JPH09241379A - ポリアリーレンスルフィドの変成体の製造方法並びにその製造方法によって得られる変成体及びその樹脂組成物 - Google Patents
ポリアリーレンスルフィドの変成体の製造方法並びにその製造方法によって得られる変成体及びその樹脂組成物Info
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- JPH09241379A JPH09241379A JP8047226A JP4722696A JPH09241379A JP H09241379 A JPH09241379 A JP H09241379A JP 8047226 A JP8047226 A JP 8047226A JP 4722696 A JP4722696 A JP 4722696A JP H09241379 A JPH09241379 A JP H09241379A
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- polyarylene sulfide
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- sulfide
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- Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 ポリアリーレンスルフィドの末端または連鎖
中に、官能基を有する芳香族化合物を定量的に、かつ効
果的に導入することができるポリアリーレンスルフィド
の変成体の製造方法を提供する。また、充填剤の添加に
よる物性向上が高いポリアリーレンスルフィドの変成体
の樹脂組成物をを提供する。 【解決手段】 ポリアリーレンスルフィドと、アルカリ
金属硫化物とを、非プロトン性有機溶媒中で解重合反応
させ、得られた末端のアルカリチオラート基を増加させ
たポリアリーレンスルフィドと、ハロゲン化芳香族化合
物とを非プロトン性有機溶媒中で置換反応させ、置換基
を有する芳香族基の導入されたポリアリーレンスルフィ
ドの変成体が得られる。得られた変成体と充填剤からな
る樹脂組成物をを提供する。
中に、官能基を有する芳香族化合物を定量的に、かつ効
果的に導入することができるポリアリーレンスルフィド
の変成体の製造方法を提供する。また、充填剤の添加に
よる物性向上が高いポリアリーレンスルフィドの変成体
の樹脂組成物をを提供する。 【解決手段】 ポリアリーレンスルフィドと、アルカリ
金属硫化物とを、非プロトン性有機溶媒中で解重合反応
させ、得られた末端のアルカリチオラート基を増加させ
たポリアリーレンスルフィドと、ハロゲン化芳香族化合
物とを非プロトン性有機溶媒中で置換反応させ、置換基
を有する芳香族基の導入されたポリアリーレンスルフィ
ドの変成体が得られる。得られた変成体と充填剤からな
る樹脂組成物をを提供する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリアリーレンス
ルフィド(以下、PASと示すことがある。)の変成体
の製造方法並びにその製造方法によって得られる変成体
及びその樹脂組成物に関する。
ルフィド(以下、PASと示すことがある。)の変成体
の製造方法並びにその製造方法によって得られる変成体
及びその樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、PAS樹脂は、耐熱性、機械的物
性、耐化学薬品性等に優れているため、各種電気、電子
機器部品や自動車機器部品等に多く用いられるようにな
ってきた。しかし、一方では低い反応性のため、充填材
またはその表面処理剤と反応しにくく、強度の向上が不
十分であるといった問題がある。
性、耐化学薬品性等に優れているため、各種電気、電子
機器部品や自動車機器部品等に多く用いられるようにな
ってきた。しかし、一方では低い反応性のため、充填材
またはその表面処理剤と反応しにくく、強度の向上が不
十分であるといった問題がある。
【0003】このような問題を解決するため、充填材ま
たはその表面処理剤との親和性を高める方法として、官
能基を導入したPAS樹脂が考えられ、これに関して以
下のような技術が開示されている。例えば、特開昭61
−7248号公報には、ジスルフィド結合を含むPAS
樹脂を製造した後、ジスルフィド結合を切断し、官能基
を導入する方法が開示されているが、得られるPAS樹
脂の分子量が低いといった問題がある。
たはその表面処理剤との親和性を高める方法として、官
能基を導入したPAS樹脂が考えられ、これに関して以
下のような技術が開示されている。例えば、特開昭61
−7248号公報には、ジスルフィド結合を含むPAS
樹脂を製造した後、ジスルフィド結合を切断し、官能基
を導入する方法が開示されているが、得られるPAS樹
脂の分子量が低いといった問題がある。
【0004】また、特開昭58−185625号公報に
は、ニトロ基、アミノ基、カルボキシル基といった官能
基を有するハロチオフェノール化合物とハロゲン化水素
捕捉剤との組み合わせ、または該ハロチオフェノール塩
をニッケル化合物あるいは2価または0価のパラジウム
錯体化合物のような触媒存在下で反応させてPAS樹脂
を製造する方法が開示されているが、高価かつ入手しに
くい原料及び触媒を使用するため、工業化するには極め
て不利であるといった問題がある。
は、ニトロ基、アミノ基、カルボキシル基といった官能
基を有するハロチオフェノール化合物とハロゲン化水素
捕捉剤との組み合わせ、または該ハロチオフェノール塩
をニッケル化合物あるいは2価または0価のパラジウム
錯体化合物のような触媒存在下で反応させてPAS樹脂
を製造する方法が開示されているが、高価かつ入手しに
くい原料及び触媒を使用するため、工業化するには極め
て不利であるといった問題がある。
【0005】さらに、特開昭57−90018号公報に
は、電子吸引性置換基を有するハロゲン化芳香族化合物
を共重合し、PAS樹脂に官能基を導入する方法が開示
されているが、この方法ではハロゲン化芳香族化合物が
電子吸引性置換基を有することが不可欠とされ、水酸
基、アミノ基等の電子供与性置換基については、何ら記
載されていない。
は、電子吸引性置換基を有するハロゲン化芳香族化合物
を共重合し、PAS樹脂に官能基を導入する方法が開示
されているが、この方法ではハロゲン化芳香族化合物が
電子吸引性置換基を有することが不可欠とされ、水酸
基、アミノ基等の電子供与性置換基については、何ら記
載されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の問題に
鑑みなされたものであり、構造式−Ar−S−(Arは
アリーレン基を示す)で示される繰り返し単位を有する
ポリアリーレンスルフィドの末端または連鎖中に官能基
を有する芳香族化合物を定量的に、かつ効果的に導入す
ることができるPASの変成体の製造方法を提供するこ
とを目的とする。また、無機充填材及び有機充填材との
親和性があり、その添加による強度の向上が高いPAS
の変成体の樹脂組成物を提供することを目的とする。
鑑みなされたものであり、構造式−Ar−S−(Arは
アリーレン基を示す)で示される繰り返し単位を有する
ポリアリーレンスルフィドの末端または連鎖中に官能基
を有する芳香族化合物を定量的に、かつ効果的に導入す
ることができるPASの変成体の製造方法を提供するこ
とを目的とする。また、無機充填材及び有機充填材との
親和性があり、その添加による強度の向上が高いPAS
の変成体の樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明によれば、非プロトン性有機溶媒中でアルカ
リ金属硫化物との反応によりポリアリーレンスルフィド
を解重合し、次いで得られた解重合体に一般式(I) Xn R1 Ym ・・・ (I) (式中、Xはハロゲン基、R1 は炭素数が6〜13の芳
香族基、Yは水酸基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、
炭素数1または2のアルコキシル基、カルボキシル基、
アルデヒド基、カルボン酸エステル基、シアノ基、ニト
ロ基及び炭素数1〜30個のアルキル基からなる群から
選ばれたいずれかの置換基を示し、Yが複数ある場合
は、同一でも異なってもよい。n及びmは1〜4の整数
