H);
1.90(s,3H);1.98(s,3H);2.26(s,3H);2.43-2.55(m,2H);3.73-3.81(d,1H);3.84(s,
3H);3.91(s,3H);4.11-4.16(d,1H);4.21-4.27(d,1H);4.36-4.47(m,1H);4.50(s,1H
);4.82-4.92(bd,1H);4.92-4.96(d,1H);5.50-5.55(d,1H);5.61-5.68(d,1H);6.25-
6.37(m,2H);6.47-6.55(m,2H);6.71(s,1H);7.23-7.57(m,8H);7.57-7.64(t,1H);8.
00-8.07(d,2H)
バクカシンIII-13-(4S,5R)-N-(t-ブチルアミノカルボニル)-2-(2,
4-ジメトキシフェニル)-4-フェニル-5-オキサゾリジンカルボン酸エステル(
12)の調製
バクカシンIII-13-(4S,5R)-N-(t-ブチルアミノカルボニル)-2-(2,4
-ジメトキシフェニル)-4-フェニル-5-オキサゾリジンカルボン酸エステル(1
1、3.41g、3.07mM)を、窒素下、乾燥アセトニトリル(30mL)中、
RTにて撹拌し、その溶液をトリエチルアミントリヒドロフルオリド(5mL)で
処理し、濃厚なスラリーを得て、これを7時間にわたって溶解する。反応をTL
Cに
よって追跡し、7.5時間で実質的に終了することが判明する。この時点で、反
応物を酢酸エチルで希釈し、5%重炭酸ナトリウム、5%重硫酸ナトリウムおよ
びブラインで洗浄する。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空下にて濃縮す
る。粗製生成物は、(25-75、1.5L)、(30-70、1L)および(40-60
、2L)アセトン-ヘキサンで溶出するシリカゲル(300g)上のクロマトグラフ
ィーに付す。フラクション40mLを採取し、それらをTLCによって分析する
。フラクション74-92を合わせ、真空下にて蒸発させて、バクカシンIII-1
3-(4S,5R)-N-(t-ブチルアミノカルボニル)-2-(2,4-ジメトキシフェニ
ル)-4-フェニル-5-オキサゾリジンカルボン酸エステル(12、2.26g、7
4%収率)を白色固形物として得る。
TLC(シリカゲル):(50-50)酢酸エチル-ヘキサン;Rf:0.24
プロトンNMR(CDCl3;TMS):δ1.16(s,12H);1.28(s,3H);1.66(s,3H);
1.90(s,3H);1.98(s,3H);2.26(s,3H);2.43-2.55(m,2H);3.73-3.81(d,1H);3.84(s,
3H);3.91(s,3H);4.11-4.16(d,1H);4.21-4.27(d,1H);4.36-4.47(m,1H);4.50(s,1H
);4.82-4.92(bd,1H);4.92-4.96(d,1H);5.50-5.55(d,1H);5.61-5.68(d,1H);6.25-
6.37(m,2H);6.47-6.55(m,2H);6.71(s,1H);7.23-7.57(m,8H);7.57-7.64(t,1H);8.
00-8.07(d,2H)
実施例11 7-(O-エトキシメチル)-バクカシンIII-13-(4S,5R)-N-(t
-ブチルアミノカルボニル)-2-(2,4-ジメトキシフェニル)-4-フェニル-5-オ
キサゾリジンカルボン酸エステル(13)の調製
バクカシンIII-13-(4S,5R)-N-(t-ブチルアミノカルボニル)-2-(2,
4-ジメトキシフェニル)-4-フェニル-5-オキサゾリジンカルボン酸エステル(
12、61mg、0.061mM)を窒素下、塩化メチレン(1mL)中、RTにて
撹拌する。この溶液にクロロメチルエチルエーテル(28mL、0.306mM)
およびジイソプロピルエチルアミン(53mL、0.306mM)を添加する。反
応はTLCによって追跡し、これは該反応が2日で完了することを示す。この時
点で、クロロメチルエチルエーテル(28mL、0.306mM)およびジイソプ
ロピルエチルアミン(53mL、0.306mM)を再度添加する。5日後に、反
応物を塩化メチレン-水の間に分配する。水性層を塩化メチレンで再抽出する。
有機層を合わせ、硫酸ナトリウム上で乾燥して蒸発させる。粗製生成物は、(2
0-80)から(30-70)アセトン-ヘキサンのグラジエントで溶出する、シリカ
ゲル(10g)上のクロマトグラフィーに付す。フラクション3mLを採取し、そ
れらをTLCによって分析する。フラクション35-57を合わせ、真空下にて
蒸発させて7-(O-エトキシメチル)-バクカシンIII-13-(4S,5R)-N-(t-
ブチルアミノカルボニル)-2-(2,4-ジメトキシフェニル)-4-フェニル-5-オ
キサゾリジンカルボン酸エステル(13、44mg、69%収率)を白色固形物と
して得る。
TLC(シリカゲル):(30-70)アセトン-ヘキサン;Rf:0.67
プロトンNMR(CDCl3;TMS):δ1.08-1.18(t,3H);1.18(s,9H);1.21(s,
3H);1.26(s,3H);1.74(s,3H);1.98(s,3H);2.06(s,3H);2.26(s,3H);2.74-2.88(m,1
H);3.38-3.48(m,1H);3.62-3.73(m,1H);3.82-3.94(d,1H);3.84(s,3H);3.92(s,3H)
;4.10-4.21(m,2H);4.21-4.30(d,1H);4.58(s,1H);4.74(s,2H);4.82-4.92(d,1H);4
.94-4.98(d,1H);5.55-5.59(d,1H);5.62-5.70(d,1H);6.26-6.37(t,1H);6.37(s,1H
);6.47-6.56(m,2H);6.75(s,1H);7.25-7.66(m,9H);8.02-8.11(d,2H)
実施例12 7-(O-エトキシメチル)-13-(N-(t-ブチルアミノカルボニル)-
β-フェニル イソセリニル)-バクカシンIII(14)の調製
7-(O-エトキシメチル)-バクカシンIII-13-(4S,5R)-N-(t-ブチルア
ミノカルボニル)-2-(2,4-ジメトキシフェニル)-4-フェニル-5-オキサゾリ
ジンカルボン酸エステル(13、44mg、0.042mM)を、窒素下、(80-
20)酢酸-水(2mL)中、RTにて撹拌する。反応をTLCによって追跡し、4
時間で完了することが判明する。ついで、反応物を凍結乾燥する。粗製生成物は
、(30-70)アセトン-ヘキサンで溶出する、シリカゲル(10g)上のクロマト
グラフィーによって精製する。フラクション3mLを採取し、それらをTLCに
よって分析する。生成物はフラクション17-32に見い出され、これらを合わ
せ真
空下にて蒸発させて7-(O-エトキシメチル)-13-(N-(t-ブチルアミノカルボ
ニル)-β-フェニル イソセリニル)-バクカシンIII(14、26mg、68%収率
)を白色固形物として得る。
TLC(シリカゲル):(30-70)アセトン-ヘキサン;Rf:0.39
プロトンNMR(CDCl3;TMS):δ1.09-1.17(t,3H);1.20(s,3H);1.21(s,
3H);1.23(s,9H);1.75(s,3H);1.87(s,3H);1.88-2.01(t,1H);2.20(s,3H);2.23-2.3
2(d,2H);2.39(s,3H);2.75-2.88(m,1H);3.34-3.45(m,1H);3.58-3.70(m,1H);3.81(
s,1H);3.81-3.87(d,1H);4.05-4.15(dd,1H);4.15-4.20(d,1H);4.27-4.31(d,1H);4
.59-4.65(m,2H);4.72(s,2H);4.89-4.97(d,1H);5.17-5.22(d,1H);5.30-5.36(dd,1
H);5.63-5.70(d,1H);6.09-6.19(t,1H);6.33(s,1H);7.27-7.41(m,5H);7.43-7.54(
t,2H);7.57-7.65(t,1H);8.06-8.12(d,2H)
質量分析(FAB,m/z)(M+H)+
C48H62N2O15として 測定値:907.4240;
理論値:907.4228;
907,627,567,281,263,235,205,136,105,59,43
実施例17 7-[O-(2,2,2-トリクロロエトキシ)メチル]-13-(N-Boc-β
-フェニル イソセリニル)-バクカシンIII(21)および7-[O-(2,2,2-トリク
ロロエトキシ)メトキシメチル]-13-(N-Boc-β-フェニル イソセリニル)-バ
クカシンIII(22)の調製
13-(N-Boc-2'-TES-β-フェニル イソセリニル)-バクカシンIII(2、
95mg、0.099mM)を、窒素下、塩化メチレン(1mL)中、RTにて撹拌
し、その溶液をクロロメチル-(2,2,2-トリクロロエチル)エーテルおよびクロ
ロメチル-(2,2,2-トリクロロエトキシ)メチルエーテルの(1-1)-混合物(9
8mL)ならびにジイソプロピルエチルアミン(109mL、0.624mM)で処理
する。反応をTLCによって追跡し、それは反応が22日後に完全でないことを
示す。かくして、さらなるクロロメチル-(2,2,2-トリクロロエチル)エーテル
およびクロロメチル-(2,2,2-トリクロロエトキシ)メチルエーテルの(1-1)-
混
合物(98mL)ならびに1,2-ジクロロエタン(1mL)を添加する。ついで、反
応物を75℃にて8時間加熱し、RTにて16時間放置して4日間サイクルさせ
る。ついで、その反応物を75℃に24時間連続して加熱する。ついで、反応混
合物は、(25-75)アセトン-ヘキサンで溶出する、シリカゲル(15g)上のク
ロマトグラフィーに付す。3mLフラクションを採取し、それらをTLCによっ
