JPH10130887A - 多孔質酸化チタン皮膜の製造方法及び多孔質酸化チタン皮膜及び窒素酸化物ガス分解用光触媒 - Google Patents
多孔質酸化チタン皮膜の製造方法及び多孔質酸化チタン皮膜及び窒素酸化物ガス分解用光触媒Info
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- JPH10130887A JPH10130887A JP9010550A JP1055097A JPH10130887A JP H10130887 A JPH10130887 A JP H10130887A JP 9010550 A JP9010550 A JP 9010550A JP 1055097 A JP1055097 A JP 1055097A JP H10130887 A JPH10130887 A JP H10130887A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 チタンの表面に、微細な気孔を無数に有し、
広い表面積をもち、活性の高い多孔質酸化チタン皮膜を
形成させる方法、及びこの皮膜の特性を応用した、窒素
酸化物ガスを効率よく分解できる光触媒を提供する。 【解決手段】 グリセロリン酸塩と金属酢酸塩とから成
る電解質の水溶液中でチタンを陽極酸化して、液体に可
溶な物質を含有する陽極酸化皮膜を作製し、次いで陽極
酸化皮膜を水熱処理して、液体に可溶な物質を溶出させ
る。上記金属酢酸塩としては、アルカリ金属若しくはア
ルカリ土類金属の酢酸塩又は酢酸ランタンが好ましい。
また、電解質の濃度、組成比率を変化させて陽極酸化を
行う。チタン基板又はチタン網に多孔質酸化チタン皮膜
を形成させ、窒素酸化物ガス分解用光触媒として用い
る。
広い表面積をもち、活性の高い多孔質酸化チタン皮膜を
形成させる方法、及びこの皮膜の特性を応用した、窒素
酸化物ガスを効率よく分解できる光触媒を提供する。 【解決手段】 グリセロリン酸塩と金属酢酸塩とから成
る電解質の水溶液中でチタンを陽極酸化して、液体に可
溶な物質を含有する陽極酸化皮膜を作製し、次いで陽極
酸化皮膜を水熱処理して、液体に可溶な物質を溶出させ
る。上記金属酢酸塩としては、アルカリ金属若しくはア
ルカリ土類金属の酢酸塩又は酢酸ランタンが好ましい。
また、電解質の濃度、組成比率を変化させて陽極酸化を
行う。チタン基板又はチタン網に多孔質酸化チタン皮膜
を形成させ、窒素酸化物ガス分解用光触媒として用い
る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光触媒や光増感効
果を利用した湿式太陽電池などに応用される酸化チタン
皮膜の製造方法に関する。
果を利用した湿式太陽電池などに応用される酸化チタン
皮膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】酸化チタンには様々な用途があり、誘電
体材料、白色顔料(チタンホワイト)などとして実用化
されている。さらに、励起された酸化チタン表面の正孔
が非常に高い酸化電位をもつことから、その半導体とし
ての性質が注目されている。例えば、空気中の酸素や水
分を分解して活性酸素を発生させ、カビや細菌を殺す抗
菌材料や、水を分解して水素または酸素を発生させる光
触媒や、窒素酸化物などの有害な物質を分解する光触媒
として検討されている。
体材料、白色顔料(チタンホワイト)などとして実用化
されている。さらに、励起された酸化チタン表面の正孔
が非常に高い酸化電位をもつことから、その半導体とし
ての性質が注目されている。例えば、空気中の酸素や水
分を分解して活性酸素を発生させ、カビや細菌を殺す抗
菌材料や、水を分解して水素または酸素を発生させる光
触媒や、窒素酸化物などの有害な物質を分解する光触媒
として検討されている。
【0003】又、最近は、色素がコーティングされた酸
化チタン皮膜を用いた湿式太陽電池にも検討されてい
る。これは、従来のアモルファスシリコンを用いた太陽
電池よりも安価で高効率という特徴がある。これらの応
用に際して重要なことは、化学反応に係わる部分の面積
を大きくすることである。一般に、表面積を大きくすれ
ば、化学反応の量は増大するので、装置やデバイスに組
み込んだ場合に性能が向上する。表面積を大きくするた
めには、酸化チタンを保持する基板に細かい凹凸を付け
たり、酸化チタン皮膜を多孔質化したり、酸化チタン粉
末粒子を微細化すればよい。
化チタン皮膜を用いた湿式太陽電池にも検討されてい
る。これは、従来のアモルファスシリコンを用いた太陽
電池よりも安価で高効率という特徴がある。これらの応
用に際して重要なことは、化学反応に係わる部分の面積
を大きくすることである。一般に、表面積を大きくすれ
ば、化学反応の量は増大するので、装置やデバイスに組
み込んだ場合に性能が向上する。表面積を大きくするた
めには、酸化チタンを保持する基板に細かい凹凸を付け
たり、酸化チタン皮膜を多孔質化したり、酸化チタン粉
末粒子を微細化すればよい。
【0004】又、酸化チタンを装置やデバイスに応用す
る際には、粉末の状態よりも膜または板の状態の方がハ
ンドリングが容易であり、メンテナンスの手間もかから
ないので好都合である。従来から、酸化物膜を製造する
方法としては、真空蒸着法、化学的蒸着法(CVD
法)、スパッタリング法などの気相法、スピンコート法
などの液相法及び溶射法や固相反応を用いた方法などの
固相法が知られている。又、酸化物の板材を製造する方
法としては、酸化物粉末粒子を結合材(バインダー)と
混合し、これを機械的に薄く延ばす方法、或いは、酸化
物粉末粒子を型に詰めて高温で焼結する焼結法が知られ
ている。
る際には、粉末の状態よりも膜または板の状態の方がハ
ンドリングが容易であり、メンテナンスの手間もかから
ないので好都合である。従来から、酸化物膜を製造する
方法としては、真空蒸着法、化学的蒸着法(CVD
法)、スパッタリング法などの気相法、スピンコート法
などの液相法及び溶射法や固相反応を用いた方法などの
固相法が知られている。又、酸化物の板材を製造する方
法としては、酸化物粉末粒子を結合材(バインダー)と
混合し、これを機械的に薄く延ばす方法、或いは、酸化
物粉末粒子を型に詰めて高温で焼結する焼結法が知られ
ている。
【0005】そして、膜又は板の表面積を大きくする手
段としては、微細な凹凸表面と無数の気孔を有するいわ
ゆる多孔質構造にしたり、微細化した粉末粒子を原料と
して用いる方法がある。従来の多孔質酸化チタン皮膜
は、チタンアルコキシドのゾル溶液を基板に塗布してか
ら加熱処理をする、いわゆるゾルゲル法によって作製さ
れることが多かった。この皮膜は、非常に微細な酸化チ
タン粒子から構成されているため、その表面積は見かけ
の面積より著しく大きい。従って、液体または気体との
接触面積が大きくなるので、性能が向上する。
段としては、微細な凹凸表面と無数の気孔を有するいわ
ゆる多孔質構造にしたり、微細化した粉末粒子を原料と
して用いる方法がある。従来の多孔質酸化チタン皮膜
は、チタンアルコキシドのゾル溶液を基板に塗布してか
ら加熱処理をする、いわゆるゾルゲル法によって作製さ
れることが多かった。この皮膜は、非常に微細な酸化チ
タン粒子から構成されているため、その表面積は見かけ
の面積より著しく大きい。従って、液体または気体との
接触面積が大きくなるので、性能が向上する。
【0006】一方、酸化物皮膜を製造する方法として陽
極酸化法がある。陽極酸化法は、金属の表面にその金属
の酸化物を形成させる方法であり、他のセラミック膜の
製造方法に比べて成膜速度が速く、基板が大面積であっ
ても均一な厚さに成膜できるという利点がある。しか
も、複雑な形状の基板上にも成膜できるため、セラミッ
ク膜の成膜方法としては工業的に有用な成膜方法であ
る。
極酸化法がある。陽極酸化法は、金属の表面にその金属
の酸化物を形成させる方法であり、他のセラミック膜の
製造方法に比べて成膜速度が速く、基板が大面積であっ
ても均一な厚さに成膜できるという利点がある。しか
も、複雑な形状の基板上にも成膜できるため、セラミッ
ク膜の成膜方法としては工業的に有用な成膜方法であ
る。
【0007】従来から、リン酸、硫酸あるいはこれらの
混酸からなる電解質水溶液中でチタンを陽極酸化する
と、数 100Vの高電圧まで安定して陽極酸化することが
でき、その結果、数μm と比較的厚い陽極酸化皮膜が形
成されることが知られている。そしてチタン基板を高電
圧で陽極酸化すると、基板表面で発生する火花放電によ
って多数の放電痕が形成され、多孔質になることがわか
っている。
混酸からなる電解質水溶液中でチタンを陽極酸化する
と、数 100Vの高電圧まで安定して陽極酸化することが
でき、その結果、数μm と比較的厚い陽極酸化皮膜が形
成されることが知られている。そしてチタン基板を高電
圧で陽極酸化すると、基板表面で発生する火花放電によ
って多数の放電痕が形成され、多孔質になることがわか
っている。
【0008】窒素酸化物ガスを分解するための光触媒
は、酸化チタンが有する半導体として性質を利用したも
のである。エネルギー源として大量に使用されている石
油や石炭等の化石燃料を燃焼させたときには、二酸化炭
素、窒素酸化物、硫黄酸化物等が多量に排出される。そ
の結果、二酸化炭素は地球の温暖化もたらし、窒素酸化
物や硫黄酸化物は大気中の水分と反応して酸性雨とな
り、環境破壊をもたらしている。
は、酸化チタンが有する半導体として性質を利用したも
のである。エネルギー源として大量に使用されている石
油や石炭等の化石燃料を燃焼させたときには、二酸化炭
素、窒素酸化物、硫黄酸化物等が多量に排出される。そ
の結果、二酸化炭素は地球の温暖化もたらし、窒素酸化
物や硫黄酸化物は大気中の水分と反応して酸性雨とな
り、環境破壊をもたらしている。
【0009】酸化チタンを光触媒として用いると、N
O、NO2 などの窒素酸化物(以下、NOx と総称す
る)やSO2 、SO3 などの硫黄酸化物を無害化または
除去することができる。光触媒は一種の半導体であり、
そのバンドギャップ以上のエネルギーを吸収することに
より正孔及び電子を生成する。正孔及び電子が大気中の
酸素ガスや水と反応して、酸素原子、酸素ラジカル、水
酸ラジカルなどの活性酸素を生成する。この活性酸素は
上記の有害ガスに作用してガスを分解する。以上の一連
のメカニズム(光触媒反応)によって、酸化チタンで
は、バンドギャップ・エネルギー約3eV以上の光エネル
ギーを照射することによって、有害ガスを分解できる。
O、NO2 などの窒素酸化物(以下、NOx と総称す
る)やSO2 、SO3 などの硫黄酸化物を無害化または
除去することができる。光触媒は一種の半導体であり、
そのバンドギャップ以上のエネルギーを吸収することに
より正孔及び電子を生成する。正孔及び電子が大気中の
酸素ガスや水と反応して、酸素原子、酸素ラジカル、水
酸ラジカルなどの活性酸素を生成する。この活性酸素は
上記の有害ガスに作用してガスを分解する。以上の一連
のメカニズム(光触媒反応)によって、酸化チタンで
は、バンドギャップ・エネルギー約3eV以上の光エネル
ギーを照射することによって、有害ガスを分解できる。
【0010】従来のNOx 分解用光触媒は、酸化チタン
を粉末の状態で使用するよりも板の状態の方がハンドリ
ングが容易なことから、酸化チタン粉末を活性炭粒子及
びフッ素樹脂と機械的に混合し、これを圧延して厚さ0.
