JPH10267029A - 動圧流体軸受装置 - Google Patents
動圧流体軸受装置Info
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- JPH10267029A JPH10267029A JP7393797A JP7393797A JPH10267029A JP H10267029 A JPH10267029 A JP H10267029A JP 7393797 A JP7393797 A JP 7393797A JP 7393797 A JP7393797 A JP 7393797A JP H10267029 A JPH10267029 A JP H10267029A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 潤滑流体に大きな負圧力が発生するのを防止
することができる動圧流体軸受装置を提供すること。 【解決手段】 スリーブ部材2と、スリーブ部材2に対
して相対的に回転自在である軸部材4と、軸部材4とス
リーブ部材2との間の間隙に充填された潤滑流体とを備
え、スリーブ部材2の内周面2aおよび軸部材4の外周
面のいずれか一方には、対向する周面との間隔が大きい
リセス部10と対向する周面との間隔が小さいスライダ
部12が交互に配設されている動圧流体軸受装置。スリ
ーブ部材2に対する軸部材4の相対的回転方向に見てス
ライダ部12の下流端とリセス部10の上流端との境界
部位に、軸部材4の軸線方向に延びる分離溝18が形成
されている。
することができる動圧流体軸受装置を提供すること。 【解決手段】 スリーブ部材2と、スリーブ部材2に対
して相対的に回転自在である軸部材4と、軸部材4とス
リーブ部材2との間の間隙に充填された潤滑流体とを備
え、スリーブ部材2の内周面2aおよび軸部材4の外周
面のいずれか一方には、対向する周面との間隔が大きい
リセス部10と対向する周面との間隔が小さいスライダ
部12が交互に配設されている動圧流体軸受装置。スリ
ーブ部材2に対する軸部材4の相対的回転方向に見てス
ライダ部12の下流端とリセス部10の上流端との境界
部位に、軸部材4の軸線方向に延びる分離溝18が形成
されている。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軸部材とスリーブ
部材との間に充填される潤滑流体を介して軸部材を回転
自在に支持する動圧流体軸受装置に関する。
部材との間に充填される潤滑流体を介して軸部材を回転
自在に支持する動圧流体軸受装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、所定方向に回転される軸部材
を回転自在に支持する軸受装置として、スリーブ部材
と、このスリーブ部材に対して相対的に回転自在に支持
された軸部材と、スリーブ部材と軸部材との間の間隙に
充填された潤滑流体を備えた動圧流体軸受装置が実用に
供されている。そして、この動圧流体軸受装置の一例と
して、スリーブ部材の内周面(または軸部材の外周面)
にリセス部とスライダ部とが交互に配設されたものが知
られている。リセス部では、スリーブ部材の内周面と軸
部材の外周面との間隔は大きく、スライダ部では、スリ
ーブ部材の内周面と軸部材の外周面との間隔は小さくな
っている。このような動圧流体軸受装置においてスリー
ブ部材に対して軸部材を所定方向に回転させると、リセ
ス部領域に存在する潤滑流体が流動してスライダ部領域
に流れ、これによってスライダ部領域における潤滑流体
の流体圧力が高められ、圧力の高められた潤滑流体を介
して軸部材が回転自在に支持される。
を回転自在に支持する軸受装置として、スリーブ部材
と、このスリーブ部材に対して相対的に回転自在に支持
された軸部材と、スリーブ部材と軸部材との間の間隙に
充填された潤滑流体を備えた動圧流体軸受装置が実用に
供されている。そして、この動圧流体軸受装置の一例と
して、スリーブ部材の内周面(または軸部材の外周面)
にリセス部とスライダ部とが交互に配設されたものが知
られている。リセス部では、スリーブ部材の内周面と軸
部材の外周面との間隔は大きく、スライダ部では、スリ
ーブ部材の内周面と軸部材の外周面との間隔は小さくな
っている。このような動圧流体軸受装置においてスリー
ブ部材に対して軸部材を所定方向に回転させると、リセ
ス部領域に存在する潤滑流体が流動してスライダ部領域
に流れ、これによってスライダ部領域における潤滑流体
の流体圧力が高められ、圧力の高められた潤滑流体を介
して軸部材が回転自在に支持される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た軸受装置においては、次のとおりの解決すべき問題が
存在する。スリーブ部材に対して軸部材が相対的に回転
すると、スライダ部領域にて潤滑流体の圧力が高められ
るが、スライダ部領域の潤滑流体がリセス部領域に流動
すると、潤滑流体の圧力がリセス部領域にて開放され、
潤滑流体の圧力開放によって負圧力が発生するおそれが
ある。負圧力領域が発生すると、潤滑流体の油膜破断が
生じ易くなり、また軸受装置のラジアル剛性が低下し、
その結果、非再現性ランアウト(NRRO)が大きくな
り、また耐衝撃、耐振動性特性が低下する。
た軸受装置においては、次のとおりの解決すべき問題が
存在する。スリーブ部材に対して軸部材が相対的に回転
すると、スライダ部領域にて潤滑流体の圧力が高められ
るが、スライダ部領域の潤滑流体がリセス部領域に流動
すると、潤滑流体の圧力がリセス部領域にて開放され、
潤滑流体の圧力開放によって負圧力が発生するおそれが
ある。負圧力領域が発生すると、潤滑流体の油膜破断が
生じ易くなり、また軸受装置のラジアル剛性が低下し、
その結果、非再現性ランアウト(NRRO)が大きくな
り、また耐衝撃、耐振動性特性が低下する。
【0004】本発明の目的は、潤滑流体に大きな負圧力
が発生するのを防止することができる動圧流体軸受装置
を提供することである。
が発生するのを防止することができる動圧流体軸受装置
を提供することである。
【0005】本発明の他の目的は、ラジアル剛性を大き
くすることができる動圧流体軸受装置を提供することで
ある。
くすることができる動圧流体軸受装置を提供することで
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、スリーブ部材
と、該スリーブ部材に対して相対的に回転自在である軸
部材と、該軸部材と該スリーブ部材との間の間隙に充填
された潤滑流体とを備え、前記スリーブ部材の内周面お
よび軸部材の外周面のいずれか一方には、対向する周面
との間隔が大きい大間隙部と対向する周面との間隔が小
さい小間隙部が交互に配設されている動圧流体軸受装置
であって、前記スリーブ部材に対する軸部材の相対的回
転方向に見て前記小間隙部の下流端と前記大間隙部の上
流端との境界部位に、該境界部位に潤滑流体を案内して
負圧発生を抑制する分離溝が軸部材の軸線方向に形成さ
れていることを特徴とする動圧流体軸受装置である。本
発明に従えば、動圧流体軸受装置の小間隙部の下流端と
大間隙部の上流端との上記境界部位に、軸部材の軸線方
向に延びる分離溝が設けられている。小間隙部と大間隙
部との境界部位では、小間隙部から大間隙部に流動する
際に、潤滑流体の圧力が開放される故に、潤滑流体に負
圧力が生じ易くなるが、上記分離溝によって負圧力の発
生が抑えられる。すなわち、分離溝を設けることによっ
て、この分離溝を通して周囲から上記境界部位への潤滑
流体の流れが許容され、したがって、上記境界部位に負
圧力が発生しようとすると、周囲の潤滑流体が上記分離
溝を通して上記境界部位に流入するようになり、これに
よって負圧力の発生が抑えられる。
と、該スリーブ部材に対して相対的に回転自在である軸
部材と、該軸部材と該スリーブ部材との間の間隙に充填
された潤滑流体とを備え、前記スリーブ部材の内周面お
よび軸部材の外周面のいずれか一方には、対向する周面
との間隔が大きい大間隙部と対向する周面との間隔が小
さい小間隙部が交互に配設されている動圧流体軸受装置
であって、前記スリーブ部材に対する軸部材の相対的回
転方向に見て前記小間隙部の下流端と前記大間隙部の上
流端との境界部位に、該境界部位に潤滑流体を案内して
負圧発生を抑制する分離溝が軸部材の軸線方向に形成さ
れていることを特徴とする動圧流体軸受装置である。本
発明に従えば、動圧流体軸受装置の小間隙部の下流端と
