JPH09189114A - 外壁モルタル補強用繊維構造体 - Google Patents
外壁モルタル補強用繊維構造体Info
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- JPH09189114A JPH09189114A JP381596A JP381596A JPH09189114A JP H09189114 A JPH09189114 A JP H09189114A JP 381596 A JP381596 A JP 381596A JP 381596 A JP381596 A JP 381596A JP H09189114 A JPH09189114 A JP H09189114A
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Abstract
上げ層のひび割れ防止及び脱落防止に著しい効果をはっ
きする外壁モルタル補強用繊維構造体を提供すること。 【解決手段】 少なくとも一方向に配列された合成樹脂
で被覆された長繊維糸、好ましくは合成樹脂で被覆され
た長繊維糸からなるネット状シートと、短繊維からなる
不織布シートとを複合してなる外壁モルタル補強用繊維
構造体。
Description
れた長繊維糸が、短繊維からなる不織布シート(以下短
繊維不織布シートということがある)に、少なくとも一
方向に複合化されてなる外壁モルタル補強用繊維構造体
に関する。さらに詳しくは、コンクリート構造物等の外
壁表面に仕上げ施工を行うにあたって、仕上げ層のひび
割れ防止や脱落防止に著しい効果を有する下地モルタル
層補強用繊維構造体に関するものである。
層補強方法としては、短繊維不織布シートを用いる所謂
「ベースネット工法」(例えば特公平2−61584号
公報)や長繊維糸よりなるネット状シートをアンカーピ
ンで躯体に固定する所謂「ピンネット工法」(例えば特
公昭60−5750号公報)などが知られている。しか
しながら、これらの方法はいずれも、最近の大型構造物
の外壁補強・補修工事等に用いる場合には種々の問題点
を有している。例えば、前者の方法は下地モルタル層と
仕上げ層との接着性においては大きな効果を発揮する
が、面方向の補強がなされていないため、ひとたび浮き
上がりが起こると仕上げ層の剥離の予知はできても脱落
を抑制することはできないという問題がある。また後者
の方法は、前者の方法に比較して仕上げ層の脱落防止と
いう点では有効であるが、下地モルタル層と仕上げ層と
の接着性に関しては効果が乏しく、これを補うために用
いられる多数のアンカーピンが逆に躯体の損傷を招く結
果、十分な補強効果が得られなくなるという問題があ
る。この様な従来の補強方法の問題点を解決するため、
下地となるモルタル層の補強及び仕上げ層との接着に適
した繊維構造体の開発が望まれていた。
鑑みてなされたものであり、その目的は、近年の大型構
造物の外壁補強・補修工事等においても十分な補強効果
を発揮し得る下地モルタル層の補強用材料を提供するこ
とにある。
からなる不織布シートに、合成樹脂で被覆された長繊維
糸が、その少なくとも一方向に複合されてなる外壁モル
タル補強用繊維構造体。」により達成される。
所謂「ピンネット工法」に用いられていたものと同一で
も大きな効果が得られるが、本発明が目的とする大型構
造物の外壁補強に供するためには10g/de以上の引
張強度を有する高強力長繊維糸であることが好ましく、
例えば、高強力ビニロン、高強力ポリエチレン、ポリア
リレート、パラ型アラミドなどの有機長繊維糸やカーボ
ン、ガラスなどの無機長繊維糸を例示することができ
る。引張強度が10g/de未満の長繊維糸を用いる場
合は、面方向の強力を確保するためにはその繊維使用量
を増やすことになるが、この結果として後述する樹脂の
含浸が不十分になるか又は長繊維糸間の線条間隔(以下
配列間隔ということがある)が狭くなってモルタルの浸
