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JPH09222427A - 血液検査容器 - Google Patents

血液検査容器

Info

Publication number
JPH09222427A
JPH09222427A JP23661196A JP23661196A JPH09222427A JP H09222427 A JPH09222427 A JP H09222427A JP 23661196 A JP23661196 A JP 23661196A JP 23661196 A JP23661196 A JP 23661196A JP H09222427 A JPH09222427 A JP H09222427A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
blood
serum
plasma
inner cylinder
separating material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP23661196A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideo Anraku
秀雄 安楽
Ryusuke Okamoto
隆介 岡本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP23661196A priority Critical patent/JPH09222427A/ja
Publication of JPH09222427A publication Critical patent/JPH09222427A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】凍結保存可能な血清(血漿)分離材を有する血
液検査容器を提供する。 【解決手段】 一端に開口部を有する有底の管状容器で
ある外筒1と、前記外筒1の内壁に係止されて前記外筒
1と非接触な入れ子構造を形成する内筒2と、前記内筒
2に内設された血清(血漿)分離材と、気密性を有する
栓体とからなる血液検査容器であって、前記内筒2は、
一端に開口部を有し前記開口部辺縁にひだ状構造を有す
る有底の管状容器であって、剛性の大きさが、前記外筒
1の剛性の大きさ未満であり、前記血清(血漿)分離材
は、血液に不活性であって、比重が、1.03以上であ
って、剛性の大きさが、前記内筒2の剛性の大きさ以上
であるものであり、前記血清(血漿)分離材は、遠心分
離時に、前記内筒2の内壁面を摺動するものである血液
検査容器。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、血液検査容器に関
する。
【0002】
【従来の技術】血液学、血液化学、免疫血清学検査等の
血液検査は、近年著しく機械化が進み、疾病の診断の迅
速化に大きく貢献している。例えば、採血は、シリンジ
方式から真空採血方式へ転換され、検体の標準化、感染
性を有する検体からの検査従事者の保護が図られるとと
もに省力化が進められ、採血に要する時間は、短縮化さ
れている。更に、採血された検体に適切な前処理が施さ
れている場合には、迅速な検査が可能となるので、外来
患者は、検査結果に基づいた医師の診察を、来院したそ
の場で短時間のうちに得ることができる。
【0003】採血された検体は、検査に供された後、直
ちに廃棄されるが、通常は後日の再測定に備えて、冷蔵
又は凍結により保存される。特公昭63−55670号
公報、特開平5−107245号公報、特開平4−34
0465号公報には、冷蔵保存に使用することができる
チクソトロピー性を有するペースト状の血清分離材が、
それぞれ開示されている。これら血清分離材は、静水圧
下では非流動性を有するが、遠心分離時に剪断力が加え
られた場合には、流動性を示し、比重差によって移動し
て血清と血餅とを分離するものである。
【0004】これら血清分離材が、検体を血清層と血餅
層とに確実に分離するものであれば、血餅中の各種成分
は血清層に移行しないので、遠心分離された検体は、そ
のままの状態で冷蔵保存することができる。
【0005】しかし、これら血清分離材の機械的強度は
充分でなく、例えば、検体を遠心分離後に凍結保存する
場合、血清中の各種成分含有率と血餅中の各種成分含有
率とは異なり、血清の凍結速度と血餅の凍結速度とが異
なるので、氷晶の成長に伴う血清層からの圧力と血餅層
からの圧力とが血清分離材に均一に作用せず、隔壁層を
形成した血清分離材に大きな変形がもたらされる等の問
題がある。
【0006】米国特許第3779383号明細書には、
上述のチクソトロピー性のペースト状血清分離材に替わ
る血清分離材として、エラストマー成形品からなる円盤
状の血清分離材と、この血清分離材を用いた真空採血管
とが開示されている。この真空採血管は、栓体付近に血
清分離材が内設されてなるものであり、採血時には、採
血針が栓体と血清分離材とを貫通して血液が採血管内に
導入され、遠心分離時には、この血清分離材が、採血管
の内壁面を摺動しながら真空採血管の底部に向かって移
動するものである。
【0007】上述の真空採血管で使用される血清分離材
は、採血針を貫通する際に加えられる力と同程度以上の
力により、真空採血管に内設されている。従って、遠心
分離時、血清分離材に加わる摺動摩擦力は、かなり大き
なものとなり、特に、通常の遠心条件での血清分離材の
移動は、真空採血管の底部へ向かう途中で止まる場合も
生じるので、血清分離材の移動に伴い生じる血清の移動
が、血清分離材の下部から上部へスムーズに進行しなく
なる場合がある。
【0008】実公昭53−5431号公報には、血清分
離材の天面に、血清が通過することができて血餅が通過
