【発明の詳細な説明】エチレン重合体または共重合体とソルビトールまたはソルビトール誘導体とのブ レンドを含んで成る組成物
本発明は、エチレン重合体または共重合体とソルビトールまたはソルビトール
誘導体とのブレンドを含んで成る組成物に関する。本発明の組成物はフィルムま
たは押し出し品として特に有用である。
核剤を用いて、熱可塑性重合体の結晶構造を変更したり、結晶化温度を高めた
り、結晶化速度を速めることは公知である。重合体組成物は、熱可塑化状態にあ
る間、押し出しによって様々な物品、例えば繊維、フィラメント、フィルム、チ
ューブ等に加工したり、あるいは圧縮または射出等によって成形品に成形し、そ
の後、冷却してこれを硬化し、結晶化させることができる。結晶化温度を高める
ことによっておよび結晶化速度を速めることによって、サイクル時間を短縮し、
そして生産速度を速めることができる。
本発明は、
(i) 99.95〜98.5重量%のエチレン重合体またはエチレン共重
合体;および
(ii) 0.05〜1.5重量%のソルビトールまたはソルビトール誘導
体
のブレンドを含んで成る組成物であって、エチレン重合体または共重合体のMF
R(I21/I2)が15から30未満、Mw/Mnが2.5〜3.5、および曇り
度が7より大きい上記組成物を提供するものである。
有利なのは、ソルビトールまたはソルビトール誘導体が、ソルビトールのエー
テルまたはエステルであるソルビトール誘導体を含んでいるときである。
ソルビトールはH8(COH)6の実験式を有する。ソルビトール誘導体はモノ
−、ジ−、トリ−、テトラ−、ペンタ−またはヘキサ−置換誘導体でもよい。
また有利なのは、ソルビトール誘導体が実験式H8[(COH)n[(CO)2
X]m]を有し、式中、mが0、1、2または3、nが0〜6の範囲、2m+n
が6であり、そしてXが以下の(1)〜(3)の基:
(1) 炭素原子1〜8個のアルキルまたはアリール;
(2) Rが炭素原子1〜8個のアルキルまたはアリールである−C(O)
R;および
(3) (1)と(2)との混合物
よりなる群から選択されるときである。
好ましくはmは1〜3である。1つの態様において、mは2または3である。
1つの態様において、nは1〜6である。
最も好ましいソルビトール誘導体はビス(ジメチルベンジリデン)ソルビトー
ルまたはジメチル−ジベンジリデンソルビトールである。
用いうる他のソルビトール誘導体の例はソルビトールジベンジリデン、ソルビ
トールヘキサアセテート、ソルビトールヘキサニコチネート、ソルビトールモノ
ベンジリデン、ソルビトールペンタニトレート、ソルビトールトリカーボネート
、ソルビトールトリ(o−クロロベンジリデン)である。
ジベンジリデンソルビトール誘導体の製造については、US−A−40161
18およびUS−A−5135975に記載されている;これらによると、ジベ
ンジリデンソルビトールは1モルのソルビトールおよび2モルのベンズアルデヒ
ドを酸触媒の存在下、高温で反応させることによって製造される。
有利なのは、エチレン共重合体をブレンド中に用い、そしてそれがエチレンと
炭素原子3〜10個を含む少なくとも1種のアルファオレフィンとの共重合体で
ある線状低密度ポリエチレンよりなるときである。
好ましくは、アルファオレフィンは1−ヘキセンである。
1つの態様において、本発明の組成物は、ASTM D−1003で測定した
曇り度が7未満、好ましくは5未満のフィルムを構成する。
別の好ましい態様において、本発明の組成物は、ASTM D−1003で測