透不良を招くことがある。長繊維糸の総繊度は、その強
度によっても変わってくるが、通常は1000de以上
5000de以下、好ましくは1000de以上300
0de以下である。
いるか、又は、ネット状シートとして短繊維不織布シー
トに複合される場合には、ネット状シートに構成される
過程もしくはネット状シートに構成された後に合成樹脂
で被覆して用いる。かくすることにより、繊維の集束部
分や交差部分又は単繊維中での水分の蓄積を防止し、こ
れによって外気温変化によるモルタル層の損傷を抑制す
ることが可能となる。好ましく用いられる合成樹脂は、
アクリル酸エステル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル
樹脂などである。
向に配列して複合されている限りその配列方向は任意で
あり、必要とされる補強の方向に応じて変えることが可
能である。例えば一軸方向のみの補強で充分な場合は、
一定の線条間隔で一方向に引き揃えたものを後述の短繊
維不織布シートと複合して補強に用いる。また面方向の
補強を必要とする場合は、長繊維糸を二軸、三軸又は四
軸方向以上に配したものをネット状シートとして用い
る。なお長繊維糸の配列方法としては、織布や編布とし
てネット状に仕立てたものが一般的であるが、本発明の
効果を最大限に発揮するには、長繊維糸を編織すること
なく複数軸方向に重ね合わせた組布構造のものが伸びが
少ないためにより好適である。この組布構造のものは、
合成樹脂で一体化されていることが、補強効果及び取扱
い性の点から好ましい。
の程度及び長繊維糸からなるシートの構造に応じて任意
に変えることが可能であるが、通常は5mm以上60m
m以下である。この範囲未満の場合にはモルタルの浸透
不良を招くことがあり、一方この範囲を越える場合には
補強効果が不十分になることがある。
ートは、所謂「ベースネット工法」に使用されるものと
同様のもので良く、通常ポリプロピレン、ポリエチレ
ン、ビニロン、カーボンなどの素材が使われるが特に限
定されるものではなく、耐アルカリ性を有するタイプで
あればいかなる繊維でも良い。例えばパラ型アラミド繊
維であるコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフ
ェニレンテレフタルアミド繊維(商標名テクノーラ:帝
人株式会社製)なども好適である。施工時のモルタルの
滲み出しを考慮すると、その繊度は5de以上90de
以下が好ましく、これを目付5g/m2 以上150g/
m2 以下の不織布シートにして用いることが好ましい。
短繊維の繊度が5de未満では製造コストが高くなるだ
けでなく、施工時に繊維が寝易くなってモルタル下地層
と仕上げ層の接着力が低下することがある。一方90d
eを越えると短繊維の剛性が高くなりすぎて均一に交絡
した不織布シートが得難くなる。また不織布シートの目
付が5g/m2 未満では、得られる繊維構造体中に占め
る短繊維の量が少なくなりすぎて外壁モルタルの補強効
果が低下する。一方150g/m2 を越えるとモルタル
の浸透を阻害して下地層と仕上げ層との間のモルタル連
続性が損なわれ界面剥離しやすくなる。
糸を短繊維不織布シートに、その少なくとも一方向に複
合することによって製造されるが、モルタルの滲み出し
並びに下地層と仕上げ層の接着性確保の観点から全体の
厚みを0.5mm以上5.0mm以下の範囲にすること
が望ましい。0.5mm未満では薄すぎて下地層と仕上
げ層間の接着性向上効果が小さくなり、逆に5.0mm
を越えると厚くなりすぎて下地層と仕上げ層間のモルタ
ルの連続性が損なわれやすく剥離界面となる場合がある
ので好ましくない。
1018−6−17−2のB法で測定した破裂強度が6
0Kg/cm2 以上であることが、本発明が目的とする
大型構造物の外壁補強には望ましく、この範囲未満では
外壁補強効果が不十分となり易い。
る工程の一例を図1に示す。図中、1a及び1bは同一
