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JPH09235302A - 分岐シクロデキストリンカルボン酸エステルおよびその製造法 - Google Patents

分岐シクロデキストリンカルボン酸エステルおよびその製造法

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Publication number
JPH09235302A
JPH09235302A JP8045037A JP4503796A JPH09235302A JP H09235302 A JPH09235302 A JP H09235302A JP 8045037 A JP8045037 A JP 8045037A JP 4503796 A JP4503796 A JP 4503796A JP H09235302 A JPH09235302 A JP H09235302A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acid
ester
carboxylic acid
branched
water
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP8045037A
Other languages
English (en)
Inventor
Kunio Takanohashi
邦夫 高野橋
Mitsutaka Tanaka
光孝 田中
Toshihiro Ishiguro
敏弘 石黒
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Takeda Chemical Industries Ltd filed Critical Takeda Chemical Industries Ltd
Priority to JP8045037A priority Critical patent/JPH09235302A/ja
Publication of JPH09235302A publication Critical patent/JPH09235302A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水不溶性ないし難溶性物質の水溶性改善剤、
安定性改善剤として有用な分岐シクロデキストリンカル
ボン酸エステルの提供。 【解決手段】 分岐シクロデキストリンカルボン酸エス
テル;これを含んでなる水溶性改善剤、および薬物の安
定性改善剤;該エステルと薬物とを含んでなる医薬;お
よび、分岐シクロデキストリンカルボン酸またはその塩
をエステル化反応に付すことを特徴とする分岐シクロデ
キストリンカルボン酸エステルの製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、分岐シクロデキス
トリンカルボン酸エステルおよびその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術および課題】分岐シクロデキストリンカル
ボン酸は特開平7−76594に開示されているように
従来のシクロデキストリンあるいは分岐シクロデキスト
リンより水に対する溶解性は大きい。このため水不溶性
ないし難溶性物質の水への溶解性改善に優れた効果を示
す。この水溶解性の大きい分岐シクロデキストリンカル
ボン酸に、併せて脂溶性を持たす事ができれば水への溶
解性が減少して不安定な物質の安定化が可能になる。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者らはこの課題に
取組み種々検討した結果、シクロデキストリンカルボン
酸エステルが、水および溶媒にも溶ける両親媒性化合物
であることを見いだし、本発明を完成するに至った。す
なわち、本発明は、分岐シクロデキストリンカルボン酸
エステルを提供するものである。また、本発明は、分岐
シクロデキストリンカルボン酸またはその塩をエステル
化反応に付すことを特徴とする分岐シクロデキストリン
カルボン酸エステルの製造法をも提供する。さらに、本
発明は、上記エステルを含んでなる水溶性改善剤をも提
供する。また、本発明は、上記エステルを含んでなる薬
物の安定性改善剤をも提供する。さらに、本発明は、上
記エステルと薬物とを含んでなる医薬をも提供する。
【0004】
【発明の実施の形態】本発明の分岐シクロデキストリン
カルボン酸エステルのアルコール部分は、鎖状または環
状の一級、二級または三級のアルコールを含む。このう
ち、炭素数1ないし30、好ましくは1ないし20、さ
らに好ましくは1ないし16、特に好ましくは1ないし
8の脂肪族アルコールが好ましい。鎖状アルコールとし
ては、例えば、上記炭素数の直鎖または分枝アルコール
が挙げられ、具体例としてはアルキル−アルコール、ア
ルケニル−アルコール、アルキニル−アルコールなどが
挙げられる。該アルキル−アルコールのアルキルとして
は、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピ
ル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n
−アミル、i−アミル、s−アミル、t−アミル、n−ヘキ
シル、2−エチルブチル、n−オクチル、2−エチルヘ
キシルなどが挙げられる。該アルケニル−アルコールの
アルケニルとしては、例えば、アリル、ビニル、クロチ
ル、3−ブテニル、1−メチル−2−プロペニル、2−
ペンテニル、3−ペンテニル、2−メチル−2−ペンテ
ニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニ
ル、3−メチル−3−ヘキセニルなどが挙げられる。該
アルキニル−アルコールのアルキニルとしては、例えば
