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JPH10201585A - 鏡 - Google Patents

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Publication number
JPH10201585A
JPH10201585A JP744697A JP744697A JPH10201585A JP H10201585 A JPH10201585 A JP H10201585A JP 744697 A JP744697 A JP 744697A JP 744697 A JP744697 A JP 744697A JP H10201585 A JPH10201585 A JP H10201585A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
thin film
mirror
layer
refractive index
Prior art date
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Granted
Application number
JP744697A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3741506B2 (ja
Inventor
Yasuo Moriguchi
泰夫 森口
Atsushi Takamatsu
敦 高松
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Central Glass Co Ltd
Original Assignee
Central Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Central Glass Co Ltd filed Critical Central Glass Co Ltd
Priority to JP00744697A priority Critical patent/JP3741506B2/ja
Publication of JPH10201585A publication Critical patent/JPH10201585A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3741506B2 publication Critical patent/JP3741506B2/ja
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  • Mirrors, Picture Frames, Photograph Stands, And Related Fastening Devices (AREA)
  • Surface Treatment Of Glass (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 自浄作用による防汚性を有し、ゴースト像、
特に斜め反射光においても像がぼけることなく、鮮明で
シャープな像をもたらす鏡を得る。 【解決手段】 ガラス基板の片面に、少なくとも屈折率
が異なる薄膜を積層し、もう一方の表面に裏面反射膜な
らびにその裏止め膜を順次被覆成膜して成る鏡におい
て、ガラス面側から第1層目として屈折率がn1=1.80 〜
2.30でかつ膜厚が30〜130nm である薄膜と、該第1層上
に第2層目として屈折率がn2=1.50 〜1.90でかつ膜厚が
30〜150nm であり、かつ光活性作用を有するTiO2微粒子
を分散させた薄膜とからなる屈折率が異なる薄膜を被覆
積層してなり、しかも前記屈折率n1とn2をn1>n2とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、反射低減もしくは
防止を有する低反射膜を表面に備える裏面鏡であって、
表面反射で発生するゴースト像をコントロールよく格段
に防ぐことができ、さらにセルフクリ−ニング機能を併
せ持ち、例えば表面に付着する指紋、油膜などの汚染
物、汗その他の汚れなどを紫外線存在化でセルフクリ−
ニングすることで排除し、表面の反射低減もしくは防止
機能を長く持続できて、優れた視認性を保持して誤認を
なくすことができる鏡に関する。
【0002】ことに低反射膜は、斜めに入射する光を反
射させる裏面鏡で、特に使用する板ガラスの厚さが充分
厚く、光の反射角が垂線方向より約10〜70°であり、し
かも比較的近距離の像を反射させて、かつ比較的近距離
から見る際に使用する鏡に有効であり、例えば所謂ECミ
ラーなどの防眩ミラー、カーブミラー、三面鏡、洗面台
の鏡等の各種ミラー、各種産業用あるいは建築用に広く
採用することができる鏡を提供するものである。
【0003】
【従来の技術とその課題】厚いガラスの裏側に反射膜を
設けた裏面反射鏡(以下裏面鏡という)において、斜め
に入射する光をガラス表面の垂線方向から傾けて像を反
射させた際、図1に示すように、ガラスの表面反射によ
り反射像が多重に生じ、鮮明さに欠ける反射像となって
非常に見辛いものとなる。
【0004】例えば、等身大の裏面鏡で全身を映す時、
自分自身の顔は鮮明に映るが足元はゴースト像が発生し
像がぼやける。また、裏面鏡を用いた三面鏡で左右の反
射鏡に自分自身の反対側の横顔を映し出す時、像がぼや
けて非常に見辛いものになっている。この時に発生する
ゴースト像は、特に裏面鏡の厚さが例えば2mm以上、光
の反射角が鏡の垂線方向から約20〜70°であり、さらに
比較的近距離の像を反射させて、かつ比較的近距離から
見る場合に顕著に見られる。
【0005】なお、該ゴースト像の発生は、鏡を表面鏡
にすることで解決されるが、表面鏡では通常の建築用、
産業用として必要とされる強度・耐久性能を満足でき
ず、建築用、産業用としては余り普及していない。
【0006】またさらに従来例としては、実開昭63ー45
20号(実願平61ー98737 号のマイクロフイルム)には、
反射防止膜を設けた防眩ミラーが開示されており、エレ
クトロクロミック素子を設けることにより、反射光量を
電気的に制御しうる防眩ミラーに於いて、表面に反射防
止膜を設けることにより、減光時に2重像が見えないよ
うにした防眩ミラーが開示されている。
【0007】一方、従来から、低反射膜が各種提案がな
され種々の分野で採用されているが、例えば干渉タイプ
の低反射膜などにおいて、該膜の表面に指紋、汗、手垢
あるいは油脂などの汚染物などの汚れによって光学設計
が狂い、低反射特性が機能し難くなるばかりか、逆に反
射率が増大するようになって低反射ガラスとしての所期
の目的が達成できなくなるため、これを防止する提案が
なされている。
【0008】例えば、特開昭60-49079号公報には指紋付
着防止剤が記載され、炭素数4〜21個のポリフルオロア
ルキル基又はポリフルオロエ−テル基を含有する化合物
を含むものが記載されている。
【0009】また、実願昭59-143325 号のマイクロフイ
ルム(実開昭61-57423号)にはタッチパネルの構造が記
載され、タッチパネル本体の表面に、微細な凹凸を設け
ることが記載されている。
【0010】また、実願昭60-152692 号のマイクロフイ
ルム(実開昭62-59922号)には透明タッチパネルが記載
され、表面に電極を形成した基板を対向配置してなるメ
ンプレン方式の透明タッチパネルのタッチ面となる透明
基板の外面に透明な耐擦傷性のある弗素系樹脂を塗布し
たことが記載されている。
【0011】また、実願平2-5072号のマイクロフイルム
(実開平3-96639 号)には投射型表示装置用スクリ−ン
及びそれを用いた投射型表示装置が記載され、液晶素子
の少なくとも観察者側に低反射層を設けたことが記載さ
れている。
【0012】また、特開平4-171521号公報にはタッチパ
ネルが記載され、透明基板上の透明導電膜が無機質膜上
に有機質膜を重ねた複合透明保護膜で被覆され、有機質
膜が最表層であることが記載され、該有機質膜がフッ素
樹脂膜あるいは有機物超微粒子膜あるいは有機系ハ−ド
コ−ト膜であることが記載されている。
【0013】また、特開平6-110049号公報には撥油性皮
膜を有する液晶表示装置が記載され、基板表面にシロキ
サン結合を介して化学結合させた保護膜を備えているこ
とが記載されている。
【0014】また、特開平7-116623号公報には反射防止
層の油脂膜除去方法が記載され、反射防止層の表面に指
紋等として付着した油脂膜に粘着層を圧着し、ついでそ
の粘着層を油脂膜の移着下に剥離することが記載されて
いる。
【0015】一方例えば、特開昭64-70701号公報には導
電性反射防止膜を有する透明板が記載され、導電性付与
の金属膜上に、屈折率が1.90〜2.50でかつ膜厚が200 Å
〜400 Åの高屈折率誘電体膜と、該表面上に屈折率が1.
