JPH09263983A - ニッケルを含む塩化鉄系溶液の処理方法及び当該方法を実施するための装置 - Google Patents
ニッケルを含む塩化鉄系溶液の処理方法及び当該方法を実施するための装置Info
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- JPH09263983A JPH09263983A JP7714296A JP7714296A JPH09263983A JP H09263983 A JPH09263983 A JP H09263983A JP 7714296 A JP7714296 A JP 7714296A JP 7714296 A JP7714296 A JP 7714296A JP H09263983 A JPH09263983 A JP H09263983A
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- ing And Chemical Polishing (AREA)
- Electrolytic Production Of Metals (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 ニッケルを含有する塩化物系の使用済みエッ
チング廃液を連続的に電解処理してリサイクルしなが
ら、ランニングコスト及び設備コストが低く、工業化に
適した再生方法を提供する。 【解決手段】 ニッケルを含む塩化鉄系溶液を、無極性
隔膜を用いて電解して、脱ニッケルする処理方法におい
て、陰極側で金属を析出することなく鉄イオンを還元す
る条件で電解する第1電解段階と、金属析出する第2電
解段階とをそれぞれ分離して行う。
チング廃液を連続的に電解処理してリサイクルしなが
ら、ランニングコスト及び設備コストが低く、工業化に
適した再生方法を提供する。 【解決手段】 ニッケルを含む塩化鉄系溶液を、無極性
隔膜を用いて電解して、脱ニッケルする処理方法におい
て、陰極側で金属を析出することなく鉄イオンを還元す
る条件で電解する第1電解段階と、金属析出する第2電
解段階とをそれぞれ分離して行う。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ニッケル又はニッ
ケル合金からなる金属部材を塩化第2鉄を主成分とする
エッチング液で加工する際、当該エッチング工程から排
出されるニッケル含有の廃液を処理する方法と当該方法
を実施するための装置に関するもので、とりわけ上記廃
液から過剰のニッケル及び鉄を回収除去するとともに、
エッチング液として再生するものである。
ケル合金からなる金属部材を塩化第2鉄を主成分とする
エッチング液で加工する際、当該エッチング工程から排
出されるニッケル含有の廃液を処理する方法と当該方法
を実施するための装置に関するもので、とりわけ上記廃
液から過剰のニッケル及び鉄を回収除去するとともに、
エッチング液として再生するものである。
【0002】
【従来の技術】例えばカラー受像管の一構成部材たるシ
ャドーマスクは、鉄及びニッケルを主成分とする素材の
厚さ0.1〜0.3mm薄板にエッチング処理を施し
て、多数の電子ビーム開孔を穿設することで形成され
る。このエッチング工程において、上記素材を塩化第2
鉄溶液を用いて開孔穿設する際、エッチング能力を有し
ないFeCl2やNiCl2を生成する。このように、3
価の鉄イオンが還元されてなる2価の鉄イオンやニッケ
ルイオンを含む使用済みのエッチング廃液は、環境汚染
の問題や、省資源や経済性の観点から、液中の過剰金属
を回収するとともに、エッチング液として再生し、エッ
チング操作に再利用することが望ましい。
ャドーマスクは、鉄及びニッケルを主成分とする素材の
厚さ0.1〜0.3mm薄板にエッチング処理を施し
て、多数の電子ビーム開孔を穿設することで形成され
る。このエッチング工程において、上記素材を塩化第2
鉄溶液を用いて開孔穿設する際、エッチング能力を有し
ないFeCl2やNiCl2を生成する。このように、3
価の鉄イオンが還元されてなる2価の鉄イオンやニッケ
ルイオンを含む使用済みのエッチング廃液は、環境汚染