プロパルギル、2−ブチニル、3−ブチニル、2−ペン
チニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、2−ヘキシ
ニル、3−ヘキシニル、3−メチル−2−ペンチニルな
どが挙げられる。また、環状のアルコールとしては、例
えばシクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル
等、炭素数が4〜6個で、環にメチル基またはエチル基
が1〜2個置換しても良い脂環式アルコールが挙げられ
る。
【0005】本発明の分岐シクロデキストリンカルボン
酸エステルの分岐シクロデキストリンカルボン酸は、少
なくとも1つのカルボキシル基を含有する有機基を該シ
クロデキストリン環の少なくとも1つのグルコース単位
の6−O位に有する分岐シクロデキストリンカルボン酸
である。
【0006】該分岐シクロデキストリンカルボン酸のシ
クロデキストリン環は、例えば6、7または8個のグル
コース単位を有するα−シクロデキストリン、β−シク
ロデキストリンおよびγ−シクロデキストリンなどであ
る。好ましくは、該シクロデキストリン環は7個のグル
コース単位を有するβ−シクロデキストリンである。上
記少なくとも1つのカルボキシル基を含有する有機基が
1ないし6個のグルコース単位を有し、かつ、該有機基
中のグルコース単位のヒドロキシメチル基の少なくとも
1つがカルボキシル基に酸化されている場合が好まし
い。該有機基は、好ましくは、式(I): −(G)n−COOH (I) [式中、Gはグルコース単位を、nは1ないし6の整数
を示す]で表される。Gで示されるグルコース単位は、
好ましくは、D−グルコース単位である。該グルコース
単位はα−またはβ−グリコシド結合、好ましくはα−
グリコシド結合している。特に、シクロデキストリン環
に対してα−(1→6)結合で結合している場合が好まし
い。また、nが2以上の場合、該グルコース単位が互い
にα−(1→4)結合している場合が好ましい。
【0007】該分岐シクロデキストリンカルボン酸は、
好ましくは、式(II): −G−G−COOH (II) [式中、Gは上記と同意義]で表される有機基を1ないし
3個有する。
【0008】上記分岐シクロデキストリンカルボン酸の
具体例としては、6−O−シクロマルトヘキサオシル−
(6→1)−α−D−グルコシル−(4→1)−O−α−D
−グルクロン酸(シクロマルトヘキサオシル−(6→1)
−α−D−グルコピラノシル−(4→1)−O−α−D−
グルコピラノシドウロン酸)(以下、α−CyD−G2−C
OOHと略称することもある;以下の化合物の略称につ
いても同様に括弧内に示す)、6−O−シクロマルトヘ
プタオシル−(6→1)−α−D−グルコシル−(4→1)
−O−α−D−グルクロン酸(シクロマルトヘプタオシ
ル−(6→1)−O−α−D−グルコピラノシル−(4→
1)−O−α−D−グルコピラノシドウロン酸)(β−Cy
D−G2−COOH)、6−O−シクロマルトオクタオシ
ル−(6→1)−α−D−グルコシル−(4→1)−O−α
−D−グルクロン酸(シクロマルトオクタオシル−(6→
1)−O−α−D−グルコピラノシル−(4→1)−O−
α−D−グルコピラノシドウロン酸)(γ−CyD−G2
COOH)、6−O−シクロマルトヘキサオシル−(6→
1)−α−D−グルクロン酸(シクロマルトヘキサオシル
−(6→1)−O−α−D−グルコピラノシドウロン酸)
(α−CyD−G1−COOH)、6−O−シクロマルトヘ
プタオシル−(6→1)−α−D−グルクロン酸(シクロ
マルトヘプタオシル−(6→1)−O−α−D−グルコピ
ラノシドウロン酸)(β−CyD−G1−COOH)、6−
O−シクロマルトオクタオシル−(6→1)−α−D−グ
ルクロン酸(シクロマルトオクタオシル−(6→1)−O
−α−D−グルコピラノシドウロン酸)(γ−CyD−G1
−COOH)、2−O−(6−シクロマルトヘキサオシ
ル)−酢酸(α−CyD−CH2COOH)、2−O−(6−
シクロマルトヘプタオシル)−酢酸(β−CyD−CH2
OOH)、2−O−(6−シクロマルトオクタオシル)−
酢酸(γ−CyD−CH2COOH)、3−O−(6−シク
ロマルトヘプタオシル)−プロピオン酸(β−CyD−C
2CH2COOH)、2−ヒドロキシ−3−O−(6−シ
クロマルトヘプタオシル)−プロピオン酸(3−O−(6
−シクロマルトヘプタオシル)−2−ヒドロキシ−プロ
ピオン酸)(β−CyD−CH2CH(OH)−COOH)、
A,7C−ジ−O−[α−D−グルクロニル−(1→4)−
O−α−D−グルコシル]−(1→6)−マルトヘプタオ
ース(β−CyD−(G2COOH)2)、6−O−シクロマ
ルトヘプタオシル−O−α−D−マルトシル−(4→1)
−O−α−D−グルクロン酸(シクロマルトヘプタオシ
ル−(6→1)−O−α−D−グルコピラノシル−(4→
1)−O−α−D−グルコピラノシル−(4→1)−O−
α−D−グルコピラノシドウロン酸)(β−CyD−G3
COOH)などが挙げられる。
【0009】さらに詳しくは、6−O−シクロマルトヘ
キサオシル−(6→1)−α−D−グルコシル−(4→1)
−O−α−D−グルクロン酸(α−CyD−G2−COO
H)、6−O−シクロマルトヘプタオシル−(6→1)−
α−D−グルコシル−(4→1)−O−α−D−グルクロ
ン酸(β−CyD−G2−COOH)、および6−O−シク
ロマルトオクタオシル−α−D−グルコシル−(4→1)
−O−α−D−グルクロン酸(γ−CyD−G2−COO
H)は、それぞれα−シクロデキストリン(グルコース単
位数6)、β−シクロデキストリン(グルコース単位数
7)およびγ−シクロデキストリン(グルコース単位数
8)を含有する分岐シクロデキストリン−カルボン酸で
あり、そのシクロデキストリン環の1つのグルコース単
位にはマルトースがα−(1→6)結合し、該マルトース