である。)で示されるハロゲン化芳香族化合物を非プロ
トン性有機溶媒中で置換反応させることにより、ポリア
リーレンスルフィドに置換基を有する芳香族基が導入す
ることを特徴とするポリアリーレンスルフィドの変成体
の製造方法が提供される。
め、本発明によれば、非プロトン性有機溶媒中でアルカ
リ金属硫化物との反応によりポリアリーレンスルフィド
を解重合し、次いで得られた解重合体に一般式(I) Xn R1 Ym ・・・ (I) (式中、Xはハロゲン基、R1 は炭素数が6〜13の芳
香族基、Yは水酸基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、
炭素数1または2のアルコキシル基、カルボキシル基、
アルデヒド基、カルボン酸エステル基、シアノ基、ニト
ロ基及び炭素数1〜30個のアルキル基からなる群から
選ばれたいずれかの置換基を示し、Yが複数ある場合
は、同一でも異なってもよい。n及びmは1〜4の整数
である。)で示されるハロゲン化芳香族化合物を非プロ
トン性有機溶媒中で置換反応させることにより、ポリア
リーレンスルフィドに置換基を有する芳香族基が導入す
ることを特徴とするポリアリーレンスルフィドの変成体
の製造方法が提供される。
【0008】また、その好ましい態様として、前記解重
合反応時のポリアリーレンスルフィドの反応濃度が、非
プロトン性有機溶媒1リットルに対して、100〜10
00g、アルカリ金属硫化物の配合割合が、ポリアリー
レンスルフィド1基本モルに対して0.005〜0.2
モルであり、かつ、置換反応時のハロゲン芳香族化合物
の配合割合が、前記解重合反応で用いたアルカリ金属硫
化物の配合モル量に対して、2〜5倍モルであることを
特徴とするポリアリーレンスルフィドの変成体の製造方
法が提供される。
合反応時のポリアリーレンスルフィドの反応濃度が、非
プロトン性有機溶媒1リットルに対して、100〜10
00g、アルカリ金属硫化物の配合割合が、ポリアリー
レンスルフィド1基本モルに対して0.005〜0.2
モルであり、かつ、置換反応時のハロゲン芳香族化合物
の配合割合が、前記解重合反応で用いたアルカリ金属硫
化物の配合モル量に対して、2〜5倍モルであることを
特徴とするポリアリーレンスルフィドの変成体の製造方
法が提供される。
【0009】また、前記方法によって得られる構造式−
Ar−S−(Arはアリーレン基を示す)で示される繰
り返し単位からなり、その対数粘度が0.1〜0.35
dl/gの範囲にあることを特徴とするポリアリーレン
スルフィドの変成体が提供される。また、構造式−Ar
−S−(Arはアリーレン基を示す。)で示される繰り
返し単位からなるポリアリーレンスルフィドに水酸基を
置換基とする芳香族化合物を前記ポリアリーレンスルフ
ィドの末端または連鎖中に繰り返し単位当たり0.05
〜10モル%含有し、その対数粘度が 0.1〜0.3
5 dl/gの範囲にあることを特徴とするポリアリー
レンスルフィドの変成体。
Ar−S−(Arはアリーレン基を示す)で示される繰
り返し単位からなり、その対数粘度が0.1〜0.35
dl/gの範囲にあることを特徴とするポリアリーレン
スルフィドの変成体が提供される。また、構造式−Ar
−S−(Arはアリーレン基を示す。)で示される繰り
返し単位からなるポリアリーレンスルフィドに水酸基を
置換基とする芳香族化合物を前記ポリアリーレンスルフ
ィドの末端または連鎖中に繰り返し単位当たり0.05
〜10モル%含有し、その対数粘度が 0.1〜0.3
5 dl/gの範囲にあることを特徴とするポリアリー
レンスルフィドの変成体。
【0010】さらに、前記ポリアリーレンスルフィドの
変成体100重量部と無機及び/または有機充填材1〜
400重量部からなることを特徴とする樹脂組成物が提
供される。
変成体100重量部と無機及び/または有機充填材1〜
400重量部からなることを特徴とする樹脂組成物が提
供される。
【0011】
【発明の実施形態】以下、本発明を具体的に説明する。 I.ポリアリーレンスルフィドの変成体の製造方法 1.解重合反応 本発明においては、先ず非プロトン性有機溶媒中でポリ
アリーレンスルフィドと、アルカリ金属硫化物とを解重
合反応させる。この反応によって、末端のアルカリチオ
ラート基を増加させたポリアリーレンスルフィドを得る
ことができる。 (1)反応成分およびその溶媒 ポリアリーレンスルフィド 本発明に用いられるポリアリーレンスルフィドは、構造
式−Ar−S−(Arはアリーレン基)で示される繰り
返し単位を70モル%以上含有する重合体で、その代表
的物質は、構造式−Ph−S−(Phはフェニレン基)
で示される繰り返し単位を70モル%以上有するポリフ
ェニレンスルフィドである。中でもα−クロロナフタレ
ン溶液(濃度0.4g/dl)、206℃における対数
粘度が0.1〜0.5(dl/g)、好ましくは0.1
3〜0.4(dl/g)、さらに好ましくは0.15〜
0.35(dl/g)の範囲にあるものが適当である。
また、温度300℃、ずり速度1200/secの条件
下で測定した溶融粘度100〜20000ポイズ、特に
100〜5000ポイズの範囲にあるものが適当であ
る。PASは一般にその製造法により実質上線状で分
岐、架橋構造を有しない分子構造のものと、分岐や架橋
構造を有する構造のものが知られているが本発明におい
てはその何れのタイプのものについても有効である。本
発明に用いるのに好ましいPASは繰り返し単位として
パラフェニレンスルフィド単位を70モル%以上、さら
に好ましくは80モル%以上含有するホモポリマーまた
はコポリマーである。この繰り返し単位が70モル%未
満だと結晶性ポリマーとしての特徴である本来の結晶性
が低くなり充分な機械的物性が得られなくなる傾向があ
り好ましくない。
アリーレンスルフィドと、アルカリ金属硫化物とを解重
合反応させる。この反応によって、末端のアルカリチオ
ラート基を増加させたポリアリーレンスルフィドを得る
ことができる。 (1)反応成分およびその溶媒 ポリアリーレンスルフィド 本発明に用いられるポリアリーレンスルフィドは、構造
式−Ar−S−(Arはアリーレン基)で示される繰り
返し単位を70モル%以上含有する重合体で、その代表
的物質は、構造式−Ph−S−(Phはフェニレン基)
で示される繰り返し単位を70モル%以上有するポリフ
ェニレンスルフィドである。中でもα−クロロナフタレ
ン溶液(濃度0.4g/dl)、206℃における対数
粘度が0.1〜0.5(dl/g)、好ましくは0.1
3〜0.4(dl/g)、さらに好ましくは0.15〜
0.35(dl/g)の範囲にあるものが適当である。
また、温度300℃、ずり速度1200/secの条件
下で測定した溶融粘度100〜20000ポイズ、特に
100〜5000ポイズの範囲にあるものが適当であ
る。PASは一般にその製造法により実質上線状で分
岐、架橋構造を有しない分子構造のものと、分岐や架橋
構造を有する構造のものが知られているが本発明におい
てはその何れのタイプのものについても有効である。本
発明に用いるのに好ましいPASは繰り返し単位として
パラフェニレンスルフィド単位を70モル%以上、さら
に好ましくは80モル%以上含有するホモポリマーまた
はコポリマーである。この繰り返し単位が70モル%未
満だと結晶性ポリマーとしての特徴である本来の結晶性
が低くなり充分な機械的物性が得られなくなる傾向があ
り好ましくない。
【0012】共重合体単位としては、例えばメタフェニ
レンスルフィド単位、オルソフェニレンスルフィド単
位、p,p’−ジフェニレンケトンスルフィド単位、
p,p’−ジフェニレンスルホンスルフィド単位、p,
p’−ビフェニレンスルフィド単位、p,p’−ジフェ
ニレンエーテルスルフィド単位、2,6−ナフタレンス
ルフィド単位などが挙げられる。また、本発明のPAS
としては、前記の実質上線状ポリマーの他に、モノマー
の一部分として3個以上の官能基を有するモノマーを少
量混合使用して重合した分岐又は架橋ポリアリーレンス
ルフィドも用いることができ、また、これを前記の線状
ポリマーにブレンドした配合ポリマーも用いることがで
好適である。さらにまた、本発明に使用する成分として
のPASは、比較的低分子量の線状ポリマーを酸化架橋
又は熱架橋により対数粘度を上昇させ、成形加工性を改
良したポリマーも使用できる。 アルカリ金属硫化物 本発明に用いられるアルカリ金属硫化物としては、特に
