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JPH09509849A - アンカー形成タンパク質の機能のモジュレーター - Google Patents

アンカー形成タンパク質の機能のモジュレーター

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Publication number
JPH09509849A
JPH09509849A JP8517119A JP51711996A JPH09509849A JP H09509849 A JPH09509849 A JP H09509849A JP 8517119 A JP8517119 A JP 8517119A JP 51711996 A JP51711996 A JP 51711996A JP H09509849 A JPH09509849 A JP H09509849A
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JP
Japan
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calcineurin
akap
binding
pka
protein
Prior art date
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Ceased
Application number
JP8517119A
Other languages
English (en)
Inventor
ロバート, オウェン ロッカービー,
ヴィンセント, エム. コックラン,
モニーク, エル. ハワード,
ウィリアム, エム. ガラティン,
ジョン, ディー. スコット,
Original Assignee
イコス コーポレイション
オレゴン州
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority claimed from US08/344,227 external-priority patent/US5807693A/en
Application filed by イコス コーポレイション, オレゴン州 filed Critical イコス コーポレイション
Publication of JPH09509849A publication Critical patent/JPH09509849A/ja
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/46Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates
    • C07K14/47Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates from mammals
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/14Hydrolases (3)
    • C12N9/16Hydrolases (3) acting on ester bonds (3.1)

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、カルシニューリンを単離するため、ならびにカルシニューリン活性を阻害するために有用な組成物及び方法を提供する。組成物は、AKAP 79のカルシニューリン結合領域と相同性を有する領域を含むペプチドである。カルシニューリン及びPKAの双方に結合する、さらなるタンパク質を同定するために有用な、カルシニューリン結合性及びPKA結合性のアンカー形成タンパク質を、細胞が含有するか否かを判定するための方法も提供される。本発明の他の特徴は、T細胞によるインターロイキン2の発現を増強するための方法にある。

Description

【発明の詳細な説明】 アンカー形成タンパク質の機能のモジュレーター 本発明は、1994年11月23日に出願せる、係属中の米国特許出願第08/344,227号 の一部継続出願である、1995年3月15日に出願せる、第08/404,731号の一部継続 出願である、1995年7月17日に出願せる、係属中の米国特許出願第08/503,226号 の一部継続出願である 発明の属する分野 本発明は、一般に、カルシニューリンのホスファターゼ酵素活性の調節及びT 細胞によるインターロイキン2発現のモジュレーションに関する。さらに詳細に は、本発明は、所定のペプチドによるカルシニューリンのホスファターゼ活性の 阻害及び、他の所定のペプチドで細胞を処理することによる、T細胞でのインタ ーロイキン2の発現の増強に関する。 発明の背景 カルシニューリンは、Ca2+/カルモジュリン依存性タンパク質ホスファター ゼであり、多くの細胞内シグナル伝達系に関与するものである。[Guerini及びK lee、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、86巻、9183〜9187頁(1989)]。この酵素は、酵 母から哺乳動物にわたる真核細胞において同定されている。[Cyert及びThorner 、J.Cell.Biol.、107巻、841a頁(1989)及びKleeら、Adv.Enzymol.、61巻、149〜 200頁(1984)]。カルシニューリンは、同じ細胞において多くのシグナル伝達経 路に関与している かもしれないので、カルシニューリンの活性を特異的に標的としてとらえるいく つかの手段が存在するに相違ない。細胞で酵素活性を特異的に標的としてとらえ るための1つの手段は、区画化(compartmentalization)によるものである。区 画化は、シグナル伝達系を分断し、異なる刺激に対する細胞応答の特定に寄与す る。所定の酵素の区画化は、酵素が特定のアンカー形成タンパク質と相互作用す ることによって惹起こされる。例えば、cAMP依存性タンパク質キナーゼ(PKA) は、A-キナーゼアンカー形成タンパク質(AKAP)との結合により特定の細胞内の 部位にてアンカー形成される。AKAPは、PKA以外のタンパク質に結合することが 立証されているので、このタンパク質のファミリーは本明細書中、概してアンカ ー形成タンパク質と言及する。[Hirschら、J.Biol.Chem.、267巻、2131〜2134 頁(1992)]。cAMPは、休眠しているPKAホロ酵素の調節サブユニット(R)に結 合することによってPKAを活性化し、そして活性触媒サブユニット(C)の放出 を惹起こす。2つのクラスのRサブユニットが存在し、すなわち、I型及びII型 PKAホロ酵素をそれぞれ形成するRI及びRIIである。これらPKAイソフォームの 細胞下分布は、異なっているようである。RIイソフォーム(RIα及びRIβ) は、主として細胞質性であり核画分には認められないが、一方RIIイソフォーム (RIIαまたはRIIβ)の75%までが粒子状であり、形質膜、細胞骨格成分、分 泌顆粒、ゴルジ装置、中心体または、おそらくは核のいずれかに会合している。 アンカー形成タンパク質は、種々の生物において同定されている。海洋の無脊 椎動物であるAplysia californicaのPKAの調節サブユニットに結合する、少なく とも7つのタンパク質が同定されている。[Cheleyら、J.Biol.Chem.、269巻、2 911〜2920頁(1994)]。これらのタンパク質のうち1つは、粗膜画分 及びタキソールで安定化される微少管に多く、しかして、PKAに結合するのみな らず、細胞膜と微少管とのアンカー形成を行っているのかもしれない。微少管に 関連する哺乳動物のアンカー形成タンパク質が同定されており、微少管会合タン パク質2(MAP2)は、PKAを細胞骨格に付着させる。[Threurkauf及びVallee、J .Biol.Chem.、257巻、3284〜3290頁(1982)ならびにDeCamilliら、J.Cell Biol. 、103巻、189〜203頁(1986)]。MAP2のPKA結合部位は、分子のアミノ末端領域の 31残基のペプチドである。[Rubinoら、Neuron、3巻、631〜638頁(1989)、及びO barら、Neuron、3巻、639〜645頁(1989)]。 微少管に会合する他のアンカー形成タンパク質である、AKAP150は、微少管と 近密に会合して樹状突起に蓄積している。[Glantzら、Mol.Biol.Cell、3巻、12 15〜1228頁(1992)]。AKAP 150は、種々の神経細胞型に存在し、哺乳動物の脳に おける主たるアンカー形成タンパク質である、アンカー形成タンパク質のファミ リーの一員である。このファミリーには、ウシ脳に見出されるAKAP 75及びヒト 脳に見出されるAKAP 79が包含される。[Glantzら、J.Biol.Chem.、268巻、1279 6〜12804頁(1993)]。AKAP 75は見かけ上、AKAP 75のN末端近傍の近接していな い2つの領域を介して、細胞骨格成分に結合している。AKAP 79は、主としてヒ ト前脳のシナプス後膜肥厚(PSD)に存在する。[Carrら、J.Biol.Chem.、267巻 、16816〜16823頁(1992)]。 他のアンカー形成タンパク質も、その特徴が明らかにされている。顆粒層細胞 を卵胞刺激ホルモン及びエストラジオールに曝すことで、80 kDaのAKAPの発現が アップレギュレーションを受けることが立証されている。[Carrら、J.Biol.Che m.、268巻、20729〜20732頁(1993)]。別のAKAPであるHt31が、ヒト甲状 腺のcDNAライブラリーからクローニングされている[Carrら、J.Biol.Chem.、26 7巻、13376〜13382頁(1992)]。別のアンカー形成タンパク質であるAKAP 95は、 細胞周期の間にその細胞内局在を変えるものである。AKAP 95は、間期には核内 在性タンパク質であるが、有糸分裂に際して核膜が壊れる際に細胞質PKAと会合 するようになる。このことは、AKAP 95が、細胞周期に連結したcAMP応答性の事 象に際して、PKAの所定のイソフォームの活性を標的とする上で重要な役割を果 たしうることを示唆している。[Coghlanら、J.Biol.Chem.、269巻、7658〜7665 頁(1994)]。他の既知のアンカー形成タンパク質には、PKAをゴルジ装置に連結 する、85 kDaのAKAP(Riosら、EMBO J.、11巻、1723〜1731頁(1992))及び、PKA を動原体と結びつける、350 kDaのAKAP(Keryerら、Exp.Cell Res.、204巻、230 〜240頁(1993))が包含される。 既知のアンカー形成タンパク質は、共通の機構によってPKAに結合する。アン カー形成タンパク質の一次構造は保存されていないが、各々が両親媒性のヘリッ クス領域を含む二次構造モチーフを有している。[scott及びMcCartney、Mol.En do.、8巻、5〜11頁(1994)]。PKAの調節サブユニットへのアンカー形成タンパク 質の結合は、アンカー形成タンパク質のPKA結合領域の、このヘリックス構造を 模したペプチドによって阻止される。アミノ酸置換によるペプチドのヘリックス 構造の破壊によって、PKA-アンカー形成タンパク質結合ブロックが廃され(Carr ら、J.Biol.Chem.、266巻、14188〜14192頁(1991))、PKA結合がアンカー形成タ ンパク質の両親媒性ヘリックスにおいて生じており、アンカー形成タンパク質分 子の二次構造によって支配されていることが立証されている。アンカー形成タン パク質による、このPKAの細胞内結合及び局在化によって、カルシニューリン のごとき、多くのシグナル伝達経路に共通であるが経路に特異的に作用しうるキ ナーゼの分断のための手段が提供される。 PKAは、多くの細胞内経路において機能する。例えば、海馬ニューロンでのAKA P 79とPKAとの間の結合の阻害によって、アルファ-アミノ-3-ヒドロキシ-5-メチ ル-4-イソキサゾールプロピオン酸/カイナートグルタミン酸受容体を阻害する ことが示されている。[Rosenmundら、Nature、368巻、853〜856頁(1994)]。こ のことから、PKAがこれら受容体を調節していることが示唆される。ホルモンで 誘導された細胞内cAMPの増加に呼応して可逆的に酵素をリン酸化することによっ て、PKAはグリコーゲンホスホリラーゼも調節している。[Walshら、J.Biol.Che m.、243巻、3763〜3765頁(1969)]。cAMPは、MAPキナーゼ経路を介して、シグナ ル伝達を阻害することも示されている。[Wuら、Science.、262巻、1065〜1072 頁(1993)]。この阻害は、RasによるRaf-1の活性化を阻害するPKAの活性化によ って媒介され、これによりMAPキナーゼ経路が遮断される。[Vojtekら、Cell74 巻、205〜214頁(1993)及びHafnerら、Mol.Cell Biol.、14巻、6696〜6703頁(199 4)]。これら経路は、多くの細胞型において重要であり、T細胞の活性化に重要 なインターロイキン2遺伝子の転写活性化など、多くの細胞機能に関連している 。[Weiss及びLittman、Cell、76巻、263〜274頁(1994);Owakiら、EMBO J.、12 巻、4367〜4373頁(1993)]。 カルシニューリンはPKAのごとく、T細胞活性化に関与している。[Clipstone 及びCrabtree、Nature、357巻、695〜697頁(1992);O'Keefeら、Nature、357巻 、692〜694頁(1992)]。T細胞で、カルシニューリンはT細胞刺激に続くIL-2の 調節に関与している。[Weiss及びLittman、前出]。活性化されたT細胞の核因 子(NFATp)は、カルシニューリンホスファターゼ活性 に対する基質であることが示されている。T細胞刺激に続き、カルシニューリン により媒介されるNFATpの脱リン酸化によって、細胞質から核へのNFATpの移行が 可能になり、ここで、NFATpはFos及びJunと相互作用してIL-2遺伝子の発現を誘 導することが示唆されている。[Jainら、Nature、365巻、352〜355頁(1993)] 。 T細胞活性化におけるカルシニューリンの役割によって、T細胞により媒介さ れる疾病への治療上の介入のための標的が提供されるものであり、カルシニュー リンを阻害する様々な医薬が開発されている。