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JPH0954213A - 投射型表示装置 - Google Patents

投射型表示装置

Info

Publication number
JPH0954213A
JPH0954213A JP8075343A JP7534396A JPH0954213A JP H0954213 A JPH0954213 A JP H0954213A JP 8075343 A JP8075343 A JP 8075343A JP 7534396 A JP7534396 A JP 7534396A JP H0954213 A JPH0954213 A JP H0954213A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polarization beam
beam splitter
light
display device
dielectric multilayer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8075343A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideaki Shimomura
英明 下村
Kiyoshi Numazaki
潔 沼崎
Yoshiro Oikawa
義朗 及川
Naotaka Shimamura
尚孝 島村
Motoi Ueda
基 上田
Takeshi Hasegawa
雄 長谷川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nikon Corp filed Critical Nikon Corp
Priority to JP8075343A priority Critical patent/JPH0954213A/ja
Publication of JPH0954213A publication Critical patent/JPH0954213A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Liquid Crystal (AREA)
  • Polarising Elements (AREA)
  • Projection Apparatus (AREA)
  • Transforming Electric Information Into Light Information (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 種々の熱応力、外部応力の影響に対して光学
的に安定な性能を確保でき投射画像の画質劣化を効果的
に抑制する投射型表示装置を提供する。 【解決手段】 投射型表示装置は、空間光変調素子13
R、13G、13Bと、入射光を偏光して空間光変調素
子13R、13G、13Bに照射させるとともに、空間
光変調素子13R、13G、13Bからの変調された反
射光を検光する偏光ビームスプリッタ14R、14G、
14Bと、偏光ビームスプリッタ14R、14G、14
Bにより検光された光をスクリーン200上に投射する
投射レンズ18とを備える。偏光ビームスプリッタ14
R、14G、14Bは、1.8以上の屈折率を有すると
ともに、波長0.4μm〜0.7μmの入射光に対し、
その光弾性定数の絶対値が1.5×10-8cm2/N以
下の透光性材料からなる部材から構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、空間光変調素子
を利用した投射型表示装置に関し、特に、外部応力の影
響に対して光学的に安定な性能を確保し投射画像の画質
劣化を効果的に抑える構造を備えた投影型表示装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から投射型表示装置用に用いられる
空間光変調素子としては、偏光を利用して光を空間的に
変調する位相差変調型(偏光変調型)の空間光変調素子
が知られている。そして、この位相差変調型の空間光変
調素子として、例えば液晶を用いて構成されたもの(位
相差変調型液晶ライトバルブ)が実用化されている。
【0003】このような位相差変調型の空間光変調素子
を用いた従来の投射型表示装置では、偏光子及び検光子
となる偏光ビームスプリッタ(主偏光ビームスプリッ
タ)が用いられる。以下の説明では、該偏光ビームスプ
リッタは、S偏光成分を反射させるとともにP偏光成分
を透過させる特性を有するものとする。従来の投射型表
示装置では、偏光ビームスプリッタに入射された光(照
明の光源から直接入射された光又は入射前に色分解され
た光など)がこの偏光ビームスプリッタによりP偏光成
分とS偏光成分の光に分離され、通常、分離された光の
うちS偏光成分は空間光変調素子に対して照射される。
そして、この空間光変調素子の液晶層により変調され、
かつ反射された光は、再び偏光ビームスプリッタに戻
る。この際、該空間光変調素子4からの反射光は上述の
偏光ビームスプリッタにより検光される。上述の偏光ビ
ームスプリッタではS偏光成分は反射されるので、空間
光変調素子により変調されてP偏光となった光のみが該
偏光ビームスプリッタを透過する。この透過した光(す
なわち、検光された光)が投射光学系を介して投射画像
としてスクリーン等に投射される。
【0004】このような投射型表示装置に使用される偏
光ビームスプリッタとしては、従来、例えばヒューズエ
アクラフト社の米国特許第4,687,301号公報に
開示されているように、屈折率が調整された液体中に偏
光ビームスプリッタ用のコーティングが施された透光性
材料板を浸漬させた構成の液体浸漬型の偏光ビームスプ
リッタが多く提案されてきた。なお、上記液体の屈折率
は、所定の液温で浸漬された透光性材料板の屈折率と同
一になるように調整されている。このように液体中に浸
漬する理由は、空気中では、コーティングの界面が空気
対透光性材料となり、屈折率が異なるために偏光ビーム
スプリッタとして機能しないためである。
【0005】ここで、上述の液体浸漬型の偏光ビームス
プリッタ1を採用した従来の投射型表示装置の一例の主
要部を示す模式図を、図34に示す。この偏光ビームス
プリッタ1は、屈折率が調整された液体2中に偏光ビー
ムスプリッタ用のコーティングが施された透光性材料板
3を浸漬させた構成となっている。また、偏光ビームス
プリッタ1の付近には位相差変調型の空間光変調素子4
が配置されている。偏光ビームスプリッタ1に入射した
光1aは、偏光ビームスプリッタ1によりP偏光成分と
S偏光成分の光に分離され、このうちS偏光成分が空間
光変調素子4に対して照射される。そして、空間光変調
素子1の液晶層等により変調され、かつ反射された光
は、偏光ビームスプリッタ1に戻る。この際、該空間変
調素子4からの反射光は偏光ビームスプリッタ1により
検光される。この検光された光1bは投射光学系を介し
て投射画像としてスクリーン等に投射される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記液
体浸漬型偏光ビームスプリッタを採用した投射型表示装
置の場合、以下のような課題がある。
【0007】第一に、上記液体浸漬型偏光ビームスプリ
ッタでは、透光性材料板が浸漬される液体の屈折率の変
化は、該液温の変化に依存する。すなわち、ある液温で
屈折率が調整されている液体でも、該液体自体の温度変
化によって、該液体の屈折率と該透光性材料板の屈折率
との間に差を生じる。これにより、当該偏光ビームスプ
リッタ全体の性能が変化する。例えば、あるサンプル
(上記液体浸漬型偏光ビームスプリッタ用の液体)の場
合、1℃の温度上昇につき、屈折率は0.000349
程度変化するが、この変化率は一般の透光性材料板の基
板材料のそれより2桁大きい。通常、投射型表示装置の
使用環境(例えば温度)は約20℃〜60℃程度変化す
る可能性があり、この屈折率の差は無視できないものと
なる。また、分散も変化するため、投射画像において色
ズレや色ムラの原因となる。
【0008】第二に、上記液体浸漬型偏光ビームスプリ
ッタでは、液温が該液体全体にわたって均一でない場
合、上述した液体の屈折率の温度特性により、該液体の
屈折率の均一性が損なわれ、該液体中に屈折率分布が生
じてしまう。現実的な投射型表示装置においては、液温
が該液体全体に渡って均一に変化することはなく(液体
全体の屈折率は均一にはならない)、したがって、投射
画像の均一性が損なわれる大きな原因となる。
【0009】第三に、液体浸漬型偏光ビームスプリッタ
では、上記液体の不均一な温度変化に伴い、上述した該
液体の屈折率とともに該液体の密度の均一性も損なわ
れ、結果的に該液体中に対流が生じる。この対流は、上
述した液体中の不均一な屈折率の分布の時間変動をもた
らすので、該対流の発生は投射型表示装置における画質
の不均一性が時間とともに変動する原因となる。
【0010】第四に、上記液体浸漬型偏光ビームスプリ
ッタでは、液温変化に伴い上記液体自身の体積も変化す
る。上述のサンプルの場合、1℃の液温変化に対し、そ
の体積は1cc当たり0.00073cc変化する。投
射型表示装置の使用環境(例えば温度)としては40℃
程度の温度差であるが、それの輸送や倉庫での保管を考
慮した場合、−10℃〜80℃ほどの温度範囲を考慮す
る必要がある。該液体の体積変化自体は投射画像への影
響は小さいが、当該装置の構造上、液体の体積変化を吸
収するためのなんらかの機構を設ける必要がなる。
【0011】第五に、上記液体浸漬型偏光ビームスプリ
ッタの液体中にゴミがある場合、該液体浸漬型偏光ビー
ムスプリッタを採用した投射型表示装置では、該液体中
のゴミが焦点位置の近辺でなくても、該液体中のゴミが