て分析すると、それは4種の化合物が存在することを示す。2種の低極性化合物
はフラクション10-13に見い出され、2種の高極性化合物はフラクション1
4-33に見い出される。フラクション10-13を蒸発させると残渣が残り、こ
れを(80-20)酢酸-水(3mL)で処理する。ついで、この反応物を凍結乾燥す
る。TLCは、この反応の生成物が前記のフラクション14-33に見い出され
た生成物と同一物であることを示す。かくして、残渣を合わせ、(20-80)か
ら(40-60)酢酸エチル-ヘキサンのグラジエントで溶出するE.Merck size
A HPLCシリカゲルカラム上のクロマトグラフィーに付す。7-[O-(2,2,
2-トリクロロエトキシ)メチル]-13-(N-Boc-β-フェニル イソセリニル)-バ
クカシンIII(21、23mg、23%収率)は、フラクション52-66を蒸発さ
せた際に白色固形物として見い出され、7-[O-(2,2,2-トリクロロエトキシ)
メトキシメチル]-13-(N-Boc-β-フェニル イソセリニル)-バクカシンIII(2
2、23mg、22%収率)はフラクション68-88を蒸発させた際に白色固形
物として見い出される。
7-[O-(2,2,2-トリクロロエトキシ)メチル]-13-(N-Boc-β-フェニル
イソセリニル)-バクカシンIII(21)に関するデータ:
TLC(シリカゲル):(25-75)酢酸エチル-ヘキサン;Rf:0.25
プロトンNMR(CDCl3;TMS):δ1.20(s,3H);1.24(s,3H);1.35(s,9H);1
.76(s,3H);1.87(s,3H);1.92-2.03(t,1H);2.22(s,3H);2.26-2.34(d,2H);2.37(s,3
H);2.85-2.99(m,1H);3.37-3.53(bs,1H);3.80-3.89(d,1H);3.97-4.06(d,1H);4.12
-4.25(m,3H);4.27-4.34(d,1H);4.63(bs,1H);4.87-5.03(m,3H);5,18-5.30(bd,1H)
;5.37-5.47(bd,1H);5.61-5.70(d,1H);6.12-6.23(t,1H);6.32(t,1H);7.27-7.45(m
,5H);7.45-7.54(t,2H);7.57-7.65(t,1H);8.05-8.15(d,2H)
質量分析(FAB,m/z)(M+H)+
C48H62N1O16として 測定値:908.4089
理論値:908.4068
908,627,585,105,59,57
7-[O-(2,2,2-トリクロロエトキシ)メトキシメチル]-13-(N-Boc-β-
フェニル イソセリニル)-バクカシンIII(22)に関するデータ:
TLC(シリカゲル):(25-75)酢酸エチル-ヘキサン;Rf:0.17
プロトンNMR(CDCl3;TMS):δ1.22(s,6H);1.35(s,9H);1.75(s,3H);1
.91(s,3H);2.21(s,3H);2.25-2.32(d,2H);2.37(s,3H);2.69-2.82(m,1H);3.35-3.4
8(bs,1H);3.80-3.86(d,1H);4.13-4.26(m,4H);4.26-4.34(d,1H);4.63(bs,1H);4.7
3-4.80(d,1H);4.83-5.04(m,4H);5.21-5.32(d,1H);5.40-5.47(d,1H);5.64-5.70(d
,1H);6.14-6.24(t,1H);6.39(s,1H);7.30-7.45(m,5H);7.45-7.57(t,2H);7.57-7.6
6(t,1H);8.07-8.15(d,2H)
質量分析(FAB,m/z)(M+H)+
C48H62N1O16として 実測値:908.4089
理論値:908.4068
908,627,585,105,59,57
実施例21 7-(O-メトキシメチル)-バクカシンIII-13-(4S,5R)-N-(t
-ブチルアミノカルボニル)-2-(2,4-ジメトキシフェニル)-4-フェニル-5-オ
キサゾリジンカルボン酸エステル(26)の調製
バクカシンIII-13-(4S,5R)-N-(t-ブチルアミノカルボニル)-2-(2,4
-ジメトキシフェニル)-4-フェニル-5-オキサゾリジンカルボン酸エステル(1
2、610mg、0.612mM)を窒素下、塩化メチレン(3mL)中、RTにて
撹拌し、その溶液をクロロメチルメチルエーテル(232mL、3.06mM)お
よびジイソプロピルエチルアミン(530mL、3.06mM)で処理する。その
反応
をTLCによって追跡する。24時間後に、その反応が完全であることが判明す
る。ついで、その反応物を塩化メチレンで希釈し、5%重硫酸ナトリウムおよび
5%重炭酸ナトリウムで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下にて蒸発する
。粗製生成物は、(25-75)から(30-70)アセトン-ヘキサンのグラジエン
トで溶出する、シリカゲル(70g)上のクロマトグラフィーに付す。フラクショ
ン20mLを採取し、それらをTLCによって分析する。7-(O-メトキシメチル
)-バクカシンIII-13-(4S,5R)-N-(t-ブチルアミノカルボニル)-2-(2,
4-ジメトキシフェニル)-4-フェニル-5-オキサゾリジンカルボン酸エステル(
低極性異性体26a、532mg、84%収率)はフラクション31-47を蒸発
させる際に白色固形物として、メトキシメチル-バクカシンIII-13-(4S,5R
)-N-(t-ブチルアミノカルボニル)-2-(2,4-ジメトキシフェニル)-4-フェニ
ル-5-オキサゾリジンカルボン酸エステル(高極性異性体26b、62mg、1
0%収率)はフラクション48-57を蒸発させる際に白色固形物として見い出さ
れる。
7-(O-メトキシメチル)-バクカシンIII-13-(4S,5R)-N-(t-ブチルア
ミノカルボニル)-2-(2,4-ジメトキシフェニル)-4-フェニル-5-オキサゾリ
ジンカルボン酸エステル(26a)に関するデータ:
TLC(シリカゲル):(30-70)アセトン-ヘキサン;Rf:0.42
プロトンNMR(CDCl3;TMS):δ1.17(s,12H);1.23(s,3H);1.75(s,3H);
1.93(s,3H);2.07(s,3H);2.21(s,3H);2.66-2.83(m,1H);3.29(s,3H);3.78-3.90(m,
1H);3.82(s,3H);3.91(s,3H);4.06-4.30(m,3H);4.56-4.76(m,3H);4.81-4.91(d,1H
);4.97(s,1H);5.58(s,1H);5.62-5.70(d,1H);6.24-6.36(t,1H);6.39(s,1H);6.45-
6.57(m,2H);6.75(s,1H);7.24-7.64(m,9H);7.96-8.08(d,2H)
7-(O-メトキシメチル)-バクカシンIII-13-(4S,5R)-N-(t-ブチルア
ミノカルボニル)-2-(2,4-ジメトキシフェニル)-4-フェニル-5-オキサゾリ
ジンカルボン酸エステル(26b)に関するデータ:
TLC(シリカゲル):(30-70)アセトン-ヘキサン;Rf:0.35
プロトンNMR(CDCl3;TMS):δ0.96(s,9H);1.16(s,3H);1.20(s,3H);
1.66(s,3H);1.70(s,3H);1.81(s,3H);2.20(s,3H);2.67-2.82(m,1H);3.28(s,3H);3
.72-3.78(d,1H);3.82(s,3H);3.90(s,3H);4.03-4.17(m,2H);4.20-4.25(d,1H);4.5
0-4.54(d,1H);4.58-4.65(d,1H);4.65-4.70(d,1H);4.80-4.88(d,1H);5.40-5.46(d
,1H);5.58-5.64(d,1H);6.03-6.13(t,1H);6.27(s,1H);6.48-6.58(m,2H);6.73(s,1
H);7.33-7.58(m,8H);7.58-7.65(t,1H);7.99-8.05(d,2H)
実施例22 7-(O-メトキシメチル)-13-(N-(t-ブチルアミノカルボニル)-
β-フェニル イソセリニル)-バクカシンIII(27)の調製
7-(O-メトキシメチル)-バクカシンIII-13-(4S,5R)-N-(t-ブチルア
ミノカルボニル)-2-(2,4-ジメトキシフェニル)-4-フェニル-5-オキサゾリ
ジンカルボン酸エステル(594mg、実施例21からの26aおよび26b、
0.57mM)を、窒素下、(80-20)酢酸-水(25mL)中、RTにて撹拌する
。反応をTLCによって追跡すると、4時間で完了することが判明する。ついで
、その反応物を凍結乾燥する。粗製残渣は、(35-65)アセトン-ヘキサンで溶
出する、シリカゲルカラム(60g)上で精製する。フラクション15mLを採取
し、それらをTLCによって分析する。生成物はフラクション27-45に見い
出され、これらを合わせ真空下にて蒸発させて、7-(O-メトキシメチル)-13-
(N-(t-ブチルアミノカルボニル)-β-フェニルイソセリニル)-バクカシンIII(
27、385mg、75%収率)を白色固形物として得る。
TLC(シリカゲル):(30-70)アセトン-ヘキサン;Rf:0.23
プロトンNMR(CDCl3;TMS):δ1.22(s,3H);1.24(s,12H);1.76(s,3H);
1.89(s,3H);2.20(s,3H);2.25-2.34(d,2H);2.40(s,3H);2.72-2.86(m,1H);3.29(s,
2H);3.68(bs,1H);3.81-3.88(d,1H);4.07-4.15(dd,1H);4.15-4.22(d,1H);4.26-4.