大間隙部の上流端との上記境界部位に、軸部材の軸線方
向に延びる分離溝が設けられている。小間隙部と大間隙
部との境界部位では、小間隙部から大間隙部に流動する
際に、潤滑流体の圧力が開放される故に、潤滑流体に負
圧力が生じ易くなるが、上記分離溝によって負圧力の発
生が抑えられる。すなわち、分離溝を設けることによっ
て、この分離溝を通して周囲から上記境界部位への潤滑
流体の流れが許容され、したがって、上記境界部位に負
圧力が発生しようとすると、周囲の潤滑流体が上記分離
溝を通して上記境界部位に流入するようになり、これに
よって負圧力の発生が抑えられる。
【0007】また本発明は、スリーブ部材と、該スリー
ブ部材に対して相対的に回転自在である軸部材と、該軸
部材と該スリーブ部材との間の間隙に充填された潤滑流
体とを備えた動圧流体軸受装置において、前記スリーブ
部材の内周面には、前記軸部材の外周面との間隔が大き
い大間隙部と、前記外周面との間隔が小さい小間隙部が
交互に配設され、前記大間隙部は、前記スリーブ部材に
対する軸部材の相対的回転方向に見て前記大間隙部の上
流端から下流端に向けて前記軸部材の外周面に近接する
方向にテーパ状に延びていることを特徴とする動圧流体
軸受装置である。本発明に従えば、スリーブ部材の内周
面に設けられた大間隙部は、上記相対的回転方向に見て
大間隙部の上流端から下流端に向けて軸部材の外周面に
近接する方向にテーパ状に延びている。したがって、大
間隙部に存在する潤滑流体は、スリーブ部材に対する軸
部材の相対的回転によってテーパ面に沿ってスムースに
小間隙部に流動し、これによって小間隙部領域における
潤滑流体の圧力が高められ、その結果、動圧流体軸受装
置のラジアル剛性が高くなる。また、軸部材との間隔が
小さくほぼ一様な小間隙部領域を設けることによって流
出端での圧力の低下を防ぎ、隙間内の発生圧力を高く保
つことができるので、これによってもラジアル剛性を高
めることができる。
ブ部材に対して相対的に回転自在である軸部材と、該軸
部材と該スリーブ部材との間の間隙に充填された潤滑流
体とを備えた動圧流体軸受装置において、前記スリーブ
部材の内周面には、前記軸部材の外周面との間隔が大き
い大間隙部と、前記外周面との間隔が小さい小間隙部が
交互に配設され、前記大間隙部は、前記スリーブ部材に
対する軸部材の相対的回転方向に見て前記大間隙部の上
流端から下流端に向けて前記軸部材の外周面に近接する
方向にテーパ状に延びていることを特徴とする動圧流体
軸受装置である。本発明に従えば、スリーブ部材の内周
面に設けられた大間隙部は、上記相対的回転方向に見て
大間隙部の上流端から下流端に向けて軸部材の外周面に
近接する方向にテーパ状に延びている。したがって、大
間隙部に存在する潤滑流体は、スリーブ部材に対する軸
部材の相対的回転によってテーパ面に沿ってスムースに
小間隙部に流動し、これによって小間隙部領域における
潤滑流体の圧力が高められ、その結果、動圧流体軸受装
置のラジアル剛性が高くなる。また、軸部材との間隔が
小さくほぼ一様な小間隙部領域を設けることによって流
出端での圧力の低下を防ぎ、隙間内の発生圧力を高く保
つことができるので、これによってもラジアル剛性を高
めることができる。
【0008】さらに本発明は、スリーブ部材と、該スリ
ーブ部材に対して相対的に回転自在である軸部材と、該
軸部材と該スリーブ部材との間の間隙に充填された潤滑
流体とを備えた動圧流体軸受装置において、前記軸部材
の外周面には、前記スリーブ部材の内周面との間隔が大
きい大間隙部と、前記内周面との間隔が小さい小間隙部
が交互に配設され、前記大間隙部は、前記スリーブ部材
に対する軸部材の相対的回転方向に見て前記大間隙部の
下流端から上流端に向けて前記スリーブ部材の内周面に
近接する方向にテーパ状に延びていることを特徴とする
動圧流体軸受装置である。本発明に従えば、軸部材の外
周面に設けられた大間隙部は、上記相対的回転方向に見
て大間隙部の下流端から上流端に向けてスリーブ部材の
内周面に近接する方向にテーパ状に延びている。したが
って、大間隙部に存在する潤滑流体は、スリーブ部材に
対する軸部材の相対的回転によってテーパ面に沿ってス
ムースに小間隙部に流動し、これによって小間隙部領域
における潤滑流体の圧力が高められ、その結果、動圧流
体軸受装置のラジアル剛性が高くなる。また、スリーブ
部材との間隔が小さくほぼ一様な小間隙部領域を設ける
ことによって流出端での圧力の低下を防ぎ、隙間内の発
生圧力を高く保つことができるので、これによってもラ
ジアル剛性を高めることができる。
ーブ部材に対して相対的に回転自在である軸部材と、該
軸部材と該スリーブ部材との間の間隙に充填された潤滑
流体とを備えた動圧流体軸受装置において、前記軸部材
の外周面には、前記スリーブ部材の内周面との間隔が大
きい大間隙部と、前記内周面との間隔が小さい小間隙部
が交互に配設され、前記大間隙部は、前記スリーブ部材
に対する軸部材の相対的回転方向に見て前記大間隙部の
下流端から上流端に向けて前記スリーブ部材の内周面に
近接する方向にテーパ状に延びていることを特徴とする
動圧流体軸受装置である。本発明に従えば、軸部材の外
周面に設けられた大間隙部は、上記相対的回転方向に見
て大間隙部の下流端から上流端に向けてスリーブ部材の
内周面に近接する方向にテーパ状に延びている。したが
って、大間隙部に存在する潤滑流体は、スリーブ部材に
対する軸部材の相対的回転によってテーパ面に沿ってス
ムースに小間隙部に流動し、これによって小間隙部領域
における潤滑流体の圧力が高められ、その結果、動圧流
体軸受装置のラジアル剛性が高くなる。また、スリーブ
部材との間隔が小さくほぼ一様な小間隙部領域を設ける
ことによって流出端での圧力の低下を防ぎ、隙間内の発
生圧力を高く保つことができるので、これによってもラ
ジアル剛性を高めることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して、本発
明に従う動圧流体軸受装置の実施形態について説明す
る。図1は、本発明に従う動圧流体軸受装置の第1の実
施形態を拡大して示す拡大断面図である。
明に従う動圧流体軸受装置の実施形態について説明す
る。図1は、本発明に従う動圧流体軸受装置の第1の実
施形態を拡大して示す拡大断面図である。
【0010】図1において、図示の動圧流体軸受装置
は、スリーブ部材2と、このスリーブ部材2に対して相
対的に回転自在である軸部材4とを備え、スリーブ部材
2と軸部材4との間に規定される間隙に、潤滑油である
潤滑流体(図示せず)が充填される。この実施形態で
は、図1に示すとおり、スリーブ部材2の内周面2a
に、その軸線方向(図1において上下方向)に間隔をお
いて一対の動圧軸受部6,8が設けられている。動圧軸
受部6,8は実質上同一の構成であり、以下その片方の
動圧軸受部6(8)について説明する。
は、スリーブ部材2と、このスリーブ部材2に対して相
対的に回転自在である軸部材4とを備え、スリーブ部材
2と軸部材4との間に規定される間隙に、潤滑油である
潤滑流体(図示せず)が充填される。この実施形態で
は、図1に示すとおり、スリーブ部材2の内周面2a
に、その軸線方向(図1において上下方向)に間隔をお
いて一対の動圧軸受部6,8が設けられている。動圧軸
受部6,8は実質上同一の構成であり、以下その片方の
動圧軸受部6(8)について説明する。
【0011】動圧軸受部6(8)は、スリーブ部材2の
内周面2aから半径方向内方に幾分突出しており、この
突出する動圧軸受部6(8)に大間隙部としてのリセス
部10と小間隙部としてのスライダ部12とが、周方向
に交互に配設されている。一方、軸部材4は外形が円筒
状であり、その一端から他端まで実質上同一形状に形成
されている。図1におけるII−II線による断面図で
ある図2と、スリーブ部材2と軸部材4との間隙の展開
図である図3をも参照して、図示の形態では、リセス部
10およびスライダ部12は、それぞれ、周方向に3個
設けられており、このように3個のリセス部10および
スライダ部12を設けることによって、構造が比較的簡
単になるとともに、軸受装置のラジアル剛性が等方性と
なり、軸部材2を確実に支持することができる。なお、
リセス部10およびスライダ部12は、周方向に2個、
または4個以上交互に配設することもできる。
内周面2aから半径方向内方に幾分突出しており、この
突出する動圧軸受部6(8)に大間隙部としてのリセス
部10と小間隙部としてのスライダ部12とが、周方向
に交互に配設されている。一方、軸部材4は外形が円筒
