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JPH09268316A - 鋼材の焼戻し方法 - Google Patents

鋼材の焼戻し方法

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Publication number
JPH09268316A
JPH09268316A JP10638996A JP10638996A JPH09268316A JP H09268316 A JPH09268316 A JP H09268316A JP 10638996 A JP10638996 A JP 10638996A JP 10638996 A JP10638996 A JP 10638996A JP H09268316 A JPH09268316 A JP H09268316A
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JP
Japan
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heating
tempering
quenching
steel material
quenched
Prior art date
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Application number
JP10638996A
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English (en)
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JP3542229B2 (ja
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Michio Maruki
三千男 丸木
Koji Obayashi
巧治 大林
Takatoshi Suzuki
隆敏 鈴木
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Aisin AW Co Ltd
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Aisin AW Co Ltd
Toyota Central R&D Labs Inc
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Publication date
Application filed by Aisin AW Co Ltd, Toyota Central R&D Labs Inc filed Critical Aisin AW Co Ltd
Priority to JP10638996A priority Critical patent/JP3542229B2/ja
Publication of JPH09268316A publication Critical patent/JPH09268316A/ja
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    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 焼入れによる硬度向上効果を維持し,かつ,
残留応力を制御することができる,鋼材の焼戻し方法を
提供すること。 【解決手段】 鋼材をオーステナイト変態点以上に焼入
加熱した後急冷し,次いで,オーステナイト変態点未満
の温度で焼戻加熱する鋼材の焼戻し方法であって,焼戻
加熱は,焼入れたままの部分Bと焼き戻し部分Aとが互
いに隣接して形成されるよう,焼入加熱された焼入れ部
分に対して部分的に行う。焼入加熱は,鋼材の表層に溶
融を伴う温度で行うことが好ましい。また焼入加熱及び
焼戻加熱は,鋼材に対して高密度エネルギービームを照
射することにより行うことが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は,鋼材の焼入れ・焼戻しを行う方
法に関する。
【0002】
【従来技術】従来,鋼材の表面硬度を高くし,耐摩耗性
や疲労強度等を向上させるために,いわゆる焼入れ処理
が行われている。かかる焼入れ処理は,鋼材をオーステ
ナイト変態点以上の温度に加熱する焼入加熱を行い,次
いで急冷することにより,オーステナイト相をマルテン
サイト相に変態させる。このマルテンサイトは,非常に
硬く,鋼材の硬度を高めるのに非常に効果的である。
【0003】一方,鋼材の表面層を急速に焼入れ処理す
る方法として,例えば,高密度エネルギービームを照射