34(d,1H);4.55(bs,1H);4.60-4.74(m,3H);4.89-4.96(d,1H);5.06-5.16(bd,1H);5.
30-5.37(dd,1H);5.64-5.70(d,1H);6.10-6.20(t,1H);6.36(s,1H);7.27-7.40(m,5H
);7.45-7.55(t,2H);7.58-7.66(t,1H);8.06-8.14(d,2H)
質量分析(FAB,m/z)(M+H)+
C47H61N2O15として 測定値:893.4095
理論値:893.4072;
969,893,613,281,263,235,205,136,105
実施例35 2'-TES-7-(O-メチルチオメチル)タキソール(41)の調製
2'-TES-タキソール(40、100mg、0.103mM)を、窒素下、乾燥
アセトニトリル0.4mL中、0℃にて撹拌し、その溶液をジメチルスルフィド(
58mL)および過酸化ベンゾイル(25mg)で5分間隔で4回処理する。その
反応を0℃にて3時間進行させる。ついで、それを酢酸エチルで希釈し、5%重
炭酸ナトリウムで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空下にて蒸発させる。
粗製生成物は、(30-70)酢酸エチル-ヘキサンで溶出する、シリカゲル(10g
)上のクロマトグラフィーに付す。3mLフラクションを採取し、それらをTL
Cによって分析する。フラクション24-46に純粋な生成物が含まれ、これら
を合わせて蒸発させると、2'-TES-7-メチルチオメチルタキソール(41、5
4mg、51%)が白色固形物として残る。
TLC(シリカゲル):(30-70)酢酸エチル-ヘキサン;Rf:0.31
プロトンNMR(CDCl3;TMS):δ0.34-0.58(m,6H);0.77-0.85(t,9H);1.
26(s,3H);1.27(s,3H);1.78(s,3H)1.80-1.94(m,2H);2.08(s,3H);2.12(s,3H);2.19
(s,3H);2.35-2.50(m,1H);2.56(s,3H);2.76-2.90(m,1H);3.86-3.96(d,1H);4.18-4
.39(2d+1m,3H);4.68(s,2H);4.70-4.75(d,1H);4.93-5.03(d,1H),5.68-5.79(m,2H)
;6.20-6.32(t,1H);6.58(s,1H);7.13-7.23(d,1H);7.30-7.60(m,10H);7.71-7.80(d
,2H);7.90-7.97(d,1H);8.06-8.17(d,2H)
実施例36 7-(O-メチルチオメチル)タキソール(42)の調製
2'-TES-7-(O-メチルチオメチル)タキソール(41、54mg、0.05
3mM)を、窒素下、(80-20)酢酸-水(6mL)中、RTにて3時間撹拌し、
その時点にTLCによってそれが完全であると判明する。粗製生成物は、50-
50酢酸エチル-ヘキサンで溶出する5gシリカゲル上のクロマトグラフィーに
付す。フラクション1mLを採取し、それらをTLCによって分析する。フラク
ション11-35には純粋な生成物が含まれ、これらを合わせて蒸発させると、
7-(O-メチルチオメチル)タキソール(42、42mg、88%収率)が白色固形
物として残る。
TLC(シリカゲル):(40-60)酢酸エチル-ヘキサン;Rf:0,23
プロトンNMR(CDCl3;TMS):δ1.10(s,3H);1.14(s,3H);1.68(s,3H);1
.85(s,3H);2.04(s,3H);2.11(s,3H);2.20-2.28(d,2H);2.30(s,3H);2.64-2.80(m,1
H);3.74-3.82(d,1H);4.07-4.15(d,1H);4.15-4.30(d+m,2H);4.58(s,2H);4.70-4.7
5(d,1H);4.82-4.92(d,1H);5.55-5.64(d,1H);5.68-5.76(d,1H);6.04-6.15(t,1H);
6.44(s,1H);6.99-7.09(d,1H);7.23-7.49(m,10H);7.64-7.74(d,2H);8.00-8.08(d,
2H)
質量分析(FAB,m/z)(M+H)+
C49H56N1O14S1として 測定値:914.3429
理論値:914.3421;
990,914,836,629,286,268,240,210,121,105,
61,43
実施例37 7-(O-メチルチオメチル)-13-(N-Boc-2'-TES-β-フェニ
ル イソセリニル)-バクカシンIII(43)の調製
13-(N-Boc-2'-TES-β-フェニルイソセリニル)-バクカシンIII(2、2
87mg、0.298mM)を、窒素下、乾燥アセトニトリル(1.2mL)中、0
℃にて撹拌し、その溶液をジメチルスルフィド(170mL)および過酸化ベンゾ
イル(73mg)で5分間隔で4回処理する。反応を0℃にて4時間進行させ、そ
の時点でTLCはそれが完全であることを示す。ついで、それを酢酸エチルで希
釈し、5%重炭酸ナトリウム-ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、
真空下にて蒸発させる。粗製生成物は、(30-70)酢酸エチル-ヘキサンで溶出
する、シリカゲル(35g)上のクロマトグラフィーに付す。フラクション4mL
を採取し、それらをTLCによって分析する。フラクション26-51には純粋
な生成物が含まれ、これらを合わせて蒸発させると、7-(O-メチルチオメチル)
-
13-(N-Boc-2'-TES-β-フェニルイソセリニル)-バクカシンIII(43、2
73mg、90%収率)が白色固形物として残る。
TLC(シリカゲル):(30-70)酢酸エチル-ヘキサン;Rf:0.46
プロトンNMR(CDCl3;TMS)δ0.30-0.49(m,6H);0.71-0.84(t,9H);1.26
(s,3H);1.32(s,9H);1.77(s,3H);1.80-1.93(t,2H);2.05(s,3H);2.12(s,3H);2.15(
s,3H);2.19(s,3H);2.33-2.44(m,1H);2.53(s,3H);2.78-2.89(m,1H);3.87-3.95(d,
1H);4.16-4.23(d,H);4.25-4.35(d+m,2H);4.57(s,1H);4.67(s,1H);4.93-5.01(d,1
H);5.23-5.35(bs,1H);5.46-5.56(d,1H);5.67-5.75(d,1H);6.23-6.32(t,1H);6.57
(s,1H);7.23-7.33(m,3H);7.33-7.41(t,2H);7.43-7.53(t,2H);7.53-7.63(t,1H);8
.06-8.14(d,2H)
実施例38 7-(O-メチルチオメチル)-13-(N-Boc-β-フェニルイソセリニ
ル)-バクカシンIII(44)の調製
7-(O-メチルチオメチル)-13-(N-Boc-2'-TES-β-フェニルイソセリ
ニル)-バクカシンIII(43、273mg、0.267mM)を、窒素下、(80-2
0)酢酸-水(30mL)中、RTにて4.5時間撹拌し、その時点でTLCによっ
てそれが完全でないことが判明する。ついで、反応物を凍結乾燥する。粗製生成
物は、(70-30)酢酸エチル-ヘキサンで溶出する、シリカゲル(30g)上のク
ロマトグラフィーに付す。フラクション4mLを採取し、それらをTLCによっ
て分析する。フラクション15-25には純粋な生成物が含まれ、これらを合わ
せ蒸発させると、7-(O-メチルチオメチル)-13-(N-Boc-β-フェニル イソ
セリニル)-バクカシンIII(44、225mg、93%収率)が白色固形物として
残る。
TLC(シリカゲル):(30-70)酢酸エチル-ヘキサン;Rf:0.26
プロトンNMR(CDCl3;TMS);δ1.20(s,3H);1.34(s,9H);1.75(s,3H);1
.79-1.96(m,2H);1.89(s,3H);2.11(s,3H);2.14(s,3H);2.18(s,3H);2.23-2.32(d,2
H);2.36(s,3H);2.73-2.85(m,1H);3.54-3.63(d,1H);3.83-3.91(d,1H);4.13-4.21(
d,1H);4.25-4.34(d+m,2H);4.55-4.70(m,3H);4.90-4.98(d,1H);5.20-5.32(bd,1H)
;5.44-5.56(bd,1H);5.64-5.72(d,1H);6.14-6.24(t,1H);6.54(s,1H);
7.24-7.44(m,5H);7.44-7.53(t,2H);7.54-7.64(t,1H);8.04-8.14(d,2H)
質量分析(FAB,m/z)(M+H)+
C47H60N1O15S1として 測定値:910.3697;
理論値:910.3683;
910,629,587,569,105,61,57,43
実施例39 2'-TES-7-(O-フェニルチオメチル)タキソール(45)の調製
2'-TES-タキソール(40、104mg、0.107mM)を、窒素下、乾燥
アセトニトリル(0.4mL)中、0℃にて撹拌し、その溶液をチオアニゾール(9
7mL)および過酸化ベンゾイル(25mg)で5分間隔で4回処理する。反応を
0℃にて5時間、冷蔵庫中にて一晩進行させ、その時点でこれが完了したことが
示される。ついで、それを酢酸エチルで希釈し、5%重炭酸ナトリウムで洗浄し
、硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空下にて蒸発させる。その粗製生成物は、(3
0-70)酢酸エチル-ヘキサンで溶出する、シリカゲル(12g)上のクロマトグ
ラフィーに付す。フラクション4mLを採取し、それらをTLCによって分析す
る。フラクション18-43には純粋な生成物が含まれ、これらを合わせ蒸発さ
せると、2'-TES-7-(O-フェニルチオメチル)タキソール(45、91mg、
78%収率)が白色固形物として残る。
TLC(シリカゲル):(30-70)酢酸エチル-ヘキサン;Rf:0.47
プロトンNMR(CDCl3;TMS):δ0.37-0.59(m,6H);0.78-0.90(t,9H);0.
