【発明の詳細な説明】
汚染土浄化装置及び方法
本発明は、主として、揮発性の汚染物を汚染された土から取り除く汚染土浄化
装置及び方法に関する。
揮発性の汚染物としては、200℃を越える沸点を有する汚染物、例えば、高
分子炭化水素化合物や他の有機化合物もそれに含まれる。種々の金属や金属化合
物、及び他の有機物質も、しばしば酷く有害な揮発性の物質の中に含まれ、それ
らは、一般に地下水の環境に悪影響を及ぼす。そのような汚染された土壌は、産
業廃棄場に頻繁に見受けられる。広く用いられている種々の溶剤やオイル、上述
した汚染物は、過去に、余り注意を払われずに処理されていた。以前に使用され
た廃棄場や今も使われている廃棄場、それらが合法的なものであっても、非合法
的なものであっても、その地域における土壌は、揮発性物質を有する種々の汚染
物質により広く汚染されている。こられの地域を浄化するためには、汚染物質が
浸透した深さにも依るが、土壌の表面や土壌の表面から数メートルの深さまでの
土を除去し、何処かに捨てなければならない。多量の土を扱う場合には、それを
浄化するようにしている。
汚染された土を浄化する装置としては、一般に、前
もって分割する装置と熱処理部とを具備している。また、汚染された土を浄化す
る装置と方法として、熱処理をせずに行う、或いは、著しい熱を加えることなく
処理し、例えば、バクテリア等の微生物を加えて処理することが知られている。
このように微生物を用いた場合、汚染物質を浄化するにも限られた範囲しかでき
ない。しかも、長期間かかる。
また、上記のような装置を用いて行うプロセスとしては、第1工程で、汚染さ
れた土を分割し、続いて、熱処理の工程がある。粗く分割されたものが所謂熱分
解に付され、言い換えれば、熱処理により空気が除去される。そこにおける熱効
果により、土に含まれる汚染物は、部分的に破壊され、排出ガスとして取り除か
れる。その排出ガスは、それから、更なる処理がなされる。また、燃焼効果によ
る熱処理としては、バーナーの炎に汚染された土を晒して行う方法がある。
しかし、両プロセスは、500℃以上のかなり高い温度で行うため、化学変化
を起こし、更に、例えばダイオキシンのような新たに危険な汚染物質が生成され
る。1000℃以上の温度でダイオキシンを破壊することができるが、そのよう
なプロセスは、比較的高価となり、工程操作も複雑である。何故なら、ダイオキ
シンや他の危険な化合物を新たに生成しないためには、加熱燃焼工程の後に続く
冷却操作を、コントロール
された条件下で迅速に行わなければならない。更に、これら公知の装置と方法は
、比較的エネルギーの消費が高く、そのため汚染された土を浄化するのにコスト
高となる。
本発明の目的は、エネルギーの消費を低くしてコストを抑えながら汚染土から
揮発性物質を極めて効果的に除去することができる汚染土浄化装置及び方法を提
供することにある。
上記目的を達成する本発明の装置は、熱処理部が蒸発器から構成され、この蒸
発器には、複数の加熱装置と循環搬送装置、及び汚染土の取入口から所定の間隔
を置いて、水の凝縮温度以上の領域で加熱される汚染土にその凝縮温度以上に加
熱された蒸気を供給する1台の蒸気供給装置が設けられている。なお、ここでは
、蒸発器とは、本質的に、加熱により汚染土から水分を除去する容器、即ち、1
00℃を越えて、例えば、300℃までの間で汚染土を加熱する装置のひとつで
ある。
上記目的を達成する汚染土浄化方法は、汚染土が直接炎に接触することなく、
動く熱交換体により、水の沸騰温度以上で、かつ500℃以下の温度で加熱され
、次いで、加熱された微細な粒子状の汚染土は高温の蒸気に晒され、その汚染土
から蒸気圧と蒸気揮発によって、揮発性物質を除去し、或いは、それらを単分子
や多分子の層に置換する。
このように加熱操作により、汚染土の塊が消失し、所謂個々の汚染土の粒子が
直接晒された状態となる。
前処理装置では、汚染土がサイズが小さくなるように分割され、代表的なもの
は直径が10mm未満の比較的小さな塊となり、それより大きな石や岩はえり分け
られる。これら汚染土の小さな塊は外部から炎により加熱されることなく、加熱