することができないフィルターを設置し、血清の移動が
スムーズに進行する真空採血管が開示されている。
【0009】実開昭60−83959号公報、特開昭6
2−247249号公報には、血清分離材の天面又は底
面に特殊な弁構造を組み込み、血清の移動がスムーズに
進行する血清分離材が、それぞれ開示されている。
【0010】これらのフィルターや弁構造は、機械的強
度には優れている。しかし、これらのフィルターや弁構
造が有する血清の通過孔は、血餅中の電解質、酵素蛋白
等にとっても良好な通路となるので、凍結保存された遠
心分離後の検体は、解凍される際に、例えば、解凍後の
血清が示す溶血と同様に、血餅中の電解質、酵素等の各
種成分が、血清中に移行する等の問題が生じ、このよう
なフィルター、弁構造を使用した血液検査容器は、凍結
保存に適当ではない。
【0011】血液検体の最も望ましい保存は、凍結によ
るものである。しかし、血清の移し替えを必要としない
凍結保存が可能である血清分離材は提供されていないの
が現状である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記に鑑
み、凍結保存が可能である血清(血漿)分離材を有する
血液検査容器を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の血液検査
容器(以下、本発明1という)の要旨は、一端に開口部
を有する有底の管状容器である外筒と、前記外筒の内壁
に係止されて前記外筒と非接触な入れ子構造を形成する
内筒と、前記内筒に内設された血清(血漿)分離材と、
気密性を有する栓体とからなる血液検査容器であって、
前記内筒は、一端に開口部を有するものであり前記開口
部辺縁にひだ状構造を有するものである有底の管状容器
であって、剛性の大きさが、前記外筒の剛性の大きさ未
満であるものであり、前記血清(血漿)分離材は、血液
に不活性であって、比重が、1.03以上であるもので
あって、剛性の大きさが、前記内筒の剛性の大きさ以上
であるものであり、前記血清(血漿)分離材は、遠心分
離時に、前記内筒の内壁面を摺動するものであるところ
に存する。
【0014】請求項2記載の血液検査容器(以下、本発
明2という)の要旨は、内筒の内表面、血清(血漿)分
離材表面、及び、内筒が形成する内部空間のうちの少な
くとも一つは、独立して、血液凝固促進成分及び/又は
血液成分の付着防止成分、或いは、血液抗凝固成分が存
在されてなるものである請求項1記載の血液検査容器で
ある。
【0015】図1は、上記入れ子構造の一例を示す図で
ある。1は、外筒を表す。2は、内筒を表す。本発明1
で使用される内筒は、上記外筒の内壁に係止されて上記
外筒と非接触な入れ子構造を形成するものである。上記
内筒は、図示のように開口部辺縁で上記外筒と当接し底
部で上記外筒と当接するものであってもよい。
【0016】上記外筒に使用される材料としては特に限
定されず、例えば、硬質ガラス、軟質ガラス、ほうけい
酸ガラス、プラスチック等が挙げられる。上記プラスチ
ックとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート
系、ポリアクリロニトリル系の熱可塑性樹脂を挙げるこ
とができるが、特公平1−26504号公報に開示され
ているポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−4−メチ
ルペンテン−1、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレ
ート等の熱可塑性樹脂;不飽和ポリエステル樹脂、エポ
キシ樹脂、エポキシ−アクリレート樹脂等の熱硬化性樹
脂;酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪
酸セルロース、エチルセルロース、エチルキチン等の変
性天然樹脂も挙げることができる。
【0017】本発明1で使用される内筒は、剛性の大き
さが、上記外筒の剛性の大きさ未満であるものである。
上記内筒の剛性の大きさは、使用する材料のヤング率又
はこれに準ずる力学的物性値により規定してもよく、構
造体の変形率により規定してもよい。
【0018】上記内筒に使用される材料としては、上記
外筒に使用される材料のヤング率又はこれに準ずる力学
的物性値未満であるものであれば特に限定されず、例え
ば、上記外筒で使用されるもののほかに、架橋エラスト
マー、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
【0019】上記内筒の構造体としての変形率を大きく
する方法としては特に限定されず、例えば、上記外筒の
肉厚よりも薄い肉厚を有するもの、外表面に浅い切れ込
みを有するもの等が挙げられる。本発明1においては、
逆に上記外筒の壁面に補強用のリブを付けて上記内筒の
剛性の大きさを上記外筒の剛性の大きさ未満にしてもよ
い。
【0020】本発明1で使用される血清(血漿)分離材
は、血液に不活性であって、比重が1.03以上である
ものであって、剛性の大きさが、上記内筒の剛性の大き
さ以上であるものである。上記血清(血漿)分離材は、
血清を分離する機能を有し、また、場合により血漿を分
離する機能を有する。
【0021】上記血清(血漿)分離材は、遠心分離時に
上記内筒の内壁面を摺動しながら底部に向かって移動し
て検体を血清と血餅とに分離するものであるので、その
比重は、上記範囲に限定される。好ましくは、1.05
以上である。
【0022】上記血清(血漿)分離材の剛性の大きさ
は、使用する材料のヤング率又はこれに準ずる力学的特
性値により規定してもよく、構造体の変形率により規定
してもよい。上記血清(血漿)分離材に使用される材料
としては、上記内筒に使用される材料のヤング率又はこ
