JPH0982345A - 溶融炭酸塩型燃料電池及びその製造方法 - Google Patents
溶融炭酸塩型燃料電池及びその製造方法Info
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- JPH0982345A JPH0982345A JP7230175A JP23017595A JPH0982345A JP H0982345 A JPH0982345 A JP H0982345A JP 7230175 A JP7230175 A JP 7230175A JP 23017595 A JP23017595 A JP 23017595A JP H0982345 A JPH0982345 A JP H0982345A
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- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
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- Y02P70/50—Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 ウェットシール部の耐食性が不十分であっ
た。 【解決手段】 ウェットシール部は、1〜9重量%のア
ルミニウムを含み鉄を主成分とする合金から成る母材5
5の表面にアルミニウム拡散層111が形成されてい
る。また、ウェットシール部は、1〜9重量%のアルミ
ニウムを含み鉄を主成分とする合金から成る母材の表面
にアルミニウムをコーティングした後に熱処理を施して
アルミニウム拡散層を形成することにより製造される。
また、ウェットシール部は、1〜9重量%のアルミニウ
ムを含み鉄を主成分とする合金から成る母材を溶融アル
ミニウム浴に浸漬して上記母材の表面にアルミニウム拡
散層を形成することにより製造される。
た。 【解決手段】 ウェットシール部は、1〜9重量%のア
ルミニウムを含み鉄を主成分とする合金から成る母材5
5の表面にアルミニウム拡散層111が形成されてい
る。また、ウェットシール部は、1〜9重量%のアルミ
ニウムを含み鉄を主成分とする合金から成る母材の表面
にアルミニウムをコーティングした後に熱処理を施して
アルミニウム拡散層を形成することにより製造される。
また、ウェットシール部は、1〜9重量%のアルミニウ
ムを含み鉄を主成分とする合金から成る母材を溶融アル
ミニウム浴に浸漬して上記母材の表面にアルミニウム拡
散層を形成することにより製造される。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は溶融炭酸塩型燃料電
池に関するものであり、特に、ウェットシール部の耐食
性の向上により長寿命化、高性能化を図るものである。
池に関するものであり、特に、ウェットシール部の耐食
性の向上により長寿命化、高性能化を図るものである。
【0002】
【従来の技術】一般に単電池は燃料電極、電解質マトリ
クス、酸化剤電極から構成されている。燃料電極にはニ
ッケル等の遷移金属の多孔性焼結体が用いられており、
酸化剤電極には燃料電極と同様に高い電子伝導性を有す
るニッケル等の酸化物多孔体が用いられている。また、
電解質マトリクスにはアルミン酸リチウム粒子の焼結体
に電解質を含浸させて用いられている。電解質にはリチ
ウム、カリウムの炭酸塩の2元系が主として用いられて
おり、それらの組成比はイオン導電率を高く、かつ融点
を電池の動作温度である650℃より低くする必要から
共晶塩組成またはその組成に近い炭酸塩が用いられてい
る。特に酸化剤電極の電極反応速度の点からはリチウ
ム、カリウム炭酸塩が有利であり、広く用いられてい
る。実用に供せられる溶融炭酸塩型燃料電池は一般に、
燃料電極と酸化剤電極で電解質マトリクスを挟み、重ね
合わせて単セルとし、セパレータ板と呼ばれるステンレ
ス/ニッケル薄板と単セルとを順次、直列に複数個積み
重ねた構造となっている。
クス、酸化剤電極から構成されている。燃料電極にはニ
ッケル等の遷移金属の多孔性焼結体が用いられており、
酸化剤電極には燃料電極と同様に高い電子伝導性を有す
るニッケル等の酸化物多孔体が用いられている。また、
電解質マトリクスにはアルミン酸リチウム粒子の焼結体
に電解質を含浸させて用いられている。電解質にはリチ
ウム、カリウムの炭酸塩の2元系が主として用いられて
おり、それらの組成比はイオン導電率を高く、かつ融点
を電池の動作温度である650℃より低くする必要から
共晶塩組成またはその組成に近い炭酸塩が用いられてい
る。特に酸化剤電極の電極反応速度の点からはリチウ
ム、カリウム炭酸塩が有利であり、広く用いられてい
る。実用に供せられる溶融炭酸塩型燃料電池は一般に、
燃料電極と酸化剤電極で電解質マトリクスを挟み、重ね
合わせて単セルとし、セパレータ板と呼ばれるステンレ
ス/ニッケル薄板と単セルとを順次、直列に複数個積み
重ねた構造となっている。
【0003】溶融炭酸塩型燃料電池の燃料ガスとしては
メタンガスと水蒸気またはメタンを改質器を用いて水蒸
気改質した水素、二酸化炭素、水蒸気を主成分として供
給し、酸化剤ガスとしては酸素、窒素、二酸化炭素を含
むガスが用いられている。燃料電極で電極反応に関与す
る化学種は水素、二酸化炭素、水蒸気である。これらの
組成比の違いによってガスの熱力学的な物性が異なり、
燃料ガス中の水素濃度が高いほど電池特性は高くなる。
メタンガスと水蒸気またはメタンを改質器を用いて水蒸
気改質した水素、二酸化炭素、水蒸気を主成分として供
給し、酸化剤ガスとしては酸素、窒素、二酸化炭素を含
むガスが用いられている。燃料電極で電極反応に関与す
る化学種は水素、二酸化炭素、水蒸気である。これらの
組成比の違いによってガスの熱力学的な物性が異なり、
燃料ガス中の水素濃度が高いほど電池特性は高くなる。
【0004】図4は例えば特開平2−75162号公報
で提唱された650℃で電解質が液体となるアルカリ金
属の炭酸塩を用いる溶融炭酸塩型燃料電池の内部マニホ
ールド型構造の単電池の一例を一部破断して示す要部斜
視図であり、図5はその単電池の一部を拡大して示す要
部斜視図である。各図において、10はセパレータ板、
1,5はそれぞれセパレータ板10で分離設置されてい
る燃料電極及び酸化剤極である。3,7はセパレータ板
10と燃料電極1及び酸化剤極5の間に設けられた燃料
ガス流路及び酸化剤ガス流路を構成する燃料側コルゲー
ト板と酸化剤側コルゲート板である。4は燃料電極1と
酸化剤極5の間に設置され、単セルを構成するための電
解質マトリックスである。2,6は燃料電極1と酸化剤
極5を保持し、発生した電流を通過せしめる燃料側穴あ
き板と酸化剤側穴あき板であるが、図4では簡単のため
省略している。20,30は燃料ガス及び酸化剤ガス供
給排気用マニホールドである。21,31はそれぞれ電
極1,5及びマニホールド20,30の周囲のセパレー
タ板10の燃料ガス側面と酸化剤ガス側面に設けたウェ
ットシール部で、電池内外、マニホールド20,30の
内外を分離シールする。41は端部スペーサであり、例
えば特開昭63−28977号公報に記載されているよ
うに、燃料電極1又は酸化剤電極5と同材質の端部材
と、燃料側コルゲート板3又は酸化剤側コルゲート板7
とを重ね合わせてウェットシール部21,31の内側に
挿入されている。13は酸化剤電極5側の端部スペーサ
41の端部材である。なお、矢印22は燃料ガスの流
れ、32は酸化剤ガスの流れを示す。
で提唱された650℃で電解質が液体となるアルカリ金
属の炭酸塩を用いる溶融炭酸塩型燃料電池の内部マニホ
ールド型構造の単電池の一例を一部破断して示す要部斜
視図であり、図5はその単電池の一部を拡大して示す要
部斜視図である。各図において、10はセパレータ板、
1,5はそれぞれセパレータ板10で分離設置されてい
る燃料電極及び酸化剤極である。3,7はセパレータ板
10と燃料電極1及び酸化剤極5の間に設けられた燃料
ガス流路及び酸化剤ガス流路を構成する燃料側コルゲー
ト板と酸化剤側コルゲート板である。4は燃料電極1と
酸化剤極5の間に設置され、単セルを構成するための電
解質マトリックスである。2,6は燃料電極1と酸化剤
極5を保持し、発生した電流を通過せしめる燃料側穴あ
き板と酸化剤側穴あき板であるが、図4では簡単のため
