JPH09245318A - 磁気抵抗効果型ヘッド - Google Patents
磁気抵抗効果型ヘッドInfo
- Publication number
- JPH09245318A JPH09245318A JP5130396A JP5130396A JPH09245318A JP H09245318 A JPH09245318 A JP H09245318A JP 5130396 A JP5130396 A JP 5130396A JP 5130396 A JP5130396 A JP 5130396A JP H09245318 A JPH09245318 A JP H09245318A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- film
- magnetic
- magnetoresistive
- oxide
- magnetoresistive effect
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Magnetic Heads (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】永久磁石膜からの漏洩磁界および交換結合によ
りバルクハウゼンノイズを抑制し、高再生出力の磁気抵
抗効果型ヘッドを提供する。 【解決手段】永久磁石膜と反強磁性膜による縦バイアス
磁界と軟磁性による横バイアス磁界を印加した磁気抵抗
効果素子を有する磁気抵抗効果型ヘッド。
りバルクハウゼンノイズを抑制し、高再生出力の磁気抵
抗効果型ヘッドを提供する。 【解決手段】永久磁石膜と反強磁性膜による縦バイアス
磁界と軟磁性による横バイアス磁界を印加した磁気抵抗
効果素子を有する磁気抵抗効果型ヘッド。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規な磁気抵抗効果
型磁気ヘッド及びそれを用いた磁気記録再生装置に関す
る。
型磁気ヘッド及びそれを用いた磁気記録再生装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】2層の磁性層を非磁性層で分離し、一方
の磁性層に反強磁性層からの交換バイアス磁界を印加す
る構造のヘッドが考案され、このような多層膜において
抵抗Rが2層の磁性層の磁化の間の角θの関数として、
cosθ に比例して変化する効果を、巨大磁気抵抗効果と
呼んでいる。このような多層膜により巨大磁気抵抗効果
を利用した磁気抵抗効果型ヘッドは、従来の異方性磁気
抵抗効果を利用したヘッドと比べて大きい磁気抵抗変化
量ΔRを示すことが知られている。しかし、巨大磁気抵
抗効果型ヘッドの課題として、バルクハウゼンノイズの
抑制がある。磁気抵抗効果膜に、磁壁などが入って磁化
状態が不安定であると大きなノイズが発生する。このノ
イズを抑止するためには、磁気抵抗効果膜に対して、ト
ラック幅方向にいわゆる「縦バイアス磁界」を印加する
ことが有効であることがAMRヘッドに関しては、よく
知られている。巨大磁気抵抗効果型ヘッドにおいても、
自由側磁性層の磁化状態を安定化させるために、縦バイ
アスを印加する方法が特開平4−358310 号に開示されて
いる。これによると、磁性膜の両端部に強磁性もしくは
反強磁性の膜を積層して、これと感磁部磁性膜との交換
結合により縦バイアス磁界を与え、磁化状態を安定させ
る。
の磁性層に反強磁性層からの交換バイアス磁界を印加す
る構造のヘッドが考案され、このような多層膜において
抵抗Rが2層の磁性層の磁化の間の角θの関数として、
cosθ に比例して変化する効果を、巨大磁気抵抗効果と
呼んでいる。このような多層膜により巨大磁気抵抗効果
を利用した磁気抵抗効果型ヘッドは、従来の異方性磁気
抵抗効果を利用したヘッドと比べて大きい磁気抵抗変化
量ΔRを示すことが知られている。しかし、巨大磁気抵
抗効果型ヘッドの課題として、バルクハウゼンノイズの
抑制がある。磁気抵抗効果膜に、磁壁などが入って磁化
状態が不安定であると大きなノイズが発生する。このノ
イズを抑止するためには、磁気抵抗効果膜に対して、ト
ラック幅方向にいわゆる「縦バイアス磁界」を印加する
ことが有効であることがAMRヘッドに関しては、よく
知られている。巨大磁気抵抗効果型ヘッドにおいても、
自由側磁性層の磁化状態を安定化させるために、縦バイ
アスを印加する方法が特開平4−358310 号に開示されて
いる。これによると、磁性膜の両端部に強磁性もしくは
反強磁性の膜を積層して、これと感磁部磁性膜との交換
結合により縦バイアス磁界を与え、磁化状態を安定させ
る。
【0003】磁気抵抗効果型磁気ヘッドにおいて、磁気
抵抗効果膜を高感度にするに十分なレベルに横バイアス
磁界を印加するため、磁気抵抗効果膜に隣接して軟磁性
膜(以下、バイアス膜と記す)を配置する構造は既に公
知である。このバイアス膜は、磁気抵抗効果膜と磁気的
には非磁性層によって分離されるが、電気的には磁気抵
抗効果膜と並列の回路を形成するので、磁気抵抗効果型
磁気ヘッドの出力を増大させるには、バイアス膜の電気
抵抗をより増大させることが必要である。
抵抗効果膜を高感度にするに十分なレベルに横バイアス
磁界を印加するため、磁気抵抗効果膜に隣接して軟磁性
膜(以下、バイアス膜と記す)を配置する構造は既に公
知である。このバイアス膜は、磁気抵抗効果膜と磁気的
には非磁性層によって分離されるが、電気的には磁気抵
抗効果膜と並列の回路を形成するので、磁気抵抗効果型
磁気ヘッドの出力を増大させるには、バイアス膜の電気
抵抗をより増大させることが必要である。
【0004】実願昭60−159518号明細書には、バイアス
膜を非晶質軟磁性膜とした磁気抵抗効果型磁気ヘッドが
開示されている。
膜を非晶質軟磁性膜とした磁気抵抗効果型磁気ヘッドが
開示されている。
【0005】また、金属磁性合金に化合物を添加した磁
性薄膜として、特開昭60−170213号公報には、鉄,コバ
ルト,ニッケルの一種以上の合金と、これらの金属より
酸素との親和力が大きな金属の部分酸化物薄膜が、基板
に垂直方向の保磁力が大きいことが述べられている。さ
らに、特開昭63−164406号公報には、ニッケル−鉄合金
と、析出物を生じさせることなく同時に蒸着可能な金属
及び非金属からなる化合物とからなる組成物の単一相で
ある磁気ヘッド磁極用磁性薄膜が開示されており、磁極
片をこのような磁性薄膜とすることによって、磁極の耐
摩耗性が向上することが述べられている。
性薄膜として、特開昭60−170213号公報には、鉄,コバ
ルト,ニッケルの一種以上の合金と、これらの金属より
酸素との親和力が大きな金属の部分酸化物薄膜が、基板
に垂直方向の保磁力が大きいことが述べられている。さ
らに、特開昭63−164406号公報には、ニッケル−鉄合金
と、析出物を生じさせることなく同時に蒸着可能な金属
及び非金属からなる化合物とからなる組成物の単一相で
ある磁気ヘッド磁極用磁性薄膜が開示されており、磁極
片をこのような磁性薄膜とすることによって、磁極の耐
摩耗性が向上することが述べられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のような、従来提
案されてきた巨大磁気抵抗効果を利用した磁気ヘッド
は、トラック幅方向の感度分布の裾が長いため、高いト
ラック密度での再生において隣接トラックからのクロス
トークが大きいという問題があった。
案されてきた巨大磁気抵抗効果を利用した磁気ヘッド
は、トラック幅方向の感度分布の裾が長いため、高いト
ラック密度での再生において隣接トラックからのクロス
トークが大きいという問題があった。
【0007】また、磁区制御のために縦バイアス膜を設
けた場合にも、磁性層と重なる部分が存在すると、硬磁
性層の端部と感磁部磁性層の重なる部分で磁界が急激に
変化するために、この近傍に磁壁など不規則な磁化状態
が発生しやすく、バルクハウゼンノイズや出力波形の変
動の原因となる。
けた場合にも、磁性層と重なる部分が存在すると、硬磁
性層の端部と感磁部磁性層の重なる部分で磁界が急激に
変化するために、この近傍に磁壁など不規則な磁化状態
が発生しやすく、バルクハウゼンノイズや出力波形の変
動の原因となる。
【0008】バイアス膜は、上述のように電気抵抗が大
きく、保磁力が小さく、十分な横バイアス磁界を印加す
るために、ある程度大きな飽和磁束密度を有する材料で
あることが必要である。また、横バイアス磁界は磁気抵
抗効果型磁気ヘッドの感度,再生波形の線形性を決定す
る重要なパラメータであり、バイアス膜の磁気特性の変
動が小さく、横バイアス磁界の大きさが変化しないこと
が必要である。
きく、保磁力が小さく、十分な横バイアス磁界を印加す
るために、ある程度大きな飽和磁束密度を有する材料で
あることが必要である。また、横バイアス磁界は磁気抵
抗効果型磁気ヘッドの感度,再生波形の線形性を決定す
る重要なパラメータであり、バイアス膜の磁気特性の変
動が小さく、横バイアス磁界の大きさが変化しないこと
が必要である。
【0009】バイアス膜に非晶質膜を用いた場合、公知
のように非晶質膜は電気抵抗が大きいので、ヘッドの再
生電圧の向上が期待される。しかし、バイアス膜に非晶
質合金膜を用いると、非晶質状態が本質的に準安定状態
であるため、膜の軟磁気特性を安定化することが難し
い。非晶質膜の磁気特性は強磁場の印加や温度の上昇に
よって変化し易く、ヘッドの加工プロセス中に磁気特性
が変化する場合がある。また、特開昭60−170213号公報
に記載の磁性薄膜は、垂直方向保磁力の大きな磁性薄膜
であり、ここで述べられている磁性薄膜をバイアス膜に
用いることはできない。
のように非晶質膜は電気抵抗が大きいので、ヘッドの再
生電圧の向上が期待される。しかし、バイアス膜に非晶
質合金膜を用いると、非晶質状態が本質的に準安定状態
であるため、膜の軟磁気特性を安定化することが難し
い。非晶質膜の磁気特性は強磁場の印加や温度の上昇に
よって変化し易く、ヘッドの加工プロセス中に磁気特性
が変化する場合がある。また、特開昭60−170213号公報
に記載の磁性薄膜は、垂直方向保磁力の大きな磁性薄膜
であり、ここで述べられている磁性薄膜をバイアス膜に
用いることはできない。
【0010】また、特開昭63−164406号公報に記載の磁
性薄膜は、磁気ヘッドの磁極用の耐摩耗性薄膜であり、
磁気特性的にはバイアス膜として十分であると考えられ
るが、この薄膜の電気抵抗については何ら述べられてい
ない。
性薄膜は、磁気ヘッドの磁極用の耐摩耗性薄膜であり、
磁気特性的にはバイアス膜として十分であると考えられ
るが、この薄膜の電気抵抗については何ら述べられてい
ない。
【0011】本発明の目的は、巨大磁気抵抗効果を用い
た、高出力でノイズの少ない磁気抵抗効果型ヘッドとそ
れを用いた磁気記録再生装置を提供するにある。
た、高出力でノイズの少ない磁気抵抗効果型ヘッドとそ
れを用いた磁気記録再生装置を提供するにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、磁界によって
電気抵抗が変化する磁気抵抗効果膜,磁気抵抗効果膜に
横バイアス磁界を印加する横バイアス膜及び前記磁気抵
抗効果膜と横バイアス膜との間に設けられた分離膜を有
する磁気抵抗効果素子膜からなり、該磁気抵抗効果素子
膜の両端部に接して設けられた前記磁気抵抗効果膜に縦
バイアスを印加する一対の永久磁石膜及び前記磁気抵抗
効果膜に信号検出電流を流す前記永久磁石膜上に設けら
れた一対の電極膜を有し、該永久磁石膜の厚さは前記磁
気抵抗効果素子膜の厚さより小さいことを特徴とする磁
気抵抗効果型ヘッドにある。
電気抵抗が変化する磁気抵抗効果膜,磁気抵抗効果膜に
横バイアス磁界を印加する横バイアス膜及び前記磁気抵
抗効果膜と横バイアス膜との間に設けられた分離膜を有
する磁気抵抗効果素子膜からなり、該磁気抵抗効果素子
膜の両端部に接して設けられた前記磁気抵抗効果膜に縦
バイアスを印加する一対の永久磁石膜及び前記磁気抵抗
効果膜に信号検出電流を流す前記永久磁石膜上に設けら
れた一対の電極膜を有し、該永久磁石膜の厚さは前記磁
気抵抗効果素子膜の厚さより小さいことを特徴とする磁
気抵抗効果型ヘッドにある。
【0013】前記永久磁石膜がCo−Pt合金,Co−
Cr−Pt合金、又はこれらの合金にTi酸化物,V酸
化物,Zr酸化物,Nb酸化物,Mo酸化物,Hf酸化
物,Ta酸化物,W酸化物,Al酸化物,Si酸化物,
Cr酸化物の内の少なくとも1元素を含む合金のいずれ
かからなるものが好ましい。
Cr−Pt合金、又はこれらの合金にTi酸化物,V酸
化物,Zr酸化物,Nb酸化物,Mo酸化物,Hf酸化
物,Ta酸化物,W酸化物,Al酸化物,Si酸化物,
Cr酸化物の内の少なくとも1元素を含む合金のいずれ
かからなるものが好ましい。
【0014】前記永久磁石膜が(数1)又は(数2)の
組成からなることが好ましい。
組成からなることが好ましい。
【0015】
【数3】 CoaCrbPtc又は …(数1)
【0016】
【数4】 (CoaCrbPtc)1-x(MOy)x …(数2) (但し、x=0.01〜0.20,y:0.4 〜3,a:
0.7〜0.9,b:0〜0.15,C:0.03〜0.1
5,M:Ti,V,Zr,Mo,Hf,Ta,W,A
l,Si及びCrの少なくとも一つ) 本発明は、磁界によって電気抵抗が変化する磁気抵抗効
果膜と、前記磁気抵抗効果膜に横バイアス磁界を印加す
る軟磁性膜からなる横バイアス膜と、該横バイアス膜と
磁気抵抗効果膜を磁気的に分離する非磁性膜からなる分
離膜と、前記磁気抵抗効果膜,横バイアス膜及び分離膜
の両端部に接して設けられた前記磁気抵抗効果膜に縦バ
イアスを磁界を印加する永久磁石膜と、該永久磁石膜上
に設けられた前記磁気抵抗効果膜に電流を流す一対の電
極とからなり、前記磁気抵抗効果膜に横バイアス磁界を
印加するための軟磁性膜が、ニッケル−鉄合金,コバル
ト,ニッケル−鉄−コバルト合金の一種と、酸化ジルコ
ニウム,酸化アルミニウム,酸化ハフニウム,酸化チタ
ン,酸化ベリリウム,酸化マグネシウム,希土類酸素化
合物,窒化ジルコニウム,窒化ハフニウム,窒化アルミ
ニウム,窒化チタン,窒化ベリリウム,窒化マグネシウ
ム,窒化シリコン、及び希土類窒素化合物の内から選択
された一種以上の化合物とからなることを特徴とする磁
気抵抗効果型磁気ヘッドにある。
0.7〜0.9,b:0〜0.15,C:0.03〜0.1
5,M:Ti,V,Zr,Mo,Hf,Ta,W,A
l,Si及びCrの少なくとも一つ) 本発明は、磁界によって電気抵抗が変化する磁気抵抗効
果膜と、前記磁気抵抗効果膜に横バイアス磁界を印加す
る軟磁性膜からなる横バイアス膜と、該横バイアス膜と
磁気抵抗効果膜を磁気的に分離する非磁性膜からなる分
離膜と、前記磁気抵抗効果膜,横バイアス膜及び分離膜
の両端部に接して設けられた前記磁気抵抗効果膜に縦バ
イアスを磁界を印加する永久磁石膜と、該永久磁石膜上
に設けられた前記磁気抵抗効果膜に電流を流す一対の電
極とからなり、前記磁気抵抗効果膜に横バイアス磁界を
印加するための軟磁性膜が、ニッケル−鉄合金,コバル
ト,ニッケル−鉄−コバルト合金の一種と、酸化ジルコ
ニウム,酸化アルミニウム,酸化ハフニウム,酸化チタ
ン,酸化ベリリウム,酸化マグネシウム,希土類酸素化
合物,窒化ジルコニウム,窒化ハフニウム,窒化アルミ
ニウム,窒化チタン,窒化ベリリウム,窒化マグネシウ
ム,窒化シリコン、及び希土類窒素化合物の内から選択
された一種以上の化合物とからなることを特徴とする磁
気抵抗効果型磁気ヘッドにある。
【0017】前記磁気抵抗効果膜に横バイアス磁界を印
加するための軟磁性薄膜の比抵抗が、70μΩcm以上で
あるものが好ましい。
加するための軟磁性薄膜の比抵抗が、70μΩcm以上で
あるものが好ましい。
【0018】前記横バイアス膜がニッケルを78〜84
原子%を有するニッケル−鉄系合金よりなるものが好ま
しい。
原子%を有するニッケル−鉄系合金よりなるものが好ま
しい。
【0019】本発明は、基板上に設けられた一対の永久
磁石膜と、該永久磁石膜上の各々に形成された一対の電
極と、前記永久磁石間に接して設けられた磁気抵抗効果
素子膜とを有する磁気抵抗効果型磁気ヘッドであって、
前記素子膜は前記基板側より酸化ニッケルよりなる反強
磁性膜,2層の強磁性膜,非磁性金属膜及び軟磁性膜が
順次形成されていることを特徴とする磁気抵抗効果型磁
気ヘッドにある。
磁石膜と、該永久磁石膜上の各々に形成された一対の電
極と、前記永久磁石間に接して設けられた磁気抵抗効果
素子膜とを有する磁気抵抗効果型磁気ヘッドであって、
前記素子膜は前記基板側より酸化ニッケルよりなる反強
磁性膜,2層の強磁性膜,非磁性金属膜及び軟磁性膜が
順次形成されていることを特徴とする磁気抵抗効果型磁
気ヘッドにある。
【0020】前記2層の強磁性膜は前記基板側からNi
70〜95原子%の鉄合金層とCo層とからなるものが
好ましい。
70〜95原子%の鉄合金層とCo層とからなるものが
好ましい。
【0021】前記2層の強磁性膜は前記反強磁性側から