の末端グルコースの8位ヒドロキシメチル基がカルボキ
シル基に酸化されてグルクロン酸が形成されている。
【0010】また、6−O−シクロマルトヘキサオシル
−(6→1)−α−D−グルクロン酸(α−CyD−G1
COOH)、6−O−シクロマルトヘプタオシル−(6→
1)−α−D−グルクロン酸(β−CyD−G1−COO
H)、および6−O−シクロマルトオクタオシル−(6→
1)−α−D−グルクロン酸(γ−CyD−G1−COO
H)は、そのシクロデキストリン環の1つのグルコース
単位にグルコースがα−(1→6)結合し、さらに該分岐
グルコースの6位ヒドロキシメチル基がカルボキシル基
に酸化されてグルクロン酸が形成されている分岐シクロ
デキストリンカルボン酸である。
【0011】そして、2−O−(6−シクロマルトヘキ
サオシル)−酢酸(α−CyD−CH2COOH)、2−O
−(6−シクロマルトヘプタオシル)−酢酸(β−CyD−
CH2COOH)、2−O−(6−シクロマルトオクタオ
シル)−酢酸(γ−CyD−CH2COOH)は、そのシク
ロデキストリン環の1つのグルコース単位に分岐してカ
ルボキシメチル基が結合した分岐シクロデキストリンカ
ルボン酸である。
【0012】このような分岐シクロデキストリン−カル
ボン酸は、特開平07−076594号公報に記載され
ており、例えば、該公報に記載の方法によって製造する
ことができる。
【0013】この分岐シクロデキストリンカルボン酸の
エステル化は公知の方法、例えば「プロテクテブグルー
プス イン オーガニックシンセシス」(セカンド エデ
ィション、1991年、テオドーラ W グリーン等
p224〜)で実施できるが、このうち、次の二法が好ま
しい。 酸存在下、分岐シクロデキストリンカルボン酸または
その塩とアルコールとを反応させる方法、 溶媒中四級アンモニウム塩存在下、分岐シクロデキス
トリンカルボン酸またはその塩とハロゲン化アルキルと
を反応させる方法。
【0014】これらの反応に使用することができる分岐
シクロデキストリンカルボン酸の塩としては、無機塩と
して例えばアルカリ金属塩(例、リチウム塩、ナトリウ
ム塩、カリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(例、カ
ルシウム塩、マグネシウム塩など)など、有機塩として
例えば四級アンモニウム塩(例、テトラメチルアンモニ
ウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラブチルア
ンモニウム塩、トリメチルベンジルアンモニウム塩な
ど)、三級アミン塩(例、トリエチルアミン、N,N−
ジメチルアニリン塩、ピリジン塩など)などが挙げられ
る。このうち、有機塩、特に四級アンモニウム塩が好ま
しい。
【0015】の方法は、メチル、エチル等比較的低級
のアルコール類を用いてエステル化する時に効果があ
り、容易に目的物を得ることができる。本法では溶媒は
特に必要無く、該アルコールを溶媒として過剰に使用す
る。反応に使用する酸は、無機酸として例えば塩酸、硫
酸等、有機酸として例えばベンゼンスルホン酸、p−ト
ルエンスルホン酸等が、更に種々の陽イオン交換樹脂が
挙げられる。酸の使用量は原料のカルボン酸に対して
0.05〜10倍モルである。反応温度は冷却〜加熱ま
で幅広く実施できるが、原料の分解を考慮して室温ない
し50℃が適当である。
【0016】の方法ではどのようなエステル体でも製
造する事ができる。通常、本反応は溶媒中で行う。使用
する溶媒は反応を阻害しないものなら特に限定されな
い。好ましい溶媒としては、例えばジメチルホルムアミ
ド、ジメチルアセトアミドのようなアミド類、ジメチル
スルホキシド、スルホラン等の含イオウ化合物、アセト
ニトリル等のニトリル類が挙げられる。四級アンモニウ
ム塩としては、例えば水酸化テトラメチルアンモニウ
ム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブ
チルアンモニウム、水酸化トリメチルベンジルアンモニ
ウム等が挙げられる。四級アンモニウム塩の使用量は原
料のカルボン酸に対して0.9〜2倍モル、好ましくは
0.9〜1.2倍モルである。ハロゲン化アルキルとして
は、該エステルに対応するハロゲン化アルキルが使用さ
れる。ハロゲンは塩素、臭素、ヨウ素いずれでも良い
が、好ましくはヨウ化物である。ハロゲン化アルキルの
使用量は原料のカルボン酸に対して1.0〜10倍モ
ル、好ましくは1〜4倍モルである。反応温度は冷却〜
加熱まで幅広く実施できるが、原料の分解を考慮して室
温ないし50℃が適当である。
【0017】、方法で得られた反応混合物から目的
のエステル体を単離、精製するには通常使用しているク
ロマト分離、例えば吸着樹脂HP−20,イオン交換樹
脂等による精製、溶媒抽出、液性交換、結晶化等を行
う。
【0018】このエステル体は分岐シクロデキストリン
カルボン酸と同様水に溶け、更に溶媒にも溶ける性質を
持つようになる。このため水不溶性ないし難溶性物質を
可溶化すると同時に不安定な物質を安定化する。また、
脂溶性が高まる事によりこれを薬物に適用した場合は組
織への移行を良好にし、従ってバイオアベイラビリティ
ーの改善につながる等の特長を持つ。
【0019】かくして、本発明の分岐シクロデキストリ
ンカルボン酸エステルを、活性成分となる水不溶性ない
し難溶性化合物と共に含有させて、その水溶性を向上さ
せる。用いる水不溶性ないし難溶性物質としては特に限
定するものではなく、そのような性質を有する医薬品の
活性成分として有用な薬物をはじめ、水溶性の向上が望
まれる化粧料、飲食品、農薬、動物薬等の活性成分とし
て有用な物質が適宜選択される。通常、このような水不
溶性ないし難溶性物質としては、溶解度が10mg/ml以
下のもので、水溶性の向上が望まれる物質が用いられ
る。医薬品、動物薬の活性成分として有用な不溶性ない