省略している。20,30は燃料ガス及び酸化剤ガス供
給排気用マニホールドである。21,31はそれぞれ電
極1,5及びマニホールド20,30の周囲のセパレー
タ板10の燃料ガス側面と酸化剤ガス側面に設けたウェ
ットシール部で、電池内外、マニホールド20,30の
内外を分離シールする。41は端部スペーサであり、例
えば特開昭63−28977号公報に記載されているよ
うに、燃料電極1又は酸化剤電極5と同材質の端部材
と、燃料側コルゲート板3又は酸化剤側コルゲート板7
とを重ね合わせてウェットシール部21,31の内側に
挿入されている。13は酸化剤電極5側の端部スペーサ
41の端部材である。なお、矢印22は燃料ガスの流
れ、32は酸化剤ガスの流れを示す。
【0005】図6は一枚のセパレータ板10の両面にそ
れぞれウェットシール部21,31を取り付けた状態を
示す斜視図であり、図において、ウェットシール部2
1,31のそれぞれの外周部に斜線で示すところの40
はセパレータ板10と接合するための溶接部である。
れぞれウェットシール部21,31を取り付けた状態を
示す斜視図であり、図において、ウェットシール部2
1,31のそれぞれの外周部に斜線で示すところの40
はセパレータ板10と接合するための溶接部である。
【0006】一方、図7(a)はウェットシール部2
1,31の表面にアルミニウムを溶射した状態を示す要
部断面の拡大図であり、図において、50はウェットシ
ール部母材、103はアルミニウム溶射層、104はア
ルミニウムが付着していない部分のアルミニウム溶射欠
陥部、105は空隙部である。図7(b)は上記アルミ
ニウム溶射した後に熱処理を行って、ウェットシール部
母材50の表面にアルミニウムを拡散させた状態を示す
要部断面の拡大図であり、図において、106はアルミ
ニウム拡散層、107は上記アルミニウム溶射欠陥部1
04に相当する位置に存在するアルミニウム未拡散欠陥
部、109はアルミニウム未拡散欠陥部107からウェ
ットシール部母材50内部に生じた腐食部である。
1,31の表面にアルミニウムを溶射した状態を示す要
部断面の拡大図であり、図において、50はウェットシ
ール部母材、103はアルミニウム溶射層、104はア
ルミニウムが付着していない部分のアルミニウム溶射欠
陥部、105は空隙部である。図7(b)は上記アルミ
ニウム溶射した後に熱処理を行って、ウェットシール部
母材50の表面にアルミニウムを拡散させた状態を示す
要部断面の拡大図であり、図において、106はアルミ
ニウム拡散層、107は上記アルミニウム溶射欠陥部1
04に相当する位置に存在するアルミニウム未拡散欠陥
部、109はアルミニウム未拡散欠陥部107からウェ
ットシール部母材50内部に生じた腐食部である。
【0007】燃料電極1両端及び燃料ガス給排マニホー
ルド20の周囲に位置するウェットシール部21、また
は酸化剤極5両端及び酸化剤ガス給排マニホールド30
の周囲に位置するウェットシール部31は、電解質を保
持するマトリクス4と当接させて、電解質で常にウェッ
トな状態に保たれ、かつ、一定の面圧を加えることによ
って、電池内の燃料ガスまたは酸化剤ガスが、電池及び
マニホールド20,30の外部に漏れないようにするこ
と、あるいは逆に、電池内及びマニホールド20,30
内に混入しないようにすることを目的として構成されて
いる。従って、電池動作状態におけるウェットシール部
21,31の近傍は常に650℃前後の高温の電解質に
接しており、かつ、電位差などによって局部電池反応が
生じやすいなどの厳しい腐食環境下にある。ウェットシ
ール部21,31の材質は例えば耐食性ステンレス鋼の
SUS316LやSUS310Sなどを用いているが、
このような厳しい環境下においては長時間の耐食性に問
題がある。よって、その対策として、図7に示すよう
に、ウェットシール部21,31の母材50表面に、先
ずアルミニウムを溶射して、最大厚みが100μm以上
150μm以下の厚みのアルミニウム溶射層103を形
成させた後、還元ガス雰囲気(例えばアルゴンガス雰囲
気)で900℃、1時間の熱処理を行って、ウェットシ
ール部母材50の表面にアルミニウム拡散層106を形
成させて耐食性をもたせる方法がとられている。
ルド20の周囲に位置するウェットシール部21、また
は酸化剤極5両端及び酸化剤ガス給排マニホールド30
の周囲に位置するウェットシール部31は、電解質を保
持するマトリクス4と当接させて、電解質で常にウェッ
トな状態に保たれ、かつ、一定の面圧を加えることによ
って、電池内の燃料ガスまたは酸化剤ガスが、電池及び
マニホールド20,30の外部に漏れないようにするこ
と、あるいは逆に、電池内及びマニホールド20,30
内に混入しないようにすることを目的として構成されて
いる。従って、電池動作状態におけるウェットシール部
21,31の近傍は常に650℃前後の高温の電解質に
接しており、かつ、電位差などによって局部電池反応が
生じやすいなどの厳しい腐食環境下にある。ウェットシ
ール部21,31の材質は例えば耐食性ステンレス鋼の
SUS316LやSUS310Sなどを用いているが、
このような厳しい環境下においては長時間の耐食性に問
題がある。よって、その対策として、図7に示すよう
に、ウェットシール部21,31の母材50表面に、先
ずアルミニウムを溶射して、最大厚みが100μm以上
150μm以下の厚みのアルミニウム溶射層103を形
成させた後、還元ガス雰囲気(例えばアルゴンガス雰囲
気)で900℃、1時間の熱処理を行って、ウェットシ
ール部母材50の表面にアルミニウム拡散層106を形
成させて耐食性をもたせる方法がとられている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来の溶融炭酸塩形燃
料電池の特にウェットシール部は以上のように構成され
製造されているが、例えば上記アルミニウム溶射法にお
いては、アルミニウムが酸化し易いために、ウェットシ
ール部の母材50の表面に溶射アルミニウムが付着した
時にアルミニウム粒子間の融合性が悪く、アルミニウム
溶射層103は非常に不均一となり、部分的にアルミニ
ウムが全く付着していない欠陥部104や空隙105が
点在する。この欠陥部104や空隙105が大きい場合
は、熱処理してウェットシール部母材50の表面にアル
ミニウムを拡散させても、その部分は拡散層が形成され
ない未拡散部107が生じていた。そのために未拡散部
107から腐食109が生じることによって耐食性処理
効果が得られず、電池寿命に支障を来すという問題点が
あった。なお、アルミニウム溶射層103を厚くすると
欠陥を無くせるが、厚くするとアルミニウム拡散層10
6にクラックが生じるなどの問題点があった。このよう
に、ウェットシール部は厳しい腐食環境下に置かれるこ
とから、長時間の耐食性を維持するのは難しく、より耐
食性の優れた構成及び製造方法が必要とされている。
料電池の特にウェットシール部は以上のように構成され
製造されているが、例えば上記アルミニウム溶射法にお
いては、アルミニウムが酸化し易いために、ウェットシ
ール部の母材50の表面に溶射アルミニウムが付着した
時にアルミニウム粒子間の融合性が悪く、アルミニウム
溶射層103は非常に不均一となり、部分的にアルミニ
ウムが全く付着していない欠陥部104や空隙105が
点在する。この欠陥部104や空隙105が大きい場合
は、熱処理してウェットシール部母材50の表面にアル
ミニウムを拡散させても、その部分は拡散層が形成され
ない未拡散部107が生じていた。そのために未拡散部
107から腐食109が生じることによって耐食性処理
効果が得られず、電池寿命に支障を来すという問題点が
あった。なお、アルミニウム溶射層103を厚くすると
欠陥を無くせるが、厚くするとアルミニウム拡散層10
6にクラックが生じるなどの問題点があった。このよう
に、ウェットシール部は厳しい腐食環境下に置かれるこ
とから、長時間の耐食性を維持するのは難しく、より耐
食性の優れた構成及び製造方法が必要とされている。
【0009】本発明は、上記の様な問題点を解消し、耐
食性に優れ長寿命の溶融炭酸塩型燃料電池を得ることを
目的とする。
食性に優れ長寿命の溶融炭酸塩型燃料電池を得ることを
目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係わ