装置及び/ または循環と熱伝導による接触だけで加熱させ、比較的小さな粒子か
らなる汚染土の塊のための接着剤でもある、塊内に存在する水分が除去される。
その結果として、また搬送及び循環運動のため、既に前もって分割された汚染土
の塊は、更に、加熱装置により特定の温度範囲内における所定の温度に加熱され
た蒸発器内で、極めて小さな微粒子状に分解される。好ましい温度としては、1
10〜350℃である。続いて、加熱或いは超加熱された蒸気がその汚染土の微
粒子に供給される。その粒子の特質のため、該粒子は非常に広い表面域をもつよ
うになり、蒸気がそれを冒し、いかなる揮発性物質もその蒸気に晒された汚染土
粒から除去される。揮発性物質の蒸発温度が、その処理温度以下の場合には、と
りわけそうである。高分子炭化水素化合物も350℃までの温度で汚染土から取
り除かれる。それらは、蒸気に溶解し、該蒸気により運ばれる。これは、金属、
特に水銀や例えばカドミウムのような低融点の金属、或いはある種の合金の場合
も同様である。従って、汚染土は、その内に含有する有害な物質が実質的に遊離
され、蒸発器から排出される。そして、冷却され水分の添加により、通常の土の
堅さに再び戻される。
特定の目的使用のため、汚染土を浄化する装置と方法の特定の構成及び特に好
ましい実施形態は、これから簡単に記述される従属クレームにおける特徴により
述べられている。この点において、ある諸特徴は、互いにグループ仕様で一体的
に設けられているが、それらの周辺状況から明らかでない限りは、従属クレーム
における特徴は個々に及び主クレームの特徴と合体することができることを強く
主張しておく。
従って、例えば、本発明の装置における加熱装置は、その一部に熱媒体が流れ
る可動する中空状の構成要素を有することが望ましい。中空状の構成要素は熱媒
体から離れたその外表面が汚染土と接触する。それにより、流動可能な熱媒体は
、別の場所で加熱され、均一な温度にすることができる。そこで、加熱装置も所
望レベルの均一な温度を有する。熱媒体に蓄えられた熱は、熱交換の原理に基づ
いて、中空状の構成要素の壁を通して汚染土に伝達され、該汚染土は極めて均一
の状態で付与された温度レベルになる。
加熱装置は、特定用語で言えば、循環及び搬送する
ための複数のブレード或いは翼を備えた中空状の回転可能なシャフトを具備する
ことができる。この循環搬送ブレードを部分的に中空状に構成してもよく、その
中を熱媒体が流れることができる。特に循環搬送ブレードはU字状のループ部材
のようにすることができ、その中を熱媒体が予め決められた方向に流れることが
可能になる。
その点において、熱媒体は、回路内を案内され、蒸発器内で冷却された後、加
熱ボイラーに再び戻される。そして、再び所望の温度に加熱される。熱媒体とし
ては、オイルを好ましく用いることができる。極めて高い沸点を有する特別の合
成オイルが好ましく、それにより汚染土を高温まで好適に加熱することができる
。
オイルを加熱する加熱装置或いはボイラーに加えて、また、蒸発器の外部には
、汚染土内に或いはその内部を通過して吹き付けられる蒸気を発生する蒸気発生
器が設けられる。好ましくは、蒸発器内を移動する汚染土の下流領域で、その蒸
気を吹き付けるようにするのがよく、更に、可能であれば、下流領域の蒸発器に
下側から吹き付けるようにするのがよい。望ましくは、鉱物性含有物を除去する
装置を蒸気発生器用の供給水内に設けるのがよい。それにより、溶解物質や特に
石灰が蒸気発生器の内部や蒸気供給管内に流入するの
を防ぐことができる。蒸気供給装置は蒸発器の最後の1/3の部分に設けること
ができる。
少なくとも1本の排出ガス導管が、好ましくは、蒸発器の上端側に設けられる
。この導管は、汚染土を介して流れることにより生じる所謂帯状の蒸気を受入れ
るもので、汚染土粒から汚染物質を除去した蒸気が主として受入れられる。安全
である限りは、搬送用蒸気を更に付加的に蒸発器に送り込むこともできる。その
蒸気は汚染物質が溶解した帯状の蒸気をより効果的に運び、排出ガス導管を介し
て排出することができる。この付加される搬送用蒸気は、蒸発器の上部域で吹き
付けられる。汚染土を通過して流れる必要はない。蒸発器は、通常、それほど真