5 〜1mm のシートに作製していた。さらに、反応効率を
高めるためには、酸化チタン粉末を微細化して表面積き
を大きくしたり、酸化チタン粉末の含有量を増加させれ
ばよい。
を粉末の状態で使用するよりも板の状態の方がハンドリ
ングが容易なことから、酸化チタン粉末を活性炭粒子及
びフッ素樹脂と機械的に混合し、これを圧延して厚さ0.
5 〜1mm のシートに作製していた。さらに、反応効率を
高めるためには、酸化チタン粉末を微細化して表面積き
を大きくしたり、酸化チタン粉末の含有量を増加させれ
ばよい。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】酸化物膜を製造する従
来の方法には次のような欠点があった。真空蒸着法は、
高真空下で原料を加熱蒸発させ、蒸発粒子を基板上に堆
積させるものであり、酸化物のような融点の高い物質を
溶融させて、10-3Pa程度の高真空下で蒸発させるの
で、装置及びメンテナンスの費用が大きい。
来の方法には次のような欠点があった。真空蒸着法は、
高真空下で原料を加熱蒸発させ、蒸発粒子を基板上に堆
積させるものであり、酸化物のような融点の高い物質を
溶融させて、10-3Pa程度の高真空下で蒸発させるの
で、装置及びメンテナンスの費用が大きい。
【0012】化学的蒸着法は、化合物気体の反応を利用
したものであり、気体原料又は液体若しくは固体原料を
気化し、気相又は基板表面で分解/結合などの化学反応
をさせて膜を形成する方法であり、装置及びメンテナン
スの費用が大きい。スパッタリング法は、例えば、高周
波電界中でイオン化した気体原子をターゲット(原料)
に衝突させて原料を表面から叩き出して、基板上に堆積
させるものである。この方法は、原料を融かす必要がな
いため、高融点の金属、酸化物、窒化物などを原料とし
て用いることができる。しかし、装置自体はかなり大が
かりなものとなり、装置及びメンテナンスの費用が大き
い。
したものであり、気体原料又は液体若しくは固体原料を
気化し、気相又は基板表面で分解/結合などの化学反応
をさせて膜を形成する方法であり、装置及びメンテナン
スの費用が大きい。スパッタリング法は、例えば、高周
波電界中でイオン化した気体原子をターゲット(原料)
に衝突させて原料を表面から叩き出して、基板上に堆積
させるものである。この方法は、原料を融かす必要がな
いため、高融点の金属、酸化物、窒化物などを原料とし
て用いることができる。しかし、装置自体はかなり大が
かりなものとなり、装置及びメンテナンスの費用が大き
い。
【0013】スピンコート法は、ウエットプロセスによ
って膜を形成する方法であり、ガラス、プラスチック、
金属などの基板上に塗布液(原料)を回転による遠心力
を利用して飛散させ、基板上に皮膜を形成する方法であ
る。しかし、基板を回転させる必要があるために、大面
積又は複雑形状の基板に均一な厚さの皮膜を形成するこ
とが困難である。
って膜を形成する方法であり、ガラス、プラスチック、
金属などの基板上に塗布液(原料)を回転による遠心力
を利用して飛散させ、基板上に皮膜を形成する方法であ
る。しかし、基板を回転させる必要があるために、大面
積又は複雑形状の基板に均一な厚さの皮膜を形成するこ
とが困難である。
【0014】溶射法は、プラズマなどで原料粉末を溶か
し、溶融状態の原料を基板上に吹き付けて皮膜を形成す
る方法である。この方法は、原料の熱分解によって皮膜
の化学組成に変化が起こる可能性があり、さらに、稼働
するのにかなりのコストがかかる。
し、溶融状態の原料を基板上に吹き付けて皮膜を形成す
る方法である。この方法は、原料の熱分解によって皮膜
の化学組成に変化が起こる可能性があり、さらに、稼働
するのにかなりのコストがかかる。
【0015】ゾルゲル法は、皮膜を厚くするために、塗
布、加熱処理の工程を何回も繰り返さなければならない
ために、成膜速度が遅く実用性に乏しい。しかも、大面
積の基板に均一な厚さの皮膜を形成させることは非常に
困難である。一方、酸化物板材は、その表面での化学反
応を目的として用いる場合には、酸化物皮膜に比べて材
料の無駄が多い。しかし、表面も内部も同じ材質から作
られているので、表面層の剥離が生じ難くく、仮に表面
層の脱落が生じても性能の劣化が生じないという長所が
ある。
布、加熱処理の工程を何回も繰り返さなければならない
ために、成膜速度が遅く実用性に乏しい。しかも、大面
積の基板に均一な厚さの皮膜を形成させることは非常に
困難である。一方、酸化物板材は、その表面での化学反
応を目的として用いる場合には、酸化物皮膜に比べて材
料の無駄が多い。しかし、表面も内部も同じ材質から作
られているので、表面層の剥離が生じ難くく、仮に表面
層の脱落が生じても性能の劣化が生じないという長所が
ある。
【0016】酸化物粉末粒子を結合材(バインダー)と
混合し、これを機械的に加工する方法は、結合材の分だ
け酸化物粉末粒子の存在密度が減少するので、板材の表
面が有効に利用できないという欠点がある。焼結法は、
原料たる酸化物粉末粒子の熱分解によって板材の化学組
成に変化が起こる可能性があり、さらに、型を使用する
必要があるので大面積の又は複雑形状の板材の製造法と
しては不向きである。
混合し、これを機械的に加工する方法は、結合材の分だ
け酸化物粉末粒子の存在密度が減少するので、板材の表
面が有効に利用できないという欠点がある。焼結法は、
原料たる酸化物粉末粒子の熱分解によって板材の化学組
成に変化が起こる可能性があり、さらに、型を使用する
必要があるので大面積の又は複雑形状の板材の製造法と
しては不向きである。
【0017】陽極酸化法は、前述したように、酸化物皮
膜の製造方法としては工業的に有用な方法であり、皮膜
の剥離、脱落が生じる可能性も非常に低い。しかし、従
来の陽極酸化による陽極酸化皮膜における放電痕の直径
は数μm 程度と大きいため、表面積を大きくするのには
あまり寄与しない。皮膜の表面積を増大させるには、皮
膜に数10nm程度の非常に微細な気孔を無数形成して多孔
質とする必要がある。
膜の製造方法としては工業的に有用な方法であり、皮膜
の剥離、脱落が生じる可能性も非常に低い。しかし、従
来の陽極酸化による陽極酸化皮膜における放電痕の直径
は数μm 程度と大きいため、表面積を大きくするのには
あまり寄与しない。皮膜の表面積を増大させるには、皮
膜に数10nm程度の非常に微細な気孔を無数形成して多孔
質とする必要がある。
【0018】また、従来の多孔質酸化チタン皮膜の結晶
相は主としてルチル相であり、このルチル相は、比較的
バンドギャップが広く、半導体としての活性があまり高
くないという問題もあった。そこで、本発明は、チタン
の表面に、事実上の表面積が数十倍から数百倍に増加し
た 0.1μm 以上の厚さを有する多孔質酸化チタン皮膜を
低コストで形成する方法を提供すること、さらには、こ
の多孔質酸化チタン皮膜が高い活性をもつようにするた
めの製造方法を提供することを目的とする。又、本発明
は、以上の製造方法による多孔質酸化チタン皮膜を応用
した、効率良く短時間でNOx を分解できる光触媒を提
供することを目的とする。
相は主としてルチル相であり、このルチル相は、比較的
バンドギャップが広く、半導体としての活性があまり高
くないという問題もあった。そこで、本発明は、チタン
の表面に、事実上の表面積が数十倍から数百倍に増加し
た 0.1μm 以上の厚さを有する多孔質酸化チタン皮膜を
低コストで形成する方法を提供すること、さらには、こ
の多孔質酸化チタン皮膜が高い活性をもつようにするた
めの製造方法を提供することを目的とする。又、本発明
は、以上の製造方法による多孔質酸化チタン皮膜を応用
した、効率良く短時間でNOx を分解できる光触媒を提
供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明者等はチタンを陽
極酸化処理する工程と、この陽極酸化皮膜を高温高圧中
で水熱処理する工程とにより、陽極酸化皮膜の表面積を
大幅に増大できることに着目した。本発明では、これを
踏まえて、先ず液体に可溶な物質を含むチタン陽極酸化
皮膜を作製し、次に水熱処理して液体に可溶な物質を溶
出させることによって多孔質酸化チタン皮膜が製造でき
ることを見出した。
極酸化処理する工程と、この陽極酸化皮膜を高温高圧中
で水熱処理する工程とにより、陽極酸化皮膜の表面積を
大幅に増大できることに着目した。本発明では、これを
踏まえて、先ず液体に可溶な物質を含むチタン陽極酸化
皮膜を作製し、次に水熱処理して液体に可溶な物質を溶
出させることによって多孔質酸化チタン皮膜が製造でき
ることを見出した。
【0020】また、陽極酸化処理条件、特に電解質の種
類、濃度及び組成比率を選ぶことによって多孔質酸化チ
タン皮膜の結晶相を制御できることを見出した。そこ
で、本発明の請求項1に係る発明は、「グリセロリン酸
塩と金属酢酸塩とから成る電解質の水溶液中でチタン基
板を陽極酸化して、液体に可溶な物質を含有する、少な
くとも 0.1μm の厚さの陽極酸化皮膜を作製する工程
と、前記陽極酸化皮膜が形成された前記チタン基板を液
体中またはその蒸気中で水熱処理して前記陽極酸化皮膜
中の、液体に可溶な物質を溶出させて、微小な気孔を形
