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JPH09149506A - 電気車制御装置 - Google Patents

電気車制御装置

Info

Publication number
JPH09149506A
JPH09149506A JP30397895A JP30397895A JPH09149506A JP H09149506 A JPH09149506 A JP H09149506A JP 30397895 A JP30397895 A JP 30397895A JP 30397895 A JP30397895 A JP 30397895A JP H09149506 A JPH09149506 A JP H09149506A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
torque
speed
absolute value
value
torque command
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP30397895A
Other languages
English (en)
Inventor
Yosuke Nakazawa
洋介 中沢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP30397895A priority Critical patent/JPH09149506A/ja
Publication of JPH09149506A publication Critical patent/JPH09149506A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Electric Propulsion And Braking For Vehicles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気車の加速力が粘着力の最大値付近となる
ように空転量に応じてトルクを絞る制御を行うことによ
り、空転の発生を抑制し加速性能を維持する電気車制御
装置を提供することを目的とする。 【解決手段】 電気車の車輪に連結された電動機IMの
回転速度Vw を検出するセンサSと、回転速度Vw と電
気車の車体速度Vt との差の絶対値のn(n>1)乗に
比例するトルク絞り量絶対値を演算し、車体速度Vt に
応じたトルク指令TrqRefDrvにトルク絞り量絶対値を
加算または減算した値をトルク指令値TrqRefとして電
動機IMを制御する制御装置1とを有してなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電気車制御装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】電気車は、車輪に電動機で回転力(トル
ク)を与えて、この車輪とレールとの間の摩擦力(以
下、粘着力という。)により回転力を推進力(以下、加
速力という。)として用いて車輪を推進する。
【0003】加速力FTHが粘着力FADを上回ると、余剰
の加速力ΔFTH(=ΔFTH−FAD)により車輪が車体速
度以上に加速されレール上を空回りして、加速力の伝達
が著しく低下する。この現象は駆動時に発生し、「空
転」とよばれる。制動時には、制動力FBRが粘着力FAD
を上回ると、余剰の制動力ΔFBR(=FBR−FAD)によ
り車輪が車体速度以下に減速され、車輪がレール上をす
べり、やはり制動力の伝達が著しく低下する。この現象
は「滑走」とよばれる。以下本発明では空転に関しては
説明を行うが、滑走についてもまったく同様のことが成
り立つので説明を省略することがある。なお、上記の、
電動機に連結された車輪を動輪とよび、連結されていな
いものを従輪とよぶ。
【0004】空転が発生するとまず第一に駆動力の円滑
な伝達が行われなくなるが、この他動輪踏面の剥離、軸
受けの焼損、レールの疲労・摩滅などの副次的問題も生
じる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】空転が発生すると、動
輪の回転速度が上昇するため、従来は動輪の回転速度を
監視し、その変化量が所定値以上となった時に空転が発
