JPH10210967A - 高活性変異株及びそれを用いる蛋白加水分解物の製造法 - Google Patents
高活性変異株及びそれを用いる蛋白加水分解物の製造法Info
- Publication number
- JPH10210967A JPH10210967A JP9153139A JP15313997A JPH10210967A JP H10210967 A JPH10210967 A JP H10210967A JP 9153139 A JP9153139 A JP 9153139A JP 15313997 A JP15313997 A JP 15313997A JP H10210967 A JPH10210967 A JP H10210967A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- culture
- highly active
- protein
- activity
- aspergillus oryzae
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Landscapes
- Seasonings (AREA)
- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
- Peptides Or Proteins (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 液体培養においてグルタミナーゼ活性とプロ
テアーゼ活性が共に高いアスペルギルス・オリーゼ変異
株を造成すると共に、これを用いた蛋白加水分解物の製
造法を提供すること。 【解決手段】 アスペルギルス・オリーゼに属し、液体
培養においてグルタミナーゼ活性とプロテアーゼ活性が
共に高い性質を有する高活性変異株並びに当該高活性変
異株の培養物を、無塩もしくは低塩条件下で蛋白質に作
用させることを特徴とする窒素含有率及びグルタミン酸
含有率の高い蛋白加水分解物の製造法。
テアーゼ活性が共に高いアスペルギルス・オリーゼ変異
株を造成すると共に、これを用いた蛋白加水分解物の製
造法を提供すること。 【解決手段】 アスペルギルス・オリーゼに属し、液体
培養においてグルタミナーゼ活性とプロテアーゼ活性が
共に高い性質を有する高活性変異株並びに当該高活性変
異株の培養物を、無塩もしくは低塩条件下で蛋白質に作
用させることを特徴とする窒素含有率及びグルタミン酸
含有率の高い蛋白加水分解物の製造法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液体培養において
グルタミナーゼ活性とプロテアーゼ活性が共に高い高活
性変異株及びその変異株を用いた窒素含有率及びグルタ
ミン酸含有率の高い蛋白加水分解物の製造法に関する。
より詳細には、アスペルギルス・オリーゼ(Aspergillu
s oryzae)に属し、液体培養においてグルタミナーゼ活
性とプロテアーゼ活性が共に高い性質を有する高活性変
異株並びに当該変異株の培養物を、脱脂大豆、大豆蛋
白、小麦グルテン等の蛋白質に作用させて窒素含有率及
びグルタミン酸含有率の高い蛋白加水分解物を製造する
方法に関する。この蛋白加水分解物は、呈味力が強く、
調味料としての利用価値が高い。
グルタミナーゼ活性とプロテアーゼ活性が共に高い高活
性変異株及びその変異株を用いた窒素含有率及びグルタ
ミン酸含有率の高い蛋白加水分解物の製造法に関する。
より詳細には、アスペルギルス・オリーゼ(Aspergillu
s oryzae)に属し、液体培養においてグルタミナーゼ活
性とプロテアーゼ活性が共に高い性質を有する高活性変
異株並びに当該変異株の培養物を、脱脂大豆、大豆蛋
白、小麦グルテン等の蛋白質に作用させて窒素含有率及
びグルタミン酸含有率の高い蛋白加水分解物を製造する
方法に関する。この蛋白加水分解物は、呈味力が強く、
調味料としての利用価値が高い。
【0002】
【従来の技術】醤油、味噌等は塩化ナトリウムを高濃度
に含むため、これらを製造するために用いる微生物とし
ては、耐塩性が高いものや好塩性のものが用いられる。
例えばチゴサッカロミセス・ロキシー(Zygosaccharomy
ces rouxii) などの酵母の他、麹菌であるアスペルギル
ス・オリーゼ、アスペルギルス・ソーヤ(Aspergilluss
ojae)等が利用されている。これら微生物は、醤油、味
噌等の製造において蛋白加水分解酵素、アミラーゼ系酵
素、グルタミナーゼ等の酵素を生産している。蛋白加水
分解酵素、すなわちプロテアーゼ、ペプチダーゼは、蛋
白質をアミノ酸に分解するために必要な酵素である。ま
た、グルタミナーゼは、蛋白分解の際に遊離してくるグ
ルタミンを呈味力の強いグルタミン酸へ変換する酵素で
ある。醤油、味噌等の製造においてグルタミナーゼ活性
が不足する場合、グルタミンは非酵素的に旨味のないピ
ログルタミン酸へと変化する。従って、蛋白質を原料と
して呈味力の強い蛋白分解物を得るためには、これらの
プロテアーゼ、ペプチダーゼ及びグルタミナーゼが十分
に存在することが必要である。
に含むため、これらを製造するために用いる微生物とし
ては、耐塩性が高いものや好塩性のものが用いられる。
例えばチゴサッカロミセス・ロキシー(Zygosaccharomy
ces rouxii) などの酵母の他、麹菌であるアスペルギル
ス・オリーゼ、アスペルギルス・ソーヤ(Aspergilluss
ojae)等が利用されている。これら微生物は、醤油、味
噌等の製造において蛋白加水分解酵素、アミラーゼ系酵
素、グルタミナーゼ等の酵素を生産している。蛋白加水
分解酵素、すなわちプロテアーゼ、ペプチダーゼは、蛋
白質をアミノ酸に分解するために必要な酵素である。ま
た、グルタミナーゼは、蛋白分解の際に遊離してくるグ
ルタミンを呈味力の強いグルタミン酸へ変換する酵素で
ある。醤油、味噌等の製造においてグルタミナーゼ活性
が不足する場合、グルタミンは非酵素的に旨味のないピ
ログルタミン酸へと変化する。従って、蛋白質を原料と
して呈味力の強い蛋白分解物を得るためには、これらの
プロテアーゼ、ペプチダーゼ及びグルタミナーゼが十分
に存在することが必要である。
【0003】以前から、醤油、味噌の製造に必要とされ
るこれら酵素の活性を向上させることを目的として、こ
れらの酵素活性を有する微生物をUV照射、変異剤処理
等により突然変異させることによって高活性変異株を造
成する方法が行われている(井口信義:農化, 29, 73
(1955) 、井口信義, 山本喜志郎:農化, 29, 394 (195
5)、H.Sekine, S.Nasuno and N.Iguchi: Agric. Biol.