88(s,3H);1.16(s,3H);1.79(s,3H);1.95(s,3H);2.09(s,3H);2.35-2.48(m,1H);2.5
6(s,3H);2.74-2.87(m,1H);3.89-3.97(d,1H);4.20-4.28(d,1H);4.30-4.44(m,2H);
4.70-4.75(d,1H);4.90-4.99(d,1H);5.05(s,2H);5.69-5.76(m,2H);6.18-6.30(t,1
H);6.52(s,1H);7.11-7.63(m,16H);7.72-7.80(d,2H);8.07-8.17(d,2H)
実施例40 7-(O-フェニルチオメチル)タキソール(46)の調製
2'-TES-7-(O-フェニルチオメチル)タキソール(45、91mg)を、窒
素下、(80-20)酢酸-水(10mL)中、RTにて2時間撹拌し、その時点で
TLCによってそれが完全であることが判明する。ついで、反応物を凍結乾燥す
る。粗製生成物は、(70-30)酢酸エチル-ヘキサンで溶出する、シリカゲル(
10g)上のクロマトグラフィーに付す。フラクション3mLを採取し、それら
をTLCによって分析する。フラクション10-33に純粋な生成物が含まれ、
これらを合わせ蒸発させると、7-フェニルチオメチルタキソール(46、62mg、
77%)が白色固形物として残る。
TLC(シリカゲル):(40-60)酢酸エチル-ヘキサン;Rf:0.26
プロトンNMR(CDCl2;TMS):δ1.06(s,3H);1.11(s,3H);1.69(s,3H);1.
86(s,3H);1.89(s,3H);2.18-2.27(d,2H);2.30(s,3H);2.60-2.76(m,1H);3.74-3.83
(d,1H);4.07-4.14(d,1H);4.16-4.30(m,2H);4.69-4.74(d,1H);4.77-4.86(d,1H);4
.95(s,2H);5.55-5.64(d,1H);5.68-5.76(dd,1H);6.04-6.14(t,1H);6.36(s.1H);7.
04-7.14(t,2H);7.14-7.47(m,14H);7.47-7.56(t,1H);7.62-7.70(d,2H);7.97-8.07
(d,2H)
質量分析(FAB,m/z)(M+H)+
C54H58O14N1S1として 測定値:976.3557;
理論値:976.3578;
1052,976,836,691,286,268,240,210,123,105,77,43
実施例41 7-O-メチルタキソール(47)の調製
7-(O-フェニルチオメチル)タキソール(46、50mg、0.051mM)を
、窒素下、濃EtOH2mL中、0℃にて撹拌し、その溶液を濃EtOH1mL
中のラネイニッケル(Raney Nickel)(ラネイ・ニッケルは使用する前に水(5×
)、アセトンおよびエタノールで洗浄する)で処理する。数分後に反応物をRTに
温める。反応はTLCによって追跡する。40分後に、反応物をセライトを通し
て濾過し、濃EtOHでよく洗浄する。濾液および洗液を合わせ、真空下にて蒸
発させる。粗製生成物は、(30-70)から(70-30)酢酸エチル-ヘキサンの
グラジエントで溶出する、シリカゲル(5g)上のクロマトグラフィーに付す。フ
ラクション1mLを採取し、それらをTLCによって分析する。フラクション5
5-
78には不純物が含まれ、これらを合わせて真空下にて蒸発させる。不純物を、
(35-65)アセトン-ヘキサンを溶出液として用いる、HPLCグレードのシリ
カゲル上の再クロマトグラフィーに付し、7-OMeタキソール(47、13mg
、30%収率)を白色固形物として得る。
TLC(シリカゲル):(35-65)酢酸エチル-ヘキサン;Rf:0.44
プロトンNMR(CDCl3,TMS):δ1.20(s,6H);1.68(s,3H);1.82(s,3H);2.
22(s,3H);2.25-2.34(dd,2H);2.38(s,3H);2.64-2.80(m,1H);3.34(s,3H);3.63-3.7
4(d,1H);3.74-3.91(m,2H);4.12-4.22(d,1H);4.25-4.34(d,1H);4.74-4.84(bs,1H)
;4.90-5.01(d,1H);5.60-5.70(d,1H);5.74-5.84(dd,1H);6.12-6.24(t,1H);6.39(s
,1H);7.06-7.14(d,1H);7.30-7.56(m,10H);7.56-7.66(t,1H);7.21-7.32(d,2H);8.
