JPH10183399A - 線材の電解脱スケール方法及び装置 - Google Patents
線材の電解脱スケール方法及び装置Info
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- JPH10183399A JPH10183399A JP35565896A JP35565896A JPH10183399A JP H10183399 A JPH10183399 A JP H10183399A JP 35565896 A JP35565896 A JP 35565896A JP 35565896 A JP35565896 A JP 35565896A JP H10183399 A JPH10183399 A JP H10183399A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 線材加工装置から供給される線材の表面を高
能率かつ十分に清浄化するための方法及び装置を提供す
る。 【解決手段】 線材Wに巻線部Lを順次形成し、それら
巻線部Lを一方向にずらせて互いに積層した状態(ルー
プロ状態)で搬送しつつ、これを弗酸と硫酸とを含有す
る電解液21に浸漬し、電解液21中に配置された電極
24ないし25と線材Wとの間に電解液21を介して電
流を通電することにより、該線材Wの表面を電解洗浄処
理する。
能率かつ十分に清浄化するための方法及び装置を提供す
る。 【解決手段】 線材Wに巻線部Lを順次形成し、それら
巻線部Lを一方向にずらせて互いに積層した状態(ルー
プロ状態)で搬送しつつ、これを弗酸と硫酸とを含有す
る電解液21に浸漬し、電解液21中に配置された電極
24ないし25と線材Wとの間に電解液21を介して電
流を通電することにより、該線材Wの表面を電解洗浄処
理する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、線材の電解脱スケ
ール処理方法及び装置に関する。
ール処理方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、鋼線等の線材に対し、線引きや圧
延等の加工により生じたスケールや汚れ等を除去するた
めに酸洗処理が行われている。このような酸洗処理は、
図21に示すように、線材を巻き束ねてコイル110を
作り、これを吊り具105で吊り下げた状態で、酸洗処
理槽100に収容された酸洗液101に浸漬することに
より行われている。また、ステンレス鋼線材等のよう
に、形成されるスケール層が緻密で強固な場合は、コイ
ル110に対し通電することにより、電解酸洗処理が行
われる場合もある。
延等の加工により生じたスケールや汚れ等を除去するた
めに酸洗処理が行われている。このような酸洗処理は、
図21に示すように、線材を巻き束ねてコイル110を
作り、これを吊り具105で吊り下げた状態で、酸洗処
理槽100に収容された酸洗液101に浸漬することに
より行われている。また、ステンレス鋼線材等のよう
に、形成されるスケール層が緻密で強固な場合は、コイ
ル110に対し通電することにより、電解酸洗処理が行
われる場合もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述の方法において
は、圧延機等の線材加工装置から供給される線材を、一
旦コイル状に巻き取ってからバッチ処理により酸洗する
ことになるため、処理能率が悪い欠点がある。また、コ
イル状に束ねられた状態では線材に重なり部が多く生ず
るため、酸洗液が線材同士の隙間に浸透しにくく、処理
に時間がかかったり処理ムラが生じたりする問題があ
る。
は、圧延機等の線材加工装置から供給される線材を、一
旦コイル状に巻き取ってからバッチ処理により酸洗する
ことになるため、処理能率が悪い欠点がある。また、コ
イル状に束ねられた状態では線材に重なり部が多く生ず
るため、酸洗液が線材同士の隙間に浸透しにくく、処理
に時間がかかったり処理ムラが生じたりする問題があ
る。
【0004】また、熱間圧延により製造された線材をコ
イル状に束ねると、放熱が起こりにくくなってスケール
層が厚く成長するため、脱スケール処理に時間がかかり
処理効率はますます低下することとなる。また、脱スケ
ール用の電解液101としては従来、硫酸ソーダ水溶液
等の中性塩系のものが使用されてきたが、中性塩系の電
解液を使用すると処理後に線材表面が活性化して腐食を
受けやすくなるため、硝酸浴等に浸漬して線材表面に不
働態被膜を作る、いわゆる不働態化処理が別途必要とな
り、工数の増加を招く問題がある。
イル状に束ねると、放熱が起こりにくくなってスケール
層が厚く成長するため、脱スケール処理に時間がかかり
処理効率はますます低下することとなる。また、脱スケ
ール用の電解液101としては従来、硫酸ソーダ水溶液
等の中性塩系のものが使用されてきたが、中性塩系の電
解液を使用すると処理後に線材表面が活性化して腐食を
受けやすくなるため、硝酸浴等に浸漬して線材表面に不
働態被膜を作る、いわゆる不働態化処理が別途必要とな
り、工数の増加を招く問題がある。
【0005】そこで、酸洗液として上記中性塩系のもの
に代え、弗酸と硝酸との混合水溶液を用いる提案もなさ
れている。このような酸洗液を使用すれば、中性塩系の
酸洗液を用いる場合に比べて酸洗処理効率が向上し、ま
た不働態化処理も不要となる利点がある。しかしなが
ら、硝酸は窒素成分を含んでおり、これを含有した酸洗
廃液が排出されると海洋、河川あるいは湖沼が窒素によ
り富栄養化する問題がある。そのため、近年は廃液中の
窒素含有量に対する規制が強化されており、これを受け
て線材処理ラインにおいても、硝酸を含有する処理液を
なるべく使用しないですむ酸洗技術への要望が高まりつ
つある。
に代え、弗酸と硝酸との混合水溶液を用いる提案もなさ
れている。このような酸洗液を使用すれば、中性塩系の
酸洗液を用いる場合に比べて酸洗処理効率が向上し、ま
た不働態化処理も不要となる利点がある。しかしなが
ら、硝酸は窒素成分を含んでおり、これを含有した酸洗
廃液が排出されると海洋、河川あるいは湖沼が窒素によ
り富栄養化する問題がある。そのため、近年は廃液中の
窒素含有量に対する規制が強化されており、これを受け
て線材処理ラインにおいても、硝酸を含有する処理液を
なるべく使用しないですむ酸洗技術への要望が高まりつ
つある。
【0006】本発明は、硝酸を含有しない処理液を用い
て、線材加工装置から供給される線材の表面を高能率か
つ十分に清浄化できる方法及び装置を提供することにあ
る。
て、線材加工装置から供給される線材の表面を高能率か
つ十分に清浄化できる方法及び装置を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】本発明の
線材の電解脱スケール方法は、上述の課題を解決するた
めに、線材に巻線部を順次形成し、それら巻線部を一方
向にずらせて互いに積層した状態(以下、ループロ状態
という)で搬送しつつ、これを弗酸と硫酸とを含有する
電解液に浸漬し、電解液中に配置された電極と線材との
間に電解液を介して電流を通電することにより、該線材
の表面を電解脱スケール処理することを特徴とする。
線材の電解脱スケール方法は、上述の課題を解決するた
めに、線材に巻線部を順次形成し、それら巻線部を一方
向にずらせて互いに積層した状態(以下、ループロ状態
という)で搬送しつつ、これを弗酸と硫酸とを含有する
電解液に浸漬し、電解液中に配置された電極と線材との
間に電解液を介して電流を通電することにより、該線材
の表面を電解脱スケール処理することを特徴とする。
【0008】すなわち、弗酸と硫酸とを含有する電解液
中において電解脱スケール処理を施すことにより、例え
ばステンレス鋼等に形成された強固な酸化物層も速やか
に除去することができる。また、線材はループロ状態で
電解液中を搬送されながら電解脱スケール処理されるの
で、例えば圧延機等から供給される線材を直接洗浄槽へ
導いて連続処理することが可能となり、処理能率が飛躍
的に高められる。また、ループロ状態の線材は、その巻
線部が互いにずれた状態で積層されているので、コイル
等に比べて線材の重なり部が少なく処理ムラ等が生じに
くい利点も有する。さらに、電解液(酸洗液)が硝酸を
含有しないため、廃液中の窒素含有量を低減することが
でき、ひいては近年強化されつつある廃液中の窒素含有
量規制にも十分対応することができる。
中において電解脱スケール処理を施すことにより、例え
ばステンレス鋼等に形成された強固な酸化物層も速やか
に除去することができる。また、線材はループロ状態で
電解液中を搬送されながら電解脱スケール処理されるの
で、例えば圧延機等から供給される線材を直接洗浄槽へ
導いて連続処理することが可能となり、処理能率が飛躍
的に高められる。また、ループロ状態の線材は、その巻
線部が互いにずれた状態で積層されているので、コイル
等に比べて線材の重なり部が少なく処理ムラ等が生じに
くい利点も有する。さらに、電解液(酸洗液)が硝酸を
含有しないため、廃液中の窒素含有量を低減することが
でき、ひいては近年強化されつつある廃液中の窒素含有
量規制にも十分対応することができる。
【0009】上記方法においては、例えば鉄系線材を使
用する場合、線材側をカソード、電極側をアノードとし
て通電した場合、線材表面に形成されたFe系の酸化物
が還元され、これが溶解することでスケール除去が促進
される。また、本発明の方法により鉄系線材に電解脱ス
ケール処理を施すと、特に不働態化処理を行わなくとも
比較的耐食性に優れた表面状態を得ることができ、ひい
ては上述の不働態化処理を省略できる利点が生ずる。な
お、本明細書においては、電解液中に正電荷を放出する
側の電極あるいは線材部分をアノード、電解液から正電
荷を受け取る側の電極あるいは線材部分をカソードと定
義する。また、本発明でいう脱スケール処理において
は、線材表面に形成されたスケールの他、該表面に付着
した油分や汚れ等も除去できる場合がある。
用する場合、線材側をカソード、電極側をアノードとし
て通電した場合、線材表面に形成されたFe系の酸化物
が還元され、これが溶解することでスケール除去が促進
される。また、本発明の方法により鉄系線材に電解脱ス
ケール処理を施すと、特に不働態化処理を行わなくとも
比較的耐食性に優れた表面状態を得ることができ、ひい
ては上述の不働態化処理を省略できる利点が生ずる。な
お、本明細書においては、電解液中に正電荷を放出する
側の電極あるいは線材部分をアノード、電解液から正電
荷を受け取る側の電極あるいは線材部分をカソードと定
義する。また、本発明でいう脱スケール処理において
は、線材表面に形成されたスケールの他、該表面に付着
した油分や汚れ等も除去できる場合がある。
【0010】上述の電解液は、弗酸を0.5〜10重量