空の状態にはなっていない。本発明では、蒸発器が、大気圧よりも2〜50ミリ
バールの範囲で若干減圧した状態になっているが、そのため、特に取入及び排出
装置を介する漏れに起因した所謂漏れ空気の流れがあっても、その漏れ空気は排
出ガス導管を介して流れる蒸気と共に排出ガス浄化装置に向けて流出する。真空
操作のための蒸発器の構成は、容易に理解されよう。
蒸発器の取入口と排出口は、好ましくはロックタイプのもの、例えば、隔壁を
車輪式引き金でロックする(cll wheel lock)装置等がよく、漏れる割合を比較
的低いレベルに保つことができる。汚染土の出口、或
いは蒸発器から汚染土を排出する排出装置の下流には、冷却用スクリュー推進器
と乾燥用冷却器が設けられる。そこで、乾燥した汚染土は冷却され10〜15%
程度の水分を含有するように水で湿った状態にされる。その土は、乾燥用冷却器
から排出され、再利用することが可能になる。例えば、森林地域の土として用い
られる。乾燥用冷却器における水分の付加により、最終的に排出される土は、通
常の表面の土と同じ水分を有するようになる。ダストもなく、また、泥のような
流動性を有する堅さになることも特にない。
望ましくは、排出ガス処理の上流に、ダストフィルター或いはセパレータを接
続するのがよい。例えば、衝突式のセパレータや、サイクロン、或いは静電気式
フィルターがある。最もよい組み合わせは、衝突式セパレータと交流作動の静電
気式フィルターである。
排出ガス処理或いは排出ガス分離装置は、少なくとも1台の凝結器を具備して
いる。それは、好ましくは、水の露点以下の温度でコンデンス作用する。除去さ
れた、汚染土と同じ汚染物質を含む蒸発器からの蒸気は、ある程度まで凝結され
る。生成した凝結物及び蒸気に運ばれたダストは、重力により沈下するセパレー
タ内に回され、液体と固体に分離される。まだ凝結していない蒸気は、略40℃
という極めて低い温度でコンデンス作用を行う第2凝結器に進み、そしてその凝
結物もまた重力式のセパレータに供給される。そのセパレータでは有機的、水性
の、及び固体状の相がそれぞれ互いに分離され、排出される。有機相は処分され
るか、或いは再処理して再利用することができる。
第2凝結器後に残留するガス状の相は、選択して極めて低い温度(例えば、水
銀の融点以下)まで冷却され、最終的に外部に排出される漏れ空気が残るまで、
冷却器及び活性炭フィルターを通過する。活性炭フィルターは、時々再生する必
要があり、活性炭フィルター内に滞留する物質は順次処理されなければならない
ことが理解されよう。
本発明の方法では、炎と汚染土が直接接触することがなく、汚染土は熱媒体或
いは熱交換体により間接的に加熱される。そのため、汚染土が所謂帯状の蒸気に
晒される所で最終的に得る温度を極めて正確にコントロールすることができる。
加熱及び蒸発操作は、搬送循環装置により汚染土がゆっくりと同じ容器内でしか
し異なる箇所で行われる。先ず加熱され、次いで前述のように蒸気に晒される。
汚染土が熱作用そして同時に循環する作用により微粒子状に形成された後、蒸気
により汚染土の汚染物質が実質的に全て取り除かれる。例えば、溶剤の状態で存
在する通常の有機化合物、化学的な基礎物質、オイル、タール、ベンジン等があ
り、また、例えば、揮発し易い金属や金属合金のよう
な多くの無機物質がある。汚染土が蒸発器の出口に達すると、それは浄化される
。それからは、浄化さた土が冷却され、その土が通常有する水分となるようにす
る必要があるだけである。冷却及び加湿工程で生じた排出熱は、蒸発器から排出
される排出ガスの更なる処理に利用することができる。
特に好ましい方法の実施形態では、選択的に実施可能な超加熱操作工程が、ま
た上述したダストフィルターの下流で、かつ凝結器の上流側に設けられる。その
ようにして、必要であれば、凝結器或いは次の処理部で処理が困難な或いは有害
で堆積し易い組成物からなる種々の分離物や他の化合物を、550℃或いは60
0℃の温度領域まで超加熱した後に熱分解することができる。
通常の土に加えて、本発明のプロセスでは、極めて小さな微粒子や貧しい質の
土、及び粘土質のものからなる土を浄化することができる。更に、本発明の特筆