04-8.16(d,2H)
質量分析(FAB,m/z)(M+H)+
C48H54O14N1として 測定値:868.3534;
理論値:868.3544;
868,583,286,268,240,210,121,105,43
実施例42 7-[O-エチル(1-チオエチル)]タキソール(49)の調製
2'-TES-タキソール(40、200mg、0.207mM)を、窒素下、乾燥
アセトニトリル(0.8mL)中、0℃にて撹拌し、その溶液をジエチルスルフィ
ド(0.178mL)および過酸化ベンゾイル(50mg)で5分間隔で4回処理す
る。反応は、TLCによって追跡しつつ、0℃にて3時間、フリーザー中にて5
時間、冷蔵庫中にて一晩進行させる。ついで、反応物を酢酸エチルで希釈し、5
%重炭酸ナトリウムで洗浄する。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空下に
て蒸発させる。得られた粗製生成物は、(30-70)から(90-10)酢酸エチル-
ヘキサンのグラジエントで溶出する、シリカゲル(25g)上のクロマトグラフィ
ーに付す。フラクション5mLを採取し、それらをTLCによって分析する。2
'-TES-7-エチルチオエチルタキソール(48)を含むフラクションを合わせ、
真空下にて蒸発させる。不純生成物を、窒素下、(80-20)EtOAc-水(3mL
)
中、RTにて撹拌し、反応はTLCによって追跡すると、2時間後にそれが完全
であることが判明する。ついで、反応物を凍結乾燥する。生成物は、(45-55
)酢酸エチル-ヘキサンで溶出する、HPLCグレードのシリカゲル上のクロマト
グラフィーに付す。これはいまだ不純物であるため、(30-70)から(40-60
)酢酸エチル-トルエンのグラジエントを用いて再クロマトグラフィーに付す。こ
れにより、7-[O-エチル(1-チオエチル)]タキソール(49、17mg)を白色
固形物として得る。
TLC(シリカゲル):(50-50)酢酸エチル-ヘキサン;Rf:0.50
プロトンNMR(CDCl3;TMS):δ1.12-1.32(2s+1t,9H);1.50-1.56(d,3H);1
.67-1.84(m,5H);1.92(s,3H);2.18(s,3H);2.38(s,3H)2.54-2.70(m,1H);2.70-2.84
(m,1H);3.68-3.74(d,1H);3.82-3.90(d,1H);4.13-4.23(d,1H);4.26-4.35(d,1H);4
.50-4.60(dd,1H);4.64-4.74(q,1H);4.80(bs,1H);4.92-5.01(d,1H);5.62-5.70(d,
1H);5.75-5.84(dd,1H);6.13-6.24(t,1H);6.55(s,1H);7.05-7.14(d,1H);7.30-7.5
7(m,10H);7.57-7.66(t,1H);7.72-7.78(d,2H);8.07-8.16(d,2H)
質量分析(FAB,m/z)(M+H)+
C51H60O14N1S1として 測定値:942.3713;
理論値:942.3734;
942,880,854,836,286,268,240,210,122,105,89,77,43
実施例44 13-(N-Cbz-2'-TES-b-フェニル イソセリニル)-バクカシ
ンIII(51)の調製
この物質は、実施例1における、13-(N-Boc-2'-TES-b-フェニル イ
ソセリニル)-バクカシンIIIを13-(N-Boc-b-フェニル イソセリニル)-バク
カシンIIIを13-(N-Boc-2'-TES-b-フェニル イソセリニル)-バクカシン
IIIから調製するごとく、13-(N-Cbz-b-フェニル イソセリニル)-バクカシ
ンIII(50、(出典明示して本明細書の一部とみなす)1993年12月13日に出願され、
1994年6月23日に国際公開番号WO 94/13655号で公開された、米国出願番号PC
T/US93/11827号)から調製する。
実施例45 13-(2'-TES-b-フェニル イソセリニル)-バクカシンIII(5
2)の調製
13-(N-Cbz-2'-TES-b-フェニル イソセリニル)-バクカシンIII(51
、217mg、0.217mM)を、窒素下、乾燥THF2mL-メタノール3m
L中、RTにて撹拌する。その溶液に、ギ酸アンモニウム100mgおよび10
%Pd/C60mgを添加する。反応を30分進行させ、その時点でTLCは反
応が完全であることを示す。酢酸エチルで洗浄しつつ、反応物をセライトを通し
て濾過する。濾液および洗液を合わせ、5%重炭酸ナトリウムで洗浄し、硫酸ナ
トリウム上で乾燥し、真空下にて蒸発させる。その残渣をトルエンで2回、酢酸
エチル-ヘキサンで再蒸発させて、13-(2'-TES-b-フェニル イソセリニル
)-バクカシンIII(52、186mg)を白色固形物として得る。
TLC:シリカゲル;50-50酢酸エチル−ヘキサン:Rf:0.36
1H NMR(CDCL3;TMS):d0.43-0.57(m,6H),0.78-0.92(t,9H);1.03-(s
,3H);1.14(s,3H);1.54(s,3H);1.73(s,3H);2.08(s,3H);2.21(s,3H);2.38-2.52(m,
1H);3.61-3.69(d,1H);4.01-4.12(2d,2H);4.13-4.24(2d,2H);4.24-4.35(dd,1H);4
.81-4.89(d,1H);5.49-5.56(d,1H);5.93-6.05(t,1H);6.18(s,1H);7.03-7.30(m,5H
);7.40-7.50(t,2H);7.54-7.63(t,1H);7.90-7.98(d,2H)
実施例46 13-(N-(t-ブチルアミノカルボニル)-2'-TES-b-フェニル
イソセリニル)-バクカシンIII(53)の調製
13-(2'-TES-b-フェニル イソセリニル)-バクカシンIII(52、186m
g、0.215mM)を、窒素下、乾燥THF2mL中、0℃にて撹拌する。シリ
ンジによって、これにt-ブチル イソシアネート(0.03mL)を添加する。5
分後に、反応物をRTに温め、TLCによって反応を追跡する。2時間後に、さ
らなるt-ブチル イソシアネート(0.01mL)を添加する。合計反応時間4.5
時間後に、TLCによって反応が実質的に完了したことが判明する。反応物を真
空下にて蒸発させ、粗製残渣を、40-60酢酸エチル-ヘキサンで溶出する、シ
リカゲル20g上のクロマトグラフィーに付す。フラクション2mLを採取し、
それ
らをTLCによって分析する。フラクション20-72には純粋な生成物が含ま
れ、これらを合わせ真空下にて蒸発させて、13-(N-(t-ブチルアミノカルボ
ニル)-2'-TES-b-フェニル イソセリニル)-バクカシンIII(53、193m
g)を白色固形物として得る。
TLC:シリカゲル;50-50酢酸エチル-ヘキサン;Rf:0.61;
1H NMR(CDCL3;TMS)δ0.14-0.38(m,6H);0.64-0.74(t,9H);1.08(s,3H);1.15
(s,9H);1.20(s,3H);1.63(s,3H);1.86(s,3H);2.16(s,3H);2.52(s,3H);2.60-2.66(
d,1H);3.72-3.79(d,1H);4.11-4.18(d,1H);4.20-4.28(d,1H);4.28-4.38(m,1H);4.
46-4.50(d,1H);4.88-4.96(m,2H);5.10-5.18(d,1H);5.22-5.30(d,1H);5.58-5.64(
d,1H);6.12-6.24(t,1H);6.26(s,3H),7.15-7.33(m,5H);7.36-7.66(t,2H);7.47-7.
55(t,1H);7.99-8.06(d,2H)
実施例47 13-(N-(t-ブチルアミノカルボニル)-2'-TES-b-フェニル
イソセリニル)-バクカシンIII 7-O-メチルチオメチルエーテル(54)の調製
13-(N-(t-ブチルアミノカルボニル)-2'-TES-b-フェニル イソセリニ
ル)-バクカシンIII(53、193mg、0.203mM)を、窒素下、アセトニト
リル2mL中、0℃にて撹拌する。シリンジによって、これにジメチルスルフィ
ド(0.115mL)を、つづいて過酸化ベンゾイル(50mg部)を5分間隔で4
回添加する。30分後にすべての物質が溶液となり、TLCによれば2時間後に
反応が完了する。反応物を酢酸エチル-5%重炭酸ナトリウムの間に分配させる
。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空下にて蒸発させる。粗製生成物は、
30-70酢酸エチル-ヘキサンで溶出する、シリカゲル20g上のクロマトグラ
フィーに付す。フラクション2mLを採取し、それらをTLCによって分析する
。フラクション25-61に純粋な生成物が含まれ、これらを合わせ真空下にて
蒸発させて、13-(N-t-ブチルアミノ-カルボニル)-2'-TES-b-フェニル
イソセリニル)-バクカシンIII 7-O-メチルチオメチルエーテル(54、178
mg)を白色固形物として得る。
TLC:シリカゲル;50-50酢酸エチル-ヘキサン;Rf:0.34
1H NMR(CDCL3,TMS):d0.14-0.40(m,6H);0.64-0.76(t,9H);1.16(s,3H);1.1
7(s,12H);1.70(s,3H);1.74-1.88(m,1H);2.00(s,3H);2.03(s,3H);2.11(s,3H);2.1
4-2.24(m,1H);2.30-2.44(m,1H);2.54(s,3H);2.71-2.86(m,1H);3.79-3.88(d,1H);
4.10-4.23(m,2H);4.23-4.29(d,1H);4.47-4.51(d,1H);4.54-4.61(d,1H);4.87-4.9
5(d+s,2H);5.12-5.20(d,1H);5.24-5.30(d,1H);5.60-5.68(d,1H);6.09-6.21(t,1H
);6.49(s,1H);7.17-7.34(m,5H);7.38-7.46(t,2H);7.48-7.56(t,1H);7.99-8.08(d
,2H)
実施例48 13-(N-(t-ブチルアミノカルボニル)-b-フェニル イソセリニ
ル)-バクカシンIII 7-O-メチルチオメチルエーテル(55)の調製
13-(N-(t-ブチルアミノカルボニル)-2'-TES-b-フェニル イソセリニ
ル)-バクカシンIII 7-O-メチルチオメチルエーテル(54、178mg、0.1
74mM)を、窒素下、80-20酢酸-水25mL中、RTにて撹拌する。5分
後にTLCは反応が完了していることを示す。反応物を一晩凍結乾燥する。粗製
生成物は、50-50酢酸エチル-ヘキサンで溶出する、シリカゲル20g上のク
ロマトグラフィーに付す。3mLフラクションを採取し、それらをTLCによっ
て分析する。フラクション30-60が、白色固形物として13-(N-(t-ブチル
アミノカルボニル)-b-フェニル イソセリニル)-バクカシンIII 7-O-メチルチ
オメチルエーテル(55)を含んでいることが判明する。
TLC:シリカゲル;50-50酢酸エチル-ヘキサン;Rf:0.47
1H NMR(CDCL3;TMS)d1.20(s,3H);1.24(s,12H);1.71(s,3H);2.00(s
,3H);2.12(s,3H);2.20(s,3H);2.27-2.35(d,2H);2.40(s,3H);2.74-2.88(m,1H);3.
