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JPH10339877A - 液晶配向膜とその製造方法およびそれを用いた液晶表示装置とその製造方法 - Google Patents

液晶配向膜とその製造方法およびそれを用いた液晶表示装置とその製造方法

Info

Publication number
JPH10339877A
JPH10339877A JP14827597A JP14827597A JPH10339877A JP H10339877 A JPH10339877 A JP H10339877A JP 14827597 A JP14827597 A JP 14827597A JP 14827597 A JP14827597 A JP 14827597A JP H10339877 A JPH10339877 A JP H10339877A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
liquid crystal
substrate
alignment film
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP14827597A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazufumi Ogawa
小川  一文
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP14827597A priority Critical patent/JPH10339877A/ja
Priority to CN98801052A priority patent/CN1234877A/zh
Priority to PCT/JP1998/002254 priority patent/WO1998054617A1/ja
Priority to KR1019997000662A priority patent/KR20000029598A/ko
Priority to TW087107943A priority patent/TW459157B/zh
Publication of JPH10339877A publication Critical patent/JPH10339877A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B82NANOTECHNOLOGY
    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y30/00Nanotechnology for materials or surface science, e.g. nanocomposites

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Nanotechnology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Composite Materials (AREA)
  • Condensed Matter Physics & Semiconductors (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Liquid Crystal (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】あらかじめ所望の電極を形成した基板表面に形
成された単分子膜状の被膜であり、前記被膜を構成する
分子が炭素鎖またはシロキサン結合鎖を含み、前記炭素
鎖またはシロキサン結合鎖の末端または一部に被膜の表
面エネルギーを制御する官能基を少なくとも一つ含んで
いる被膜を作製した後、ラビングすることにより、均一
で薄く、注入される液晶のプレチルト角度を制御でき、
且つ液晶を任意の方向に配向させ得る機能を有する配向
膜を提供する。 【解決手段】CH3(CH2)14SiCl3とNC(CH2)14SiCl3の組成
を好ましくは10:1〜1:50で変えると、臨界表面エネルギ
ーは17mN/mから26mN/mに変化し、それぞれプレチルト角
は86゜から33゜の範囲で任意に制御できる。この状態の
基板を2種類用い、ラビング方向5とほぼ直交する方向
に偏光方向13が向くように偏光板6を基板に重ねてセッ
トし、超高圧水銀灯の365nm(i線)の光7を900mJ照射す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶配向膜とその
製造方法およびそれを用いた液晶表示装置とその製造方
法に関するものである。さらに詳しくは、テレビジョン
(TV)画像やコンピュータ画像等を表示する液晶を用
いた平面表示パネルに用いる液晶配向膜およびその製造
方法およびそれを用いた液晶表示装置とその製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、カラー液晶表示パネルは、マトリ
ックス状に配置された対向電極を形成した2つの基板の
間にポリビニルアルコールやポリイミド樹脂溶液をスピ
ナー等で回転塗布して形成しラビングした液晶配向膜を
介して液晶を封入した装置が一般的であった。
【0003】例えば、予め第1のガラス基板上に画素電
極を持った薄膜トランジスタ(TFT)アレイを形成し
たものと、第2のガラス基板上に複数個の赤青緑のカラ
ーフィルターが形成されさらにその上に共通透明電極が
形されたもの、それぞれの電極面にポリビニルアルコー
ルやポリイミド溶液をスピナーを用いて塗布して被膜形
成した後、ラビングを行なって液晶配向膜を形成し、ス
ペーサーを介して任意のギャップで対向するように接着
組み立てた後、液晶(ツイストネマチック(TN)等)
を注入しパネル構造を形成した後、パネルの裏表に偏光
板を設置し、裏面よりバックライトを照射しながら、T
FTを動作させカラー画像を表示するデバイスが知られ
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
配向膜の作成は、ポリビニルアルコールやポリイミド樹
脂を有機溶媒に溶解させ回転塗布機などを用いて塗膜形
成した後、フェルト布等を用いてラビングを行なう方法
が用いられていたため、膜厚を全面にわたり均一にする
のは難しく、また厚さを薄くするのには限界があり、液
晶表示素子を作成し使用時表示むらがでたり、表示焼き
付きがでたり、駆動電圧が高くなる等大きな問題があっ
た。
【0005】本発明は、前記従来の問題を解決するた
め、液晶表示パネルにおいて使用される配向膜であり、
厚みはナノメータレベルできわめて薄く、液晶の配向方
向はラビングにより制御され、液晶のプレチルト角度は
配向膜の臨界表面エネルギーを制御することにより制御
された液晶用配向膜を高能率で均一性よく提供できる方
法およびそれを用いた表示素子を製造する方法を提供す
ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明では、あらかじめ所望の電極を形成した基板
表面に形成された単分子膜状の被膜であり、前記被膜を
構成する分子が炭素鎖またはシロキサン結合鎖を含み、
前記炭素鎖またはシロキサン結合鎖の末端あるいは一部
に被膜の表面エネルギーを制御する官能基を少なくとも
一つ含んでいる単分子膜状の被膜を作製した後、ラビン
グすることにより、従来のものに比べて格段に均一で薄
く、注入される液晶のプレチルト角度を制御でき、且つ
液晶を任意の方向に配向させ得る機能を有する新規な配
向膜を提供する。
【0007】このとき、被膜を構成する分子として臨界
表面エネルギーの異なる複数種のシリコン系界面活性剤
を混合して用い、固定された被膜が所望の臨界表面エネ
ルギー値になるよう組成を制御すると注入された液晶の
プレチルト角を任意に制御する上で都合がよい。
【0008】また、単分子膜の表面エネルギーを制御す
る官能基として、3フッ化炭素基(−CF3)、メチル
基(−CH3)、ビニル基(−CH=CH2)、アリル基
(−CH=CH−)、アセチレン基(炭素−炭素の3重
結合)、フェニル基(−C65)、フェニレン基(−C
64−)、ハロゲン原子、アルコキシ基(−OR;Rは
アルキル基を表す、とくに炭素数1〜3の範囲のアルキ
ル基が好ましい。)、シアノ基(−CN)、アミノ基
(−NH2)、水酸基(−OH)、カルボニル基(=C
O)、カルボキシ基(−COO−)及びカルボキシル基
(−COOH)から選ばれる少なくとも一つの有機基を
用いると臨界表面エネルギーの制御を容易に行える。
【0009】さらに、被膜を構成する分子の末端にSi
を含ませておくことにより、基板表面への分子の固定が
きわめて容易になる。さらにまた、被膜の臨界表面エネ
ルギーを15mN/m〜56mN/mの間で所望の値に
制御しておくことにより、注入する液晶のプレチルト角
を0〜90度の範囲で任意に制御できる。
【0010】一方、このような配向膜は、電極を形成し
た基板を、炭素鎖またはシロキサン結合鎖を含み且つ前
記炭素鎖またはシロキサン結合鎖の末端あるいは一部に
被膜の表面エネルギーを制御する官能基を少なくとも一
つ含んでいるシラン系界面活性剤を用いて作製した化学
吸着液に接触させ前記吸着液中の界面活性剤分子と基板
表面とを化学反応させ前記界面活性剤分子を基板表面に
一端で結合固定する工程と、表面をラビングする工程を
行うことにより製造できる。
【0011】また、界面活性剤として直鎖状炭素鎖また
はシロキサン結合鎖とクロロシリル基、またはアルコキ
シシラン基またはイソシアネートシラン基を含むシラン
系の界面活性剤を用いると単分子膜状の被膜を製造する
上で都合がよい。
【0012】さらに、界面活性剤として臨界表面エネル
ギーの異なる複数種のシリコン系界面活性剤を混合して
用いれば、被膜の臨界表面エネルギーをより細かく制御
でき、液晶のプレチルト角度を精度良く制御する上で都
合がよい。
【0013】さらにまた、炭素鎖またはシロキサン結合
鎖の末端または主鎖内、あるいは側鎖に3フッ化炭素基
(−CF3)、メチル基(−CH3)、ビニル基(−CH
=CH2)、アリル基(−CH=CH−)、アセチレン
基(炭素−炭素の3重結合)、フェニル基(−C
65)、フェニレン基(−C64−)、ハロゲン原子、
アルコキシ基(−OR;Rはアルキル基を表す、とくに
炭素数1〜3の範囲のアルキル基が好ましい。)、シア
ノ基(−CN)、アミノ基(−NH2)、水酸基(−O
H)、カルボニル基(=CO)、カルボキシ基(−CO
O−)及びカルボキシル基(−COOH)から選ばれる
少なくとも一つの有機基を組み込むことで被膜の臨界表
面エネルギーをより細かく制御できる。
【0014】また、界面活性剤分子を基板表面に一端で
結合固定する工程の後に、有機溶剤で洗浄して、さらに
所望の方向に基板を立てて液切りを行い、液切り方向に
前記固定された分子を予備配向させる工程を行うこと
で、注入した液晶の配向方向をより均一に制御できる。
【0015】また、単分子膜を任意の方向にラビングし
て前記配向された分子を所望の方向に配向させた後、偏
光板にパターン状のマスクを重ねて露光する工程を行
い、同一面内の配向膜内でパターン状の配向方向の異な
る部分を複数箇所設けることで、デバイスの表示性能を
より向上できる。
【0016】さらにまた、界面活性剤として直鎖状炭素
鎖またはシロキサン結合鎖とクロロシリル基またはイソ
シアネートシラン基を含むシラン系の界面活性剤を用
い、洗浄有機溶媒として水を含まない非水系の有機溶媒
を用いることで、より欠陥の少ない単分子膜状の液晶配
向膜を提供できる。
【0017】このとき、非水系の有機溶媒として、アル
キル基、フッ化炭素基または塩化炭素基またはシロキサ
ン基を含む溶媒を用いると液切りに都合がよい。界面活
性剤分子を一端で固定する工程の前に、多数のSiOH
基を含む被膜を形成する工程を行い、この膜を介して単
分子膜状の被膜を形成、ラビングすることで、より密度
の高い単分子膜状の液晶配向膜を提供できる。
【0018】さらに、炭素鎖またはシロキサン結合鎖を
含み、前記炭素鎖またはシロキサン結合鎖の末端あるい
は一部に被膜の表面エネルギーを制御する官能基を少な
くとも一つ含んでいる分子で構成された単分子膜状の被
膜がラビングされ、液晶用の配向膜として2つの対向さ
せる電極の形成された基板表面の少なくとも一方の基板
の電極側表面に直接または他の被膜を介して間接に形成
されており、液晶が前記2つの対向する電極に前記配向
膜を介して挟まれている液晶表示装置を作製することに