%、硫酸を1〜40重量%含有するものが使用すること
が望ましい。これら2成分の含有量が上述の範囲の下限
値未満となっている場合、線材表面の洗浄効果が十分に
得られなくなる。また、弗酸ないし硫酸成分が多く含有
され過ぎていると、同様に洗浄効果が十分に得られなく
なる場合があるほか、これら酸成分の含有量が極端に多
くなった場合には、酸による腐食を受けて線材の表面状
態が却って悪化する場合がある。ここで、電解液は、よ
り望ましくは弗酸を1〜5重量%、硫酸を3〜20重量
%含有するものを使用するのがよい。
%、硫酸を1〜40重量%含有するものが使用すること
が望ましい。これら2成分の含有量が上述の範囲の下限
値未満となっている場合、線材表面の洗浄効果が十分に
得られなくなる。また、弗酸ないし硫酸成分が多く含有
され過ぎていると、同様に洗浄効果が十分に得られなく
なる場合があるほか、これら酸成分の含有量が極端に多
くなった場合には、酸による腐食を受けて線材の表面状
態が却って悪化する場合がある。ここで、電解液は、よ
り望ましくは弗酸を1〜5重量%、硫酸を3〜20重量
%含有するものを使用するのがよい。
【0011】本発明が適用可能な線材は、鉄系線材であ
れば特に限定はされないが、形成されるスケールが緻密
で強固なステンレス鋼線材に対しては、特に顕著な脱ス
ケール効果を達成することができる。具体的には、日本
工業規格G4304(1987)に記載された各種ステ
ンレス鋼、例えば、SUS201、SUS202、SU
S301、SUS301J、SUS302、SUS30
2B、SUS304、SUS304L、SUS304N
1、SUS304N2、SUS304LN、SUS30
5、SUS309S、SUS310S、SUS316、
SUS316L、SUS316N、SUS316LN、
SUS316J1、SUS316J1L、SUS31
7、SUS317L、SUS317J1、SUS32
1、SUS347、SUSXM15J1等のオーステナ
イト系ステンレス鋼、SUS329J1、SUS329
J2L等のオーステナイト−フェライト系ステンレス
鋼、SUS405、SUS410L、SUS429、S
US430、SUS430LX、SUS434、SUS
436L、SUS444、SUS447J1、SUSX
M27等のフェライト系ステンレス鋼、SUS403、
SUS410、SUS410S、SUS420J1、S
US420J2、SUS429J1、SUS440A等
のマルテンサイト系ステンレス鋼、SUS631等の析
出硬化系ステンレス鋼が使用できる。
れば特に限定はされないが、形成されるスケールが緻密
で強固なステンレス鋼線材に対しては、特に顕著な脱ス
ケール効果を達成することができる。具体的には、日本
工業規格G4304(1987)に記載された各種ステ
ンレス鋼、例えば、SUS201、SUS202、SU
S301、SUS301J、SUS302、SUS30
2B、SUS304、SUS304L、SUS304N
1、SUS304N2、SUS304LN、SUS30
5、SUS309S、SUS310S、SUS316、
SUS316L、SUS316N、SUS316LN、
SUS316J1、SUS316J1L、SUS31
7、SUS317L、SUS317J1、SUS32
1、SUS347、SUSXM15J1等のオーステナ
イト系ステンレス鋼、SUS329J1、SUS329
J2L等のオーステナイト−フェライト系ステンレス
鋼、SUS405、SUS410L、SUS429、S
US430、SUS430LX、SUS434、SUS
436L、SUS444、SUS447J1、SUSX
M27等のフェライト系ステンレス鋼、SUS403、
SUS410、SUS410S、SUS420J1、S
US420J2、SUS429J1、SUS440A等
のマルテンサイト系ステンレス鋼、SUS631等の析
出硬化系ステンレス鋼が使用できる。
【0012】また、ステンレス鋼以外では、例えば日本
工業規格に規定されたMn鋼(SMn420〜44
3)、MnCr鋼(SMnC420、443)、Cr鋼
(SCr415〜445)、CrMo鋼(SCM415
〜445、822)、NiCr鋼(SNC236、41
5、631、815〜836)、NiCrMo鋼(SN
CM220、240、415、420、431〜44
7、616、625、630、815)、AlCrMo
鋼(SACM645)等の各種機械構造用合金鋼、Si
−Mn系、Cr−Mn系、Cr−V系、Cr−Mn−B
系、(以上、JISSUP3、6、7、9、9A、1
0、11A)、Si−Cr系、Cr−Mo系(以上、S
UP12、13)、Si−Cr−Mo系(ISO)の各
種ばね鋼、及び炭素クロム軸受鋼(SUJ2、3)等に
対しても本発明の電解脱スケール方法を適用することが
できる。
工業規格に規定されたMn鋼(SMn420〜44
3)、MnCr鋼(SMnC420、443)、Cr鋼
(SCr415〜445)、CrMo鋼(SCM415
〜445、822)、NiCr鋼(SNC236、41
5、631、815〜836)、NiCrMo鋼(SN
CM220、240、415、420、431〜44
7、616、625、630、815)、AlCrMo
鋼(SACM645)等の各種機械構造用合金鋼、Si
−Mn系、Cr−Mn系、Cr−V系、Cr−Mn−B
系、(以上、JISSUP3、6、7、9、9A、1
0、11A)、Si−Cr系、Cr−Mo系(以上、S
UP12、13)、Si−Cr−Mo系(ISO)の各
種ばね鋼、及び炭素クロム軸受鋼(SUJ2、3)等に
対しても本発明の電解脱スケール方法を適用することが
できる。
【0013】例えば鉄系線材の場合、圧延ないし伸線に
よる線材製造ラインからループロ状態で搬送・供給され
る線材に対し、上記電解脱スケール処理を施すことによ
り、その表面に形成されたスケール層を効果的に除去す
ることができる。ここで、熱間圧延あるいは温間圧延に
より線材を製造後、コイル状態を経由せずに直ちにルー
プロ状態とすることにより、線材の冷却速度を高めるこ
とができ、ひいては線材表面におけるスケールの成長が
抑制されるので電解脱スケール処理時間を短縮すること
ができる。この場合、熱間圧延ないし温間圧延の温度
は、線材の材質によっても異なるが、例えばステンレス
鋼の場合は800〜1400℃で行うのがよい。また、
圧延後、熱処理を施した後直ちにループロ状態とするこ
ともできる。
よる線材製造ラインからループロ状態で搬送・供給され
る線材に対し、上記電解脱スケール処理を施すことによ
り、その表面に形成されたスケール層を効果的に除去す
ることができる。ここで、熱間圧延あるいは温間圧延に
より線材を製造後、コイル状態を経由せずに直ちにルー
プロ状態とすることにより、線材の冷却速度を高めるこ
とができ、ひいては線材表面におけるスケールの成長が
抑制されるので電解脱スケール処理時間を短縮すること
ができる。この場合、熱間圧延ないし温間圧延の温度
は、線材の材質によっても異なるが、例えばステンレス
鋼の場合は800〜1400℃で行うのがよい。また、
圧延後、熱処理を施した後直ちにループロ状態とするこ
ともできる。
【0014】なお、線材を圧延により製造する場合、原
料となる被圧延材は多段の対ロールにより圧延されて断
面積が大きく縮小することから、帯状鋼を圧延で製造す
る場合と異なり、断面の急激な縮小に伴う皺が線材表面
に発生しやすい傾向にある。具体的には、図22(a)
に示すように、被圧延材Wをロール孔型200cを有す
る対ロール200a,200bで圧延すると、被圧延材
Wの表面には周方向に強い圧縮力が働き、皺Kが発生す
る要因となる。このような傾向は、圧延が多段階になる
ほど、また、一段当りの圧下率が高くなるほど顕著とな
る。一方、帯状鋼の場合は、同図(b)に示すように、
被圧延材W’は平坦なロール面を有すロール300a,
300bの間で一方向に圧縮されるので、その表面には
主に引張応力が作用し、線材圧延の場合と比較すれば上
述のような皺は生じにくいといえる。
料となる被圧延材は多段の対ロールにより圧延されて断
面積が大きく縮小することから、帯状鋼を圧延で製造す
る場合と異なり、断面の急激な縮小に伴う皺が線材表面
に発生しやすい傾向にある。具体的には、図22(a)
に示すように、被圧延材Wをロール孔型200cを有す
る対ロール200a,200bで圧延すると、被圧延材
Wの表面には周方向に強い圧縮力が働き、皺Kが発生す
る要因となる。このような傾向は、圧延が多段階になる
ほど、また、一段当りの圧下率が高くなるほど顕著とな
る。一方、帯状鋼の場合は、同図(b)に示すように、
被圧延材W’は平坦なロール面を有すロール300a,
300bの間で一方向に圧縮されるので、その表面には
主に引張応力が作用し、線材圧延の場合と比較すれば上
述のような皺は生じにくいといえる。
【0015】一方、図22(c)に示すように、ロール
孔型202を有する対ロール201a,201bで線状
の被圧延材Wを圧延した場合、被圧延材Wがロール孔型
202から対ロール201a,201bの隙間にはみ出
して、その断面両側に凸状部分Bを生ずることがある。
この凸状部分Bが生じた状態の被圧延材Wを、90°異
なる方向から別の対ロール203a,203bで圧延す
ると、凸状部分Bは被圧延材Wの本体部分に被さるよう
に潰れ、その潰れた部分の下側にも皺Kが生じやすい。
このように、圧延線材と帯状鋼とでは、皺発生の起こり
やすさが異なるため、得られる圧延材の表面状態、例え
ばスケールの形成状況には大きな差異を生ずる。具体的
には、図22(a)あるいは(c)に示すように、被圧
延材Wに皺Kが生じた場合には、その皺Kの内面に形成
されたスケール層が被圧延材Wの奥深くまで潜り込むこ
とになる。従って、圧延線材の表面の脱スケールを十分
に行うためには、該皺K内に形成されたスケールもある
程度は除去する必要性がある。
孔型202を有する対ロール201a,201bで線状
の被圧延材Wを圧延した場合、被圧延材Wがロール孔型
202から対ロール201a,201bの隙間にはみ出
して、その断面両側に凸状部分Bを生ずることがある。
この凸状部分Bが生じた状態の被圧延材Wを、90°異
なる方向から別の対ロール203a,203bで圧延す
ると、凸状部分Bは被圧延材Wの本体部分に被さるよう
に潰れ、その潰れた部分の下側にも皺Kが生じやすい。
このように、圧延線材と帯状鋼とでは、皺発生の起こり
やすさが異なるため、得られる圧延材の表面状態、例え
ばスケールの形成状況には大きな差異を生ずる。具体的
には、図22(a)あるいは(c)に示すように、被圧
延材Wに皺Kが生じた場合には、その皺Kの内面に形成
されたスケール層が被圧延材Wの奥深くまで潜り込むこ
とになる。従って、圧延線材の表面の脱スケールを十分
に行うためには、該皺K内に形成されたスケールもある
程度は除去する必要性がある。
