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JPH09314771A - 多層フィルム - Google Patents

多層フィルム

Info

Publication number
JPH09314771A
JPH09314771A JP12986396A JP12986396A JPH09314771A JP H09314771 A JPH09314771 A JP H09314771A JP 12986396 A JP12986396 A JP 12986396A JP 12986396 A JP12986396 A JP 12986396A JP H09314771 A JPH09314771 A JP H09314771A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
multilayer film
film
thermoplastic resin
polymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP12986396A
Other languages
English (en)
Inventor
Kohei Endo
浩平 遠藤
Hiroshi Tokuda
寛志 徳田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Ltd filed Critical Teijin Ltd
Priority to JP12986396A priority Critical patent/JPH09314771A/ja
Priority to EP19970303382 priority patent/EP0808713A3/en
Priority to US08/861,018 priority patent/US5932341A/en
Priority to KR1019970020371A priority patent/KR100308328B1/ko
Priority to ID971721A priority patent/ID16965A/id
Publication of JPH09314771A publication Critical patent/JPH09314771A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 多層フィルムから製品フィルムを剥離する際
に生ずる帯電を軽減し、巻き込み異物や放電痕の少ない
製品フィルムが得られる多層フィルムを提供する。 【解決手段】 熱可塑性樹脂(A)からなるポリマー層
(A)の少なくとも1層と、該熱可塑性樹脂(A)と非
相溶な熱可塑性樹脂(B)からなるポリマー層(B)の
少なくとも1層とが隣接しており、且つ該隣接する2層
間の層間接着力が0.1〜20g/cmの範囲にある多
層フィルムであって、該熱可塑性樹脂(A)がMFR値
0.5〜30g/10分のポリオレフィンであることを
特徴とする多層フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は共押出法、ラミネー
ト法等で得られる互いに非相溶なポリマー層からなる多
層フィルムに関し、更に詳しくは、多層フィルムから剥
離分離により熱可塑性樹脂フィルムを得る際に、剥離の
際の放電に起因する放電痕や、剥離の際の帯電に起因す
る付着異物等の帯電による障害の少ない熱可塑性樹脂フ
ィルムを得ることができる多層フィルムに関する。
【0002】
【従来技術】物流の分野、工場の工程管理の分野等でバ
ーコードを利用したシステムが普及してきており、感熱
転写プリンター用リボンの需要が高まっている。また、
磁気記録の分野においてもQIC(4分の1インチデー
ターカートリッジ)テープ等の需要が高まっている。こ
れらの用途に使用されるフィルムを生産性良くしかも経
済的に製造する方法として、互いに相溶しないポリマー
を共押出し、得られる未延伸フィルムを少なくとも一軸
延伸して多層フィルムを得、この多層フィルムから単層
フィルムを剥離して製品を一挙に2枚以上製膜する方法
(特開昭51−30862公報、特開昭56−1134
27公報、特開昭58−5226公報)が知られてい
る。
【0003】しかしながら、上記の方法では多層フィル
ムから単層フィルムを剥離する際にフィルムが帯電し、
この帯電により剥離工程、スリット工程、巻き取り工程
等でフィルムに異物が付着したり、帯電位が大きくなる
と放電して放電痕ができる等の欠点が生じる。この異物
や放電痕は、例えばフィルムにインクや磁気塗料を塗布
する際、インクや磁気塗料のはじきの問題、異物による
ロール表面のピンプルのための歩留まり低下の問題、磁
気塗料の塗布斑によるドロップアウトの問題等を引き起
こす。
【0004】かかる帯電を防止する方法として、剥離す
る部分に除電バーを設置し電荷を除去および中和する方
法が考えられる。しかしながら、この方法では帯電位を
ある程度低減することは可能であるが、放電痕を無くす
迄の効果は得られない。
【0005】また、帯電防止剤を多層フィルムを構成す
る各層に添加する方法も考えられるが、ブリード型の帯
電防止剤では多層フィルムにはその効果が発揮されず、
また帯電防止剤のブリードアウトによる表面汚染等の別
の問題が生じる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
の欠点を改善し、多層フィルムから単層フィルムを剥離
する際に生ずる帯電を軽減し、巻き込み異物や放電痕の
少ない単層フィルムを得ることができる多層フィルムを
提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のかかる目的は、
本発明によれば、熱可塑性樹脂(A)からなるポリマー
層(A)の少なくとも1層と、該熱可塑性樹脂(A)と
非相溶な熱可塑性樹脂(B)からなるポリマー層(B)
の少なくとも1層とが隣接しており、且つ該隣接する2
層間の層間接着力が0.1〜20g/cmの範囲にある
多層フィルムであって、該熱可塑性樹脂(A)がMFR
値0.5〜30g/10分のポリオレフィンであること
を特徴とする多層フィルムにより達成される。以下本発
明について詳細に説明する。
【0008】[熱可塑性樹脂(A)]本発明において、
ポリマー層(A)の構成成分である熱可塑性樹脂(A)
は、MFR値が0.5〜30g/10分のポリオレフィ
ン重合体である。このポリオレフィン重合体はオレフィ
ン化合物を重合して得られるMFR値が上記範囲の単一
重合体または共重合体であり、例えば低密度ポリエチレ
ン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテ
ン、ポリペンテン(ポリメチルペンテン等)、ポリブタ
ジエンの単独重合体或いはこれらの共重合体を挙げるこ
とができる。上記ポリオレフィン共重合体としては、例
えばポリマー鎖の一部に酸成分がグラフト重合された共
重合体を挙げることができ、このグラフト重合成分とし
てはマレイン酸等のカルボン酸成分を挙げることができ
る。
【0009】ポリオレフィン重合体としては、特にポリ
プロピレンが好ましく、例えばポリプロピレンホモポリ
マー、ランダム共重合ポリプロピレン、ブロック共重合
ポリプロピレン、エチレン−プロピレンゴム等を好まし
く用いることができる。
【0010】また、本発明における熱可塑性樹脂(A)
は、MFR値が0.5〜30g/10分のポリオレフィ
ン重合体であり、特にMFR値が3〜20g/10分の
ポリオレフィン重合体が好ましい。
【0011】このMFR値が0.5g/10分未満であ
ると、多層フィルムを溶融製膜する際に、溶融ポリマー
の押出圧力が高くなり過ぎ、多層フイルムの各層の厚み
斑が不良となったり、製膜速度を実用上十分な速度とす
ることが困難である等の問題が生じる。また、MFR値
が30g/10分を超えるとポリオレフィン重合体中に
配合した滑剤等の各種添加剤がポリマー層(B)に転写
し、ポリマー層(B)の表面特性等が不良となる。
【0012】本発明における熱可塑性樹脂(A)には、
多層フィルムを溶融製膜する際に多層フィルムとキャス
ティングドラムとの密着性を十分なものとするため、添
加剤としてスルホン酸四級ホスホニウム塩を例えば0.
