JPH09225748A - 放電加工用電極線の製造方法 - Google Patents
放電加工用電極線の製造方法Info
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- JPH09225748A JPH09225748A JP3927196A JP3927196A JPH09225748A JP H09225748 A JPH09225748 A JP H09225748A JP 3927196 A JP3927196 A JP 3927196A JP 3927196 A JP3927196 A JP 3927196A JP H09225748 A JPH09225748 A JP H09225748A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 合金による芯材の溶体化は、従来、950℃
で3時間という条件で行っており、コストアップの原因
になっている。また、更なる加工速度の向上、耐断線性
の向上も望まれている。 【解決手段】 Zr又はCrを含む銅合金による線材7
を不活性ガスで満たされた加熱電気炉2を走行させなが
ら加熱し、ついで冷却水槽3で急冷すれば走行溶体化処
理が行われる。この溶体化処理の済んだ線材15の表面
に対し、粉末コーティング容器16によりZnを含む粉
末コーティングを塗布し、乾燥器19で乾燥して表面層
を形成する。さらに、加熱電気炉20で熱処理後、冷間
伸線する。これにより、溶体化処理によって電極線の耐
熱性(耐断線性)が向上し、表面層の形成によって加工
速度が向上する。
で3時間という条件で行っており、コストアップの原因
になっている。また、更なる加工速度の向上、耐断線性
の向上も望まれている。 【解決手段】 Zr又はCrを含む銅合金による線材7
を不活性ガスで満たされた加熱電気炉2を走行させなが
ら加熱し、ついで冷却水槽3で急冷すれば走行溶体化処
理が行われる。この溶体化処理の済んだ線材15の表面
に対し、粉末コーティング容器16によりZnを含む粉
末コーティングを塗布し、乾燥器19で乾燥して表面層
を形成する。さらに、加熱電気炉20で熱処理後、冷間
伸線する。これにより、溶体化処理によって電極線の耐
熱性(耐断線性)が向上し、表面層の形成によって加工
速度が向上する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ワイヤ放電加工に
用いられる放電加工用電極線の製造方法、特に、銅合金
による放電加工用電極線の製造方法に関するものであ
る。
用いられる放電加工用電極線の製造方法、特に、銅合金
による放電加工用電極線の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】ワイヤ放電加工は、電極線となる細い金
属ワイヤ(放電加工用電極線)を巻き取りつつ被加工物
に対して三次元の送りをかけ、金属ワイヤと被加工物と
の間に放電を行いながら被加工物を溶断して糸鋸式の加
工を行うもので、特定形状の電極を使用しないで高精度
に三次元形状の製品を創成することができる。特に、加
工の困難な超硬合金等の加工が高精度に行えるため、近
年、実用範囲が広がりつつある。
属ワイヤ(放電加工用電極線)を巻き取りつつ被加工物
に対して三次元の送りをかけ、金属ワイヤと被加工物と
の間に放電を行いながら被加工物を溶断して糸鋸式の加
工を行うもので、特定形状の電極を使用しないで高精度
に三次元形状の製品を創成することができる。特に、加
工の困難な超硬合金等の加工が高精度に行えるため、近
年、実用範囲が広がりつつある。
【0003】従来より用いられている放電加工用電極線
として、例えば、Cu−35重量%Zn黄銅電極線があ
る。「伸銅技術研究会誌」26、(1987)P181
(発表者:折茂、石橋、奥野)に記載のように、組成中
のZn濃度が高いほど、加工速度を向上できることが知
られている。ところが、Zn(亜鉛)の量が40重量%
を越えるとβ相が形成されるため、冷間圧延では伸線加
工が行えない。このように、加工性の問題から、Znを
含む放電加工用電極線においては、Cu−35重量%Z
n黄銅線が標準品と考えられている。
として、例えば、Cu−35重量%Zn黄銅電極線があ
る。「伸銅技術研究会誌」26、(1987)P181
(発表者:折茂、石橋、奥野)に記載のように、組成中
のZn濃度が高いほど、加工速度を向上できることが知
られている。ところが、Zn(亜鉛)の量が40重量%
を越えるとβ相が形成されるため、冷間圧延では伸線加