【0016】従って、帯状鋼の場合は、上述のような皺
は生じにくいから、脱スケール後の表面粗度はそれほど
大きくならないが、圧延線材の場合は、皺Kの内部まで
脱スケール処理が施される結果、スケールが除去された
皺が溝状の凹部となって線材の表面に残留し、結果とし
てスケール除去後の表面粗度が大きくなることとなる。
そして、上記熱間圧延ないし温間圧延により製造された
ステンレス鋼線材の場合、脱スケール後の線材の表面粗
度が、日本工業規格B0601に記載の方法により測定
された表面粗度の最大高さRmaxが5〜20μmとなるよ
うに電解脱スケール条件を設定するのがよい。Rmaxが
5μm以下になると、十分な脱スケール状態が得られな
くなる場合がある。一方、Rmaxが20μmを超える
と、脱スケール後の線材にさらに伸線処理等を施す場合
に、その伸線性が悪化したり、あるいは伸線後の線材の
表面品質が低下したりする問題が生ずる場合がある。な
お、電解脱スケール条件は、脱スケール後の線材の表面
粗度の最大高さRmaxが望ましくは5〜15μm、より望
ましくは10〜15μmとなるように設定するのがよ
い。このように、電解脱スケール処理の結果として得ら
れる材料の表面粗度に上述のような望ましい範囲が存在
するのは、帯状鋼の場合と大きく異なる点でもある。
は生じにくいから、脱スケール後の表面粗度はそれほど
大きくならないが、圧延線材の場合は、皺Kの内部まで
脱スケール処理が施される結果、スケールが除去された
皺が溝状の凹部となって線材の表面に残留し、結果とし
てスケール除去後の表面粗度が大きくなることとなる。
そして、上記熱間圧延ないし温間圧延により製造された
ステンレス鋼線材の場合、脱スケール後の線材の表面粗
度が、日本工業規格B0601に記載の方法により測定
された表面粗度の最大高さRmaxが5〜20μmとなるよ
うに電解脱スケール条件を設定するのがよい。Rmaxが
5μm以下になると、十分な脱スケール状態が得られな
くなる場合がある。一方、Rmaxが20μmを超える
と、脱スケール後の線材にさらに伸線処理等を施す場合
に、その伸線性が悪化したり、あるいは伸線後の線材の
表面品質が低下したりする問題が生ずる場合がある。な
お、電解脱スケール条件は、脱スケール後の線材の表面
粗度の最大高さRmaxが望ましくは5〜15μm、より望
ましくは10〜15μmとなるように設定するのがよ
い。このように、電解脱スケール処理の結果として得ら
れる材料の表面粗度に上述のような望ましい範囲が存在
するのは、帯状鋼の場合と大きく異なる点でもある。
【0017】次に、電極は、ループロ状態で搬送される
線材に対し、その下側又は上側から対向配置される第一
の電極と、その第一の電極よりも下流側において線材に
対し、その下側又は上側から対向配置される第二の電極
のとを備えるものが使用できる。この場合、線材は、第
一の電極により所定の極性で通電された後、第二の電極
により第一の電極による通電とは逆極性で通電される。
こうすれば、線材表面においてカソード反応とアノード
反応とを交互に生じさせることができ、線材表面に形成
されたスケールを効率よく除去することができる。特に
ステンレス鋼線材の場合には、カソード反応時には鉄酸
化物が還元され、アノード反応時にはクロム酸化物が酸
化されて、各々その電解液中への溶解が促進されること
から、良好なスケール除去効果が達成される。
線材に対し、その下側又は上側から対向配置される第一
の電極と、その第一の電極よりも下流側において線材に
対し、その下側又は上側から対向配置される第二の電極
のとを備えるものが使用できる。この場合、線材は、第
一の電極により所定の極性で通電された後、第二の電極
により第一の電極による通電とは逆極性で通電される。
こうすれば、線材表面においてカソード反応とアノード
反応とを交互に生じさせることができ、線材表面に形成
されたスケールを効率よく除去することができる。特に
ステンレス鋼線材の場合には、カソード反応時には鉄酸
化物が還元され、アノード反応時にはクロム酸化物が酸
化されて、各々その電解液中への溶解が促進されること
から、良好なスケール除去効果が達成される。
【0018】次に、上述の電解脱スケール方法を実施す
るための本発明の装置は下記の要件を含んで構成される
ことを特徴とする。 電解脱スケール槽:弗酸と硫酸とを含有する電解液が
収容される。 線材搬送手段:ループロ状態の線材を、電解液中にお
いて搬送する。 電極:電解脱スケール槽内に配置され、線材との間に
電解液を介して電流を通電することにより、線材の表面
を電解脱スケール処理する。
るための本発明の装置は下記の要件を含んで構成される
ことを特徴とする。 電解脱スケール槽:弗酸と硫酸とを含有する電解液が
収容される。 線材搬送手段:ループロ状態の線材を、電解液中にお
いて搬送する。 電極:電解脱スケール槽内に配置され、線材との間に
電解液を介して電流を通電することにより、線材の表面
を電解脱スケール処理する。
【0019】上述の装置によれば、本発明の電解脱スケ
ール方法を効率よく実施することができる。
ール方法を効率よく実施することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態をいく
つかの実施例により図面を用いて説明する。 (実施例1)図1は、本発明の電解脱スケール装置を含
んで構成された線材の表面清浄化ラインの一構成例を示
すブロック図である。該表面清浄化ライン50は、圧延
装置1(又は伸線装置)で製造された線材W(本実施例
では、ステンレス鋼で構成されているものとする)をル
ープロ状態で搬送するコンベア3、溶体化処理炉4、冷
却槽5、予備洗浄槽6、電解脱スケール装置8、仕上処
理槽10、中和槽12等を備え、各槽間には水洗用のシ
ャワー槽7、9、11等が適宜配置される。
つかの実施例により図面を用いて説明する。 (実施例1)図1は、本発明の電解脱スケール装置を含
んで構成された線材の表面清浄化ラインの一構成例を示
すブロック図である。該表面清浄化ライン50は、圧延
装置1(又は伸線装置)で製造された線材W(本実施例
では、ステンレス鋼で構成されているものとする)をル
ープロ状態で搬送するコンベア3、溶体化処理炉4、冷
却槽5、予備洗浄槽6、電解脱スケール装置8、仕上処
理槽10、中和槽12等を備え、各槽間には水洗用のシ
ャワー槽7、9、11等が適宜配置される。
【0021】圧延装置1は、例えば800〜1400℃
に加熱された被圧延材を、多段の対ロールにより順次圧
延してその断面積を順次縮小させることにより線材とす
るものである。該圧延装置1により製造された線材Wは
ルーパー2により巻き取られる。ルーパー2は、例えば
図2に示すように、線材Wが上側から挿通され、その外
側下部に設けられた複数のターンロール2aを介して本
体2bの外側下部に線材Wを巻き付けることにより巻線
部Lを形成する。形成された巻線部Lはルーパ2の下側
に配置されたコンベア3上に順次落下し、そのコンベア
3の駆動に伴い互いにずれた状態で積層されてループロ
状態となる。すなわち、熱間圧延(ないし温間圧延)に
より製造された線材Wは、コイル状に巻き取られた状態
を経由することなく直接ループロ状態とされるわけであ
る。以下、線材Wは表面清浄化ライン50の全体を通じ
て、このループロ状態でコンベア3等により搬送されな
がら、一連の処理が連続的に施されることとなる。
に加熱された被圧延材を、多段の対ロールにより順次圧
延してその断面積を順次縮小させることにより線材とす
るものである。該圧延装置1により製造された線材Wは
ルーパー2により巻き取られる。ルーパー2は、例えば
図2に示すように、線材Wが上側から挿通され、その外
側下部に設けられた複数のターンロール2aを介して本
体2bの外側下部に線材Wを巻き付けることにより巻線
部Lを形成する。形成された巻線部Lはルーパ2の下側
に配置されたコンベア3上に順次落下し、そのコンベア
3の駆動に伴い互いにずれた状態で積層されてループロ
状態となる。すなわち、熱間圧延(ないし温間圧延)に
より製造された線材Wは、コイル状に巻き取られた状態
を経由することなく直接ループロ状態とされるわけであ
る。以下、線材Wは表面清浄化ライン50の全体を通じ
て、このループロ状態でコンベア3等により搬送されな
がら、一連の処理が連続的に施されることとなる。
【0022】溶体化処理炉4は、例えば線材W中の炭化
物等を固溶させて、以下の工程における線材Wの耐食性
を確保するためのものであり、処理後は線材マトリック
ス中に炭化物等が再析出しないように、冷却槽5におい
て線材Wを強制冷却する。次に、予備洗浄槽6は、線材
Wから可溶性のスケール等を予め溶解除去するために設
けられており、硫酸溶液等の酸洗液を収容する。そし
て、その下流側に本発明の洗浄装置8が配置されている
が、詳しい構成は後に説明する。電解脱スケール槽8の
さらに下流には、塩酸溶液等を収容した仕上処理槽10
が配置されており、電解脱スケール後の線材Wの表面を
仕上処理する。仕上処理後の線材Wは、さらに中和槽1
2に搬送されるとともに、そこでプレパレン溶液等(プ
レパレンは商品名)のアルカリ性水溶液で構成された中
和液に浸漬されて残留した処理液等が中和処理され、以
下の工程に回される。なお、線材Wの材質ないし性状に
応じて、溶体化処理炉4、冷却槽5、予備洗浄槽6、仕
上処理槽10、ならびにシャワー槽7及び11のうち、
それらの1ないし複数のものを適宜省略することができ
る。
物等を固溶させて、以下の工程における線材Wの耐食性
を確保するためのものであり、処理後は線材マトリック
ス中に炭化物等が再析出しないように、冷却槽5におい
て線材Wを強制冷却する。次に、予備洗浄槽6は、線材
Wから可溶性のスケール等を予め溶解除去するために設
けられており、硫酸溶液等の酸洗液を収容する。そし
て、その下流側に本発明の洗浄装置8が配置されている
が、詳しい構成は後に説明する。電解脱スケール槽8の
さらに下流には、塩酸溶液等を収容した仕上処理槽10
が配置されており、電解脱スケール後の線材Wの表面を
仕上処理する。仕上処理後の線材Wは、さらに中和槽1
2に搬送されるとともに、そこでプレパレン溶液等(プ
レパレンは商品名)のアルカリ性水溶液で構成された中
和液に浸漬されて残留した処理液等が中和処理され、以
下の工程に回される。なお、線材Wの材質ないし性状に
応じて、溶体化処理炉4、冷却槽5、予備洗浄槽6、仕
上処理槽10、ならびにシャワー槽7及び11のうち、
それらの1ないし複数のものを適宜省略することができ
る。
【0023】図3(a)は、電解脱スケール装置8の一
例を模式的に示している。すなわち、該電解脱スケール
装置8においては、電解脱スケール槽20が、電解液2
1を常時充満させておくための内槽51と、その内槽5
1からオーバーフローした電解液21を受ける外槽52