定した曇り度が7未満、好ましくは5未満の押し出し品を構成する。
本発明のフィルムまたは押し出し品は、従来のフィルムまたは押し出し品より
も改善された光学的性質を有する:例えば従来のLLDPEの曇り度は10を越
える。
本発明のフィルムおよび押し出し品は、ASTM D−1003で測定した曇
り度として判定される透明度のような改善された光学的性質を示す他に、速い結
晶化速度と高い結晶化温度を示す。
本発明の押し出し可能な組成物またはブレンドの製造は、不活性雰囲気下でブ
ラベンダーミキサーを用いることによるような一般的な方法による、溶融エチレ
ン重合体または共重合体の混合によって行うことができる。ソルビトール誘導体
は、得られるソルビトール誘導体とエチレン重合体または共重合体とのブレンド
の0.05〜1.5重量%の量で用いることができる。好ましくは、ソルビトー
ル誘導体は、得られるソルビトール誘導体とエチレン重合体または共重合体との
ブレンドの0.05〜0.5重量%の量で用いられる;最も好ましくは、得られ
るソルビトール誘導体とエチレン重合体または共重合体とのブレンドの0.1〜
0.25重量%の量で用いられる。
本発明のエチレン重合体または共重合体は、遷移金属のメタロセンを含む触媒
の存在下での触媒作用によって形成するのが好ましい。これらの触媒は高密度、
中密度および線状低密度ポリエチレン(LLDPE)を製造することができる;
線状低密度ポリエチレンはエチレンとアルファオレフィンとの共重合体よりなる
。
本発明の組成物は押し出しまたは射出成形して物品に、あるいは押し出しおよ
びブロー成形してフィルムにすることができる。フィルムは0.5〜5.0ミル
(13〜130ミクロン)、好ましくは0.5〜2.0ミル(13〜52ミクロ
ン)の厚さに製造することができる。
本発明の組成物の重合体成分について説明する。好ましい重合体成分にはWO
−9414855に記載の線状低密度生成物が含まれる。
線状低密度生成物は、エチレンおよび1種以上のC3〜C10アルファオレフィ
ンで製造される共重合体である。共重合体は少なくとも80重量%のエチレン単
位を含んでいるのが好ましい。本発明で用いるコモノマーは3〜8個の炭素原子
を含んでいるのが好ましい。適したアルファオレフィンにはプロピレン、1−ブ
テン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1、4−メチルペンテン、1−ヘプテンお
よび1−オクテンが含まれる。好ましいアルファオレフィンは1−ブテン、1−
ヘキセンおよび1−オクテンである。最も好ましいアルファオレフィンは1−ヘ
キセンである。
従って、2種の単量体単位を有する共重合体を、3種の単量体単位を有する三
元重合体と同様に挙げることができる。そのような重合体の特別の例はエチレン
/1−ブテン共重合体、エチレン/1−ヘキセン共重合体、エチレン/4−メチ
ル−1−ペンテン共重合体、エチレン/1−ブテン/1−ヘキセン三元重合体、
エチレン/プロピレン/1−ヘキセン三元重合体、およびエチレン/プロピレン
/1−プテン三元重合体である。
水素を本発明の重合反応における連鎖移動剤として用いうる。触媒および反応
体に不活性などのようなガスもガス流中に存在してよい。
これらの生成物は下記の触媒の存在下、好ましくは下記のスラリーまたは流動
床触媒重合条件下で製造することができる。
下記の触媒を用いると、共重合体生成物は0.1〜2ppmのZrを含有する
。生成物は粒状であり、平均粒子サイズは0.015〜0.035インチ(0.