の問題や、省資源や経済性の観点から、液中の過剰金属
を回収するとともに、エッチング液として再生し、エッ
チング操作に再利用することが望ましい。
【0003】特開平5−263273号公報に開示され
るように、一般的に上記廃液は所謂鉄置換法によって処
理されているが、その処理液をオンサイト(on site)で
リサイクルする技術を工業化するには至っていない。
るように、一般的に上記廃液は所謂鉄置換法によって処
理されているが、その処理液をオンサイト(on site)で
リサイクルする技術を工業化するには至っていない。
【0004】また本出願人は過去に特開平6−2404
75号において、エッチング能力を有しないFeCl2
やNiCl2を含み塩化第2鉄を主成分とするエッチン
グ廃液を電解処理して再生する方法を提案した。この再
生方法は、エッチング廃液を隔膜電解法と塩素ガス法の
両方で処理することを基本概念とするものである。
75号において、エッチング能力を有しないFeCl2
やNiCl2を含み塩化第2鉄を主成分とするエッチン
グ廃液を電解処理して再生する方法を提案した。この再
生方法は、エッチング廃液を隔膜電解法と塩素ガス法の
両方で処理することを基本概念とするものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな再生方法により電析するニッケル・鉄合金は、固い
密着性の析出形態となるため、不溶解性の陰極板から当
該析出合金を引き剥がして回収することが容易でない。
引き剥がしを容易にするためには陰極板の形状や材質を
慎重に選定することが必要な他、各種の補助装置等を備
えることも場合によっては必要になる。
うな再生方法により電析するニッケル・鉄合金は、固い
密着性の析出形態となるため、不溶解性の陰極板から当
該析出合金を引き剥がして回収することが容易でない。
引き剥がしを容易にするためには陰極板の形状や材質を
慎重に選定することが必要な他、各種の補助装置等を備
えることも場合によっては必要になる。
【0006】一方、上記廃液をバッチ方式で電解還元す
ると、金属析出に先行して、3価の鉄イオンが2価の鉄
イオンへ還元される反応のみが起こる領域が存在するの
で、同一仕様の電解槽を用いて上記廃液をバッチ式で電
解再生することは不経済である。
ると、金属析出に先行して、3価の鉄イオンが2価の鉄
イオンへ還元される反応のみが起こる領域が存在するの
で、同一仕様の電解槽を用いて上記廃液をバッチ式で電
解再生することは不経済である。
【0007】そこで本発明は、ニッケルを含有する塩化
物系の使用済みエッチング廃液を連続的に電解処理して
リサイクルしながら、少ない消費電力で、設備コストを
極力抑え工業化に適した再生方法及びその実施のための
装置を提供することを課題とする。
物系の使用済みエッチング廃液を連続的に電解処理して
リサイクルしながら、少ない消費電力で、設備コストを
極力抑え工業化に適した再生方法及びその実施のための
装置を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題のう
ち、方法については、ニッケルを含む塩化鉄系溶液を、
無極性隔膜を用いて電解して、脱ニッケルする処理方法
において、陰極側で金属を析出することなく鉄イオンを
還元する条件で電解する第1電解段階と、金属析出する
第2電解段階とをそれぞれ分離して行うことによって、
解決した。
ち、方法については、ニッケルを含む塩化鉄系溶液を、
無極性隔膜を用いて電解して、脱ニッケルする処理方法
において、陰極側で金属を析出することなく鉄イオンを
還元する条件で電解する第1電解段階と、金属析出する
第2電解段階とをそれぞれ分離して行うことによって、
解決した。
【0009】また、当該方法の実施のための装置は、一
つには、陰極室と陽極室とが無極性隔膜を介して区分け
されてなる、上記第1電解段階を行う電解槽と、無極性
隔膜によって陰極室と陽極室とに区分けされ、陰極室で
析出した金属を回収するための引出部を備えてなる、上
記第2電解段階を行う電解槽とからなる。第1電解段階
を行う上記電解槽が直列的に複数個備えられ、これらの
電解槽間で液の流れを正逆転することが可能に構成され