シクロスポリンA(シクロスポリ ン)及びFK506という、2つのカルシニューリン阻害薬が臨床では使用されてい る。[Thomson及びStarzl、Immunol.Rev.、136巻、71〜98頁(1993)]。シクロス ポリン及びFK506の双方とも、イムノフィリンとして知られている、異なる細胞 内タンパク質(それぞれ、シクロフィリン及びFKBP 12)に結合した後に限って 、カルシニューリンを阻害する。[Schreiber及びCrabtree、Immnology Today、 13巻、136〜142頁(1992)]。かくのごとく、シクロスポリン及びFK506は、プロ ドラッグとして作用する。それぞれのイムノフィリンへの結合に続き、薬物/イ ムノフィリン複合体がカルシニューリンに結合して、それによってホスファター ゼ活性を阻害する。 カルシニューリン阻害は、臓器移植に伴う移植組織拒絶の治療において最も有 効に役立てられている。シクロスポリン及びFK506は、腎臓、肝臓、心臓、肺、 及び骨髄移植の後に用いられている。[The Canadian Multicentre Transplant Study Group、N.Engl.J.Med.、314巻、1219〜1225頁(1986);Oyerら、Transplan t Proc.、15巻(追補1)、2546〜2552頁(1983);Starzlら、N.Engl.J.Med.、30 5巻、266〜269頁(1981);The Toronto Lung Transplant Group、JAMA、259巻、2258〜2262頁(1988);ならびに Deegら、Blood、65巻、1325〜1334頁(1985)]。これらの医薬の使用によって、 有意に組織移植片の生残が延長され、移植後の死亡率が低下している。[Najari anら、Ann.Surg.、201巻、142〜157頁(1985)ならびにShowstackら、N.Engl.J.M ed.、321巻、1086〜1092頁(1989)]。 シクロスポリンは、様々な自己免疫関連の疾患においても使用されている。ブ ドウ膜炎は一般に1週間以内の治療で快方に向かうが、シクロスポリン投与を中 断すると、急速に再発する。[Nussenblattら、Am.J.Ophthalmol.、96巻、275〜 282頁(1983)]。同様に、シクロスポリン治療で一般に乾癬が快方に向かうが、 治療後に急速に再発する。Ellisら、JAMA、256巻、3110〜3116頁(1986)。インシ ュリン治療の2カ月以内にシクロスポリンを投与すると、インシュリン非依存性 の「ハネムーン」期間が誘導され、I型及びII型双方の真性糖尿病の兆候の開始 時期が遅延される。[Feutrenら、Lancet、2巻、119〜124頁(1986)及びBougnere sら、N.Engl.J.Med.、318巻、663〜670頁(1988)]。病巣の変化が少なく分節性 、膜性であって、且つIgAを介した腎障害を包含する様々な腎障害もまた、シク ロスポリンに感応性であるかもしれないが、観察されるタンパク尿の減少は、基 底膜の治癒でなく、糸球体濾過の低下に起因しているのかもしれない。[Tejani ら、Kidney Intl.、29巻、206頁(1986)]。慢性関節リウマチに対しても、シク ロスポリンは用量依存性の効果を有するが、このような治療で、腎毒性の高率な る発症がつきまとう。[Forreら、Arthritis.Rheum.、30巻、88〜92頁(1987)] 。 前記したように、シクロスポリンは腎毒性に関わっている。[Masonら、Pharm acol.Rev.、42巻、423〜434頁(1989)]。シク ロスポリンを用いて治療した事実上すべての患者において、腎機能の低下が発症 する。Kahan、N.Engl.J.Med.、321巻、1725〜1738頁(1989)。これは一般に、シ クロスポリン療法を休止すると回復できる。残念ながら、臓器移植の被移植者で シクロスポリンに替えて他の通用されている免疫抑制剤に置換することは、移植 組織拒絶の高い危険性を孕むものである。腎移植患者では、このことで透析を再 開する必要が出てくる可能性がある。心臓、肺、または肝臓移植を受けた患者で は、移植組織拒絶は致命的なものとなりうる。腎毒性ほどは頻発しないが、神経 毒性及び肝毒性もまた、シクロスポリン療法において併発される。[de Groenら 、N.Engl.J.Med.、317巻、861〜866頁(1987)及びKahanら、Transplantation、43 巻、197〜204頁(1987)]。 FK506の使用に際しての重大な毒性もまた、明らかになってきている。シクロ スポリンと同様、FK506は、腎毒性に関わるものである。Petersら、Drugs、4巻 、746〜794頁(1993)。臨床的な症状、障害の形態学、及び発症率は、シクロスポ リンの場合とほぼ同等である。[McCauley、Curr.Op.Nephrol.Hyperten、2巻、6 62〜669頁(1993)]。神経毒性もまた、FK506に伴うものである。[Eidelmanら、 Transplant.Proc.、23巻、3175〜3178頁(1991)及びFungら、Transplant.Proc.、 23巻、3105〜3108頁(1991)]。シクロスポリンとは対照的に、FK506は肝毒性作 用よりむしろ肝親和性作用を有する。[Petersら、前出]。 シクロスポリン及びFK506などの免疫抑制剤の重大な強い毒性に鑑みれば、当 該技術分野においてカルシニューリンを阻害するさらなる薬剤が希求されている ことは明らかである。これらの薬剤は、好ましくは、現時点で利用可能な薬剤よ りも毒性の副作用併発が少ないものであり、しかして免疫抑制療法において進展 を遂げることが可能となろう。加えて、T細胞によるイ ンターロイキン2の発現を増強させることを可能とする、T細胞にてPKAを阻害 する薬剤が希求されている。 発明の要約 本発明は、カルシニューリンがAKAP 79に結合するとの発見に、一部基づくも のである。PKA及びカルシニューリンの双方に結合することによって、AKAP 79は 特異的なシグナル伝達経路を通じた流れを調節するかもしれない、キナーゼ及び ホスファターゼを共局在化させる。従って、本発明によりカルシニューリンを単 離するためみならず、細胞でのカルシニューリン活性を阻害するための組成物及 び方法が提供される。単離方法には、固体基質へ固定化しておいたAKAP 79また はそのカルシニューリン結合断片と細胞画分を接触せしめ、次いでそこからカル シニューリンを溶出する工程が含まれる。カルシニューリン阻害方法は、AKAP 7 9またはそのカルシニューリン結合断片ペプチドと、細胞を接触せしめる工程を 含む。好ましくは、カルシニューリン結合ペプチドは、PKAにも結合するもので はない。好ましいペプチドには、以下のアミノ酸配列: が含まれる。 本発明のカルシニューリン阻害方法を実施する上で有用な、別のペプチドには 、 及び が含まれる。 これらペプチドは、カルシニューリンに結合するAKAP 79のアミノ酸配列と相同 である。それらペプチドはFKBP12のカルシニューリン結合領域に類似しているが 、FK506/FKBP12複合体によるカルシニューリン阻害とは違って、別の分子との 相互作用を必要とせずに、それらペプチドはカルシニューリン活性を阻害する。 ペプチドは、脂質可溶性部分との接合によるなど、細胞内への通過を容易にす べく、修飾を施してもよい。例えば、ペプチドをミリスチン酸に接合してもよい 。あるいは、細胞膜と融合しペプチドを細胞内に放出しうるリポソームに、ペプ チドをパッケージングしてもよい。 本発明の他の特徴は、細胞がカルシニューリン結合性、及びPKA結合性のアン カー形成タンパク質を含んでいるか否かを判定するための方法にある。この方法 は一般に、溶解物を形成すべく細胞を溶解し、その溶解物を固体支持体とインキ ュベートし(この固体支持体は、その上に固定化されたカルシニューリン分子を 有するものである)、固体支持体から溶解物を洗浄し、標識したPKA調節サブユ ニットに該支持体を接触させ、未結合の調節サブユニットを固体支持体から洗浄 し、固体支持体上に残存する標識を検出し、そしてその検出結果より、細胞にお けるカルシニューリン結合性及びPKA結合性のアンカー形成タンパク質の存在を 判定する工程を含むものである。あるいは、PKA調節サブユニットが、固体支持 体上に固定化され、カルシニューリンが標識された分子であってもよい。一般に PKA調節サブユニットは、RIIサブユニットであろう。 これらの方法は、PKA及びカルシニューリンの双方に結合する、さらなるタン パク質を同定するために有用である。このような他のタンパク質の同定によって 、治療上の介入のための組織特異的な標的が提供されるかもしれない。 さらに本発明によって意図されるのは、カルシニューリンとカルシニューリン アンカー形成タンパク質との間の結合のモジュレーションを行う化合物を同定す るための方法である。カルシニューリンまたはアンカー形成タンパク質のいずれ かを、固体基質に結合させるとよい。未結合のパートナーは、検出可能なように 標識付けされる。結合パートナーを試験化合物の存在下でインキュベートする。 カルシニューリンとカルシニューリンアンカー形成タンパク質との間の結合に対 する試験化合物の効果を、固定化された結合パートナーに結合した標識の量を観 察することによって判定する。試験化合物の非存在下で結合した標識量に比較し て、試験化合物の存在下にて結合した標識量が減少していれば、その試験化合物 がカルシニューリンとカルシニューリンアンカー形成タンパク質との間の結合の 阻害剤であることが示唆される。シンチレーション近接アッセイなどの他のアッ セイを用いてもよい。 本発明のさらなる特徴には、T細胞によるインターロイキン2の発現を増強す るための方法が包含される。PKAのキナーゼ活性の阻害またはT細胞におけるPKA の局在化によって、インターロイキン2遺伝子の転写を調節するプロモーターエ レメントの制御下にあるタンパク質の発現が増強される。これらの方法は、一般 に、以下のアミノ酸配列すなわち、 のうちの1つと、Tリンパ球とを接触させる工程を含む。配列番号:5のペプチ ドは、PKAのキナーゼ活性を阻害するペプチドである。配列番号:9のペプチド は、HT31アンカー形成タンパク質のPKA結合領域に相同なペプチドである。本発 明は、それらペプチドを用いた方法のための、多岐にわたる使用を意図するもの である。例えば、前記方法が、免疫応答を刺激すること、選択されたクローン拡 張(clonal expansion)のために活性化されたT細胞を刺激すること、もしくは 、T細胞の生物学における初期事象及び免疫応答の活性化の評価を目的とする実 験的刺激へのT細胞の応答を増強することのために、使用されてもよい。 図面の簡単な説明 図1A〜1Bは、全長のAKAP 79及びAKAP 79のカルシニューリン結合断片によ る、カルシニューリンホスファターゼ活性の阻害を示す。 図2A〜2Cは、II型PKA及びカルシニューリンの細胞下の局在性、ならびにI I型PKA及びカルシニューリンの細胞下の共局在性を示す。 図3は、クローン11.1とヒトカルシニューリンイソフォーム11.1との間の相同 性を示す。 図4は、Jurkat細胞をフォルスコリン及びIBMXを用いて処置することによって 誘導される細胞内cAMP濃度の増加を示す。 図5A〜5Hは、インターロイキン2プロモーターによって制御されているタ ンパク質の転写に対する、PKA阻害及び脱局在化の効果を証明するFACSプロット を示す。 発明の詳細な説明 本発明の方法において使用されるペプチドは、Stewart及びYoung、Solid Phas e Peptide Synthesis、2版、Pierce Chemical Company、(1984)またはTamら、J. Am.Chem.Soc.、105巻、6442頁(1983)(双方とも参照することにより本明細書に 組み込むこととする)に記載のごとくに、旧来の技術に従って、溶液中、または 固体支持体上で合成するとよい。Eichholtzら、J.Biol.Chem.、268巻、1982〜19 86頁(1993)(参照することにより本明細書に組み込むこととする)に記載のごと き標準技術によって、ペプチドをミリスチル化してもよい。リポソームへのペプ チドのカプセル封入もまた、米国特許第4,766,046号、5,169,637号、5,180,713 号、5,185,154号、5,204,112号、及び5,252,263号ならびにPCT特許出願第92/022 44号(それぞれ、参照することにより本明細書に組み込むこととする)に概して 記載されているごとき、標準技術によって実施すればよい。 以下の実施例は、例示を目的として提供するものであって、本発明の限定を意 図するものではない。実施例1には、AKAP79及びPKAとのカルシニューリンの会 合を述べる。実施例2はAKAP 79アミノ酸配列から由来したペプチドを用いたカ ルシニューリン活性の阻害に関する。実施例3は、II型PKA及びカルシニューリ ンの細胞下での分布を表す。実施例4には、AKAP 79とカルシニューリンとの間 の生理学的結合を証明する、ジーハイブリッドアッセイを記載する。実施例5は 、AKAP 79とカルシニューリンとの結合の分析を表す。実施例6は、AKAP 79結合 部位を明確にするための、カルシニューリン変異体の使用を記載する。実施例7 は、AKAP 79とPKA RIIサブユニットとの間の相互作用に関する。実施例8はPKA の区画化の阻害剤をスクリーニングするための方法を記載する。実施例9には、 IL-2発現のモジュ レーションにおけるアンカー形成タンパク質の関与を記載する。実施例10は、 他のAKAP 79結合タンパク質の同定に関する。実施例11には、AKAP 79とPKCと の間の相互作用を記載する。実施例12は、アンカー形成タンパク質の、潜在性 を有する治療上の適用に関する。 実施例1 実施例1は、天然に生じている、カルシニューリンとAKAP 79及びPKAとの会合 を示す。AKAP 79は、かくして偏在するキナーゼ及び偏在するホスファターゼを 共局在化させるべく機能する。この共局在化によって、酵素のリン酸化または脱 リン酸化を通じたシグナル伝達経路における、酵素の特異的な調節が行われるの かもしれない。 