より、厚みはナノメータレベルできわめて薄く、液晶の
配向方向はラビングにより制御され、液晶のプレチルト
角度は配向膜の臨界表面エネルギーを制御することによ
り制御された液晶用配向膜を有する液晶表示装置を提供
できる。
【0019】なお、対向させる2つの電極の形成された
基板表面にそれぞれ前記被膜を配向膜として形成してお
くとよりコントラストの高い液晶表示装置を提供でき
る。また、基板表面の被膜にパターン状の配向方向の異
なる部分を複数箇所作り込んでおくと表示視野角を大幅
に改良できて好都合である。
【0020】さらに、対向する電極が片方の基板表面に
それぞれ形成されている面内スイッチ(IPS)タイプ
の表示素子にも有効に利用可能である。
【0021】一方、このような表示素子の製造には、あ
らかじめマトリックス状に載置された第1の電極群を有
する第1の基板を直接または任意の薄膜を形成した後、
炭素鎖またはシロキサン結合鎖を含み、前記炭素鎖また
はシロキサン結合鎖の末端あるいは一部に被膜の表面エ
ネルギーを制御する官能基を少なくとも一つ含んでいる
シラン系界面活性剤を用いて作製した化学吸着液に接触
させ前記吸着液中の界面活性剤分子と基板表面とを化学
反応させ前記界面活性剤分子を基板表面に一端で結合固
定する工程と、有機溶剤で洗浄後さらに所望の方向に基
板を立てて液切りを行い液切り方向に前記固定された分
子を予備配向させる工程と、表面をラビングする工程
と、前記第1の電極群を有する第1の基板と第2の基
板、または第2の電極叉は電極群を有する第2の基板
を、電極面を内側にして所定の間隙を保ちつつ位置合わ
せして接着固定する工程と、前記第1と第2の基板の間
に所定の液晶を注入する工程を用いると表示特性に優れ
た液晶表示装置を効率よく製造できる。
【0022】さらに、ラビングして前記結合された界面
活性剤分子の向きを所望の傾きを有した状態で特定の方
向に揃える工程の後、偏光板にパターン状のマスクを重
ねて露光する工程を行うことより、同一面内の配向膜内
でパターン状の配向方向の異なる部分を複数箇所設ける
と、マルチドメイン配向した液晶表示装置を効率よく提
供できる。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明では、少なくとも、電極を
形成した基板を、炭素鎖またはシロキサン結合鎖を含
み、前記炭素鎖またはシロキサン結合鎖の末端あるいは
一部に被膜の表面エネルギーを制御する官能基を少なく
とも一つ含んでいるシラン系界面活性剤を用いて作製し
た化学吸着液に接触させ前記吸着液中の界面活性剤分子
と基板表面とを化学反応させ前記界面活性剤分子を基板
表面に一端で結合固定する工程と表面をラビングする工
程とを用いて、所望の電極を形成した基板表面に形成さ
れた単分子膜状の被膜であり、且つ前記被膜を構成する
分子が炭素鎖またはシロキサン結合鎖を含み、前記炭素
鎖またはシロキサン結合鎖の末端あるいは一部に被膜の
表面エネルギーを制御する官能基を少なくとも一つ含ん
でおり、かつラビング方向に沿って液晶の配向規制力を
有する液晶配向膜を提供する。
【0024】また,あらかじめマトリックス状に載置さ
れた第1の電極群を有する第1の基板を直接または任意
の薄膜を形成した後、炭素鎖またはシロキサン結合鎖を
含み、前記炭素鎖またはシロキサン結合鎖の末端あるい
は一部に被膜の表面エネルギーを制御する官能基を少な
くとも一つ含んでいるシラン系界面活性剤を用いて作製
した化学吸着液に接触させ前記吸着液中の界面活性剤分
子と基板表面とを化学反応させ前記界面活性剤分子を基
板表面に一端で結合固定する工程と、有機溶剤で洗浄後
さらに所望の方向に基板を立てて液切りを行い液切り方
向に前記固定された分子を予備配向させる工程と、任意
の方向にラビングを行いさらに配向を制御する工程と、
前記第1の電極群を有する第1の基板と第2の基板、ま
たは第2の電極叉は電極群を有する第2の基板を、電極
面を内側にして所定の間隙を保ちつつ位置合わせして接
着固定する工程と、前記第1と第2の基板の間に所定の
液晶を注入する工程とを用いて、 炭素鎖またはシロキ
サン結合鎖 を含み、前記炭素鎖またはシロキサン結合
鎖の末端あるいは一部に被膜の表面エネルギーを制御す
る官能基を少なくとも一つ含んでいる分子で構成された
被膜が、液晶用の配向膜として2つの対向させる電極の
形成された基板表面の少なくとも一方の基板の電極側表
面に直接または他の被膜を介して間接に形成されてお
り、且つ液晶が前記2つの対向する電極に前記配向膜を
介して挟まれている液晶表示装置を提供できる。
【0025】
【実施例】以下実施例を用いて本発明をさらに具体的に
説明する。 (実施例1)表面に透明電極の形成されたガラス基板1
(表面に水酸基を多数含む)を準備し、あらかじめよく
洗浄脱脂する。次に、末端に被膜の表面エネルギーを制
御する官能基を一つ組み込んだ直鎖状炭化水素基及びS
iを含むシラン系界面活性剤(以下、化学吸着物質ある
いは化学吸着化合物ともいう)、CH3(CH214Si
Cl3とNC(CH214SiCl3(モル比で1:1に
混合して用いた)を用い、1重量%程度の濃度で非水系
の溶媒に溶かして化学吸着溶液を調整した。非水系溶媒
としては、良く脱水したヘキサデカンを用いた。このよ
うにして調製された溶液を吸着溶液2とし、この吸着溶
液2の中に、乾燥雰囲気中(相対湿度30%以下)で前
記基板1を1時間程度浸漬(塗布しても良い)した(図
1)。その後、液から引き上げて、良く脱水した水を含
まない非水系の溶媒であるn−ヘキサン3で洗浄した
後、基板を所望の方向に立てた状態で洗浄液より引き上
げて液切りし水分を含む空気中に暴露した(図2)。前
記の一連の工程で、前記クロロシラン系界面活性剤のS
iCl基と前記基板表面の水酸基とで脱塩酸反応が生
じ、下記式(化1および2)の結合が生成された。さら
に、空気中の水分と反応して式(化3及び4)の結合が
生成された。なお、このとき吸着された分子の炭素鎖は
液切り方向にある程度配向していた。
【0026】
【化1】
【0027】
【化2】
【0028】
【化3】
【0029】
【化4】
【0030】次に、レーヨン布をセットしたラビング装
置を用いて押し込み0.3mmで5m/分の条件で引き
上げ方向に対して45度となるようラビングを行った。
以上の処理により、前記クロロシラン系界面活性剤が反
応してなる化学吸着単分子膜4が基板表面の水酸基が含
まれていた部分にシロキサンの共有結合を介して化学結
合した状態で結合され、結合された分子がラビング方向
5に沿って配向して約1.3nmの膜厚で形成された
(図3)。なお、このとき化学吸着膜の臨界表面エネル
ギーは約25mN/mであった。
【0031】さらに、この状態の基板2枚を用い、化学
吸着膜が向かい合うように組み合わせて、ラビング方向
がアンチパラレルになるようにセットし20ミクロンギ
ヤップの液晶セルを組み立て、ネマチック液晶(ZLI
4792;メルク社製)を注入して配向状態を確認する
と、注入した液晶分子がラビング方向5に沿って、すな
わち化学吸着された分子に沿って基板に対して約プレチ
ルト角61゜で配向していた(図3)。
【0032】このとき、CH3(CH214SiCl3
NC(CH214SiCl3の組成を1:0〜0:1(好
ましくは10:1〜1:50)で変えると、臨界表面エ
ネルギーは17mN/mから26mN/mに変化し、そ
れぞれプレチルト角は86゜から33゜の範囲で任意に
制御できた。さらに、化学吸着化合物としてフッ素を含
む界面活性剤、例えば、CF3(CF25(CH22
iCl3を添加して行くと臨界表面エネルギーは15m
N/mまで小さくできた。この場合は、液晶のプレチル
ト角はほぼ90度であったが、電圧を印加して駆動して
みると、きわめて均一な配向変化を示した。
【0033】なお、膜を選択的に形成したい場合には、
印刷機を用いて所望のパターンで基板表面1に吸着液2
を印刷する方法が利用できた。
【0034】以上のように、この実施例では、得られる
膜表面の臨界表面エネルギーが異なり、且つ炭素鎖長が
−(CH214−と同じ長さのシラン系界面活性剤を用
いたが、炭素鎖長の長さが異なる(例えば、−(C
2n−;nは1から30の範囲の整数)界面活性剤を
混合して用いても、臨界表面エネルギーが同じなら配向
方向はラビング方向で制御でき、プレチルト角度は単分
子膜の臨界表面エネルギーで同様に制御できた。
【0035】さらに、この状態の基板を2種類用い、ラ
ビング方向5とほぼ直交する方向に偏光方向13が向く
ように偏光板(HNP´B)6(ポラロイド社製)を基
板に重ねてセットし、500Wの超高圧水銀灯の365
nm(i線)の光7(偏光膜透過後3.6mW/c
2)を用いて900mJ照射した(図4)。
【0036】その後、前記化学吸着単分子膜4’中の直
鎖状炭素鎖の配向方向を調べると臨界表面エネルギーと
チルト角は変わらなかったが配向方向8は偏光方向13
とほぼ平行方向に変化し、しかも配向ばらつきも予備配
向時より改善されていた(図5〜6)。図中、9は透明
電極を表わす。なお、このとき照射部の吸着分子の配向
方向を一方向に揃えるためには、ラビング方向と完全に
90゜で交差するのではなく、多少、好ましくは数度以
上ずらす必要がある。この場合、最大、ラビング方向と
平行になるように偏光方向13を合わせても良い。もし
万一完全に90゜に交差させれば、個々の分子が2方向
に向いてしまう場合がある。
【0037】ここで、選択的に配向方向を変えたい場合
には、あらかじめ全面ラビングを行った後、偏光板にパ
ターン状のマスクを重ねて800〜1200mJのエネ
ルギーで365nmの波長の紫外線を照射すると、照射
された部分のみ配向方向が変化し同一面内の配向膜内で
パターン状に配向方向の異なる部分、すなわち、ラビン
グ方向5と偏光方向13にそれぞれ沿って液晶が配向す
る部分を複数箇所設けることができた。さらに、所望の
マスクを偏光板に重ねて同様の条件で露光する工程を複
数回行うと、きわめて容易にパターン状に複数の配向方
向の異なる単分子膜状の液晶配向膜を作製できた。すな
わち、一つの絵素がマルチドメイン配向された液晶表示
装置を提供できた。
【0038】本実施例では、洗浄用の水を含まない溶媒
として、アルキル基を含む炭化水素系のn−ヘキサンを
用いたが、これ以外にも、水を含まず界面活性剤を溶か
す溶媒ならどのような溶媒でも使用可能である。たとえ
ばこれ以外にも、フッ化炭素基、塩化炭素基またはシロ
キサン基を含む溶媒、例えば、フレオン113やクロロ
ホルムやヘキサメチルジシロキサン等をそれぞれ用いる
ことができた。
【0039】(実施例2)実施例1に於て、炭素鎖やシ
ロキサン結合鎖を含む界面活性剤分子の化学吸着を行う
工程の前に、クロロシリル基を複数個含む化合物を溶か
して作製した吸着溶液を作り、ドライ雰囲気中で浸漬し
た。すると、基板表面に含まれた水酸基とクロロシリル
基を複数個含む化合物のクロロシリル基が脱塩酸反応し
た。その後、さらに水と反応させると残ったクロロシリ
ル基が水酸基に変化して、表面にSiOH結合、すなわ
ち水酸基を多数含む化学吸着膜が形成された。
【0040】たとえば、クロル基を複数個含むシリル化
合物としてSiCl4 を用いn−オクタンに溶かして吸
着液を作製し、乾燥雰囲気中で基板を浸漬すれば、表面
にはーOH基が含まれているので、界面で脱塩酸反応が
生じ下記式(化5)及び/または(化6)が形成され、
クロロシラン分子11が−SiO−結合を介して基板表
面に固定される。
【0041】
【化5】
【0042】
【化6】
【0043】その後、非水系の溶媒例えばクロロホルム
で洗浄すると、基板と反応していない余分のSiCl4
分子は除去される(図7)。さらに空気中に取りだし水
と反応させると、表面に下記式(化7)及び/または
(化8)で示される多数のSiOH結合を含むシロキサ
ン単分子吸着膜12が得られた(図8)。
【0044】
【化7】
【0045】
【化8】
【0046】なお、このとき非水系の溶媒例えばクロロ
ホルムで洗浄する工程を省けば、表面に多数のSiOH
結合を含むポリシロキサン化学吸着膜が形成された。な
お、このときできたシロキサン単分子膜12は基板とは
−SiO−の化学結合を介して完全に結合されているの
で剥がれることが無い。また、得られた単分子膜は表面
にSiOH結合を数多く持つ。特に−OH基は、当初の
約2〜3倍程度の数が生成された。この状態での処理部
は、極めて親水性が高かった。そこで、この状態で、実
施例1と同様の界面活性剤を用い化学吸着工程を行う
と、図1と同様の界面活性剤が反応してなる炭素鎖を含
む化学吸着単分子膜が前記シロキサン単分子膜12を介
してシロキサンの共有結合で化学結合した状態で約1.