ていれば、効果的である。また、第1電解段階を行う電
解槽が、無極性隔膜によって仕切られ陽極を内蔵する複
数の陽極室を収容する陰極室筐体からなり、当該複数の
陽極室のそれぞれの間に陰極が配置された構成を有して
いても、上記方法を有効に実施することができる。この
ような構成の電解槽を複数個直列的に配置することも当
然ながら可能であり、好適である。
つには、陰極室と陽極室とが無極性隔膜を介して区分け
されてなる、上記第1電解段階を行う電解槽と、無極性
隔膜によって陰極室と陽極室とに区分けされ、陰極室で
析出した金属を回収するための引出部を備えてなる、上
記第2電解段階を行う電解槽とからなる。第1電解段階
を行う上記電解槽が直列的に複数個備えられ、これらの
電解槽間で液の流れを正逆転することが可能に構成され
ていれば、効果的である。また、第1電解段階を行う電
解槽が、無極性隔膜によって仕切られ陽極を内蔵する複
数の陽極室を収容する陰極室筐体からなり、当該複数の
陽極室のそれぞれの間に陰極が配置された構成を有して
いても、上記方法を有効に実施することができる。この
ような構成の電解槽を複数個直列的に配置することも当
然ながら可能であり、好適である。
【0010】本発明に係る方法は、電解プロセスを、3
価鉄から2価鉄への還元反応のみ生じる前処理段階と金
属析出を起こす後処理段階とに分離して実施することを
骨子とするものである。電解処理される対象液をバッチ
方式で電解すると、各液組成毎に、金属析出が起こる前
に3価鉄から2価鉄への還元反応のみ生じる組成範囲を
データ的に得ることができる。そのデータから、次式を
用いて、金属析出を起こさない電流値を決定することが
でき、当該電流値を前処理段階での電解電流とする。
価鉄から2価鉄への還元反応のみ生じる前処理段階と金
属析出を起こす後処理段階とに分離して実施することを
骨子とするものである。電解処理される対象液をバッチ
方式で電解すると、各液組成毎に、金属析出が起こる前
に3価鉄から2価鉄への還元反応のみ生じる組成範囲を
データ的に得ることができる。そのデータから、次式を
用いて、金属析出を起こさない電流値を決定することが
でき、当該電流値を前処理段階での電解電流とする。
【0011】
【数1】 前処理段階を複数個の電解槽を用いて行う場合には、予
め定めた時間間隔毎に、あるいは槽電圧が所定程度に低
下した段階毎に、液の流れ方向を反転させて、金属析出
を防ぐ。
め定めた時間間隔毎に、あるいは槽電圧が所定程度に低
下した段階毎に、液の流れ方向を反転させて、金属析出
を防ぐ。
【0012】本発明の隔膜電解法で使用される隔膜に
は、陰極液中に存在し3価から2価に還元された鉄の
塩素錯体が陽極側に移動することを制限し、多少の液面
の揺れ等では陰極液と陽極液の混合が起こらない程度の
気密性を有し、できる限り電気抵抗の小さなものであ
って、できるだけ電極間の電気抵抗を上昇させないも
のであり、耐薬品性、とりわけ耐塩素化性に優れるも
のであって、膜自体が複極を形成しない、電気的に中
性、即ち、極性をもたないものである等の特性を有する
ことが要求され、例えば、モドアクリル、PP、ポリエ
ステル、PTFE、PVC等を挙げることができる。
は、陰極液中に存在し3価から2価に還元された鉄の
塩素錯体が陽極側に移動することを制限し、多少の液面
の揺れ等では陰極液と陽極液の混合が起こらない程度の
気密性を有し、できる限り電気抵抗の小さなものであ
って、できるだけ電極間の電気抵抗を上昇させないも
のであり、耐薬品性、とりわけ耐塩素化性に優れるも
のであって、膜自体が複極を形成しない、電気的に中
性、即ち、極性をもたないものである等の特性を有する
ことが要求され、例えば、モドアクリル、PP、ポリエ
ステル、PTFE、PVC等を挙げることができる。
【0013】陽極板は、RuO2/Ti、(Ru-Sn)
O2/Ti、(Ir-Pt)O2/Ti等、メッシュ状の
寸法安定アノード(DSA)からなっており、陰極板
は、鉄、鉄-ニッケル合金、ニッケル、チタン、黒鉛等
でなっている。
O2/Ti、(Ir-Pt)O2/Ti等、メッシュ状の
寸法安定アノード(DSA)からなっており、陰極板
は、鉄、鉄-ニッケル合金、ニッケル、チタン、黒鉛等
でなっている。