生したと判断して、動輪の回転力を低減させる制御を行
っていた。この制御方法の場合、空転を判断する所定値
の選定が極めて重要であり、所定値を低くすると空転誤
検知が多発し、空転が発生していないにも関わらず電気
車の加速力を無駄に低減してしまう恐れがあり、逆に所
定値を高くすると、実際に空転が発生したときに、空転
検知が遅れ、いっそう増長させてしまう。
【0006】電気車の制御面からみると、加速力がレー
ル状況によって決まる粘着力の最大値付近で運転される
ことが望ましい。そこで本発明は、電気車の加速力が粘
着力の最大値付近となるように空転量に応じてトルクを
絞る制御を行うことにより、空転の発生を抑制し加速性
能を維持する電気車制御装置を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成する
ために、請求項1に記載の発明は、電気車の車輪に連結
された電動機の回転速度を検出する車輪速度検出手段
と、回転速度と前記電気車の車体速度との差の絶対値の
n(n>1)乗に比例するトルク絞り量絶対値を演算
し、車体速度に応じたトルク指令にトルク絞り量絶対値
を加算または減算した値をトルク指令値として電動機を
制御する制御手段とを有してなる。
【0008】また、請求項2に記載の発明は、電気車の
同一編成内の複数の車輪に連結された複数の電動機の回
転速度をそれぞれ検出する複数の車輪速度検出手段と、
複数の回転速度それぞれと電気車の車体速度との差の絶
対値のn(n>1)乗に比例するトルク絞り量絶対値を
それぞれ演算し、車体速度に応じたトルク指令にトルク
絞り量絶対値それぞれを加算または減算した値をトルク
指令値として複数の電動機それぞれを制御する制御手段
とを有してなる。
【0009】また、請求項3に記載の発明は、請求項1
または請求項2に記載の発明において、制御手段は、回
転速度と電気車の車体速度との差である空転速度を演算
して出力する空転速度演算手段と、空転速度の絶対値を
演算して出力する絶対値演算手段と、空転速度の絶対値
のn(n>1)乗に比例するトルク絞り量絶対値を演算
するトルク絞り量演算手段と、空転速度が正の場合は、
車体速度に応じたトルク指令にトルク絞り量絶対値を減
算した値をトルク指定値とし、空転速度が負の場合は、
トルク指令にトルク絞り量絶対値を加算した値をトルク
指定値とするトルク指令合成手段とを有してなる。
【0010】また、請求項4に記載の発明は、請求項1
または請求項2に記載の発明において、制御手段は、回
転速度と電気車の車体速度との差である空転速度を演算
して出力する空転速度演算手段と、空転速度の絶対値を
演算して出力する絶対値演算手段と、空転速度の絶対値
のn(n>1)乗に比例するトルク絞り量絶対値を演算
するトルク絞り量演算手段と、トルク絞り量絶対値の1
次遅れ成分を演算する1次遅れフィルタ手段と、空転速
度が正の場合は、車体速度に応じたトルク指令にトルク
絞り量絶対値と1次遅れ成分とを減算した値をトルク指
定値とし、空転速度が負の場合は、トルク指令にトルク
絞り量絶対値と1次遅れ成分とを加算した値をトルク指
定値とするトルク指令合成手段とを有してなる。
【0011】また、請求項5に記載の発明は、請求項3
または請求項4記載の発明において、トルク絞り量演算
手段は、空転速度の絶対値のn(n>1)乗を演算する
演算手段と、空転速度の絶対値のn乗にゲインを乗算し
てトルク絞り量絶対値を演算する乗算手段と、ゲインを
可変するゲイン演算手段とを有してなる。
【0012】また、請求項6に記載の発明は、請求項5
記載の発明において、ゲイン演算手段は、車体速度に基
づいてゲインを可変することを特徴とする。また、請求
項7に記載の発明は、電気車の同一編成内の複数の車輪
に連結された複数の電動機の回転速度をそれぞれ検出す
る複数の車輪速度検出手段と、複数の電動機のうち所定
の1台の回転速度と電気車の車体速度との差の絶対値の
n(n>1)乗に比例する第1のトルク絞り量絶対値を
演算し、車体速度に応じたトルク指令に第1のトルク絞
り量絶対値を加算または減算した値を第1のトルク指令
値として所定の1台の電動機を制御し、他の電動機それ
ぞれの回転速度と電気車の車体速度との差の絶対値のn
(n>1)乗に比例する第2のトルク絞り量絶対値を演
算し、車体速度に応じたトルク指令に第2のトルク絞り
量絶対値を加算または減算した値に第1のトルク指令値