38〜0.89mm)、沈降嵩密度は15〜36ポンド/フィート3(240〜
577kg/m3)である。粒子は球形になりうる。低密度生成物は0.902
g/cm3もの低い密度を特徴とする。ここで用いるためには、密度は一般に0
.900g/cm3より大きく、好ましくは0.910g/cm3より大きく、よ
り好ましくは0.911〜0.929g/cm3、最も好ましくは0.915〜
0.922g/cm3である。
重要なことに、MIが0.01〜1(0.01と1を含めて)の狭い分子量分
布の線状低密度共重合体が製造された。本発明の低密度生成物は、0.01〜5
、一般に0.1〜5、好ましくは0.5〜4、最も好ましくは0.8〜2.0の
MIを示す。吹き込みフィルムの場合、共重合体のMIは好ましくは0.5〜1
.5であり;キャストフィルムの場合、MIは好ましくは2〜4である。
本発明の低密度生成物のメルトフロー比(MFR)は15〜30、好ましくは
15〜22である。好ましい態様では、MFRは15〜18である。MFRは比
I21/I2[I21はASTM D−1238、条件Fに従って190℃で測定し
、I2はASTM D−1238、条件Eに従って190℃で測定する]である
。
共重合体生成物の融点は95〜130℃である。さらに、ヘキサン抽出性物含
有率は非常に低く、一般に0.3〜1.0重量%である。これらの生成物のMw
/Mnは2.5〜3.5である;Mwは重量平均分子量、Mnは数平均分子量であ
り、各々GPC(ゲル透過クロマトグラフィー)によって測定される分子量分布
から計算される。
本発明の組成物の重合体成分のASTM D1922によって測定される引き
裂き強度はバランスがとれており、縦方向は50〜600、好ましくは220〜
420横断方向は200〜700、好ましくは200〜600である。またこれ
らのASTM D882により測定されるモジュラスは高く、1.0×104〜
6.0×104psi(717KPa)、好ましくは1.8〜4.5×104p
si(717KPa)であり;ASTM D882により測定される引っ張り降
伏は高く、0.7〜3.0×103psi(710KPa)、好ましくは1.5
〜2.3×103psi(710KPa)である。
本発明の組成物の重合体成分でつくられるフィルムは、ASTM D−100
3により測定される曇り度を調べることにより判定されるすぐれた光学的特性、
すなわち、一般に7〜20の曇り度を示す。曇り度特性が劣ったフィルムは、曇
り度が10を越える。LLDPEの光学的性質の重要性は、LLDPE樹脂の目
的とする用途によって決まる。ノルマルLLDPEの光学的性質が不十分(曇り
度>10および光沢度<50)であると、フィルムの光学的性質が重要な用途に
おける使用は厳しく制限されることが一般に認められている。改善された光学的
性質(好ましくは、光沢度>70を含めた)を有する本発明のフィルムおよび押
し出し品の応用分野はかなり広い。
本発明の組成物の重合成分で作られるフィルムは、ASTM D−1709、
方法Aで測定されるような落槍衝撃強さを示す。例えば、そのようなフィルムは
従来公知の触媒で製造されるフィルムよりも、すぐれた落槍衝撃強さを示す。そ
のようなフィルムのASTM D−1709により測定される落槍衝撃強さの値
は100〜2000、好ましくは150〜1500である。最も好ましいそのよ
うなフィルムは0.911〜0.922g/cm3の密度、900より上、一般
には800〜1500の落槍衝撃強さ、および生成物が破損されないことを特徴
づける測定値までの、例えば2000の落槍衝撃強さを示す。
本発明の組成物の重合体成分の上記性質は、実施例に略記した標準加工条件下
、0.75″(19mm)ブラベンダー押し出し機、2.5″(64mm)ブラ
ンプトンフィルム押し出し機または3.5″(89mm)グロスターフィルム押
し出し機で製造した1ミル(25ミクロン)のフィルムに対するものである。加
工条件を最適なものにすることによって、あるいはLDPEもしくは核剤を加え
ることによって、フィルムの性質をさらに調整しうることは当業者にとって明ら
かなことである。
重合体成分の上記の性質は次の試験方法によって測定した:
密度 ASTM D−1505 − プラックを製造し、1時