状であり、その一端から他端まで実質上同一形状に形成
されている。図1におけるII−II線による断面図で
ある図2と、スリーブ部材2と軸部材4との間隙の展開
図である図3をも参照して、図示の形態では、リセス部
10およびスライダ部12は、それぞれ、周方向に3個
設けられており、このように3個のリセス部10および
スライダ部12を設けることによって、構造が比較的簡
単になるとともに、軸受装置のラジアル剛性が等方性と
なり、軸部材2を確実に支持することができる。なお、
リセス部10およびスライダ部12は、周方向に2個、
または4個以上交互に配設することもできる。
【0012】スライダ部12は、スリーブ部材2の内周
面2aから軸部材4の外周面に向けて幾分大きく突出し
ており、このスライダ部領域(スライダ部12が位置す
る領域であって、図2および図3において領域B0で示
す領域)においては、スライダ部12の周面と軸部材4
の外周面との間隔h0(図3)は小さく、たとえば6μ
m程度に設定される。スライダ部12の周面は、相互に
協働して円筒状の支持面を規定し、これらの支持面が潤
滑流体を介して軸部材4を回転自在に支持する。
面2aから軸部材4の外周面に向けて幾分大きく突出し
ており、このスライダ部領域(スライダ部12が位置す
る領域であって、図2および図3において領域B0で示
す領域)においては、スライダ部12の周面と軸部材4
の外周面との間隔h0(図3)は小さく、たとえば6μ
m程度に設定される。スライダ部12の周面は、相互に
協働して円筒状の支持面を規定し、これらの支持面が潤
滑流体を介して軸部材4を回転自在に支持する。
【0013】また、リセス部10は、スリーブ部材2の
内周面2aから軸部材4の外周面に向けて小さく突出
し、その突出量はスライダ部12よりも小さく、隣接す
るスライダ部12間に凹部を規定する。リセス部領域
(リセス部10が位置する領域であって、図2および図
3において領域B1で示す領域)においては、リセス部
10の周面と軸部材4の外周面との間隔h1(図3)は
大きく、たとえば15μm程度に設定される。これらリ
セス部10は潤滑流体の溜部として作用する。
内周面2aから軸部材4の外周面に向けて小さく突出
し、その突出量はスライダ部12よりも小さく、隣接す
るスライダ部12間に凹部を規定する。リセス部領域
(リセス部10が位置する領域であって、図2および図
3において領域B1で示す領域)においては、リセス部
10の周面と軸部材4の外周面との間隔h1(図3)は
大きく、たとえば15μm程度に設定される。これらリ
セス部10は潤滑流体の溜部として作用する。
【0014】この動圧流体軸受装置においては、軸部材
4は、スリーブ部材2に対して相対的に矢印14で示す
方向に回転駆動される。すなわち、スリーブ部材2が固
定される場合には、軸部材4が矢印14で示す方向に回
転駆動され、軸部材4が固定される場合には、スリーブ
部材2が矢印14で示す方向と反対方向に回転駆動され
る。軸部材4がこのように相対的に回転すると、スリー
ブ部材2と軸部材4との間に介在された潤滑流体は、軸
部材2のこの相対的回動によって、スリーブ部材2に対
して矢印16で示す方向に流動する。したがって、リセ
ス部領域B1に存在する潤滑流体は、矢印16で示す方
向にスライダ部領域B0に向けて流動し、スライダ部領
域B0において潤滑流体の圧力が高められ、圧力が高め
られた潤滑流体を介して軸部材4を回転自在に支持す
る。
4は、スリーブ部材2に対して相対的に矢印14で示す
方向に回転駆動される。すなわち、スリーブ部材2が固
定される場合には、軸部材4が矢印14で示す方向に回
転駆動され、軸部材4が固定される場合には、スリーブ
部材2が矢印14で示す方向と反対方向に回転駆動され
る。軸部材4がこのように相対的に回転すると、スリー
ブ部材2と軸部材4との間に介在された潤滑流体は、軸
部材2のこの相対的回動によって、スリーブ部材2に対
して矢印16で示す方向に流動する。したがって、リセ
ス部領域B1に存在する潤滑流体は、矢印16で示す方
向にスライダ部領域B0に向けて流動し、スライダ部領
域B0において潤滑流体の圧力が高められ、圧力が高め
られた潤滑流体を介して軸部材4を回転自在に支持す
る。
【0015】この軸受装置においては、さらに、矢印1
4で示す軸部材4の相対的回転方向に見て、スライダ部
12の下流端とリセス部10の上流端との境界部位に、
分離溝18(図3においては省略している)が設けられ
ている。分離溝18は、動圧軸受部6(8)を分割する
作用を有し、これら分割溝18によって、動圧軸受部6
(8)は周方向に3分割され、分割された各部分は1個
のリセス部10と1個のスライダ部12から構成され
る。分割溝18は、図1に示すとおり、動圧軸受部6
(8)を実質上貫通してスリーブ部材2の軸線方向(こ
の軸線方向は、軸部材4の軸線方向と一致する)に延
び、その両端は動圧軸受部6(8)の両側に存在する間
隙(スリーブ部材2の内周面2aと軸部材4の外周面と
の間に規定される比較的大きい間隙)に連通している。
4で示す軸部材4の相対的回転方向に見て、スライダ部
12の下流端とリセス部10の上流端との境界部位に、
分離溝18(図3においては省略している)が設けられ
ている。分離溝18は、動圧軸受部6(8)を分割する
作用を有し、これら分割溝18によって、動圧軸受部6
(8)は周方向に3分割され、分割された各部分は1個
のリセス部10と1個のスライダ部12から構成され
る。分割溝18は、図1に示すとおり、動圧軸受部6
(8)を実質上貫通してスリーブ部材2の軸線方向(こ
の軸線方向は、軸部材4の軸線方向と一致する)に延
び、その両端は動圧軸受部6(8)の両側に存在する間
隙(スリーブ部材2の内周面2aと軸部材4の外周面と
の間に規定される比較的大きい間隙)に連通している。
【0016】各分割溝18の周方向の幅W(図2)は、
周方向の角度が2〜15度程度に設定され、好ましくは
3〜5度程度に設定される。この分割溝18の周方向の
幅Wを大きくした場合には、スライダ部12の周方向の
長さが小さくなり、したがって軸受装置のラジアル剛性
が低下するおそれがある。一方、分割溝18の周方向の
幅Wを小さくした場合には、分割溝18を通る潤滑流体
の流れが制限され、上記境界領域に後述する如く負圧力
が発生するおそれがある。また、各分割溝18の深さH
(図2)は、30μm以上、好ましくは50μm以上に
設定される。分割溝18の深さHを小さくした場合に
は、潤滑流体が流れる間隙の断面積が小さくなって充分
な潤滑流体の流れが許容されず、上記境界領域に負圧力
が発生するおそれがある。
周方向の角度が2〜15度程度に設定され、好ましくは
3〜5度程度に設定される。この分割溝18の周方向の
幅Wを大きくした場合には、スライダ部12の周方向の
長さが小さくなり、したがって軸受装置のラジアル剛性
が低下するおそれがある。一方、分割溝18の周方向の
幅Wを小さくした場合には、分割溝18を通る潤滑流体
の流れが制限され、上記境界領域に後述する如く負圧力
が発生するおそれがある。また、各分割溝18の深さH
(図2)は、30μm以上、好ましくは50μm以上に
設定される。分割溝18の深さHを小さくした場合に
は、潤滑流体が流れる間隙の断面積が小さくなって充分
な潤滑流体の流れが許容されず、上記境界領域に負圧力
が発生するおそれがある。
【0017】このような動圧流体軸受装置においては、
軸部材4の相対的回転によって、潤滑流体がスライダ部
領域B0からリセス部領域B1に流動すると、リセス部
領域B1に流動する際に、スライダ部12において高め
られた潤滑流体の圧力が開放されてその圧力が著しく低
下し、スライダ部12とリセス部10との境界部位にて
潤滑流体に負圧力が発生する。このような負圧力が発生
すると、潤滑流体の油膜が破断され、膜状態が不安定と
なり、非再現性ランアウト、ラジアル剛性の低下の原因
となる。これに対して、図示の形態の軸受装置のように
分離溝18を設けた場合には、上記境界部位にて負圧力
が発生すると、動圧軸受部6(8)の両側に存在する潤
滑流体が分離溝18を通って上記境界部位に向けて流入
し、かかる潤滑流体の流入によって負圧力の発生が抑え
られ、動圧流体軸受装置は、分割溝18によって実質上
3つの独立した部分軸受(1個のリセス部10と1個の
スライダ部12からなる部分軸受)に分割されたとみな
され、これら3つの独立した部分軸受によって軸部材4
を回転自在に支持する。
軸部材4の相対的回転によって、潤滑流体がスライダ部
