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JPH10273569A - ポリプロピレン系樹脂組成物 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂組成物

Info

Publication number
JPH10273569A
JPH10273569A JP7816797A JP7816797A JPH10273569A JP H10273569 A JPH10273569 A JP H10273569A JP 7816797 A JP7816797 A JP 7816797A JP 7816797 A JP7816797 A JP 7816797A JP H10273569 A JPH10273569 A JP H10273569A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
weight
polypropylene
metal salt
talc
rosin acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7816797A
Other languages
English (en)
Inventor
Takenobu Matsumura
武宣 松村
Koji Fukui
康治 福井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Grand Polymer Co Ltd
Original Assignee
Grand Polymer Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Grand Polymer Co Ltd filed Critical Grand Polymer Co Ltd
Priority to JP7816797A priority Critical patent/JPH10273569A/ja
Publication of JPH10273569A publication Critical patent/JPH10273569A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、タルクを含むアイソタクチック・
ポリプロピレンおよび/またはエチレン・プロピレンブ
ロック共重合体と熱可塑性ゴムからなる組成にロジン酸
部分金属塩を添加することにより、ポリプロピレンの結
晶化速度をタルクの核剤効果以上に向上させ、その結
果、それから得られる成形品の剛性が高く、かつ、耐衝
撃性の低下の少ない物性バランスに優れたポリプロピレ
ン系樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 本発明は、(A)アイソタクチック・ポ
リプロピレンおよび/またはエチレン・プロピレンブロ
ック共重合体成分30〜94重量部、(B)ゴム成分5
〜40重量部、(C)タルク1〜30重量部および
(D)ロジン酸の部分金属塩を主成分として含有する結
晶核剤を樹脂成分(A)に対して0.001〜5重量部
(ただし、前記(A)成分、(B)成分および(C)成
分は合計100重量部である)からなるポリプロピレン
系樹脂組成物に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリプロピレン系
樹脂組成物に関し、更に詳しくは、アイソタクチック・
ポリプロピレンおよび/またはエチレン・プロピレンブ
ロック共重合体と、ゴム成分とタルクおよびポリプロピ
レンの結晶核剤であるロジン酸部分金属塩とからなるポ
リプロピレン系樹脂組成物に関する。本発明のポリプロ
ピレン系樹脂組成物は、耐衝撃性に優れるとともに剛性
にも優れており、自動車部品などの構造体として有用で
ある。
【0002】
【従来の技術】アイソタクチック・ポリプロピレンは優
れた加工性、耐薬品性、機械的性質を有し、各種用途に
利用されている。しかしながら、用途によっては剛性、
耐衝撃性が十分とはいえない場合があった。
【0003】そこで、ポリプロピレンの耐衝撃性を改良
するため、熱可塑性ゴムやエチレン・プロピレンブロッ
ク共重合体をブレンドすることが公知技術として知られ
ている(特開平4−372637号公報、特開平7−1
09316号公報および特開平8−41259号公報な
ど参照)。この方法においては、これら成分の添加によ
ってポリプロピレンの耐衝撃性の改良効果は得られる