して鋼材の表面層を急激に加熱し,次いで急冷する方法
が提案されている(特願平7−345160号)。そし
て,この提案においては,上記加熱を,鋼材の表層が溶
融するほどの高いエネルギーを用いて行えば,非常に優
れた焼入れ効果が得られることが示されている。
【0004】即ち,鋼材をその表層が溶融する温度以上
の温度で加熱し,その後急冷することにより,表層の溶
融部分だけでなく,その下層部分が比較的深い範囲でマ
ルテンサイト化され,高硬度の焼入れ硬化層を比較的深
く形成することができる。そのため,極めて優れた硬度
向上効果が得られる。
【0005】
【解決しようとする課題】しかしながら,上記方法にお
いては,次の問題がある。即ち,上記鋼材の溶融温度以
上に加熱後急冷して焼入れする方法(以下,適宜溶融焼
入れという)によれば,優れた焼入れ効果が得られる一
方,表層の溶融層の再凝固時に引張残留応力が発生す
る。
【0006】この引張残留応力は,焼入れ歪みを発生さ
せる原因となるだけでなく,焼き割れや破損等を引き起
こしやすく,有害である。この対策として,焼入れした
部分を再度オーステナイト変態点未満の温度に加熱して
焼戻しする方法がある。これによれば,残留応力が十分
に除去される。
【0007】しかしながら,上記焼戻しした部分は,残
留応力が除去される一方,その硬度が低下して焼入れ効
果が減少してしまう。また,低温による焼戻し方法も考
えられるが,残留応力はほとんど除去されることなく,
根本的な解決方法ではない。そのため,十分な表面硬度
の向上が要求される鋼材においては,焼戻加熱を行うこ
とが非常に問題となる。
【0008】一方,鋼材によっては,上記溶融焼入れほ
どの硬度向上効果が必要ない場合がある。この場合に
は,上記加熱を鋼材のオーステナイト変態点以上で溶融
温度以下の温度で行いその後急冷する方法(以下,適宜
非溶融焼入れという)に変更することが考えられる。
【0009】しかし,この非溶融焼入れの場合には,所
望の硬度が得られ,かつ表層部分における引張残留応力
は解消しても,逆に,オーステナイトからマルテンサイ
トへの変態による体積膨張によって,表層に圧縮応力が
発生してしまう。これに対して,上記と同様に焼戻加熱
を行うことは,圧縮残留応力の除去には効果的である
が,硬度向上効果の低下は回避できない。
【0010】本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてな
されたもので,焼入れによる硬度向上効果を維持し,か
つ,残留応力を制御することができる,鋼材の焼戻し方
法を提供しようするものである。
【0011】
【課題の解決手段】請求項1の発明は,鋼材をオーステ
ナイト変態点以上に焼入加熱した後急冷し,次いで,オ
ーステナイト変態点未満の温度で焼戻加熱する鋼材の焼
戻し方法であって,上記焼戻加熱は,焼入れたままの部
分と焼戻し部分とが互いに隣接して形成されるよう,焼
入加熱された焼入れ部分に対して部分的に行うことを特
徴とする鋼材の焼戻し方法にある。
【0012】本発明において最も注目すべきことは,上
記焼戻加熱は,上記焼入加熱した焼入れ部分に対して,
部分的に行い,上記焼入れたままの部分と焼戻し部分と
が互いに隣接して形成されるように行うことである。
尚,本発明における上記焼入れたままの部分とは,低温
焼戻し等を行なった場合のような残留応力除去が不完全
で実質的に焼入れたままの部分も含む。
【0013】本発明において対象とする鋼材としては,
例えば,S50C,S23C,S10C等の炭素鋼,S
NCM,SCR,SCM等の合金鋼,SK,SKD,S
KH,SKS等の工具鋼がある。
【0014】上記焼入加熱は,上記のごとくオーステナ
イト変態点以上の温度で行う。即ち,焼入加熱は,後述
する図4に示した鉄−炭素系平衡状態図における,A3
線以上の温度で行う。これにより,鋼材がオーステナイ
トとなり,これを急冷することにより,オーステナイト
がマルテンサイトに変態し,焼入れ硬化層となる。一方
オーステナイト変態点以下の温度(上記A3 線未満の温
度)の場合には,加熱によってオーステナイトが得られ
ないため,急冷によるマルテンサイト変態も得られな
い。
【0015】また,上記焼戻加熱は,上記のごとくオー
ステナイト変態点未満の温度で行う。即ち,これも後述
する図4に示した鉄−炭素系平衡状態図において説明す
ると,上記A3 線未満の温度で行う。一方,焼戻加熱を
上記A3 線以上の温度で行った場合には,焼入れ硬化効
果が消滅してしまうという問題がある。
【0016】次に,本発明の作用につき説明する。本発
明の鋼材の焼戻し方法においては,上記焼戻加熱を,上
記焼入れ部分に対して部分的に行い,上記焼入れたまま
の部分と焼戻し部分とを互いに隣接して形成する。
【0017】このとき,上記焼入れたままの部分は,残