間、100℃で状態調節して平衡結晶化度に近づける。
密度の測定は密度勾配カラム中で行い;g/cm3とし
て記録する。
メルトインデックス ASTM D−1238 − 条件E
(MI)、I2 190℃で測定 − 10分間当たりのグラムとして記
録する。
高荷重 ASTM D−1238 − 条件F
メルトインデックス 上記メルトインデックス試験で用いる重量の10.5倍
(HLMI)、I21 の重量で測定。
メルトフロー比 I21/I2
(MFR)12
本発明の樹脂およびフィルムの製造に用いる触媒組成物は、少なくとも約2,
000g重合体/g触媒または約1,000kg重合体/g遷移金属の活性を有
するメタロセンの形の1種の遷移金属を含みうる。
触媒は担体、アルミノキサンおよび少なくとも1種のメタロセンを含んでいる
のが好ましい。
担体材料は固体、粒状、多孔質、無機または有機の材料であるが、無機材料、
例えば珪素酸化物および/またはアルミニウム酸化物が好ましい。担体材料は、
平均粒子サイズが約1〜約250ミクロン、好ましくは約10〜約150ミクロ
ンの乾燥粉末の形で用いうる。必要ならば、処理担体材料をふるいにかけて、確
実に、粒子を好ましくは150ミクロン未満の平均粒子サイズのものにする。こ
れは、ゲルを減じるために狭い分子量のLLDPEを形成する際に非常に望まれ
ることである。担体の表面積は少なくとも約3m2/g、好ましくは少なくとも
約50m2/gそして約350m2/g以下である。担体がシリカであるとき、こ
れを好ましくは約100〜約850℃、最も好ましくは約250℃に加熱する。
本発明の触媒組成物を製造するには、担体材料は少なくともいくつかのヒドロキ
シル(OH)基を有しているのが好ましい。
最も好ましい態様では、担体は、第1触媒合成工程でこれを用いる前に、窒素
で流動化しそして約250℃で約4時間加熱することによって脱水して、表面ヒ
ドロキシル基濃度を約1.8モリモル/gにしたシリカである。最も好ましい態
様のシリカは表面積が広く、非晶質のシリカ(表面積=250〜350m2/g
;細孔容積1.65〜3.0cm3/g)であり、W.R.グレース アンド
カンパニーのデビソン化学部門からPQ 988、デビソン 952−1836
、デビソン952またはデビソン955の商品名で市販されている材料である。
シリカは、例えば噴霧乾燥法によって得られるような、球状粒子形である。
触媒を形成するために、全ての触媒先駆体成分をアルモキサンと共に溶解し、
そして担体と反応させる。担体材料はアルミノキサン溶液、好ましくはメチルア
ルモキサンと下記の方法で反応させうる。このクラスのアルモキサンは、線状お
よび/または環状アルキルアルモキサンオリゴマを含むものであって、線状アル
モキサンゴリゴマーの場合は式:R−(Al(R)−O)n−AlR2で;および
環状アルモキサンオリゴマーの場合は式:(−Al(R)−O−)mで表され、
上記式中、nは1〜40、好ましくは10〜20であり、mは3〜40、好まし
くは3〜20であり、RはC1〜C8アルキル基、好ましくはメチルである。メチ
ルアルモキサン(MAO)は、非常に広い分子量分布および通常は約1000の
平均分子量を有するオリゴマーの混合物である。MAOはトルエンの溶液中で一
般に保持される。
担体へのアルモキサンの混合の好ましい態様において、触媒合成の際のアルモ
キサンの担体材料への混合の制御要因の1つは、シリカの細孔容積である。この
好ましい態様において、担体材料の含浸方法は、シリカのような担体材料をアル
モキサン溶液中でスラリーにすることなく、アルモキサン溶液を注入することに
よるものである。アルモキサン溶液の体積は、スラリーを形成することなく担体
材料の細孔を満たすのに十分なものであり、シリカの細孔容積を越えない体積で
ある;従ってそして好ましくは、アルモキサン溶液の最高体積は、担体材料試料
の全体細孔容積であり、そしてこれを越えない容積である。アルモキサン溶液の
最高体積は、シリカのスラリーが確実に形成されないものである。従って、担体
材料の細孔容積が1.65cm3/gであると、アルモキサンの体積は1.65
cm3/g担体材料に等しいかまたはこれより小である。この条件の結果、担体
の細孔が内部の溶媒で満たされていても、含浸担体材料は含浸直後は乾燥して見
える。