が、反面、剛性が低下することは否めない。一方、ゴム
やエチレン・プロピレンブロック共重合体をブレンドす
ることにより剛性の低下したポリプロピレンの剛性を向
上させるため、無機物であるタルク粉末を添加する提案
もある(特開平4−153243号公報および特開平8
−41277号公報など参照)。この提案では、確か
に、ある程度剛性を改良することができるが、タルクの
添加量には限度があって、過剰にタルクを添加するとも
ろくなり、かえって得られる組成物の耐衝撃性を損なう
結果になるため、この方法にも限界があった。
【0004】このようなポリプロピレンおよび/または
エチレン・プロピレンブロック共重合体と、熱可塑性ゴ
ム成分およびタルク粉末からなる成形体の耐衝撃性を維
持しながら剛性を向上させるためには、成形加工時に、
ポリプロピレンの結晶化速度を上げ、微細な結晶を生成
させればよいことが分かっている。しかしながら、タル
クは、剛性を向上させる無機充填材としての役割の他、
ポリプロピレンの結晶核剤としての性質を併せ持ってい
る。したがって、ポリプロピレンの結晶化速度を上げる
ために従来の結晶核剤を添加(特開平2−69237号
公報など参照)しても、タルクの結晶核剤効果に隠れて
しまい結晶化速度も上がらず、微細な結晶を生成させる
ことはできなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ポリ
プロピレン系樹脂組成物において上述したような従来技
術における欠点を改善しようとするものであり、タルク
を含むアイソタクチック・ポリプロピレンおよび/また
はエチレン・プロピレンブロック共重合体と熱可塑性ゴ
ムとからなる組成物にロジン酸の部分金属塩を添加する
ことで、ポリプロピレンの結晶化速度をタルクの核剤効
果以上に向上させ、その結果、ゴム添加効果である耐衝
撃性を低下させずに、剛性をさらに向上させたポリプロ
ピレン系樹脂組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
上記の課題を解決するために、アイソタクチック・ポリ
プロピレンおよび/またはエチレン・プロピレンブロッ
ク共重合体と熱可塑性ゴムとタルクと特定のロジン酸部
分金属塩とからなるポリプロピレン系樹脂組成物につい
て鋭意研究を重ねた結果、下記の知見を得ることがで
き、本発明を完成させた。
【0007】すなわち、本発明で得られるポリプロピレ
ン系樹脂組成物は、ロジン酸部分金属塩の核剤効果によ
って、タルク添加系ポリプロピレンの結晶化温度より高
い温度から結晶化を開始することができる。つまり、ロ
ジン酸部分金属塩の持つ優れた結晶核剤の効果により結
晶化速度が速くなり、その結果として、成形体中の個々
の結晶自体が微細化する。この理由を、結晶核発生速度
が遅い場合には、結晶が他の結晶核から成長してきた結
晶と衝突して成長が終了するまでの時間が長いため大き
い結晶が形成されるのに対して、結晶核生成速度が速い
場合には、他の結晶核から成長してきた結晶とすぐに衝
突するため形成される結晶が微細化することによるもの
として説明することができる。本発明のロジン酸部分金
属塩を結晶核剤として用いると、タルクのみを用いた場
合より高い温度から結晶化を開始するため、核発生速度
が速く、かつ、結晶化終了までの時間も短い。すなわ
ち、結晶化速度が速いためポリプロピレンの微細な結晶
組織が形成されることから、高剛性でありながら耐衝撃
性を維持した優れた機械的性質をもつ成形品が得られる
のである。そして、このようなポリプロピレン系樹脂組
成物は射出成形によって広く工業製品として、電気、電
子部品や自動車部品、各種部品などに好適に使用され
る。
【0008】請求項1に係わる第1の発明は、(A)ア
イソタクチック・ポリプロピレンおよび/またはエチレ
ン・プロピレンブロック共重合体30〜94重量部、
(B)ゴム成分5〜40重量部、(C)タルク1〜30
重量部および(D)ロジン酸の部分金属塩を主成分とし
て含有する結晶核剤を樹脂成分(A)に対して0.00
1〜5重量部(ただし、前記(A)成分、(B)成分お
よび(C)成分は合計100重量部である)からなるこ
とを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物に関する。
【0009】そして、請求項2に係わる第2の発明は、
(D)ロジン酸の部分金属塩が天然ロジン、変性ロジン
およびこれらの精製物からなる群から選択される少なく
とも一種の部分金属塩である上記第1の発明に係るポリ