35〜1.50でかつ膜厚が700 Å〜1200Åの低屈折率誘電体
膜とからなるものが記載されている。
【0016】さらにまた他方で、紫外線が照射されるこ
とで有機化合物の汚れを分解(酸化)促進する機能を発
揮する物質としてTiO2、V2O5、ZnO 、WO3 、Fe2O3 等が
知られ、ことにアナタ−ゼ型の結晶型のTiO2微粒子は光
触媒としての効果が優れていることが知られている。最
近例えば特開平7-232080号公報には光触媒機能を有する
多機能材及びその製造方法が記載されている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】前述したような該裏面
鏡の表面反射で生じるゴースト像を取り除くようにする
ものであり、例えば前記した実開昭63ー4520号(実願平
61ー98737 号のマイクロフイルム)に記載されているよ
うな反射防止膜では、斜め入射光すなわち斜め反射光の
2重像を解決することができないものである。
【0018】また、特開昭60-49079号公報に記載の指紋
付着防止剤、実願昭60-152692 号のマイクロフイルム
(実開昭62-59922号)に記載の透明タッチパネル、実願
平2-5072号のマイクロフイルム(実開平3-96639 号)に
記載の投射型表示装置用スクリ−ン及びそれを用いた投
射型表示装置、特開平4-171521号公報に記載のタッチパ
ネルならびに特開平6-110049号公報に記載の撥油性皮膜
を有する液晶表示装置等では、フッ素樹脂膜やシロキサ
ン結合を介して化学結合させた保護膜や低反射層あるい
はシリコ−ン系膜層等の各種汚れを付着し難くする防汚
性膜を施すものである。
【0019】また、実願昭59-143325 号のマイクロフイ
ルム(実開昭61-57423号)に記載のタッチパネルの構造
では、微細な凹凸表面とすることで同様に各種汚れを付
着し難くするものであり、特開平7-116623号公報に記載
の反射防止層の油脂膜除去方法では、反射防止層の表面
に指紋等の付着油脂膜に対し、強制的に粘着層を圧着
し、該粘着層に前記付着油脂膜を移着させ、強制的に剥
離しようとするものである。
【0020】また一方で例えば、特開昭64-70701号公報
に記載の導電性反射防止膜を有する透明板では、干渉タ
イプの反射防止膜のため、膜面に汗や汚れなどの皮膜が
できると光学設計が狂い反射防止特性がなくなるばかり
か逆に反射率が増して高反射膜化したり、また反射色調
が膜面にできた汗や汚れなどの被膜部だけその色調が変
わり目立つようになり、そのために、洗浄などのクリ−
ニングを頻繁にする必要があるものとなる。また、これ
らの汚れを防止するためには、これら各種汚れを付着し
難くする防汚性膜を施す程度のみでは不充分であり、反
射低減をなしつつ汚れが常に目立たないようセルフクリ
−ニング機能を併せもつようにしなければならないもの
であった。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明は、従来のかかる
問題点に鑑みてなしたものであって、特定した屈折率と
膜厚の2層の薄膜を裏面鏡の表面に形成することによ
り、所定の角度で入射した光の鏡表面での反射光を約2
乃至5%程度低下でき、さらに該反射防止膜等低反射膜
による光の損失(吸収、散乱等)がないために非常にシ
ャープな反射像が得られ、しかも反射光の色合いに変化
を生じることがなく、違和感のない高強度な反射鏡を提
供し、さらに該積層薄膜の最外層薄膜に光活性作用を持
つTiO2微粒子を分散させた薄膜を用い、紫外線存在下で
汚れが常に目立たないようにするセルフクリ−ニング機
能を併せ持つようにした有用な二重像防止鏡を提供する
ものである。
【0022】すなわち、本願発明は、ガラス基板の片面
に、少なくとも屈折率が異なる薄膜を積層し、もう一方
の表面に裏面反射膜ならびにその裏止め膜を順次被覆成
膜して成る鏡において、ガラス面側から第1層目として
屈折率がn1=1.80 〜2.30でかつ膜厚が30〜130nm である
薄膜と、該第1層上に第2層目として屈折率がn2=1.50
〜1.90でかつ膜厚が30〜150nm であり、かつ光活性作用
を有するTiO2微粒子を分散させた薄膜とからなる屈折率
が異なる薄膜を被覆積層してなり、しかも前記屈折率n1
とn2がn1>n2であることを特徴とする鏡。
【0023】ならびに、ガラス面の垂直方向から20〜70
°で入射する光に対し、ガラスと空気の境界面での前記
鏡における可視光反射率が屈折率が異なる薄膜がない通
常の鏡の可視光反射率に比して2〜5%低減させること
を特徴とする上述した鏡。
【0024】また、第1層目の薄膜が、TiO2、SiO2、Al
2O3 、ZrO2、SnO2、B2O3の薄膜、あるいはこれらの成分
から2種以上選択し組み合わせた膜であることを特徴と
する上述した鏡。
【0025】また、第2層目の光活性作用を有するTiO2
