[go: up one dir, main page]

JPH0966064A - 医療器具の殺菌洗浄方法 - Google Patents

医療器具の殺菌洗浄方法

Info

Publication number
JPH0966064A
JPH0966064A JP7245445A JP24544595A JPH0966064A JP H0966064 A JPH0966064 A JP H0966064A JP 7245445 A JP7245445 A JP 7245445A JP 24544595 A JP24544595 A JP 24544595A JP H0966064 A JPH0966064 A JP H0966064A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cleaning
electrolytic cell
liquid
sterilization
electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7245445A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuo Sekiguchi
和夫 関口
Takayuki Ichiyanagi
貴之 一柳
Mitsunori Sasazu
備規 笹津
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Denko KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Showa Denko KK filed Critical Showa Denko KK
Priority to JP7245445A priority Critical patent/JPH0966064A/ja
Publication of JPH0966064A publication Critical patent/JPH0966064A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Water Treatment By Electricity Or Magnetism (AREA)
  • Apparatus For Disinfection Or Sterilisation (AREA)
  • Endoscopes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 内視鏡等の医療器具を特別な薬剤を使用する
ことなく、短時間に殺菌する方法を提供する。 【構成】 医療器具を洗浄槽内のハロゲンイオンを含む
洗浄液に浸漬する。その洗浄液を連続的に多孔質炭素電
極を備えた電解槽に導き、該電極内を通しながら電解槽
に通電し、電極内を通過した洗浄液を洗浄槽に戻し、洗
浄液を洗浄槽と電解槽間を循環させることからなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医療器具を殺菌洗浄す
る方法に関する。さらに詳しくは、その処理に要する時
間が臨床現場での使用の障害にならない程度の短時間で
確実に殺菌ができる医療器具の電解殺菌洗浄方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】医療器具、例えば内視鏡は生体内に直接
使用されるために使用の都度殺菌洗浄する必要がある。
現在、内視鏡の殺菌には我が国では薬液殺菌が通常用い
られており、薬剤としてグルタールアルデヒド水溶液が
使用されており、専用の洗浄装置も市販されている。し
かし、この方法は、前洗浄、薬液による本洗浄(殺菌洗
浄)、薬液除去のための後洗浄という工程が必要であ
り、殺菌洗浄終了までに長時間かかるという問題点があ
った。また、薬剤耐性のある微生物に対しては殺菌効果
が不十分であるという問題があった。他の殺菌方法とし
て紫外線照射法、オゾン殺菌法、エチレンオキサイド殺
菌法があるが、紫外線照射法は効果が不十分であるとい
う問題がある。オゾン殺菌法は、殺菌効果は良好だが、
内視鏡の高分子被覆層を変性させるという問題点があ
り、使用できない。また、エチレンオキサイド殺菌法
は、殺菌効果は比較的に良好だが、高価な設備を必要と
する、処理に長時間かかる、安全性の面から取扱いが容
易でないという問題点がある。従来の方法では、殺菌洗
浄に長時間を要するため、多数の患者を検査しなければ
ならない場合には対処しきれず、装置の殺菌が不十分な
まま使用せざるを得ないという状況にある。例えば、臨