001〜1重量%配合することが好ましい。
【0013】また、熱可塑性樹脂(A)には剥離分離し
たポリマー層(A)の巻き取り性を向上させ、且つ各用
途の必要とする表面性をもたせるために平均粒径が0.
001〜5.0μm程度の有機や無機の微粒子を、例え
ば0.01〜5.0重量%の配合割合で含有させること
ができる。かかる微粒子としては、例えば乾式シリカ、
湿式シリカ、ゼオライト、炭酸カルシウム、リン酸カル
シウム、カオリン、カオリナイト、クレイ、タルク、酸
化チタン、アルミナ、ジルコニア、水酸化アルミニウ
ム、酸化カルシウム、グラファイト、カーボンブラッ
ク、酸化亜鉛、炭化珪素、酸化銀等の無機微粒子、架橋
アクリル樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、メラミ
ン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子等の有機粒子を挙
げることができる。
【0014】これらの微粒子のうち、特に珪素の酸化物
を用いることが好ましく、具体的には、湿式法で得られ
るシリカ、乾式法で得られるシリカ、カオリン、カオリ
ナイト、サイロイド、クレイ、有機シリコーン等を用い
ることが好ましい。これらの珪素の酸化物微粒子は、そ
の少なくとも1種類が含まれていれば良いが、2種以上
を用いることもできる。また、これらの珪素の酸化物微
粒子以外の無機微粒子や有機粒子を併用することもでき
る。
【0015】これらの珪素の酸化物微粒子をポリオレフ
ィン重合体に添加すると、多層フィルムからポリマー層
(B)及び/又はポリマー層(A)を剥離分離する際
に、ポリマー層(A)とポリマー層(B)の帯電位差が
大きくなることを抑制することができ、両層間で放電に
よる放電痕等の欠陥を防止することができる。尚、放電
痕等の欠陥は、フィルムにインク塗料や磁気塗料等を塗
布する工程で、これらの塗料をはじいてしまう等の問題
の原因となる。
【0016】更に、ポリマー層(A)を構成する熱可塑
性樹脂(A)は、その融点(Tm)より15℃高い温度
での溶融状態における体積抵抗値が50Hzの交流電圧
の測定条件において0.5×109 Ω・cm以下である
ことが好ましい。体積固有抵抗値がこの範囲にあるとキ
ャスティングの際に多層フィルムへの静電荷の印加が強
くなり冷却ドラムと多層フィルムとの密着が良好なもの
となる。
【0017】尚、熱可塑性樹脂(A)には必要に応じて
潤滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤、顔料、傾向
増白剤、可塑剤、紫外線吸収剤、他の樹脂等を添加する
ことができる。
【0018】更に、熱可塑性樹脂(A)にはポリマー層
(A)とポリマー層(B)との層間接着力を調整するた
めに、潤滑剤を例えば0.001重量%、更に好ましく
は0.005〜0.5重量%配合することができる。
尚、この潤滑剤は熱可塑性樹脂(B)にのみ配合するこ
ともでき、或いは熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂
(B)の両方に配合することもできる。
【0019】上記の潤滑剤は、常温で液体状のものであ
っても固体状のものであってもよいが、融点或いは軟化
点が200℃以下のものであることが好ましい。潤滑剤
の具体例として、下記のものを挙げることができ、これ
らの2種類以上を用いてもよい。
【0020】A.脂肪族炭化水素:流動パラフィン、マ
イクロクリスタリンワックス、天然パラフィン、合成パ
ラフィン、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワッ
クス等 B.高級脂肪酸またはその金属塩:ステアリン酸、ステ
アリン酸カルシウム、ヒドロキシステアリン酸、硬化
油、モンタン酸ナトリウム等 C.脂肪族アミド:ステアリン酸アミド、オレイン酸ア
ミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ベヘンア
ミド、メチレンビスステアラミド等 D.脂肪酸エステル:n−ブチルステアレート、メチル
ヒドロキシステアレート、ミリシルセロチネート、高ア
ルコール脂肪酸エステル、エステル系ワックス等 E.脂肪酸ケトン:ケトンワックス等 F.脂肪アルコール:ラウリルアルコール、ステアリル
アルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール
等 G.脂肪酸と多価アルコールの部分エステル:グリセリ
ン脂肪酸エステル、ヒドロキシステアリン酸トリグリセ
リド、ソルビタン酸エステル等 H.非イオン系界面活性剤:ポリオキシエチレンアルキ
ルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポ
リオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレン
脂肪酸エステル等 I.シリコン油:直鎖状メチルシリコン油、メチルフェ
ニルシリコン油、変成シリコン油等 J.フッ素系界面活性剤:フルオロアルキルカルボン
酸、パーフルオロアルキルカルボン酸、モノパーフルオ
ロアルキルエチルリン酸エステル、パーフルオロアルキ
ルスルホン酸塩等
【0021】[熱可塑性樹脂(B)]本発明において、
ポリマー層(B)の構成成分である熱可塑性樹脂(B)
は、前記ポリオレフィン重合体と実質的に非相溶な熱可
塑性樹脂である。かかる熱可塑性樹脂(B)としては、
例えばポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリ
スルフォン、ポリアミドを挙げることができる。これら
のポリマーのうち、特にポリオレフィン重合体との溶解
度パラメーター(SP値)の差が1以上、特に2以上で
あるポリマーを用いることが、多層フィルムからポリマ
ー層(B)を高速で剥離分離することが容易になり、更
に剥離分離時の切断が少なくなるため好ましい。
【0022】特に、熱可塑性樹脂(B)としてポリエス
テルを用いるとポリオレフィン重合体との共押出性、共
延伸性に優れた多層フィルムとなるため好ましく、ポリ
エステルとポリオレフィン重合体とは相溶性が小さいた
め、多層フィルムからポリエステル層とポリオレフィン
層を比較的軽微な力で剥離することができるため好まし
い。
【0023】上記のポリエステルとは、ジカルボン酸成
分とグリコール成分からなる線状ポリエステルであり、
特にジカルボン酸成分として芳香族ジカルボン酸成分
を、グリコール成分として炭素数2〜10の脂肪族ジオ
ール成分を用いた芳香族ポリエステルが好ましい。
【0024】このジカルボン酸成分としては、例えばテ
レフタル酸、2,6―ナフタレンジカルボン酸、イソフ
タル酸、4,4′―ジフェニルジカルボン酸等を挙げる
ことができ、特にテレフタル酸或いは2,6―ナフタレ
ンジカルボン酸を好ましく挙げることができる。
【0025】また、グリコール成分としては、例えばエ
チレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブ
タンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘ
キサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノー
ル、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール等
を挙げることができ、特にエチレングリコール、1,4
−ブタンジオールを好ましく挙げることができる。
【0026】かかるポリエステルとしては、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレン
ジカルボキシレート或いはポリブチレンテレフタレート
が多層フィルムから剥離したポリエステル層単層フィル
ムの機械的特性や熱的特性等が優れたものとなるため好
ましい。
【0027】本発明におけるポリエステルは、単独重合
体であっても共重合体であったもよく、共重合体の場合
はジカルボン酸成分或いはグリコール成分等を例えば1
0モル%以下の割合で共重合したポリエステルであって
もよく、また三官能以上の多価化合物をポリエステルが
実質的に線状となる範囲(例えば5モル%以下)で少量
共重合したポリエステルであってもよい。
【0028】上記の共重合成分は、ポリエチレンテレフ
タレートの場合には、酸成分としてイソフタル酸、2,
6−ナフタレンジカルボン酸、4,4‘−ジフェニルカ
ルボン酸等を挙げることができ、グリコール成分として
プロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタ
ノール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコー
ル等を挙げることができる。また、ポリエチレン−2,
6−ナフタレンジカルボキシレートの共重合成分として
は酸成分としてテレフタル酸、イソフタル酸、4,4
‘−ジフェニルカルボン酸等を挙げることができ、グリ
コール成分としてプロピレングリコール、1,4−シク
ロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ネオ
ペンチルグリコール等を挙げることができる。ポリブチ
レンテレフタレートの共重合成分としては、酸成分とし
てイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、
4、4‘−ジフェニルジカルボン酸等を挙げることがで
き、グリコール成分として、エチレングリコール、1、
6−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、1,5
−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノ
ール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール
等をあげることができる。
【0029】また、ポリエステルには共重合成分として
は上記の成分の他に、例えばヘキサヒドロテレフタル
酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等
のジカルボン酸成分、1,3−プロパンジオール、ポリ
エチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、
ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ビ
スフェノールA等のグリコール成分を挙げることができ
る。
【0030】上記のポリエステルには、上記の単独重合
体及び/又は共重合体を単独で用いることができ、これ
らをブレンドしたものを用いることもできる。
【0031】また、前記のポリフェニレンスルフィドと
しては、例えばポリ(p―フェニレンスルフィド)を好
ましく挙げることができる。このポリ(p―フェニレン
スルフィド)(以下、『PPS』と略記することがあ
る。)には、全繰返し単位の70モル%以上、より好ま
