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JPH10114778A - 新規化合物f−12517 - Google Patents

新規化合物f−12517

Info

Publication number
JPH10114778A
JPH10114778A JP26837696A JP26837696A JPH10114778A JP H10114778 A JPH10114778 A JP H10114778A JP 26837696 A JP26837696 A JP 26837696A JP 26837696 A JP26837696 A JP 26837696A JP H10114778 A JPH10114778 A JP H10114778A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
salt
culture
methanol
vibrissea
strain
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP26837696A
Other languages
English (en)
Inventor
Atsuko Shimada
厚子 島田
Takeshi Hosoya
剛 細矢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sankyo Co Ltd
Original Assignee
Sankyo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sankyo Co Ltd filed Critical Sankyo Co Ltd
Priority to JP26837696A priority Critical patent/JPH10114778A/ja
Publication of JPH10114778A publication Critical patent/JPH10114778A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Heterocyclic Carbon Compounds Containing A Hetero Ring Having Oxygen Or Sulfur (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】ビブリセア・フィリスポリア(Vibriss
ea filisporia)に属する菌株の培養物中
より抗菌活性を有する化合物を見いだした。 【解決手段】下記式: 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は抗菌剤として有用な
F−12517またはその塩に関する。
【0002】
【従来の技術】デカロン骨格を持つスピロ・ケタール誘
導体としては、例えばプレウシア・イソメラ(Preu
ssia isomera)が生産するプレウソメリン
(Preussomerin,J.Org.Chem,
56巻,4355−4360頁(1991年)に記載)
やナトラシア・マンギフェラエ(Nattrassia
mangiferae)が生産するSch50673、
Sch50676(J.Antibiotics,48
巻329−331(1995年)に記載)や未同定のカ
ビ(N983−46)が生産するCJ−12371、C
J−12372(J.Antibiotics,48
巻,134−142(1995年)に記載)が知られて
いる。
【0003】プレウソメリンは抗カビ活性物質として報
告されているが、その活性はあまり強くない。また、S
ch50673,Sch50676は抗腫瘍活性物質と
して報告されている。さらに、CJ−12371,CJ
−12372はDNAギラーゼ(DNA Gyras
e)の阻害作用物質として知られている。
【0004】現在まで盤菌類のビブリセア属が、デカロ
ン骨格のスピロ・ケタール誘導体を生産するという報告
はない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、抗菌活
性を有する化合物について長年、鋭意研究を行った結
果、ビブリセア・フィリスポリア(Vibrissea
filisporia)に属する菌株の培養物中に、