領域B0からリセス部領域B1に流動すると、リセス部
領域B1に流動する際に、スライダ部12において高め
られた潤滑流体の圧力が開放されてその圧力が著しく低
下し、スライダ部12とリセス部10との境界部位にて
潤滑流体に負圧力が発生する。このような負圧力が発生
すると、潤滑流体の油膜が破断され、膜状態が不安定と
なり、非再現性ランアウト、ラジアル剛性の低下の原因
となる。これに対して、図示の形態の軸受装置のように
分離溝18を設けた場合には、上記境界部位にて負圧力
が発生すると、動圧軸受部6(8)の両側に存在する潤
滑流体が分離溝18を通って上記境界部位に向けて流入
し、かかる潤滑流体の流入によって負圧力の発生が抑え
られ、動圧流体軸受装置は、分割溝18によって実質上
3つの独立した部分軸受(1個のリセス部10と1個の
スライダ部12からなる部分軸受)に分割されたとみな
され、これら3つの独立した部分軸受によって軸部材4
を回転自在に支持する。
【0018】上記動圧流体軸受装置は、たとえば、DC
モータなどの電動モータのロータを回転自在に支持する
軸受装置として好都合に用いることができる。そして、
軸回転型のモータに適用する場合には、上記軸部材4が
ロータ(図示せず)に固定され、上記スリーブ部材2が
ハウジングなどの静止部材(図示せず)に固定される。
また、軸固定型のモータに適用する場合には、上記軸部
材4が静止部材に固定され、上記スリーブ部材2がロー
タに固定される。
モータなどの電動モータのロータを回転自在に支持する
軸受装置として好都合に用いることができる。そして、
軸回転型のモータに適用する場合には、上記軸部材4が
ロータ(図示せず)に固定され、上記スリーブ部材2が
ハウジングなどの静止部材(図示せず)に固定される。
また、軸固定型のモータに適用する場合には、上記軸部
材4が静止部材に固定され、上記スリーブ部材2がロー
タに固定される。
【0019】上述した第1の形態の動圧流体軸受装置に
おける分離溝18の効果を、解析モデルを用いた数値解
析によって確認した。動圧流体軸受装置の静的な特性
は、ダイバージェンス・フォーミュレーション(DF)
法と差分法とに基づき非圧縮性レイノルズ方程式を離散
化し、数値解析を行った。また、動特性は、静的平衡点
からのジャーナルの運動パラメータで摂動した非圧縮性
レイノルズ方程式を解いて求めた。数値解析するに際し
て、動圧軸受部6(8)の軸線方向両端における潤滑流
体の圧力は大気圧となり、潤滑流体の円周方向の圧力は
周期的になるという境界条件で行った。また、数値解析
においては、分離溝の周方向の幅を3度と設定し、各分
離溝にあっては周方向に3等分し、各リセス部にあって
は周方向に9等分し、また各スライダ部12にあっては
周方向に12等分に分割して求めた。さらに、軸線方向
には、これらを10不等分割して求めた。
おける分離溝18の効果を、解析モデルを用いた数値解
析によって確認した。動圧流体軸受装置の静的な特性
は、ダイバージェンス・フォーミュレーション(DF)
法と差分法とに基づき非圧縮性レイノルズ方程式を離散
化し、数値解析を行った。また、動特性は、静的平衡点
からのジャーナルの運動パラメータで摂動した非圧縮性
レイノルズ方程式を解いて求めた。数値解析するに際し
て、動圧軸受部6(8)の軸線方向両端における潤滑流
体の圧力は大気圧となり、潤滑流体の円周方向の圧力は
周期的になるという境界条件で行った。また、数値解析
においては、分離溝の周方向の幅を3度と設定し、各分
離溝にあっては周方向に3等分し、各リセス部にあって
は周方向に9等分し、また各スライダ部12にあっては
周方向に12等分に分割して求めた。さらに、軸線方向
には、これらを10不等分割して求めた。
【0020】この数値解析の結果を図4(a)、(b)
および(c)に示す。図4(a)は分割溝の深さが10
μmである場合の、図4(b)は分割溝の深さが30μ
mである場合の、また図4(c)は分割溝の深さが50
μmである場合の解析結果を示す。この解析結果から、
分離溝の深さが増加するにしたがって、負圧力が生じる
周方向の範囲が狭く、またその大きさも小さくなる一
方、正圧力が生じる周方向範囲が大きくなることが理解
される。さらに、分離溝の深さが30μm以上になる
と、負圧力が生じる範囲が非常に狭く、負圧力の大きさ
も非常に小さくなり、分離溝の深さが50μm以上にな
ると、負圧力の大きさもほとんど零(ゼロ)になること
が理解される。なお、図4(a)〜(c)における矢印
は、軸部材の回転方向を示している。
および(c)に示す。図4(a)は分割溝の深さが10
μmである場合の、図4(b)は分割溝の深さが30μ
mである場合の、また図4(c)は分割溝の深さが50
μmである場合の解析結果を示す。この解析結果から、
分離溝の深さが増加するにしたがって、負圧力が生じる
周方向の範囲が狭く、またその大きさも小さくなる一
方、正圧力が生じる周方向範囲が大きくなることが理解
される。さらに、分離溝の深さが30μm以上になる
と、負圧力が生じる範囲が非常に狭く、負圧力の大きさ
も非常に小さくなり、分離溝の深さが50μm以上にな
ると、負圧力の大きさもほとんど零(ゼロ)になること
が理解される。なお、図4(a)〜(c)における矢印
は、軸部材の回転方向を示している。
【0021】図5は、第1の実施形態の動圧流体軸受装
置において、分割溝が動圧流体軸受装置のラジアル剛性
Krrおよび接線方向剛性Ktrに与える影響を示して
いる。なお、図5も、上記数値解析による結果である。
ラジアル剛性Krrとは、軸部材にラジアル方向の負荷
が作用したときにラジアル方向に反作用として作用する
単位変位あたりの力であり、このこのラジアル剛性Kr
rが大きいと軸部材の半径方向の変位が小さくなる。ま
た、接線方向剛性Ktrとは、軸部材にラジアル方向の
負荷が作用したときに接線方向に生じる力であり、この
接線方向剛性Ktrが大きくなると軸部材の不安定スロ
ールが発生し易くなる。
置において、分割溝が動圧流体軸受装置のラジアル剛性
Krrおよび接線方向剛性Ktrに与える影響を示して
いる。なお、図5も、上記数値解析による結果である。
ラジアル剛性Krrとは、軸部材にラジアル方向の負荷
が作用したときにラジアル方向に反作用として作用する
単位変位あたりの力であり、このこのラジアル剛性Kr
rが大きいと軸部材の半径方向の変位が小さくなる。ま
た、接線方向剛性Ktrとは、軸部材にラジアル方向の
負荷が作用したときに接線方向に生じる力であり、この
接線方向剛性Ktrが大きくなると軸部材の不安定スロ
ールが発生し易くなる。
【0022】図5から理解されるとおり、分離溝の深さ
が大きくなるにしたがってラジアル剛性Krrが急激に
大きくなる一方、接線方向剛性Ktrが急激に小さくな
る。そして、分割溝の深さが50μm以上になるとラジ
アル剛性Krrおよび接線方向剛性Ktrがそれぞれ実
質上一定の値となり、この分割溝の深さが30μm以上
になると上記一定値に近い値となり、動圧流体軸受装置
として充分なラジアル剛性Krrおよび接線方向剛性K
trとなる。
が大きくなるにしたがってラジアル剛性Krrが急激に
大きくなる一方、接線方向剛性Ktrが急激に小さくな
る。そして、分割溝の深さが50μm以上になるとラジ
アル剛性Krrおよび接線方向剛性Ktrがそれぞれ実
質上一定の値となり、この分割溝の深さが30μm以上
になると上記一定値に近い値となり、動圧流体軸受装置
として充分なラジアル剛性Krrおよび接線方向剛性K
trとなる。
【0023】このような分離溝は、図6および図7に示
す形態の動圧流体軸受装置にも適用することができる。
図1〜図3の動圧流体軸受装置においては、リセス部1
0とスライダ部12との接続部(境界部位)はステップ
状、換言すると段状に形成されているが、図6および図
7の動圧流体軸受装置においてはテーパ状に形成されて
いる。
す形態の動圧流体軸受装置にも適用することができる。
図1〜図3の動圧流体軸受装置においては、リセス部1
0とスライダ部12との接続部(境界部位)はステップ
状、換言すると段状に形成されているが、図6および図
7の動圧流体軸受装置においてはテーパ状に形成されて
いる。
【0024】動圧流体軸受装置の第2の実施形態を示す
図6および図7において、この軸受装置も、スリーブ部
材32とこのスリーブ部材32に対して相対的に回転自
在である軸部材34とから構成され、スリーブ部材32
の内周面に、軸線方向に間隔を置いて一対の動圧軸受部
(図6において、片方の動圧軸受部のみを断面で示して