しくは85モル%以上が下記式で表される繰返し単位か
らなるホモポリマーおよびコポリマーが包含される。全
繰返し単位の30モル%以下、好ましくは15モル%以
下は共重合可能なスルフィド結合を有する繰返し単位か
らなることができる。共重合成分の割合があまり多くな
ると、ポリマーの結晶性や熱転移温度が低下し、フイル
ムの耐熱性、寸法安定性あるいは機械的特性も低下する
ようになる。
【0032】
【化1】
【0033】なお、共重合可能なスルフィド結合を有す
る繰返し単位としては、例えば下記式で表される如き繰
返し単位を挙げることができる。
【0034】
【化2】
【0035】ポリマー層(B)を構成する熱可塑性樹脂
(B)は、その融点(Tm)より15℃高い温度での溶
融状態における体積抵抗値が、50Hzの交流電圧の測
定条件において0.5×109 Ω・cm以下であること
が好ましい。体積固有抵抗値がこの範囲にあるとキャス
ティングの際に多層フィルムへの静電荷の印加が強くな
り冷却ドラムと多層フィルムとの密着が良好なものとな
る。かかる体積固有抵抗値を有するポリエステルは、例
えばアルカリ金属塩を有する化合物が配合されている
か、またはスルホン酸四級ホスホニウム塩が共重合され
ているかで得ることができ、多層フィルムと冷却ドラム
との良好な密着性を得ることができる。
【0036】また、熱可塑性樹脂(B)には剥離分離し
たポリマー層(B)層の巻き取り性を向上させ、且つ各
用途の必要とする表面性をもたせるために平均粒径が
0.001〜5.0μm程度の有機や無機の微粒子を、
例えば0.01〜2.0重量%の配合割合で含有させる
ことができる。かかる微粒子としては、例えば乾式シリ
カ、湿式シリカ、ゼオライト、炭酸カルシウム、リン酸
カルシウム、カオリン、カオリナイト、クレイ、タル
ク、酸化チタン、アルミナ、ジルコニア、水酸化アルミ
ニウム、酸化カルシウム、グラファイト、カーボンブラ
ック、酸化亜鉛、炭化珪素、酸化銀等の無機微粒子、架
橋アクリル樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、メラ
ミン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子等の有機粒子を
挙げることができる。
【0037】尚、熱可塑性樹脂(B)には必要に応じて
潤滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤、顔料、傾向
増白剤、可塑剤、紫外線吸収剤、他の樹脂等を添加する
ことができる。
【0038】[多層フィルム]本発明の多層フィルム
は、前記の熱可塑性樹脂(A)からなるポリマー層
(A)の少なくとも1層と、この熱可塑性樹脂(A)と
実質的に非相溶な前記の熱可塑性樹脂(B)からなるポ
リマー層(B)の少なくとも1層とが隣接しており、且
つ該隣接する2層間の層間接着力が0.1〜20g/c
mの範囲のものである。
【0039】本発明の多層フィルムの構成は、ポリマー
層(A)(以下『A層』ということがある)の少なくと
も1層と、ポリマー層(B)(以下『B層』ということ
がある)の少なくとも1層とが隣接しており、且つ、ポ
リマー層(B)の少なくとも1層が最外層に存在するも
のであればその層数や様態は限定されない。
【0040】かかる多層フィルムの好ましい構成は、例
えばB層/A層とからなる二層フィルム、B層/A層/
B層からなる3層フィルム、B層/A層/B層/A層か
らなる4層フィルム、B層/A層/B層/A層/B層か
らなる5層フィルム等を挙げることができる。
【0041】また、本発明の多層フィルムは、それぞれ
の樹脂の層間接着力が0.1〜20g/cmであり、特
に0.1〜10g/cmであることが好ましい。層間接
着力が0.1g/cmより小さいとフィルムをロール状
に巻いて保管する際や搬送する際に層間剥離や層間ずれ
が起こり、皺や、破れなどや、未延伸フィルムの時に剥
離するトラブルが発生することがある。また、層間接着
力が20g/cmを超えると多層フィルムを剥離分離す
る際にフィルムが破れたり、ピンホールが生じたりする
ため好ましくない。
【0042】本発明の多層フィルムは、無延伸フィル
ム、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルムのいずれでも
よいが、特に二軸延伸フィルムが機械特性に優れるため
好ましい。多層フィルムの厚みは特に限定されないが、
例えば二軸延伸フィルムの場合では、多層フィルムの総
厚みが5〜100μm、特に5〜50μmであることが
好ましく、B層の1層当たりの厚みが0.2〜100μ
m、特に0.5〜30μmであることが好ましく、A層
の1層当たりの厚みが0.5〜50μm、特に1〜30
μmのものが好ましい。
【0043】尚、多層フィルムの総厚みに占めるB層の
厚みの総計の割合は、5〜80%、特に15〜70%で
あることが好ましい。
【0044】[多層フィルムの製造法]本発明の多層フ
ィルムは、例えば前記構成のA層とB層との多層溶融フ
ィルムを回転冷却ドラム上に共押出し、次いで該多層溶
融フィルムが回転冷却ドラム上に到達する近傍において
該多層溶融フィルムの溶融面に電荷を印加させて回転冷
却ドラムに密着させ冷却することにより製造することが
できる。
【0045】例えばポリオレフィン重合体とポリエステ
ルとを別々の押し出し機に供給し、各々のポリマーの融
点以上350℃までの温度となるよう溶融し、各溶融ポ
リマーを導管内あるいは成型用口金(ダイス)内部で合
流させて多層状態とし、これを口金から吐出させ、該吐