数十〜数百倍に拡大された投射画像中に写ってしまう。
このような状況を考慮すると、決して該液体中にはゴミ
があってはならない。したがって、上記液体浸漬型偏光
ビームスプリッタの組立にはクリーンルームが必要とな
る上、該液体のゴミや異物を除去する作業が必要とな
る。
【0012】第六に、上記液体浸漬型偏光ビームスプリ
ッタでは、その液体中に気泡があると、該気泡が投射さ
れた画像に現れてしまうので、これもあらかじめ取り除
いておく必要がある。
【0013】第七に、上記液体浸漬型偏光ビームスプリ
ッタでは、構造上、液体を使用するために、該液体を収
容するケースにOリングを設けるなど、液漏れ防止の対
策を施す必要がある。
【0014】以上のように、液体浸漬型偏光ビームスプ
リッタは、その構造的特徴等から課題も多く、これを採
用した投射型表示装置は、必然的に製作に非常に手間が
かかり、コストアップにつながっている。特に、該液体
の液温変化による、屈折率等の特性変化に関しては、本
質的に避け難い問題である。なお、液体浸漬型偏光ビー
ムスプリッタでは、屈折率の関係で、設置角度を光軸に
対して45゜にすることができないため、当該偏光ビー
ムスプリッタを採用した投射型表示装置は大きく重いも
のとなってしまう。
【0015】一方、透光性材料ブロックにより構成され
た従来の偏光ビームスプリッタでは、種々の原因で生じ
るガラスの光学的異方性が複屈折を誘発し、該偏光ビー
ムスプリッタの偏光特性を乱してしまう可能性があり、
投射画像の画質劣化を十分に抑制することができない。
ここで、種々の原因とは、主に、透光性材料の加工工程
(切断、他の材料との接合、表面への成膜)や、透光性
材料を光学系に組み込む操作(治具での保持、接着な
ど)の際い生じる外部応力や、透光性材料内部の発熱
(光エネルギーの吸収など)あるいは外部の発熱(周辺
機器の発熱など)などにより生じる熱応力、さらに発熱
の際に、透光性材料と熱膨張率の異なる材料を接触接合
した場合に生じる応力などである。このように、これら
種々の熱応力や外部応力が生じる時期は、透光性材料ブ
ロックの作製、偏光ビームスプリッタ加工から、投射型
表示装置使用中に至っており、全てを排除することは非
常に難しい。
【0016】この発明は以上の課題を解決するためにな
されたものであり、透光性材料ブロックで構成された偏
光ビームスプリッタを採用することにより、上述した液
体浸漬型偏光ビームスプリッタの採用に伴う種々の課題
を除去するとともに、しかも、該透光性材料ブロックに
おける種々の熱応力、外部応力の影響に対して光学的に
安定な性能を確保でき画質の劣化の少ない投射型表示装
置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】この発明は、発明者ら
が、投射型表示装置に適用される偏光ビームスプリッタ
用あるいは偏光特性を高精度に保存すべき部材用の透光
性材料ブロック(透光性材料部材)の光弾性定数を変え
ることにより、該投射型表示装置により所定の面上に投
射された画像の画質を有効に制御できることを発見した
ことにより実現されたものである。
【0018】したがって、この発明に係る投射型表示装
置は、上記透光性材料部材から構成される偏光ビームス
プリッタを備え、該部材における種々の熱応力、外部応
力の影響に対して光学的に安定な性能を確保して投射画
像の画質劣化を低減させる構造を備えた装置であって、
空間光変調素子と、上記偏光ビームスプリッタと、そし
て、投射光学系を備える。特に、上記偏光ビームスプリ
ッタは、誘電体多層膜と、この誘電体多層膜を挟み込む
透光性材料部材から構成され、この透光性材料部材は、
屈折率が1.8以上の透光性材料であって、当該偏光ビ
ームスプリッタに入射する、波長0.4μm〜0.7μ
mの光に対し、その光弾性定数の絶対値が1.5×10
-8cm2/N以下である透光性材料からなる。
【0019】当該偏光ビームスプリッタとしては、入射
する入射光の波長(λ=0.4μm〜0.7μm)に対
してその光弾性定数の絶対値が1.5×10-8cm2
N以下の透光性材料からなる透光性材料部材(ブロック
状の光学ガラス基体)を用いて構成された偏光ビームス
プリッタが用いられており、前記従来の液体浸漬型の偏
光ビームスプリッタを用いていない。したがって、この
発明によれば、発明者が発見した、対流やゴミや気泡な
どの従来の液体浸漬型偏光ビームスプリッタを採用する
ことに伴う種々の課題を除去することができ、当該投射
型表示装置の製造が容易になる等の利点が得られる。ま
た、上記偏光ビームスプリッタを構成する透光性材料部
材(光学ガラス基体)の屈折率は1.8以上であるの
で、光軸に対して45゜の角度で設置することができる
偏光ビームスプリッタが得られる。これにより、当該投
影型表示装置全体の小型化を実現することができる。
【0020】一方、上記誘電体多層膜は、第1の誘電体
多層膜と第2の誘電体多層膜とを少なくとも含む。そし
て、これら第1及び第2の誘電体多層膜のそれぞれは、
2つの異なる中心波長λ1、λ2においてその光学的膜厚
がλ1/4の高屈折率物質と、その光学的膜厚がλ2/4
の低屈折率物質とで構成された2層を基本周期として、
n周期(nは任意の整数)積層されてなる交互層と、そ
して、該交互層の両側に形成された光学的膜厚λ1/8
の前記高屈折率物質、または光学的膜厚λ2/8の低屈
折率物質のいずれか一方とからなる薄膜調整層とを備え
る。さらに、該第1の誘電体多層膜の交互層と、第2の
誘電体多層膜の交互層とが、互いに異なる種類の物質の
組み合わせにより構成されている。
【0021】具体的には、上記第1の誘電体多層膜の交
互層には、高屈折率物質TiO2と低屈折率物質SiO2
とからなる組合せが適用され、そして、上記第2の誘電
体多層膜の交互層には、高屈折率物質TiO2と低屈折
率物質Al23とからなる組合せが適用される。
【0022】また、上記第1の誘電体多層膜の交互層に
は、高屈折率物質TiO2と低屈折率物質SiO2とから
なる組合せが適用され、そして、上記第2の誘電体多層
膜の交互層には、高屈折率物質ZrO2と低屈折率物質
MgF2とからなる組合せが適用されてもよい。
【0023】ところで、通常、単一の偏光ビームスプリ
ッタでは消光比(透過するP偏光成分の強度と透過する
S偏光成分の強度の比)が例えば10対1程度しかな
い。したがって、単一の偏光ビームスプリッタで構成さ
れた投射型表示装置では得られる投射画像のコントラス
ト比が大きく取れない。そこで、次の2種類の方法でコ
ントラストの向上が図る。第1の方法は、空間光変調素
子を照射する光(読み出し光)の偏光の純度を上げるた
めに、主偏光ビームスプリッタの前に(すなわち、主偏
光ビームスプリッタに対して入射光の入射側に)補助偏
光ビームスプリッタ(プリ偏光ビームスプリッタ)を配
置する方法である。この構成により、読み出し光の消光
比は100対1程度に向上し、得られる投射画像のコン
トラストも向上する。また、第2の方法は、空間光変調
素子で変調されかつ反射された後に偏光ビームスプリッ
タを透過した光(すなわち、主偏光ビームスプリッタに
より検光された後に投射光学系を介してスクリーン上に
投射される光)の偏光の純度を上げるため、該主偏光ビ
ームスプリッタに対して投射光学系の側に補助偏光ビー
ムスプリッタ(ポスト偏光ビームスプリッタ)を配置す
る方法である。この構成によっても、得られる投射画像
のコントラストが向上する。
【0024】以上の説明から明らかなように、位相差変
調型の空間光変調素子を用いた投射型表示装置において
は、偏光ビームスプリッタが投射画像の画質に果たす役
割はたいへん大きい。
【0025】したがって、この発明に係る投射型表示装
置でも、上述の偏光ビームスプリッタの入射側(空間偏
光素子で反射される前の光が入射する該偏光ビームスプ
リッタの光入射面側)に配置され、空間光変調素子に照
射される光の偏光の純度を上げる第1の補助偏光ビーム
スプリッタ(上述のプリ偏光ビームスプリッタ)を更に
備えていてもよい。この第1の補助偏光ビームスプリッ
タも上述の偏光ビームスプリッタと同様の構成を備えて
おり、誘電体多層膜とこの誘電体多層膜を挟む透光性材
料部材からなる。この場合、該第1の補助偏光ビームス
プリッタも、当該第1の補助偏光ビームスプリッタに入
射する入射光の波長(λ=0.4μm〜0.7μm)に
対してその光弾性定数の絶対値が1.5×10-8cm2
/N以下の透光性材料からなる光学ガラス基体(透光性
材料部材)を用いて構成されることが好ましい。なお、
上記第1の補助偏光ビームスプリッタは、必ずしも、そ
の光弾性定数の絶対値が1.5×10-8cm2/N以下
の透光性材料からなる基体を用いて構成されていなくて
もよい。
【0026】また、この発明に係る投射型表示装置は、
上述の偏光ビームスプリッタに対して投射光学系側に配
置され、前記偏光ビームスプリッタにより検光された後
に前記投射光学系により投射される光の偏光の純度を上
げる第2の補助偏光ビームスプリッタ(上述のポスト偏
光ビームスプリッタ)を更に備えていてもよい。この第
2の補助偏光ビームスプリッタも上述の偏光ビームスプ
リッタ及びプリ偏光ビームスプリッタと同様の構成を備
え、誘電体多層膜とこの誘電体多層膜を挟む透光性材料
部材からなる。この場合、該第2の補助偏光ビームスプ
リッタも、当該第2の補助偏光ビームスプリッタに入射
する入射光の上記所定波長に対してその光弾性定数の絶
対値が1.5×10-8cm2/N以下の透光性材料から
なる基体を用いて構成されることが好ましい。なお、上
記第2の補助偏光ビームスプリッタは、必ずしも、光弾
性定数の絶対値が1.5×10-8cm2/N以下の透光
性材料からなる基体を用いて構成されていなくてもよ
い。
【0027】好ましい態様としては、上記偏光ビームス
プリッタ、第1の補助偏光ビームスプリッタ及び第2の
偏光ビームスプリッタのいずれもが、当該ビームスプリ