いる)が設けられている。スリーブ部材32の動圧軸受
部には、リセス部36とスライダ部38とが交互に3個
づつ配設されている。この実施形態では、リセス部領域
(リセス部36が位置する領域)においては、軸部材3
4の外周面との間隔が大きく、リセス部36における、
矢印40で示す軸部材34の回転方向に見て上流端から
下流端に向けて軸部材34の外周面に近接する方向にテ
ーパ状に延びている。また、スライダ部領域(スライダ
部38が位置する領域)においては、軸部材34の外周
面との間隔が小さく、スライダ部38における、矢印4
0で示す軸部材34の回転方向に見て上流端から下流端
に向けて軸部材34の外周面に近接する方向にテーパ状
に延びている。さらに、リセス部36とスライダ部38
との接続部(境界部位)においては、リセス部36から
スライダ部38に向けてテーパ状に接続されている。し
たがって、この実施形態では、矢印40で示す回転方向
に見て、リセス部36の上流端からスライダ部38のス
ライダ部38の下流端まで実質上連続したテーパ面を規
定している。
図6および図7において、この軸受装置も、スリーブ部
材32とこのスリーブ部材32に対して相対的に回転自
在である軸部材34とから構成され、スリーブ部材32
の内周面に、軸線方向に間隔を置いて一対の動圧軸受部
(図6において、片方の動圧軸受部のみを断面で示して
いる)が設けられている。スリーブ部材32の動圧軸受
部には、リセス部36とスライダ部38とが交互に3個
づつ配設されている。この実施形態では、リセス部領域
(リセス部36が位置する領域)においては、軸部材3
4の外周面との間隔が大きく、リセス部36における、
矢印40で示す軸部材34の回転方向に見て上流端から
下流端に向けて軸部材34の外周面に近接する方向にテ
ーパ状に延びている。また、スライダ部領域(スライダ
部38が位置する領域)においては、軸部材34の外周
面との間隔が小さく、スライダ部38における、矢印4
0で示す軸部材34の回転方向に見て上流端から下流端
に向けて軸部材34の外周面に近接する方向にテーパ状
に延びている。さらに、リセス部36とスライダ部38
との接続部(境界部位)においては、リセス部36から
スライダ部38に向けてテーパ状に接続されている。し
たがって、この実施形態では、矢印40で示す回転方向
に見て、リセス部36の上流端からスライダ部38のス
ライダ部38の下流端まで実質上連続したテーパ面を規
定している。
【0025】このような動圧流体軸受装置においても、
上述したと同様の分離溝42が設けられる(図7におい
ては、分離溝を省略して示す)。すなわち、分離溝42
は、図6に示すように、矢印40で示す回転方向に見
て、スライダ部38の下流端とリセス部36の上流端と
の境界部位に設けられる。この分離溝42は、上述した
と同様の周方向の幅および深さを有するのが望ましい。
そして、このように分離溝42を設けることによって、
第1の実施形態と同様の効果を、第2の実施形態の動圧
流体軸受装置においても得ることができ、負圧力の発生
を抑えることができるとともに、ラジアル剛性および接
線方向剛性の特性を向上させることができる。
上述したと同様の分離溝42が設けられる(図7におい
ては、分離溝を省略して示す)。すなわち、分離溝42
は、図6に示すように、矢印40で示す回転方向に見
て、スライダ部38の下流端とリセス部36の上流端と
の境界部位に設けられる。この分離溝42は、上述した
と同様の周方向の幅および深さを有するのが望ましい。
そして、このように分離溝42を設けることによって、
第1の実施形態と同様の効果を、第2の実施形態の動圧
流体軸受装置においても得ることができ、負圧力の発生
を抑えることができるとともに、ラジアル剛性および接
線方向剛性の特性を向上させることができる。
【0026】上述した第1および第2の実施形態では、
動圧軸受部6(8)(すなわち、リセス部10,36お
よびスライダ部12,38)をスリーブ部材2,32の
内周面2aに設けているが、これに代えて、スリーブ部
材2,32に対向する軸部材4,34の外周面に設ける
こともでき、この場合にも、上述した動圧軸受装置と同
様に作用する。
動圧軸受部6(8)(すなわち、リセス部10,36お
よびスライダ部12,38)をスリーブ部材2,32の
内周面2aに設けているが、これに代えて、スリーブ部
材2,32に対向する軸部材4,34の外周面に設ける
こともでき、この場合にも、上述した動圧軸受装置と同
様に作用する。
【0027】図8および図9は、本発明に従う動圧流体
軸受装置の第3の実施形態を示している。図8および図
9において、この軸受装置も、スリーブ部材52とこの
スリーブ部材52に対して相対的に回転自在である軸部
材54とから構成され、スリーブ部材52の内周面に、
軸線方向に間隔を置いて一対の動圧軸受部(図8におい
て、片方の動圧軸受部のみを断面で示している)が設け
られている。スリーブ部材52の動圧軸受部には、リセ
ス部56とスライダ部58とが交互に3個づつ配設され
ている。この実施形態では、リセス部領域B1(リセス
部36が位置する領域)においては、軸部材54の外周
面との間隔が大きく、リセス部56における、矢印60
で示す軸部材54の回転方向に見て上流端から下流端に
向けて軸部材54の外周面に近接する方向にテーパ状に
延びている。また、スライダ部領域B0(スライダ部3
8が位置する領域)においては、軸部材54の外周面と
の間隔が小さく、矢印40で示す軸部材34の回転方向
に見て上流端から下流端まで円弧状に延び、スライダ部
58の周面と軸部材54の外周面との間隔は一定になっ
ている。第3の実施形態でも、リセス部56およびスラ
イダ部58は、それぞれ、周方向に3個設けられてお
り、このように3個のリセス部56およびスライダ部5
8を設けることによって、構造が比較的簡単になるとと
もに、軸受装置のラジアル剛性が等方性となり、軸部材
54を確実に支持することができる。なお、リセス部5
6およびスライダ部58は、周方向に2個、または4個
以上交互に配設することもできる。
軸受装置の第3の実施形態を示している。図8および図
9において、この軸受装置も、スリーブ部材52とこの
スリーブ部材52に対して相対的に回転自在である軸部
材54とから構成され、スリーブ部材52の内周面に、
軸線方向に間隔を置いて一対の動圧軸受部(図8におい
て、片方の動圧軸受部のみを断面で示している)が設け
られている。スリーブ部材52の動圧軸受部には、リセ
ス部56とスライダ部58とが交互に3個づつ配設され
ている。この実施形態では、リセス部領域B1(リセス
部36が位置する領域)においては、軸部材54の外周
面との間隔が大きく、リセス部56における、矢印60
で示す軸部材54の回転方向に見て上流端から下流端に
向けて軸部材54の外周面に近接する方向にテーパ状に
延びている。また、スライダ部領域B0(スライダ部3
8が位置する領域)においては、軸部材54の外周面と
の間隔が小さく、矢印40で示す軸部材34の回転方向
に見て上流端から下流端まで円弧状に延び、スライダ部
58の周面と軸部材54の外周面との間隔は一定になっ
ている。第3の実施形態でも、リセス部56およびスラ
イダ部58は、それぞれ、周方向に3個設けられてお
り、このように3個のリセス部56およびスライダ部5
8を設けることによって、構造が比較的簡単になるとと
もに、軸受装置のラジアル剛性が等方性となり、軸部材
54を確実に支持することができる。なお、リセス部5
6およびスライダ部58は、周方向に2個、または4個
以上交互に配設することもできる。
【0028】この動圧流体軸受装置においては、軸部材
54は、スリーブ部材52に対して相対的に矢印60で
示す方向に回転される。軸部材54がこのように相対的
に回転すると、スリーブ部材52と軸部材54との間に
介在された潤滑流体は、軸部材52のこの相対的回動に
よって、スリーブ部材52に対して矢印62で示す方向
に流動する。したがって、リセス部領域B1に存在する
潤滑流体は、矢印62で示す方向にそのテーパ面に沿っ
てスライダ部領域B0に向けて流動し、このテーパ面に
沿って流動する際にその流体圧力が上昇される。そし
て、圧力が上昇した潤滑流体がスライダ部領域B0に流
入し、軸部材54は、圧力が高められた潤滑流体を介し
てスライダ部領域B0にて回転自在に支持される。
54は、スリーブ部材52に対して相対的に矢印60で
示す方向に回転される。軸部材54がこのように相対的