制限はないが、好ましい例として、硫化リチウム、硫化
ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシ
ウム等及びこれらの混合物を挙げることができる。ま
た、無水和物、水和物のいずれであっても良い。
レンスルフィド単位、オルソフェニレンスルフィド単
位、p,p’−ジフェニレンケトンスルフィド単位、
p,p’−ジフェニレンスルホンスルフィド単位、p,
p’−ビフェニレンスルフィド単位、p,p’−ジフェ
ニレンエーテルスルフィド単位、2,6−ナフタレンス
ルフィド単位などが挙げられる。また、本発明のPAS
としては、前記の実質上線状ポリマーの他に、モノマー
の一部分として3個以上の官能基を有するモノマーを少
量混合使用して重合した分岐又は架橋ポリアリーレンス
ルフィドも用いることができ、また、これを前記の線状
ポリマーにブレンドした配合ポリマーも用いることがで
好適である。さらにまた、本発明に使用する成分として
のPASは、比較的低分子量の線状ポリマーを酸化架橋
又は熱架橋により対数粘度を上昇させ、成形加工性を改
良したポリマーも使用できる。 アルカリ金属硫化物 本発明に用いられるアルカリ金属硫化物としては、特に
制限はないが、好ましい例として、硫化リチウム、硫化
ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシ
ウム等及びこれらの混合物を挙げることができる。ま
た、無水和物、水和物のいずれであっても良い。
【0013】非プロトン性有機溶媒 本発明に用いられる非プロトン性有機溶媒としては、一
般に、非プロトン性の極性有機化合物(たとえば、アミ
ド化合物,ラクタム化合物,尿素化合物,有機イオウ化
合物,環式有機リン化合物等)を、単独溶媒として、ま
たは、混合溶媒として、好適に使用することができる。
般に、非プロトン性の極性有機化合物(たとえば、アミ
ド化合物,ラクタム化合物,尿素化合物,有機イオウ化
合物,環式有機リン化合物等)を、単独溶媒として、ま
たは、混合溶媒として、好適に使用することができる。
【0014】これらの非プロトン性の極性有機化合物の
うち、前記アミド化合物としては、たとえば、N,N−
ジメチルホルムアミド,N,N−ジエチルホルムアミ
ド,N,N−ジメチルアセトアミド,N,N−ジエチル
アセトアミド,N,N−ジプロピルアセトアミド,N,
N−ジメチル安息香酸アミド等を挙げることができる。
また、前記ラクタム化合物としては、たとえば、カプロ
ラクタム,N−メチルカプロラクタム,N−エチルカプ
ロラクタム,N−イソプロピルカプロラクタム,N−イ
ソブチルカプロラクタム,N−ノルマルプロピルカプロ
ラクタム,N−ノルマルブチルカプロラクタム,N−シ
クロヘキシルカプロラクタム等のN−アルキルカプロラ
クタム類,N−メチル−2−ピロリドン(NMP),N
−エチル−2−ピロリドン,N−イソプロピル−2−ピ
ロリドン,N−イソブチル−2−ピロリドン,N−ノル
マルプロピル−2−ピロリドン,N−ノルマルブチル−
2−ピロリドン,N−シクロヘキシル−2−ピロリド
ン,N−メチル−3−メチル−2−ピロリドン,N−エ
チル−3−メチル−2−ピロリドン,N−メチル−3,
4,5−トリメチル−2−ピロリドン,N−メチル−2
−ピペリドン,N−エチル−2−ピペリドン,N−イソ
プロピル−2−ピペリドン,N−メチル−6−メチル−
2−ピペリドン,N−メチル−3−エチル−2−ピペリ
ドン等を挙げることができる。
うち、前記アミド化合物としては、たとえば、N,N−
ジメチルホルムアミド,N,N−ジエチルホルムアミ
ド,N,N−ジメチルアセトアミド,N,N−ジエチル
アセトアミド,N,N−ジプロピルアセトアミド,N,
N−ジメチル安息香酸アミド等を挙げることができる。
また、前記ラクタム化合物としては、たとえば、カプロ
ラクタム,N−メチルカプロラクタム,N−エチルカプ
ロラクタム,N−イソプロピルカプロラクタム,N−イ
ソブチルカプロラクタム,N−ノルマルプロピルカプロ
ラクタム,N−ノルマルブチルカプロラクタム,N−シ
クロヘキシルカプロラクタム等のN−アルキルカプロラ
クタム類,N−メチル−2−ピロリドン(NMP),N
−エチル−2−ピロリドン,N−イソプロピル−2−ピ
ロリドン,N−イソブチル−2−ピロリドン,N−ノル
マルプロピル−2−ピロリドン,N−ノルマルブチル−
2−ピロリドン,N−シクロヘキシル−2−ピロリド
ン,N−メチル−3−メチル−2−ピロリドン,N−エ
チル−3−メチル−2−ピロリドン,N−メチル−3,
4,5−トリメチル−2−ピロリドン,N−メチル−2
−ピペリドン,N−エチル−2−ピペリドン,N−イソ
プロピル−2−ピペリドン,N−メチル−6−メチル−
2−ピペリドン,N−メチル−3−エチル−2−ピペリ
ドン等を挙げることができる。
【0015】また、前記尿素化合物としては、例えば、
テトラメチル尿素,N,N’−ジメチルエチレン尿素,
N,N’−ジメチルプロピレン尿素等を挙げることがで
きる。さらに、前記有機イオウ化合物としては、例え
ば、ジメチルスルホキシド,ジエチルスルホキシド,ジ
フェニルスルホン,1−メチル−1−オキソスルホラ
ン,1−エチル−1−オキソスルホラン,1−フェニル
−1−オキソスルホランなどを、また、前記環式有機リ
ン化合物としては、例えば、1−メチル−1−オキソホ
スホラン,1−ノルマルプロピル−1−オキソホスホラ
ン,1−フェニル−1−オキソホスホラン等を挙げるこ
とができる。
テトラメチル尿素,N,N’−ジメチルエチレン尿素,
N,N’−ジメチルプロピレン尿素等を挙げることがで
きる。さらに、前記有機イオウ化合物としては、例え
ば、ジメチルスルホキシド,ジエチルスルホキシド,ジ
フェニルスルホン,1−メチル−1−オキソスルホラ
ン,1−エチル−1−オキソスルホラン,1−フェニル
−1−オキソスルホランなどを、また、前記環式有機リ
ン化合物としては、例えば、1−メチル−1−オキソホ
スホラン,1−ノルマルプロピル−1−オキソホスホラ
ン,1−フェニル−1−オキソホスホラン等を挙げるこ
とができる。
【0016】これら各種の非プロトン性極性有機化合物
は、それぞれ一種単独で、または二種以上を混合して、
さらには、本発明の目的に支障のない他の溶媒成分と混
合して、前記非プロトン性有機溶媒として使用すること
ができる。前記各種の非プロトン性有機溶媒の中でも、
好ましいのはN−アルキルカプロラクタム及びN−アル
キルピロリドンであり、特に好ましいのはN−メチル−
2−ピロリドンである。
は、それぞれ一種単独で、または二種以上を混合して、
さらには、本発明の目的に支障のない他の溶媒成分と混
合して、前記非プロトン性有機溶媒として使用すること
ができる。前記各種の非プロトン性有機溶媒の中でも、
好ましいのはN−アルキルカプロラクタム及びN−アル
キルピロリドンであり、特に好ましいのはN−メチル−
2−ピロリドンである。
【0017】アルカリ金属水酸化物 本発明においては、必要に応じ、アルカリ金属水酸化物
を配合してもよい。このアルカリ金属水酸化物として
は、たとえば水酸化リチウム,水酸化ナトリウム,水酸
化カリウム,水酸化ルビジウム,水酸化セシウム等を挙
げることができる。このアルカリ金属水酸化物を配合す
ることにより、反応溶液のアルカリ性の維持を容易にす
る効果がある。 水 本発明においては、必要に応じて水を配合してもよい。
水を配合することにより金属硫化物の溶解性を向上させ
ることができる。
を配合してもよい。このアルカリ金属水酸化物として
は、たとえば水酸化リチウム,水酸化ナトリウム,水酸
化カリウム,水酸化ルビジウム,水酸化セシウム等を挙
げることができる。このアルカリ金属水酸化物を配合す
ることにより、反応溶液のアルカリ性の維持を容易にす
る効果がある。 水 本発明においては、必要に応じて水を配合してもよい。
水を配合することにより金属硫化物の溶解性を向上させ
ることができる。
【0018】(2)反応条件 反応濃度,配合割合 (i)ポリアリーレンスルフィドの反応濃度は、ハロゲ
ン化芳香族との反応を促進させる面から、非プロトン性
有機溶媒1リットルに対し100〜1000gが好まし
く、200〜400gがさらに好ましい。100g未満
であると、生産性が低下することがあり、1000gを
超えると反応率の低下及び副反応が起こることがある。 (ii)アルカリ金属硫化物の配合割合は、PAS1基本
モルに対して0.005〜0.2モルが好ましく、0.