ッタに入射する入射光の波長(λ=0.4μm〜0.7
μm)に対してその光弾性定数の絶対値が0.5×10
-8cm2/N以下の透光性材料からなる基体を用いて構
成されることである。さらに、当該ビームスプリッタに
入射する入射光の該波長に対するその光弾性定数の絶対
値が実質的に零の範囲(例えば、0.1×10-8cm2
/N以下)の透光性材料からなる光学ガラス基体(透光
性材料部材)を用いて構成されることが一層好ましい。
【0028】一般に、等方等質な透光性材料に力を加え
て応力を生じさせると、この透光性材料は光学的な異方
性が生じ、複屈折性を持つようになる。このような現象
は、光弾性効果と呼ばれている。なお、複屈折とは、異
方性媒質に光が入射するときに複数の屈折光が現れる現
象をいう。応力が生じたときの透光性材料の屈折率はい
わゆる屈折率楕円体で表すことができ、このとき、屈折
率楕円体の主屈折率軸は主応力に一致する。一般に、主
屈折率をn1,n2,n3、主応力をσ1,σ2,σ3(それ
ぞれ添字が共通なものは同一方向にある)とすると、こ
れらの間には次式のような関係が成立する。
【0029】
【数1】 n1=n0+C1σ1+C2(σ2+σ3) ・・・(1)
【数2】 n2=n0+C1σ2+C2(σ3+σ1) ・・・(2)
【数3】 n3=n0+C1σ3+C2(σ1+σ2) ・・・(3) ここに、C1及びC2は光の波長および透光性材料の物質
に固有の定数である。
【0030】このような透光性材料に光を入射すると、
その方向がσ3と同一方向になるように座標をとれば、
入射光はそれぞれσ1、σ3方向の、すなわち互いに振動
面が直交する2つの直線偏光成分に分かれる。透光性材
料から出射するときには、各主応力方向の屈折率
(n1、n2)が異なるため、これら2つの直線偏光成分
の間には次式で表されるような光路差(位相差)ΔRが
生じる。
【0031】
【数4】 ΔR=(2π/λ)(n2−n1)・L =(2π/λ)(C1−C2)(σ2−σ1)・L =(2π/λ)・C・(σ2−σ1)・L ・・・(4) ここに、λは光の波長、Lは透光性材料の光透過厚であ
る。C=(C1−C2)は光弾性定数と呼ばれ、応力によ
って生じる複屈折の大きさを示す係数(単位応力当たり
の複屈折量)である。
【0032】従来考案された透光性材料ブロック(光学
ガラス基体)により構成された偏光ビームスプリッタで
は、例えばBK7(ドイツ国ショット社製のホウ珪酸ガ
ラスの商品名)のように、耐久性に富み、安価なガラス
が用いられていた。しかし、これらのガラス選定に当た
って、光弾性定数は全く配慮されておらず、その値は比
較的大きなもの(BK7の光弾性定数は波長λ=633
nmにおいて2.78×10-8cm2/N)であり、熱
応力や力学的外部応力により誘起される光学的異方性、
およびこれに基づく光路差ΔRが無視できない値になっ
ている。すなわち、これらのガラスを用いた偏光ビーム
スプリッタを投射型表示装置に採用すると、投射画像の
画質劣化は著しいものとなる。
【0033】一方、この発明によれば、当該偏光ビーム
スプリッタに入射する入射光の波長(λ=0.4μm〜
0.7μm)に対してその光弾性定数の絶対値が1.5
×10-8cm2/N以下の透光性材料からなる光学ガラ
ス基体を用いて構成された偏光ビームスプリッタが採用
されているので、種々の熱応力、外部応力の影響に対し
て光学的に安定な性能を確保でき画質の劣化が十分に抑
えることができる。
【0034】そして、プリ偏光ビームスプリッタ及びポ
スト偏光ビームスプリッタのうちのいずれか一方又は両
方を採用すると、消光比が向上するので、得られる画像
のコントラストが向上するので、好ましい。この場合、
プリ偏光ビームスプリッタやポスト偏光ビームスプリッ
タとして、当該ビームスプリッタに入射する入射光の波
長(λ=0.4μm〜0.7μm)に対してその光弾性
定数の絶対値が1.5×10-8cm2/N以下の透光性
材料からなる光学ガラス基体を用いて構成された偏光ビ
ームスプリッタを用いると、プリ偏光ビームスプリッタ
やポスト偏光ビームスプリッタに関しても、温度変化に
伴う応力の増加に対して従来に比べて十分に光学的に安
定な性能を確保でき、画質の劣化が一層少なくなるの
で、好ましい。もっとも、プリ偏光ビームスプリッタや
ポスト偏光ビームスプリッタは、偏光子及び検光子のい
ずれか一方の機能を補助するのみである。したがって、
偏光子及び検光子の両方として使用される主偏光ビーム
スプリッタに比べて投射画像の画質に対する影響が小さ
いことから、BK7等を基体材料として用いて構成され
た偏光ビームスプリッタをプリ偏光ビームスプリッタや
ポスト偏光ビームスプリッタとして採用してもよい。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、この発明の種々の実施例に
よる投射型表示装置について、図1〜図33を用いて説
明する。なお、同一部分については同一符合を付して重
複する説明は省略する。
【0036】実施例1 まず、この発明に係る投射型表示装置の第1実施例の構
成を、図1〜図3を用いて説明する。なお、図1は、こ
の発明に係る投射型表示装置の第1実施例の構成を示す
斜視図である。図2は、図1中のII−II線に沿っ
て、当該第1実施例の構成を示す矢視図である。図3
は、図2中のIII−III線に沿って、当該第1実施
例の構成を示す矢視図である。
【0037】この投射型表示装置の第1実施例は、光源
100からの光を赤(R)、緑(G)及び青(B)の各
色光に分解する色分解手段としてのクロスダイクロイッ
クミラー11と、クロスダイクロイックミラー11によ
り分解された色光R、G、Bをそれぞれ反射するミラー
12R、12G、12Bと、各色光R、G、Bに対応し
た位相差変調型液晶ライトバルブ等の空間光変調素子1
3R、13G、13Bと、該色光R、G、Bを入射光と
して、それぞれ偏光して空間光変調素子13R、13
G、13Bにそれぞれ照射させるとともに、空間光変調
素子13R、13G、13Bからの反射光をそれぞれ検
光する主偏光ビームスプリッタ14R、14G、14B
と、主偏光ビームスプリッタ14R、14G、14Bに
対して上記入射光(クロスダイクロイックミラー11か
らの光)の入射側にそれぞれ配置され、空間光変調素子
13R、13G、13Bに照射される光の偏光の純度を
それぞれ上げるプリ偏光ビームスプリッタ15R、15
G、15Bと、ミラー16R、16Bと、主偏光ビーム
スプリッタ14R、14G、14Bによりそれぞれ検光
された光を合成する色合成手段としてのクロスダイクロ
イックプリズム17と、検光され色合成された光をスク
リーン200等に投射する投射光学系18(1本の投射
レンズ)と、を備えている。
【0038】ここで、空間光変調素子13R、13G、
13Bは、いわゆる電気書き込み型の空間光変調素子で
もよく、また、光書き込み型の空間光変調素子等でもよ
い。空間光変調素子13R、13G、13Bが光書き込
み型の場合には、書き込み光源となるCRT等が別途用
意される。
【0039】各偏光ビームスプリッタ15R、15G、
15B、14R、14G、14Bは、S偏光成分を反射
させるとともにP偏光成分を透過させる特性を有する。
もっとも、各偏光ビームスプリッタは、逆の特性を有し
ていてもよい。
【0040】この第1実施例では、光源100からの光
が、クロスダイクロイックミラー11により赤(R)、
緑(G)及び青(B)の各色光に分解される。そして、
これら色光R、G、Bはそれぞれミラー12R、12
G、12Bで反射されて対応するプリ偏光ビームスプリ
ッタ15R、15G、15Bにそれぞれ導かれる。
【0041】プリ偏光ビームスプリッタ15Gに入射し
た色光Gのうち、P偏光成分はプリ偏光ビームスプリッ
タ15Gを透過して主偏光ビームスプリッタ14Gに入
射する。一方、S偏光成分はプリ偏光ビームスプリッタ
15Gにより反射されて主偏光ビームスプリッタ14G
には入射しない。プリ偏光ビームスプリッタ15Gを透
過したP偏光成分は、プリ偏光ビームスプリッタ15G
に対し90゜の角度で配置した主偏光ビームスプリッタ
14Gに入射する。このように90゜ずらしてあるの
で、プリ偏光ビームスプリッタ15Gを透過してきたP
偏光成分は、S偏光成分として主偏光ビームスプリッタ
14Gに入射することとなる。なお、プリ偏光ビームス
プリッタ15Gに入射する入射光は、プリ偏光ビームス
プリッタ15Gの側面から入射させてもよい(入射方向
の変更)。この場合、主偏光ビームスプリッタ14Gと
同じ方向に配置すれば、プリ偏光ビームスプリッタ15
GによりS偏光成分が反射されて下方の主偏光ビームス
プリッタ14GにはS偏光成分のみが入射する。主偏光
ビームスプリッタ14Gは、S偏光成分を反射させ該S
偏光成分を空間光変調素子13Gに照射する。空間光変
調素子13Gで変調された反射光は、主偏光ビームスプ
リッタ14Gにより検光され、該反射光のうちP偏光成
分が主偏光ビームスプリッタ14Gを透過してクロスダ
イクロイックプリズム17へ導かれる。
【0042】以上、プリ偏光ビームスプリッタ15Gに
入射した色光Gについて説明したが、プリ偏光ビームス
プリッタ15R、15Bに入射した色光R、Bについて
も同様である。ただし、主偏光ビームスプリッタ14
R、14Bで検光された光は、ミラー16R、16Bで
それぞれ反射されてクロスダイクロイックプリズム17
へ導かれる。そして、主偏光ビームスプリッタ14R、
14G、14Bで検光された光は、クロスダイクロイッ
クプリズム17で色合成された後に、投射レンズ18を
介してスクリーン200上に投射される。
【0043】この第1実施例では、主偏光ビームスプリ
ッタ14R、14G、14B及びプリ偏光ビームスプリ
ッタ15R、15G、15Bは、当該偏光ビームスプリ
ッタに入射した入射光の波長(λ=0.4〜0.7μ