抗菌活性を有する化合物が存在することを見出し、本発
明を完成した。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記式:
【0007】
【化2】
【0008】を有するF−12517またはその塩、に
関する。
【0009】また、本発明は、下記の理化学的性状: (1)物質の性状:酸性脂溶性粉末 (2)分子式:C208 8 Cl2 (3)分子量:446(高分解能EI−MS法により測定) 高分解EI−MS(M+ )(C208 8 Cl2 として) 実測値:445.9588 計算値:445.9596 (4)元素分析値:(%) C208 8 Cl2 として 実測値:C 53.05 H 2.51 Cl 14.87 計算値:C 53.72 H 1.80 Cl 15.86 (5)紫外線吸収スペクトル(λmax nm(ε)): 紫外線吸収スペクトルは、次に示す通りである。
【0010】 メタノール中 : 232(22250),270(sh),395(8090) 酸性メタノール中 : 215(sh),260(13030),360(5840) アルカリ性メタノール中: 240(29670),273(sh),315(sh),420(8990) (6)赤外線吸収スペクトル(νmax cm-1) 臭化カリウム(KBr)錠剤法で測定した赤外線吸収ス
ペクトルは、次に示す通りである。
【0011】3341,1663,1606,1441,1346,1328,1244,117
8,1110,1074,1032,998,949,908,885, (7) 1H−核磁気共鳴スペクトル:(δ,ppm ) 重メタノール中、テトラメチルシランを内部基準として
使用して測定した核磁気共鳴スペクトル(360MHz )
は、次に示す通りである。
【0012】7.86(1H,s),7.14(1H,s),4.34(1H,d),4.25
(1H,d),4.02(1H,d),3.87(1H,d), (8)13C−核磁気共鳴スペクトル:(δ,ppm ) 重メタノール中、テトラメチルシランを内部基準として
使用して測定した核磁気共鳴スペクトル(90MHz )
は、次に示す通りである。
【0013】196.8(s),193.9(s),156.1(s),152.5(s),14
2.9(s),138.9(s),135.3(s),128.9(d),127.0(d),126.0
(s),124.0(s),123.8(s),111.7(s),110.0(s),105.6(s),8
5.5(s),54.7(d),54.6(d),53.3(d),53.1(d), (9)高速液体クロマトグラフィー: 分離カラム:センシュウパック ODS H−2151 (登録商標、カラム φ6×150mm、 センシユウ科学(株)社製) 移動層 :アセトニトリル−0.2 %トリフルオロ酢酸=58.42 流 速 :1.5ml/分 保持時間 :9.2分、 を有するF−12517またはその塩、に関する。
【0014】さらに、本発明は、ビブリセア(Vibrisse
a)属に属するF−12517生産菌を培養し、その培養
物よりF−12517を採取することを特徴とするF−
12517の製法に関し、好適には、ビブリセア属に属
するF−12517生産菌がビブリセア・エスピー(Vi
brissea sp.)SANK18796株(FERM BP−
5685)である、該製法に関する。
【0015】また、本発明は、F−12517またはそ
の薬理上許容される塩からなる医薬に関し、好適には、
F−12517またはその薬理上許容される塩を有効成
分とする抗菌剤に関する。
【0016】本発明は、ビブリセア・エスピー(Vibris
sea sp.)SANK18796株(FERM BP−56
85)自体にも関する。
【0017】本発明のF−12517は、常法に従って
塩にすることができる。F−12517の塩としては、
医学的に使用され、薬理上受け入れられるものであれば
特に限定はない。なお、医薬以外の用途、例えば中間体
として使用する場合はなんら限定はない。その様な塩と
しては、好適にはナトリウム塩、カリウム塩、リチウム
塩のようなアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウ
ム塩のようなアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩、鉄
塩、亜鉛塩、銅鉛、ニッケル塩、コバルト塩等の金属