Chem., 33, 1477 (1969)、S.Nasuno and T.Nakadai:J.
Ferment. Technol., 49, 544 (1971)、S. Yamamoto am
d H. Hirooka:J. Ferment. Technol., 52, 564 (197
4)、T.Nakadai andS.Nasuno:J. Ferment. Technol., 5
5, 273 (1977))。
るこれら酵素の活性を向上させることを目的として、こ
れらの酵素活性を有する微生物をUV照射、変異剤処理
等により突然変異させることによって高活性変異株を造
成する方法が行われている(井口信義:農化, 29, 73
(1955) 、井口信義, 山本喜志郎:農化, 29, 394 (195
5)、H.Sekine, S.Nasuno and N.Iguchi: Agric. Biol.
Chem., 33, 1477 (1969)、S.Nasuno and T.Nakadai:J.
Ferment. Technol., 49, 544 (1971)、S. Yamamoto am
d H. Hirooka:J. Ferment. Technol., 52, 564 (197
4)、T.Nakadai andS.Nasuno:J. Ferment. Technol., 5
5, 273 (1977))。
【0004】また、固体培養においてプロテアーゼ活性
とグルタミナーゼ活性が共に高い変異株を取得すること
は困難であると言われており、近年はプロテアーゼ高活
性株とグルタミナーゼ高活性株との細胞融合による高活
性菌株の造成も行われている(S. Ushijima, T. Nakada
i:Agric. Biol. Chem., 51,(4), 1051 (1987) 、S. Us
hijima, T. Nakadai, K. Uchida:Agric. Biol. Chem.,
51,(10), 2781 (1987)、S. Ushijima, T. Nakadai, K.
Uchida:醤研, 17,(3), 89 (1991) 、特公平3-73271
号公報、特公平3-68672 号公報)。
とグルタミナーゼ活性が共に高い変異株を取得すること
は困難であると言われており、近年はプロテアーゼ高活
性株とグルタミナーゼ高活性株との細胞融合による高活
性菌株の造成も行われている(S. Ushijima, T. Nakada
i:Agric. Biol. Chem., 51,(4), 1051 (1987) 、S. Us
hijima, T. Nakadai, K. Uchida:Agric. Biol. Chem.,
51,(10), 2781 (1987)、S. Ushijima, T. Nakadai, K.
Uchida:醤研, 17,(3), 89 (1991) 、特公平3-73271
号公報、特公平3-68672 号公報)。
【0005】醤油、味噌の製造は固体培養で行われてい
るが、その培養が解放系のため、麹菌の生育の制御や麹
菌以外の汚染微生物の制御が困難である。これに対し
て、液体培養は通常の発酵槽を用い密閉系で培養が行え
るため、培地や培養条件等を一定にすることや純粋培養
も可能である。液体培養ついては、アスペルギルス・オ
リーゼ及びアスペルギルス・ソーヤによるプロテアーゼ
生産に関する報告及び関連の特許はある(S. Ueno, M.
Miyama, Y. Ohashi, M. Izumiya, and I. Kusaka:App
l. Microbiol. Biotechnol., 26, 273 (1987)、特公昭6
2-248485 号公報、特公昭63-248390 号公報、特公平3-2
77280号公報、特開平3-277289号公報、特公平6-7795号
公報)が、アスペルギルス・オリーゼ及びアスペルギル
ス・ソーヤ由来のグルタミナーゼ生産に関する特許はな
く、その報告も少ない(S. Yamamoto and H. Hirooka:
J. Ferment. Technol., 52,(8), 564 (1974)、T. Yano,
S. Ashida, T. Tachiki, H. Kumagai, andT. Tochikur
a:Agric. Biol. Chem., 55(2), 379 (1991) 、山崎達
雄、稲森和夫、内田一生:醤研, 22,(1), 13 (1996))。
るが、その培養が解放系のため、麹菌の生育の制御や麹
菌以外の汚染微生物の制御が困難である。これに対し
て、液体培養は通常の発酵槽を用い密閉系で培養が行え
るため、培地や培養条件等を一定にすることや純粋培養
も可能である。液体培養ついては、アスペルギルス・オ
リーゼ及びアスペルギルス・ソーヤによるプロテアーゼ
生産に関する報告及び関連の特許はある(S. Ueno, M.
Miyama, Y. Ohashi, M. Izumiya, and I. Kusaka:App
l. Microbiol. Biotechnol., 26, 273 (1987)、特公昭6
2-248485 号公報、特公昭63-248390 号公報、特公平3-2
77280号公報、特開平3-277289号公報、特公平6-7795号
公報)が、アスペルギルス・オリーゼ及びアスペルギル
ス・ソーヤ由来のグルタミナーゼ生産に関する特許はな
く、その報告も少ない(S. Yamamoto and H. Hirooka:
J. Ferment. Technol., 52,(8), 564 (1974)、T. Yano,
S. Ashida, T. Tachiki, H. Kumagai, andT. Tochikur
a:Agric. Biol. Chem., 55(2), 379 (1991) 、山崎達
雄、稲森和夫、内田一生:醤研, 22,(1), 13 (1996))。
【0006】また、アスペルギルス・オリーゼ及びアス
ペルギルス・ソーヤ由来のグルタミナーゼは、熱安定
性、耐塩性が低い。そのため、蛋白加水分解の際に不足
するグルタミナーゼを補填するために、グルタミナーゼ
活性が高く、かつ安定性に優れたバチルス属由来のグル
タミナーゼ製剤やグルタミナーゼを含むプロテアーゼ製
剤、クリプトコッカス属の酵母等を添加する必要があっ
た(Y. shimizu, A. Ueyama, K. Goto:J. Brew. Soc.
Japan. 86,(6), 441 (1991) 、F. Harayama :醸協, 8
7,(7), 503 (1992)、特公昭60-173214 号公報、特公昭6
4-10957号公報、特開平1-108955号公報、特公平1-10895
5号公報、特公平1-16465 号公報)。
ペルギルス・ソーヤ由来のグルタミナーゼは、熱安定
性、耐塩性が低い。そのため、蛋白加水分解の際に不足
するグルタミナーゼを補填するために、グルタミナーゼ
活性が高く、かつ安定性に優れたバチルス属由来のグル
タミナーゼ製剤やグルタミナーゼを含むプロテアーゼ製
剤、クリプトコッカス属の酵母等を添加する必要があっ
た(Y. shimizu, A. Ueyama, K. Goto:J. Brew. Soc.