【0014】
【実施例】以下に、本発明の詳細を、実施例に基づい
て、説明する。図1に本発明に係る電解設備の全体概略
を示す。この設備は、金属析出を起こすことなく3価鉄
の還元のみを行うn個の前処理電解槽群と、金属析出を
行う後処理電解槽とからなっている。3価鉄の還元を行
うn個の電解槽11,...1nは、それぞれ同じ角槽内
に、RuO2/Tiメッシュからなる陽極とチタン板か
らなる陰極とが隔膜を隔てて内設されてなり、各電解槽
が直列に配置されている。電解処理対象液たる塩化第2
鉄を主成分とするニッケル含有廃液は、前処理電解槽1
1に導き入れられ、前処理電解槽1nを出て、後処理電解
槽9に導かれる。前処理電解槽11の上流側には第1入
口弁2が、前処理電解槽1nの下流側には第1出口弁3
が設けられている。また塩化第2鉄を主成分とする廃液
は、前処理電解槽1nに導き入れられ、前処理電解槽11
を出る流通ルートでも流れうるようになっている。この
ルートにおける前処理電解槽1nの上流側には第2入口
弁4が、前処理電解槽11の下流側には第2出口弁5が
設けられていて、第2出口弁5を出る液は、第1出口弁
3の下流側に導かれる。所定時間間隔毎、あるいは槽電
圧の低下を検知して所定タイミングにおいて、入口弁
2,4あるいは出口弁3,5を開閉操作して、液の流れ
方向を交互に反転させる。これにより、万が一前処理電
解槽で金属析出が生じた場合にも、逆流させることで当
該金属を溶解させることができる。
て、説明する。図1に本発明に係る電解設備の全体概略
を示す。この設備は、金属析出を起こすことなく3価鉄
の還元のみを行うn個の前処理電解槽群と、金属析出を
行う後処理電解槽とからなっている。3価鉄の還元を行
うn個の電解槽11,...1nは、それぞれ同じ角槽内
に、RuO2/Tiメッシュからなる陽極とチタン板か
らなる陰極とが隔膜を隔てて内設されてなり、各電解槽
が直列に配置されている。電解処理対象液たる塩化第2
鉄を主成分とするニッケル含有廃液は、前処理電解槽1
1に導き入れられ、前処理電解槽1nを出て、後処理電解
槽9に導かれる。前処理電解槽11の上流側には第1入
口弁2が、前処理電解槽1nの下流側には第1出口弁3
が設けられている。また塩化第2鉄を主成分とする廃液
は、前処理電解槽1nに導き入れられ、前処理電解槽11
を出る流通ルートでも流れうるようになっている。この
ルートにおける前処理電解槽1nの上流側には第2入口
弁4が、前処理電解槽11の下流側には第2出口弁5が
設けられていて、第2出口弁5を出る液は、第1出口弁
3の下流側に導かれる。所定時間間隔毎、あるいは槽電
圧の低下を検知して所定タイミングにおいて、入口弁
2,4あるいは出口弁3,5を開閉操作して、液の流れ
方向を交互に反転させる。これにより、万が一前処理電
解槽で金属析出が生じた場合にも、逆流させることで当
該金属を溶解させることができる。
【0015】後処理、即ち、金属析出を行う電解槽9
は、槽筐体で構成される陰極室と当該陰極室中に収めら
れる複数の陽極室とでなっていて、陽極室の間に懸架さ
れた陰極が配置されている。筐体の下部はホッパー状に
窄まっていて、剥落した金属を集め、抜き出せるように
なっている。前処理電解槽で3価鉄を還元された液は、
後処理電解槽9に導き入れられ、電解によって金属を析
出した後、当該電解槽9から引き出させる。この後処理
電解槽9の詳細を図2に示す。複数の陽極室10と、当
該複数の陽極室10を収容する箱状の陰極室11と、当
該陰極室11と陽極室を隔てるべく陽極室10を覆う隔
膜12と、陰極室11内において陽極室10の間に配置
された陰極13を懸架支持する陰極液中ブスバー14と
が備えられている。各陽極室10の側方には、内部に収
容された陽極に繋がる陽極ターミナル15が突き出てお
り、このターミナルに繋がる不図示の導線が槽筐体を貫
通する。陽極ターミナル15から陽極へ直流が給電さ
れ、また陰極液中ブスバー14を介して陰極13へも給
電される。陽極室10に内蔵された陽極は、RuO2/
Tiメッシュからなっていて、懸架された陰極は鉄パン
チングメタル板からなっている。陰極室11の外部に
は、気-液セパレータ16が配置されている。箱型陰極