01〜0.1モルがさらに好ましい。0.005モル未
満であると目的とする効果が得られないことがあり、
0.2モルを超えると過度に分子量が低下することがあ
る。
ン化芳香族との反応を促進させる面から、非プロトン性
有機溶媒1リットルに対し100〜1000gが好まし
く、200〜400gがさらに好ましい。100g未満
であると、生産性が低下することがあり、1000gを
超えると反応率の低下及び副反応が起こることがある。 (ii)アルカリ金属硫化物の配合割合は、PAS1基本
モルに対して0.005〜0.2モルが好ましく、0.
01〜0.1モルがさらに好ましい。0.005モル未
満であると目的とする効果が得られないことがあり、
0.2モルを超えると過度に分子量が低下することがあ
る。
【0019】(iii)必要に応じて用いられるアルカリ金
属水酸化物の配合割合は、アルカリ金属硫化物(B)の
配合モル量に対して、2〜10倍モルが好ましい。2倍
モル未満であると反応活性点が残り、熱安定性が低下す
ることがあり、10倍モルを超えると、未反応物が残
り、成形時にガス発生が起こり、成形品の表面外観、物
性の低下する等の悪影響が生ずることがある。 (iv)必要に応じて用いられる水の配合割合は、非プロ
トン性有機溶媒1リットル当たり、0.1〜10モル、
好ましくは、1〜5モルである。0.1モル未満である
と、アルカリ金属硫化物の溶解性が不足するおそれがあ
り、10モルを超えると解重合が不十分となるおそれが
ある。
属水酸化物の配合割合は、アルカリ金属硫化物(B)の
配合モル量に対して、2〜10倍モルが好ましい。2倍
モル未満であると反応活性点が残り、熱安定性が低下す
ることがあり、10倍モルを超えると、未反応物が残
り、成形時にガス発生が起こり、成形品の表面外観、物
性の低下する等の悪影響が生ずることがある。 (iv)必要に応じて用いられる水の配合割合は、非プロ
トン性有機溶媒1リットル当たり、0.1〜10モル、
好ましくは、1〜5モルである。0.1モル未満である
と、アルカリ金属硫化物の溶解性が不足するおそれがあ
り、10モルを超えると解重合が不十分となるおそれが
ある。
【0020】反応温度 本発明における解重合反応の反応温度は、30℃〜30
0℃が好ましく、100〜250℃がさらに好ましい。
30℃未満であると反応が不十分となるおそれがあり、
300℃をこえると副反応が起こると共に過度に分子量
が低下することがある。 反応時間 本発明における解重合反応の反応時間は、10分〜25
時間が好ましく、10分〜10時間がさらに好ましい。
10分未満であると反応が不十分となるおそれがあり、
25時間を超えると生産性の低下及び副反応が起こると
共に過度に分子量が低下することがある。
0℃が好ましく、100〜250℃がさらに好ましい。
30℃未満であると反応が不十分となるおそれがあり、
300℃をこえると副反応が起こると共に過度に分子量
が低下することがある。 反応時間 本発明における解重合反応の反応時間は、10分〜25
時間が好ましく、10分〜10時間がさらに好ましい。
10分未満であると反応が不十分となるおそれがあり、
25時間を超えると生産性の低下及び副反応が起こると
共に過度に分子量が低下することがある。
【0021】2.置換反応(置換基を有する芳香族化合
物の導入) 本発明においては、前記解重合反応の次に、その反応終
了残液中で、その中に含まれた、末端のアルカリチオラ
ート基を増加させたポリアリーレンスルフィドと、新た
に配合する一般式(I) Xn R1 Ym ・・・(I) (式中、X、R1 、Y、n及びmは前記と同じ。)で示
されるハロゲン化芳香族化合物とによって置換反応させ
る。なお、非プロトン性有機溶媒としては、前記解重合
反応で用いた非プロトン性有機溶媒と同じものを用いる
ことができる。この反応によってポリアリーレンスルフ
ィド樹脂に置換基を有する芳香族基が導入される。
物の導入) 本発明においては、前記解重合反応の次に、その反応終
了残液中で、その中に含まれた、末端のアルカリチオラ
ート基を増加させたポリアリーレンスルフィドと、新た
に配合する一般式(I) Xn R1 Ym ・・・(I) (式中、X、R1 、Y、n及びmは前記と同じ。)で示
されるハロゲン化芳香族化合物とによって置換反応させ
る。なお、非プロトン性有機溶媒としては、前記解重合
反応で用いた非プロトン性有機溶媒と同じものを用いる
ことができる。この反応によってポリアリーレンスルフ
ィド樹脂に置換基を有する芳香族基が導入される。
【0022】(1)反応成分 ハロゲン化芳香族化合物 本発明における置換反応に用いられるハロゲン化芳香族
化合物としては、前記一般式式(I)で示すものを挙げ
ることができる。すなわち、 Xn R1 Ym ・・・(I) 式中、Xはハロゲン基を示し、Xが複数ある場合は、同
一でも異なってもよい。好ましくは、塩素原子または臭
素原子である。nは1〜4の整数を示す。
化合物としては、前記一般式式(I)で示すものを挙げ
ることができる。すなわち、 Xn R1 Ym ・・・(I) 式中、Xはハロゲン基を示し、Xが複数ある場合は、同
一でも異なってもよい。好ましくは、塩素原子または臭
素原子である。nは1〜4の整数を示す。
【0023】Yは、水酸基、アミノ基、ジアルキルアミ
ノ基、炭素数1または2個のアルコキシ基、カルボキシ
ル基、アルデヒド基、カルボン酸エステル基、シアノ
基、ニトロ基及び炭素数1〜30個のアルキル基からな
る群から選ばれたいずれかの置換基を示し、Yが複数あ
る場合は、同一でも異なってもよい。mは1〜4の整数
を示す。
ノ基、炭素数1または2個のアルコキシ基、カルボキシ
ル基、アルデヒド基、カルボン酸エステル基、シアノ
基、ニトロ基及び炭素数1〜30個のアルキル基からな
る群から選ばれたいずれかの置換基を示し、Yが複数あ
る場合は、同一でも異なってもよい。mは1〜4の整数
を示す。
【0024】R1 は、炭素数が6〜13個の芳香族基を
示し、R1 Ym は下記一般式(II) 〜(VI)
示し、R1 Ym は下記一般式(II) 〜(VI)
【0025】
【化1】
【0026】で示されるものである。ハロゲン化芳香族
化合物の具体例としては、o−クロロフェノール、m−
クロロフェノール、p−クロロフェノール、o−クロロ
安息香酸、m−クロロ安息香酸、p−クロロ安息香酸、
o−クロロアニリン、m−クロロアニリン、p−クロロ
アニリン、o−クロロ(ジメチルアミノ)ベンゼン、m
−クロロ(ジメチルアミノ)ベンゼン、p−クロロ(ジ
メチルアミノ)ベンゼン、o−クロロアニソール、m−
クロロアニソール、p−クロロアニソール、o−クロロ
ベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、p−
クロロベンズアルデヒド、o−クロロ安息香酸エチル、
m−クロロ安息香酸エチル、p−クロロ安息香酸エチ
ル、o−クロロベンゾニトリル、m−クロロベンゾニト
リル、p−クロロベンゾニトリル、o−クロロニトロベ
ンゼン、m−クロロニトロベンゼン、p−クロロニトロ
ベンゼン、クロロナフトール、クロロ,ヒドロキシ−ビ
フェニル、ジクロロフェノール、トリクロロフェノー
ル、ジクロロ安息香酸、トリクロロ安息香酸、ジクロロ
アニリン、トリクロロアニリン、クロロ−ジヒドロキシ
ベンゼン等、並びにこれらの化合物における塩素原子の
代わりに臭素原子またはフッ素原子を含む対応する化合
物が挙げられる。好ましくは、塩素原子を含む化合物で
あり、p−クロロフェノール、p−クロロ安息香酸等を
好適に使用することができる。
化合物の具体例としては、o−クロロフェノール、m−
クロロフェノール、p−クロロフェノール、o−クロロ
安息香酸、m−クロロ安息香酸、p−クロロ安息香酸、
o−クロロアニリン、m−クロロアニリン、p−クロロ
アニリン、o−クロロ(ジメチルアミノ)ベンゼン、m
−クロロ(ジメチルアミノ)ベンゼン、p−クロロ(ジ