微粒子を分散させた薄膜が、SiO2、Al2O3 、ZrO2、SnO2
の薄膜、またはこれらの成分から2種以上を選択し組み
合わせた膜であることを特徴とする上述した鏡。
【0026】さらにまた、光活性作用を有するTiO2微粒
子が、アナタ−ゼ型であって、平均粒径が、3nm以上50
nm以下であることを特徴とする上述した鏡である。
【0027】
【発明の実施の形態】ここで、反射低減膜である低反射
膜を2層膜にしたのは、単層膜では充分低反射特性、例
えば屈折率が1.22程度を示す強固な低屈折率膜がなく、
また3層以上の膜では被膜の強度は積層するにつれて低
下し、さらに成膜工程が複雑になり、該反射鏡が高価に
なるため採用し難く、2層膜であれば薄膜の多重干渉の
原理を応用し得、像の反射角に応じて設計でき、強固な
膜を得ることができ、しかも一般に膜自身の刺激純度
(ギラツキ感)は2層膜では大きいが、裏面に銀(Ag)
などの高反射膜を配置した際には、その刺激純度の高さ
は殆ど問題にならなくなるため好都合であるからであ
る。
【0028】また、ガラス面側から第1層目として屈折
率がn1=1.80 〜2.30でかつ膜厚が30〜130nm である薄膜
を形成し、次いで該第1層上に第2層目として屈折率が
n2=1.50 〜1.90でかつ膜厚が30〜150nm であり、かつ光
活性作用を有するTiO2微粒子を分散させた薄膜層を被覆
積層してなり、しかも前記屈折率n1とn2がn1>n2である
ことでなることとしたのは、該屈折率ならびに膜厚の値
を巧みに組み合わさなければ、ガラスの垂線方向から20
〜70°で入射する光において、ガラス/空気の界面での
可視光線反射率が該低反射膜のない通常の裏面鏡に対し
て、2〜5%低下させ、ガラス面によるゴースト像の発
生を防止することができないからである。
【0029】また、前記第1層目として屈折率をn1=1.8
0 〜2.30としたのは、ゾルゲル法では2.30を超えると酸
化物薄膜ができ難いし、1.80未満では表面の可視光線反
射率が大巾に増加し、表面の反射、つまり2重像を解消
したとは言い難いためである。
【0030】また、前記第2層目として屈折率をn1=1.5
0 〜1.90としたのは、1.90を超えると可視光線反射率が
大巾に増加し表面反射を防止したとは言えなくなり、光
活性TiO2微粒子の含有率が高いほど膜強度が低下するこ
ととなり、1.50未満では光活性TiO2微粒子をほとんど分
散させることができないため、セルフクリ−ニング機能
が発揮できないからである。
【0031】また、前記屈折率n1とn2がn1>n2であるこ
ととしたのは、n1<n2では表面の反射を充分に低下させ
ることはできないからである。さらに、前記第1層目薄
膜層の薄膜が、TiO2、SiO2、Al2O3 、ZrO2、SnO2、B2O3
の薄膜、あるいはこれらの成分から2種以上選択し組み
合わせた膜から成ることが好ましく、これら単独の成分
はもちろん、屈折率が比較的高いTiO2(屈折率n=2.25程
度)、ZrO2(n=1.95程度)、SnO2(n=1.90程度)と屈折
率が比較的低いSiO2(n=1.45程度)、Al2O3 (n=1.65程
度)あるいはB2O3(n=1.60程度)とを種々組み合わせて
混合することで、自由にコントロ−ルして屈折率n1が1.
80〜2.30になるよう得易く、かつ耐久性に優れるものと
なるからである。
【0032】さらに、前記第2層目薄膜層の薄膜が、Si
O2(n=1.45程度)、Al2O3 (n=1.65程度)の単独の成分
はもちろん、これらSiO2、Al2O3 を組み合わせた、ある
いはZrO2(n=1.95程度)やSnO2(n=1.90程度)の単独、
もしくはSiO2、Al2O3 にZrO2やSnO2を例えばモル比で10
%以下程度組み合わせた等が挙げられる。なお、該モル
比で10%以下程度としたのは、この程度で耐久性が向上
するが、逆に10%を超えると屈折率が上がり低反射性能
が悪くなり、光活性TiO2微粒子を入れる量を減少させる
こととなってセルフクリ−ニング機能が低下することと
なり、またその割りに耐久性の向上が見られ難いからで
ある。
【0033】また、前記光活性作用を有するTiO2微粒子
としては、結晶構造がアナタ−ゼ型であり、その平均粒
径が3nm以上50nm以下であることが好ましく、より好ま
しくは4nm以上30nm以下のものである。該平均粒径が50
nmを超えると、例えば塗布溶液中での分散性が悪くな
り、均質膜が得られ難くなるとともに、膜のヘイズ値が
高くなり視認性が悪化するようになる。
【0034】さらに、光活性作用を有するTiO2微粒子分
散溶液としては、例えば、タイノックM-6 〔多木化学
(株)製、平均粒径が5nm、TiO2濃度が6%水溶液〕、
タイノックA-6 〔多木化学(株)製、平均粒径が10nm、
TiO2濃度が6%水溶液〕、ST-kシリ−ズ〔石原産業
(株)製、平均粒径が20nm、SiO2バインダ−に分散させ