カルモジュリン−アガロースで精製したウシ脳抽出物からのカルシニューリン (CaN)の免疫沈降は、緩衝液A(10 mM HEPES pH 7.9、1.5 mM MgCl、10 mM KC l、1 mM PMSF及び10μM IMBX)+0.4 M NaClを用いた最終段階での洗浄を含むこ とを除いて、Harlowe及びLane、Antibodies: A Laboratory Manual、Cold Sprin g Harbor Press、Cold Spring Harbor、NY(1988)に一般的に記載されたとおりに 、CaN AまたはCaN Bのいずれかに対して特異的なアフィニティー精製した抗体を 用いて実施した。PKA活性は、免疫沈降物を0.1 mM cAMPを用いて溶出した後に、 Scottら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、82巻、4379〜4383頁(1985)(参照すること により本明細書に組み入れることとする)に記載の通りに測定した。免疫沈降し たタンパク質のリン酸化は、0.1 mM 32P-ATP(1.5 × 105 cpm/nmol)を添加す ることによって開始し、30℃にて30分間後に、SDS-負荷緩衝液の添加によって反 応を終了し、そしてSDS-PAGEに付した。PKA R-サ ブユニットは、タンパク質を0.5 mM Ht31ペプチド(配列番号:4)を用いて溶 出した以外は、Coghlanら、J.Biol.Chem.、269巻、7658〜7665頁(1994)(参照す ることにより本明細書に組み込むこととする)に記載される方法により、cAMP- アガロースを用いて、脳の抽出物の30〜60%の(NH4)2SO4画分から精製した。Cog hlanら、前出に記載のごとくに、ウェスタンブロット及びPKA RIIオーバーレイ を実施した。 キナーゼ活性は、カルモジュリン精製した抽出物において検出したが、CaN免 疫沈降物中に、123 ± 3.6倍(±標準偏差、n=3)濃縮されており、PKAキナ ーゼ活性を阻害するペプチドであるPKIペプチド(配列番号:5)によって特異 的に阻害され、PKAの触媒(C)サブユニットが、単離された複合体の成分であ ることが示唆された。双方ともCサブユニットに対する基質であるAKAP 79(AKA P 75)及びRIIのウシ相同体もまた、免疫沈降物中に存在し、cAMP及び32P-ATP を添加するとリン酸化された。相補的な実験において、PKAのRサブユニットは 、cAMP-アガロースでのアフィニティークロマトグラフィーによってウシ脳の粗 抽出物から単離した。アフィニティーカラムをHt31ペプチドで処理すると、cAMP に結合したRIIからAKAP 75が特異的に溶出され、またCaN A及びBサブユニット も遊離された。ウェスタンブロットで検出すると、溶解物中に存在する総CaNの およそ5%が、AKAP 75及びRIIに会合していることが見出された。これらの結果 をまとめると、アンカー形成タンパク質にPKA及びCaNが同時に会合していること が示唆されるものである。 実施例2 本実施例は、AKAP 79由来のペプチドによるカルシニューリンのホスファター ゼ活性の阻害を示す。 AKAP 79ペプチドの結合が阻害的に働くか否かを判定するために、組換えAKAP 79の存在下にてカルシニューリン(CaN)活性をアッセイした。簡単に説明する と、Carrら、J.Biol.Chem.、267巻、16816〜16823頁(1992)(参照することによ り、本明細書に組み込むこととする)に記載されるごとくに、大腸菌において組 換えAKAP 79を発現した。CaN及び構成的に活性を有する切除変異体CaN420(Ca2+ /カルモジュリン非依存性の、構成的に活性を有する、切除されたCaNのフォー ム(Perrinoら、J.Biol.Chem.、印刷中))は、Sf9細胞で発現し、Perrinoら、J .Biol.Chem.、267巻、15965〜15969頁(1992)(参照することにより本明細書に取 り込むこととする)に記載されるとおり、カルモジュリン−セファロースで精製 した。32P RIIペプチド基質に対するホスファターゼ活性は、Perrinoら、前出 に記載されるとおりに測定した。CaN(30 nM)、カルモジュリン(100 nM)及び32 P RIIペプチド(22μM)を、図1Bに示す濃度の範囲にわたるAKAP 79タンパ ク質及びAKAP 79ペプチド(配列番号:1−アミノ酸第81位〜102位)と共に、イ ンキュベートした。CaN420アッセイではカルモジュリンを入れなかった。基質か ら遊離される32Pを、シンチレーション計数によって、3つの別々の実験におけ る3重の試料にて測定した。CaNに対する組換えAKAP 79の阻害定数(Ki)は、デ ータの直線回帰分析によって決定した。AKAP 79ペプチドに対するKi値は、Km(4 2μM)の固定した基質濃度を用いてIC50を測定することより概算した。 図1Aに、リン酸化したRIIペプチド基質について非競合的な様式による、全 長のCaN(Ca2+/カルモジュリン依存性)(円形)及びCaN420(四角形)の双方 のAKAP 79阻害の、ラインウェバーバークプロットを示す。白抜きの記号は、AKA P 79の非存在下におけるホスファターゼ活性を表し、黒塗りの記号はAKAP 79の存在下におけるホスファターゼ活性を表す。AKAP 79に対応する合成ペプチ ドは、全長のCaN(黒塗りの円形)及びCaN420の双方を阻害したが、一方Ht31ペ プチドは、CaNの阻害剤ではなかった(図1B)。観察された阻害は、カルシニ ューリンに対して特異的であって、AKAP 79ペプチドは、0.4 mMほどの高いペプ チド濃度でも、タンパク質ホスファターゼ1(白抜きの菱形)または2A(十字) の活性に有意に影響しなかった。AKAP 79及びFKBP-12のCaN結合部位は類似して いるが、それらの相違は機能的な有意性を有しているかもしれない。すなわち、 FK506(2μM)は阻害の強さに影響を及ぼさず、そして組換えAKAP79は蛍光のペ プチド基質に対するペプチジルプロリルイソメラーゼ活性を呈しなかった。さら に、CaN AサブユニットとのFK506/FKBP相互作用に必要なCaN Bサブユニットは、 CaN AサブユニットとのAKAP 79の相互作用には必要ではない。また、CaN AとのF K506/FKBPFK506/FKBP相互作用は、カルシウム/カルモジュリン依存性であるが 、カルシニューリンのAKAP 79阻害は、カルシウム/カルモジュリンに依存する ものではない。まとめると、CaNはその不活性状態において、アンカー形成タン パク質に結合したPKAに類似した経緯でAKAP 79によって局在化されることが、こ れらの結果より示唆される。 実施例2 本実施例は、様々な組織におけるII型PKA及びカルシニューリンの細胞下での 分布を示す。 標的となるサブユニットとの会合によって、多くのタンパク質キナーゼ及びタ ンパク質ホスファターゼの細胞下での局在が明らかにされている。AKAP 79は、P KA及びCaNの双方の局在化において2機能の役割を果たすので、このクラスの調 節タンパク 質の新規メンバーに相当するものである。 細胞を培養し、ホルマリン固定し、そしてRosenmundら、Nature、368巻、853 〜856頁(1994)に記載のごとくに免疫染色した。FITC接合した抗−ヤギ二次抗血 清を、RII染色のために使用した。ビオチン化した抗−ウサギ二次抗血清及びス トレプトアビジン−テキサス−レッド(Jackson社)を、CaNに対する染色に使用 した。60x プラナッポクロマット(planappo chromat、1.6 NA)油浸レンズを装 着したニコンオプティフォト2の顕微鏡を用いた、Biorad MRC-600共焦点レー ザー走査システム(A1及びA2フィルター)を使用して像を得た。共焦点切片 は、1.5〜2μmの間の絶対厚みであった。 AKAP 79相同体はウシ、ブタ、ウサギ、及びネズミの脳において観察された。 このことは、PKA及びCaNの共局在が、ニューロンを特定のシグナルトランスダク ションの事象に適応させる、普遍的な現象であるかもしれないことを示唆してい る。免疫細胞化学的方法を用いて、培養した海馬ニューロンにてII型PKA及びCaN の細胞下での分布を調べた。RIIに対する染色パターン(図2Aの緑色標識)及 びCaN(図2Bの赤色標識)は、領域として分散しており、軸索で重複していた (図2Cで、RIIは赤色でありCaNは緑色である)。これらの所見は、アンカー 形成タンパク質によるII型PKA及びCaNの共局在化に合致しており、シナプス伝達 の調節における三成分複合体に対する役割を示唆するものである。これは、前記 細胞内でのRII及びAKAP 79の共局在化を立証した実験結果、及びAKAP 79、II型 PKA及びCaNが、シナプス後膜肥厚の成分であることを示す研究による実験結果に 符合するものである。局在化した三成分トランスダクション複合体に対する潜在 性のある基質には、アンカー形成タンパク質の標的となるPKAによってモジュレ ーションを受ける、AMPA/カイ ナート受容体が包含されるかもしれない。 実施例4 本実施例は、酵母ジハイブリッドアッセイにおけるAKAP 79とカルシニューリ ンとの間の相互作用を示す。「囮」(”bait”)としてAKAP 79を用いて、ネズ ミT細胞ライブラリーからのcDNAによりコードされるカルシニューリンがAKAP 7 9に結合することが見出された。 アツセイは、Durfeeら、Genes and Development、7巻、555〜567頁(1993)(参 照することにより本明細書に組み込むこととする)に概して記載される通りに実 施した。「標的」及び「囮」は、2つのプラスミドであり、それぞれがGal-4転 写因子の一部を含んでいた。「囮」プラスミド(pAS1)はGal-4 DNA結合サブユ ニット[Keeganら、Science、231巻、699〜704頁(1986)(参照することにより本 明細書に組み込むこととする)に記載の、アミノ酸第1〜147位]に連結したADH プロモーター、それに続くヘマグルチン(HA)tag、ポリクローン部位及びADHタ ーミネーターを持つ、2ミクロンベースのプラスミドであった。SC-Trp培地を用 いて、選択を維持した。「標的」構築物は、leu2であり、これは、ADHプロモー ター及びターミネーターにGal-4転写活性化ドメインII[Ma及びPtashne、Cell、 48巻、847〜853頁(1987)、(参照することにより本明細書に組み込むこととする )]とそれに続く複合クローニング部位を含む、2ミクロンベースのプラスミド であった。このベクター、pACTをマウスT細胞cDNA融合ライブラリーの構築に利 用した。スクリーニングにおいて使用したSaccharomyces cerevisiae y190は、 そのゲノムの中に統合された2つのレポーター遺伝子を用いてデザインした。レ ポーター遺伝子はGal-4結合部位を含むGal-1プロモーター の制御下におかれている。囮プラスミドによってコードされているタンパク質と 標的プラスミドが会合すれば、Gal-4転写因子サブユニットが共にもたらされて 、レポーター遺伝子の転写を開始すべく機能する。 AKAP 79のコード領域を含む1.3 KbのNcoI/BamHI断片を、pET11d骨格から単離 し、そしてスクリーニングのための「囮」として働くように、pAS1に繋いだ。こ の構築体の1μgを、標準リチウムアセテート−PEG形質転換プロトコルを用いて 、y190MATa及びy190 MATαの中に形質転換した。各々の接合型(y190A pASI AKA P 79 1-4及びy190α pAS1 AKAP 79 1-4)の4つの単離株を、PKAの調節サブユニ ット(RIIアミノ酸第1〜89位)を含む融合構築体pACT-RIIと相互作用する能力 について試験した。この試験は、株をYEPD(1% Bacto-酵母抽出物、2%Bacto- ペプトン、2%デキストロース、2% Bactoアガー)にて30℃で一晩接合し、次い でSC-Leu-Trpプレートで二倍体を選択することにより成し遂げられた。次に、レ ポーターとして作用している大腸菌lac Z遺伝子は、β-ガラクトシダーゼ活性に ついてアッセイしえた。接合した株は、Hybond-Nフィルター(Amersham社)で覆 っておいたSC-Leu-Trpプレートで複製して、一晩、生育した。酵母を砕開するた めに、フィルターを液体チッ素中に1分間入れた。3MMペーパーディスクを、 およそ3 mlの、0.1% X-galを含む60 mM Na2HPO4、40 mM NaH2PO4、10 mM KCl及 び10 mM MgSO4を用いて飽和させた。溶解した酵母フィルターをディスクの頂部 に置き、およそ1〜2時間30℃にて展開した。β-gal活性に対して陽性を示す、 pAS1 AKAP 79及びpACT RII融合体の双方を含む二倍体株は、酵母斑を青色に変 えることによって示された。対照として、囮のAKAP 79プラスミドを空のpACTコ ントロールを用いて接合した場合には、白色の ままであった。 50 mlのSC-Trp培地において、2 × 107 細胞/mlの密度にまでy190A AKAP 79( 分離株1及び2)ならびにy190a AKAP 79(分離株1及び2)を生育することに よって、Gal-4 AKAP 79融合タンパク質の検出が成し遂げられた。細胞は、3000 × gにて10分間かけてペレット化し、そして200μlのガラスビーズ(425〜600ミ クロンのサイズ)と共に、25 mM Tris pH 8.5、5 mMEDTA、5 mM EGTA、2 mM O- フェナンスロリン、1 mM DTT、25μM 4-(2-アミノエチル)-ベンゼンスルホニル フルオリド-HCl(分子量239.5、AEBSF)、1 mM ベンズアニジン、1μg/mlPLACC (ペプスタチン、ロイペプチン、アプロチニン、カルパインI及びII)、ならびに 20μg/mlベスタンチン(bestantin)溶解緩衝液中で溶解した。合計24分間(12 サイクル)にわたり、1分間の細胞のボルテックスと1分間の氷冷とを交互に行 った。タンパク質濃度を定量して、総タンパク質30μgを10%SDS-PAGEゲルに付 した。ゲルをImmobilon-P(Millipore社)に湿潤下にて転写し、そして抗-HAモ ノクローナル抗体12CA5(BabCo.、Berkeley、カリフォルニア州)及びヤギ抗-マ ウスIgGアルカリホスファターゼを接合した二次抗血清(Biorad社、Hercules、 カリホルニア州)を用いて標準手法により検出した。