れに準ずる力学的特性値以上であるものであれば特に限
定されず、例えば、上記外筒で使用されるもの等が挙げ
られる。
【0023】図2は、上記血清(血漿)分離材の一例の
斜視図、横面図及び上面図を表す図である。図3は、上
記内筒が有するひだ状構造3の一例を表す図である。上
記ひだ状構造を形成するひだの形状、ひだの個数として
は特に限定されない。
【0024】上記血清(血漿)分離材は、上記内筒に内
設されるものであり、上記血清(血漿)分離材が、上記
内筒が有するひだ状構造部位に内設した場合には、上記
血清(血漿)分離材と上記内筒が有するひだ状構造部位
の間に間隙を形成し、上記血清(血漿)分離材の上下の
内筒空間を連通するものである。
【0025】本発明1の血液検査容器に検体を導入する
場合、検体は、上記血清(血漿)分離材と上記内筒が有
するひだ状構造部位とが形成する間隙を通して上記血清
(血漿)分離材の下方空間に導入される。
【0026】本発明1において、上記内筒の内表面、上
記血清(血漿)分離材表面、及び、上記内筒が形成する
内部空間のうちの少なくとも一つは、独立して、血液凝
固促進成分及び/又は血液成分の付着防止成分、或い
は、血液抗凝固成分が存在されてなるものであることが
好ましく、この好ましい形態が本発明2である。
【0027】上記血液凝固促進成分としては特に限定さ
れず、例えば、ガラス、シリカ、カオリン、ベントナイ
ト、珪藻土等の無機質粉末;エラグ酸等の有機質粉末
等、公知の成分が挙げられる。
【0028】上記血液成分の付着防止成分としては特に
限定されず、例えば、シリコーン系オイル、ポリビニル
ピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリ
コール、カルボキシメチルセルロース等の水溶性高分子
物質;ノニオン系界面活性物質;ポリプロピレングリコ
ール等、公知の成分が挙げられる。
【0029】上記血液抗凝固成分としては特に限定され
ず、例えば、エチレンジアミン四酢酸塩、クエン酸塩、
ヘパリン塩、ふっ化塩等、公知の物質が挙げられる。
【0030】上記血液凝固促進成分、上記血液成分の付
着防止成分、又は、上記血液抗凝固成分を、上記内筒の
内表面、上記血清(血漿)分離材表面、又は、上記内筒
が形成する内部空間に存在させる方法としては特に限定
されず、例えば、上記血液凝固促進成分、上記血液成分
の付着防止成分、又は、上記血液抗凝固成分を、例え
ば、水、アルコール等の媒体に分散又は溶解させてスプ
レー塗布する方法、内筒の成形用樹脂材料に練り込んで
成形する方法、血液に対して化学的物理的に不活性な担
体に担持させた後、内筒に収容する方法等、公知の方法
が挙げられる。
【0031】本発明1の血液検査容器の望ましい態様と
しては、例えば、真空採血管等が挙げられる。この場
合、真空採血された検体は、専用の採血針とホルダーと
により、内筒が有するひだ状構造と上記内筒に内設され
た血清(血漿)分離材とが形成する間隙を通して血清
(血漿)分離材の下方空間に導入され、凝固を待った
後、通常の条件で遠心分離される。
【0032】遠心分離時、上記血清(血漿)分離材は、
上記内筒の内壁面を摺動しながら底部に向かって移動
し、ひだ状構造部位を通過した後、血清(血漿)分離材
の下方空間に密閉された検体を圧縮する。圧縮力を受け
て水圧が高まった検体は、血清(血漿)分離材の底部に
向かっての移動を一時阻止する。
【0033】本発明1で使用される内筒の剛性の大きさ
は、外筒の剛性の大きさ未満であり、血清(血漿)分離
材の剛性の大きさは、内筒の剛性の大きさ以上であるの
で、このとき内筒は、上昇した検体の水圧のために膨満
変形して血清(血漿)分離材との間に間隙を形成する。
この間隙を通って検体の血清成分は、血清(血漿)分離
材の上方空間に移動する。血清成分の移動に伴い、血清
(血漿)分離材の下方空間に密閉されている検体の水圧
は低下し、血清(血漿)分離材は、再び底部に向かって
移動を開始する。このような繰り返しを通じて、最終的
に、血清(血漿)分離材は、血餅の上端に到達し、停止
して血餅を密封する。
【0034】本発明1の血液検査容器は、気密性の栓体
により封止されているので、血清(血漿)分離材が血餅
の上端に到達し、血清と血餅とが分離された後は、振
動、傾斜、転倒等により混合することがなく、血清は安
定的に保存される。また、凍結保存を行う場合、本発明
1で使用される血清(血漿)分離材は、破壊されないの
で、良好な保存状態を保つことができる。
【0035】検体を4℃で冷蔵保存する場合、血清中の
酵素活性の失活を完全に阻止することはできないが、本
発明1の血液検査容器は、−80℃での凍結保存が可能
であるので、血清中の酵素活性の失活を完全に阻止する
ことができる。
【0036】本発明1の血液検査容器が、内筒の内表
面、血清(血漿)分離材表面、又は、内筒が形成する内
部空間が、血液凝固促進成分が存在されてなるものであ
る場合には、採血後の血液凝固に要する時間を大幅に短
縮することができるので、遠心分離するまでの時間を短
縮することができ、検査業務を迅速に進めることができ
る。
【0037】本発明1の血液検査容器が、内筒の内表
面、血清(血漿)分離材表面、又は、内筒が形成する内
部空間が、血液成分の付着防止成分が存在されてなるも
のである場合には、血液凝固を急速に行わせるときに往
々にして起こる容器内壁面への血液成分、なかんずく血
餅の強固な付着を防止することができるので、遠心分離
によって付着した血餅がむりやり引き剥がされることに
より発生する溶血を事前に防止することができる。
【0038】本発明1の血液検査容器が、内筒の内表
面、血清(血漿)分離材表面、又は、内筒が形成する内
部空間が、血液抗凝固成分が存在されてなるものである
場合には、得られた検体は、凝固機能検査、緊急検査、
血糖検査等の種々の検査目的に使用することができる。