プロピレン系樹脂組成物に関するものである。また、請
求項3に係わる第3の発明は、(D)ロジン酸の部分金
属塩が前記式(1a)、(1b)、(2a)、(2
b)、(3a)および(3b)(ただし、式(1a)〜
(3b)中、R1 、R2 およびR3 は、それぞれ、水素
原子、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基
を示し、互いに同一でも異なっていてもよい。また、M
1 、M2 およびM3 は、それぞれ、1価、2価および3
価の金属を示す)からなる群より選ばれる1つの式で示
される少なくとも1種類の部分金属塩である上記第1ま
たは第2の発明に係るポリプロピレン系樹脂組成物に関
するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係わるポリプロピ
レン系樹脂組成物について詳しく説明する。本発明に係
わるポリプロピレン系樹脂組成物は、(A)アイソタク
チック・ポリプロピレンおよび/またはエチレン・プロ
ピレンブロック共重合体と、(B)ゴム成分、特に熱可
塑性ゴム成分と、(C)タルク粉末と、(D)ロジン酸
部分金属塩から形成されるものである。そこで、これら
各成分について以下に説明する。
【0011】(A)アイソタクチック・ポリプロピレン
および/またはエチレン・プロピレンブロック共重合体 アイソタクチック・ポリプロピレンは、立体規則性高分
子の一つで、その成形品の物性は分子量、分子量分布お
よび立体規則性(13C−NMRによるmmmm分率として表
示される)によって左右される。これらのうち、結晶化
速度に主として関連するのは立体規則性の項目である。
ポリプロピレンの立体規則性は近年の触媒技術の進歩に
よりmmmm分率が98%程度の高立体規則性ポリプロピレ
ンが生産されるようになってきた。エチレン・プロピレ
ンブロック共重合体中のポリプロピレンの立体規則性の
向上も同様になされている。本発明において使用される
アイソタクチック・ポリプロピレンは、このような高立
体規則性のポリプロピレンである。
【0012】一方、本発明において使用されるエチレン
・プロピレンブロック共重合体は、上記アイソタクチッ
ク・ポリプロピレンと、エチレン・プロピレンの2元系
共重合ラバーあるいはエチレン・プロピレン・α−オレ
フィンの3元系共重合ラバーの混合物であり、ポリプロ
ピレンの剛性の低下を最小限に押さえて、耐衝撃性を付
与した熱可塑性樹脂である。通常、ゴム成分(ラバー)
は10重量%程度含まれる。
【0013】ところで、上記アイソタクチック・ポリプ
ロピレンの立体規則性が上がると、結晶化時の阻害要因
である分子鎖のコンフィグレーションの乱れが少なくな
り、その結果結晶化開始温度も高くなり、到達結晶化度
も向上することから剛性も向上する。したがって、より
結晶化し易い高立体規則性ポリプロピレンとポリプロピ
レンの結晶核剤であるタルクを含む系で、タルク以上の
結晶核剤効果をもつ結晶核剤を見いだすのは容易ではな
かった。
【0014】本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の必
須構成成分である(D)ロジン酸部分金属塩は、立体規
則性の高いアイソタクチック・ポリプロピレンとタルク
の混合系でも高い結晶核剤効果を発揮するものである。
【0015】そこで、本発明のポリプロピレン系樹脂組
成物は、剛性と耐衝撃性のバランスする目的の範囲内
で、(A)アイソタクチック・ポリプロピレンと(B)
ゴム成分と(C)タルクおよび(D)ロジン酸部分金属
塩の組成でも良いし、(A)アイソタクチック・ポリプ
ロピレンとエチレン・プロピレンブロック共重合体を任
意の比率でブレンドした成分と(B)ゴム成分と(C)
タルクおよび(D)ロジン酸部分金属塩の組成でも良
い。また、所望される耐衝撃性のレベルによってエチレ
ン・プロピレンブロック共重合体に含まれるゴム量で十
分な場合には、上記成分組成から(B)ゴム成分を省略
してもよい。さらにまた、所望される剛性のレベルによ
っては、該成分組成からさらにアイソタクチック・ポリ
プロピレンを省略して(A)エチレン・プロピレンブロ
ック共重合体と(C)タルクおよび(D)ロジン酸部分
金属塩の組成でも良い。
【0016】(B)ゴム成分 本発明のポリプロピレン系樹脂組成物において、(A)
エチレン・プロピレンブロック共重合体の配合による耐
衝撃性が不足する場合は、さらに(B)ゴム成分を追加
することが好適に行われる。(B)ゴム成分としては、
熱可塑性ゴム成分が好ましく、具体的には、C2(エチ