とを備え、外槽52内の電解液21は配管52aを介し
てポンプ50aにより内槽51内に戻されて循環するよ
うになっている。内槽51の内部には、搬送手段として
の複数の搬送ローラ53が所定の間隔で配置されてお
り、図示しないモータ等の駆動部により各々同方向に回
転駆動されて、ループロ状態の線材Wがその上面側で搬
送されるようになっている。
例を模式的に示している。すなわち、該電解脱スケール
装置8においては、電解脱スケール槽20が、電解液2
1を常時充満させておくための内槽51と、その内槽5
1からオーバーフローした電解液21を受ける外槽52
とを備え、外槽52内の電解液21は配管52aを介し
てポンプ50aにより内槽51内に戻されて循環するよ
うになっている。内槽51の内部には、搬送手段として
の複数の搬送ローラ53が所定の間隔で配置されてお
り、図示しないモータ等の駆動部により各々同方向に回
転駆動されて、ループロ状態の線材Wがその上面側で搬
送されるようになっている。
【0024】電解液21は、弗酸と硫酸を含有する水溶
液、例えば弗酸を0.5〜10重量%(望ましくは1〜
5重量%)、硫酸を1〜40重量%(望ましくは3〜2
0重量%)含有するものが使用されている。また、各隣
接する搬送ローラ51の間には、線材Wを電解脱スケー
ル処理するための電極24が、ループロ状態で搬送され
る線材Wに対し、それぞれその下側から対向するように
配置されている。各電極24はカーボンを主体に構成さ
れ、例えばグラファイト粉末を板状に成形して焼成した
もの等が使用されているが、それ以外の材質のもの、例
えば白金やパラジウム等の貴金属あるいは、板状の基材
をそれら貴金属で被覆したものも使用可能である。
液、例えば弗酸を0.5〜10重量%(望ましくは1〜
5重量%)、硫酸を1〜40重量%(望ましくは3〜2
0重量%)含有するものが使用されている。また、各隣
接する搬送ローラ51の間には、線材Wを電解脱スケー
ル処理するための電極24が、ループロ状態で搬送され
る線材Wに対し、それぞれその下側から対向するように
配置されている。各電極24はカーボンを主体に構成さ
れ、例えばグラファイト粉末を板状に成形して焼成した
もの等が使用されているが、それ以外の材質のもの、例
えば白金やパラジウム等の貴金属あるいは、板状の基材
をそれら貴金属で被覆したものも使用可能である。
【0025】ここで電極24は、線材Wの搬送方向にお
いて互いに隣接するもの同士24a,24bが対をな
し、各対が個別の直流電源47に対し、その上流側のも
の(第一の電極)24aが負極側に、下流側のもの(第
二の電極)24bが正極側にそれぞれ接続されている。
線材Wはこれら電極24により、第一の電極24aと対
向する位置においてはカソードとなり、同じく第二の電
極24bと対向する位置においてはアノードとなるよう
に、交互に通電方向が変化しながら通電されることとな
る。なお、電極24a,24bの電源47に対する接続
の極性は、上記と逆であってもよい。
いて互いに隣接するもの同士24a,24bが対をな
し、各対が個別の直流電源47に対し、その上流側のも
の(第一の電極)24aが負極側に、下流側のもの(第
二の電極)24bが正極側にそれぞれ接続されている。
線材Wはこれら電極24により、第一の電極24aと対
向する位置においてはカソードとなり、同じく第二の電
極24bと対向する位置においてはアノードとなるよう
に、交互に通電方向が変化しながら通電されることとな
る。なお、電極24a,24bの電源47に対する接続
の極性は、上記と逆であってもよい。
【0026】以下、電解脱スケール装置8の作用につい
て説明する。図1において、コンベア3によりループロ
状態で搬送されてくる線材Wは、図3に示すように搬送
ローラ53に受け渡され、電解脱スケール槽20内の電
解液21に浸漬される。すると、前述の通り線材Wは、
第一の電極24aと対向する位置においてはカソードと
なり、同じく第二の電極24bと対向する位置において
はアノードとなるように、交互に通電方向が変化しなが
ら通電されて、表面に形成されたスケールが除去されて
ゆく。そのスケール除去反応は、以下のような機構に基
づいて進行するものと推測される。すなわち、線材Wが
第一の電極24aを通過する際には、ステンレス鋼で構
成された線材Wの表面においては、下記化1に示すアノ
ード酸化反応が起こるものと考えられる。
て説明する。図1において、コンベア3によりループロ
状態で搬送されてくる線材Wは、図3に示すように搬送
ローラ53に受け渡され、電解脱スケール槽20内の電
解液21に浸漬される。すると、前述の通り線材Wは、
第一の電極24aと対向する位置においてはカソードと
なり、同じく第二の電極24bと対向する位置において
はアノードとなるように、交互に通電方向が変化しなが
ら通電されて、表面に形成されたスケールが除去されて
ゆく。そのスケール除去反応は、以下のような機構に基
づいて進行するものと推測される。すなわち、線材Wが
第一の電極24aを通過する際には、ステンレス鋼で構
成された線材Wの表面においては、下記化1に示すアノ
ード酸化反応が起こるものと考えられる。
【0027】
【化1】
【0028】すなわち、熱間圧延により製造されたステ
ンレス鋼線材の表面には、酸に難溶性のクロム酸化物
(Cr2O3)を含有する強固なスケール層が形成されて
いるが、上記化1に示す反応式に基づいてアノード酸化
反応による加水分解が起こることにより、これが酸に可
溶のクロム酸成分(あるいは重クロム酸成分)に転化し
て、その溶解除去が促進される。一方、第二の電極24
bを通過する際には、下記化2に示すカソード還元反応
が起こるものと考えられる。
ンレス鋼線材の表面には、酸に難溶性のクロム酸化物
(Cr2O3)を含有する強固なスケール層が形成されて
いるが、上記化1に示す反応式に基づいてアノード酸化
反応による加水分解が起こることにより、これが酸に可
溶のクロム酸成分(あるいは重クロム酸成分)に転化し
て、その溶解除去が促進される。一方、第二の電極24
bを通過する際には、下記化2に示すカソード還元反応
が起こるものと考えられる。
【0029】
【化2】
【0030】この場合は、スケール中の鉄イオンがカソ
ード還元反応により還元されてその溶解が促進され、ス
ケールの主成分となる鉄の酸化物が除去される。こうし
て、線材Wの表面ではアノード酸化反応とカソード還元
反応とが交互に起こってスケール除去が進行してゆくも
のと考えられる。なお、図3の電解脱スケール装置8に
おいては線材Wに対するスケール除去反応は、一見電極
24との対向面側で優先的に進むようにも思われるが、
実際は電解液の電気抵抗が十分小さい限り、反応を媒介
するイオンが電極と対向していない線材Wの裏側にも回
り込むので、アノード酸化反応及びカソード還元反応の
いずれにおいても、スケール除去反応は支障なく進行す
る。
ード還元反応により還元されてその溶解が促進され、ス
ケールの主成分となる鉄の酸化物が除去される。こうし
て、線材Wの表面ではアノード酸化反応とカソード還元
反応とが交互に起こってスケール除去が進行してゆくも
のと考えられる。なお、図3の電解脱スケール装置8に
おいては線材Wに対するスケール除去反応は、一見電極
24との対向面側で優先的に進むようにも思われるが、
実際は電解液の電気抵抗が十分小さい限り、反応を媒介
するイオンが電極と対向していない線材Wの裏側にも回
り込むので、アノード酸化反応及びカソード還元反応の
いずれにおいても、スケール除去反応は支障なく進行す
る。
【0031】ここで、上記電極24と線材Wとの間で通
電される電流の電流密度は1A/dm2以上、望ましく
は5A/dm2以上に設定することで、上述の電解脱ス
ケール効果が高められる。なお、電流密度を50A/d
m2より大きく設定しても、水素もしくは酸素の発生量
が大きくなるのみで、脱スケール速度は余り変化しない
ので、電流密度はそれ以下の範囲、より望ましくは30
A/dm2以下の範囲で設定するのがよい。
電される電流の電流密度は1A/dm2以上、望ましく
は5A/dm2以上に設定することで、上述の電解脱ス
ケール効果が高められる。なお、電流密度を50A/d
m2より大きく設定しても、水素もしくは酸素の発生量
が大きくなるのみで、脱スケール速度は余り変化しない
ので、電流密度はそれ以下の範囲、より望ましくは30
A/dm2以下の範囲で設定するのがよい。
【0032】ここで、線材Wは前述の通り熱間圧延で製
造されるが、この場合、図4(a)に示すように、原料
となる被圧延材Pは多段の対ロールにより圧延されて断
面積が大きく縮小することから、同図(b)に示すよう
に、断面の急激な縮小に伴う皺WRが線材表面に発生し
やすい傾向にある。この点が、熱間圧延により帯状鋼を
製造する場合と大きく異なる点であり、従って、線材W
の表面の脱スケールを十分に行うためには、そのような
皺WR内に形成されたスケールSRもある程度は除去す
る必要性がある。この場合、スケールSRが除去された
皺WRは溝状の凹部Gとなって線材の表面に残留し、結
果としてスケール除去後の線材Wの表面粗度は大きくな
る。そして、この表面粗度が伸線性及び伸線後の表面品
質に大きく影響することがわかっており、例えば線材W
がステンレス鋼線材の場合、脱スケール後の線材の表面
粗度の最大高さRmaxが5〜20μm、望ましくは5〜1
5μm、より望ましくは10〜15μmとなるように電解
脱スケール条件を設定するのがよい。
造されるが、この場合、図4(a)に示すように、原料
となる被圧延材Pは多段の対ロールにより圧延されて断
面積が大きく縮小することから、同図(b)に示すよう
に、断面の急激な縮小に伴う皺WRが線材表面に発生し
やすい傾向にある。この点が、熱間圧延により帯状鋼を
製造する場合と大きく異なる点であり、従って、線材W
の表面の脱スケールを十分に行うためには、そのような
皺WR内に形成されたスケールSRもある程度は除去す
る必要性がある。この場合、スケールSRが除去された
皺WRは溝状の凹部Gとなって線材の表面に残留し、結
果としてスケール除去後の線材Wの表面粗度は大きくな
る。そして、この表面粗度が伸線性及び伸線後の表面品
質に大きく影響することがわかっており、例えば線材W
がステンレス鋼線材の場合、脱スケール後の線材の表面
粗度の最大高さRmaxが5〜20μm、望ましくは5〜1
5μm、より望ましくは10〜15μmとなるように電解
脱スケール条件を設定するのがよい。
【0033】なお、図3(b)に示すように、電解脱ス
ケール槽20は、線材Wの搬送方向に配列する2つの内
槽51a,51bを有するものとして構成してもよい。
この場合、第一の内槽51a内に配置された電極24a
を第一の電極として、これらをすべて電源47の正極及
び負極の一方に接続し、他方第二の内槽51b内の電極