軟磁性膜及び該軟磁性膜より磁気抵抗変化率の大きい軟
磁性膜からなるものが好ましい。
軟磁性膜及び該軟磁性膜より磁気抵抗変化率の大きい軟
磁性膜からなるものが好ましい。
【0022】本発明は、基板上に設けられた一対の永久
磁石膜と、該永久磁石膜上の各々に形成された一対の電
極と、前記永久磁石間に接して設けられた磁気抵抗効果
素子膜とを有する磁気抵抗効果型磁気ヘッドであって、
前記素子は前記基板側より反強磁性膜,強磁性膜,非磁
性膜,軟磁性膜,非磁性膜,強磁性膜、及び反強磁性膜
が順次積層されていることを特徴とする磁気抵抗効果型
磁気ヘッドにある。
磁石膜と、該永久磁石膜上の各々に形成された一対の電
極と、前記永久磁石間に接して設けられた磁気抵抗効果
素子膜とを有する磁気抵抗効果型磁気ヘッドであって、
前記素子は前記基板側より反強磁性膜,強磁性膜,非磁
性膜,軟磁性膜,非磁性膜,強磁性膜、及び反強磁性膜
が順次積層されていることを特徴とする磁気抵抗効果型
磁気ヘッドにある。
【0023】本発明ではMRセンサ端部受動領域に配置
される永久磁石膜としてCo系磁性膜又はこれに酸化物
を添加した膜を用いるのが好ましい。酸化物をCo系磁
性膜に添加するとCo系磁性膜の保磁力が大きくなる。
される永久磁石膜としてCo系磁性膜又はこれに酸化物
を添加した膜を用いるのが好ましい。酸化物をCo系磁
性膜に添加するとCo系磁性膜の保磁力が大きくなる。
【0024】さらに酸化物を添加することにより結晶配
向が乱れ、下地膜の影響が小さくなる。またCo系磁性
膜に酸化物を添加することにより保磁力が増加する原因
は永久磁石膜の結晶粒界に析出した酸化物により各結晶
粒の磁気的結合が遮断されるためである。よってこの機
構により保磁力が増加している永久磁石膜の保磁力は下
地膜の影響を受けにくい。
向が乱れ、下地膜の影響が小さくなる。またCo系磁性
膜に酸化物を添加することにより保磁力が増加する原因
は永久磁石膜の結晶粒界に析出した酸化物により各結晶
粒の磁気的結合が遮断されるためである。よってこの機
構により保磁力が増加している永久磁石膜の保磁力は下
地膜の影響を受けにくい。
【0025】また、本発明では永久磁石膜を非磁性層に
より分割された多層膜とする。単層のCo系永久磁石膜
の保磁力は膜厚10nm〜30nmにおいて最大値をと
る。そこで永久磁石膜を非磁性層で分割された多層構造
とする。各永久磁石膜の膜厚は最も保磁力の高くなる膜
厚に設定することにより単層厚膜での保磁力の低下を回
避できる。ここで全永久磁石膜の膜厚は中央能動領域に
適切なバイアス磁界を与えるように設定される。
より分割された多層膜とする。単層のCo系永久磁石膜
の保磁力は膜厚10nm〜30nmにおいて最大値をと
る。そこで永久磁石膜を非磁性層で分割された多層構造
とする。各永久磁石膜の膜厚は最も保磁力の高くなる膜
厚に設定することにより単層厚膜での保磁力の低下を回
避できる。ここで全永久磁石膜の膜厚は中央能動領域に
適切なバイアス磁界を与えるように設定される。
【0026】本発明はニッケル−鉄合金,コバルト,ニ
ッケル−鉄−コバルト合金の一種と、酸化ジルコニウ
ム,酸化アルミニウム,酸化ハフニウム,酸化チタン,
酸化ベリリウム,酸化マグネシウム,希土類酸素化合
物,窒化ジルコニウム,窒化ハフニウム,窒化アルミニ
ウム,窒化チタン,窒化ベリリウム,窒化マグネシウ
ム,窒化シリコン、及び希土類窒素化合物の内から選択
された一種以上の化合物と、からなる軟磁性薄膜をバイ
アス膜に用いることによって、再生出力が大きな磁気抵
抗効果型磁気ヘッドが得られる。バイアス膜に含まれる
化合物の量は、磁気抵抗効果型磁気ヘッドは、化合物の
酸素あるいは窒素を除いた原子の割合が、酸素及び窒素
を除いた全原子に対して3から20%であることが好ま
しい。これは、化合物の量が3%以下では電気抵抗の増
加が小さく、また、20%以上では飽和磁束密度が低下
し、バイアス膜として十分な値でなくなるためである。
本発明のバイアス膜の比抵抗は、ほぼ化合物の添加量に
比例して増大するが、磁気抵抗効果型磁気ヘッドは、7
0μΩcm以上の比抵抗を有することが好ましい。これは
バイアス膜の比抵抗が、磁気抵抗効果膜の比抵抗に比べ
て十分大きくなければ磁気抵抗効果型ヘッドの出力が低
下するためである。磁気抵抗効果膜の比抵抗は20〜3
0μΩcmであり、バイアス膜の比抵抗は少なくともこの
2倍が目安となるためである。
ッケル−鉄−コバルト合金の一種と、酸化ジルコニウ
ム,酸化アルミニウム,酸化ハフニウム,酸化チタン,
酸化ベリリウム,酸化マグネシウム,希土類酸素化合
物,窒化ジルコニウム,窒化ハフニウム,窒化アルミニ
ウム,窒化チタン,窒化ベリリウム,窒化マグネシウ
ム,窒化シリコン、及び希土類窒素化合物の内から選択
された一種以上の化合物と、からなる軟磁性薄膜をバイ
アス膜に用いることによって、再生出力が大きな磁気抵
抗効果型磁気ヘッドが得られる。バイアス膜に含まれる
化合物の量は、磁気抵抗効果型磁気ヘッドは、化合物の
酸素あるいは窒素を除いた原子の割合が、酸素及び窒素
を除いた全原子に対して3から20%であることが好ま
しい。これは、化合物の量が3%以下では電気抵抗の増
加が小さく、また、20%以上では飽和磁束密度が低下
し、バイアス膜として十分な値でなくなるためである。
本発明のバイアス膜の比抵抗は、ほぼ化合物の添加量に
比例して増大するが、磁気抵抗効果型磁気ヘッドは、7
0μΩcm以上の比抵抗を有することが好ましい。これは
バイアス膜の比抵抗が、磁気抵抗効果膜の比抵抗に比べ
て十分大きくなければ磁気抵抗効果型ヘッドの出力が低
下するためである。磁気抵抗効果膜の比抵抗は20〜3
0μΩcmであり、バイアス膜の比抵抗は少なくともこの
2倍が目安となるためである。
【0027】本発明のバイアス膜は蒸着,スパッタリン
グ法,イオンビームスパッタリング法などの方法によっ
て作製できる。スパッタリングあるいはイオンビームス
パッタリングの際のターゲットは、ニッケル,鉄,コバ
ルト等からなる合金の粉末と化合物の粉末を適当な方法
によって混合し、焼結,成形するか、あるいはニッケ
ル,鉄,コバルト等からなる金属ターゲット上に化合物
のチップを配置したターゲットで良く、このようなター
ゲットを用いることによってニッケル,鉄,コバルト等
からなる合金と化合物を同時に蒸着することができる。
また本発明のバイアス膜は、スパッタリング装置内に、
ニッケル,鉄,コバルト等からなる金属ターゲットと、
化合物のターゲットを配置し、ターゲットから放出され
る各々の粒子が基板上で実質的に混合されるような方法
によっても作製可能である。
グ法,イオンビームスパッタリング法などの方法によっ
て作製できる。スパッタリングあるいはイオンビームス
パッタリングの際のターゲットは、ニッケル,鉄,コバ
ルト等からなる合金の粉末と化合物の粉末を適当な方法
によって混合し、焼結,成形するか、あるいはニッケ
ル,鉄,コバルト等からなる金属ターゲット上に化合物
のチップを配置したターゲットで良く、このようなター
ゲットを用いることによってニッケル,鉄,コバルト等
からなる合金と化合物を同時に蒸着することができる。
また本発明のバイアス膜は、スパッタリング装置内に、
ニッケル,鉄,コバルト等からなる金属ターゲットと、
化合物のターゲットを配置し、ターゲットから放出され
る各々の粒子が基板上で実質的に混合されるような方法
によっても作製可能である。
【0028】磁気抵抗効果型磁気ヘッドのバイアス膜
は、前述のように軟磁気特性と高い電気抵抗を併せ持つ
ことが必要である。また、それらの特性がヘッドの作製
プロセス中に変化しないことも必要である。電気抵抗の
増加のために、金属中に他の元素を添加することが行わ
れるが、軟磁性薄膜に金属元素を添加すると、添加した
金属元素と磁性元素が金属結合するため、磁性元素の電
子状態が大きく変化し、軟磁気特性が損なわれることが
多い。本発明のバイアス膜に含まれる化合物は化合物自
体がすでにイオン結合をしているため、磁性金属元素の
電子状態を大きく変化させることなく、すなわち、軟磁
気特性を損なわずに膜の電気抵抗を上昇させることがで
きる。このように電気抵抗の大きな軟磁性膜をバイアス
膜に用いることによって、バイアス膜に分流される電流
が減少し、磁気抵抗効果型磁気ヘッドの再生電圧が増大
する。
は、前述のように軟磁気特性と高い電気抵抗を併せ持つ
ことが必要である。また、それらの特性がヘッドの作製
プロセス中に変化しないことも必要である。電気抵抗の
増加のために、金属中に他の元素を添加することが行わ
れるが、軟磁性薄膜に金属元素を添加すると、添加した
金属元素と磁性元素が金属結合するため、磁性元素の電
子状態が大きく変化し、軟磁気特性が損なわれることが
多い。本発明のバイアス膜に含まれる化合物は化合物自
体がすでにイオン結合をしているため、磁性金属元素の
電子状態を大きく変化させることなく、すなわち、軟磁
気特性を損なわずに膜の電気抵抗を上昇させることがで
きる。このように電気抵抗の大きな軟磁性膜をバイアス
膜に用いることによって、バイアス膜に分流される電流
が減少し、磁気抵抗効果型磁気ヘッドの再生電圧が増大
する。
【0029】また、本発明の磁気抵抗効果型磁気ヘッド
のバイアス膜は、結晶質合金であるので、熱的に安定で
あり、磁気特性の変化は小さい。
のバイアス膜は、結晶質合金であるので、熱的に安定で
あり、磁気特性の変化は小さい。
【0030】本発明の磁気抵抗効果型磁気ヘッドのバイ
アス膜に含まれる化合物は、一般的に膜作製中に不可避
的に形成される不純物とは区別される。本発明の添加化
合物は、膜作製のための原料或いは材料中に化合物の形
で実質的に存在するものである。
アス膜に含まれる化合物は、一般的に膜作製中に不可避
的に形成される不純物とは区別される。本発明の添加化
合物は、膜作製のための原料或いは材料中に化合物の形
で実質的に存在するものである。
【0031】本発明の磁気抵抗効果型磁気ヘッドのバイ
アス膜の化合物は、十分大きな結合エネルギを持つもの
である。一般に薄膜は真空装置中で気相から原子を凝縮
させることによって作製される。結合エネルギの小さな
化合物は、蒸発過程あるいは凝縮過程で分解してしま
い、分解によって発生した酸素や窒素などが磁性元素と
結合し、磁気特性を損なう。これに対し、化合物のよう
に結合エネルギの大きな化合物は分解せず、化合物のま
ま膜中に取り込まれる。本発明の添加化合物の内、窒素
化合物は同酸素化合物に比べれば結合エネルギが小さ
い。しかし、磁性元素である、ニッケル,鉄、及びコバ
ルトの窒素との結合エネルギが非常に小さいので、酸化
物添加元素に比べ結合エネルギが小さくても分解せず、
膜中に安定に存在する。
アス膜の化合物は、十分大きな結合エネルギを持つもの
である。一般に薄膜は真空装置中で気相から原子を凝縮
させることによって作製される。結合エネルギの小さな
化合物は、蒸発過程あるいは凝縮過程で分解してしま
い、分解によって発生した酸素や窒素などが磁性元素と
結合し、磁気特性を損なう。これに対し、化合物のよう
に結合エネルギの大きな化合物は分解せず、化合物のま
ま膜中に取り込まれる。本発明の添加化合物の内、窒素
化合物は同酸素化合物に比べれば結合エネルギが小さ
い。しかし、磁性元素である、ニッケル,鉄、及びコバ
ルトの窒素との結合エネルギが非常に小さいので、酸化
物添加元素に比べ結合エネルギが小さくても分解せず、
膜中に安定に存在する。
【0032】本発明の磁気抵抗効果型磁気ヘッドのバイ
アス膜のニッケル,鉄,コバルト、等の金属元素と、化
合物は、これらを同時に蒸着することによって、膜中に
均一に分散する。これら金属元素と化合物は、バルク状
態ではほとんど混ざり合わないが、本発明の製造法のよ
うに、同時に蒸着することによって、均一に分散し、良
好な軟磁気特性を示す。
アス膜のニッケル,鉄,コバルト、等の金属元素と、化
合物は、これらを同時に蒸着することによって、膜中に
均一に分散する。これら金属元素と化合物は、バルク状
態ではほとんど混ざり合わないが、本発明の製造法のよ
うに、同時に蒸着することによって、均一に分散し、良
好な軟磁気特性を示す。
【0033】本発明の磁気抵抗効果型磁気ヘッドを用い
た磁気記録再生装置は、コンピュータ等の外部装置に接
続して使用されることが好ましく、信号を磁気的に保持
する信号を磁気的に記憶する記録媒体と、記録媒体に対
して相対的に移動する電磁変換構造体と、記録媒体を回
転させるための手段と、電磁変換構造体を記録媒体上の
所定の位置に移動させるための手段と、を有することが
好ましい。更に好ましくは外部の情報処理装置と接続す
るためのインターフェイス回路や記録媒体に記憶されて
いる信号を処理するための回路をも有する。
た磁気記録再生装置は、コンピュータ等の外部装置に接
続して使用されることが好ましく、信号を磁気的に保持
する信号を磁気的に記憶する記録媒体と、記録媒体に対
して相対的に移動する電磁変換構造体と、記録媒体を回
転させるための手段と、電磁変換構造体を記録媒体上の
所定の位置に移動させるための手段と、を有することが
好ましい。更に好ましくは外部の情報処理装置と接続す
るためのインターフェイス回路や記録媒体に記憶されて
いる信号を処理するための回路をも有する。
【0034】本発明に搭載される記録媒体とは、いわゆ
る磁気ディスクであって、信号を磁気的に記憶する磁性
膜に加え、基板,保護膜等を有するものであり、記録媒
体に記録される磁気的信号は、記録媒体面に平行に記録
される場合、又は記録媒体面に垂直に記録される場合で
あっても良い。記録媒体の磁性膜としては、磁気的に信
号を保持できる程度の保磁力を有する必要がある。
る磁気ディスクであって、信号を磁気的に記憶する磁性
膜に加え、基板,保護膜等を有するものであり、記録媒
体に記録される磁気的信号は、記録媒体面に平行に記録
される場合、又は記録媒体面に垂直に記録される場合で
あっても良い。記録媒体の磁性膜としては、磁気的に信
号を保持できる程度の保磁力を有する必要がある。
【0035】本発明の磁気記録再生装置に搭載される磁
気抵抗効果素子は、記録媒体に対して相対的に駆動する
方向、つまり記録媒体に対して平行方向に、基板,反強
磁性膜,磁性膜,非磁性導電膜,軟磁性膜,非磁性導電
膜,磁性膜、及び反強磁性膜を積層してなることを特徴
とするものである。
気抵抗効果素子は、記録媒体に対して相対的に駆動する
方向、つまり記録媒体に対して平行方向に、基板,反強
磁性膜,磁性膜,非磁性導電膜,軟磁性膜,非磁性導電
膜,磁性膜、及び反強磁性膜を積層してなることを特徴
とするものである。
【0036】前記反強磁性膜には、酸化ニッケルを用い
ることが好ましく、この他、鉄マンガン合金薄膜,クロ
ムマンガン,クロムアルミ合金膜等が用いられる。
ることが好ましく、この他、鉄マンガン合金薄膜,クロ
ムマンガン,クロムアルミ合金膜等が用いられる。
【0037】本発明における硬磁性膜である永久磁石膜
は、前述のコバルト−白金系合金,鉄−コバルトテルビ
ウム合金膜が用いられる。硬磁性膜とは、外部磁界に対
してその磁化の変化しにくい磁性膜であって、保磁力が
例えば100エルステッド以上であるとする、50エル
ステッドの磁界を加えてもその磁化の方向は殆ど変化し
ないので、反強磁性膜と同様の効果がある。つまり、他
の磁性膜に密着して形成したときに交換結合バイアスに
よる一方向異方性を印加できる特性を有するもので、磁
気抵抗効果膜に縦バイアス磁界を形成するものである。
は、前述のコバルト−白金系合金,鉄−コバルトテルビ
ウム合金膜が用いられる。硬磁性膜とは、外部磁界に対
してその磁化の変化しにくい磁性膜であって、保磁力が
例えば100エルステッド以上であるとする、50エル
ステッドの磁界を加えてもその磁化の方向は殆ど変化し
ないので、反強磁性膜と同様の効果がある。つまり、他
の磁性膜に密着して形成したときに交換結合バイアスに
よる一方向異方性を印加できる特性を有するもので、磁
気抵抗効果膜に縦バイアス磁界を形成するものである。
【0038】前記磁性膜には、Ni70〜95原子%,
Fe5〜30原子%及びCo1〜5原子%の合金、又は
Co30〜85原子%,Ni2〜30原子%及びFe2
〜50原子%の合金を用いることが好ましく、この他、
パーマロイ,パーメンダー合金等を用いても良い。つま
り、強磁性で良好な軟磁気特性を有するものを用いるこ
とが好ましい。
Fe5〜30原子%及びCo1〜5原子%の合金、又は
Co30〜85原子%,Ni2〜30原子%及びFe2
〜50原子%の合金を用いることが好ましく、この他、
パーマロイ,パーメンダー合金等を用いても良い。つま
り、強磁性で良好な軟磁気特性を有するものを用いるこ
とが好ましい。
【0039】前記非磁性導電膜には、Au,Ag,Cu
を用いることが好ましく、この他、Cr,Pt,Pd,
Ru,Rh等またはこれらの合金を用いても良い。つま
り、室温で自発磁化を持たず、電子の良好な透過性を有
するものを用いることが好ましい。以上の膜は、それぞ
れ2〜1000Å程度の膜厚を有することが好ましい。
を用いることが好ましく、この他、Cr,Pt,Pd,