成分を補正した値を第2のトルク指令値として他の電動
機それぞれを制御する制御手段とを有してなる。
【0013】また、請求項8に記載の発明は、請求項2
記載の発明において、車体速度は、複数の電動機の回転
速度のうち最小速度から推定することを特徴とする。上
述したように、トルク指令を演算し、このトルク指令に
基づいて電動機のトルクを制御すると、駆動トルクはレ
ール車輪間の粘着力曲線の最大値付近に交点を持つよう
になり、どのようなレール状況においても常に粘着力最
大値に近い値を出力することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面を参照
して詳細に説明する。図1乃至図4は本発明の第1の実
施の形態を示す図で、図1は電気車制御装置の全体構成
図、図2は制御装置の構成図、図3はn乗トルク絞り量
演算部の構成図、図4は空転速度とトルク指令との関係
を示す図である。
【0015】電気車は、架線から供給される直流電力を
集電器PANが集電し、この直流電力をインバータIN
Vが電動機IMに供給する交流電力に変換して電動機I
Mに連結された図示しない車輪を回転させることにより
駆動する。制御装置1はセンサSで検知された電動機I
Mの回転数(以下、車輪速度という。)Vw と車体速度
Vt を入力し、動輪が空転しないようなトルク指令Trq
Refを演算してインバータINVに出力する。インバー
タINVはこのトルク指令TrqRefを受けて、インバー
タINVを構成する図示しない半導体素子のスイッチン
グ制御を行い所望の交流電力を電動機IMに供給するこ
とにより、空転の抑制制御が行われる。
【0016】一般に、車輪速度Vw と車体速度Vt との
差(以下、空転速度という。)Vsと、車輪−レール間
の摩擦力(以下、粘着力という。)との関係は、図4に
示すように、天候などによるレール状況によって異な
る。また同じレール状況においても、空転速度Vs によ
って変化し、微少な空転速度の時に最大値をとるといわ
れている。
【0017】駆動用の電動機IMなどが発生する加速力
が、レール状況によって決まる粘着力最大値を越える
と、空転速度Vs は増加して粘着力が低下し、ますます
空転速度Vs が増加する悪循環に陥る。したがって、空
転速度Vs が粘着力最大値を与える空転速度を越えた
ら、駆動加速力を絞って、空転速度の発散を抑えるよう
にすることが必要になる。
【0018】制御装置1は、空転速度演算部11と、絶対
値演算部12と、符号判別部13と、n乗トルク絞り量演算
部14と、符号切替部15と、トルク指令合成部16とで構成
される。空転速度演算部11は、車輪速度Vw と、車体速
度Vt を入力として、次の(1)式により空転速度Vs
を求めて出力する。
【0019】
【数1】 Vs =Vw −Vt …(1) なお、車体速度Vt は、図示しない従輪の車輪速度を検
出するセンサの出力などから求めることができる。
【0020】絶対値演算部12は、空転速度演算部11から
出力された空転速度Vs を入力として、入力Vs の絶対
値|Vs |を演算し、空転速度絶対値|Vs |として出
力する。
【0021】符号判別部13は、空転速度演算部11から出
力された空転速度Vs を入力として、空転速度Vs の正
負極性に応じて、空転速度符号 sgnVs を次の条件分岐
により求めて出力する。
【0022】
【数2】 Vs ≧0の時、 sgnVs =+1 …(2) Vs <0の時、 sgnVs =−1 …(3) すなわち、通常は空転速度Vs は0であり、空転が発生
すると(2)式、滑走が発生すると(3)式となる。
【0023】n乗トルク絞り量演算部14は、n乗演算部
143 と、ゲイン乗算部144 とで構成される。n乗演算部
143 は、絶対値演算部12から出力される空転速度絶対値
|Vs |を入力として、(4)式により空転速度絶対値
n乗|Vs |n を演算して出力する。
【0024】
【数3】 |Vs |n =|Vs |n …(4) 但し、nは1より大きい正の定数で、たとえば、正の定
数nとしては、2などが考えられる。
【0025】ゲイン乗算部144 は、(5)式に示すよう
に、n乗演算部143 から出力される空転速度絶対値n乗
|Vs |n を入力として、|Vs |n にゲインKを乗じ
た値を、トルク絞り量絶対値|ΔTrq|として出力す
る。
【0026】