およそ100 kDaのGal-4 AKA P 79融合タンパク質が容易に検出され、正確なサイズの産物がこれらの株の中に 存在することが示唆された。 pACTネズミT細胞cDNAライブラリーをスクリーニングするために、y190A pAS1 AKAP 79分離株1を選択した。500 mlのSC-Trp培養液(OD600=0.6〜0.8)を採 収し、100 mlの蒸留水で洗浄し、再びペレット化した。ペレットを50 mlのLiSOR B(100 mM リチウムアセテート、10 mM Tris pH 8、1mM EDTA pH 8、及び1 M Sorbitol)に入れて、1リットルのフラスコに移し、そして30℃ にて30分インキュベートする間、220 RPMにて振盪した。次いで細胞をペレット 化して、625μlのLiSORBに再懸濁し、DNAを調製するあいだ、氷上で保存した。 形質転換のために、10 mg/mlのサケ精子DNA 400μlを10分間煮沸した後、500 μlのLiSORBを添加し、室温まで徐々に冷却させてDNAを調製した。Mu T細胞ラ イブラリーからのDNAを、1 mg/mlの貯蔵液から加えた(40〜50μg)。冷却して おいた酵母培養物を、調製した120μlのDNAと共に10本のエッペンドルフチュー ブに分注した。チューブを30℃、220 RPMにてインキュベートした。30分後に、4 0% PEG3350を含む100 mM Liアセテート、10 mM Tris pH 8及び1 mM EDTA pH 8 を900μl、各培養液に混合し、さらに30分間のインキュベートを続けた。次いで 試料を集め、少量のアリコート(5μl)を取り出し、形質転換の効率について調 べて、SC-Leu-Trpプレートに播種した。細胞の残りは、100 mlのSC-Leu-Trp-His 培地に添加して、220 RPMにて振盪しながら30℃で1時間生育させた。採収した 細胞は、5.5 mlのSC-Leu-Trp-His+50 mM 3AT(3-アミノトリアゾール)に再懸 濁し、そして300μlのアリコートを150 mmのSC-Leu-Trp-His+50 mM 3ATに播種 して、30℃にて1週間生育させておいた。 4日後に、力価プレートを計数して、1.1 × 105のコロニーをスクリーニング した。ライブラリープレートについて、大規模のβ-galアッセイを行い、10の陽 性クローンを単離して単一コロニーとした。これらのコロニーのうち1つを、残 りのものよりも実質的に大量に増やし、クローン11.1と名付けた。総酵母DNAを これらの株から調製し、そしてleu2プラスミドDNAを単離した。その「救い出さ れた」プラスミドは、元のy190A pAS1AKAP 79の囮株及びy190aを、再び形質転換 するために用いた。 クローン11.1だけが、y190A pAS1 AKAP 79でβ-ガラクトシダーゼ活性に対する 陽性を維持していた。pACTクローン11.1を含むy190aは白色のままであり、陰性 コントロールとして働いた。 エンドヌクレアーゼのXhoIを用いて制限酵素消化すると、2.3 Kbのインサート が遊離し、そのプラスミドを正方向及び逆方向に配列決定した。二本鎖の鋳型で の対称性ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いた、Dye Deoxy Terminator Cycle Sequencing Kit(Applied Biosystems,Inc.、Foster City、カリホルニア州) からの反応物を、ABI 373A自動シーケンサー(Applied Biosystems,Inc.)にて 分析した。クローン11.1からの配列で、pACTのGal-4活性化ドメインに正確に融 合された、487のアミノ酸長の読み取り枠(配列番号:6)が明らかになった。N IH配列データベースを検索し、かかる配列が、ヒトカルモジュリン依存性タンパ ク質ホスファターゼであるカルシニューリンに密接に相同性を有することが見出 された。クローン11.1とヒトのイソフォームA1との間のコンピューター分析によ って、核酸レベルで80%の同一性、及びアミノ酸レベルで93%の同一性が示され た。ヒトにおける最初の10アミノ酸及び18アミノ酸のインサートは、マウス11.1 配列に存在しないものである。クローン11.1は、マウスカルシニューリンAβ配 列に密接な関連性があるが、カルボキシ末端において明瞭に類似性を欠く。同様 に、ヒトカルシニューリンA1とヒトカルシニューリンA2イソフォームは、密 接なる相同性を有するが、3'端においてそれぞれ異なっている。 AKAP 79−カルシニューリンの相互作用の特異性は、カルシニューリンpACT含 有株を、他の無関係な囮株と接合することによって調べられる。RII(1〜89) 、カゼインキナーゼ 1、ホスホジエステラーゼ 32(HDUN2)及びAKAP Ht31に融 合したpAS1を含 有する株を用いて、前記と同様に交配を行った。これらの二倍体株のすべてにお いて、β-ガラクトシダーゼ活性は陰性であった。 実施例5 クローン11.1とAKAP 79との相互作用の特質をさらに評価するために、一連の カルシニューリン11.1欠失変異体を構築し、そして、各プラスミドをジハイブリ ッドシステムで試験した。 同じ5'オリゴ(MH47)及び4つの3'オリゴ(MH48、MH49、MH50及びMH51)を用 いてPCR反応を計画して、それぞれ、アミノ酸第1〜104位、第1〜204位、第1〜31 2位及び第1〜400位をコードする、カルシニューリン11.1の領域を増幅した。こ れら断片は、BgIIIで消化して、pACTへとクローニングした。クローニングの方 向は、制限酵素消化でのマッピング及び自動配列決定により判定されるPCRエラ ーによって確認した。所望の欠失変異体を正しくコードすることが確かめられた プラスミドを、y190MATa及びy190MATαの中に形質転換した。酵母株を、配列番 号:6で示されるアミノ酸第1〜487位をコードする元のクローンpACT11.1と共に 、y190apAS1及びy190apAS1 AKAP 79に接合させた。得られた接合プレートは、前 記の通りにフィルターアッセイし、そして、アミノ酸第1〜400位またはアミノ酸 第1〜487位のいずれかをコードする融合タンパク質のみが、レポーター遺伝子の 転写を開始できることが観察された。アミノ酸の第1〜312位を含む融合タンパク 質が、転写を開始できないとの観察によって、AKAP 79の結合には第313〜400位 の間のアミノ酸残基が必要であることが示唆された。この領域は、以前、カルシ ニューリンB結合領域のみならず、FKBP/FK506結合ドメインを含むことが明らか にされている[Husi、ら、J.Biol.Chem.、269巻、 14199〜14204頁(1994)]。 AKAP 79結合に必要なカルシニューリンアミノ酸配列をより正確に特定するた めに、さらなる欠失変異体を構築して、AKAP79結合についてアッセイした。発現 構築物は、カルシニューリン11.1のドメイン第332〜441位、第332〜487位及び第 442〜487位をコードするpACTを用いて作製した。前記のごとく、各構築物はpAS1 AKAP 79酵母株に形質転換する前に、配列決定し、そして正確な変異体を発現し ているか否かについて判定した。 しかしながら、形質転換すると、レポーター遺伝子の発現は検出されず、かか る変異体がAKAP 79と相互作用しえないことが示唆された。AKAP 79結合性を欠く 可能な説明としては、これら切除クローンでは結合に必要な二次タンパク質構造 が失われていること、またはいくつかのアミノ末端配列も結合に必要であるかも しれないことなどである。 以前になされた観察で、イムノフィリン複合体FKBP/FK506とカルシニューリン Aとの間の相互作用に、カルシニューリンBが必要であることが示唆されている [Haddyら、FEBS、314巻、37〜40頁(1992)]。酵母株y190に内在的に発現されて いるカルシニューリンBが、観察されるAKAP 79/カルシニューリンA結合に関 与しているか否かを判定するため、カルシニューリンA/AKAP 79結合における カルシニューリンBの関与の可能性を除くべく、y153b(Mat a gal14 gal80 his 3 trp1-901 ade2-101ura3-52 leu2-3-112+URA::GAL-->lacZ,LYS2::GAL-->HIS3cn b1Δ1::ADE2)と名付けたカルシニューリンB”株を利用した。初めに、pAS1及 びpAS1 AKAP 79を用いてy153bを形質転換し、餌(prey)プラスミド非存在下で β-gal活性についてアッセイした。レポーター遺伝子の発現は検出されず、クロ ーン11.1を用いた形質転換に続くレポーター遺伝子の発現は、必然的に AKAP 79/11.1結合に起因するものであろうことが示唆された。プラスミドpACTカ ルシニューリン11.1及びpACTカルシニューリン1〜400は、次いで、標準手法に従 い、別々にy153b1 pAS1AKAP 79の中に導入した。各プラスミドで形質転換した株 においてβ-gal活性が観察され、AKAP 79とカルシニューリンAとの間の相互作 用にはカルシニューリンBは必要でないことが示唆された。この結果はさらに、 イムノフィリン複合体FKBP/FK506のカルシニューリンAへの結合はAKAP 79結合 と別個のものであることを示唆している。 実施例6 カルシニューリン11.1のAKAP 79結合の領域をさらに正確に特定する試みのた めに、前記のものとは異なる欠失変異体、または点変異体をコードする、さらな る一連のプラスミドを構築した。 A.末端欠失 本実施例では、AKAP 79とカルシニューリン11.1との間の相互作用が、カルシ ニューリンの残基第30〜336位を必要とすることを示す。簡単に説明すると、表 1に記載した特定のN末端及びC末端欠失をつくるべく、PCR反応で使用するた めのカルシニューリン11.1の様々な領域に対するプライマーをデザインした。PC R産物は、100μlの反応容量にて、PCR緩衝液#2(20 mM Tris-HCl、pH 8.75、1 0 mM KCl、10 mM(NH4)2SO4、2 mMMgSO4、0.1%Triton X-100、及び100μg/ml BS Aを含有)(Stratagene社)及び2.5単位のPyrococus furiosus(Pfu)DNAポリメ ラーゼ(Stratagene社)を用い、200μgの各々のdNTP及び1 ngのプラスミド鋳型 と、1μgのそれぞれの3'及び5'プライマーを混合することによって作製した。30 サイクルを実 施し、それぞれ、95℃で1分、50℃で2分そして72℃で4分間とした。増幅産物 を精製し、pACTのBgIII制限部位にクローニングした。結果として生じる構築体 は、前記のごとく配列決定することにより、PCRエラー及び方向性を分析した。 各構築体は、個々に、y190α、y190a pASI APAK79及びy153b pASI AKAP 79酵 母株(それぞれ実施例4Aに前記した)の中に形質転換し、そしてこれについて も前記した通りに、β-ガラクトシダーゼフィルターアッセイを実施した。C末 端の欠失体をコードするベクターの第一の組を用いた結果より、AKAP 79結合に 必要な、アミノ酸の第312〜400位の間の領域が特定された。y153b pASI AKAP 79 形質転換体からの陽性のフィルターアッセイによっても、カルシニューリンBが AKAP 79結合に必要でないことが確かめられた。 以前の研究より、カルシニューリンBの結合には、アミノ酸第348、349、355 及び356位が必要であること[Watanabeら、J.Biol.Chem.、270巻、456〜460頁(1 995)]、カルシニューリン自己阻害ドメインには、アミノ酸第442〜487位が包含 され、そしてFKBP/FK506結合にはアミノ酸第350、353及び359位が必要であるこ と[Kawamura及びSu、J.Biol.Chem.、270巻、15463〜15466頁(1995)]が示唆さ れている。さらにC末端欠失体をコードする、さらなるカルシニューリン11.1構 築体によって、カルシニューリン11.1/AKAP 79結合にアミノ酸第1〜336位が必要 であることを示唆した。これらの欠失体によって、カルモジュリン結合ドメイン [このドメインがどこにあるのか?]、自己阻害ドメイン及びカルシニューリン B結合ドメインは、AKAP 79とカルシニューリンAとが複合体を形成するために は必要ではないことが明らかにされるものである。 表1に、すべての欠失体についての結合の結果を表す。アミ ノ欠失体により、AKAP 79結合に必要な少なくとも1つの領域は、第30〜99位の 間の残基にあることが示唆された。従来知られている通り、N末端欠失体を発現 しているy153b pASI AKAP 79形質転換体は、結合のためにカルシニューリンBを 必要としなかった。 B.点変異 いずれのアミノ酸がAKAP 79結合に関与しているのかを正確に評価するために 、PCRに基づくストラテジーを用いて、カルシニユーリン11.1の点変異体をつく った。3つのアラニン変異体、Cys335→Ala、Ser336→Ala及びPro339→Alaをつ くり、ジハイブリッドシステムでのAKAP 79結合に対するモジュレーションにつ いてアッセイした。これらの変異体のいずれも、AKAP 79がカルシニューリンに 結合するのを妨げず、これらの残基の変更だけでは、AKAP 79結合を壊すには不 充分であることが示唆された。 実施例7 前記のプロトコルによって、他のAKAP 79結合タンパク質を同定するために、p ACT MuT細胞ライブラリーDNA及びpASI AKAP79の囮株を用いた、さらなるスクリ ーニングを実施した。およそ211,000のコロニーをスクリーニングした結果、pAC T 2-1と名付けた1つの陽性クローンが得られ、救い出し及び再形質転換の後も 、陽性を維持した。ライブラリーの配列は、XhoI消化でプラスミドから取り出し 、1200塩基対のインサートであることが示された。配列決定及びそれに続くデー タベース検索によって、そのクローンが、ラットタンパク質キナーゼAの1α型 調節サブユニット(RI)と91%の同一性を有することが示唆された。 同じAKAP 79の囮を用いてライブラリーを再度スクリーニングし、およそ520,0 00の形質転換体から、15の陽性クローンを検出した。これら15のうち11が、ラッ トPKAの調節サブユニットI型に相同であることが見出された。