塩;アンモニウム塩;t−オクチルアミン塩、ジベンジ
ルアミン塩、モルホリン塩、グルコサミン塩、フェニル
グリシンアルキルエステル塩、エチレンジアミン塩、N
−メチルグルカミン塩、グアニジン塩、ジエチルアミン
塩、トリエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、
N,N′−ジベンジルエチレンジアミン塩、クロロプロ
カイン塩、プロカイン塩、ジエタノールアミン塩、N−
ベンジル−フェネチルアミン塩、ピペラジン塩、テトラ
メチルアンモニア塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミ
ノメタン塩のような有機塩等のアミン塩;を挙げること
ができる。薬理上許容される塩として好適にはナトリウ
ム塩、カリウム塩、リチウム塩のようなアルカリ金属
塩;カルシウム塩、マグネシウム塩のようなアルカリ土
類金属塩である。
【0018】更に、本発明のF−12517は種々の立
体異性体を有する。本発明においては、これらの異性体
の等量および非等量混合物がすべて単一の式で示されて
いる。本発明はこれらの異性体およびこれらの異性体の
混合物をもすべて含むものである。
【0019】更に本発明において、F−12517が溶
剤和物(例えば水和物)を形成する場合には、これらも
すべて含むものである。
【0020】例えば、本発明のF−12517が、大気
中に放置されたり、または再結晶をすることにより、水
分を吸収し、吸着水が付着したり、水和物を形成する場
合がある。本発明にはこのような溶剤和物も含まれる。
【0021】更に本発明において、生体内において代謝
されてF−12517に変換される化合物、いわゆるプ
ロドラッグもすべて含むものである。
【0022】本発明の新規化合物F−12517を生産
する上記SANK18796株は茨城県花貫渓谷におい
て採取された腐朽木上に生じていた盤菌類の子実体から
分離したものである。
【0023】SANK18796株の菌学的性状は次の
通りである。
【0024】子嚢盤は基質上に表在し、群生から点在す
る。明らかな柄を持ち、高さは1.5mmである。盤の
直径は約2.5mmで、新鮮時は黄褐色である。乾燥時
は暗褐色だが射出された胞子によりしばしば白色を呈す
る。托は淡〜暗褐色を呈する。托外皮層は矩形菌組織を
呈し、細胞はほぼ外面に直角に配列する。その最外層は
薄壁で、より濃い褐色を呈し、やや外側に突出する。子
嚢は細長い円筒形であり、その大きさは約120×5μ
mである。子嚢の先端は厚壁で、メルツァー試薬にて染
色されない。子嚢胞子は糸状で、大きさ約120×1.
5μm、子嚢内では束状に形成される。射出後多数の隔
壁を生じて分断する。側糸は糸状で、子嚢より20μm
長く伸長し、その幅2μmである。隔壁を有し、先端に
おいて幾分膨大することがある。
【0025】PDA培地上のコロニーは23℃2週間で
直径16mmに達する。膠質で密な菌糸のマットを形成
する。中央部でへそ状に盛り上がり、その他は平坦であ
る。表面の色は、暗緑色で、縁辺部にむかって淡色とな
り、縁付近では緑灰色を呈する。裏面はオリーブ色を呈
し、中央部に向かって濃色となる。気菌糸はビロード状
に発達し、中央部で濃い綿毛状である。中央部で黒色と
なるが、他は無色で、中央付近では菌糸束を形成する。
裏面と同系色の可溶性色素の分泌がわずかに認められ
る。分生子は形成されない。
【0026】WSH培地上のコロニーは23℃2週間で
直径18mmに達する。膠質で密な菌糸のマットを形成
する。平坦で、中央部では暗緑色を呈し、縁辺部にむか
って淡色となる。裏面は中央部付近が黄褐色で、縁辺部
に向かって淡色となり、縁辺部ではほぼ白色を呈する。
気菌糸は綿毛状を呈し、無色である。中央部では黒色と
なり、菌糸束を形成する。可溶性色素の分泌は認められ
ない。分生子は形成されない。なお、培地の組成は次の
通りである。
【0027】PDA 培地:PDA粉(日水製薬(株)
製)39gを蒸留水で1Lとした。 WSH 培地:オートミール10g、硫酸マグネシウム
・7水和物1g、リン酸二水素一カリウム1g、硝酸ナ
トリウム1g、寒天1gを水で1Lとした(PHは調整
していない。)。
【0028】以上の菌学的性状より、本菌に該当するも
のを検索したところ、「The sections A
postemium and Microstemiu
