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JPH10319212A - 光学素子ならびに光学素子の調芯方法および製造方法 - Google Patents

光学素子ならびに光学素子の調芯方法および製造方法

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Publication number
JPH10319212A
JPH10319212A JP12971297A JP12971297A JPH10319212A JP H10319212 A JPH10319212 A JP H10319212A JP 12971297 A JP12971297 A JP 12971297A JP 12971297 A JP12971297 A JP 12971297A JP H10319212 A JPH10319212 A JP H10319212A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
optical element
alignment
outer edge
bell
effective portion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP12971297A
Other languages
English (en)
Inventor
Nagatake Nakai
長武 中井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Minolta Co Ltd
Original Assignee
Minolta Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Minolta Co Ltd filed Critical Minolta Co Ltd
Priority to JP12971297A priority Critical patent/JPH10319212A/ja
Publication of JPH10319212A publication Critical patent/JPH10319212A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 有効部の厚さの変化が小さいまたは厚さが一
定である光学素子であっても、簡単かつ高精度で調芯を
行うことが可能な調芯方法と、高精度の調芯が容易な光
学素子を提供する。 【解決手段】 光軸に関して回転対称な形状の有効部を
有する光学素子の有効部の外側に、径方向に厚さが変化
する外縁部を設けて、この外縁部の両面を基準面として
ベルクランプ方式によって調芯を行う。外縁部は外側に
向かって厚くなる形状と薄くなる形状の両方が可能であ
り、有効部に連続する曲率を有していても、有効部と異
なる曲率を有していてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学素子の光軸位
置を特定する調芯方法に関し、より詳しくは、光軸に関
して回転対称な形状を有する光学素子の光軸を特定する
調芯方法、ならびに調芯に適する光学素子およびその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】通常、光軸に関して回転対称な形状を有
する光学素子は、製造、検査等の諸工程において、その
光軸位置を特定するいわゆる芯出しと呼ばれる調芯作業
を行う必要がある。たとえば、回転対称な形状を有する
レンズにおいては、レンズのコバを形成するための芯取
り工程を行う場合、光軸を中心にレンズを回転させなが
ら外形を研削加工するのが一般的である。研削加工に際
し、加工機の回転軸に対して正確にレンズを調芯しない
と、レンズ外形が光軸に対して偏心したものとなる。
【0003】また、回転対称な形状を有するレンズを光
学系に組み込んだときの収差等の光学特性を測定する場
合、調芯を行ってレンズの光軸を他の光学素子の光軸に