これらの単離体の それぞれを、RIの5'非翻訳領域に融合し、開始のメチオニンにわたって空にし ておいた。制限酵素による消化分析及び配列決定のデータ に基づいて、元のpACT 2-1単離体を含む9つの別個のクローンを単離した。 これらの結果から、PKAのRII及びRI調節サブユニットの双方に結合するアン カー形成タンパク質が初めて立証され、これは、その2つのサブユニット間の構 造的には類似していない一次構造に鑑みれば、予期せざることである。 RIとAKAP 79との間で相互作用する配列をさらに特定するために、そして、そ の相互作用がAKAP 79に独自のものであるかを調べるために、新しい酵母株を開 発した。RIの最初の400塩基対の中のBgIII制限部位を利用して、アミノ酸第1〜 80位をコードする断片をpACT72から単離し、pAS1及びpACTに繋いだ。制限酵素に よる消化分析によって、方向を確認した。標準的な酵母の形質転換手法を用いて 、プラスミドDNAをy190 MATに導入し、そして、形質転換した酵母を、β-gal活 性についてアッセイした。切除されたRI融合産物は、レポーター遺伝子の発現 を促進できないことが確定した。引き続き、切除されたRIフォームがAKAP 79と 相互作用するか否かを調べるために、形質転換された株を一連の実験に利用した 。 2重に形質転換した酵母株においてレポーター遺伝子の発現が観察され、RI/ AKAP 79結合は、RIの最初の80アミノ酸を介して作用することが示唆された。 最後に、RI及びRIIサブユニットの双方に結合する能力がAKAP 79に独自のも のであるかを確かめるべく行なった実験において、pACT Ht31の遺伝子産物であ るヒト甲状腺のAKAP[Carrら、J.Biol.Chem.、267巻、133376〜133382頁(1992) ]を、第1〜80位のアミノ酸を含み、プラスミドpAS1(1〜80)においてコードさ れる、前記の切除されたRIペプチドを用いたジハイブリッドスクリーニングに よってアッセイした。観察されたHt31/RI 結合は、Ht31がRIIと結合するという以前の観察と合わせて、RI及びRIIの双 方とのアンカー形成タンパク質の結合がAKAP79に独自のものではないことを示唆 した。 実施例8 AKAP 79がPKAのRI及びRIIサブユニットの双方に結合することが示された事 実に鑑みて、PKAに対するAKAP 79の結合を妨害することによってPKAの局在化を 崩す、特異的な阻害剤を同定するために、シンチレーション近接スクリーニング 技術を開発した。 最初に、チオレドキシン(TRX)-AKAP 79融合タンパク質発現プラスミドを構築 した。一般的には、LaVallieら、BIO/TECHNOLOGY、11巻、187〜193頁(1993)を参 照されたい。手短にまとめると、XbaI/HindIIIチオレドキシン断片を、、lac Z 遺伝子及びtacZプロモーターを含むpUC19にサブクローニングした。得られたプ ラスミドを、TRX F/S pUC19と名付けた。TRX F/S pUC19の中にAKAP 79をコード する配列を挿入するために、末端にSpeI及びHindIII配列を有するオリゴヌクレ オチド(配列番号:32)を用いて、NcoI制限部位をつくった。SpeI/HindIII制 限酵素消化に続いて、ベクターの中にオリゴヌクレオチドを挿入し、フレームで チオレドキシン遺伝子とAKAP 79をコードするNcoI/XhoI断片とを繋いだ。大腸菌 において融合タンパク質を発現し、固体支持体の中に埋め込まれたシンチレータ ーを含む、96ウェルのScintiStripプレート(Wallac社、Turbu、フィンランド) に固定化した。プレートは、TRXに対して免疫特異性を有するマウスモノクロー ナル抗体を固定化するために用いられた、ウサギ抗マウス抗体で前もって被覆し ておいた。TRX-AKAP 79融合タンパク質は、次いで、抗-TRX抗体を介してプレー ト上に捕獲し、そして、例えば標識されていないRIIなどといった参照用の阻害 剤の存在下または非存在下にて、3H-RIIをプレートに加えた。3H-RIIがAKAP 79に結合した場合、標識は支持体に埋め込まれたシンチレーターに充分近づけ られ、その結果、MicroBetaシンチレーションカウンターで発光が検出される。 このアッセイの結果から、標識されていない前記のRII及びHt31は、それぞれ 、1 mM及び50 nMのIC50をもってAKAP 79/RII結合を阻害することができるこ とが示唆された。これらの結果は、他のアンカー形成タンパク質の報告値[Carr ら、J.Biol.Chem.、267巻、13376〜13382頁(1992)]に類似するものである。プ ロリン置換をしたHt31ペプチド(これも前記したものである)は、AKAP 79/RII 結合を阻害しなかった。これらの結果は前のウェスタンブロッティング及びオー バーレイアッセイにおいて観察された結果に符合したので、この技術によってAK AP 79/RII結合の潜在的な阻害剤の迅速なスクリーニングが許容されるだけでな く、例えばカルシニューリン及びタンパク質キナーゼCなどといった、他の既知 の生理学的パートナーとのAKAP 79の結合の阻害剤の迅速なスクリーニングも可 能となるであろう。 実施例9 本実施例は、T細胞におけるアンカー形成タンパク質とPKAとの会合が、NFAT 活性化に対するPKAの活性をモジュレートし、しかして、インターロイキン2の 産生がモジュレートされることを示す。 IL-2遺伝子の発現は、T細胞の活性化に厳密に連鎖している。PMA及びイオノ マイシンを用いた活性化に続く、IL-2の転写を 調べた。これら2つの試薬は、それぞれ、タンパク質キナーゼC及びカルシウム 第二メッセンジャー応答(CaNの活性化を包含する)を強化することが知られて いる。タンパク質キナーゼCは、NFATの核成分の誘導に関与するRas-Raf-1-Mek- MAPキナーゼ経路を活性化する。増加したカルシウム濃度によってカルシニュー リンが活性化され、次に代わって、カルシニューリンの活性化がNFATの細胞質成 分を活性化し、そして核への移行が可能となる。このNFAT成分の活性化によって 、IL-2遺伝子発現が誘導される。転写を定量化するために、3つの並列したNFAT 結合部位のコピー、及びβ-ガラクトシダーゼ(β-gal)をコードするlacZ遺伝 子に融合した最小IL-2プロモーターを含むベクターを用いて、Jurkat T細胞系( NFATZ)に安定にトランスフェクトした。IL-2転写の定量化は、β-gal活性の蛍 光活性化細胞ソーター(FACS)を通して行った。 典型的には、1 mlの培養培地中に、1 × 106のNFATZ細胞を、様々な濃度のシ クロスポリン、AKAP 75のアミノ酸第81〜108位を含むミリスチル化されたペプチ ド(配列番号:8;Glantzら、J.Biol.Chem.、268巻、12796〜12804頁(1993)( 参照することにより本明細書に取り込むこととする)に記載されている)、PKI (PKA阻害ペプチド(GRRNAIHDI-配列番号:5))、及びHt31のペプチド(配列 番号:9;Carrら、J.Biol.Chem.、267巻、13376〜13382頁(1992)(参照するこ とにより本明細書に取り込むこととする)に記載され、PKAのRIIサブユニット とのアンカー形成タンパク質の相互作用を阻害する、全長のHt31タンパク質の第 493〜515位のアミノ酸)と共に、37℃にて60分間プレインキュベートした。ペプ チドは各々、Eichholtzら、J.Biol.Chem.、268巻、1982〜1986頁(1993)に記載 されるごとくに、ミリスチル化した。 シクロスポリン、PKI(配列番号:5)、及びHt31ペプチド(配列番号:9) を用いた実験において、シクロスポリンまたはそれぞれのペプチドとのインキュ ベーションに続いて、フォルスコリン(25μM)及びイソ-ブチル-メチル-キサン チン(IBMX;0.1 mM)を加えたインキュベーションをさらに30分間続けた。フォ ルスコリン/IBMXとのインキュベーションによって、細胞内のcAMP濃度が上昇し (図4)それによって、PKAが活性化される。最後に、ホルボール 12-ミリステ ート 13-アセテート(PMA)(10 ng/ml)及びイオノマイシン(2μM)を添加し て、インキュベーションを4時間継続した。対照には、PMA/イオノマイシンのみ 、またはフォルスコリン/IBMX及びPMA/イオノマイシンを、前記と同様の条件下 でインキュベートした。PMA/イオノマイシンインキュベーションの最終の20分の 間に、内在性のリソソーム由来のβ-gal活性を阻害するためにクロロキン(300 μM)を添加した。細胞を遠心し(spin out)、50μlの培養培地に再懸濁して、 これに50μlの蛍光ジ-β-D-ガラクトピラノシド(FDG)を添加した(最終濃度0. 1 mM、Molecular Probes社)。1 mlの冷FACS緩衝液(クロロキン含有)を添加す ることにより等張の条件に細胞を戻すまで、この浸透ショック法を75秒間継続し た。蛍光分析用に配されたフローサイトメトリーによって、lacZ β-gal活性を 測定した。 図5A〜5Hにこの実験の結果を表す。図5A及び5Bは、染料を追加した場 合、または追加しない場合の、バックグラウンドの蛍光を示すFACSプロットであ る。図5Cは、NFATZJurkat細胞のPMA/イオノマイシン処置で、β-gal活性の6〜 7倍もの増加が誘導されることを示す。シクロスポリン(CsA)は、IL-2転写にお けるCaNの重要なシグナル伝達の役割のために予期されるであろう通り、この活 性を完全に廃した(図5D)。ミ リスチル化したAKAP 75ペプチド(配列番号:8)は、培地中10μMにて用いた場 合に、40〜50%まで、PMA/イオノマイシンで誘導されるβ-gal活性を減じること が見出された。 図5Eは、PMA/イオノマイシンで誘導されたβ-gal活性を、フォルスコリン及 びIBMXが、およそ50%まで減じることを示す。この阻止は、100μMのミリスチル 化されたPKIペプチド(配列番号:5)及び100μMのミリスチル化されたHt31ペ プチド(配列番号:9)の双方によって、完全に回復した(図5F及び5G)。 図5Hは、PKAのアンカー形成阻害においてペプチドの不活化をもたらすことが 知られているプロリン置換を有する、ミリスチル化されたHt31ペプチドが、フォ ルスコリン/IBMXによる阻止に影響を及ぼさなかったことを示す。これらの結果 により、PKAの重要性及び、IL-2遺伝子発現の際のアンカー形成タンパク質を通 じた局在化の重要性が証明されるるものである。前記したとおり、PKA活性また は局在化の妨害が、免疫応答の増強、選択的なクローン拡張のためのT細胞の活 性化またはT細胞活性化の初期事象の研究のために用いられるかもしれない。 実施例10 他のタンパク質に対する同じ領域をコードするさらに2つの、独自の単離体、 pACT 59及びpACT 74を同定した。これらのクローンに対する配列は、それぞれ配 列番号:33及び34で示す。大がかりな検索の結果、機能がまだ知られていな い3つの遺伝子産物すなわち、C.elegans(データベース配列表で、第U00032号 と名付けられた、319アミノ酸のタンパク質)、ヒト胎児脳で発現される配列tag (T08697と名付けられた、97アミノ酸のタンパク質)、及びHL60で発現されてい る配列tag(D20731と名付けられた、90アミノ酸のタンパク質)と、有意なアミ ノ酸 相同性が示唆された。PAP1+の正の調節因子(AP-1様転写因子)であることが示 されている、PAD1+(D31731と名付けられた、308アミノ酸のタンパク質)と称さ れるS.pombe遺伝子産物との間でも、相同性が見出された。 加えて、このスクリーニングにおいて、他の2つの陽性クローン、すなわち、 pACT 36(Gal4に正しく融合された143アミノ酸の読み取り枠をコードするもの) pACT 60(見かけ上欠失に起因する、わずかに短い領域をコードするもの)が検 出された。これらのクローンに対する配列は、それぞれ、配列番号:35及び3 6で示す。2つの単離体は、互いに独自のものであり、NIHデータベースにおけ るいかなる既知の配列とも同一性は示さなかった。 実施例11 これまでの仕事で、AKAP 79が、少なくとも2つのシグナル伝達酵素、すなわ ち、PKA及びCa2+/カルモジュリン依存性ホスファターゼのカルシニューリン (CaN)と会合することができる、多機能のアンカー形成タンパク質であること が示唆されている。各々のシグナル伝達酵素は、アンカー形成タンパク質の別個 の領域に結合し、そしてアンカー形成されると各酵素は阻害される。加えて、C a2+/リン脂質依存性のタンパク質キナーゼC(PKC)もまた、PKA及びCaNと異 なる領域でAKAP 79に結合することが立証されている。PKA及びCaNのように、PKC の活性は、アンカー形成タンパク質との会合によって阻害されるものである。PK C結合部位は、アンカー形成タンパク質の最初の75残基の中に含まれており、そ して、ペプチドの研究によって、AKAP 79の第31〜52の残基を含む断片が、PKC活 性を阻害することが示されている。さらには、アンカー形成タンパク質へのカ ルモジュリン(CaM)結合がPKC活性を遊離することを示唆する証拠によって、AK AP 79配列との競合が示されている。AKAP 79とのPKCの相互作用をさらに充分に 特徴付けるために、PKC結合部位を特徴付けし、ウシ脳からPKC/AKAP複合体を単 離し、そしてCaMが、PKC/AKAP 79の相互作用の生理学的調節因子であるか否かを 調べる実験を行った。 初めに、ウサギ脳PKCをプローブとして用いて、ウシ脳溶解液についてPKCオー バーレイを実施した。PKCα及びβイソフォームを認識するモノクローナル抗体 (M7)で、PKC結合を検出した。サイズが50〜300 kDaの範囲にある、様々なPKC 結合タンパク質が検出され、それに、顕著な75 kDaのRII結合タンパク質と同様 の移動度をもって挙動する、あるタンパク質が包含されていた。対照の実験で、 PKC結合が特異的であって、1.2 mMCaCl2及び20μg/mlのホスファチジルセリンの 存在下でのみ、そして反応混合液にPKCが添加された場合に限って検出されうる ことが確認された。 同定された75 kDaのタンパク質が、AKAP 79のウシにおける相同体であるか否 かを調べるために、AKAP 79及び関連する断片を、プローブによりつきとめるべ く、PKCオーバーレイアッセイを採用した。