m)に対するその光弾性定数の絶対値が1.5×10-8
cm2/N以下の透光性材料からなる光学ガラス基体を
用いて構成されている。
【0044】(ガラスの組成)上述したような透光性材
料の一例として、光弾性定数の絶対値が非常に小さい値
を示す光学ガラスの組成を、酸化物換算の重量%で以下
に示す。
【0045】 SiO2 17.0〜27.0% Li2O+Na2O+K2O 0.5〜 5.0% PbO 73.0〜75.0% As23+Sb23 0 〜 3.0%
【0046】この例において各成分の組成範囲をこのよ
うに定めた理由は、次の通りである。
【0047】まず、PbO(酸化鉛)は、PbOを含有
する組成系のガラスにおいては、光弾性定数Cの値がP
bOの含有量に大きく依存し、具体的には、PbOの含
有量が増加するに従って光弾性定数Cの値が減少し、あ
る一定量において零になって以降は負の値をとることを
利用し(図7参照)、光弾性定数Cの値を零付近に制御
するために用いられたものである。PbOの含有量によ
り光弾性定数Cの値が変化するのは、鉛イオンの配位状
態がその含有量の増加とともに変化するためと考えられ
る。PbOの含有量を例えば73〜75重量%の範囲内
にすることにより、光弾性定数Cの値を零付近にするこ
とができる。なお、入射光の波長は500〜650nm
である。
【0048】SiO2は、本例の光学ガラスにおけるガ
ラス形成酸化物であり17重量%以上含有されることが
好ましい。ただし、該SiO2の含有量は、PbOの含
有量を73〜75重量%としたことに伴って27重量%
に制限される。
【0049】Li2O+Na2O+K2Oといったアルカ
リ金属成分は、ガラスの熔解温度及びガラス転移温度を
下げ、ガラスの失透に対する安定性を高める効果がある
ため、0.5重量%以上含有されることが好ましい。た
だし、その含有量は5重量%を越えると当該ガラスの化
学的耐久性がかなり損なわれるので好ましくない。
【0050】脱泡剤として使用すべきAs23、Sb2
3あるいは(As23+Sb23)は必要に応じて、
ガラス原料中に導入することが可能である。ただし、そ
の含有量が3重量%を越えると当該ガラスの耐失透性、
分光透過性等が損なわれるので、好ましくない。
【0051】このような光学ガラスの製造工程は以下の
通りである。すなわち、各成分の原料としてそれぞれの
元素に対応する酸化物、炭酸塩、硝酸塩などを使用す
る。そして、それらを調合原料として所望の割合に秤量
して混合し、該得られた調合原料を1,000〜1,3
00゜Cに加熱して熔解し、清澄、攪拌を行って全体的
に均一化する。その後、この得られた原料を予め予熱さ
れた金型に鋳込み徐冷することにより容易に所望の光学
ガラスを製造することができる。
【0052】(光弾性定数の測定及び評価)ここで、上
述した光学ガラスの具体例及びその測定装置の構成及び
結果について、図4〜図7を用いて以下説明する。
【0053】この発明においては、測定すべき既知のサ
イズLのサンプルに対して上述の数式(1)及び(2)
においてσ1 =σ3 =0となるような既知の一軸性応力
σ2をかけた状態で、既知の波長λの光を用い複屈折測
定を行い、光路差ΔR(数式(4))を測定する。この
ようにして求めた光路差ΔRに基づき、上記数式(2)
から光弾性定数C=C1−C2を求めることが可能である
(このような「光弾性定数C」測定法の詳細について
は、後述する複屈折測定装置ADR−150LC添付の
説明書;ないし持田悦宏「光技術コンタクト」、Vo
l.27、No.3、第127頁、1989年を参照す
ることができる)。なお、図5には、上記持田に示され
た複屈折測定装置の概略構成図を示す。また、実際の測
定は、オーク製作所製の複屈折測定装置(商品名:AD
R−150LC)を用いた。
【0054】この測定装置において、図中の「試料」
は、図6に示したように、一軸性応力を該試料に印加す
るためのサンプル治具に挟まれた状態で保持されてお
り、そして、該試料に所定の応力を印加したまま該試料
の複屈折量が測定される。図6のサンプル治具は、試料
36をその間に保持可能な一対の金属ブロック37a及
び37b(大きさ40〜50mm×30〜40mm、厚
さ:25〜30mm)と、該金属ブロック37aに配置
されたロードセル(直径20mm、厚さ9.5mm;日
本電子三栄(株)製、商品名:9E01−L32−10
0K)38とから構成されている。このようにロードセ
ル38を配置することにより、サンプルに印加される応
力値をモニターすることが可能となる。
【0055】上記試料36のサイズは、10mm×15
mm×20mmであり、応力面の大きさは10mm×2
0mm、光透過面の大きさは15mm×20mm、光透
過パスの長さは10mmである。
【0056】試料は、上述の各工程にしたがって製造し
た。すなわち、各成分の原料としてそれぞれの元素に対
応する酸化物、炭酸塩、硝酸塩などを用意し、これらを
高度に精製する。その後、調合原料として所定の割合と
なるように秤量し混合して、この調合原料を1,000
〜1,300゜Cに加熱して熔解し、清澄、攪拌を行っ
て全体的に均一化する。そして、得られた原料を予め予
熱された金型に鋳込み徐冷することにより試料としての
光学ガラスを製造した。
【0057】なお、測定用に用意された試料は、図4に
示すようにサンプル番号1〜7と比較のため用意された
BK7である。表中の数値は酸化物換算の重量%による
成分割合を示し、合計で100%になる。
【0058】このようにして得られたガラスについて、
波長λ=540nmの光に対する光弾性定数を上記測定
装置を用いて測定した。光弾性定数Cは、既知の波長λ
の光、既知のサイズの試料を用い、上述の数式において
σ1=σ3=0となる既知の一軸性応力σ2を試料に加え
た状態で光路差ΔRを測定することにより算出した。す
なわち、上記光弾性定数Cは(試料の複屈折量)/(試
料に加えられた応力)から得られる(換言すれば、該光
弾性定数は単位応力当たりの複屈折量を意味する)。測
定結果を図4に示す。また、酸化鉛(PbO)の含有量
を横軸に、光弾性定数を縦軸にとったグラフを図7に示
す。酸化鉛の含有量が増加するにつれて光弾性定数はほ
ぼ直線的に減少し、ある点で零の値をとり、以降は負の
値をとることが理解できる。図4には、比較例として、
従来多用されていたBK7の成分割合、波長λ=540
nmの光に対する光弾性定数の測定結果も示されてい
る。サンプル番号1〜7の光学ガラスの光弾性定数がB
K7のそれに比較してはるかに小さく、特に、サンプル
番号4〜6の光学ガラスについては光弾性定数が実質的
に零であるとみなせる範囲の値(−0.1×10-8cm
2/N〜+0.1×10-8cm2/N)であることが分か
る。
【0059】なお、図7のグラフは、H.Aben, C.Guille
met,"Photoelasticity of Glass"出版社Springer-Verla
g(1993), p.103に示されたグラフである。そして、この
グラフには、以下の文献Waxler(1)、Filon(2)、及びPoc
kels(3)のそれぞれに示された数値をプロットしたのも
である。
【0060】(1) Waxler, R.M.,"The stress optical c
oefficient of plate glass", Glass Ind. 34, 258-25
9, 283(1953) (2) Filon,L.N.G.,"On the dispersion in artificial
double refraction",Phil. Trans. A 207, 263-306(190
7) (3) Pockels, F.,"Uber die Anderung des optischen V
erhaltens verschiedener Glaser durch elastische De
formation", Ann. Phys. Ser. IV, 7, 745-771
【0061】(ビームスプリッタ)次に、以上の説明し
た光学ガラス部材が適用される偏光ビームスプリッタの
構成について図8〜図12を用いて説明する。上記偏光
ビームスプリッタは、以下のような態様を有する。
【0062】(態様1)この発明における偏光ビームス
プリッタは、透光性材料部材上に形成された誘電体多層
膜を有する偏光ビームスプリッタであって、該誘電体多
層膜は少なくとも第1の誘電体多層膜と第2の誘電体多
層膜とからなり、該第1及び第2の誘電体多層膜は、異
なる中心波長λ1、λ2においてその光学的膜厚がそれぞ
れλ1/4、λ2/4の高屈折率物質と低屈折率物質とで
構成された2層を基本周期としてn周期(nは任意の整
数)積層した交互層と、該交互層の両側に形成された光
学的膜厚λ1/8、λ2/8の高屈折率物質または低屈折
率物質のいずれか一方からなる薄膜調整層とを備え、第
1の誘電体多層膜の交互層と第2の誘電体多層膜の交互
層が、互いに異なる種類の物質の組み合わせにより構成
されている。
【0063】(態様2)上記偏光ビームスプリッタは、
第1の誘電体多層膜の交互層に高屈折率物質TiO2
低屈折率物質SiO2、第2の誘電体多層膜の交互層に
高屈折率物質TiO2と低屈折率物質Al23とを用い
た。
【0064】(態様3)さらに、上記偏光ビームスプリ
ッタは、第1の誘電体多層膜の交互層に高屈折率物質T
iO2と低屈折率物質SiO2、第2の誘電体多層膜の交
互層に高屈折率物質ZrO2と低屈折率物質MgF2とを
用いた。
【0065】具体的な構成を図8〜図12を用いて説明
する。図8は透光性材料部材であるプリズム1(図11
に示すように、調整層1Cと第1の誘電体多層膜3の交
互層13とが積層されてなる)と、透光性材料部材であ
るプリズム2(図10に示すように、調整層2Cと第2
の誘電体多層膜4の交互層23とが積層されてなる)と
が、光学接着剤5で接合されている偏光ビームスプリッ