精度よく一致させないと、光学特性に偏心の影響が現れ
て、正確な測定を行うことができなくなる。
【0004】このような光学素子の調芯方法として、従
来より、中心軸を一致させた1対の円筒状のベルホルダ
ーで光学素子を挟み、ベルホルダーを回転させつつ両側
より押圧するベルクランプ方式が知られている。ベルク
ランプ方式による調芯方法を、光学素子としてメニスカ
スレンズを例にとり、図1を参照して説明する。
【0005】図1において(a)は調芯前の状態を表
し、(b)は調芯後の状態を表す。(a)では、中心軸
が一致し相互の間隔を変え得る中空円筒状のベルホルダ
ー31、32によって、メニスカスレンズ51が凹面を
上にして挟持されている。レンズ51はホルダー31、
32に対して傾いた状態にあり、レンズ51の光軸AX
とホルダー31、32の回転軸RXとは一致していな
い。このため、ホルダー32がその円周状の先端部全体
でレンズ51の凸面に線接触しているのに対し、ホルダ
ー31の先端部は一点Bのみでレンズ51の凹面に接触
している状態にある。したがって、接触点Bの反対側で
は、ホルダー31の先端部とレンズ51の表面との間に
間隙qが存在する。
【0006】この状態で、ベルホルダー31、32のい
ずれか一方を低速で回転させつつ、互いの間隔を狭める
ように軽く付勢する。例えば、下側のホルダー32を回
転させ、上側のホルダー31をその自重によって矢印A
方向に付勢する。レンズ51はホルダー32の回転に追
随しながら、不均一な力を受けてホルダー32の先端部
上を横滑りして、最も安定する状態へと移動する。
【0007】レンズ51が最も安定するのは、凸面およ
び凹面がともにホルダー31、32の先端部と線接触し
て、力を均一に受ける状態になったときである。すなわ
ち、ベルホルダー31と32の間隔L1が最小値L0にな
ったときに、レンズ51は最も安定して横滑りを停止す
る。この最も安定した状態が図1(b)であり、当初存
在していた間隙qがなくなり、レンズ51の光軸AXと
ベルホルダー31、32の回転軸RXが一致する。これ
で、調芯が達成されたことになる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ベルクランプ方式によ
る調芯方法は、ホルダーの先端部に接する部位の厚さの
変化が大きい光学素子の調芯に非常に有効である。例え
ば、光軸近傍の中心部と周辺部での厚さの差が大きい光
学素子では、ごく僅かな傾きが存在するだけでもホルダ
ーの先端部が均一に光学素子に接しなくなるから、確実
かつ速やかに調芯が達成される。
【0009】しかしながら、光軸に関して回転対称な形
状を有する光学素子であっても、ホルダー先端部と接す
る部位の厚さの変化が小さいものでは、ホルダーに対し
て少し傾いていてもホルダー先端部が略均一に光学素子
に接することになり、調芯の精度が低下したり、調芯が
不可能になったりする。例えば、中心部から周辺部まで
肉厚が略一定のコンセントリック形状に近いメニスカス
レンズや、曲率半径の大きな光学素子では、傾きが僅か
に残る程度まで傾きの是正が進んだ段階で、ホルダー先
端部がレンズの両面に線接触することになり、それ以上
精度を向上させることができなくなる。
【0010】また、両面が平行な平面である光学素子、
例えば平板上に形成されたフレネルレンズ板や平板の回
折格子では、光軸とベルホルダーの回転軸が一致してい
なくてもベルホルダーに対して傾いていない状態となる
ため、調芯は本質的に不可能である。
【0011】本発明は、このような問題に鑑みてなされ
たものであり、厚さの変化が小さいまたは厚さが一定で
ある光学素子であっても、簡単かつ高精度で調芯を行う
ことが可能な調芯方法を提供することを目的とし、ま
た、高精度の調芯が容易な光学素子を提供することを目
的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明では、光軸に関して回転対称な形状を有する
光学素子の調芯方法において、光軸を中心とする光学素
子の有効部の外側に、径方向に厚さが変化する外縁部を