すべき利点は、蒸発器における処理温度を含有する特定の汚染物質に対応させる
ことができることである。従って、もし、例えば、本質的に汚染物質である低分
子炭化水素や他の溶剤を汚染土から除去することができるならば、処理温度を蒸
発器内でできるだけ最高温度以下にある程度保つことができる。それゆえ、その
方法と装置は、最適な方法で含有する実際の汚染物質
に採用することができる。そのため、エネルギー消費を最少限にしながら浄化す
るのに寄与する。
最初の蒸発器から排出される排出ガスに関しては、その処理は、第1スプレー
凝結器に導かれる。そこでは、水の露点以下の温度で、凝結処理が行われる。即
ち、90℃以上、好ましくは95℃と96℃の間の温度範囲で処理される。スプ
レー凝結器内における温度コントロールは、冷却器内で処理される電子制御され
た冷却水により、好ましく行うことができる。そのように高い温度でのスプレー
凝結器の操作は、生成された凝結物が高いレベルの凝縮した状態で、その温度レ
ベルでガス状ではない汚染物質を含有するのに寄与する。その温度では、蒸気の
状態にある排出ガスが、部分的にだけ凝結する。その一方で、特に揮発し易い物
質を顕著に含む排出ガスの一部は、60℃以下の低い凝結温度、好ましくは25
〜30℃の温度範囲で操作される第2凝結器に回される。
その後未だガス状の物質は、活性炭フィルターにより更に冷却及び濾過される
。凝結物は、重力式のセパレータに供給され、そこで固体相、有機体相、水分質
相に分離される。重力式セパレータからの軽い物質、例えば、液体状の炭化水素
化合物(ベンジン、オイル等)は、装置におけるエネルギー媒体して利用するこ
とができる。或いは更に分離精製することができる。
重力式のセパレータからの水分質相は、目の細かい微細なフィルター、エア操作
による回収塔、そして、最後の活性炭フィルターを続けて通過させた後、装置か
ら排出される。セパレータからの水の一部は回収装置の上流或いは下流の第1凝
縮器の冷却回路に回される。
望ましくは、装置全体をオンラインでコントロールするのがよい。即ち、装置
は、予め決められた或いは所定のプログラムのパラメータに基づいて、自動的に
コントロール及びモニターされる。そこでは、センサー、例えば、温度、圧力、
流量等の検出に適したセンサーが、適切な位置に設けられることが理解されよう
。予め設定された値から逸脱した際には、センサーの検出により、装置の動きを
パラメータのコントロールに適するようにするのである。
更なる利点、特徴及び可能な利用は、以下に説明する図に示された、本発明の
装置と方法の好ましい実施形態から明らかになるであろう。
汚染土浄化装置の中心部は、外郭線により図の左側部分に示され、一体に構成
された複数の循環/加熱装置11を備えた1台の蒸発器10である。
装置全体は、各構成要素が1〜7の番号で示されている準備部と、10〜26
の番号でしめされた蒸発器10とそれに関連した構成部分からなる土処理部、及
び図の右側半分からなる30以上の番号で示された構成部分を有する排出ガス処
理部とから構成されている。
汚染された土が、先ず、代表的な直径が粗い物、例えば、容器2に集められる
石や岩のような50mm以上の物を分離する分離装置に導入される。それら粗い石
や岩は、分離装置内で機械的に及び水洗により表面がクリーンにされる。そこで
は、クリーンにする排出物質は、再び、分離装置1または5の上流或いは下流で
汚染土に加えることができる。番号3は汚染土から磁気材料をえり分ける磁石を
示す。シュレッダーは番号4で示され、初期の未だ比較的粗い、汚染土を大抵含
有する塊を分割する。分割された土は、続いて、蒸発器10への取入装置13に
通じる通路或いは導管7を介して別の分離装置5を通過する。シュレッダー4で
小さくすることができず、粗過ぎるとして分離装置5でふるい分けられた土は、
硬い粗土を粉砕し、磁石3の上流でシュレッダー4への通路或いは導管へ再び排
出する粉砕機6に回される。
取入装置13は、例えば、隔壁を車輪式引き金でロックする装置を備えた供給
箱や供給庫にすることができる。
例えば、隔壁を車輪式引き金でロックする装置を介して装置13から蒸発機内