24bを第二の電極としてこれらを電源47の他方の極
に接続する構成としてもよい。この場合、第一の内槽5
1a内ではアノード酸化反応又はカソード還元反応の一
方のみが進行し、第二の内槽51b内ではそれらの他方
のみが進行する形となる。
ケール槽20は、線材Wの搬送方向に配列する2つの内
槽51a,51bを有するものとして構成してもよい。
この場合、第一の内槽51a内に配置された電極24a
を第一の電極として、これらをすべて電源47の正極及
び負極の一方に接続し、他方第二の内槽51b内の電極
24bを第二の電極としてこれらを電源47の他方の極
に接続する構成としてもよい。この場合、第一の内槽5
1a内ではアノード酸化反応又はカソード還元反応の一
方のみが進行し、第二の内槽51b内ではそれらの他方
のみが進行する形となる。
【0034】また、図5に示すように、線材Wに接触す
る搬送ローラの一部をカーボン等の導電性材料構成して
ローラー接点部54とし、これを電源47の一方の極に
接続する一方、電極24をすべて他方の極に接続する構
成も可能である。この場合、通電の極性を、電源47に
接続された極性反転制御部36により所定の周期で反転
させるようにすれば、電解脱スケール槽20内ではアノ
ード酸化反応とカソード還元反応とが交互に進行して、
同様の電解脱スケール処理を行うことができる。なお、
スケール層がの大部分が酸化鉄のみで構成されている場
合など、カソード還元反応だけでも十分な脱スケール効
果が得られる場合には、極性反転を行わず、電極24側
が正、ローラー接点部54(すなわち線材W側)が負と
なるように、常に一定の極性で通電を行うようにしても
よい。
る搬送ローラの一部をカーボン等の導電性材料構成して
ローラー接点部54とし、これを電源47の一方の極に
接続する一方、電極24をすべて他方の極に接続する構
成も可能である。この場合、通電の極性を、電源47に
接続された極性反転制御部36により所定の周期で反転
させるようにすれば、電解脱スケール槽20内ではアノ
ード酸化反応とカソード還元反応とが交互に進行して、
同様の電解脱スケール処理を行うことができる。なお、
スケール層がの大部分が酸化鉄のみで構成されている場
合など、カソード還元反応だけでも十分な脱スケール効
果が得られる場合には、極性反転を行わず、電極24側
が正、ローラー接点部54(すなわち線材W側)が負と
なるように、常に一定の極性で通電を行うようにしても
よい。
【0035】一方、図3(a)及び(b)の場合のよう
に、電極24の一部(例えば第一の電極24a)を正、
残り(例えば第二の電極24b)を負として、カソード
還元反応用の電極とアノード酸化反応用の電極とで役割
を振り分ける場合においても、極性反転制御部36によ
り通電の極性(すなわち、通電方向)を所定の周期で反
転させる構成が可能である。これにより、線材Wに対す
る電解脱スケール効果を一層高めることができる。な
お、このような効果をより顕著に得るためには、通電方
向の反転の頻度を0.1〜70回/秒に設定するのがよ
く、さらに望ましくは0.2〜30回/秒とするのがよ
い。
に、電極24の一部(例えば第一の電極24a)を正、
残り(例えば第二の電極24b)を負として、カソード
還元反応用の電極とアノード酸化反応用の電極とで役割
を振り分ける場合においても、極性反転制御部36によ
り通電の極性(すなわち、通電方向)を所定の周期で反
転させる構成が可能である。これにより、線材Wに対す
る電解脱スケール効果を一層高めることができる。な
お、このような効果をより顕著に得るためには、通電方
向の反転の頻度を0.1〜70回/秒に設定するのがよ
く、さらに望ましくは0.2〜30回/秒とするのがよ
い。
【0036】上述のような通電方向の反転により電解脱
スケール効果が高められる原因については、次のような
機構が推定される。まず、線材W側がカソードとなって
Fe酸化物の還元反応が起こる際には、これと同時に起
こる前述の加水分解反応(あるいは水の電気分解反応)
により生成した水素ガスが、スケール層に形成されたク
ラック等からその内部に浸透する一方、通電方向が反転
して線材W側がアノードとなった場合には、その浸透し
た水素ガスがスケール層から急速に放出される。一方、
これとは逆に、線材W側がアノードとなった場合には、
酸素が発生してこれがスケール層に浸透し、極性反転に
伴いこれが急速に放出されることとなる。すなわち、極
性が反転する毎に、水素及び酸素のスケール層に対する
浸透・放出が交互に繰り返され、その衝撃によってスケ
ール層の破壊・脱落が促進されるものと考えられる。
スケール効果が高められる原因については、次のような
機構が推定される。まず、線材W側がカソードとなって
Fe酸化物の還元反応が起こる際には、これと同時に起
こる前述の加水分解反応(あるいは水の電気分解反応)
により生成した水素ガスが、スケール層に形成されたク
ラック等からその内部に浸透する一方、通電方向が反転
して線材W側がアノードとなった場合には、その浸透し
た水素ガスがスケール層から急速に放出される。一方、
これとは逆に、線材W側がアノードとなった場合には、
酸素が発生してこれがスケール層に浸透し、極性反転に
伴いこれが急速に放出されることとなる。すなわち、極
性が反転する毎に、水素及び酸素のスケール層に対する
浸透・放出が交互に繰り返され、その衝撃によってスケ
ール層の破壊・脱落が促進されるものと考えられる。
【0037】上記構成において極性反転制御部36は、
例えば公知の方形波インバータ回路等で構成することが
でき、電流の通電方向を方形波状に切り換えることがで
きる。この場合、その切り換えパターンは、正方向通電
時と逆方向通電時とで最大電流の絶対値及び通電時間が
ほぼ等しくなるように設定することができる。一方、例
えば図6に示すように、第一の電極24aがアノードと
なった状態を順方向、これとは逆極性となった状態を逆
方向として、順方向となる時間t0が逆方向となる時間
t1と同じか又はそれよりも長くなるように設定する
と、上述の効果をさらに顕著に得ることができる場合が
ある。具体的にはt0はt1の1〜5倍程度、より望まし
くは1〜3倍程度に設定するのがよい。また、順方向通
電時における最大電流の絶対値Imaxが、逆方向通電時
の最大電流の絶対値Iminよりも小さくなると、線材W
側がカソードとなった場合に電解液中の不純物成分が線
材Wの表面に堆積してこれを汚染することがあるので、
Imax>Iminとなるように設定することが望ましい。ま
た、通電方向の反転は、図7に示すように正弦波状に切
り換えることもできる。
例えば公知の方形波インバータ回路等で構成することが
でき、電流の通電方向を方形波状に切り換えることがで
きる。この場合、その切り換えパターンは、正方向通電
時と逆方向通電時とで最大電流の絶対値及び通電時間が
ほぼ等しくなるように設定することができる。一方、例
えば図6に示すように、第一の電極24aがアノードと
なった状態を順方向、これとは逆極性となった状態を逆
方向として、順方向となる時間t0が逆方向となる時間
t1と同じか又はそれよりも長くなるように設定する
と、上述の効果をさらに顕著に得ることができる場合が
ある。具体的にはt0はt1の1〜5倍程度、より望まし
くは1〜3倍程度に設定するのがよい。また、順方向通
電時における最大電流の絶対値Imaxが、逆方向通電時
の最大電流の絶対値Iminよりも小さくなると、線材W
側がカソードとなった場合に電解液中の不純物成分が線
材Wの表面に堆積してこれを汚染することがあるので、
Imax>Iminとなるように設定することが望ましい。ま
た、通電方向の反転は、図7に示すように正弦波状に切
り換えることもできる。
【0038】(実施例2)図8は、電解脱スケール装置
8の別の実施例を模式的に示している。すなわち、電解
脱スケール装置8は、横長箱状に形成されて電解液21
を収容する電解脱スケール槽20、ループロ状態の線材
Wを電解脱スケール槽20内に搬入する搬入側コンベア
22、線材Wを電解液21中で搬送する線材搬送手段と
しての処理用コンベア23、線材Wを電解脱スケール処
理するための電極24及び25、さらに処理後の線材W
を電解脱スケール槽20から搬出する搬出側コンベア2
6等を備えている。電解脱スケール槽20の上側にはカ
バー体40が設けられており、その側面には窓41が形
成されている。また、42は、電解脱スケール槽20内
で発生した蒸気等を排出するためのダクトである。
8の別の実施例を模式的に示している。すなわち、電解
脱スケール装置8は、横長箱状に形成されて電解液21
を収容する電解脱スケール槽20、ループロ状態の線材
Wを電解脱スケール槽20内に搬入する搬入側コンベア
22、線材Wを電解液21中で搬送する線材搬送手段と
しての処理用コンベア23、線材Wを電解脱スケール処
理するための電極24及び25、さらに処理後の線材W
を電解脱スケール槽20から搬出する搬出側コンベア2
6等を備えている。電解脱スケール槽20の上側にはカ
バー体40が設けられており、その側面には窓41が形
成されている。また、42は、電解脱スケール槽20内
で発生した蒸気等を排出するためのダクトである。
【0039】処理用コンベア23及び搬出側コンベア2
6は、図9に示すように、並列に配置された複数の回転
部材27〜29に対し、長尺かつ可橈性を有する搬送部
材30及び31を巻き懸けて、それら回転部材27〜2
9の少なくとも一部のものを回転駆動することにより、
上記搬送部材30及び31を周回移動させるとともに、
その搬送部材30及び31の周回経路の上面側におい
て、該搬送部材30及び31にループロ状の線材Wを載
置し、これを搬送する方式のものが使用されている。
6は、図9に示すように、並列に配置された複数の回転
部材27〜29に対し、長尺かつ可橈性を有する搬送部
材30及び31を巻き懸けて、それら回転部材27〜2
9の少なくとも一部のものを回転駆動することにより、
上記搬送部材30及び31を周回移動させるとともに、
その搬送部材30及び31の周回経路の上面側におい
て、該搬送部材30及び31にループロ状の線材Wを載
置し、これを搬送する方式のものが使用されている。
【0040】ここで、処理用コンベア23は、より具体
的には図9に示すように、その回転部材28及び29
が、電解脱スケール槽20の幅方向に沿って並んで配置
された複数(例えば2本)の回転軸28a及び29a
と、それら回転軸28a及び29aの軸方向に沿って所
定の間隔で配置され、かつ回転軸28a及び29aと一
体回転可能な複数のスプロケット28b及び29bを備
えており、それらスプロケット28b及び29bに対し
搬送部材31としてのチェーンがそれぞれ巻き懸けられ
ている。これにより、処理用コンベア23は、搬送面が
液通となるように構成されることとなる。