る溶融炭酸塩型燃料電池は、ウェットシール部が、1〜
9重量%のアルミニウムを含み鉄を主成分とする合金か
ら成る母材の表面にアルミニウム拡散層が形成されてい
るものである。
る溶融炭酸塩型燃料電池は、ウェットシール部が、1〜
9重量%のアルミニウムを含み鉄を主成分とする合金か
ら成る母材の表面にアルミニウム拡散層が形成されてい
るものである。
【0011】本発明の請求項2に係わる溶融炭酸塩型燃
料電池の製造方法は、ウェットシール部が、1〜9重量
%のアルミニウムを含み鉄を主成分とする合金から成る
母材の表面にアルミニウムをコーティングした後に熱処
理を施してアルミニウム拡散層を形成することにより製
造されるものである。
料電池の製造方法は、ウェットシール部が、1〜9重量
%のアルミニウムを含み鉄を主成分とする合金から成る
母材の表面にアルミニウムをコーティングした後に熱処
理を施してアルミニウム拡散層を形成することにより製
造されるものである。
【0012】本発明の請求項3に係わる溶融炭酸塩型燃
料電池の製造方法は、請求項2記載の熱処理は、表面に
アルミニウムがコーティングされたウェットシール部の
母材とセパレータ板を接合する工程、上記ウェットシー
ル部とセパレータ板間の空間及び電極挿入用空間にカー
ボンスペーサを挿入したものをカーボン当て板を介して
複数個積層する工程、並びに上記積層体の両端をカーボ
ン当て板を介して金属よりなる押さえ板で挟持して上記
積層体を加圧した状態で加熱する工程を有するものであ
る。
料電池の製造方法は、請求項2記載の熱処理は、表面に
アルミニウムがコーティングされたウェットシール部の
母材とセパレータ板を接合する工程、上記ウェットシー
ル部とセパレータ板間の空間及び電極挿入用空間にカー
ボンスペーサを挿入したものをカーボン当て板を介して
複数個積層する工程、並びに上記積層体の両端をカーボ
ン当て板を介して金属よりなる押さえ板で挟持して上記
積層体を加圧した状態で加熱する工程を有するものであ
る。
【0013】本発明の請求項4に係わる溶融炭酸塩型燃
料電池の製造方法は、ウェットシール部が、1〜9重量
%のアルミニウムを含み鉄を主成分とする合金から成る
母材を溶融アルミニウム浴に浸漬して上記母材の表面に
アルミニウム拡散層を形成することにより製造されるも
のである。
料電池の製造方法は、ウェットシール部が、1〜9重量
%のアルミニウムを含み鉄を主成分とする合金から成る
母材を溶融アルミニウム浴に浸漬して上記母材の表面に
アルミニウム拡散層を形成することにより製造されるも
のである。
【0014】
実施の形態1.以下、本発明の実施の形態1について説
明する。本願発明に係わるウェットシール部の母材とし
て適用される1〜9重量%のアルミニウムを含み鉄を主
成分とする合金の一例として、二種類のアルミニウム含
有フェライト系ステンレス鋼と、従来適用していた二種
類のオーステナイト系ステンレス鋼の耐食性を比較する
ために熱重量分析を行った。図1は加熱条件と分析結果
を示すものであり、図において、グラフの縦軸は重量変
化(又は温度)、横軸は時間を表す。分析曲線のうち、
破線と一点鎖線はそれぞれ従来適用していたオーステナ
イト系ステンレス鋼のSUS316LとSUS310S
であり、実線は本発明に係るアルミニウム含有フェライ
ト系ステンレス鋼の18Cr−3Al(略称)であり、
20Cr−5Al(略称)も18Cr−3Alの曲線と
殆ど重なるような曲線となった。表1は本発明に係る二
種類のアルミニウム含有フェライト系ステンレス鋼の主
要成分を示すものであり、住友金属工業(株)製等の市販
ベースの耐熱、耐食性材料である。
明する。本願発明に係わるウェットシール部の母材とし
て適用される1〜9重量%のアルミニウムを含み鉄を主
成分とする合金の一例として、二種類のアルミニウム含
有フェライト系ステンレス鋼と、従来適用していた二種
類のオーステナイト系ステンレス鋼の耐食性を比較する
ために熱重量分析を行った。図1は加熱条件と分析結果
を示すものであり、図において、グラフの縦軸は重量変
化(又は温度)、横軸は時間を表す。分析曲線のうち、
破線と一点鎖線はそれぞれ従来適用していたオーステナ
イト系ステンレス鋼のSUS316LとSUS310S
であり、実線は本発明に係るアルミニウム含有フェライ
ト系ステンレス鋼の18Cr−3Al(略称)であり、
20Cr−5Al(略称)も18Cr−3Alの曲線と
殆ど重なるような曲線となった。表1は本発明に係る二
種類のアルミニウム含有フェライト系ステンレス鋼の主
要成分を示すものであり、住友金属工業(株)製等の市販
ベースの耐熱、耐食性材料である。
【0015】
【表1】
【0016】次に上記熱重量分析の方法と結果について
説明する。厚みが0.5mmで1cm四方の寸法の試料
全面に、炭酸リチウム53モル%と炭酸ナトリウム47
モル%からなる共晶塩を同量のエタノールを混ぜてスラ
リー状にしたものを塗布し、乾燥後の塗布量が10mg
となるようにした。分析条件は、空気70モル%と二酸
化炭素30モル%の混合ガス雰囲気で、図1に曲線10
0で示すように、昇温速度は0℃〜200℃は5℃/
分、200℃〜650℃が0.7℃/分とし650℃で
40時間保持した状態での分析を行った。その結果、従
来適用していたSUS316LとSUS310Sの材料
は重量増加が明確に表れているのに対して、本発明に係
るアルミニウム含有フェライト系ステンレス鋼の18C
r−3Alと20Cr−5Alは殆ど変化していない。
すなわち、この分析結果より、従来の材料に比べて本発
明に係るアルミニウム含有フェライト系ステンレス鋼の
耐食性が優れていることは明らかである。
説明する。厚みが0.5mmで1cm四方の寸法の試料
全面に、炭酸リチウム53モル%と炭酸ナトリウム47
モル%からなる共晶塩を同量のエタノールを混ぜてスラ
リー状にしたものを塗布し、乾燥後の塗布量が10mg
となるようにした。分析条件は、空気70モル%と二酸
化炭素30モル%の混合ガス雰囲気で、図1に曲線10
0で示すように、昇温速度は0℃〜200℃は5℃/
分、200℃〜650℃が0.7℃/分とし650℃で
40時間保持した状態での分析を行った。その結果、従
来適用していたSUS316LとSUS310Sの材料
は重量増加が明確に表れているのに対して、本発明に係
るアルミニウム含有フェライト系ステンレス鋼の18C
r−3Alと20Cr−5Alは殆ど変化していない。
すなわち、この分析結果より、従来の材料に比べて本発
明に係るアルミニウム含有フェライト系ステンレス鋼の
耐食性が優れていることは明らかである。
【0017】材料の耐食性については、上記の熱重量分
析法以外に溶融炭酸塩中に浸漬する方法でも評価した。
試験方法は炭酸リチウム62モル%と炭酸カリウム38
モル%からなる共晶塩を入れた高純度のアルミナるつぼ
中にそれぞれの試料を浸漬し、温度700℃、Air雰
囲気の条件下で3000時間の試験を行った。試験後の
表面と断面を観察した結果、オーステナイト系ステンレ
ス鋼のSUS316LとSUS310Sは著しく腐食さ
れているのに対して、アルミニウム含有フェライト系ス
テンレス鋼の18Cr−3Al及び20Cr−5Alで
は表面にアルミナ被膜が形成されることによってほとん
ど腐食されておらず、この浸漬試験の結果においても従
来の材料に比べて本発明に係るアルミニウム含有フェラ
イト系ステンレス鋼の耐食性が優れていること明らかで
ある。但し、アルミニウム含有フェライト系ステンレス
鋼ではオーステナイト系ステンレス鋼のような著しい腐
食は生じないものの、孔食の発生が見られた。よって、
従来の材料よりもアルミニウム含有フェライト系ステン
レス鋼の耐食性が優れているといえども、材料単体での
使用は適当ではない。
析法以外に溶融炭酸塩中に浸漬する方法でも評価した。
試験方法は炭酸リチウム62モル%と炭酸カリウム38
モル%からなる共晶塩を入れた高純度のアルミナるつぼ
中にそれぞれの試料を浸漬し、温度700℃、Air雰
囲気の条件下で3000時間の試験を行った。試験後の
表面と断面を観察した結果、オーステナイト系ステンレ
ス鋼のSUS316LとSUS310Sは著しく腐食さ
れているのに対して、アルミニウム含有フェライト系ス
テンレス鋼の18Cr−3Al及び20Cr−5Alで
は表面にアルミナ被膜が形成されることによってほとん
ど腐食されておらず、この浸漬試験の結果においても従