床現場でしばしば遭遇する上部内視鏡検査後の急性胃粘
膜病変の発生は、内視鏡装置を介したHelicoba
cter pyloriの感染が関与している可能性も
報告されており、社会問題となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、その処理に
要する時間が臨床現場での使用の障害にならない程度の
短時間で、確実に殺菌洗浄ができる内視鏡等の医療器具
の殺菌洗浄方法を提供する。さらに、本発明は特別な薬
剤を使用する必要がないので、微生物に薬剤耐性が生じ
る心配や残留薬物が人体への悪影響を及ぼす心配がな
く、例えば内視鏡ではその挿入部蛇管の高分子皮膜層を
変性させるような激しい化学反応を伴うこともなく、取
扱いが簡便で、経済性の高い殺菌洗浄方法を提供するも
のである。
【0004】多孔質炭素電極を用いて電気化学的処理を
行うことによって極めて効率よく、経済的に水中の微生
物の制菌ができることは公知である(特開平6−551
78等)。飲料水、浴場水、浄水場水等の水の制菌に用
いる場合の電気化学的処理条件についても既に報告され
ている。通常、これらの用途においては、微生物を完全
に死滅させる必要はなく、実際上問題にならない菌数に
制御することができればよい。つまり、制菌できればよ
い。しかしながら、医療現場において用いる場合には、
病原性を持った微生物が対象となるため、実質的に微生
物を完全に死滅させることが要求される。つまり、厳密
な意味で殺菌できなければならない。従来知られている
電気化学的処理は上記した飲料水、浴場水等の水中に存
在している微生物の殺菌が主体であり、器具等を効率よ
く殺菌する方法については殆ど考慮されていない。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は医療器具を洗浄
液に浸漬したまま、その液を電気化学的処理槽(電解槽
という)を通して循環させることにより意外にも短時間
に医療器具が殺菌されることを知見し、これに基づいて
なされたものである。即ち、本発明は医療器具を洗浄槽
内のハロゲンイオンを0.05〜150mM/l含む洗
浄液に浸漬し、その洗浄液を連続的に多孔質炭素電極を
備えた電解槽に導き、該電極内を通しながら電流濃度を
0.1〜200mA・sec/mlにして電解槽に通電
し、電極内を通過した洗浄液を洗浄槽内に戻すことによ
り洗浄液を洗浄槽と電解槽間を循環させることを特徴と
する医療器具の殺菌洗浄方法である。
【0006】以下、医療器具として内視鏡を例にとり本
発明を詳細に説明する。ここで内視鏡とは、内視鏡装置
の中で特に挿入部蛇管、内部のチャンネル及び付属処置
具等の使用により微生物の汚染が起こる可能性が高い装
置をさす。微生物は、細菌、芽胞生成菌の胞子、糸状
菌、酵母、単細胞の藻類、原生動物、リケッチャ、ウィ
ルスを含むものとし、これらの微生物を死滅させること
を殺菌と称することとする。死滅させるとは、別途記載
する平板培地法または日本薬局方、無菌試験法、直接
法、無菌試験(以下無菌試験という)において微生物が
検出されないことを意味する。
【0007】本発明で使用される洗浄液は少量のハロゲ
ンイオンを含んだ水である。ハロゲンイオンとしては、
沃素イオン、臭素イオン、塩素イオンが殺菌効果の面か
らは好ましく、フッ素イオンは殺菌効果が弱い。ハロゲ
ンイオンは水溶性ハロゲン化物を水に溶解することによ
って容易に得ることができる。アルカリ金属またはアル
カリ土類金属のハロゲン化物が好ましく用いられる。人
体への毒性等を考慮すれば、塩素イオンが最も好まし
く、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩化物、好
ましくは塩化ナトリウム(食塩)を水に溶解することで
得られる。特に、塩化ナトリウム(食塩)は生理食塩水
としても使用され人体に無害であり、本発明には最も適
している。ハロゲンイオンの濃度は0.05〜150m
M/lが適する。我々の知見によれば、多孔質炭素電極
を用いた電気化学的処理において、蒸留水の如くイオン
を含まない水及びハロゲンイオンを含まず、他の陽イオ
ンまたは陰イオンを含んだ水では殺菌効果が得られない
ことがわかった。
【0008】本発明で使用される電解槽は、例えば両端
にフランジを有する円筒形または角柱形等の形状で、内
部に1個乃至複数個の多孔質炭素電極を多段に所定の間
隔で設置したものである。その一例を図2に示す。図に
おいて61は筐体で、その中に多孔質炭素電極65が多
段に配置されている。66は炭素電極の陽極側に設置さ