【数4】 |ΔTrq|=K・|Vs |n …(5) 但し、Kは正の定数である。符号切替部15は、n乗トル
ク絞り量演算部14から出力されるトルク絞り量絶対値|
ΔTrq|と、符号判別部13から出力される空転速度符号
sgnVs を入力として、(6)式によりトルク絞り量Δ
Trqを求めて出力する。
【0027】
【数5】 ΔTrq= sgnVs ・|ΔTrq| …(6) トルク指令合成部16は、運転手が操作する図示しないト
ルク指令設定器の信号に基づいて設定されるトルク指令
TrqRefDrvと、符号切替部15から出力されるトルク絞
り量ΔTrqを入力として、(7)式によりトルク指令T
rqRefを求めて出力する。
【0028】
【数6】 TrqRef=TrqRefDrv−ΔTrq …(7) このように演算されたトルク指令TrqRefに基づいてイ
ンバータINVを運転させて電動機IMのトルクを制御
すると、トルク指令TrqRefは図4に示すようにレール
−車輪間の粘着力曲線の最大値付近に交点をもつように
なるため、どのようなレール状況においても、常に粘着
力最大値に近い値を出力することができる。すなわちト
ルク指令設定器が出力する信号に基づいて設定されるト
ルク指令TrqRefDrvは、経験的に車体速度Vt によっ
て定まる例えば図5に示すような特性であり、このトル
ク指令TrqRefdrv が粘着力最大値を越えると空転が発
生する。しかしながら粘着力曲線は上述したようにレー
ル状況に応じて変化するものであるため、トルク指令T
rqRefdrv から空転速度Vs に応じて符号切替部15から
出力されるトルク絞り量ΔTrqを減算することにより、
常に粘着力最大値に近い値であるトルク指令TrqRefを
出力できる。
【0029】次に図6は本発明の第2の実施の形態を示
す制御装置の構成図である。本実施の形態は、図2に示
した第1の実施の形態に加えて、n乗トルク絞り量演算
部17、符号切替部18、一次遅れフィルタ部19、加算
部20を備えている。
【0030】その他の構成は図2に示した第1の実施の
形態と同様である。すなわち、本実施の形態ではそれぞ
れ2つのn乗トルク絞り量演算部14,17と符号切替部1
5,18を備えている。n乗トルク絞り量演算部14は、絶
対値演算部12から出力される空転速度絶対値|Vs |の
n1乗にゲインK1を乗じた値を、トルク絞り量絶対値
|ΔTrq|1として出力する。
【0031】
【数7】 |ΔTrq|1=K1・|Vs |n1 …(8) 但し、n1は1より大きい正の定数、K1は正の定数で
ある。符号切替部15は、n乗トルク絞り量演算部14から
出力されるトルク絞り量絶対値|ΔTrq|1と、符号判
別部13から出力される空転速度符号 sgnVs とを入力し
て、(9)式によりトルク絞り量ΔTrq1を求めて出力
する。
【0032】
【数8】 ΔTrq1= sgnVs ・|ΔTrq|1 …(9) 又n乗トルク絞り量演算部17は、絶対値演算部12から出
力される空転速度絶対値|Vs |のn2乗にゲインK2
を乗じた値を、トルク絞り量絶対値|ΔTrq|2として
出力する。
【0033】
【数9】 |ΔTrq|2=K2・|Vs |n2 …(10) 但し、n2は1より大きい正の定数、K2は正の定数で
ある。又、n2はn1と同じ値でも良く、K2はK1と
同じ値でも良い。
【0034】符号切替部18は、n乗トルク絞り量演算部
17から出力されるトルク絞り量絶対値|ΔTrq|2と、
符号判別部13から出力される空転速度符号 sgnVs とを
入力として、(11)式によりトルク絞り量ΔTrq2を求
めて出力する。
【0035】
【数10】 ΔTrq2= sgnVs ・|ΔTrq|2 …(11) 一次遅れフィルタ部19は、符号切替部18から出力される
トルク絞り量ΔTrq2を入力し、一次遅れフィルタをか
けた値を新たなトルク絞り量ΔTrqF2として出力す
る。
【0036】
【数11】 但し、T1は一次遅れ時定数、sは微分演算子である。
加算部20は、符号切替部15から出力されるトルク絞り量
ΔTrq1と一次遅れフィルタ部19から出力されるトルク
絞り量ΔTrqF2との和ΔTrqを演算し、トルク指令部
16は運転手が操作するトルク指令設定器の信号に基づい
て設定されるトルク指令TrqRefDrvと、加算部20から
出力される和Trqを入力として、(13)式によりトルク
指令TrqRefを求めて出力する。