【0039】請求項3記載の血液検査容器(以下、本発
明3という)の要旨は、一端に開口部を有する有底の管
状容器であって該開口端から底部に向かって縮径するテ
ーパー形状を有する外筒と、前記外筒の内壁に係止され
て前記外筒と非接触な入れ子構造を形成する内筒と、前
記内筒に内設された血清(血漿)分離材と、気密性を有
する栓体とからなる血液検査容器であって、前記内筒
は、両端に開口部を有するものであり、上記外筒の開口
部側の開口部の辺縁にひだ状構造を有する筒状構造体で
あって、該両開口部の辺縁で前記外筒の内壁に係止され
ており、剛性の大きさが、前記外筒の剛性の大きさ未満
であるものであり、前記血清(血漿)分離材は、血液に
不活性であって、比重が、1.03以上であるものであ
って、剛性の大きさが、前記内筒の剛性の大きさ以上で
あるものであり、前記血清(血漿)分離材は、遠心分離
時に、前記内筒の内壁面を摺動するものであるところに
存する。
【0040】請求項4記載の血液検査容器(以下、本発
明4という)の要旨は、内筒の内表面、血清(血漿)分
離材表面、及び、内筒が形成する内部空間のうちの少な
くとも一つは、独立して、血液凝固促進成分及び/又は
血液成分の付着防止成分、或いは、血液抗凝固成分が存
在されてなるものである請求項4記載の血液検査容器で
ある。
【0041】以下、本発明3について説明する。
【0042】図4は、上記入れ子構造の一例を示す図で
ある。4は、外筒を表す。5は、内筒を表す。本発明3
で使用される外筒の形状は、開口端から底部に向かって
縮径するテーパー形状を有するものに限定されることの
他は、本発明1の外筒の形状と同様である。上記外筒に
使用される材料としては特に限定されず、例えば、本発
明1の説明で挙げたものが挙げられる。
【0043】本発明3で使用される内筒は、上記外筒の
内壁に係止されて上記外筒と非接触な入れ子構造を形成
するものである。前記内筒は、両端に開口部を有するも
のであり、上記外筒の開口部側の開口部の辺縁にひだ状
構造を有する筒状構造体であって、図示のように、上記
外筒の開口部側の開口部辺縁で上記外筒と当接し、上記
外筒の底部側の開口部の辺縁で前記外筒の内壁に当接す
ることにより、該両開口部の辺縁で前記外筒の内壁に係
止されている。
【0044】図5は、上記内筒が有するひだ状構造6の
一例を表す図である。上記ひだ状構造を形成するひだの
形状、ひだの個数としては特に限定されない。
【0045】上記内筒は、剛性の大きさが、上記外筒の
剛性の大きさ未満であるものである。上記内筒の剛性の
大きさは、使用する材料のヤング率又はこれに準ずる力
学的物性値により規定してもよく、構造体の変形率によ
り規定してもよい。
【0046】上記内筒に使用される材料としては、上記
外筒に使用される材料のヤング率又はこれに準ずる力学
的物性値未満であるものであれば特に限定されず、例え
ば、上記外筒で使用されるもののほかに、架橋エラスト
マー、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
【0047】上記内筒の構造体としての変形率を大きく
する方法としては特に限定されず、例えば、上記外筒の
肉厚よりも薄い肉厚を有するもの、外表面に浅い切れ込
みを有するもの等が挙げられる。本発明3においては、
逆に上記外筒の壁面に補強用のリブを付けて上記内筒の
剛性の大きさを上記外筒の剛性の大きさ未満にしてもよ
い。
【0048】上記内筒の中心軸方向の長さは、特に限定
されないが、通常、血液検体のヘマトクリットは約50
%であるので、外筒の中心軸方向の長さの1/2以上と
するのが好ましい。
【0049】本発明3で使用される血清(血漿)分離材
は、血液に不活性であって、比重が1.03以上である
ものであって、剛性の大きさが、上記内筒の剛性の大き
さ以上であるものである。上記血清(血漿)分離材は、
血清を分離する機能を有し、また、場合により血漿を分
離する機能を有する。
【0050】上記血清(血漿)分離材は、遠心分離時に
上記内筒の内壁面を摺動しながら底部に向かって移動し
て検体を血清と血餅とに分離するものであるので、その
比重は、上記範囲に限定される。好ましくは、1.05
以上である。
【0051】上記血清(血漿)分離材の剛性の大きさ
は、使用する材料のヤング率又はこれに準ずる力学的特
性値により規定してもよく、構造体の変形率により規定
してもよい。上記血清(血漿)分離材に使用される材料
としては、上記内筒に使用される材料のヤング率又はこ
れに準ずる力学的特性値以上であるものであれば特に限
定されず、例えば、上記外筒で使用されるもの等が挙げ
られる。
【0052】上記血清(血漿)分離材の形状の例として
は、本発明1と同様である。
【0053】上記血清(血漿)分離材は、上記内筒に内
設されるものであり、上記血清(血漿)分離材が、上記
内筒が有するひだ状構造部位に内設した場合には、上記
血清(血漿)分離材と上記内筒が有するひだ状構造部位
の間に間隙を形成し、上記血清(血漿)分離材の上下の
内筒空間を連通するものである。
【0054】本発明3の血液検査容器に検体を導入する
場合、検体は、上記血清(血漿)分離材と上記内筒が有
するひだ状構造部位とが形成する間隙を通して上記血清
(血漿)分離材の下方空間に導入される。
【0055】本発明3において、上記内筒の内表面、上
記血清(血漿)分離材表面、及び、上記内筒が形成する
内部空間のうちの少なくとも一つは、独立して、血液凝
固促進成分及び/又は血液成分の付着防止成分、或い
は、血液抗凝固成分が存在されてなるものであることが
好ましく、この好ましい形態が本発明4である。
【0056】上記血液凝固促進成分、血液成分の付着防
止成分、血液抗凝固成分としては特に限定されず、例え
ば、それぞれ、本発明1の説明で挙げたものが挙げられ
る。