れ、炭素電極が電解で発生する酸素により酸化消耗する
のを防止するための保護電極で、通常メッシュ状チタン
の表面を白金等で被覆したものである。電極間はスペー
サー64により所定の間隔に保たれる。電解槽への通電
はターミナル電極63、電圧印加端子62により行なわ
れる。被処理水は電解槽の一端68から導入され、電解
槽内の多孔質炭素電極の内部を通り、電解槽の他端67
から導出される。なお、電解槽は被処理水を短絡流を生
じることなく、該炭素電極の内部を通過させることがで
きる構造のものであればよく、上記のものに限定される
ものではない。
【0009】電解槽に使用される多孔質炭素電極は、使
用する電解槽に応じた形状を有し、処理水が内部を通過
可能な多孔質炭素材料、即ち粒状、フェルト状、織布
状、多孔質ブロック状、スポンジ状等の形状を有する活
性炭、グラファイト、炭素繊維等の炭素系材料からなる
電極が使用できる。炭素系材料は毒性がなく、安全上問
題となるイオンの生成がないため、医療分野での使用に
好ましい。他の金属電極によっても該多孔質炭素電極と
同等の殺菌効果を達成することは可能かもしれない。し
かしながら、金属電極の場合には電気化学的反応による
金属イオンの溶出があり、安全性の面から本発明の目的
の使用に適さない。
【0010】多孔質炭素電極は殺菌効率が高いことが望
ましい。殺菌効率は被処理水と透過する多孔質炭素電極
との接触面積が大きい程、即ち気孔率が高い程殺菌効率
は高くなる。また、気孔径は透過水が偏流しないように
均一な分布をしていることが望ましい。さらに、微生物
の拡散、処理速度から適当な気孔径であること、具体的
には気孔径は30〜90μmであることが好ましい。こ
の下限値未満では気孔の閉塞が発生し易く、処理速度が
制約される等の問題を生じる。この上限値を越えると微
生物と炭素材との接触頻度の減少により殺菌効果が低下
する。炭素電極はまた、電気比抵抗が低いことが求めら
れる。
【0011】電気比抵抗が高いと電解槽のエネルギー効
率が下がり、電解分極電圧が大きくなり電流が効率よく
透過水中を流れなくなり、殺菌効率が低下する。電気比
抵抗は20mΩcm以下が好ましい。多孔質炭素電極の
通水性と関連する通気率は、2000ml・mm/hr
/cm2 /mmAq以上が好ましい。なお、通気率を取
上げたのは通水性の精度よい測定は難しいからである。
この値以下では処理能力が低くなり、装置の実用上の制
約が大きくなる。本発明に使用される炭素電極は、電解
により陽極側に酸素が発生し、電極の腐食が起こるので
耐食性の高いものが望ましい。腐食電流値で10μA/
cm2 (200℃、95%リン酸液中)以下であること
が好ましい。特に、本発明の多孔質炭素電極には、炭素
繊維を有機高分子物質の炭化物で一体に結合した炭素電
極が殺菌効率が高く耐食性に優れており、好ましく用い
られるがこれに限定されるものではない。この好ましい
炭素電極は具体的には紙に液状の熱硬化性樹脂、例えば
フェノール樹脂を含浸し、それを積層、圧着、硬化後焼
成したもので、紙のセルロース繊維が炭化して炭素繊維
化し、同時に熱硬化性樹脂が炭化し、その炭化物で炭素
繊維が一体に結合される。この炭素電極は多孔質ガラス
状で耐食性に優れている。
【0012】内視鏡の殺菌洗浄は洗浄液の入った洗浄槽
と電解槽を用いて行なわれる。その殺菌洗浄方法に好適
な殺菌洗浄装置の一例を図1に示す。図において1が洗
浄槽、2が洗浄液、6が電解槽で、洗浄槽と電解槽は洗
浄液がこれらの間を循環するように送液ライン3により
接続されている。4は送液のためのポンプ、5、8はフ
ィルター、10はバルブである。内視鏡9は洗浄液2の
中に浸漬、洗浄される。洗浄後の液は電解槽に送られ、
電解槽6には直流電源7により電圧が印加されて電気化
学的に殺菌される。図示の例は内視鏡を洗浄液に浸漬し
ただけであるが、特に内視鏡の挿入部蛇管のチャンネル
内部を洗浄するには、挿入部蛇管と洗浄液の送液ライン
とを例えばジョイントを介して接続して、洗浄液の一部
または全部が該挿入部蛇管のチャンネル内部を流通しな
がら洗浄するようにすることもできる。
【0013】殺菌を効率よく行なうには電解槽を流れる
電流を単位時間当りに流れる洗浄液量に応じて適正な範
囲に選ぶことが好ましい。本発明においては電解槽を流
れる電流(mA)を単位時間(sec)当りに電解槽を
流れる洗浄液量(ml)で除したものを電流濃度(mA
・sec/ml)と定義する。なお、単位時間当りに流
れる洗浄液量を略して流速と呼ぶ。本発明における殺菌
洗浄方法では、前記の如くに定義された電流濃度が0.