的には図9に示すように、その回転部材28及び29
が、電解脱スケール槽20の幅方向に沿って並んで配置
された複数(例えば2本)の回転軸28a及び29a
と、それら回転軸28a及び29aの軸方向に沿って所
定の間隔で配置され、かつ回転軸28a及び29aと一
体回転可能な複数のスプロケット28b及び29bを備
えており、それらスプロケット28b及び29bに対し
搬送部材31としてのチェーンがそれぞれ巻き懸けられ
ている。これにより、処理用コンベア23は、搬送面が
液通となるように構成されることとなる。
【0041】一方、搬出側コンベア26も処理用コンベ
ア23と同様に構成されており、処理用コンベア23と
共通の回転部材28と、これとは別の回転部材27との
間に、搬送部材30としての複数のチェーンが巻き懸け
られて、線材Wの搬送方向において上り勾配となるよう
に構成されている。搬送部材30は、回転部材27に設
けられたスプロケット27bと、処理用コンベア23用
のスプロケット28bとの干渉を避けつつ回転部材28
に設けられた別のスプロケット28cとの間に懸け回さ
れている。そして、その回転部材27が駆動用モータ3
2により駆動されることにより、処理用コンベア23と
互いに連動して作動するようになっている。
ア23と同様に構成されており、処理用コンベア23と
共通の回転部材28と、これとは別の回転部材27との
間に、搬送部材30としての複数のチェーンが巻き懸け
られて、線材Wの搬送方向において上り勾配となるよう
に構成されている。搬送部材30は、回転部材27に設
けられたスプロケット27bと、処理用コンベア23用
のスプロケット28bとの干渉を避けつつ回転部材28
に設けられた別のスプロケット28cとの間に懸け回さ
れている。そして、その回転部材27が駆動用モータ3
2により駆動されることにより、処理用コンベア23と
互いに連動して作動するようになっている。
【0042】一方、電極24及び25は、電解脱スケー
ル槽20の幅方向に沿って延びる板状に形成されるとと
もに、図10に示すように、上記チェーン31の周回経
路の上側部、すなわち処理用コンベア23の搬送路を挟
んで、上側のもの25と下側のもの24とが対をなして
互いに対向するように配置されており、その対が上記搬
送方向に沿って複数設けられている。ここで、電極24
及び25はカーボンを主体に構成され、例えばグラファ
イト粉末を板状に成形して焼成したもの等が使用されて
いるが、それ以外の材質のもの、例えば白金やパラジウ
ム等の貴金属あるいは、板状の基材をそれら貴金属で被
覆したものも使用可能である。
ル槽20の幅方向に沿って延びる板状に形成されるとと
もに、図10に示すように、上記チェーン31の周回経
路の上側部、すなわち処理用コンベア23の搬送路を挟
んで、上側のもの25と下側のもの24とが対をなして
互いに対向するように配置されており、その対が上記搬
送方向に沿って複数設けられている。ここで、電極24
及び25はカーボンを主体に構成され、例えばグラファ
イト粉末を板状に成形して焼成したもの等が使用されて
いるが、それ以外の材質のもの、例えば白金やパラジウ
ム等の貴金属あるいは、板状の基材をそれら貴金属で被
覆したものも使用可能である。
【0043】図11及び図12は、上記対をなす電極2
4及び25の電解脱スケール槽20に対する取付方法の
具体例を示している。すなわち、各電極24及び25
は、その両端部に対応して設けられた支持部材33及び
34により、それぞれ定められた高さに懸垂状態で支持
されるようになっている。具体的には各支持部材33及
び34は、図12に示すように、一方の端部側に形成さ
れた係止部33b及び34bにおいて、電解処理槽20
の上縁部に係止され、図11に示すように、他端側が電
解処理槽20の内側に垂下し、その末端部に形成された
支持部33a及び34aにおいて電極25及び24をそ
れぞれ下側から支持するとともに、その支持部33aな
いし34aを含めて電解液21中に浸漬されている部分
が、樹脂等の絶縁被覆体33c及び34cにより被覆・
絶縁されている。ここで、各支持部材33及び34の垂
下長さを変更することで、各電極25及び24の支持高
さを調整することができる。また、図12に示すよう
に、支持部材33又は34は、いずれか一方のものを、
電極24又は25の線材Wの搬送方向における両側縁部
に寄せた形で2本設け、他方のものをそれらの間に配置
することで両者の間の干渉を回避することができ、上下
の電極25及び24を互いに正対した状態で支持するこ
とが可能となる。
4及び25の電解脱スケール槽20に対する取付方法の
具体例を示している。すなわち、各電極24及び25
は、その両端部に対応して設けられた支持部材33及び
34により、それぞれ定められた高さに懸垂状態で支持
されるようになっている。具体的には各支持部材33及
び34は、図12に示すように、一方の端部側に形成さ
れた係止部33b及び34bにおいて、電解処理槽20
の上縁部に係止され、図11に示すように、他端側が電
解処理槽20の内側に垂下し、その末端部に形成された
支持部33a及び34aにおいて電極25及び24をそ
れぞれ下側から支持するとともに、その支持部33aな
いし34aを含めて電解液21中に浸漬されている部分
が、樹脂等の絶縁被覆体33c及び34cにより被覆・
絶縁されている。ここで、各支持部材33及び34の垂
下長さを変更することで、各電極25及び24の支持高
さを調整することができる。また、図12に示すよう
に、支持部材33又は34は、いずれか一方のものを、
電極24又は25の線材Wの搬送方向における両側縁部
に寄せた形で2本設け、他方のものをそれらの間に配置
することで両者の間の干渉を回避することができ、上下
の電極25及び24を互いに正対した状態で支持するこ
とが可能となる。
【0044】次に、図10に示すように、各電極24及
び25は極性反転制御部36を介して直流電源装置35
に接続されている。
び25は極性反転制御部36を介して直流電源装置35
に接続されている。
【0045】以下、実施例2の電解脱スケール装置8の
作用について説明する。図8において、搬入側コンベア
22により、予備洗浄槽6(図1)側からループロ状態
で搬送されてくる線材Wは、その巻線部Lが電解脱スケ
ール槽20内の処理用コンベア23上に順次自由落下し
て電解液21に浸漬される。落下後の線材Wは処理用コ
ンベア23上で再びループロ状態となって電極24及び
25の間を搬送される。このとき、図13に示すよう
に、上記電極24及び25の一方の側から他方の側へ線
材Wを介して電流が通電される。これにより、線材W
は、アノードとなる電極側(図13では下側の電極24
側)においてはカソード還元反応が、カソードとなる電
極側(図13では上側の電極25側)においてはアノー
ド酸化反応が同時に進行することとなる。なお、処理用
コンベア23の搬送部材30は前述の通りチェーンで形
成されており、その搬送路が液通になっていることか
ら、電極24及び25間の通電が妨げられることがな
い。
作用について説明する。図8において、搬入側コンベア
22により、予備洗浄槽6(図1)側からループロ状態
で搬送されてくる線材Wは、その巻線部Lが電解脱スケ
ール槽20内の処理用コンベア23上に順次自由落下し
て電解液21に浸漬される。落下後の線材Wは処理用コ
ンベア23上で再びループロ状態となって電極24及び
25の間を搬送される。このとき、図13に示すよう
に、上記電極24及び25の一方の側から他方の側へ線
材Wを介して電流が通電される。これにより、線材W
は、アノードとなる電極側(図13では下側の電極24
側)においてはカソード還元反応が、カソードとなる電
極側(図13では上側の電極25側)においてはアノー
ド酸化反応が同時に進行することとなる。なお、処理用
コンベア23の搬送部材30は前述の通りチェーンで形
成されており、その搬送路が液通になっていることか
ら、電極24及び25間の通電が妨げられることがな
い。
【0046】なお、図14に示すように、同じ電解脱ス
ケール槽20内において各電極24及び25を、上流側
の所定枚数のものと残余の下流側のものとの間で互いに
逆極性となるように電源装置35に接続しておけば、線
材Wの上下の面を1台の電解脱スケール槽20により均
一に電解脱スケール処理することができる。このほか、
図15に示すように、線材Wの搬送方向において互いに
隣接するもの同士の間で、電極24及び25の極性が互
いに反転するように接続する方法、さらには図16に示
すように、線材Wの搬送方向において電極24ないし2
5を予め定められた枚数の組に分割し、それら各組の中
では互いに隣接する電極同士の極性関係が同じとなり、
隣接する組の間では極性関係が互いに逆となるように接
続する方法によっても同様の効果を得ることができる。
ケール槽20内において各電極24及び25を、上流側
の所定枚数のものと残余の下流側のものとの間で互いに
逆極性となるように電源装置35に接続しておけば、線
材Wの上下の面を1台の電解脱スケール槽20により均
一に電解脱スケール処理することができる。このほか、
図15に示すように、線材Wの搬送方向において互いに
隣接するもの同士の間で、電極24及び25の極性が互
いに反転するように接続する方法、さらには図16に示
すように、線材Wの搬送方向において電極24ないし2
5を予め定められた枚数の組に分割し、それら各組の中
では互いに隣接する電極同士の極性関係が同じとなり、
隣接する組の間では極性関係が互いに逆となるように接
続する方法によっても同様の効果を得ることができる。
【0047】また、上記電解脱スケール装置8において
も極性反転制御部36により、上下の電極24及び25
の各対の間で、電流の通電方向を所定の周期で反転させ
ることができる。具体的には、線材Wの搬送方向に複数
配置された電極25及び24の各対において、その極性
関係が全て同じになるように配置されている場合、すな
わち図17(a)に示すように、線材Wを挟んで上側が
全てアノード、下側が全てカソードとなるように配置さ
れている場合は、同図(b)に示すように、下側が全て
アノード、上側が全てカソードとなる状態との間で通電
方向の切り換えを行うことができる。また、図18
(a)に示すように、電極24及び25の各対の極性関
係が交互に逆となるように配列されている場合には、同
図(b)に示すように、各対毎にそのアノードとカソー
ドの位置関係が反転するように通電方向の切り換えを行
うことができる。
も極性反転制御部36により、上下の電極24及び25
の各対の間で、電流の通電方向を所定の周期で反転させ
ることができる。具体的には、線材Wの搬送方向に複数
配置された電極25及び24の各対において、その極性
関係が全て同じになるように配置されている場合、すな
わち図17(a)に示すように、線材Wを挟んで上側が