来の材料に比べて本発明に係るアルミニウム含有フェラ
イト系ステンレス鋼の耐食性が優れていること明らかで
ある。但し、アルミニウム含有フェライト系ステンレス
鋼ではオーステナイト系ステンレス鋼のような著しい腐
食は生じないものの、孔食の発生が見られた。よって、
従来の材料よりもアルミニウム含有フェライト系ステン
レス鋼の耐食性が優れているといえども、材料単体での
使用は適当ではない。
【0018】図2,3は本発明の実施の形態1による溶
融炭酸塩型燃料電池及びその製造方法を説明するもので
あり、図2(a)はウェットシール部の母材の表面にア
ルミニウムをコーティングした状態を示す要部断面拡大
図、図2(b)は上記アルミニウムコーティングした後
に熱処理をしてウェットシール部の母材の表面にアルミ
ニウムを拡散させた状態を模式的に示す要部断面図であ
る。図において、55は上記表1に示す主成分から成る
3重量%、及び5重量%のアルミニウムを含有するフェ
ライト系ステンレス鋼18Cr−3Al又は20Cr−
5Alより成るウェットシール部の母材、110はアル
ミニウムペイントを塗布して形成した無欠陥のアルミニ
ウムコーティング層、111は欠陥がなく厚みが均一な
アルミニウム拡散層である。図3は上記熱処理を行う際
に締め付け治具を用いて、ウェットシール部21,31
とセパレータ板10の一体化構造物を複数個積層し、加
圧拘束した状態を示すものであり、60aはウェットシ
ール部21,31とセパレータ板10との空隙部に挿入
したカーボンスぺーサ、60bは電極挿入エリアに配置
したカーボンスぺーサ、62は上下のウェットシール部
21,31の表面に当接したカーボン当て板、64は上
記カーボンスぺーサ60a,60bを挿入したものをカ
ーボン当て板62を介して複数個積層した積層体の上下
面にカーボン当て板62を介して当接したステンレス鋼
の押え板、66,67,68,69は上記積層体を加圧
拘束するための締め付け部品で、各々ネジ棒、ナット、
バネ座金、平座金である。
融炭酸塩型燃料電池及びその製造方法を説明するもので
あり、図2(a)はウェットシール部の母材の表面にア
ルミニウムをコーティングした状態を示す要部断面拡大
図、図2(b)は上記アルミニウムコーティングした後
に熱処理をしてウェットシール部の母材の表面にアルミ
ニウムを拡散させた状態を模式的に示す要部断面図であ
る。図において、55は上記表1に示す主成分から成る
3重量%、及び5重量%のアルミニウムを含有するフェ
ライト系ステンレス鋼18Cr−3Al又は20Cr−
5Alより成るウェットシール部の母材、110はアル
ミニウムペイントを塗布して形成した無欠陥のアルミニ
ウムコーティング層、111は欠陥がなく厚みが均一な
アルミニウム拡散層である。図3は上記熱処理を行う際
に締め付け治具を用いて、ウェットシール部21,31
とセパレータ板10の一体化構造物を複数個積層し、加
圧拘束した状態を示すものであり、60aはウェットシ
ール部21,31とセパレータ板10との空隙部に挿入
したカーボンスぺーサ、60bは電極挿入エリアに配置
したカーボンスぺーサ、62は上下のウェットシール部
21,31の表面に当接したカーボン当て板、64は上
記カーボンスぺーサ60a,60bを挿入したものをカ
ーボン当て板62を介して複数個積層した積層体の上下
面にカーボン当て板62を介して当接したステンレス鋼
の押え板、66,67,68,69は上記積層体を加圧
拘束するための締め付け部品で、各々ネジ棒、ナット、
バネ座金、平座金である。
【0019】次にアルミニウムコーティング層110を
形成する方法について説明する。先ず、サンドブラスト
処理を施したウェットシール部の母材55の表面に、平
均粒径が10μm以下のアルミニウム粉末を54.5重
量%以上で58.5重量%以下と、結合材としてメチル
セルロースを3.0重量%以上で7.0重量%以下、燐酸
7.0重量%以上で9.0重量%以下、三酸化クロムを
3.0重量%、水を26.5重量%、各々混合・攪拌した
ものから成るアルミニウムペイントをスプレー塗布す
る。アルミニウムコーティング層110の厚みは、ウェ
ットシール部21,31の母材55の表面から50μm
以上150μm以下の範囲にする。なぜならば、150
μm以上の厚みになると、乾燥・焼成の段階で塗膜に亀
裂が生じる可能性がある上に、熱処理後のアルミニウム
拡散層111に亀裂を生じる可能性が大きくなり、又、
50μm以下の薄い厚みの場合は、アルミニウム拡散層
111の厚みが薄くなり、処理効果が得られないからで
ある。
形成する方法について説明する。先ず、サンドブラスト
処理を施したウェットシール部の母材55の表面に、平
均粒径が10μm以下のアルミニウム粉末を54.5重
量%以上で58.5重量%以下と、結合材としてメチル
セルロースを3.0重量%以上で7.0重量%以下、燐酸
7.0重量%以上で9.0重量%以下、三酸化クロムを
3.0重量%、水を26.5重量%、各々混合・攪拌した
ものから成るアルミニウムペイントをスプレー塗布す
る。アルミニウムコーティング層110の厚みは、ウェ
ットシール部21,31の母材55の表面から50μm
以上150μm以下の範囲にする。なぜならば、150
μm以上の厚みになると、乾燥・焼成の段階で塗膜に亀
裂が生じる可能性がある上に、熱処理後のアルミニウム
拡散層111に亀裂を生じる可能性が大きくなり、又、
50μm以下の薄い厚みの場合は、アルミニウム拡散層
111の厚みが薄くなり、処理効果が得られないからで
ある。
【0020】アルミニウムペイントを塗布した後、先
ず、室温で1時間の乾燥を行なった後に80℃の温度で
1時間以上の乾燥を行ない、更に、300℃の温度で3
0分以上の焼成を行なって塗膜を硬化させて安定なもの
にした。なお、乾燥が不十分な場合は、焼成時に塗膜に
割れが生じたり、塗膜内部に空隙がなどが生じて安定し
た塗膜形成できない場合があるので十分に乾燥しておく
ことが必要である。上記の方法でアルミニウムコーティ
ング層110を形成した後に、熱処理を行なって、ウェ
ットシール部の母材55の表面にアルミニウム拡散層1
11を形成させた。この場合の熱処理は、ウェットシー
ル部21,31及びセパレータ板10の熱歪を防止する
ために次のような方法で行った。
ず、室温で1時間の乾燥を行なった後に80℃の温度で
1時間以上の乾燥を行ない、更に、300℃の温度で3
0分以上の焼成を行なって塗膜を硬化させて安定なもの
にした。なお、乾燥が不十分な場合は、焼成時に塗膜に
割れが生じたり、塗膜内部に空隙がなどが生じて安定し
た塗膜形成できない場合があるので十分に乾燥しておく
ことが必要である。上記の方法でアルミニウムコーティ
ング層110を形成した後に、熱処理を行なって、ウェ
ットシール部の母材55の表面にアルミニウム拡散層1
11を形成させた。この場合の熱処理は、ウェットシー
ル部21,31及びセパレータ板10の熱歪を防止する
ために次のような方法で行った。
【0021】本実施の形態ではウェットシール部21,
31の母材55はアルミニウム含有フェライト系ステン
レス鋼を用い、セパレータ板10にはオーステナイト系
ステンレス鋼を用いて両者を溶接して一体化構造を形成
している。この場合、両者の熱膨張率が異なることによ
り、高温での熱処理を行うと熱歪が生じる。したがっ
て、熱処理をする際には歪防止対策が必要であり、その
対策として次のような方法を考え出して対処した。ま
ず、ウェットシール部21,31とセパレータ板10と
の空間部に、両者の隙間寸法に相当する厚みのカーボン
スペーサ60aを挿入すると共に、セパレータ板10の
両面の電極挿入用空間に、ウェットシール21,31と
セパレータ板10との間隙寸法に相当する厚みのカーボ
ンスペーサ60bを配置したものをカーボン当て板62
を介して複数個積層し、その積層体の両端すなわち上下
面をカーボン当て板62を介してステンレス製の押さえ
板64で挟持し、ネジ棒66とナット67、バネ座金6
8、平座金69の締付部品によって一定面圧で締め付け
て加圧拘束した。この場合の締め付け力は、バネ座金6
8の初期変形分が完全に押しつぶされて平坦になる程度
とした。なお、ウェットシール面に当接させる当て板6
2の材質をカーボンにしたのは次のような理由による。
例えば、当て板62に金属板を用いた場合は、熱処理時
にウェットシール面にコーティングしたアルミニウム