成させる工程と、から成る」多孔質酸化チタン皮膜の製
造方法である。
類、濃度及び組成比率を選ぶことによって多孔質酸化チ
タン皮膜の結晶相を制御できることを見出した。そこ
で、本発明の請求項1に係る発明は、「グリセロリン酸
塩と金属酢酸塩とから成る電解質の水溶液中でチタン基
板を陽極酸化して、液体に可溶な物質を含有する、少な
くとも 0.1μm の厚さの陽極酸化皮膜を作製する工程
と、前記陽極酸化皮膜が形成された前記チタン基板を液
体中またはその蒸気中で水熱処理して前記陽極酸化皮膜
中の、液体に可溶な物質を溶出させて、微小な気孔を形
成させる工程と、から成る」多孔質酸化チタン皮膜の製
造方法である。
【0021】また、この陽極酸化に用いられる電解質
は、グリセロリン酸塩と金属酢酸塩との混合物が好まし
いが、特に、金属酢酸塩としては、アルカリ金属若しく
はアルカリ土類金属の酢酸塩又は酢酸ランタンが好まし
い(請求項2)。さらに、前記グリセロリン酸塩として
グリセロリン酸ナトリウムを用い、その水溶液中の濃度
を 0.001〜0.15mol/l とし、前記金属酢酸塩の水溶液中
の濃度をを0.01〜0.5mol/lとする(請求項3)。
は、グリセロリン酸塩と金属酢酸塩との混合物が好まし
いが、特に、金属酢酸塩としては、アルカリ金属若しく
はアルカリ土類金属の酢酸塩又は酢酸ランタンが好まし
い(請求項2)。さらに、前記グリセロリン酸塩として
グリセロリン酸ナトリウムを用い、その水溶液中の濃度
を 0.001〜0.15mol/l とし、前記金属酢酸塩の水溶液中
の濃度をを0.01〜0.5mol/lとする(請求項3)。
【0022】本発明の請求項4〜6に係る発明は、被処
理物としてチタン基板をチタン網に代えたものであり、
既述の請求項1〜3に係る発明にそれぞれ対応する。本
発明の請求項7に係る発明は、「チタンをグリセロリン
酸塩と金属酢酸塩とから成る電解質の水溶液中で陽極酸
化し、さらに、液体中またはその蒸気中で水熱処理する
ことにより形成された」多孔質酸化チタン皮膜である。
この皮膜は、無数の微小な気孔を含有し、少なくとも
0.1μm の厚さを有する。
理物としてチタン基板をチタン網に代えたものであり、
既述の請求項1〜3に係る発明にそれぞれ対応する。本
発明の請求項7に係る発明は、「チタンをグリセロリン
酸塩と金属酢酸塩とから成る電解質の水溶液中で陽極酸
化し、さらに、液体中またはその蒸気中で水熱処理する
ことにより形成された」多孔質酸化チタン皮膜である。
この皮膜は、無数の微小な気孔を含有し、少なくとも
0.1μm の厚さを有する。
【0023】上記の多孔質酸化チタン皮膜は、特に、金
属酢酸塩としてアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属
の酢酸塩又は酢酸ランタンを用いて製造するのが好まし
い(請求項8)。さらに、上記の多孔質酸化チタン皮膜
は、特に、グリセロリン酸ナトリウムを用い、その水溶
液中の濃度を 0.001〜0.15mol/l とし、前記金属酢酸塩
の水溶液中の濃度を0.01〜0.5mol/lとして製造するのが
好ましい(請求項9)。
属酢酸塩としてアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属
の酢酸塩又は酢酸ランタンを用いて製造するのが好まし
い(請求項8)。さらに、上記の多孔質酸化チタン皮膜
は、特に、グリセロリン酸ナトリウムを用い、その水溶
液中の濃度を 0.001〜0.15mol/l とし、前記金属酢酸塩
の水溶液中の濃度を0.01〜0.5mol/lとして製造するのが
好ましい(請求項9)。
【0024】本発明の請求項10に係る発明は、「チタ
ン基板又はチタン網と、該チタン基板又はチタン網をグ
リセロリン酸塩と金属酢酸塩とから成る電解質の水溶液
中で陽極酸化し、さらに、液体中またはその蒸気中で水
熱処理することにより形成された、無数の微小な気孔を
含有する少なくとも 0.1μm の厚さの酸化チタン皮膜
と、から成る窒素酸化物ガス分解用光触媒である。
ン基板又はチタン網と、該チタン基板又はチタン網をグ
リセロリン酸塩と金属酢酸塩とから成る電解質の水溶液
中で陽極酸化し、さらに、液体中またはその蒸気中で水
熱処理することにより形成された、無数の微小な気孔を
含有する少なくとも 0.1μm の厚さの酸化チタン皮膜
と、から成る窒素酸化物ガス分解用光触媒である。
【0025】上記の窒素酸化物ガス分解用光触媒を構成
する多孔質酸化チタン皮膜は、特に、金属酢酸塩として
アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の酢酸塩又は酢
酸ランタンを用いて製造するのが好ましい(請求項1
1)。さらに、上記の窒素酸化物ガス分解用光触媒を構
成する多孔質酸化チタン皮膜は、特に、グリセロリン酸
ナトリウムを用い、その水溶液中の濃度を 0.001〜0.15
mol/l とし、前記金属酢酸塩の水溶液中の濃度を0.01〜
0.5mol/lとして製造するのが好ましい(請求項12)。
する多孔質酸化チタン皮膜は、特に、金属酢酸塩として
アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の酢酸塩又は酢
酸ランタンを用いて製造するのが好ましい(請求項1
1)。さらに、上記の窒素酸化物ガス分解用光触媒を構
成する多孔質酸化チタン皮膜は、特に、グリセロリン酸
ナトリウムを用い、その水溶液中の濃度を 0.001〜0.15
mol/l とし、前記金属酢酸塩の水溶液中の濃度を0.01〜
0.5mol/lとして製造するのが好ましい(請求項12)。
【0026】
【発明の実施の形態】本発明で行う陽極酸化は、電解質
中で被処理金属を陽極、任意の金属を陰極とし、電界を
かけることにより、陽極側の金属の表面上に厚さ数μm
の酸化皮膜を形成する技術である。本発明では、陽極酸
化で形成される皮膜に電解質中に溶解している可溶性物
質を取り込ませた後に、液体中または蒸気中で加熱処理
(水熱処理)を行い、可溶性物質を溶出させることによ
って、多孔質の酸化チタン皮膜を形成する。
中で被処理金属を陽極、任意の金属を陰極とし、電界を
かけることにより、陽極側の金属の表面上に厚さ数μm
の酸化皮膜を形成する技術である。本発明では、陽極酸
化で形成される皮膜に電解質中に溶解している可溶性物
質を取り込ませた後に、液体中または蒸気中で加熱処理
(水熱処理)を行い、可溶性物質を溶出させることによ
って、多孔質の酸化チタン皮膜を形成する。
【0027】本発明では、電解質中に含まれている物質
が陽極酸化の最中に皮膜に取り込まれるならば、どのよ
うな電解質でも使用可能である。しかし、以下に詳述す
るように、チタンの陽極酸化皮膜は、陽極酸化条件、特
に電圧及び電解質の種類と濃度により、皮膜の色調、皮
膜の厚さ、気孔の数と大きさ、結晶相の種類と組成など
に相違がみられる。
が陽極酸化の最中に皮膜に取り込まれるならば、どのよ
うな電解質でも使用可能である。しかし、以下に詳述す
るように、チタンの陽極酸化皮膜は、陽極酸化条件、特
に電圧及び電解質の種類と濃度により、皮膜の色調、皮
膜の厚さ、気孔の数と大きさ、結晶相の種類と組成など
に相違がみられる。
【0028】皮膜の色調は、酸化チタンを構成する酸素
原子とチタン原子の比率で決まる。TiO2 では、酸素
とチタンの原子比率は本来2であり、白色を呈している
が、チタンが過剰となると黒色がかった色調となる。チ
タンの陽極酸化に従来使用されているリン酸、硫酸又は
これらの混酸のような強酸を用いると、チタン基板から
のチタンの溶出が多くなって黒色がかった色調の酸化チ
タンが得られる。
原子とチタン原子の比率で決まる。TiO2 では、酸素
とチタンの原子比率は本来2であり、白色を呈している
が、チタンが過剰となると黒色がかった色調となる。チ
タンの陽極酸化に従来使用されているリン酸、硫酸又は
これらの混酸のような強酸を用いると、チタン基板から
のチタンの溶出が多くなって黒色がかった色調の酸化チ
タンが得られる。
【0029】一方、本発明におけるようにグリセロリン
酸塩と金属酢酸塩の混合溶液を用いると、この電解質溶
液は弱アルカリ性であるため、チタンの溶出が抑制され
るので、酸素とチタンの原子比率がほぼ2となり、白色
を呈する。皮膜の厚さを数μm 程度に厚くしたい場合
は、リン酸、硫酸あるいはこれらの混酸、又はグリセロ
リン酸塩と金属酢酸塩の混合溶液等を用いることが好ま
しい。グリセロリン酸塩と金属酢酸塩の混合溶液は、陽
極酸化皮膜の膜厚の制御及び多孔質化の点で特に好まし
い。グリセロリン酸塩としてはグリセロリン酸ナトリウ
ム、グリセロリン酸カルシウムなどがあるが、水に非常
に溶けやすいことからグリセロリン酸ナトリウムが最も
好ましい。
酸塩と金属酢酸塩の混合溶液を用いると、この電解質溶
液は弱アルカリ性であるため、チタンの溶出が抑制され
るので、酸素とチタンの原子比率がほぼ2となり、白色
を呈する。皮膜の厚さを数μm 程度に厚くしたい場合
は、リン酸、硫酸あるいはこれらの混酸、又はグリセロ
リン酸塩と金属酢酸塩の混合溶液等を用いることが好ま
しい。グリセロリン酸塩と金属酢酸塩の混合溶液は、陽
極酸化皮膜の膜厚の制御及び多孔質化の点で特に好まし