全てアノード、下側が全てカソードとなるように配置さ
れている場合は、同図(b)に示すように、下側が全て
アノード、上側が全てカソードとなる状態との間で通電
方向の切り換えを行うことができる。また、図18
(a)に示すように、電極24及び25の各対の極性関
係が交互に逆となるように配列されている場合には、同
図(b)に示すように、各対毎にそのアノードとカソー
ドの位置関係が反転するように通電方向の切り換えを行
うことができる。
【0048】次に、図19に示す例においては、電解液
中21において、ループロ状態で搬送される線材Wに対
し、これを上下に挟んで互いに対をなす電極24及び2
5が、線材Wの搬送方向に沿って複数組配列されてい
る。そして、対をなす電極24及び25の極性は、それ
ら同士の間で同極性となり、線材Wに沿った配列方向に
おいて、交互に反転するように設定されている。このよ
うな極性設定は、例えば線材Wに関して上側に位置する
電極24の互いに隣合うもの同士の組、及び下側に位置
する電極25の互いに隣合うもの同士の組に対し、それ
ぞれ直流電源47を配し、各組毎にその隣合う電極を、
対応する直流電源47の異なる電極端子に接続すること
により可能となる。
中21において、ループロ状態で搬送される線材Wに対
し、これを上下に挟んで互いに対をなす電極24及び2
5が、線材Wの搬送方向に沿って複数組配列されてい
る。そして、対をなす電極24及び25の極性は、それ
ら同士の間で同極性となり、線材Wに沿った配列方向に
おいて、交互に反転するように設定されている。このよ
うな極性設定は、例えば線材Wに関して上側に位置する
電極24の互いに隣合うもの同士の組、及び下側に位置
する電極25の互いに隣合うもの同士の組に対し、それ
ぞれ直流電源47を配し、各組毎にその隣合う電極を、
対応する直流電源47の異なる電極端子に接続すること
により可能となる。
【0049】そして、電解液21中における通電経路
は、図19に破線で示すように、アノード側の電極から
線材Wに向かう部分、次に線材Wに沿って流れる部分
、さらに線材Wから上記電極と隣合う電極(すなわち
カソード側)へ向かう部分の3部分からなるものが、
線材Wの上下に形成されるものと推定される。この場
合、線材Wを挟んで両側に配置された電極24及び25
が互いに同極性に設定されるので、線材Wの両側で常に
同じ反応が起こることとなり、線材Wの全面を均一に脱
スケール処理することができる。なお、電極24及び2
5から線材W側へ向かう通電効率(あるいはその逆)を
向上させるために、線材Wの同じ側に配列された電極
の、互いに隣接するもの同士の間に、プラスチック等の
絶縁体で構成された仕切り板48を配置することができ
る。
は、図19に破線で示すように、アノード側の電極から
線材Wに向かう部分、次に線材Wに沿って流れる部分
、さらに線材Wから上記電極と隣合う電極(すなわち
カソード側)へ向かう部分の3部分からなるものが、
線材Wの上下に形成されるものと推定される。この場
合、線材Wを挟んで両側に配置された電極24及び25
が互いに同極性に設定されるので、線材Wの両側で常に
同じ反応が起こることとなり、線材Wの全面を均一に脱
スケール処理することができる。なお、電極24及び2
5から線材W側へ向かう通電効率(あるいはその逆)を
向上させるために、線材Wの同じ側に配列された電極
の、互いに隣接するもの同士の間に、プラスチック等の
絶縁体で構成された仕切り板48を配置することができ
る。
【0050】ここで、各直流電源47に極性反転機構3
6を設けることにより、互いに隣接する電極同士の間で
その通電の極性を所定の周期で反転させれば、それに伴
い各電極24及び25と線材Wとの間の通電方向も同周
期で反転するので、脱スケール効果を向上させることが
できる。この場合、隣合う電極の特定の側がアノードと
なった状態を順方向、これとは逆極性となった状態を逆
方向として、順方向となる時間t0が逆方向となる時間
t1と同じか又はそれよりも長くなるように設定すれ
ば、脱スケール効果が一層顕著となる。
6を設けることにより、互いに隣接する電極同士の間で
その通電の極性を所定の周期で反転させれば、それに伴
い各電極24及び25と線材Wとの間の通電方向も同周
期で反転するので、脱スケール効果を向上させることが
できる。この場合、隣合う電極の特定の側がアノードと
なった状態を順方向、これとは逆極性となった状態を逆
方向として、順方向となる時間t0が逆方向となる時間
t1と同じか又はそれよりも長くなるように設定すれ
ば、脱スケール効果が一層顕著となる。
【0051】一方、線材Wを挟んで上下に対をなす電極
24及び25の間において、該線材Wを搬送しつつそれ
ら電極24及び25と線材Wとの間で通電することによ
り、線材Wの表面を脱スケール処理する方法において
は、該搬送方向において隣接する電極対の極性設定を交
互に又は所定の枚数毎に反転させておけば、線材Wに対
する通電方向が線材Wの搬送速度に応じた周期で反転
し、結果的には、電源の極性反転を行ったのと同じ効果
が達成される場合がある。この場合、各電極対における
上下の電極24及び25の極性は、図20(a)に示す
ように互いに同じであっても、同図(b)に示すように
互いに異なるものであってもいずれでもよい。また、例
えば、極性設定が互いに同じとされた複数組の第一の電
極対45と、それよりも少数(例えば1組)かつ極性設
定が逆の第二の電極対46とを交互に配列しておけば、
第一の電極対45による通電時間を第二の電極対46に
よる通電時間よりも長くすることができ、順方向通電と
逆方向通電との時間に差を付けた場合と同様の効果を達
成することができる。ここで、第一の電極対45に含ま
れる電極24及び25の線材Wの搬送方向における長さ
を第二の電極対45に含まれる電極24及び25よりも
小さくすることができる。
24及び25の間において、該線材Wを搬送しつつそれ
ら電極24及び25と線材Wとの間で通電することによ
り、線材Wの表面を脱スケール処理する方法において
は、該搬送方向において隣接する電極対の極性設定を交
互に又は所定の枚数毎に反転させておけば、線材Wに対
する通電方向が線材Wの搬送速度に応じた周期で反転
し、結果的には、電源の極性反転を行ったのと同じ効果
が達成される場合がある。この場合、各電極対における
上下の電極24及び25の極性は、図20(a)に示す
ように互いに同じであっても、同図(b)に示すように
互いに異なるものであってもいずれでもよい。また、例
えば、極性設定が互いに同じとされた複数組の第一の電
極対45と、それよりも少数(例えば1組)かつ極性設
定が逆の第二の電極対46とを交互に配列しておけば、
第一の電極対45による通電時間を第二の電極対46に
よる通電時間よりも長くすることができ、順方向通電と
逆方向通電との時間に差を付けた場合と同様の効果を達
成することができる。ここで、第一の電極対45に含ま
れる電極24及び25の線材Wの搬送方向における長さ
を第二の電極対45に含まれる電極24及び25よりも
小さくすることができる。
【0052】
(実施例1)所定の圧延装置により温度900℃以上で
熱間圧延されたステンレス鋼線材(SUS304、線径
5.5mmφ)を、図2に示す所定のルーパ2とコンベア
3とを用いて巻線径1170mm、巻線間ずれ量27.5
mmのループロ状態とし、これを連続的に搬送しながら1
150℃で溶体化し、さらにこれを水冷後、図5に示す
電解脱スケール装置8にて脱スケール処理を行った。な
お、電解液は表1に示す各種組成のものを用いた。ただ
し、表中「*」を付したものは、本発明の範囲外のもの
であり、硫酸に変えて塩酸を用いたものは比較例であ
る。また、電解液の温度を60℃、電流密度を10A/
dm2、ループロ状態の線材Wの搬送速度を5cm/
秒、電極24と線材Wとの距離を3cmに設定するとと
もに、線材Wが陰極となる時間T1と同じく陽極となる
時間T2との比T1/T2が1/2となり、サイクルピッ
チ(T1+T2)が0.6秒となるように、通電の極性を
周期的に反転させた。また、電解液中にて線材が通電を
受ける合計時間は90秒とした。
熱間圧延されたステンレス鋼線材(SUS304、線径
5.5mmφ)を、図2に示す所定のルーパ2とコンベア
3とを用いて巻線径1170mm、巻線間ずれ量27.5
mmのループロ状態とし、これを連続的に搬送しながら1
150℃で溶体化し、さらにこれを水冷後、図5に示す
電解脱スケール装置8にて脱スケール処理を行った。な
お、電解液は表1に示す各種組成のものを用いた。ただ
し、表中「*」を付したものは、本発明の範囲外のもの
であり、硫酸に変えて塩酸を用いたものは比較例であ
る。また、電解液の温度を60℃、電流密度を10A/
dm2、ループロ状態の線材Wの搬送速度を5cm/
秒、電極24と線材Wとの距離を3cmに設定するとと
もに、線材Wが陰極となる時間T1と同じく陽極となる
時間T2との比T1/T2が1/2となり、サイクルピッ
チ(T1+T2)が0.6秒となるように、通電の極性を
周期的に反転させた。また、電解液中にて線材が通電を
受ける合計時間は90秒とした。
【0053】こうして電解脱スケール処理が終了後、線
材Wをプレパレン水溶液で中和し、さらにこれを洗浄・
乾燥してその表面の脱スケール状態を評価した。なお、
評価は、線材表面の拡大写真(倍率10倍)を撮影し、
その脱スケール領域の面積率を画像処理により求め、面
積率がほぼ100%に近いものを優(◎)、90%以上
のものを良(○)、50〜90%のものを可(△)、5
0%未満のものを不可(×)として行った。一方、各試
料について、日本工業規格B0601に記載の方法によ
り、表面粗度の最大高さRmaxを測定した。以上の結果
を表1に示す。
材Wをプレパレン水溶液で中和し、さらにこれを洗浄・
乾燥してその表面の脱スケール状態を評価した。なお、
評価は、線材表面の拡大写真(倍率10倍)を撮影し、
その脱スケール領域の面積率を画像処理により求め、面
積率がほぼ100%に近いものを優(◎)、90%以上
のものを良(○)、50〜90%のものを可(△)、5
0%未満のものを不可(×)として行った。一方、各試
料について、日本工業規格B0601に記載の方法によ
り、表面粗度の最大高さRmaxを測定した。以上の結果
を表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】すなわち、弗酸及び硫酸を本発明の組成範
囲で含有する電解液を用いることにより、良好な脱スケ
ール状態が得られていることがわかる。
囲で含有する電解液を用いることにより、良好な脱スケ
ール状態が得られていることがわかる。
【0056】(実施例2)実施例1と同じ線材を使用
し、また、電解液組成を弗酸3重量%/硫酸10重量%
に固定し、さらに通電極性反転のサイクルピッチを0.