設けておき、この外縁部の両面を基準面としてベルクラ
ンプ方式によって調芯を行う。外縁部の厚さは径方向に
変化するからベルクランプ方式による調芯に適してお
り、有効部の形状や厚さに関わらず確実に調芯を行うこ
とができる。
【0013】特に、外縁部の径方向の厚さの変化を、外
縁部近傍における有効部の径方向の厚さの変化よりも、
大きく設定しておくとよい。有効部の外縁部に近い部分
を基準面としてベルクランプ方式で調芯することに比べ
て、高精度でかつより速やかに調芯を行うことが可能で
ある。
【0014】外縁部の両面を基準面としてベルクランプ
方式によって調芯を行った後、続けて芯取り加工を行う
ようにしてもよい。
【0015】前記目的を達成するために、本発明ではま
た、光軸に関して回転対称な形状を有する光学素子にお
いて、光軸を中心とする有効部の外側に、ベルクランプ
方式による調芯を行うための、径方向に厚さが変化する
外縁部を備える。この光学素子には上記の調芯方法を適
用することが可能であり、有効部の形状に関わりなく、
確実に調芯を行うことができる。有効部の厚さや曲率は
任意であり、例えば、有効部の両面が平行な平面であっ
てもよい。
【0016】特に、外縁部の径方向の厚さの変化を外縁
部近傍における有効部の径方向の厚さの変化よりも大き
くするとよい。ベルクランプ方式の調芯における基準面
の厚さの変化が、有効部の外縁部近傍の両面を基準面と
する場合よりも大きくなるため、高精度かつ速やかな調
芯が可能になる。
【0017】上記光学素子においては、いずれか一方の
面は有効部から外縁部まで同一曲率で連続しているもの
とすることができる。また、いずれか一方の面は有効部
と外縁部とで径方向の曲率が異なるものとすることもで
きる。
【0018】いずれか一方の面は全体が平面であっても
よい。さらにまた、両面を、有効部において、略平行平
面としてもよい。
【0019】上記光学素子はどのような方法によっても
製造可能であるが、例えば、プレス成形によれば製造が
容易である。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。図3および図4に本発明の
光学素子1の一般形状を模式的に示す。図3は、光学素
子1を光軸AX方向から見た平面図であり、図4は光軸
AXを含む平面での断面図である。光学素子1は、光軸
AXを中心とする円形の有効部Eを有するとともに、有
効部Eの外側に同じく光軸AXを中心とする円形帯状の
外縁部Pが設けられており、光軸AXに関して回転対称
となっている。有効部Eと外縁部Pは同一の材料から成
る。
【0021】有効部Eは光学素子本来の機能を司る部位
であって、例えば、レンズであれば光を透過させる部位
に、回折素子であれば回折格子が形成された部位に、表
面で光を反射するミラーであれば反射膜を形成された部
位に相当する。有効部Eは、図4においては平板に表記
しているが、実際には光学素子本来の機能に最も適した
形状を有しており、一方の面または両方の面が曲面であ
ってもよく、両面が平行な平面であってもよい。曲面の
場合、凸面でも凹面でもよく、さらには球面でも非球面
でもよい。
【0022】外縁部Pは径方向に厚さが変化するように
形成されている。外縁部Pは光学素子本来の機能には直
接関係せず、光学系の組立や光学特性の測定等の工程で
必要となる調芯において利用するために設けられたもの
である。調芯はベルクランプ方式に従って行い、外縁部
Pの両面をその基準面とする。一般に、ベルクランプ方
式による調芯の可否は、式(1)より算出されるZ値に
基づいて判断することができる。 Z=|r1/R1±r2/R2|/2 ・・・ (1)
【0023】ここで、R1は光学素子の一方の基準面の
曲率半径、r1はその基準面に接するベルホルダーの半
径、R2は光学素子の他方の基準面の曲率半径、r2はそ
の基準面に接するベルホルダーの半径を表す。また、複
号は、光学素子の両基準面が共に凸面または共に凹面で
あるときに加算(+)、光学素子の一方の基準面が凸面
で他方の基準面が凹面であるときに減算(−)である。