溶媒は、加熱によりおよび/または窒素のような不活性ガスによる加圧下で、
担体材料のアルモキサン含浸細孔から除去しうる。用いるならば、この工程の条
件を調節して、含浸担体粒子の凝集および/またはアルミノキサンの架橋をなく
すか、またはなくせないならば減少させる。この工程で、溶媒を約40℃より上
、約50℃より下の比較的低い高温で蒸発させることによって除くことができる
。溶媒は約40℃より上、約50℃より下の限定された温度より比較的高い温度
で蒸発させることによって除くことができるが、非常に短い加熱時間スケジュー
ルを使用しなければならない。
好ましい態様では、担体と溶液を反応させる前に、メタロセンをアルミノキサ
ン溶液へ加える。また、メタロセンも含有するアルミノキサン溶液の最高体積は
、担体材料試料の全体細孔容積である。Alとして表されるアルミニウムを提供
するアルモキサンの、M(例えば、Zr)として表されるメタロセン金属に対す
るモル比は、50〜500、好ましくは75〜300、最も好ましくは100〜
200である。本発明の別の利点は、このAl:Zr比を直接調節することがで
きることである。好ましい態様では、アルモキサンおよびメタロセン化合物は、
担
体との反応の前に、約20〜80℃で0.1〜6.0時間共に混合する。メタロ
センおよびアルモキサン用の溶媒は芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、また
はハロゲン化芳香族炭化水素、好ましくはトルエンのような適当な溶媒である。
メタロセン化合物は式CpmMAnBpを有し、ここでCpは置換または非置換
シクロペンタジエニル基であり、Mはジルコニウムまたはハフニウムであり、A
およびBはハロゲン原子、水素またはアルキル基を含む群に属す。メタロセン化
合物の上記式において、好ましい遷移金属原子Mはジルコニウムである。メタロ
セン化合物の上記式において、Cp基は非置換、モノ−またはポリ置換シクロペ
ンタジエニル基である。シクロペンタジエニル基上の置換基は、好ましくは直鎖
または分枝C1〜C6アルキル基である。シクロペンタジエニル基はまた、インデ
ニル、テトラヒドロインデニル、フルオレニルまたは部分水素化フルオレニル基
のような二環式また三環式部分の一部、並びに置換二環式または三環式部分の一
部であってもよい。メタロセン化合物の上記式のmが2である場合、シクロペン
タジエニル基は、ポリメチレンまたはジアルキルシラン基、例えば−CH2−、
−CH2−CH2−、−CR′R″−および−CR′R″−CR′R″−(R′お
よびR″は短いアルキル基また水素である)、−Si(CH3)2−、−Si(C
H3)2−CH2−CH2−Si(CH3)2−および類似のブリッジ基によって橋が
かけられていてもよい。メタロセン化合物の上記式のAおよびB置換基がハロゲ
ン原子であるなら、これらは弗素、塩素、臭素またはヨウ素の群に属する。メタ
ロセン化合物の上記式の置換基AおよびBがアルキル基または芳香族基であるな
ら、これらは好ましくは直鎖または分枝C1〜C8アルキル基、例えばメチル、エ
チル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、n−ペンチル、
n−ヘキシルまたはn−オクチルである。
適したメタロセン化合物にはビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)金属ジ
ハライド、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)金属ヒドリドハライド、ビ
ス(n−ブチルシクロペンタジエニル)金属モノアルキルモノハライド、ビス(
n−ブチルシクロペンタジエニル)金属ジアルキルおよびビス(インデニル)金
属ジハライドが含まれ、上記金属はチタン、ジルコニウムまたはハフニウムであ
り、ハライド基は好ましくは塩素であり、アルキル基はC1−C6アルキル基で
ある。メタロセンの例はビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム
ジクロリド、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、
ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(n−ブ
チルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、ビス(n−ブチルシクロペン
タジエニル)ジルコニウムヒドリドクロリド、ビス(n−ブチルシクロペンタジ
エニル)ハフニウムヒドリドクロリド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニ
ル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフ
ニウムジクロリド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリ
ド、ビス(イソブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(
インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(4,5,6,7−テトラヒドロ−
1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、およびエチレン[ビス(4,5,6
,7−テトラヒドロ−1−インデニル)]ジルコニウムジクロリドであるが、こ
れらに限定されない。この技術の態様で用いられるメタロセン化合物は、結晶質
固体として、芳香族炭化水素溶液として、または担持された形で用いることがで
きる。メタロセン化合物およびアルミノキサンを粒状物質の形で含む触媒は、気
相重合およびエチレンおよびより高級なアルファオレフィンの共重合のための流
動床反応器またはスラリー反応器へ供給することができる。
確実に焼結が生じないようにするために、焼結温度より下の温度で操作するの
が望ましい。本発明の方法のエチレン共重合体の製造では、操作温度は約60〜
110℃が好ましく、約70〜90℃が最も好ましい。
流動床反応器は約150〜350psi(1〜2.4MPa)の圧力で操作す
る。圧力が高くなるとガスの単位体積熱容量が高くなるので、そのような範囲内
のより高い圧力で操作すると熱伝達に好都合である。
フィルム製造の場合、生成物は、重合体組成物に一般に加えられる各種添加剤
、例えば潤滑剤、ミクロタルク、安定剤、酸化防止剤、相溶化剤、顔料等を含有
していてもよい。これらの試薬を用いると、生成物を酸化に対して安定化させる
ことができる。例えば、樹脂粉末に添加するための、400〜1200ppmの
ヒンダードフェノール;700〜2000ppmの亜燐酸塩;250〜1000
ppmの帯電防止剤および250〜1000ppmのステアリン酸塩を含む添加
剤
パッケージは、ペレット化の間に用いることができる。ペレット化重合体を、ス
ターリング押し出し機のような一般的なLLDPE吹き込みフィルム押し出し機
へ直接加えると、例えば厚さが約0.5〜5ミル(13〜130ミクロン)のフ
ィルムを製造することができる。
次の実施例は、本発明をさらに説明するものである。実施例
試験に用いる試料を製造するために、下記のメタロセン触媒を、床容量が4.
0フィート3(0.11m3)のパイロットプラント流動床13インチ(0.33
m)ID反応器で用いた。重合は一般に77.5℃およびエチレンの170〜2
00psi(1.2〜1.4MPa)で行った。ヘキセン対エチレンガス比は0
.009〜0.025で変えて、密度を調整した。所望のメルトインデックスを
得るために、イソペンタン分圧0〜50psi(0〜344KPa)および酸素
アドバック(addback)レベル0.0〜0.2ppmまたは二酸化炭素ア
ドバック0〜10ppmを用いた。流動ガス速度は1〜2フィート/秒(0.3
〜0.6m/秒)であった。
反応器の操作性は良好であった。樹脂沈降嵩密度はいずれも31〜34ポンド
/フィート3(497〜545kg/m3)であり、微粒子(120メッシュ未満
の粒子として限定した)は3%未満であった。
これらの実施例で使用される樹脂を表Iに示した。1000ppmのイルガノ
ックス1076、2000ppmのイルガフォス168、5000ppmのAS
990、500ppmのZnStおよび0.2%ミラッド3940を含めた添加