たもの〕等が挙げられ、特にタイノックM-6 程度が好ま
しいものである。
【0035】さらに、希釈溶媒としては、特に限定され
ないが、エタノ−ル、メタノ−ル、イソプロパノ−ル、
アセトン、あるいはこれらの混合溶媒が好ましい。さら
にまた、前記2層薄膜の成膜方法としては、特に限定さ
れないが、ディッピング法、スピンコ−ト法、フレキソ
印刷法、ロ−ルコ−ト法、フロ−コ−ト法、スプレイ
法、印刷法あるいは本出願人が既に出願した塗膜方法
等、既存の各種塗膜方法ならびにこれらの組み合わせた
成膜法などが挙げられる。
【0036】さらにまた、ガラス基板としては、無色あ
るいは有色のどちらでもよい。すなわち例えば、クリ
ア、ブル−、ブロンズ、グレ−あるいはグリ−ンガラス
等でもよく、また形状等に特に限定されるものではな
く、平板や単板で使用できることはもとより、合せガラ
スあるいは各種強化ガラスまたは強度アップガラス、曲
げ板ガラスとしてはも使用できることは言うまでもな
い。さらに、ガラス基板が無機質でも有機質でもよいこ
とは言うに及ばない。
【0037】さらにまた、前記光活性チタニア(TiO2
微粒子が光活性効果を示すのは、紫外線に起因するもの
が大であり、紫外線を多く含む太陽光が直接ふりそそぐ
場所のみならず、太陽光がガラス越しに当たる場所や太
陽光が散乱などにより間接的に当たる場所、さらには太
陽光が直接的および間接的に当たらないところでも微量
の紫外線を発生する蛍光灯下にさらされた場所(屋内)
など、広範囲な場所や状況下で効果を示すものである。
【0038】さらにまた、前記裏面鏡としては、銀膜層
を備えるものに限らず、各種裏面鏡に属するものであれ
ばよい。前述したとおり、本発明の鏡は、ガラス基板上
の片面に異なる特定した屈折率とその特定した膜厚で成
る低反射膜層を設け、その裏面に高反射膜とその裏止め
膜を形成した表面低反射裏面鏡としたので、図2に示す
ように、単にガラス2の裏面に銀膜層3とその表面を保
護被覆する裏止め膜層4を備える通常の裏面鏡’で
は、入射光5がガラス面の垂線方向の入射角6のように
斜めで進入して生じるガラス面反射光7と、ガラス中鏡
面で反射する鏡面反射光8とが2重像となる間隔(ズ
レ)9をもって生じることとなるのに対し、図1に示す
ように、表面低反射裏面鏡では、前記特定した低反射
膜層10をガラス2の表面に設けたことにより、ガラス面
反射光7(破線)が低減し解消することとなり、特に斜
めに入射する光に対してその効果が大きく、ことにガラ
スの厚みが厚く、しかも光の反射角が垂線方向より約20
°〜70°であり、さらに比較的近距離の像を反射させ
て、かつ比較的近距離から見る場合に使用する鏡でも、
格段にその性能を発揮して、光学特性を損なうことな
く、2重像等のゴースト像を顕著に取り除き、像がぼや
けて見辛いこともなく、鮮明なシャープな反射像を得る
ことができることとなる。
【0039】さらに、表面層に光活性TiO2微粒子を分散
させたことで優れたセルフクリ−ニング機能を併せ持
ち、例えば表面に付着する指紋、油脂等の汚染物、汗そ
の他の汚れ等を紫外線下でセルフクリ−ニングすること
で排除しつつ常に目立たないようにでき、さらに密着
性、耐擦傷性ならびに耐候性等に優れ、強固な低反射膜
であって、長期に亘りその性能を保持することができ
る。
【0040】しかも手軽に容易な膜形成手段でもって、
特定した2層膜構成である低反射膜層を持つ裏面鏡を安
価に効率よく得ることができ、建築用もしくは産業用
等、あるいは自動車用またはその関連物品等、各種ガラ
ス物品において採用できる卓効を奏するものである。
【0041】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。ただし本発明は係る実施例に限定されるものではな
い。
【0042】実施例1 Tiのアルコキシドにエタノ−ルの溶媒を加えて希釈し溶
質濃度が約0.4mol/lに調製した。該アルコキシド溶液
の粘度は約1.5mPa・s であった。
【0043】次いで大きさが約305mm ×610mm 、厚さが
約5mmのフロートガラス基板(クリア)を中性洗剤、水
すすぎ、アルコール、アセトン等で順次洗浄し、乾燥し
た後、該ガラス基板の片面をマスキングテープでマスキ
ングし、該ガラス基板を前記調製溶液中に浸漬し、約3.
5mm /秒の速度で上方に静かに引き上げディッピング成
膜した後、マスキングテープを取り除き約250 ℃に保持
した電気炉中に約10分間入れ乾燥加熱し、ガラス基板上
にゲル膜を形成し、第1層目のTiO2のゲル薄膜を得た。
【0044】次に、チタニア(TiO2)微粒子分散水溶液
〔タイノックM-6 、多木化学(株)製、平均粒径約5m
m、TiO2濃度約6%〕を約6倍のエタノ−ルで希釈し、
約1時間室温で攪拌した。次いで該溶液に加水分解させ
たテトラエトキシシランをシリカとチタニアのモル比が
50:50になるように加え、エタノ−ルで溶質濃度が約0.