出フィルムに静電荷を印加させながら冷却ドラムにて冷
却固化させることにより未延伸多層フィルムを製造する
ことができる。
【0046】また、多層フィルムを製造する際に、スル
ホン酸4級ホスホニウム塩(例えば3,5−ジカルボキ
シベンゼンスルホン酸テトラ−n−ブチルホスホニウ
ム)を0.001〜1重量%、好ましくは0.005〜
0.5重量%含有したポリオレフィン重合体を用いる
と、ポリオレフィン重合体の溶融時の電気抵抗が低減す
るので多層フィルムを構成する各層の静電荷印加が十分
なものとなり多層フィルムと冷却ドラムとの密着性が良
好となる。また、得られる多層フィルムはピンホール等
の欠陥がなく色相が良好なものとなる。更にポリエステ
ルにもスルホン4級ホスホニウム塩を配合すると多層フ
ィルムと冷却ドラムとの密着性が更に向上するので好ま
しい。
【0047】尚、一般的に熱可塑性樹脂(A)材料及び
/又は熱可塑性樹脂(B)材料は、押出機に供給する前
に乾燥することが好ましい。尚、ポリオレフィン重合体
材料は必ずしも乾燥する必要はないが、100℃以上ポ
リオレフィン重合体のTm(融点)未満の温度で乾燥し
たものも用いることもできる。前記の未延伸多層フィル
ムは必要に応じて更に1軸方向あるいは2軸方向に延伸
して一軸延伸多層フィルムあるいは2軸延伸多層フィル
ムとすることができる。かかる1軸延伸多層フィルムあ
るいは2軸延伸多層フィルムを得るには上記の未延伸多
層フィルムを延伸可能な温度(例えば熱可塑性樹脂
(B)のTg(ガラス転移温度)以上Tg+80℃以下
の温度)に加熱し少なくとも1軸方向に延伸する。ま
た、延伸倍率は1軸延伸多層フィルムでは1軸方向に2
〜12倍とすることが好ましく、2軸延伸多層フィルム
では延伸面積倍率で5〜50倍とすることが好ましい。
上記の2軸延伸多層フィルムは例えば未延伸多層フィル
ムを縦方向に延伸し、次いで横方向に延伸するいわゆる
縦−横逐次延伸法、縦方向と横方向を同時に延伸する同
時2軸延伸法により製造することができる。この2軸延
伸多層フィルムは、更に縦方向、あるいは横方向の1軸
方向にあるいは縦方向及び横方向の2軸方向に再延伸し
て2軸再延伸多層フィルムとすることもできる。上記の
1軸延伸多層フィルムあるいは2軸延伸多層フィルムは
熱可塑性樹脂(B)のTm(融点)未満の温度で更に熱
処理し室温まで冷却することにより、1軸延伸(熱処
理)多層フィルムあるいは2軸延伸(熱処理)多層フィ
ルムとすることができる。かくして得られた1軸延伸多
層フィルムあるいは2軸延伸多層フィルムはその表面
に、例えば、特公昭56−183815公報や特公昭5
7−30854公報等で知られるような表面活性化処理
(例えばプラズマ処理、アミン処理、コロナ処理等)を
施しても良い。
【0048】[多層フィルムの用途]本発明の多層フィ
ルムから、ポリマー層(A)或いはポリマー層(B)を
剥離分離して得られる単層フィルムは種々の用途に用い
ることができる。例えば、厚みが3μm以下のポリエス
テル単層フィルム、特に1μm以下の極薄単層フィルム
は延伸工程での破断や巻き取り工程での巻き不良等が生
じやすいため、単層フィルムでは容易ではないが、本発
明の多層フィルムから剥離分離することによれば容易に
得ることができる。かかるポリエステル単層の極薄フィ
ルムはコンデンサーフィルム(例えば肉厚3μm以下の
フィルム)プリンターリボン用フィルム(例えば肉厚5
μm程度のフィルム)磁気記録用、特にQIC用ベース
フィルム等に有用である。本発明の多層フィルムを積層
コンデンサー用途に用いる場合は多層フィルムの表面に
金属膜を蒸着した後スリットし、金属膜を蒸着した表面
層を剥離分離することにより有効的に得ることができ
る。また、ポリオレフィン単層フィルムはコンデンサー
用フィルム(例えば肉厚3μm以下のフィルム)ノング
レアーフィルム(例えば肉厚50μm以下のフィルム)
等に有用である。
【0049】更に、多層フィルムの構成をB層/A層/
B層の如きサンドイッチ構造とし、使用する直前に中間
層のA層から両外層のB層を剥離分離することにより、
表面の酸化膜が極めて少なく、また、異物の表面付着等
の少ない超クリーンなA層単層フィルムを得ることがで
きる。あるいは、多層フィルムの構成をB層/A層/B
層/A層/B層の如きサンドイッチ構造とし、中間層の
B層を剥離分離することにより、表面の酸化膜が極めて
少なく、また、異物の表面付着等の少ない超クリーンな
B層単層フィルムを得ることができる。また、本発明の
2軸延伸した多層フィルムからは各層を各々剥離分離す
ることにより、2軸延伸した単層フィルムを同時に2枚
以上の複数枚数高効率且つ低コストで得ることができ
る。
【0050】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明する。尚、各特性値は下記の方法で測定した。
【0051】1.溶融樹脂の体積固有抵抗値(インピー
ダンス) 樹脂の融点以上(Tm+15℃)に加熱した溶融樹脂に
電極を挿入し、50Hzの交流電圧を加え、電極間に流
れる電流値によってその溶融樹脂の体積固有抵抗値測定
した。
【0052】2.接着力 多層フィルムを幅10mm、長さ100mmの大きさに
切り出し、ポリエステル層を剥離角度180度で連続的
に2m/分の速度で剥離したときにかかる張力(g)を
測定した。この張力の平均値とサンプル幅(10mm)
から得られた幅1cm当たり張力を接着力:T(g/c
m)とした。
【0053】3.融点 DSC(デュポン社製・V4.OB2000型器)を用
いて20℃/分の昇温速度でサンプル(10mg)を昇
温させた際の、融解に伴う吸熱ピークの頂上部に相当す