5nmの膜厚で形成された。このとき、界面活性剤の吸
着前の基材表面の吸着サイト(この場合はOH基)は、
実施例1に比べて約2〜3倍程度と多いため、実施例1
の場合に比べより吸着分子密度を大きくできた。また、
処理部は親油性となった。
【0047】次に、この状態の基板を用い、引き上げ方
向とほぼ直交する方向にラビング方向が向くようにラビ
ングをおこなった。その後、前記化学吸着単分子膜中の
直鎖状炭素鎖の配向方向を調べると実施例1に比べチル
ト角は86゜と多少大きくなっていたが配向方向はラビ
ング方向とほぼ平行に変化し、しかも配向ばらつきも改
善されていた。なお、このときの臨界表面エネルギーは
28mN/mであった。
【0048】そこでこの状態の基板2枚を用い、化学吸
着膜が向かい合うように組み合わせて、配向方向がアン
チパラレルになるようにして20ミクロンギヤップの液
晶セルを組み立て、ネマチック液晶(ZLI4792;
メルク社製)を注入して配向状態を確認すると、注入し
た液晶分子が化学吸着された分子に沿って基板に対して
プレチルト角約46゜で配向することが確認できた。
【0049】なお、クロル基を複数個含むシリル化合物
として、前記SiCl4 以外に、例えば、Cl−(Si
Cl2O)2−SiCl3、またはSiHCl3、SiH2
Cl2、さらに、Cl−(SiCl2O)n−SiCl
3(nは整数)が利用できた。
【0050】(実施例3)実施例1に於て、化学吸着物
質としてCH3(CH214SiCl3とNC(CH32
(CH214SiCl3の代わりに、ClSi(CH32
OSi(CH32OSi(CH32OSi(CH32
lとCH3(CH214SiCl3を1:0〜0:1の間
で混合して用いた場合、臨界表面エネルギーは混合比に
応じて35mN/mから21mN/mの範囲で制御でき
た。さらに、セルを組立同様の液晶を注入するとプレチ
ルト角は5度から89度の範囲で制御できた。
【0051】なお、直鎖状のシロキサン結合鎖を含んだ
ClSi(CH32OSi(CH32OSi(CH32
OSi(CH32Clと直鎖状の炭化水素鎖を含んだC
3(CH214SiCl3を所望の比率で混合して用い
て被膜を作製すると、表面に下記式(化9)および(化
10)で示される分子を混合比率に応じて含む化学吸着
単分子膜が得られた。
【0052】
【化9】
【0053】
【化10】
【0054】(実施例4)実施例1に於て、化学吸着物
質としてCH3(CH214SiCl3とNC(CH32
(CH214SiCl3の代わりに、HOOC(CH2
16Si(OCH3 3とBr(CH28Si(OCH33
を1:0〜0:1の間で混合して用い、化学吸着時に1
00℃で2時間還流した。この場合には、臨界表面エネ
ルギーは混合比に応じて56mN/mから31mN/m
の範囲で制御できた。さらに、セルを組立後同様の液晶
を注入すると、液晶の配向方向はラビング方向で制御さ
れ、プレチルト角は0度から27度の範囲で制御でき
た。
【0055】(実施例5)実施例1に於て、化学吸着物
質としてCH3(CH214SiCl3とNC(CH32
(CH214SiCl3の代わりに、CH3CH2*HC
3CH2OCO(CH210SiCl3(ただし、C*
不整炭素)とCH3SiCl3とを1:0〜1:20の間
で混合して用い同様の配向膜を作製した。この場合に
は、臨界表面エネルギーは混合比に応じて36mN/m
から41mN/mの範囲で制御できた。さらに、セルを
組立後同様の液晶を注入すると、液晶の配向方向はラビ
ング方向で制御され、プレチルト角は3度から0.1度
の範囲で制御できた。
【0056】(実施例6)次に、上記液晶配向膜を用い
て実際に液晶表示デバイスを製造しようとする場合の製
造プロセスについて図9を用いて説明する。
【0057】まず、図9に示すように、マトリックス状
に載置された第1の電極群21とこの電極を駆動するト
ランジスター群22を有する第1の基板23上、および
第1の電極群と対向するように載置したカラーフィルタ
ー群24と第2の電極25を有する第2の基板26上
に、実施例5と同様の手順にしたがって、調製した化学
吸着液を塗布し、臨界表面エネルギーが36mN/mの
化学吸着単分子膜を作製した。
【0058】その後、実施例1と同様の条件で電極パタ
ーンと平行になるようにラビングを行った。その結果、
実施例5と同様に電極パターンに沿って直鎖状の炭化水
素基が再配向した臨界表面エネルギーが37mN/mの
液晶配向膜27が作製できた。次に、前記第1と第2の
基板23、26を電極が対向するように位置合わせして
スペーサー28と接着剤29でおよそ5ミクロンのギャ
ップで固定した。その後、前記第1と第2の基板に前記
TN液晶30を注入した後、偏光板31、32を組み合
わせて表示素子を完成した。このとき注入された液晶の
プレチルト角は3度であった。
【0059】この様なデバイスは、バックライト33を
全面に照射しながら、ビデオ信号を用いて各々のトラン
ジスタを駆動することで矢印Aの方向に映像を表示でき
た。 (実施例7)実施例6におけるラビング工程後、実施例
1と同様に前記偏光板に各々の画素を市松状に4分割す
るパターン状のマスクを重ねて露光する工程を1回行う
と、同一画素内でパターン状に配向方向の異なる部分を
4箇所設けることができた。そして、この配向膜を形成
した基板を用いると液晶表示装置の視野角を大幅に改善
できた。
【0060】なお、上記実施例1では、露光に用いる光
として超高圧水銀灯のi線である365nmの光を用い
たが、膜物質の光の吸収度合いに応じて436nm、4
05nm、254nmやKrFエキシマレーザーで得ら
れる248nmの光を用いることも可能である。特に、
248nmや254nmの光は大部分の物質に吸収され
易いためエネルギー配向効率が高い。
【0061】また、直鎖状炭化水素基またはシロキサン
結合鎖とクロロシリル基、またはアルコキシシリル基ま
たはイソシアネートシリル基を含むシラン系の界面活性
剤として、分子端にシアノ基と他の一端にクロロシリル
基を含んだクロロシラン系界面活性剤とメチル基とクロ
ロシリル基を含んだクロロシラン系界面活性剤を混合し
て用いた、すなわち表面エネルギーの異なる膜となる2
種のクロロシラン系界面活性剤を混合して用いた例を示
したが、本願発明ではこれらに限定されるものではな
く、表面エネルギーの異なる各種界面活性剤を組み合わ
せて、各種表面エネルギーの異なる配向膜を作製でき
た。例えば、以下に示したような炭化水素基の末端に3
フッ化炭素基(−CF3)、メチル基(−CH3)、ビニ
ル基(−CH=CH2)、アリル基(−CH=CH
−)、アセチレン基(炭素−炭素の3重結合)、フェニ
ル基(−C65)、アリール基(−C64−)、ハロゲ
ン原子、アルコキシ基(−OR;Rはアルキル基を表
す、とくに炭素数1〜3の範囲のアルキル基が好まし
い。)、シアノ基(−CN)、アミノ基(−NH2)、
水酸基(−OH)、カルボニル基(=CO)、カルボキ
シ基(−COO−)及びカルボキシル基(−COOH)
から選ばれる少なくとも一つの有機基、あるいは光学活
性を有する炭化水素基で置換されたクロロシラン系界面
活性剤が使用できた。
【0062】なお、Ha(CH2nSiCl3 (Haは
塩素、臭素、ヨウ素、ふっ素等のハロゲン原子を表し、
nは整数で1〜24が好ましい。)で示されるクロロシ
ラン系界面活性剤も使用できる。さらに下記の一般式で
示される化合物も使用できる。
【0063】(1) CH3(CH2)nSiCl3 (nは整数で0〜2
4が好ましい。) (2) CH3(CH2)pSi(CH3)2(CH2)qSiCl3(p,qは整数で0
〜10が好ましい。) (3) CH3COO(CH2)mSiCl3(mは整数で7〜24が好まし
い。) (4) C6H6(CH2)nSiCl3(nは整数で0〜24が好まし
い。) (5) CN(CH2)nSiCl3(nは整数で0〜24が好まし
い。) (6) Cl3Si(CH2)nSiCl3(nは整数で3〜24が好まし
い。) (7) Cl3Si(CH2)2(CF2)n(CH2)2SiCl3(nは整数で1〜1
0が好ましい。)
【0064】さらにクロロシラン系界面活性剤以外に、
以下に示したようなアルコキシシリル基またはイソシア
ネートシリル基を含むシラン系の界面活性剤が使用でき
た。 (8) Ha(CH2)nSi(OCH3)3(Haは塩素、臭素、ヨウ素、
ふっ素等のハロゲン原子を表し、nは整数で1〜24が
好ましい。) (9) CH3(CH2)nSi(NCO)3(nは整数で0〜24が好まし
い。) (10) CH3(CH2)pSi(CH3)2(CH2)qSi(OCH3)3(p,qは整
数で0〜10が好ましい。) (11) HOOC(CH2)mSi(OCH3)3(mは整数で7〜24が好ま
しい。) (12) H2N(CH2)mSi(OCH3)3(mは整数で7〜24が好ま
しい。) (13) C6H6(CH2)nSi(NCO)3(nは整数で0〜24が好ま