室11の最下部近傍には陰極液用流入口17が、陰極室
の二側面上部には陰極液用排出口18が取り付けられ、
陰極液をオーバーフロー式に循環できるようになってい
る。また陽極室10の下部領域には陽極液用流入口19
が、その上部領域には陽極液用排出口20がそれぞれ取
り付けられ、それぞれの管は陰極室筐体を貫き、陽極液
を同じくオーバーフロー式に循環できるようになってい
る。箱型陰極室11の中位領域に、前処理によって3価
鉄を還元された液を流入するための供給口22が設けら
れている。ガス流出口を兼ねる陽極液用排出口20は、
気-液セパレータ16に接続していて、当該セパレータ
16内で陽極液と塩素ガスが分離される。箱型陰極室1
1の最下部に、金属を回収するための引出口23が配置
されている。このような構成の電解槽の代わりに、特開
平6−158359号公報に示された本出願人提案の電
解槽を用いることも可能である。
は、槽筐体で構成される陰極室と当該陰極室中に収めら
れる複数の陽極室とでなっていて、陽極室の間に懸架さ
れた陰極が配置されている。筐体の下部はホッパー状に
窄まっていて、剥落した金属を集め、抜き出せるように
なっている。前処理電解槽で3価鉄を還元された液は、
後処理電解槽9に導き入れられ、電解によって金属を析
出した後、当該電解槽9から引き出させる。この後処理
電解槽9の詳細を図2に示す。複数の陽極室10と、当
該複数の陽極室10を収容する箱状の陰極室11と、当
該陰極室11と陽極室を隔てるべく陽極室10を覆う隔
膜12と、陰極室11内において陽極室10の間に配置
された陰極13を懸架支持する陰極液中ブスバー14と
が備えられている。各陽極室10の側方には、内部に収
容された陽極に繋がる陽極ターミナル15が突き出てお
り、このターミナルに繋がる不図示の導線が槽筐体を貫
通する。陽極ターミナル15から陽極へ直流が給電さ
れ、また陰極液中ブスバー14を介して陰極13へも給
電される。陽極室10に内蔵された陽極は、RuO2/
Tiメッシュからなっていて、懸架された陰極は鉄パン
チングメタル板からなっている。陰極室11の外部に
は、気-液セパレータ16が配置されている。箱型陰極
室11の最下部近傍には陰極液用流入口17が、陰極室
の二側面上部には陰極液用排出口18が取り付けられ、
陰極液をオーバーフロー式に循環できるようになってい
る。また陽極室10の下部領域には陽極液用流入口19
が、その上部領域には陽極液用排出口20がそれぞれ取
り付けられ、それぞれの管は陰極室筐体を貫き、陽極液
を同じくオーバーフロー式に循環できるようになってい
る。箱型陰極室11の中位領域に、前処理によって3価
鉄を還元された液を流入するための供給口22が設けら
れている。ガス流出口を兼ねる陽極液用排出口20は、
気-液セパレータ16に接続していて、当該セパレータ
16内で陽極液と塩素ガスが分離される。箱型陰極室1
1の最下部に、金属を回収するための引出口23が配置
されている。このような構成の電解槽の代わりに、特開
平6−158359号公報に示された本出願人提案の電
解槽を用いることも可能である。
【0016】図3に、前処理電解槽の別の構成を示す。
これは、後処理電解槽の陽極室と陰極室の関係に類似し
たものであり、それぞれ隔膜32で仕切られRuO2/
Tiメッシュの陽極34を内蔵した複数の陽極室30
が、単純な角槽に平行に配設され、これら陽極室の間に
チタン板からなる陰極33が配置される。陽極室30に
は陽極液が下部から流入し、上部から流出するようにな
っている。上部からは生じるガスも排出されるようにな
っており、図示は省略しているが、上述した後処理電解
槽9の気-液セパレータ16と同様の気-液セパレータを
備えている。上部をカバーで覆われた角槽で構成される
陰極室31の下部から、電解処理対象液たる塩化第2鉄
廃液が流入し、3価鉄が還元された液が排出するように
なっている。排出された還元液は、後処理電解槽へ導か
れる。
これは、後処理電解槽の陽極室と陰極室の関係に類似し
たものであり、それぞれ隔膜32で仕切られRuO2/
Tiメッシュの陽極34を内蔵した複数の陽極室30
が、単純な角槽に平行に配設され、これら陽極室の間に
チタン板からなる陰極33が配置される。陽極室30に