し難溶性の薬物としては、解熱、鎮痛、消炎剤として、
例えば、サリチル酸、スルピリン、フルフェナム酸、ジ
クロフェナック、インドメタシン、クロルプロマジン、
プロクロルペラジン、トリフロペラジン、アトロピン、
スコポラミン、モルヒネ、ペチジン、レボルファイノー
ル、オキシモルフォンまたはその塩等が挙げられる。精
神安定剤として、ジアゼパム、ロラゼパム、オキサゼパ
ム等が、抗菌剤として、例えば、グリセオフルビン、ラ
ンカシジン類[ジャーナル・オブ・アンチバイオティッ
クス(J.Antibiotics),38,877−885(19
85)]、アゾール系化合物[2−[(1R,2R)−2−
(2,4−ジフルオロフェニル)−2−ヒドロキシ−1
−メチル−3−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−
イル)プロピル]−4−[4−(2,2,3,3−テトラフ
ルオロプロポキシ)フェニル−3−(2H,4H)−1,
2,4−トリアゾロン、フルコナゾール、イトラコナゾ
ール等]等が、抗生物質として、例えば、ゲンタマイシ
ン、ジベカシン、カネンドマイシン、リビドマイシン、
トブラマイシン、アミカシン、フラジオマイシン、シソ
マイシン、テトラサイクリン、オキシテトラサイクリ
ン、ロリテトラサイクリン、ドキシサイクリン、アンピ
シリン、ピペラシリン、チカルシリン、セファロチン、
セファロリジン、セフォチアム、セフォチアムヘキセチ
ル、セフスロジン、セフメノキシム、セフメタゾール、
セファゾリン、セフォタキシム、セフォペラゾン、セフ
チゾキシム、モキサラクタム、チエナマイシン、スルフ
ァゼシン、アズスレオナムまたはそれらの塩等が、抗腫
瘍剤として、6−O−(N−クロロアセチルカルバモイ
ル)フマギロール(TNP−470)、ブレオマイシ
ン、メトトレキセート、アクチノマイシンD、マイトマ
イシンC、ダウノルビシン、アドリアマイシン、ネオカ
ルチノスタチン、シトシンアラビノシド、フルオロウラ
シル、テトラヒドロフリル−5−フルオロウラシル、ピ
シバニール、レンチナン、レバミゾール、ベスタチン、
アジメキソン、グリチルリチン等が、抗高脂血症剤とし
て、例えば、クロフィブレート、2−クロロ−3−[4
−(2−メチル−2−フェニルプロポキシ)フェニル]プ
ロピオン酸エチル[ケミカル・アンド・ファーマシュー
ティカル・ブレティン(Chem.Pharm.Bull.),3
8,2792−2796(1990)]等が、鎮咳去たん剤
として、例えば、エフェドリン、メチルエフェドリン、
ノスカピン、コデイン、ジヒドロコデイン、アロクラマ
イド、クロルフェジアノール、ピコペリダミン、クロペ
ラスチン、プロトキロール、イソプロテレノール、サル
ブタモール、テレブタリンまたはその塩等が、筋弛緩剤
として、例えば、プリジノール、ツボクラリン、パンク
ロニウム等が、抗てんかん剤として、例えば、フェニト
イン、エトサクシミド、アセタゾラミド、クロルジアゼ
ボキシド等が、抗潰瘍剤として、例えば、メトクロプラ
ミド等が、抗うつ剤として、例えば、イミプラミン、ク
ロミプラミン、ノキシプチリン、フェネルジン等が、抗
アレルギー剤として、例えば、ジフェンヒドラミン、ク
ロルフェニラミン、トリペレナミン、メトジラミン、ク
レミゾール、ジフェニルピラリン、メトキシフェナミン
等が、強心剤として、例えば、トランスパイオキソカン
ファー、テレフィロール、アミノフィリン、エチレフリ
ン等が、不整脈治療剤として、例えば、プロプラノロー
ル、アルプレノロール、ブフェトロール、オクスプレノ
ロール等が、血管拡張剤として、例えば、オキシフェド
リン、ジルチアゼム、トラゾリン、ヘキソベンジン、バ
メタン等が、降圧利尿剤として、例えば、ヘキサメトニ
ウムブロミド、ペントリニウム、メカミルアミン、エカ
ラジン、クロニジン等が、糖尿治療剤として、例えば、
グリミジン、グリプジド、フェンフォルミン、ブフォル
ミン、メトフォルミン等が、抗結核剤として、例えば、
イソニアジド、エタンブトール、パラアミノサリチル酸
等が、麻薬拮抗剤として、例えば、レバロルファン、ナ
ロルフィン、ナロキソン又はその塩等が、ホルモン剤と
して、主として、ステロイドホルモン類、例えば、デキ
サメサゾン、ヘキセストロール、メチマゾール、ベタメ
サゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニ
ド、フルオシノロンアセトニド、プレドニゾロン、ヒド
ロコルチゾン、エストリオール等が、脂溶性ビタミン剤
として、ビタミンA類、ビタミンD類、ビタミンE類、
ビタミンK類、葉酸(ビタミンM)等、例えば、ビタミン
A類としてビタミンA1、ビタミンA2およびパルミチン
酸レチノールが、ビタミンD類としてビタミンD1
2、D3、D4およびD5が、ビタミンE類としてα−ト
コフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロー
ル、δ−トコフェロールおよびニコチン酸dl−α−トコ
フェロールが、ビタミンK類としてビタミンK1、K2
3およびK4が挙げられる。ビタミン誘導体としては、
上記ビタミンの各種誘導体が挙げられる。例えば、5,
6−トランス−コレカルシフェロール、25−ヒドロキ
シコレカルシフェロール、1−α−ヒドロキシコレカル
シフェロールなどのビタミンD3誘導体、5,6−トラン
ス−エルゴカルシフェロール等のビタミンD2誘導体等
が挙げられる。難溶性薬物のその他の例として、ピロキ
シカム、ダイアセリン、ジルチアゼム、メゲストロール
酢酸、ニフェジピン、ニセロゴリン、ケトプロフェン、
ナプロキセン、イブプロフェン、プロスタグランジン類
等が挙げられる。
【0020】化粧料の活性成分として有用な水不溶性な
いし難溶性化合物としては、例えば、ケイ皮酸メチル、
ケイ皮酸エチル、酢酸dl−α−トコフェロール、α−ト
コフェロール(ビタミンE)、トリクロロカルバニリ