が、当て板62の金属表面側にも拡散し、ウェットシー
ル面へのアルミニウム拡散が不十分となる上に、ウェッ
トシール面と当て板62が固着して熱処理後に分解でき
なくなる。そこで、当て板62としてカーボン板を用い
た実験を行った結果、上記のような問題は生じず、カー
ボン板が適していることが確認された。
31の母材55はアルミニウム含有フェライト系ステン
レス鋼を用い、セパレータ板10にはオーステナイト系
ステンレス鋼を用いて両者を溶接して一体化構造を形成
している。この場合、両者の熱膨張率が異なることによ
り、高温での熱処理を行うと熱歪が生じる。したがっ
て、熱処理をする際には歪防止対策が必要であり、その
対策として次のような方法を考え出して対処した。ま
ず、ウェットシール部21,31とセパレータ板10と
の空間部に、両者の隙間寸法に相当する厚みのカーボン
スペーサ60aを挿入すると共に、セパレータ板10の
両面の電極挿入用空間に、ウェットシール21,31と
セパレータ板10との間隙寸法に相当する厚みのカーボ
ンスペーサ60bを配置したものをカーボン当て板62
を介して複数個積層し、その積層体の両端すなわち上下
面をカーボン当て板62を介してステンレス製の押さえ
板64で挟持し、ネジ棒66とナット67、バネ座金6
8、平座金69の締付部品によって一定面圧で締め付け
て加圧拘束した。この場合の締め付け力は、バネ座金6
8の初期変形分が完全に押しつぶされて平坦になる程度
とした。なお、ウェットシール面に当接させる当て板6
2の材質をカーボンにしたのは次のような理由による。
例えば、当て板62に金属板を用いた場合は、熱処理時
にウェットシール面にコーティングしたアルミニウム
が、当て板62の金属表面側にも拡散し、ウェットシー
ル面へのアルミニウム拡散が不十分となる上に、ウェッ
トシール面と当て板62が固着して熱処理後に分解でき
なくなる。そこで、当て板62としてカーボン板を用い
た実験を行った結果、上記のような問題は生じず、カー
ボン板が適していることが確認された。
【0022】このような方法で熱処理を行ってウェット
シール部母材55の表面にアルミニウムを拡散させた。
この場合の熱処理条件は、水素雰囲気で900℃、1時
間とした。これにより欠陥の無い均一なアルミニウム拡
散層111を形成することができた。
シール部母材55の表面にアルミニウムを拡散させた。
この場合の熱処理条件は、水素雰囲気で900℃、1時
間とした。これにより欠陥の無い均一なアルミニウム拡
散層111を形成することができた。
【0023】このようにしてウェットシール部21,3
1にアルミニウム拡散処理したものを用い、従来例と同
様の構成で組み立てた電池を従来例と同様の条件で1万
時間にわたる運転を行ったが、ウェットシール部21,
31の腐食による電池特性の低下はなく、安定した電池
を得ることができた。また、分解調査の結果、ウェット
シール部21,31の腐食は従来例では母材が部分的に
腐食されているのが観察されたが、本実施例では全くそ
のような部分は見られず、耐食性向上の効果が大きいこ
とが確認された。また、電池運転での耐食性評価とは別
に、溶融炭酸塩中に浸漬する方法でも評価した。試験方
法は前述の材料試験の場合と同様の方法で3000時間
の試験を行った。その結果、腐食の発生は全く観察され
ず、健全なアルミニウム拡散層が維持されており、従来
のものに比べて耐食性の高いものであることが実証され
た。
1にアルミニウム拡散処理したものを用い、従来例と同
様の構成で組み立てた電池を従来例と同様の条件で1万
時間にわたる運転を行ったが、ウェットシール部21,
31の腐食による電池特性の低下はなく、安定した電池
を得ることができた。また、分解調査の結果、ウェット
シール部21,31の腐食は従来例では母材が部分的に
腐食されているのが観察されたが、本実施例では全くそ
のような部分は見られず、耐食性向上の効果が大きいこ
とが確認された。また、電池運転での耐食性評価とは別
に、溶融炭酸塩中に浸漬する方法でも評価した。試験方
法は前述の材料試験の場合と同様の方法で3000時間
の試験を行った。その結果、腐食の発生は全く観察され
ず、健全なアルミニウム拡散層が維持されており、従来
のものに比べて耐食性の高いものであることが実証され
た。
【0024】なお、上記実施の形態ではアルミニウムペ
イント塗布後の予備焼成と焼成温度を一定とし、また、
熱処理条件も一定の下で行ったものを示したが、予備焼
成温度を70℃以上90℃以下の範囲に、焼成温度を3
00℃以上350℃以下の範囲とし、また、熱処理の雰
囲気をArまたは真空中とし、熱処理温度を850℃以
上900℃以下の範囲に、時間を1時間以上2時間以下
の範囲としてもよく、実施の形態1と同様に欠陥の無い
均一な厚みのアルミニウム拡散層を形成することができ
た。ただし、アルミニウム拡散層111の厚みは熱処理
温度と時間に依存するので、高い温度で時間を長くする
とアルミニウム拡散層111の厚みが厚くなり、低い温
度で時間が短いと厚みは薄くなった。また、アルミニウ
ム拡散層111の厚みが約100μm以上になると拡散
層に亀裂が生じる可能性が高くなり、薄すぎると耐食性
が得られなくなる。したがって、熱処理の温度と時間の
組み合わせとしては、上記温度範囲の低い温度で処理す
る場合は時間を長くする必要があり、逆に、高い温度で
処理する場合は時間を短くする必要がある。例えば、温
度を850℃とした場合は時間を2時間とし、875℃
にした場合は時間を1.5時間程度にするのがよい。
イント塗布後の予備焼成と焼成温度を一定とし、また、
熱処理条件も一定の下で行ったものを示したが、予備焼
成温度を70℃以上90℃以下の範囲に、焼成温度を3
00℃以上350℃以下の範囲とし、また、熱処理の雰
囲気をArまたは真空中とし、熱処理温度を850℃以
上900℃以下の範囲に、時間を1時間以上2時間以下
の範囲としてもよく、実施の形態1と同様に欠陥の無い
均一な厚みのアルミニウム拡散層を形成することができ
た。ただし、アルミニウム拡散層111の厚みは熱処理
温度と時間に依存するので、高い温度で時間を長くする
とアルミニウム拡散層111の厚みが厚くなり、低い温
度で時間が短いと厚みは薄くなった。また、アルミニウ
ム拡散層111の厚みが約100μm以上になると拡散
層に亀裂が生じる可能性が高くなり、薄すぎると耐食性
が得られなくなる。したがって、熱処理の温度と時間の
組み合わせとしては、上記温度範囲の低い温度で処理す
る場合は時間を長くする必要があり、逆に、高い温度で
処理する場合は時間を短くする必要がある。例えば、温
度を850℃とした場合は時間を2時間とし、875℃
にした場合は時間を1.5時間程度にするのがよい。
【0025】実施の形態2.以下、本発明の実施の形態
2について、ウェットシール部の母材として、実施の形
態1に説明した材料以外のものについて説明する。実施
の形態1では、アルミニウム含有フェライト系ステンレ
ス鋼の耐食性評価結果の例として、18Cr−3Alと
20Cr−5Al材の二種類について説明したが、これ
以外にアルミニウムの含有比率を変えたアルミニウム含
有フェライト系ステンレス鋼の耐食性、及び溶接性等の
加工性についての評価を行った。表2は、アルミニウム
とクロムを主体に、各々の含有比率を変えた材料の評価
結果を示すものであり、表において、○印は良、△印は
やや不良、×印は不良の判定結果を表したものである。
2について、ウェットシール部の母材として、実施の形
態1に説明した材料以外のものについて説明する。実施
の形態1では、アルミニウム含有フェライト系ステンレ
ス鋼の耐食性評価結果の例として、18Cr−3Alと
20Cr−5Al材の二種類について説明したが、これ
以外にアルミニウムの含有比率を変えたアルミニウム含
有フェライト系ステンレス鋼の耐食性、及び溶接性等の
加工性についての評価を行った。表2は、アルミニウム
とクロムを主体に、各々の含有比率を変えた材料の評価
結果を示すものであり、表において、○印は良、△印は
やや不良、×印は不良の判定結果を表したものである。
【0026】
【表2】
【0027】次にその結果について説明する。先ず、耐
食性の点においては、アルミニウムを含有しないフェラ
イト系ステンレス鋼、例えばSUS430では、この種
の電池の環境下での十分な耐食性は得られないが、アル
ミニウムを約1重量%含有することにより耐食性の向上