簡単に説明すると、タンパク質をSDS -ポリアクリルアミド電気泳動(SDS-PAGE)によって分離し、標準のプロトコル に従ってニトロセルロースにブロッティングした。試料は、Blotto[1 mg/mlウ シ血清アルブミン(BSA)、5%乾燥乳を含む、Tris緩衝性生理食塩水(TBS)] 中でブロッキングし、そしてアッセイ用緩衝液[1 mg/ml BSA、1.2 mM カルシウ ム、1 mMEGTA、20μg/ml ホスファチジルセリン(PS)、2μg/ml ロイペプチン 、2μg/ml ペプスタチン及び3μg/mlの部分精製したウサギ脳PKCを含有するTBS ]中で室温にて1時間インキュベートし た。結合したPKCは、PKCα及びβの双方を認識するモノクローナル抗体M7を用 い、続いて標準化学発光検出法に従って、検出した。 PKCは、全長の組換えAKAP 79タンパク質、及びPKCに結合したそのタンパク質 の最初の75残基を網羅する組換え断片に結合したが、CaN及びRII結合領域にわ たるC末端断片には結合しなかった。対照実験により、32P-放射標識したRII は、全長のAKAP 79及びC末端断片の双方と結合することが立証された。これら の結果より、AKAP 79はPKC結合タンパク質であり、主要な結合部位はこのタンパ ク質の最初の75アミノ酸の中に存することが示された。 PKC結合タンパク質についての以前の研究より、PKC結合部位からの塩基性及び 疎水性領域が、酵素とのリン脂質架橋の形成に関与することが示されている。AK AP 79の最初の75残基には、第31〜52位の間に、塩基性及び疎水性領域が含まれ ており、様々な系列の証拠から、この領域がPKCとの接触の主要部位であること が示唆される。オーバーレイアッセイで評価したところ、第31〜52位の残基の合 成ペプチドは、PKC/AKAP 79の相互作用を阻止した。 これらのペプチドがPKC活性のモジュレーションを行う能力について評価する ために、AKAP 79ペプチド断片の存在下及び非存在下で、以下のアッセイを実施 した。PKC[50 mM トリス-HCl(pH 7.4)、5 mM MgCl2、1.2 mM CaCl2、1 mM DT T、1 mM EGTA及び100μg/ml PS中の、50 nM溶液]を、30℃にて5分間、EGF受容 体ペプチド基質(5μM)とインキュベートした。リン酸化反応は、100μMの32P -ATP(500 cpm/pmol)の添加によって開始し、30℃にて10分間、反応を進行させ た。反応混液のアリコートを取り出し、P81フィルターペーパーにスポットして 、過剰 量の75 mMリン酸を用いてフィルターペーパーを洗浄(3分間づつ、3回洗浄) することによって、反応を停止した。エタノール中での最終洗浄の後、p81フィ ルターを乾燥し、液体シンチレーション計数により放射活性を測定した。 AKAP 79の最初の75アミノ酸に対する組換え断片のみならず、第31〜52位の残 基を含むペプチドも、PKC活性の強力な阻害剤であり、それぞれ、IC50は、2μ M(31〜52位の残基を含むペプチド)及び25nM(AKAP 79の最初の75アミノ酸)で あった。さらに詳細な動力学的分析によって、AKAP 79の第31〜52位のペプチド が、PKCの混合阻害を呈することが示され、上皮増殖因子(EGF)受容体ペプチド を基質として用いた場合のKiは、1.411± 0.28μMであった。加えて、この領域 は、CaM結合ドメインにも類似しており、組換えの第1〜75位の断片または第31〜 52位のペプチドをCaM(15μM)とインキュベートすると、過剰のCa2+存在下で のPKCの阻害が妨げられた。AKAP 79はCaM結合タンパク質であるので、これらの 結果から Ca2+/CaMが、アンカー形成タンパク質へのPKCの結合を調節してい るのかもしれないことが示唆される。 まとめると、これらの結果より、PKCはAKAP 79にin vitroで会合し、PKC結合 部位はAKAP 79の最初の75残基の中に含まれており、第31〜52位の残基にわたる ペプチドが、PKC活性を阻害することが示唆される。さらに、上記結果から、過 剰のCa2+/CaMを用いたインキュベーションによって、その第31〜52位のペプチ ドによるPKC活性の阻害が妨げられるので、PKC/AKAP 79の相互作用がCaMによっ て調節されているのかもしれないことも示唆される(図3)。AKAP 79/PKC相互 作用の特性をさらに充分に理解すべく、1)AKAP 79へのPKC結合に重要な残基を 同定する、2)PKC/AKAP 79複合体を細胞から単離する、及び3)CaMが PKC/AKAP 79相互作用を調節するかを実証するために実験をデザインした。 様々なPKC結合タンパク質の配列分析によって、PKCとの会合のためには、高度 に陽性に帯電した、表面電荷が必要かもしれないことが示唆されている。この仮 説は、塩基性及び疎水性残基のクラスターにわたる、AKAP 79の第31〜52位アミ ノ酸のペプチド断片がPKC活性を阻害(Kiは、1.4 ± 0.28μM)し、そしてこの 領域に対する組換え断片が、キナーゼのさらに強力な阻害剤である(IC50=25 ± 5 nM)という、以前の実験結果に符合するものである。PKC阻害に対する決 定子としての、AKAP 79の第31〜52位の残基の間に位置する塩基性側鎖の役割を 評価するために、第1〜75位のアミノ酸を含む組換えAKAP 79ポリペプチドにおけ るAKAP 79変異体のファミリーをつくり、各変異体のPKC結合特性を、オーバーレ イ法によってアッセイし、また、PKC βIへの阻害力における変化について調べ る。 塩基性残基のクラスターをアラニンに置換して、5つのAKAP 79変異体を構築 する。陽性電荷が高密度であれば、PKC結合親和性の有意な変化が記録される前 に、いくつかの塩基性側鎖を同時に置換することが必要となりそうである。従っ て、複数の塩基性残基が置換される。AKAP 79配列における点変異は、Hauskenら 、[J.Biol.Chem.、269巻、24245〜24251頁(1994)]に記載される方法を用いて 、アラニンスキャニング突然変異によってつくる。各AKAP 79タンパク質は、His -tag融合タンパク質として発現し、ニッケルアフィニティークロマトグラフィー によって均質にまで精製する。アラニン変異体のペプチドを以下に示す。配列番 号:37は、天然のAKAP 79配列である。 PKC βIタンパク質は、バキュロウイルスにおいて発現し、そして以下の方法に 従ってPCKα及びβイソフォームを検出すべく、モノクローナル抗体M4及びM 7を用いる。 加えて、前記の方法によって、PKCを阻害する能力につき、各変異AKAP 79断片 変異体をアッセイする。 予備的なデータでは、PKCとAKAP 79とがin vitroで会合することが示唆されて いるので、in vivoで同じかまたは類似の結合が起こっていれば、細胞からAKAP 79/PKC複合体を単離することが可能なはずである。PKC/AKAP 79の2成分複合体 、またはPCK/AKAP 79/CaNの3成分複合体を、ウシ脳から単離する試みのために 、以前、in vivoのAKAP 79/CaN複合体を単離するのに成功した、2つの別々の生 化学的な取り組みが採用される。 最初に行う研究には、AKAP 79に対してつくられたモノクローナル抗体MC1 6を用いた、ウシ脳からのAKAP 79相同体(AKAP 75)の免疫沈降が含まれる。免 疫沈降物中のPKCの共精製は、主要な脳PKCイソフォームの、α、βI、βIII及び γを認識するウサギポリクローナル抗血清を用いたウェスタンブロットによって 検出される。あるいは、脳PKCα及びβイソフォームを認識するモノクローナル 抗体M7を用いて、ウシ脳抽出物からPKCを免疫沈降させ、そしてRIIオーバー レイまたはウェスタンブロットによってAKAP 75の共精製を検出する。最後に、 抗PKC抗体で免疫沈降した同様の試料を、ウシCaN Aサブユニットを 認識するモノクローナル抗体C24をプローブとして用いて、CaNを探る。これ らの実験により、AKAP 79/PKC及びCaNの3成分複合体が形成されているかを実証 できる。 前記方法に代わって、ウシ脳から、RII、AKAP 79及びPKCの3成分複合体を単 離するために、アフィニティー精製が実施される。PKAのRサブユニットは、cAM P-アガロースでのアフィニティークロマトグラフィーによって精製され、その溶 出物は、PKC及びAKAPの存在について、それぞれM7及びMC16モノクローナ ル抗体を用いたウェスタンブロットによってスクリーニングされる。組換えAKAP 79及びPKCはcAMP-アガロースに結合しないので、cAMP溶出物におけるいずれか のタンパク質の検出によって、キナーゼとアンカー形成タンパク質との間の複合 体の形成が確認される。3成分複合体の確認は、過剰のアンカー形成阻害ペプチ ドを用いて、cAMP-アガロースからPKC及びAKAP 79を溶出させることによって成 し遂げられる。このペプチドは、これまでにcAMP-アガロースに固定化されたRI Iから、AKAP/CaNを追い出すことが示されている。 実施例12 AKAP 79がカルシニューリンに結合するということについて以前に行われた証 明は、カルシニューリンが、シクロスポリン及びFK506という2つの強力な且つ 臨床的に有用な免疫抑制剤の標的であるという事実に関連してなされたものであ り、これら薬剤の双方ともがカルシニューリン活性を阻害するものである。以下 に記載するように、シクロスポリン及びFK506は双方とも、様々な疾患の治療に おいて有用であるが、重大な、使用を限定する副作用を有する。おそらくは、ア ンカー形成タンパク質/カルシニューリン結合をモジュレートする因子は、究極 的には 、シクロスポリン及びFK506の活性と類似した経緯で、カルシニューリン活性を モジュレートするのかもしれない。かかるモジュレーターで、特に、他の免疫抑 制剤で観察されるものより副作用が少ないモジュレーターを同定すれば、おそら く、現在はシクロスポリンまたはFK506を用いて処置されている数多くの疾患治 療に、広範なる治療用途がもたらされよう。 シクロスポリン及びFK506の、数多くの臨床的適応指針が報告されている。例 えば、一般にFK506の方が強い免疫抑制剤であると考えられているのであるが、 シクロスポリンが、肝臓、肺、腸、及び膵臓移植を可能とする、移植後免疫抑制 として標準的に用いられるものと規定されている。シクロスポリンまたはFK506 のいずれにも耐性を有しない移植患者の場合、時として他の薬剤に変えて成功を 修めることがある。 他の例としては、炎症性腸疾患(IBD)は、異なる臨床的様相を有する2つの 疾患、すなわち、クローン病(限局性回腸炎)及び潰瘍性大腸炎(UC)に対して 用いられる一般用語である。クローン病を治療するために、シクロスポリンが用 いられて成功を修めており、疾患の活性の少なくとも1つの指標において、統計 学的に有意な治療結果が立証されている[Brynskov、Dan.Med.Bull.、41巻、332 〜344頁(1994)]。しかしながら、急性の増悪の消散に最も相関性を示す他の指 針では、有意な改善傾向が示されなかった。シクロスポリンは、重篤な急性ステ ロイド耐性UCにおいても、活性を示している(倫理上の理由により、試験は中止 されたので、データに有意性はない)。硬化性胆管炎及びUCに罹患した患者で、 別途試験を行うと、UCの経過の緩解に対し、有意性有無の境界線にあることが示 された。投与停止後の再発が一般に認められ、毒性への懸念により治療は限定を 受ける[Choi及びTargan、Dig.Dis.and Sci.、39巻、 1885〜1892頁(1994)]。加えて、メトトレキサート、アザチオプリン、及び6-MP などの他の免疫抑制剤が、IBDにおいて用いられて成功を修めている。 他の例として、シクロスポリンは、慢性関節炎リウマチの治療で(第二または 第三番目の系列の疾患の治療として用いられる場合、すなわち、他の確立された 療法に失敗して疾患が重篤な患者で種々行われた試験において)、有効であるこ とが立証されている。これらの試験では、シクロスポリンは一般に、金、抗マラ リア薬、アザチオプリン、D-ペニシラミン、及びメトトレキサートなどの、他の 第二系列の薬剤と同程度に有効且つ毒性を有することが見出された[Wells及びT ugwell、Br.J.Rheum.、32巻(追補1)、51〜56頁(1993);Forreら、Arth.Rheum.、 30巻、88〜92頁(1987)]。これらの試みでは、シクロスポリンの「潜在的に不可 逆的な毒性」のゆえに、「極めて重篤で、療治し難い活性RA」の治療が報告さ れているにすぎない[Dougados及びTorley、Br.J.Rheum.、32巻(追補1)、57〜5 9頁(1993)]。腎の毒性は、NSAID腎毒性を増悪化する腎臓の血管収縮を主に介す るものであると考えられ、腎疾患は、慢性関節炎リウマチに付随する[Leaker及 びCairns、Br.J.Hosp.Med.、52巻、520〜534頁(1993);Sturrockら、Nephrol.Di al.Transplant、9巻、1149〜1156頁(1994);Ludwin及びAlexopolulou、Br.Rheum .、32巻(追補1)、60〜64頁(1993)]。シクロスポリンを用いて治療したRA患 者からの腎生検の約10%がシクロスポリン毒性の形態学的特徴を示した [International Kidney Biopsy Registry of Cyclosporin in Autoimmune Dose ases、Br.J.Rheum.、32巻(追補1)、65〜71頁(1993)]。 さらなる別の例として、シクロスポリンはステロイド依存性 の喘息の治療に有効であることが報告されている。1つの試験で、少数の患者に 無作為にシクロスポリンまたは偽薬を与えると、シクロスポリン群では、気流及 びFVCの増大を呈するのみならず、プレドニゾロンでの救助を要する回数が少な かった。 他の例としては、シクロスポリンはステロイド依存性最小変化性疾患ネフロー ゼ症候群の治療において有効であることが示された。この試験における患者は、 低用量のシクロスポリンでステロイド要求性が低くなることが示されたが、シク ロスポリン投与を中断すると、すべて再発した。