い。グリセロリン酸塩としてはグリセロリン酸ナトリウ
ム、グリセロリン酸カルシウムなどがあるが、水に非常
に溶けやすいことからグリセロリン酸ナトリウムが最も
好ましい。
【0030】金属酢酸塩ならばどの種類でも使用できる
が、特にアルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウ
ム、ルビジウム、セシウム)の酢酸塩、アルカリ土類金
属(マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリ
ウム)の酢酸塩、さらに酢酸ランタンなどは、グリセロ
リン酸塩の水溶液に対する溶解度が非常に高く、しかも
高い電圧まで安定に陽極酸化できるので好適である。
が、特にアルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウ
ム、ルビジウム、セシウム)の酢酸塩、アルカリ土類金
属(マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリ
ウム)の酢酸塩、さらに酢酸ランタンなどは、グリセロ
リン酸塩の水溶液に対する溶解度が非常に高く、しかも
高い電圧まで安定に陽極酸化できるので好適である。
【0031】これらの電解質を用いてチタンを陽極酸化
すると、リン酸やグリセロリン酸塩からリンイオンある
いはリン酸イオンが、金属酢酸塩から金属イオンが取り
込まれた陽極酸化皮膜が形成される。金属酢酸塩の中で
は、特にアルカリ土類金属の酢酸塩や酢酸ランタンを用
い、なおかつ濃度を高くすることによって、多量のアル
カリ土類金属イオンやランタンイオンを皮膜中に取り込
むことができる。
すると、リン酸やグリセロリン酸塩からリンイオンある
いはリン酸イオンが、金属酢酸塩から金属イオンが取り
込まれた陽極酸化皮膜が形成される。金属酢酸塩の中で
は、特にアルカリ土類金属の酢酸塩や酢酸ランタンを用
い、なおかつ濃度を高くすることによって、多量のアル
カリ土類金属イオンやランタンイオンを皮膜中に取り込
むことができる。
【0032】例えば、β−グリセロリン酸ナトリウムと
酢酸ストロンチウムを電解質に用いた場合、PとSrを
含む陽極酸化皮膜が形成され、その含有量はこれらの電
解質の濃度によってほぼ決まる。どの電解質を用いても
電解質濃度を高くするほど皮膜に取り込まれるイオンの
量が増加する傾向が見られる。皮膜からのイオンの溶出
量が多いほど、陽極酸化皮膜に形成される気孔の径が大
きくなる。従って、皮膜中の可溶性物質の割合すなわち
電解質濃度によって、気孔径を制御できる。気孔の密度
(気孔率)は、電解質の組成によって制御できる。例え
ば、電解質として、濃度0.26mol/l のリン酸を単独で用
いる場合よりも、このリン酸に濃度0.1mol/lの酢酸カル
シウムを加えた場合の方が陽極酸化皮膜中のPの含有量
が大幅に増し、気孔率の高い皮膜が得られている。
酢酸ストロンチウムを電解質に用いた場合、PとSrを
含む陽極酸化皮膜が形成され、その含有量はこれらの電
解質の濃度によってほぼ決まる。どの電解質を用いても
電解質濃度を高くするほど皮膜に取り込まれるイオンの
量が増加する傾向が見られる。皮膜からのイオンの溶出
量が多いほど、陽極酸化皮膜に形成される気孔の径が大
きくなる。従って、皮膜中の可溶性物質の割合すなわち
電解質濃度によって、気孔径を制御できる。気孔の密度
(気孔率)は、電解質の組成によって制御できる。例え
ば、電解質として、濃度0.26mol/l のリン酸を単独で用
いる場合よりも、このリン酸に濃度0.1mol/lの酢酸カル
シウムを加えた場合の方が陽極酸化皮膜中のPの含有量
が大幅に増し、気孔率の高い皮膜が得られている。
【0033】また、電解質濃度は、陽極酸化条件にも関
係し、グリセロリン酸ナトリウムの濃度を0.001mol/lよ
り低くすると電流が流れ難くなり、0.15mol/l より高く
すると酢酸塩と反応して沈澱を生じやすくなる。金属酢
酸塩の濃度は、0.01mol/l より低くとも0.5mol/lより高
くとも陽極酸化処理が困難となる。従って本発明では、
グリセロリン酸ナトリウムの濃度範囲を 0.001〜0.15mo
l/l 、金属酢酸塩の濃度範囲を0.01〜0.5mol/lとした。
係し、グリセロリン酸ナトリウムの濃度を0.001mol/lよ
り低くすると電流が流れ難くなり、0.15mol/l より高く
すると酢酸塩と反応して沈澱を生じやすくなる。金属酢
酸塩の濃度は、0.01mol/l より低くとも0.5mol/lより高
くとも陽極酸化処理が困難となる。従って本発明では、
グリセロリン酸ナトリウムの濃度範囲を 0.001〜0.15mo
l/l 、金属酢酸塩の濃度範囲を0.01〜0.5mol/lとした。
【0034】尚、電解質として酢酸カルシウム又は酢酸
ストロンチウムを用いた場合、その濃度によっては、そ
れぞれカルシウムアパタイト又はストロンチウムアパタ
イトの結晶が、水熱処理によって陽極酸化皮膜上に析出
することがある。しかし、これらの酢酸塩濃度を調節す
ることによって、アパタイト結晶を全く析出させないこ
とができる。すなわち、酢酸塩とβ−グリセロリン酸ナ
トリウムの濃度を共に低くすると、溶出したイオンの濃
度が低すぎるために結晶が形成されなくなる。あるいは
また、β−グリセロリン酸ナトリウム濃度に対して酢酸
塩濃度を 1/5から1/20と低くすると、溶出したイオンの
濃度比がアパタイト結晶の組成比と大きく異なるので結
晶が形成されなくなる。このようにして、陽極酸化皮膜
の表面にアパタイト結晶が析出しないように電解質濃度
を調整することが望ましい。
ストロンチウムを用いた場合、その濃度によっては、そ
れぞれカルシウムアパタイト又はストロンチウムアパタ
イトの結晶が、水熱処理によって陽極酸化皮膜上に析出
することがある。しかし、これらの酢酸塩濃度を調節す
ることによって、アパタイト結晶を全く析出させないこ
とができる。すなわち、酢酸塩とβ−グリセロリン酸ナ
トリウムの濃度を共に低くすると、溶出したイオンの濃
度が低すぎるために結晶が形成されなくなる。あるいは
また、β−グリセロリン酸ナトリウム濃度に対して酢酸
塩濃度を 1/5から1/20と低くすると、溶出したイオンの
濃度比がアパタイト結晶の組成比と大きく異なるので結
晶が形成されなくなる。このようにして、陽極酸化皮膜
の表面にアパタイト結晶が析出しないように電解質濃度
を調整することが望ましい。
【0035】これらの電解液を用いて陽極酸化を始める
前には、あらかじめ最高到達電圧を設定しておく。陽極
酸化を開始すると電圧は徐々に上昇し、その最高電圧に
到達すると電流が流れなくなり陽極酸化が終了するよう
にする。陽極酸化にかかる時間は、電流密度を高くして
速く昇圧するほど短時間で終了させることができるが、
5〜10分程度と比較的短くする。陽極酸化皮膜の表面
積を増大させるには、皮膜の厚さがある程度以上、例え
ば1μm 以上であれば一層望ましい。陽極酸化皮膜の厚
さは電圧に比例するので、高い電圧で陽極酸化して膜厚
を大きくするとよい。しかし、膜厚が大きすぎると安定
して陽極酸化ができなくなるので、 500V程度が限界で
ある。電圧が 100Vを越えたあたりから、陽極酸化皮膜
の表面で火花放電が発生し、陽極酸化皮膜が局所的に高
い温度に加熱される。このような皮膜に対する加熱が無
数に繰り返された結果、陽極酸化皮膜全体が結晶化さ
れ、結晶性の高いチタン陽極酸化皮膜が形成される。ま
た、電解質から陽極酸化皮膜への可溶性物質の取り込み
も、火花放電による加熱で行われる。陽極酸化法では、
チタン基板が大面積や複雑な形状をしていても、厚さが
均一な酸化チタン皮膜を形成させることができ、1回の
反応時間は数分程度と比較的短時間で済む。また、特殊
な装置を必要とせず、室温の水溶液中で処理できるの
で、エネルギー消費量が非常に小さくて済む。
前には、あらかじめ最高到達電圧を設定しておく。陽極
酸化を開始すると電圧は徐々に上昇し、その最高電圧に
到達すると電流が流れなくなり陽極酸化が終了するよう
にする。陽極酸化にかかる時間は、電流密度を高くして
速く昇圧するほど短時間で終了させることができるが、
5〜10分程度と比較的短くする。陽極酸化皮膜の表面
積を増大させるには、皮膜の厚さがある程度以上、例え
ば1μm 以上であれば一層望ましい。陽極酸化皮膜の厚
さは電圧に比例するので、高い電圧で陽極酸化して膜厚
を大きくするとよい。しかし、膜厚が大きすぎると安定
して陽極酸化ができなくなるので、 500V程度が限界で
ある。電圧が 100Vを越えたあたりから、陽極酸化皮膜
の表面で火花放電が発生し、陽極酸化皮膜が局所的に高
い温度に加熱される。このような皮膜に対する加熱が無
数に繰り返された結果、陽極酸化皮膜全体が結晶化さ
れ、結晶性の高いチタン陽極酸化皮膜が形成される。ま
た、電解質から陽極酸化皮膜への可溶性物質の取り込み
も、火花放電による加熱で行われる。陽極酸化法では、
チタン基板が大面積や複雑な形状をしていても、厚さが
均一な酸化チタン皮膜を形成させることができ、1回の
反応時間は数分程度と比較的短時間で済む。また、特殊
な装置を必要とせず、室温の水溶液中で処理できるの
で、エネルギー消費量が非常に小さくて済む。