Japan. 86,(6), 441 (1991) 、F. Harayama :醸協, 8
7,(7), 503 (1992)、特公昭60-173214 号公報、特公昭6
4-10957号公報、特開平1-108955号公報、特公平1-10895
5号公報、特公平1-16465 号公報)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】アスペルギルス・オリ
ーゼの培養物を蛋白質に作用させて、窒素含有率及びア
ミノ酸含有率、特にグルタミン酸含有率が高く、呈味力
の強い蛋白加水分解物を得るためには、蛋白加水分解酵
素活性とグルタミナーゼ活性が共に高いアスペルギルス
・オリーゼ変異株を造成する必要がある。従って、本発
明の目的は、当該変異株を造成すると共に、これを用い
た蛋白加水分解物の製造法を提供することである。
ーゼの培養物を蛋白質に作用させて、窒素含有率及びア
ミノ酸含有率、特にグルタミン酸含有率が高く、呈味力
の強い蛋白加水分解物を得るためには、蛋白加水分解酵
素活性とグルタミナーゼ活性が共に高いアスペルギルス
・オリーゼ変異株を造成する必要がある。従って、本発
明の目的は、当該変異株を造成すると共に、これを用い
た蛋白加水分解物の製造法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、アスペルギルス・
オリーゼに変異処理を行い、液体培養でも高いグルタミ
ナーゼ活性を示す変異株(以下、高活性変異株と略記す
ることがある。)を取得するに至った。この高活性変異
株は、液体培養においてグルタミナーゼ活性が高いだけ
ではなく、蛋白加水分解物の製造に必要なプロテアーゼ
活性、ペプチダーゼ活性、良好な培養性も保持してい
る。この高活性変異株の培養物を蛋白質に作用させたと
ころ、窒素含有率及びアミノ酸含有率、特に呈味力のあ
るグルタミン酸含有率の高い蛋白加水分解物が得られる
ことを見出し、本発明を完成した。
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、アスペルギルス・
オリーゼに変異処理を行い、液体培養でも高いグルタミ
ナーゼ活性を示す変異株(以下、高活性変異株と略記す
ることがある。)を取得するに至った。この高活性変異
株は、液体培養においてグルタミナーゼ活性が高いだけ
ではなく、蛋白加水分解物の製造に必要なプロテアーゼ
活性、ペプチダーゼ活性、良好な培養性も保持してい
る。この高活性変異株の培養物を蛋白質に作用させたと
ころ、窒素含有率及びアミノ酸含有率、特に呈味力のあ
るグルタミン酸含有率の高い蛋白加水分解物が得られる
ことを見出し、本発明を完成した。
【0009】すなわち、本発明はアスペルギルス・オリ
ーゼに属し、液体培養においてグルタミナーゼ活性とプ
ロテアーゼ活性が共に高い性質を有する高活性変異株並
びに当該高活性変異株の培養物を、無塩もしくは低塩条
件下で蛋白質に作用させることを特徴とする窒素含有率
及びグルタミン酸含有率の高い蛋白加水分解物の製造法
を提供するものである。
ーゼに属し、液体培養においてグルタミナーゼ活性とプ
ロテアーゼ活性が共に高い性質を有する高活性変異株並
びに当該高活性変異株の培養物を、無塩もしくは低塩条
件下で蛋白質に作用させることを特徴とする窒素含有率
及びグルタミン酸含有率の高い蛋白加水分解物の製造法
を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明のアスペルギルス・オリー
ゼ高活性変異株は、例えば各種の蛋白質分解酵素を生産
するアスペルギルス・オリーゼに、突然変異剤として従
来からよく用いられるニトロソグアニジンを作用させて
得られる変異株から、培養性が良好であり、グルタミナ
ーゼ活性が高く、かつプロテアーゼ活性が高いものを取
得することにより得られる。しかし、この取得方法に限
定されるものではなく、変異剤としてヒドロキシルアミ
ン、エチルメチルスルホン酸等の一般的に用いられる他
の化学物質、または紫外線、放射線、X線等の照射、あ
るいは変異処理なしで得られる、いわゆる自然突然変異
等によっても上記性質を有する変異株を取得することが
可能である。
ゼ高活性変異株は、例えば各種の蛋白質分解酵素を生産
するアスペルギルス・オリーゼに、突然変異剤として従
来からよく用いられるニトロソグアニジンを作用させて
得られる変異株から、培養性が良好であり、グルタミナ
ーゼ活性が高く、かつプロテアーゼ活性が高いものを取
得することにより得られる。しかし、この取得方法に限
定されるものではなく、変異剤としてヒドロキシルアミ
ン、エチルメチルスルホン酸等の一般的に用いられる他
の化学物質、または紫外線、放射線、X線等の照射、あ
るいは変異処理なしで得られる、いわゆる自然突然変異
等によっても上記性質を有する変異株を取得することが
可能である。
【0011】上記の方法で取得できる本発明の高活性変
異株の具体例としては、アスペルギルス・オリーゼAJ
117290を親株とし、これから導かれた高活性変異
株G(AJ117331)がある。本菌は、工業技術院
生命工学工業技術研究所に寄託され、その受託番号はF
ERM P−15956である。この高活性変異株の主
たる菌学的性状は、その親株と比較して相違はない。し
かし、当該高活性変異株のグルタミナーゼ活性が親株の
約6倍である。なお、この高活性変異株のプロテアーゼ
活性は親株と同様に高い。
異株の具体例としては、アスペルギルス・オリーゼAJ
117290を親株とし、これから導かれた高活性変異
株G(AJ117331)がある。本菌は、工業技術院
生命工学工業技術研究所に寄託され、その受託番号はF
ERM P−15956である。この高活性変異株の主
たる菌学的性状は、その親株と比較して相違はない。し
かし、当該高活性変異株のグルタミナーゼ活性が親株の
約6倍である。なお、この高活性変異株のプロテアーゼ
活性は親株と同様に高い。
【0012】本発明の高活性変異株の培養物は麹の液体
培養物であり、グルタミナーゼ活性だけではなく各種の
分解酵素を含むことから、液体培養物をそのまま使用す
ることが好ましいが、培養物から必要とする酵素を分
離、精製して使用することができる。すなわち、液体培
養物から遠心分離または濾過等によって菌体を分離し、
その菌体破砕液及び培養液から通常の手段、例えば塩析
法、等電点沈澱法、溶媒法によって蛋白質である酵素を
沈澱させたり、限外濾過法により濃縮して酵素液とする
ことができる。また、通常の精製法により分離採取した
精製品を単独であるいは組み合わせて使用することもで
きる。
培養物であり、グルタミナーゼ活性だけではなく各種の
分解酵素を含むことから、液体培養物をそのまま使用す
ることが好ましいが、培養物から必要とする酵素を分
離、精製して使用することができる。すなわち、液体培
養物から遠心分離または濾過等によって菌体を分離し、