メチルアミノ)ベンゼン、o−クロロアニソール、m−
クロロアニソール、p−クロロアニソール、o−クロロ
ベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、p−
クロロベンズアルデヒド、o−クロロ安息香酸エチル、
m−クロロ安息香酸エチル、p−クロロ安息香酸エチ
ル、o−クロロベンゾニトリル、m−クロロベンゾニト
リル、p−クロロベンゾニトリル、o−クロロニトロベ
ンゼン、m−クロロニトロベンゼン、p−クロロニトロ
ベンゼン、クロロナフトール、クロロ,ヒドロキシ−ビ
フェニル、ジクロロフェノール、トリクロロフェノー
ル、ジクロロ安息香酸、トリクロロ安息香酸、ジクロロ
アニリン、トリクロロアニリン、クロロ−ジヒドロキシ
ベンゼン等、並びにこれらの化合物における塩素原子の
代わりに臭素原子またはフッ素原子を含む対応する化合
物が挙げられる。好ましくは、塩素原子を含む化合物で
あり、p−クロロフェノール、p−クロロ安息香酸等を
好適に使用することができる。
【0027】(2)反応条件 配合割合 本発明に用いられるハロゲン化芳香族化合物の配合割合
は、アルカリ金属硫化物の配合モル量に対して、2〜5
倍モルが好ましい。2倍モル未満であると反応活性点が
残り、熱安定性が低下することがあり、5倍モルを超え
るとガス発生が起こり、成形品の表面外観、物性の低下
する等の悪影響が生ずることがある。
は、アルカリ金属硫化物の配合モル量に対して、2〜5
倍モルが好ましい。2倍モル未満であると反応活性点が
残り、熱安定性が低下することがあり、5倍モルを超え
るとガス発生が起こり、成形品の表面外観、物性の低下
する等の悪影響が生ずることがある。
【0028】反応温度 本発明における置換重合反応の反応温度は、30℃〜3
00℃が好ましく、100〜250℃がさらに好まし
い。30℃未満であると反応が不十分となるおそれがあ
り、300℃をこえると副反応が起こると共に分子量が
低下することがある。
00℃が好ましく、100〜250℃がさらに好まし
い。30℃未満であると反応が不十分となるおそれがあ
り、300℃をこえると副反応が起こると共に分子量が
低下することがある。
【0029】反応時間 本発明における置換反応の反応時間は、10分〜10時
間が好ましく、10分〜5時間がさらに好ましい。10
分未満であると反応が不十分となるおそれがあり、10
時間を超えると生産性が低下することがある。
間が好ましく、10分〜5時間がさらに好ましい。10
分未満であると反応が不十分となるおそれがあり、10
時間を超えると生産性が低下することがある。
【0030】3.後処理 本発明においては、解重合反応と置換反応とを連続して
行ない、これらの反応終了後、後処理として、ろ別し、
かつ、水,有機溶媒(アセトン,アルコール)で洗浄、
乾燥して、最終的に置換基を有する芳香族基が導入され
たポリアリーレンスルフィドを得ることができる。上記
のように解重合によりアルカリチオラート基を増加させ
たポリアリーレンスルフィドとハロゲン化芳香族化合物
とによって置換反応させることで、ほぼ定量的にハロゲ
ン化芳香族化合物を反応させることができる。この方法
では、主にポリアリーレンスルフィドの末端にハロゲン
化芳香族化合物が導入された変成体となり、従来の重合
段階で置換基を有する芳香族化合物と反応させたものと
は異なるものであり、かつ、−Ar−S−で示される繰
り返し単位からなり、その対数粘度が206℃で0.1
〜0.35dl/g、好ましくは0.1〜0.3dl/
g、より好ましくは、0.15〜0.25dl/gの範
囲にある高分子量のPASの変成体である。0.1dl
/g未満では、十分な機械的物性が得られないし、0.
35dl/gを超えると成形加工性が悪くなる。
行ない、これらの反応終了後、後処理として、ろ別し、
かつ、水,有機溶媒(アセトン,アルコール)で洗浄、
乾燥して、最終的に置換基を有する芳香族基が導入され
たポリアリーレンスルフィドを得ることができる。上記
のように解重合によりアルカリチオラート基を増加させ
たポリアリーレンスルフィドとハロゲン化芳香族化合物
とによって置換反応させることで、ほぼ定量的にハロゲ
ン化芳香族化合物を反応させることができる。この方法
では、主にポリアリーレンスルフィドの末端にハロゲン
化芳香族化合物が導入された変成体となり、従来の重合
段階で置換基を有する芳香族化合物と反応させたものと
は異なるものであり、かつ、−Ar−S−で示される繰
り返し単位からなり、その対数粘度が206℃で0.1
〜0.35dl/g、好ましくは0.1〜0.3dl/
g、より好ましくは、0.15〜0.25dl/gの範
囲にある高分子量のPASの変成体である。0.1dl
/g未満では、十分な機械的物性が得られないし、0.
35dl/gを超えると成形加工性が悪くなる。
【0031】また、従来、重合に悪影響を与え、実質的
に置換反応が困難であった電子供与性置換基を有する芳
香族化合物をポリアリーレンスルフィド樹脂の末端また
は連鎖中に導入することが可能となった。なかでも、水
酸基を有する芳香族化合物を導入した共重合体で分子量
が高いものは例がない。さらに、適切な解重合反応条件
ではポリアリーレンスルフィドの分子量の低下は小さ
く、所望の物性、流動性から必要と考える分子量、好ま
しくは、所望の分子量より少し高い分子量のポリアリー
レンスルフィドを使用し、解重合反応させた後、所望の
ハロゲン化芳香族化合物と置換反応させればよいので、
大量に製造した実質的に線状のポリアリーレンスルフィ
ドを利用でき、工業的に極めて有利である。
に置換反応が困難であった電子供与性置換基を有する芳
香族化合物をポリアリーレンスルフィド樹脂の末端また
は連鎖中に導入することが可能となった。なかでも、水
酸基を有する芳香族化合物を導入した共重合体で分子量
が高いものは例がない。さらに、適切な解重合反応条件
ではポリアリーレンスルフィドの分子量の低下は小さ
く、所望の物性、流動性から必要と考える分子量、好ま
しくは、所望の分子量より少し高い分子量のポリアリー
レンスルフィドを使用し、解重合反応させた後、所望の
ハロゲン化芳香族化合物と置換反応させればよいので、
大量に製造した実質的に線状のポリアリーレンスルフィ
ドを利用でき、工業的に極めて有利である。
【0032】II.ポリアリーレンスルフィドの変成体及
びその樹脂組成物 本発明のポリアリーレンスルフィドの変成体は、前記の
製造方法によってポリアリーレンスルフィドとして得る
ことができる。また、本発明の樹脂組成物は、前記変成
体と無機及び/または有機充填材とを配合することによ
り得ることができる。 無機または有機充填材 本発明の樹脂組成物において用いられる充填材として
は、無機化合物であっても有機化合物であってもよく、
それぞれ単独であっても、混合物であってもよい。ま
た、形状的に繊維状であっても非繊維状であってもよ
い。
びその樹脂組成物 本発明のポリアリーレンスルフィドの変成体は、前記の
製造方法によってポリアリーレンスルフィドとして得る
ことができる。また、本発明の樹脂組成物は、前記変成
体と無機及び/または有機充填材とを配合することによ
り得ることができる。 無機または有機充填材 本発明の樹脂組成物において用いられる充填材として
は、無機化合物であっても有機化合物であってもよく、
それぞれ単独であっても、混合物であってもよい。ま
た、形状的に繊維状であっても非繊維状であってもよ
い。
【0033】具体的には、機械的物性、耐熱性、寸法安
定性(耐変形、そり)、電気的性質等の性能に優れた成
形品を得るため等の目的に応じて、繊維状、粉粒状、板
状の充填材が用いられる。繊維状充填材としては、ガラ
ス繊維,アスベスト繊維,カーボン繊維,シリカ繊維,
シリカ・アルミナ繊維,ジルコニア繊維,窒化硼素繊
維,窒化珪素繊維,硼素繊維,チタン酸カリ繊維,さら
にステンレス,アルミニウム,チタン,銅,真鍮等の金