レン)含量が30〜90重量%のエチレン−プロピレン
共重合ゴム、エチレン−α−オレフィン共重合ゴム、エ
チレン−プロピレン−α−オレフィン3元共重合系ゴ
ム、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合ゴム、ス
チレン−ブタジエンジブロックまたはトリブロック共重
合体、スチレン−イソプレンジブロックまたはトリブロ
ック共重合体の1種または2種以上の混合物を用いるこ
とができる。ここで、エチレン−α−オレフィン共重合
ゴムにおけるα−オレフィンは、具体的には1−ブテ
ン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−
オクテン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1
−ペンテンなどのモノマーをいう。なお、本発明に用い
るエチレン−α−オレフィン共重合ゴムは非晶性ゴムで
も結晶性を一部残しているゴムでもよい。
【0017】(C)タルク 本発明で使用するタルクは、平均粒径が0.5〜10ミ
クロンで、アスペクト比(すなわち、平板状タルクの直
径/厚みの比)が5以上の微粉末タルクが好ましい。
【0018】(D)ロジン酸の部分金属塩を主成分とし
て含有する結晶核剤 本発明のポリプロピレン系樹脂組成物に使用される
(D)成分は、ロジン酸の部分金属塩、つまり、ロジン
酸部分金属塩を主成分として含有する結晶核剤である。
ここに、ロジン酸部分金属塩は、ロジン酸と1価〜3価
の金属化合物との反応生成物をいう。すなわち、本発明
におけるロジン酸部分金属塩の部分とは、ロジン酸と1
価〜3価の金属化合物との反応率が100%以下のもの
をさす。したがって、本発明において使用される前記
(D)成分は、ロジン酸と金属化合物との反応率が10
0%のもののみならず、未反応ロジン酸とロジン酸部分
金属塩との混合物である。本発明において、前記ロジン
酸は、天然ロジン、変性ロジン、あるいはこれらの精製
物の1種または2種以上のロジン酸であることが望まし
い。また、前記ロジン酸と反応して金属塩を生成する金
属化合物としては、1価のアルカリ金属、例えばNa、
Kなど、2価のアルカリ土類金属、例えばMg、Ca、
Baなど、および3価のAlなどの塩化物、炭酸塩、水
酸化物、酢酸塩および硫酸塩などのうち、前記ロジン酸
と反応生成する化合物が挙げられる。
【0019】本発明においてはさらに、前記ロジン酸部
分金属塩は、下記式(1a)、(1b)、(2a)、
(2b)、(3a)および(3b)
【0020】
【化2】 (ただし、式(1a)〜(3b)中、R1 、R2 および
3 は、それぞれ、水素原子、アルキル基、シクロアル
キル基またはアリール基を示し、互いに同一でも異なっ
ていてもよい。また、M1 、M2 およびM3 は、それぞ
れ、上述したような1価、2価および3価の金属を示
す)からなる群より選ばれる1つの式で示される少なく
とも1種類の部分金属塩であることが望ましい。
【0021】上記アルキル基としては、メチル基、エチ
ル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、iso−
ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基およびオク
チル基などが挙げられる。シクロアルキル基としては、
シクロペンチル基、シクロヘキシル基およびシクロブチ
ル基などが挙げられる。また、アリール基としては、フ
ェニル基、トリル基およびナフチル基などが挙げられ
る。
【0022】本発明では、上記式(1a)〜(3b)で
表わされる化合物の中でも、式(2a)または式(2
b)で表わされるロジン骨格が2価のMgと結合したロ
ジン酸部分金属塩で、かつ、R1 およびR2 が共にメチ
ル基、そしてR3 がiso−プロピル基であるロジン酸
部分金属塩が特に好ましい。
【0023】本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、
(A)アイソタクチック・ポリプロピレンおよび/また
はエチレン・プロピレンブロック共重合体を30〜94
重量%、好ましくは40〜94重量%と、(B)ゴム成
分を5〜40重量%、好ましくは5〜30重量%と、
(C)タルク粉末を1〜30重量%(ただし、該(A)
成分、(B)成分および(C)成分は合計100重量%
である)と、(D)ロジン酸部分金属塩を樹脂成分
(A)に対して0.001〜5重量部、好ましくは0.