に入った汚染土は、循環装
置11により、一定の動きを伴って移動し、取入装置13から蒸発機の取出口に
なる隔壁を車輪式引き金でロックする装置16へ徐々に案内される。蒸発機10
は、所謂ブレード付き乾燥器のように構成されており、即ち、循環要素11は、
例えば、周縁の翼或いはブレードに沿って分配する回転可能なシャフト形状にな
っている。その翼或いはブレードは、外部に対して蒸発器を密閉にする容器内の
少なくとも主要部にわたって設けられ、内部の汚染土を連続してほぐし、その動
きを保ちながら、図の左から右へ徐々に移動させる。搬送のためのブレードは一
方向に向いて傾斜して配置されることが理解されよう。そのため、そのブレード
がシャフトの周りに回転すると、前方に押す力が、シャフト軸方向において、ブ
レードの前面に発生する。前方へ押す力は、しかしながら、取り扱われている汚
染土の落下或いは次第に下降することによっても既に生じている。汚染土の降下
は、図の左の蒸発器端で、汚染土を好ましくは連続して取入れ、右手端でその土
を排出することにより生じる。蒸発器を密閉にする容器としては、円筒形のドラ
ムを用いることができる。その長さは、好ましくはドラムの直径よりも明らかに
大きく、断面形状は楕円形、或いは2分割された円筒形部分から構成してもよい
。図示のように、蒸発器の容器には、長手方向に端から端まで延びるブレード要
素を備えた2本のシャフトが平行に設けられた構成になっている。
加熱装置21から左に延びる太い破線で示されるように、熱媒体、好ましくは
オイルが軸方向に循環要素11、或いは目的のためにその中空状に形成されたシ
ャフト内に導入される。そこでは、循環用のブレードも少なくとも部分的に中空
状に形成することができる。そのようにして熱エネルギーは、太い破線で示され
、加熱装置21と循環装置11とを通って流れるオイルの循環により、汚染土に
伝達される。循環ポンプ26が設けられ、このポンプによりシャフトの他端で冷
却されたオイルを加熱装置21に戻し、そこから加熱オイルを再び循環装置11
の中空状のシャフト内に一端から導き入れるようになっている。
蒸発器10内の汚染土が、その中に留まる時間は、供給及び排出量、循環要素
11の回転速度及びその特定構造(ブレードの傾斜状態や蒸発器(2〜3°)の
傾斜状態)により調整することができる。加熱装置21から送られるオイルの温
度とそこに留まる時間により、汚染土を所定の温度にすることができる。その汚
染土は、例えば、蒸発器内の半分の範囲を通過した後、所定の温度が得られる。
蒸発器の最後の1/3の部分にのみ、加熱蒸気導管12が開口している。より
明確には、蒸発器の低部或
いは底に導管12が開口している。従って、蒸気は底部を通過する必要がある。
循環している間に前もって循環加熱された汚染土は、その間に土に含有する水分
が蒸発し、通常、粉末状、少なくとも微粒子状となる。従って、導管12から放
出される所謂帯状の蒸気は、汚染土を冒す非常に広い表面領域をもつことになり
、汚染土の粒子から該粒子に付着し拡散する汚染物質をほとんど完全に除去する
ことができる。
加熱蒸気は、加熱装置21と同じボイラーにより運転される、或いは、加熱装
置21と蒸気発生器20とを結ぶ矢印で示されるように、加熱装置21からの排
出熱で運転される蒸気発生器20により発生する。通常は、超加熱蒸気が蒸気発
生器により分岐する蒸気導管14内に流れ込む。既に述べたように、蒸気の一部
は、蒸発器10内に接続部を介して流入する。その間に蒸気の別の一部が頂部側
から蒸発器内に導入される(細い破線に注目)。そこでは、蒸気が搬送用ガスと
して働き、そのガスは排出ガス導管15を介して、汚染土から取り除いた汚染物
質を帯状の蒸気に乗せて運びさる。
蒸気導管14は、更に分岐して排出ガス処理部にある複数の活性炭フィルター
47,50に接続され、それらの活性炭フィルターを時々再生するのに用いられ
る。
水が水導管25から鉱物性含有物を除去する装置19を介して蒸気発生器20
に供給される。この鉱物性含有物除去工程は、蒸気発生器20内で石灰等の沈澱
物が生成するのを防止するものである。
太線で示され、加熱装置21に導かれる導管24では、燃料用空気が運ばれ、