効果が得られた。但し、前述のごとく、アルミニウム含
有フェライト系ステンレス鋼はオーステナイト系ステン
レス鋼のような著しい腐食は生じないが、小さな孔食の
発生が見られた。孔食発生量はアルミニウム含有量が多
くなるにしたがって減少する傾向を示し、アルミニウム
が約10重量%では孔食は生じなかった。このように、
アルミニウム含有量が増す毎に耐食性は高くなることが
確認された。しかし、その半面、加工性、特に溶接性の
点では、アルミニウム含有量が増す毎に溶接部に割れが
発生する等の問題が生じる可能性が高くなり、アルミニ
ウム含有量が約10重量%のものでは、割れの発生、及
び溶け込み状態の不良などの現象が顕著に現れた。した
がって、耐食性と加工性の両方を満足するアルミニウム
含有比率の最適値は、1重量%以上、9重量%以下の範
囲にするのがよい。
食性の点においては、アルミニウムを含有しないフェラ
イト系ステンレス鋼、例えばSUS430では、この種
の電池の環境下での十分な耐食性は得られないが、アル
ミニウムを約1重量%含有することにより耐食性の向上
効果が得られた。但し、前述のごとく、アルミニウム含
有フェライト系ステンレス鋼はオーステナイト系ステン
レス鋼のような著しい腐食は生じないが、小さな孔食の
発生が見られた。孔食発生量はアルミニウム含有量が多
くなるにしたがって減少する傾向を示し、アルミニウム
が約10重量%では孔食は生じなかった。このように、
アルミニウム含有量が増す毎に耐食性は高くなることが
確認された。しかし、その半面、加工性、特に溶接性の
点では、アルミニウム含有量が増す毎に溶接部に割れが
発生する等の問題が生じる可能性が高くなり、アルミニ
ウム含有量が約10重量%のものでは、割れの発生、及
び溶け込み状態の不良などの現象が顕著に現れた。した
がって、耐食性と加工性の両方を満足するアルミニウム
含有比率の最適値は、1重量%以上、9重量%以下の範
囲にするのがよい。
【0028】アルミニウム含有比率が上記の様な1重量
%以上、9重量%以下の範囲から成るフェライト系ステ
ンレス鋼を、各々ウェットシール部母材55に適用し
て、実施の形態1と同様の表面処理法で表面にアルミニ
ウム拡散層111を形成し、従来と同様の構成で組み立
てた電池を従来と同様の条件で同様の時間の運転を行っ
たが、ウェットシール部21,31の腐食による電池特
性の低下はなく、安定した電池を得ることができた。ま
た、運転後の分解調査の結果、ウェットシール部に電池
特性に影響するような腐食はなく、従来に比べて耐食性
が優れていることが確認できた。また、電池運転での評
価とは別に、実施の形態1の場合と同様の方法で溶融炭
酸塩中での浸漬試験も行ったが、腐食の発生は全くな
く、この評価結果でも従来のものよりも耐食性が優れて
いることが確認できた。
%以上、9重量%以下の範囲から成るフェライト系ステ
ンレス鋼を、各々ウェットシール部母材55に適用し
て、実施の形態1と同様の表面処理法で表面にアルミニ
ウム拡散層111を形成し、従来と同様の構成で組み立
てた電池を従来と同様の条件で同様の時間の運転を行っ
たが、ウェットシール部21,31の腐食による電池特
性の低下はなく、安定した電池を得ることができた。ま
た、運転後の分解調査の結果、ウェットシール部に電池
特性に影響するような腐食はなく、従来に比べて耐食性
が優れていることが確認できた。また、電池運転での評
価とは別に、実施の形態1の場合と同様の方法で溶融炭
酸塩中での浸漬試験も行ったが、腐食の発生は全くな
く、この評価結果でも従来のものよりも耐食性が優れて
いることが確認できた。
【0029】なお、上記実施の形態1,2ではアルミニ
ウムを含み鉄を主成分とする合金としてフェライト系ス
テンレス鋼を挙げたが、これに限るものではなく、例え
ば、ニッケル6重量%未満とクロム13重量%未満を含
有する鉄基合金においても、1〜9重量%のアルミニウ
ムを含有していれば同様の耐食性向上効果が得られる。
ウムを含み鉄を主成分とする合金としてフェライト系ス
テンレス鋼を挙げたが、これに限るものではなく、例え
ば、ニッケル6重量%未満とクロム13重量%未満を含
有する鉄基合金においても、1〜9重量%のアルミニウ
ムを含有していれば同様の耐食性向上効果が得られる。
【0030】実施の形態3.本発明の実施の形態3につ
いて説明する。実施の形態1ではウェットシール部2
1,31の母材55表面にアルミニウムコーティング処
理を行う方法として、アルミニウムペイントをコーティ
ングする方法を説明したが、これ以外の方法として、ア
ルミニウム蒸着やアルミニウムメッキを施してもよく、
欠陥のない均一なアルミニウムコーティング層110が
得られる。したがって、これらの方法でアルミニウムコ
ーティング層110を形成した後、実施の形態1で説明
したのと同様の熱処理を施すことにより、ウェットシー
ル部の母材55表面に欠陥のない均一なアルミニウム拡
散層111が形成されるので、実施の形態1と同様の効
果が得られる。
いて説明する。実施の形態1ではウェットシール部2
1,31の母材55表面にアルミニウムコーティング処
理を行う方法として、アルミニウムペイントをコーティ
ングする方法を説明したが、これ以外の方法として、ア
ルミニウム蒸着やアルミニウムメッキを施してもよく、
欠陥のない均一なアルミニウムコーティング層110が
得られる。したがって、これらの方法でアルミニウムコ
ーティング層110を形成した後、実施の形態1で説明
したのと同様の熱処理を施すことにより、ウェットシー
ル部の母材55表面に欠陥のない均一なアルミニウム拡
散層111が形成されるので、実施の形態1と同様の効
果が得られる。
【0031】実施の形態4.以下、本発明の実施の形態
4について説明する。この実施の形態では溶融アルミニ
ウム浴浸漬処理方法によってウェットシール部母材55
の表面にアルミニウムを拡散させる。溶融アルミニウム
浴浸漬処理法は、溶融アルミニウム浴中にウェットシー
ル部母材55を浸漬して母材55表面に直接アルミニウ
ム拡散層111を形成させる方法であり、実施の形態1
の様なアルミニウムコーティング処理と熱処理の二つの
処理工程を必要とせず、一工程でアルミニウム拡散層1
11を形成することができ、熱処理を行う必要がないの
で、処理費用と処理工程が省けるのでコストの低減化と
加工時間の短縮ができるという長所を有する。しかしな
がら、一般に、形成されるアルミニウム拡散層111の
厚さは実施の形態1の場合の方が厚くできる。本実施の
形態はウェットシール部21,31の母材55に実施の
形態1に示すアルミニウム含有フェライト系ステンレス
鋼を適用し、溶融アルミニウム浴浸漬処理によってその
母材55表面にアルミニウム拡散層111を形成させた
ものである。この処理のアルミニウム拡散層111の厚
みは20μm以上80μm以下の範囲にするのが望まし
い。なぜならば、80μm以上の厚みにするとアルミニ
ウム拡散層111に亀裂が生じる可能性が高くなり、ま
た、20μm未満にすると処理効果が得られなくなるか
らである。なお、上述のように、この実施の形態では実
施の形態1の場合に比べて処理工程を短縮できる反面、
厚いアルミニウム拡散層111は得にくいが、本願発明
ではアルミニウム含有母材55を用いているため、アル
ミニウム拡散層111の厚さが従来のものより薄くても
充分な耐食性を得ることができる。
4について説明する。この実施の形態では溶融アルミニ
ウム浴浸漬処理方法によってウェットシール部母材55
の表面にアルミニウムを拡散させる。溶融アルミニウム
浴浸漬処理法は、溶融アルミニウム浴中にウェットシー
ル部母材55を浸漬して母材55表面に直接アルミニウ
ム拡散層111を形成させる方法であり、実施の形態1
の様なアルミニウムコーティング処理と熱処理の二つの
処理工程を必要とせず、一工程でアルミニウム拡散層1
11を形成することができ、熱処理を行う必要がないの
で、処理費用と処理工程が省けるのでコストの低減化と
加工時間の短縮ができるという長所を有する。しかしな
がら、一般に、形成されるアルミニウム拡散層111の
厚さは実施の形態1の場合の方が厚くできる。本実施の
形態はウェットシール部21,31の母材55に実施の
形態1に示すアルミニウム含有フェライト系ステンレス
鋼を適用し、溶融アルミニウム浴浸漬処理によってその
母材55表面にアルミニウム拡散層111を形成させた
ものである。この処理のアルミニウム拡散層111の厚