る温度を融点とした。
【0054】4.ガラス転移温度 DSC(デュポン社製・V4.OB2000型器)を用
いて20℃/分の昇温速度でサンプル(10mg)を昇
温させてガラス転移温度を測定した。
【0055】5.剥離時の帯電位 300mm幅にスリットした多層フィルムを300m/
分の速度で各層それぞれに分離しながら、300m/分
の速度になってから50m巻き取った時点での、分離後
200mmの位置のポリエステル層とポリオレフィン層
のそれぞれの表面電位を表面電位計(パルスモ製TI−
300)で測定した。
【0056】6.放電痕(花模様) 多層フィルムから剥離分離した300mm幅のフィルム
をロール状に巻き取り、このロールを搬送装置に設置し
てロールからフィルムを5m/分の速度で50m分取り
出し、この取り出したフィルムに加湿器によるミストを
吹きかけ、そのときに発生する放電痕の数をカウント
し、1m2 当たりの値を放電痕の発生頻度とした。
【0057】7.スモールピンプルの測定 多層フィルムから剥離分離したフィルムをロール状に巻
き取り、このロールの表面全面を目視で観察し、大きさ
1mmφ以上の凸を数えスモールピンプル値とした。
【0058】[実施例1]ポリエステル原料として、酢
酸カリウムをジカルボン酸成分に対し12mmol%、
平均粒子径0.9μmのカオリンを0.3wt%添加し
た固有粘度が0.60のポリエチレンテレフタレートの
ペレットを用い、これを170℃で3時間乾燥した後、
押出機に供給し、280℃で溶融押出した。一方、ポリ
オレフィン材料として3,5−ジカルボキシベンゼンス
ルホン酸テトラ−n−ブチルホスホニウムを0.05w
t%含有させたエチレンランダム共重合ポリプロピレン
(Tm:162℃、メルトフローレイト:7g/10
分)に平均粒径0.3μmの不定形シリカを0.1wt
%添加したペレットを用い、100℃で1時間乾燥した
後、別の押出機に供給し、ポリエチレンテレフタレート
と同様の温度280℃で溶融押出した。各々の溶融ポリ
マーをダイス内部で合流させ、ポリエチレンテレフタレ
ート/ポリプロピレン/ポリエチレンテレフタレートの
3層多層構造とした後、口金から吐出させ、次いで20
℃に保たれた冷却ドラムに静電荷を印加しながら巻き付
けることにより冷却固化させて3層の未延伸多層フィル
ムとした。この未延伸多層フィルムを加熱ロールに接触
させて100℃に加熱した後、長手方向に3.6倍延伸
し、直ちに20℃まで冷却した。続いて横方向にテンタ
ー式横延伸装置を用いて100℃で3.9倍延伸した
後、210℃で熱処理を施し、室温まで冷却した後巻き
取った。
【0059】かくして得られた二軸延伸多層フィルム
は、外層のポリエチレンテレフタレート層の厚みが5μ
m、内層のポリプロピレン層の厚みが6μmであり、ポ
リエチレンテレフタレート層とポリプロピレン層の接着
力は0.7g/cmであった。尚、8時間の二軸延伸多
層フィルム製膜中に破断はなく良好であり、更にこの多
層フィルムを剥離して巻き取る際に表面電位を測定した
ところポリエチレンテレフタレート側は−5kV、ポリ
プロピレン側は+5kVであった。また、巻き取ったポ
リエチレンテレフタレートフィルムロールの花模様を測
定したところ1個/m2 であり、感熱転写プリンターリ
ボン用のベースフィルムとしてインクを塗布する際はじ
き等はみられず、良好なレベルであった。尚、製品フィ
ルムポリオレフィン層に含まれる滑剤の影響による表面
粗さの変化は見られなかった。
【0060】[実施例2]ポリエステル原料として、実
施例1と同様のポリエチレンテレフタレートのペレット
を用い、実施例1と同様の条件で溶融押出した。一方、
ポリオレフィン原料としては、3,5−ジカルボキシベ
ンゼンスルホン酸テトラ−n−ブチルホスホニウムを
0.05wt%含有させたランダム共重合ポリプロピレ
ン(Tm:162℃、メルトフローレイト:7g/10
分、エチレン共重合ポリプロピレン)に平均粒径0.3
μmの不定形シリカを0.5wt%添加したペレットを
用い、100℃で1時間乾燥した後、別の押出機に供給
し、ポリエチレンテレフタレートと同様の温度280℃
で溶融押出した。その後、実施例1と同様の条件で冷却
固化および静電密着させ、ポリエチレンテレフタレート
/ポリプロピレン/ポリエチレンテレフタレートの3層
多層構造の未延伸多層フィルムとした。
【0061】かくして得られた未延伸多層フィルムを実
施例1と同様の条件で二軸延伸され、得られた二軸延伸
多層フィルムは、実施例1同様外層のポリエチレンテレ
フタレート層の厚みが5μm、内層のポリプロピレン層
の厚みが6μmであり、ポリエチレンテレフタレート層
とポリプロピレン層の接着力は0.6g/cmであっ
た。更にこの多層フィルムを剥離して巻き取る際に表面
電位を測定したところポリエチレンテレフタレート側は
−3kV、ポリプロピレン側は+3kVであった。ま
た、巻き取ったポリエチレンテレフタレートフィルムロ
ールの花模様を測定したところ1個/m2 であり、ま
た、ポリオレフィン層に含まれる滑剤の影響による表面
粗さの変化は見られず、感熱転写プリンターリボン用の
ベースフィルムとして問題となるレベルのインクの塗布
はじきはみられず、良好なレベルであった。
【0062】[実施例3]実施例1と同原料のポリエチ
レンテレフタレートとポリプロピレンを実施例1と同様
の条件で乾燥、溶融し共押出し、実施例1と同様の条件
で冷却固化および静電密着させ、ポリエチレンテレフタ
レート/ポリプロピレンの2層の未延伸多層フィルムと
した。
【0063】かくして得られた未延伸多層フィルムを実