は陽極液が下部から流入し、上部から流出するようにな
っている。上部からは生じるガスも排出されるようにな
っており、図示は省略しているが、上述した後処理電解
槽9の気-液セパレータ16と同様の気-液セパレータを
備えている。上部をカバーで覆われた角槽で構成される
陰極室31の下部から、電解処理対象液たる塩化第2鉄
廃液が流入し、3価鉄が還元された液が排出するように
なっている。排出された還元液は、後処理電解槽へ導か
れる。
【0017】(確認試験)前処理電解槽として、図3に
図示した電解槽を2槽連結し、後処理電解槽として、図
2に図示した電解槽を用いて構成した電解装置を使用し
て、2価鉄濃度17.1g/リットル、3価鉄濃度21
7.9g/リットル、ニッケル濃度29.9g/リット
ル、塩素濃度472g/リットルの組成からなる液を処
理した。
図示した電解槽を2槽連結し、後処理電解槽として、図
2に図示した電解槽を用いて構成した電解装置を使用し
て、2価鉄濃度17.1g/リットル、3価鉄濃度21
7.9g/リットル、ニッケル濃度29.9g/リット
ル、塩素濃度472g/リットルの組成からなる液を処
理した。
【0018】先ず、第1段階の電解工程で金属析出しな
い液組成を調べ、供給液量を決定するための予備電解を
実施したところ、2価鉄濃度120g/リットル、3価
鉄濃度116g/リットル、ニッケル濃度30.1g/
リットル、塩素濃度409g/リットルの液組成で金属
が析出した。
い液組成を調べ、供給液量を決定するための予備電解を
実施したところ、2価鉄濃度120g/リットル、3価
鉄濃度116g/リットル、ニッケル濃度30.1g/
リットル、塩素濃度409g/リットルの液組成で金属
が析出した。
【0019】電解条件は、電流1950Aなので、上記
(数式1)より、安全をみてC=120g/リットル=
2.15M/リットル、η=0.95として Q=3600ηI/F(C0−C) =3600×0.95×1950/96500×(3.9−2,15) =39.5リットル/時間 の供給液量とした。
(数式1)より、安全をみてC=120g/リットル=
2.15M/リットル、η=0.95として Q=3600ηI/F(C0−C) =3600×0.95×1950/96500×(3.9−2,15) =39.5リットル/時間 の供給液量とした。
【0020】次に上記の条件で連続電解をした。第1電
解工程から排出される液は、2価鉄濃度117g/リッ
トル、3価鉄濃度118g/リットル、ニッケル濃度3
0.3g/リットル、塩素濃度410g/リットルの組
成であり(温度50℃)、各セルの電圧は各々2.8
V、2.7Vであった。
解工程から排出される液は、2価鉄濃度117g/リッ
トル、3価鉄濃度118g/リットル、ニッケル濃度3
0.3g/リットル、塩素濃度410g/リットルの組
成であり(温度50℃)、各セルの電圧は各々2.8
V、2.7Vであった。
【0021】次いで、この液が流入する後処理電解槽の
電圧は3.8Vで、排出した電解処理液の組成は、2価
鉄濃度0g/リットル、3価鉄濃度205g/リット
ル、ニッケル濃度15.6g/リットル、塩素濃度40
9g/リットルであった(温度62℃)。第2電解工程
における析出金属は、Ni=32%、Fe=68%から
なり、析出量は約1.75kg/時間であった。析出金
属は、鉄パンチングメタル板製の陰極板を交換して回収
した。
電圧は3.8Vで、排出した電解処理液の組成は、2価
鉄濃度0g/リットル、3価鉄濃度205g/リット
ル、ニッケル濃度15.6g/リットル、塩素濃度40
9g/リットルであった(温度62℃)。第2電解工程
における析出金属は、Ni=32%、Fe=68%から
なり、析出量は約1.75kg/時間であった。析出金
属は、鉄パンチングメタル板製の陰極板を交換して回収
した。
【0022】連続電解を約8時間続けた時点で、少量の
金属の析出が第1電解工程の陰極板上に観察されたの
で、液の流れを反転させて電解を継続した。同様の運転
を続け(約8時間毎に第1段階の電解槽列における液の
流れ方向を反転させながら)、安定した定常状態で運転
ができた。なお、気-液セパレータで分離回収した塩素