mof the genus Vibrissea(f
ungi),The Journal of Agri
culture of The University
of Puerto Pico51巻:79頁−93
頁(1967年)。」に記載されているビブリセア・フ
ィリスポリア(Vibrissea filispor
ia)の記載とよく一致した。よって、本菌をVibr
isseafilisporia(Bon.)Korf
& Sanchez SANK18796株(以下、
「SANK 18796株」と略称する。
【0029】SANK18796株はビブリセア・フィ
リスポリア(ボン)コルフアンドサンチエツSANK1
8796として、1996年(平成8年)10月1日に
通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託さ
れ、受託番号 FERM BP−5685 が付され
た。
【0030】周知の通り、盤菌類は自然界において、ま
たは人工的な操作(例えば、紫外線照射、放射線照射、
化学薬品処理等)により、変異を起こしやすく、本発明
のSANK18796株もその点は同じである。本発明
にいうSANK18796株はその全ての変異株を包含
する。また、これらの変異株の中には、遺伝的方法、例
えば、組み換え、形質導入、形質転換等により得られた
ものも包含される。即ち、F−12517を生産するS
ANK18796株、それらの変異株およびそれらと明
確に区別されない菌株は全てSANK18796株に包
含される。
【0031】
【発明の実施の形態】本発明のF−12517を得るた
め、これらの微生物の培養は他の発酵生成物を生産する
ために用いられるような培地中で行なわれる。このよう
な培地中には、微生物が資化出来る炭素源、窒素源およ
び無機塩を含有する。
【0032】一般に、炭素源としてはグルコース、フラ
クトース、マルトース、シュークロース、マンニトー
ル、グリセリン、デキストリン、オート麦、ライ麦、ト
ウモロコシデンプン、ジャガイモ、トウモロコシ粉、大
豆油、綿実油、糖蜜、クエン酸、酒石酸等をあげること
ができる。これらの炭素源は当該培地に単独で用いても
よいし、同培地にいくつかの炭素源を組み合わせて用い
ることもできる。
【0033】培地に用いる炭素源の正確な量は、培地中
の他の成分にもよるが、通常、培地量の1−10重量%
で変量する。
【0034】窒素源としては、一般に蛋白質を含有する
物質を発酵工程に用いる。適当な窒素源としては、大豆
粉、フスマ、落花生粉、綿実粉、カゼイン加水分解物、
ファーマミン、魚粉、コーンスチーブリカー、ペプト
ン、肉エキス、イースト、イーストエキス、マルトエキ
ス、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニ
ウム等である。いろいろの窒素源は、0.2−6重量%
の範囲の量で、単独にまたは組み合わせて用いることが
できる。
【0035】炭素源および窒素源は、一般に組み合わせ
て用いるが、純粋な形態である必要がない。微量の生育
因子、ビタミンおよび鉱物栄養を含むより純度の低いも
のを用いてもよい。また、ナトリウム、カリウム、マグ
ネシウム、アンモニウム、カルシウム、フォスフェー
ト、サルフェート、クロライド、カーボネート等のイオ
ンを得ることの出来る通常の塩類を培地中に加えてもよ
い。また、菌の資化しうる硫黄化合物を培地に添加する
と、目的物の生成量が増大する場合がある。例えば、硫
酸亜鉛、硫酸銅、硫酸第一鉄、硫酸アンモニウムのよう
な硫酸塩、チオ硫酸アンモニウムのようなチオ硫酸塩、
亜硫酸アンモニウムのような亜硫酸塩等の無機硫黄化合
物;シスチン、システィン、L−チアゾリジン−4−カ
ルボン酸のような含硫アミノ酸、ピポタウリン、グルタ
チオンのような含硫ペプチド等の有機硫黄化合物、硫酸
第一鉄、硫酸銅のような重金属塩、ビタミンB1 、ビチ
オンのようなビタミン類、サイアミンのような菌体増殖
促進物質等も必要に応じて添加してもよい。また、マン
ガン、鉄、モリブデン、亜鉛、その他の微量金属が含ま
れる。更に必要ならば、特に、栄養培地がかなり泡立つ
ならば、シリコンオイル、ポリアルキレングリコールエ
ーテル、植物油、動物油、界面活性剤のような消泡剤を
培地に添加しても良い(特に、液体培養に際しては、好
適である)。
【0036】ビブリセア・フィリスポリアSANK18
796株を培養し、F−12517を生産する培地のp