留応力が残存しているが,上記焼戻し部分は残留応力が
十分に除去されている。そして,残留応力残存部と残留
応力除去部とが,互いに隣接して存在している。そのた
め,全体でみれば,残留応力は大きく緩和され,従来の
焼入れ歪み等の発生を防止することができる。
【0018】また,上記焼戻加熱した焼戻し部分は,焼
入れたままの状態よりも硬度が低下している。しかしな
がら,本発明においては,この焼戻し部分に隣接させて
焼入れたままの部分を配置している。そのため,全体を
焼戻加熱した場合に比べて,平均的に高い硬度を維持す
ることができる。それ故,焼入れによる硬度向上効果を
維持しつつ,残留応力の制御を行うことができる。
【0019】次に,請求項2の発明のように,上記焼入
加熱は,鋼材の表層に溶融を伴う温度で行うことが好ま
しい。具体的には,焼入加熱は,後述する図4の鉄−炭
素系平衡状態図において,例えば組成がL1 の場合に
は,鋼材の表層がP2 以上の温度になるように加熱する
ことが好ましい。
【0020】これにより,その後の急冷によって表層の
溶融部分だけでなく,その下層部分が比較的深い範囲で
マルテンサイト化され,高い硬度の焼入れ硬化層を比較
的深く形成することができる。そのため,極めて優れた
硬度向上効果が得られる。ただし,この場合には,上記
焼入れたままの部分に残存する残留応力は,引張残留応
力となる。凝固収縮現象のためである。
【0021】また,請求項3の発明のように,上記焼入
加熱は,鋼材の表層に溶融を伴わない温度で行うことも
できる。具体的には,焼入加熱は,後述する図4の鉄−
炭素系平衡状態図において,例えば組成がL1 の場合に
は,鋼材の表層がP1 以上でP2 未満の温度になるよう
に加熱することもできる。
【0022】この場合には,上記の鋼材表層の溶融を伴
う加熱の場合に比べて焼入れ硬化層の形成が浅くなる
が,それでも焼入れしないものに比べて十分な硬度向上
効果が得られる。ただし,この場合には,上記焼入れた
ままの部分に残存する残留応力は,圧縮残留応力とな
る。オーステナイトからマルテンサイトへの変態に伴う
体積膨張のためである。
【0023】また,請求項4の発明のように,上記焼入
加熱と焼戻加熱とは,鋼材における調質所望部分のみに
対して行うことができる。ここでいう調質所望部分と
は,鋼材の一部分であって焼入れにより硬化したい部分
をいう。これにより,製品の特性等に応じて,必要部分
にのみ焼入れ硬化部分を形成し,他の部分には例えば比
較的軟らかく粘り強い性質の部分を残すことができる。
【0024】また,請求項5の発明のように,上記オー
ステナイト変態点以上の温度への焼入加熱及び上記オー
ステナイト変態点未満の温度への焼戻加熱は,鋼材に対
して高密度エネルギービームを照射することにより行う
ことが好ましい。これにより,上記焼入加熱及び焼戻加
熱をレスポンス良く,効率よく行うことができる。その
ため,高い生産性と安定した品質が得られる。この高密
度エネルギービームによる方法は,上記調質所望部分の
みを部分的に焼入れ処理したい場合に,特にその効果が
大きい。
【0025】上記高密度エネルギービームとしては,例
えば電子ビーム,レーザビーム,また,ビームではない
が高周波加熱などの高密度エネルギーがある。本発明で
は,これらを総称して高密度エネルギービームという。
なお,上記電子ビームは電子ビームガンに高電圧を印加
することにより発生させる。また,レーザ光は,レーザ
発振器に高電圧を印加することにより発生させる。
【0026】次に,請求項6の発明のように,上記高密
度エネルギービームは,鋼材を上記オーステナイト変態
点以上の温度に加熱する焼入加熱用ビームと,上記オー
ステナイト変態点未満の温度に加熱する焼戻加熱用ビー
ムとを用いて,まず焼入加熱用ビームにより鋼材を焼入
加熱し,次いでマルテンサイト変態点以下の温度まで急
冷された焼入れ部分に,上記焼戻加熱用ビームを断続的
に照射することにより行う方法がある。
【0027】この場合には,上記焼入加熱用ビームと焼
戻加熱用ビームとを,鋼材に順次続けて照射するため,
上記2つの熱処理(上記オーステナイト変態点以上への
焼入加熱,及びオーステナイト変態点未満への焼戻加
熱)を連続的に行うことができる。そのため,上記加熱
→急冷→再加熱を,一層レスポンス良く行うことができ
る。尚,上記焼戻加熱用ビームを断続的に照射すると
は,上記焼入れたままの部分に対応する部分には照射せ
ず,焼戻し部分に対応する部分のみに照射する動作を繰
り返し行うことを意味する。
【0028】なお,上記の急冷は,上記焼入加熱用ビー
ムの照射と上記焼戻加熱用ビームの照射との間に若干の
時間間隔を設けることによって達成できる。つまり,こ
の時間間隔の間に,焼入加熱用ビームにより鋼材に与え
られた熱が鋼材内及び鋼材外へ急速に伝達され,鋼材は