【0037】
【数12】 TrqRef=TrqRefDrv−ΔTrq …(13) 従ってこのトルク指令TrqRefに基づいて電動機IMの
トルクを制御すると、図4に示すように、トルク指令T
rqRefはレール車輪間の粘着力曲線の最大値付近に交点
を持つようになり、どのようなレール状況においても常
に粘着力最大値に近い値を出力することができるように
なるとともに、トルク絞り量の過度の急変を、一次遅れ
フィルタ部が抑制するので、乗り心地の悪化を抑えるこ
とができる。
【0038】次に図7乃至図10は本発明の第3の実施の
形態を示す図で、図7は制御装置の構成図、図8はn乗
トルク絞り量演算部の構成図、図9はゲイン増減判定部
の構成図、図10は動作説明図である。
【0039】制御装置1は、図2に示した第1の実施の
形態と同じ構成だが、符号切替部15の出力であるトルク
絞り量ΔTrqをn乗トルク絞り量演算部14にフィードバ
ックしている。
【0040】n乗トルク絞り量演算部14の構成を図8を
用いて説明する。n乗トルク絞り量演算部14は、ゲイン
演算部141 と、ゲイン増減判定部142 と、n乗演算部14
3 と、ゲイン乗算部144 と、平均値演算部145 とで構成
される。
【0041】ゲイン演算部141 は、一定サンプリング時
間ΔTおきに離散時間的に動作する。現在の時刻をTと
して説明する。ゲイン演算部141 は、ホールド部141aに
保持されたゲイン演算部141 が前回のサンプリング時刻
(T−ΔT)に出力したトルク絞りゲインK(m) (mは
正の整数)に、ゲイン増減判定部142 からサンプリング
時刻Tに出力されるトルク絞り量ゲイン変化量ΔK(m+
1) を加算部141bで加算して、トルク絞りゲインK(m+1)
を出力する。
【0042】
【数13】 K(m+1)=K(m)+ΔK(m+1) …(14) 平均値演算部145 においては、符号切替部15から出力さ
れるトルク絞り量ΔTrqを入力として、一定サンプリン
グ時間ΔTの間の平均値をトルク絞り量ΔTrqAveとし
て、(15)式により求めて出力する。
【0043】
【数14】 但し、現在の時刻をTとして説明する。又mは正の整数
である。ゲイン増減判定部142 の動作を図9、図10を用
いて説明する。ゲイン増減判定部142 は、一定サンプリ
ング時間ΔTおきに離散時間的に動作する。ゲイン増減
判定部142 は、前回のサンプリング時間にゲイン増減判
定部142 が出力したトルク絞り量ゲイン変化量ΔK(m)
(mは正の整数)と、平均値演算部145 から出力される
トルク絞り量平均値ΔTrqAve(m) とを入力として、ト
ルク絞り量ゲイン変化量ΔK(m+1) を演算して出力す
る。
【0044】現在の時刻をTとして説明する。時刻(T
−2ΔT)から時刻(T−ΔT)までの時間においてゲ
イン演算部141 の出力がK(m-1) (mは正の整数)、時
刻(T−ΔT)から時刻(T)までの時間においてゲイ
ン演算部141 の出力がK(m) (mは正の整数)であった
とする。このとき、出力K(m-1) と出力K(m) と、ゲイ
ン増減判定部142 からサンプリング時刻(T−ΔT)に
出力されたトルク絞り量ゲイン変化量ΔK(m) との関係
は(14)式に基づいて(16)式のように表される。
【0045】
【数15】 K(m)=K(m−1)+ΔK(m) …(16) サンプリング時刻Tに入力されたトルク絞り量平均値Δ
TrqAve(m) と、前回のサンプリング時刻(T−ΔT)
に入力されたホールド部142aに保持されたトルク絞り量
平均値ΔTrqAve(m-1) との差を減算部142bで演算して
トルク絞り量平均値変化量dΔTrqAveを得る。
【0046】
【数16】 dΔTrqAve=ΔTrqAve(m)−ΔTrqAve(m−1) …(17) トルク絞り量平均値変化量dΔTrqAveの極性を符号判
別部142cで判別し、トルク絞り量平均値変化量符号sgnd
ΔTrqAveを、次の条件分岐により求める。
【0047】
【数17】 dΔTrqAve≧0の時、sgndΔTrqAve=+1 …(18) dΔTrqAve<0の時、sgndΔTrqAve=−1 …(19) ホールド部142dで保持された前回のサンプリング時間に
出力したトルク絞り量ゲイン変化量ΔK(m) と、ホール
ド部142eで保持されたトルク絞り量平均値変化量符号sg