もしくは異なる仕様の不織布シートを表わし、2は長繊
維糸からなるネット状シートを表わす。両者の複合には
反応型接着剤、例えばウレタン系接着剤、エポキシ系接
着剤、アクリル系接着剤などを用いる方法が最も簡単で
好適である。この場合、例えば一方の不織布シートに接
着剤をスプレーし、裏面にもう一方の不織布シートを配
したネット状シートと共にプレスして一体化し繊維構造
体となす。もちろん接着剤にかえてニードルパンチなど
の方法で物理的に複合させることも可能であるが、ネッ
ト状シートの損傷による強度低下等の問題が発生し易く
なる。なお図中3は、本発明の外壁モルタル補強用繊維
構造体であり、詳細な構造を図2A及びBに模式的に例
示した。これらの図中、1a及び1bが不織布部分を、
2がネット部分を表わす。
ト工法」や「ピンネット工法」などの施工方法における
不織布シートやネット状シートと同等の使用が可能であ
る。一例をあげると、大型構造物のモルタル表面もしく
はタイルなどの旧仕上げ材表面に下地調整材を塗布し、
その上に樹脂モルタル層を設ける。次いでこの樹脂モル
タルが硬化する前に、本発明の繊維構造体をローラーな
どで押し付けるようにして貼りつける。補強する壁面が
特に大型の場合には、この段階で必要に応じてアンカー
ピンを併用することができる。最後にこの上に新たな樹
脂モルタル層とタイルなどの新規仕上げ材の層を設けて
一連の外壁補強作業を完了する。
る。 [実施例1]引張強度が10g/de、総繊度が180
0deの高強力ビニロン繊維2本及び引張強度が28g
/de、総繊度が1500deのパラ型アラミド繊維
(帝人株式会社製:テクノーラ)1本を、それぞれアク
リル樹脂(日本カーバイド社製:ニカゾールFX32
9)で被覆・含浸した後、一方をタテ、他方をヨコに配
してネット状シートを作成した。各々の繊維のなす角度
は約90度であり線条間隔はほぼ10mmであった。こ
のネット状シートの両面に太さが65de、長さが89
mmのポリプロピレン短繊維よりなる目付30g/m2
の不織布シートを、反応性ポリウレタン樹脂(カネボウ
NSC社製:ボンドマスターMR90)を接着剤に用い
て複合することによって、厚みが1.5mm、総目付が
150g/m 2 、破裂強度が105Kg/cm2 の繊維
構造体を得た。
mのワッシャーが付いたアンカーピンを下向きに差し込
み、繊維構造体の下面にネット張り付け材(樹脂モルタ
ル)の層を、上面にアンカーピンを覆うようにタイル張
り付け材(既調合モルタル)の層をそれぞれ設けること
によって3層構造の版体を作製した。この版体の下面及
び突出したアンカーピン下部をコンクリート躯体に固定
し、版体上面に治具をエポキシ樹脂で接着した後、面外
方向への引張試験をおこなった。この試験によって補強
されたモルタル層の耐力及びネットの耐力を測定するこ
とが可能であり、版体とアンカーピンの接合耐力を示す
ものとして施工時の繊維構造体による補強効果を判定で
きる。試験結果を表1に示す。
繊度が1500deの実施例1で用いたと同じパラ型ア
ラミド繊維を約60度の角度で三軸方向に配した目付3
8g/m2 のネット状シート(帝人株式会社製:テクノ
ーラ三軸メッシュMM−1532、辺長20mm)を用
い、この両面に実施例1と同様にして太さが65de、
長さが89mmのポリプロピレン短繊維よりなる目付6
0g/m2 の不織布シートを複合し、厚みが3.5m
m、総目付が170g/m2 、破裂強度が82Kg/c
m2 の繊維構造体を得た。得られた繊維構造体を実施例
1と同様の手法を用いて引張試験をおこなった。結果を
表1に示す。
ートの両面に、太さが10de、長さが68mmのポリ
プロピレン短繊維よりなる目付11g/m2 の不織布シ
ートを複合し、厚みが0.7mm、総目付が105g/
m2 、破裂強度が84.4Kg/cm2 の繊維構造体を
得た。得られた繊維構造体を実施例1と同様の手法を用
いて引張試験をおこなった。結果を表1に示す。