工が行えない。このように、加工性の問題から、Znを
含む放電加工用電極線においては、Cu−35重量%Z
n黄銅線が標準品と考えられている。
【0004】しかし、加工速度の向上は、生産性の向上
につながることから、Znを含みながら加工速度を高め
るための提案が種々なされている。例えば、50%以上
のZnを含む合金で芯材を被覆した電極線(特公昭57
−5648号公報)がある。更に、芯材上に被覆層を形
成する電極線として、例えば、銅合金にZn(又はZn
合金)を浸漬焼鈍させて表面にZn富化層を形成した電
極線(特開昭62−218026号公報)、鋼線に通電
性の良い金属を被覆した複合電極線(特公昭57−57
211号公報)、銅合金線の表面に所定の厚みのCu−
Zn合金層を設け、更にCu−Zn合金層の表面に所定
厚のZn層を設けた電極線(特開昭61−117021
号公報)等がある。また、銅被覆鋼線の表面に合金層を
設け、そのZnの濃度が外表面に向かって高くなるよう
にした電極線(特公平2−49849号公報)も提案さ
れている。
につながることから、Znを含みながら加工速度を高め
るための提案が種々なされている。例えば、50%以上
のZnを含む合金で芯材を被覆した電極線(特公昭57
−5648号公報)がある。更に、芯材上に被覆層を形
成する電極線として、例えば、銅合金にZn(又はZn
合金)を浸漬焼鈍させて表面にZn富化層を形成した電
極線(特開昭62−218026号公報)、鋼線に通電
性の良い金属を被覆した複合電極線(特公昭57−57
211号公報)、銅合金線の表面に所定の厚みのCu−
Zn合金層を設け、更にCu−Zn合金層の表面に所定
厚のZn層を設けた電極線(特開昭61−117021
号公報)等がある。また、銅被覆鋼線の表面に合金層を
設け、そのZnの濃度が外表面に向かって高くなるよう
にした電極線(特公平2−49849号公報)も提案さ
れている。
【0005】更に、Cr、Zr、Fe、Be、Co、T
i等のいずれか1つを0.03〜5.0重量%含む合金
を芯材に用い、この表面にZnを95%以上含む金属を
溶融メッキし、この後、5%以上の冷間加工を施した電
極線(特開昭59−134629号公報)も提案されて
いる。ところで、この提案において、芯材を構成する合
金の中でCu−Zr合金又はCu−Cr合金は、所望の
抗張力を得るためには溶体化処理が不可欠であるが、一
般にCu−Zr合金又はCu−Cr合金の溶体化処理
は、通常、8〜13mmφの線材に対し、950°C、
3時間の加熱処理後、急冷を行う方法で行われている。
i等のいずれか1つを0.03〜5.0重量%含む合金
を芯材に用い、この表面にZnを95%以上含む金属を
溶融メッキし、この後、5%以上の冷間加工を施した電
極線(特開昭59−134629号公報)も提案されて
いる。ところで、この提案において、芯材を構成する合
金の中でCu−Zr合金又はCu−Cr合金は、所望の
抗張力を得るためには溶体化処理が不可欠であるが、一
般にCu−Zr合金又はCu−Cr合金の溶体化処理
は、通常、8〜13mmφの線材に対し、950°C、
3時間の加熱処理後、急冷を行う方法で行われている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このため、従来の放電
加工用電極線の製造方法として、Cu−Zr合金又はC
u−Cr合金の溶体化を、950°Cで3時間という条
件で行うとすれば、コストアップの原因になることは避
けられず、もし、走行溶体化が可能になれば、溶体化に
おけるコストダウンが可能になる。また、従来の放電加
工用電極線によれば、一応の加工速度及び加工特性は得
られるものの、更なる加工速度の向上、耐断線性の向上
が望まれている。
加工用電極線の製造方法として、Cu−Zr合金又はC
u−Cr合金の溶体化を、950°Cで3時間という条
件で行うとすれば、コストアップの原因になることは避
けられず、もし、走行溶体化が可能になれば、溶体化に
おけるコストダウンが可能になる。また、従来の放電加
工用電極線によれば、一応の加工速度及び加工特性は得
られるものの、更なる加工速度の向上、耐断線性の向上
が望まれている。
【0007】そこで本発明は、加工速度及び加工特性の
向上を図りながら、走行溶体化を可能にする放電加工用
電極線の製造方法を提供することを目的としている。
向上を図りながら、走行溶体化を可能にする放電加工用
電極線の製造方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は、Zr又はCrを含む銅合金による線材
を不活性ガス雰囲気中で加熱しながら走行させ、前記不