Hは、5.0−7.0に変化させることが出来る。
【0037】菌の生育温度は15℃から37℃までであ
るが、22℃から35℃の範囲が生育良好であり、更に
F−12517の生産には、22℃から26℃が好適で
ある。
【0038】培養方法としては、特に制限はなく、微生
物一般に用いられる培養法であればよく、攪拌培養法、
振盪培養法、通気培養法等を使用することができる。好
適には、好気的な液体培養法である攪拌培養法、振盪培
養法、または通気培養法であり、更に好適には、振盪培
養法である。なお、工業的には、通気攪拌培養法が好適
である。
【0039】小規模な培養においては、23℃で数日
間、振盪培養を行なうのが良好である。培養は三角フラ
スコ中で、1−2段階の種の発育工程により開始する。
種の発育段階の培地は、炭素源および窒素源を併用出来
る。種フラスコは定温インキュベーター中で23℃、7
日間振盪するか、または充分に成長するまで振盪する。
成長した種は、第二の種培地または生産培地に接種する
のに用いる。中間の発育工程を用いる場合には、本質的
に同様の方法で成長させ、生産培地に接種するためにそ
れを部分的に用いる。接種したフラスコを一定温度で数
日間振盪し、インキュベーションが終わったらフラスコ
の含有物を遠心分離またはろ過する。
【0040】大量培養の場合には、攪拌後、通気装置を
付けた適当なタンクで培養するのが好ましい。この方法
によれば、栄養培地をタンクの中で作成できる。栄養培
地を121℃まで加熱して滅菌し、冷却後、滅菌培地に
あらかじめ成長させてあった種を接種する。培養は23
℃で通気攪拌して行なう。この方法は、多量の化合物を
得るのに適している。
【0041】培養の経過に伴って生産されるF−125
17の量は経時変化は、高速液体クロマトグラフィーを
用いて測定することができる。通常は、120時間から
200時間の培養でF−12517の生産量は最高値に
達する。
【0042】培養終了後、培養液中の液体部分および菌
体内に存在するF−12517は、菌体、その他の固形
部分を珪藻土をろ過助剤とするろ過操作または遠心分離
によって分別し、そのろ液または上清中および菌体中に
存在するF−12517を、その物理化学的性状を利用
し抽出精製することにより得られる。例えば、ろ液また
は上清中に存在するF−12517は、酸性pH条件下
で水と混和しない有機溶剤、例えば酢酸エチル、クロロ
ホルム、塩化エチレン、塩化メチレン、ブタノール等の
単独または、それらの組み合わせにより抽出精製するこ
とができる。あるいは吸着剤として、例えば活性炭また
は吸着用樹脂であるアンバーライトXAD−2、XAD
−4(登録商標、ローム・アンド・ハース社製)等や、
ダイアイオンHP−10、HP−20、CHP−20、
HP−50(登録商標、三菱化学(株)社製)等が使用
される。F−12517を含む液を上記のごとき吸着剤
の層を通過させて不純物を吸着させて取り除くか、また
はF−12517を吸着させた後、メタノール水、アセ
トン水、ブタノール水等を用いて溶出させることにより
F−12517を得ることができる。また、菌体内に存
在するF−12517は、50−90%の含水アセトン
または含水メタノールにより抽出し有機溶剤を除去した
後、ろ液と同様な抽出精製操作を行なうことにより得る
ことができる。
【0043】このようにして得られたF−12517
は、更にシリカゲル、マグネシウム−シリカゲル系のフ
ロリジルのような担体を用いた吸着カラムクロマトグラ
フィー、セファデックスLH−20(登録商標、ファル
マシア社製)等を用いた分配カラムクロマトグラフィ
ー、コスモシール140C18−OPN(登録商標、ナカ
ライテスク(株)社製)等の逆相担体を用いたカラムク
ロマトグラフィーおよび順相、逆相カラムを用いた高速
液体クロマトグラフィー等で精製することができる。
【0044】以上の分離、精製の手段を単独または適宜
組み合わせ反復して用いることによりF−12517を
分離精製することができる。
【0045】本発明のF−12517は抗菌作用を有
し、抗菌剤として有用である。
【0046】本発明のF−12517を抗菌剤として用
いる場合、種々の形態で投与される。その投与形態とし
ては特に限定はなく、各種製剤形態、患者の年齢、性別
その他の条件、疾患の程度等に応じて決定される。例え
ば錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤、液剤、懸濁