タの構成を示す。
【0066】この構成例においては、プリズム1及びプ
リズム2は、屈折率nsが1.84である。また、光学
接着剤の屈折率nb=1.52である。図8には、光束
Xを45°で入射させた際の反射光Rと透過光Tとが示
されている。透過光Tには、S偏光成分TsとP偏光成
分Tpとがある。
【0067】図11を参照して、第1の誘電体多層膜の
交互層13は、中心波長λ1=680nmで、高屈折率
物質nH1=2.38のTiO2層11と、低屈折率物質
nL1=1.65のAl23層12とが、それぞれ、該
中心波長λ1においてその光学的膜厚がλ1/4で交互に
配置されている。一方、図10を参照して、第2の誘電
体多層膜の交互層23は、中心波長λ2=420nmで
高屈折率物質nH2=2.38のTiO2層21と、低屈
折率物質nL2=1.47のSiO2層22とが、それぞ
れ、該中心波長λ2においてその光学的膜厚がλ2/4で
交互に配置されている。
【0068】更に、上記した第1および第2の誘電体多
層膜の各交互層13ないし23と、プリズム1およびプ
リズム2との間には、光学的膜厚がそれぞれλ1/8、
λ2/8の調整層1Cないし2Cが設けられている。
【0069】上記構成を有する偏光ビームスプリッタに
おいて、光束が設計基準入射角45゜から入射角が±
2.5゜ずれた場合を考える。
【0070】この場合、高角度側に対応する(使用波長
域では短波長側に相当する)第1の誘電体多層膜の交互
層13に用いられている高屈折率物質11および低屈折
率物質12は、光束が透光性基体1から透光性基体1と
第1の誘電体多層膜13との境界面に入射する角度θ1
=47.5゜で、以下のブリュースター条件(数式5)
を満足するように選択する。本構成例では、第1の誘電
体多層膜の交互層13を構成する材料ないし物質の組み
合わせとして、高屈折率層11にTiO2、低屈折率層
12にAl23を選択した。一方、低角度側に対応する
(使用波長域では長波長側に相当する)第2の誘電体多
層膜の交互層23に用いられている高屈折率物質21お
よび低屈折率物質22は、光束が透光性基体2から透光
性基体2と第2の誘電体多層膜23との境界面に入射す
る角度θ2=42.5゜で、以下のブリュースター条件
(数式6)を満足するように選択している。本構成例で
は、第2の誘電体多層膜の交互層23のを構成する材料
の組み合わせとして、高屈折率層21にTiO2、低屈
折率層22にSiO2を選択した。
【0071】λ1>λ2
【数5】 λ1、θ1;nH1COSθH1=nL1COSθL1 ・・・(5)
【数6】 λ2、θ2;nH2COSθH2=nL2COSθL2 ・・・(6)
【0072】ここで、 θ1 ;透光性基体1から第1の誘電体多層膜と透光性基
体1との境界面に入射する角度 θ2 ;透光性基体2から第2の誘電体多層膜と透光性基
体2との境界面に入射する角度 nH1、nL1 ;設計基準波長λ1での第1の誘電体多
層膜の交互層における高屈折率層及び低屈折率層の屈折
率 nH2、nL2 ;設計基準波長λ2での第2の誘電体多
層膜の交互層における高屈折率層及び低屈折率層の屈折
率 θH1、θL1 ;設計基準波長λ1での第1の誘電体多
層膜の交互層において、高屈折率層及び低屈折率層の各
層から境界面に入射する角度 θH2、θL2 ;設計基準波長λ2での第2の誘電体多
層膜の交互層において、高屈折率層及び低屈折率層の各
層から境界面に入射する角度
【0073】さらに、上記偏光ビームスプリッタの応用
例を、図9及び図12に示す。この応用例は、図9に示
すように、透光性部材2上に、第1の誘電体多層膜3と
第2の誘電体多層膜4とが連続して積層され、更に、透
光性基体1が接着層5を介して配置されている。なお、
図12にはこの誘電体多層膜の詳細構成が示されてい
る。この図9の構成によれば、低屈折率層および高屈折
率層の成膜が、1バッチですむという利点がある。換言
すれば、この応用例のような偏光ビームスプリッタ構成
配置を用いた場合、該偏光ビームスプリッタを構成する
誘電体多層膜層の成膜を1バッチで行うことができ、生
産性の向上が可能となる。
【0074】(偏光ビームスプリッタの光学的評価)次
に、以上の構成の偏光ビームスプリッタ(図8の構成)
を図13に示された評価装置を用いて評価した結果につ
いて説明する。なお、この評価で用いた偏光ビームスプ
リッタの偏光膜は、グリーン波長であるλ=540nm
を中心波長として設計した。
【0075】すなわち、偏光ビームスプリッタ61(試
料)に光源であるキセノンランプ(図中、「XENON
LANP」と表記する)62(500W)からの光を
照射し、該キセノンランプ62の像をミラー63(図
中、「MIRROR M1」と表記する)を介してスク
リーン64(図中、「SCREEN」と表記する)上に
投射し、該スクリーン64上の照度ムラを、写真機を用
いて撮影した写真を用いて評価した。なお、図13の評
価装置には、光源62と偏光ビームスプリッタ61との
光路中に、グリーン波長透過フィルタ(図中、「GRE
EN FILTER」と表記する)、紫外線カットフィ
ルタ(図中、「UV CUT FILTER」と表記す
る)、及び赤外線カットフィルタ(図中、「IR CU
T FILTER」と表記する)からなるフィルタ群6
6とP偏光成分カット用偏光子65(図中、「P CU
T POLARIZER」と表記する)が配置されてい
る。なお、以下に波長480nm〜650nm、入射角
0、+6、−6度における、PBS61の透過光T及び
反射光Rの平均データを示す。
【0076】 透過光T:TP(透過光のP偏光成分)≧80% TS(透過光のS偏光成分)≦0.02% 消光比>4000 反射光R:RP(反射光のP偏光成分)≦4% RS(反射光のS偏光成分)≧80% 消光比>20
【0077】上記偏光ビームスプリッタ(PBS)の光
学ガラス基体としては、図14に示す3種類を用意し
た。なお、オハラ製の第1のガラス(商品番号:PBM
35)の光弾性定数は2.0×10-8cm2/N、オハ
ラ製の第2のガラス(商品番号:PBH11)の光弾性
定数は1.33×10-8cm2/N、上述の製造方法に
より製造されたガラスの光弾性定数は0.1×10-8
2/N以下である。
【0078】以上のガラス基体からなる偏光ビームスプ
リッタについて図13の評価装置でスクリーン64上の
照度ムラを撮影した結果、図17に示すように、光弾性
定数Cが実質的に零である本発明の光学ガラスを用いた
偏光ビームスプリッタ(PBS)61を用いた場合、照
度ムラの発生は非常に少なかった。また、上記したPB
H11を用いたPBSの場合も、実際の使用に耐え得る
ことが分かった(図16参照)。これに対し、上記した
PBM35を用いたPBSの場合には、図15の写真か
らも明確に分かるように顕著な照度ムラが観察された。
【0079】以上説明したように、光弾性定数が零付近
となる光学ガラスであれば、主偏光ビームスプリッタ1
4R、14G、14B及びプリ偏光ビームスプリッタ1
5R、15G、15Bの材料として理想的なものであ
る。また、光弾性定数が2.0×10-8cm2/NのP
BM35を用いたPBSでは顕著に照度ムラが現れた
が、光弾性定数が1.33×10-8cm2/NのPBH
11を用いたPBSでは実用上問題のないという、以上
の評価結果から、投射型表示装置に採用する偏光ビーム
スプリッタとして、絶対値が1.5×10-8cm2/N
以下の透光性部材(光学ガラス基体)を用いれば、従来
の透光性材料部材(例えば、その光弾性定数が2.78
×10-8cm2/NのBK7)に比べて十分に光学的に
安定な性能を確保でき、かつ投射画像の画質劣化が十分
に抑制される当該投射型表示装置が得られることが分
る。
【0080】したがって、例えば、上述したような光学
ガラスの組成において、酸化鉛の含有量の範囲が64〜
81重量%程度であれば(図7参照)、その光弾性定数
の絶対値が1.5×10-8cm2/N以下となり、主偏
光ビームスプリッタ14R、14G、14B及びプリ偏
光ビームスプリッタ15R、15G、15Bの基体材料
として用いることができる。もっとも、当該投射型表示
装置に適用される偏光ビームスプリッタとしては、その
光弾性定数の絶対値が0.5×10-8cm2/N以下の
透光性材料を用いることが好ましく、特に、上述の評価
結果(図15〜図17参照)を考慮すると、光弾性定数
の絶対値が0.1×10-8cm2/N以下(実質的に0
の範囲)の透光性材料を用いることが、一層好ましい。
【0081】なお、光弾性定数は光の波長に依存するの
で、入射光の波長、すなわち、本実施例では対応する
R、G、Bのいずれかの波長に従い、必要に応じて透光
性材料の組成等が変更され、当該偏光ビームスプリッタ
の入射光の波長(λ=0.4μm〜0.7μm)に対する
その光弾性定数の絶対値が1.5×10-8cm2/N以
下の透光性材料が用いられる。
【0082】なお、上記BK7の屈折率は1.5前後で
あるのに対し、上述したような組成の光学ガラスの屈折
率は1.8以上となる。したがって、上述の光学ガラス
を用いれば光軸に対して45゜の角度で設置することが
できる偏光ビームスプリッタを構成することができる。
このような偏光ビームスプリッタを、少なくとも主偏光
ビームスプリッタ14R、14G、14B及びプリ偏光
ビームスプリッタ15R、15G、15Bとして採用す
ることにより、当該装置全体の小型化を図ることができ
る。なお、BK7を用いて偏光ビームスプリッタを構成
した場合には、屈折率の関係でその偏光ビームスプリッ
タの設置角度を45゜にできないため、該BK7により
構成された偏光ビームスプリッタが採用された装置は全
体として大きく重いものとなってしまう。
【0083】以上説明した投射型表示装置の第1実施例
によれば、当該主偏光ビームスプリッタ14R、14
G、14Bに入射する入射光の波長(0.4μm〜0.