レン短繊維を用いて目付62g/m2 、破裂強度40K
g/cm2 の不織布シートを作製し、実施例1と同様の
手法を用いて引張試験をおこなった。結果は表1に示
す。
ミド繊維よりなるネット状シートのみを用い、実施例1
と同様の手法で引張試験をおこなった。結果は表1に示
す。
度が2000deのポリエチレンテレフタレート繊維2
本を実施例1と同様に合成樹脂で被覆・含浸したのち、
90度の角度でタテ、ヨコに配して線条間隔が約4mm
のネット状シートを得た。この両面に実施例1と同様に
してポリプロピレン短繊維よりなる不織布シートを複合
させて、厚みが5.6mm、目付が300g/m2 、破
裂強度が74Kg/cm2 の繊維構造体を得た。得られ
た繊維構造体を実施例1と同様の手法を用いて引張試験
をおこなった。結果を表1に示す。
ートの両面に太さが3de、長さが51mmのパラ型ア
ラミド短繊維よりなる目付15g/m2 の不織布シート
を複合し、厚みが0.45mm、総目付が72g/
m2 、破裂強度76Kg/cm2 の繊維構造体を得た。
得られた繊維構造体を実施例1と同様の手法を用いて引
張試験をおこなった結果を表1に示す。
破壊状況を観察したところ、実施例1、2及び3の場合
は、モルタル耐力に相当する数値が観測される近傍で版
体のひび割れが発生し、一方ネット耐力に相当する辺り
でワッシャー周囲の部分のネットの剪断破壊が観察され
た。これに対して参考例1、2の場合には、著しく挙動
が異なっていた。すなわち参考例1は、モルタル層の補
強効果は認められるものの一旦ひび割れが入るとワッシ
ャーと不織布シートの接合力は極めて低く、一方参考例
2は全体に安定した補強効果を示すもののネット部分が
剥離界面になってモルタル接合耐力の平均的な値は低か
った。
維構造体の剥離面にモルタルが浸透していない部分があ
ることが観察され、一方実施例5では不織布シートの繊
維のほとんどが下地モルタル層に埋もれてしまっている
部分が観測され、補強効果が小さくなると共に効果の安
定性も低下していた。
来の工法に用いられていた補強材料の欠点を補うだけに
とどまらず、モルタル層全体の耐力をも大幅に向上させ
得るものであることがわかる。
を用いたコンクリート構造物外壁は、従来の不織布シー
トやネット状シートを単独で用いた所謂「ベースネット
工法」や「ピンネット工法」で施工された外壁の長所を
合わせ持つのみならず、新たに設けたモルタル層そのも
のが自立壁として十分な強度を有しているので、アンカ
ーピン頭部への応力集中の緩和によるピンニング数の減
少や躯体のひび割れ拡大防止などの新たな機能を発現す
ることになり、この結果として従来工法の問題点を解決
するだけでなく従来困難とされていた大型構造物の補強
・補修をも容易ならしめ、また長期間にわたってコンク
リート構造物そのものの信頼性をも高めることが可能に
なる。
したものである。
を示した平面図および断面図である。
れた長繊維糸が、短繊維からなる不織布シート(以下短
繊維不織布シートということがある)に、少なくとも一
方向に複合化されてなる外壁モルタル補強用繊維構造体
に関する。さらに詳しくは、コンクリート構造物等の外
壁表面に仕上げ施工を行うにあたって、仕上げ層のひび
割れ防止や脱落防止に著しい効果を有する下地モルタル
層補強用繊維構造体に関するものである。
層補強方法としては、短繊維不織布シートを用いる所謂
「ベースネット工法」(例えば特公平2−61584号
公報)や長繊維糸よりなるネット状シートをアンカーピ
ンで躯体に固定する所謂「ピンネット工法」(例えば特
公昭60−5750号公報)などが知られている。しか
しながら、これらの方法はいずれも、最近の大型構造物
の外壁補強・補修工事等に用いる場合には種々の問題点
を有している。例えば、前者の方法は下地モルタル層と
仕上げ層との接着性においては大きな効果を発揮する
が、面方向の補強がなされていないため、ひとたび浮き