その菌体破砕液及び培養液から通常の手段、例えば塩析
法、等電点沈澱法、溶媒法によって蛋白質である酵素を
沈澱させたり、限外濾過法により濃縮して酵素液とする
ことができる。また、通常の精製法により分離採取した
精製品を単独であるいは組み合わせて使用することもで
きる。
【0013】本発明の高活性変異株の液体培養にあたり
使用する培地は、当該高活性変異株が十分に生育し得る
ものであればよく、炭素源、窒素源、無機塩、補助因子
等からなる通常培地でよい。炭素源としては、例えば可
溶性デンプン、小麦フスマあるいは小麦フスマ抽出液、
グルコース、シュークロース、フラクトース、マルトー
ス、マンニトール、エリスリトール、ラクトース、ソル
ボース、ガラクトース、リノール酸、オレイン酸、ミリ
スチン酸、パルミチン酸等があり、窒素源としては、例
えば大豆粉、脱脂大豆、分離大豆蛋白質、カゼイン、ペ
プトン等が挙げられる。また、無機塩類としては、塩化
カリウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素二ナトリウ
ム、リン酸水素二カリウム等が、補助因子としてはコー
ンスティープリカー、コメ油、コーン油等の油類、シュ
ガーエステル等の界面活性剤等が挙げられる。
使用する培地は、当該高活性変異株が十分に生育し得る
ものであればよく、炭素源、窒素源、無機塩、補助因子
等からなる通常培地でよい。炭素源としては、例えば可
溶性デンプン、小麦フスマあるいは小麦フスマ抽出液、
グルコース、シュークロース、フラクトース、マルトー
ス、マンニトール、エリスリトール、ラクトース、ソル
ボース、ガラクトース、リノール酸、オレイン酸、ミリ
スチン酸、パルミチン酸等があり、窒素源としては、例
えば大豆粉、脱脂大豆、分離大豆蛋白質、カゼイン、ペ
プトン等が挙げられる。また、無機塩類としては、塩化
カリウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素二ナトリウ
ム、リン酸水素二カリウム等が、補助因子としてはコー
ンスティープリカー、コメ油、コーン油等の油類、シュ
ガーエステル等の界面活性剤等が挙げられる。
【0014】培養は、高活性変異株を培地に植菌し、常
法に従って通気培養すればよいが、培養条件に関して
は、pH4.0〜9.0、好ましくはpH5.0〜8.
0、温度は20〜40℃、好ましくは27〜33℃が適
当である。また、培養時間は10〜96時間、好ましく
は48〜72時間が適当である。このようにして得られ
た高活性変異株の培養物に市販酵素製剤、例えば蛋白加
水分解酵素、細胞壁分解酵素、グルタミナーゼ等を含む
酵素液あるいは精製した酵素製剤を目的に応じて加えて
も良い。
法に従って通気培養すればよいが、培養条件に関して
は、pH4.0〜9.0、好ましくはpH5.0〜8.
0、温度は20〜40℃、好ましくは27〜33℃が適
当である。また、培養時間は10〜96時間、好ましく
は48〜72時間が適当である。このようにして得られ
た高活性変異株の培養物に市販酵素製剤、例えば蛋白加
水分解酵素、細胞壁分解酵素、グルタミナーゼ等を含む
酵素液あるいは精製した酵素製剤を目的に応じて加えて
も良い。
【0015】次に、本発明の高活性変異株の培養物を作
用させる蛋白質としては、例えば大豆、小麦、コーンミ
ール、ミルクカゼイン、フィッシュミール等であり、更
に脱脂大豆あるいは膨化等の加工を施された種々の蛋白
質、あるいはこれら種々の蛋白原料からの分離蛋白質で
も良い。また、高活性変異株の培養物を蛋白に作用させ
る条件について述べると、例えば0.2〜50%、好ま
しくは1〜20%の原料の脱脂大豆、分離大豆蛋白質等
の蛋白原料に高活性変異株の培養物を混合し、5〜60
℃、好ましくは30〜50℃にて、6時間〜15日間、
好ましくは24時間〜10日間反応させればよい。反応
中、防腐の目的でエタノール、食塩を添加しても差し支
えない。蛋白質の加水分解反応は、無塩もしくは低塩条
件下で行うが、食塩非存在下で行うことが好ましい。な
お、低塩条件とは、食塩濃度5(重量/容量)%以下の
条件を意味する。反応終了後、未反応の原料蛋白質、菌
体等の不溶物は遠心分離や濾過等、従来の分離法を用い
て除去すればよい。生成した各蛋白質分解液のグルタミ
ン酸遊離率やアミノ酸遊離率は、酵素法によるグルタミ
ン酸定量、アミノ酸分析による遊離アミノ酸量の定量、
全窒素量の定量から求めることができる。本発明により
得られる蛋白質加水分解液は、窒素含有率やグルタミン
酸などのアミノ酸含有率が高く、呈味力が強い。
用させる蛋白質としては、例えば大豆、小麦、コーンミ
ール、ミルクカゼイン、フィッシュミール等であり、更
に脱脂大豆あるいは膨化等の加工を施された種々の蛋白
質、あるいはこれら種々の蛋白原料からの分離蛋白質で
も良い。また、高活性変異株の培養物を蛋白に作用させ
る条件について述べると、例えば0.2〜50%、好ま
しくは1〜20%の原料の脱脂大豆、分離大豆蛋白質等
の蛋白原料に高活性変異株の培養物を混合し、5〜60
℃、好ましくは30〜50℃にて、6時間〜15日間、
好ましくは24時間〜10日間反応させればよい。反応
中、防腐の目的でエタノール、食塩を添加しても差し支
えない。蛋白質の加水分解反応は、無塩もしくは低塩条
件下で行うが、食塩非存在下で行うことが好ましい。な
お、低塩条件とは、食塩濃度5(重量/容量)%以下の
条件を意味する。反応終了後、未反応の原料蛋白質、菌
体等の不溶物は遠心分離や濾過等、従来の分離法を用い
て除去すればよい。生成した各蛋白質分解液のグルタミ
ン酸遊離率やアミノ酸遊離率は、酵素法によるグルタミ
ン酸定量、アミノ酸分析による遊離アミノ酸量の定量、
全窒素量の定量から求めることができる。本発明により
得られる蛋白質加水分解液は、窒素含有率やグルタミン
酸などのアミノ酸含有率が高く、呈味力が強い。
【0016】
【実施例】以下、実施例を挙げ、本発明の高活性変異株
の分離法及び蛋白加水分解物の製造などについて詳しく
説明するが、本発明はこれらによって制限されるもので
はない。なお、実施例中におけるグルタミナーゼ活性及
びプロテアーゼ活性の測定法は次の通りである。グルタ
ミナーゼ活性は、ヒドロキシルアミン存在下の酵素反応
で生成するγ−グルタミルハイドロキサム酸を定量する
ハートマンらの変法(Hartman,S.C.: J.Biol. Chem., 2
43, 853-863 (1968))に従い測定した。具体的には、試
薬A(0. 4M トリスアミノメタン、0. 2M 塩酸
ヒドロキシルアミン(pH7. 0) )と試薬B(100
mM L−グルタミン、20mM 還元グルタチオン
(pH7. 0))との等量混合液1mlに高活性変異株
の培養液200μlを加え、37℃で1時間インキュベ
ートする。次に、反応停止及び発色のために、(1)3