【0036】溶出方法としては、オートクレーブのよう
な密閉容器中の液体又は蒸気中で陽極酸化皮膜を 100〜
500℃の範囲で加熱する、いわゆる水熱法が有効であ
る。加熱温度が 100℃より低いと可溶性物質はほとんど
溶出しない。また、オートクレーブを 500℃より高い温
度に加熱することは、装置が非常に大がかりになり一般
的でない。容器内の圧力は、内在する液体の種類、量に
もよるが、加熱温度によって大きく変わる。本発明では
通常のオートクレーブにて許容される圧力範囲を使用し
た。液体としては一般に純水が用いられるが、それだけ
に限定されるものではなく、陽極酸化皮膜から可溶性物
質の溶出を促進させるために、酸性又はアルカリ性にす
ることもある。また、液体を攪拌しながら加熱処理する
と溶出が促進される。この水熱処理によって、チタン陽
極酸化皮膜に取り込まれた可溶性物質を溶出させれば、
無数の気孔が形成されるので皮膜の表面積を著しく増大
させることができる。また、加熱によって、皮膜の結晶
化が進み結晶性はさらに高くなる。
な密閉容器中の液体又は蒸気中で陽極酸化皮膜を 100〜
500℃の範囲で加熱する、いわゆる水熱法が有効であ
る。加熱温度が 100℃より低いと可溶性物質はほとんど
溶出しない。また、オートクレーブを 500℃より高い温
度に加熱することは、装置が非常に大がかりになり一般
的でない。容器内の圧力は、内在する液体の種類、量に
もよるが、加熱温度によって大きく変わる。本発明では
通常のオートクレーブにて許容される圧力範囲を使用し
た。液体としては一般に純水が用いられるが、それだけ
に限定されるものではなく、陽極酸化皮膜から可溶性物
質の溶出を促進させるために、酸性又はアルカリ性にす
ることもある。また、液体を攪拌しながら加熱処理する
と溶出が促進される。この水熱処理によって、チタン陽
極酸化皮膜に取り込まれた可溶性物質を溶出させれば、
無数の気孔が形成されるので皮膜の表面積を著しく増大
させることができる。また、加熱によって、皮膜の結晶
化が進み結晶性はさらに高くなる。
【0037】このようにして形成される多孔質酸化チタ
ン皮膜の結晶相は、通常は、アナターゼ相とルチル相か
ら構成されているが、その割合は水溶液中の電解質濃度
や組成比率によって左右される。例えば、電解質の種類
が同じでも、濃度や組成比率を調節することによって、
活性の高いアナターゼ相の割合を90〜 100%と高くする
ことができる。
ン皮膜の結晶相は、通常は、アナターゼ相とルチル相か
ら構成されているが、その割合は水溶液中の電解質濃度
や組成比率によって左右される。例えば、電解質の種類
が同じでも、濃度や組成比率を調節することによって、
活性の高いアナターゼ相の割合を90〜 100%と高くする
ことができる。
【0038】以下、実施形態により本発明をさらに詳し
く説明する。これらの実施形態では、被処理物は板状の
チタンであるが、板状のみに限られず、繊維状、織物状
若しくは網状又はこれらを2次元、3次元に組み合わせ
た集合体を被処理物とすることができる。以下の実施形
態中、第6及び第7の実施形態では、本発明による多孔
質酸化チタン皮膜が形成されたチタン板を用いて、その
NOx 分解用光触媒としての触媒活性について説明す
る。
く説明する。これらの実施形態では、被処理物は板状の
チタンであるが、板状のみに限られず、繊維状、織物状
若しくは網状又はこれらを2次元、3次元に組み合わせ
た集合体を被処理物とすることができる。以下の実施形
態中、第6及び第7の実施形態では、本発明による多孔
質酸化チタン皮膜が形成されたチタン板を用いて、その
NOx 分解用光触媒としての触媒活性について説明す
る。
【0039】〔第1の実施形態〕チタン基板の陽極酸化
条件は、濃度0.08mol/l のβ−グリセロリン酸ナトリウ
ムと0.05mol/l の酢酸ストロンチウムからなる電解質水
溶液を用い、電解質温度40℃、電流密度50mA/cm2とし、
電圧を 400Vまでとした。水熱処理条件は、高圧水中に
おいて 300℃、2時間とした。
条件は、濃度0.08mol/l のβ−グリセロリン酸ナトリウ
ムと0.05mol/l の酢酸ストロンチウムからなる電解質水
溶液を用い、電解質温度40℃、電流密度50mA/cm2とし、
電圧を 400Vまでとした。水熱処理条件は、高圧水中に
おいて 300℃、2時間とした。
【0040】図1は、上記の処理を終了した多孔質酸化
チタン皮膜の断面を示した模式図である。多孔質酸化チ
タン皮膜1は、酸化チタン微粒子2とその境界に形成さ
れた気孔3とから構成され、またその最表面には微細な
凹凸4が形成されている。陽極酸化の際にP、Sr等の
イオンが気孔3の中に取り込まれるので、多孔質酸化チ
タン皮膜1の表面積の増加は主として表面の微細な凹凸
4に負っている。
チタン皮膜の断面を示した模式図である。多孔質酸化チ
タン皮膜1は、酸化チタン微粒子2とその境界に形成さ
れた気孔3とから構成され、またその最表面には微細な
凹凸4が形成されている。陽極酸化の際にP、Sr等の
イオンが気孔3の中に取り込まれるので、多孔質酸化チ
タン皮膜1の表面積の増加は主として表面の微細な凹凸
4に負っている。
【0041】水熱処理によってこれらのイオンを高温高
圧の水中に溶出させると、気孔3の内部は空になるの
で、多孔質酸化チタン皮膜1の表面積はさらに一層増加
する。図2は、上記の処理を終了した多孔質酸化チタン
皮膜の表面構造を示すSEM写真である。この皮膜は、
粒径が約40nmの非常に微細な酸化チタン微粒子からな
り、微粒子間には気孔が存在している多孔質構造であっ
た。尚、微粒子の結晶相はアナターゼ型であった。
圧の水中に溶出させると、気孔3の内部は空になるの
で、多孔質酸化チタン皮膜1の表面積はさらに一層増加
する。図2は、上記の処理を終了した多孔質酸化チタン
皮膜の表面構造を示すSEM写真である。この皮膜は、
粒径が約40nmの非常に微細な酸化チタン微粒子からな
り、微粒子間には気孔が存在している多孔質構造であっ
た。尚、微粒子の結晶相はアナターゼ型であった。
【0042】又、多孔質酸化チタン皮膜の膜厚は約12μ
m であり、これに対する元素分析の結果、陽極酸化の際
に皮膜中に取り込まれたP、Sr等の元素を示す回折ピ
ークは低い値を示し、水熱処理によって皮膜から水中へ
溶出したことが明らかとなった。この様に、陽極酸化皮
膜からPとSrを溶出させることによって、大きな表面
積をもつ多孔質酸化チタン皮膜が形成された。
m であり、これに対する元素分析の結果、陽極酸化の際
に皮膜中に取り込まれたP、Sr等の元素を示す回折ピ
ークは低い値を示し、水熱処理によって皮膜から水中へ
溶出したことが明らかとなった。この様に、陽極酸化皮
膜からPとSrを溶出させることによって、大きな表面
積をもつ多孔質酸化チタン皮膜が形成された。
【0043】〔第2の実施形態〕チタン基板の陽極酸化
条件は、濃度0.005mol/lのβ−グリセロリン酸ナトリウ
ムと 0.08mol/lの酢酸ストロンチウムからなる電解質水
溶液を用い、電解質温度40℃、電流密度50mA/cm2とし、
電圧を 350Vまでとした。水熱処理条件は、高圧水中に
おいて 300℃、2時間とした。
条件は、濃度0.005mol/lのβ−グリセロリン酸ナトリウ
ムと 0.08mol/lの酢酸ストロンチウムからなる電解質水
溶液を用い、電解質温度40℃、電流密度50mA/cm2とし、
電圧を 350Vまでとした。水熱処理条件は、高圧水中に
おいて 300℃、2時間とした。
【0044】未処理のチタン基板の表面積に対し、陽極
酸化終了後の表面積は60倍に増加し、水熱処理終了後で
は98倍に増加した。尚、表面積測定法として窒素吸着法
を用いた。 〔第3の実施形態〕チタン基板の陽極酸化条件は、濃度
0.005mol/lのβ−グリセロリン酸ナトリウムと 0.13mol
/lの酢酸ナトリウムからなる電解質水溶液を用い、電解
質温度40℃、電流密度50mA/cm2とし、電圧を 350Vまで
とした。水熱処理条件は、高圧水中において 300℃、2
時間とした。
酸化終了後の表面積は60倍に増加し、水熱処理終了後で
は98倍に増加した。尚、表面積測定法として窒素吸着法
を用いた。 〔第3の実施形態〕チタン基板の陽極酸化条件は、濃度
0.005mol/lのβ−グリセロリン酸ナトリウムと 0.13mol
/lの酢酸ナトリウムからなる電解質水溶液を用い、電解
質温度40℃、電流密度50mA/cm2とし、電圧を 350Vまで
とした。水熱処理条件は、高圧水中において 300℃、2
時間とした。
【0045】未処理のチタン基板の表面積に対し、陽極
酸化終了後の表面積は35倍に増加し、水熱処理終了後で
は63倍に増加した。 〔第4の実施形態〕チタン基板の陽極酸化条件は、濃度
0.02mol/lのβ−グリセロリン酸ナトリウムと 0.09mol
/lの酢酸ストロンチウムからなる電解質水溶液を用い、
電解質温度40℃、電流密度50mA/cm2とし、電圧を 350V
までとした。水熱処理条件は、高圧水中において 300
℃、2時間とした。
酸化終了後の表面積は35倍に増加し、水熱処理終了後で
は63倍に増加した。 〔第4の実施形態〕チタン基板の陽極酸化条件は、濃度