02〜30秒の各種値に設定して、他は実施例1と同じ
条件により同様の実験を行った。結果を表2に示す。
し、また、電解液組成を弗酸3重量%/硫酸10重量%
に固定し、さらに通電極性反転のサイクルピッチを0.
02〜30秒の各種値に設定して、他は実施例1と同じ
条件により同様の実験を行った。結果を表2に示す。
【0057】
【表2】
【0058】すなわち、通電方向の反転の頻度を0.1
〜70回/秒、望ましくは0.2〜30回/秒とするこ
とにより、良好な脱スケール状態が得られていることが
わかる。
〜70回/秒、望ましくは0.2〜30回/秒とするこ
とにより、良好な脱スケール状態が得られていることが
わかる。
【図1】本発明の電解脱スケール装置を含む線材の表面
清浄化ラインの構成例を示すブロック図。
清浄化ラインの構成例を示すブロック図。
【図2】ルーパの作用を示す説明図。
【図3】実施例1の電解脱スケール装置の一例を、その
変形例とともに示す側面断面模式図。
変形例とともに示す側面断面模式図。
【図4】圧延線材の表面に皺ができる様子を示す説明
図。
図。
【図5】実施例1の電解脱スケール装置の別の変形例を
示す側面断面模式図。
示す側面断面模式図。
【図6】通電極性の反転パターンの一例を示すグラフ。
【図7】同じくその別の例を示すグラフ。
【図8】実施例2の電解脱スケール装置の一例を示す側
面断面図。
面断面図。
【図9】図3の平面図。
【図10】電極と電源装置の接続状態を模式的に示す平
面図。
面図。
【図11】電極の電解脱スケール槽に対する取付方法の
一例を示す正面断面図。
一例を示す正面断面図。
【図12】その部分拡大平面図。
【図13】ループロ状態の線材を介して電極間に通電す
る状態を示す説明図。
る状態を示す説明図。
【図14】複数の電極の対を使用する場合における、各
電極の極性設定例を示す模式図。
電極の極性設定例を示す模式図。
【図15】その第一の変形例を示す模式図。
【図16】その第二の変形例を示す模式図。
【図17】複数の電極の対を使用する場合において、そ
の通電方向を周期的に反転させる例を示す模式図。
の通電方向を周期的に反転させる例を示す模式図。
【図18】その変形例を示す模式図。
【図19】線材を挟んで配置された電極対の、各電極の
極性を同じに設定した例を示す概念図。
極性を同じに設定した例を示す概念図。
【図20】実施例2の脱スケール装置の変形例を示す概
念図。
念図。
【図21】従来の線材酸洗方法を示す模式図。
【図22】線材表面に皺が発生する様子を示す説明図。
W 線材 L 巻線部 3 コンベア(線材搬送手段) 8 電解脱スケール装置 20 電解脱スケール槽 21 電解液 23 処理コンベア(線材搬送手段) 24,25 電極
Claims (12)
- 【請求項1】 線材に巻線部を順次形成し、それら巻線
部を一方向にずらせて互いに積層した状態(以下、ルー
プロ状態という)で搬送しつつ、これを弗酸と硫酸とを
含有する電解液に浸漬し、該電解液中に配置された電極
と前記線材との間に前記電解液を介して電流を通電する
ことにより、該線材の表面を電解脱スケール処理するこ
とを特徴とする線材の電解脱スケール方法。 - 【請求項2】 前記電解液は、弗酸を0.5〜10重量
%、硫酸を1〜40重量%含有するものが使用される請
求項1記載の電解脱スケール方法。 - 【請求項3】 前記電解液は、弗酸を1〜5重量%、硫
酸を3〜20重量%含有するものが使用される請求項1
記載の電解脱スケール方法。 - 【請求項4】 前記線材はステンレス鋼線材又は機械構
造用合金鋼線材である請求項1ないし3のいずれかに記
載の電解脱スケール方法。 - 【請求項5】 前記線材は鉄を主体とする線材であっ
て、熱間圧延又は温間圧延により製造された後直ちに、
又は圧延後熱処理された後直ちにループロ状態とされる
請求項1ないし4のいずれかに記載の電解脱スケール方
法。 - 【請求項6】 前記線材に対する通電方向を所定の周期
で反転させるようにした請求項1ないし5のいずれかに
記載の電解脱スケール方法。 - 【請求項7】 前記電極は、ループロ状態で搬送される
前記線材に対し、その下側又は上側から対向配置される
第一の電極と、その第一の電極よりも下流側において前
記線材に対し、その下側又は上側から対向配置される第
二の電極のとを備えるものとされ、 前記線材は、前記第一の電極により所定の極性で通電さ
れた後、前記第二の電極により前記第一の電極による通
電とは逆極性で通電される請求項1ないし6のいずれか
に記載の電解脱スケール方法。 - 【請求項8】 前記線材はステンレス鋼線材であり、脱
スケールにより得られる前記線材の表面粗度が、5〜2
0μmRmaxの範囲で調整される請求項1ないし7のい
ずれかに記載の電解脱スケール方法。 - 【請求項9】 弗酸と硫酸を含有する電解液が収容され
た電解脱スケール槽と、 順次形成された巻線部を一方向にずらせて互いに積層し
た状態の線材を、前記電解液中において搬送する線材搬
送手段と、 前記電解脱スケール槽内に配置され、前記線材との間に
前記電解液を介して電流を通電することにより、該線材
の表面を電解脱スケール処理する電極と、 を含むことを特徴とする線材の電解脱スケール装置。 - 【請求項10】 前記電解液は、弗酸を0.5〜10重
量%、硫酸を1〜40重量%含有するものである請求項
9記載の電解脱スケール装置。 - 【請求項11】 前記電解液は、弗酸を1〜5重量%、
硫酸を3〜20重量%含有するものである請求項10記
載の電解脱スケール装置。 - 【請求項12】 前記電極は、ループロ状態で搬送され
る前記線材に対し、その下側又は上側から対向配置され
る第一の電極と、その第一の電極よりも下流側において
前記線材に対し、その下側又は上側から対向配置される
第二の電極のとを備え、 前記線材は、前記第一の電極により所定の極性で通電さ
れた後、前記第二の電極により前記第一の電極による通
電とは逆極性で通電される請求項9ないし11のいずれ
かに記載の電解脱スケール装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35565896A JPH10183399A (ja) | 1996-12-23 | 1996-12-23 | 線材の電解脱スケール方法及び装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35565896A JPH10183399A (ja) | 1996-12-23 | 1996-12-23 | 線材の電解脱スケール方法及び装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10183399A true JPH10183399A (ja) | 1998-07-14 |
Family
ID=18445108
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP35565896A Pending JPH10183399A (ja) | 1996-12-23 | 1996-12-23 | 線材の電解脱スケール方法及び装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10183399A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101340316B1 (ko) * | 2011-10-24 | 2013-12-11 | 주식회사 우진 | 산세용 조립식 고규소 주철 전극판 |
CN116695128A (zh) * | 2023-08-03 | 2023-09-05 | 苏闽(张家港)新型金属材料科技有限公司 | 深加工合金线的生产方法、碱洗方法及装置 |
-
1996
- 1996-12-23 JP JP35565896A patent/JPH10183399A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101340316B1 (ko) * | 2011-10-24 | 2013-12-11 | 주식회사 우진 | 산세용 조립식 고규소 주철 전극판 |
CN116695128A (zh) * | 2023-08-03 | 2023-09-05 | 苏闽(张家港)新型金属材料科技有限公司 | 深加工合金线的生产方法、碱洗方法及装置 |
CN116695128B (zh) * | 2023-08-03 | 2023-11-10 | 苏闽(张家港)新型金属材料科技有限公司 | 深加工合金线的生产方法、碱洗方法及装置 |
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