ndΔTrqAveから、乗算部142fで(20)式によりトルク
絞り量ゲイン変化量ΔK(m+1) を求めて出力する。
【0048】
【数18】 ΔK(m+1)=sgndΔTrqAve・ΔK(m) …(20) n乗演算部143 においては、絶対値演算部12から出力さ
れる空転速度絶対値|Vs |を入力として、(21)式に
より空転速度絶対値n乗|Vs |n を演算して出力す
る。
【0049】
【数19】 |Vs |n =|Vs |n …(21) 但しnは1より大きい正の定数で、たとえば、正の定数
nとしては、2などが考えられる。
【0050】ゲイン乗算部144 においては、n乗算部14
3 から出力される空転速度絶対値n乗|Vs |n と、ゲ
イン演算部141 から出力されるトルク絞り量ゲインK
(m) を入力として、|Vs |n にゲインK(m) を乗じた
値を、トルク絞り量絶対値|ΔTrq|として出力する。
【0051】
【数20】 |ΔTrq|=K(m)・|Vs |n …(22) 従って空転速度−粘着力曲線の粘着力最大値を与える空
転速度が変化してもトルク絞りゲインKを可変すること
により、常に粘着力最大値に近い値で運転することがで
きる。
【0052】次に、図11、図12は、本発明の第4の実施
の形態を示す図で、図11は、制御装置の構成図、図12
は、n乗トルク絞り量演算部の構成図である。制御装置
1は、図12に示した第1の実施の形態と同じ構成だが、
車体速度Vtをn乗トルク絞り量演算部14に入力してい
る。
【0053】n乗トルク絞り量演算部14は、n乗演算部
143 と、ゲイン乗算部144 と、ゲイン設定部146 とで構
成される。ゲイン設定部146 は、車体速度Vt を入力と
して、(23)式によりトルク絞りゲインKを求めて出力
する。
【0054】
【数21】 K=K0 −a・Vt …(23) 但し、K0 は正の定数、aは定数である。ここで、トル
ク絞りゲインKの定め方は1次関数である(23)式に限
られず、次数が1以上の関数でもよい。
【0055】n乗演算部143 においては、絶対値演算部
12から出力される空転速度絶対値|Vs |を入力とし
て、次の演算により空転速度絶対値n乗|Vs |n を演
算して出力する。
【0056】
【数22】 |Vs |n =|Vs |n …(24) 但し、nは1より大きい正の定数で、たとえば、正の定
数nとしては、2などが考えられる。
【0057】ゲイン乗算部144 においては、n乗演算部
143 から出力される空転速度絶対値n乗|Vs |n と、
ゲイン設定部146 から出力されるトルク絞り量ゲインK
を入力として、|Vs |n にゲインKを乗じた値を、ト
ルク絞り量絶対値|ΔTrq|として出力する。
【0058】
【数23】 |ΔTrq|=K・|Vs |n …(25) 車体速度Vt が大きくなると空転速度−粘着力曲線の粘
着力最大値が図4において右側に移行するため、トルク
絞りゲインKを車体速度Vt に応じて可変することによ
り、常に粘着力最大値に近い値で運転することができ
る。
【0059】次に図13、図14は本発明の第5の実施の形
態を示す図で、図13は制御装置の構成図、図14はトルク
指令補正値演算部の構成図である。制御装置1は、空転
速度演算部11と、絶対値演算部12と、符号判別部13と、
n乗トルク絞り量演算部14と、符号切替部15と、トルク
指令合成部16と、トルク指令補正値演算部20と加算部21
とで構成される。
【0060】トルク指令補正値演算部20の動作を図14を
用いて説明する。トルク指令補正値演算部20は、トルク
指令補正値増減判定部201 と、平均値演算部202 とで構
成される。
【0061】トルク指令補正値演算部20は一定サンプリ
ング時間ΔTおきに離散時間的に動作する。トルク指令
補正値演算部20は、前回のサンプリング時間にトルク指
令補正値演算部20が出力したトルク指令補正値ΔTrqR
ef(m) と符号切替部15から出力されるトルク絞り量ΔT
rqの和ΔTrq1を入力として、トルク指令補正値ΔTrq
Ref(m+1) を演算して出力する。
【0062】平均値演算部202 は、前回サンプリング時
間にトルク指令補正値演算部20から出力されるトルク指
令補正値ΔTrqRef(m) と符号切替部15から出力される
トルク絞り量ΔTrqとの和ΔTrq1を入力として、一定
サンプリング時間ΔTの間の平均値を演算してトルク絞