活性ガス雰囲気を通過した前記線材を直ちに水冷して溶
体化処理し、この溶体化処理の済んだ線材の表面にZn
層又はCu−Zn層による表面層を形成し、この表面層
を形成した線材に対して冷間伸線する方法にしている。
めに、本発明は、Zr又はCrを含む銅合金による線材
を不活性ガス雰囲気中で加熱しながら走行させ、前記不
活性ガス雰囲気を通過した前記線材を直ちに水冷して溶
体化処理し、この溶体化処理の済んだ線材の表面にZn
層又はCu−Zn層による表面層を形成し、この表面層
を形成した線材に対して冷間伸線する方法にしている。
【0009】この方法によれば、Zr又はCrを含む銅
合金を不活性ガス雰囲気中を走行しながら加熱し、加熱
直後に冷却を行うことにより走行溶体化処理が行われ、
前記銅合金が溶体化する。更に、溶体化処理した線材に
対し、Zn又はCu−Znによる加工速度を向上させる
ための表面層が線材を走行させながら形成される。この
結果、溶体化処理では電極線の耐熱性が向上し、表面層
の形成によって加工速度が向上する。
合金を不活性ガス雰囲気中を走行しながら加熱し、加熱
直後に冷却を行うことにより走行溶体化処理が行われ、
前記銅合金が溶体化する。更に、溶体化処理した線材に
対し、Zn又はCu−Znによる加工速度を向上させる
ための表面層が線材を走行させながら形成される。この
結果、溶体化処理では電極線の耐熱性が向上し、表面層
の形成によって加工速度が向上する。
【0010】前記表面層の形成は、Zn粉末、樹脂沈降
防止剤及び溶剤をスラリ状にして塗布した後に乾燥する
方法によって行うことができる。この方法によれば、表
面層を設けるための素材の形成が塗装手段を用い、かつ
線材を走行させながら行える。したがって、設備コスト
の低減が可能になる。前記表面層の形成は、電気メッキ
法又は溶融メッキ法を用いることができる。この形成方
法も線材を走行させながら行え、このための装置も簡単
に構成することができる。
防止剤及び溶剤をスラリ状にして塗布した後に乾燥する
方法によって行うことができる。この方法によれば、表
面層を設けるための素材の形成が塗装手段を用い、かつ
線材を走行させながら行える。したがって、設備コスト
の低減が可能になる。前記表面層の形成は、電気メッキ
法又は溶融メッキ法を用いることができる。この形成方
法も線材を走行させながら行え、このための装置も簡単
に構成することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を基に説明する。図1は本発明による放電加工用
電極線の製造方法を達成するための製造設備を示す概略
構成図である。図1に示す製造設備は、走行溶体化処理
ラインAと粉末コーティングラインBから構成されてい
る。まず、走行溶体化処理ラインAの構成について説明
する。走行溶体化処理ラインAは、処理の流れ方向にペ
イオフ1、加熱電気炉2、冷却水槽3、定速巻取機4及
び整列巻取機5が順次直列的に配置された構成になって
いる。
て図面を基に説明する。図1は本発明による放電加工用
電極線の製造方法を達成するための製造設備を示す概略
構成図である。図1に示す製造設備は、走行溶体化処理
ラインAと粉末コーティングラインBから構成されてい
る。まず、走行溶体化処理ラインAの構成について説明
する。走行溶体化処理ラインAは、処理の流れ方向にペ
イオフ1、加熱電気炉2、冷却水槽3、定速巻取機4及
び整列巻取機5が順次直列的に配置された構成になって
いる。
【0012】ペイオフ1は2つのプーリ6a,6bを備
え、加工後に放電加工用電極線となる線材7の巻き取り
やガイドに用いられている。加熱電気炉2は不図示のヒ
ータによって内部が加熱されており、両端には線材7を
挿通するための開口(不図示)が設けられている。そし
て、内部には線材7の表面に酸化等が生じるのを防止す
るための不活性(N2 、Ar等)ガスが供給され、この
不活性ガス雰囲気中にペイオフ1からの線材7(この線
材7の構成については後記する)が挿通される。不活性
ガスを流通させるために、加熱電気炉2にはガス供給口
8及びガス排出口9が設けられている。
え、加工後に放電加工用電極線となる線材7の巻き取り
やガイドに用いられている。加熱電気炉2は不図示のヒ
ータによって内部が加熱されており、両端には線材7を
挿通するための開口(不図示)が設けられている。そし
て、内部には線材7の表面に酸化等が生じるのを防止す
るための不活性(N2 、Ar等)ガスが供給され、この
不活性ガス雰囲気中にペイオフ1からの線材7(この線
材7の構成については後記する)が挿通される。不活性