0.02mol/lのβ−グリセロリン酸ナトリウムと 0.09mol
/lの酢酸ストロンチウムからなる電解質水溶液を用い、
電解質温度40℃、電流密度50mA/cm2とし、電圧を 350V
までとした。水熱処理条件は、高圧水中において 300
℃、2時間とした。
【0046】その結果、多孔質酸化チタン皮膜の膜厚は
2.5μm となった。また、電圧のみを 400Vまでとした
場合には、多孔質酸化チタン皮膜の膜厚は 9.0μm とな
った。つまり、高い電圧まで陽極酸化するほど膜厚の増
加がみられる。 〔第5の実施形態〕チタン基板の陽極酸化条件は、β−
グリセロリン酸ナトリウムの濃度を0.005mol/l一定と
し、酢酸カルシウムの濃度を 0〜0.4mol/lの範囲で変化
させ、その他の条件は、第1の実施形態と同様に、電解
質温度40℃、電流密度50mA/cm2とし、電圧を 350Vまで
とした。水熱処理条件も、高圧水中において 300℃、2
時間とした。
2.5μm となった。また、電圧のみを 400Vまでとした
場合には、多孔質酸化チタン皮膜の膜厚は 9.0μm とな
った。つまり、高い電圧まで陽極酸化するほど膜厚の増
加がみられる。 〔第5の実施形態〕チタン基板の陽極酸化条件は、β−
グリセロリン酸ナトリウムの濃度を0.005mol/l一定と
し、酢酸カルシウムの濃度を 0〜0.4mol/lの範囲で変化
させ、その他の条件は、第1の実施形態と同様に、電解
質温度40℃、電流密度50mA/cm2とし、電圧を 350Vまで
とした。水熱処理条件も、高圧水中において 300℃、2
時間とした。
【0047】図3は、本実施形態に係る多孔質酸化チタ
ン皮膜の結晶相の組成変化を示す図である。図3に示す
ように、アナターゼ相及びルチル相の組成比率は、酢酸
カルシウムの濃度に応じて変化する。アナターゼ相の組
成比率は、酢酸カルシウムの濃度範囲を0.05〜0.1mol/l
としたときに90〜 100%であった。アナターゼ相の回折
強度は、酢酸カルシウムの濃度を 0.09mol/lとしたとき
に最大になり、その組成比率は92%であった。しかし、
酢酸カルシウムの濃度を高めてゆくと、ルチル相の割合
が増加してしまう。従って、酢酸カルシウムの濃度をあ
る範囲に限定することによって、アナターゼ相の組成比
率を90〜 100%とすることができる。本実施形態では、
酢酸カルシウムの濃度範囲を0.05〜0.1mol/lとしたとき
に、ほぼアナターゼ単一相の多孔質酸化チタン皮膜が得
られたが、使用する金属酢酸塩の種類や他の陽極酸化条
件によってアナターゼ相の組成比率が異なるので、適切
なな条件を選ぶ必要がある。
ン皮膜の結晶相の組成変化を示す図である。図3に示す
ように、アナターゼ相及びルチル相の組成比率は、酢酸
カルシウムの濃度に応じて変化する。アナターゼ相の組
成比率は、酢酸カルシウムの濃度範囲を0.05〜0.1mol/l
としたときに90〜 100%であった。アナターゼ相の回折
強度は、酢酸カルシウムの濃度を 0.09mol/lとしたとき
に最大になり、その組成比率は92%であった。しかし、
酢酸カルシウムの濃度を高めてゆくと、ルチル相の割合
が増加してしまう。従って、酢酸カルシウムの濃度をあ
る範囲に限定することによって、アナターゼ相の組成比
率を90〜 100%とすることができる。本実施形態では、
酢酸カルシウムの濃度範囲を0.05〜0.1mol/lとしたとき
に、ほぼアナターゼ単一相の多孔質酸化チタン皮膜が得
られたが、使用する金属酢酸塩の種類や他の陽極酸化条
件によってアナターゼ相の組成比率が異なるので、適切
なな条件を選ぶ必要がある。
【0048】〔第6の実施形態〕本実施形態では、幅20
mm、長さ 150mm、厚さ 0.5mmのチタン基板(チタン板)
に本発明の陽極酸化処理と水熱処理を施して形成された
多孔質酸化チタン皮膜に関し、そのNOx 分解用光触媒
としての性能について説明する。チタン基板の陽極酸化
条件は、濃度0.02mol/l のβ−グリセロリン酸ナトリウ
ムと0.08mol/l の酢酸ストロンチウムからなる電解質水
溶液を用い、電解質温度40℃、電流密度50mA/cm2とし、
電圧を 400Vまでとした。陽極酸化に要した時間は、約
7分であった。次に、水熱処理条件は、高圧水中におい
て 180℃、4時間とした。水熱処理には、蒸留水を 0.9
l入れた、容量 1.3lのオートクレーブを用いた。
mm、長さ 150mm、厚さ 0.5mmのチタン基板(チタン板)
に本発明の陽極酸化処理と水熱処理を施して形成された
多孔質酸化チタン皮膜に関し、そのNOx 分解用光触媒
としての性能について説明する。チタン基板の陽極酸化
条件は、濃度0.02mol/l のβ−グリセロリン酸ナトリウ
ムと0.08mol/l の酢酸ストロンチウムからなる電解質水
溶液を用い、電解質温度40℃、電流密度50mA/cm2とし、
電圧を 400Vまでとした。陽極酸化に要した時間は、約
7分であった。次に、水熱処理条件は、高圧水中におい
て 180℃、4時間とした。水熱処理には、蒸留水を 0.9
l入れた、容量 1.3lのオートクレーブを用いた。
【0049】図4は、上記の処理により製造されたNO
x 分解用光触媒の部分断面図である。チタン基板5の表
面に多孔質酸化チタン皮膜1が形成されている。この多
孔質酸化チタン皮膜1は、粒径が約30nmの微細な酸化チ
タン微粒子からなり、微粒子間には気孔が存在している
多孔質構造であり、チタン基板5と強固に結合されてい
た。微粒子の結晶相は 100%アナターゼ相であった。こ
の多孔質酸化チタン皮膜の膜厚は約8μm であり、その
表面積は 700〜 800倍と著しく増大していた。
x 分解用光触媒の部分断面図である。チタン基板5の表
面に多孔質酸化チタン皮膜1が形成されている。この多
孔質酸化チタン皮膜1は、粒径が約30nmの微細な酸化チ
タン微粒子からなり、微粒子間には気孔が存在している
多孔質構造であり、チタン基板5と強固に結合されてい
た。微粒子の結晶相は 100%アナターゼ相であった。こ
の多孔質酸化チタン皮膜の膜厚は約8μm であり、その
表面積は 700〜 800倍と著しく増大していた。
【0050】続いて、上記の処理を終了した多孔質酸化
チタン皮膜について、閉鎖循環系反応装置を用いて触媒
活性の評価を行った。 (a)蛍光灯光による触媒活性の評価 フラスコに上記の多孔質酸化チタンが形成されたチタン
板及び濃度が10.5ppmのNO標準ガスを約 650mmHg導入
して封入した。フラスコに 100Wの蛍光灯の光を照射
し、経時的にNOガスの濃度を測定した。
チタン皮膜について、閉鎖循環系反応装置を用いて触媒
活性の評価を行った。 (a)蛍光灯光による触媒活性の評価 フラスコに上記の多孔質酸化チタンが形成されたチタン
板及び濃度が10.5ppmのNO標準ガスを約 650mmHg導入
して封入した。フラスコに 100Wの蛍光灯の光を照射
し、経時的にNOガスの濃度を測定した。
【0051】図5は、3つの条件下で光を照射したと
き、NO標準ガス濃度の経時変化を示すグラフである。
NOガス濃度は、照射時間にほぼ比例して減少し、その
減少量によって光触媒効果が評価できる。図5に示すよ
うに、蛍光灯の光を24時間照射すると、初期濃度 10.5p
pmのNO標準ガスが2.2ppmに減少した。次に、光による
NOガスの自然分解の可能性を調べるために、NO標準
ガスのみを入れて蛍光灯の光を照射するブランク実験を
行なった。その結果、初期濃度 10.5ppmのNO標準ガス
が8.6ppmに減少した。さらに、触媒やフラスコ等への吸
着を調べるために、多孔質酸化チタンが形成されたチタ
ン板及びNO標準ガスをフラスコに入れ、外部光を遮断
するダーク実験を行なったところ、初期濃度 10.5ppmの
NO標準ガスが8.7ppmに減少した。以上の実験結果か
ら、24時間の照射後に少なくとも6ppmのNOガスが光触
媒作用により分解されたと考えられる。
き、NO標準ガス濃度の経時変化を示すグラフである。
NOガス濃度は、照射時間にほぼ比例して減少し、その
減少量によって光触媒効果が評価できる。図5に示すよ
うに、蛍光灯の光を24時間照射すると、初期濃度 10.5p
pmのNO標準ガスが2.2ppmに減少した。次に、光による
NOガスの自然分解の可能性を調べるために、NO標準
ガスのみを入れて蛍光灯の光を照射するブランク実験を
行なった。その結果、初期濃度 10.5ppmのNO標準ガス
が8.6ppmに減少した。さらに、触媒やフラスコ等への吸
着を調べるために、多孔質酸化チタンが形成されたチタ
ン板及びNO標準ガスをフラスコに入れ、外部光を遮断
するダーク実験を行なったところ、初期濃度 10.5ppmの
NO標準ガスが8.7ppmに減少した。以上の実験結果か
ら、24時間の照射後に少なくとも6ppmのNOガスが光触
媒作用により分解されたと考えられる。
【0052】(b)高圧水銀灯光による触媒活性の評価 フラスコに上記の多孔質酸化チタンが形成されたチタン
板及び濃度が 10.0ppmのNO標準ガスを約 650mmHg導入
して封入した。フラスコに 450W高圧水銀灯の光を照射
し、経時的にNOガスの濃度を測定した。図5に示すよ
うに、水銀灯の光を1時間照射すると、初期濃度 10.0p