上がりが起こると仕上げ層の剥離の予知はできても脱落
を抑制することはできないという問題がある。また後者
の方法は、前者の方法に比較して仕上げ層の脱落防止と
いう点では有効であるが、下地モルタル層と仕上げ層と
の接着性に関しては効果が乏しく、これを補うために用
いられる多数のアンカーピンが逆に躯体の損傷を招く結
果、十分な補強効果が得られなくなるという問題があ
る。この様な従来の補強方法の問題点を解決するため、
下地となるモルタル層の補強及び仕上げ層との接着に適
した繊維構造体の開発が望まれていた。
鑑みてなされたものであり、その目的は、近年の大型構
造物の外壁補強・補修工事等においても十分な補強効果
を発揮し得る下地モルタル層の補強用材料を提供するこ
とにある。
からなる不織布シートに、合成樹脂で被覆された長繊維
糸が、その少なくとも一方向に複合されてなる外壁モル
タル補強用繊維構造体。」により達成される。
所謂「ピンネット工法」に用いられていたものと同一で
も大きな効果が得られるが、本発明が目的とする大型構
造物の外壁補強に供するためには10g/de以上の引
張強度を有する高強力長繊維糸であることが好ましく、
例えば、高強力ビニロン、高強力ポリエチレン、ポリア
リレート、パラ型アラミドなどの有機長繊維糸やカーボ
ン、ガラスなどの無機長繊維糸を例示することができ
る。引張強度が10g/de未満の長繊維糸を用いる場
合は、面方向の強力を確保するためにはその繊維使用量
を増やすことになるが、この結果として後述する樹脂の
含浸が不十分になるか又は長繊維糸間の線条間隔(以下
線条間隔ということがある)が狭くなってモルタルの浸
透不良を招くことがある。長繊維糸の総繊度は、その強
度によっても変わってくるが、通常は1000de以上
5000de以下、好ましくは1000de以上300
0de以下である。
いるか、又は、ネット状シートとして短繊維不織布シー
トに複合される場合には、ネット状シートに構成される
過程もしくはネット状シートに構成された後に合成樹脂
で被覆して用いる。かくすることにより、繊維の集束部
分や交差部分又は単繊維中での水分の蓄積を防止し、こ
れによって外気温変化によるモルタル層の損傷を抑制す
ることが可能となる。好ましく用いられる合成樹脂は、
アクリル酸エステル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル
樹脂などである。
向に配列して複合されている限りその配列方向は任意で
あり、必要とされる補強の方向に応じて変えることが可
能である。例えば一軸方向のみの補強で充分な場合は、
一定の線条間隔で一方向に引き揃えたものを後述の短繊
維不織布シートと複合して補強に用いる。また面方向の
補強を必要とする場合は、長繊維糸を二軸、三軸又は四
軸方向以上に配したものをネット状シートとして用い
る。なお長繊維糸の配列方法としては、織布や編布とし
てネット状に仕立てたものが一般的であるが、本発明の
効果を最大限に発揮するには、長繊維糸を編織すること
なく複数軸方向に重ね合わせた組布構造のものが伸びが
少ないためにより好適である。この組布構造のものは、
合成樹脂で一体化されていることが、補強効果及び取扱
い性の点から好ましい。
の程度及び長繊維糸からなるシートの構造に応じて任意
に変えることが可能であるが、通常は5mm以上60m
m以下である。この範囲未満の場合にはモルタルの浸透
不良を招くことがあり、一方この範囲を越える場合には
補強効果が不十分になることがある。
ートは、所謂「ベースネット工法」に使用されるものと
同様のもので良く、通常ポリプロピレン、ポリエチレ
ン、ビニロン、カーボンなどの素材が使われるが特に限
定されるものではなく、耐アルカリ性を有するタイプで
あればいかなる繊維でも良い。例えばパラ型アラミド繊
維であるコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフ
ェニレンテレフタルアミド繊維(商標名テクノーラ:帝
人株式会社製)なども好適である。施工時のモルタルの
滲み出しを考慮すると、その繊度は5de以上90de
以下が好ましく、これを目付5g/m2 以上150g/
m2 以下の不織布シートにして用いることが好ましい。
短繊維の繊度が5de未満では製造コストが高くなるだ
けでなく、施工時に繊維が寝易くなってモルタル下地層
と仕上げ層の接着力が低下することがある。一方90d
eを越えると短繊維の剛性が高くなりすぎて均一に交絡
した不織布シートが得難くなる。また不織布シートの目
付が5g/m2 未満では、得られる繊維構造体中に占め
る短繊維の量が少なくなりすぎて外壁モルタルの補強効
果が低下する。一方150g/m2 を越えるとモルタル
の浸透を阻害して下地層と仕上げ層との間のモルタル連
続性が損なわれ界面剥離しやすくなる。
糸を短繊維不織布シートに、その少なくとも一方向に複
合することによって製造されるが、モルタルの滲み出し
並びに下地層と仕上げ層の接着性確保の観点から全体の
厚みを0.5mm以上5.0mm以下の範囲にすること
が望ましい。0.5mm未満では薄すぎて下地層と仕上
げ層間の接着性向上効果が小さくなり、逆に5.0mm
を越えると厚くなりすぎて下地層と仕上げ層間のモルタ
ルの連続性が損なわれやすく剥離界面となる場合がある
ので好ましくない。
る工程の一例を図1に示す。図中、1a及び1bは同一
もしくは異なる仕様の不織布シートを表わし、2は長繊
維糸からなるネット状シートを表わす。両者の複合には
反応型接着剤、例えばウレタン系接着剤、エポキシ系接
着剤、アクリル系接着剤などを用いる方法が最も簡単で
好適である。この場合、例えば一方の不織布シートに接
着剤をスプレーし、裏面にもう一方の不織布シートを配
したネット状シートと共にプレスして一体化し繊維構造
体となす。もちろん接着剤にかえてニードルパンチなど
の方法で物理的に複合させることも可能であるが、ネッ
ト状シートの損傷による強度低下等の問題が発生し易く
なる。なお図中3は、本発明の外壁モルタル補強用繊維
構造体であり、詳細な構造を図2A及びBに模式的に例
示した。これらの図中、1a及び1bが不織布部分を、
2がネット部分を表わす。
ト工法」や「ピンネット工法」などの施工方法における
不織布シートやネット状シートと同等の使用が可能であ
る。一例をあげると、大型構造物のモルタル表面もしく
はタイルなどの旧仕上げ材表面に下地調整材を塗布し、
その上に樹脂モルタル層を設ける。次いでこの樹脂モル
タルが硬化する前に、本発明の繊維構造体をローラーな
どで押し付けるようにして貼りつける。補強する壁面が
特に大型の場合には、この段階で必要に応じてアンカー
ピンを併用することができる。最後にこの上に新たな樹
脂モルタル層とタイルなどの新規仕上げ材の層を設けて
一連の外壁補強作業を完了する。
る。 [実施例1]引張強度が10g/de、総繊度が180
0deの高強力ビニロン繊維2本及び引張強度が28g
/de、総繊度が1500deのパラ型アラミド繊維
(帝人株式会社製:テクノーラ)1本を、それぞれアク
リル樹脂(日本カーバイド社製:ニカゾールFX32
9)で被覆・含浸した後、一方をタテ、他方をヨコに配
してネット状シートを作成した。各々の繊維のなす角度
は約90度であり線条間隔はほぼ10mmであった。こ
のネット状シートの両面に太さが65de、長さが89
mmのポリプロピレン短繊維よりなる目付30g/m2
の不織布シートを、反応性ポリウレタン樹脂(カネボウ
NSC社製:ボンドマスターMR90)を接着剤に用い
て複合することによって、厚みが1.5mm、総目付が
150g/m2 の繊維構造体を得た。
mのワッシャーが付いたアンカーピンを下向きに差し込
み、繊維構造体の下面にネット張り付け材(樹脂モルタ
ル)の層を、上面にアンカーピンを覆うようにタイル張
り付け材(既調合モルタル)の層をそれぞれ設けること
によって3層構造の版体を作製した。この版体の下面及