ド、オイゲノール、イソオイゲノール、メチルフェニル
グリシッド酸エチル、酢酸ゲラニル、ピペロナール、ラ
ウリン酸ヘキシル、ヨノン、酢酸シンナミル、オレイン
酸デシル、酢酸テルペニル等が挙げられる。
【0021】農薬の活性成分として有用な水不溶性ない
し難溶性化合物としては、例えば、ベノミル、カルベン
ダジム、フベリダゾール、チオファネート、チオファネ
ートメチル、トリアリモール、プロクロラズ、オキサデ
ィキシル、ダゾメット、キャプタン、カプタホール、キ
ノメチオーナート、バンコール(登録商標)、プロベナ
ゾール、ジエトホフェンカープ、フェリムゾン等が挙げ
られる。
【0022】飲食品の活性成分として有用な水不溶性な
いし難溶性化合物としては、例えば、L−アスコルビン
酸ステアリン酸エステル、安息香酸、イオノン(ヨノ
ン)、イソオイゲノール、エルゴカルシフェロール(ビ
タミンD2)、オイゲノール、パラオキシ安息香酸ブチ
ル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、β−カロチン、
ギ酸シトロネリル、コレカルシフェロール(ビタミンD
3)、酢酸シンナミル、酢酸フェネチル、ケイ皮酸エチ
ル、ジブチルヒドロキシトルエン、ビタミンA油、ヘキ
サン酸アリル、没食子酸プロピル、メチルβ−メチルケ
トン、葉酸、リボフラビン酪酸エステル、レシチン、dl
−α−トコフェロール等が挙げられる。
【0023】本発明においては、分岐シクロデキストリ
ンカルボン酸エステルと、水不溶性ないし難溶性化合物
の混合比率は、特に限定されず広い範囲から選択可能で
あるが、これらの物質の水溶性を勘案すると、水不溶性
ないし難溶性化合物1モルに対して分岐シクロデキスト
リンカルボン酸エステルを0.1〜500モル、好まし
くは、0.5〜50、さらに好ましくは1〜5モル、特
に好ましくは1〜3モルの範囲で混合する。
【0024】本発明の水溶性改善剤、安定性改善剤は公
知の方法で、分岐シクロデキストリンカルボン酸エステ
ルを、目的とする水不溶性ないし難溶性化合物と混合す
ることにより製造できる。分岐シクロデキストリンカル
ボン酸エステルによる該物質の包接化合物の調製は、例
えば、大略、つぎの4方法で行うことができる。 (1)共沈澱方法(クラッソンズ(Crassons)ら、第5回
コンファレンス・オブ・ファーマシューティカル・テク
ノロジー(5th lnt.Conf.Pharmaceutical Tech
nology),パリ(Paris),1989年5月30日〜6月
1日)、(2)凍結乾燥または噴霧乾燥法[クロズミ(Kur
ozumi)ら、ケミカル・アンド・ファーマシュティカル
・ブレチン(Chem.Pharm.Bull.),23,3062
(1975); カタ(Kata)ら、ファルマジー(Pharm
azie)39,856(1984)]、(3)相−溶解図結晶化
法(ウエカマ(Uekama)ら、インターナショナル・ジャ
ーナル・オブ・ファーマシューティックス(Int.J.
Pharmc.)10,1(1982))、(4)混練り方法[ジェ
イ・スゼジトリ(J.Szejtli)ら、「シクロデキスト
リンおよびその包接複合体(Cyclodextrins and the
ir inclusion complexes),アカデイミアル・キアド
(Akadeimial Kiado),ブダペスト(Budapest)(1
982),P.109−114; Kyowa Jap.Prov.
Pat.Pubin.No.106 698(1982)]。
【0025】さらに具体的には、 (1)本発明のエステルの水溶液に目的とする被包接化合
物を添加し、必要に応じて加温し撹拌(振盪)する。残留
した未反応の被包接化合物を濾過、遠心分離などによっ
て除去すると包接化合物が得られる。 (2)本発明のエステルを水に溶解させ、これに目的とす
る被包接化物を添加して、10分ないし数時間混合し、
その後凍結乾燥する方法[エム・クロズミ(M.Kurozum
i)ら、ケミカル・アンド・ファーマシューティカル・ブ
レチン(Chem.Pharm.Bull.),23,142(197
5)]で粉末を得る。これを水に溶かし、未反応の被包接
化物を除去すると包接化合物の水溶液が得られる。 (3)被包接化物をあらかじめ適当な水と相溶可能な有機
溶媒に溶解しておき、これを水溶液中の本発明のエステ
ルと接触させ、ついで、有機溶媒および水を真空留去、
または凍結乾燥[EP−A−519428、JP−A
5−178765(特願平03−150507号、特願
平03−230489号)]した後、残渣に水を加えて溶
かし、未反応の被包接化物を除去すると包接化合物の水
溶液が得られる。 (4)酸性の被包接化物については、アンモニア水に溶解
させ、これに本発明のエステルを加えて凍結乾燥する。
凍結乾燥の過程において過剰なアンモニアが除去され、
被包接化物のアンモニウム塩の包接化合物が得られる。 (5)被包接化物を親油性有機溶媒(例えば、エチルエー
テル等)に溶かし、これに本発明のエステルの飽和水溶
液と混合して10分〜数時間激しく振盪後、冷所に1夜
静置して、包接反応物を析出させ、その後、遠心分離、
濾過により分別する。得られた粉末を水に溶かして包接
化合物の水溶液が得られる。 (6)被包接化物と本発明のエステルの両粉末を混合し、
これに少量の水を添加して練り合わせ[ワイ・ナカイ
(Y.Nakai)ら、ケミカル・アンド・ファーマシューテ
ィカル・ブレチン(Chem.Pharm.Bull.),26,2
419(1978)、あるいはその後、凍結乾燥する。 (7)被包接化物については、本発明のエステルの水溶液
と被包接化物の水溶液とを混合することにより、包接化
合物の水溶液が得られる。
【0026】このようにして既知の包接化方法に従って
得られた水溶液あるいは粉末は、多くの場合包接体であ
るか、静電的、疎水的な相互作用もしくは水素結合等に