ガスを流通させるために、加熱電気炉2にはガス供給口
8及びガス排出口9が設けられている。
【0013】冷却水槽3は内部に所定量の冷却水10が
満たされ、この冷却水10中を加熱電気炉2からの線材
7が通過できるように、ガイド用の複数のプーリ11
a,11b,11c,11dが設置されている。更に、
定速巻取機4は複数のプーリ12a,12bを内蔵し、
冷却水槽3からの線材7を後段に一定速度で送るための
機能を有している。整列巻取機5は、定速巻取機4から
の線材7をガイドするプーリ13及び線材7を巻き取る
プーリ(又は、リール)14を内蔵している。
満たされ、この冷却水10中を加熱電気炉2からの線材
7が通過できるように、ガイド用の複数のプーリ11
a,11b,11c,11dが設置されている。更に、
定速巻取機4は複数のプーリ12a,12bを内蔵し、
冷却水槽3からの線材7を後段に一定速度で送るための
機能を有している。整列巻取機5は、定速巻取機4から
の線材7をガイドするプーリ13及び線材7を巻き取る
プーリ(又は、リール)14を内蔵している。
【0014】次に、粉末コーティングラインBの構成に
ついて説明する。走行溶体化処理ラインAで溶体化処理
の済んだ線材15はプーリ14に巻き取られている。こ
のプーリ14から引き出された線材15は、ダイス1
7,18を備えた粉末コーティング容器16に導入され
る。ダイス17は粉末コーティング容器16の入り側に
設けられ、ダイス18は出側に設られている。粉末コー
ティング容器16の後段には、乾燥器19が設置されて
いる。粉末コーティング容器16は、Zn粉末(又は、
Cu−Zn粉末)、樹脂沈降防止剤及び溶剤の3種を混
ぜて粘度約1000cpsのスラリ状にしたものが封入
されている。
ついて説明する。走行溶体化処理ラインAで溶体化処理
の済んだ線材15はプーリ14に巻き取られている。こ
のプーリ14から引き出された線材15は、ダイス1
7,18を備えた粉末コーティング容器16に導入され
る。ダイス17は粉末コーティング容器16の入り側に
設けられ、ダイス18は出側に設られている。粉末コー
ティング容器16の後段には、乾燥器19が設置されて
いる。粉末コーティング容器16は、Zn粉末(又は、
Cu−Zn粉末)、樹脂沈降防止剤及び溶剤の3種を混
ぜて粘度約1000cpsのスラリ状にしたものが封入
されている。
【0015】更に、乾燥器19の後段には加熱電気炉2
0が設置されている。加熱電気炉20は、内部が中空構
造の炉体20a、この周囲に設けられて炉体内部を加熱
するヒータ20bを備えて構成されている。炉体20a
内には、不活性ガス(N2 ガス)が導入される。このた
めに、一端にガス供給口20cが設けられ、他端にはガ
ス排出口20dが設けられている。この加熱電気炉20
の後段には、表面酸化層除去装置21、ボビン22が順
次設置されている。
0が設置されている。加熱電気炉20は、内部が中空構
造の炉体20a、この周囲に設けられて炉体内部を加熱
するヒータ20bを備えて構成されている。炉体20a
内には、不活性ガス(N2 ガス)が導入される。このた
めに、一端にガス供給口20cが設けられ、他端にはガ
ス排出口20dが設けられている。この加熱電気炉20
の後段には、表面酸化層除去装置21、ボビン22が順
次設置されている。
【0016】以上の構成において、走行溶体化処理ライ
ンAにおける加工対象の線材7は、例えば、0.9mm
φのCu−0.16重量%Zr(ジルコニウム)が用い
られる。Cu−Zr合金線を用いる理由は、放電加工の
際、電極線にアーク放電が生じ、このために放電時に熱
が発生し、加工時の張力に耐えられずに断線が生じるの
を防止するためである。
ンAにおける加工対象の線材7は、例えば、0.9mm
φのCu−0.16重量%Zr(ジルコニウム)が用い
られる。Cu−Zr合金線を用いる理由は、放電加工の
際、電極線にアーク放電が生じ、このために放電時に熱
が発生し、加工時の張力に耐えられずに断線が生じるの
を防止するためである。
【0017】以上の如き構成の線材7はペイオフ1から
引き出され、加熱電気炉2の不活性ガス雰囲気中を1m
/分程度の搬送速度で走行させながら700°C〜95
0°Cに加熱して溶体化する。この溶体化処理により、
Zrを固溶させることができ、電極線に耐熱性を持たせ
ることが可能になる。加熱電気炉2で加熱された線材7
は、加熱電気炉2を出た直後に冷却水槽3に搬入され、
槽内の冷却水10で急冷される。この後、冷却された線
材7は定速巻取機4を経て整列巻取機5のプーリ14に
巻き取られる。