25mol /l となるように希釈し、約10分間室温でホモジ
ナイザ−を用い攪拌し、第2層目用アルコキシド溶液を
調製した。該調製した溶液の粘度を測定したところ、約
2.3mPa・s であった。
【0045】次いで、上記ガラス基板の非成膜面に再度
マスキングテープを貼り、上記溶液中に浸漬した後、約
2.0 mm/秒の速度で上方に静かに引き上げ、第1層目と
同様にマスキングテープを取り除き、再度約250 ℃で約
10分間保持乾燥加熱し、第1層目薄膜上に、第2層目の
チタニア微粒子分散SiO2ゲル薄膜を得た。
【0046】続いて、この被膜付きガラスを約470 ℃で
約30分熱処理し、片面のみ2層でなる積層薄膜付きガラ
ス基板を得た。得られた積層薄膜付きガラス基板の積層
薄膜は、ガラス側から第1薄膜層が屈折率n1= 約2.20
で、膜厚d1= 約70nmのTiO2の薄膜、第2薄膜層が屈折率
n2= 約1.80、膜厚d2= 約80nmのチタニア微粒子分散SiO2
薄膜であった。
【0047】また、該積層薄膜は汚れをセルフクリ−ニ
ングする機能を持つ反射低減膜であり、これらの機能を
持つガラス基板を得ることができた。さらに、該低反射
ガラス基板の裏面である無成膜面に、スパッタリングで
Agを約250nm 厚みに成膜し銀膜層を形成し、その上に裏
止め膜層を形成し、表面が低反射処理された裏面鏡を得
た。
【0048】表1に、表面を低反射処理しない通常の裏
面鏡と本実施例で得た表面低反射裏面鏡とを、各入射角
でのガラス表面(空気/ガラス境界)からの可視光反射
率aと、鏡面(ガラス/Ag膜界面)からの可視光反射率
b、およびその比(a/b)を対比して示す。さらにガ
ラス表面からの反射像と、鏡面からの反射像の距離、す
なわち2重像の間隔(ズレ)を示す。
【0049】表面反射光強度/鏡面反射光強度(a/
b)は、斜めの入射光の入射角θが30°〜60°(垂線に
対し)において表面低反射裏面鏡(a2 /b2 )では、
通常の裏面鏡(a1 /b1 )の約1/2程度もしくはそ
れ以下となった。また入射角θが35〜40°の際にその比
〔(a2 /b2 )/(a1 /b1 )〕は最小の約1/3
程度になり、最大の2重像低減効果を示した。また表面
反射像と鏡面反射像のズレは約45〜50°の入射角の際に
最大となり、したがって本膜構成では該ズレが最も著し
い入射角付近で、最大の低反射効果を得ることができ
た。
【0050】またさらに、得られた該表面低反射裏面鏡
を鏡台に組み込み、実際に像の鮮明さを目視したとこ
ろ、所謂ゴースト像のない非常にシャープな反射像を得
ることができた。また該低反射膜による鏡の色調の変化
は見られず、色調は従来どおりの見かけの裏面鏡であっ
た。
【0051】また、該低反射膜は、耐摩耗強度(テーバ
ー試験、摩耗輪CSー10F、100 回転)は、△H(ヘイズ
値)が約0.9 %と非常に耐摩耗性に優れたものであり、
内装用としての使用にも充分耐えることができる膜強度
を示した。
【0052】さらに、セルフクリ−ニング機能を調べる
ために、該表面反射防止鏡の第2層薄膜面に、ステアリ
ン酸をスピンコ−タ−で塗布し、ブラックライトを用
い、3mW/cm2 の紫外線を照射したところ、初期に約10
%程度であったヘイズ値が約4時間後には約4%まで減
少し、約7時間後には約0.2 %程度まで減少した。
【0053】該表面反射防止鏡は、セルフクリ−ニング
機能と表面反射による2重像を防止する機能を充分発揮
するものであり、めざす所期の低反射ガラスであった。
【0054】
【表1】
【0055】実施例2 加水分解させたテトラエトキシシラン〔Si(OC2H5)4〕と
同じく加水分解させたイソプロピルタナ−ト〔Ti(OC
3H7)4〕をモル比で5:95となるように混合し、これにエ
タノールを加え溶質濃度が約0.30mol /l となるよう希
釈し、第1層薄膜用アルコキシド溶液を調製した。該ア
ルコキシド溶液の粘度は約1.5mPa・s であった。
【0056】次いで、大きさが約305mm ×610mm 、厚さ
が約6mmのフロートガラス基板(クリア)を中性洗剤、
水すすぎ、アルコール、アセトン等で順次洗浄し、乾燥
した後、リバースロールコーターでコートロール回転速
度を約30m /min とドクターロール回転速度を約8m/mi
n とし、ガラス基板の搬送速度を約40m /min とした条
件で成膜した後、約300 ℃に保持した電気炉中に約10分
間入れ乾燥加熱し、ガラス基板上にゲル膜を形成し、第
1層目のTiO2-SiO2 系のゲル薄膜を得た。
【0057】次に、実施例1と同様にし、シリカとチタ
ニア(TiO2)微粒子分散水溶液〔タイノックM-6 、多木
化学(株)製、平均粒径約5mm、TiO2濃度約6%〕のモ
ル比を55:45にし、エタノ−ルで溶質濃度が約0.20mol
/l となるように希釈し、約10分間室温でホモジナイザ
−を用い攪拌し、第2層目用アルコキシド溶液を調製し
た。該調製した溶液の粘度を測定したところ、約2.0mPa
・s であった。
【0058】次いで、上記TiO2-SiO2 ゲル膜付きガラス
基板の膜面上に、上記第2層目用アルコキシド溶液を第
1層目と同様にリバースロールコーターでコートロール
回転速度を約30m /min とドクターロール回転速度を約
40m /min とし、ガラス基板の搬送速度を約7.5m/min