72-3.79(d,1H);3.84-3.90(d,1H);4.15-4.22(d,1H);4.26-4.35(m,2H);4.54(s,1H)
;4.61-4.70(m,2H);4.93-4.99(d,1H);5.10-5.16(d,1H);5.33-5.40(dd,1H);5.67-5
.74(d,1H);6.10-6.21(t,1H);6.54(s,1H);7.28-7.42(m,5H);7.45-7.54(t,2H);7.5
8-7.65(t,1H);8.08-8.14(d,2H)
質量分析(FAB,m/z)(M+H)+
C47H61O14N2S1として 測定値909.3822;
理論値942.3734;
281,263,235,205,182,136,105,61,43
実施例49 13-(Nt(t-ブチルアミノカルボニル)-b-フェニル イソセリニ
ル)-バクカシンIII 7-O-メチルエーテル(56)の調製
濃エタノールで湿潤させたラネイ・ニッケル4mL量を窒素下、0℃にて撹拌
する。シリンジによって、これに濃エタノール2mL中の13-(N-(t-ブチル
アミノ-カルボニル)-b-フェニル イソセリニル)-バクカシンIII 7-O-メチル
チオメチルエーテル(55、52mg、0.057mM)を添加する。温度は反応
および洗浄工程を通して0℃に維持する。反応をTLCによって追跡し、5時間
放置する。ラネイニッケルを沈殿させ、吸引によって上清を除去する。THF(
20mL)を添加し、2分間撹拌し、吸引によって除去することを4回繰り返す
。合わせた洗液を真空下にて蒸発させると、固形物50mgが残る。粗製生成物
は、50-50酢酸エチル-ヘキサンで溶出する、HPLCグレードのシリカゲル
5g上のクロマトグラフィーに付す。フラクション2mLを採取し、それらをT
LCによって分析する。フラクション29-40が、13-(N-(t-ブチルアミノ
カルボニル)-b-フェニル イソセリニル)-バクカシンIII 7-O-メチルエーテル
(56、18mg)を白色固形物として含むことが判明する。
TLC:シリカゲル;50-50酢酸エチル-ヘキサン;Rf:0.32
1H NMR(CDCL3;TMS):d1.19(s,3H);1.22(s,9H);1.71(s,3H);1.88(
s,3H);2.16(s,3H);2.21(s,3H);2.23-2.33(d,2H);2.41(s,3H);2.63-2.78(m,1H);3
.32(s,3H);3.78-3.91(m,2H);4.07-4.20(m,2H);4.23-4.32(d,1H);4.59(bs,1H);4.
91(s,1H);4.93-5.01(d,1H);5.24-5.34(dd,1H);5.39-5.49(d,1H);5.62-5.70(d,1H
);6.04-6.18(t,1H);6.40(s,1H);7.22-7.40(m,5H);7.42-7.53(t,2H);7.54-7.64(t
,1H);8.00-8.12(d,2H)
質量分析(FAB,m/z)(M+H)+
C46H59O14N2として 測定値:863.3992;
理論値:863.3966
583,523,281,263,235,205,182,136,105
実施例50 13-(N-(t-ブチルアミノカルボニル)-2'-TES-b-フェニル
イソセリニル)-バクカシンIII 7-O-メチルエーテル(57)の調製
濃エタノールで湿潤させたラネイニッケル8mL量を、窒素下0℃にて撹拌す
る。シリンジによって、これに濃エタノール2mL中の13-(N-(t-ブチルア
ミノカルボニル)-2'-TES-b-フェニル イソセリニル)-バクカシンIII 7-O
-メチルチオメチルエーテル(54、100mg(0.098mM)を添加する。温
度は、反応および洗浄工程を通して0℃に維持する。反応はTLCによって追跡
し、3時間放置し、その時点でそれはほぼ完了している。ついで、ラネイニッケ
ルを沈殿させ、吸引によって上清を除去する。THF(40mL)を添加し、2分
間撹拌し、吸引によって除去することを9回繰り返す。すべての洗液を合わせ、
真空下にて蒸発させると、固形物60mgが残る。粗製生成物は、30-70酢
酸エチル-ヘキサンで溶出する、シリカゲル10g上のクロマトグラフィーに付
す。フラクション3mLを採取し、それらをTLCによって分析する。フラクシ
ョン15-44を合わせ、真空下にて蒸発させて、13-(N-(t-ブチルアミノカ
ルボニル)-2'-TES-b-フェニル イソセリニル)-バクカシン III7-O-メチ
ルエーテル(57、56mg)を白色固形物として得る。
TLC:シリカゲル;30-70酢酸エチル-ヘキサン;Rf:0.29
1H NMR(CDCL3,TMS):d0.19-0.46(m,6H);0.70-0.82(t,9H);1.22(s,3H);
1.25(s,3H);1.27(s,9H);1.75(s,3H);2.00(s,3H);2.22(s,3H);2.36-2.50(m,1H);2
.65(s,3H);3.37(s,3H);3.86-3.95(m,2H);4.19-4.26(d,1H);4.30-4.38(d,1H);4.5
4-4.60(d,1H);4.96-5.06(d,1H);5.16(s,1H);5.18(s,1H);5.26-5.35(d,1H);5.65-
5.74(d,1H);6.20-6.30(t,1H);6.46(s,1H);7.24-7.40(m,5H);7.44-7.55(t,2H);7.
57-7.65(t,1H);8.07-8.16(d,2H)
実施例51 13-(N-(t-ブチルアミノカルボニル)-b-フェニル イソセリニ
ル)-バクカシンIII 7-O-メチルエーテル(56)の調製
13-(N-(t-ブチルアミノカルボニル)-2'-TES-b-フェニル イソセリニ
ル)-バクカシンIII 7-O-メチルエーテル(57、56mg、0.057mM)を
、窒素下、80-20酢酸-水2ml中、RTにて撹拌する。10分後にTLCは
反応が完了したことを示す。ついで、反応物を凍結乾燥する。粗製残渣は、50
-50および60-40酢酸エチル-ヘキサン各50mLで溶出するHPLCグレ
ードのシリカゲル7g上のクロマトグラフィーに付す。フラクション2mLを採
取し、それらをTLCによって分析する。蒸発の際に、フラクション22-35
が、白色固形物として13-(N-(t-ブチルアミノカルボニル)-b-フェニル イ
ソセリニル)-バクカシンIII 7-O-メチルエーテル(56、38mg)を含むこと
が判明する。
TLC:シリカゲル;60-40酢酸エチル-ヘキサン;Rf:0.42
1H NMR(CDCL3;TMS):d1.20(s,3H);1.22(s,3H);1.23(s,9H);1.72(s,3H);1.
89(s,3H);2.21(s,3H);2.23-2.32(d,1H);2.41(s,3H);2.63-2.78(m,1H);2.78-2.92
(m,3H);4.12-4.20(d,1H);4.26-4.33(d,1H);4.57-4.63(m,1H);4.70(s,1H);4.92-5
.00(d,1H);5.20-5.34(m,2H);5.60-5.68(d,1H);6.07-6.17(t,1H);6.41(s,1H);7.2
4-7.40(m,5H);7.44-7.53(t,2H);7.56-7.65(t,1H);8.05-8.11(d,2H)
実施例52 13-(N-Boc-2'-TES-b-フェニルイソセリニル)-バクカシン
III(2)の調製
13-(2'-TES-b-フェニル イソセリニル)-バクカシンIII(52、360m
g、0.401mM)を、窒素下、乾燥THF2mL中、RTにて撹拌する。トリ
エチルアミン.06mLを含有する乾燥THF1mLに溶解したジ-t-ブチルジ
カーボネート(90mg)を、これに添加する。反応を20時間進行させ、この時
点でTLCはそれが完了したことを示す。反応物を真空下にて蒸発させ、粗製残
渣を、40-60酢酸エチル-ヘキサンで溶出する、シリカゲル40g上のクロマ
トグラフィーに付す。フラクション15mLを採取し、それらをTLCによって
分析する。フラクション11-23が、白色固形物としての13-(N-Boc-2'-
TES-
b-フェニル イソセリニル)-バクカシンIII(2、360mg)を含有することが
判明する。
TLC:シリカゲル;40-60酢酸エチル-ヘキサン;Rf:0.46
1H NMR(CDCL3,TMS):d0.28-0.52(m,6H);0.74-0.85(t,9H);1.16(s,3H);1.3
0(s,3H);1.31(s,9H);1.69(s,3H);1.90(s,3H);2.24(s,3H);2.23-2.45(m,1);2.53(
s,3H);3.80-3.88(d,1H);4.15-4.23(d,1H);4.28-4.37(d,1H);4.39-4.50(m,1H);4.