り量平均値ΔTrqAveを(26)式により求めて出力す
る。
【0063】
【数24】 但し、ここで現在の時刻をTとして説明し、mは正の整
数である。トルク指令補正値増減判定部201 は、一定サ
ンプリング時間ΔTおきに離散時間的に動作する。トル
ク指令補正値増減判定部201 は、前回のサンプリング時
間にトルク指令補正値増減判定部201 が出力したトルク
指令補正値変化量dΔTrqRef(m) (mは正の整数)
と、平均値演算部202 から出力されるトルク絞り量平均
値ΔTrqAve(m) とを入力として、トルク指令補正値変
化量dΔTrqRef(m+1) を演算して出力する。
【0064】現在の時刻をTとして説明する。時刻(T
−2ΔT)から時刻(T−ΔT)までの時間においてト
ルク指令補正値演算部20の出力がΔTrqRef(m-1) (m
は正の整数)、時刻(T−ΔT)から時刻(T)までの
時間においてトルク指令補正値演算部20の出力がΔTrq
Ref(m) (mは正の整数)であったとする。このとき、
ΔTrqRef(m-1) とΔTrqRef(m) と、トルク指令補正
値増減判定部201 からサンプリング時刻(T−ΔT)に
出力されたトルク指令補正値変化量dΔTrqRef(m) と
の関係は(27)式で表される。
【0065】
【数25】 ΔTrqRef(m)=ΔTrqRef(m−1)+dΔTrqRef(m)…(27) すなわち、ホールド部20a で保持された前回のトルク指
令補正値ΔTrqRef(m-1) と、トルク指令補正値増減判
定部201 から出力されたトルク指令補正値変化量dΔT
rqRef(m) とを加算部20b で加算して現在のトルク指令
補正値ΔTrqRef(m) を得る。
【0066】サンプリング時刻Tに入力されたトルク絞
り量平均値ΔTrqAve(m) と、ホールド部201aで保持さ
れ、前回のサンプリング時刻(T−ΔT)に入力された
トルク絞り量平均値ΔTrqAve(m-1) との差を減算部20
1bで演算してトルク絞り量平均値変化量dΔTrqAveを
得る。
【0067】
【数26】 dΔTrqAve=ΔTrqAve(m)−ΔTrqAve(m−1) …(28) トルク絞り量平均値変化量dΔTrqAveの極性を符号判
別部201cで判別し、トルク絞り量平均値変化量符号sgnd
ΔTrqAveを、次の条件分岐により求める。
【0068】
【数27】 dΔTrqAve≧0の時、sgndΔTrqAve=+1 …(29) dΔTrqAve<0の時、sgndΔTrqAve=−1 …(30) ホールド部201dで保持され前回のサンプリング時間に出
力したトルク指令補正値変化量dΔTrqRef(m) と、符
号反転部201eを介したトルク絞り量平均値変化量符号sg
ndΔTrqAveから、乗算部201fでトルク指令補正値変化
量dΔTrqRef(m+1) を求めて出力する。
【0069】
【数28】 dΔTrqRef(m+1)=−sgndΔTrqAve・dΔTrqRef(m) …(31) 前回のサンプリング時間にトルク指令補正値演算部20が
出力したトルク指令補正値ΔTrqRef(m) と、トルク指
令補正値増減判定部201 から出力されるトルク指令補正
値変化量dΔTrqRef(m+1) とから(27)式に基づい
て、(32)式のように表されるトルク指令補正値ΔTrqR
ef(m+1) を求めて出力する。
【0070】
【数29】 ΔTrqRef(m+1)=ΔTrqRef(m)+dΔTrqRef(m+1) …(32) トルク指令合成部16においては、運転手が操作するトル
ク指令設定器の信号に基づいて設定されるトルク指令T
rqRefDrvと、符号切替部15から出力されるトルク絞り
量ΔTrqとトルク指令補正値演算部から出力されるトル
ク指令補正値ΔTrqRef(m+1) との和ΔTrq1を入力と
して、次の演算によりトルク指令TrqRefを求めて出力
する。
【0071】
【数30】 TrqRef=TrqRefDrv−ΔTrq1 …(33) 但し、ΔTrq1=ΔTrq+ΔTrqRef(m+1) である。こ
のように、トルク指令値を演算すると、空転速度−粘着
力曲線の粘着力最大値を与える空転速度が変化しても常
に粘着力最大値に近い値で運転することができる。
【0072】次に図15、図16は本発明の第6の実施の形
態を示す図で、図15は電気車制御装置の全体構成図、図