剤、乳剤、顆粒剤およびカプセル剤の場合には経口投与
される。また注射剤の場合には単独であるいはブドウ
糖、アミノ酸等の通常の補液と混合して静脈内投与さ
れ、更には必要に応じて単独で筋肉内、皮内、皮下もし
くは腹腔内投与される。坐剤の場合には直腸内投与され
る。
【0047】これらの各種製剤は、常法に従って主薬に
賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、溶解剤、矯味矯臭
剤、コーティング剤等既知の医薬製剤分野において通常
使用しうる既知の補助剤を用いて製剤化することができ
る。
【0048】錠剤の形態に成形するに際しては、担体と
してこの分野で従来公知のものを広く使用でき、例えば
乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、尿素、澱粉、
炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸等
の賦形剤、水、エタノール、プロパノール、単シロッ
プ、ブドウ糖液、澱粉液、ゼラチン溶液、カルボキシメ
チルセルロース、セラック、メチルセルロース、リン酸
カリウム、ポリビニルピロリドン等の結合剤、乾燥澱
粉、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、ラミナラン
末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシ
エチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナ
トリウム、ステアリン酸モノグリセリド、澱粉、乳糖等
の崩壊剤、白糖、ステアリン、カカオバター、水素添加
油等の崩壊抑制剤、第4級アンモニウム塩類、ラウリル
硫酸ナトリウム等の吸収促進剤、グリセリン、澱粉等の
保湿剤、澱粉、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイ
ド状ケイ酸等の吸着剤、精製タルク、ステアリン酸塩、
硼酸末、ポリエチレングリコール等の滑沢剤等が例示で
きる。更に錠剤は必要に応じ通常の剤皮を施した錠剤、
例えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコ
ーティング錠あるいは二重錠、多層錠とすることができ
る。
【0049】丸剤の形態に成形するに際しては、担体と
してこの分野で従来公知のものを広く使用でき、例えば
ブドウ糖、乳糖、澱粉、カカオ脂、硬化植物油、カオリ
ン、タルク等の賦形剤、アラビアゴム末、トラガント
末、ゼラチン、エタノール等の結合剤、ラミナランカン
テン等の崩壊剤等が例示できる。
【0050】坐剤の形態に成形するに際しては、担体と
してこの分野で従来公知のものを広く使用でき、例えば
ポリエチレングリコール、カカオ脂、高級アルコール、
高級アルコールのエステル類、ゼラチン、半合成グリセ
ライド等を挙げることができる。
【0051】注射剤として調製される場合には、液剤お
よび懸濁剤は殺菌され、且つ血液と等張であるのが好ま
しく、これら液剤、乳剤および懸濁剤の形態に成形する
に際しては、希釈剤としてこの分野において慣用されて
いるものを全て使用でき、例えば水、エチルアルコー
ル、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリル
アルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等を挙
げることができる。尚、この場合、等張性の溶液を調製
するに充分な量の食塩、ブドウ糖またはグリセリンを医
薬製剤中に含有せしめてもよく、また通常の溶解補助
剤、緩衝剤、無痛化剤等を添加してもよい。
【0052】更に必要に応じて着色剤、保存剤、香料、
風味剤、甘味剤等や他の医薬品を含有せしめてもよい。
【0053】上記医薬製剤中に含まれる有効成分化合物
の量は、特に限定されず広範囲に適宜選択されるが、通
常全組成物中1−70重量%、好ましくは1−30重量
%含まれる量とするのが適当である。
【0054】その投与量は症状、年齢、体重、投与方法
および剤形等によって異なるが通常は成人に対して1
日、上限として2000mg、(好ましくは200m
g、更に好ましくは20mg)であり、下限として0.