その一方で、適した燃料、例えば、ガスやオイルがライン23を通って加熱装置
21に供給される。浄化された土は、蒸発器10の末端から隔壁を車輪式引き金
でロックする装置を介して排出され、通路或いは導管17を介して乾燥用冷却器
18に供給される。乾燥用冷却器18は、浄化された土に最終的に水分を付与す
るための導管25または導管43から水の供給を受ける。それにより、浄化され
た土は8は、所望の堅さで最終的に排出され、再利用、及び中間貯蔵することが
できる。冷却器18における工程で排出される蒸気は、液化され、再び水として
導入される。フィルターからでる水は排出され、或いは蒸気発生器用の供給水(
設置された配置による)として、部分的に利用することができる。
導管15からスプレー凝結器30に流れ込む蒸気は、少なくとも部分的に凝結
する。そこでは、水或いは水よりも揮発しにくいものに比べて揮発性なものから
なる汚染物質の凝縮が増進される。このシステムにおける液化しない蒸気と所定
量の空気は、第2凝結器3
1に送られる。取入及び排出装置13,16とシャフトのシーリング構造は、密
閉的にシールすることができない、或いは相当なコストが要するため、所定量漏
れて入った空気は、既に排出ガス導管15内に存在する。更に、蒸発器は若干低
い圧力、例えば、通常の圧力よりも5〜10ミリバール低い範囲で操作されるの
で、それに応じた量の漏れ空気が吸入され、排出ガス導管15を通って凝結器3
0,31に流入する。
蒸発器からの排出後で、凝結器の上流には、まず最初に、ダストフィルター、
より明確には、交流電圧作動の電気フィルターと一体的に構成された衝突式のセ
パレータが設けられている。番号28は超加熱装置を示し、必要とする時だけ作
動し、そうでなければガスは超加熱されずに通過する。土の汚染物質個々の特性
によるが、その位置での超加熱、例えば,550℃或いは600℃の温度まで超
加熱することにより、ガスのある成分を好適に破壊することが可能になり、その
結果、後の処理に一層達し易くすることができる。
図の右手部分に示された個々の工程とブロックは、概して、より重い液体或い
は固体の留分が各ケースにおいて、図示の容器のより低い端末から排出され、そ
の一方で、より軽い留分はそれぞれ容器から一層進んで横上方に流出する。従っ
て、凝結器30からの重い留分は、沈澱物セパレータ32に回され、その沈澱物
は取入装置13に通じる出口9に送られる。そのため、その沈澱物は新たに蒸発
器の浄化工程に供される。通常、それは、ダスト状の比較的小さな粒子を含んで
おり、その粒子は蒸発器10で帯状の蒸気により運び去られたものである(もし
、ダストフィルター27を省くか、或いはそれらがダストフィルター27を通過
した場合)。それらの粒子の一部は、装置内を再び新たに通過し、土8として再
生することができる。
沈澱物セパレータ32からのより軽い留分は、第1凝結器31のより重い留分
も回される重力式のセパレータ36に送られる。重力を用いて分離する重力式の
セパレータ36からより重い留分が順次その下方に配置された粒子フィルター3
7に回される。そして、その状態で保有されているよく精製されたスラリーが、
一点鎖線で示される導管を介して、粒子フィルター37から沈澱物セパレータ3
2に再び送られる。もし必要であれば、液体は29で中和剤の添加により中和さ
れ、それから粒子フィルター37を通過し、そして空気供給導管41を備えた2
段式の揮発分除去塔39に送られる。空気は揮発分除去塔内で液体から順次揮発
成分を乗せて、ポンプ38により活性炭フィルター群50に回される。そこから
浄化された水が導管43に送られる。その水は、塩含有量にもよるが、蒸気発生
器の供給水とある程度混合することができる。余分な
水は導管53を介して排出される。
揮発分除去塔用の導管41内の空気は、一部は導管45から流入する新鮮な空
気であり、また一部は活性炭フィルター47,50から出る排出空気42である
。
第2凝結器31は、導管33を介して冷却器34に回る残留ガス成分を伴い、
約40℃の凝縮温度で操作される。冷却塔46が凝結器31用の冷却回路に接続