ガスは、約2.48kg/時間で、これについては電気
層へ供給される塩化鉄溶液が発生するエッチング工程へ
導き、酸化剤として有効利用した。回収ニッケル1kg
当たりの消費電力は、32.4kwhで、これを従来の
方法、即ち、後処理電解槽のみの1段処理で電解を実施
した時の消費電力は、39.7kwh/kg-Niであ
った。これは、第1電解工程において金属析出を考慮に
入れる必要がないため、電極間隔を短く設計できること
による液抵抗の低下〜電圧の低下が実現できたためであ
る。
金属の析出が第1電解工程の陰極板上に観察されたの
で、液の流れを反転させて電解を継続した。同様の運転
を続け(約8時間毎に第1段階の電解槽列における液の
流れ方向を反転させながら)、安定した定常状態で運転
ができた。なお、気-液セパレータで分離回収した塩素
ガスは、約2.48kg/時間で、これについては電気
層へ供給される塩化鉄溶液が発生するエッチング工程へ
導き、酸化剤として有効利用した。回収ニッケル1kg
当たりの消費電力は、32.4kwhで、これを従来の
方法、即ち、後処理電解槽のみの1段処理で電解を実施
した時の消費電力は、39.7kwh/kg-Niであ
った。これは、第1電解工程において金属析出を考慮に
入れる必要がないため、電極間隔を短く設計できること
による液抵抗の低下〜電圧の低下が実現できたためであ
る。
【0023】
【発明の効果】本発明に係る方法においては、ニッケル
を含む塩化鉄系溶液を、無極性隔膜を用いて電解して、
脱ニッケルする処理方法において、陰極側で金属を析出
することなく鉄イオンを還元する条件で電解する第1電
解段階と、金属析出する第2電解段階とをそれぞれ分離
して行うので、消費電力を低下できるとともに、設備コ
ストを下げることが可能である。また金属析出させる陰
極板の数を減らすことによる省力化効果もある。
を含む塩化鉄系溶液を、無極性隔膜を用いて電解して、
脱ニッケルする処理方法において、陰極側で金属を析出
することなく鉄イオンを還元する条件で電解する第1電
解段階と、金属析出する第2電解段階とをそれぞれ分離
して行うので、消費電力を低下できるとともに、設備コ
ストを下げることが可能である。また金属析出させる陰
極板の数を減らすことによる省力化効果もある。
【0024】また、本発明に係る装置においては、析出
金属の回収を考慮する必要がないので、電極間隔を小さ
くすることができ、簡単でコンパクトな構造とすること
ができるとともに、電圧を下げることができる。また第
2電解段階では3価鉄の2価鉄への還元反応を行わない
分だけ電気量を減らすことができるので、電極数を減ら
すことが可能である。
金属の回収を考慮する必要がないので、電極間隔を小さ
くすることができ、簡単でコンパクトな構造とすること
ができるとともに、電圧を下げることができる。また第
2電解段階では3価鉄の2価鉄への還元反応を行わない
分だけ電気量を減らすことができるので、電極数を減ら
すことが可能である。
【図1】本発明に係る電解装置の全体的概略構成図であ
る。
る。
【図2】第2電解段階を実施する電解槽の詳細な斜視図
である。
である。
【図3】第1電解段階を実施する別の電解槽の概略図で
ある。
ある。
11...1n 前処理電解槽 2 第1入口弁 3 第1出口弁 4 第2入口弁 5 第2出口弁 9 後処理電解槽
Claims (4)
- 【請求項1】 ニッケルを含む塩化鉄系溶液を、無極性
隔膜を用いて電解して、脱ニッケルする処理方法におい
て、陰極側で金属を析出することなく鉄イオンを還元す
る条件で電解する第1電解段階と、金属析出する第2電
解段階とをそれぞれ分離して行うことを特徴とする塩化
鉄系溶液処理方法。 - 【請求項2】 陰極室と陽極室とが無極性隔膜を介して
区分けされてなる、上記第1電解段階を行う電解槽と、
無極性隔膜によって陰極室と陽極室とに区分けされ、陰
極室で析出した金属を回収するための引出部を備えてな
る、上記第2電解段階を行う電解槽とからなる、塩化鉄
系溶液電解処理のための装置。 - 【請求項3】 上記第1電解段階を行う電解槽が直列的
に複数個備えられ、これらの電解槽間で液の流れを正逆
転することが可能に構成されてなる請求項2に記載の塩