通常の場合、Z>0.15であれば調芯可能、0.07
≦Z≦0.15であれば調芯がやや困難、Z<0.07
であれば調芯困難とされている。
【0024】そこで、本発明では、外縁部Pの曲率を上
記式(1)のZ値が0.15以上となるように設定す
る。外縁部Pの厚さは、内側から外側に向かって大きく
なるもの(図4、a〜f)と、逆にその方向に小さくな
るもの(g〜l)の両方が可能であり、いずれの場合
も、厚さの変化に不連続点が生じないように、かつ厚さ
に変化のない領域が生じないように設定する。
【0025】外縁部Pは両面とも曲率を有していてもよ
く(a、b、g、h)、一方のみ曲率を有していてもよ
く(c、d、i、j)、あるいは両面とも曲率を有さな
くてもよい(e、f、k、l)。また、外縁部Pの面と
有効部Pの面は連続していてもよく、境界が不連続点と
なっていても構わない。曲率をもたせる場合、凸面
(b、g〜j)としても凹面(a〜d、h)としてもよ
く、さらには、外縁部P全体にわたって曲率を一定にす
ることも、曲率を次第に変化させることも可能である。
【0026】外縁部Pの両面に曲率をもたせずテーパー
面とする場合(e、f、k、l)は、曲率半径R1、R2
が無限大になって式(1)のZ値は0となる。しかしな
がら、光軸に対して傾斜する面については、光軸からの
距離がベルホルダーの先端部の半径に等しい点から、そ
の点における法線と光軸との交点までの距離を、近似的
に曲率半径として扱うことが可能であり、この近似値を
R1またはR2とするZ値が、上記条件を満たすように設
定する。
【0027】有効部Eの外側に外縁部Pを有する光学素
子1は、外縁部Pを有さない通常の光学素子と同様に様
々な方法で製造することができるが、プレス成形によっ
て製造するのが好ましい。プレス成形では、1組の金型
を用いて厳密に同一の形状の光学素子を量産することが
可能であり、きわめて効率がよい。これに対し、光学素
子を個別に研削加工して製造するいわゆる創成式では、
両面の共軸性を確保するための調節を素子ごとに行う必
要があって、製造効率の面で不利である。
【0028】プレス成形のための金型の作製は、当然、
精度よく行う必要がある。ここで、外縁部Pと有効部E
の面を連続させ、かつ同じ曲率とすると、その面の金型
の加工が容易になる。
【0029】本実施形態で使用するベルクランプ装置1
0の要部の概略構成を模式的に図2に示す。ベルクラン
プ装置10は、ベルホルダー11および12をそれぞれ
保持するとともに、図外のモーターより駆動力を供給さ
れてホルダー11、12を回転させる上下2つのホルダ
ー回転台13および14より成る。ホルダー11、12
は着脱可能であり、所望の径のホルダーを回転台13、
14に取り付けることができる。回転台13、14の回
転軸は精度よく一致させれられており、取り付けられた
2つのホルダー11、12の中心軸は、回転台13、1
4の回転軸に精度よく一致する。
【0030】回転台13は回転軸RXに沿って可動に構
成されており、図外の加圧装置によって下方すなわち回
転台14に向かう力を加えられる。この力は調節自在で
あり、ベルホルダー11、12間に挟持された光学素子
1を調芯中に軽く押圧するだけでなく、調芯後に光学素
子1に横方向から外力が加わっても動くことがない程度
に、光学素子1を保持することができる。
【0031】ベルクランプ装置10の側方には種々の装
置を設置することが可能であり、例えば、加工装置を配
設することができる。加工装置には研削や研磨のための
砥石16を取り付けることができ、調芯された状態の光
学素子の辺縁の加工に用いられる。
【0032】本発明では、ベルクランプ装置10による
調芯の際、外縁部Pにベルホルダー11、12の先端部
を接触させるようにし、外縁部Pの両面を基準面とす
る。このため、調芯の対象とする光学素子1の大きさに
応じてホルダー11、12を取り替え、先端部の直径が
光学素子の外径φ2未満でかつ有効部Eの直径φ1を超え
るものを使用する。特に、先端部の直径が光学素子の外
径φ2と有効部Eの直径φ1の中間値程度のホルダーを使