1〜200mA・sec/ml、好ましくは0.5〜5
0mA・sec/mlとなるような条件で洗浄液を電気
化学的に処理する。処理条件は対象となる微生物の種
類、菌数、ハロゲンイオン濃度の組み合わせにより殺菌
できる範囲は種々変わりうるが、この範囲の中から最適
な処理条件を見出すことができる。電流濃度がこの範囲
より小さいと殺菌効率が不十分で微生物の種類によって
は完全に死滅できない場合がでてくる。一方、電流濃度
がこの範囲より大きいと、電解によるガス発生や電極の
劣化等の問題を生じ、結果的に殺菌効果が低下してしま
うので好ましくない。
【0014】実際に設定した処理条件で殺菌可能かの確
認は、殺菌すべき微生物を含む水を、通電した多孔質炭
素電極を通過させるワンパス試験を行ない、通過した処
理水中の微生物の菌数を測定すれば容易に結果を知るこ
とができる。通常、液を通過させる時間は数分程度で十
分である。上記の処理条件によれば、洗浄液中の微生物
は多孔質炭素電極を1回通過させるだけで(ワンパス
で)完全に死滅できる。多孔質炭素電極を通過させ殺菌
処理された洗浄液は、一部または全部を循環し洗浄に使
用する。多孔質炭素電極で電気化学的に処理された水は
殺菌効果を保持しており、一部または全てを循環し洗浄
にすることにより内視鏡が殺菌される。洗浄槽内の洗浄
液は、その液中の菌がなくなるまで循環され電解殺菌さ
れる。通常1個の内視鏡で3リットル程度の洗浄液を用
いた場合、数回循環させれば十分である。
【0015】本発明に使用される多孔質炭素電極を長時
間使用すると、製造工程で発生し付着していた、または
劣化により崩落した炭素の微粒子が処理液に混入する可
能性があり、洗浄液を循環使用する場合に問題となる。
図1の殺菌洗浄装置において、電解槽の下流側の送液ラ
インに該炭素微粒子を補集するためのフィルター8が設
置されている。また、微生物とともに内視鏡に付着して
いる粘液や生体組織などが洗浄液に混入して炭素電極の
微細孔に詰まると、電極の殺菌効率を著しく低下させ
る。本発明に使用される殺菌洗浄装置では、電解槽の上
流側送液ラインに粘液や生体組織等を補集するためのフ
ィルター5が設置されている。さらに、病原性のある微
生物による汚染の危険があるため、フィルターや電解槽
の交換は、内部に滞留した液と接触しないで行なうこと
ができることが望まれる。本発明に使用される殺菌洗浄
装置では、炭素電極を設置してなる電解槽とフィルター
を同時に簡単に脱着することが可能となるように、電解
槽と前後のフィルターとを一体化したカートリッジとな
すことができる。
【0016】本発明の殺菌洗浄においては実質的に電解
によるガス発生はほとんどないが、それでも殺菌洗浄装
置を長時間使用していると、特に閉鎖系で洗浄液を循環
使用する場合には、電極の微細孔でのガスの滞留による
電極の殺菌性能の低下及び水素と酸素の混合ガスによる
爆発の危険という問題を生じる。そこで殺菌洗浄装置に
ガスの系内蓄積を回避するためのガスを除去する装置を
設置することができる。殺菌洗浄装置は長時間使用して
いると、電極の劣化、電極の微細孔のつまり等が原因と
なり、殺菌性能が低下してくることは避けられない。不
十分な殺菌性能のまま使用し続けることは、内視鏡を介
した微生物感染を助長し、重大な問題を引き起こすこと
になる。従って、電極の劣化やつまり等による殺菌性能
の低下を速やかに検知する必要がある。電極の劣化は電
流値の低下で検知することが可能であり、一方、詰まり
は圧力の増加で検知することが可能である。本発明で使
用される殺菌洗浄装置において、炭素電極を流れる電流
値を計測・表示し、あらかじめ定めた電流値の下限値と
の比較で、電極の劣化を検知することができる。同様
に、系の圧力を計測・表示し、あらかじめ定めた圧力の
上限値との比較で、速やかに詰まりを検知できるように
することができる。以上は内視鏡の殺菌洗浄について説
明したが、その他加熱殺菌や薬剤による殺菌が困難な医
療器具についても同様に適用できることはいうまでもな
い。
【0017】
【実施例】以下、実験例、実施例により本発明を具体的
に説明するが、該実施例は本発明を限定するものではな
い。なお、菌数の測定には平板法と無菌試験の両方を用
いた。平板法ではサンプル液を100倍系列希釈し、原
液、100倍希釈液、104 倍希釈液、106 倍希釈液
を作成し、各0.1mlをブレインハートインフュージ
ョンアガー平板培地各2枚に塗抹し、37℃で18時間
培養し、生菌数及びプラーク数を測定した。また、無菌
試験では、サンプル5mlを40mlの無菌試験用チオ
グリコール酸培地の入った無菌試験用試験管に接種し、
37℃で7日間培養し菌の増殖を見た。電解殺菌は初め
に内視鏡を用いず、ハロゲン濃度、電流濃度等を変え、
各種の微生物について殺菌性能を調べ、次いで内視鏡に
ついて実際に試験した。
【0018】(実験例1)蒸留水に種々の無機ハロゲン
化物を種々の濃度範囲に溶解した後、さらに102 〜1
7 個/mlの濃度になるように大腸菌(IAM123