引き出され、加熱電気炉2の不活性ガス雰囲気中を1m
/分程度の搬送速度で走行させながら700°C〜95
0°Cに加熱して溶体化する。この溶体化処理により、
Zrを固溶させることができ、電極線に耐熱性を持たせ
ることが可能になる。加熱電気炉2で加熱された線材7
は、加熱電気炉2を出た直後に冷却水槽3に搬入され、
槽内の冷却水10で急冷される。この後、冷却された線
材7は定速巻取機4を経て整列巻取機5のプーリ14に
巻き取られる。
【0018】Cu−Zr合金線は、従来、8〜13mm
φ程度の銅線に950°Cで3時間、その後に急冷する
溶体化熱処理を行って耐熱性を付加している。しかし、
このような従来方式の熱処理は費用及び時間がかかり、
放電加工用電極線の生産コストを低減することができな
い。そこで、本発明では、低コストで溶体化が可能な中
間サイズ(例えば、0.9mmφ)で700〜950°
Cの走行加熱後に水冷し、以上説明した様に、ライン中
の熱処理で耐熱性を付加できるようにした。
φ程度の銅線に950°Cで3時間、その後に急冷する
溶体化熱処理を行って耐熱性を付加している。しかし、
このような従来方式の熱処理は費用及び時間がかかり、
放電加工用電極線の生産コストを低減することができな
い。そこで、本発明では、低コストで溶体化が可能な中
間サイズ(例えば、0.9mmφ)で700〜950°
Cの走行加熱後に水冷し、以上説明した様に、ライン中
の熱処理で耐熱性を付加できるようにした。
【0019】次に、粉末コーティングラインBの処理に
ついて説明する。走行溶体化処理ラインAで溶体化熱処
理の完了した線材15(溶体化処理されたCu−Zr合
金線)は、プーリ14(走行溶体化処理ラインAから移
動、又は別のボビン等に巻き直したもの)から引き出さ
れ、ダイス17で絞り加工が施される。ついで、粉末コ
ーティング容器16を通過する過程で、線材15の表面
に均一に粉末コーティングが施される。更に、乾燥器1
9を通過する過程で粉末コーティングの乾燥(熱風乾
燥)が行われる。これにより、Cu−Zr合金線の表面
にZnを含む表面層が形成される。
ついて説明する。走行溶体化処理ラインAで溶体化熱処
理の完了した線材15(溶体化処理されたCu−Zr合
金線)は、プーリ14(走行溶体化処理ラインAから移
動、又は別のボビン等に巻き直したもの)から引き出さ
れ、ダイス17で絞り加工が施される。ついで、粉末コ
ーティング容器16を通過する過程で、線材15の表面
に均一に粉末コーティングが施される。更に、乾燥器1
9を通過する過程で粉末コーティングの乾燥(熱風乾
燥)が行われる。これにより、Cu−Zr合金線の表面
にZnを含む表面層が形成される。
【0020】更に、表面層が形成された線材23は加熱
電気炉20に送り込まれ、熱処理が行われる。加熱電気
炉20の炉体20a内はヒータ20bによって例えば8
00°Cに加熱されており、この炉内を1m/minの
速度で搬送しながら、不活性雰囲気中で加熱処理が行わ
れる。加熱電気炉20を出た線材23は、移動しながら
大気雰囲気で自然冷却され、その後に表面酸化層除去装
置21によって線材23の表面酸化層が機械的に除去さ
れる。この後、線材23はボビン22に巻き取られる。
更に、別のラインに送られ、冷間伸線が行われる。
電気炉20に送り込まれ、熱処理が行われる。加熱電気
炉20の炉体20a内はヒータ20bによって例えば8
00°Cに加熱されており、この炉内を1m/minの
速度で搬送しながら、不活性雰囲気中で加熱処理が行わ
れる。加熱電気炉20を出た線材23は、移動しながら
大気雰囲気で自然冷却され、その後に表面酸化層除去装
置21によって線材23の表面酸化層が機械的に除去さ
れる。この後、線材23はボビン22に巻き取られる。
更に、別のラインに送られ、冷間伸線が行われる。
【0021】以上のような粉末コーティングラインBを
経た線材23には、Cu−Zr合金線の表面に、10〜
20μm程度のCu−(30〜40)重量%Zn合金層
が表面層として施されていた。このように、Cu−Zn
合金層が施されたことにより、加工速度を向上させるこ
とが可能になる。
経た線材23には、Cu−Zr合金線の表面に、10〜
20μm程度のCu−(30〜40)重量%Zn合金層
が表面層として施されていた。このように、Cu−Zn
合金層が施されたことにより、加工速度を向上させるこ
とが可能になる。
【0022】
【実施例】本発明者らは、本発明方法により試作を行
い、放電加工性の評価を行った。被加工物として厚さ4
0mmのSKD−11を用いて断線限界速度を測定し
た。また、被加工物の表面粗さの評価も実施した。その