1〜5重量部とから構成されるものである。(B)ゴム
成分の添加量が5重量%以下では、得られるポリプロピ
レン系樹脂組成物において耐衝撃性の向上は無く、40
%重量以上では、得られるポリプロピレン系樹脂組成物
の剛性の低下が著しいので、いずれの場合も好ましくな
い。また、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物におけ
る(C)タルク粉末の添加量は、上述の如く、通常1〜
30重量%の範囲であるが、5〜30重量%の範囲がよ
り好ましく、10〜20重量%の範囲がさらにより好ま
しい。1重量%以下では、得られるポリプロピレン系樹
脂組成物において剛性の向上は無く、30重量%以上で
は、得られるポリプロピレン系樹脂組成物がもろくなり
耐衝撃強度の低下が起こる。
【0024】さらにまた、本発明のポリプロピレン系樹
脂組成物における(D)ロジン酸部分金属塩の添加量が
樹脂成分(A)に対して0.001重量部より少ない
と、ポリプロピレンの結晶化速度をタルクの核剤効果以
上に向上させることができず、耐衝撃性を維持したまま
で、剛性をさらに向上させたポリプロピレン系樹脂組成
物が得られない。一方、(D)ロジン酸部分金属塩の添
加量を樹脂成分(A)に対して5重量部より多くして
も、該(D)ロジン酸部分金属塩の結晶核剤としての効
果のそれ以上の向上は望めない。
【0025】このような組成のポリプロピレン系樹脂組
成物を調整する方法としては公知の方法が使用でき、例
えば、前記(A)、(B)、(C)および(D)の各成
分を2軸混練機などを用いて溶融混練りする方法が挙げ
られる。また、これら各成分の配合順序についても特に
制限はなく、これら各成分を同時に配合してもよく、あ
るいは、前記(A)成分、(B)成分および(C)成分
をあらかじめ配合して混合物とした後、前記(D)成分
を2軸混練機のシリンダーの途中から添加してもよい。
さらに、本発明に係わるポリプロピレン系樹脂組成物
は、本発明の目的を損なわない範囲で、酸化防止剤、熱
安定剤、紫外線吸収剤、滑材、帯電防止剤、難燃剤、顔
料、染料、タルク以外の無機充填材、有機充填材などを
含有してよい。
【0026】
【実施例】以下、実施例および比較例を挙げて本発明を
具体的に説明する。ただし、本発明は、これらの実施例
に限定されるものではない。なお、本発明に係わるポリ
プロピレン系樹脂組成物の評価は、次の方法によった。
【0027】(1)結晶化速度 溶融混練りしたポリプロピレン系樹脂組成物を示差走査
熱量計(DSC)により該樹脂組成物が溶融状態となる
230℃まで昇温し、10分間保持してから、10℃/
分の降温速度で冷却したときの結晶化による発熱ピーク
温度と発熱が終了する温度を測定することで結晶化速度
を測定した。結晶化によるピーク温度が高く、発熱が終
了する温度が高いほど結晶化速度が速いことになる。
【0028】(2)曲げ弾性率 ASTM D790に準拠して、ポリプロピレン系樹脂
組成物の射出成形品を用いて曲げ弾性率を測定した。曲
げ弾性率が高いほど、剛性が高い。
【0029】(3)−30℃Izod衝撃強度 ASTM D256に準拠し、ポリプロピレン系樹脂組
成物の射出成形品にノッチを入れて−30℃で測定し
た。
【0030】実施例1および2 各々表1に示した混合割合で、エチレン・プロピレンブ
ロック共重合体(230℃、荷重2.16kgで測定し
たメルトフローレート(MFR)が45g/10分のも
の)、タルク(平均粒径:2.3ミクロン)、結晶核剤
として前記式(1a)(ただし、該式においてM1 は金
属Kである)で表わされるカリウム塩含有率30重量%
のロジン酸部分金属塩または前記式(2a)(ただし、
該式においてM2 は金属Mgである)で表わされるマグ
ネシウム塩含有率30重量%のロジン酸部分金属塩およ
び酸化防止剤としてIrganox1010(チバガイ
ギー社製、エチレン・プロピレンブロック共重合体に対
して0.1重量部添加)を2軸混練り機により230℃