9)を懸濁し、被処理液を調製した。多孔質炭素電極
(直径78mm×厚さ9mm)1〜10枚をポリエチレ
ン樹脂製隔膜で挟み込むようにして、硬質ポリ塩化ビニ
ル樹脂製のフランジ型円筒(内径80mm)に設置し、
上下両端の隔膜に給電用の陰極及び陽極ターミナルを接
触させ、多孔質炭素電極1〜10枚を含んでなる電解槽
とした(図2)。本発明の電流濃度範囲になるような流
速と電流値の組み合わせ条件で、前記被処理液を電解槽
に供給し、直流電流を流した多孔質炭素電極の内部を通
過させ、ワンパス処理を行なった。15分後に電極を通
過した被処理液をサンプリングし、平板培地法で菌数を
測定した。ただし、NaFの場合には被処理液を全量貯
槽に戻し、循環処理を行ない(被処理液全量に対する液
流速の比は1/600sec-1)、サンプリングは30
分後にした)。結果を表1に示す。本発明の殺菌処理条
件ではワンパス処理の殺菌処理で大腸菌が完全に殺菌で
きる。実際の医療現場での洗浄液中の菌数は、常識的に
104 個/ml以下と考えられるので、本発明の殺菌洗
浄方法は実用上十分な殺菌効果を発揮することがわか
る。
【0019】(実験例2)蒸留水に塩化ナトリウムを所
定の濃度範囲で溶解した後、さらに102 〜107 個/
mlの濃度になるように10種類の微生物を懸濁し、被
処理液を調製した。実験例1で使用した多孔質炭素電極
2〜10枚を含む電解槽に、前記の被処理液を本発明の
電流濃度の範囲である流速と電流の組み合わせ条件で電
解槽に供給し、直流電流を流した多孔質炭素電極の内部
を通過させ、ワンパス処理を行なった。15分処理後の
電極を通過した被処理液をサンプリングし、平板培地法
でさらに大腸菌については無菌試験で生菌数を測定し
た。結果を表2に示す。本発明の殺菌処理後の平板法に
よる菌数測定では、10種類の全ての微生物について検
出されなかった。大腸菌では日本薬局方、無菌試験法、
直接法、無菌試験で無菌であることが確認された。消毒
薬耐性の黄色ブドウ球菌、ファージ及びHelicob
acter pyloriに対して迅速な殺菌効果を示
したことから、本発明の殺菌洗浄方法がメチシリン耐性
黄色ブドウ球菌による院内感染の予防、ウィルス感染の
防止及び上部消化管内視鏡検査後の感染予防に有用であ
ることが示唆された。
【0020】(比較実験例1)蒸留水及び蒸留水にハロ
ゲン化物以外の各種無機塩を10mM/リットルの濃度
で溶解した液に107 個/mlの濃度になるように大腸
菌を懸濁し、被処理液を調製した。実験例1で使用した
多孔質炭素電極10枚を設置した電解槽に、前記の被処
理液を本発明の電流濃度の範囲に含まれる流速と電流の
組み合わせ条件で電解槽に供給し、直流電流を流した多
孔質炭素電極の内部を通過させワンパス処理を行なっ
た。15分後電極を通過した被処理液をサンプリング
し、平板培地法で菌数を測定した。表1に示すように殺
菌効果はなかった。
【0021】(比較実験例2)蒸留水に塩化ナトリウム
(食塩)を1mMの濃度で溶解した液に107 個/ml
の濃度になるように大腸菌を懸濁し、被処理液を調製し
た。実験例1で使用した多孔質炭素電極10枚を設置し
た電解槽に、本発明の電流濃度の範囲外の条件で多孔質
炭素電極の内部を通過させた。15分後電極を通過した
被処理液をサンプリングし、平板培地法で菌数を測定し
た。表1に示すように殺菌効果は劣り、流速1.7ml
/sec、直流電流500mAの条件では発生ガスによ
る電極の閉塞が見られた。
【0022】(比較実験例3)蒸留水に塩化ナトリウム
(食塩)を0.01mM及び200mMの濃度で溶解し
た液に104 個/mlの濃度になるように大腸菌を懸濁
し、被処理液を調製した。実験例1で使用した多孔質炭
素電極10枚を設置した電解槽に、前記の被処理液を本
発明の電流濃度の範囲に含まれる流速と電流の組み合わ
せ条件で電解槽に供給し、直流電流を流した多孔質炭素
電極の内部を通過させワンパス処理を行なった。15分
後電極を通過した被処理液をサンプリングし、平板培地
法で菌数を測定した。表1に示すように殺菌効果は劣
り、流速16.7ml/sec、直流電流800mAの
条件では発生ガスによる電極の閉塞が見られた。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】(実施例1)蒸留水に塩化ナトリウム(食
塩)を0.01mMの濃度で溶解し、洗浄液を調製し
た。前記洗浄液3リットルを入れた洗浄槽、送液ポン
プ、実験例1で使用した多孔質炭素電極2個を含んだ電
解槽及び2個のフィルターを図1の如くに各々送液ライ
ンで結び内視鏡殺菌洗浄装置とした。上部消化管内視鏡
検査後の内視鏡を先端部をスキロー培地に直接塗抹した
後、前記洗浄槽に収納し、流速1000ml/min、
直流電流40mA(電流濃度は2.4mA・sec/m
l)の条件で洗浄液を循環し殺菌洗浄を行なった。15
分後に内視鏡を取出し、再度先端部をスキロー培地に塗
抹した。殺菌洗浄前の塗抹でHelicobacter
pylori陽性であった5例について、殺菌洗浄15