しい。) (14) CN(CH2)nSi(OC2H5)3(nは整数で0〜24が好ま
しい。)
【0065】より具体的には下記の化合物も使用でき
る。 (1) Br(CH2)8SiCl3 (2) CH2=CH(CH2)17SiCl3 (3) CH3(CH2)8-CO-(CH2)10SiCl3 (4) CH3(CH2)5-COO-(CH2)10SiCl3 (5) CH3(CH2)8-Si(CH3)2-(CH2)10SiCl3 (6) CH3(CH2)17SiCl3 (7) CH3(CH2)5Si(CH3)2(CH2)8SiCl3 (8) CH3COO(CH2)14SiCl3 (9) C6H6(CH2)8SiCl3 (10) CN(CH2)14SiCl3 (11) Cl3Si(CH2)8SiCl3 (12) Cl3Si(CH2)2(CF2)4(CH2)2SiCl3 (13) Cl3Si(CH2)2(CF2)6(CH2)2SiCl3 (14) CF3CF2(CF2)7(CH2)2SiCl3 (15) (CF3)2CHO(CH2)15Si(CH3)2Cl (16) CF3CF2(CH2)2Si(CH3)2(CH2)15SiCl3 (17) CF3(CF2)4(CH2)2Si(CH3)2(CH2)9SiCl3 (18) CF3(CF2)7(CH2)2Si(CH3)2(CH2)9SiCl3 (19) CF3COO(CH2)15SiCH3Cl2 (20) CF3(CF2)5(CH2)2SiCl3 (21) CH3CH2CHC*H3CH2OCO(CH2)10SiCl3 (C*は光学活性
の不整炭素を示す。) (22) CH3CH2CHC*H3CH2OCOC6H6OCO6H6O(CH2)5SiCl3 (23) 下記式(化11)で示される化合物
【0066】
【化11】
【0067】(24) 下記式(化12)で示される化合物
【0068】
【化12】
【0069】
【0070】また、シロキサン結合鎖とクロロシリル
基、またはアルコキシシラン基またはイソシアネートシ
ラン基を含む以下のものが使用できた。この場合も、高
度に配向した膜が得られた。 (25) ClSi(CH3)2OSi(CH3)2OSi(CH3)2OSi(CH3)2Cl (26) Cl3SiOSi(CH3)2OSi(CH3)2OSi(CH3)2OSi(CH3)2OSiC
l3
【0071】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明によれば、電
極を形成した基板を、炭素鎖またはシロキサン結合鎖を
含み、前記炭素鎖またはシロキサン結合鎖の末端あるい
は一部に被膜の表面エネルギーを制御する官能基を少な
くとも一つ含んでいるシラン系界面活性剤を用いて作製
した化学吸着液に接触させ、前記吸着液中の界面活性剤
分子と基板表面とを化学反応させ前記界面活性剤分子を
基板表面に一端で結合固定する工程と、ラビング工程を
用いることにより、従来のものに比べて格段に均一で薄
く、注入される液晶の配向方向はラビング方向で制御さ
れ、プレチルト角度は単分子膜の表面エネルギーで制御
された新規な配向膜を提供できる効果がある。
【0072】また、ラビング工程後に、偏光板にパター
ン状のマスクを重ねて露光する工程を複数回行うと、同
一面内の配向膜内でパターン状の配向方向のみ異なる部
分を複数箇所設けることができ、従来のようなラビング
では難しかった個々の画素の配向が複数種に分割された
マルチドメインの液晶表示装置を効率良く合理的に作製
できる。
【0073】さらにまた、このような配向膜は、基板表
面に共有結合を介して強固に結合されているため、極め
て高信頼な液晶表示装置を提供できる。
【0074】なお、吸着形成された配向膜は、特定の表
面エネルギーを有する液晶例えばネマティック液晶や強
誘電液晶を結合組み込むことも可能なため、配向方向お
よびチルト角の制御のみならず配向規制力の大きな配向
膜を効率良く合理的に作製できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1における単分子膜状の液晶
配向膜作製に用いる化学吸着工程を説明するための断面
概念図。
【図2】 本発明の実施例1の単分子膜状の液晶配向膜
作製の洗浄工程を説明するための断面概念図。
【図3】 本発明の実施例1の溶媒洗浄後の単分子膜状
の液晶配向膜内の分子配向状態を説明するために断面を
分子レベルまで拡大した概念図。
【図4】 本発明の実施例1の光露光により吸着された
分子を再配向させるために用いた露光工程の概念図。
【図5】 本発明の実施例1の光配向後の単分子膜状の
液晶配向膜内の分子配向状態を説明するための概念図。
【図6】 本発明の実施例1の光配向後の化学吸着単分
子膜の分子配向状態を説明するために断面を分子レベル
まで拡大した概念図。
【図7】 本発明の実施例2におけるクロロシラン単分
子膜の形成された状態(空気中の水分との反応前)を説
明するために分子レベルまで拡大した断面概念図。
【図8】 本発明の実施例2におけるシロキサン単分子
膜の形成された状態を説明するために分子レベルまで拡
大した断面概念図。
【図9】 本発明の実施例3において液晶表示装置製造
を説明するための断面概念図。
【符号の説明】
1 基板 2 化学吸着液 3 洗浄用非水系溶媒 4 1次配向された化学吸着単分子膜 4´ 再配向された化学吸着単分子膜 5 ラビング方向 6 偏光膜 7 照射光 8 再配向方向 9 透明電極 11 クロロシラン分子 12 シロキサン単分子膜 13 偏光方向 21 第1の電極群 22 トランジスタ群 23 第1の基板 24 カラーフィルター群 25 第2の電極 26 第2の基板 27 液晶配向膜 28 スペーサー 29 接着剤 30 液晶 31,32 偏光板 33 バックライト
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年5月28日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 液晶配向膜とその製造方法およびそれ
を用いた液晶表示装置とその製造方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶配向膜とその
製造方法およびそれを用いた液晶表示装置とその製造方
法に関するものである。さらに詳しくは、テレビジョン
(TV)画像やコンピュータ画像等を表示する液晶を用
いた平面表示パネルに用いる液晶配向膜およびその製造
方法およびそれを用いた液晶表示装置とその製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、カラー液晶表示パネルは、マトリ
ックス状に配置された対向電極を形成した2つの基板の
間にポリビニルアルコールやポリイミド樹脂溶液をスピ
ナー等で回転塗布して形成しラビングした液晶配向膜を
介して液晶を封入した装置が一般的であった。
【0003】例えば、予め第1のガラス基板上に画素電
極を持った薄膜トランジスタ(TFT)アレイを形成し
たものと、第2のガラス基板上に複数個の赤青緑のカラ
ーフィルターが形成されさらにその上に共通透明電極が
形されたもの、それぞれの電極面にポリビニルアルコー
ルやポリイミド溶液をスピナーを用いて塗布して被膜形
成した後、ラビングを行なって液晶配向膜を形成し、ス
ペーサーを介して任意のギャップで対向するように接着
組み立てた後、液晶(ツイストネマチック(TN)等)
を注入しパネル構造を形成した後、パネルの裏表に偏光
板を設置し、裏面よりバックライトを照射しながら、T
FTを動作させカラー画像を表示するデバイスが知られ
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
配向膜の作成は、ポリビニルアルコールやポリイミド樹
脂を有機溶媒に溶解させ回転塗布機などを用いて塗膜形
成した後、フェルト布等を用いてラビングを行なう方法
が用いられていたため、膜厚を全面にわたり均一にする
のは難しく、また厚さを薄くするのには限界があり、液
晶表示素子を作成し使用時表示むらがでたり、表示焼き
付きがでたり、駆動電圧が高くなる等大きな問題があっ
た。
【0005】本発明は、前記従来の問題を解決するた
め、液晶表示パネルにおいて使用される配向膜であり、
厚みはナノメータレベルできわめて薄く、液晶の配向方
向はラビングにより制御され、液晶のプレチルト角度は
配向膜の臨界表面エネルギーを制御することにより制御
された液晶用配向膜を高能率で均一性よく提供できる方
法およびそれを用いた表示素子を製造する方法を提供す
ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明では、あらかじめ所望の電極を形成した基板
表面に形成された単分子膜状の被膜であり、前記被膜を
構成する分子が炭素鎖またはシロキサン結合鎖を含み、
前記炭素鎖またはシロキサン結合鎖の末端あるいは一部
に被膜の表面エネルギーを制御する官能基を少なくとも