急冷される。上記時間間隔は,鋼材の焼入加熱部分がマ
ルテンサイト変態点以下の温度に達するまでに必要な時
間である。
【0029】次に,請求項7の発明のように,上記高密
度エネルギービームは,1箇所のビーム発生源から発射
されたビームを,複数箇所に分配して照射することがで
きる。この場合には,1本の高密度エネルギービームを
偏向制御装置等により複数に分割する。これにより,1
本の高密度エネルギービームを,鋼材における所望する
複数部分に,同時に分配照射することができ,照射設備
を小型化することができる。
【0030】次に,請求項8の発明のように,上記急冷
は103 ℃/分以上の速度で行うことが好ましい。上記
103 ℃/分未満では,十分にマルテンサイト変態がお
こらないおそれがある。なお,その上限は,速いほど好
ましいが,鋼の熱伝導率により限定されるものである。
【0031】
【発明の実施の形態】
実施形態例1 本発明の実施形態例にかかる鋼材の焼戻し方法につき,
図1〜図5を用いて説明する。本例の鋼材の焼戻し方法
は,図2〜図4に示すごとく,被処理材としての鋼材2
(図2)の調質所望部分20をオーステナイト変態点以
上(図4のA3 線以上)でかつ表層に溶融を伴う温度に
焼入加熱した後急冷し,次いでオーステナイト変態点未
満の温度(図4のA3 線未満)で焼戻加熱する焼戻し方
法である。
【0032】なお,ここでは簡単の為,鉄−炭素2元系
平衡状態図で説明するが,これらの変態温度は鋼の成分
によって異なるばかりでなく,急速な加熱では変態温度
は高温側へ,急速な冷却では変態温度は低温側へ移行す
ることが知られており,具体的に鋼の変態温度の数値を
図4に示すごとく限定するものではない。
【0033】そして,上記焼戻加熱は,図1に示すごと
く,焼入れたままの部分Bと焼戻し部分Aとが,互いに
隣接して形成されるように,焼入加熱された焼入れ部分
に対して部分的に行う。尚,本例の焼入れは,上記のご
とく,焼入加熱を鋼材の表面に溶融を伴う温度で行うた
め,便宜上溶融焼入という。
【0034】即ち,図3(a)に示すごとく,上記調質
所望部分20における焼戻し部分Aは,オーステナイト
変態点T4 以上で溶融温度T5 以上の温度31に加熱
し,次いでマルテンサイト変態点T3 未満の温度34に
急冷し,その後,再びオーステナイト変態点T4 未満の
温度33に加熱するというヒートパターンにより熱処理
される。
【0035】一方,図3(b)に示すごとく,上記調質
所望部分20における溶融焼入れしたままの部分Bは,
オーステナイト変態点T4 以上かつ溶融温度T5 以上の
温度31に加熱され,次いでマルテンサイト変態点T3
未満の温度34に急冷されたままというヒートパターン
により熱処理される。
【0036】また,本例における焼入加熱及び焼戻加熱
は,図2に示すごとく,鋼材2の調質所望部分20に高
密度エネルギービーム11,12を照射することにより
行っている。つまり,図2(a)(b)に示すごとく,
高密度エネルギービーム発生源1より高密度エネルギー
ビーム10を発射し,これを焼入加熱の場合には出力の
高い焼入加熱用ビーム11とし,焼戻加熱の場合には出
力の低い焼戻加熱用ビーム12に切り換える。
【0037】上記高密度エネルギービーム11,12の
照射は,まず上記焼入加熱用ビーム11を,鋼材2の調
質所望部分20全体に対して予め照射し,次いで,調質
所望部分20の焼戻し部分Aのみに焼戻加熱用ビーム1
2を照射する手順で行う。具体的には,図2に示すごと
く,鋼材2を同図の矢印方向へ移動させながら,調質所
望部分20に対してまず上記焼入加熱用ビーム11を照
射する。
【0038】焼入加熱用ビーム11を照射した部分21
は,その照射が完了した時点から急速に自己放冷され,
上記焼戻加熱を開始するまでに十分に急冷される。次い
で,焼入加熱完了後,上記高密度エネルギービームを焼
戻加熱用ビーム12に切り換え,更にこれをオン・オフ
しながら,移動する調質所望部分20に照射する。焼戻
加熱用ビーム12を照射した部分22は,焼戻し部分A
となる。したがって,焼戻加熱用ビーム12を照射しな
かった部分は,溶融焼入れしたままの部分Bとなる。
【0039】上記のごとく,本例においては,図1に示
すように,溶融焼入れしたままの部分Bと焼戻し部分A
とが互いに隣接して交互に形成される。そのため,図5
に示すごとく,溶融焼入れのままの部分Bは引張残留応
力状態81(図5(a)),一方焼戻し部分Aは残留応
力がない状態82(図5(b))となり,連続的にみれ
ば,これらが交互に存在してサインカーブ状83(図5
(c))になっている。
【0040】即ち,鋼材2の調質所望部分20は,全体
的にみれば,焼入れたままの状態に比べて格段に残留応
力が緩和された状態となる。それ故,溶融焼入れ処理後
の残留応力に起因する歪みの発生や置き割れ等の不具合