剤を、ブラベンダー押し出し機を使用して205℃で溶融配合することによって
、樹脂へ混合した。ミラッド3940はビス(ジメチルベンジリデン)ソルビト
ールである。結晶化特性は示差走査熱量計(パーキン−エルマー社のDSC−2
)を使用して測定した。ソルビトール誘導体の樹脂結晶化特性への影響を表IIに
示す。ソルビトール誘導体(ミリケン社のミラッド3940)を核剤として作用
させると、著しくPE樹脂の結晶化温度(Tc)を上げかつ結晶化のハーフタイ
ム(t1/2)を減じることができることを立証した。吹き込み成形フィルムの結果
フィルムは、1″(25mm)環状ダイを備えた3/4″(19mm)ブラベ
ンダー押し出し機により、溶融温度210℃で吹き込み成形した。この方法で製
造した1.5ミル(38ミクロン)のフィルムの光学的性質を、ミラッド394
0を含有しない対照PEフィルムのデータと共に、表Iに示す。データから、少
量のミラッド3940をPEフィルムに混合することによって、透明性が著しく
向上したことが分かる。
次の実施例は、分子量分布が狭い重合体および共重合体を含む、本発明の組成
物の重合体成分の製造に関するものである。実施例1
[WO−9414855のもの]
触媒の製造に用いられた原料には、デビソン952−1836シリカ 505
g、トルエン溶液中のメチルアルミノキサン 698g(30重量%MAO)、
ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド 7.148
gが含まれていた。
触媒製造工程を次に示す:
1. パージのための空気を用いて、955シリカを250℃で4時間脱水する
。次に、冷却時に窒素でパージする。
2. シリカを混合容器へ移す。
3. 7.148gのビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジ
クロリドおよび698gのメチルアルモキサンをビンに加える。
4. メタロセンがMAO溶液に溶解するまで、ビンの中の触媒溶液を撹拌する
。
5. MAOおよびメタロセン溶液を、脱水955シリカを含有する混合容器へ
ゆっくり移し、同時に、シリカ床を激しく撹拌して、確実に、触媒溶液をシリカ
床に十分に分散させる。
6. 添加後、触媒の撹拌を0.5時間続ける。
7. 5時間、45℃にて、窒素でパージすることによって触媒の乾燥を開始す
る。
8. 触媒をふるい分けて、150ミクロンより大きな粒子を除去する。
9. 触媒の分析値を次に示す:
Al=10重量%
Zr=0.2重量%実施例2
[WO−9414855のもの]
密度が0.918g/cm3、MIが1、MFRが17の低密度フィルム用
重合体を流動床気相反応器中で生成するために、次の操作条件を用いた:
流動化速度 1.7フィート/秒(0.43m/秒)
滞留時間 2.5時間
温度 77.5℃
エチレン 180psi(1.2MPa)
ヘキセン 3.6psi(25KPa)
イソペンタン 50psi(345KPa)
二酸化炭素 1.1ppm
灰分 200〜300ppm
触媒は実施例1の触媒であった。実施例3
[WO−9414855のもの]
密度が0.918g/cm3、MIが2.5、MFRが16の注型フィルム用
重合体を生成するために、次の操作条件を用いた:
流動化速度 1.7フィート/秒(0.43m/秒)
滞留時間 2.5時間
温度 77.5℃
エチレン 180psi(1.2MPa)
ヘキセン 3.6psi(25KPa)
イソペンタン 38psi(262KPa)
灰分 100ppm
触媒は実施例1の触媒であった。
1. 樹脂特性
市販のチーグラー触媒で製造された標準エチレン−ヘキセン共重合体と比較す
ると、気相法により実施例1のメタロセンを用いて生成された樹脂は次の特性を
示す:(1)より狭い分子量分布、(2)より均一な短鎖枝別れ分布、(3)よ
り低い融点、(4)より低い抽出性物含有量、および(5)より低い曇り度。
I2が1.0、密度が0.918g/cm3の樹脂の重要な樹脂特性の例を表II
Iに示す:
2. 最終用途の性質
これらのメタロセンLLDPE樹脂は、調整することなく、市販の装置で容易
に加工することができる。それらはまた、市販のチーグラー/ナッタ触媒を用い
て製造されるこれらの樹脂と比較して、優れた性質をもたらす。例を表IVに示す