【0057】上記血液凝固促進成分、上記血液成分の付
着防止成分、又は、上記血液抗凝固成分を、上記内筒の
内表面、上記血清(血漿)分離材表面、又は、上記内筒
が形成する内部空間に存在させる方法としては特に限定
されず、例えば、本発明1の説明で述べた方法と同様で
ある。
【0058】本発明3の血液検査容器の望ましい態様と
しては、例えば、真空採血管等が挙げられる。この場
合、真空採血された検体は、専用の採血針とホルダーと
により、内筒が有するひだ状構造と上記内筒に内設され
た血清(血漿)分離材とが形成する間隙を通して血清
(血漿)分離材の下方空間に導入され、凝固を待った
後、通常の条件で遠心分離される。
【0059】遠心分離時、上記血清(血漿)分離材は、
上記内筒の内壁面を摺動しながら底部に向かって移動
し、ひだ状構造部位を通過した後、血清(血漿)分離材
の下方空間に密閉された検体を圧縮する。圧縮力を受け
て水圧が高まった検体は、血清(血漿)分離材の底部に
向かっての移動を一時阻止する。
【0060】本発明3で使用される内筒の剛性の大きさ
は、外筒の剛性の大きさ未満であり、血清(血漿)分離
材の剛性の大きさは、内筒の剛性の大きさ以上であるの
で、このとき内筒は、上昇した検体の水圧のために膨満
変形して血清(血漿)分離材との間に間隙を形成する。
この間隙を通って検体の血清成分は、血清(血漿)分離
材の上方空間に移動する。血清成分の移動に伴い、血清
(血漿)分離材の下方空間に密閉されている検体の水圧
は低下し、血清(血漿)分離材は、再び底部に向かって
移動を開始する。このような繰り返しを通じて、最終的
に、血清(血漿)分離材は、血餅の上端に到達し、停止
して血餅を密封する。
【0061】本発明3の血液検査容器は、気密性の栓体
により封止されているので、血清(血漿)分離材が血餅
の上端に到達し、血清と血餅とが分離された後は、振
動、傾斜、転倒等により混合することがなく、血清は安
定的に保存される。また、凍結保存を行う場合、本発明
3で使用される血清(血漿)分離材は、破壊されないの
で、良好な保存状態を保つことができる。
【0062】検体を4℃で冷蔵保存する場合、血清中の
酵素活性の失活を完全に阻止することはできないが、本
発明3の血液検査容器は、−80℃での凍結保存が可能
であるので、血清中の酵素活性の失活を完全に阻止する
ことができる。
【0063】本発明3の血液検査容器が、内筒の内表
面、血清(血漿)分離材表面、又は、内筒が形成する内
部空間が、血液凝固促進成分、血液成分の付着防止成
分、又は、血液抗凝固成分が存在されてなるものである
場合の効果については、それぞれ、本発明1の説明で述
べた効果と同様である。
【0064】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。
【0065】実施例1 外筒、内筒、血清(血漿)分離材の作成 図6に示す外筒を、ポリメチルメタクリレート(ヤング
率300kg/mm2、比重1.2)を用いて、射出成
形により作成した。図7に示す内筒を、低密度ポリエチ
レン(ヤング率20kg/mm2 、比重0.92)を用
いて、ブロー成形により作成した。図8に示す血清(血
漿)分離材を、比重が1.04であるポリスチレン(ヤ
ング率350kg/mm2 )を用いて、射出成形により
作成した。
【0066】血液検査容器の組み立て 内筒を外筒に圧入固定し、血清(血漿)分離材を内筒開
口端付近のひだ状部に挿入内設して、採血量が6mlと
なるように容器内部を減圧し、イソプレンイソブチレン
ラバー製の栓体で封止した。このような血液検査容器を
3本用意した。
【0067】評価 該血液検査容器3本にヒト新鮮血を真空採血した。約2
3℃の室温にて1時間静置して、血液を凝固させた後、
4000rpm、10分間、遠心分離を行った。血清
(血漿)分離材による血清分離性を目視観察した後、続
いて直ちに、血清の半分を清浄な硬質ガラス試験管に分
取し、初期値用検体として−20℃で凍結保存した。
【0068】残った半量の血清は、3本とも該血液検査
容器に入れたまま、それぞれ4℃の冷蔵、−20℃、−
80℃の凍結で、24時間保存した。所定時間後に室温
に戻した後、分離性を再度、目視観察し、血清を清浄な
硬質ガラス試験管に分取して24時間保存検体とした。
合計6検体についてK、LDHを測定した。結果を表1
に示した。
【0069】表1から明らかなように、遠心分離後の分
離性は、良好であり、血清と血餅は血清(血漿)分離材
によって明瞭に遮断されていた。また、4℃冷蔵、−2
0℃及び−80℃凍結のいずれの条件でも保存前後の分
離性に変化はなく、K、LDHも初期値と遜色なく安定
に保たれていた。更に、比較例2の硬質ガラス試験管で
得られたK、LDHとも遜色なく、検査値への悪影響も
ないことがわかった。
【0070】比較例1 実施例1で用いたのと同じ外筒の底部にチクソトロピー
性のペースト状血清(血漿)分離材(エスコレクト、積
水化学工業社製)1.2gを収容し、採血量が6mlと
なるように容器内部を減圧してイソプレンイソブチレン
ラバー製の栓体で封止したものを3本用意した。ヒト新
鮮血の採取、分離性の評価、24時間保存性の評価等を
実施例1と同様にして行った。結果を表1に示した。
【0071】表1から明らかなように、遠心分離直後及
び4℃冷蔵保存後の分離性は、良好であったものの、−
20℃、−80℃の冷凍保存では隔壁は破壊され、室温
に戻すと強い溶血を起こした。また、4℃冷蔵保存で
は、K、LDHは安定に保たれているものの、−20
℃、−80℃では強い溶血のために異常高値を示し、初
期値とは大きく乖離した。
【0072】比較例2 10ml容量の清浄な硬質ガラス試験管を採血量が6m
lとなるように容器内部を減圧し、イソプレンイソブチ
レンラバー製の栓体で封止した。ヒト新鮮血6mlを真
空採血し、約23℃の室温にて1時間静置して、血液を