を十分に防止することができる。
【0041】また,図1に示すごとく,焼戻し部分A
は,比較的硬度が低い状態になる。しかしながら,本例
においては,上記のごとく焼戻し部分Aに交互に隣接す
るように溶融焼入れしたままの部分Bを配置している。
この溶融焼入れしたままの部分Bは,極めて高い硬度を
有する。そのため,調質所望部分20全体の硬度は,十
分に高い硬度に維持される。したがって,本例において
は,焼入れによる硬度向上効果を維持しながら,残留応
力の制御を行うことができる。
【0042】実施形態例2 本例は,図6に示すごとく,実施形態例1における上記
焼入加熱及び焼戻加熱の一連の処理を,複数列に順次位
置をずらしながら実施した。即ち,鋼材2の調質所望部
分20には,縦横に焼戻し部分Aと溶融焼入れしたまま
の部分Bとが交互に市松模様状に配置した。
【0043】この場合には,比較的広い調質所望部分2
0を処理する場合に,上記のごとく性質の異なる部分
A,Bが縦横にバランス良く配置され,上記実施形態例
1の効果がさらに向上する。
【0044】実施形態例3 本例は,実施形態例1において,焼入加熱は,鋼材の表
層に溶融を伴わない温度で行った。そして,その後急冷
し,いわば非溶融焼入れを行った。具体的には,前述し
た図3(a)(b)に示すごとく,焼戻し部分A,焼入
れたままの部分B共に,最初の焼入加熱の温度をオース
テナイト変態点T4 以上で溶融温度T5未満の温度32
とした。その他は,実施形態例1と同様である。
【0045】本例においては,図7(a)に示すように
焼戻しした部分Aと非溶融焼入れしたままの部分Bと
が,交互に隣接して形成された。その結果,図8に示す
ごとく,非溶融焼入れしたままの部分Bは圧縮残留応力
状態84(図8(a)),一方焼戻し部分Aは残留応力
がない状態85(図8(b))となり,連続的にみれ
ば,これらが交互に存在してサインカーブ状86(図8
(c))になった。
【0046】即ち,鋼材2の調質所望部分20は,全体
的にみれば,焼入れたままの状態に比べて格段に残留応
力が緩和された状態となる。それ故,非溶融焼入れ処理
後の圧縮残留応力に起因する歪みの発生や置き割れ等の
不具合を十分に防止することができる。
【0047】また,図7(c)に示すごとく,焼戻し部
分Aは,比較的硬度が低い状態になる。しかしながら,
本例においては,上記のごとく焼戻し部分Aに交互に隣
接するように非溶融焼入れしたままの部分Bを配置して
いる。この非溶融焼入れしたままの部分Bは,前記溶融
焼入れの場合よりは硬度が低いが,上記焼戻し部分Aよ
りも十分に高い硬度を有する。そのため,調質所望部分
20全体の硬度は,高い硬度に維持される。したがっ
て,本例においては,非溶融焼入れによる硬度向上効果
を維持しながら,残留応力の制御を行うことができる。
【0048】尚,本例においても,図9に示すごとく,
上記一連の処理を幅方向の位置をずらしながら繰り返
し,焼戻し部分Aと非溶融焼入れしたままの部分Bとを
縦横に交互に市松模様状に配置した場合には,さらに効
果的となる。
【0049】実施形態例4 本例は,図10〜図12に示すごとく,上記実施形態例
1に示した鋼材の焼戻し方法において,鋼材2を回転さ
せながら,該鋼材2におけるリング状の調質所望部分2
0(図11,図12)に対して,まず焼入加熱用ビーム
11を照射し(図11),次いで焼戻加熱用ビーム12
を照射する(図12),熱処理装置及び方法を示すもの
である。
【0050】本例における,被処理材としての鋼材2
は,トルクコンバータ用部品のロックアップクラッチピ
ストンである。このピストンは皿状をなしている(図1
0,図13参照)。そして,その一部分にリング状の焼
入れ調質を施す(図11,図12)。上記熱処理装置
は,図10に示すごとく,鋼材2を入れる加工室19
と,該加工室19内に上記高密度エネルギービーム10
を照射するビーム発生源1と,該ビーム発生源1からの
高密度エネルギービーム10を,焼入加熱用ビームと焼
戻加熱用ビームとに切り換える偏向コイル111,11
2とを有する。
【0051】また,加工室19内を減圧する真空排気装
置16と,上記偏向コイル111,112における高密
度エネルギービームの高速偏向制御装置110とを有す
る。上記偏向コイル111,112に流す電流の周波数
及び波形を変えることにより,高密度エネルギービーム
10の出力を任意に変更し,焼入加熱用ビームと焼戻加
熱用ビームとに切り換えることができる。また,上記加
工室19の下部には,上記鋼材2の載置台15を回転さ
せるための回転モータ150を有する。これらの装置
は,総合制御装置17によりコントロールされる。
【0052】そして,上記熱処理装置により,鋼材の焼
入れを実施するに当たっては,まず上記回転モータ15