結果、0.02mmの線材を用い、放電電流を36Aに
し、オフ時間(電流休止時間)を一定(2.8μs)に
しながら、オン時間(電流印加時間)を変えて加工可能
な速度(ワイヤが切れない限界速度)を測定した。ま
た、本発明との比較のため、従来方法により0.2mm
φのCu−35重量%Zn電極線(比較例)を作成し
た。
い、放電加工性の評価を行った。被加工物として厚さ4
0mmのSKD−11を用いて断線限界速度を測定し
た。また、被加工物の表面粗さの評価も実施した。その
結果、0.02mmの線材を用い、放電電流を36Aに
し、オフ時間(電流休止時間)を一定(2.8μs)に
しながら、オン時間(電流印加時間)を変えて加工可能
な速度(ワイヤが切れない限界速度)を測定した。ま
た、本発明との比較のため、従来方法により0.2mm
φのCu−35重量%Zn電極線(比較例)を作成し
た。
【0023】オン時間(電流印加時間)が0.8μsの
場合、Cu−35重量%Zn電極線(比較例)の加工速
度が1.53mm/minであったのに対し、本発明に
よる電極線は1.75mm/minであり、加工速度の
向上が確かめられた。また、電流印加時間を長くする
と、加工速度は増加するが、本発明による電極線は1.
2μsで断線した。これに対し、比較例では1.5μs
の電流印加時間で断線した。このことから、本発明によ
る電極線は耐断線性に優れていることが確かめられた。
場合、Cu−35重量%Zn電極線(比較例)の加工速
度が1.53mm/minであったのに対し、本発明に
よる電極線は1.75mm/minであり、加工速度の
向上が確かめられた。また、電流印加時間を長くする
と、加工速度は増加するが、本発明による電極線は1.
2μsで断線した。これに対し、比較例では1.5μs
の電流印加時間で断線した。このことから、本発明によ
る電極線は耐断線性に優れていることが確かめられた。
【0024】更に、比較例による被加工物の表面粗さは
1.35μmであったのに対し、本発明による電極線の
表面粗さは1.285μmであり、この点でも本発明に
よる電極線が優れていることが確かめられた。なお、表
面層を形成するに際し、図1においては粉末コーティン
グ法により設けるものとしたが、本発明は粉末コーティ
ング法に限定されるものではなく、他に電気メッキ法、
溶融メッキ法等を用いることができる。
1.35μmであったのに対し、本発明による電極線の
表面粗さは1.285μmであり、この点でも本発明に
よる電極線が優れていることが確かめられた。なお、表
面層を形成するに際し、図1においては粉末コーティン
グ法により設けるものとしたが、本発明は粉末コーティ
ング法に限定されるものではなく、他に電気メッキ法、
溶融メッキ法等を用いることができる。
【0025】また、芯材にCu−Zr合金線を用いた
が、同様な耐熱性を有するCu−Cr合金線、Cu−Z
r−Cr合金線等を用いることもできる。
が、同様な耐熱性を有するCu−Cr合金線、Cu−Z
r−Cr合金線等を用いることもできる。
【0026】
【発明の効果】以上より明らかな如く、本発明によれ
ば、Zr又はCrを含む銅合金による線材を不活性ガス
雰囲気中で加熱しながら走行させ、前記不活性ガス雰囲
気を通過した前記線材を直ちに水冷して溶体化処理し、
この線材の表面にZn層又はCu−Zn層による表面層
を形成し、更に、冷間伸線して放電加工用電極線を製造
する方法にしたので、溶体化処理により電極線の耐熱性
の向上及びコストダウンが図れ、表面層の形成によって
加工速度を向上させることができる。
ば、Zr又はCrを含む銅合金による線材を不活性ガス
雰囲気中で加熱しながら走行させ、前記不活性ガス雰囲
気を通過した前記線材を直ちに水冷して溶体化処理し、
この線材の表面にZn層又はCu−Zn層による表面層
を形成し、更に、冷間伸線して放電加工用電極線を製造
する方法にしたので、溶体化処理により電極線の耐熱性
の向上及びコストダウンが図れ、表面層の形成によって
加工速度を向上させることができる。
【図1】本発明による放電加工用電極線の製造方法を達
成する製造設備を示す概略構成図である。
成する製造設備を示す概略構成図である。
1 ペイオフ 2 加熱電気炉 3 冷却水槽 4 整列巻取機 7 線材 10 冷却水 16 粉末コーティング容器 17,18 ダイス 19 乾燥器 20 加熱電気炉 21 表面酸化層除去装置
Claims (3)
- 【請求項1】Zr又はCrを含む銅合金による線材を不
活性ガス雰囲気中で加熱しながら走行させ、 前記不活性ガス雰囲気を通過した前記線材を直ちに水冷