ネフローゼ症候群のステロイド 耐性型は、シクロスポリンに対してわずか20〜30%の応答率しか有しない[Meyr ier、Nephrol.Dial.Transplant、9巻、596〜598頁(1994);Hultonら、Pediatr.N ephrol.、8巻、401〜403頁(1994)]。 全身性狼瘡紅斑(SLE)の治療に関して、予期される、無作為化せず対照をと らない研究において、SLE活性指数の有意な低下が報告された研究がある[Tokud aら、Arthr.Rheumat.、37巻、551〜558頁(1994)]。しかしながら、他の研究で は、SLEにおける有効性は立証されていない。 他の例として、シクロスポリンは最初の発症の後迅速に開始した場合に、イン シュリン依存性の真性糖尿病の緩和を誘導することが示されている。緩和は平均 約1年認められたが、850日まで延びる者もみられた[Jennerら、Diabetalogia 、35巻、884〜888頁(1992);Bougneresら、Diabetes、39巻、1264〜1272頁(1990 )]。1つの研究でさらに長期間追跡調査されたが、シクロスポリンの効果がそ れ以上に持続することは認められなかった[Martinら、Diabetalogia、34巻、42 9〜434頁(1991)]。しかしながら、別の研究で、12〜18カ月間治療を続ける間に 腎機能が悪化し、偽薬でのレベルに完全には回復しなかった ので、何らかの慢性腎損傷が発生しているかもしれないことが示唆された[Feld t-Rasmussenら、Diabetes Medicine、7巻、429〜433頁(1990)]。インシュリン 依存性真性糖尿病の治療経過における免疫抑制剤療法の効果を増強するためには 、初期に介入することが必要とされよう。いくらかの研究者が、一親等でスクリ ーニングを行い、糖尿病指標を有するものの予防的治療に成功を修めている[El liot及びChase、Diabetologia、34巻、362〜365頁(1991)]。 さらに別の例として、シクロスポリンによって乾癬が有効に治療されている[ Cuellarら、Balliere's Clin.Rheum.、8巻、483〜498頁(1994);Ellisら、JAMA 、256巻、3110〜3116頁(1986)]。乾癬性関節炎(破壊性の関節炎の特に重篤な 型)の治療に対して、高投与量での療法は有効であり、療法を中断すると、その 後一般に皮膚及び関節の増悪を伴った。潜在的な副作用及び継続的な長期間の治 療の必要性に鑑みて、シクロスポリンは、他の手段によって適切に治療されない 、難治性の乾癬性関節炎の場合のみに投与の必要が示される。 加えて、シクロスポリンは、偽薬を対照とした2重盲検試験において、重篤な アトピー性皮膚炎の治療に有効であることが立証されている[Van Joostら、Br. J.Derm.、130巻、634〜640頁(1994);Cooper、J.Invest.Derm.、102巻、128〜13 7頁(1994)]。未処置の疾患患者より、薬物に起因する悪心、腹部不快、知覚異 常、胆汁うっ滞及び腎不全が患者に好発した。別の無作為化した2重盲検の、偽 薬を対照とした研究で、シクロスポリン処置によって重篤なアトピー性皮膚炎の 患者に対する生活の質が有意に高められることが見出された[Salekら、Br.J.De rm.、129巻、422〜430頁(1993)]。シクロスポリンを停止すると速やかに皮膚の 障害は再発したが、生活の質の向上は維持され た。 さらに別の例として、シクロスポリンは手の慢性皮膚炎の治療に用いられてい る。前記慢性皮膚炎は、報告されている罹患率が4〜22%であり、典型的には、 局所ステロイドをもって治療されるものの、この治療は多くの患者に非感応的で ある。公開研究において、低投与量のシクロスポリンにより7人中6人の患者が 有効治療されることが示されている[Reitamo及びGranlund、Br.J.Derm.、130巻 、75〜78頁(1994)]。シクロスポリンを中断すると、患者のおよそ半分で再発が 起こった。 さらに別の例として、シクロスポリンは、蕁麻疹(hive)及び皮下の腫脹とし て発症する突発性皮膚疾患である、蕁麻疹(urticaria)及び血管浮腫の治療に おいて利用されている。その病理学は肥満細胞に関わるものであり、治療が功を 奏しないことがある。ある試験では、難治性の蕁麻疹及び血液浮腫に罹患した3 名の患者にシクロスポリンを用いた治療を行い、すべての症候群が、1週間以内 に回復した[Fradinら、J.Am.Acad.Derm.、25巻、1065〜1067頁(1991)]。副作 用のためにすべての患者で治療停止の必要が生じ、この療法を中断した後には、 症候群が再発した。 他のリウマチ学的疾患に関して、ベーチェット病[Pacorら、Clin.Rheum.、13 巻、224〜227頁(1994)]、ベグネル肉芽腫症[Allenら、Cyclosporin A Therapy for Wegner's Granulomatosis、於 ANCA-Associated Vasculitides:Immunolog ical and Clinical Aspects、Gross編、Plenum Press(1993)]、及び免疫が媒介 する血小板減少症[Schultzら、Blood、85巻、1406〜1408頁(1995)]を包含する 、前記のものより希な、自己免疫疾患で、シクロスポリンにより有効に治療され たとの試験報告がなされている。 前記した多くの試験において、シクロスポリンまたはFK506の使用は、多くの 望ましくない副作用を伴っていた。一般的に、通常の免疫抑制は感染及び悪性化 の危険性の増加を伴い、そしてアンカー形成タンパク質が関わる免疫抑制が同様 の危険性を孕んでいないであろうとは考え難い。しかしながら、アンカー形成タ ンパク質の組織特異性によって、他の副作用は回避または低減されるかもしれな い。シクロスポリン及びFK506の双方による最も一般的で重大な副作用は腎毒性 であり、これは少なくともある程度までは投与量に関連し、そして、一般的に、 治療中に糸球体濾過速度が低下するという様式で、ほとんどの患者に発症するも のである。しかしながら、この副作用は、薬剤投与を中断すれば、少なくとも部 分的に回復する[Leaker及びCairns、前出]。典型的には、進行性の腎不全の罹 患は認めらないものの、確定的に評価を下すためには、さらなる継続管理が必要 である。低投与量(3〜4 mg/kg/日)のシクロスポリンを与えられている患者で 、慢性の傷害も観察されており、これら患者の生検の約40%で、間質性の繊維症 、細管萎縮、及び動脈疾患などの変化が示された[Svarstadら、Nephrol.Dial.T ransplant、9巻、1462〜1467頁(1994);Youngら、Kidney International、46巻 、1216〜1222頁(1994)]。組織学的切片で、内皮細胞における変化も明らかに認 められた[Kahan、N.Engl.J.Med.、321巻、1725〜1748頁(1989)]。細管細胞及 び血管間質細胞に対して、薬剤が直接的に毒性を呈する[Platzら、Transplanta tion、58巻、170〜178頁(1994)]ことも示されてはいるが、腎毒性は、動脈血管 収縮及び慢性で低い程度の虚血に、主に起因していると椎定された[Leaker及び Carins、前出]。腎毒性の発症率及び重篤さの度合いは、FK506を用いた場合の 方がわずかに高いかもしれないことを示唆する報告がある [Platzら、前出]。 シクロスポリン及びFK506の双方の重大な毒性で他に報告されているのは神経 毒性であり、臨床上明示されるものに、てんかん発作、錯乱、視覚消失、昏睡、 頭痛、運動失調、パーキンソン症候群、感覚異常、精神病、焦点欠失(focal de ficit)、無動無言症、振戦、ニューロパシー、及び睡眠障害が包含される[Shi mizuら、Pediatr.Nephrol.、8巻、483〜385頁(1994);Wilsonら、Muscle and Ne rve、17巻、528〜532頁(1994);Reeceら、Bone Marrow Transpl.、8巻、393〜40 1頁(1991);Eidelmanら、Transpl.Proc.、23巻、3175〜3178頁(1991);de Groen ら、N.Engl.J.Med.、317巻、861〜566頁(1987)]。肝移植の後、FK506で処置し た患者の10〜20%、及び、シクロスポリンで処置した患者の3〜12%に、中程度 から重篤なものまで、神経毒性が惹起こされろことが示されている。神経毒性は 、血清脂質異常及び肝不全とも関係がある。 シクロスポリン及び/またはK.K506の他の副作用には、肝毒性、グルコース不 耐症、高血圧、多毛症、胃腸管症候群、血管血栓症、膵臓炎、及び歯肉過形成が 包含される[Morris、J.Heart Lung Transplant、12巻、S275〜S286頁(1993);F ungら、Transpl.Proc.、23巻、3105〜3108頁(1991);Mason、Pharmacol.Rev.、4 2巻、423〜434頁(1989);Kahan、N.Engl.J.Med.、321巻、1725〜1738頁(1989); Thomasonら、Renal Failure、16巻、731〜745頁(1994)]。従って、広範なるシ クロスポリン及びFK506の利用、ならびにそれらの使用に付随する副作用に鑑み て、代替の免疫抑制剤の開発は、極めて有益なこととなりうるであろう。 例えば、T細胞アンカー形成タンパク質と推定されるものからカルシニューリ ンを脱局在化することで、T細胞活性化にお けるカルシニューリン活性が阻害されるかもしれず、それによって、シクロスポ リンまたはFK506の用途を有しながらも副作用は少ない、T細胞特異的な免疫抑 制剤を提供することが可能である。T細胞アンカー形成タンパク質からのPKAの 脱局在化によって、刺激された細胞におけるIL-2発現が増強されることがこれま でに観察されており、これは、アンカー形成タンパク質で局在化されたPKAが、 なんらかの経緯を経て、T細胞活性化に際してのIL-2発現における調節機構に寄 与していることを示唆するものであった。T細胞特異的なPKAの脱局在化は、従 って、in vivoにおけるIL-2分泌の増強のための手段を提供するかもしれず、そ れによって、組換えIL-2投与を模倣し且つ、おそらくは以下に記載する報告され ているIL-2処置による毒性を低減することができるかもしれない。 IL-2は、転位性の腎ガン腫の治療薬として認可されており、転位性腎細胞ガン 腫または悪性黒色腫の患者のおよそ15〜20%がIL-2療法に感応性である。かかる 感応のいくつかは持続性であり、66カ月以上の持続が認められる[Dillman、Can cer Biotherapy、9巻、183〜209頁(1994);Whittington及びFaulds 、Drugs、46 巻、446〜514頁(1993)]。投与量の高い丸剤による療法は、種々の重篤な副作用 を伴っており(以下に記載の通り)、低投与量の皮下または持続型注入療法では 毒性は減じられるものの、感応率はあまり優れない(12%)[Vogelzangら、J.C lin.Oncol.、11巻、1809〜1816頁(1993)]。 IL-2療法(インターフェロン-α及び他の薬剤を併用、または単独投与)は、 他の悪性疾患の治療において検証されてきた。例えば、腫瘍床に直接投与した後 神経膠腫を削取すると、臨床上の感応性が維持されるが、療治には至らない[Me rchantら、J.Neuro.、8巻、173〜188頁(1990)]。さらに別の試験では、リ ンパ腫[Dillman、前出]、結腸直腸ガン腫[Whittington及びFaulds、前出]、 限局性AML[Bruton及びKoeller、Pharmacotherapy、14巻、635〜656頁(1994)] 、卵巣ガン及び初期膀胱ガン[Whittington及びFaulds、前出]において、限定 的な効能が報告されている。しかしながら、これらの研究の各々における協力者 の数は非常に少ないので、有効性に関して有意な結論を導くことはできない。 IL-2は、採用されている免疫療法と組み合わせても用いられており、転位性腎 ガン腫の治療に有効であることが立証されている[Pierceら、Sem.Oncol.、22巻 、74〜80頁(1995);Belldegrunら、J.Urol.、150巻、1384〜1390頁(1993)]。加 うるに、IL-2は、皮内注射に伴って皮膚細菌量及び患者体内の抗原レベルを低下 させることにより、らい病患者において特定の感染症を治療する上でも有効であ るかもしれない[Kaplan、J.Infect.Djs.、167巻(追補1)、S18〜22頁(1993) ]。さらに、PPD陽性の健常対照者に比して、結核病の患者からのリンパ球はIL- 2産生量が低いことも観察されており[Sanchezら、Inf.Immun.、62巻、5673〜56 78頁(1994)]、結核菌感染の治療にIL-2療法が価値を有するかもしれないことを 示唆している。 IL-2の潜在的な治療上の価値に関わらず、サイトカインもまた、有意な毒性を 伴うものである[他に該当するものがなければ、情報源としては、Whittington 及びFaulds、DillmanならびにBrutonならびにKoeller、前出を参照されたい]。 治療を限定する主要な副作用は、毛細管漏出症候群である。IL-2の投与によって 、血管透過性が増大し、間質性浮腫及び肺浮腫が惹起こされ、昇圧を必要とする 実質的な数値を伴って低血圧を発症する患者が認められる。激しい体液の蘇生に よって、生命を脅かす肺浮腫が惹起こされうる。20%までの患者に、挿管及び機 械 的換気を施すことが必要となるかもしれない。高い投与量で丸剤を投与すると、 低投与量または徐々に持続的に注入するよりも、より重篤な漏出を惹起こし、組 織(regiment)によっては、患者の100%がIL-2治療に際してICUでのサポートを 要する場合がある。心筋炎、心筋症及び心不整脈もまた観察されている。急性の 腎不全も、毛細血管漏出症候群で誘導される低血圧の結果発症するのかもしれな い。 IL-2は、電解質の不均衡、胆汁うっ滞、甲状腺不全、及び急性膵臓炎を伴う、 重篤な下痢も惹起こす可能性がある。輸血を必要とする貧血が、処置患者の15〜 20%で発症している[MacFarlaneら、Cancer、75巻、1030〜1037頁(1995)]。出 血を伴う血小板減少症が発症する可能性もあり、血液凝固経路の欠陥が一般的で ある。