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JPH10330545A - 架橋体組成物 - Google Patents

架橋体組成物

Info

Publication number
JPH10330545A
JPH10330545A JP15312897A JP15312897A JPH10330545A JP H10330545 A JPH10330545 A JP H10330545A JP 15312897 A JP15312897 A JP 15312897A JP 15312897 A JP15312897 A JP 15312897A JP H10330545 A JPH10330545 A JP H10330545A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polymer
sulfonic acid
weight
diene
water
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP15312897A
Other languages
English (en)
Inventor
Keiichi Bessho
啓一 別所
Shigeru Saito
繁 斉藤
Koichi Onoe
浩一 尾上
Katsuhiro Ishikawa
克広 石川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JSR Corp
Original Assignee
JSR Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JSR Corp filed Critical JSR Corp
Priority to JP15312897A priority Critical patent/JPH10330545A/ja
Publication of JPH10330545A publication Critical patent/JPH10330545A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 分散性、親水性、イオン捕捉性、イオン導電
性、基材への高密着性といったスルホン酸基の特性を維
持しつつ、耐水性、耐溶剤性に優れ、かつ様々な条件下
でも、高い耐久性能を有し、バインダー樹脂、コーティ
ング材、表面処理、表面改質などに有用なスルホン酸
(塩)基含有ジエン系(共)重合体を主成分とする親水
性の架橋体組成物を提供すること。 【解決手段】 (A)スルホン酸(塩)基を含有するジ
エン系(共)重合体、ならびに(B)ラジカル発生剤、
加硫剤および加硫促進剤の群から選ばれた少なくとも1
種の化合物、を主成分とする架橋体組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、架橋体組成物に関
し、さらに詳細には、バインダー樹脂、コーティング
材、表面処理、表面改質などに有効なスルホン酸(塩)
基含有親水性架橋体組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、スルホン酸基、カルボン酸基、リ
ン酸基などの、極性基を有する重合体(ポリマー)が知
られており、界面活性剤、乳化剤、分散剤などといった
様々な用途に使用されている。一方、近年、このような
極性基の分散性、親水性、イオン捕捉性、イオン導電
性、基材への密着性といった特徴を活かして、バインダ
ー樹脂、コーティング材、表面処理剤、電池材料などへ
の応用が検討されている。特に、スルホン酸基含有ポリ
マーは、スルホン酸基の有する強イオン性のため、上記
特徴が発現しやすく、その応用性が注目されている。
【0003】しかしながら、これらスルホン酸基を有す
るポリマーは、スルホン酸基がもつ親水性(水溶性)と
いう性質上、水に対する耐性が悪く、例えばコーティン
グ材料、バインダー樹脂などとして使用した場合に、水
の存在下で膨潤などを起こし易く、耐久性が低下すると
いった問題がある。また、スルホン酸基は、アルコー
ル、水などの極性物質が存在しない状況では、イオン会
合を形成し、見かけ上、疑似架橋を形成する。このイオ
ン架橋により、スルホン酸基を含有していないポリマー
に比べ、高強度、良好な耐溶剤性を示す。しかしなが
ら、例えば高温下での使用、あるいは水などの極性物質
が存在した場合に、必ずしも、このような特性を発現で
きなくなる場合がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、分散
性、親水性、イオン捕捉性、イオン導電性、基材への高
密着性といったスルホン酸基の特性を維持しつつ、耐水
性、耐溶剤性に優れ、かつ様々な条件下でも、高い耐久
性能を有し、バインダー樹脂、コーティング材、表面処
理、表面改質などに有用なスルホン酸(塩)基を含有す
る親水性の架橋体組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、(A)スルホ
ン酸(塩)基を含有するジエン系(共)重合体(以下
「スルホン酸(塩)基含有ジエン系(共)重合体」、あ
るいは「スルホン酸基含有ポリマー」ともいう)、なら
びに(B)ラジカル発生剤、加硫剤および加硫促進剤の
群から選ばれた少なくとも1種の化合物(以下「架橋
剤」ともいう)、を主成分とする架橋体組成物を提供す
るものである。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明に用いられるスルホン酸
(塩)基含有ジエン系(共)重合体は、例えばジエンモ
ノマーを必須成分とするジエン系(共)重合体(以下
「ベースポリマー」ともいう)をスルホン化することに
よって得られる。ベースポリマーに使用されるジエンモ
ノマーとしては、例えば1,3−ブタジエン、1,2−
ブタジエン、1,2−ペンタジエン、1,3−ペンタジ
エン、2,3−ペンタジエン、イソプレン、1,2−ヘ
キサジエン、1,3−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジ
エン、1,5−ヘキサジエン、2,3−ヘキサジエン、