よって複合体を形成している。したがって、本明細書中
の「包接体」なる語は、包接体、複合体自体のみならず、
包接体、複合体、遊離の被包接化合物および/または遊
離の本発明エステルの混合物を意味する。すなわち、得
られた粉末および水溶液は包接体、複合体以外に未包接
体あるいは未複合体である水不溶性ないし難溶性の化合
物および/または本発明の遊離エステルを含有してもよ
く、包接体自体も含め、この様な粉末および水溶液は、
極めて水溶性が高く、水に瞬時に溶解する特性も有して
いる。
【0027】本発明の組成物は、かくして得られた水溶
液または粉末そのものでもよく、また、所望により、さ
らに賦形剤、結合剤、滑沢剤等の公知の添加剤を適宜用
いて、適宜の剤形の医薬品、化粧料、飲食品、農薬、動
物薬等とすることができる。例えば、上記で得られる粉
末の粉末特性(保存瓶、バイアル容器等への充填性、比
容積、静電防止等)の向上のために、糖類、防腐剤、安
定化剤、静電防止剤等を添加してもよい。この操作によ
って得られる粉末は、例えば、注射剤として製造する場
合には、蒸留水または塩化ナトリウムおよび糖類(グル
コース、マンニトール、イノシトール等)で調製した等
張水溶液に容易に溶解する。溶解後、活性成分をその対
象疾病に対して有効な生体内薬物濃度で、注射剤として
静脈内、筋肉内、皮下、臓器内あるいは直接腫瘍部ない
し腫瘍切除部等の病巣に投与することができる。また、
経口剤として製造する場合、すなわち、錠剤、カプセル
剤、顆粒剤、細粒剤、包み剤あるいはドロップ剤、液剤
等を製造することができる。通常、これらの処方化に
は、公知の賦形剤、滑沢剤、結合剤、分散剤、安定化
剤、着色剤および吸収改善(促進)剤等が使用される。ま
た、上記粉末は常法に従って、注射投与、経口投与以外
の投与剤、例えば、鼻、口腔、舌下、直腸、膣、子宮等
の粘膜投与剤あるいは経皮投与剤、埋め込み剤とするこ
とも可能である。また、上記のこれら各投与製剤で、種
々の放出制御製剤、標的化製剤に成形して投与すること
もでき、そのような製剤を製造する際の原材料としても
使用される。
【0028】以上のように、本発明の分岐シクロデキス
トリン−カルボン酸エステルは、水不溶性ないし難溶性
化合物の水に対する溶解性を向上させ、かつ、人体に対
する安全性が高いことから、医薬品、動物薬における注
射剤、経口剤、口腔剤、舌下剤、点眼剤、シロップ剤、
皮膚外用剤、経鼻剤、経肺剤、直腸坐剤、粘膜適用剤と
しての利用価値が極めて高いものであり、ヒトおよびヒ
ト以外の哺乳動物(サル、ウシ、イヌ等)の薬剤に有用で
ある。また、医薬品、動物薬と同様に、化粧料、農薬、
飲食品等も常法に従って所望の添加剤を用いて製造でき
る。
【0029】
【実施例】以下に実施例、実験例および参考例を挙げて
本発明をさらに具体的に説明するが、これらは本発明を
限定するものではない。 実施例1 メチルエステル 6−O−シクロマルトヘプタオシル−(6→1)−α−D
−グルコシル−(4→1)−O−α−D−グルクロン酸ナ
トリウム(以下GUG−β−CyDナトリウムと略称)1.
0g(0.669ミリモル)をメタノール80mlに懸濁し
た。乾燥した陽イオン交換樹脂ダウエックス50W×8
(H型)(ダウケミカル社製)4gを加え、室温で18時間
かきまぜた。グラスフィルターで樹脂を濾過し、更にメ
タノールで樹脂を洗浄した。ろ液、洗液を合わせ、減圧
下でメタノールを留去した。残留物を水20mlに溶解
し0.5NカセイソーダでpH7.05に調整した。この
溶液を陰イオン交換樹脂IRA−958(C1型)(ロー
ム・アンド・ハース社製)約180mlのカラムにSV=
0.5〜1で導通した。更に水1リットルでカラムを洗
浄した。溶離液は下記のTLC条件でチェックし目的物
を分画した。分画液をまとめ凍結乾燥した。(得量41
6mg) この乾燥品300mgを水20mlに溶かし更に陰イオン交
換樹脂IRA−958(C1型)約180mlのカラムに導
通し、水で洗浄した。目的のフラクションを集め、減圧
下約半量まで濃縮した。濃縮液を陽イオン交換樹脂IR
−120B(H型)(ローム・アンド・ハース社製)約50
mlのカラムに導通し、水150mlで洗浄した。溶離液を
まとめ、凍結乾燥してGUG−β−CyDメチルエステ
ル95.9mgを得た。本品の13C−NMR(270MHz,
2O)チャートを図1に示す。54.44ppmにメチルエ
ステルに基づく炭素のシグナルを認めた。本品を分画し
たTLC条件は次の通り。 TLC;シリカゲル メルク Kiesel Gel 60(F
254No5715)展開溶媒;1−プロパノール/酢酸エ
チル/水/酢酸(6:4:2:4) 検出試薬;ナフトレゾルシン/硫酸 (加熱)
【0030】実施例2 エチルエステル 6−O−シクロマルトヘプタオシル−(6→1)−α−D
−グルコシル−(4→1)−O−α−D−グルクロン酸
(以下GUG−β−CyDと略称)7.5g(5.09ミリモ
ル)をジメチルホルムアミド約100mlに懸濁した。水
酸化テトラブチルアンモニウム13.5g(10%メタノ
ール溶液、5.20ミリモル)を加え、よくかきまぜた
後、減圧下に濃縮乾固した。ジメチルホルムアミド75
mlを加えて乾固物を溶解した。ヨウ化エチル2.4g(1
5.38ミリモル)を加え、室温で約20時間撹拌した。
反応終了後、溶媒を減圧下で濃縮した。残留物に水10
0mlを加えて溶解した後、クロロホルム70mlで3回洗
浄した。洗浄した水層を減圧下濃縮して溶媒を留去し
た。この溶液をポリスチレン樹脂ダイヤイオンHP−2
0(三菱化学製)500mlのカラムに導通した。水500
mlで洗浄した後、5%メタノール水、10%メタノール
水で溶出した。実施例1のTLC条件で溶離液を分画し
目的物のフラクションを集め、減圧下濃縮乾固した。乾
固物にメタノール/アセトンを加えて粉末化した。冷却
後粉末をろ取し、50℃減圧下で乾燥した。得量は5.