用すると、光学素子1のホルダーへの取り付けが容易に
なって最も好ましい。
【0033】光学素子1の外縁部Pは厚さが径方向に変
化するように形成されているため、基準面として利用す
るのに適している。外縁部Pの厚さの変化の率を大きく
設定しておけばZ値が大きくなって、それだけ調芯の精
度が高まり、また、調芯に要する時間も短縮される。光
学素子1は調芯に際してホルダー11、12の回転と押
圧に抵抗することなく摺動することが望ましく、そのた
めに、ホルダー11、12の先端部を、外面に対し略3
0゜の角度をなすように内面に傾斜をもたせて鋭角状に
設定し、その最先端に面取り処理を施しておく。なお、
ここでは、十分な強度を有しかつ加工が容易なステンレ
ス製のホルダーを使用する。
【0034】本発明では有効部Eをベルクランプ方式に
よる調芯の基準面としないから、有効部Eがどのような
形状であろうと、確実に調芯を行うことができる。例え
ば、有効部Eの両面がコンセントリックな曲面であって
も、平行な平面であっても、何等調芯に不都合は生じな
い。
【0035】しかも、有効部Eの表面にホルダーを接触
させないから、有効部表面が損傷して光学素子本来の機
能に支障を来すという恐れもない。例えば、微細な凹凸
を表面に形成した回折格子やフレネルレンズであっても
その凹凸が潰れることはなく、被膜処理したレンズやミ
ラーであってもその被膜が一部欠損することはない。ま
た、樹脂等の比較的硬度の低い材料からなる光学素子で
あっても、有効部に傷や凹凸が発生することはないか
ら、ベルクランプ方式による調芯の適用可能範囲はきわ
めて広くなっている。
【0036】
【実施例】本発明の光学素子1および調芯方法の具体的
な実施例について説明する。図5に第1の実施例の光学
素子1aの断面を示す。本実施例の光学素子1aは、有
効部Eの直径φ1が40mm、外径φ2が45mm、外縁
部Pの幅が2.5mm、中心の厚さdが5mmの負のメ
ニスカスレンズである。凸面となっている第1の面S1
は、曲率半径R1が90mmの球面であり、有効部Eか
ら外縁部Pまで同一曲率で連続している。凹面となって
いる第2の面S2は、有効部Eでは近似曲率半径R2が8
5mmの非球面であり、外縁部Pでは曲率半径R2'が4
0mmの球面である。
【0037】このメニスカスレンズ1aはガラス製であ
り、次のようにして製造した。まず、数値制御式加工機
を用いて金型基材を加工し、第2の面の有効部に相当す
る凸面を形成し、その周囲に外縁部に相当する凸面を形
成した。その加工面に仕上げ研磨を施し、残存する微小
な凹凸を除去して平滑な凸面とし、第2の面S2を規定
する金型を作製した。同様に、もう1つの金型基材を加
工して、第1の面全体に相当する凹面を形成し、その表
面を仕上げ研磨して、第1の面S1を規定する金型を作
製した。
【0038】次いで、これら1対の金型を組み付けた成
形装置によって、平板状に加工したプリフォームを加熱
および加圧して、レンズ1aを得た。得られたレンズ1
aの外径φ2、有効径φ1、厚さd等の諸寸法は上記の値
どおりであった。
【0039】図2に示したベルクランプ装置10に、外
径42mm、内径36mm(レンズ1aとの接触部位の
直径Dcは外径に等しい)の1対のベルホルダーを取り
付け、これらによってメニスカスレンズ1aを第2の面
S2を下向きにして挟持し、回転台14を低速で回転さ
せつつ回転台13を軽く押し下げて調芯を行った。調芯
後、ホルダーに設けたホルダーの先端間の間隔を表すゲ
ージ(不図示)によって測定したところ、ホルダーとの
接触部位におけるレンズ1aの両面の距離すなわち回転
軸RXに沿う方向の厚さ(図1におけるL0)は、計算
値との誤差が0.004mm以下になっており、精度よ
く調芯がなされることが確認された。
【0040】なお、ホルダーへのレンズ1aの取り付け
向きを反転させ、凸面である第1の面S1を下向きにし
て調芯を行っても、精度に差は生じなかった。
【0041】図6に第2の実施例の光学素子1bの断面
を示す。本実施例の光学素子1bは、有効部Eの直径φ
1が25mm、外径φ2が30mm、外縁部Pの幅が2.