施例1と同様の条件で二軸延伸し、得られた二軸延伸多
層フィルムは、ポリエチレンテレフタレート層の厚みが
5μm、ポリプロピレン層の厚みが6μmであり、ポリ
エチレンテレフタレート層とポリプロピレン層の接着力
は0.6g/cmであった。この多層フィルムを剥離し
て巻き取る際に表面電位を測定したところポリエチレン
テレフタレート側は−5kV、ポリプロピレン側は+5
kVであった。また、巻き取ったポリエチレンテレフタ
レートフィルムロールの花模様を測定したところ0個/
2 であり、感熱転写プリンターリボン用のベースフィ
ルムとしてインクの塗布はじきはみられず良好なレベル
であった。
【0064】[実施例4]ポリエステル原料として、
3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラ−n−
ブチルホスホニウムをジカルボン酸に対し3mmol
%、平均粒径0.12μmのSiO2 をポリエステルに
対し0.3%、炭酸カルシウムを0.03%配合した固
有粘度0.60のポリエチレン−2,6−ナフタレンジ
カルボキシレート(Tm=263℃、Tg=113℃)
のペレットを用いこれを170℃6時間乾燥した後、押
し出し機に供給し、300℃で溶融押し出しした。一
方、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラ−
n−ブチルホスホニウムを0.05wt%含有した実施
例1と同様のエチレンランダム共重合ポリプロピレンの
ペレットを用い、両者を実施例1と同様の方法で共押出
し、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ
ート/ポリプロピレン/ポリエチレン−2,6−ナフタ
レンジカルボキシレートの3層多層構造の未延伸多層フ
ィルムとした。
【0065】かくして得られた未延伸多層フィルムを赤
外線ヒーターによる加熱で130℃に加熱した後に長手
方向に4.5倍延伸し直ちに20℃まで冷却した。続い
て、横方向にテンター横方向延伸装置を用いて、150
℃で5倍延伸した後、210℃で熱処理を施し、室温ま
で冷却した後巻き取った。また、外層のポリエチレン−
2,6−ナフタレンジカルボキシレート層の厚みが5μ
m、内層のポリプロピレン層の厚みが6μmであり、ポ
リエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート層
とポリプロピレン層の接着力は0.6g/cmであっ
た。尚、この多層フィルムを剥離して巻き取る際に表面
電位を測定したところポリエチレン−2,6−ナフタレ
ンジカルボキシレート側は−5kV、ポリプロピレン側
は+5kVであった。また、巻き取ったポリエチレン−
2,6−ナフタレンジカルボキシレートロールのスモー
ルピンプルを測定したところ3個/ロール表面であり、
磁気記録用特にQIC用ベースフィルムとして十分良好
なレベルであった。
【0066】[実施例5]ポリエステル原料として、
3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラ−n−
ブチルホスホニウムをジカルボン酸に対し3mmol
%、平均粒径0.12μmのカタロイドをポリエステル
に対し0.3%、炭酸カルシウムを0.03%配合した
固有粘度0.60のポリエチレン−2,6−ナフタレン
ジカルボキシレート(Tm=263℃、Tg=113
℃)のペレットを用いこれを170℃6時間乾燥した
後、押し出し機に供給し、300℃で溶融押し出しし
た。一方、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テ
トラ−n−ブチルホスホニウムを0.05wt%含有し
た実施例1と同様のポリプロピレンのペレットを用い、
両者を実施例1、2と同様の方法で共押出し、ポリエチ
レン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート/ポリプ
ロピレン/ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボ
キシレート/ポリプロピレン/ポリエチレン−2,6−
ナフタレンジカルボキシレートの5層多層構造の未延伸
多層フィルムとした。
【0067】かくして得られた未延伸多層フィルムを実
施例4と同条件で延伸、熱固定し室温まで冷却した後巻
き取った。また、最外層および内層のポリエチレン−
2,6−ナフタレンジカルボキシレート層の厚みが5μ
m、ポリプロピレン層の厚みが5μmであり、ポリエチ
レン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート層とポリ
プロピレン層の接着力は各層界面で0.6g/cmであ
った。尚、この多層フィルムを5枚に剥離分離して巻き
取る際に表面電位を測定したところポリエチレン−2,
6−ナフタレンジカルボキシレート側は−5kV、ポリ
プロピレン側は+5kVであった。また、巻き取ったポ
リエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートロ
ールのスモールピンプルを測定したところ3個/ロール
表面であり、磁気記録用特にQIC用ベースフィルムと
して十分良好なレベルであった。
【0068】[比較例1]ポリエステル原料および製膜
条件は実施例1と同様とし、ポリオレフィン原料とし
て、エチレン成分を5mol%含むランダム共重合体を
使用した多層フィルムを剥離し巻き取る際に表面電位を
測定したところポリエチレンテレフタレート側は−25