に回転すると、スリーブ部材52と軸部材54との間に
介在された潤滑流体は、軸部材52のこの相対的回動に
よって、スリーブ部材52に対して矢印62で示す方向
に流動する。したがって、リセス部領域B1に存在する
潤滑流体は、矢印62で示す方向にそのテーパ面に沿っ
てスライダ部領域B0に向けて流動し、このテーパ面に
沿って流動する際にその流体圧力が上昇される。そし
て、圧力が上昇した潤滑流体がスライダ部領域B0に流
入し、軸部材54は、圧力が高められた潤滑流体を介し
てスライダ部領域B0にて回転自在に支持される。
【0029】この形態の軸受装置では、リセス部56に
テーパ面が形成されているので、スライダ部58に流動
する潤滑流体は、リセス部56のテーパ面に沿ってスム
ースに移動し、この移動の間にその圧力が充分に高めら
れる。それ故に、圧力が高められた潤滑流体がスライダ
部58に流れ、動圧流体軸受装置として充分なラジアル
剛性が得られる。また、図6、図7に示したテーパのみ
の軸受形式に比べて、間隔一定のスライダ部を設けるこ
とによって流出端の流れ抵抗を高めることができるの
で、テーパ面で高められた圧力の領域を広くすることが
でき、これによってもラジアル剛性を高めることができ
る。
テーパ面が形成されているので、スライダ部58に流動
する潤滑流体は、リセス部56のテーパ面に沿ってスム
ースに移動し、この移動の間にその圧力が充分に高めら
れる。それ故に、圧力が高められた潤滑流体がスライダ
部58に流れ、動圧流体軸受装置として充分なラジアル
剛性が得られる。また、図6、図7に示したテーパのみ
の軸受形式に比べて、間隔一定のスライダ部を設けるこ
とによって流出端の流れ抵抗を高めることができるの
で、テーパ面で高められた圧力の領域を広くすることが
でき、これによってもラジアル剛性を高めることができ
る。
【0030】この第3の形態の軸受装置においても、上
述したと同様に、矢印60で示す軸部材54の相対的回
転方向に見て、スライダ部58の下流端とリセス部56
の上流端との境界部位に、上述したと同様にして分離溝
64(図9においては省略している)を設けることがで
きる。分離溝64は、動圧軸受部を周方向に3分割し、
分割された各部分は1個のリセス部56と1個のスライ
ダ部58から構成される。各分割溝64の周方向の幅W
は、周方向の角度が2〜15度程度に設定され、好まし
くは3〜5度程度に設定される。また、各分割溝18の
深さHは、30μm以上、好ましくは50μm以上に設
定される。このように分離溝64を設けることによっ
て、上述したとおり、潤滑流体に負圧力が発生すること
が抑えられ、またラジアル剛性も高められる。
述したと同様に、矢印60で示す軸部材54の相対的回
転方向に見て、スライダ部58の下流端とリセス部56
の上流端との境界部位に、上述したと同様にして分離溝
64(図9においては省略している)を設けることがで
きる。分離溝64は、動圧軸受部を周方向に3分割し、
分割された各部分は1個のリセス部56と1個のスライ
ダ部58から構成される。各分割溝64の周方向の幅W
は、周方向の角度が2〜15度程度に設定され、好まし
くは3〜5度程度に設定される。また、各分割溝18の
深さHは、30μm以上、好ましくは50μm以上に設
定される。このように分離溝64を設けることによっ
て、上述したとおり、潤滑流体に負圧力が発生すること
が抑えられ、またラジアル剛性も高められる。
【0031】上述した第3の形態の動圧流体軸受装置に
おける特性向上の最適範囲を、数値解析によって求め
た。動的および静的な特性は、上述したと同様の方程式
を用いて求めた。この数値解析に際して、軸部材の直径
を4mmと、動圧軸受部の軸線方向の幅を3mmと、ス
ライダ部の周面と軸部材の外周面との間隔h0(図9)
を6.0μmと、回転速度を7200rpmと、軸部材
の偏心率を0.0と、また潤滑流体の油粘性係数を36
cpとした。また、分割溝の周方向の幅Wを3度とし
た。さらに、数値計算では、各分離溝にあっては周方向
に1等分割数とし、各リセス部にあっては周方向に11
等分し、また各スライダ部にあっては周方向に12等分
に分割した。また、軸線方向には、これらを10不等分
割した。境界条件としては、動圧軸受部の両端の動圧流
体の圧力を大気圧とし、周方向では、分離溝における潤
滑流体の圧力を大気圧として求めた。
おける特性向上の最適範囲を、数値解析によって求め
た。動的および静的な特性は、上述したと同様の方程式
を用いて求めた。この数値解析に際して、軸部材の直径
を4mmと、動圧軸受部の軸線方向の幅を3mmと、ス
ライダ部の周面と軸部材の外周面との間隔h0(図9)
を6.0μmと、回転速度を7200rpmと、軸部材
の偏心率を0.0と、また潤滑流体の油粘性係数を36
cpとした。また、分割溝の周方向の幅Wを3度とし
た。さらに、数値計算では、各分離溝にあっては周方向
に1等分割数とし、各リセス部にあっては周方向に11
等分し、また各スライダ部にあっては周方向に12等分
に分割した。また、軸線方向には、これらを10不等分
割した。境界条件としては、動圧軸受部の両端の動圧流
体の圧力を大気圧とし、周方向では、分離溝における潤
滑流体の圧力を大気圧として求めた。
【0032】間隔比(リセス部と軸部材の外周面との間
隔のうち最も大きい間隔h1と、リセス部と軸部材の外
周面との間隔のうち最も小さい間隔h0との比(h1/
h0))および長さ比(リセス部の周方向の長さb1と
スライダ部の周方向の長さb0との比(b1/b0))
と、ラジアル剛性・トルク比との関係の数値解析結果
を、図10に示す。この数値解析結果から、リセス部の
周方向の長さb1とスライダ部の周方向の長さb0との
長さ比(b1/b0)が4.3〜5.3の範囲であると
きに、大きなラジアル剛性・トルク比が得られる。さら
に、上記長さ比(b1/b0)において、リセス部と軸
部材の外周面との間隔のうち最も大きい間隔h1と、リ
セス部と軸部材の外周面との間隔のうち最も小さい間隔
h0との間隔比(h1/h0)が2.5〜2.7である
ときに一層大きなラジアル剛性・トルク比が得られる。
特に注目すべきことは、この最適設計の条件下における
ラジアル剛性・トルク比が、従来一般に使用されている
ヘリングボーン動圧軸受の最適設計条件のラジアル剛性
・トルク比より大きな値を持つことである。
隔のうち最も大きい間隔h1と、リセス部と軸部材の外
周面との間隔のうち最も小さい間隔h0との比(h1/
h0))および長さ比(リセス部の周方向の長さb1と
スライダ部の周方向の長さb0との比(b1/b0))
と、ラジアル剛性・トルク比との関係の数値解析結果
を、図10に示す。この数値解析結果から、リセス部の
周方向の長さb1とスライダ部の周方向の長さb0との
長さ比(b1/b0)が4.3〜5.3の範囲であると
きに、大きなラジアル剛性・トルク比が得られる。さら
に、上記長さ比(b1/b0)において、リセス部と軸
部材の外周面との間隔のうち最も大きい間隔h1と、リ
セス部と軸部材の外周面との間隔のうち最も小さい間隔
h0との間隔比(h1/h0)が2.5〜2.7である
ときに一層大きなラジアル剛性・トルク比が得られる。
特に注目すべきことは、この最適設計の条件下における
ラジアル剛性・トルク比が、従来一般に使用されている
ヘリングボーン動圧軸受の最適設計条件のラジアル剛性
・トルク比より大きな値を持つことである。
【0033】第3の実施形態の軸受装置においては、ス
リーブ部材の内周面に動圧軸受部(すなわちリセス部5
6およびスライダ部58)を設けているが、これとは反
対に、軸部材54の外周面に動圧軸受部を設けるように
してもよい。かかる場合には、図示していないが、リセ
ス部領域においては、スリーブ部材の内周面との間隔が
大きく、リセス部における、軸部材の回転方向に見て下
流端から上流端に向けてスリーブ部材の内周面に近接す
る方向にテーパ状に延びる。また、スライダ部領域にお
いては、スリーブ部材の内周面との間隔が小さく、軸部
材の回転方向に見て上流端から下流端まで円弧状に延
び、スライダ部の周面とスリーブ部材の内周面との間隔
は一定になっている。また、この場合においては、分離
溝は、軸部材の相対的回転方向に見て、スライダ部の上
流端とリセス部の下流端との境界領域に設けられる。こ
のような動圧流体軸受装置でも、第3の形態のものと実
質上同様の効果が達成される。
リーブ部材の内周面に動圧軸受部(すなわちリセス部5
6およびスライダ部58)を設けているが、これとは反
対に、軸部材54の外周面に動圧軸受部を設けるように