一つ含んでいる単分子膜状の被膜を作製した後、ラビン
グすることにより、従来のものに比べて格段に均一で薄
く、注入される液晶のプレチルト角度を制御でき、且つ
液晶を任意の方向に配向させ得る機能を有する新規な配
向膜を提供する。
【0007】このとき、被膜を構成する分子として臨界
表面エネルギーの異なる複数種のシリコン系界面活性剤
を混合して用い、固定された被膜が所望の臨界表面エネ
ルギー値になるよう組成を制御すると注入された液晶の
プレチルト角を任意に制御する上で都合がよい。
【0008】また、単分子膜の表面エネルギーを制御す
る官能基として、3フッ化炭素基(−CF3)、メチル
基(−CH3)、ビニル基(−CH=CH2)、アリル基
(−CH=CH−)、アセチレン基(炭素−炭素の3重
結合)、フェニル基(−C65)、フェニレン基(−C
64−)、ハロゲン原子、アルコキシ基(−OR;Rは
アルキル基を表す、とくに炭素数1〜3の範囲のアルキ
ル基が好ましい。)、シアノ基(−CN)、アミノ基
(−NH2)、水酸基(−OH)、カルボニル基(=C
O)、カルボキシ基(−COO−)及びカルボキシル基
(−COOH)から選ばれる少なくとも一つの有機基を
用いると臨界表面エネルギーの制御を容易に行える。
【0009】さらに、被膜を構成する分子の末端にSi
を含ませておくことにより、基板表面への分子の固定が
きわめて容易になる。さらにまた、被膜の臨界表面エネ
ルギーを15mN/m〜56mN/mの間で所望の値に
制御しておくことにより、注入する液晶のプレチルト角
を0〜90度の範囲で任意に制御できる。
【0010】一方、このような配向膜は、電極を形成し
た基板を、炭素鎖またはシロキサン結合鎖を含み且つ前
記炭素鎖またはシロキサン結合鎖の末端あるいは一部に
被膜の表面エネルギーを制御する官能基を少なくとも一
つ含んでいるシラン系界面活性剤を用いて作製した化学
吸着液に接触させ前記吸着液中の界面活性剤分子と基板
表面とを化学反応させ前記界面活性剤分子を基板表面に
一端で結合固定する工程と、表面をラビングする工程を
行うことにより製造できる。
【0011】また、界面活性剤として直鎖状炭素鎖また
はシロキサン結合鎖とクロロシリル基、またはアルコキ
シシリル基またはイソシアネートシリル基を含むシラン
系の界面活性剤を用いると単分子膜状の被膜を製造する
上で都合がよい。
【0012】さらに、界面活性剤として臨界表面エネル
ギーの異なる複数種のシリコン系界面活性剤を混合して
用いれば、被膜の臨界表面エネルギーをより細かく制御
でき、液晶のプレチルト角度を精度良く制御する上で都
合がよい。
【0013】さらにまた、炭素鎖またはシロキサン結合
鎖の末端または主鎖内、あるいは側鎖に3フッ化炭素基
(−CF3)、メチル基(−CH3)、ビニル基(−CH
=CH2)、アリル基(−CH=CH−)、アセチレン
基(炭素−炭素の3重結合)、フェニル基(−C
65)、フェニレン基(−C64−)、ハロゲン原子、
アルコキシ基(−OR;Rはアルキル基を表す、とくに
炭素数1〜3の範囲のアルキル基が好ましい。)、シア
ノ基(−CN)、アミノ基(−NH2)、水酸基(−O
H)、カルボニル基(=CO)、カルボキシ基(−CO
O−)及びカルボキシル基(−COOH)から選ばれる
少なくとも一つの有機基を組み込むことで被膜の臨界表
面エネルギーをより細かく制御できる。
【0014】また、界面活性剤分子を基板表面に一端で
結合固定する工程の後に、有機溶剤で洗浄して、さらに
所望の方向に基板を立てて液切りを行い、液切り方向に
前記固定された分子を予備配向させる工程を行うこと
で、注入した液晶の配向方向をより均一に制御できる。
【0015】また、単分子膜を任意の方向にラビングし
て前記配向された分子を所望の方向に配向させた後、偏
光板にパターン状のマスクを重ねて露光する工程を行
い、同一面内の配向膜内でパターン状の配向方向の異な
る部分を複数箇所設けることで、デバイスの表示性能を
より向上できる。
【0016】さらにまた、界面活性剤として直鎖状炭素
鎖またはシロキサン結合鎖とクロロシリル基またはイソ
シアネートシリル基を含むシラン系の界面活性剤を用
い、洗浄有機溶媒として水を含まない非水系の有機溶媒
を用いることで、より欠陥の少ない単分子膜状の液晶配
向膜を提供できる。
【0017】このとき、非水系の有機溶媒として、アル
キル基、フッ化炭素基または塩化炭素基またはシロキサ
ン基を含む溶媒を用いると液切りに都合がよい。界面活
性剤分子を一端で固定する工程の前に、多数のSiOH
基を含む被膜を形成する工程を行い、この膜を介して単
分子膜状の被膜を形成、ラビングすることで、より密度
の高い単分子膜状の液晶配向膜を提供できる。
【0018】さらに、炭素鎖またはシロキサン結合鎖を
含み、前記炭素鎖またはシロキサン結合鎖の末端あるい
は一部に被膜の表面エネルギーを制御する官能基を少な
くとも一つ含んでいる分子で構成された単分子膜状の被
膜がラビングされ、液晶用の配向膜として2つの対向さ
せる電極の形成された基板表面の少なくとも一方の基板
の電極側表面に直接または他の被膜を介して間接に形成
されており、液晶が前記2つの対向する電極に前記配向
膜を介して挟まれている液晶表示装置を作製することに
より、厚みはナノメータレベルできわめて薄く、液晶の
配向方向はラビングにより制御され、液晶のプレチルト
角度は配向膜の臨界表面エネルギーを制御することによ
り制御された液晶用配向膜を有する液晶表示装置を提供
できる。
【0019】なお、対向させる2つの電極の形成された
基板表面にそれぞれ前記被膜を配向膜として形成してお
くとよりコントラストの高い液晶表示装置を提供でき
る。また、基板表面の被膜にパターン状の配向方向の異
なる部分を複数箇所作り込んでおくと表示視野角を大幅
に改良できて好都合である。
【0020】さらに、対向する電極が片方の基板表面に
それぞれ形成されている面内スイッチ(IPS)タイプ
の表示素子にも有効に利用可能である。
【0021】一方、このような表示素子の製造には、あ
らかじめマトリックス状に載置された第1の電極群を有
する第1の基板を直接または任意の薄膜を形成した後、
炭素鎖またはシロキサン結合鎖を含み、前記炭素鎖また
はシロキサン結合鎖の末端あるいは一部に被膜の表面エ
ネルギーを制御する官能基を少なくとも一つ含んでいる
シラン系界面活性剤を用いて作製した化学吸着液に接触
させ前記吸着液中の界面活性剤分子と基板表面とを化学
反応させ前記界面活性剤分子を基板表面に一端で結合固
定する工程と、有機溶剤で洗浄後さらに所望の方向に基
板を立てて液切りを行い液切り方向に前記固定された分
子を予備配向させる工程と、表面をラビングする工程
と、前記第1の電極群を有する第1の基板と第2の基
板、または第2の電極叉は電極群を有する第2の基板
を、電極面を内側にして所定の間隙を保ちつつ位置合わ
せして接着固定する工程と、前記第1と第2の基板の間
に所定の液晶を注入する工程を用いると表示特性に優れ
た液晶表示装置を効率よく製造できる。
【0022】さらに、ラビングして前記結合された界面
活性剤分子の向きを所望の傾きを有した状態で特定の方
向に揃える工程の後、偏光板にパターン状のマスクを重
ねて露光する工程を行うことより、同一面内の配向膜内
でパターン状の配向方向の異なる部分を複数箇所設ける
と、マルチドメイン配向した液晶表示装置を効率よく提
供できる。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明では、少なくとも、電極を
形成した基板を、炭素鎖またはシロキサン結合鎖を含
み、前記炭素鎖またはシロキサン結合鎖の末端あるいは
一部に被膜の表面エネルギーを制御する官能基を少なく
とも一つ含んでいるシラン系界面活性剤を用いて作製し
た化学吸着液に接触させ前記吸着液中の界面活性剤分子
と基板表面とを化学反応させ前記界面活性剤分子を基板
表面に一端で結合固定する工程と表面をラビングする工
程とを用いて、所望の電極を形成した基板表面に形成さ
れた単分子膜状の被膜であり、且つ前記被膜を構成する
分子が炭素鎖またはシロキサン結合鎖を含み、前記炭素
鎖またはシロキサン結合鎖の末端あるいは一部に被膜の
表面エネルギーを制御する官能基を少なくとも一つ含ん
でおり、かつラビング方向に沿って液晶の配向規制力を
有する液晶配向膜を提供する。
【0024】また,あらかじめマトリックス状に載置さ
れた第1の電極群を有する第1の基板を直接または任意
の薄膜を形成した後、炭素鎖またはシロキサン結合鎖を
含み、前記炭素鎖またはシロキサン結合鎖の末端あるい
は一部に被膜の表面エネルギーを制御する官能基を少な
くとも一つ含んでいるシラン系界面活性剤を用いて作製
した化学吸着液に接触させ前記吸着液中の界面活性剤分
子と基板表面とを化学反応させ前記界面活性剤分子を基
板表面に一端で結合固定する工程と、有機溶剤で洗浄後
さらに所望の方向に基板を立てて液切りを行い液切り方
向に前記固定された分子を予備配向させる工程と、任意