7μm)に対してその光弾性定数の絶対値が1.5×1
-8cm2/N以下の透光性材料からなる光学ガラス基
体で構成された主偏光ビームスプリッタ14R、14
G、14Bが用いられており、上述した従来の液体浸漬
型偏光ビームスプリッタを用いていない。これにより、
この発明によれば、先に述べたような液体中の対流、ゴ
ミ、あるいは気泡などの、該従来の液体浸漬型偏光ビー
ムスプリッタを投射型表示装置に採用することに伴う種
々の課題を除去することができ、製造が容易になる等の
利点が得られる。
【0084】そして、この実施例によれば、当該主偏光
ビームスプリッタ14R,14G,14Bに入射する入
射光の所定波長に対してその光弾性定数の絶対値が1.
5×10-8cm2/N以下の透光性材料からなる基体を
用いて構成された主偏光ビームスプリッタ14R、14
G、14Bが採用されているので、温度変化に伴う応力
の増加に対して光学的に安定な性能を確保でき、投射画
像の画質劣化が十分に少なくなる。
【0085】そして、この実施例では、プリ偏光ビーム
スプリッタ15R、15G、15Bが設けられている。
したがって、空間光変調素子13R、13G、13Bを
照射する読み出し光の偏光(本実施例ではS偏光成分)
の純度が高まり、消光比が向上するので、得られる投射
画像のコントラストが向上する。
【0086】さらに、プリ偏光ビームスプリッタ15
R、15G、15Bも、当該ビームスプリッタに入射す
る入射光の所定波長に対してその光弾性定数の絶対値が
1.5×10-8cm2/N以下の透光性材料からなる基
体を用いて構成されている。これにより、プリ偏光ビー
ムスプリッタ15R、15G、15Bに関しても、温度
変化に伴う応力の増加に対して従来に比べて十分に光学
的に安定な性能を確保でき、投射画像の画質劣化が一層
抑制される。もっとも、プリ偏光ビームスプリッタ15
R、15G、15Bは、偏光子としての主偏光ビームス
プリッタの機能を補助するのみであるので、偏光子及び
検光子の両方として使用される該主偏光ビームスプリッ
タ14R、14G、14Bに比べて投射画像の画像劣化
に対する影響は小さい。このことから、BK7等をその
基体材料として用いて構成された偏光ビームスプリッタ
をプリ偏光ビームスプリッタ15R、15G、15Bと
して採用してもよい。また、この発明では、プリ偏光ビ
ームスプリッタ15R、15G、15Bは、削除しても
よい。
【0087】なお、この実施例では、投射レンズ18の
バックフォーカス(レンズ後端から像面までの距離)が
比較的長くなるため、投射レンズ18は若干高価なもの
となるが、各色光R、G、Bの画像が予め色合成される
ので、使い勝手が向上する。
【0088】実施例2 次に、この発明に係る投射型表示装置の第2実施例を、
図18及び図19を用いて説明する。なお、図18は、
この第2の実施例の構成を示す図であり、上記図2に対
応する矢視図である。図19は、図18のV−V線に沿
って、該第2実施例の構成を示す図であり、図3に対応
する矢視図である。
【0089】この投射型表示装置の第2実施例は、上述
した第1の実施例による投射型表示装置と基本的には同
様の構成を備える。したがって、図18及び図19にお
いて、図1〜図3に示した構成要素と同一又は対応する
構成要素には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0090】この第2実施例が第1実施例と異なる所
は、該第2実施例では、第1の実施例中のプリ偏光ビー
ムスプリッタ15R、15G、15Bが取り除かれ、代
わりに、主偏光ビームスプリッタ14R、14G、14
Bにより検光された後に投射レンズ18により投射され
る色光R、G、Bの偏光の純度を上げるポスト偏光ビー
ムスプリッタ19R、19G、19Bが追加されている
点である。ポスト偏光ビームスプリッタ19R,19
G,19Bは、主偏光ビームスプリッタ14R、14
G、14Bに対して投射レンズ18の側にそれぞれ配置
されている。
【0091】そして、この実施例では、ポスト偏光ビー
ムスプリッタ19R、19G、19Bも、主偏光ビーム
スプリッタ14R、14G、14Bと同様に、当該偏光
ビームスプリッタに入射する入射光の波長(0.4μm
〜0.7μm)に対してその光弾性定数の絶対値が1.
5×10-8cm2/N以下の透光性材料からなる光学ガ
ラス基体を用いて構成されている。
【0092】この実施例では、ポスト偏光ビームスプリ
ッタ19R、19G、19Bが設けられているので、こ
れによって主偏光ビームスプリッタ14R、14G、1
4Bから漏れてきたS偏光成分がカットされ、主偏光ビ
ームスプリッタ14R、14G、14Bにより検光され
た後に投射レンズ18により投射される色光R、G、B
の偏光(P偏光成分)の純度が高まり、得られる投射画
像のコントラストが向上する。
【0093】さらに、ポスト偏光ビームスプリッタ19
R、19G、19Bが、当該ビームスプリッタに入射す
る入射光の所定波長に対してその光弾性定数の絶対値が
1.5×10-8cm2/N以下の透光性材料からなる基
体を用いて構成されている。したがって、ので、ポスト
偏光ビームスプリッタ19R、19G、19Bに関して
も、温度変化に伴う応力の増加に対して従来に比べて十
分に光学的に安定な性能を確保でき、投射画像の画質劣
化が一層抑制される。もっとも、ポスト偏光ビームスプ
リッタ19R、19G、19Bは、検光子としての主偏
光ビームスプリッタの機能を補助するのみであるので、
偏光子及び検光子の両方として使用される該主偏光ビー
ムスプリッタ14R、14G、14Bに比べて投射画像
の画像劣化に対する影響が小さい。このことから、上記
BK7等をその基体材料として用いて構成された偏光ビ
ームスプリッタをポスト偏光ビームスプリッタ19R、
19G、19Bとして採用してもよい。
【0094】実施例3 次に、この発明に係る投射型表示装置の第3実施例を、
図20及び図21を用いて説明する。なお、図20は、
この第3実施例の構成を示す図であり、図2及び図18
に対応する図である。図21は、図20中のVII−V
II線に沿って、該第3実施例の構成を示す矢視図であ
り、図4及び図19に対応する図である。
【0095】この投射型表示装置の第3実施例は、上述
の第1及び第2実施例と基本的には同様の構成を備え
る。したがって、図20及び図21において、上述の図
1〜図3及び図18及び図19に示した構成要素と同一
又は対応する構成要素には同一符号を付し、その説明は
省略する。
【0096】第3実施例が第1実施例と異なる所は、プ
リ偏光ビームスプリッタ15R、15G、15Bを取り
除くことなく、上述の第2の実施例と同様に、主偏光ビ
ームスプリッタ14R、14G、14Bにより検光され
た後に投射レンズ18により投射される色光R、G、B
の偏光の純度を上げるポスト偏光ビームスプリッタ19
R、19G、19Bが追加されている点である。ポスト
偏光ビームスプリッタ19R、19G、19Bは、主偏
光ビームスプリッタ14R、14G、14Bに対して投
射レンズ18の側にそれぞれ配置されている。
【0097】そして、この本実施例では、ポスト偏光ビ
ームスプリッタ19R、19G、19Bも、主偏光ビー
ムスプリッタ14R、14G、14Bと同様に、当該偏
光ビームスプリッタに入射する入射光の波長(0.4μ
m〜0.7μm)に対してその光弾性定数の絶対値が
1.5×10-8cm2/N以下の透光性材料からなる光
学ガラス基体を用いて構成されている。
【0098】この実施例では、プリ偏光ビームスプリッ
タ15R、15G、15B及びポスト偏光ビームスプリ
ッタ19R、19G、19Bによって、主偏光ビームス
プリッタ14R、14G、14Bの偏光子としての機能
及び検光子としての機能の両方が補助されるので、得ら
れる投射画像のコントラストが一層向上する。
【0099】さらに、プリ偏光ビームスプリッタ15
R、15G、15B及びポスト偏光ビームスプリッタ1
9R、19G、19Bは、当該ビームスプリッタに入射
する入射光の所定波長に対するその光弾性定数の絶対値
が1.5×10-8cm2/N以下の透光性材料からなる
基体を用いて構成されている。したがって、これらの偏
光ビームスプリッタ15R、15G、15B、19R、
19G、19Bに関しても、温度変化に伴う応力の増加
に対して従来に比べて十分に光学的に安定な性能を確保
でき、投射画像の画質劣化が一層抑制される。もっと
も、これらの偏光ビームスプリッタ15R、15G、1
5B、19R、19G、19Bとして、B上記K7等を
その基体材料として用いて構成された偏光ビームスプリ
ッタを採用してもよい。
【0100】実施例4 次に、この発明に係る投射型表示装置の第4実施例を、
図22及び図23を用いて説明する。なお、図22は、
この第4実施例の構成を示す図であり、図2に対応する
図である。図23は、図22中のIX−IX線に沿っ
て、該第4実施例の構成を示す矢視図であり、図3に対
応する図である。
【0101】この投射型表示装置の第4実施例は、上述
した第1の実施例と基本的には同様の構成を備えてい
る。したがって、図22及び図23において、図1〜図
3に示した構成要素と同一又は対応する構成要素には同
一符号を付し、その説明は省略する。
【0102】第4実施例が第1実施例と異なる所は、ミ