分後の塗抹では全てH.pyloriは陰性であった。
【0026】
【発明の効果】従来内視鏡の殺菌洗浄に要する時間は1
回当り1時間以上であったのに対し、本発明による内視
鏡の殺菌洗浄方法によれば、15分未満、高々30分未
満で済み、殺菌洗浄に要する時間が臨床現場での内視鏡
使用の障害にならない程度に短縮できる。そのため、殺
菌洗浄が不十分なまま内視鏡を使用せざるを得ない事態
を回避することができ、内視鏡を介した感染を予防する
ことが可能となる。また、特別な薬剤を使用する必要が
ないので、微生物に薬剤耐性が生じる心配がなく、確実
な殺菌効果が永続的に得られる。しかも、残留薬物が人
体への悪影響を及ぼす心配がない。さらに、激しい化学
反応を伴うことがないので、内視鏡の挿入部蛇管の高分
子皮膜層を変性させることがなく、殺菌洗浄が可能にな
る。しかも、簡便で経済的に内視鏡の殺菌洗浄が可能と
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用される殺菌洗浄装置の一例を示す
概略図である。
【図2】電解殺菌に使用される電解槽の一例を示す概略
断面図である。
【符号の説明】
1 洗浄槽 2 洗浄液 3 洗浄液の送液ライン 4 ポンプ 5 フィルター 6 電解槽 61 筐体 62 電圧印加端子 63 ターミナル電極 64 スペーサー 65 多孔質炭素電極 66 保護電極 67 液の出口 68 液の入口 7 直流電源 8 フィルター 9 内視鏡 10 バルブ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 医療器具を洗浄槽内のハロゲンイオンを
    0.05〜150mM/l含む洗浄液に浸漬し、その洗
    浄液を連続的に多孔質炭素電極を備えた電解槽に導き、
    該電極内を通しながら電流濃度を0.1〜200mA・
    sec/mlにして電解槽に通電し、電極内を通過した
    洗浄液を洗浄槽内に戻すことにより洗浄液を洗浄槽と電
    解槽間を循環させることを特徴とする医療器具の殺菌洗
    浄方法。
  2. 【請求項2】 ハロゲンイオンが塩素イオンである請求
    項1に記載の医療器具の殺菌洗浄方法。
JP7245445A 1995-08-30 1995-08-30 医療器具の殺菌洗浄方法 Pending JPH0966064A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7245445A JPH0966064A (ja) 1995-08-30 1995-08-30 医療器具の殺菌洗浄方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7245445A JPH0966064A (ja) 1995-08-30 1995-08-30 医療器具の殺菌洗浄方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0966064A true JPH0966064A (ja) 1997-03-11

Family

ID=17133775

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7245445A Pending JPH0966064A (ja) 1995-08-30 1995-08-30 医療器具の殺菌洗浄方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0966064A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6106691A (en) * 1998-02-12 2000-08-22 T.R.P Co., Ltd. Medical instrument sterilizing and washing method and apparatus
US6623695B2 (en) 1997-12-04 2003-09-23 Steris Corporation Chemical modification of electrochemically activated solutions for improved performance
JP6219010B1 (ja) * 2016-09-13 2017-10-25 オリンパス株式会社 内視鏡リプロセッサ
WO2018051556A1 (ja) * 2016-09-13 2018-03-22 オリンパス株式会社 内視鏡リプロセッサ
CN115350305A (zh) * 2022-09-14 2022-11-18 河南大学第一附属医院 一种胃肠镜自动清洗消毒用机器人及其控制方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6623695B2 (en) 1997-12-04 2003-09-23 Steris Corporation Chemical modification of electrochemically activated solutions for improved performance