N 塩酸、(2)12% トリクロロ酢酸及び(3)5
% 塩化第二鉄六水和物を0. 1N 塩酸溶液に溶解し
た溶液のそれぞれの等量混合液1mlを加え、攪拌し、
この反応液上清の525nmでの吸光度を測定して酵素
活性を求めた。なお、上記条件下において1分間に1μ
molのγ−グルタミルハイドロキサム酸を生成させる
酵素活性を1単位(U)とした。
の分離法及び蛋白加水分解物の製造などについて詳しく
説明するが、本発明はこれらによって制限されるもので
はない。なお、実施例中におけるグルタミナーゼ活性及
びプロテアーゼ活性の測定法は次の通りである。グルタ
ミナーゼ活性は、ヒドロキシルアミン存在下の酵素反応
で生成するγ−グルタミルハイドロキサム酸を定量する
ハートマンらの変法(Hartman,S.C.: J.Biol. Chem., 2
43, 853-863 (1968))に従い測定した。具体的には、試
薬A(0. 4M トリスアミノメタン、0. 2M 塩酸
ヒドロキシルアミン(pH7. 0) )と試薬B(100
mM L−グルタミン、20mM 還元グルタチオン
(pH7. 0))との等量混合液1mlに高活性変異株
の培養液200μlを加え、37℃で1時間インキュベ
ートする。次に、反応停止及び発色のために、(1)3
N 塩酸、(2)12% トリクロロ酢酸及び(3)5
% 塩化第二鉄六水和物を0. 1N 塩酸溶液に溶解し
た溶液のそれぞれの等量混合液1mlを加え、攪拌し、
この反応液上清の525nmでの吸光度を測定して酵素
活性を求めた。なお、上記条件下において1分間に1μ
molのγ−グルタミルハイドロキサム酸を生成させる
酵素活性を1単位(U)とした。
【0017】また、プロテアーゼ活性の測定は、通常行
われているアンソン−萩原変法(B.Hagihara et al.:
J.Biochem., 45, 185 (1958))に従い測定した。具体的
には、0. 75% カゼイン溶液400μlと0. 24
M リン酸水素二ナトリウム溶液(pH7. 5)100
μlを37℃で5分間プレインキュベートし、そこへ酵
素溶液(培養物の上清等)10〜100μlを加え、3
7℃で10分間インキュベートする。次に、反応停止の
ために(1)0. 1M トリクロロ酢酸、(2)0. 2
2M 酢酸ナトリウム及び(3)0. 33M 酢酸の各
等量混合液を加え、更にこの反応液の上清200μlを
0. 55M 炭酸ナトリウム溶液500μlに加え、そ
こに2倍に希釈した市販のフェノール試薬100μlを
添加し、直ちに撹拌後、30℃で30分間インキュベー
トし、この反応液の660nmでの吸光度を測定して酵
素活性を求めた。なお、上記条件下において1分間に1
μgチロシン相当のFolin 呈色を示す非蛋白質物質を生
成する活性を1単位(U)とした。
われているアンソン−萩原変法(B.Hagihara et al.:
J.Biochem., 45, 185 (1958))に従い測定した。具体的
には、0. 75% カゼイン溶液400μlと0. 24
M リン酸水素二ナトリウム溶液(pH7. 5)100
μlを37℃で5分間プレインキュベートし、そこへ酵
素溶液(培養物の上清等)10〜100μlを加え、3
7℃で10分間インキュベートする。次に、反応停止の
ために(1)0. 1M トリクロロ酢酸、(2)0. 2
2M 酢酸ナトリウム及び(3)0. 33M 酢酸の各
等量混合液を加え、更にこの反応液の上清200μlを
0. 55M 炭酸ナトリウム溶液500μlに加え、そ
こに2倍に希釈した市販のフェノール試薬100μlを
添加し、直ちに撹拌後、30℃で30分間インキュベー
トし、この反応液の660nmでの吸光度を測定して酵
素活性を求めた。なお、上記条件下において1分間に1
μgチロシン相当のFolin 呈色を示す非蛋白質物質を生
成する活性を1単位(U)とした。
【0018】実施例1 培養した親株、アスペルギルス・オリーゼAJ1172
90株(FERM P−14259)のPDA斜面培地
(市販ポテト−デキストロース培地)から得られた胞子
懸濁液に2mg/mlのニトロソグアニジン溶液をそれ
ぞれ胞子懸濁液と等量混合し、30℃で30分間インキ
ュベートした。この胞子懸濁液をPDA培地に塗布し、
30℃で4〜7日間培養した後、培地表面に生育したコ
ロニーを採り、PDA斜面培地で30℃で4〜7日間培
養した。このようにして得た変異株500株をそれぞれ
第1表に示す液体培地Aで30℃、64時間振とう培養
し、当該培養液のグルタミナーゼ活性及び培養液上清の
プロテアーゼ活性を測定した。これら変異株より、継代
培養後も安定して高い酵素活性を示した変異株Gを選抜
した。この変異株Gのグルタミナーゼ活性及びプロテア
ーゼ活性を親株並びに市販種麹からの分離株である種麹
分離株B(アスペルギルス・オリーゼ・ヴァラエティ・
エフュサス(A. oryzae var. effusus))AJ1173
32株(FERM P−15957)、更に工業技術院
生命工学工業技術研究所から分譲されたアスペルギルス
・ソーヤ(A. sojae) Ben-1(FERM P−752
2)及びPFA−118(FERM P−7524)と
比較した。なお、これら2株は、細胞融合による2倍体
株の半数体化処理により得られた高活性株で、醤油麹に
おいて高いプロテアーゼ活性、グルタミナーゼ活性を示
した菌株である(特公平3−73271号公報)。その
結果を第2表に示す。
90株(FERM P−14259)のPDA斜面培地
(市販ポテト−デキストロース培地)から得られた胞子
懸濁液に2mg/mlのニトロソグアニジン溶液をそれ
ぞれ胞子懸濁液と等量混合し、30℃で30分間インキ
ュベートした。この胞子懸濁液をPDA培地に塗布し、
30℃で4〜7日間培養した後、培地表面に生育したコ
ロニーを採り、PDA斜面培地で30℃で4〜7日間培
養した。このようにして得た変異株500株をそれぞれ
第1表に示す液体培地Aで30℃、64時間振とう培養
し、当該培養液のグルタミナーゼ活性及び培養液上清の
プロテアーゼ活性を測定した。これら変異株より、継代
培養後も安定して高い酵素活性を示した変異株Gを選抜
した。この変異株Gのグルタミナーゼ活性及びプロテア
ーゼ活性を親株並びに市販種麹からの分離株である種麹
分離株B(アスペルギルス・オリーゼ・ヴァラエティ・
エフュサス(A. oryzae var. effusus))AJ1173
32株(FERM P−15957)、更に工業技術院
生命工学工業技術研究所から分譲されたアスペルギルス
・ソーヤ(A. sojae) Ben-1(FERM P−752
2)及びPFA−118(FERM P−7524)と
比較した。なお、これら2株は、細胞融合による2倍体
株の半数体化処理により得られた高活性株で、醤油麹に
おいて高いプロテアーゼ活性、グルタミナーゼ活性を示
した菌株である(特公平3−73271号公報)。その