とした条件で成膜し、再度約300 ℃で約10分間保持乾燥
加熱し、第1層目薄膜上にゲル膜を形成し、第2層目の
TiO2微粒子を分散したSiO2ゲル膜を得た。
【0059】続いて、この被膜付きガラスを約470 ℃で
約40分熱処理し、片面のみ2層でなる積層薄膜付きガラ
ス基板を得た。得られた積層薄膜付きガラス基板の積層
薄膜は、ガラス側から第1薄膜層が屈折率n1= 約2.05
で、膜厚d1= 約80nmのTiO2-SiO2 の薄膜、第2薄膜層が
屈折率n2= 約1.70、膜厚d2= 約80nmのTiO2微粒子分散Si
O2薄膜であった。
【0060】該積層薄膜は反射低減膜であり、低反射処
理を施したガラス基板を得ることができた。さらに、該
低反射ガラス基板の裏面である無成膜面に、スパッタリ
ングでAgを約300nm 厚みに成膜し銀膜層を形成し、その
上に裏止め膜層を形成し、表面が低反射処理された裏面
鏡を得た。
【0061】表2には、表面を低反射処理しない通常の
裏面鏡と本実施例で得た表面低反射裏面鏡とを、入射角
が35°でのガラス表面(空気/ガラス境界)からの可視
光反射率aと、鏡面(ガラス/Ag膜界面)からの可視光
反射率b、およびその比(a/b)を対比して示す。
【0062】表2から明らかなように、該表面低反射裏
面鏡は斜めの入射光の入射角が35°に対して、2重像強
度をa1=4.6 %からa2=1.2 %に約1/4程度に減少さ
せることができ、また該表面低反射裏面鏡の表面反射光
強度/鏡面反射光強度の比〔(a2 /b2 )/(a1
1 )〕は未処理の通常の裏面鏡に対して約24%程度に
まで低下することができた。
【0063】このように得られた該表面低反射裏面鏡を
実施例1と同様に鏡台に組み込み、実際に像の鮮明さを
目視したところ、所謂ゴースト像のない非常にシャープ
な反射像を得ることができた。
【0064】さらに、セルフクリ−ニング機能を調べる
ために、該表面反射防止鏡の第2層薄膜面に、ステアリ
ン酸をスピンコ−タ−で塗布し、ブラックライトを用
い、3mW/cm2 の紫外線を照射したところ、初期に約11
%程度であったヘイズ値が約4時間後には約5%まで減
少し、約7時間後には約0.5 %程度まで減少した。
【0065】該表面反射防止鏡は、実施例1と同様に、
セルフクリ−ニング機能と低反射機能を充分発揮するも
のであり、めざす所期の表面反射防止鏡であった。また
該低反射膜は、耐摩耗強度(テーバー試験、摩耗輪CSー
10F、100 回転)は、△H(ヘイズ値)が約0.7 %と非
常に耐摩耗性に優れたものであり、内装用としての使用
にも充分耐えることができる膜強度を示した。
【0066】なお、前記各実施例で記述したディッピン
グ法、リバースロールコート法の他に、例えばスピンコ
ート法、カーテンコート法、ロールコート法、スクリー
ン印刷法等の既存の成膜法が採用できることはもちろん
である。
【0067】
【表2】
【0068】比較例1 Tiのアルコキシドにエタノールの溶媒を加えて希釈し、
溶質濃度が約0.10mol/l に調製した。該アルコキシド
溶液の粘度は約1.3mPa・s であった。
【0069】次いで、実施例1と同様に大きさが約305m
m ×610mm 、厚さが約5mmのフロートガラス基板(クリ
ア)を中性洗剤、水すすぎ、アルコール、アセトン等で
順次洗浄し、乾燥した後、該ガラス基板の片面をマスキ
ングテープでマスキングし、該ガラス基板を前記調製溶
液中に浸漬し、約1.0mm /秒の速度で上方に静かに引き
上げディッピング成膜した後、マスキングテープを取り
除き約250 ℃に保持した電気炉中に約10分間入れ乾燥加
熱し、ガラス基板上に第1層目のTiO2系のゲル薄膜を形
成した。
【0070】次に、上記ガラス基板の非成膜面に再度マ
スキングテープを貼り、実施例1の2層目の溶液と同じ
溶液中に浸漬した後、約1.6 mm/秒の速度で上方に静か
に引き上げ、第1層目と同様にマスキングテープを取り
除き、再度約250 ℃で約10分間保持乾燥加熱し、第1層
目の薄膜上に、第2層目のチタニア微粒子分散SiO2ゲル
薄膜を得た。
【0071】次いで、この積層被膜付きガラスを約470
℃で約30分熱処理し、片面のみ2層でなる積層薄膜付き
ガラス基板を得た。得られた積層薄膜付きガラス基板の
積層薄膜は、ガラス側から第1薄膜層が屈折率n1= 約2.
20で、膜厚d1= 約10nmのTiO2の薄膜、第2薄膜層が屈折
率n2= 約1.80、膜厚d2= 約70nmのチタニア微粒子分散Si
O2薄膜であった。
【0072】さらに、実施例1と同様に、該積層薄膜付
ガラス基板の裏面である無成膜面に、スパッタリングで
Agを約250nm 厚みに成膜し銀膜層を形成し、その上に裏
止め膜を形成し、表面が積層薄膜で処理された裏面鏡を
得た。
【0073】該表面積層薄膜付裏面鏡は、充分なセルフ
クリ−ニング効果は示したものの、鏡表面の入射角45°
の光に対して、反射率は約15%と通常の鏡に比べて約3
倍も高く、2重像強度が著しく反射像が不鮮明な結果に
なった。
【0074】比較例2 Tiのアルコキシドにエタノールの溶媒を加えて希釈し、
溶質濃度約0.55mol /l に調製した。該アルコキシド溶
液の粘度は約2.3mPa・s であった。
【0075】次いで、実施例1と同様に、ガラス基板を
洗浄し、乾燥した後、該ガラス基板の片面をマスキング
テープでマスキングし、前記調製溶液中に浸漬し、約6.