pmのNO標準ガスが0.6ppmに減少した。次に、光による
NOガスの自然分解の可能性を調べるために、NO標準
ガスのみを入れて水銀灯の光を照射するブランク実験を
行なった。1時間後に、初期濃度 10.0ppmのNO標準ガ
スが9.4ppmに減少した。さらに、触媒やフラスコ等への
吸着を調べるために、多孔質酸化チタンが形成されたチ
タン板及びNO標準ガスをフラスコに入れ、ダーク実験
を行なった。18時間後、初期濃度 10.0ppmのNO標準ガ
スが8.5ppmに減少した。以上の実験結果から、1時間後
に少なくとも8ppmのNOガスが光触媒作用により分解さ
れたと考えられる。
板及び濃度が 10.0ppmのNO標準ガスを約 650mmHg導入
して封入した。フラスコに 450W高圧水銀灯の光を照射
し、経時的にNOガスの濃度を測定した。図5に示すよ
うに、水銀灯の光を1時間照射すると、初期濃度 10.0p
pmのNO標準ガスが0.6ppmに減少した。次に、光による
NOガスの自然分解の可能性を調べるために、NO標準
ガスのみを入れて水銀灯の光を照射するブランク実験を
行なった。1時間後に、初期濃度 10.0ppmのNO標準ガ
スが9.4ppmに減少した。さらに、触媒やフラスコ等への
吸着を調べるために、多孔質酸化チタンが形成されたチ
タン板及びNO標準ガスをフラスコに入れ、ダーク実験
を行なった。18時間後、初期濃度 10.0ppmのNO標準ガ
スが8.5ppmに減少した。以上の実験結果から、1時間後
に少なくとも8ppmのNOガスが光触媒作用により分解さ
れたと考えられる。
【0053】以上のように、アナタ−ゼ相の結晶性が高
く、しかも単位面積当たりの表面積が非常に大きい多孔
質酸化チタン皮膜を光触媒に用いると、その表面に吸着
できるNO分子の数が飛躍的に多くなり、短時間に効率
よくNOガスを分解することができる。 〔第7の実施形態〕本実施形態では、幅20mm、長さ 150
mm、厚さ 0.5mmのチタン基板(チタン板)に本発明の陽
極酸化処理と水熱処理を施して形成された多孔質酸化チ
タン皮膜に関し、そのNOx 分解用光触媒としての性能
について説明する。
く、しかも単位面積当たりの表面積が非常に大きい多孔
質酸化チタン皮膜を光触媒に用いると、その表面に吸着
できるNO分子の数が飛躍的に多くなり、短時間に効率
よくNOガスを分解することができる。 〔第7の実施形態〕本実施形態では、幅20mm、長さ 150
mm、厚さ 0.5mmのチタン基板(チタン板)に本発明の陽
極酸化処理と水熱処理を施して形成された多孔質酸化チ
タン皮膜に関し、そのNOx 分解用光触媒としての性能
について説明する。
【0054】チタン基板の陽極酸化条件は、濃度0.01mo
l/l のβ−グリセロリン酸ナトリウムと0.13mol/l の酢
酸ナトリウムからなる電解質水溶液を用い、電解質温度
40℃、電流密度50mA/cm2とし、電圧を 350Vまでとし
た。陽極酸化に要した時間は、約5分であった。次に、
水熱処理条件は、高圧水中において 300℃、2時間とし
た。水熱処理には、蒸留水を 0.2l入れた、容量 1.3l
のオートクレーブを用いた。
l/l のβ−グリセロリン酸ナトリウムと0.13mol/l の酢
酸ナトリウムからなる電解質水溶液を用い、電解質温度
40℃、電流密度50mA/cm2とし、電圧を 350Vまでとし
た。陽極酸化に要した時間は、約5分であった。次に、
水熱処理条件は、高圧水中において 300℃、2時間とし
た。水熱処理には、蒸留水を 0.2l入れた、容量 1.3l
のオートクレーブを用いた。
【0055】続いて、上記の処理を終了した多孔質酸化
チタン皮膜について、閉鎖循環系反応装置を用いて触媒
活性の評価を行った。 (c)太陽光による触媒活性の評価 容量2lのフラスコに上記の多孔質酸化チタンが形成さ
れたチタン板及び濃度が10.5ppm のNO標準ガスを約 6
50mmHg導入して封入した。フラスコに太陽光を照射し、
経時的にNOガスの濃度を測定した。
チタン皮膜について、閉鎖循環系反応装置を用いて触媒
活性の評価を行った。 (c)太陽光による触媒活性の評価 容量2lのフラスコに上記の多孔質酸化チタンが形成さ
れたチタン板及び濃度が10.5ppm のNO標準ガスを約 6
50mmHg導入して封入した。フラスコに太陽光を照射し、
経時的にNOガスの濃度を測定した。
【0056】太陽光を延べ24時間照射すると、初期濃度
10.0ppmのNO標準ガスが0.1ppmに減少した。次に、光
によるNOガスの自然分解の可能性を調べるために、N
O標準ガスのみを入れて太陽光を照射するブランク実験
を行なった。24時間後に、初期濃度 10.5ppmのNO標準
ガスが9.0ppmに減少した。さらに、触媒やフラスコ等へ
の吸着を調べるために、多孔質酸化チタンが形成された
チタン板及びNO標準ガスをフラスコに入れ、ダーク実
験を行なった。24時間後、初期濃度 10.5ppmのNO標準
ガスが10.0ppm に減少した。以上の実験結果から、太陽
光によって24時間後に少なくとも8ppmのNOガスが光触
媒作用により分解されたと考えられる。
10.0ppmのNO標準ガスが0.1ppmに減少した。次に、光
によるNOガスの自然分解の可能性を調べるために、N
O標準ガスのみを入れて太陽光を照射するブランク実験
を行なった。24時間後に、初期濃度 10.5ppmのNO標準
ガスが9.0ppmに減少した。さらに、触媒やフラスコ等へ
の吸着を調べるために、多孔質酸化チタンが形成された
チタン板及びNO標準ガスをフラスコに入れ、ダーク実
験を行なった。24時間後、初期濃度 10.5ppmのNO標準
ガスが10.0ppm に減少した。以上の実験結果から、太陽
光によって24時間後に少なくとも8ppmのNOガスが光触
媒作用により分解されたと考えられる。
【0057】以上、第6及び第7の実施形態で説明した
NOx 分解用光触媒は、多孔質酸化チタン皮膜の結晶性
が高いので、触媒活性を向上させる効果がある。又、光
触媒の製造に通常用いられる助触媒である白金の担持等
の修飾を本発明の光触媒にも適用できる。先述したよう
に、本発明の多孔質酸化チタン皮膜は、板状のチタンの
みに限定されず、繊維状、織物状若しくは網状又はこれ
らを2次元、3次元に組み合わせた集合体の表面上にも
均一な厚さに形成させることができる。これらの形態を
とれば、ガスの流路を遮るように配置することも可能で
あり、NOx を透過させて除去を行うことができる。
NOx 分解用光触媒は、多孔質酸化チタン皮膜の結晶性
が高いので、触媒活性を向上させる効果がある。又、光
触媒の製造に通常用いられる助触媒である白金の担持等
の修飾を本発明の光触媒にも適用できる。先述したよう
に、本発明の多孔質酸化チタン皮膜は、板状のチタンの
みに限定されず、繊維状、織物状若しくは網状又はこれ
らを2次元、3次元に組み合わせた集合体の表面上にも
均一な厚さに形成させることができる。これらの形態を
とれば、ガスの流路を遮るように配置することも可能で
あり、NOx を透過させて除去を行うことができる。
【0058】
【発明の効果】本発明では、陽極酸化で形成される皮膜
に電解質中に溶解している可溶性物質を取り込ませた後
に、液体中または蒸気中で水熱処理を行い、可溶性物質
を溶出させることによって、多孔質の酸化チタン皮膜を
形成する。この多孔質酸化チタン皮膜は、大面積の複雑
形状のチタン基板上に均一な厚さで形成できる。多孔質
酸化チタン皮膜には微細な気孔が無数形成されるので、
実際の表面積は見かけの面積の50倍以上に増加させる
ことができる。また、陽極酸化条件における電解質の濃
度、組成比率等の比較的少ないパラメーターを制御する
だけで、活性の高いアナターゼ相の組成比率を高めるこ
とができる。
に電解質中に溶解している可溶性物質を取り込ませた後
に、液体中または蒸気中で水熱処理を行い、可溶性物質
を溶出させることによって、多孔質の酸化チタン皮膜を
形成する。この多孔質酸化チタン皮膜は、大面積の複雑
形状のチタン基板上に均一な厚さで形成できる。多孔質
酸化チタン皮膜には微細な気孔が無数形成されるので、
実際の表面積は見かけの面積の50倍以上に増加させる
ことができる。また、陽極酸化条件における電解質の濃
度、組成比率等の比較的少ないパラメーターを制御する
だけで、活性の高いアナターゼ相の組成比率を高めるこ
とができる。
【0059】また、本発明では、チタン基板上に上記の
多孔質酸化チタン皮膜を形成させ、これをNOx 分解用
光触媒に応用した。この光触媒は、人工光照射でも自然
光の下でもNOx 分解に関して高い触媒活性を示すと共
に、多孔質酸化チタン皮膜がチタン基板に強固に結合し
ており、多孔質酸化チタン皮膜が基板から剥離したり脱
落することがほとんど全くない。さらに、板状のチタン
に限らず、繊維状、織物状若しくは網状又はこれらを2
次元、3次元に組み合わせた集合体に対してもその表面
上にも均一な厚さの多孔質酸化チタン皮膜を形成させる
ことができるので、装置やデバイスに組み込む際の設計
の自由度が増す。
多孔質酸化チタン皮膜を形成させ、これをNOx 分解用
光触媒に応用した。この光触媒は、人工光照射でも自然
光の下でもNOx 分解に関して高い触媒活性を示すと共