属の繊維状物などの無機質繊維状物質を挙げることがで
きる。特に代表的な繊維状充填材はガラス繊維,又はカ
ーボン繊維である。なお、芳香族ポリアミド,フッ素樹
脂,アクリル樹脂などの高融点有機質繊維状物質も使用
することができる。一方、粉粒状充填物としてはカーボ
ンブラック,溶融または結晶シリカ,石英粉末,カラス
ビーズ,ガラス粉,硅酸カルシウム,硅酸アルミニウ
ム,カオリン,タルク,クレー,硅藻土,ウォラストナ
イトのような硅酸塩、酸化鉄,酸化チタン,酸化亜鉛,
アルミナのような金属の酸化物、炭酸カルシウム,炭酸
マグネシウムのような金属の炭酸塩、硫酸カルシウム,
硫酸バリウムのような金属の硫酸塩、その他炭化珪素,
窒化硼素,各種金属粉末を挙げることができる。また、
板状充填材としてはマイカ,ガラスフレーク,各種の金
属箔等を挙げることができる。これらの無機充填材は一
種または二種以上併用することができる。繊維状充填
材、特にガラス繊維又は炭素繊維と粒状及び/又は板状
充填材の併用は特に機械的強度と寸法精度、電気的性質
等を兼備する上で好ましい組み合わせである。これらの
充填材の使用にあたっては必要ならば収束剤または表面
処理剤を使用することが望ましい。この例を示せば、エ
ポキシ系化合物,イソシアネート系化合物,シラン系化
合物,チタネート系化合物等の官能性化合物である。こ
れらの化合物はあらかじめ充填材に表面処理又は収束処
理を施して用いるか、又は材料調製の際同時に添加して
もよい。充填材の使用量は、前記PAS100重量部当
たり400重量部以下とし、好ましくは10〜300重
量部である。下限値には特に制限はないが、成形品の用
途によっては、10重量部未満であると機械的強度や剛
性が劣ることがある。また、400重量部を超えると、
成形作業が困難になるとともに、成形品の機械的物性が
劣化する。
定性(耐変形、そり)、電気的性質等の性能に優れた成
形品を得るため等の目的に応じて、繊維状、粉粒状、板
状の充填材が用いられる。繊維状充填材としては、ガラ
ス繊維,アスベスト繊維,カーボン繊維,シリカ繊維,
シリカ・アルミナ繊維,ジルコニア繊維,窒化硼素繊
維,窒化珪素繊維,硼素繊維,チタン酸カリ繊維,さら
にステンレス,アルミニウム,チタン,銅,真鍮等の金
属の繊維状物などの無機質繊維状物質を挙げることがで
きる。特に代表的な繊維状充填材はガラス繊維,又はカ
ーボン繊維である。なお、芳香族ポリアミド,フッ素樹
脂,アクリル樹脂などの高融点有機質繊維状物質も使用
することができる。一方、粉粒状充填物としてはカーボ
ンブラック,溶融または結晶シリカ,石英粉末,カラス
ビーズ,ガラス粉,硅酸カルシウム,硅酸アルミニウ
ム,カオリン,タルク,クレー,硅藻土,ウォラストナ
イトのような硅酸塩、酸化鉄,酸化チタン,酸化亜鉛,
アルミナのような金属の酸化物、炭酸カルシウム,炭酸
マグネシウムのような金属の炭酸塩、硫酸カルシウム,
硫酸バリウムのような金属の硫酸塩、その他炭化珪素,
窒化硼素,各種金属粉末を挙げることができる。また、
板状充填材としてはマイカ,ガラスフレーク,各種の金
属箔等を挙げることができる。これらの無機充填材は一
種または二種以上併用することができる。繊維状充填
材、特にガラス繊維又は炭素繊維と粒状及び/又は板状
充填材の併用は特に機械的強度と寸法精度、電気的性質
等を兼備する上で好ましい組み合わせである。これらの
充填材の使用にあたっては必要ならば収束剤または表面
処理剤を使用することが望ましい。この例を示せば、エ
ポキシ系化合物,イソシアネート系化合物,シラン系化
合物,チタネート系化合物等の官能性化合物である。こ
れらの化合物はあらかじめ充填材に表面処理又は収束処
理を施して用いるか、又は材料調製の際同時に添加して
もよい。充填材の使用量は、前記PAS100重量部当
たり400重量部以下とし、好ましくは10〜300重
量部である。下限値には特に制限はないが、成形品の用
途によっては、10重量部未満であると機械的強度や剛
性が劣ることがある。また、400重量部を超えると、
成形作業が困難になるとともに、成形品の機械的物性が
劣化する。
【0034】また、本発明の樹脂組成物においては、基
体ポリマーとして、その目的に支障のない範囲でPAS
以外に、他の熱可塑性樹脂を補助的に少量併用すること
も可能である。ここで用いられる他の熱可塑性樹脂とし
ては、高温において安定な熱可塑性樹脂であればいずれ
のものでもよい。例えば、ポリエチレンテレフタレー
ト,ポリブチレンテレフタレート等の芳香族ジカルボン
酸と、ジオールまたはオキシカルボン酸などからなる芳
香族ポリエステル樹脂、ナイロン6,ナイロン6−6,
ナイロン6−10,ナイロン12,ナイロン46等のポ
リアミド系樹脂、エチレン,プロピレン,ブテン等を主
成分とするオレフィン系樹脂、ポリスチレン,ポリスチ
レン−アクリロニトリル,ABS等のスチレン系樹脂、
ポリカーボネート,ポリフェニレノキシド,ポリアルキ
ルアクリレート,ポリアセタール,ポリサルホン,ポリ
エーテルサルホン,ポリエーテルイミド,ポリエーテル
ケトン,フッ素樹脂などを挙げることができる。またこ
れらの熱可塑性樹脂は二種以上混合して使用することも
できる。
体ポリマーとして、その目的に支障のない範囲でPAS
以外に、他の熱可塑性樹脂を補助的に少量併用すること
も可能である。ここで用いられる他の熱可塑性樹脂とし
ては、高温において安定な熱可塑性樹脂であればいずれ
のものでもよい。例えば、ポリエチレンテレフタレー
ト,ポリブチレンテレフタレート等の芳香族ジカルボン
酸と、ジオールまたはオキシカルボン酸などからなる芳
香族ポリエステル樹脂、ナイロン6,ナイロン6−6,
ナイロン6−10,ナイロン12,ナイロン46等のポ
リアミド系樹脂、エチレン,プロピレン,ブテン等を主
成分とするオレフィン系樹脂、ポリスチレン,ポリスチ
レン−アクリロニトリル,ABS等のスチレン系樹脂、
ポリカーボネート,ポリフェニレノキシド,ポリアルキ
ルアクリレート,ポリアセタール,ポリサルホン,ポリ
エーテルサルホン,ポリエーテルイミド,ポリエーテル
ケトン,フッ素樹脂などを挙げることができる。またこ
れらの熱可塑性樹脂は二種以上混合して使用することも
できる。
【0035】さらに、本発明の樹脂組成物には、一般に
熱可塑性樹脂に添加される公知の添加剤、すなわち酸化
防止剤や紫外線吸収剤等の安定剤,帯電防止剤,難燃
剤,染料や顔料等の着色剤,潤滑剤,離型剤等も要求性
能に応じ適宜添加することができる。
熱可塑性樹脂に添加される公知の添加剤、すなわち酸化
防止剤や紫外線吸収剤等の安定剤,帯電防止剤,難燃
剤,染料や顔料等の着色剤,潤滑剤,離型剤等も要求性
能に応じ適宜添加することができる。
【0036】
【実施例】以下、本発明を実施例によってさらに具体的
に説明する。以下の実施例1、2、及び比較例1におい
て用いた反応成分は下記の通りであり、サンプルの製造
および評価方法は下記のように行った。 <反応成分>ポリアリーレンスルフィドとしては、次の
ように調製したもの(PAS1)を用いた。
に説明する。以下の実施例1、2、及び比較例1におい
て用いた反応成分は下記の通りであり、サンプルの製造
および評価方法は下記のように行った。 <反応成分>ポリアリーレンスルフィドとしては、次の
ように調製したもの(PAS1)を用いた。
【0037】攪拌機を備えた重合槽に含水硫化ナトリウ
ム(Na2 S・5H2 O)833モル、LiCl 83
0モル、N−メチルピロリドリン(以下、NMPと示
す。)510リットルをいれて減圧下で145℃に保ち
ながら1時間脱水処理した。ついで反応系を45℃に冷
却後p−ジクロロベンゼン(以下、DCBと示す。)8
57モルを入れて260℃で3時間重合した。内容物を
熱水で5回、170℃のNMPで1回、水で3回洗い、
185℃で乾燥してリニヤーポリアリーレンスルフィド
(PAS1)を得た。得られたPASの対数粘度は0.