0mm/秒の速度で上方に静かに引き上げディッピング成
膜した後、マスキングテープを取り除き約250 ℃に保持
した電気炉中に約10分間入れ乾燥加熱し、ガラス基板上
に、第1層目のTiO2系のゲル薄膜を形成した。
【0076】つぎに、上記ガラス基板の非成膜面に再度
マスキングテープを貼り、実施例1の2層目の溶液と同
じ溶液中に浸漬した後、約1.6 mm/秒の速度で上方に静
かに引き上げ、第1層目と同様にマスキングテープを取
り除き、再度約250 ℃で約10分間保持乾燥加熱し、第1
層目薄膜上に、第2層目のチタニア微粒子分散SiO2ゲル
薄膜を得た。
【0077】次いで、この積層被膜付きガラスを約470
℃で約30分熱処理し、片面のみ2層でなる積層薄膜付き
ガラス基板を得た。得られた積層薄膜付きガラス基板の
積層薄膜は、ガラス側から第1薄膜層が屈折率n1= 約2.
20で、膜厚d1= 約170nm のSiO2・TiO2の薄膜、第2薄膜
層が屈折率n2= 約1.80、膜厚d2= 約70nmのチタニア微粒
子分散SiO2薄膜であった。
【0078】さらに、実施例1と同様に、該積層薄膜処
理ガラス基板の裏面である無成膜面に、スパッタリング
でAgを約250nm 厚みに成膜し銀膜層を形成し、その上に
裏止め膜層を形成し、表面が積層薄膜で処理された裏面
鏡を得た。
【0079】該表面積層薄膜付裏面鏡は、充分なセルフ
クリ−ニング効果は示したものの、鏡表面での反射率
は、入射角45°の光に対して、約12%と通常の鏡に比べ
て約2倍も高く、2重像が著しく発生し、反射像が不鮮
明になった。
【0080】比較例3 実施例2と同様に、加水分解させたテトラエトキシシラ
ン〔Si(OC2H5)4〕と同じ加水分解させたイソプロピルタ
ナ−ト〔Ti(OC3H7)4〕をモル比で5:95となるように混合
し、これにエタノールを加え溶質濃度が約0.20mol /l
となるよう希釈し、第1層薄膜用アルコキシド溶液を調
製した。該アルコキシド溶液の粘度は約1.5mPa・s であ
った。
【0081】次いで、実施例2と同様のガラス基板を洗
浄し、乾燥した後、リバースロールコーターでコートロ
ール回転速度を約10m /min とドクターロール回転速度
を約10m /min とし、ガラス基板の搬送速度を約7.5m/
min とした条件で成膜した後、約300 ℃に保持した電気
炉中に約10分間入れ乾燥加熱し、ガラス基板上にゲル膜
を形成し、第1層目のTiO2-SiO2 系のゲル薄膜を得た。
【0082】次に、実施例2と同様にし、シリカとチタ
ニア微粒子のモル比を55:45にし、エタノ−ルで溶質濃
度が約0.55mol /l となるように希釈し、約10分間室温
でホモジナイザ−を用い攪拌し、第2層目用アルコキシ
ド溶液を調製した。なお、該調製した溶液の粘度を測定
したところ、約2.3mPa・s であった。
【0083】次いで、上記TiO2-SiO2 ゲル膜付きガラス
基板の膜面上に、上記第2層目用アルコキシド溶液を第
1層目と同様にリバースロールコーターでコートロール
回転速度を約20m /min とドクターロール回転速度を約
60m /min とし、ガラス基板の搬送速度を約50m /min
とした条件で成膜し、再度約300 ℃で約10分間保持乾燥
加熱し、第1層目薄膜上にゲル膜を形成し、第2層目の
TiO2微粒子を分散したSiO2ゲル膜を得た。
【0084】続いて、この被膜付きガラスを約470 ℃で
約40分熱処理し、片面のみ2層でなる積層薄膜付きガラ
ス基板を得た。得られた積層薄膜付きガラス基板の積層
薄膜は、ガラス側から第1薄膜層が屈折率n1= 約2.05
で、膜厚d1= 約10nmのTiO2-SiO2 の薄膜、第2薄膜層が
屈折率n2= 約1.70、膜厚d2= 約170nm のTiO2微粒子分散
SiO2薄膜であった。
【0085】さらに、該膜付きガラス基板の裏面である
無成膜面に、スパッタリングでAgを約300nm 厚みに成膜
し銀膜層を形成し、その上に裏止め膜層を形成し、裏面
鏡を得た。
【0086】該表面膜付き鏡は、充分なセルフクリ−ニ
ング効果は示したものの、鏡表面での反射率は、鏡表面
の入射角が45°での反射率は、約6%と通常の鏡より表
面反射を低減することはできず、実施例1と同様に鏡台
に組み込み、実際に像の鮮明さを目視したところ、所謂
ゴースト像が発生し、反射像が不鮮明になった。
【0087】比較例4 加水分解されたTiのアルコキシドにイソプロピルアルコ
ールを加え、溶質濃度が約0.30mol /l となる第1層目
薄膜用アルコキシド溶液を調製した。なお、該アルコキ
シド溶液の粘度を測定したところ、約2.0mPa・s であっ
た。
【0088】次いで、実施例1と同様なガラス基板を洗
浄し、乾燥した後、該ガラス基板の片面をマスキングテ
ープでマスキングし、該ガラス基板を前記調製溶液中に
浸漬し、約4.0mm /秒の速度で上方に静かに引き上げデ
ィッピング成膜した後、マスキングテープを取り除き、
約300 ℃に保持した電気炉中に約30分間入れ乾燥加熱
し、ガラス基板上に第1層目のTiO2系のゲル薄膜を形成
した。
【0089】次に、加水分解させた〔Si(OC2H5)4〕をイ
ソプロピルアルコールで、溶質濃度が約0.35mol /l と
なるよう希釈し、第2層目薄膜用アルコキシド溶液を調
製した。なお、該アルコキシド溶液の粘度を測定したと
ころ、約2.3mPa・s であった。
【0090】次いで、上記ガラス基板の非成膜面に再度
マスキングテープを貼り、第1層薄膜付きガラス基板を
該第2層目薄膜用アルコキシド溶液中に浸漬した後、約
4.0mm/秒の速度で上方に静かに引き上げ、第1層目と
同様にマスキングテープを取り除き、再度約300 ℃で約