55(s,1H);4.94-5.04(d,1H);5.21-5.34(bd,1H);5.40-5.54(bd,1H);5.65-5.74(d,1
H);6.23-6.35(m,2H);7.21-7.43(m,5H);7.43-7.55(t,2H);7.55-7.65(t,1H);8.04-
8.16(d,2H)
実施例53 13-(N-Boc-2'-TES-b-フェニル イソセリニル)-バクカシ
ンIII 7-O-メチルエーテル(58)の調製
濃エタノールで湿潤させたラネイ・ニッケル5mL量を、窒素下、0℃にて撹
拌する。シリンジによって、濃エタノール2mLに溶解した13-(N-Boc-2'-
TES-b-フェニル イソセリニル)-バクカシンIII 7-O-メチルチオメチルエ
ーテル(44、50mg、0.055mM)をこれに添加する。反応および洗浄工
程を通して温度は0℃に維持する。反応をTLCによって追跡すると、30分後
には出発物質は全く残っていない。ラネイ・ニッケルを沈殿させ、上清を吸引に
よって除去する。濃エタノール(10mL)を添加し、2分間撹拌し、吸引によっ
て除去することを11回繰り返す。すべての洗液を合わせ、真空下にて蒸発させ
ると、33mg固形物が残る。粗製残渣は、40-60から60-40酢酸エチル
-ヘキサンのグラジエントで溶出する、HPLCグレードのシリカゲル5g上の
クロマトグラフィーに付す。フラクション2mLを採取し、それらをTLCによ
って分析する。フラクション27-40が13-(N-Boc-2'-TES-b-フェニ
ルイソセリニル)-バクカシンIII 7-O-メチルエーテル(58、21mg)を白色
固形物として含んでいることが判明する。
TLC:シリカゲル;40-60酢酸エチル-ヘキサン;Rf:0.25
1H NMR(CDCL3;TMS):d1.16(s,6H);1.28(s,9H);1.65(s,3H);1.83
(s,3H);2.15(s,3H);2.30(s,3H);2.57-2.75(m,1H);3.28(s,3H);3.32-3.48(m,1H);
3.70-3.88(m,2H);4.01-4.16(d,1H);4.18-4.30(d,1H);4.56(s,1H);4.83-4.98(d,1
H);5.13-5.27(d,1H);5.32-5.44(d,1H);5.53-5.65(d,1H);6.04-6.19(t,1H);6.36(
s,1H);7.13-7.37(m,5H);7.37-7.48(t,2H);7.48-7.60(t,1H);7.94-8.08(d,2H)
質量分析(FAB,m/z)(M+H)+
C46H58O15N1として 測定値:864.3805
理論値:864.3806
808,730,583,541,523,105,77,57,43
調製例1 7-(O-アリル)-13-(N-Boc-β-フェニ ル イソセリニル)-バクカ
シンIIIの調製
塩化メチレン中の13-(N-Boc-β-フェニル イソセリニル)-バクカシンIII(
2、1ミリモル)溶液をアリル トリクロロアセトイミデート(2ミリモル)および
スルホン酸トリフルオロメタン(25mL)で処理し、反応物を室温にて48時間
撹拌する。反応物を濾過し、その濾液を5%重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄する
。ついで、有機層を乾燥(MgSO4)し、溶媒を真空下にて蒸発させる。残渣を
シリカゲル上のクロマトグラフィーによって精製すると、7-(O-アリル)-13-
(N-Boc-β-フェニル イソセリニル)-バクカシンIIIが残る。
Kloosterman,M.;de Nijs,M.P.;van Boom,J.H.;J.Carbohyd.Chem.
、1986、5、2247に類似する。
調製例2 7-(O-アリル)-13-(N-Boc-β-フェニル イソセリニル)-バクカ
シンIIIの調製
水素化ナトリウム(鉱油中の55%分散液、43mg、1ミリモル)を無水n-
ヘキサンでのデカンテーションによって3回洗浄する。無水DMF(6mL)中の
13-(N-Boc-β-フェニル イソセリニル)-バクカシンIII(2、1ミリモル)溶
液を0℃にて添加し、得られた混合物を室温にて30分間撹拌する。ついで、得
られた混合物を臭化アリル(1.3ミリモル)で処理し、さらに60分間撹拌する
。ついで、反応物を5%塩化アンモニウム水溶液でクエンチし、エーテルで抽出
する。有機層を乾燥(MgSO4)し、真空下にて溶媒を蒸発させる。残渣をシリ
カゲル上のクロマトグラフィーによって精製すると、7-(O-アリル)-13-(N-
Boc-β-フェニル インセリニル)-バクカシンIIIが残る。
Lakhmiri,R.;Lhoste,P.;Sinou,D.;Tetrahedron Lett.、1989、30、4669
調製例3 7-(O-アリル)-13-(N-Boc-β-フェニル イソセリニル)-バクカ
シンIIIの調製
アルゴン雰囲気下にて、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.0
25ミリモル)および1,4-ビス(ビフェニルホスフィノ)ブタン(0.1ミリモル)
をテトラヒドロフラン(2mL)に添加する。テトラヒドロフラン(2mL)中の1
3-(N-Boc-β-フェニル イソセリニル)-バクカシンIII(2、1ミリモル)およ
びアリルエチルカーボネートでこの溶液を処理する。65℃にて4時間撹拌した
後、溶媒を真空下にて蒸発させる。その残渣をシリカゲル上のクロマトグラフィ
ーによって精製すると、7-(o-アリル)-13-(N-Boc-β-フェニル イソセリ
ニル)-バクカシンIIIが残る。
実施例2および11の適当な出発物質を用いる以外は、実施例40、41およ
び42ならびに調製例1、2および3記載の方法に従って、以下の7-エーテル-
タキソールアナログを調製する:
7-(O-メチル)-13-(N-Boc-β-フェニル イソセリニル)-バクカシンIII;
7-(O-メチル)-13-(N-(t-ブチルアミノカルボニル)-β-フェニル イソセ
リニル)-バクカシンIII;
7-(O-エチル)-13-(N-Boc-β-フェニル イソセリニル)-バクカシンIII;
7-(O-エチル)-13-(N-(t-ブチルアミノカルボニル)-β-フェニル イソセ
リニル)-バクカシンIII;
7-(O-プロピル)-13-(N-Boc-β-フェニル イソセリニル)-バクカシンIII
;
7-(O-プロピル)-13-(N-(t-ブチルアミノカルボニル)-β-フェニル イソ
セリニル)-バクカシンIII;
7-(O-アリル)-13-(N-Boc-β-フェニル イソセリニル)-バクカシンIII;
7-(O-アリル)-13-(N-(t-ブチルアミノカルボニル)-β-フェニル イソセ
リニル)-バクカシンIII;
7-(O-ベンジル)-13-(N-Boc-β-フェニル イソセリニル)-バクカシンIII
;
7-(O-ベンジル)-13-(N-(t-ブチルアミノカルボニル)-β-フェニル イソ
セリニル)-バクカシンIII;
タキソールおよび他の出発タキソールアナログは知られているか、または公知
の方法によって容易に調製し得る(すべて、出典明示して本明細書の一部とみな
す「タキソールの化学(The Chemistry of Taxol)」Pharmac.Ther.、Vol.5
2、pp1-34、1991、ならびに、
米国特許第4,814,470号;4,857,653号;4,942,184号;4,924,011号;4,924,012
号;4,960,790号;5,015,744号;5,059,699号;5,136,060号;5,157,049号;4,87
6,399号;5,227,400号;5,254,580号ならびにPCT国際公開WO 92/09589号、欧
州特許90305845.1号(公開番号 A2 0 400 971号)、89400935.6号(公開番号A1 0 36
6 841号)および9040233.0号(公開番号0 414 610 A1号)、87401669.4号(A1 0 253
739号)、92308608.6号(A1 0 534 708号)、92308609.4号(A1 534 709号)ならびに
PCT国際公開WO 91/17977号、WO 91/17976号、WO 91/13066号、WO 91/13053号参
照)。
本発明の化合物は、それ自体で医薬調製物に処方化する、または、その医薬上
許容される塩の形で、特に無毒性の医薬上許容される付加塩もしくは許容される
塩基性塩として処方化し得る。これらの塩は、酸性または塩基性基を含む本発明
のこれらの化合物から、従来の化学的方法に従って調製し得る。
通常、該塩は、適当な溶媒または溶媒の種々の組合せ中にて、遊離塩基または
酸を、化学量論的な量もしくはソノ過剰量の所望の塩を形成する無機もしくは有
機酸と反応させることによって調製する。例えば、遊離塩基は適当な酸の水溶液
中に溶解し、標準的技術、例えば、溶液の蒸発によって塩を回収し得る。別法と
して、遊離塩基は、低級アルカノイル、エーテル、アルキルエステルまたはそれ
らの混合液、例えば、メタノール、エタノール、エーテル、エチルアセテート、
エチルアセテート-エーテル溶液などのごとき有機溶媒に溶解し、その後に、そ