で溶融混練りして試料を作製した。
【0031】そこで、得られた表1に示す試料を用い
て、DSC測定を行った。測定結果を図1に示す。実施
例1および2において、それぞれ、図1から求めたDS
Cピーク温度とDSC結晶化終了温度を表2に示す。
【0032】比較例1 エチレン・プロピレンブロック共重合体(230℃、荷
重2.16kgで測定したMFRが45g/10分のも
の)の使用量を80重量部に変えて100重量部にした
こと、タルク(平均粒径:2.3ミクロン)の使用量を
20重量部に変えて0重量にした、すなわち、該タルク
を使用しなかったこと、および、結晶核剤としての前記
式(1a)(ただし、該式においてM1 は金属Kであ
る)で表わされるカリウム塩含有率30重量%のロジン
酸部分金属塩の使用量を0.32重量部に変えて0重量
部、すなわち、該結晶核剤を使用しなかったこと以外
は、実施例1と全く同様に溶融混練りして試料を作製し
た。そこで、得られた表1に示す試料を用いて、DSC
測定を行った。測定結果を図1に示す。図1から求めた
DSCピーク温度とDSC結晶化終了温度を表2に示
す。
【0033】比較例2 結晶核剤としての前記式(1a)(ただし、該式におい
てM1 は金属Kである)で表わされるカリウム塩含有率
30重量%のロジン酸部分金属塩の使用量を0.32重
量部に変えて0重量部、すなわち、該結晶核剤を使用し
なかったこと以外は、実施例1と全く同様に溶融混練り
して試料を作製した。そこで、得られた表1に示す試料
を用いて、DSC測定を行った。測定結果を図1に示
す。図1から求めたDSCピーク温度とDSC結晶化終
了温度を表2に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】上記表2の結果から明らかなように、本発
明による結晶核剤を含むタルク混合系のエチレン・プロ
ピレンブロック共重合体(すなわち、本発明に係わるポ
リプロピレン系樹脂組成物)は、タルクのみを混合した
エチレン・プロピレンブロック共重合体の場合(比較例
2)と比べて、1.7〜4.3℃結晶化ピーク温度が高
温側に移動する。また、結晶化終了温度もタルク混合系
エチレン・プロピレンブロック共重合体の場合(比較例
2)と比べて、4.3〜5.6℃高く、速く結晶化が終
了する。
【0037】実施例3〜7 実施例3〜7において、それぞれ、表3に示す組成比
(重量部)でアイソタクチック・ポリプロピレンと、エ
チレン・プロピレンブロック共重合体と、ゴムと、タル
クと前記式(2a)(ただし、該式においてM2 は金属
Mgである)で表わされるマグネシウム塩含有率30重
量%のロジン酸部分金属塩とを実施例1と全く同様の方
法で溶融混練りし、試料を作製した。次に、各試料を射
出成形してASTM規格サイズの成形片を作製した。そ
こで、実施例3〜7において、それぞれ、得られた成形
片を用いて曲げ弾性率と−30℃Izod衝撃強度を測
定した。結果を表3に示す。
【0038】比較例3 前記式(2a)(ただし、該式においてM2 は金属Mg
である)で表わされるマグネシウム塩含有率30重量%
のロジン酸部分金属塩の使用量を0.112重量部に変
えて0重量部にしたこと以外は、実施例3と全く同様の
方法で、結晶核剤を含まない実施例3と同じ組成の射出
成形試料片を作製した。そこで、該試料片について各種
物性(すなわち、曲げ弾性率および−30℃Izod衝
撃強度)の測定を行った。結果を表3に示す。
【0039】比較例4 前記式(2a)(ただし、該式においてM2 は金属Mg
である)で表わされるマグネシウム塩含有率30重量%
のロジン酸部分金属塩の使用量を0.240重量部に変
えて0重量部にしたこと以外は、実施例7と全く同様の
方法で、結晶核剤を含まない実施例7と同じ組成の射出
成形試料片を作製した。そこで、該試料片について各種
物性(すなわち、曲げ弾性率および−30℃Izod衝
撃強度)の測定を行った。結果を表3に示す。
【0040】
【表3】
【0041】上記表3の結果から、実施例3〜7のポリ