70%を越える患者が、偏執病様妄想、幻覚、興味喪失、睡眠妨害、及び眠 気等を包含する、精神状態の変化を経験している。昏睡、視覚異常、一過性虚血 性発作及び知覚異常も報告されている。外来性のIL-2がもたらすこれらの欠点の ために、例えば、内在性IL-2産生をモジュレートし、かくして外来性IL-2治療に 対する要求を廃することができるような代替物が、潜在的治療薬として探査され るべきであることが示唆される。 アンカー形成タンパク質の同定によって、免疫抑制剤及びIL-2産生のモジュレ ーターを同定するための可能な手段を提供することに加えて、アンカー形成タン パク質が関与していることが示される多岐にわたる代謝経路に鑑みれば、他の細 胞活性の調節が可能ならしめられる。例えば、おそらくはPKA、PKC及びカルシニ ューリンの結合を介して、AKAP 79はニューロンのシナプス後膜肥厚における、 グルタミン酸受容体で調節されているイオンチャンネルの調節に重要な役割を果 たしている。PKAは、 AMPA受容体で調節されているチャンネルの活性を調節し、そして、PKAの脱局在 化または阻害によって、AMPAイオンチャンネル活性が減衰する。PKCは、NMDA受 容体で調節されているチャンネルの活性を調節し、そして、カルシニューリンが 刺激に対するNMDA受容体の脱感作を行うことが示されている。これらの観察で、 局在化したキナーゼ(PKA及びPKC)は、ニューロンにおいてグルタミン酸受容体 の活性を調節しているかもしれないことが示唆される。カルシニューリンによる 脱リン酸化は、NMDA受容体の対抗調節機構である。このモデルは、シクロスポリ ンまたはFK506によって誘導されるてんかん発作の徴候と、生理学的に符合する 。 加えて、グルタミン酸受容体は、多くの神経学的疾患に関わっている。グルタ ミン酸及び他の興奮性アミノ酸は、ニューロンに興奮性毒性を生じることができ 、そしてシナプス後のグルタミン酸受容体の過剰な刺激は、ニューロンに対して 毒性であって、急性のニューロン変性を惹起こすことが示されている。低酸素( 脈拍停止または心停止に続く低酸素など)及びCNS外傷は、細胞外空間へのグル タミン酸の顕著な流出を惹起こすことが示されており、次いで、このグルタミン 酸がグルタミン酸受容体と相互作用して、興奮性毒性のカスケードの引き金を引 く。抗興奮性試薬は、動物モデルにおける脳の損傷に対して保護をすることが示 されている[Olney、Neurobiology of Aging、15巻、259〜260頁(1994)]。興味 深いことに、NMDAアンタゴニストは、ある型のニューロンに対して毒性を有し、 それら細胞において、グルタミン酸が他の興奮性経路を阻害するかもしれないこ とが示唆されている。FK506などのマクロライド抗体もまた、培養されたニュー ロンにおけるNMDA興奮性毒性に対する保護能を示すが、カイナートではそのよう な作用は示さない [Manevら、Brain Res.、624巻、331〜335頁(1993)]。 グルタミン酸は、パーキンソン病にも関わっている。NMDAアンタゴニストは、 MPTP(ヒト及びその他の霊長類でパーキンソン症候群を誘導する化学薬品)に曝 されたサルの黒質におけるドーパミン作動性ニューロンを保護する。アマンチジ ン及びメマンチンは、NMDAアンタゴニストであり、パーキンソン病を治療するた めに欧州で使用されているが、いずれの薬剤とも、ある患者で精神病を惹起こす ことが示されている。また、グルタミン酸作動性ニューロンが、パーキンソン病 で活動亢進しているかもしれないことの、ある程度の証拠もあり、これを阻害す れば、パーキンソン病における運動性症候群を低減することができた[Lange及 びRiederer、Life Sciences、55巻、2067〜2075頁(1994)]。 グルタミン酸は、発作疾病においても役割を果たしており、発作活動の開始、 伝播、及び維持に関与している。NMDA及び非NMDAアンタゴニストは、強力な抗痙 攣剤である[Meldrum、Neurology、44巻(追補8)、S14〜S23頁(1994)]。AMPA 受容体もまた、ALSに関わっており、受容体アンタゴニストの試験が、現在進行 中である。49 これらの観察すべてに鑑みれば、数多くの他の免疫抑制剤が臨床試験中である ことは、驚くに足りない。このような試験に関する下記の情報は、Haydon及びHa ynes、Balliere's Clin.Gastroentero、8巻、455〜464頁(1994);Thomason及びS tarzi、Immunol.Rev.1993、71〜98頁(1993);ならびにMorris、J.Heart Lung T ransplant、12巻、S275〜S286頁(1993)より得たものである。例えば、アザスピ ラン(azaspirane)は、移植片細胞の浸潤及びIL-2Rの誘導を抑制するSKB社の化 合物であり、IL-2及びIFN-γの産生も廃除する。見かけ上、アザスピランは、 ある型のサプレッサー細胞を抑制し、シクロスポリンとの相乗効果の証拠が挙げ られている。 他の例として、ミコフェノラート(mycophenolate)は、Syntex社の化合物で あり、プリン合成を阻害して、T及びB細胞選択的な抗増殖効果を有する。これ は、抗体を枯渇させる。ミコフェノラート・モフェシャル(mofetial)は、細胞 表面から接着分子をも枯渇させる。この薬物は見かけ上低毒性であるが、白血球 減少症を発症させるかもしれず、また、20年間にわたって、乾癬を治療するため に用いられている。 他の例として、ミゾリビン(mizoribine)は、Sumitomo社の化合物であり、DN A合成を阻害する。作用の機構は、ミコフェノラートと同様である。 他の例として、ブレキナー(brequinar)は、DuPont-Merck社の化合物であり 、ジヒドロ葉酸デヒドロゲナーゼを阻止することによって、ピリミジン合成を阻 害する。臨床試験に関する完全な報告が待たれる。この薬剤は、シクロスポリン と相乗的に作用することが報告されているが、血小板減少症、皮膚炎及び粘膜炎 を発症しうる。 さらに別の例として、15-デオキシグペルギューリン(Deoxyspergualin)は、 Nippon-Kayaku社の化合物であり、酸化的代謝、リソソームの酵素合成、IL-1産 生及びMHCクラスII抗原の細胞表面での発現の阻害を包含する、単球/マクロフ ァージ機能に主に影響を及ぼす。この薬剤は、難治性の腎臓拒絶において70〜90 %有効であるが、高投与量では、骨髄毒性が発症するかもしれない。 他の例として、レフルノミド(leflunomide)は、Hoechst社の化合物であり、 サイトカイン作用を阻害し、T細胞活性化及び抗体合成を阻止する。この薬剤は 、腎臓または骨髄に対する 毒性は有しない。 別の例として、ラパマイシン(rapamycin)は、FK506に関連する、Wyeth-Ayer st社の化合物である。これは、活性となるためにイムノフィリンと結合しなけれ ばならないプロドラッグであり、カルシニューリンを阻害したり、T細胞のサイ トカイン産生を阻止するものではない。機構は解明されていないが、ラパマイシ ンはG1期からS期への移行を阻止する。 上述の例示的な実施例において示した本発明に、数多くの修正や変更をなすこ とが、当業者にあっては想起されると予測される。従って、添付の特許請求の範 囲によってのみ、本発明は限定されるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI C12N 9/12 9359−4B C12N 9/12 G01N 33/53 0276−2J G01N 33/53 D // C12Q 1/25 7823−4B C12Q 1/25 (31)優先権主張番号 08/503,226 (32)優先日 1995年7月17日 (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),AU,BR,CA,CN,C Z,FI,HU,JP,MX,NO,PL,RU,SK (72)発明者 コックラン, ヴィンセント, エム. アメリカ合衆国 97201 オレゴン ポー トランド エス.ダブリュ. ペリアンダ ー 2930 (72)発明者 ハワード, モニーク, エル. アメリカ合衆国 98118 ワシントン シ アトル エス.イー. 48ス アベニュー 4723 (72)発明者 ガラティン, ウィリアム, エム. アメリカ合衆国 98040 ワシントン マ ーサー アイランド エス.イー. サー ティサード プレイス 8412 (72)発明者 スコット, ジョン, ディー. アメリカ合衆国 97255 オレゴン ポー トランド エス.ダブリュ. ゲイブル パークウェイ 6630

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.配列番号:33で示される配列を有するpACT 59ポリペプチドをコードす る、精製され単離されたポリヌクレオチド。 2.請求の範囲第1項記載のポリヌクレオチドによりコードされる、pACT 59 ポリペプチド。 3.配列番号:34で示される配列を有するpACT 74ポリペプチドをコードす る、精製され単離されたポリヌクレオチド。 4.請求の範囲第3項記載のポリヌクレオチドによりコードされるpACT 74ポ リペプチド。 5.配列番号:35で示される配列を有するpACT 36ポリペプチドをコードす る、精製され単離されたポリヌクレオチド。 6.請求の範囲第5項記載のポリヌクレオチドによりコードされる、pACT 36 ポリペプチド。 7.配列番号:36で示される配列を有するpACT 60ポリペプチドをコードす る、精製され単離されたポリヌクレオチド。 8.請求の範囲第7項記載のポリヌクレオチドによりコードされる、pACT 36 ポリペプチド。 9.アンカー形成タンパク質と結合パートナーとの間の結合を阻害する、阻害 推定化合物を同定するための方法であって、 以下の工程、すなわち、 アンカー形成タンパク質と結合パートナーとが結合するのに好適な条件下で、 阻害推定化合物の存在下及び非存在下に、アンカー形成タンパク質及び標識した 結合パートナーをインキュベートし、ここでアンカー形成タンパク質は固体支持 体上に固定化されており、 固体支持体から、未結合の結合パートナーを洗浄し、 固定化したアンカー形成タンパク質に結合した結合パートナーの量を定量し、 化合物存在下にてアンカー形成タンパク質に結合する結合パートナーの量を、 化合物非存在下にてアンカー形成タンパク質に結合する結合パートナーの量と比 較し、ならびに その化合物が、アンカー形成タンパク質と結合パートナーとの結合を阻害する か否かを、比較結果から判定する工程を含む方法。 10.前記結合パートナーが、放射標識されている請求の範囲第9項記載の方法 。 11.前記結合パートナーが、フルオロフォアで標識されている請求の範囲第9 項記載の方法。 12.前記結合パートナーが、PKAのI型調節サブユニットである請求の範囲第 9項記載の方法。 13.前記結合パートナーが、PKAのII型調節サブユニットである請求の範囲第 9項記載の方法。 14.前記アンカー形成タンパク質が、AKAP 79である請求の範囲第9項記載の 方法。 15.前記結合パートナーが、カルシニューリンポリペプチドである請求の範囲 第9項記載の方法。 16.前記カルシニューリンポリペプチドが、配列番号:7の第1〜487、1〜400 、1〜312、1〜204、1〜104、332〜487、441〜487、332〜441、1〜375、1〜354、 30〜375、98〜375、1〜347、1〜340、1〜330、1〜320、1〜338、1〜336、1〜334 、1〜332、及び1〜335位のアミノ酸からなるカルシニューリンポリペプチドの群 より選択される欠失変異体である請求の範囲第15項記載の方法。 17.配列番号:7の第1〜487、1〜400、1〜312、1〜204、1〜104、332〜487、 441〜487、332〜441、1〜375、1〜354、30〜375、98〜375、1〜347、1〜340、1 〜330、1〜320、1〜338、1〜336、1〜334、1〜332、及び1〜335位のアミノ酸か らなるカルシニューリンポリペプチドの群より選択される、カルシニューリン欠 失変異体。 18.Tリンパ球によるインターロイキン2発現を増強するための方法であって 、Tリンパ球を以下のアミノ酸配列すなわち、 または のうちの1つと接触させる工程を含む方法。 19.前記アミノ酸配列が、 である請求の範囲第18項記載の方法。 20.前記アミノ酸配列が、ミリスチル化されている請求の範囲第19項記載の 方法。 21.前記アミノ酸配列が、 である請求の範囲第18項記載の方法。 22.前記アミノ酸配列が、ミリスチル化されている請求の範囲第21項記載の 方法。 23.ホルボール 12-ミリステート 13-アセテート及びイオノマイシンを用いて T細胞を活性化する工程をさらに含む、請求の範囲第18項記載の方法。 24.カルシニューリンを含む細胞画分から、カルシニューリンを単離するため の方法であって、 該細胞画分を、固体基質に固定化されたAKAP 79またはまたはそのカルシニュ ーリン結合断片と接触させ、及び そこからカルシニューリンを溶出する工程を含む方法。 25.細胞においてカルシニューリン活性を阻害するための方 法であって、該細胞を、以下のアミノ酸配列すなわち、 を含むカルシニューリン結合ペプチドと接触させる工程を含む方法。 26.前記ペプチドが、 である請求の範囲第25項記載の方法。 27.前記ペプチドが、 である請求の範囲第25項記載の方法。 28.前記ペプチドが、PKAに結合しない請求の範囲第25項記載の方法。 29.細胞が、カルシニューリン結合性及びPKA結合性のアンカー形成タンパク 質を含有するか否かを判定するための方法であって、以下の工程、すなわち、 溶解物を形成するために細胞を溶解し、 その溶解物を固体支持体と共にインキュベートし、その固体支持体はその上に 固定化されたカルシニューリン分子を有するものであり、 固体支持体から溶解物を洗浄し、 アンカー形成タンパク質に結合する、標識されたPKA調節サブユニットと、固 体支持体を接触させ、 固体支持体から調節サブユニットを洗浄し、 固体支持体上に残存する標識を検出し、 検出結果より、細胞におけるカルシニューリン結合性及びPKA結合性のアンカ ー形成タンパク質の存在を判定する工程を含む方法。
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