してもよい。かかる場合には、図示していないが、リセ
ス部領域においては、スリーブ部材の内周面との間隔が
大きく、リセス部における、軸部材の回転方向に見て下
流端から上流端に向けてスリーブ部材の内周面に近接す
る方向にテーパ状に延びる。また、スライダ部領域にお
いては、スリーブ部材の内周面との間隔が小さく、軸部
材の回転方向に見て上流端から下流端まで円弧状に延
び、スライダ部の周面とスリーブ部材の内周面との間隔
は一定になっている。また、この場合においては、分離
溝は、軸部材の相対的回転方向に見て、スライダ部の上
流端とリセス部の下流端との境界領域に設けられる。こ
のような動圧流体軸受装置でも、第3の形態のものと実
質上同様の効果が達成される。
【0034】
【発明の効果】本発明の請求項1の動圧流体軸受装置に
よれば、動圧流体軸受装置の小間隙部の下流端と大間隙
部の上流端との上記境界部位に、軸部材の軸線方向に延
びる分離溝が設けられている。小間隙部と大間隙部との
境界部位では、小間隙部から大間隙部に流動する際に、
潤滑流体の圧力が開放される故に、潤滑流体に負圧力が
生じ易くなるが、上記分離溝によって負圧力の発生が抑
えられる。すなわち、分離溝を設けることによって、こ
の分離溝を通して周囲から上記境界部位への潤滑流体の
流れが許容され、したがって、上記境界部位に負圧力が
発生しようとすると、周囲の潤滑流体が上記分離溝を通
して上記境界部位に流入するようになり、これによって
負圧力の発生が抑えられる。
よれば、動圧流体軸受装置の小間隙部の下流端と大間隙
部の上流端との上記境界部位に、軸部材の軸線方向に延
びる分離溝が設けられている。小間隙部と大間隙部との
境界部位では、小間隙部から大間隙部に流動する際に、
潤滑流体の圧力が開放される故に、潤滑流体に負圧力が
生じ易くなるが、上記分離溝によって負圧力の発生が抑
えられる。すなわち、分離溝を設けることによって、こ
の分離溝を通して周囲から上記境界部位への潤滑流体の
流れが許容され、したがって、上記境界部位に負圧力が
発生しようとすると、周囲の潤滑流体が上記分離溝を通
して上記境界部位に流入するようになり、これによって
負圧力の発生が抑えられる。
【0035】また本発明の請求項2の動圧流体軸受装置
によれば、分離溝の深さが30μm以上であるので、潤
滑流体に生じる負圧力が著しく抑えられ、潤滑流体の膜
状態が安定するとともに、ラジアル剛性も高くなる。
によれば、分離溝の深さが30μm以上であるので、潤
滑流体に生じる負圧力が著しく抑えられ、潤滑流体の膜
状態が安定するとともに、ラジアル剛性も高くなる。
【0036】また本発明の請求項3の動圧流体軸受装置
によれば、分離溝の深さが50μm以上であるので、潤
滑流体に生じる負圧力がほぼ零となり、潤滑流体の膜状
態が一層安定するとともに、ラジアル剛性も一層向上す
る。
によれば、分離溝の深さが50μm以上であるので、潤
滑流体に生じる負圧力がほぼ零となり、潤滑流体の膜状
態が一層安定するとともに、ラジアル剛性も一層向上す
る。
【0037】また本発明の請求項4の動圧流体軸受装置
によれば、分離溝の幅は周方向角度が2〜15度である
ので、充分なラジアル剛性を確保しながら潤滑流体のた
めの溝を形成することができる。
によれば、分離溝の幅は周方向角度が2〜15度である
ので、充分なラジアル剛性を確保しながら潤滑流体のた
めの溝を形成することができる。
【0038】また本発明の請求項5の動圧流体軸受装置
によれば、大間隙部と小間隙部とがステップ状はたはテ
ーパ状に接続されており、このような動圧流体軸受装置
に好都合に適用することができる。
によれば、大間隙部と小間隙部とがステップ状はたはテ
ーパ状に接続されており、このような動圧流体軸受装置
に好都合に適用することができる。
【0039】また本発明の請求項6の動圧流体軸受装置
によれば、スリーブ部材の内周面に設けられた大間隙部
は、上記相対的回転方向に見て大間隙部の上流端から下
流端に向けて軸部材の外周面に近接する方向にテーパ状
に延びている。したがって、大間隙部に存在する潤滑流
体は、スリーブ部材に対する軸部材の相対的回転によっ
てテーパ面に沿ってスムースに小間隙部に流動し、これ
によって小間隙部領域における潤滑流体の圧力が高めら
れ、その結果、動圧流体軸受装置のラジアル剛性が高く
なる。また、軸部材との間隔が小さくほぼ一様な小間隙
部領域を設けることによって流出端での圧力の低下を防
ぎ、隙間内の発生圧力を高く保つことができるので、こ
れによってもラジアル剛性を高めることができる。
によれば、スリーブ部材の内周面に設けられた大間隙部
は、上記相対的回転方向に見て大間隙部の上流端から下
流端に向けて軸部材の外周面に近接する方向にテーパ状
に延びている。したがって、大間隙部に存在する潤滑流
体は、スリーブ部材に対する軸部材の相対的回転によっ
てテーパ面に沿ってスムースに小間隙部に流動し、これ
によって小間隙部領域における潤滑流体の圧力が高めら
れ、その結果、動圧流体軸受装置のラジアル剛性が高く
なる。また、軸部材との間隔が小さくほぼ一様な小間隙
部領域を設けることによって流出端での圧力の低下を防
ぎ、隙間内の発生圧力を高く保つことができるので、こ
れによってもラジアル剛性を高めることができる。
【0040】また本発明の請求項7の動圧流体軸受装置
によれば、軸部材の外周面に設けられた大間隙部は、上
記相対的回転方向に見て大間隙部の下流端から上流端に
向けてスリーブ部材の内周面に近接する方向にテーパ状
に延びている。したがって、大間隙部に存在する潤滑流
体は、スリーブ部材に対する軸部材の相対的回転によっ
てテーパ面に沿ってスムースに小間隙部に流動し、これ
によって小間隙部領域における潤滑流体の圧力が高めら
れ、その結果、動圧流体軸受装置のラジアル剛性が高く
なる。また、スリーブ部材との間隔が小さくほぼ一様な
小間隙部領域を設けることによって流出端での圧力の低
下を防ぎ、隙間内の発生圧力を高く保つことができるの
で、これによってもラジアル剛性を高めることができ
る。
によれば、軸部材の外周面に設けられた大間隙部は、上
記相対的回転方向に見て大間隙部の下流端から上流端に
向けてスリーブ部材の内周面に近接する方向にテーパ状
に延びている。したがって、大間隙部に存在する潤滑流
体は、スリーブ部材に対する軸部材の相対的回転によっ
てテーパ面に沿ってスムースに小間隙部に流動し、これ
によって小間隙部領域における潤滑流体の圧力が高めら
れ、その結果、動圧流体軸受装置のラジアル剛性が高く
なる。また、スリーブ部材との間隔が小さくほぼ一様な
小間隙部領域を設けることによって流出端での圧力の低
下を防ぎ、隙間内の発生圧力を高く保つことができるの
で、これによってもラジアル剛性を高めることができ
る。
【0041】また、本発明の請求項8の動圧流体軸受装
置によれば、大間隙部の周方向の長さb1と、小間隙部
の周方向の長さb0との比(b1/b0)が4.3〜
5.3に設定されるので、大きいラジアル剛性・トルク
比を得ることができる。
置によれば、大間隙部の周方向の長さb1と、小間隙部
の周方向の長さb0との比(b1/b0)が4.3〜
5.3に設定されるので、大きいラジアル剛性・トルク
比を得ることができる。
【0042】さらに本発明の請求項9の動圧流体軸受装
置によれば、前記大間隙部における対向する周面との間
隔が最も広い部位の間隔h1と、上記対向する周面との
間隔が最も狭い部位の間隔h0との比(h1/h0)
は、2.5〜2.7に設定されるので、一層大きいラジ
アル剛性・トルク比を得ることができる。
置によれば、前記大間隙部における対向する周面との間
隔が最も広い部位の間隔h1と、上記対向する周面との
間隔が最も狭い部位の間隔h0との比(h1/h0)
は、2.5〜2.7に設定されるので、一層大きいラジ
アル剛性・トルク比を得ることができる。
【0043】さらに本発明の請求項10の動圧流体軸受
装置によれば、小間隙部は相対する周面との間隔が一様
になるように形成されているので、隙間内の発生圧力を
高く保つことができ、これによってラジアル剛性を高め
ることができる。
装置によれば、小間隙部は相対する周面との間隔が一様
になるように形成されているので、隙間内の発生圧力を
高く保つことができ、これによってラジアル剛性を高め
ることができる。
【図1】本発明に従う動圧流体軸受装置の第1の実施形
態を拡大して示す断面図である。
態を拡大して示す断面図である。
【図2】図1におけるII−II線による簡略断面図で
ある。
ある。
【図3】図1の軸受装置におけるリセス部領域およびス