ラー16R、16Bが取り除かれ、空間光変調素子13
R、主偏光ビームスプリッタ14R及びプリ偏光ビーム
スプリッタ15Rの組、並びに、空間光変調素子13
B、主偏光ビームスプリッタ14B及びプリ偏光ビーム
スプリッタ15Bの組が、向きを変えて、クロスダイク
ロイックミラー11及びクロスダイクロイックプリズム
17の側方に配置されている点である。この第4の実施
例は第1の実施例と実質的に同一である。
【0103】実施例5 次に、この発明に係る投射型表示装置の第5実施例を、
図24及び図25を用いて説明する。なお、図24は、
この第5実施例の構成を示す図であり、図18に対応す
る図である。図25は、図24中のXI−XI線に沿っ
て、該第5実施例の構成を示す矢視図であり、図19に
対応する図である。
【0104】この投射型表示装置の第5実施例は、上述
した第2の実施例と基本的には同様の構成を備える。し
たがって、図24及び図25において、図18及び図1
9に示した構成要素と同一又は対応する構成要素には同
一符号を付し、その説明は省略する。
【0105】第5実施例が第2実施例と異なる所は、ミ
ラー16R、16Bが取り除かれ、空間光変調素子13
R、主偏光ビームスプリッタ14R及びポスト偏光ビー
ムスプリッタ19Rの組、並びに、空間光変調素子13
B、主偏光ビームスプリッタ14B及びポスト偏光ビー
ムスプリッタ19Bの組が、向きを変えて、クロスダイ
クロイックミラー11及びクロスダイクロイックプリズ
ム17の側方に配置されている点である。この第5の実
施例は第2の実施例と実質的に同一である。
【0106】実施例6 次に、この発明に係る投射型表示装置の第6実施例を、
図26及び図27を用いて説明する。なお、図26は、
この第6の実施例の構成を示す図であり、図20に対応
する図である。図27は、図26中のXIII−XII
I線に沿って、該第6実施例の構成を示した矢視図であ
り、図21に対応する図である。
【0107】この投射型表示装置の第6実施例は、上述
した第3の実施例と基本的には同様の構成を備えてい
る。したがって、図26及び図28において、図21及
び図22に示した構成要素と同一又は対応する構成要素
には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0108】第6実施例が第3実施例と異なる所は、ミ
ラー16R、16Bが取り除かれ、空間光変調素子13
R、主偏光ビームスプリッタ14R、プリ偏光ビームス
プリッタ15R及びポスト偏光ビームスプリッタ19R
の組、並びに、空間光変調素子13B、主偏光ビームス
プリッタ14B、プリ偏光ビームスプリッタ15B及び
ポスト偏光ビームスプリッタ19Bの組が、向きを変え
て、クロスダイクロイックミラー11及びクロスダイク
ロイックプリズム17の側方に配置されている点であ
る。この第5の実施例は第2の実施例と実質的に同一で
ある。
【0109】実施例7 次に、この発明に係る投射型表示装置の第7実施例を、
図28及び図29を用いて説明する。なお、図28は、
この第7実施例の構成を示す図であり、図29は、図2
8中のXV−XV線に沿って、該第7実施例の構成を示
す矢視図である。
【0110】上述した第1〜第6実施例は、各色光R、
G、Bを予め色合成手段で合成して1本の投射レンズで
スクリーン等の所定の面上に画像を投射する1投射レン
ズタイプの投射型表示装置の例であった。一方、この第
7実施例は、各色光R、G、Bを予め色合成することな
く3本の投射レンズでそれぞれスクリーン上に投射して
スクリーン上で色合成を行う3投射レンズタイプの投射
型表示装置の例である。
【0111】この投射型表示装置の第7実施例は、光源
101からの光を赤(R)、緑(G)及び青(B)の各
色光に分解する色分解手段としてのクロスダイクロイッ
クミラー21と、各色光R、G、Bに対応した位相差変
調型液晶ライトバルブ等の空間光変調素子23R、23
G、23B(空間光変調素子23R、23Bは図中には
表れていないが、空間光変調素子23Gと同様に、図2
8において主偏光ビームスプリッタ24R、24Bに対
する図28の紙面の奥側にある。)と、色光R、G、B
による入射光をそれぞれ偏光して空間光変調素子23
R、23G、23Bにそれぞれ照射させるとともに、空
間光変調素子23R、23G、23Bからの反射光をそ
れぞれ検光する主偏光ビームスプリッタ24R、24
G、24Bと、主偏光ビームスプリッタ24R、24
G、24Bのに対して該入射光が入射される側にそれぞ
れ配置され、空間光変調素子23R、23G、23Bに
照射される光の偏光の純度をそれぞれ上げるプリ偏光ビ
ームスプリッタ25R、25G、25Bと、主偏光ビー
ムスプリッタ24R、24G、24Bによりそれぞれ検
光された光をそれぞれスクリーン等に投射する3本の投
射レンズ28R、28G、28Bと、を備えている。
【0112】そして、この実施例においても、第1の実
施例と同様に、主偏光ビームスプリッタ24R、24
G、24B及びプリ偏光ビームスプリッタ25R、25
G、25Bは、当該偏光ビームスプリッタに入射する入
射光の波長(0.4μm〜0.7μm)に対してその光
弾性定数の絶対値が1.5×10-8cm2/N以下の透
光性材料からなる光学ガラス基体を用いて構成されてい
る。この実施例によっても、第1の実施例と同様の利点
が得られる。
【0113】なお、この実施例では、3投射レンズタイ
プとして構成されているので、各投射レンズ28R、2
8G、28Bごとの調整が必要となるが、投射レンズ2
8R、28G、28Bのバックフォーカス(レンズ後端
から像面までの距離)が短くできるため、これらの投射
レンズ28R、28G、28Bとして、設計が容易でコ
ンパクトかつ安価な投射レンズを使うことができる。し
たがって、本実施例によれば、装置全体も上述した第1
〜第6実施例に比べてさらにコンパクトで低価格とな
る。
【0114】実施例8 次に、この発明に係る投射型表示装置の第8実施例を、
図30及び図31を用いて説明する。なお、図30は、
この第8実施例の構成を示す図であり、図28に対応す
る図である。図31は、図30中のXVII−XVII
線に沿って、該第8実施例の構成を示した矢視図であ
り、図29に対応する図である。
【0115】この投射型表示装置の第8実施例は、上述
した第7実施例と基本的には同様の構成を備える。した
がって、図30及び図31において、上述の図28及び
図29に示した構成要素と同一又は対応する構成要素に
は同一符号を付し、その説明は省略する。
【0116】第8実施例が第7実施例と異なる所は、該
第8実施例では、第7実施例中のプリ偏光ビームスプリ
ッタ25R、25G、25Bが取り除かれ、代わりに、
主偏光ビームスプリッタ24R、24G、24Bにより
検光された後に投射レンズ28R、28G、28Bによ
り投射される色光R、G、Bの偏光の純度を上げるポス
ト偏光ビームスプリッタ29R、29G、29Bが追加
されている点である。ポスト偏光ビームスプリッタ29
R、29G、29Bは、主偏光ビームスプリッタ24
R、24G、24Bに対して投射レンズ28R、28
G、28Bの側にそれぞれ配置されている。
【0117】そして、この実施例では、ポスト偏光ビー
ムスプリッタ29R、29G、29Bも、主偏光ビーム
スプリッタ24R、24G、24Bと同様に、当該偏光
ビームスプリッタに入射する入射光の波長(0.4μm
〜0.7μm)に対してその光弾性定数の絶対値が1.
5×10-8cm2/N以下の透光性材料からなる光学ガ
ラス基体を用いて構成されている。この実施例によって
も、第2実施例と同様の利点が得られる。
【0118】実施例9 次に、この発明に係る投射型表示装置の第9実施例を、
図32及び図33を用いて説明する。なお、図32は、
この第9実施例の構成を示す図であり、図28及び30
に対応する図である。図33は、図32中のXIX−X
IX線に沿って、該第9実施例の構成を示す矢視図であ
り、図29及び図31に対応する図である。
【0119】この投射型表示装置の第9実施例は、上述
した第7及び第8実施例と基本的には同様の構成を備え
ている。したがって、図32及び図33において、上述
の図28〜図31に示した構成要素と同一又は対応する
構成要素には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0120】第9実施例が第7実施例と異なる所は、プ
リ偏光ビームスプリッタ25R、25G、25Bを取り
除くことなく、上記第8の実施例と同様に、主偏光ビー
ムスプリッタ24R、24G、24Bにより検光された
後に投射レンズ28R、28G、28Bにより投射され
る色光R、G、Bの偏光の純度を上げるポスト偏光ビー
ムスプリッタ29R、29G、29Bが追加されている
点である。ポスト偏光ビームスプリッタ29R、29
G、29Bは、主偏光ビームスプリッタ24R、24
G、24Bに対して投射レンズ28R、28G、28B
の側にそれぞれ配置されている。
【0121】そして、この実施例では、ポスト偏光ビー
ムスプリッタ29R、29G、29Bも、主偏光ビーム
スプリッタ24R、24G、24Bと同様に、当該偏光
ビームスプリッタに入射する入射光の波長(0.4μm
〜0.7μm)に対してその光弾性定数の絶対値が1.