5mm、中心の厚さdが5mmの正のメニスカスレンズ
である。凸面となっている第1の面S1は、有効部Eで
は近似曲率半径R1が33mmの非球面であり、外縁部
Pでは曲率半径R1'が65mmの球面である。凹面とな
っている第2の面S2は、曲率半径R2が36mmの球面
であり、有効部Eから外縁部Pまで同一曲率で連続して
いる。レンズ1bもガラス製であり、プレス成形により
製造した。
【0042】このメニスカスレンズ1bは、外径27m
m、内径24mmのベルホルダーを使用して、第2の面
S2を下向きにして調芯を行った。調芯後のホルダーと
の接触部位におけるレンズ1bの厚さは、計算値との誤
差が0.003mm以下であり、精度よく調芯がなされ
たことが確認された。調芯後、この状態を保ったままベ
ルホルダーの押圧力を強めてレンズ1bを固定し、加工
装置に取り付けた砥石16によりレンズ1bの外周を切
削して心取り加工し、外縁部Pの幅を1.2mmとし
た。
【0043】この心取り加工後、レンズ1bをオートコ
リメータにより評価したところ、外周円の中心軸に対す
る第1の面S1の中心と第2の面の曲率中心を結ぶ軸の
なす角は、成形により生じた傾き偏心の値10”を含め
て約50”となっており、また、心取り誤差は約0.0
1mmであった。
【0044】同様の方法により、成形から心取りまでの
加工を10個のレンズ1bについて行った結果、偏心は
いずれも1’以内に抑えられており、心取り誤差は最大
でも0.011mmであって、精度よく心取りを行い得
ることが確認された。
【0045】図7に第3の実施例の光学素子1cの断面
を示す。本実施例の光学素子1cは、有効部Eの直径φ
1が40mm、外径φ2が45mm、外縁部Pの幅が2.
5mmの大きさであり、有効部Eは厚さdが3mmの平
行平板である。第1の面S1の有効部Eには、その中心
を中心とする最大直径30mmの同心円の凹凸パターン
が形成されており、焦点距離75mmのフレネルレンズ
とされている。第1の面S1は外縁部Pも有効部Eに連
続する平面となっている。一方、第2の面S2の外縁部
Pは曲率半径R2'が60mmの球面に形成されている。
このレンズ1cもガラス製であり、プレス成形により製
造した。
【0046】第2の面S2を下向きにし、外径41m
m、内径37mmのベルホルダーを使用してレンズ1c
の調芯を行ったところ、調芯後のホルダーとの接触部位
におけるレンズ1cの両面間の距離は、計算値との誤差
が0.004mm以下であった。さらに、第2の実施例
と同様に心取り加工した後、外周円の中心と同心円パタ
ーンの中心との一致度を測定したところ、そのずれ量は
0.01mm以下であった。
【0047】同様の方法により、成形から心取りまでの
加工を10個のレンズ1cについて行った結果、上記ず
れ量は最大でも0.03mmであって、調芯および心取
りを精度よく行い得ることが確認された。
【0048】図8に第4の実施例の光学素子1dの断面
を示す。本実施例の光学素子1dは、有効部Eの直径φ
1が38mm、外径φ2が42mm、外縁部Pの幅が2m
m、中心の厚さdが5mmのメニスカスレンズである。
有効部Eでは、凸面となっている第1の面S1は近似曲
率半径R1が50mmの非球面であり、凹面となってい
る第2の面S2は近似曲率半径R2が45mmの非球面で
あって、一方の面の任意の点における法線が他方の面と
直交するように設定されている。したがって、コンセン
トリックな球面レンズと同様に、有効部Eの肉厚は一律
である。
【0049】第1の面S1は有効部Eから外縁部Pまで
同一曲率で連続しており、一方、第2の面S2の外縁部
Pは曲率半径R2'が45mmの凸面に形成されている。
したがって、外縁部Pは、有効部Eと異なり、両凸面と
なっている。このレンズ1dもガラス製であり、プレス
成形により製造した。
【0050】このメニスカスレンズ1dを第2の面S2
を下向きにして、外径40mm、内径36mmのベルホ
ルダーを使用して調芯した。調芯後、ホルダーとの接触
部位におけるレンズ1dの両面間距離を測定したとこ
ろ、計算値との誤差は0.003mm以下になってお
り、精度よく調芯されることが確認された。
【0051】比較のために、外縁部Pを有さない光学素