ライダ領域を展開して示す展開図である。
ライダ領域を展開して示す展開図である。
【図4】図4(a)〜(c)は、それぞれ、図1の軸受
装置において、分離溝の深さと潤滑流体に生じる圧力と
の関係を示す図である。
装置において、分離溝の深さと潤滑流体に生じる圧力と
の関係を示す図である。
【図5】図1の軸受装置において、分離溝の深さとラジ
アル剛性および接線方向剛性との関係を示す図である。
アル剛性および接線方向剛性との関係を示す図である。
【図6】本発明に従う動圧流体軸受装置の第2の実施形
態における動圧軸受部を簡略的に示す、図2に対応する
断面図である。
態における動圧軸受部を簡略的に示す、図2に対応する
断面図である。
【図7】図6の軸受装置におけるリセス部領域およびス
ライダ領域を展開して示す展開図である。
ライダ領域を展開して示す展開図である。
【図8】本発明に従う動圧流体軸受装置の第3の実施形
態における動圧軸受部を簡略的に示す、図2に対応する
断面図である。
態における動圧軸受部を簡略的に示す、図2に対応する
断面図である。
【図9】図8の軸受装置におけるリセス部領域およびス
ライダ領域を展開して示す展開図である。
ライダ領域を展開して示す展開図である。
【図10】図8の軸受装置において、長さ比および間隔
比とラジアル剛性・トルク比との関係を示す図である。
比とラジアル剛性・トルク比との関係を示す図である。
【符号の説明】 2,32,52 スリーブ部材 4,34,54 軸部材 6,8 動圧軸受部 10,36,56 リセス部(大間隙部) 12,38,58 スライダ部(小間隙部) 18,42,64 分離溝 B0 スライダ部領域 B1 リセス部領域
Claims (10)
- 【請求項1】 スリーブ部材と、該スリーブ部材に対し
て相対的に回転自在である軸部材と、該軸部材と該スリ
ーブ部材との間の間隙に充填された潤滑流体とを備え、
前記スリーブ部材の内周面および軸部材の外周面のいず
れか一方には、対向する周面との間隔が大きい大間隙部
と対向する周面との間隔が小さい小間隙部が交互に配設
されている動圧流体軸受装置であって、 前記スリーブ部材に対する軸部材の相対的回転方向に見
て前記小間隙部の下流端と前記大間隙部の上流端との境
界部位に、該境界部位に潤滑流体を案内して負圧発生を
抑制する分離溝が軸部材の軸線方向に形成されているこ
とを特徴とする動圧流体軸受装置。 - 【請求項2】 前記分離溝の深さは30μm以上である
ことを特徴とする請求項1記載の動圧流体軸受装置。 - 【請求項3】 前記分離溝の深さは50μm以上である
ことを特徴とする請求項2記載の動圧流体軸受装置。 - 【請求項4】 前記分離溝の幅は、周方向角度が2〜1
5度であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに
記載の動圧流体軸受装置。 - 【請求項5】 前記大間隙部と前記小間隙部とは、階段
状またはテーパ状に接続されていることを特徴とする請
求項1〜4のいずれかに記載の動圧流体軸受装置。 - 【請求項6】 スリーブ部材と、該スリーブ部材に対し
て相対的に回転自在である軸部材と、該軸部材と該スリ
ーブ部材との間の間隙に充填された潤滑流体とを備えた
動圧流体軸受装置において、 前記スリーブ部材の内周面には、前記軸部材の外周面と
の間隔が大きい大間隙部と、前記外周面との間隔が小さ
い小間隙部が交互に配設され、前記大間隙部は、前記ス
リーブ部材に対する軸部材の相対的回転方向に見て前記
大間隙部の上流端から下流端に向けて、前記軸部材の外
周面に近接する方向にテーパ状に延びていることを特徴
とする動圧流体軸受装置。 - 【請求項7】 スリーブ部材と、該スリーブ部材に対し
て相対的に回転自在である軸部材と、該軸部材と該スリ
ーブ部材との間の間隙に充填された潤滑流体とを備えた
動圧流体軸受装置において、 前記軸部材の外周面には、前記スリーブ部材の内周面と
の間隔が大きい大間隙部と、前記内周面との間隔が小さ
い小間隙部が交互に配設され、前記大間隙部は、前記ス
リーブ部材に対する軸部材の相対的回転方向に見て前記
大間隙部の下流端から上流端に向けて前記スリーブ部材
の内周面に近接する方向にテーパ状に延びていることを
特徴とする動圧流体軸受装置。 - 【請求項8】 前記大間隙部の周方向の長さb1と、前
記小間隙部の周方向の長さb0との比(b1/b0)
は、4.3〜5.3であることを特徴とする請求項6ま
たは7記載の動圧流体軸受装置。 - 【請求項9】 前記大間隙部における対向する周面との
間隔が最も広い部位の間隔h1と、上記対向する周面と
の間隔が最も狭い部位の間隔h0との比(h1/h0)
は、2.5〜2.7であることを特徴とする請求項8記
載の動圧流体軸受装置。 - 【請求項10】 前記小間隙部は、相対する周面との間
隔が周方向一様になるよう形成されている請求項6〜8
のいずれかに記載の動圧流体軸受装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7393797A JPH10267029A (ja) | 1997-03-26 | 1997-03-26 | 動圧流体軸受装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7393797A JPH10267029A (ja) | 1997-03-26 | 1997-03-26 | 動圧流体軸受装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10267029A true JPH10267029A (ja) | 1998-10-06 |
Family
ID=13532540
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7393797A Pending JPH10267029A (ja) | 1997-03-26 | 1997-03-26 | 動圧流体軸受装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10267029A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6250808B1 (en) | 1998-11-20 | 2001-06-26 | Nidec Corporation | Motor having a plurality of dynamic pressure bearings |
US6805489B2 (en) | 2001-12-28 | 2004-10-19 | Sankyo Seiki Mfg. Co., Ltd. | Dynamic pressure bearing device |
JP2006071062A (ja) * | 2004-09-06 | 2006-03-16 | Hitachi Powdered Metals Co Ltd | 動圧軸受 |
-
1997
- 1997-03-26 JP JP7393797A patent/JPH10267029A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6250808B1 (en) | 1998-11-20 | 2001-06-26 | Nidec Corporation | Motor having a plurality of dynamic pressure bearings |
US6805489B2 (en) | 2001-12-28 | 2004-10-19 | Sankyo Seiki Mfg. Co., Ltd. | Dynamic pressure bearing device |
JP2006071062A (ja) * | 2004-09-06 | 2006-03-16 | Hitachi Powdered Metals Co Ltd | 動圧軸受 |
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Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20040324 |
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A977 | Report on retrieval |
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