2,4−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブ
タジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、1,2−
ヘプタジエン、1,3−ヘプタジエン、1,4−ヘプタ
ジエン、1,5−ヘプタジエン、1,6−ヘプタジエ
ン、2,3−ヘプタジエン、2,5−ヘプタジエン、
3,4−ヘプタジエン、3,5−ヘプタジエン、シクロ
ペンタジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノル
ボルネンなどのほか、分岐した炭素数4〜7の各種脂肪
族あるいは脂環族ジエン類が挙げられ、1種単独でまた
は2種以上を併用して用いることができる。好ましく
は、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタ
ジエンである。
【0007】これらのジエンモノマー以外に、他のモノ
マーを併用することもできる。他のモノマーとしては、
例えばスチレン、α―メチルスチレン、o−メチルスチ
レン、p―メチルスチレン、m―メチルスチレン、ビニ
ルナフタレンなどの芳香族モノマー、(メタ)アクリル
酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリ
ル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ル、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フ
マル酸、イタコン酸などのモノあるいはジカルボン酸ま
たはジカルボン酸の無水物、(メタ)アクリロニトリル
などのビニルシアン化合物、塩化ビニル、塩化ビニリデ
ン、ビニルメチルエチルケトン、酢酸ビニル、(メタ)
アクリルアミド、(メタ)アクリル酸グリシジルなどの
不飽和化合物が挙げられる。これら他のモノマーは、1
種単独でまたは2種以上併用して用いることができる。
これら他のモノマーを併用する場合には、ジエンモノマ
ーの使用量は、好ましくは0.5重量%以上、さらに好
ましくは1重量%以上、特に好ましくは5重量%以上で
ある。0.5重量%未満では、スルホン化して得られる
スルホン酸基含有ポリマー中に導入されるスルホン酸
(塩)基含量が低くなる場合があり、また充分な架橋反
応が起こりにくく好ましくない。
【0008】ベースポリマーは、ジエンモノマーおよび
必要に応じて他のモノマーを、過酸化水素、ベンゾイル
パーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリルなどのラ
ジカル重合開始剤、あるいはn−ブチルリチウム、ナト
リウムナフタレン、金属ナトリウムなどのアニオン重合
開始剤の存在下、必要に応じて公知の溶剤を使用して、
通常、−100〜150℃、好ましくは0〜130℃
で、(共)重合を行うことにより得られる。
【0009】一方、スルホン酸基含有ポリマーの前駆体
であるベースポリマーの残存二重結合の一部を水添して
使用することもできる。この場合、公知の水添触媒が使
用可能で、例えば特開平5―222115号公報に記載
されているような触媒、方法が挙げられる。ベースポリ
マーを水添後、後述する方法でスルホン化することもで
きるが、該(共)重合体をスルホン化したのち、水添し
てもなんら問題ない。
【0010】本発明に使用されるベースポリマーは、ラ
ンダム型でもAB型あるいはABA型などのブロック型
の共重合体でも特に制限なく使用できる。好ましいベー
スポリマーとしては、例えばイソプレン単独重合体、ブ
タジエン単独重合体、イソプレン−スチレンランダム共
重合体、イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチ
レン−イソプレン−スチレン三元ブロック共重合体、ブ
タジエン−スチレンランダム共重合体、ブタジエン−ス
チレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチ
レンブロック共重合体、およびこれら(共)重合体の水
添物、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体など
が挙げられ、好ましくは芳香族モノマー−共役ジエンブ
ロック共重合体、さらに好ましくはスチレン−イソプレ
ン系ブロック共重合体である。
【0011】ジエンモノマーを必須成分とするベースポ
リマーあるいはその水添物のポリスチレン換算の重量平
均分子量(以下「Mw」ともいう)は、好ましくは1,
000〜1,000,000、さらに好ましくは3,0
00〜500,000である。Mwが1,000未満で
あると、充分な強度が得られず、一方、1,000,0
00を超えると、スルホン化反応中にゲル状物質を生成
することがあり好ましくない。
【0012】本発明のスルホン酸基含有ポリマーは、上
記ベースポリマーを、公知の方法、例えば日本化学会編
集、新実験講座(14巻 III、1773頁)、あるいは
特開平2−227403号公報などに記載された方法で
スルホン化して得られる。
【0013】すなわち、上記ベースポリマーは、該ポリ
マー中の二重結合部分をスルホン化剤を用いて、スルホ
ン化することができる。このスルホン化の際、二重結合
は開環して単結合になるか、あるいは二重結合は残った
まま、水素原子がスルホン酸(塩)と置換することにな
る。なお、他のモノマーを使用した場合、二重結合部分
がジエンユニット部分以外にも、例えば芳香族ユニット
がスルホン化されてもかまわない。この場合のスルホン
化剤としては、好ましくは無水硫酸、無水硫酸と電子供
与性化合物との錯体のほか、硫酸、クロルスルホン酸、
発煙硫酸、亜硫酸水素塩(Na塩、K塩、Li塩など)
などが使用される。
【0014】ここで、電子供与性化合物としては、N,
N−ジメチルホルムアミド、ジオキサン、ジブチルエー
テル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエ
ーテル類;ピリジン、ピペラジン、トリメチルアミン、
トリエチルアミン、トリブチルアミンなどのアミン類;
ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィドなどのスルフ
ィド類;アセトニトリル、エチルニトリル、プロピルニ
トリルなどのニトリル化合物などが挙げられ、このうち
でもN,N−ジメチルホルムアミド、ジオキサンが好ま
しい。
【0015】スルホン化剤の量は、ベースポリマー中の
ジエンユニット1モルに対して、通常、無水硫酸換算で
0.005〜1.5モル、好ましくは0.01〜1.0
モルであり、0.005モル未満では、目的とするスル
ホン化率のものが得られないため、親水性、イオン捕捉
性、イオン導電性、密着性といった性能が充分でない場
合があり、一方、1.5モルを超えると、未反応の無水
硫酸などのスルホン化剤が多くなり、アルカリで中和し
たのち、多量の硫酸塩を生じ、純度が低下するため好ま
しくない。
【0016】このスルホン化の際には、無水硫酸などの
スルホン化剤に不活性な溶媒を使用することもでき、こ
の溶媒としては、例えばクロロホルム、ジクロロエタ
ン、テトラクロロエタン、テトラクロロエチレン、ジク
ロロメタンなどのハロゲン化炭化水素;ニトロメタン、
ニトロベンゼンなどのニトロ化合物;液体二酸化イオ
ウ、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘ
キサンなどの脂肪族炭化水素が挙げられる。これらの溶
媒は、適宜、2種以上混合して使用することができる。
【0017】このスルホン化の反応温度は、通常、−7
0〜+200℃、好ましくは−30〜+50℃であり、
−70℃未満ではスルホン化反応が遅くなり経済的でな
く、一方、+200℃を超えると副反応を起こし、生成
物が黒色化あるいは不溶化する場合があり好ましくな
い。かくて、ベースポリマーに無水硫酸などのスルホン
化剤が結合した中間体〔ベースポリマーのスルホン酸エ
ステル、以下「中間体」という〕が生成する。
【0018】本発明のスルホン酸基含有ポリマーは、こ
の中間体に水または塩基性化合物を作用させることによ
り、二重結合は開環してスルホン酸(塩)が結合した単
結合になるか、あるいは二重結合は残ったまま、水素原
子がスルホン酸(塩)と置換することによって得られ
る。この塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸
化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、
カリウムメトキシド、ナトリウム−t−ブトキシド、カ
リウム−t−ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシ
ド;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウムなど
の炭酸塩;メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチ
ルリチウム、sec−ブチルリチウム、アミルリチウ
ム、プロピルナトリウム、メチルマグネシウムクロライ
ド、エチルマグネシウムブロマイド、プロピルマグネシ
ウムアイオダイド、ジエチルマグネシウム、ジエチル亜
鉛、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニ
ウムなどの有機金属化合物;アンモニア水、トリメチル
アミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリ
ブチルアミン、ピリジン、アニリン、ピペラジンなどの
アミン類;ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウ
ム、亜鉛などの金属化合物を挙げることができる。これ
らの塩基性化合物は、1種単独で使用することも、また
2種以上を併用することもできる。これらの塩基性化合
物の中では、アルカリ金属水酸化物、アンモニア水が好
ましく、特に水酸化ナトリウム、水酸化リチウムが好ま
しい。
【0019】塩基性化合物の使用量は、使用したスルホ
ン化剤1モルに対して、2モル以下、好ましくは1.3
モル以下であり、2モルを超えると、未反応悪化が多
く、製品の純度が低下し好ましくない。この中間体と塩
基性化合物の反応の際には、上記塩基性化合物を水溶液
の形で使用することもでき、あるいは塩基性化合物に不
活性な有機溶媒に溶解して使用することもできる。この
有機溶媒としては、上記各種の有機溶媒のほか、ベンゼ
ン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素化合物;
メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノ
ール、エチレングリコールなどのアルコール類などが挙
げられる。これらの溶媒は、適宜、2種以上混合して使
用することができる。
【0020】塩基性化合物を水溶液または有機溶媒溶液
として使用する場合には、塩基性化合物濃度は、通常、
1〜70重量%、好ましくは10〜50重量%程度であ
る。また、この反応温度は、通常、−30〜+150
℃、好ましくは0〜+120℃、さらに好ましくは+5
0〜+100℃で行われ、また常圧、減圧あるいは加圧
下のいずれでも実施することができる。さらに、こ反応
時間は、通常、0.1〜24時間、好ましくは0.5〜
5時間である。
【0021】一方、本発明のスルホン酸基含有ポリマー
は、例えば特開平1−263103号公報に記載された
ジエンモノマーのスルホン酸(塩)、あるいはジエンモ
ノマーのスルホン酸(塩)と上記他のモノマーとの組み
合わせからなるモノマー成分を、ラジカル重合開始剤ま
たはアニオン重合開始剤の存在下、通常、−100℃〜
+150℃、好ましくは0〜130℃で(共)重合を行
うことによって得ることもできる。ここで、ジエンモノ
マーのスルホン酸(塩)は、イソプレンスルホン酸
(塩)が好ましい。また、この場合に併用されることの
ある他のモノマーとしては、上記ベースポリマーに併用
されることのある他のモノマーのほか、アクリルアミド
2−メチルプロパンスルホン酸(塩)、スチレンスルホ
ン酸(塩)、ビニルスルホン酸(塩)、メタクリルスル
ホン酸(塩)などのスルホン酸基含有モノマーが挙げら
れる。このようにして得られるスルホン酸基含有ポリマ
ーのポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは
4,000〜2000,000、さらに好ましくは5,
000〜1000,000である。重量平均分子量が
4,000未満では、充分な強度が得られず好ましくな
く、一方、2000,000を超えると、水溶性になり
にくく、使用上の問題が生じる。
【0022】以上のようなスルホン酸(塩)基含有ジエ
ン系(共)重合体のスルホン酸(塩)基含量は、好まし
くは0.1mmol/g以上、さらに好ましくは0.2
mmol/g以上、特に好ましくは0.5〜5.5mm
ol/gである。0.1mmol/g未満では、基材に
対する密着性、親水性、イオン捕捉能などの機能が発現
しにくくなり好ましくない。
【0023】このような本発明のスルホン酸(塩)基含
有ジエン系(共)重合体の構造は、赤外線吸収スペクト
ルによってスルホン基の吸収より確認でき、これらの組
成比は、元素分析などにより知ることができる。また、
核磁気共鳴スペクトルにより、その構造を確認すること
ができる。なお、本発明のスルホン酸(塩)基含有ジエ
ン系(共)重合体は、共重合体の場合、ジエンモノマー
以外の他のモノマーに基づく構成成分が導入されること
により、基材に対するコーティング特性あるいは密着性
が向上する場合がある。
【0024】本発明の(A)スルホン酸基含有ポリマー
は、有機溶剤に溶解して、有機溶液化(以下「有機溶液
化」ともいう)させて使用することもでき、またこれと
は別に、水中で乳化させてエマルジョン化(以下、この
乳化過程を「再乳化」ともいう)して使用することも可
能である。
【0025】ここで、有機溶液化において使用できる有
機溶剤としては、例えばトルエン、キシレンなどの芳香
族系溶媒、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族系溶剤、ア
セトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤、テト
ラヒドロフラン、ジオキサンなのエーテル系溶剤、酢酸
エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤、メタノー
ル、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコ
ール系溶剤、ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶剤
などが使用される。これら溶剤は、単独で使用しても、
2種以上併用して使用してもなんら問題ない。有機溶液
化に用いられる上記有機溶剤の使用量は、スルホン酸基
含有ポリマー100重量部に対し、好ましくは10〜1
0,000重量部、さらに好ましくは50〜5,000
重量部である。10重量部未満では、溶液粘度が高く、
充分な分散作用が得られず、一方、10,000重量部
を超えると、使用する溶剤が多くなるため、経済的でな
い。
【0026】また、上記再乳化は、上記スルホン酸基含
有ポリマーあるいは該ポリマーの有機溶剤溶液を、水と
攪拌・混合し、乳化させたのち、水を残したまま有機溶
剤を除去することにより得られる。この再乳化は、一般
的な方法が採用でき、上記スルホン酸基含有ポリマーの
有機溶剤溶液中に攪拌しながら水を添加する方法、攪拌
しながらスルホン酸基含有ポリマーの有機溶剤溶液を水
中に添加する方法、水とスルホン酸基含有ポリマーの有
機溶剤溶液を同時に添加して攪拌する方法など、特に制
限はない。ここで、再乳化に使用する有機溶剤として
は、例えば上記有機溶液化において使用される溶剤を用
いることができる。これら溶剤は、単独で使用しても、
2種以上併用して使用してもなんら問題ない。
【0027】再乳化の際に用いられる上記有機溶剤の使
用量は、スルホン酸基含有ポリマー100重量部に対
し、好ましくは20〜5,000重量部、さらに好まし
くは50〜2,000重量部である。20重量部未満で
は、安定な再乳化物が得られず、一方、5,000重量
部を超えると、生産性が悪く問題となる。また、再乳化
の際に用いられる水の使用量は、スルホン酸基含有ポリ
マー100重量部に対し、好ましくは50〜10,00
0重量部、さらに好ましくは100〜5,000重量部
である。50重量部未満では、安定な再乳化物が得られ
ず、一方、10,000重量部を超えると、生産性が悪
く問題となる。
【0028】なお、再乳化に際しては、界面活性剤を併
用することもできる。この界面活性剤としては、ポリオ
キシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシソルビタン
エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミンエーテル
などの非イオン系界面活性剤、オレイン酸塩、ラウリン
酸塩、ロジン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ポ
リオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩など
のアニオン系界面活性剤、オクチルトリメチルアンモニ
ウムブロマイド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロ
ライド、ドデシルピリジジニウムクロライドなどのカチ
オン系界面活性剤などが挙げられる。これらの界面活性
剤は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を
混合して用いることもできる。上記界面活性剤は、スル
ホン酸基含有ポリマーの有機溶剤溶液中に溶解あるいは
分散させて使用しても、水中に溶解あるいは分散させて
使用してもかまわない。上記界面活性剤の使用量は、ス
ルホン酸(塩)基含有ジエン系(共)重合体100重量
部に対し、通常、10重量部以下、好ましくは6重量部
以下である。
【0029】また、系内のpHを調整するために、水酸
化ナトリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ化合物、
塩酸、硫酸などの無機酸を添加することもできる。ま
た、少量であれば、水以外の有機溶剤などを併用するこ
ともできる。さらに、消泡剤なども添加することができ