0を駆動させて,上記鋼材2を図11,図12の矢印方
向に約8m/分の速度で回転させておく。また,真空排
気装置16により,加工室19内を真空状態にする。
【0053】そして,図11に示すごとく,鋼材2の調
質所望部分20に対してまず出力3.5KWの高密度エ
ネルギービームを焼入加熱用ビーム11として照射しな
がら鋼材2を1回転させる。焼入加熱用ビーム11を照
射した部分は,照射完了後,自己放冷により即座に急冷
される。次いで,高密度エネルギービームの出力を下げ
て1.5KWとした焼戻加熱用ビーム12を断続的に照
射する。即ち,焼入れのままの部分Bには照射せずに鋼
材2を空回りさせ,焼戻し部分Aのみに照射する。
【0054】このように,鋼材2が2回転した時点で,
リング状の焼入れ処理及び焼戻し処理が完了する。即
ち,本例においては,短時間で確実に,溶融焼入れした
ままの部分Bと焼戻し部分Aとを互いに隣接して鋼材2
に形成することができる。したがって,本例において
は,確実かつ迅速に処理できると共に,実施形態例1と
同様の効果が得られる。
【0055】実施形態例5 本例は,実施形態例1及び4に示した鋼材の焼入れ方法
及び装置を用いた具体例である。即ち,本例における被
処理品としての鋼材は,図13に示すごとく,トルクコ
ンバータに用いるロックアップクラッチピストン41で
ある。
【0056】このロックアップクラッチピストン41
は,トルクコンバータにおいて,伝達トルクの変動を吸
収するためのダンパ装置に部分的にかしめ固定されるも
のである。なお,同図の符号43は取付用穴である。そ
して,上記ダンパ装置は,図13に示すごとく,タービ
ンライナと一体に回転させられるドリブンプレート51
及びスプリング52,53等からなる。
【0057】ここで,図13に示すごとくスプリング5
2はロックアップクラッチピストン41の円周方向にお
ける8箇所に配設された第1ステージ用のものであり,
またスプリング53はロックアップクラッチピストン4
1の円周方向における4箇所に配設された第2ステージ
用のものであって,このスプリング53はスプリング5
2内に一つ置きに配設される。なお,前記スプリング5
3はスプリング52より径が小さく,かつ短く設定さ
れ,スプリング52の捩れ角が設定値になって伝達トル
クが屈曲点トルクに到達した後に撓み始める。
【0058】従って,フロントカバーから摩擦材を介し
て伝達された回転は前記ダンパ装置を介してタービンハ
ブに伝達されるが,この際,スプリング52,53が収
縮して回転伝達時における伝達トルクの変動を吸収す
る。また,“エンジンの出力トルクの急激な変動”が図
示しない変速装置に伝達されることによって起きる振
動,騒音等を防止する役目を担っている。
【0059】ところで,前記ロックアップクラッチピス
トン41の正駆動時(ロックアップクラッチ装置が係合
状態に置かれてロックアップクラッチピストン41が図
13における反時計回り方向に回転する時)及び逆駆動
時(エンジンブレーキ時等でロックアップクラッチピス
トン41が図13における時計回り方向に回転する時)
には前記スプリング52が圧縮されるので,このスプリ
ング52がロックアップクラッチピストン41の平板部
411と繰り返し摺動しがちとなる。
【0060】そのため,ロックアップクラッチピストン
41の平板部411にはスプリング52との摺動による
摩擦が生じるという問題がある。そして,ロックアップ
クラッチピストン41は上記スプリング52と接触する
ドーナツ状のスプリング受け40の部分(図13のハッ
チング部分)を有している。
【0061】このロックアップクラッチピストンのスプ
リング受け40は,耐摩耗性等が要求される。そのた
め,そのスプリング受け部分(厚み3mm)に,部分的
に表面硬化処理を施す必要がある。上記部品の材質は,
S23Cである。
【0062】また,焼入れ,焼戻し処理を行うに当たっ
ては,上記焼入加熱,焼戻加熱には実施形態例1,4に
示した高密度エネルギービームとしての電子ビームを用
いた。上記電子ビーム発生装置は,最大5KWの出力を
有し,焼入加熱用ビームとしての3.5KWの電子ビー
ムと焼戻加熱用ビームとしての1.5KWの電子ビーム
とを切り換えて発射することができる。
【0063】そして,上記部品は,10rpmにて約8
m/分の送り速度で回転させ,その半径127mmの位
置に実施形態例4に示すごとく,焼入加熱用ビーム11
を1回転分照射し,次いで焼戻加熱用ビーム12に切り
換えてこれをオン・オフしながら断続的に照射した。
【0064】上記焼入加熱用ビーム11及び焼戻加熱用
ビーム12は,図14に示すごとく,ともにその偏向軌
跡はX方向5mm,Y方向10mmである。そして,部
品の回転によって,電子ビームの軌跡は矢印H方向に移
動する。なお,上記焼入加熱された部分は,加熱直後に