001mg(好ましくは0.01mg、更に好ましくは
0.1mg)を投与することができる。
【0055】
【実施例】次に、実施例をあげて本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0056】実施例1 F−12517 (1)培養 ビブリセア フィリスポリア SANK18796株
(受託番号 FERMBP−5685)を、無菌的に滅
菌(121℃、20分間)した後述の組成から成る培地
80mlを含む500ml容三角フラスコに一白金耳接
種し、23℃で210rpm(7cmの回転半径)のロ
ータリー振盪培養機で7日間培養した。このようにして
得られた培養液を種培養液として、同じ組成の培地80
mlを含む500ml容三角フラスコ13本に10%の
種培養液を植菌して、23℃で210rpm(7cmの
回転半径)のロータリー振盪培養機で7日間培養した。
【0057】
【表1】 培地組成 ────────────────────────────────── グリセリン 30 g グルコース 30 g 大豆粉(日清ソーヤフラワー(株)) 10 g イーストエクストラクト(ディフコ社製) 2.5 g 可溶性澱粉(関東化学(株)) 20 g ゼラチン(関東化学(株))* 2.5 g 硝酸アンモニウム 2.5 g 消泡剤** 0.5 ml ──────────────────────────────────── 水道水で 1000 mlとした。 (pH 6.5:滅菌前)* 熱湯に入れて溶解してから使用する。
【0058】**ニッサン・ディスフォームCB−442
(登録商標、日本油脂(株)社製)の10%アセトン溶
液である。
【0059】(2)単離精製 得られた培養液1000mlを塩酸を用いてpH3に調
整した後、等量のアセトンおよび酢酸エチルを加えて抽
出した。抽出した酢酸エチル層は順次水、飽和食塩水、
水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。抽出液を
減圧下で濃縮乾固すると、1.8gの油状物が得られ
た。得られた油状物を50%メタノール10mlに溶解
し、コスモシールカラム(登録商標、サイズ φ3.5
×25cm)に吸着させた。次いで、同一溶剤で展開し
た後、50%アセトニトリルで展開し、更に70%アセ
トニトリルで溶出した。F−12517を含む画分14
4mgを集めた。得られた粉末をメタノール1.4ml
に溶解し、高速液体クロマトグラフィーに付して分取し
た(分取条件、カラム:センシュウパックODS H−
4251(登録商標、サイズ φ10×250mm)、
溶出液:アセトニトリル−0.2%トリフルオロ酢酸=
6:4、流速:5ml/分)。F−12517を含む画
分を集めて濃縮した。次いで、凍結乾燥に付すとF−1
2517が33mg得られた。
【0060】[試験例] 試験例1 F−12517の抗菌作用 一般グラム陽性および陰性細菌に対するF−12517
の最小阻止濃度(MIC)は、普通寒天培地(栄研化学
(株)社製)を用いた寒天培地希釈法によって測定し
た。
【0061】結果を表2に示す。
【0062】
【表2】 ────────────────────────────────── 被検菌 最小阻止濃度(MIC) (μg/ml) ─────────────────────────────────── スタフィロコッカス アウレウス 209P 0.8 スタフィロコッカス アウレウス 56R 3.1 スタフィロコッカス アウレウス 535(MRSA) *** 3.1 エンテロコッカス フェカリス 681 25 エシェリシア コリ NHIJ >200 サルモネラ エンテリティティス >200 クレブシェラ ニューモニェ 806 >200 ────────────────────────────────── *** メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 表2から明らかなごとく、F−12517は一般グラム
陽性細菌、特にスタフィロコッカス属、エンテロコッカ
ス属に対して効果を示した。
【0063】[製剤例]次に、製剤例をあげる。
【0064】製剤例1 経口用カプセル剤
【0065】
【表3】 処方 F−12517 30 mg 乳糖 170 mg トウモロコシ澱粉 150 mg ステアリン酸マグネシウム 2 mg ──────────────────────────────── 352 mg 上記処方の粉末を混合し、30メッシュのふるいを通し