5gで収率はGUG−β−CyDから71.1%であっ
た。本品の元素分析値:C569246・1H2O=151
9.33として 計算値 C:44.27% H:6.24% 実測値 C:44.38% H:6.48% 本品の13C−NMR(270MHz,d6-DMSO)におい
て、13.65ppm、60.597ppmにエチルエステルに
基づく炭素のシグナルを認めた。また、1H−NMR(2
70MHz,d6−DMSO)において、1.2ppm付近にエ
チルエステルのメチル基プロトンに基づく三重線を認め
た。
【0031】実施例3 イソプロピルエステル 6−O−シクロマルトヘプタオシル−(6→1)−α−D
−グルコシル−(4→1)−O−α−D−グルクロン酸
(以下GUG−β−CyDと略称)5.0g(3.39ミリモ
ル)をジメチルホルムアミド約100mlに懸濁した。水
酸化テトラブチルアンモニウム8.8g(10%メタノー
ル溶液、3.39ミリモル)を加え、よくかきまぜた後、
減圧下で濃縮乾固した。ジメチルホルムアミド50mlを
加えて乾固物を溶解した。ヨウ化イソプロピル1.73g
(10.2ミリモル)を加えて室温で25時間撹拌した。
溶媒を留去した後、残留物を水50mlに溶解し0.5N
カセイソーダでpH8.5に調整した。クロロホルム30
mlで3回洗浄した。洗浄液を0.3N塩酸でpH5とした
後、減圧下溶媒を留去した。ポリスチレン樹脂ダイヤイ
オンHP−20(三菱化学製)500mlのカラムに導通し
た。水500mlで洗浄した後、10%メタノール水及び
15%メタノール水で溶出した。実施例1のTLC条件
で溶離液を分画し目的物のフラクションを集め、減圧下
濃縮乾固した。乾固物にアセトン30mlを加え、よくか
きまぜた後5℃に冷却した。沈殿物をろ取し、減圧下5
0℃で約6時間乾燥して目的のGUG−β−CyDイソ
プロピルエステル2.3gを得た。本品の1H−NMR(3
00MHz,d6−DMSO)において、1.2ppm付近にイ
ソプロピルエステルのメチル基プロトンに基づく二重線
を認めた。
【0032】実施例4 実施例2の方法に準じて下記のエステル体を製造した。 n−プロピルエステル *1H−NMR(270MHz,d6−DMSO) 0.9ppm(三重線、C 3) 1.60〜1.75ppm(多重線、OCH2 2CH3) n−ブチルエステル *1H−NMR(300MHz,d6−DMSO) 0.9ppm(三重線、C 3) 1.30〜1.50ppm(多重線、CH2 2CH3) 1.60〜1.70ppm(多重線、OCH2 2CH2) *13C−NMR(270MHz,d6−DMSO) 13.315ppm、18.188ppm、29.792ppm、6
3.938ppm、以上の4本の炭素シグナルはブチルエス
テルに基づくものと同定した n−ヘキシルエステル *元素分析値;C6010046・4.5H2O=1638.
49 理論値 ; C 43.98% H 6.70% 実測値 ; C 43.88% H 6.85% *1H−NMR(270MHz,d6−DMSO) 0.9ppm(三重線、C 3) 1.2〜1.3ppm(多重線、CH2(C2) 3CH3) 1.5〜1.6ppm(多重線、OCH2 2CH2) n−オクチルエステル *1H−NMR(270MHz,d6−DMSO) 0.9ppm(三重線、C 3) 1.2〜1.35ppm(多重線、CH2(C2) 5CH3) 1.5〜1.7ppm(多重線、OCH2 2CH2)
【0033】実施例5 エチルエステル 6−O−シクロマルトヘプタオシル−(6→1)−α−D
−グルコシル−(4→1)−O−α−D−グルクロン酸
(以下GUG−β−CyDと略称)5.0g(3.39ミリモ
ル)をジメチルホルムアミド約100mlに懸濁した。水
酸化テトラメチルアンモニウム5水和物0.675g(3.
73ミリモル)をメタノール30mlに溶解した溶液を加
えよく撹拌した後、減圧下で濃縮乾固した。ジメチルホ
ルムアミド200mlを加え、更にヨウ化エチル1.59g
(10.2ミリモル)を加えて30時間撹拌した。溶媒を
減圧で留去した後、水100mlで溶解した。これをクロ
ロホルム50mlで3回洗浄した。洗浄液を約半量まで濃
縮した溶液に強塩基性樹脂ダイヤイオンPA406(C
1型)100mlを加え1時間撹拌した。樹脂をろ去し、
更に水200mlで樹脂を洗浄した。ろ液と洗液を合わ
せ、これに強酸性樹脂IR−120B(H+型)50mlを
加えて1時間撹拌した。樹脂をろ去し、更に水100ml
で樹脂を洗浄した。ろ液、洗液を合わせ減圧下濃縮乾固
した。乾固物にメタノール/アセトンを加えて粉末化し
た。冷却後、沈殿をろ取し、50℃で乾燥した。得量
2.4g 本品は実施例2で得たGUG−β−CyDエチルエステ
ルと同一である事が分かった。
【0034】実施例6 GUG−β−CyDエチルエステル747.6mgをH2
5mlに溶解した溶液に、6−O−(N−クロロアセチ
ルカルバモイル)フマギロール(以下、TNP−470
と略称)100mgを加える。この懸濁液を2時間レシプ
ロシェーカーで振とう後、0.2μmのフィルターで濾過
後、濾液を凍結乾燥しGUG−β−エチルエステル/T
NP470複合体の凍結乾燥粉末639mgを得た。本品
中のTNP−470の含量をHPLCで測定したとこ
ろ、10.1%(w/w)であった。 HPLC条件; カラム; CAPCELL PAK C18AG(φ4.6m
m×25cm) 溶離液; H2O/CH3CN=1:1 溶離速度; 10ml/min 検 出; 210nm 注入量; 10μl TNP−470の溶解度:上記粉末の水に対する溶解性
を室温で測定し、TNP−470の溶解度をHPLC法
で求めた。 TNP−470 25mg/ml,H2O室温であった。
【0035】実施例7 GUG−β−CyDブチルエステル,761mgを20%含
水エタノール20mlにとかし、この溶液にTNP−47
0 100mgを加え、レシプロシェーカーで室温2時間
振とう撹拌し、ついで、ロータリーエバポレーターで減
圧下、溶媒を留去し、ついで乾固した。得られた粉末を