みは20μm以上80μm以下の範囲にするのが望まし
い。なぜならば、80μm以上の厚みにするとアルミニ
ウム拡散層111に亀裂が生じる可能性が高くなり、ま
た、20μm未満にすると処理効果が得られなくなるか
らである。なお、上述のように、この実施の形態では実
施の形態1の場合に比べて処理工程を短縮できる反面、
厚いアルミニウム拡散層111は得にくいが、本願発明
ではアルミニウム含有母材55を用いているため、アル
ミニウム拡散層111の厚さが従来のものより薄くても
充分な耐食性を得ることができる。
【0032】溶融アルミニウム浴浸漬処理の方法は、文
献(「日本舶用機関学会誌」第21巻,第9号,P.70〜75
)等にも公知されている方法で、先ず、ウェットシー
ル部母材55を酸洗浄・水洗・乾燥等の前処理をした後
に700℃弱の溶融アルミニウム浴中に浸漬し、約1時
間保持した後に溶融アルミニウム浴中より取り出して酸
洗浄・水洗・乾燥等の後処理を行った。なお、この場合
はアルミニウム拡散層111の厚みを厚くするために、
浸漬時間は約1時間とこの種の標準処理時間とされる2
0〜30分程度よりも長くした。これにより、欠陥のな
い均一なアルミニウム拡散層111を形成することがで
きた。
献(「日本舶用機関学会誌」第21巻,第9号,P.70〜75
)等にも公知されている方法で、先ず、ウェットシー
ル部母材55を酸洗浄・水洗・乾燥等の前処理をした後
に700℃弱の溶融アルミニウム浴中に浸漬し、約1時
間保持した後に溶融アルミニウム浴中より取り出して酸
洗浄・水洗・乾燥等の後処理を行った。なお、この場合
はアルミニウム拡散層111の厚みを厚くするために、
浸漬時間は約1時間とこの種の標準処理時間とされる2
0〜30分程度よりも長くした。これにより、欠陥のな
い均一なアルミニウム拡散層111を形成することがで
きた。
【0033】この様にして、アルミニウム含有フェライ
ト系ステンレス鋼を適用したウェットシール部21,3
1にアルミニウム拡散処理したものを用い、従来と同様
の構成で組み立てた電池を従来と同様の条件で1万時間
の運転を行ったが、ウェットシール部21,31の腐食
による電池特性の低下はなく、安定した電池を得ること
ができた。また、運転後の分解調査の結果、ウェットシ
ール部に電池特性に影響するような腐食はなく、従来に
比べて耐食性が優れていることが確認できた。また、電
池運転での評価とは別に、実施の形態1と同様の方法で
溶融炭酸塩中での浸漬試験を行ったが、腐食の発生は全
くなく、この評価結果でも従来のものよりも耐食性が優
れていることが確認できた。
ト系ステンレス鋼を適用したウェットシール部21,3
1にアルミニウム拡散処理したものを用い、従来と同様
の構成で組み立てた電池を従来と同様の条件で1万時間
の運転を行ったが、ウェットシール部21,31の腐食
による電池特性の低下はなく、安定した電池を得ること
ができた。また、運転後の分解調査の結果、ウェットシ
ール部に電池特性に影響するような腐食はなく、従来に
比べて耐食性が優れていることが確認できた。また、電
池運転での評価とは別に、実施の形態1と同様の方法で
溶融炭酸塩中での浸漬試験を行ったが、腐食の発生は全
くなく、この評価結果でも従来のものよりも耐食性が優
れていることが確認できた。
【0034】なお、上記実施の形態では、溶融アルミニ
ウム浴中に浸漬する時間を1時間としたが、30分以上
1.5時間以下の範囲としてもよく、上記実施の形態と
同様の効果が得られる。
ウム浴中に浸漬する時間を1時間としたが、30分以上
1.5時間以下の範囲としてもよく、上記実施の形態と
同様の効果が得られる。
【0035】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明に係わる
溶融炭酸塩型燃料電池は、ウェットシール部が、1〜9
重量%のアルミニウムを含み鉄を主成分とする合金から
成る母材の表面にアルミニウム拡散層が形成されている
ので、充分な耐食性が得られる。
溶融炭酸塩型燃料電池は、ウェットシール部が、1〜9
重量%のアルミニウムを含み鉄を主成分とする合金から
成る母材の表面にアルミニウム拡散層が形成されている
ので、充分な耐食性が得られる。
【0036】請求項2の発明に係わる溶融炭酸塩型燃料
電池の製造方法は、ウェットシール部が、1〜9重量%
のアルミニウムを含み鉄を主成分とする合金から成る母
材の表面にアルミニウムをコーティングした後に熱処理
を施してアルミニウム拡散層を形成することにより製造
されるので、ウェットシール部に充分な耐食性を付与で
きる。
電池の製造方法は、ウェットシール部が、1〜9重量%
のアルミニウムを含み鉄を主成分とする合金から成る母
材の表面にアルミニウムをコーティングした後に熱処理
を施してアルミニウム拡散層を形成することにより製造
されるので、ウェットシール部に充分な耐食性を付与で
きる。
【0037】本発明の請求項3に係わる溶融炭酸塩型燃
料電池の製造方法は、請求項2記載の熱処理は、表面に
アルミニウムがコーティングされたウェットシール部の
母材とセパレータ板を接合する工程、上記ウェットシー
ル部とセパレータ板間の空間及び電極挿入用空間にカー
ボンスペーサを挿入したものをカーボン当て板を介して
複数個積層する工程、並びに上記積層体の両端をカーボ
ン当て板を介して金属よりなる押さえ板で挟持して上記
積層体を加圧した状態で加熱する工程を有するので、母
材とセパレータ板の材質が異なり熱膨張率が異なっても
熱処理時の熱歪の発生を防止できる。
料電池の製造方法は、請求項2記載の熱処理は、表面に
アルミニウムがコーティングされたウェットシール部の
母材とセパレータ板を接合する工程、上記ウェットシー
ル部とセパレータ板間の空間及び電極挿入用空間にカー
ボンスペーサを挿入したものをカーボン当て板を介して
複数個積層する工程、並びに上記積層体の両端をカーボ
ン当て板を介して金属よりなる押さえ板で挟持して上記
積層体を加圧した状態で加熱する工程を有するので、母
材とセパレータ板の材質が異なり熱膨張率が異なっても
熱処理時の熱歪の発生を防止できる。
【0038】本発明の請求項4に係わる溶融炭酸塩型燃
料電池の製造方法は、ウェットシール部が、1〜9重量
%のアルミニウムを含み鉄を主成分とする合金から成る
母材を溶融アルミニウム浴に浸漬して上記母材の表面に
アルミニウム拡散層を形成することにより製造されるの
で、ウェットシール部に充分な耐食性を付与できる。
料電池の製造方法は、ウェットシール部が、1〜9重量
%のアルミニウムを含み鉄を主成分とする合金から成る
母材を溶融アルミニウム浴に浸漬して上記母材の表面に
アルミニウム拡散層を形成することにより製造されるの
で、ウェットシール部に充分な耐食性を付与できる。
【図1】 本発明の実施の形態1に係わるウェットシー
ル部材と従来の材料の耐食性を評価した一例を示す特性
図である。
ル部材と従来の材料の耐食性を評価した一例を示す特性
図である。
【図2】 本発明の実施の形態1に係わり、(a)はウ
ェットシール部表面にアルミニウムペイントを塗布した
状態を、(b)は(a)のアルミニウムペイント塗布後
にアルミニウムを拡散させた状態をそれぞれ模式的に示
す要部断面図である。
ェットシール部表面にアルミニウムペイントを塗布した
状態を、(b)は(a)のアルミニウムペイント塗布後
にアルミニウムを拡散させた状態をそれぞれ模式的に示
す要部断面図である。
【図3】 本発明の実施の形態1に係わる熱処理方法を
説明する要部断面図である。
説明する要部断面図である。
【図4】 従来の内部マニホールド形式の溶融炭酸塩型
燃料電池の一般的な単電池の構造を一部破断して示す斜
視図である。
燃料電池の一般的な単電池の構造を一部破断して示す斜
視図である。
【図5】 図4の一部を拡大して示す要部斜視図であ
る。
る。
【図6】 従来の内部マニホールド形式の溶融炭酸塩型
燃料電池のセパレータ板の一般的な構造を一部破断して
示す要部斜視図である。
燃料電池のセパレータ板の一般的な構造を一部破断して
示す要部斜視図である。
【図7】 従来の溶融炭酸塩型燃料電池に係わり、
(a)はウェットシール部表面にアルミニウムを溶射し
た状態を、(b)は(a)のアルミニウム溶射後にアル
ミニウムを拡散させた状態をそれぞれ模式的に示す要部
断面拡大図である。
(a)はウェットシール部表面にアルミニウムを溶射し