る。このようにして得られるスルホン酸基含有ポリマー
の再乳化されたエマルジョンの粒径は、通常、10〜
1,000nm、好ましくは20〜500nmである。
また、得られるスルホン酸基含有ポリマーエマルジョン
の固形分濃度は、通常、5〜50重量%、好ましくは1
0〜40重量%であり、これは、使用条件、保存条件な
どにより、適宜選択することができる。
【0030】次に、本発明に使用される(B)架橋剤
は、ラジカル発生剤、加硫剤および加硫促進剤から選ば
れる1種以上の化合物からなる。ラジカル発生剤として
は、公知の有機過酸化物、無機過酸化物、アゾ化合物な
どが挙げられ、例えば1,1―ジ−t―ブチルペルオキ
シ−3,3,5―トリメチルシクロヘキサン、ジ−t―
ブチルペルオキシド、t―ブチルクミルペルオキシド、
ジクミルペルオキシド、2,5―ジメチル−2,5―
(t―ブチルペルオキシ)ヘキサン、t―ブチルペルオ
キシイソプロピルカーボネート、t―ブチルハイドロパ
ーオイサイド、過酸化水素、アゾビスイソブチロニトリ
ル、2,2′―アゾビス(4―メトキシ−2―4―ジメ
チルバレロニトリル)、2,2′―アゾビス(2―シク
ロプロピルプロピオニトリル)、2―(カルバモイルア
ゾ)イソブチロニトリル、2,2′−アゾビス−2―ア
ミドプロパンの塩酸塩などが挙げられる。
【0031】また、加硫剤および加硫促進剤としては、
例えば「ゴム工業便覧、P219〜P263」(社団法
人「日本ゴム協会」昭和48年刊)に記されているもの
を使用できる。このうち、加硫剤としては、イオウ、塩
化イオウ、セレニウム、テルリウムなどの無機加硫剤、
p―ベンゾキノンジオキシム、p,p―ジベンゾイルキ
ノンジオキシム、4,4′―ジチオビスジモルフォリ
ン、ポリ−p―ジニトロソベンゼン、テトラクロロベン
ゾキノン、アルキルフェノール−フォルムアルデヒド、
アンモニウムベンゾエート、N,N′―m―フェニレン
ジマレイミドなどの有機加硫剤が挙げられる。
【0032】また、加硫促進剤としては、ヘキサメチレ
ンテトラミンなどのアンモニア類、ジフェニルグアニジ
ンなどのグアニジン類、N,N′―ジメチルチオウレ
ア、ジブチルチオウレアなどのチオウレア類、メルカプ
トベンゾチアゾールなどのチアゾール類、ジメチルジチ
オカーバメイトなどのジチオカルバミン酸塩、テトラメ
チルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジス
ルフィドなどのチウラム類などが挙げられる。
【0033】上記(B)架橋剤の総使用量は、(A)ス
ルホン酸基含有ポリマーに対して、通常、0.1重量%
以上15重量%未満、好ましくは0.5重量%以上10
重量%未満である。0.1重量%未満では充分な架橋が
行われず、架橋物の耐溶剤性が劣ったり、力学強度が低
くなるなどして好ましくない。一方、15重量%以上で
は、未反応のラジカル発生剤、加硫剤、加硫促進剤が架
橋物中に残るため、種々の物性が低下する可能性があり
好ましくない。
【0034】本発明の架橋体組成物には、上記(A)〜
(B)成分以外に、他の添加剤を併用することができ
る。例えば、後述する架橋条件を緩和したり、より低温
で架橋反応を行うために、還元性物質を添加することが
できる。還元性物質は、特に制限はないが、例えばレド
ックス系開始剤として使用できるものが好ましい。例え
ば、硫酸鉄、亜硫酸水素塩などの無機還元剤、アルコー
ル、第三アミン、ナフテン酸塩、メルカプタン類、ポリ
アミンなどの有機還元剤、トリエチルアルミニウム、ト
リエチルホウ素、ジエチル亜鉛などの有機金属化合物な
どが使用できる。還元性物質の使用量は、(B)成分の
ラジカル発生剤に対して、通常、0.01〜200重量
%である。
【0035】また、より架橋を効率的に進めるために、
多官能モノマーを使用することもできる。多官能モノマ
ーとしては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アク
リレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレー
ト、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレー
ト、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、
メチレンビスアクリルアミド、ジビニルベンゼンなど公
知ものが挙げられる。多官能モノマーの使用量は、
(A)成分に対して、通常、30重量%以下、好ましく
は15重量%以下である。
【0036】また、公知の架橋物の物性改良のために、
他のポリマー併用することもできる。他のポリマーとし
ては、例えばウレタン樹脂、フェノール樹脂、アクリル
樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテ
ル、ポリスチレン、ポリエステルアミド、ポリカーボネ
ート、ポリ塩化ビニル、SBR系ポリマーなどのジエン
系ポリマーなど公知のものが挙げられる。これらの他の
ポリマーは、溶剤系で使用しても、あるいは乳化系で使
用しても問題はない。上記他のポリマーの使用量は、
(A)成分に対して、通常、1,000重量%以下であ
る。
【0037】また、有機質フィラーあるいは無機質フィ
ラーなどを分散させて併用することもできる。有機質フ
ィラーあるいは無機質フィラーとしては、剛性、引っ張
り強さ、耐衝撃性、靭性、摺動性などの力学的性質を付
与するもの、耐熱性、熱膨張性、熱線放射性などの熱的
性質を付与するもの、導電性、絶縁性、圧電性、焦電
性、誘電性、半導体性、磁性、電磁波吸収性、電磁波反
射性などの電気、磁気的特性を付与するもの、光透過
性、遮光性、光散乱性、光吸収性、フォトクロミック
性、紫外線吸収性、赤外線吸収性、耐光性、抗菌性など
の光学的性質を付与するもの、制振性、遮音性、吸湿
性、吸ガス性、吸油性、放射線吸収性などを付与するも
のが使用できる。
【0038】この例としては、カーボンブラック、ケッ
チェンブラック、黒鉛、木炭粉、炭素繊維、鉄、銀、
銅、鉛、ニッケル、炭化ケイ素、酸化スズ、酸化鉄、酸
化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化セリウ