化鉄系溶液電解処理のための装置。 - 【請求項4】 無極性隔膜によって仕切られ陽極を内蔵
する複数の陽極室を収容する陰極室筐体からなり、当該
複数の陽極室のそれぞれの間に陰極が配置された、上記
第1電解段階を行う電解槽と、無極性隔膜によって陰極
室と陽極室とに区分けされ、陰極室で析出した金属を回
収するための引出部を備えてなる、上記第2電解段階を
行う電解槽とからなる、塩化鉄系溶液電解処理のための
装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7714296A JPH09263983A (ja) | 1996-03-29 | 1996-03-29 | ニッケルを含む塩化鉄系溶液の処理方法及び当該方法を実施するための装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7714296A JPH09263983A (ja) | 1996-03-29 | 1996-03-29 | ニッケルを含む塩化鉄系溶液の処理方法及び当該方法を実施するための装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09263983A true JPH09263983A (ja) | 1997-10-07 |
Family
ID=13625559
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7714296A Pending JPH09263983A (ja) | 1996-03-29 | 1996-03-29 | ニッケルを含む塩化鉄系溶液の処理方法及び当該方法を実施するための装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09263983A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010504423A (ja) * | 2006-09-21 | 2010-02-12 | キュイテ−フェル エ チタン インコーポレイティド | 鉄分の豊富な金属塩化物の廃棄物からの金属鉄および塩素価値の回収のための電気化学的方法 |
US8784639B2 (en) | 2008-03-20 | 2014-07-22 | Rio Tinto Fer Et Titane Inc. | Electrochemical process for the recovery of metallic iron and chlorine values from iron-rich metal chloride wastes |
KR101884396B1 (ko) * | 2018-03-30 | 2018-08-01 | (주) 테크윈 | 복수 개의 전해액 공급관 및 배출관을 이용한 비철금속 전해 제련 시스템 |
-
1996
- 1996-03-29 JP JP7714296A patent/JPH09263983A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010504423A (ja) * | 2006-09-21 | 2010-02-12 | キュイテ−フェル エ チタン インコーポレイティド | 鉄分の豊富な金属塩化物の廃棄物からの金属鉄および塩素価値の回収のための電気化学的方法 |
US8784639B2 (en) | 2008-03-20 | 2014-07-22 | Rio Tinto Fer Et Titane Inc. | Electrochemical process for the recovery of metallic iron and chlorine values from iron-rich metal chloride wastes |
KR101884396B1 (ko) * | 2018-03-30 | 2018-08-01 | (주) 테크윈 | 복수 개의 전해액 공급관 및 배출관을 이용한 비철금속 전해 제련 시스템 |
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