Ru,Rh等またはこれらの合金を用いても良い。つま
り、室温で自発磁化を持たず、電子の良好な透過性を有
するものを用いることが好ましい。以上の膜は、それぞ
れ2〜1000Å程度の膜厚を有することが好ましい。
【0040】また、非磁性導電膜の代わりに、極めて薄
い非磁性絶縁膜を使用することもできる。つまり、この
膜は磁性膜と磁性膜との間を電子が移動できるものであ
れば足りるため、例えばトンネル効果を使用しても良
い。この場合には、前記非磁性絶縁膜は電子のトンネリ
ングが可能である程度に薄い必要があり、一般的には1
00Å以下、実質的には50Å以下に形成する。上記形
成の手段としては前記軟磁性膜の表面酸化、あるいは、
前記軟磁性膜上に別個に形成した金属膜、例えばアルミ
ニウム、の表面の酸化膜を前記非磁性絶縁膜として用い
ることが好ましい。この他、酸化アルミニウム膜等を成
膜して用いても良い。つまり、磁性膜間の磁気的な結合
を遮断する特性を有するものを用いることが好ましい。
い非磁性絶縁膜を使用することもできる。つまり、この
膜は磁性膜と磁性膜との間を電子が移動できるものであ
れば足りるため、例えばトンネル効果を使用しても良
い。この場合には、前記非磁性絶縁膜は電子のトンネリ
ングが可能である程度に薄い必要があり、一般的には1
00Å以下、実質的には50Å以下に形成する。上記形
成の手段としては前記軟磁性膜の表面酸化、あるいは、
前記軟磁性膜上に別個に形成した金属膜、例えばアルミ
ニウム、の表面の酸化膜を前記非磁性絶縁膜として用い
ることが好ましい。この他、酸化アルミニウム膜等を成
膜して用いても良い。つまり、磁性膜間の磁気的な結合
を遮断する特性を有するものを用いることが好ましい。
【0041】更に、前記基板は、これらの膜を形成する
ための下地であって、磁気ディスク装置のスライダーと
しての機能を有するものでも良く、この材料としては5
%以下のTiCを含むアルミナ,安定化ジルコニア等の
セラミックス焼結体が好ましい。
ための下地であって、磁気ディスク装置のスライダーと
しての機能を有するものでも良く、この材料としては5
%以下のTiCを含むアルミナ,安定化ジルコニア等の
セラミックス焼結体が好ましい。
【0042】こうした膜構成を有することにより、磁気
抵抗効果素子はその電気抵抗が微弱な外部磁界に対して
変化する機能を有し、しかもその電気抵抗の変化の割合
が5%から10%と大きい効果を有する。このため、本
発明の磁気記録再生装置は、アナログ状態で記録された
信号を再生時には直接デジタル化する機能をも有し、さ
らにディスク面積あたりの記録容量、即ち記録密度が高
くせしめる効果を有する。
抵抗効果素子はその電気抵抗が微弱な外部磁界に対して
変化する機能を有し、しかもその電気抵抗の変化の割合
が5%から10%と大きい効果を有する。このため、本
発明の磁気記録再生装置は、アナログ状態で記録された
信号を再生時には直接デジタル化する機能をも有し、さ
らにディスク面積あたりの記録容量、即ち記録密度が高
くせしめる効果を有する。
【0043】また、膜構成としては、基板上に酸化アル
ミニウム,酸化ニッケルなどの平坦な膜を形成してなる
もの、又は基板上に、鉄,チタン,タンタル,ジルコニ
ウム,ハフニウム,ニオブ,コバルト鉄合金などの膜を
下地としてさらに形成してなるものであっても良い。基
体上の膜は、その表面上に多層膜を平坦に形成する効果
を有し、基体表面上に均質かつ平坦な膜構造を有するこ
とが好ましく、それぞれの膜の厚みは金属の膜では20
から200Å、金属以外の膜では5から1000Å程度であ
ることが好ましい。
ミニウム,酸化ニッケルなどの平坦な膜を形成してなる
もの、又は基板上に、鉄,チタン,タンタル,ジルコニ
ウム,ハフニウム,ニオブ,コバルト鉄合金などの膜を
下地としてさらに形成してなるものであっても良い。基
体上の膜は、その表面上に多層膜を平坦に形成する効果
を有し、基体表面上に均質かつ平坦な膜構造を有するこ
とが好ましく、それぞれの膜の厚みは金属の膜では20
から200Å、金属以外の膜では5から1000Å程度であ
ることが好ましい。
【0044】本発明の磁気抵抗効果素子の膜は少なくと
も磁性膜/非磁性導電膜/磁性膜の構造を持つ。こうし
た非磁性導電膜を間に挟んだ磁性膜のサンドウイッチ構
造を有することにより、磁性膜/非磁性膜界面において
電子のスピン依存散乱を生じさせる機能を有し、二つの
磁性膜の間での磁気抵抗効果を生じさせる効果を有す
る。また、磁性膜間の磁気的な結合を遮断する機能を有
し、磁気抵抗効果素子の外部磁界に対する感度を向上す
る効果を有する。
も磁性膜/非磁性導電膜/磁性膜の構造を持つ。こうし
た非磁性導電膜を間に挟んだ磁性膜のサンドウイッチ構
造を有することにより、磁性膜/非磁性膜界面において
電子のスピン依存散乱を生じさせる機能を有し、二つの
磁性膜の間での磁気抵抗効果を生じさせる効果を有す
る。また、磁性膜間の磁気的な結合を遮断する機能を有
し、磁気抵抗効果素子の外部磁界に対する感度を向上す
る効果を有する。
【0045】これにより、本発明の磁気記録再生装置
は、一定の信号に対して常に同一の出力を得る、良好な
再現性を有し、再生時のエラーレイトを低減する効果を
有する。
は、一定の信号に対して常に同一の出力を得る、良好な
再現性を有し、再生時のエラーレイトを低減する効果を
有する。
【0046】本発明は、反強磁性膜/磁性膜/非磁性導
電膜/磁性膜/硬磁性膜の膜構成を有することが好まし
く、反強磁性膜及び硬磁性膜のそれぞれの膜の厚みは2
0から2000Å程度であることが好ましい。
電膜/磁性膜/硬磁性膜の膜構成を有することが好まし
く、反強磁性膜及び硬磁性膜のそれぞれの膜の厚みは2
0から2000Å程度であることが好ましい。
【0047】本発明における永久磁石膜以外のMR膜に
対して積層されるバイアス膜は、磁性膜及び非磁性膜よ
りもさらに基板側に配置することが好ましく、表面を平
坦化し積層膜のぬれを向上する下地膜としての機能を有
することが好ましく、異方性によって磁性膜の磁区構造
を単磁区化し、ノイズの発生を抑制するものである。膜
構成としては、非磁性導電膜を介して積層される第一及
び第二の磁性膜と第一の磁性膜に密着形成させるバイア
ス膜との構成を有するようにするとよい。
対して積層されるバイアス膜は、磁性膜及び非磁性膜よ
りもさらに基板側に配置することが好ましく、表面を平
坦化し積層膜のぬれを向上する下地膜としての機能を有
することが好ましく、異方性によって磁性膜の磁区構造
を単磁区化し、ノイズの発生を抑制するものである。膜
構成としては、非磁性導電膜を介して積層される第一及
び第二の磁性膜と第一の磁性膜に密着形成させるバイア
ス膜との構成を有するようにするとよい。
【0048】このように、磁気抵抗効果を示す積層膜や
その複合積層体と、これの電気抵抗を測るために電気的
に接触してなる少なくとも一対の電極とを有する構造を
採ることによって磁界センサとしての機能を有し、記録
媒体上の信号を高感度に検出する効果を有する。
その複合積層体と、これの電気抵抗を測るために電気的
に接触してなる少なくとも一対の電極とを有する構造を
採ることによって磁界センサとしての機能を有し、記録
媒体上の信号を高感度に検出する効果を有する。
【0049】特に、基体上に積層した第一のバイアス
膜,第一の磁性膜,非磁性膜,第二の磁性膜,非磁性導
電膜,第三の磁性膜,第二のバイアス膜及び電極からな
ることが好ましい。なお、第三の磁性膜は磁気的に第一
の磁性膜と同じ機能を有することが好ましい。
膜,第一の磁性膜,非磁性膜,第二の磁性膜,非磁性導
電膜,第三の磁性膜,第二のバイアス膜及び電極からな
ることが好ましい。なお、第三の磁性膜は磁気的に第一
の磁性膜と同じ機能を有することが好ましい。
【0050】バイアス膜のバイアス方向及び磁性膜の異
方性方向の制御は、素子の多層膜形成時に、その形成工
程に応じて適宜磁界を印加して行うことが好ましい。又
は、素子の多層膜形成中或いは形成後に、磁界中熱処理
を行うことが好ましい。
方性方向の制御は、素子の多層膜形成時に、その形成工
程に応じて適宜磁界を印加して行うことが好ましい。又
は、素子の多層膜形成中或いは形成後に、磁界中熱処理
を行うことが好ましい。
【0051】膜の形成において、磁場の印加に関して
は、膜の積層工程に合わせて磁界の方向及び大きさを制
御し、バイアスの印加方向と磁性膜の一軸異方性とを制
御することが好ましい。
は、膜の積層工程に合わせて磁界の方向及び大きさを制
御し、バイアスの印加方向と磁性膜の一軸異方性とを制
御することが好ましい。
【0052】更に、膜の形成において、磁場中で熱処理
を行う場合には、バイアス膜の異方性及び磁性膜の一軸
異方性を制御することが好ましい。
を行う場合には、バイアス膜の異方性及び磁性膜の一軸
異方性を制御することが好ましい。
【0053】MR膜に対し積層される硬磁性膜を有する
場合には、素子を作製後、磁界を印加して硬磁性膜の磁
化を所定の方向に向ける方法が望ましい。
場合には、素子を作製後、磁界を印加して硬磁性膜の磁
化を所定の方向に向ける方法が望ましい。
【0054】バイアス膜の材料は、高い電気抵抗を有す
るものであることが好ましく、具体的には、電気抵抗率
が5×10-4オームセンチメートル(Ωcm)以上である
ことが好ましい。このバイアス膜は、電流漏洩による素
子の出力低下を防ぐと共に、用いられる材料の積層構
造、特に平坦性を制御し、素子の積層を可能にするもの
である。実質的に絶縁体である酸化ニッケル(NiO)膜
をバイアス膜として用いた場合には、特に、磁界感度が
10エルステッド程度に高感度であって、従来と比較し
て2から4倍程度の高い信頼性を有する積層構造が実現
できる。
るものであることが好ましく、具体的には、電気抵抗率
が5×10-4オームセンチメートル(Ωcm)以上である
ことが好ましい。このバイアス膜は、電流漏洩による素
子の出力低下を防ぐと共に、用いられる材料の積層構
造、特に平坦性を制御し、素子の積層を可能にするもの
である。実質的に絶縁体である酸化ニッケル(NiO)膜
をバイアス膜として用いた場合には、特に、磁界感度が
10エルステッド程度に高感度であって、従来と比較し
て2から4倍程度の高い信頼性を有する積層構造が実現
できる。
【0055】また、本発明の磁気記録再生装置は、一方
の磁性膜には、記録媒体に対して実質的に垂直な方向に
磁気異方性を印加する手段を有し、他方の磁性膜には、
記録媒体に対して実質的に磁性膜面内で平行な方向に前
記磁気異方性より大きさの小さい磁気異方性を印加する
手段を有することを特徴とする。上記より大きさの小さ
い異方性を印加する手段としては、磁気抵抗効果膜の磁
性膜の、形状異方性,一軸異方性を用いるか、適当なシ
ャント膜,ソフト膜を上記磁気抵抗効果膜に隣接して配
置すること、或いは上記磁性膜に別のバイアス膜を密着
して形成する、などの方法がある。
の磁性膜には、記録媒体に対して実質的に垂直な方向に
磁気異方性を印加する手段を有し、他方の磁性膜には、
記録媒体に対して実質的に磁性膜面内で平行な方向に前
記磁気異方性より大きさの小さい磁気異方性を印加する
手段を有することを特徴とする。上記より大きさの小さ
い異方性を印加する手段としては、磁気抵抗効果膜の磁
性膜の、形状異方性,一軸異方性を用いるか、適当なシ
ャント膜,ソフト膜を上記磁気抵抗効果膜に隣接して配
置すること、或いは上記磁性膜に別のバイアス膜を密着
して形成する、などの方法がある。
【0056】また、本発明の磁気記録再生装置は、信号
を所定のトラック幅で磁気的に記憶する記録媒体と、記
録媒体から漏洩する磁界を検出し、非磁性導電膜を間に
挟んだ磁性膜のサンドウイッチ構造を有し、構造に電流
を印加する一対の電極を有する磁気抵抗効果素子とを具
備するものであって、記録媒体に対して垂直な方向の構
造の長さが記録媒体に対して平行な面内の方向の長さ、
特に電極間の長さ以下であって、電極間の長さが記録媒
体に形成されるトラック幅以下であることを特徴とす
る。これは上記形状異方性を磁気抵抗効果素子の再生に
関与する部分に有効に作用せしめて磁気抵抗効果素子の
出力範囲を補償し、かつ、再生時のトラッキングの誤差
によって所定のトラックの端部及び外部の信号を読み取
ることのないようにする効果がある。
を所定のトラック幅で磁気的に記憶する記録媒体と、記
録媒体から漏洩する磁界を検出し、非磁性導電膜を間に
挟んだ磁性膜のサンドウイッチ構造を有し、構造に電流
を印加する一対の電極を有する磁気抵抗効果素子とを具
備するものであって、記録媒体に対して垂直な方向の構
造の長さが記録媒体に対して平行な面内の方向の長さ、
特に電極間の長さ以下であって、電極間の長さが記録媒
体に形成されるトラック幅以下であることを特徴とす
る。これは上記形状異方性を磁気抵抗効果素子の再生に
関与する部分に有効に作用せしめて磁気抵抗効果素子の
出力範囲を補償し、かつ、再生時のトラッキングの誤差
によって所定のトラックの端部及び外部の信号を読み取
ることのないようにする効果がある。
【0057】また、本発明の磁気記録再生装置は、記録
媒体に所定のトラック幅で書き込まれた磁化のパターン
からの磁界を読み取る磁気抵抗効果素子を搭載したもの
であって、素子の記録媒体に対して垂直方向の長さd
(μm)と、媒体上のトラックの密度T(トラック/イ
ンチ)との関係が、d<12.5×103/Tであること
が好ましい。
媒体に所定のトラック幅で書き込まれた磁化のパターン
からの磁界を読み取る磁気抵抗効果素子を搭載したもの
であって、素子の記録媒体に対して垂直方向の長さd
(μm)と、媒体上のトラックの密度T(トラック/イ
ンチ)との関係が、d<12.5×103/Tであること
が好ましい。
【0058】また、本発明の磁気ヘッドは、信号を磁気
的に記憶する記録媒体と、前記媒体から漏洩する磁界を
検出する磁気抵抗効果素子とを有するものであって、前
記素子が、前記媒体から漏洩する±10Oeの磁界に対
して5.0〜8.5%の抵抗変化率が得られる。
的に記憶する記録媒体と、前記媒体から漏洩する磁界を
検出する磁気抵抗効果素子とを有するものであって、前
記素子が、前記媒体から漏洩する±10Oeの磁界に対
して5.0〜8.5%の抵抗変化率が得られる。
【0059】また、本発明の磁気記録再生装置は、信号
を磁気的に記憶する記録媒体と、前記記録媒体から漏洩
する磁界を検出し、非磁性導電膜を間に挟んだ磁性膜の
サンドウイッチ構造を具備する磁気抵抗効果素子とを有
するものであって、前記素子が、前記記録媒体から漏洩
する±8Oeの磁界に対して5.0〜9.5%の抵抗変化
率が得られる。
を磁気的に記憶する記録媒体と、前記記録媒体から漏洩
する磁界を検出し、非磁性導電膜を間に挟んだ磁性膜の
サンドウイッチ構造を具備する磁気抵抗効果素子とを有
するものであって、前記素子が、前記記録媒体から漏洩
する±8Oeの磁界に対して5.0〜9.5%の抵抗変化
率が得られる。
【0060】本発明の薄膜磁気ヘッドは、基板と、信号
を記録するインダクティブ型記録ヘッドと、信号を再生
する磁気抵抗効果型再生ヘッドとを組み合わせてなるも
のであって、前記再生ヘッドが、非磁性導電膜を間に挟
んだ磁性膜のサンドウイッチ構造を有し、前記記録ヘッ
ドが前記基板と前記再生ヘッドとの間に形成される。本
発明は、磁気抵抗効果素子での磁性膜の形状異方性の増
大による感度の低下を低減させることが可能である。こ
れは磁性膜を薄くすることで低減できる。磁性膜の形状
異方性の大きさはおおよそその厚さに比例するからであ
る。一方、本発明の磁気抵抗効果膜の合計の厚さは、や
はり表面散乱による出力の低下を防ぐために100〜3
00Å程度とする必要があるが、非磁性膜で分離された
個々の磁性膜、特に膜中央の軟磁性膜の厚さは100Å
以下、特に10から20Å以下にしても出力の低下を全
く生じないからである。この作用は磁気抵抗効果の発現
機構が、その磁性膜/非磁性膜/磁性膜の界面に起因す
ることにより生じる。
を記録するインダクティブ型記録ヘッドと、信号を再生
する磁気抵抗効果型再生ヘッドとを組み合わせてなるも
のであって、前記再生ヘッドが、非磁性導電膜を間に挟
んだ磁性膜のサンドウイッチ構造を有し、前記記録ヘッ
ドが前記基板と前記再生ヘッドとの間に形成される。本
発明は、磁気抵抗効果素子での磁性膜の形状異方性の増
大による感度の低下を低減させることが可能である。こ
れは磁性膜を薄くすることで低減できる。磁性膜の形状
異方性の大きさはおおよそその厚さに比例するからであ
る。一方、本発明の磁気抵抗効果膜の合計の厚さは、や
はり表面散乱による出力の低下を防ぐために100〜3
00Å程度とする必要があるが、非磁性膜で分離された
個々の磁性膜、特に膜中央の軟磁性膜の厚さは100Å
以下、特に10から20Å以下にしても出力の低下を全
く生じないからである。この作用は磁気抵抗効果の発現
機構が、その磁性膜/非磁性膜/磁性膜の界面に起因す
ることにより生じる。
【0061】本発明の磁気記録再生装置は、従来に比し
て、2倍から10倍程度記録密度を向上させることがで
き、特に、再生部の磁気抵抗効果素子の再生性能を1.