して溶体化処理し、 前記溶体化処理の済んだ線材の表面にZn層又はCu−
Zn層による表面層を形成し、 前記表面層を形成した線材を冷間伸線することを特徴と
する放電加工用電極線の製造方法。 - 【請求項2】前記表面層は、Zn粉末、樹脂沈降防止剤
及び溶剤をスラリ状にして塗布した後に乾燥することに
よって形成されることを特徴とする請求項1記載の放電
加工用電極線の製造方法。 - 【請求項3】前記表面層の形成は、電気メッキ法又は溶
融メッキ法によって形成されることを特徴とする請求項
1記載の放電加工用電極線の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03927196A JP3332197B2 (ja) | 1996-02-27 | 1996-02-27 | 放電加工用電極線の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03927196A JP3332197B2 (ja) | 1996-02-27 | 1996-02-27 | 放電加工用電極線の製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09225748A true JPH09225748A (ja) | 1997-09-02 |
JP3332197B2 JP3332197B2 (ja) | 2002-10-07 |
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ID=12548498
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP03927196A Expired - Fee Related JP3332197B2 (ja) | 1996-02-27 | 1996-02-27 | 放電加工用電極線の製造方法 |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3332197B2 (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100460699B1 (ko) * | 2002-08-01 | 2004-12-09 | 최병일 | 코팅 와이어용 전극선 제조방법 |
WO2014025007A1 (ja) * | 2012-08-09 | 2014-02-13 | 株式会社ソディック | ワイヤ放電加工に用いるワイヤ電極 |
JP2014131827A (ja) * | 2012-12-07 | 2014-07-17 | Sodick Co Ltd | ワイヤ電極の製造方法および線引ダイス |
KR20200006395A (ko) * | 2018-07-10 | 2020-01-20 | 현대자동차주식회사 | 알루미늄-스틸 브레이징을 위한 필러와이어 |
-
1996
- 1996-02-27 JP JP03927196A patent/JP3332197B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR100460699B1 (ko) * | 2002-08-01 | 2004-12-09 | 최병일 | 코팅 와이어용 전극선 제조방법 |
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JP2014050945A (ja) * | 2012-08-09 | 2014-03-20 | Sodick Co Ltd | ワイヤ電極 |
TWI618590B (zh) * | 2012-08-09 | 2018-03-21 | 沙迪克股份有限公司 | 線放電加工所使用的線電極 |
JP2014131827A (ja) * | 2012-12-07 | 2014-07-17 | Sodick Co Ltd | ワイヤ電極の製造方法および線引ダイス |
KR20200006395A (ko) * | 2018-07-10 | 2020-01-20 | 현대자동차주식회사 | 알루미늄-스틸 브레이징을 위한 필러와이어 |
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Publication number | Publication date |
---|---|
JP3332197B2 (ja) | 2002-10-07 |
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