US6106691A (en) * 1998-02-12 2000-08-22 T.R.P Co., Ltd. Medical instrument sterilizing and washing method and apparatus
KR100543138B1 (ko) * 1998-02-12 2006-04-28 가부시키가이샤 오메가 의료용구의살균세정방법및그장치
JP6219010B1 (ja) * 2016-09-13 2017-10-25 オリンパス株式会社 内視鏡リプロセッサ
WO2018051556A1 (ja) * 2016-09-13 2018-03-22 オリンパス株式会社 内視鏡リプロセッサ
CN115350305A (zh) * 2022-09-14 2022-11-18 河南大学第一附属医院 一种胃肠镜自动清洗消毒用机器人及其控制方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6117285A (en) System for carrying out sterilization of equipment
US6007686A (en) System for elctrolyzing fluids for use as antimicrobial agents
US6555055B1 (en) System for preventing and remediating biofilms in dental equipment
Matsunaga et al. Electrochemical disinfection of bacteria in drinking water using activated carbon fibers
US20070017820A1 (en) Biocidal solution
KR101220891B1 (ko) 3차원 다공성 복극 전극 및 이를 구비한 전기살균 필터와 이를 이용한 수처리 방법
KR101812008B1 (ko) 3차원 다공성 단극 전극체를 구비한 전기살균 필터 및 이를 이용한 수처리 방법
JP2003521346A5 (ja)
JPH10151463A (ja) 水処理方法
JP2001276828A (ja) 水の電解消毒方法及び電解消毒装置
CN101746857A (zh) 用于水的电化学消毒的方法和设备
EP1285884A1 (en) Method and apparatus for clarification treatment of water
JPH0966064A (ja) 医療器具の殺菌洗浄方法
O’Donnell et al. A centralised, automated dental hospital water quality and biofilm management system using neutral Ecasol™ maintains dental unit waterline output at better than potable quality: a 2-year longitudinal study
CN111498956A (zh) 一种牙科综合治疗台供水系统及供水方法
JP3363248B2 (ja) 殺菌水、その製造法及び製造装置
CN107158423A (zh) 口腔医疗设备消毒装置及方法
JPH1099863A (ja) 用水の殺菌方法及びこれに用いる用水処理装置
JPS6122926B2 (ja)
US20220097006A1 (en) Biofouling removal and mitigation using direct electrical shock technology
WO1997039165A1 (en) System and method for carrying out sterilization
JP3214724B2 (ja) 固定床型三次元電極式電解槽
JP3220355B2 (ja) 被処理水の電気化学的処理方法
JP2802474B2 (ja) 流水生成電解酸性水を利用した内視鏡ファイバースコープの殺菌洗浄方法
JPH1087381A (ja) 多孔性炭素質電極の処理方法、炭素質固定床型三次元電極電解槽及び水処理方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040528

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040608

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040804

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20040928