5 倍から20倍程度向上させることができる。
て、2倍から10倍程度記録密度を向上させることがで
き、特に、再生部の磁気抵抗効果素子の再生性能を1.
5 倍から20倍程度向上させることができる。
【0062】すなわち、互いに隔てられた磁性膜間での
磁化の方向の違いによって発生する磁気抵抗効果を利用
すると共に、磁性膜の厚さを分離によって薄くし、素子
の形状による磁気的異方性の発生及びそれによる素子の
磁界に対する感度の低下を防止する。これによって初め
て磁気抵抗効果素子の細小化が、再生能力の低下なしに
実現できた。さらに非磁性膜がその電気抵抗率に比して
十分薄くして、これを介して磁性膜間の電子の透過を可
能にし、スピンの方向に依存した磁気抵抗効果を発現す
る。加えて、その厚さと構造を制御して磁性膜間の磁気
的な結合をゼロか、記録媒体からの磁界に比べて小さく
して素子の高感度の応答を可能にするのである。
磁化の方向の違いによって発生する磁気抵抗効果を利用
すると共に、磁性膜の厚さを分離によって薄くし、素子
の形状による磁気的異方性の発生及びそれによる素子の
磁界に対する感度の低下を防止する。これによって初め
て磁気抵抗効果素子の細小化が、再生能力の低下なしに
実現できた。さらに非磁性膜がその電気抵抗率に比して
十分薄くして、これを介して磁性膜間の電子の透過を可
能にし、スピンの方向に依存した磁気抵抗効果を発現す
る。加えて、その厚さと構造を制御して磁性膜間の磁気
的な結合をゼロか、記録媒体からの磁界に比べて小さく
して素子の高感度の応答を可能にするのである。
【0063】第二に、非磁性膜で分離した磁性膜の磁化
の方向を特定の方向に誘導した点にある。すなわち、記
録媒体からの磁界が到達する方向に平行に強く誘導す
る。これは、より具体的には磁気抵抗効果素子が対向す
る記録媒体表面の法線に平行な方向である。これによっ
て磁気抵抗効果素子の一部の磁性膜が有する磁化をその
方向に固定し、それ以外の磁性膜が有する磁化を記録媒
体からの磁界に感応して回転可能にし、磁気抵抗効果に
よる出力を安定に生じさせることができたのである。
の方向を特定の方向に誘導した点にある。すなわち、記
録媒体からの磁界が到達する方向に平行に強く誘導す
る。これは、より具体的には磁気抵抗効果素子が対向す
る記録媒体表面の法線に平行な方向である。これによっ
て磁気抵抗効果素子の一部の磁性膜が有する磁化をその
方向に固定し、それ以外の磁性膜が有する磁化を記録媒
体からの磁界に感応して回転可能にし、磁気抵抗効果に
よる出力を安定に生じさせることができたのである。
【0064】第三に、前記それ以外の磁性膜が有する磁
化を記録媒体からの磁界が到達する方向に対して垂直方
向に弱く誘導した点である。ここで、弱く誘導する、と
は、前記一部の磁性膜の磁化の固定の強さに比較して、
前記それ以外の磁性膜の磁化の誘導の強さが弱いことを
意味する。
化を記録媒体からの磁界が到達する方向に対して垂直方
向に弱く誘導した点である。ここで、弱く誘導する、と
は、前記一部の磁性膜の磁化の固定の強さに比較して、
前記それ以外の磁性膜の磁化の誘導の強さが弱いことを
意味する。
【0065】これは、この磁性膜の磁化の回転を促進し
て、特に高周波数での感度の向上及びノイズの抑制の効
果がある。さらに、磁界がゼロの時の出力を規定したの
で、正負いずれの磁界に対しても稼働を可能にする効果
がある。
て、特に高周波数での感度の向上及びノイズの抑制の効
果がある。さらに、磁界がゼロの時の出力を規定したの
で、正負いずれの磁界に対しても稼働を可能にする効果
がある。
【0066】また、本発明の磁気記録再生装置は、信号
を磁気的に記憶する記録媒体と、媒体から漏洩する磁界
を検出する磁気抵抗効果素子とを有し、素子によって感
知された磁界に対する出力特性が、ステップ状に変化す
るのが好ましい。
を磁気的に記憶する記録媒体と、媒体から漏洩する磁界
を検出する磁気抵抗効果素子とを有し、素子によって感
知された磁界に対する出力特性が、ステップ状に変化す
るのが好ましい。
【0067】ここでステップ状とは、磁気抵抗効果型再
生ヘッドの外部磁界に対する応答特性において、これが
三角形状でなく、一つの四角形状のステップに類似した
特性、すなわち磁界によって比較的急峻に変化する部位
と、その間の磁界に対してほぼ一定の応答を示す部位、
とを有する特性を示すことを意味する。
生ヘッドの外部磁界に対する応答特性において、これが
三角形状でなく、一つの四角形状のステップに類似した
特性、すなわち磁界によって比較的急峻に変化する部位
と、その間の磁界に対してほぼ一定の応答を示す部位、
とを有する特性を示すことを意味する。
【0068】また、本発明に搭載される磁気抵抗効果素
子の磁性膜の厚さは、5〜1000Å、特に10〜10
0Åであることが好ましい。磁性膜が室温で十分な磁化
を有し、かつ、電流を有効に磁気抵抗効果に活用するた
めである。
子の磁性膜の厚さは、5〜1000Å、特に10〜10
0Åであることが好ましい。磁性膜が室温で十分な磁化
を有し、かつ、電流を有効に磁気抵抗効果に活用するた
めである。
【0069】各磁性膜を隔離する非磁性導電膜の厚さ
は、5〜1000Åであることが好ましい。この非磁性
導電膜の厚さは、電子の伝導を妨げず、特に磁性膜間の
反強磁性的或いは強磁性的な結合を十分に小さく保つ必
要があるからであり、特定の厚さ、例えばCuであれば
10Åから30Å程度であることが望ましい。
は、5〜1000Åであることが好ましい。この非磁性
導電膜の厚さは、電子の伝導を妨げず、特に磁性膜間の
反強磁性的或いは強磁性的な結合を十分に小さく保つ必
要があるからであり、特定の厚さ、例えばCuであれば
10Åから30Å程度であることが望ましい。
【0070】磁性膜、特に軟磁性膜の材料としては、N
i70〜95原子%及びFe5〜30原子%なる合金を
用いることが好ましい。
i70〜95原子%及びFe5〜30原子%なる合金を
用いることが好ましい。
【0071】更に、磁性膜の材料としては、上記Ni−
Fe系合金に、適宜、Coを5原子%以下の範囲で添加
することが好ましい。或いはCo30〜85原子%,N
i2〜30原子%,Fe2〜50原子%の面心立方構造
を有する合金薄膜を用いることが望ましい。これらは良
好な積層構造の形成を可能とし、軟磁気特性に優れ、さ
らに大きな磁気抵抗効果を生じるからである。
Fe系合金に、適宜、Coを5原子%以下の範囲で添加
することが好ましい。或いはCo30〜85原子%,N
i2〜30原子%,Fe2〜50原子%の面心立方構造
を有する合金薄膜を用いることが望ましい。これらは良
好な積層構造の形成を可能とし、軟磁気特性に優れ、さ
らに大きな磁気抵抗効果を生じるからである。
【0072】また非磁性導電膜の材料としては、Au,
Ag,Cuの少なくとも一つを用いることが好ましい。
これらの膜は磁性膜との組み合わせによって磁気抵抗効
果を生じ、電気伝導度に優れ、かつ良好な積層構造の形
成を可能にするからである。本発明の磁気抵抗効果素子
の構成の一例は、基板上に、NiO,NiFe,Cu,N
iFe,Cu,NiFe,NiOを順次積層した膜に一
対の電極を配してなる。または、基板上に、NiO,C
o/NiFe,Cu,Co/NiFe,Cu,Co/N
iFe,NiOを順次積層した膜に一対の電極を配して
なる。
Ag,Cuの少なくとも一つを用いることが好ましい。
これらの膜は磁性膜との組み合わせによって磁気抵抗効
果を生じ、電気伝導度に優れ、かつ良好な積層構造の形
成を可能にするからである。本発明の磁気抵抗効果素子
の構成の一例は、基板上に、NiO,NiFe,Cu,N
iFe,Cu,NiFe,NiOを順次積層した膜に一
対の電極を配してなる。または、基板上に、NiO,C
o/NiFe,Cu,Co/NiFe,Cu,Co/N
iFe,NiOを順次積層した膜に一対の電極を配して
なる。
【0073】或いは、本発明の磁気抵抗効果素子は、基
板上に、NiO,CoNiFe,Cu,NiFe,C
u,Co/NiFe,NiOを順次積層した膜に一対の
電極を配してなる。これはこれらの構成が表面散乱によ
る出力の低下を極めて効率的に防止し、実効上出力を向
上させる効果があるとともに中央の膜を薄くすることを
可能にして磁性膜の形状異方性による素子の感度の劣化
を、出力の低下なしに防止することができるからであ
る。
板上に、NiO,CoNiFe,Cu,NiFe,C
u,Co/NiFe,NiOを順次積層した膜に一対の
電極を配してなる。これはこれらの構成が表面散乱によ
る出力の低下を極めて効率的に防止し、実効上出力を向
上させる効果があるとともに中央の膜を薄くすることを
可能にして磁性膜の形状異方性による素子の感度の劣化
を、出力の低下なしに防止することができるからであ
る。
【0074】本発明の磁気記録再生装置は、このように
磁気抵抗効果素子を再生部とし、高い記録密度、すなわ
ち記録媒体上に記録される記録波長を短くすることがで
きる。また、記録トラックの幅が狭い記録を実現でき、
十分な再生出力を得、記録を良好に保つことができる。
磁気抵抗効果素子を再生部とし、高い記録密度、すなわ
ち記録媒体上に記録される記録波長を短くすることがで
きる。また、記録トラックの幅が狭い記録を実現でき、
十分な再生出力を得、記録を良好に保つことができる。
【0075】本発明の磁気記録再生装置に搭載される磁
気抵抗効果素子は、記録媒体対向面に垂直な方向に強く
磁化を誘導した第一の磁性膜と、これに垂直な方向に弱
く磁化を誘導した第二の磁性膜を非磁性膜を隔てて隣接
してなる。
気抵抗効果素子は、記録媒体対向面に垂直な方向に強く
磁化を誘導した第一の磁性膜と、これに垂直な方向に弱
く磁化を誘導した第二の磁性膜を非磁性膜を隔てて隣接
してなる。
【0076】この素子を記録媒体にごく接近して配置
し、記録媒体から磁気抵抗効果素子に達する磁界を多層
膜の電気抵抗の変化として感知する。すなわち、磁界に
感応して第二の磁性膜の磁化が回転し、第一の磁性膜の
磁化は殆んど回転しない。このため第一および第二の磁
性膜の互いの磁化のなす角が磁界に対して安定に変化
し、磁気抵抗効果により信号が出力される。
し、記録媒体から磁気抵抗効果素子に達する磁界を多層
膜の電気抵抗の変化として感知する。すなわち、磁界に
感応して第二の磁性膜の磁化が回転し、第一の磁性膜の
磁化は殆んど回転しない。このため第一および第二の磁
性膜の互いの磁化のなす角が磁界に対して安定に変化
し、磁気抵抗効果により信号が出力される。
【0077】非磁性膜を介して隣接する磁性膜の間で電
子が透過し、互いの磁性膜の磁化の向きの相対的な違い
によって電子のスピンの向きに依存して散乱の確率が変
わることから、大きな磁気抵抗効果が生じる。この効果
は膜面内での電流の向き,全体の磁化の向きに依存しな
い。
子が透過し、互いの磁性膜の磁化の向きの相対的な違い
によって電子のスピンの向きに依存して散乱の確率が変
わることから、大きな磁気抵抗効果が生じる。この効果
は膜面内での電流の向き,全体の磁化の向きに依存しな
い。
【0078】磁気抵抗効果素子の多層膜は小さな領域
に、5ミクロン以下の小さな領域、さらには1ミクロン
の幅に形成され、記録媒体からの磁界を有効に、かつ感
度良く感知でき、特に高記録密度での再生能力が向上す
る。
に、5ミクロン以下の小さな領域、さらには1ミクロン
の幅に形成され、記録媒体からの磁界を有効に、かつ感
度良く感知でき、特に高記録密度での再生能力が向上す
る。
【0079】本発明の、バイアス膜による一方向異方性
磁界が100から200エルステッドとすると形状によ
る異方性磁界Hkは軟磁性体の保磁力より大きく、バイ
アス磁界より小さい、0.4 から100エルステッド未
満であることが望ましい。本発明の磁気抵抗効果素子で
は強磁性層の厚さを特に10から50Åまで薄くしても
出力の低下を生じないことから、異方性磁界は幅1ミク
ロンの素子においても4から20エルステッドと小さ
く、磁気抵抗効果素子の感度を悪化させないのである。
磁界が100から200エルステッドとすると形状によ
る異方性磁界Hkは軟磁性体の保磁力より大きく、バイ
アス磁界より小さい、0.4 から100エルステッド未
満であることが望ましい。本発明の磁気抵抗効果素子で
は強磁性層の厚さを特に10から50Åまで薄くしても
出力の低下を生じないことから、異方性磁界は幅1ミク
ロンの素子においても4から20エルステッドと小さ
く、磁気抵抗効果素子の感度を悪化させないのである。
【0080】以上の点から、本発明の磁気記録再生装置
は従来型に比べて10倍程度の記録密度の向上を可能と
するものである。より具体的には、記録波長0.1〜0.
3μm,トラック幅0.2 〜4μm、すなわち、面記録
密度において、1〜30Gb/in2 の記録密度を有す
る磁気記録再生装置として適している。
は従来型に比べて10倍程度の記録密度の向上を可能と
するものである。より具体的には、記録波長0.1〜0.