プロピレン系樹脂組成物の場合は、結晶核剤を含まない
タルク混合系エチレン・プロピレンブロック共重合体の
場合(比較例3および4)と比べて、耐衝撃性を維持し
つつ、曲げ弾性率が向上することが明らかである。
【0042】
【発明の効果】本発明に係わるポリプロピレン系樹脂組
成物は、成分中のロジン酸部分金属塩の結晶核剤として
の効果が、タルクの結晶核剤としての効果を上回るた
め、結晶化開始温度がタルクのみの場合より高くなると
ともに、結晶化速度も速いので、該樹脂組成物から得ら
れる成形体の剛性が高く、かつ、耐衝撃性の低下の少な
い物性バランスに優れた材料を提供することができる。
したがって、本発明に係わるポリプロピレン系樹脂組成
物は、上述したように、耐衝撃性を維持したまま剛性に
優れた材料であり、従来の公知のポリプロピレン系樹脂
組成物に比べて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1および2と、比較例1および2の結晶
化挙動をDSCで測定した結果を示す図である。
【符号の説明】 EPBC エチレン・プロピレンブロック共重合体100重量部のポリプロピ 100 レン系樹脂組成物 EPBC/Talc エチレン・プロピレンブロック共重合体80重量部とタ 80 20 ルク20重量部からなるポリプロピレン系樹脂組成物 EPBC/Talc/Ia エチレン・プロピレンブロック共重合体80重量 80 20 0.32 部とタルク20重量部と前記式(1a)で表わさ れるカリウム塩含有率30重量%のロジン酸部分 金属塩0.32重量部とからなるポリプロピレン 系樹脂組成物 EPBC/Talc/IIa エチレン・プロピレンブロック共重合体80重量 80 20 0.32 部とタルク20重量部と前記式(2a)で表わさ れるマグネシウム塩含有率30重量%のロジン酸 部分金属塩0.32重量部とからなるポリプロピ レン系樹脂組成物 ヒートフロー(W/g) ヒートフロー(Watt/g)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 93/04 C08L 93/04

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)アイソタクチック・ポリプロピレ
    ンおよび/またはエチレン・プロピレンブロック共重合
    体成分30〜94重量部、(B)ゴム成分5〜40重量
    部、(C)タルク1〜30重量部、および、(D)ロジ
    ン酸の部分金属塩を主成分として含有する結晶核剤を樹
    脂成分(A)に対して0.001〜5重量部(ただし、
    前記(A)成分、(B)成分および(C)成分は合計1
    00重量部である)からなることを特徴とするポリプロ
    ピレン系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 前記(D)ロジン酸の部分金属塩が天然
    ロジン、変性ロジンおよびこれらの精製物からなる群か
    ら選択される少なくとも一種の部分金属塩である請求項
    1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 前記(D)ロジン酸の部分金属塩が下記
    式(1a)、(1b)、(2a)、(2b)、(3a)
    および(3b) 【化1】 (ただし、式(1a)〜(3b)中、R1 、R2 および
    3 は、それぞれ、水素原子、アルキル基、シクロアル
    キル基またはアリール基を示し、互いに同一でも異なっ
    ていてもよい。また、M1 、M2 およびM3 は、それぞ
    れ、1価、2価および3価の金属を示す)からなる群よ
    り選ばれる1つの式で示される少なくとも1種類の部分
    金属塩である請求項1または2に記載のポリプロピレン
    系樹脂組成物。
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