結果を第2表に示す。
【0019】第2表から明らかなように、変異株Gは親
株と比較してプロテアーゼ活性は変わらず、グルタミナ
ーゼ活性は6倍も上昇した。種麹分離株Bは、市販種麹
からの分離株で、液体培養において最もグルタミナーゼ
活性の高かった株であるが、プロテアーゼ活性は著しく
低かった。また、醤油麹における高活性株2株はいずれ
も、プロテアーゼ活性、グルタミナーゼ活性ともに変異
株Gより明らかに低い値であった。なお、この変異株G
はアスペルギルス・オリーゼAJ117331株と命名
され、前記したように、工業技術院生命工学工業技術研
究所に寄託されており、その受託番号はFERM P−
15956である。
株と比較してプロテアーゼ活性は変わらず、グルタミナ
ーゼ活性は6倍も上昇した。種麹分離株Bは、市販種麹
からの分離株で、液体培養において最もグルタミナーゼ
活性の高かった株であるが、プロテアーゼ活性は著しく
低かった。また、醤油麹における高活性株2株はいずれ
も、プロテアーゼ活性、グルタミナーゼ活性ともに変異
株Gより明らかに低い値であった。なお、この変異株G
はアスペルギルス・オリーゼAJ117331株と命名
され、前記したように、工業技術院生命工学工業技術研
究所に寄託されており、その受託番号はFERM P−
15956である。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】実施例2 以下の操作は無菌的に行った。オートクレーブ処理(1
21℃、20分)を行った5%分離大豆蛋白溶液20m
lに、実施例1の親株(FERM P−14259)、
変異株G(FERM P−15956)、種麹分離株B
(FERM P−15957)及び醤油麹における高活
性株FERM P−7522とFERMP−7524の
それぞれの培養物5mlを加えて混合し、40℃で10
日間反応させた。親株(FERM P−14259)、
変異株G(FERM P−15956)、種麹分離株B
(FERM P−15957)及びFERM P−75
22、FERM P−7524のそれぞれの培養物に、
更に市販酵素製剤である「グルタミナーゼダイワ」(大
和化成(株)製)をグルタミナーゼの必要十分量である
0. 01%添加し、同様に反応させたものを比較対照と
した。これら反応物の上清について、全窒素、アミノ酸
分析によるアミノ酸遊離量の測定を行った。グルタミン
酸遊離量、全窒素から求めたグルタミン酸遊離率(グル
タミン酸遊離量(g/dl)/全窒素(g/dl))を
第3表に示す。なお、第3表は市販酵素製剤である「グ
ルタミナーゼダイワ」無添加の系を表す。第3表に示し
た通り、変異株Gの全窒素量は親株と同値であるが、変
異株Gのグルタミン酸遊離率は親株、種麹分離株B及び
醤油麹における高活性株に比して著しく高い値であっ
た。
21℃、20分)を行った5%分離大豆蛋白溶液20m
lに、実施例1の親株(FERM P−14259)、
変異株G(FERM P−15956)、種麹分離株B
(FERM P−15957)及び醤油麹における高活
性株FERM P−7522とFERMP−7524の
それぞれの培養物5mlを加えて混合し、40℃で10
日間反応させた。親株(FERM P−14259)、
変異株G(FERM P−15956)、種麹分離株B
(FERM P−15957)及びFERM P−75
22、FERM P−7524のそれぞれの培養物に、
更に市販酵素製剤である「グルタミナーゼダイワ」(大
和化成(株)製)をグルタミナーゼの必要十分量である
0. 01%添加し、同様に反応させたものを比較対照と
した。これら反応物の上清について、全窒素、アミノ酸
分析によるアミノ酸遊離量の測定を行った。グルタミン
酸遊離量、全窒素から求めたグルタミン酸遊離率(グル
タミン酸遊離量(g/dl)/全窒素(g/dl))を
第3表に示す。なお、第3表は市販酵素製剤である「グ
ルタミナーゼダイワ」無添加の系を表す。第3表に示し
た通り、変異株Gの全窒素量は親株と同値であるが、変
異株Gのグルタミン酸遊離率は親株、種麹分離株B及び
醤油麹における高活性株に比して著しく高い値であっ
た。
【0023】次に、親株(FERM P−1425
9)、変異株G(FERM P−15956)、種麹分
離株B(FERM P−15957)及び醤油麹におけ
る高活性株であるFERM P−7522、FERM
P−7524のそれぞれについての市販酵素製剤「グル
タミナーゼダイワ」無添加系(−G)及び添加系(+
G)のグルタミン酸遊離率並びにそれぞれの値から求め
たグルタミン酸遊離率比((グルタミン酸遊離率(−
G)/グルタミン酸遊離率(+G))×100)を第4
表に示す。第4表に示した通り、親株、種麹分離株B及
び醤油麹における高活性株FERM P−7522、F
ERM P−7524のグルタミン酸遊離率比は低く、
グルタミナーゼ活性は不十分であった。しかし、変異株
Gのグルタミン酸遊離率比は100%であり、このこと
は変異株Gのグルタミナーゼ活性は市販酵素製剤「グル
タミナーゼダイワ」無添加でも十分であることを示して
いる。また、親株(FERM P−14259)、変異
株G(FERM P−15956)、種麹分離株B(F
ERM P−15957)及び醤油麹における高活性株
FERM P−7522のそれぞれの分解液のアミノ酸
分析から求めたグルタミン酸遊離率(アミノ酸遊離量
(g/dl)/全窒素(g/dl))を第5表に示す。
第5表に示した通り、変異株Gの培養物による分解液の
アミノ酸遊離率は、グルタミン酸及びグルタミン酸以外
の大半のアミノ酸についても親株、種麹分離株B及び醤
油麹における高活性株FERM P−7522に比して
高い値であり、呈味力の強い分解液であった。
9)、変異株G(FERM P−15956)、種麹分
離株B(FERM P−15957)及び醤油麹におけ
る高活性株であるFERM P−7522、FERM
P−7524のそれぞれについての市販酵素製剤「グル
タミナーゼダイワ」無添加系(−G)及び添加系(+
G)のグルタミン酸遊離率並びにそれぞれの値から求め
たグルタミン酸遊離率比((グルタミン酸遊離率(−
G)/グルタミン酸遊離率(+G))×100)を第4
表に示す。第4表に示した通り、親株、種麹分離株B及
び醤油麹における高活性株FERM P−7522、F
ERM P−7524のグルタミン酸遊離率比は低く、
グルタミナーゼ活性は不十分であった。しかし、変異株
Gのグルタミン酸遊離率比は100%であり、このこと
は変異株Gのグルタミナーゼ活性は市販酵素製剤「グル
タミナーゼダイワ」無添加でも十分であることを示して
いる。また、親株(FERM P−14259)、変異
株G(FERM P−15956)、種麹分離株B(F
ERM P−15957)及び醤油麹における高活性株
FERM P−7522のそれぞれの分解液のアミノ酸
分析から求めたグルタミン酸遊離率(アミノ酸遊離量