3μm,トラック幅0.2 〜4μm、すなわち、面記録
密度において、1〜30Gb/in2 の記録密度を有す
る磁気記録再生装置として適している。
【0081】
(実施例1)図1は本実施例の磁気抵抗効果型ヘッドの
構造である。まずSAL1,分離膜2およびMR膜3を
順次成膜した。MR膜3として80at%NiFeを用いた。そ
の後、中央能動領域上にステンシル状のホトレジストを
形成した。続いてこのレジスト材によってマスクされて
いない領域の上記SAL1,上記分離膜2および上記M
R膜3をイオンミリングにより除去した。このとき基板
をイオンビームに対し適切な角度を維持したまま回転さ
せることにより末広がりのテーパ5を形成した。次に端
部受動領域を形成する永久磁石膜7および電極膜8を付
着した。永久磁石膜としてCo0.82Cr0.09Pt0.09膜又
はCo0.80Cr0.08Pt0.09(ZrO2)0.03膜を用いた。今
回の永久磁石膜はRFスパッタ法により形成し、ターゲ
ット上にZrO2 チップを配置することによりCoCrPt
膜中のZrO2濃度を調節した。永久磁石膜7の膜厚は中
央能動領域に与えるバイアス磁界がCo0.82Cr0.09Pt0.09
膜とCo0.80Cr0.08Pt0.09(ZrO2)0.03 膜で同じにな
るようそれぞれ50nm,52nmに選んだ。それぞれ
の永久磁石膜の保磁力は600Oe 及び1200Oeであっ
た。ステンシル上に付着した永久磁石膜および電極膜
は、リフトオフによりステンシルと共に除去した。SA
L1はMR膜3に横バイアス磁界4を印加するものであ
り、永久磁石膜7はMR膜3に縦バイアス磁界6を印加
するものである。永久磁石膜7はMR膜3を所定の形状
に作成した後SAL1,分離膜2及びMR膜3の合計の
厚さより薄く積層され、MR膜3の部分に残らないよう
に除去され、MR膜3との端部で残るようにテーパが形
成される。更に、その後電極膜8が形成され、MR膜3
との接触部でテーパが形成される。9は0.4μm の厚
さのアルミナの下部ギャップ膜、10は約2μmのNi
Fe合金からなる下部シールド膜、11は基板12の表
面にアルミナの絶縁膜を10μmの厚さで形成し研摩し
て基板12の表面を平滑にするためのものである。基板
12はTiC含有アルミナ焼結体が用いられる。分離膜
2は200ÅのTa膜が用いられる。MR膜3は厚さ4
00Åの80at%Ni−Fe合金が用いられる。
構造である。まずSAL1,分離膜2およびMR膜3を
順次成膜した。MR膜3として80at%NiFeを用いた。そ
の後、中央能動領域上にステンシル状のホトレジストを
形成した。続いてこのレジスト材によってマスクされて
いない領域の上記SAL1,上記分離膜2および上記M
R膜3をイオンミリングにより除去した。このとき基板
をイオンビームに対し適切な角度を維持したまま回転さ
せることにより末広がりのテーパ5を形成した。次に端
部受動領域を形成する永久磁石膜7および電極膜8を付
着した。永久磁石膜としてCo0.82Cr0.09Pt0.09膜又
はCo0.80Cr0.08Pt0.09(ZrO2)0.03膜を用いた。今
回の永久磁石膜はRFスパッタ法により形成し、ターゲ
ット上にZrO2 チップを配置することによりCoCrPt
膜中のZrO2濃度を調節した。永久磁石膜7の膜厚は中
央能動領域に与えるバイアス磁界がCo0.82Cr0.09Pt0.09
膜とCo0.80Cr0.08Pt0.09(ZrO2)0.03 膜で同じにな
るようそれぞれ50nm,52nmに選んだ。それぞれ
の永久磁石膜の保磁力は600Oe 及び1200Oeであっ
た。ステンシル上に付着した永久磁石膜および電極膜
は、リフトオフによりステンシルと共に除去した。SA
L1はMR膜3に横バイアス磁界4を印加するものであ
り、永久磁石膜7はMR膜3に縦バイアス磁界6を印加
するものである。永久磁石膜7はMR膜3を所定の形状
に作成した後SAL1,分離膜2及びMR膜3の合計の
厚さより薄く積層され、MR膜3の部分に残らないよう
に除去され、MR膜3との端部で残るようにテーパが形
成される。更に、その後電極膜8が形成され、MR膜3
との接触部でテーパが形成される。9は0.4μm の厚
さのアルミナの下部ギャップ膜、10は約2μmのNi
Fe合金からなる下部シールド膜、11は基板12の表
面にアルミナの絶縁膜を10μmの厚さで形成し研摩し
て基板12の表面を平滑にするためのものである。基板
12はTiC含有アルミナ焼結体が用いられる。分離膜
2は200ÅのTa膜が用いられる。MR膜3は厚さ4
00Åの80at%Ni−Fe合金が用いられる。
【0082】これらのヘッドの電気磁気変換特性を測定
した結果、出力変動20%、波形変動10%であったC
o0.82Cr0.09Pt0.09膜を用いたヘッドに対し、Co0.80
Cr0.08Pt0.09(ZrO2)0.03 膜を用いたヘッドでは出
力変動5%以内、波形変動5%以内に低減することがで
きた。よって、Co0.80Cr0.08Pt0.09(ZrO2)0.03 膜
を永久磁石膜に用いることによりBHN及び波形変動抑
制効果が高くなることを確認した。
した結果、出力変動20%、波形変動10%であったC
o0.82Cr0.09Pt0.09膜を用いたヘッドに対し、Co0.80
Cr0.08Pt0.09(ZrO2)0.03 膜を用いたヘッドでは出
力変動5%以内、波形変動5%以内に低減することがで
きた。よって、Co0.80Cr0.08Pt0.09(ZrO2)0.03 膜
を永久磁石膜に用いることによりBHN及び波形変動抑
制効果が高くなることを確認した。
【0083】中央能動領域はMR膜、横バイアスを印加
するソフトバイアス膜であるSAL1と前記2磁性膜を分離
する分離膜2を有する。端部受動領域は中央能動領域に
縦バイアスを印加する永久磁石膜7より構成される。端
部接合領域は中央能動領域に二つのテーパを有してい
る。
するソフトバイアス膜であるSAL1と前記2磁性膜を分離
する分離膜2を有する。端部受動領域は中央能動領域に
縦バイアスを印加する永久磁石膜7より構成される。端
部接合領域は中央能動領域に二つのテーパを有してい
る。
【0084】この永久磁石膜7は、永久磁石膜からの漏
洩磁界と、永久磁石膜と中央能動領域との接合領域での
結合磁界により中央能動領域に縦バイアスを与える。永
久磁石膜はBHN抑制のために磁気媒体からの磁界に対
して安定に中央能動領域に磁界を印加する必要がある。
このためには永久磁石膜の保磁力として1000Oe以上が
必要である。永久磁石膜はCoPt,CoCrPt等の永久磁
石膜が用いられる。Co系磁性膜はCr等の下地膜を用
いることにより高保磁力が得られる。
洩磁界と、永久磁石膜と中央能動領域との接合領域での
結合磁界により中央能動領域に縦バイアスを与える。永
久磁石膜はBHN抑制のために磁気媒体からの磁界に対
して安定に中央能動領域に磁界を印加する必要がある。
このためには永久磁石膜の保磁力として1000Oe以上が
必要である。永久磁石膜はCoPt,CoCrPt等の永久磁
石膜が用いられる。Co系磁性膜はCr等の下地膜を用
いることにより高保磁力が得られる。
【0085】図2は本実施例の構造を持つ磁気ヘッドの
製造方法を示す工程図である。まずSAL1,分離膜2
およびMR膜3を順次成膜する(図2a)。その後、図
2bの様なステンシル状のホトレジスト44を形成す
る。続いてこのレジスト材によってマスクされていない
領域の上記SAL1,上記分離膜2および上記MR膜3
をイオンミリングにより除去する(図2c)。上記SA
L1,上記分離膜2および上記MR膜3のマスクされて
いる領域は中央能動領域45を形成する。このとき上記
3層膜が付着している基板をイオンビームに対し適切な
角度を維持したまま回転させる。基板の回転は基板中心
を回転の中心とし、角速度ベクトルが基板面に対し垂直
になるようにする。この様にイオンミリングすることに
より図2cの様なテーパ46が形成される。次に端部受
動領域47を形成する。永久磁石膜48及び電極膜49
を付着する(図2d)。当然これらの膜は上記ステンシ
ルおよび上記テーパ上にも付着する。ステンシル上に付
着した永久磁石膜および電極膜は、リフトオフによりス
テンシルと共に除去される(図2e)。以上の工程によ
り接合部でのみ中央能動領域と端部受動領域が接するM
Rヘッドを形成することができる。
製造方法を示す工程図である。まずSAL1,分離膜2
およびMR膜3を順次成膜する(図2a)。その後、図
2bの様なステンシル状のホトレジスト44を形成す
る。続いてこのレジスト材によってマスクされていない
領域の上記SAL1,上記分離膜2および上記MR膜3
をイオンミリングにより除去する(図2c)。上記SA
L1,上記分離膜2および上記MR膜3のマスクされて
いる領域は中央能動領域45を形成する。このとき上記
3層膜が付着している基板をイオンビームに対し適切な
角度を維持したまま回転させる。基板の回転は基板中心
を回転の中心とし、角速度ベクトルが基板面に対し垂直
になるようにする。この様にイオンミリングすることに
より図2cの様なテーパ46が形成される。次に端部受
動領域47を形成する。永久磁石膜48及び電極膜49
を付着する(図2d)。当然これらの膜は上記ステンシ
ルおよび上記テーパ上にも付着する。ステンシル上に付
着した永久磁石膜および電極膜は、リフトオフによりス
テンシルと共に除去される(図2e)。以上の工程によ
り接合部でのみ中央能動領域と端部受動領域が接するM
Rヘッドを形成することができる。
【0086】磁気抵抗効果膜にバイアス磁界を印加する
ための軟磁性膜からなるSAL1として、80原子%ニ
ッケル及び残部鉄からなる磁性合金に酸化ジルコニウム
を10%添加した軟磁性膜を、スパッタリング法によっ
て400Å形成する。スパッタリングはニッケル−鉄合
金ターゲット上に酸化ジルコニウムチップを配置したタ
ーゲットを用いて行った。スパッタリングの際のArガ
ス圧は2mTorrとした。また、基板温度は室温とした。
さらにその上部に上部ギャップ膜としてアルミナ膜を
0.3μm 、さらにその上部に上部磁気シールドを形成
する。さらにその上部に絶縁膜を形成後、記録用の誘導
型磁気ヘッドを作製するが詳細は省略する。この後、基
板を切断,スライダに加工して磁気抵抗効果型磁気ヘッ
ドの作製を完了する。次に本実施例の磁気抵抗効果型磁
気ヘッドの特性について述べる。磁気抵抗効果型磁気ヘ
ッドの評価は再生出力で行った。本実施例の磁気ヘッド
及び、比較のために同様の構造でバイアス膜に5%ニオ
ブを添加したニッケル−鉄合金を用いたヘッドについて
行った。本実施例の酸化ジルコニウムを添加したバイア
ス膜は飽和磁束密度が0.7T で、比抵抗が約120μ
Ωcmであるのに対し、比較のための5%ニオブを添加し
たニッケル−鉄膜では飽和磁束密度0.6T、比抵抗が
70μΩcmであった。ニオブを5%添加したニッケル−
鉄膜をバイアス膜に用いた磁気抵抗効果型磁気ヘッドの
再生出力は、10MHzの周波数で約400μVであっ
たのに対し、本発明の磁気ヘッドは10%大きな約44
0μVであった。これは、ニオブを添加したニッケル−
鉄合金膜をバイアス膜としたヘッドでは、バイアス膜の
比抵抗が小さいため、検出電流が磁気抵抗効果膜とバイ
アス膜の両方に流れ、読み出される抵抗の変化が小さく
なるためである。ニオブを添加したニッケル−鉄膜では
添加するニオブの量を増やすことによって、電気抵抗を
上昇させることが可能であるが、ニオブの添加量を増加
させると飽和磁束密度が著しく低下するので、5%が限
界である。このように、酸化ジルコニウムを添加したニ
ッケル−鉄膜をバイアス膜とした本実施例の磁気抵抗効
果型磁気ヘッドでは、バイアス膜の電気抵抗が大きいの
で、高い再生出力が得られる。
ための軟磁性膜からなるSAL1として、80原子%ニ
ッケル及び残部鉄からなる磁性合金に酸化ジルコニウム
を10%添加した軟磁性膜を、スパッタリング法によっ
て400Å形成する。スパッタリングはニッケル−鉄合
金ターゲット上に酸化ジルコニウムチップを配置したタ
ーゲットを用いて行った。スパッタリングの際のArガ
ス圧は2mTorrとした。また、基板温度は室温とした。
さらにその上部に上部ギャップ膜としてアルミナ膜を
0.3μm 、さらにその上部に上部磁気シールドを形成
する。さらにその上部に絶縁膜を形成後、記録用の誘導
型磁気ヘッドを作製するが詳細は省略する。この後、基
板を切断,スライダに加工して磁気抵抗効果型磁気ヘッ
ドの作製を完了する。次に本実施例の磁気抵抗効果型磁
気ヘッドの特性について述べる。磁気抵抗効果型磁気ヘ
ッドの評価は再生出力で行った。本実施例の磁気ヘッド
及び、比較のために同様の構造でバイアス膜に5%ニオ
ブを添加したニッケル−鉄合金を用いたヘッドについて
行った。本実施例の酸化ジルコニウムを添加したバイア
ス膜は飽和磁束密度が0.7T で、比抵抗が約120μ
Ωcmであるのに対し、比較のための5%ニオブを添加し
たニッケル−鉄膜では飽和磁束密度0.6T、比抵抗が
70μΩcmであった。ニオブを5%添加したニッケル−
鉄膜をバイアス膜に用いた磁気抵抗効果型磁気ヘッドの
再生出力は、10MHzの周波数で約400μVであっ
たのに対し、本発明の磁気ヘッドは10%大きな約44
0μVであった。これは、ニオブを添加したニッケル−
鉄合金膜をバイアス膜としたヘッドでは、バイアス膜の
比抵抗が小さいため、検出電流が磁気抵抗効果膜とバイ
アス膜の両方に流れ、読み出される抵抗の変化が小さく
なるためである。ニオブを添加したニッケル−鉄膜では
添加するニオブの量を増やすことによって、電気抵抗を
上昇させることが可能であるが、ニオブの添加量を増加
させると飽和磁束密度が著しく低下するので、5%が限
界である。このように、酸化ジルコニウムを添加したニ
ッケル−鉄膜をバイアス膜とした本実施例の磁気抵抗効
果型磁気ヘッドでは、バイアス膜の電気抵抗が大きいの
で、高い再生出力が得られる。
【0087】次に本発明の磁気抵抗効果型磁気ヘッドの
バイアス膜の電気抵抗について述べる。図3は80原子
%ニッケル,残部鉄よりなる磁性合金膜に、酸化ジルコ
ニウムを添加した場合の膜の比抵抗及び飽和磁束密度を
示したものである。膜厚は400Åである。酸化アルミ
ニウムを添加すると膜の電気抵抗は増加し、約10%で
100μΩcmになる。一方、飽和磁束密度は酸化アルミ
ニウムの添加によって単調に減少し、10%では約0.
75T である。これは化合物として酸化アルミニウム
を添加した場合の例であるが、他の化合物でも同様の傾
向を示し、化合物の添加により、高い比抵抗の膜を作製
することが可能である。このような高い比抵抗の膜は、
従来の金属元素の添加では得ることが困難であり、化合
物の添加が有効であることがわかる。
バイアス膜の電気抵抗について述べる。図3は80原子
%ニッケル,残部鉄よりなる磁性合金膜に、酸化ジルコ
ニウムを添加した場合の膜の比抵抗及び飽和磁束密度を
示したものである。膜厚は400Åである。酸化アルミ
ニウムを添加すると膜の電気抵抗は増加し、約10%で
100μΩcmになる。一方、飽和磁束密度は酸化アルミ
ニウムの添加によって単調に減少し、10%では約0.