凝固させた後、4000rpm、10分間、遠心分離を
行った。直ちに、血清全量を清浄な硬質ガラス試験管に
分取し、初期値用検体として−20℃で24時間凍結保
存し、K、LDHを測定した。結果を表1に示した。
【0073】
【表1】
【0074】実施例2 血液凝固促進成分及び血液成分
の付着防止成分の効果の確認 血液検査容器の組み立て 平均粒径5μmのシリカ微粉末(試薬グレード、和光純
薬工業社製)及びシリコーン系ノニオン界面活性剤(S
H3749、トーレダウコーニング社製)を各々0.5
w/v%、0.1w/v%の割合でイソプロピルアルコ
ール10v/v%を含むフレオン11/12混合媒体に
懸濁させたものを用意した。実施例1で用いたのと同じ
構成の検査容器について、内筒に該懸濁液を約200μ
lスプレー塗布して自然乾燥させた。一方、シリコーン
系ノニオン界面活性剤(SH3749、トーレダウコー
ニング社製)の0.1w/v%メチルアルコール溶液に
血清(血漿)分離材を浸漬して自然乾燥させた。内筒を
外筒に圧入固定し、血清(血漿)分離材を内筒開口端付
近のひだ状部に挿入内設して、採血量が6mlとなるよ
うに容器内部を減圧し、イソプレンイソブチレンラバー
製の栓体で封止した。
【0075】評価 該血液検査容器にヒト新鮮血を真空採血した。約23℃
の室温にて静置し、血液が流動性を消失し、血清が滲出
し始めた時間を凝固時間として測定したところ、約20
分であった。続いて、4000rpm、10分間、遠心
分離を行った。血清(血漿)分離材による血清分離性を
目視観察した後、続いて直ちに、血清の半分を清浄な硬
質ガラス試験管に分取し、初期値検体として−20℃で
凍結保存した。残った半量の血清は、該検査容器に入れ
たまま、−20℃で24時間凍結保存した。所定時間後
に室温に戻した後、分離性を再度、目視観察し、血清を
清浄な硬質ガラス試験管に分取して、24時間保存検体
とした。合計2検体についてK、LDHを測定した。結
果を表2に示した。血液凝固時間は実施例1の血液凝固
促進成分を収容しない場合に比べて約1/3に短縮さ
れ、また表2から明かなように、遠心分離後の分離性も
良好であった。更に、−20℃での凍結保存前後の分離
性にも変化はなく、K、LDHも初期値と遜色なく、検
査値への影響もないことがわかった。
【0076】
【表2】
【0077】実施例3 血液抗凝固成分の効果の確認 血液検査容器の組み立て ヘパリンNa(試薬グレード、和光純薬工業社製)及び
シリコーン系ノニオン界面活性剤(SH3749、トー
レダウコーニング社製)を各々4000IU/ml、
0.4w/v%の割合で含む水溶液を用意した。実施例
1で用いたのと同じ構成の検査容器について、内筒に該
水溶液を約25μlスプレー塗布して自然乾燥させた。
一方、シリコーン系ノニオン界面活性剤(SH374
9、トーレダウコーニング社製)の0.1w/v%メチ
ルアルコール溶液に血清(血漿)分離材を浸漬して自然
乾燥させた。内筒を外筒に圧入固定し、血清(血漿)分
離材を内筒開口端付近のひだ状部に挿入内設して、採血
量が6mlとなるように容器内部を減圧し、イソプレン
イソブチレンラバー製の栓体で封止した。
【0078】評価 該血液検査容器にヒト新鮮血を真空採血した。充分に転
倒混和して、ヘパリンNaを血液中に溶解させた後、4
000rpm、10分間、遠心分離を行った。血清(血
漿)分離材による血漿分離性を目視観察した後、続いて
直ちに、血漿の半分を清浄な硬質ガラス試験管に分取
し、初期値検体として−20℃で凍結保存した。残った
半量の血漿は、該検査容器に入れたまま、−20℃で2
4時間凍結保存した。所定時間後に室温に戻した後、分
離性を再度、目視観察し、血漿を清浄な硬質ガラス試験
管に分取して、24時間保存検体とした。
【0079】合計2検体についてK、LDHを測定し
た。結果を表3に示した。表3から明かなように、遠心
分離後の分離性も良好であった。更に、−20℃での凍
結保存前後の分離性にも変化はなく、K、LDHも初期
値と遜色なく、検査値への影響もないことがわかった。
【0080】比較例3 血液抗凝固成分の効果の確認 10ml容量の清浄な硬質ガラス試験管にヘパリンNa
(試薬グレード、和光純薬工業社製)を4000IU/
mlの割合で含む水溶液を約25μlスプレー塗布して
自然乾燥させた。得られた試験管を採血量が6mlとな
るように容器内部を減圧し、イソプレンイソブチレンラ
バー製の栓体で封止した。ヒト新鮮血6mlを真空採血
し、充分に転倒混和して、ヘパリンNaを血液中に溶解
させた後、4000rpm、10分間、遠心分離を行っ
た。直ちに、血漿全量を清浄な硬質ガラス試験管に分取
し、初期値検体として−20℃で24時間凍結保存し、
K、LDHを測定した。結果を表3に示した。
【0081】
【表3】
【0082】実施例4 外筒、内筒、血清(血漿)分離材の作成 図6に示す外筒を、ポリアセタール(ヤング率1420
kg/mm2 、比重1.4)を用いて、射出成形により
作成した。図7に示す内筒を、ポリプロピレン(ヤング
率120kg/mm2 、比重0.9)を用いて、ブロー
成形により作成した。図8に示す血清(血漿)分離材
を、比重が1.06であるポリフェニレンオキサイド
(ヤング率270kg/mm2 )を用いて、射出成形に
より作成した。
【0083】血液凝固促進成分及び血液成分の付着防止
成分の懸濁液の作成 平均粒径5μmのシリカ微粉末(試薬グレード、和光純
薬工業社製)及びシリコーン系ノニオン界面活性剤(S
H3749、トーレダウコーニング社製)を各々0.5
w/v%、0.1w/v%の割合でメタノールに懸濁さ
せたものを用意した。
【0084】血液成分の付着防止成分の溶液の作成 シリコーン系ノニオン界面活性剤(SH3749、トー
レダウコーニング社製)を0.1w/v%の割合でメタ
ノールに溶解させたものを用意した。