23であった。
ム(Na2 S・5H2 O)833モル、LiCl 83
0モル、N−メチルピロリドリン(以下、NMPと示
す。)510リットルをいれて減圧下で145℃に保ち
ながら1時間脱水処理した。ついで反応系を45℃に冷
却後p−ジクロロベンゼン(以下、DCBと示す。)8
57モルを入れて260℃で3時間重合した。内容物を
熱水で5回、170℃のNMPで1回、水で3回洗い、
185℃で乾燥してリニヤーポリアリーレンスルフィド
(PAS1)を得た。得られたPASの対数粘度は0.
23であった。
【0038】アルカリ金属硫化物としては、含水硫化ナ
トリウム(Na2 S・9H2 O)を用いた。アルカリ金
属水酸化物としては、水酸化ナトリウム(NaOH)を
用いた。ハロゲン化芳香族化合物としては、p−クロロ
フェノール、p−クロロ安息香酸、ブロモベンゼンを用
いた。無機充填材としては、グラスファイバー(旭ファ
イバーグラス社製、商品名:JAFT591)を用い
た。
トリウム(Na2 S・9H2 O)を用いた。アルカリ金
属水酸化物としては、水酸化ナトリウム(NaOH)を
用いた。ハロゲン化芳香族化合物としては、p−クロロ
フェノール、p−クロロ安息香酸、ブロモベンゼンを用
いた。無機充填材としては、グラスファイバー(旭ファ
イバーグラス社製、商品名:JAFT591)を用い
た。
【0039】<サンプルの製造、評価方法> (混練)2軸押出機を用い後述する配合比でドライブレ
ンド後、PAS1の変成体の樹脂温度300℃で溶融混
合してペレットを造った。 (対数粘度)対数粘度IVは、次式の関係式から、ウベ
ローベ粘度計を用いて測定した。 IV = 〔ln(t1 /t0 )〕/ C (dl/g) t1 : 溶液流下時間 t0 : 溶媒流下時間 C : 溶液濃度(g/dl) 測定条件は、温度 206℃、溶液濃度 0.4g/d
l、溶媒 α−クロロナフタレンとした。 (物性評価)上記で得られたペレットは50t射出成形
機(JSW社製)により各種の試験片を作成した。ニー
トではPAS1の変成体の樹脂温度300℃、充填材入
りの組成物では320℃、金型温度135℃の条件で、
試験片を作成し、アイゾット強度(ASTM D256
準拠)、曲げ強度(ASTM D790準拠)、引張強
度(ASTM D638準拠)の物性を評価した。
ンド後、PAS1の変成体の樹脂温度300℃で溶融混
合してペレットを造った。 (対数粘度)対数粘度IVは、次式の関係式から、ウベ
ローベ粘度計を用いて測定した。 IV = 〔ln(t1 /t0 )〕/ C (dl/g) t1 : 溶液流下時間 t0 : 溶媒流下時間 C : 溶液濃度(g/dl) 測定条件は、温度 206℃、溶液濃度 0.4g/d
l、溶媒 α−クロロナフタレンとした。 (物性評価)上記で得られたペレットは50t射出成形
機(JSW社製)により各種の試験片を作成した。ニー
トではPAS1の変成体の樹脂温度300℃、充填材入
りの組成物では320℃、金型温度135℃の条件で、
試験片を作成し、アイゾット強度(ASTM D256
準拠)、曲げ強度(ASTM D790準拠)、引張強
度(ASTM D638準拠)の物性を評価した。
【0040】〔実施例1〕前記のように調製したPAS
1を1000g、NMP5.0リットル、22g(0.
09モル)の含水硫化ナトリウム(Na2 S・9H
2 O)、及び水酸化ナトリウム水溶液を8g/200m
l(0.2モル/200ml)を10リットルのSUS
製重合槽に入れ250℃、1時間攪拌した後、さらにp
−クロロフェノールを23.1g(0.18モル)を加
え、250℃、0.5時間攪拌した後、ろ別し、アセト
ンで2回、水で2回洗浄し、120℃、減圧下で乾燥
し、PAS共重合体を得た。このものの対数粘度は0.
18であった。
1を1000g、NMP5.0リットル、22g(0.
09モル)の含水硫化ナトリウム(Na2 S・9H
2 O)、及び水酸化ナトリウム水溶液を8g/200m
l(0.2モル/200ml)を10リットルのSUS
製重合槽に入れ250℃、1時間攪拌した後、さらにp
−クロロフェノールを23.1g(0.18モル)を加
え、250℃、0.5時間攪拌した後、ろ別し、アセト
ンで2回、水で2回洗浄し、120℃、減圧下で乾燥
し、PAS共重合体を得た。このものの対数粘度は0.
18であった。
【0041】反応残液及び洗浄液中の未反応のハロゲン
化芳香族化合物、本実施例ではp−クロロフェノールを
ガスクロマトグラフィーで定量分析を行ったところ、反
応残液及び洗浄液中にp−クロロフェノールが検出され
ず、ほぼ定量的に官能基を有する芳香族基が導入された
ことが分かった。また、得られたPAS1の変成体を赤
外吸収スペクトル分析を行ったところ、図1及び図2か
ら分かるように、PAS1にはない3200〜3600
cm-1の幅広い吸収帯(OH基の伸縮振動)がみられ、
水酸基を有する芳香族基が導入されたことが確認され
た。
化芳香族化合物、本実施例ではp−クロロフェノールを
ガスクロマトグラフィーで定量分析を行ったところ、反
応残液及び洗浄液中にp−クロロフェノールが検出され
ず、ほぼ定量的に官能基を有する芳香族基が導入された
ことが分かった。また、得られたPAS1の変成体を赤
外吸収スペクトル分析を行ったところ、図1及び図2か
ら分かるように、PAS1にはない3200〜3600
cm-1の幅広い吸収帯(OH基の伸縮振動)がみられ、
水酸基を有する芳香族基が導入されたことが確認され
た。
【0042】〔実施例2〕実施例1における、p−クロ
ロフェノールの代わりに、p−クロロ安息香酸を28.
1g(0.18モル)加えたこと以外は実施例1と同様
にした。このものの対数粘度は0.18であった。実施
例1と同様に分析した結果、未反応のp−クロロ安息香
酸は検出されず、また、図3に示すように、PAS1に
はない1680〜1700cm-1の強い吸収(C=O基
の伸縮振動)と3500〜3600cm-1の幅広く、か
つ弱い吸収帯(OH基の伸縮振動)がみられ、カルボニ
ル基を有する芳香族基が導入されたことが確認された。 〔比較例1〕実施例1における、p−クロロフェノール
の代わりに、ブロモベンゼン28.2g(0.18モ
ル)とした以外は実施例1と同様にした。このものの対
数粘度は0.18であった。
ロフェノールの代わりに、p−クロロ安息香酸を28.