75T である。これは化合物として酸化アルミニウム
を添加した場合の例であるが、他の化合物でも同様の傾
向を示し、化合物の添加により、高い比抵抗の膜を作製
することが可能である。このような高い比抵抗の膜は、
従来の金属元素の添加では得ることが困難であり、化合
物の添加が有効であることがわかる。
【0088】次に種々の化合物を含むバイアス膜の特性
について述べる。表1はニッケルが80%で残部鉄より
なる金属磁性薄膜に酸化ジルコニウム,酸化アルミニウ
ム,酸化ハフニウム,酸化チタン,酸化ベリリウム,酸
化マグネシウム,希土類酸素化合物として酸化セリウ
ム,窒化ジルコニウム,窒化ハフニウム,窒化アルミニ
ウム,窒化チタン,窒化ベリリウム,窒化マグネシウ
ム,窒化シリコン、及び希土類窒素化合物として窒化セ
リウムを約5%添加した場合の保磁力,異方性磁界,飽
和磁束密度の値を示したものである。
について述べる。表1はニッケルが80%で残部鉄より
なる金属磁性薄膜に酸化ジルコニウム,酸化アルミニウ
ム,酸化ハフニウム,酸化チタン,酸化ベリリウム,酸
化マグネシウム,希土類酸素化合物として酸化セリウ
ム,窒化ジルコニウム,窒化ハフニウム,窒化アルミニ
ウム,窒化チタン,窒化ベリリウム,窒化マグネシウ
ム,窒化シリコン、及び希土類窒素化合物として窒化セ
リウムを約5%添加した場合の保磁力,異方性磁界,飽
和磁束密度の値を示したものである。
【0089】
【表1】
【0090】比較のために酸化シリコンを添加した場合
と、金属ジルコニウムを添加した場合の磁気特性につい
ても示す。膜の作製はスパッタリング法で行った。ター
ゲットはニッケル−鉄合金上に各化合物のチップを配置
したターゲットとした。スパッタリングの際のArガス
圧は2mTorrとし、膜厚は400Åとした。膜の比抵抗
はいずれの膜もおよそ70μΩcmであった。また、保磁
力,異方性磁界,飽和磁束密度のいずれも化合物の種類
には殆ど依存せず同様な値を示したが、酸化シリコンを
添加した膜は異方性磁界が15Oeと大きくなってい
る。これは、酸化シリコンの結合エネルギが小さく、膜
作製中に分解が進み、発生した酸素が鉄あるいはニッケ
ルと化合し内部に酸化物を形成したためと考えられる。
ここで添加した窒素化合物は酸素化合物に比べれば結合
エネルギが小さいが、磁性元素である鉄,コバルト,ニ
ッケルの窒素と結合が非常に弱いため、磁性元素が化合
物を作らず、磁気特性の劣化がなかったと考えられる。
このことは、添加化合物の結合エネルギが、磁性元素が
作る同種の化合物の結合エネルギに比べ十分大きければ
磁気特性が改善されることを示している。以上のことか
ら類推すれば、他の化合物、例えば炭化物,塩化物,フ
ッ化物等の化合物でも磁気特性の改善が期待されるが、
炭化物は著しく真空装置を汚染すること、また塩化物及
びフッ化物はその多くが水溶性であり、膜の耐食性の点
で問題があると予想されるため実験を行わなかった。ま
た、比較のためにジルコニウムを添加した膜は保磁力及
び異方性磁界は小さくなるが、飽和磁束密度の大きさが
約0.5T と大きく減少した。このことはジルコニウム
を金属のまま添加すると、磁性元素の電子状態を大きく
変化させることを示しており、化合物として添加するこ
とが有効であることがわかる。
と、金属ジルコニウムを添加した場合の磁気特性につい
ても示す。膜の作製はスパッタリング法で行った。ター
ゲットはニッケル−鉄合金上に各化合物のチップを配置
したターゲットとした。スパッタリングの際のArガス
圧は2mTorrとし、膜厚は400Åとした。膜の比抵抗
はいずれの膜もおよそ70μΩcmであった。また、保磁
力,異方性磁界,飽和磁束密度のいずれも化合物の種類
には殆ど依存せず同様な値を示したが、酸化シリコンを
添加した膜は異方性磁界が15Oeと大きくなってい
る。これは、酸化シリコンの結合エネルギが小さく、膜
作製中に分解が進み、発生した酸素が鉄あるいはニッケ
ルと化合し内部に酸化物を形成したためと考えられる。
ここで添加した窒素化合物は酸素化合物に比べれば結合
エネルギが小さいが、磁性元素である鉄,コバルト,ニ
ッケルの窒素と結合が非常に弱いため、磁性元素が化合
物を作らず、磁気特性の劣化がなかったと考えられる。
このことは、添加化合物の結合エネルギが、磁性元素が
作る同種の化合物の結合エネルギに比べ十分大きければ
磁気特性が改善されることを示している。以上のことか
ら類推すれば、他の化合物、例えば炭化物,塩化物,フ
ッ化物等の化合物でも磁気特性の改善が期待されるが、
炭化物は著しく真空装置を汚染すること、また塩化物及
びフッ化物はその多くが水溶性であり、膜の耐食性の点
で問題があると予想されるため実験を行わなかった。ま
た、比較のためにジルコニウムを添加した膜は保磁力及
び異方性磁界は小さくなるが、飽和磁束密度の大きさが
約0.5T と大きく減少した。このことはジルコニウム
を金属のまま添加すると、磁性元素の電子状態を大きく
変化させることを示しており、化合物として添加するこ
とが有効であることがわかる。
【0091】次に種々の合金に酸化ジルコニウムを添加
したバイアス膜の磁気特性について述べる。表2は金属
磁性体である鉄,鉄−コバルト合金、及びニッケル−コ
バルト合金に酸化ジルコニウムを5%添加した場合の保
磁力,異方性磁界,飽和磁束密度の値を示したものであ
る。
したバイアス膜の磁気特性について述べる。表2は金属
磁性体である鉄,鉄−コバルト合金、及びニッケル−コ
バルト合金に酸化ジルコニウムを5%添加した場合の保
磁力,異方性磁界,飽和磁束密度の値を示したものであ
る。
【0092】
【表2】
【0093】鉄−コバルト合金については、鉄を50原
子%,残部コバルトとした。また、ニッケル−コバルト
合金についてはニッケル70原子%,残部コバルトとし
た。これらの膜は金属ターゲット上に酸化ジルコニウム
のチップを配置したターゲットを用いて、スパッタリン
グ法によって作製した。スパッタリング時のArガス圧
は2mTorrとした。また、磁気異方性を付与するため、
スパッタリング中に約40Oeの磁界を印加した。膜厚
は0.1μm とした。表2には比較のため、酸化ジルコ
ニウムを添加しない場合の磁気特性についても示してい
る。表中で異方性磁界の項が空欄の場合があるが、これ
はM−Hループ上で明瞭な磁気異方性が観察されず、異
方性磁界が測定できなかった場合である。金属磁性体が
鉄の場合、酸化ジルコニウムを添加しない膜では、保磁
力が8Oeと大きく、また明瞭な磁気異方性は見られな
い。これに対し、酸化ジルコニウムを添加した膜は保磁
力が約3Oeに減少し、また磁気異方性が観察され、異
方性磁界は7Oeであった。鉄−コバルト合金,ニッケ
ル−コバルト合金の場合にも酸化ジルコニウムを添加し
ていない場合に比べ、酸化ジルコニウムを添加した場合
には保磁力の減少が見られ、軟磁気特性が向上すること
が明らかである。
子%,残部コバルトとした。また、ニッケル−コバルト
合金についてはニッケル70原子%,残部コバルトとし
た。これらの膜は金属ターゲット上に酸化ジルコニウム
のチップを配置したターゲットを用いて、スパッタリン
グ法によって作製した。スパッタリング時のArガス圧
は2mTorrとした。また、磁気異方性を付与するため、
スパッタリング中に約40Oeの磁界を印加した。膜厚
は0.1μm とした。表2には比較のため、酸化ジルコ
ニウムを添加しない場合の磁気特性についても示してい
る。表中で異方性磁界の項が空欄の場合があるが、これ
はM−Hループ上で明瞭な磁気異方性が観察されず、異
方性磁界が測定できなかった場合である。金属磁性体が
鉄の場合、酸化ジルコニウムを添加しない膜では、保磁
力が8Oeと大きく、また明瞭な磁気異方性は見られな
い。これに対し、酸化ジルコニウムを添加した膜は保磁
力が約3Oeに減少し、また磁気異方性が観察され、異
方性磁界は7Oeであった。鉄−コバルト合金,ニッケ
ル−コバルト合金の場合にも酸化ジルコニウムを添加し
ていない場合に比べ、酸化ジルコニウムを添加した場合
には保磁力の減少が見られ、軟磁気特性が向上すること
が明らかである。
【0094】(実施例2)次に実施例1における永久磁
石膜の材料の検討を行った。永久磁石膜はRFスパッタ
法により形成し、ターゲット上にZrO2 またはTa2O5
チップを配置することによりCoCrPt 膜中の酸化物濃
度を調節した。図4に膜厚40nmでの(Co0.82Cr0.
09Pt0.09)1-xZx 膜(Z=ZrO2,Ta2O5)の磁気特
性を示す。ZrO2添加膜では酸化物濃度3mol%で保磁
力が1200Oe以上となることが分かった。Ta2O5にお
いても保磁力1200Oe以上が得られた。ZrO2,Ta2O
5添加膜において酸化物濃度が大きいことに保磁力が低
下しているのは、永久磁石膜面内での組成のばらつきと
結晶性が乱れてアモルファス的になるためである。これ
らの系では保磁力が1000Oe以上となるのは酸化物濃度
0.5mol%〜4mol %であった。また異なった組成のC
oCrPt 膜を用いた検討では好ましい酸化物濃度は0.
5mol%〜10mol% であった。また保磁力を増大させ
る酸化物としてTi酸化物,V酸化物,Nb酸化物,M
o酸化物,Hf酸化物,W酸化物,Al酸化物,Si酸
化物,Cr酸化物が考えられる。
石膜の材料の検討を行った。永久磁石膜はRFスパッタ
法により形成し、ターゲット上にZrO2 またはTa2O5
チップを配置することによりCoCrPt 膜中の酸化物濃
度を調節した。図4に膜厚40nmでの(Co0.82Cr0.
09Pt0.09)1-xZx 膜(Z=ZrO2,Ta2O5)の磁気特
性を示す。ZrO2添加膜では酸化物濃度3mol%で保磁
力が1200Oe以上となることが分かった。Ta2O5にお
いても保磁力1200Oe以上が得られた。ZrO2,Ta2O
5添加膜において酸化物濃度が大きいことに保磁力が低
下しているのは、永久磁石膜面内での組成のばらつきと
結晶性が乱れてアモルファス的になるためである。これ
らの系では保磁力が1000Oe以上となるのは酸化物濃度
0.5mol%〜4mol %であった。また異なった組成のC
oCrPt 膜を用いた検討では好ましい酸化物濃度は0.
5mol%〜10mol% であった。また保磁力を増大させ
る酸化物としてTi酸化物,V酸化物,Nb酸化物,M
o酸化物,Hf酸化物,W酸化物,Al酸化物,Si酸
化物,Cr酸化物が考えられる。
【0095】(実施例3)図5は本実施例の磁気抵抗効
果ヘッドの斜視図である。
果ヘッドの斜視図である。
【0096】本実施例は実施例1と同じ構造で、磁気抵
抗効果型ヘッドの膜の積層構造が異なるものである。ア
ルミナからなる下部ギャップ膜9の上に順次厚さ50n
mのNiOからなる反強磁性膜13,MR膜3として厚
さ1nmの80at%Ni−Fe合金膜14と厚さ1n
mのCo膜15,厚さ2nmのCuから非磁性金属膜1
6及び厚さ5nmのNiFe合金の軟磁性膜からなる横
バイアス印加用のSAL1が形成されたものである。
抗効果型ヘッドの膜の積層構造が異なるものである。ア
ルミナからなる下部ギャップ膜9の上に順次厚さ50n
mのNiOからなる反強磁性膜13,MR膜3として厚
さ1nmの80at%Ni−Fe合金膜14と厚さ1n
mのCo膜15,厚さ2nmのCuから非磁性金属膜1
6及び厚さ5nmのNiFe合金の軟磁性膜からなる横
バイアス印加用のSAL1が形成されたものである。
【0097】本実施例におけるMR膜3は二枚の磁性膜
(NiFe)で薄い非磁性膜(Cu)を挾み、片方の磁
性膜に接した反強磁性膜(NiO)からなる構造であ
る。この構造により、製造工程の不安定さと、電流の分
流による感度低下を防止したものである。また、反強磁
性膜としては、従来材料のFeMnに比べ、製造工程で
の腐食がない酸化物NiOを用い、これにより量産工程
での高信頼化を図った。また、ヘッドの出力は、ヘッド
に流す電流とスピンバルブ膜の抵抗変化量の積によって
決まり、反強磁性膜自身は抵抗変化には寄与しない。従
って、反強磁性膜として絶縁物質であるNiOを用いる
ことで、入力した電流を効率良く抵抗変化に寄与させ、
高い磁界感度を得ることができるようになった。以上の
ように、本実施例においては約5Gb/in2 の記録密
度を実現できる。
(NiFe)で薄い非磁性膜(Cu)を挾み、片方の磁
性膜に接した反強磁性膜(NiO)からなる構造であ
る。この構造により、製造工程の不安定さと、電流の分
流による感度低下を防止したものである。また、反強磁
性膜としては、従来材料のFeMnに比べ、製造工程で
の腐食がない酸化物NiOを用い、これにより量産工程
での高信頼化を図った。また、ヘッドの出力は、ヘッド
に流す電流とスピンバルブ膜の抵抗変化量の積によって
決まり、反強磁性膜自身は抵抗変化には寄与しない。従
って、反強磁性膜として絶縁物質であるNiOを用いる
ことで、入力した電流を効率良く抵抗変化に寄与させ、
高い磁界感度を得ることができるようになった。以上の
ように、本実施例においては約5Gb/in2 の記録密
度を実現できる。
【0098】さらに、本実施例におけるSAL1に実施
例1と同様にNiFe合金に酸化物を分散させた膜を形
成させることにより高い再生出力が得られる。
例1と同様にNiFe合金に酸化物を分散させた膜を形
成させることにより高い再生出力が得られる。
【0099】(実施例4)図6は本実施例における磁気
抵抗効果型ヘッドの断面図である。軟磁性層からなるS
AL1及びMR膜3を非磁性金属膜16を挾んで感磁部
を構成する。磁性層からなるSAL1,MR膜3として
は、共に厚さ5nmのパーマロイ(Ni80Fe20)を、
非磁性金属膜16としては、厚さ2nmのCuを用い
る。反強磁性層13として、膜厚50nmのNiOを用
いた。硬磁性層である永久磁石膜7および電極膜8を磁
性膜に接するようにして設け、両者を同時にパターニン
グする。硬磁性層としては、膜厚10nmのCoCrPt,電
極としては、Cu,Ag,Au等を用いる。
抵抗効果型ヘッドの断面図である。軟磁性層からなるS
AL1及びMR膜3を非磁性金属膜16を挾んで感磁部
を構成する。磁性層からなるSAL1,MR膜3として
は、共に厚さ5nmのパーマロイ(Ni80Fe20)を、
非磁性金属膜16としては、厚さ2nmのCuを用い
る。反強磁性層13として、膜厚50nmのNiOを用
いた。硬磁性層である永久磁石膜7および電極膜8を磁
性膜に接するようにして設け、両者を同時にパターニン
グする。硬磁性層としては、膜厚10nmのCoCrPt,電
極としては、Cu,Ag,Au等を用いる。
【0100】このようにして作製した、トラック幅4μ
m,磁気抵抗効果膜の深さ方向の幅2μmの、シールド
のない磁気抵抗効果素子は磁界ゼロの原点付近では、印
加磁界に対して、抵抗変化は、近似的に線形になってい
るので、この部分を使用して、媒体磁界を抵抗変化とし
て検出できる。
m,磁気抵抗効果膜の深さ方向の幅2μmの、シールド
のない磁気抵抗効果素子は磁界ゼロの原点付近では、印
加磁界に対して、抵抗変化は、近似的に線形になってい
るので、この部分を使用して、媒体磁界を抵抗変化とし
て検出できる。
【0101】この素子を、上下のシールド膜で挾み、磁
気抵抗効果型再生ヘッドを作製した。このとき下部シー
ルドは、非晶質Co−Ta−Zr(2μm)を用い、上
部シールドは、パーマロイ(2μm)を用いた。シール
ド間のギャップ絶縁膜としては、スパッタ法により形成
したアルミナ膜を用いた。このようにして作製した磁気
抵抗効果型ヘッドにおいて、バルクハウゼンノイズは認
められず、良好な出力特性を示した。
気抵抗効果型再生ヘッドを作製した。このとき下部シー
ルドは、非晶質Co−Ta−Zr(2μm)を用い、上
部シールドは、パーマロイ(2μm)を用いた。シール
ド間のギャップ絶縁膜としては、スパッタ法により形成
したアルミナ膜を用いた。このようにして作製した磁気
抵抗効果型ヘッドにおいて、バルクハウゼンノイズは認
められず、良好な出力特性を示した。
【0102】このようにして作製した巨大磁気抵抗効果
型ヘッドは、0.8μm 幅の記録トラックを、トラック
幅方向に位置をずらせながら再生することによって再生
感度分布の測定を行った。再生ヘッドの形状は、トラッ
ク幅4μm,上下シールド間隔0.5μm ,磁気抵抗効
果膜の深さ方向の幅は2μmのものを用いた。本発明ヘ
ッドの感度分布は、従来型の巨大磁気抵抗効果ヘッドと
比べて、より裾が短くなっている。このように本発明の
磁気抵抗効果型ヘッドは、感度分布の裾の広がりが少な
く、高いトラック密度にて記録を行った場合に、隣のト
ラックからの再生クロストークを低減でき、有利である
ことを確認した。
型ヘッドは、0.8μm 幅の記録トラックを、トラック
幅方向に位置をずらせながら再生することによって再生
感度分布の測定を行った。再生ヘッドの形状は、トラッ
ク幅4μm,上下シールド間隔0.5μm ,磁気抵抗効
果膜の深さ方向の幅は2μmのものを用いた。本発明ヘ
ッドの感度分布は、従来型の巨大磁気抵抗効果ヘッドと
比べて、より裾が短くなっている。このように本発明の
磁気抵抗効果型ヘッドは、感度分布の裾の広がりが少な
く、高いトラック密度にて記録を行った場合に、隣のト
ラックからの再生クロストークを低減でき、有利である
ことを確認した。
【0103】(実施例5)図7は本実施例の磁気抵抗効
果型ヘッドの斜視図である。
果型ヘッドの斜視図である。
【0104】図8は本実施例の磁気抵抗効果素子の異方
性制御の例を示す概念図である。反強磁性材からなるバ
イアス膜31及び32は、図中矢印71及び72の方向
に交換結合による異方性を印加する。図中矢印60は感
知すべき磁界の方向、矢印61は磁性膜21に誘導した
一方向異方性の方向を示す。非磁性導電膜20に挟まれ
た磁性膜22の容易磁化方向は図中矢印62の方向に一
軸異方性の誘導によって印加する。これは磁性膜の成長
中に所定の方向に磁界を印加することで達成される。本
図の実施例は異方性の印加をバイアス膜と誘導磁気異方
性で実現した例である。この結果矢印61と62は共に
膜面内で、互いに直交する。感知すべき磁界の大きさに
比較して、磁性膜21の異方性を大きく磁性膜22の異
方性を小さくすることで、磁性膜21の磁化を外部磁界
に対してほぼ固定し、磁性膜22の磁化のみが外部磁界
に対して大きく反応するようになる。さらに矢印60の
方向にかかる感知すべき磁界に対して、磁性膜21の磁
化は異方性61によって磁化と外部磁界が平行な容易軸
励磁の状態に、逆に磁性膜22の異方性に依って磁化と
外部磁界が垂直な困難軸励磁の状態になっている。この
効果によって上記の応答をさらに顕著なものにできると
ともに、外部磁界に対して磁性膜22の磁化が、矢印6
2の方向を起点に、回転による困難軸励磁で素子が駆動