鋼材2の自己放冷により十分に急冷され,焼入れられ
る。
【0065】上記のごとき処理した結果,鋼材2の調質
所望部分20には,焼入れたままの部分Bと焼戻し部分
Aとが交互に隣接して形成された。その結果,上記部品
は,上記のスプリング受け部分がリング状に平均的に十
分に硬度が高い部分が形成された。一方,残留応力は,
従来に比べて平均的に十分に緩和されていた。
【0066】実施形態例6 本例は,図15,図16に示すごとく,実施形態例4に
示した熱処理装置を用いて,1箇所のビーム発生源から
発射された高密度エネルギービームを偏向コイル11
1,112(図10)を用いて2つのビームに分配し,
これらをそれぞれ上記焼入加熱用ビーム11及び焼戻加
熱用ビーム12として用いた。
【0067】即ち,図15,図16に示すごとく,鋼材
2を矢印方向に回転させながら,上記焼入加熱用ビーム
11と焼戻加熱用ビーム12とを一定間隔を開けて順次
照射する。また,上記焼戻加熱用ビーム12は,オン・
オフを繰り返して,焼戻し部分Aのみに照射する。その
他は,実施形態例1,4,5と同様である。
【0068】この場合には,上記一連の熱処理を,鋼材
2の1回転で行うことができる。そのため,上記実施形
態例に比べてさらに短時間で処理を終えることができ,
非常に効率的である。
【0069】実施形態例7 本例は,実施形態例6における2つの電子ビームを照射
する場合の,電子ビームの照射軌跡の1例を図17に示
す。本例では,電子ビームは,2つの円偏向軌跡C1
2 に従って照射される。この場合,各円偏向軌跡
1 ,C2 によってそれぞれ被熱処理領域25,26に
電子ビームが照射され,その間中,被熱処理部材はその
中心軸回りに回転させられる。従って,被熱処理領域2
5.26における電子ビームの軌跡は矢印H方向に移動
する。
【0070】なお,各円偏向軌跡C1 ,C2 は,x軸方
向及びy軸方向において正弦波の偏向波形を発生させ,
その偏向の組合せによって形成される。また,各円偏向
軌跡C1 ,C2 を切り換え,隣接する被熱処理領域2
5,26において交互に電子ビームを照射するために,
図18のような偏向波形w1 が発生させられ,該偏向波
形w1 と前記y軸方向における偏向波形とが重ねられ
る。
【0071】従って,電圧VE が正の値を採る時間t1
の間に被熱処理領域25に電子ビームが照射され,電圧
E が負の値を採る時間t2 の間に被熱処理領域26に
電子ビームが照射される。また,前記偏向波形w1 の時
間t1 ,t2 の長さを調整することにより,各被熱処理
領域25,26への照射エネルギーを調整することがで
きる。
【0072】実施形態例8 本例は,図19に示すごとく,被熱処理領域27,28
へ電子ビームを照射する場合の別例を示している。この
場合には,二つの面偏向軌跡C3 ,C4 によって電子ビ
ームが照射される。つまり,各面偏向軌跡C3 ,C4
よってそれぞれ被熱処理領域27,28に電子ビームが
照射され,その間中,被処理部材はその中心軸回りに回
転させられる。従って,この場合も被熱処理領域27,
28における電子ビームの軌跡は矢印H方向に移動す
る。
【0073】なお,各面偏向軌跡C3 ,C4 はx軸方向
及びy軸方向において三角波の偏向電圧を発生させるこ
とによって形成される。また,各面偏向軌跡C3 ,C4
を切り換え,被熱処理領域27,28において電子ビー
ムを照射するために,図20に示すような偏向波形w1
と前記x軸方向及びy軸方向における三角波とが重ねら
れる。勿論,円偏向と面偏向とを組み合わせたり,線,
楕円等の軌跡をたどるように電子ビームを偏向させるこ
ともできる。その他は,実施形態例6と同様である。
【0074】ところで,上記実施形態例ではトルクコン
バータのロックアップクラッチピストンを処理する例を
説明したが,その外,例えば多板摩擦係合装置における
プレート摺動部,部材同士又はスナップリング等による
結合部,オイルポンププレート,シールリング等,表層
部を全部又は部分的に残留応力を制御しつつ硬化させる
必要がある鋼部材であれば,いずれのものであっても本
発明を適用することができる。
【0075】
【発明の効果】本発明によれば,焼入れによる硬度向上
効果を維持し,かつ,残留応力を制御することができ
る,鋼材の焼戻し方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1における,(a)熱処理パター
ン,(b)残留応力パターン,(c)硬度パターン,を
示す説明図。
【図2】実施形態例1における,高密度エネルギービー
ムの照射状態を示す,(a)側面図,(b)平面図。
【図3】実施形態例1における,(a)焼戻し部分,
(b)溶融焼入れしたままの部分,のヒートパターンを
示す説明図。
【図4】鉄−炭素系平衡状態図を示す説明図。