:
【手続補正書】特許法第184条の8
【提出日】1995年6月15日
【補正内容】差し替え用紙第1頁の翻訳文:原翻訳文第1頁1行〜第2頁1行と差し替える。
明細書エチレン重合体または共重合体とソルビトール誘導体とのブレンドを含んで成る 組成物
本発明は、エチレン重合体または共重合体とソルビトールまたはソルビトール
誘導体とのブレンドを含んで成る組成物に関する。本発明の組成物はフィルムま
たは押し出し品として特に有用である。
核剤を用いて、熱可塑性重合体の結晶構造を変更したり、結晶化温度を高めた
り、結晶化速度を速めることは公知である。重合体組成物は、熱可塑化状態にあ
る間、押し出しによって様々な物品、例えば繊維、フィラメント、フィルム、チ
ューブ等に加工したり、あるいは圧縮または射出等によって成形品に成形し、そ
の後、冷却してこれを硬化し、結晶化させることができる。結晶化温度を高める
ことによっておよび結晶化速度を速めることによって、サイクル時間を短縮し、
そして生産速度を速めることができる。
本発明は、
(i) 99.95〜98.5重量%のエチレン重合体またはエチレン共重
合体;および
(ii) 0.05〜1.5重量%のソルビトールまたはソルビトール誘導
体
のブレンドを含んで成る組成物であって、エチレン重合体または共重合体のMF
R(I21/I2)が15から30未満、Mw/Mnが2.5〜3.5、および曇り
度が7より大きい上記組成物を提供するものである。
有利なのは、ソルビトールまたはソルビトール誘導体が、ソルビトールのエー
テルまたはエステルであるソルビトール誘導体を含んでいるときである。
ソルビトールはH8(COH)6の実験式を有する。ソルビトール誘導体はモノ
−、ジ−、トリ−、テトラ−、ペンタ−またはヘキサ−置換誘導体でもよい。
また有利なのは、ソルビトール誘導体が実験式H8[(COH)n[(CO)2
X]m]を有し、式中、mが0、1、2または3、nが0〜6の範囲、2m+n
が6であり、そしてxが以下の(1)〜(3)の基:
【手続補正書】特許法第184条の8
【提出日】1995年11月17日
【補正内容】差し替え用紙第16頁の翻訳文:原翻訳文の請求の範囲第1〜第9項と差し替え る。
請求の範囲
1. (i) 99.95〜98.5重量%のエチレン重合体またはエチレン共
重合体;および
(ii) 0.05〜1.5重量%のソルビトールまたはソルビトール誘
導体
のブレンドを含んで成る組成物であって、エチレン重合体または共重合体のMF
R(I21/I2)が15〜30未満、Mw/Mnが2.5〜3.5、および曇り度
が7より大きい上記の組成物。
2. ソルビトール誘導体がソルビトールのエーテルまたはエステルである、請
求項1に記載の組成物。
3. ソルビトール誘導体が実験式H8[(COH)n[(CO)2X]m]を有し
、式中、mが0、1、2または3、nが0〜6の範囲、2m+nが6に等しく、
そしてXが以下の(1)〜(3):
(1) アルキルまたはアリールである炭素原子1〜8個の炭化水素基;
(2) Rが1〜8個の炭素原子を含有し、かつアルキルまたはアリールで
ある、−C(O)R;および
(3) (1)と(2)との混合物
よりなる群から選択される、請求項2に記載の組成物。
4. mが1〜3である、請求項3に記載の組成物。
5. mが2または3である、請求項3に記載の組成物。
6. nが1〜6である、請求項3に記載の組成物。
7. ソルビトール誘導体がビス(ジメチルベンジリデン)ソルビトールである
、請求項3に記載の組成物。
8. ソルビトール誘導体がジメチル−ジベンジリデンソルビトールである、請
求項3に記載の組成物。
9. エチレン共重合体が、エチレンと少なくとも1種の炭素原子3〜10個を
含むアルファオレフィンとの共重合体である線状低密度ポリエチレンを含んで成
る、請求項1、2または3に記載の組成物。
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(72)発明者 オン,シメイ・クリスティーン
アメリカ合衆国ニュージャージー州07059,
ウォーレン,グレンビュー・アベニュー
26
(72)発明者 スー,ティエン−キューイ
アメリカ合衆国ニュージャージー州08502,
ベル・ミード,アダムス・ドライブ 7