され、第1凝結器30から比較的高温の排出ガスが供給されるにもかかわらず、
所望の低い凝縮温度で凝結器31を作動可能にしている。冷却液の循環は、ポン
プ35により維持される。冷却器34は、分離装置としても作動する。排出ガス
の成分は、冷却器34内では、液体の状態にあり、重力式のセパレータ36にも
送られる。その一方で、ガス成分は、種々の活性炭フィルターと冷却装置を通過
することもできる。最後に、前に吸入された本質的に漏れ空気からなるだけの浄
化された排出ガスが、排出空気導管42を介して、活性炭フィルター47,50
から排出される。その場合、前述したように、排出空気は、それから2段式の揮
発分除去塔39に供給することができる。
活性炭フィルター47,50の操作の再生モードにおいて、加熱蒸気が導管1
4を介して活性炭フィルターに供給され、該フィルターに吸収された汚染物質を
溶解する。次いでその蒸気は接続された冷却器49を通過し、その工程で流動体
の状態になった物質は、他の液体状の留分の場合と同様にして重力式のセパレー
タ36に供給される。この操作モードでは、バルブ48は閉鎖されていることが
理解されよう。
そのように初めに蒸発器に導入された汚染土は、8で示されるように浄化され
た土となる。揮発性の有機及び無機の溶剤と化合物は、重力式のセパレータ36
の出口で、かなりの部分が少なくとも再生され得る。そして、汚染物質のそれぞ
れの性質にもよるが、それらを直接再利用したり、更なる処理に付したり、或い
は塵として処分することができる。その一方、排出空気の一部も常に導管42に
放出され、そしてまた、沈澱物セパレータ32からのスラリー或いはスラッジは
、選択的に蒸発器10の取入装置13に再び供給され、或いは最終的に捨てる目
的で、導管52を介して排出することができる。
本発明に関する方法は、汚染土から予め決められた限度の値以下の沸点を有す
る汚染物質を広範囲にわたって完全に除去することができるという利点がある。
そして、比較的少ないエネルギーとコストでその目的を達成することができる。
更に、方法は純粋に物理的仕方で操作される。即ち、燃焼工程等のような化学反
応は実質的に何らない。汚染物質は、ある程度再生す
ることができ、そして、土壌汚染のそれぞれの特徴によっては、大体、純粋な状
態に再生することができる。廃棄に適した残留物及び他に利用することができな
い残留物はごく僅かな量しか生じないため、また、特に要するエネルギーが低レ
ベルでよいため、本発明に係わる装置と方法は、極めて低いコストで運転操作す
ることができる。
【手続補正書】特許法第184条の8
【提出日】1995年7月12日
【補正内容】
請求の範囲
1.前もって分割する装置(4,5,6)と熱処理部とから構成され、熱処理部
は複数の加熱装置(21,11)と複数の循環搬送装置(11)、及び蒸発器(
10)内に汚染土を取り入れる取入口から所定の間隔を置いて、水の凝縮温度以
上の領域で加熱される汚染土にその凝縮温度以上に加熱された蒸気を汚染土に供
給する1台の蒸気供給装置(12)が設けられた蒸発器(10)からなり、循環
搬送ブレードを有し、細長く延びた蒸発器の容器の長手方向に延びる少なくとも
1本の中空状のシャフト(11)を備えた汚染土浄化装置であって、循環搬送ブ
レードを有する2本以上の中空状のシャフトが設けられ、蒸気供給装置(12)
は、蒸気発生器(10)を通過する汚染土の流れる方向で、蒸発器(10)の最
後の1/3の部分に配置された汚染土浄化装置。
2.加熱装置(21,11)は流動可能な熱媒体が流れる複数の中空状の構成要
素を有し、該要素は、熱媒体から離れた構成要素の外表面が汚染土と接触する請
求の範囲1に記載の汚染土浄化装置。
3.乾燥用冷却器(18)を蒸気発生器(10)の汚染土出口の下流に接続した
請求の範囲1または2に記載の汚染土浄化装置。
4.排出ガス分離装置(30,31,32,47)を
蒸気発生器(10)の排出ガス出口の下流に接続した請求の範囲1乃至3のいず
れかに記載の汚染土浄化装置。
5.ダストセパレータ(27)を蒸気発生器(10)と排出ガス分離装置(30
,31,32,47)の間に設けた請求の範囲4に記載の汚染土浄化装置。