【図5】実施形態例1における,(a)溶融焼入れした
ままの部分,(b)焼戻し部分,(c)全体,の残留応
力状態を示す説明図。
【図6】実施形態例2における,熱処理パターンを示す
説明図。
【図7】実施形態例3における,(a)熱処理パター
ン,(b)残留応力パターン,(c)硬度パターン,を
示す説明図。
【図8】実施形態例3における,(a)非溶融焼入れし
たままの部分,(b)焼戻し部分,(c)全体,の残留
応力状態を示す説明図。
【図9】実施形態例3における,他の熱処理パターンを
示す説明図。
【図10】実施形態例4における,熱処理装置の説明
図。
【図11】実施形態例4における,焼入加熱用ビームの
照射状態を示す説明図。
【図12】実施形態例4における,焼戻加熱用ビームの
照射状態を示す説明図。
【図13】実施形態例5における,ロックアップクラッ
チピストンの説明図。
【図14】実施形態例5における,電子ビームの照射部
の軌跡の一例を示す説明図。
【図15】実施形態例6における,高密度エネルギービ
ームの照射状態を示す,(a)側面図,(b)平面図。
【図16】実施形態例6における,高密度エネルギービ
ームの照射状態を示す説明図。
【図17】実施形態例7における,電子ビームの照射部
の軌跡の一例を示す説明図。
【図18】実施形態例7における,電子ビーム照射の偏
向波形例を示す説明図。
【図19】実施形態例7における,電子ビームの照射部
の軌跡の他の例を示す説明図。
【図20】実施形態例7における,電子ビーム照射の偏
向波形例を示す説明図。
【符号の説明】
1...高密度エネルギービームの発生源, 10...高密度エネルギービーム, 11...焼入加熱用ビーム, 12...焼戻加熱用ビーム, 2...鋼材, 20...調質所望部分, A...焼戻し部分, B...焼入れたままの部分(溶融焼入れ又は非溶融焼
入れたままの部分),
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大林 巧治 愛知県安城市藤井町高根10番地 アイシ ン・エィ ダブリュ株式会社内 (72)発明者 鈴木 隆敏 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼材をオーステナイト変態点以上に焼入
    加熱した後急冷し,次いで,オーステナイト変態点未満
    の温度で焼戻加熱する鋼材の焼戻し方法であって,上記
    焼戻加熱は,焼入れたままの部分と焼戻し部分とが互い
    に隣接して形成されるよう,焼入加熱された焼入れ部分
    に対して部分的に行うことを特徴とする鋼材の焼戻し方
    法。
  2. 【請求項2】 請求項1において,上記焼入加熱は,鋼
    材の表層に溶融を伴う温度で行うことを特徴とする鋼材
    の焼戻し方法。
  3. 【請求項3】 請求項1において,上記焼入加熱は,鋼
    材の表層に溶融を伴わない温度で行うことを特徴とする
    鋼材の焼戻し方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項において,
    上記焼入加熱と焼戻加熱とは,鋼材における調質所望部
    分のみに対して行うことを特徴とする鋼材の焼戻し方
    法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項において,
    上記オーステナイト変態点以上の温度への焼入加熱及び
    上記オーステナイト変態点未満の温度への焼戻加熱は,
    鋼材に対して高密度エネルギービームを照射することに
    より行うことを特徴とする鋼材の焼戻し方法。
  6. 【請求項6】 請求項5において,上記高密度エネルギ
    ービームは,鋼材を上記オーステナイト変態点以上の温
    度に加熱する焼入加熱用ビームと,上記オーステナイト
    変態点未満の温度に加熱する焼戻加熱用ビームとを用い
    て,まず焼入加熱用ビームにより鋼材を焼入加熱し,次
    いでマルテンサイト変態点以下の温度まで急冷された焼
    入れ部分に,上記焼戻加熱用ビームを断続的に照射する
    ことにより行うことを特徴とする鋼材の焼戻し方法。
  7. 【請求項7】 請求項5又は6において,上記高密度エ
    ネルギービームは,1箇所のビーム発生源から発射され
    たビームを,複数箇所に分配して照射することを特徴と
    する鋼材の焼戻し方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7において,上記急冷は10
    3 ℃/分以上の速度で行うことを特徴とする鋼材の焼戻
    し方法。
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