kV、ポリプロピレン側は+20kVであった。また、
巻き取ったポリエチレンテレフタレートフィルムロール
の花模様は多数であり、感熱転写プリンターリボン用の
ベースフィルムとしてインクを塗布する際はじき等が起
こり不十分なレベルであった。
【0069】[比較例2]比較例1で多層フィルムを剥
離する際、剥離点付近に除電バーで除電を行ってやった
ところ、表面電位はポリエチレンテレフタレート側−5
kV、ポリプロピレン側+5kVと小さくなったもの
の、花模様は依然と多数であり、感熱転写プリンターリ
ボン用のベースフィルムとしてインクを塗布する際はじ
き等が起こり不十分なレベルであった。
【0070】[比較例3]ポリエステル原料および製膜
条件は実施例1と同様とし、ポリオレフィン原料とし
て、エチレン成分を5mol%含むランダム共重合体を
80%とホモポリプロピレンを20%とした混合ポリプ
ロピレンを使用した多層フィルムを剥離し巻き取る際に
表面電位を測定したところポリエチレンテレフタレート
側は−20kV、ポリプロピレン側は+20kVであっ
た。また、巻き取ったポリエチレンテレフタレートフィ
ルムロールの花模様は30個/m2 であり、感熱転写プ
リンターリボン用のベースフィルムとしてインクを塗布
する際はじき等が起こり不十分であった。
【0071】[比較例4]ポリエステル原料および製膜
条件は実施例3と同様とし、ポリオレフィン原料とし
て、エチレン成分を5mol%含むランダム共重合体を
30%とホモポリプロピレンを70%とした混合ポリプ
ロピレンを使用した多層フィルムを剥離し巻き取る際に
表面電位を測定したところポリエチレン−2,6−ナフ
タレンジカルボキシレート側は−30kV、ポリプロピ
レン側は+30kVであった。また、巻き取ったポリエ
チレンテレフタレートフィルムロールのスモールピンプ
ルを測定したところ15個/ロール表面であり、磁気記
録用特にQIC用ベースフィルムとして不十分なレベル
であった。
【0072】
【本発明の効果】本発明の多層フィルムを剥離して得ら
れた熱可塑性樹脂フィルムは帯電性が良好せ、その帯電
による巻き込み異物や、放電による放電痕は皆無に近い
状態となり、感熱転写プリンターリボン用ベースフィル
ムのインク塗工性は良好であり、また磁気記録用特にQ
ICテープ用ベースフィルムとして巻き込み異物の少な
い製品ロールを得ることができた。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂(A)からなるポリマー層
    (A)の少なくとも1層と、該熱可塑性樹脂(A)と非
    相溶な熱可塑性樹脂(B)からなるポリマー層(B)の
    少なくとも1層とが隣接しており、且つ該隣接する2層
    間の層間接着力が0.1〜20g/cmの範囲にある多
    層フィルムであって、該熱可塑性樹脂(A)がMFR値
    0.5〜30g/10分のポリオレフィンであることを
    特徴とする多層フィルム。
  2. 【請求項2】 多層フィルムを構成するポリマー層
    (B)の少なくとも1層が最外層に存在する請求項1記
    載の多層フィルム。
  3. 【請求項3】 多層フィルムがポリマー層(A)とポリ
    マー層(B)とが交互に存在する3層以上のフィルムで
    ある請求項1または請求項2記載の多層フィルム。
  4. 【請求項4】 ポリマー層(A)の少なくとも1層が、
    珪素の酸化物を含む不活性粒子を0.01〜5重量%含
    む熱可塑性樹脂(A)を主成分とする請求項1乃至請求
    項3のいずれかに記載の多層フィルム。
  5. 【請求項5】 熱可塑性樹脂(B)がポリエステルであ
    る請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の多層フィル
    ム。
  6. 【請求項6】 多層フィルムからポリマー層(B)を
    剥離分離することにより熱可塑性樹脂(B)フィルムを
    製造するために用いる請求項1乃至請求項4のいずれか
    に記載の多層フィルム。
JP12986396A 1996-05-24 1996-05-24 多層フィルム Pending JPH09314771A (ja)

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EP19970303382 EP0808713A3 (en) 1996-05-24 1997-05-19 Biaxially oriented multilayered film
US08/861,018 US5932341A (en) 1996-05-24 1997-05-21 Biaxially oriented multilayered film
KR1019970020371A KR100308328B1 (ko) 1996-05-24 1997-05-23 이축 방향으로 연신처리된 다층 필름
ID971721A ID16965A (id) 1996-05-24 1997-05-23 Selaput berlapis banyak yang berorientasi dua sumbu

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2024025195A (ja) * 2022-08-10 2024-02-26 Toppanホールディングス株式会社 化粧シート及び化粧シートの製造方法

Cited By (1)

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