び突出したアンカーピン下部をコンクリート躯体に固定
し、版体上面に治具をエポキシ樹脂で接着した後、面外
方向への引張試験をおこなった。この試験によって補強
されたモルタル層の耐力及びネットの耐力を測定するこ
とが可能であり、版体とアンカーピンの接合耐力を示す
ものとして施工時の繊維構造体による補強効果を判定で
きる。試験結果を表1に示す。
繊度が1500deの実施例1で用いたと同じパラ型ア
ラミド繊維を約60度の角度で三軸方向に配した目付3
8g/m2 のネット状シート(帝人株式会社製:テクノ
ーラ三軸メッシュMM−1532、辺長20mm)を用
い、この両面に実施例1と同様にして太さが65de、
長さが89mmのポリプロピレン短繊維よりなる目付6
0g/m2 の不織布シートを複合し、厚みが3.5m
m、総目付が170g/m2 の繊維構造体を得た。得ら
れた繊維構造体を実施例1と同様の手法を用いて引張試
験をおこなった。結果を表1に示す。
ートの両面に、太さが10de、長さが68mmのポリ
プロピレン短繊維よりなる目付11g/m2 の不織布シ
ートを複合し、厚みが0.7mm、総目付が105g/
m2 の繊維構造体を得た。得られた繊維構造体を実施例
1と同様の手法を用いて引張試験をおこなった。結果を
表1に示す。
レン短繊維を用いて目付62g/m2 の不織布シートを
作製し、実施例1と同様の手法を用いて引張試験をおこ
なった。結果は表1に示す。
ミド繊維よりなるネット状シートのみを用い、実施例1
と同様の手法で引張試験をおこなった。結果は表1に示
す。
度が2000deのポリエチレンテレフタレート繊維2
本を実施例1と同様に合成樹脂で被覆・含浸したのち、
90度の角度でタテ、ヨコに配して線条間隔が約4mm
のネット状シートを得た。この両面に実施例1と同様に
してポリプロピレン短繊維よりなる不織布シートを複合
させて、厚みが5.6mm、目付が300g/m2 の繊
維構造体を得た。得られた繊維構造体を実施例1と同様
の手法を用いて引張試験をおこなった。結果を表1に示
す。
ートの両面に太さが3de、長さが51mmのパラ型ア
ラミド短繊維よりなる目付15g/m2 の不織布シート
を複合し、厚みが0.45mm、総目付が72g/m2
の繊維構造体を得た。得られた繊維構造体を実施例1と
同様の手法を用いて引張試験をおこなった結果を表1に
示す。
破壊状況を観察したところ、実施例1、2及び3の場合
は、モルタル耐力に相当する数値が観測される近傍で版
体のひび割れが発生し、一方ネット耐力に相当する辺り
でワッシャー周囲の部分のネットの剪断破壊が観察され
た。これに対して参考例1、2の場合には、著しく挙動
が異なっていた。すなわち参考例1は、モルタル層の補
強効果は認められるものの一旦ひび割れが入るとワッシ
ャーと不織布シートの接合力は極めて低く、一方参考例
2は全体に安定した補強効果を示すもののネット部分が
剥離界面になってモルタル接合耐力の平均的な値は低か
った。
維構造体の剥離面にモルタルが浸透していない部分があ
ることが観察され、一方実施例5では不織布シートの繊
維のほとんどが下地モルタル層に埋もれてしまっている
部分が観測され、補強効果が小さくなると共に効果の安
定性も低下していた。
来の工法に用いられていた補強材料の欠点を補うだけに
とどまらず、モルタル層全体の耐力をも大幅に向上させ
得るものであることがわかる。
を用いたコンクリート構造物外壁は、従来の不織布シー
トやネット状シートを単独で用いた所謂「ベースネット
工法」や「ピンネット工法」で施工された外壁の長所を
合わせ持つのみならず、新たに設けたモルタル層そのも
のが自立壁として十分な強度を有しているので、アンカ
ーピン頭部への応力集中の緩和によるピンニング数の減
少や躯体のひび割れ拡大防止などの新たな機能を発現す
ることになり、この結果として従来工法の問題点を解決
するだけでなく従来困難とされていた大型構造物の補強