される状態が実現し、磁壁移動による励磁に伴うノイズ
を防止し、高周波での動作を可能にすることができる。
性制御の例を示す概念図である。反強磁性材からなるバ
イアス膜31及び32は、図中矢印71及び72の方向
に交換結合による異方性を印加する。図中矢印60は感
知すべき磁界の方向、矢印61は磁性膜21に誘導した
一方向異方性の方向を示す。非磁性導電膜20に挟まれ
た磁性膜22の容易磁化方向は図中矢印62の方向に一
軸異方性の誘導によって印加する。これは磁性膜の成長
中に所定の方向に磁界を印加することで達成される。本
図の実施例は異方性の印加をバイアス膜と誘導磁気異方
性で実現した例である。この結果矢印61と62は共に
膜面内で、互いに直交する。感知すべき磁界の大きさに
比較して、磁性膜21の異方性を大きく磁性膜22の異
方性を小さくすることで、磁性膜21の磁化を外部磁界
に対してほぼ固定し、磁性膜22の磁化のみが外部磁界
に対して大きく反応するようになる。さらに矢印60の
方向にかかる感知すべき磁界に対して、磁性膜21の磁
化は異方性61によって磁化と外部磁界が平行な容易軸
励磁の状態に、逆に磁性膜22の異方性に依って磁化と
外部磁界が垂直な困難軸励磁の状態になっている。この
効果によって上記の応答をさらに顕著なものにできると
ともに、外部磁界に対して磁性膜22の磁化が、矢印6
2の方向を起点に、回転による困難軸励磁で素子が駆動
される状態が実現し、磁壁移動による励磁に伴うノイズ
を防止し、高周波での動作を可能にすることができる。
【0105】本発明の磁気抵抗効果素子を構成する膜は
高周波マグネトロンスパッタリング装置により以下のよ
うに作製した。アルゴン3ミリトールの雰囲気中にて、
厚さ1ミリ,直径3インチのセラミックス基板およびS
i単結晶基板上に以下の材料を順に積層して作製した。
スパッタリングターゲットとして酸化ニッケル,コバル
ト,ニッケル−20at%鉄合金,銅のターゲットを用
いた。ニッケル−鉄中へのコバルトの添加にはニッケル
−20at%鉄合金ターゲット上にコバルトのチップを
配置した。またコバルト中へのニッケル,鉄の添加には
コバルトターゲット上にニッケルおよび鉄のチップを配
置した。積層膜は、各ターゲットを配置したカソードに
各々高周波電力を印加して装置内にプラズマを発生させ
ておき、各カソードごとに配置されたシャッターを一つ
ずつ開閉して順次各層を形成した。膜形成時には基板面
内で直交する二対の電磁石を用いて基板に平行におよそ
50エルステッドの磁界を印加して、一軸異方性を持た
せると共に、酸化ニッケル膜の交換結合バイアスの方向
をそれぞれの方向に誘導した。
高周波マグネトロンスパッタリング装置により以下のよ
うに作製した。アルゴン3ミリトールの雰囲気中にて、
厚さ1ミリ,直径3インチのセラミックス基板およびS
i単結晶基板上に以下の材料を順に積層して作製した。
スパッタリングターゲットとして酸化ニッケル,コバル
ト,ニッケル−20at%鉄合金,銅のターゲットを用
いた。ニッケル−鉄中へのコバルトの添加にはニッケル
−20at%鉄合金ターゲット上にコバルトのチップを
配置した。またコバルト中へのニッケル,鉄の添加には
コバルトターゲット上にニッケルおよび鉄のチップを配
置した。積層膜は、各ターゲットを配置したカソードに
各々高周波電力を印加して装置内にプラズマを発生させ
ておき、各カソードごとに配置されたシャッターを一つ
ずつ開閉して順次各層を形成した。膜形成時には基板面
内で直交する二対の電磁石を用いて基板に平行におよそ
50エルステッドの磁界を印加して、一軸異方性を持た
せると共に、酸化ニッケル膜の交換結合バイアスの方向
をそれぞれの方向に誘導した。
【0106】異方性の誘導は、基板近傍に取り付けた二
対の電磁石によって、各磁性膜の形成時に誘導すべき方
向に磁界を加えて行った。或いは、多層膜形成後に反強
磁性膜のネール温度近傍で磁界中熱処理を行い、反強磁
性バイアスの方向を磁界の方向に誘導した。
対の電磁石によって、各磁性膜の形成時に誘導すべき方
向に磁界を加えて行った。或いは、多層膜形成後に反強
磁性膜のネール温度近傍で磁界中熱処理を行い、反強磁
性バイアスの方向を磁界の方向に誘導した。
【0107】磁気抵抗効果素子の性能の評価は膜を短冊
形状にパターニングし、電極を形成して行った。この
時、磁性膜の一軸異方性の方向と素子の電流方向が平行
となるようにした。電気抵抗は電極端子間に一定の電流
を通じ、素子の面内に電流方向に垂直な方向に磁界を印
加して、素子の電気抵抗を電極端子間の電圧として測定
し、磁気抵抗変化率として感知した。
形状にパターニングし、電極を形成して行った。この
時、磁性膜の一軸異方性の方向と素子の電流方向が平行
となるようにした。電気抵抗は電極端子間に一定の電流
を通じ、素子の面内に電流方向に垂直な方向に磁界を印
加して、素子の電気抵抗を電極端子間の電圧として測定
し、磁気抵抗変化率として感知した。
【0108】図9は表3に試料No.1で表した、上下に
NiO膜を有する構成の素子の、磁界に対する抵抗変化
率を表した図である。これは図8においてバイアス膜3
1,32にNiO膜を、磁性膜21,22にNi80Fe
20合金薄膜を、非磁性導電膜にCu膜を用いたことに対
応している。ただし磁界制御を行う前においては一軸異
方性は図6の矢印62の方向に印加されていない。図9
の四角形状の曲線は本発明の磁気抵抗効果素子の特徴を
良く表わしている。即ち、磁界の方向に強く誘導された
磁性膜の効果は曲線の左半分のループとして検出され
る。他の、強く誘導されていない磁性膜の効果は中央付
近の急峻な抵抗変化として現れている。本発明の磁気抵
抗効果素子の再生出力はこの抵抗変化率の大きさに、ま
た感度は飽和磁界の小ささに、それぞれ対応することか
ら、本発明の素子出力が大きく、感度が高いことが分か
る。磁性膜間に反強磁性的結合がある場合には図9の曲
線は三角形状になり、素子の磁界感度が低下する。
NiO膜を有する構成の素子の、磁界に対する抵抗変化
率を表した図である。これは図8においてバイアス膜3
1,32にNiO膜を、磁性膜21,22にNi80Fe
20合金薄膜を、非磁性導電膜にCu膜を用いたことに対
応している。ただし磁界制御を行う前においては一軸異
方性は図6の矢印62の方向に印加されていない。図9
の四角形状の曲線は本発明の磁気抵抗効果素子の特徴を
良く表わしている。即ち、磁界の方向に強く誘導された
磁性膜の効果は曲線の左半分のループとして検出され
る。他の、強く誘導されていない磁性膜の効果は中央付
近の急峻な抵抗変化として現れている。本発明の磁気抵
抗効果素子の再生出力はこの抵抗変化率の大きさに、ま
た感度は飽和磁界の小ささに、それぞれ対応することか
ら、本発明の素子出力が大きく、感度が高いことが分か
る。磁性膜間に反強磁性的結合がある場合には図9の曲
線は三角形状になり、素子の磁界感度が低下する。
【0109】また、非磁性導電膜としてCuに、Ag,
Auを添加したとき及びAg,Auにて多層膜を形成し
た試料においても同様の効果が得られた。
Auを添加したとき及びAg,Auにて多層膜を形成し
た試料においても同様の効果が得られた。
【0110】図10はCu膜の厚さを変えたNiO/N
iFe/Cu/NiFe膜において磁化曲線を測定し、
NiFe膜間の磁気的結合の強さを求めた結果である。
磁気的結合の強さはCuの厚さと共におよそ10Å周期
で反強磁性/強磁性間で振動している。磁界に対する感
度の高い磁気抵抗効果素子を得るにはこの磁気的結合を
およそゼロにすることが必須である。非磁性導電膜とし
てCuを用いた場合には、図10から明らかなように、
その厚さを11Å〜22Åの範囲にすることで磁性膜間
の磁気的結合をゼロにすることができる。これによって
初めて数エルステッドの弱い外部磁界に応答して電気抵
抗が大きく変化する、すなわち感度の高い磁気抵抗効果
素子を得ることができるのである。
iFe/Cu/NiFe膜において磁化曲線を測定し、
NiFe膜間の磁気的結合の強さを求めた結果である。
磁気的結合の強さはCuの厚さと共におよそ10Å周期
で反強磁性/強磁性間で振動している。磁界に対する感
度の高い磁気抵抗効果素子を得るにはこの磁気的結合を
およそゼロにすることが必須である。非磁性導電膜とし
てCuを用いた場合には、図10から明らかなように、
その厚さを11Å〜22Åの範囲にすることで磁性膜間
の磁気的結合をゼロにすることができる。これによって
初めて数エルステッドの弱い外部磁界に応答して電気抵
抗が大きく変化する、すなわち感度の高い磁気抵抗効果
素子を得ることができるのである。
【0111】図11はNiFe磁性膜にCoを添加した
ときの添加量と抵抗変化率の変化を表した図である。素
子多層膜の構成は、表3,試料No.5と同等である。C
oの添加につれて、抵抗変化率はNiFeのみのおよそ
4%から5.5% まで向上した。これはNiFeに加え
てCoを添加することが積層膜の磁気抵抗効果を改善す
ることを示している。
ときの添加量と抵抗変化率の変化を表した図である。素
子多層膜の構成は、表3,試料No.5と同等である。C
oの添加につれて、抵抗変化率はNiFeのみのおよそ
4%から5.5% まで向上した。これはNiFeに加え
てCoを添加することが積層膜の磁気抵抗効果を改善す
ることを示している。
【0112】膜の構成を変えて作製した磁気抵抗効果素
子の特性例を表3に示す。膜構成は紙面左側が基体側で
順次右側に積層したものである。
子の特性例を表3に示す。膜構成は紙面左側が基体側で
順次右側に積層したものである。
【0113】
【表3】
【0114】表3では素子の特性を抵抗変化率と飽和磁
界で表した。素子としての再生出力はこの抵抗変化率の
大きさに、感度は飽和磁界の小ささに、それぞれ対応す
る。表3の結果から明らかなように本発明の磁気抵抗素
子(No.1〜5)は4%以上の抵抗変化率と良好な磁気
特性を有するものであり、従来の積層膜(No.6,7)
に比べ、抵抗変化率において優れている。特に、試料N
o.1,2,4は飽和磁界10エルステッド程度の良好な
磁界感度と抵抗変化率6から7%の高い出力を示してい
る。
界で表した。素子としての再生出力はこの抵抗変化率の
大きさに、感度は飽和磁界の小ささに、それぞれ対応す
る。表3の結果から明らかなように本発明の磁気抵抗素
子(No.1〜5)は4%以上の抵抗変化率と良好な磁気
特性を有するものであり、従来の積層膜(No.6,7)
に比べ、抵抗変化率において優れている。特に、試料N
o.1,2,4は飽和磁界10エルステッド程度の良好な
磁界感度と抵抗変化率6から7%の高い出力を示してい
る。
【0115】図12は磁性膜としてCoを用いたNiO
/Co/Cu/Co膜の磁気抵抗曲線である。ゼロ磁界
近傍で、Co膜の保磁力に起因するヒステリシスが見ら
れるが、抵抗変化率は同じ構成でNiFeを用いた場合
の2倍近い7%を示した。
/Co/Cu/Co膜の磁気抵抗曲線である。ゼロ磁界
近傍で、Co膜の保磁力に起因するヒステリシスが見ら
れるが、抵抗変化率は同じ構成でNiFeを用いた場合
の2倍近い7%を示した。
【0116】図13はNiO/Co51Ni27Fe22/Cu/
NiFe/Cu/Co51Ni27Fe22/NiO膜の磁気抵
抗曲線で、8%以上の出力とゼロ磁界近傍での高い磁界
感度を合わせ持っている。このように、基体上に下地と
してNiO反強磁性膜を有したNiFe或いはCoNiFe/
Cu積層膜は磁気抵抗効果膜として極めて高い感度を有
している。
NiFe/Cu/Co51Ni27Fe22/NiO膜の磁気抵
抗曲線で、8%以上の出力とゼロ磁界近傍での高い磁界
感度を合わせ持っている。このように、基体上に下地と
してNiO反強磁性膜を有したNiFe或いはCoNiFe/
Cu積層膜は磁気抵抗効果膜として極めて高い感度を有
している。
【0117】(実施例6)図14は本発明の磁気記録再
生装置の構成図である。記録媒体95を両面に有する記
録媒体91をスピンドルモーター93にて回転させ、ア
クチュエーター92によってヘッドスライダー90を記
録媒体95のトラック上に誘導する。ただし記録媒体9
1は必ずしもディスク両面に磁性膜を有する必要はな
い。磁性膜がディスク片面のみの場合ヘッドスライダー
90は記録媒体の片面にのみ配置する。
生装置の構成図である。記録媒体95を両面に有する記
録媒体91をスピンドルモーター93にて回転させ、ア
クチュエーター92によってヘッドスライダー90を記
録媒体95のトラック上に誘導する。ただし記録媒体9
1は必ずしもディスク両面に磁性膜を有する必要はな
い。磁性膜がディスク片面のみの場合ヘッドスライダー
90は記録媒体の片面にのみ配置する。
【0118】即ち磁気ディスク装置においてはヘッドス
ライダー90上に形成した再生ヘッド、及び記録ヘッド
がこの機構によって記録媒体95上の所定の記録位置に
近接して相対運動し、信号を順次書き込み、及び読み取
るのである。記録信号は信号処理系94を通じて記録ヘ
ッドにて媒体上に記録し、再生ヘッドの出力を信号処理
系94を経て信号として得る。さらに再生ヘッドを所望
の記録トラック上へ移動せしめるに際して、本再生ヘッ
ドからの高感度な出力を用いてトラック上の位置を検出
し、アクチュエーターを制御して、ヘッドスライダーの
位置決めを行うことができる。
ライダー90上に形成した再生ヘッド、及び記録ヘッド
がこの機構によって記録媒体95上の所定の記録位置に
近接して相対運動し、信号を順次書き込み、及び読み取
るのである。記録信号は信号処理系94を通じて記録ヘ
ッドにて媒体上に記録し、再生ヘッドの出力を信号処理
系94を経て信号として得る。さらに再生ヘッドを所望
の記録トラック上へ移動せしめるに際して、本再生ヘッ
ドからの高感度な出力を用いてトラック上の位置を検出
し、アクチュエーターを制御して、ヘッドスライダーの
位置決めを行うことができる。
【0119】図15は上記素子に加えて記録用ヘッドを
形成した、記録再生分離型ヘッドの概念図である。記録
再生分離型ヘッドは、本発明の素子を用いた再生ヘッド
と、インダクティブ型の記録ヘッド、及び、漏れ磁界に
よる再生ヘッドの混乱を防止するためのシールド部から
なる。ここでは水平磁気記録用の記録ヘッドとの搭載を
示したが、本発明の磁気抵抗効果素子を垂直磁気記録用
のヘッドと組み合わせ、垂直記録に用いても良い。ヘッ
ドは、基体50上に下部シールド膜82,磁気抵抗効果
素子60及び電極40,上部シールド膜81からなる再
生ヘッドと、下部磁性膜84,コイル41,上部磁性膜
84からなる記録ヘッドとを形成してなる。このヘッド
によって、記録媒体上に信号を書き込み、また記録媒体
から信号を読み取るのである。再生ヘッドの感知部分
と、記録ヘッドの磁気ギャップはこのように同一スライ
ダー上に重ねた位置に形成することで、同一トラックに
同時に位置決めができる。このヘッドをスライダーに加
工し、磁気記録再生装置に搭載した。
形成した、記録再生分離型ヘッドの概念図である。記録
再生分離型ヘッドは、本発明の素子を用いた再生ヘッド
と、インダクティブ型の記録ヘッド、及び、漏れ磁界に
よる再生ヘッドの混乱を防止するためのシールド部から
なる。ここでは水平磁気記録用の記録ヘッドとの搭載を
示したが、本発明の磁気抵抗効果素子を垂直磁気記録用
のヘッドと組み合わせ、垂直記録に用いても良い。ヘッ
ドは、基体50上に下部シールド膜82,磁気抵抗効果
素子60及び電極40,上部シールド膜81からなる再
生ヘッドと、下部磁性膜84,コイル41,上部磁性膜
84からなる記録ヘッドとを形成してなる。このヘッド
によって、記録媒体上に信号を書き込み、また記録媒体
から信号を読み取るのである。再生ヘッドの感知部分
と、記録ヘッドの磁気ギャップはこのように同一スライ
ダー上に重ねた位置に形成することで、同一トラックに
同時に位置決めができる。このヘッドをスライダーに加
工し、磁気記録再生装置に搭載した。
【0120】ヘッドスライダー90を兼ねる基体50上
に磁気抵抗効果素子60および電極40を形成し、これ
を記録媒体91上に位置決めして再生を行う。記録媒体
91は回転し、ヘッドスライダー90は記録媒体91の
上を、0.2μm 以下の高さ、或いは接触状態で対向し
て相対運動する。この機構により、磁気抵抗効果素子6
0は記録媒体91に記録された磁気的信号を、その漏れ
磁界から読み取ることのできる位置に設定されるのであ
る。磁気抵抗効果素子60は複数の磁性膜と非磁性導電
膜を交互に積層した膜とバイアス膜、特に反強磁性膜、
からなる。本発明の特徴はこの積層膜の一部の磁性膜、
望ましくは積層した磁性膜のうち一層おきの膜に、記録
媒体に対向する面63に対して垂直な矢印61の方向に
強い異方性を誘導し、その磁化を、この方向におおよそ
固定することにある。また磁性膜の他の膜は、磁気抵抗
効果膜の膜面内で矢印61と垂直な方向、つまり矢印6
2の方向に比較的弱く異方性を印加して、その磁化をこ
の方向に誘導する。このような構成により、記録媒体上
に磁気的に記録された信号は、媒体上に漏れ磁界64と
して磁気抵抗効果素子60に達し、その成分、特に磁気
抵抗効果膜の膜面内の成分に従って矢印62の方向から
矢印65のように磁化が回転し、非磁性導電膜を介して
隣合った二つの磁性膜の互いの磁化の方向のなす角度が
変化して磁気抵抗効果が生じ、再生出力を得る。磁気抵
抗効果素子の信号を感知する部分は、磁気抵抗効果素子
60の電流の流れる部分、即ち電極40で挟まれる部分
であるが、この部分の記録媒体91表面に平行な方向の
幅42は記録トラックの幅44より狭く、特にその比が
0.8 以下になして互いの位置のずれによる隣接するト
ラックの混信を防止する。
に磁気抵抗効果素子60および電極40を形成し、これ
を記録媒体91上に位置決めして再生を行う。記録媒体
91は回転し、ヘッドスライダー90は記録媒体91の
上を、0.2μm 以下の高さ、或いは接触状態で対向し
て相対運動する。この機構により、磁気抵抗効果素子6
0は記録媒体91に記録された磁気的信号を、その漏れ
磁界から読み取ることのできる位置に設定されるのであ
る。磁気抵抗効果素子60は複数の磁性膜と非磁性導電
膜を交互に積層した膜とバイアス膜、特に反強磁性膜、
からなる。本発明の特徴はこの積層膜の一部の磁性膜、
望ましくは積層した磁性膜のうち一層おきの膜に、記録
媒体に対向する面63に対して垂直な矢印61の方向に
強い異方性を誘導し、その磁化を、この方向におおよそ
固定することにある。また磁性膜の他の膜は、磁気抵抗
効果膜の膜面内で矢印61と垂直な方向、つまり矢印6
2の方向に比較的弱く異方性を印加して、その磁化をこ
の方向に誘導する。このような構成により、記録媒体上
に磁気的に記録された信号は、媒体上に漏れ磁界64と
して磁気抵抗効果素子60に達し、その成分、特に磁気
抵抗効果膜の膜面内の成分に従って矢印62の方向から