の方向にラビングを行いさらに配向を制御する工程と、
前記第1の電極群を有する第1の基板と第2の基板、ま
たは第2の電極叉は電極群を有する第2の基板を、電極
面を内側にして所定の間隙を保ちつつ位置合わせして接
着固定する工程と、前記第1と第2の基板の間に所定の
液晶を注入する工程とを用いて、 炭素鎖またはシロキ
サン結合鎖 を含み、前記炭素鎖またはシロキサン結合
鎖の末端あるいは一部に被膜の表面エネルギーを制御す
る官能基を少なくとも一つ含んでいる分子で構成された
被膜が、液晶用の配向膜として2つの対向させる電極の
形成された基板表面の少なくとも一方の基板の電極側表
面に直接または他の被膜を介して間接に形成されてお
り、且つ液晶が前記2つの対向する電極に前記配向膜を
介して挟まれている液晶表示装置を提供できる。
【0025】
【実施例】以下実施例を用いて本発明をさらに具体的に
説明する。 (実施例1)表面に透明電極の形成されたガラス基板1
(表面に水酸基を多数含む)を準備し、あらかじめよく
洗浄脱脂する。次に、末端に被膜の表面エネルギーを制
御する官能基を一つ組み込んだ直鎖状炭化水素基及びS
iを含むシラン系界面活性剤(以下、化学吸着物質ある
いは化学吸着化合物ともいう)、CH3(CH214Si
Cl3とNC(CH214SiCl3(モル比で1:1に
混合して用いた)を用い、1重量%程度の濃度で非水系
の溶媒に溶かして化学吸着溶液を調整した。非水系溶媒
としては、良く脱水したヘキサデカンを用いた。このよ
うにして調製された溶液を吸着溶液2とし、この吸着溶
液2の中に、乾燥雰囲気中(相対湿度30%以下)で前
記基板1を1時間程度浸漬(塗布しても良い)した(図
1)。その後、液から引き上げて、良く脱水した水を含
まない非水系の溶媒であるn−ヘキサン3で洗浄した
後、基板を所望の方向に立てた状態で洗浄液より引き上
げて液切りし水分を含む空気中に暴露した(図2)。前
記の一連の工程で、前記クロロシラン系界面活性剤のS
iCl基と前記基板表面の水酸基とで脱塩酸反応が生
じ、下記式(化1および2)の結合が生成された。さら
に、空気中の水分と反応して式(化3及び4)の結合が
生成された。なお、このとき吸着された分子の炭素鎖は
液切り方向にある程度配向していた。
【0026】
【化1】
【0027】
【化2】
【0028】
【化3】
【0029】
【化4】
【0030】次に、レーヨン布をセットしたラビング装
置を用いて押し込み0.3mmで5m/分の条件で引き
上げ方向に対して45度となるようラビングを行った。
以上の処理により、前記クロロシラン系界面活性剤が反
応してなる化学吸着単分子膜4が基板表面の水酸基が含
まれていた部分にシロキサンの共有結合を介して化学結
合した状態で結合され、結合された分子がラビング方向
5に沿って配向して約1.3nmの膜厚で形成された
(図3)。なお、このとき化学吸着膜の臨界表面エネル
ギーは約25mN/mであった。
【0031】さらに、この状態の基板2枚を用い、化学
吸着膜が向かい合うように組み合わせて、ラビング方向
がアンチパラレルになるようにセットし20ミクロンギ
ヤップの液晶セルを組み立て、ネマチック液晶(ZLI
4792;メルク社製)を注入して配向状態を確認する
と、注入した液晶分子がラビング方向5に沿って、すな
わち化学吸着された分子に沿って基板に対して約プレチ
ルト角61゜で配向していた(図3)。
【0032】このとき、CH3(CH214SiCl3
NC(CH214SiCl3の組成を1:0〜0:1(好
ましくは10:1〜1:50)で変えると、臨界表面エ
ネルギーは17mN/mから26mN/mに変化し、そ
れぞれプレチルト角は86゜から33゜の範囲で任意に
制御できた。さらに、化学吸着化合物としてフッ素を含
む界面活性剤、例えば、CF3(CF25(CH22
iCl3を添加して行くと臨界表面エネルギーは15m
N/mまで小さくできた。この場合は、液晶のプレチル
ト角はほぼ90度であったが、電圧を印加して駆動して
みると、きわめて均一な配向変化を示した。
【0033】なお、膜を選択的に形成したい場合には、
印刷機を用いて所望のパターンで基板表面1に吸着液2
を印刷する方法が利用できた。
【0034】以上のように、この実施例では、得られる
膜表面の臨界表面エネルギーが異なり、且つ炭素鎖長が
−(CH214−と同じ長さのシラン系界面活性剤を用
いたが、炭素鎖長の長さが異なる(例えば、−(C
2n−;nは1から30の範囲の整数)界面活性剤を
混合して用いても、臨界表面エネルギーが同じなら配向
方向はラビング方向で制御でき、プレチルト角度は単分
子膜の臨界表面エネルギーで同様に制御できた。
【0035】さらに、この状態の基板を2種類用い、ラ
ビング方向5とほぼ直交する方向に偏光方向13が向く
ように偏光板(HNP´B)6(ポラロイド社製)を基
板に重ねてセットし、500Wの超高圧水銀灯の365
nm(i線)の光7(偏光膜透過後3.6mW/c
2)を用いて900mJ照射した(図4)。
【0036】その後、前記化学吸着単分子膜4’中の直
鎖状炭素鎖の配向方向を調べると臨界表面エネルギーと
チルト角は変わらなかったが配向方向8は偏光方向13
とほぼ平行方向に変化し、しかも配向ばらつきも予備配
向時より改善されていた(図5〜6)。図中、9は透明
電極を表わす。なお、このとき照射部の吸着分子の配向
方向を一方向に揃えるためには、ラビング方向と完全に
90゜で交差するのではなく、多少、好ましくは数度以
上ずらす必要がある。この場合、最大、ラビング方向と
平行になるように偏光方向13を合わせても良い。もし
万一完全に90゜に交差させれば、個々の分子が2方向
に向いてしまう場合がある。
【0037】ここで、選択的に配向方向を変えたい場合
には、あらかじめ全面ラビングを行った後、偏光板にパ
ターン状のマスクを重ねて800〜1200mJのエネ
ルギーで365nmの波長の紫外線を照射すると、照射
された部分のみ配向方向が変化し同一面内の配向膜内で
パターン状に配向方向の異なる部分、すなわち、ラビン
グ方向5と偏光方向13にそれぞれ沿って液晶が配向す
る部分を複数箇所設けることができた。さらに、所望の
マスクを偏光板に重ねて同様の条件で露光する工程を複
数回行うと、きわめて容易にパターン状に複数の配向方
向の異なる単分子膜状の液晶配向膜を作製できた。すな
わち、一つの絵素がマルチドメイン配向された液晶表示
装置を提供できた。
【0038】本実施例では、洗浄用の水を含まない溶媒
として、アルキル基を含む炭化水素系のn−ヘキサンを
用いたが、これ以外にも、水を含まず界面活性剤を溶か
す溶媒ならどのような溶媒でも使用可能である。たとえ
ばこれ以外にも、フッ化炭素基、塩化炭素基またはシロ
キサン基を含む溶媒、例えば、フレオン113やクロロ
ホルムやヘキサメチルジシロキサン等をそれぞれ用いる
ことができた。
【0039】(実施例2)実施例1に於て、炭素鎖やシ
ロキサン結合鎖を含む界面活性剤分子の化学吸着を行う
工程の前に、クロロシリル基を複数個含む化合物を溶か
して作製した吸着溶液を作り、ドライ雰囲気中で浸漬し
た。すると、基板表面に含まれた水酸基とクロロシリル
基を複数個含む化合物のクロロシリル基が脱塩酸反応し
た。その後、さらに水と反応させると残ったクロロシリ
ル基が水酸基に変化して、表面にSiOH結合、すなわ
ち水酸基を多数含む化学吸着膜が形成された。
【0040】たとえば、クロル基を複数個含むシリル化
合物としてSiCl4 を用いn−オクタンに溶かして吸
着液を作製し、乾燥雰囲気中で基板を浸漬すれば、表面
にはーOH基が含まれているので、界面で脱塩酸反応が
生じ下記式(化5)及び/または(化6)が形成され、
クロロシラン分子11が−SiO−結合を介して基板表
面に固定される。
【0041】
【化5】
【0042】
【化6】
【0043】その後、非水系の溶媒例えばクロロホルム
で洗浄すると、基板と反応していない余分のSiCl4
分子は除去される(図7)。さらに空気中に取りだし水
と反応させると、表面に下記式(化7)及び/または
(化8)で示される多数のSiOH結合を含むシロキサ
ン単分子吸着膜12が得られた(図8)。
【0044】
【化7】
【0045】
【化8】
【0046】なお、このとき非水系の溶媒例えばクロロ
ホルムで洗浄する工程を省けば、表面に多数のSiOH
結合を含むポリシロキサン化学吸着膜が形成された。な
お、このときできたシロキサン単分子膜12は基板とは
−SiO−の化学結合を介して完全に結合されているの
で剥がれることが無い。また、得られた単分子膜は表面
にSiOH結合を数多く持つ。特に−OH基は、当初の
約2〜3倍程度の数が生成された。この状態での処理部
は、極めて親水性が高かった。そこで、この状態で、実
施例1と同様の界面活性剤を用い化学吸着工程を行う
と、図1と同様の界面活性剤が反応してなる炭素鎖を含
む化学吸着単分子膜が前記シロキサン単分子膜12を介
してシロキサンの共有結合で化学結合した状態で約1.