・補修をも容易ならしめ、また長期間にわたってコンク
リート構造物そのものの信頼性をも高めることが可能に
なる。
したものである。
を示した平面図および断面図である。
Claims (10)
- 【請求項1】 短繊維からなる不織布シートに、合成樹
脂で被覆された長繊維糸が、少なくとも一方向に複合さ
れてなる外壁モルタル補強用繊維構造体。 - 【請求項2】 長繊維糸が複数方向に配置されてネット
状シートを形成している請求項1記載の外壁モルタル補
強用繊維構造体。 - 【請求項3】 長繊維糸の配列間隔が5mm以上60m
m以下である請求項1又は2記載の外壁モルタル補強用
繊維構造体。 - 【請求項4】 ネット状シートを構成する長繊維が編織
されることなく相互に直線状に配置され、交差点が合成
樹脂で接合一体化されている請求項2記載の外壁モルタ
ル補強用繊維構造体。 - 【請求項5】 ネット状シートがメッシュ状の織編物で
ある請求項2記載の外壁モルタル補強用繊維構造体。 - 【請求項6】 ネット状シートを構成する長繊維糸の少
なくとも一方向が、その引張強度が10g/de以上の
高強力繊維である請求項2記載の外壁モルタル補強用繊
維構造体。 - 【請求項7】 不織布シートが、繊度が5de以上90
de以下の短繊維より構成されている請求項1記載の外
壁モルタル補強用繊維構造体。 - 【請求項8】 不織布シートの目付が5g/m2 以上1
50g/m2 以下である請求項1記載の外壁モルタル補
強用繊維構造体。 - 【請求項9】 繊維構造体の破裂強度が60Kg/cm
2 以上である請求項1記載の外壁モルタル補強用繊維構
造体。 - 【請求項10】 繊維構造体の厚みが0.5mm以上
5.0mm以下である請求項1記載の外壁モルタル補強
用繊維構造体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8003815A JP3037608B2 (ja) | 1996-01-12 | 1996-01-12 | 外壁モルタル補強用繊維構造体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8003815A JP3037608B2 (ja) | 1996-01-12 | 1996-01-12 | 外壁モルタル補強用繊維構造体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09189114A true JPH09189114A (ja) | 1997-07-22 |
JP3037608B2 JP3037608B2 (ja) | 2000-04-24 |
Family
ID=11567693
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP8003815A Expired - Lifetime JP3037608B2 (ja) | 1996-01-12 | 1996-01-12 | 外壁モルタル補強用繊維構造体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3037608B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103255885A (zh) * | 2013-04-28 | 2013-08-21 | 世技机械江苏有限公司 | 一种批荡网 |
-
1996
- 1996-01-12 JP JP8003815A patent/JP3037608B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN103255885A (zh) * | 2013-04-28 | 2013-08-21 | 世技机械江苏有限公司 | 一种批荡网 |
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