ム、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモ
ン、フェライト、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸
化マグネシウム、チタン酸カリウム、チタン酸バリウ
ム、チタン酸、ジルコン酸鉛、ホウ酸亜鉛、炭酸亜鉛、
マイカ、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、硫化モリブデ
ン、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン)粉、タル
ク、アスベスト、シリカビーズ、ガラス粉、ハイドロタ
ルサイト、鉄フタロシアニン、シリカゲル、ゼオライ
ト、セピオライト、ゾノトライト、活性白土、ポリマー
ビーズなどが挙げられる。有機質・無機質フィラーの使
用量は、(A)成分に対して、通常、1,500重量%
以下である
【0039】本発明の架橋体組成物は、上記(A)成分
および(B)成分、必要に応じて他の成分を混合して用
いられる。混合に際しては、溶剤に溶解あるいは分散さ
せて使用することが好ましく、溶剤としては、トルエ
ン、キシレンなどの芳香族溶媒、ヘキサン、ヘプタンな
どの脂肪族系溶剤、アセトン、メチルエチルケトンなど
のケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど
のエーテル系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエス
テル系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロピルア
ルコールなどのアルコール系溶剤、水などが使用され
る。使用する溶剤は、(A)成分であるスルホン酸
(塩)基含有ジエン系(共)重合体が有機溶剤に可溶で
あれば有機溶剤を、また水に可溶であれば水を使用する
ことが好ましい。再乳化物の場合には、水を使用するこ
とが好ましい。これら溶剤は、単独で使用しても、2種
以上併用しても何ら問題ない。
【0040】本発明の架橋体組成物の架橋反応は、加熱
によって行われることが好ましい。これら組成物をシー
ト状あるいはフィルム状に成形したのち、加熱処理を行
う方法や、後述するように、基材に本発明の組成物を塗
布し、有機溶剤、水などの溶剤などを温度をかけながら
蒸発させ、同時に架橋反応を行うなど、特に制限はな
い。加熱温度は、使用する加硫剤や過酸化物(ラジカル
発生剤)、あるいはフィルムの厚さなどによって異なる
が、通常、40〜200℃、好ましくは60〜180℃
である。40℃未満では、充分架橋反応が進まず、一
方、200℃を超えると、架橋物が着色する場合があり
好ましくない。架橋に要する時間は、通常、1〜120
分、好ましくは5〜60分である。また、本発明の架橋
体組成物は、紫外線あるいは電子線により架橋させるこ
とも可能である。特に、電子線架橋では、基材へのグラ
フト反応が起こりやすく、密着性などの向上につなが
る。加熱架橋との併用も可能である。
【0041】本発明の架橋体組成物は、通常、基材にコ
ーティングして使用される。コーティング方法には特に
制限はなく、刷毛塗り、スプレー、ロールコーター、フ
ローコーター、バーコーター、ディッピング処理などを
使用することができる。塗布膜厚は、用途によって異な
るが、乾燥膜厚で、通常、0.01〜1,000ミクロ
ン、好ましくは0.05〜500ミクロンである。
【0042】また、使用される基材には、特に制限はな
い。例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、A
BS樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ナイロンなどの高分子材料、アル
ミニウム、銅、ジュラルミンなどの非鉄金属、ステンレ
ス、鉄などの鋼板、ガラス、木材、紙、石膏、アルミ
ナ、無機質硬化体などが挙げられる。基材の形状に特に
制限はなく、平面タイプでも不織布などの多孔質材料な
どにも使用できる。
【0043】ここで 多孔質材料としては、例えば不織
布、織布、編布などが挙げられ、その素材は、天然繊
維、人造繊維、合成繊維、あるいはこれらの混合物であ
ってもよい。その成分としては、エチレン、プロピレ
ン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4―メ
チルペンテン−1などのオレフィン単独重合体のほか、
これらオレフィンのランダムあるいはブロック共重合
体、また木綿、羊毛、レーヨン、アセテート、ポリアミ
ド、ポリエステル、アクリル繊維など公知のものが使用
できる。また、ロックウール、セラミックウール、ガラ
ス繊維なども使用できる。これらの多孔質材料に対する
コーティング量は、多孔質材料の材質、孔径、および使
用用途によって異なり一概に定義できないが、通常、
0.5〜30g/m2 、好ましくは1〜10g/m2
ある。0.5g/m2 未満では、親水性、イオン捕捉性
など目的とする性能が発現しにくく、一方、30g/m
2 を超えると、コーティングした不織布などの多孔質材
料の機械的強度が低下し好ましくない。
【0044】本発明の架橋体組成物は、特に基材表面の
改質に効果があり、かつ耐水性、耐溶剤性、耐久性に優
れる。特に、疎水性表面にコーティングすることによ
り、親水性、吸湿性の発現あるいはその維持が可能とな
る。また、静電気などによる汚れ、埃などの付着防止が
可能である。さらに、不織布などの多孔質材料にコーテ
ィングした場合には、例えば空気中あるいは水中に存在
するアンモニア、アミンなどの弱塩基、またはイオン性
物質の捕捉作用を示す。また、電池用セパレータの表面
をコーティング処理することにより、電池用電解質との
親和性が向上し、自己放電特性など電池特性の向上につ
ながるといった効果も期待できる。さらには、本発明の
架橋体組成物は、種々基材に対して密着力が高く、コー
ティング膜が基材から剥離しにくく、安定した性能を長
期間維持できるという優れた特徴もある。さらに、上記
フィラーを高度に分散させることも特徴の一つであり、
各々がもつフィラーの特性を充分発揮できるという特徴
もある。