1g(0.18モル)加えたこと以外は実施例1と同様
にした。このものの対数粘度は0.18であった。実施
例1と同様に分析した結果、未反応のp−クロロ安息香
酸は検出されず、また、図3に示すように、PAS1に
はない1680〜1700cm-1の強い吸収(C=O基
の伸縮振動)と3500〜3600cm-1の幅広く、か
つ弱い吸収帯(OH基の伸縮振動)がみられ、カルボニ
ル基を有する芳香族基が導入されたことが確認された。 〔比較例1〕実施例1における、p−クロロフェノール
の代わりに、ブロモベンゼン28.2g(0.18モ
ル)とした以外は実施例1と同様にした。このものの対
数粘度は0.18であった。
【0043】〔実施例3〕実施例1にて得られたPAS
1の変成体100重量部にグラスファイバー67重量部
を加え、上記に示したように320℃で混練し、ペレッ
ト化した。これを射出成形機により試験片とし、機械物
性を評価した。その結果は、表1に示す。 〔実施例4〕実施例2にて得られたPAS1の変成体1
00重量部にグラスファイバー67重量部を加え、上記
に示したように320℃で混練し、ペレット化した。こ
れを射出成形機により試験片とし、機械物性を評価し
た。その結果は、表1に示す。実施例3及び4は、PA
S1を用いたもの(以下に示す〔比較例2〕)や置換基
を有しない芳香族基を導入したもの(以下に示す〔比較
例3〕)に比べ、機械物性が高いことが分かる。
1の変成体100重量部にグラスファイバー67重量部
を加え、上記に示したように320℃で混練し、ペレッ
ト化した。これを射出成形機により試験片とし、機械物
性を評価した。その結果は、表1に示す。 〔実施例4〕実施例2にて得られたPAS1の変成体1
00重量部にグラスファイバー67重量部を加え、上記
に示したように320℃で混練し、ペレット化した。こ
れを射出成形機により試験片とし、機械物性を評価し
た。その結果は、表1に示す。実施例3及び4は、PA
S1を用いたもの(以下に示す〔比較例2〕)や置換基
を有しない芳香族基を導入したもの(以下に示す〔比較
例3〕)に比べ、機械物性が高いことが分かる。
【0044】〔比較例2〕PAS1の100重量部にグ
ラスファイバー67重量部を加え、上記に示したように
320℃で混練し、ペレット化した。これを射出成形機
により試験片とし、機械物性を評価した。その結果は、
表1に示す。実施例3及び4に比べて、機械物性が低
い。 〔比較例3〕比較例1で得られたPAS樹脂100重量
部にグラスファイバー67重量部を加え、上記に示した
ように320℃で混練し、ペレット化した。これを射出
成形機により試験片とし、機械物性を評価した。その結
果は、表1に示す。実施例3及び4に比べて、機械物性
が低い。
ラスファイバー67重量部を加え、上記に示したように
320℃で混練し、ペレット化した。これを射出成形機
により試験片とし、機械物性を評価した。その結果は、
表1に示す。実施例3及び4に比べて、機械物性が低
い。 〔比較例3〕比較例1で得られたPAS樹脂100重量
部にグラスファイバー67重量部を加え、上記に示した
ように320℃で混練し、ペレット化した。これを射出
成形機により試験片とし、機械物性を評価した。その結
果は、表1に示す。実施例3及び4に比べて、機械物性
が低い。
【0045】
【表1】
【0046】
【発明の効果】本発明のポリアリーレンスルフィィドの
変成体の製造方法は、アルカリチオラート基を含有する
PASを定量的に製造した後、置換基を有するハロゲン
化芳香族化合物と反応させるため、置換基を有する芳香
族基を定量的に、かつ効果的に導入することができる。
変成体の製造方法は、アルカリチオラート基を含有する
PASを定量的に製造した後、置換基を有するハロゲン
化芳香族化合物と反応させるため、置換基を有する芳香
族基を定量的に、かつ効果的に導入することができる。
【0047】また、本発明で製造されるポリアリーレン
スルフィドの変成体は、置換基を有する芳香族基が主に
PAS分子末端に導入された変成体であって、充填材と
の親和性があり、充填材の添加による強度の向上が大き
くなる。
スルフィドの変成体は、置換基を有する芳香族基が主に
PAS分子末端に導入された変成体であって、充填材と
の親和性があり、充填材の添加による強度の向上が大き
くなる。
【図1】 PAS1の赤外吸収スペクトル
【図2】 実施例1の赤外吸収スペクトル
【図3】 実施例2の赤外吸収スペクトル
Claims (5)
- 【請求項1】 非プロトン性有機溶媒中でアルカリ金属
硫化物との反応によりポリアリーレンスルフィドを解重
合し、次いで得られた解重合体に一般式(I) Xn R1 Ym ・・・ (I) (式中、Xはハロゲン基、R1 は炭素数が6〜13の芳
香族基、Yは水酸基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、
炭素数1または2のアルコキシル基、カルボキシル基、
アルデヒド基、カルボン酸エステル基、シアノ基、ニト
ロ基及び炭素数1〜30個のアルキル基からなる群から
選ばれたいずれかの置換基を示し、Yが複数ある場合
は、同一でも異なってもよい。n及びmは1〜4の整数
である。)で示されるハロゲン化芳香族化合物を非プロ
トン性有機溶媒中で置換反応させることにより、ポリア
リーレンスルフィドに置換基を有する芳香族基を導入す
ることを特徴とするポリアリーレンスルフィドの変成体
の製造方法。 - 【請求項2】 前記解重合反応時のポリアリーレンスル
フィドの反応濃度が、非プロトン性有機溶媒1リットル
に対して、100〜1000gであり、また、アルカリ
金属硫化物の配合割合が、ポリアリーレンスルフィド1
基本モルに対して0.005〜0.2モルであり、さら
に、置換反応時のハロゲン芳香族化合物の配合割合が、
前記解重合反応で用いたアルカリ金属硫化物の配合モル
量に対して、2〜5倍モルであることを特徴とする請求
項1記載のポリアリーレンスルフィドの変成体の製造方
法。 - 【請求項3】 請求項1または2に記載の方法によって
得られる構造式−Ar−S−(Arはアリーレン基を示
す。)で示される繰り返し単位からなり、その対数粘度
が 0.1〜0.35 dl/gの範囲にあるポリアリ
ーレンスルフィドの変成体。 - 【請求項4】 構造式−Ar−S−(Arはアリーレン
基を示す。)で示される繰り返し単位からなるポリアリ
ーレンスルフィドに水酸基を置換基とする芳香族化合物
を前記ポリアリーレンスルフィドの末端または連鎖中に
繰り返し単位当たり0.05〜10モル%含有し、その
対数粘度が 0.1〜0.35 dl/gの範囲にある
ことを特徴とするポリアリーレンスルフィドの変成体。 - 【請求項5】 請求項3または4に記載のポリアリーレ
ンスルフィドの変成体100重量部と無機充填材及び/
または有機充填材1〜400重量部からなることを特徴
とする樹脂組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8047226A JPH09241379A (ja) | 1996-03-05 | 1996-03-05 | ポリアリーレンスルフィドの変成体の製造方法並びにその製造方法によって得られる変成体及びその樹脂組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8047226A JPH09241379A (ja) | 1996-03-05 | 1996-03-05 | ポリアリーレンスルフィドの変成体の製造方法並びにその製造方法によって得られる変成体及びその樹脂組成物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09241379A true JPH09241379A (ja) | 1997-09-16 |
Family
ID=12769296
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8047226A Pending JPH09241379A (ja) | 1996-03-05 | 1996-03-05 | ポリアリーレンスルフィドの変成体の製造方法並びにその製造方法によって得られる変成体及びその樹脂組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09241379A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022030459A1 (ja) * | 2020-08-05 | 2022-02-10 | 株式会社クレハ | 変性ポリフェニレンスルフィド樹脂、樹脂組成物、及び成形品 |
-
1996
- 1996-03-05 JP JP8047226A patent/JPH09241379A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022030459A1 (ja) * | 2020-08-05 | 2022-02-10 | 株式会社クレハ | 変性ポリフェニレンスルフィド樹脂、樹脂組成物、及び成形品 |
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