5酸化リン存在下、真空乾燥し870mgのGUG−β−
CyDブチルエステル/TNP−470複合体の粉末を
得た。本品中のTNP−470の含量をHPLCで測定
したところ、10.7%であった。
【0036】実験例8 実施例6で得たGUG−β−CyDエチルエステル/T
NP−470複合体50mgを注射用水、生理食塩水、5
%グルコース液各1mlに溶解し、室温放置したときのT
NP−470の安定性をHPLCで調べた。その結果、
8時間まで95%以上の安定性が認められた。対象とし
て、TNP−470 5mgを注射水1mlに懸濁し、室温
に放置し、1時間後のTNP−470は12%となり、
分解が著しかった。
【0037】
【発明の効果】本発明の分岐シクロデキストリンカルボ
ン酸エステルは、水不溶性ないし難溶性物質を可溶化す
ると同時に不安定な物質を安定化する。また、脂溶性が
高まる事によりこれを薬物に適用した場合は組織への移
行を良好にし、従ってバイオアベイラビリティーの改善
につながる等の特長を持つ。したがって、本発明の分岐
シクロデキストリンカルボン酸エステルは、医薬品、化
粧料、飲食品、農薬、動物薬等の活性成分として有用な
水不溶性ないし難溶性物質の水溶性改善剤、安定性改善
剤として有用である。
【0038】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の目的物のNMRチャートである。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分岐シクロデキストリンカルボン酸エス
    テル。
  2. 【請求項2】 分岐シクロデキストリンカルボン酸が、
    少なくとも1つのカルボキシル基を含有する有機基を該
    シクロデキストリン環の少なくとも1つのグルコース単
    位の6−O位に有する分岐シクロデキストリンカルボン
    酸である請求項1記載のエステル。
  3. 【請求項3】 分岐シクロデキストリンカルボン酸のシ
    クロデキストリン環が7個のグルコース単位を有する請
    求項2記載のエステル。
  4. 【請求項4】 有機基が1ないし6個のグルコース単位
    を有し、かつ、該有機基中のグルコース単位のヒドロキ
    シメチル基の少なくとも1つがカルボキシル基に酸化さ
    れている請求項2記載のエステル。
  5. 【請求項5】 有機基が式(I): −(G)n−COOH (I) [式中、Gはグルコース単位を、nは1ないし6の整数
    を示す]で表される請求項2記載のエステル。
  6. 【請求項6】 分岐シクロデキストリン−カルボン酸が
    6−O−シクロマルトヘキサオシル−(6→1)−α−D
    −グルコシル−(4→1)−O−α−D−グルクロン酸、
    6−O−シクロマルトヘプタオシル−(6→1)−α−D
    −グルコシル−(4→1)−O−α−D−グルクロン酸、
    6−O−シクロマルトオクタオシル−(6→1)−α−D
    −グルコシル−(4→1)−O−α−D−グルクロン酸、
    6−O−シクロマルトヘキサオシル−(6→1)−α−D
    −グルクロン酸、6−O−シクロマルトヘプタオシル−
    (6→1)−α−D−グルクロン酸、6−O−シクロマル
    トオクタオシル−(6→1)−α−D−グルクロン酸、2
    −O−(6−シクロマルトヘキサオシル)−酢酸、2−O
    −(6−シクロマルトヘプタオシル)−酢酸、2−O−
    (6−シクロマルトオクタオシル)−酢酸、3−O−(6
    −シクロマルトヘプタオシル)−プロピオン酸、2−ヒ
    ドロキシ−3−O−(6−シクロマルトヘプタオシル)−
    プロピオン酸、7A,7C−ジ−O−[α−D−グルクロニ
    ル−(1→4)−O−α−D−グルコシル]−(1→6)−
    マルトヘプタオースまたは6−O−シクロマルトヘプタ
    オシル−O−α−D−マルトシル−(4→1)−O−α−
    D−グルクロン酸である請求項1記載のエステル。
  7. 【請求項7】 分岐シクロデキストリンカルボン酸が、
    式(II): −G−G−COOH (II) [式中、Gはグルコース単位を示す]で表される有機基を
    1ないし3個有する請求項2記載のエステル。
  8. 【請求項8】 炭素数1ないし30の脂肪族アルコール
    とのエステルである請求項1記載のエステル。
  9. 【請求項9】 分岐シクロデキストリンカルボン酸また
    はその塩をエステル化反応に付すことを特徴とする分岐
    シクロデキストリンカルボン酸エステルの製造法。
  10. 【請求項10】 請求項1記載のエステルを含んでなる
    水溶性改善剤。
  11. 【請求項11】 請求項1記載のエステルを含んでなる
    薬物の安定性改善剤。
  12. 【請求項12】 請求項1記載のエステルと薬物とを含
    んでなる医薬。
  13. 【請求項13】 注射用である請求項12記載の医薬。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001041757A1 (fr) * 1999-12-10 2001-06-14 Senju Pharmaceutical Co., Ltd. Composition pharmaceutique contenant de la cyclodextrine
WO2002051381A1 (fr) * 2000-12-26 2002-07-04 Takeda Chemical Industries, Ltd. Substance poreuse et son procede de fabrication
WO2006073162A1 (ja) * 2005-01-07 2006-07-13 Kyowa Hakko Kogyo Co., Ltd. Nadhもしくはnadphまたはその塩の保存安定性向上方法

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