子について、従来のベルクランプ方式による調芯を行っ
た。本比較例の光学素子51aの断面を図9に示す。こ
の光学素子51aは、外径φ2が45mm、中心の厚さ
dが5mmの負のメニスカスレンズである。凸面となっ
ている第1の面S1は曲率半径R1が90mmの球面であ
り、凹面となっている第2の面S2は近似曲率半径R2が
85mmの非球面である。レンズ51aは、第1の実施
例のメニスカスレンズ1aの有効部Eをそのまま拡張し
て同一外径としたものに等しくなっており、コンセント
リックなレンズに近く、肉厚はレンズ51aの全面にお
いて略一律である。レンズ51aもガラス製である。
【0052】このレンズ51aを第1の実施例と同様に
第2の面S2を下向きにし、外径42mm、内径36m
mの同一のベルホルダーを用いて、ホルダーの回転速度
および押圧力を同一にして調芯を行った。調芯後、ホル
ダーとの接触部位におけるレンズ51aの両面間距離を
測定したところ、計算値との誤差は約0.05mmであ
った。この値は、第1の実施例における値の10倍以上
であり、調芯の精度は悪かった。レンズの上下の向き、
ホルダーの回転速度、押圧力、回転時間等を種々変化さ
せて調芯を行ってみたが、上記数値を下回る結果は得ら
れなかった。
【0053】以上、いくつかの具体例をあげて本発明の
光学素子および調芯方法を説明したが、本発明はこれら
の実施例に示した形状や大きさのレンズに限定されるも
のではなく、図4に示した如き形状の外縁部Pを有する
種々の光学素子およびその調芯方法を含むものである。
前述のように有効部Eの形状は任意であり、例えば、両
凸レンズ、両凹レンズ、表面が反射面である凸ミラーや
凹ミラー、平行平板の回折格子、内部に反射面を有する
平行平板のミラー等も含まれる。また、外縁部Pの表面
の曲率については、式(1)のZ値が0.15以上であ
ることが望ましいが、式(1)に代わる評価方法を用い
て設定するようにしてもよい。
【0054】
【発明の効果】請求項1の光学素子の調芯方法によると
きは、有効部の形状や厚さに関わらず確実に調芯を行う
ことが可能であり、従来はベルクランプ方式による調芯
が困難または不可能であった有効部の両面がコンセント
リックな曲面や平行な平面の光学素子であっても、容易
に調芯することができる。しかも、光学素子としての本
質的な機能を司る有効部が、調芯により損傷を受ける恐
れが皆無である。このため、光学素子の材質による制約
を受け難くなり、ベルクランプ方式による調芯の適用範
囲が大きく広がる。
【0055】請求項2の調芯方法では、有効部の外縁部
に近い部分を基準面としてベルクランプ方式で調芯する
ことが可能な光学素子を対象とする場合でも、より高精
度でかつより速やかに調芯を行うことができる。
【0056】請求項3の調芯方法では、心取り加工の精
度が向上するため、外周の中心が光軸に精度よく一致す
る光学素子を容易に得ることができる。
【0057】請求項4の光学素子によるときは、ベルク
ランプ方式によって精度よく調芯することが可能であ
り、しかも調芯により損傷を受けることもないから、設
計どおりの光学性能を発揮するものとなる。さらに、調
芯を速やかに行うことができるから、性能検査や組み立
て等の諸工程の能率が向上する。
【0058】請求項5の光学素子では、有効部の周辺部
位を基準面とする従来の調芯方法以上に、精度よくかつ
速やかに調芯を行うことが可能となる。
【0059】請求項6の光学素子は、有効部から外縁部
まで同一曲率で連続する面の形成が容易であり、効率よ
く製造することができる。
【0060】請求項7の光学素子では、一方の面の外縁
部の曲率をその面の有効部の曲率と無関係に自由に設定
することができて、外縁部の厚さの変化を、有効部の厚
さの変化の有無や大きさに関わらず、ベルクランプ方式
による調芯に適するように設定することが可能である。
【0061】請求項8の光学素子は、全体が平面である
面の形成が極めて容易であるから、効率よく製造するこ
とができる。
【0062】請求項9の光学素子は、有効部の両面を基
準面としてベルクランプ方式により調芯することはでき
ないが、外縁部の両面を基準面とする調芯が可能であ