に、多孔質酸化チタン皮膜がチタン基板に強固に結合し
ており、多孔質酸化チタン皮膜が基板から剥離したり脱
落することがほとんど全くない。さらに、板状のチタン
に限らず、繊維状、織物状若しくは網状又はこれらを2
次元、3次元に組み合わせた集合体に対してもその表面
上にも均一な厚さの多孔質酸化チタン皮膜を形成させる
ことができるので、装置やデバイスに組み込む際の設計
の自由度が増す。
【0060】また、本発明の多孔質酸化チタン皮膜の製
造法は、他の製造法に比べて装置の値段、装置の稼働費
用及びメンテナンス費用が安い。
造法は、他の製造法に比べて装置の値段、装置の稼働費
用及びメンテナンス費用が安い。
【図1】第1の実施形態に係る多孔質酸化チタン皮膜の
断面を示す部分模式図である。
断面を示す部分模式図である。
【図2】第1の実施形態に係る多孔質酸化チタン皮膜の
表面のSEM写真である。
表面のSEM写真である。
【図3】第5の実施形態に係る多孔質酸化チタン皮膜の
結晶相の組成変化を示す図である。
結晶相の組成変化を示す図である。
【図4】第6の実施形態に係るNOx 分解用光触媒の部
分断面図である。
分断面図である。
【図5】第6の実施形態に係る、光を照射したときのN
O標準ガス濃度の経時変化を示すグラフである。
O標準ガス濃度の経時変化を示すグラフである。
1・・・多孔質酸化チタン皮膜 2・・・酸化チタン微粒子 3・・・気孔 4・・・微細な凹凸 5・・・チタン基板
Claims (12)
- 【請求項1】 グリセロリン酸塩と金属酢酸塩とから成
る電解質の水溶液中でチタン基板を陽極酸化して、液体
に可溶な物質を含有する、少なくとも 0.1μm の厚さの
陽極酸化皮膜を作製する工程と、 前記陽極酸化皮膜が形成された前記チタン基板を液体中
またはその蒸気中で水熱処理して前記陽極酸化皮膜中
の、液体に可溶な物質を溶出させて、微小な気孔を形成
させる工程と、 から成ることを特徴とする多孔質酸化チタン皮膜の製造
方法。 - 【請求項2】 前記金属酢酸塩は、アルカリ金属若しく
はアルカリ土類金属の酢酸塩又は酢酸ランタンであるこ
とを特徴とする請求項1に記載の多孔質酸化チタン皮膜
の製造方法。 - 【請求項3】 前記グリセロリン酸塩は、グリセロリン
酸ナトリウムであり、前記グリセロリン酸ナトリウムの
水溶液中の濃度を 0.001〜0.15mol/l とし、 前記金属酢酸塩の水溶液中の濃度を0.01〜0.5mol/lとし
たことを特徴とする請求項1に記載の多孔質酸化チタン
皮膜の製造方法。 - 【請求項4】 グリセロリン酸塩と金属酢酸塩とから成
る電解質の水溶液中でチタン細線から構成されたチタン
網を陽極酸化して、液体に可溶な物質を含有する、少な
くとも 0.1μm の厚さの陽極酸化皮膜を作製する工程
と、 前記陽極酸化皮膜が形成された前記チタン網を液体中ま
たはその蒸気中で水熱処理して前記陽極酸化皮膜中の、
液体に可溶な物質を溶出させて、微小な気孔を形成させ
る工程と、 から成ることを特徴とする多孔質酸化チタン皮膜の製造
方法。 - 【請求項5】 前記金属酢酸塩は、アルカリ金属若しく
はアルカリ土類金属の酢酸塩又は酢酸ランタンであるこ
とを特徴とする請求項4に記載の多孔質酸化チタン皮膜
の製造方法。 - 【請求項6】 前記グリセロリン酸塩は、グリセロリン
酸ナトリウムであり、前記グリセロリン酸ナトリウムの
水溶液中の濃度を 0.001〜0.15mol/l とし、 前記金属酢酸塩の水溶液中の濃度を0.01〜0.5mol/lとし
たことを特徴とする請求項4に記載の多孔質酸化チタン
皮膜の製造方法。 - 【請求項7】 チタンをグリセロリン酸塩と金属酢酸塩
とから成る電解質の水溶液中で陽極酸化し、さらに、液
体中またはその蒸気中で水熱処理することにより形成さ
れた、無数の微小な気孔を含有する少なくとも 0.1μm
の厚さの酸化チタン皮膜であることを特徴とする多孔質
酸化チタン皮膜。 - 【請求項8】 前記金属酢酸塩は、アルカリ金属若しく
はアルカリ土類金属の酢酸塩又は酢酸ランタンであるこ
とを特徴とする請求項7に記載の多孔質酸化チタン皮
膜。 - 【請求項9】 前記グリセロリン酸塩は、グリセロリン
酸ナトリウムであり、前記グリセロリン酸ナトリウムの
水溶液中の濃度を 0.001〜0.15mol/l とし、 前記金属酢酸塩の水溶液中の濃度を0.01〜0.5mol/lとし
たことを特徴とする請求項7に記載の多孔質酸化チタン
皮膜。 - 【請求項10】 チタン基板又はチタン網と、該チタン
基板又はチタン網をグリセロリン酸塩と金属酢酸塩とか
ら成る電解質の水溶液中で陽極酸化し、さらに、液体中
またはその蒸気中で水熱処理することにより形成され
た、無数の微小な気孔を含有する少なくとも 0.1μm の
厚さの酸化チタン皮膜と、から成ることを特徴とする窒
素酸化物ガス分解用光触媒。 - 【請求項11】 前記金属酢酸塩は、アルカリ金属若し
くはアルカリ土類金属の酢酸塩又は酢酸ランタンである
ことを特徴とする請求項10に記載の窒素酸化物ガス分
解用光触媒。 - 【請求項12】 前記グリセロリン酸塩は、グリセロリ
ン酸ナトリウムであり、前記グリセロリン酸ナトリウム
の水溶液中の濃度を 0.001〜0.15mol/l とし、 前記金属酢酸塩の水溶液中の濃度を0.01〜0.5mol/lとし
たことを特徴とする請求項10に記載の窒素酸化物ガス
分解用光触媒。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9010550A JPH10130887A (ja) | 1996-09-04 | 1997-01-23 | 多孔質酸化チタン皮膜の製造方法及び多孔質酸化チタン皮膜及び窒素酸化物ガス分解用光触媒 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23417396 | 1996-09-04 | ||
JP8-234173 | 1996-09-04 | ||
JP9010550A JPH10130887A (ja) | 1996-09-04 | 1997-01-23 | 多孔質酸化チタン皮膜の製造方法及び多孔質酸化チタン皮膜及び窒素酸化物ガス分解用光触媒 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10130887A true JPH10130887A (ja) | 1998-05-19 |
Family
ID=26345834
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9010550A Pending JPH10130887A (ja) | 1996-09-04 | 1997-01-23 | 多孔質酸化チタン皮膜の製造方法及び多孔質酸化チタン皮膜及び窒素酸化物ガス分解用光触媒 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10130887A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000202302A (ja) * | 1998-12-31 | 2000-07-25 | Lg Electronics Inc | フィルム型の光触媒並びにその製造方法 |
JP2006297230A (ja) * | 2005-04-18 | 2006-11-02 | Tokyo Institute Of Technology | 酸化チタン薄膜、酸化チタン薄膜を含む光触媒材料、その製造方法、光触媒水浄化装置、および光触媒反応を利用した水浄化方法 |
JP2008254983A (ja) * | 2007-04-06 | 2008-10-23 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | ナノ針状アナターゼTiO2結晶集積粒子と多孔質アナターゼTiO2結晶膜及びそれらの作製方法 |
JP2009023854A (ja) * | 2007-07-17 | 2009-02-05 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | エピタキシャルナノTiO2粒子コーティング及びその作製方法 |
JP2009067655A (ja) * | 2007-09-14 | 2009-04-02 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | ナノ結晶集積TiO2及びその作製方法 |
CN101862668A (zh) * | 2010-06-30 | 2010-10-20 | 哈尔滨工业大学 | 一种纳米二氧化钛薄膜光催化剂表面气相扩渗改性方法 |
JP2011047878A (ja) * | 2009-08-28 | 2011-03-10 | Nippon Steel Corp | チタンの大気環境中における耐変色性の評価方法 |
-
1997
- 1997-01-23 JP JP9010550A patent/JPH10130887A/ja active Pending
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