5×10-8cm2/N以下の透光性材料からなる光学ガ
ラス基体を用いて構成されている。この実施例によって
も、第3実施例と同様の利点が得られる。
【0122】
【発明の効果】以上述べたように、この発明は発明者ら
が当該投射型表示装置の投射画像の画質を、採用される
偏光ビームスプリッタを構成する透光性材料部材の光弾
性定数を変えることにより、効果的に制御できることを
発見したことにより実現されたものである。したがっ
て、この発明によれば液体を使用しない偏光ビームスプ
リッタを採用しているので、従来の液体浸漬型偏光ビー
ムスプリッタを使用したことに伴う問題点を除去するこ
とができる。また、当該装置自体の製造も容易になる等
の利点が得られる。さらに、種々の熱応力、外部応力の
影響に対して光学的に安定な性能を確保でき、投射画像
の画質劣化を効果的に抑制する構造を備えた投射型表示
装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る投射型表示装置の第1実施例に
よる構成を示す斜視図である。
【図2】図1中のII−II線に沿って、上記投射型表
示装置の第1実施例の構成を示す図である。
【図3】図3中のIII−III線に沿って、上記投射
型表示装置の第1実施例の構成を示す図である。
【図4】偏光ビームスプリッタの光学ガラス部材として
用意された各サンプルの組成及びその光弾性定数の一覧
表を示す図である。
【図5】光弾性定数を測定するための、複屈折測定装置
のう構成を示す図である。なお、該光弾性定数は、試料
に加えられた単位応力当たりの複屈折率量で定義される
((光弾性定数)=(試料における複屈折量)/(試料
に加えられた応力))。
【図6】試料に応力印加するための治具の一構成を示す
図である。
【図7】偏光ビームスプリッタの基材である透光性材料
中のPbOの含有量(重量%)と該透光性材料の光弾性
定数との関係のグラフを示す図である。
【図8】この発明に係る投射型表示装置に適用可能な偏
光ビームスプリッタの第1実施例の構成を示す図であ
る。
【図9】この発明に係る投射型表示装置に適用可能な偏
光ビームスプリッタの第2実施例の構成を示す図であ
る。
【図10】図8に示された第1及び第2誘電体多層膜の
構造を示す図である(その1)。
【図11】図8に示された第1及び第2誘電体多層膜の
構造を示す図である(その2)。
【図12】図9に示された第1及び第2誘電体多層膜の
構造を示す図である。
【図13】偏光ビームスプリッタの評価を行うための装
置の構成を示す図である。
【図14】図13に示された装置により評価されるサン
プルの一覧表を示す図である。
【図15】図14に列挙された透光性材料で構成された
各偏光ビームスプリッタを、図13に示された評価装置
により評価した場合に得られた照明ムラを示すもので、
ディスプレー上に表示した中間調画像を表す図面代用写
真である(オハラ製PBM35について)。
【図16】図14に列挙された透光性材料で構成された
各偏光ビームスプリッタを、図13に示された評価装置
により評価した場合に得られた照明ムラを示すもので、
ディスプレー上に表示した中間調画像を表す図面代用写
真である(オハラ製PBH11について)。
【図17】図14に列挙された透光性材料で構成された
各偏光ビームスプリッタを、図13に示された評価装置
により評価した場合に得られた照明ムラを示すもので、
ディスプレー上に表示した中間調画像を表す図面代用写
真である(光弾性定数が0.1×10-8cm2/N以下
のガラスについて)。
【図18】この発明に係る投射型表示装置の第2実施例
の構成を示す図である。
【図19】図18中のV−V線に沿って、上記投射型表
示装置の第2実施例の構成を示す図である。
【図20】この発明に係る投射型表示装置の第3実施例
の構成を示す図である。
【図21】図20中のVII−VII線に沿って、上記
投射型表示装置の第3実施例の構成を示す図である。
【図22】この発明に係る投射型表示装置の第4実施例
の構成を示す図である。
【図23】図22中のIX−IX線に沿って、上記投射
型表示装置の第4実施例の構成を示す図である。
【図24】この発明に係る投射型表示装置の第5実施例
の構成を示す図である。
【図25】図24中のXI−XI線に沿って、上記投射
型表示装置の第5実施例の構成を示す図である。
【図26】この発明に係る投射型表示装置の第6実施例
の構成を示す図である。
【図27】図26中のXIII−XIII線に沿って、
上記投射型表示装置の第6実施例の構成を示した図であ
る。
【図28】この発明に係る投射型表示装置の第7実施例
の構成を示す図である。
【図29】図28中ののXV−XV線に沿って、上記投
射型表示装置の第7実施例の構成を示した図である。
【図30】この発明に係る投射型表示装置の第8実施例
の構成を示す図である。
【図31】図30中のXVII−XVII線に沿って、
上記投射型表示装置の第8実施例の構成を示す図であ
る。
【図32】この発明に係る投射型表示装置の第9実施例
の構成を示す図である。
【図33】図32中のXIX−XIX線に沿って、上記
投射型表示装置の第9実施例の構成を示す図である。
【図34】液浸漬型偏光ビームスプリッタを採用した従
来の投射型表示装置の構成を示す概略図である。
【符号の説明】
11、21 クロスダイクロイックミラー 12R、12G、12B ミラー 13R、13G、13B、23R、23G、23B 空
間光変調素子 14R、14G、14B、24R、24G、24B 主
偏光ビームスプリッタ 15R、15G、15B プリ偏光ビームスプリッタ 16R、16B ミラー 17 クロスダイクロイックプリズム 18、28R、28G、28B 投射レンズ(投射光学
系) 19R、19G、19B ポスト偏光ビームスプリッタ 25R、25G、25B プリ偏光ビームスプリッタ 29R、29G、29B ポスト偏光ビームスプリッタ 62、100、101 光源 64、200 スクリーン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H04N 5/74 H04N 5/74 B (72)発明者 島村 尚孝 東京都千代田区丸の内3丁目2番3号 株 式会社ニコン本社内 (72)発明者 上田 基 東京都千代田区丸の内3丁目2番3号 株 式会社ニコン本社内 (72)発明者 長谷川 雄 東京都千代田区丸の内3丁目2番3号 株 式会社ニコン本社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 空間光変調素子と、 入射された光を偏光して前記空間光変調素子に照射する
    とともに、該空間光変調素子からの変調された反射光を
    検光する偏光ビームスプリッタと、 前記偏光ビームスプリッタにより検光された光を所定の
    面上に投射する投射光学系とを備えるとともに、 前記偏光ビームスプリッタは、誘電体多層膜と、この誘
    電体多層膜を挟み込む透光性材料部材から構成され、 前記透光性材料部材は、当該ビームスプリッタに入射さ
    れる、所定波長の光に対し、その光弾性定数の絶対値が
    1.5×10-8cm2/N以下である透光性材料からな
    ることを特徴とする投射型表示装置。
  2. 【請求項2】 前記偏光ビームスプリッタにより偏光さ
    れ前記空間光変調素子に向かって照射されるべき光が入
    射する、該偏光ビームスプリッタの入射側に配置され、
    前記空間光変調素子に該偏光ビームスプリッタから照射
    される該光の偏光の純度を上げるための第1の補助偏光
    ビームスプリッタであって、該第1の補助偏光ビームス
    プリッタは、誘電体多層膜と、この誘電体多層膜を挟み
    込む透光性材料部材から構成され、該透光性材料部材
    は、当該ビームスプリッタに入射される、所定波長の光
    に対し、その光弾性定数の絶対値が1.5×10-8cm
    2/N以下である透光性材料からなることを特徴とする
    請求項1記載の投射型表示装置。
  3. 【請求項3】 前記偏光ビームスプリッタと前記投射光
    学系との間の光路中に配置され、該偏光ビームスプリッ
    タにより検光された後に前記投射光学系に照射される光
    の偏光の純度を上げるための第2の補助偏光ビームスプ
    リッタであって該第2の補助偏光ビームスプリッタは、
    誘電体多層膜と、この誘電体多層膜を挟み込む透光性材
    料部材から構成され、該透光性材料部材のそれぞれは、
    当該ビームスプリッタに入射される、所定波長の光に対
    し、その光弾性定数の絶対値が1.5×10-8cm2
    N以下である透光性材料からなることを特徴とする請求
    項1又は2記載の投射型表示装置。
  4. 【請求項4】 前記誘電体多層膜は、第1の誘電体多層
    膜と第2の誘電体多層膜とを少なくとも含み、該第1お
    よび第2の誘電体多層膜のそれぞれは、 2つの異なる中心波長λ1、λ2においてその光学的膜厚
    がλ1/4の高屈折率物質と、その光学的膜厚がλ2/4
    の低屈折率物質とで構成された2層を基本周期として、
    n周期(nは任意の整数)積層されてなる交互層と、 前記交互層の両側に形成された光学的膜厚λ1/8の前
    記高屈折率物質、または光学的膜厚λ2/8の低屈折率
    物質のいずれか一方とからなる薄膜調整層とを備え、 前記第1の誘電体多層膜の交互層と、第2の誘電体多層
    膜の交互層とが、互いに異なる種類の物質の組み合わせ
    により構成されていることを特徴とする請求項1〜3の
    いずれか一項記載の投射型表示装置。
  5. 【請求項5】 前記第1の誘電体多層膜の交互層には、
    高屈折率物質TiO2と低屈折率物質SiO2とからなる
    組合せが適用され、 前記第2の誘電体多層膜の交互層には、高屈折率物質T
    iO2と低屈折率物質Al23とからなる組合せが適用
    されることを特徴とする請求項4記載の投射型表示装
    置。
  6. 【請求項6】 前記第1の誘電体多層膜の交互層には、
    高屈折率物質TiO2と低屈折率物質SiO2とからなる
    組合せが適用され、 前記第2の誘電体多層膜の交互層には、高屈折率物質Z
    rO2と低屈折率物質MgF2とからなる組合せが適用さ
    れることを特徴とする請求項4記載の投射型表示装置。
  7. 【請求項7】 前記透光性材料部材は、屈折率が1.8
    以上の透光性材料であって、当該偏光ビームスプリッタ
    に入射する、波長0.4μm〜0.7μmの光に対し、
    その光弾性定数の絶対値が1.5×10-8cm2/N以
    下である透光性材料からなることを特徴とする請求項1
    〜6のいずれか一項記載の投射型表示装置。
  8. 【請求項8】 前記透光性材料部材のそれぞれは、波長
    0.4μm〜0.7μmの光に対し、その光弾性定数の
    絶対値が0.1×10-8cm2/N以下である透光性材
    料からなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一
    項記載の投射型表示装置。
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