【0045】本発明の架橋体組成物は、種々用途に応用
可能である。多孔質材料などに応用した場合には、例え
ば繊維用カチオン染色助剤、吸水性不織布、ウェットテ
ィッシュ用不織布、シール材用不織布、防汚材料、イオ
ン交換繊維、電池用セパレータ親水化処理剤、アンモニ
ア、イオン性物質などを除去するための空気清浄フィル
ター、水清浄フィルターなどのフィルター用途、白血球
除去用フィルター、花粉症アレルゲン除去材料、水蒸気
透過材料、抗菌材料、消臭繊維、消臭塗料、消臭性紙、
防曇材、結露防止材料などの調湿材料、帯電防止材料、
防食材料、酸素吸収剤、衛生用品、活性炭の表面改質な
どが挙げられる。また、フロアポリッシュ用、マスキン
グ材、紙用サイズ材、紙力増強材、接着剤、ハロゲン化
銀写真感光材料などの写真材料などへの応用も可能であ
る。
【0046】また、本発明の架橋体組成物と各種フィラ
ーを組み合わせることにより、種々用途に適用可能であ
る。例えば、一般塗料、回路基板用塗料、導電性材料、
固体電解質のバインダーあるいは電極用炭素化合物のバ
インダーなどの電池材料、電磁波シールド材料、帯電防
止塗料、面状発熱体、電気化学的反応電極板、電気接点
材料、摩擦材、抗菌材料、摺動材、研磨材料、磁気記録
媒体、感熱記録材料、エレクトロクロミック材料、光拡
散フィルム、通信ケーブル用遮水材、遮光フィルム、遮
音シート、プラスチック磁石、X線増感スクリーン、印
刷インキ、農薬粒剤、電子写真トナーなどが挙げられ
る。また、表面保護用のコーティング材として、例えば
ステンレス、アルミニウム、銅などの金属、コンクリー
ト、スレートなどの無機物、ポリエチレン、ポリプロピ
レンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレー
トなどのポリエステルなどの高分子材料、木材、紙など
への応用も可能である。
【0047】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明するが、
本発明がこれらによって限定されるものではない。な
お、実施例中、部および%は、特に断らない限り、重量
基準である。また、実施例における各種の、評価、測定
は、下記方法により実施した。
【0048】スルホン酸基の総含量 溶剤に溶解するスルホン酸基含有ポリマー 合成したスルホン化物の再乳化物を80℃で一晩真空乾
燥した。乾燥物をトルエン/イソプロピルアルコール
(95/5重量比)溶液に溶解した。溶解後、硫酸塩、
水酸化物などの不溶物をフィルターで除去したのち、溶
剤を除去してスルホン酸含量測定サンプルを得た。サン
プル中のイオウ含量を元素分析から求め、共重合体中の
スルホン酸基の量を算出した。 水溶性スルホン酸基含有ポリマー 各スルホン酸基含有ポリマーの20%水溶液を調製し、
透析膜〔半井化学薬品(株)製、Cellulose
Diolyzer Tubing−VT351〕により
低分子物を除去した。このサンプルを陽イオン交換樹脂
〔オルガノ(株)製、アンバーライト IR−118
H〕でイオン交換し、完全に酸型にしたのち、そのスル
ホン酸量を電位差滴定から求めた。
【0049】再乳化物の粒径 大塚電子(株)製、LPA−3100 LASER P
ARTICLE ANALYZERを用いて、乳化物の
平均粒径を測定した。重量平均分子量(Mw ) ベースポリマー ベースポリマーの重量平均分子量(Mw)を、ゲルパー
ミエションクロマトグラフィー(GPC)により、標準
サンプルとしてポリスチレンを用いて測定した。 スルホン酸基含有ポリマー スルホン酸基含有ポリマーの重量平均分子量(Mw)
を、ゲルパーミエションクロマトグラフィー(GPC)
により、標準サンプルとしてポリスチレンスルホン酸N
aを用いて測定した。
【0050】ゲル含量測定 表4〜10に示す割合で、(A)成分、(B)成分、他
の成分および溶剤を、(A)+(B)+(他の成分)が
20%になるように混合した。この混合物10gを50
ccビーカーに秤取り、120℃の恒温槽に1時間放置
し、溶剤の除去および架橋反応を行った。その後、恒温
槽から取り出し、同じ溶剤20ccを添加し、スターラ
ーで30分撹拌した。撹拌後、不溶分をろ過し、乾燥
し、その重量を測定した。初めにビーカに入れた固形分
量に対する不溶分の割合をゲル含量として、架橋の進み
度合いを判定した。
【0051】密着性測定 表4〜10に示す組成物をアプリケーターを使用して銅
板に塗布後、100℃で30分間かけて恒温槽で乾燥
し、評価サンプルとした。銅板への密着性を碁盤目粘着
テープ(セロハンテープ使用)剥離試験で評価した。表
4〜10に、100個の碁盤目のうち、剥離しないもの
の数を記した。
【0052】親水性の評価 表4〜10に示す組成物を同じ溶剤でさらに10倍に希
釈した。この溶液中に10cm角の不織布(ポリプロピ
レン製)をディッピング処理した。その後、100℃で
1時間、恒温槽で乾燥し評価サンプルとした。なお、コ
ーティング量は、ディッピングによるコーティング前後
の重量増加から算出した。コーティング処理した不織布
上に蒸留水をたらし、蒸留水が不織布中に染み込む程度
を定性的に観察した。浸み込みが比較的良いものを○、
なかなか浸み込まないものを×として評価した。
【0053】アンモニアの吸着量 表10に示す組成物を、同じ溶剤でさらに10倍に希釈
した。この溶液中に、10cm角の不織布(ポリプロピ
レン製)を浸漬し、ディッピング処理した。その後、1
00℃で1時間、恒温槽で乾燥し、評価サンプルとし
た。次いで、この評価用サンプルの不織布を、25℃の
アンモニア飽和蒸気中に一晩静置した。静置後、単に付
着しているアンモニアを除去するため、50℃で5時
間、真空乾燥した。乾燥後、この不織布を、0.1N水
酸化ナトリウム水溶液2gと水50ccとの混合物中に
浸漬し、密閉状態で振り混ぜた。この操作により、不織
布に吸着していたアンモニアが遊離し、水中に溶け込ん
だ。この水相を、微量全チッ素分析計〔三菱化学(株)
製、TN−05型〕で分析し、不織布に吸着していたア
ンモニア量を求めた。
【0054】参考例(A)スルホン酸基含有ポリマーA〜Mの調製 ガラス製反応容器に規定量のジオキサン(400g)
を入れ、これに規定量の無水硫酸(A;6.0g、B;
11.0g、C;7.0g、D;13.7g、E;3.