6.選択的に運転可能な超加熱装置(28)をダストセパレータ(27)の下流
で、かつ排出ガス分離装置(30,31,32,47)の上流に設けた請求の範
囲5に記載の汚染土浄化装置。
7.排出ガス分離装置は沈澱物及び/又は重力式のセパレータ(32,36)、
或いは固体状と液体状の留分のための別の相分離装置を備える請求の範囲4乃至
6のいずれかに記載の汚染土浄化装置。
8.蒸発器(10)の取入口に沈澱物スラリーをリサイクルする導管(9)を設
けた請求の範囲7に記載の汚染土浄化装置。
9.中和剤を付加する手段を凝結器(30及び/または31)からの沈澱物スラ
リーを排出する導管の下流に設けた請求の範囲1乃至8のいずれかに記載の汚染
土浄化装置。
10.乾燥用冷却器(18)から凝結器(30)に連通する排出蒸気の導管(43
)を設けた請求の範囲9及び請求の範囲11に従属する請求の範囲5乃至9の
いずれかに記載の汚染土浄化装置。
11.揮発性物質で汚染された土を第1工程で分割し、第2工程で熱処理し、該第
2工程で、汚染土を直接炎に接触することなく、熱交換体により、水の沸騰温度
以上で、かつ400℃以下の温度で加熱し、次いで、加熱された微細な粒子状の
汚染土を、汚染土から揮発性物質を除去する高温、或いは超加熱された蒸気に晒
す汚染土浄化方法であって、汚染土を熱作用及びそれと同時の循環により極めて
微細な粒子形状にした後、汚染土を先ず蒸気に晒し、その汚染土を加熱する温度
を、意図された温度範囲に調整する汚染土浄化方法。
12.汚染土を300℃以下の温度、好ましくは110〜250℃の間の範囲で加
熱する請求の範囲11に記載の汚染土浄化方法。
13.汚染土を加熱する操作とその後の蒸気加湿する操作は、実質的に同じ密閉さ
れた容器(10)で行われ、好ましくは、包囲した圧力より10〜50ミリバー
ル程度低い範囲で、若干容器を減圧する請求の範囲11または12に記載の汚染土浄
化方法。
14.蒸気処理後、汚染土を蒸発器(10)から排出し、次いで乾燥冷却し、それ
から加湿する請求の範囲11乃至13のいずれかに記載の汚染土浄化方法。
15.熱処理操作で生じた排出ガスを、少なくとも1つ
の凝結工程に供する請求の範囲11乃至14のいずれかに記載の汚染土浄化方法。
16.熱処理に加えて、更に加熱された蒸気を汚染土から除去された物質のための
搬送用ガスとして、蒸発器(10)に供給する請求の範囲15に記載の汚染土浄化
方法。
17.蒸発器(10)からでる排出ガスを、水の露点以下の温度で好ましく操作さ
れるスプレー凝結器(30)に送る請求の範囲15または16に記載の汚染土浄化方
法。
18.スプレー凝結器(30)の操作温度を90〜98℃の範囲、好ましくは95
〜96°の範囲で、凝縮器の水循環電子制御により好ましく保つ請求の範囲17に
記載の汚染土浄化方法。
19.第1凝結工程後、第2凝結工程が60℃以下の温度、好ましくは40℃以下
の温度で操作される凝結器で行われる請求の範囲15乃至18のいずれかに記載の汚
染土浄化方法。
20.スプレー凝結器及び/または下流に配置された凝結器で生成した液体を沈澱
物及び/または重力式のセパレータで処理し、例えば、沈澱及び/または重力に
よる分離のように相分離後遊離した有機的な相を更なる処理操作に供給する請求
の範囲14乃至19のいずれかに記載の汚染土浄化方法。
21.蒸発器の排出ガスを凝結操作の前に最高550〜600℃に超加熱する請求
の範囲15または請求の範囲15に従属する請求の範囲30乃至38のいずれかに記載の
汚染土浄化方法。
22.蒸発器から出た後、そして凝結操作前に、排出ガスをダストセパレータ(2
7)に通過させる請求の範囲15または請求の範囲15に従属する請求の範囲30乃至
38のいずれかに記載の汚染土浄化方法。
23.凝結器(30)の下流に液体及び/または泥を分離する物質に中和剤を添加
する請求の範囲15または請求の範囲15に従属する請求の範囲30乃至38のいずれか
に記載の汚染土浄化方法。
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ドイツ連邦共和国、デ―44149 ドルトム
ント、カール・フンケ・シュトラーセ 74