れを適当な酸で処理して対応する塩を形成し得る。該塩は、標準的な方法、例え
ば、溶液からの同時分離における所望の塩の濾過によって回収するか、または塩
が不溶性である溶媒を添加して沈殿させ、そこから回収することもできる。
本発明のタキソール誘導体は、その細胞毒性、抗-ガン活性により、ガンの治
療に利用し得る。新規な化合物は、錠剤、丸剤、粉末混合物、カプセル剤、注射
液、溶液、坐薬、乳剤、分散剤、食物に予め混合したものの形態、および他の適
当な形態で投与できる。該化合物を含有する医薬調製物は、無毒性の医薬有機担
体または無毒性の医薬無機担体と、通常は投薬ユニット当たり約0.01mgか
ら2500mg、あるいはそれを超えて、好ましくは50-500mgで簡便に
混合される。典型的な医薬上許容される担体は、例えば、マンニトール、尿素、
デキストラン、ラクトース、ジャガイモおよびトウモロコシのデンプン、ステア
リン酸マグネシウム、タルク、植物油、ポリアルキレングリコール、エチルセル
ロース、ポリ(ビニルピロリドン)、炭酸カルシウム、オレイン酸エチル、ミリス
チン酸イソプロピル、安息香酸ベンジル、炭酸ナトリウム、ゼラチン、炭酸カリ
ウム、ケイ酸、および他の簡便に用いられる許容される担体である。また、医薬
調製物には、乳化剤、保存料、湿潤剤等、例えば、ソルビタンモノラウレート、
トリエタノールアミンオレエート、ポリオキシエチレンモノステアレート、グリ
セリルトリパルミテート、スルホスクシン酸ジオクチルナトリウム等のごとき無
毒性の補助物質も含有し得る。
有効剤を含有する錠剤の典型的な調製法の例としては、まず、該剤と、ゼラチ
ン、アカシアゴム、エチルセルロース等のごとき無毒性の結合剤とを混合する。
その混合は、標準的なV-ブレンダー中で、通常は無水条件で適当に行う。つい
で、たったいま調製した混合物は、慣用的な錠剤機械を通してスラッジし、その
スラッジを錠剤に加工する。新たに調製した錠剤はコートすることができ、ある
いはコートせずに放置しておくことができる。適当なコーティング剤の代表的な
ものはセラック、メチルセルロース、カルナウバワックス、スチレン-マレイン
酸共重合体等を含有する。経口投与には、0.01mg、5mg、25mg、5
0mg、500mg他、2500mgまでを含有する圧縮錠剤を、前記の開示に
鑑みて、当該分野でよく知られており「レミントンの医薬科学(Remington's P
harmaceutical Science)」、Chapter39,Mack Publishing Co.,1965にも記載
されている公知の加工技術によって製造する。
錠剤を処方化するためには、有効成分、コーンスターチ、ラクトース、リン酸
ジカルシウムおよび炭酸カルシウムを、すべての成分がともに均一に混合される
まで、慣用的なV-ブレンダー中、乾燥条件下にて、均一にブレンドする。つい
で、該コーンスターチペーストを10%ペーストとして調製し、均一な混合物が
得られるまで、たった今調製した混合物とそれをブレンドする。ついで、該混合
物を標準的な粗いメッシュスクリーンを通過させ、無水雰囲気下にて乾燥し、つ
いでステアリン酸カルシウムとブレンドし、望むならコートして錠剤に圧縮する
。10、50、100、150mg他を含有する他の錠剤も、同様にして調製す
る。
以下の処方Iは、本発明の化合物よりなる錠剤処方の一例である。
経口使用用の、10mgから2500mgを含有するカプセル剤の製造は、有
効成分と無毒性の担体とを実質的に混合し、その混合物をポリマー性の鞘、通常
はデラチン等で包含することよりなる。該カプセル剤は、食用の和合性担体中の
完全な分散状態の化合物を包含した当該分野で公知の軟形とすることができ、あ
るいは、該カプセル剤は、タルク、ステアリン酸カルシウム、炭酸カルシウム等
のごとき無毒性固形物と混合した新規な化合物より実質的になる硬カプセル剤と
することができる。25mg、75mg、125mg等の新規な化合物を単独で
、または2もしくはそれを超える新規な化合物の混合物を含有するカプセル剤は
、例えば、以下のごとく調製する:
前記成分は、標準的なブレンダーでともにブレンドし、ついで、市販されてい
るカプセルに充填する。より高濃度の有効成分を用いる場合には、ラクトース量
を対応して減量する。
また、本発明の化合物は、凍結乾燥することもでき、望むなら、他の医薬上許
容される賦形剤と合わせて、非経口、注射投与に適した処方を調製することもで
きる。かかる投与には、該処方を水(通常の水、セーライン)、またはポリエチレ
ングリコール、エタノール等のごとき有機溶媒と水との混合物中に復元し得る。
もちろん、一回用量、複数用量または日用量のいずれにせよ、投与する用量は
、化合物の活性、選択した投与経路、受容者の大きさおよび患者の状態の性質が
変動するため、用いる特定の本発明の化合物により変動し得る。投与する投与量
は、
所定の限界まで付すものではないが、通常は有効量で、または有効薬剤の代謝的
遊離時に投与処方から産生される薬理学的に有効な遊離形のモルに基づいた当量
であって、その所望の薬理学的および生理学的効果が達成されるであろう。
典型的に、本発明の化合物は、処理工程当たりの患者当たりに1-500mg
の用量を、好ましくは2-100mgの用量を、静脈内注射によって投与し得、
正確な投与量は患者の年齢、体重および症状に依存する。注射用の適当な処方の
一例は、ポリソルベートアルコールおよび無水アルコール(例えば、1:1)の混
合液中の本発明の化合物の溶液を使用し、つづいて点滴または注射の前に水中の
5%デキストロースで希釈して用いる。
式Iで示される化合物は、ヒト卵巣ガン、乳ガンおよび悪性メラノーマ、肺ガ
ン、胃ガン、腸ガン、頭部および首部のガンならびに白血病を包含する、タキソー
ルが有効性を示すのと同一のガンに有用である。例えば、タキソールの臨床薬理
学はEric,K.RowinskyおよびRoss,C.Donehower「ガン化学療法における臨床
薬理学および抗-微小管剤の使用(The Clinical Pharmacology and Use of
Antimicrotubule Agents in Cancer Chemotherapeutics)」、Pharmac.Ther
.,Vol.52,pp35-84,1991参照。タキソールでの臨床的および前臨床的研究は、W
illiam J.SlichenmyerおよびDaniel D.Von Hoff「Taxol:A New and E
ffective Anti-cancer Drug」Anti-Cancer Drugs、Vol.2、pp519-530、1991に
より概説されている。
本発明の7-デオキシ-7-エーテル-タキソール化合物(式I)の生物活性は、よ
く知られた方法を用いて確認されている。例えば、培養中のL1210マウス白血病
ガン細胞におけるCpd8とタキソール自体との比較は、7-(O-メトキシメチ
ル)-13-(N-Boc-2'-β-フェニル イソセリニル)-バクカシンIII(8)に関す
るIC90(90%増殖阻害濃度)が0.0011μg/mlであるのに対して、タキソ
ールでは0.017μg/mlであることを示した。F.Gaskinら、J.Mol.Biol.
,89:737,1974の方法の後に行ったイン・ビトロ(in vitro)チューブリン重合ア
ッセイにおいて、7-(O-エトキシメチル)-13-(N-Boc-β-フェニル イソセ
リニル)-バクカシンIII(4)および7-(O-メトキシメチル)-13-(N-(t-ブチ
ルア
ミノカルボニル)-β-フェニル イソセリニル)-バクカシンIII(27)は、タキソ
ールと酷似した様式で、20℃にてチューブリン重合をイン・ビトロにおいて誘
導し得た。
本発明の化合物の生物活性は、L1210白血病に対するよく知られた方法および
表I記載の結果を用いてさらに確認した。結果は、標準的なよく知られた方法(
Li,L.H.;Kuentzel,S.L.;Murch,L.L.;Pschigoga,L.M.;およびW
.C.Krueger「L1210白血病に対する、ノガラマイシンおよびそのアナログの比
較生物学および生化学的効果(Comparative biological and biochemical effec
ts of nogalamycin and its analogs on L1210 leukemia.)」、Cancer Res.,3
9:4816-4822(1979))を用いて得た。結果は、非処理の対照細胞の50%の細胞増
殖を阻害するのに要する薬剤濃度であるIC50として表す。低い数字ほど、より
高い活性を示す。
本発明の化合物の生物活性は、A2780ヒト卵巣ガンに対するよく知られた
方法を用いてさらに確認し、その結果を表IIに掲載する。結果は、標準的なよく
知られた方法を用いて得た(Perez,R.P.;O'Dwyer,P.J.;Handel,L.
M.;Ozols,R.F.;Hamilton,T.C.Int.J.Cancer 1991,48,265,A
lley,M.C.;Scudiero,D.A.;Monks,A.;Hursey,M.L.;Czerwins
ki,M.J.;Fine,D.L.;らCancer Res.1988,48,589)。
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