矢印65のように磁化が回転し、非磁性導電膜を介して
隣合った二つの磁性膜の互いの磁化の方向のなす角度が
変化して磁気抵抗効果が生じ、再生出力を得る。磁気抵
抗効果素子の信号を感知する部分は、磁気抵抗効果素子
60の電流の流れる部分、即ち電極40で挟まれる部分
であるが、この部分の記録媒体91表面に平行な方向の
幅42は記録トラックの幅44より狭く、特にその比が
0.8 以下になして互いの位置のずれによる隣接するト
ラックの混信を防止する。
【0121】(実施例7)図16は本発明の磁気記録再
生装置において、薄膜磁気ヘッドの構成の別の実施例で
ある。基体50上に下部及び上部磁性膜83,84とこ
れらに起磁力を印加するコイル41からなる記録ヘッド
と、下部シールド膜82を形成し、その後に磁気抵抗効
果素子60及び電極40,上部シールド膜81の間に形
成する。すなわち比較的構造に敏感な磁気抵抗効果膜
を、記録ヘッドの上に、後に形成して記録ヘッド作製に
伴う応力や熱影響をなくし、さらに記録ヘッドとの位置
合わせを容易にして、磁気記録再生装置のトラック幅方
向の制度を向上し、生産性を向上するものである。
生装置において、薄膜磁気ヘッドの構成の別の実施例で
ある。基体50上に下部及び上部磁性膜83,84とこ
れらに起磁力を印加するコイル41からなる記録ヘッド
と、下部シールド膜82を形成し、その後に磁気抵抗効
果素子60及び電極40,上部シールド膜81の間に形
成する。すなわち比較的構造に敏感な磁気抵抗効果膜
を、記録ヘッドの上に、後に形成して記録ヘッド作製に
伴う応力や熱影響をなくし、さらに記録ヘッドとの位置
合わせを容易にして、磁気記録再生装置のトラック幅方
向の制度を向上し、生産性を向上するものである。
【0122】
【発明の効果】本発明によれば、永久磁石膜を磁気抵抗
効果素子の両端部に形成することにより電気磁気変換特
性が安定し、バルクハウゼンノイズ及び波動変動が小さ
くできるものである。また、本発明によれば再生出力が
大きく、高記録密度の磁気記録再生装置が達成できる。
効果素子の両端部に形成することにより電気磁気変換特
性が安定し、バルクハウゼンノイズ及び波動変動が小さ
くできるものである。また、本発明によれば再生出力が
大きく、高記録密度の磁気記録再生装置が達成できる。
【図1】本発明の磁気抵抗効果型磁気ヘッドの部分断面
図。
図。
【図2】本発明の磁気抵抗効果型磁気ヘッドの製造工程
を示す工程図。
を示す工程図。
【図3】ニッケル−鉄合金のZrO2 添加量と飽和磁束
密度及び比抵抗との関係を示す線図。
密度及び比抵抗との関係を示す線図。
【図4】永久磁石膜の保磁力と酸化物との関係を示す線
図。
図。
【図5】本発明の磁気抵抗効果型磁気ヘッドの部分断面
図。
図。
【図6】本発明の磁気抵抗効果型磁気ヘッドの部分断面
図。
図。
【図7】本発明の磁気抵抗効果型磁気ヘッドの部分断面
図。
図。
【図8】磁気抵抗効果素子多層膜の磁気異方性制御を説
明する図。
明する図。
【図9】NiO/NiFe/Cu/NiFe/Cu/N
iFe/NiO膜における磁界と抵抗変化率との関係を
示す線図。
iFe/NiO膜における磁界と抵抗変化率との関係を
示す線図。
【図10】NiO/NiFe/Cu/NiFe膜のCu
層の厚さと磁性膜間の結合の強さを示す線図。
層の厚さと磁性膜間の結合の強さを示す線図。
【図11】NiFe膜にCoを添加したときの抵抗変化
率を示す線図。
率を示す線図。
【図12】NiO/Co/Cu/Co膜における磁界と
抵抗率との関係を示す線図。
抵抗率との関係を示す線図。
【図13】NiO/Co/NiFe/Cu/NiFe/
Cu/Co/NiFe/NiO膜における磁界と抵抗率
の関係を示す線図。
Cu/Co/NiFe/NiO膜における磁界と抵抗率
の関係を示す線図。
【図14】本発明に係る磁気記録再生装置の構成図。
【図15】本発明に係る再生用磁気抵抗効果型磁気ヘッ
ドと記録用誘導型磁気ヘッドとを有する薄膜磁気ヘッド
の斜視図。
ドと記録用誘導型磁気ヘッドとを有する薄膜磁気ヘッド
の斜視図。
【図16】本発明に係る再生用磁気抵抗効果型磁気ヘッ
ドと記録用誘導型磁気ヘッドとを有する薄膜磁気ヘッド
の斜視図。
ドと記録用誘導型磁気ヘッドとを有する薄膜磁気ヘッド
の斜視図。
1…SAL、2…分離膜、3…MR膜、4…横バイアス
磁界、5…テーパ、6…縦バイアス磁界、7…永久磁石
膜、8…電極膜、9…下部ギャップ膜、10…下部シー
ルド膜、11…絶縁膜、12…基板、13…反強磁性
層、16…非磁性金属膜、60…磁気抵抗効果素子、8
1…上部シールド膜、82…下部シールド膜、83…上
部磁性膜、84…下部磁性膜、85…コイル導体、90
…ヘッドスライダー、91…記録媒体、92…アクチュ
エイター、93…スピンドルモーター、94…信号処理
回路系。
磁界、5…テーパ、6…縦バイアス磁界、7…永久磁石
膜、8…電極膜、9…下部ギャップ膜、10…下部シー
ルド膜、11…絶縁膜、12…基板、13…反強磁性
層、16…非磁性金属膜、60…磁気抵抗効果素子、8
1…上部シールド膜、82…下部シールド膜、83…上
部磁性膜、84…下部磁性膜、85…コイル導体、90
…ヘッドスライダー、91…記録媒体、92…アクチュ
エイター、93…スピンドルモーター、94…信号処理
回路系。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小室 又洋 東京都国分寺市東恋ケ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 星屋 裕之 東京都国分寺市東恋ケ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 渡辺 克郎 東京都国分寺市東恋ケ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 田所 茂 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式会 社日立製作所ストレージシステム事業部内 (72)発明者 平賀 良 東京都千代田区神田駿河台四丁目6番地 株式会社日立製作所内
Claims (13)
- 【請求項1】磁界によって電気抵抗が変化する磁気抵抗
効果膜,磁気抵抗効果膜に横バイアス磁界を印加する横
バイアス膜及び前記磁気抵抗効果膜と横バイアス膜との
間に設けられた分離膜を有する磁気抵抗効果素子膜から
なり、該磁気抵抗効果素子膜の両端部に接して設けられ
た前記磁気抵抗効果膜に縦バイアスを印加する一対の永
久磁石膜及び前記磁気抵抗効果膜に信号検出電流を流す
前記永久磁石膜上に設けられた一対の電極膜を有し、該
永久磁石膜の厚さは前記磁気抵抗効果素子膜の厚さより
小さいことを特徴とする磁気抵抗効果型ヘッド。 - 【請求項2】請求項1において、前記永久磁石膜がCo
−Pt合金,Co−Cr−Pt合金、又はこれらの合金
にTi酸化物,V酸化物,Zr酸化物,Nb酸化物,Mo酸
化物,Hf酸化物,Ta酸化物,W酸化物,Al酸化物,
Si酸化物,Cr酸化物の内の少なくとも1元素を含む合
金のいずれかからなる磁気抵抗効果型ヘッド。 - 【請求項3】請求項1において、前記永久磁石膜が(数
1)又は(数2)の組成からなることを特徴とする磁気
抵抗効果型ヘッド。 【数1】 CoaCrbPtc又は …(数1) 【数2】 (CoaCrbPtc)1-x(MOy)x …(数2) (但し、x=0.01〜0.20,y:0.4 〜3,a:
0.7〜0.9,b:0〜0.15,C:0.03〜0.1
5,M:Ti,V,Zr,Mo,Hf,Ta,W,A
l,Si及びCrの少なくとも一つ) - 【請求項4】磁界によって電気抵抗が変化する磁気抵抗
効果膜と、前記磁気抵抗効果膜に横バイアス磁界を印加
する軟磁性膜からなる横バイアス膜と、該横バイアス膜
と磁気抵抗効果膜を磁気的に分離する非磁性膜からなる
分離膜と、前記磁気抵抗効果膜,横バイアス膜及び分離
膜の両端部に接して設けられた前記磁気抵抗効果膜に縦
バイアス磁界を印加する永久磁石膜と、該永久磁石膜上
に設けられた前記磁気抵抗効果膜に電流を流す一対の電
極とからなり、 前記磁気抵抗効果膜に横バイアス磁界を印加するための
軟磁性膜が、ニッケル−鉄合金,コバルト,ニッケル−
鉄−コバルト合金の一種と、酸化ジルコニウム,酸化ア
ルミニウム,酸化ハフニウム,酸化チタン,酸化ベリリ
ウム,酸化マグネシウム,希土類酸素化合物,窒化ジル
コニウム,窒化ハフニウム,窒化アルミニウム,窒化チ
タン,窒化ベリリウム,窒化マグネシウム,窒化シリコ
ン、及び希土類窒素化合物の内から選択された一種以上
の化合物とからなることを特徴とする磁気抵抗効果型磁
気ヘッド。 - 【請求項5】請求項4において、前記磁気抵抗効果膜に
横バイアス磁界を印加するための軟磁性薄膜の比抵抗
が、70μΩcm以上である磁気抵抗効果型磁気ヘッド。 - 【請求項6】請求項4又は5において、前記横バイアス
膜がニッケルを78〜84原子%を有するニッケル−鉄
系合金よりなる磁気抵抗効果型磁気ヘッド。 - 【請求項7】基板上に設けられた一対の永久磁石膜と、
該永久磁石膜上の各々に形成された一対の電極と、前記
永久磁石間に接して設けられた磁気抵抗効果素子膜とを
有する磁気抵抗効果型磁気ヘッドであって、前記素子膜
は前記基板側より酸化ニッケルよりなる反強磁性膜,2
層の強磁性膜,非磁性金属膜及び軟磁性膜が順次形成さ
れていることを特徴とする磁気抵抗効果型磁気ヘッド。 - 【請求項8】請求項7において、前記2層の強磁性膜は
前記基板側からNi70〜95原子%を含む鉄合金層と
Co層及び前記軟磁性膜が前記鉄合金層又は前記基体側
からCo層と前記鉄合金層とからなる磁気抵抗効果型磁
気ヘッド。 - 【請求項9】請求項7又は8において、前記2層の強磁
性膜は前記反強磁性側から軟磁性膜及び該軟磁性膜より
磁気抵抗変化率の大きい軟磁性膜からなる磁気抵抗効果
型磁気ヘッド。 - 【請求項10】基板上に設けられた一対の永久磁石膜
と、該永久磁石膜上の各々に形成された一対の電極と、
前記永久磁石間に接して設けられた磁気抵抗効果素子膜
とを有する磁気抵抗効果型磁気ヘッドであって、前記素
子は前記基板側より反強磁性膜,強磁性膜,非磁性膜,
軟磁性膜,非磁性膜,強磁性膜、及び反強磁性膜が順次
積層されていることを特徴とする磁気抵抗効果型磁気ヘ
ッド。 - 【請求項11】前記反強磁性膜が酸化ニッケルであり、
前記基板側の強磁性膜がNi70〜95原子%を含む鉄
合金層とCo層、前記軟磁性膜が前記鉄合金層及び後者
の強磁性膜が前記基体側よりCo層と前記鉄合金層とか
らなる請求項10記載の磁気抵抗効果型磁気ヘッド。 - 【請求項12】前記強磁性膜が、Ni70〜95原子
%,Fe5〜30原子%及びCo1〜5原子%の合金、
又は、Co30〜85原子%,Ni2〜30原子%及び
Fe2〜50原子%の合金である請求項10記載の磁気
抵抗効果型磁気ヘッド。 - 【請求項13】前記非磁性導電膜が、Au,Ag,Cu
の何れか一つである請求項10記載の磁気抵抗効果型ヘ
ッド。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5130396A JPH09245318A (ja) | 1996-03-08 | 1996-03-08 | 磁気抵抗効果型ヘッド |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5130396A JPH09245318A (ja) | 1996-03-08 | 1996-03-08 | 磁気抵抗効果型ヘッド |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09245318A true JPH09245318A (ja) | 1997-09-19 |
Family
ID=12883160
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5130396A Pending JPH09245318A (ja) | 1996-03-08 | 1996-03-08 | 磁気抵抗効果型ヘッド |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09245318A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2000022612A1 (fr) * | 1998-10-12 | 2000-04-20 | Fujitsu Limited | Capteur magnetique, tete magnetique, codeur magnetique et entrainement de disque dur |
US6661624B1 (en) | 1999-09-28 | 2003-12-09 | Fujitsu Limited | Spin-valve magnetoresistive device having a layer for canceling a leakage magnetic field |
-
1996
- 1996-03-08 JP JP5130396A patent/JPH09245318A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2000022612A1 (fr) * | 1998-10-12 | 2000-04-20 | Fujitsu Limited | Capteur magnetique, tete magnetique, codeur magnetique et entrainement de disque dur |
KR100631355B1 (ko) * | 1998-10-12 | 2006-10-09 | 후지쯔 가부시끼가이샤 | 자기 센서, 자기 헤드, 하드 디스크 장치, 및 디스크 어레이 장치 |
US7199985B1 (en) | 1998-10-12 | 2007-04-03 | Fujitsu Limited | Magnetic sensor, magnetic head, magnetic encoder and hard disk device |
US6661624B1 (en) | 1999-09-28 | 2003-12-09 | Fujitsu Limited | Spin-valve magnetoresistive device having a layer for canceling a leakage magnetic field |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR100372984B1 (ko) | 자기저항효과형자기헤드및자기기록재생장치 | |
JP3022023B2 (ja) | 磁気記録再生装置 | |
KR100261385B1 (ko) | 반평행 구속층과 개선된 바이어스층을 갖는 스핀 밸브 자기저항 센서와 그 센서를 이용한 자기 기록 시스템 | |
JP3890893B2 (ja) | スピントンネル磁気抵抗効果膜及び素子及びそれを用いた磁気抵抗センサー、及び磁気装置及びその製造方法 | |
US6295186B1 (en) | Spin-valve magnetoresistive Sensor including a first antiferromagnetic layer for increasing a coercive force and a second antiferromagnetic layer for imposing a longitudinal bias | |
KR100369284B1 (ko) | 스핀 밸브 센서용의 3층 시드층 구조 | |
JP3137580B2 (ja) | 磁性多層膜、磁気抵抗効果素子および磁気変換素子 | |
US5764445A (en) | Exchange biased magnetoresistive transducer | |
US5862021A (en) | Magnetoresistive effect device utilizing an oxide layer adjacent one of the magnetic layers | |
US6721147B2 (en) | Longitudinally biased magnetoresistance effect magnetic head and magnetic reproducing apparatus | |
JPH08279117A (ja) | 巨大磁気抵抗効果材料膜およびその製造方法とそれを用いた磁気ヘッド | |
US6603643B2 (en) | Magnetoresistive head containing oxide layer | |
JP2001325704A (ja) | 磁気抵抗効果センサ、磁気抵抗効果センサの製造方法、磁気抵抗検出システム、および磁気記憶システム | |
US6667493B2 (en) | Thin-film magnetic element capable of effectively orienting magnetization direction of magnetic layer and manufacturing method thereof | |
JP3587792B2 (ja) | 磁気検出素子及びその製造方法 | |
JP3872958B2 (ja) | 磁気抵抗効果素子及びその製造方法 | |
JPH09245318A (ja) | 磁気抵抗効果型ヘッド | |
US6716537B1 (en) | Magnetoresistive element having multilayered film capable of effectively conducting a detecting current for detecting external magnetic field and method for making the same | |
JPH09138919A (ja) | 磁気抵抗効果型磁気ヘッド及び磁気記録再生装置 | |
JPH06200364A (ja) | 磁性多層膜および磁気抵抗効果素子 | |
JP3688229B2 (ja) | 磁気検出素子及びその製造方法 | |
JP2003006818A (ja) | 反平行に結合した2枚の強磁性膜を用いた磁気抵抗再生ヘッド | |
JP2000156317A (ja) | 磁気記録再生装置 | |
JP2003272114A (ja) | 磁界センサ | |
JP2005063643A (ja) | 磁気抵抗効果型磁気ヘッド及び磁気記録再生装置 |