5nmの膜厚で形成された。このとき、界面活性剤の吸
着前の基材表面の吸着サイト(この場合はOH基)は、
実施例1に比べて約2〜3倍程度と多いため、実施例1
の場合に比べより吸着分子密度を大きくできた。また、
処理部は親油性となった。
【0047】次に、この状態の基板を用い、引き上げ方
向とほぼ直交する方向にラビング方向が向くようにラビ
ングをおこなった。その後、前記化学吸着単分子膜中の
直鎖状炭素鎖の配向方向を調べると実施例1に比べチル
ト角は86゜と多少大きくなっていたが配向方向はラビ
ング方向とほぼ平行に変化し、しかも配向ばらつきも改
善されていた。なお、このときの臨界表面エネルギーは
28mN/mであった。
【0048】そこでこの状態の基板2枚を用い、化学吸
着膜が向かい合うように組み合わせて、配向方向がアン
チパラレルになるようにして20ミクロンギヤップの液
晶セルを組み立て、ネマチック液晶(ZLI4792;
メルク社製)を注入して配向状態を確認すると、注入し
た液晶分子が化学吸着された分子に沿って基板に対して
プレチルト角約46゜で配向することが確認できた。
【0049】なお、クロル基を複数個含むシリル化合物
として、前記SiCl4 以外に、例えば、Cl−(Si
Cl2O)2−SiCl3、またはSiHCl3、SiH2
Cl2、さらに、Cl−(SiCl2O)n−SiCl
3(nは整数)が利用できた。
【0050】(実施例3)実施例1に於て、化学吸着物
質としてCH3(CH214SiCl3とNC(CH32
(CH214SiCl3の代わりに、ClSi(CH32
OSi(CH32OSi(CH32OSi(CH32
lとCH3(CH214SiCl3を1:0〜0:1の間
で混合して用いた場合、臨界表面エネルギーは混合比に
応じて35mN/mから21mN/mの範囲で制御でき
た。さらに、セルを組立同様の液晶を注入するとプレチ
ルト角は5度から89度の範囲で制御できた。
【0051】なお、直鎖状のシロキサン結合鎖を含んだ
ClSi(CH32OSi(CH32OSi(CH32
OSi(CH32Clと直鎖状の炭化水素鎖を含んだC
3(CH214SiCl3を所望の比率で混合して用い
て被膜を作製すると、表面に下記式(化9)および(化
10)で示される分子を混合比率に応じて含む化学吸着
単分子膜が得られた。
【0052】
【化9】
【0053】
【化10】
【0054】(実施例4)実施例1に於て、化学吸着物
質としてCH3(CH214SiCl3とNC(CH32
(CH214SiCl3の代わりに、HOOC(CH2
16Si(OCH3 3とBr(CH28Si(OCH33
を1:0〜0:1の間で混合して用い、化学吸着時に1
00℃で2時間還流した。この場合には、臨界表面エネ
ルギーは混合比に応じて56mN/mから31mN/m
の範囲で制御できた。さらに、セルを組立後同様の液晶
を注入すると、液晶の配向方向はラビング方向で制御さ
れ、プレチルト角は0度から27度の範囲で制御でき
た。
【0055】(実施例5)実施例1に於て、化学吸着物
質としてCH3(CH214SiCl3とNC(CH32
(CH214SiCl3の代わりに、CH3CH2*HC
3CH2OCO(CH210SiCl3(ただし、C*
炭素)とCH3SiCl3とを1:0〜1:20の間
で混合して用い同様の配向膜を作製した。この場合に
は、臨界表面エネルギーは混合比に応じて36mN/m
から41mN/mの範囲で制御できた。さらに、セルを
組立後同様の液晶を注入すると、液晶の配向方向はラビ
ング方向で制御され、プレチルト角は3度から0.1度
の範囲で制御できた。
【0056】(実施例6)次に、上記液晶配向膜を用い
て実際に液晶表示デバイスを製造しようとする場合の製
造プロセスについて図9を用いて説明する。
【0057】まず、図9に示すように、マトリックス状
に載置された第1の電極群21とこの電極を駆動するト
ランジスター群22を有する第1の基板23上、および
第1の電極群と対向するように載置したカラーフィルタ
ー群24と第2の電極25を有する第2の基板26上
に、実施例5と同様の手順にしたがって、調製した化学
吸着液を塗布し、臨界表面エネルギーが36mN/mの
化学吸着単分子膜を作製した。
【0058】その後、実施例1と同様の条件で電極パタ
ーンと平行になるようにラビングを行った。その結果、
実施例5と同様に電極パターンに沿って直鎖状の炭化水
素基が再配向した臨界表面エネルギーが37mN/mの
液晶配向膜27が作製できた。次に、前記第1と第2の
基板23、26を電極が対向するように位置合わせして
スペーサー28と接着剤29でおよそ5ミクロンのギャ
ップで固定した。その後、前記第1と第2の基板に前記
TN液晶30を注入した後、偏光板31、32を組み合
わせて表示素子を完成した。このとき注入された液晶の
プレチルト角は3度であった。
【0059】この様なデバイスは、バックライト33を
全面に照射しながら、ビデオ信号を用いて各々のトラン
ジスタを駆動することで矢印Aの方向に映像を表示でき
た。 (実施例7)実施例6におけるラビング工程後、実施例
1と同様に前記偏光板に各々の画素を市松状に4分割す
るパターン状のマスクを重ねて露光する工程を1回行う
と、同一画素内でパターン状に配向方向の異なる部分を
4箇所設けることができた。そして、この配向膜を形成
した基板を用いると液晶表示装置の視野角を大幅に改善
できた。
【0060】なお、上記実施例1では、露光に用いる光
として超高圧水銀灯のi線である365nmの光を用い
たが、膜物質の光の吸収度合いに応じて436nm、4
05nm、254nmやKrFエキシマレーザーで得ら
れる248nmの光を用いることも可能である。特に、
248nmや254nmの光は大部分の物質に吸収され
易いためエネルギー配向効率が高い。
【0061】また、直鎖状炭化水素基またはシロキサン
結合鎖とクロロシリル基、またはアルコキシシリル基ま
たはイソシアネートシリル基を含むシラン系の界面活性
剤として、分子端にシアノ基と他の一端にクロロシリル
基を含んだクロロシラン系界面活性剤とメチル基とクロ
ロシリル基を含んだクロロシラン系界面活性剤を混合し
て用いた、すなわち表面エネルギーの異なる膜となる2
種のクロロシラン系界面活性剤を混合して用いた例を示
したが、本願発明ではこれらに限定されるものではな
く、表面エネルギーの異なる各種界面活性剤を組み合わ
せて、各種表面エネルギーの異なる配向膜を作製でき
た。例えば、以下に示したような炭化水素基の末端に3
フッ化炭素基(−CF3)、メチル基(−CH3)、ビニ
ル基(−CH=CH2)、アリル基(−CH=CH
−)、アセチレン基(炭素−炭素の3重結合)、フェニ
ル基(−C65)、フェニレン基(−C64−)、ハロ
ゲン原子、アルコキシ基(−OR;Rはアルキル基を表
す、とくに炭素数1〜3の範囲のアルキル基が好まし
い。)、シアノ基(−CN)、アミノ基(−NH2)、
水酸基(−OH)、カルボニル基(=CO)、カルボキ
シ基(−COO−)及びカルボキシル基(−COOH)
から選ばれる少なくとも一つの有機基、あるいは光学活
性を有する炭化水素基で置換されたクロロシラン系界面
活性剤が使用できた。
【0062】なお、Ha(CH2nSiCl3 (Haは
塩素、臭素、ヨウ素、ふっ素等のハロゲン原子を表し、
nは整数で1〜24が好ましい。)で示されるクロロシ
ラン系界面活性剤も使用できる。さらに下記の一般式で
示される化合物も使用できる。
【0063】(1) CH3(CH2)nSiCl3 (nは整数で0〜2
4が好ましい。) (2) CH3(CH2)pSi(CH3)2(CH2)qSiCl3(p,qは整数で0
〜10が好ましい。) (3) CH3COO(CH2)mSiCl3(mは整数で7〜24が好まし
い。) (4) C6H 5 (CH2)nSiCl3(nは整数で0〜24が好まし
い。) (5) CN(CH2)nSiCl3(nは整数で0〜24が好まし
い。) (6) Cl3Si(CH2)nSiCl3(nは整数で3〜24が好まし
い。) (7) Cl3Si(CH2)2(CF2)n(CH2)2SiCl3(nは整数で1〜1
0が好ましい。)
【0064】さらにクロロシラン系界面活性剤以外に、
以下に示したようなアルコキシシリル基またはイソシア
ネートシリル基を含むシラン系の界面活性剤が使用でき
た。 (8) Ha(CH2)nSi(OCH3)3(Haは塩素、臭素、ヨウ素、
ふっ素等のハロゲン原子を表し、nは整数で1〜24が
好ましい。) (9) CH3(CH2)nSi(NCO)3(nは整数で0〜24が好まし
い。) (10) CH3(CH2)pSi(CH3)2(CH2)qSi(OCH3)3(p,qは整
数で0〜10が好ましい。) (11) HOOC(CH2)mSi(OCH3)3(mは整数で7〜24が好ま
しい。) (12) H2N(CH2)mSi(OCH3)3(mは整数で7〜24が好ま
しい。) (13) C6H 5 (CH2)nSi(NCO)3(nは整数で0〜24が好ま
しい。) (14) CN(CH2)nSi(OC2H5)3(nは整数で0〜24が好ま
しい。)
【0065】より具体的には下記の化合物も使用でき
る。 (1) Br(CH2)8SiCl3 (2) CH2=CH(CH2)17SiCl3 (3) CH3(CH2)8-CO-(CH2)10SiCl3 (4) CH3(CH2)5-COO-(CH2)10SiCl3 (5) CH3(CH2)8-Si(CH3)2-(CH2)10SiCl3 (6) CH3(CH2)17SiCl3 (7) CH3(CH2)5Si(CH3)2(CH2)8SiCl3 (8) CH3COO(CH2)14SiCl3 (9) C6H 5 (CH2)8SiCl3 (10) CN(CH2)14SiCl3 (11) Cl3Si(CH2)8SiCl3 (12) Cl3Si(CH2)2(CF2)4(CH2)2SiCl3 (13) Cl3Si(CH2)2(CF2)6(CH2)2SiCl3 (14) CF3CF2(CF2)7(CH2)2SiCl3 (15) (CF3)2CHO(CH2)15Si(CH3)2Cl (16) CF3CF2(CH2)2Si(CH3)2(CH2)15SiCl3 (17) CF3(CF2)4(CH2)2Si(CH3)2(CH2)9SiCl3 (18) CF3(CF2)7(CH2)2Si(CH3)2(CH2)9SiCl3 (19) CF3COO(CH2)15SiCH3Cl2 (20) CF3(CF2)5(CH2)2SiCl3 (21) CH3CH 2C*HCH3CH2OCO(CH2)10SiCl3 (C*は光学活性
の不炭素を示す。) (22) CH3CH 2C*HCH3CH2OCOC6H 4 OCOC6H4 O(CH2)5SiCl3 (23) 下記式(化11)で示される化合物
【0066】
【化11】
【0067】(24) 下記式(化12)で示される化合物
【0068】
【化12】
【0069】また、シロキサン結合鎖とクロロシリル
基、またはアルコキシシリル基またはイソシアネートシ
リル基を含む以下のものが使用できた。この場合も、高
度に配向した膜が得られた。 (25) ClSi(CH3)2OSi(CH3)2OSi(CH3)2OSi(CH3)2Cl (26) Cl3SiOSi(CH3)2OSi(CH3)2OSi(CH3)2OSi(CH3)2OSiC
l3
【0070】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明によれば、電
極を形成した基板を、炭素鎖またはシロキサン結合鎖を