20分間保持乾燥加熱し、第1層目の薄膜上に、第2層目
のSiO2ゲル薄膜を得た。
【0091】続いて、この積層被膜付きガラスを約470
℃で約30分熱処理し、片面のみ2層でなる積層薄膜付き
ガラス基板を得た。さらに、実施例1と同様に、該積層
薄膜付ガラス基板の裏面である無成膜面に、スパッタリ
ングでAgを約250nm 厚みに成膜し銀膜層を形成し、その
上に裏止め膜を形成し、表面が積層薄膜で処理された裏
面鏡を得た。
【0092】得られた積層薄膜付きガラス基板の積層薄
膜は、ガラス側から第1薄膜層が屈折率n1= 約2.20で、
膜厚d1= 約70nmのTiO2の薄膜、第2薄膜層が屈折率n2=
約1.45、膜厚d2= 約95nmのSiO2薄膜であり、ゴ−スト像
を充分に低減できる表面反射防止鏡になっていた。
【0093】該表面積層薄膜付裏面鏡の第2層薄膜面上
に、ステアリン酸をスピンコ−タ−で塗布し、ブラック
ライトを用い、3mW/cm2 の紫外線を照射したところ、
初期に約10.2%であったヘイズ値が7時間後でも変化せ
ず、ステアリン酸は分解されず、該表面積層薄膜付裏面
鏡はセルフクリ−ニング機能がなく、到底めざす所期の
鏡ではなかった。
【0094】
【発明の効果】以上前述したように、本発明の鏡によれ
ば、透明ガラス基板の少なくとも片側面に、高屈折率薄
膜と光活性TiO2微粒子含有低屈折率薄膜とを、特定した
屈折率ならびに膜厚で組み合わせ、第2層目の屈折率が
第1層目の屈折率により小さくするようにしたシンプル
な2層の薄膜被覆積層でなる表面反射防止鏡としたこと
により、優れた表面反射低減機能とセルフクリ−ニング
機能とを併せ持ち、特に斜めに入射する光に対して効果
が大きく、ことにガラスの厚みが厚く、しかも光の反射
角が垂線方向より約20°〜70°であり、さらに比較的近
距離の像を反射させて、かつ比較的近距離から見る場合
に使用する鏡に対し、格段にその性能を発揮して、光学
特性を損なうことなく、ゴースト像を解消することがで
きる。
【0095】さらに表面に付着する指紋、油脂、汗など
の汚れ等を紫外線存在下でセルフクリ−ニングして常に
目立たないように分解し、頻繁なクリ−ニングをする必
要もなるので、高耐久性で人的物的の両面や環境に対し
ても優しく、しかも表面反射低減機能とセルフクリ−ニ
ング機能とを長期に亘りその性能を保持する等、建築
用、車両用もしくは産業用またはその関連物品等、巾広
い分野において有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の鏡である表面低反射裏面鏡における可
視光の入反射の挙動を示す説明図である。
【図2】通常の表面処理しない裏面鏡における可視光の
入反射の挙動を示す説明図である。
【符号の説明】 表面低反射裏面鏡 ’通常の裏面鏡 2 ガラス 3 銀膜層 4 裏止め膜層 5 入射光 6 入射角θ 7 ガラス面反射光 8 鏡面反射光 9 間隔 10 低反射膜層

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス基板の片面に、少なくとも屈折率
    が異なる薄膜を積層し、もう一方の表面に裏面反射膜な
    らびにその裏止め膜を順次被覆成膜して成る鏡におい
    て、ガラス面側から第1層目として屈折率がn1=1.80 〜
    2.30でかつ膜厚が30〜130nm である薄膜と、該第1層上
    に第2層目として屈折率がn2=1.50 〜1.90でかつ膜厚が
    30〜150nm であり、かつ光活性作用を有するTiO2微粒子
    を分散させた薄膜とからなる屈折率が異なる薄膜を被覆
    積層してなり、しかも前記屈折率n1とn2がn1>n2である
    ことを特徴とする鏡。
  2. 【請求項2】 ガラス面の垂直方向から20〜70°で入射
    する光に対し、ガラスと空気の境界面での前記鏡におけ
    る可視光反射率が屈折率が異なる薄膜がない通常の鏡の
    可視光反射率に比して2〜5%低減させることを特徴と
    する請求項1記載の鏡。
  3. 【請求項3】 第1層目の薄膜が、TiO2、SiO2、Al
    2O3 、ZrO2、SnO2、B2O3の薄膜、あるいはこれらの成分
    から2種以上選択し組み合わせた膜であることを特徴と
    する請求項1乃至2記載の鏡。
  4. 【請求項4】 第2層目の光活性作用を有するTiO2微粒
    子を分散させた薄膜が、SiO2、Al2O3 、ZrO2、SnO2の薄
    膜、またはこれらの成分から2種以上を選択し組み合わ
    せた膜であることを特徴とする請求項1乃至3記載の
    鏡。
  5. 【請求項5】 光活性作用を有するTiO2微粒子が、アナ
    タ−ゼ型であって、平均粒径が、3nm以上50nm以下であ
    ることを特徴とする請求項1乃至4記載の鏡。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007200841A (ja) * 2006-01-24 2007-08-09 Samsung Sdi Co Ltd 有機電界発光表示装置及びその製造方法
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US9004972B2 (en) 2006-01-20 2015-04-14 Samsung Display Co., Ltd. Organic light-emitting display device with frit seal and reinforcing structure

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