【0085】血液検査容器の組み立て 内筒に血液凝固促進成分及び血液成分の付着防止成分の
懸濁液を約200μlスプレー塗布して自然乾燥させ
た。血清(血漿)分離材に、血液成分の付着防止成分の
溶液をスプレー塗布して自然乾燥させた。しかる後、実
施例1と同様にして、これらを組み立てて血液検査容器
を作成した。
【0086】評価 該血液検査容器にヒト新鮮血を真空採血した。約23℃
の室温にて静置し、血液が流動性を消失し、血清が滲出
し始めた時間を凝固時間として測定したところ、約25
分であった。続いて、5000rpm、10分間、遠心
分離を行った。血清(血漿)分離材による血清分離性を
目視観察した後、続いて直ちに、血清の半分を清浄な硬
質ガラス試験管に分取し、初期値検体として−20℃で
凍結保存した。残った半量の血清は、該検査容器に入れ
たまま、−20℃で24時間凍結保存した。所定時間後
に室温に戻した後、分離性を再度、目視観察し、血清を
清浄な硬質ガラス試験管に分取して、24時間保存検体
とした。合計2検体についてK、LDHを測定した。結
果を表4に示した。
【0087】血液凝固時間は、同時に実施した硬質ガラ
ス製試験管中での値30分と比べて同等以上であり、遠
心分離後の分離性も良好であった。更に、−20℃での
凍結保存前後の分離性にも変化はなく、K、LDHも初
期値と遜色なく、検査値への影響もないことがわかっ
た。
【0088】
【表4】
【0089】実施例5 外筒、内筒、血清(血漿)分離材の作成 図6に示す外筒を、アクリロニトリル−スチレン共重合
体(ヤング率340kg/mm2 、比重1.07)を用
いて、射出成形により作成した。図7に示す内筒を、低
密度ポリエチレン(ヤング率20kg/mm2 、比重
0.92)を用いて、ブロー成形により作成した。図8
に示す血清(血漿)分離材を、比重が1.04であるポ
リスチレン(ヤング率350kg/mm2 )を用いて、
射出成形により作成した。
【0090】血液検査容器の組み立て 外筒の底部にエチレンジアミン四酢酸二カリウム塩4m
g、フッ化ナトリウム3mgを収容した後、内筒を外筒
に圧入固定し、血清(血漿)分離材を内筒開口端付近の
ひだ状部に挿入内設して、採血量が2mlとなるように
容器内部を減圧し、イソプレンイソブチレンラバー製の
栓体で封止して、血液検査容器を作成した。
【0091】評価 該血液検査容器にヒト新鮮血を真空採血した。充分に転
倒混和して、エチレンジアミン四酢酸二カリウム塩、フ
ッ化ナトリウムを血液中に溶解させた後、5000rp
m、10分間、遠心分離を行った。血清(血漿)分離材
による血漿分離性を目視観察した後、続いて直ちに、血
漿の半分を清浄な硬質ガラス試験管に分取し、初期値検
体として−20℃で凍結保存した。残った半量の血漿
は、該検査容器に入れたまま、−20℃で24時間凍結
保存した。所定時間後に室温に戻した後、分離性を再
度、目視観察し、血漿を清浄な硬質ガラス試験管に分取
して、24時間保存検体とした。
【0092】合計2検体について血糖値を測定した。結
果を表5に示した。表5から明かなように、遠心分離後
の分離性も良好であった。更に、−20℃での凍結保存
前後の分離性にも変化はなく、血糖値も初期値と遜色な
く、検査値への影響もないことがわかった。
【0093】
【表5】
【0094】実施例6 外筒、内筒、血清(血漿)分離材の作成 図6に示す外筒を、ポリカーボネート(ヤング率240
kg/mm2 、比重1.2)を用いて、射出成形により
作成した。図9に示す内筒を、オレフィン系熱可塑性エ
ラストマー(ヤング率1kg/mm2 、比重1.0)を
用いて、ブロー成形により作成した。図8に示す血清
(血漿)分離材を、比重が1.04であるポリスチレン
(ヤング率350kg/mm2 )を用いて、射出成形に
より作成した。
【0095】血液凝固促進成分及び血液成分の付着防止
成分の懸濁液の作成 実施例4と同様の血液凝固促進成分及び血液成分の付着
防止成分の懸濁液を用意した。
【0096】血液成分の付着防止成分の溶液の作成 実施例4と同様の血液成分の付着防止成分の溶液を用意
した。
【0097】血液検査容器の組み立て 内筒に血液凝固促進成分及び血液成分の付着防止成分の
懸濁液を約200μlスプレー塗布して自然乾燥させ
た。血清(血漿)分離材に、血液成分の付着防止成分の
溶液をスプレー塗布して自然乾燥させた。しかる後、実
施例1と同様にして、これらを組み立てて血液検査容器
を作成した。
【0098】評価 該血液検査容器にヒト新鮮血を真空採血した。約23℃
の室温にて静置し、血液が流動性を消失し、血清が滲出
し始めた時間を凝固時間として測定したところ、約25
分であった。続いて、5000rpm、10分間、遠心
分離を行った。血清(血漿)分離材による血清分離性を
目視観察した後、続いて直ちに、血清の半分を清浄な硬
質ガラス試験管に分取し、初期値検体として−20℃で
凍結保存した。残った半量の血清は、該検査容器に入れ
たまま、−20℃で24時間凍結保存した。所定時間後
に室温に戻した後、分離性を再度、目視観察し、血清を
清浄な硬質ガラス試験管に分取して、24時間保存検体
とした。合計2検体についてK、LDHを測定した。結
果を表6に示した。
【0099】血液凝固時間は、同時に実施した硬質ガラ
ス製試験管中での値30分と比べて同等以上であり、遠
心分離後の分離性も良好であった。更に、−20℃での
凍結保存前後の分離性にも変化はなく、K、LDHも初
期値と遜色なく、検査値への影響もないことがわかっ
た。
【0100】実施例7 外筒、内筒、血清(血漿)分離材の作成 図6に示す外筒を、ポリエチレンテレフタレート(ヤン
グ率270kg/mm 2 、比重1.4)を用いて、射出
成形により作成した。図9に示す内筒を、ウレタン系熱
可塑性エラストマー(ヤング率2kg/mm 2 、比重