た後、この粉末をゼラチンカプセルに入れ、カプセル剤
とする。
【0066】
【発明の効果】発明の新規化合物F−12517または
その塩は抗菌作用を示し、各種細菌感染症の予防または
治療に用いる抗菌剤として有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12R 1:01) (C12P 17/18 C12R 1:645)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式: 【化1】 を有するF−12517またはその塩。
  2. 【請求項2】 下記の理化学的性状: (1)物質の性状:酸性脂溶性粉末 (2)分子式:C208 8 Cl2 (3)分子量:446(高分解能EI−MS法により測定) 高分解EI−MS(M+ )(C208 8 Cl2 として) 実測値:445.9588 計算値:445.9596 (4)元素分析値:(%) C208 8 Cl2 として 実測値:C 53.05 H 2.51 Cl 14.87 計算値:C 53.72 H 1.80 Cl 15.86 (5)紫外線吸収スペクトル(λmax nm(ε)): 紫外線吸収スペクトルは、次に示す通りである。 メタノール中 : 232(22250),270(sh),395(8090) 酸性メタノール中 : 215(sh),260(1303
    0),360(5840) アルカリ性メタノール中: 240(29670),273(s
    h),315(sh),420(8990) (6)赤外線吸収スペクトル(νmax cm-1) 臭化カリウム(KBr)錠剤法で測定した赤外線吸収ス
    ペクトルは、次に示す通りである。 3341,1663,1606,1441,1346,1328,1244,1178,1110,1074,
    1032,998,949,908,885, (7) 1H−核磁気共鳴スペクトル:(δ,ppm ) 重メタノール中、テトラメチルシランを内部基準として
    使用して測定した核磁気共鳴スペクトル(360MHz )
    は、次に示す通りである。 7.86(1H,s),7.14(1H,s),4.34(1H,d),4.25(1H,d),4.02(1
    H,d),3.87(1H,d), (8)13C−核磁気共鳴スペクトル:(δ,ppm ) 重メタノール中、テトラメチルシランを内部基準として
    使用して測定した核磁気共鳴スペクトル(90MHz )
    は、次に示す通りである。 196.8(s),193.9(s),156.1(s),152.5(s),142.9(s),138.9
    (s),135.3(s),128.9(d),127.0(d),126.0(s),124.0(s),1
    23.8(s),111.7(s),110.0(s),105.6(s),85.5(s),54.7
    (d),54.6(d),53.3(d),53.1(d), (9)高速液体クロマトグラフィー: 分離カラム:センシュウパック ODS H−2151 (登録商標、カラム φ6×150mm、 センシユウ科学(株)社製) 移動層 :アセトニトリル−0.2 %トリフルオロ酢酸=58.42 流 速 :1.5ml/分 保持時間 :9.2分、 を有するF−12517またはその塩。
  3. 【請求項3】 ビブリセア(Vibrissea)属に属するF−
    12517生産菌を培養し、その培養物よりF−125
    17を採取することを特徴とするF−12517の製
    法。
  4. 【請求項4】 ビブリセア属に属するF−12517生
    産菌がビブリセア・エスピー(Vibrissea sp.)SANK
    18796株(FERM BP−5685)である請求
    項3に記載の製法。
  5. 【請求項5】 F−12517またはその薬理上許容さ
    れる塩からなる医薬。
  6. 【請求項6】 F−12517またはその薬理上許容さ
    れる塩を有効成分とする抗菌剤。
  7. 【請求項7】 ビブリセア・エスピー(Vibrissea sp.)
    SANK18796株(FERM BP−5685)。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102485884A (zh) * 2010-12-03 2012-06-06 淮海工学院 节杆菌cw9及其用途

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