3g、F;54.4g、G;67.1g、H;6.0
g、I;11.0g、J;11.0g、K;6.0g、
L;6.0g、M;79.1g)を内温を25℃に保ち
ながら添加し、2時間攪拌して、無水硫酸−ジオキサン
錯体を得た。 表1に示すベースポリマー(100g)のジオキサン
溶液(濃度=25%)中に上記で得られた錯体を、内
温を25℃に保ちながら添加し、さらに2時間攪拌を続
けた。A〜Jについては、対イオンをNaとするため
に、規定量の水酸化ナトリウム(A;3.6g、B;
7.2g、C;4.6g、D;8.2g、E;2.0
g、F;28.6g、G;35.2g、H;3.6g、
I;7.2g、J;7.2g)を100gの水に溶解し
た水溶液、およびメタノール(50g)を添加し、80
℃で1時間攪拌した。攪拌後、減圧下で水および溶剤を
留去してスルホン酸基含有ポリマーを得た。スルホン酸
基の含量およびMwの測定結果を表1〜2に示す。
【0055】なお、再乳化する場合、上記で合成した
(A)成分に相当するスルホン酸基含有ポリマー50g
をテトラヒドロフラン/イソプロピルアルコール(90
/10重量比)450gに溶解した。フラスコに、水5
00g、アニオン/ノニオン系界面活性剤〔三洋化成
(株)製、サンデットEN〕1gを入れ、さらに1時間
攪拌した。その後、800gの水を加え、全溶剤および
水の一部を共沸により除去することにより、再乳化され
たエマルジョン(再乳化物)を得た。このエマルジョン
の固形分濃度は、20%であった。これらのエマルジョ
ンの粒径を表2に示す。
【0056】(A)スルホン酸基含有ポリマーX〜Zの
調製 耐圧容器にイソプレンスルホン酸Na(および他のモノ
マー)を表3に示す割合で、合計200g、および水7
00gを仕込み、80℃まで昇温した。その後、30%
過酸化水素40gを添加し、内温を100℃まで上げ、
3時間重合を行った。重合終了後、減圧下で水を除去
し、スルホン酸基含有ポリマーを得た。結果を表3に示
す。
【0057】実施例1〜16、比較例1〜5 表4〜10に示す配合処方で、架橋体組成物を調製し
た。結果を表4〜10に示す。本発明の架橋体組成物
は、高いゲル含率を有し、耐溶剤性、耐水性に優れてい
る。また、親水性、基材への高密着性にも優れている。
従って、バインダー樹脂、コーティング材料、表面処理
剤、表面改質剤など、様々な用途に応用可能である。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
【0061】
【表4】
【0062】
【表5】
【0063】
【表6】
【0064】
【表7】
【0065】
【表8】
【0066】
【表9】
【0067】
【表10】
【0068】
【発明の効果】本発明の架橋体組成物は、基材表面の改
質に効果がある。特に、疎水性表面にコーティングする
ことにより、親水性、吸湿性の発現あるいはその維持が
可能となる。また、例えば不織布などの多孔質材料にコ
ーティングした場合には、空気中あるいは水中に存在す
るアンモニア、アミンなどの弱塩基、またはイオン性物
質の捕捉作用を示すとともに、該化合物との親和性を高
める。さらには、本発明の架橋体組成物は、種々基材に
対して密着力が高く、コーティング膜が基材から剥離し
にくく、安定した性能を長期間維持できるという優れた
特徴がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石川 克広 東京都中央区築地二丁目11番24号 日本合 成ゴム株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)スルホン酸(塩)基を含有するジ
    エン系(共)重合体、ならびに(B)ラジカル発生剤、
    加硫剤および加硫促進剤の群から選ばれた少なくとも1
    種の化合物、を主成分とする架橋体組成物。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008014630A (ja) * 1999-05-25 2008-01-24 Saint-Gobain Glass France 断熱グレージングの冷蔵室ドアにおける使用および断熱グレージングを含む冷蔵室ドア
US7449257B2 (en) 2003-10-23 2008-11-11 Fujifilm Corporation Magnetic recording medium and production process therefor

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