1.2)を用いて、ブロー成形により作成した。図8に
示す血清(血漿)分離材を、比重が1.06であるポリ
フェニレンオキサイド(ヤング率270kg/mm2
を用いて、射出成形により作成した。
【0101】血液凝固促進成分及び血液成分の付着防止
成分の懸濁液の作成 実施例4と同様の血液凝固促進成分及び血液成分の付着
防止成分の懸濁液を用意した。
【0102】血液成分の付着防止成分の溶液の作成 実施例4と同様の血液成分の付着防止成分の溶液を用意
した。
【0103】血液検査容器の組み立て 内筒に血液凝固促進成分及び血液成分の付着防止成分の
懸濁液を約200μlスプレー塗布して自然乾燥させ
た。血清(血漿)分離材に、血液成分の付着防止成分の
溶液をスプレー塗布して自然乾燥させた。しかる後、実
施例1と同様にして、これらを組み立てて血液検査容器
を作成した。
【0104】評価 該血液検査容器にヒト新鮮血を真空採血した。約23℃
の室温にて静置し、血液が流動性を消失し、血清が滲出
し始めた時間を凝固時間として測定したところ、約25
分であった。続いて、5000rpm、10分間、遠心
分離を行った。血清(血漿)分離材による血清分離性を
目視観察した後、続いて直ちに、血清の半分を清浄な硬
質ガラス試験管に分取し、初期値検体として−20℃で
凍結保存した。残った半量の血清は、該検査容器に入れ
たまま、−20℃で24時間凍結保存した。所定時間後
に室温に戻した後、分離性を再度、目視観察し、血清を
清浄な硬質ガラス試験管に分取して、24時間保存検体
とした。合計2検体についてK、LDHを測定した。結
果を表6に示した。
【0105】血液凝固時間は、同時に実施した硬質ガラ
ス製試験管中での値30分と比べて同等以上であり、遠
心分離後の分離性も良好であった。更に、−20℃での
凍結保存前後の分離性にも変化はなく、K、LDHも初
期値と遜色なく、検査値への影響もないことがわかっ
た。
【0106】
【表6】
【0107】
【発明の効果】本発明1〜4の血液検査容器は上述の構
成からなるので、真空採血に好適であり、血清(血漿)
の分離性に優れており、−20℃又は−80℃凍結保存
により検体を安定に保つことができ、臨床検査の迅速
化、信頼性向上に寄与するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明1の血液検査容器の入れ子構造の一例を
示す図。
【図2】本発明1の血液検査容器の血清(血漿)分離材
の一例の斜視、横面及び上面を示す図。
【図3】本発明1の血液検査容器の内筒が有するひだ状
構造の一例を示す図。
【図4】本発明3の血液検査容器の入れ子構造の一例を
示す図。
【図5】本発明3の血液検査容器の内筒が有するひだ状
構造の一例を示す図。
【図6】実施例の外筒を示す図。
【図7】実施例1〜5の内筒を示す図。
【図8】実施例の血清(血漿)分離材を示す図。
【図9】実施例6、7の内筒を示す図。
【符号の説明】
1 外筒 2 内筒 3 ひだ状構造 4 外筒 5 内筒 6 ひだ状構造

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一端に開口部を有する有底の管状容器で
    ある外筒と、前記外筒の内壁に係止されて前記外筒と非
    接触な入れ子構造を形成する内筒と、前記内筒に内設さ
    れた血清(血漿)分離材と、気密性を有する栓体とから
    なる血液検査容器であって、前記内筒は、一端に開口部
    を有するものであり前記開口部辺縁にひだ状構造を有す
    るものである有底の管状容器であって、剛性の大きさ
    が、前記外筒の剛性の大きさ未満であるものであり、前
    記血清(血漿)分離材は、血液に不活性であって、比重
    が、1.03以上であるものであって、剛性の大きさ
    が、前記内筒の剛性の大きさ以上であるものであり、前
    記血清(血漿)分離材は、遠心分離時に、前記内筒の内
    壁面を摺動するものであることを特徴とする血液検査容
    器。
  2. 【請求項2】 内筒の内表面、血清(血漿)分離材表
    面、及び、内筒が形成する内部空間のうちの少なくとも
    一つは、独立して、血液凝固促進成分及び/又は血液成
    分の付着防止成分、或いは、血液抗凝固成分が存在され
    てなるものである請求項1記載の血液検査容器。
  3. 【請求項3】 一端に開口部を有する有底の管状容器で
    あって該開口端から底部に向かって縮径するテーパー形
    状を有する外筒と、前記外筒の内壁に係止されて前記外
    筒と非接触な入れ子構造を形成する内筒と、前記内筒に
    内設された血清(血漿)分離材と、気密性を有する栓体
    とからなる血液検査容器であって、前記内筒は、両端に
    開口部を有するものであり、上記外筒の開口部側の開口
    部の辺縁にひだ状構造を有する筒状構造体であって、該
    両開口部の辺縁で前記外筒の内壁に係止されており、剛
    性の大きさが、前記外筒の剛性の大きさ未満であるもの
    であり、前記血清(血漿)分離材は、血液に不活性であ
    って、比重が、1.03以上であるものであって、剛性
    の大きさが、前記内筒の剛性の大きさ以上であるもので
    あり、前記血清(血漿)分離材は、遠心分離時に、前記
    内筒の内壁面を摺動するものであることを特徴とする血
    液検査容器。
  4. 【請求項4】 内筒の内表面、血清(血漿)分離材表
    面、及び、内筒が形成する内部空間のうちの少なくとも
    一つは、独立して、血液凝固促進成分及び/又は血液成
    分の付着防止成分、或いは、血液抗凝固成分が存在され
    てなるものである請求項3記載の血液検査容器。
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