含み、前記炭素鎖またはシロキサン結合鎖の末端あるい
は一部に被膜の表面エネルギーを制御する官能基を少な
くとも一つ含んでいるシラン系界面活性剤を用いて作製
した化学吸着液に接触させ、前記吸着液中の界面活性剤
分子と基板表面とを化学反応させ前記界面活性剤分子を
基板表面に一端で結合固定する工程と、ラビング工程を
用いることにより、従来のものに比べて格段に均一で薄
く、注入される液晶の配向方向はラビング方向で制御さ
れ、プレチルト角度は単分子膜の表面エネルギーで制御
された新規な配向膜を提供できる効果がある。
【0071】また、ラビング工程後に、偏光板にパター
ン状のマスクを重ねて露光する工程を複数回行うと、同
一面内の配向膜内でパターン状の配向方向のみ異なる部
分を複数箇所設けることができ、従来のようなラビング
では難しかった個々の画素の配向が複数種に分割された
マルチドメインの液晶表示装置を効率良く合理的に作製
できる。
【0072】さらにまた、このような配向膜は、基板表
面に共有結合を介して強固に結合されているため、極め
て高信頼な液晶表示装置を提供できる。
【0073】なお、吸着形成された配向膜は、特定の表
面エネルギーを有する液晶例えばネマティック液晶や強
誘電液晶を結合組み込むことも可能なため、配向方向お
よびチルト角の制御のみならず配向規制力の大きな配向
膜を効率良く合理的に作製できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1における単分子膜状の液晶
配向膜作製に用いる化学吸着工程を説明するための断面
概念図。
【図2】 本発明の実施例1の単分子膜状の液晶配向膜
作製の洗浄工程を説明するための断面概念図。
【図3】 本発明の実施例1の溶媒洗浄後の単分子膜状
の液晶配向膜内の分子配向状態を説明するために断面を
分子レベルまで拡大した概念図。
【図4】 本発明の実施例1の光露光により吸着された
分子を再配向させるために用いた露光工程の概念図。
【図5】 本発明の実施例1の光配向後の単分子膜状の
液晶配向膜内の分子配向状態を説明するための概念図。
【図6】 本発明の実施例1の光配向後の化学吸着単分
子膜の分子配向状態を説明するために断面を分子レベル
まで拡大した概念図。
【図7】 本発明の実施例2におけるクロロシラン単分
子膜の形成された状態(空気中の水分との反応前)を説
明するために分子レベルまで拡大した断面概念図。
【図8】 本発明の実施例2におけるシロキサン単分子
膜の形成された状態を説明するために分子レベルまで拡
大した断面概念図。
【図9】 本発明の実施例3において液晶表示装置製造
を説明するための断面概念図。
【符号の説明】 1 基板 2 化学吸着液 3 洗浄用非水系溶媒 4 1次配向された化学吸着単分子膜 4´ 再配向された化学吸着単分子膜 5 ラビング方向 6 偏光膜 7 照射光 8 再配向方向 9 透明電極 11 クロロシラン分子 12 シロキサン単分子膜 13 偏光方向 21 第1の電極群 22 トランジスタ群 23 第1の基板 24 カラーフィルター群 25 第2の電極 26 第2の基板 27 液晶配向膜 28 スペーサー 29 接着剤 30 液晶 31,32 偏光板 33 バックライト
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図9
【補正方法】変更
【補正内容】
【図9】

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所望の電極を形成した基板表面に形成さ
    れた単分子膜状の被膜であり、前記被膜の表面がラビン
    グされている液晶配向膜。
  2. 【請求項2】 被膜を構成する分子が炭素鎖またはシロ
    キサン結合鎖を含み、前記炭素鎖またはシロキサン結合
    鎖の末端あるいは一部に被膜の表面エネルギーを制御す
    る官能基を少なくとも一つ含んでいる請求項1に記載の
    液晶配向膜。
  3. 【請求項3】 被膜を構成する分子として臨界表面エネ
    ルギーの異なる複数種のシラン系界面活性剤を混合して
    用い、固定された被膜が所望の臨界表面エネルギー値を
    示すように制御されている請求項1またはに記載の液晶
    配向膜。
  4. 【請求項4】 表面エネルギーを制御する官能基が、3
    フッ化炭素基(−CF3)、メチル基(−CH3)、ビニ
    ル基(−CH=CH2)、アリル基(−CH=CH
    −)、アセチレン基(炭素−炭素の3重結合)、フェニ
    ル基(−C65)、フェニレン基(−C64−)、ハロ
    ゲン原子、アルコキシ基(−OR;Rはアルキル基を表
    す)、シアノ基(−CN)、アミノ基(−NH2)、水
    酸基(−OH)、カルボニル基(=CO)、カルボキシ
    基(−COO−)及びカルボキシル基(−COOH)か
    ら選ばれる少なくとも一つの有機基である請求項2また
    は3に記載の液晶配向膜。
  5. 【請求項5】 被膜を構成する分子の末端にSiを含ん
    でいる請求項1〜4のいずれかに記載の液晶配向膜。
  6. 【請求項6】 電極を形成した基板を、炭素鎖またはシ
    ロキサン結合鎖を含み前記炭素鎖またはシロキサン結合
    鎖の末端あるいは一部に被膜の表面エネルギーを制御す
    る官能基を少なくとも一つ含んでいるシラン系界面活性
    剤を用いて作製した化学吸着液に接触させ前記吸着液中
    の界面活性剤分子と基板表面とを化学反応させ前記界面
    活性剤分子を基板表面に一端で結合固定する工程と、表
    面をラビングする工程を含むことを特徴とする単分子膜
    状の液晶配向膜の製造方法。
  7. 【請求項7】 界面活性剤として直鎖状炭素鎖またはシ
    ロキサン結合鎖とクロロシリル基またはアルコキシシラ
    ン基またはイソシアネートシラン基を含むシラン系の界
    面活性剤を用いた請求項6に記載の単分子膜状の液晶配
    向膜の製造方法。
  8. 【請求項8】 界面活性剤として臨界表面エネルギーの
    異なる複数種のシリコン系界面活性剤を混合して用いる
    請求項6または7に記載の単分子膜状の液晶配向膜の製
    造方法。
  9. 【請求項9】 炭素鎖またはシロキサン結合鎖の末端ま
    たは一部に3フッ化炭素基(−CF3)、メチル基(−
    CH3)、ビニル基(−CH=CH2)、アリル基(−C
    H=CH−)、アセチレン基(炭素−炭素の3重結
    合)、フェニル基(−C65)、フェニレン基(−C6
    4−)、ハロゲン原子、アルコキシ基(−OR;Rは
    アルキル基を表す)、シアノ基(−CN)、アミノ基
    (−NH2)、水酸基(−OH)、カルボニル基(=C
    O)、カルボキシ基(−COO−)及びカルボキシル基
    (−COOH)から選ばれる少なくとも一つの有機基で
    ある請求項6〜8のいずれかに記載の単分子膜状の液晶
    配向膜の製造方法。
  10. 【請求項10】 界面活性剤分子を基板表面に一端で結
    合固定する工程の後に、有機溶剤で洗浄して、さらに所
    望の方向に基板を立てて液切りを行い、液切り方向に前
    記固定された分子を予備配向させ、その後にラビングを
    行う請求項6〜9のいずれかに記載の単分子膜状の液晶
    配向膜の製造方法。
  11. 【請求項11】 単分子膜を任意の方向にラビングして
    前記配向された分子を所望の方向に配向させた後、偏光
    板にパターン状のマスクを重ねて露光する工程を行い、
    同一面内の配向膜内でパターン状の配向方向の異なる部
    分を複数箇所設けた請求項6〜10のいずれかに記載の
    単分子膜状の液晶配向膜の製造方法。
  12. 【請求項12】 界面活性剤として直鎖状炭素鎖または
    シロキサン結合鎖とクロロシリル基またはイソシアネー
    トシラン基を含むシラン系の界面活性剤を用い、洗浄有
    機溶媒として水を含まない非水系の有機溶媒を用いた請
    求項6〜11のいずれかに記載の単分子膜状の液晶配向
    膜の製造方法。
  13. 【請求項13】 非水系の有機溶媒として、アルキル
    基、ふっ化炭素基または塩化炭素基またはシロキサン基
    を含む溶媒を用いた請求項12に記載の単分子膜状の液
    晶配向膜の製造方法。
  14. 【請求項14】 界面活性剤分子を一端で固定する工程
    の前に、多数のSiO基を含む被膜を形成する工程を行
    い、この膜を介して単分子膜状の被膜を形成した後ラビ
    ングする請求項6〜13のいずれかに記載の単分子膜状
    の液晶配向膜の製造方法。
  15. 【請求項15】 炭素鎖またはシロキサン結合鎖を含
    み、前記炭素鎖またはシロキサン結合鎖の末端あるいは
    一部に被膜の表面エネルギーを制御する官能基を少なく
    とも一つ含んでいる分子で構成された単分子膜状の被膜
    がラビングされ、液晶用の配向膜として2つの対向させ
    る電極の形成された基板表面の少なくとも一方の基板の
    電極側表面に直接または他の被膜を介して間接に形成さ
    れており、液晶が前記2つの対向する電極に前記配向膜
    を介して挟まれていることを特徴とする液晶表示装置。
  16. 【請求項16】 対向させる2つの電極の形成された基
    板表面にそれぞれ前記被膜が配向膜として形成されてい
    る請求項15に記載の液晶表示装置。
  17. 【請求項17】 基板表面の被膜がパターン状の配向方
    向の異なる部分を複数箇所含んでいる請求項15または
    16に記載の液晶表示装置。
  18. 【請求項18】 対向する電極が片方の基板表面に形成
    されている請求項15に記載の液晶表示装置。
  19. 【請求項19】 あらかじめマトリックス状に載置され
    た第1の電極群を有する第1の基板を直接または任意の
    薄膜を形成した後、炭素鎖またはシロキサン結合鎖を含
    み前記炭素鎖またはシロキサン結合鎖の末端あるいは一
    部に被膜の表面エネルギーを制御する官能基を少なくと
    も一つ含んでいるシラン系界面活性剤を用いて作製した
    化学吸着液に接触させ前記吸着液中の界面活性剤分子と
    基板表面とを化学反応させ前記界面活性剤分子を基板表
    面に一端で結合固定する工程と、有機溶剤で洗浄後さら
    に所望の方向に基板を立てて液切りを行い液切り方向に
    前記固定された分子を予備配向させる工程と、表面をラ
    ビングする工程と、前記第1の電極群を有する第1の基
    板と第2の基板、または第2の電極叉は電極群を有する
    第2の基板を、電極面を内側にして所定の間隙を保ちつ
    つ位置合わせして接着固定する工程と、前記第1と第2
    の基板の間に所定の液晶を注入する工程を含むことを特
    徴とした液晶表示装置の製造方法。
  20. 【請求項20】ラビングして前記結合された界面活性剤
    分子の向きを所望の傾きを有した状態で特定の方向に揃
    える工程の後、偏光板にパターン状のマスクを重ねて露
    光する工程を行い、同一面内の配向膜内でパターン状の
    配向方向の異なる部分を複数箇所設けた請求項19に記
    載の液晶表示装置の製造方法。
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