(g/dl)/全窒素(g/dl))を第5表に示す。
第5表に示した通り、変異株Gの培養物による分解液の
アミノ酸遊離率は、グルタミン酸及びグルタミン酸以外
の大半のアミノ酸についても親株、種麹分離株B及び醤
油麹における高活性株FERM P−7522に比して
高い値であり、呈味力の強い分解液であった。
【0024】
【表3】
【0025】
【表4】
【0026】
【表5】
【0027】
【発明の効果】本発明の高活性変異株は、液体培養にお
いて親株の約6倍のグルタミナーゼ活性を有し、かつ高
いプロテアーゼ活性を有している。この高活性変異株の
培養物を蛋白質に作用させて得られる蛋白加水分解物
は、窒素含有率及びアミノ酸含有率、特にグルタミン酸
含有率が高いものであり、呈味力の強い調味料として有
利に利用することができる。
いて親株の約6倍のグルタミナーゼ活性を有し、かつ高
いプロテアーゼ活性を有している。この高活性変異株の
培養物を蛋白質に作用させて得られる蛋白加水分解物
は、窒素含有率及びアミノ酸含有率、特にグルタミン酸
含有率が高いものであり、呈味力の強い調味料として有
利に利用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI (C12N 1/15 C12R 1:69) (72)発明者 片岡 二郎 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の 素株式会社食品総合研究所内
Claims (3)
- 【請求項1】 アスペルギルス・オリーゼ(Aspergillu
s oryzae)に属し、液体培養においてグルタミナーゼ活
性とプロテアーゼ活性が共に高い性質を有する高活性変
異株。 - 【請求項2】 変異株が、アスペルギルス・オリーゼA
J117331株(FERM P−15956)である
ことを特徴とする請求項1記載の高活性変異株。 - 【請求項3】 請求項1記載の高活性変異株の培養物
を、無塩もしくは低塩条件下で蛋白質に作用させること
を特徴とする窒素含有率及びグルタミン酸含有率の高い
蛋白加水分解物の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9153139A JPH10210967A (ja) | 1996-11-29 | 1997-05-28 | 高活性変異株及びそれを用いる蛋白加水分解物の製造法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33308196 | 1996-11-29 | ||
JP8-333081 | 1996-11-29 | ||
JP9153139A JPH10210967A (ja) | 1996-11-29 | 1997-05-28 | 高活性変異株及びそれを用いる蛋白加水分解物の製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10210967A true JPH10210967A (ja) | 1998-08-11 |
Family
ID=26481851
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9153139A Withdrawn JPH10210967A (ja) | 1996-11-29 | 1997-05-28 | 高活性変異株及びそれを用いる蛋白加水分解物の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10210967A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2003074710A1 (fr) * | 2002-03-04 | 2003-09-12 | Amano Enzyme Inc. | Polynucléotides, polypeptides et leur procédé de production |
WO2004007760A1 (ja) * | 2002-07-17 | 2004-01-22 | Arkray, Inc. | スルホン酸化合物を用いたタンパク質の分解方法 |
US7354732B2 (en) | 2002-06-14 | 2008-04-08 | Arkray, Inc. | Method of assay with sulfonic acid compound and nitro compound |
WO2010119967A1 (ja) | 2009-04-17 | 2010-10-21 | キッコーマン株式会社 | 大規模ゲノム重複を保持する麹菌 |
WO2011046249A1 (ko) | 2009-10-16 | 2011-04-21 | 씨제이제일제당(주) | 프로테아제 활성이 강화된 아스퍼질러스 소재 변이주 및 이를 이용한 천연 맛 향상제의 제조방법 |
JP2014054245A (ja) * | 2012-08-10 | 2014-03-27 | Kikkoman Corp | 液体麹および調味液 |
-
1997
- 1997-05-28 JP JP9153139A patent/JPH10210967A/ja not_active Withdrawn
Cited By (14)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2003074710A1 (fr) * | 2002-03-04 | 2003-09-12 | Amano Enzyme Inc. | Polynucléotides, polypeptides et leur procédé de production |
US7354732B2 (en) | 2002-06-14 | 2008-04-08 | Arkray, Inc. | Method of assay with sulfonic acid compound and nitro compound |
WO2004007760A1 (ja) * | 2002-07-17 | 2004-01-22 | Arkray, Inc. | スルホン酸化合物を用いたタンパク質の分解方法 |
US8021855B2 (en) | 2002-07-17 | 2011-09-20 | Arkray Inc. | Method of decomposing protein with sulfonic acid compound |
WO2010119967A1 (ja) | 2009-04-17 | 2010-10-21 | キッコーマン株式会社 | 大規模ゲノム重複を保持する麹菌 |
US8900647B2 (en) | 2009-04-17 | 2014-12-02 | Kikkoman Corporation | Koji mold having large-scale genomic duplication |