る。この範疇には、フレネルレンズや回折格子等の非レ
ンズ系の重要な光学素子が含まれ、ベルクランプ方式に
よる調芯が従来不可能であったこれらの光学素子も、容
易に調芯することができる。
【0063】請求項10の光学素子の製造方法によると
きは、金型を高精度で作製しておくだけで、調芯を確実
に行い得る光学素子を精度よく容易に量産することが可
能であり、製造効率が極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ベルクランプ方式による調芯の原理を示す
図。
【図2】 本発明の実施形態で使用するベルクランプ装
置の要部の概略構成を示す図。
【図3】 本発明の光学素子の形状を模式的に示す平面
図。
【図4】 本発明の光学素子の形状を模式的に示す断面
図。
【図5】 第1の実施例の光学素子の断面図。
【図6】 第2の実施例の光学素子の断面図。
【図7】 第3の実施例の光学素子の断面図。
【図8】 第4の実施例の光学素子の断面図。
【図9】 比較例の光学素子の断面図。
【符号の説明】
1 光学素子 E 有効部 P 外縁部 AX 光軸 1a メニスカスレンズ 1b メニスカスレンズ 1c フレネルレンズ 1d メニスカスレンズ 10 ベルクランプ装置 11 ベルホルダー 12 ベルホルダー 13 ベルホルダー回転台 14 ベルホルダー回転台 RX 回転軸

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光軸に関して回転対称な形状を有する光
    学素子の調芯方法において、 光軸を中心とする光学素子の有効部の外側に、径方向に
    厚さが変化する外縁部を設けておき、該外縁部の両面を
    基準面としてベルクランプ方式によって調芯を行うこと
    を特徴とする光学素子の調芯方法。
  2. 【請求項2】 前記外縁部の径方向の厚さの変化を、前
    記外縁部近傍における前記有効部の径方向の厚さの変化
    よりも、大きく設定しておくことを特徴とする請求項1
    に記載の光学素子の調芯方法。
  3. 【請求項3】 前記外縁部の両面を基準面としてベルク
    ランプ方式によって調芯を行った後、続けて芯取り加工
    を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載
    の光学素子の調芯方法。
  4. 【請求項4】 光軸に関して回転対称な形状を有する光
    学素子において、 光軸を中心とする有効部の外側に、ベルクランプ方式に
    よる調芯を行うための、径方向に厚さが変化する外縁部
    を備えることを特徴とする光学素子。
  5. 【請求項5】 前記外縁部の径方向の厚さの変化は前記
    外縁部近傍における前記有効部の径方向の厚さの変化よ
    りも大きいことを特徴とする請求項4に記載の光学素
    子。
  6. 【請求項6】 いずれか一方の面は前記有効部から前記
    外縁部まで同一曲率で連続していることを特徴とする請
    求項4または請求項5に記載の光学素子。
  7. 【請求項7】 いずれか一方の面は前記有効部と前記外
    縁部とで径方向の曲率が異なることを特徴とする請求項
    4ないし請求項6のいずれかに記載の光学素子。
  8. 【請求項8】 いずれか一方の面は全体が平面であるこ
    とを特徴とする請求項4ないし請求項7のいずれかに記
    載の光学素子。
  9. 【請求項9】 両面は、前記有効部において、略平行平
    面であることを特徴とする請求項4ないし請求項8のい
    ずれかに記載の光学素子。
  10. 【請求項10】 請求項4ないし請求項9のいずれかに
    記載の光学素子をプレス成形によって製造することを特
    徴とする光学素子の製造方法。
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WO2016068297A1 (ja) * 2014-10-30 2016-05-06 住友電気工業株式会社 レンズおよび光学部品

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