た状態を、(b)は(a)のアルミニウム溶射後にアル
ミニウムを拡散させた状態をそれぞれ模式的に示す要部
断面拡大図である。
1 燃料電極、4 マトリクス、5 酸化剤電極、10
セパレータ板、20 燃料側マニホールド、21 燃
料側ウェットシール部、30 酸化剤側マニホールド、
31 酸化剤側ウェットシール部、40 溶接部、55
アルミ含有フェライト系ステンレス母材、60a,6
0b カーボンスペーサ、62 カーボン当て板、64
押え板、66 ネジ棒、67 ナット、68 バネ座
金、69 平座金、103 アルミニウム溶射層、10
6 アルミニウム拡散層、110 アルミニウムペイン
ト層、111 無欠陥アルミニウム拡散層。
セパレータ板、20 燃料側マニホールド、21 燃
料側ウェットシール部、30 酸化剤側マニホールド、
31 酸化剤側ウェットシール部、40 溶接部、55
アルミ含有フェライト系ステンレス母材、60a,6
0b カーボンスペーサ、62 カーボン当て板、64
押え板、66 ネジ棒、67 ナット、68 バネ座
金、69 平座金、103 アルミニウム溶射層、10
6 アルミニウム拡散層、110 アルミニウムペイン
ト層、111 無欠陥アルミニウム拡散層。
Claims (4)
- 【請求項1】 燃料電極、電解質マトリクス、及び酸化
剤電極を有する単セルと、ガス流路を形成するセパレー
タ板とを交互に積層して形成されるスタック、燃料及び
酸化剤ガス給排気用の内部マニホールド、並びに上記電
極及びマニホールドの周囲に上記セパレータ板と接して
設けられるウェットシール部を備える溶融炭酸塩型燃料
電池において、上記ウェットシール部は、1〜9重量%
のアルミニウムを含み鉄を主成分とする合金から成る母
材の表面にアルミニウム拡散層が形成されているもので
あることを特徴とする溶融炭酸塩型燃料電池。 - 【請求項2】 燃料電極、電解質マトリクス、及び酸化
剤電極を有する単セルと、ガス流路を形成するセパレー
タ板とを交互に積層して形成されるスタック、燃料及び
酸化剤ガス給排気用の内部マニホールド、並びに上記電
極及びマニホールドの周囲に上記セパレータ板と接して
設けられるウェットシール部を備える溶融炭酸塩型燃料
電池を製造する方法において、上記ウェットシール部
は、1〜9重量%のアルミニウムを含み鉄を主成分とす
る合金から成る母材の表面にアルミニウムをコーティン
グした後に熱処理を施してアルミニウム拡散層を形成す
ることにより製造されることを特徴とする溶融炭酸塩型
燃料電池の製造方法。 - 【請求項3】 請求項2記載の熱処理は、表面にアルミ
ニウムがコーティングされたウェットシール部の母材と
セパレータ板を接合する工程、上記ウェットシール部と
セパレータ板間の空間及び電極挿入用空間にカーボンス
ペーサを挿入したものをカーボン当て板を介して複数個
積層する工程、並びに上記積層体の両端をカーボン当て
板を介して金属よりなる押さえ板で挟持して上記積層体
を加圧した状態で加熱する工程を有するものであること
を特徴とする請求項2記載の溶融炭酸塩型燃料電池の製
造方法。 - 【請求項4】 燃料電極、電解質マトリクス、及び酸化
剤電極を有する単セルと、ガス流路を形成するセパレー
タ板とを交互に積層して形成されるスタック、燃料及び
酸化剤ガス給排気用の内部マニホールド、並びに上記電
極及びマニホールドの周囲に上記セパレータ板と接して
設けられるウェットシール部を備える溶融炭酸塩型燃料
電池を製造する方法において、上記ウェットシール部
は、1〜9重量%のアルミニウムを含み鉄を主成分とす
る合金から成る母材を溶融アルミニウム浴に浸漬して上
記母材の表面にアルミニウム拡散層を形成することによ
り製造されることを特徴とする溶融炭酸塩型燃料電池の
製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7230175A JPH0982345A (ja) | 1995-09-07 | 1995-09-07 | 溶融炭酸塩型燃料電池及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7230175A JPH0982345A (ja) | 1995-09-07 | 1995-09-07 | 溶融炭酸塩型燃料電池及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0982345A true JPH0982345A (ja) | 1997-03-28 |
Family
ID=16903788
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7230175A Pending JPH0982345A (ja) | 1995-09-07 | 1995-09-07 | 溶融炭酸塩型燃料電池及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0982345A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
NL1006185C2 (nl) * | 1996-05-31 | 2001-12-10 | Korea Heavy Ind & Construction | Anticorrosie-behandelingswerkwijze voor een separator van een brandstofcel met gesmolten carbonaat. |
EP1204778A1 (en) * | 1999-06-04 | 2002-05-15 | Ceramic Fuel Cells Limited | Air-side solid oxide fuel cell components |
KR100444245B1 (ko) * | 2001-09-11 | 2004-08-16 | 한국전력공사 | 용융탄산염 연료전지용 분리판의 열처리방법 및 용융탄산염 연료전지 |
US7985512B2 (en) | 2006-04-14 | 2011-07-26 | Fuelcell Energy, Inc. | Bipolar separator plate for use in a fuel cell assembly and for preventing poisoning of reforming catalyst |
-
1995
- 1995-09-07 JP JP7230175A patent/JPH0982345A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
NL1006185C2 (nl) * | 1996-05-31 | 2001-12-10 | Korea Heavy Ind & Construction | Anticorrosie-behandelingswerkwijze voor een separator van een brandstofcel met gesmolten carbonaat. |
EP1204778A1 (en) * | 1999-06-04 | 2002-05-15 | Ceramic Fuel Cells Limited | Air-side solid oxide fuel cell components |
EP1204778A4 (en) * | 1999-06-04 | 2005-04-27 | Ceramic Fuel Cells Ltd | AIR-CONDITIONING COMPONENTS OF A SOLID OXYGEN FUEL CELL |
KR100444245B1 (ko) * | 2001-09-11 | 2004-08-16 | 한국전력공사 | 용융탄산염 연료전지용 분리판의 열처리방법 및 용융탄산염 연료전지 |
US7985512B2 (en) | 2006-04-14 | 2011-07-26 | Fuelcell Energy, Inc. | Bipolar separator plate for use in a fuel cell assembly and for preventing poisoning of reforming catalyst |
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