CN102575245A (zh) * | 2009-10-16 | 2012-07-11 | Cj第一制糖株式会社 | 具有增强的蛋白酶活性的曲霉非继承性遗传变异体及使用该变异体的制备天然味道增强剂的方法 |
EP2481798A1 (en) * | 2009-10-16 | 2012-08-01 | CJ Cheiljedang Corporation | Aspergillus non-inherited genetic variant having enhanced protease activity, and a production method for a natural flavour enhancer employing the same |
KR101191010B1 (ko) | 2009-10-16 | 2012-10-16 | 씨제이제일제당 (주) | 프로테아제 활성이 강화된 아스퍼질러스 소재 변이주 및 이를 이용한 천연 맛 향상제의 제조방법 |
JP2013505717A (ja) * | 2009-10-16 | 2013-02-21 | シージェイ チェイルジェダン コーポレイション | プロテアーゼ活性が強化されたアスペルギルスソーヤ変異株及びこれを用いた天然風味向上剤の製造方法 |
EP2481798A4 (en) * | 2009-10-16 | 2013-11-06 | Cj Cheiljedang Corp | UNAUTHORIZED GENETIC ASPERGILLUS VARIANT WITH INCREASED PROTEASE ACTIVITY AND MANUFACTURING PROCESS FOR A NATURAL TASTE AMPLIFIER THEREWITH |
US8741626B2 (en) | 2009-10-16 | 2014-06-03 | Cj Cheiljedang Corporation | Mutant strain of Aspergillus setae with enhanced protease activity and preparation method of natural taste enhancer using the same |
WO2011046249A1 (ko) | 2009-10-16 | 2011-04-21 | 씨제이제일제당(주) | 프로테아제 활성이 강화된 아스퍼질러스 소재 변이주 및 이를 이용한 천연 맛 향상제의 제조방법 |
JP2014054245A (ja) * | 2012-08-10 | 2014-03-27 | Kikkoman Corp | 液体麹および調味液 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US5252469A (en) | Process for producing a transglutaminase derived from streptomyces | |
US3932671A (en) | Process for producing protein hydrolyzate | |
EP2481798B1 (en) | Aspergillus non-inherited genetic variant having enhanced protease activity, and a production method for a natural flavour enhancer employing the same | |
EP0754752A2 (en) | Dipeptidyl peptidase IV and process for producing the same | |
JP3712530B2 (ja) | 新種クリプトコッカス・ノダエンシス、それを用いる耐塩性耐熱性グルタミナーゼの製造法並びにグルタミン酸含量の多い蛋白加水分解物の製造法 | |
US3857967A (en) | Preparation of food and beverages with peptidoglutaminase | |
JPH07115969A (ja) | 加水分解蛋白質の製造方法 | |
JPH10210967A (ja) | 高活性変異株及びそれを用いる蛋白加水分解物の製造法 | |
JPS6126357B2 (ja) | ||
EP0243167B1 (en) | A novel microorganism, a novel esterase and method for preparing the same | |
JPH07274944A (ja) | 新規変異株及び蛋白加水分解物の製造法 | |
JPS6243671B2 (ja) | ||
KR100591493B1 (ko) | 글루타미나제 활성이 증가된 국균 또는 효모 배양물, 이의 제조 방법 및 이를 사용한 가수분해된 단백질의 제조 방법 | |
Yano et al. | Development of a soft gel cultivation method | |
EP0834573A1 (en) | Process for the production of glutamic acid and the use of protein hydrolysates in this process | |
EP1427293B1 (en) | Glutaminase | |
JPH07115964A (ja) | 新規微生物,酵素および蛋白加水分解物 | |
EP0559175B1 (en) | gamma-Polyglutamate hydrolase and process for producing same | |
US4877734A (en) | Microbiologically produced α-acetylamino cinnamic acid acylase, method of its production and its use | |
JP3989976B2 (ja) | エチルアルコール耐性蛋白質分解酵素及びその製造方法並びにエチルアルコール耐性蛋白質分解酵素生産菌 | |
JPH09249A (ja) | 新規プロリダーゼとその製造方法 | |
JP4368003B2 (ja) | 新規グリシンアミノペプチダーゼ | |
JPH0773495B2 (ja) | 耐熱・耐塩性グルタミナーゼ | |
JPH034789A (ja) | 新規な好塩性プロテアーゼ及びその製造法 | |
JPS60237992A (ja) | アミノアシラ−ゼの製造法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20040803 |