16は制御装置の構成図である。電気車は、架線から供給
される直流電力を集電器PANが集電し、この直流電力
をインバータINV1、INV2それぞれが第1軸及び
第2軸用電動機IM1、IM2に供給する交流電力に変
換して電動機IM1、IM2に連結された図示しない車
輪を回転させることにより駆動する。制御装置30はセン
サS1、S2で検出された電動機IM1、IM2の回転
数(以下、車輪速度という。)Vw 1、Vw 2と車体速
度Vt を入力し、各動輪が空転しないようなトルク指令
TrqRef1、TrqRef2を演算してインバータINV
1、INV2に出力する。インバータINV1、INV
2はこのトルク指令TrqRef1、TrqRef2を受けて、
インバータINV1、INV2を構成する図示しない半
導体素子のスイッチング制御を行い、所望の交流電力を
電動機IM1、IM2に供給することにより、空転の抑
制制御が行われる。
【0073】制御装置2は、第一軸用空転抑制制御部31
と、第二軸用空転抑制制御部32と、トルク指令フィード
フォワード補正値演算部33と、トルク指令フィードフォ
ワード補正値合成部34とで構成される。
【0074】第一軸用空転抑制制御部31と、第二軸用空
転抑制制御部32とは、それぞれ図2に示した第1の実施
の形態の制御装置1と同一の構成および動作であるた
め、詳細な構成及びその符号は同一のものを用いて以下
説明する。
【0075】トルク指令フィードフォワード補正値演算
部33においては、第一軸用空転抑制制御部31の構成要素
である符号切替部15から出力されるトルク絞り量ΔTrq
を入力として、(34)式により、トルク指令フィードフ
ォワード補正値ΔTrqFFを求めて出力する。
【0076】
【数31】 但し、T2 は一時遅れフィルタ時定数、sは微分演算子
である。トルク指令フィードフォワード補正値合成部34
においては、第二軸用空転抑制制御部32から出力される
トルク指令TrqRef2と、トルク指令フィードフォワー
ド補正値演算部33から出力されるトルク指令フィードフ
ォワード補正値ΔTrqFFを入力として、(35)式によ
り、新たな第二軸トルク指令値TrqRef21を求めて出
力する。
【0077】
【数32】 TrqRef21=TrqRef2−ΔTrqFF …(35) この様に他の軸の情報も加味することにより、空転速度
−粘着力曲線の粘着力最大値を与える空転速度が変化し
ても常に粘着力最大値に近い値で運転することができる
とともに、第一軸以外の駆動軸において、空転発散の確
率をより低くすることができる。
【0078】又、駆動軸が3軸ある場合には図17に示す
ように、第3軸用の構成(第2軸用の構成と同様)を備
えることで達成できる。更に駆動軸が4軸ある場合は台
車毎に図16に示す構成を備えればよい。
【0079】次に図18は本発明の第7の実施の形態を示
す制御装置の構成図である。制御装置2は、車体速度推
定部41と、空転抑制制御部42とで構成される。空転抑制
制御部42は、図16に示した第6の実施の形態における制
御装置2と同一の構成である。
【0080】空転抑制制御部42の構成要素である空転速
度演算部11においては、車輪速度Vw と、車体速度推定
部41から出力される車体速度推定値Vt _Hとを入力と
して、(36)式により空転速度Vs を求めて出力する。
【0081】
【数33】 Vs =Vw −Vt _H …(36) 空転抑制制御部42のその他の構成要素の動作は、第6の
実施の形態と同一である。
【0082】車体速度推定部41は、最小値選択部43と、
微分部44と、車体加速度推定部45と、積分部46と、定常
偏差補正部47とで構成される。列車編成の中に駆動軸が
ふたつである場合を例に説明する。
【0083】最小値選択部43においては、第一の駆動軸
の車輪速度Vw 1と、第二の駆動軸の車輪速度Vw 2と
を入力とし、次の条件分岐により最小値車輪速度Vw M
inを求めて出力する。
【0084】
【数34】 (1)力行時: Vw 1≧Vw 2の時:Vw Min=Vw 2 …(37) Vw 1<Vw 2の時:Vw Min=Vw 1 …(38) (2)回生時: Vw 1≧Vw 2の時:Vw Min=Vw 1 …(39) Vw 1<Vw 2の時:Vw Min=Vw 2 …(40) 微分部44においては、最小値選択部43から出力される最
小車輪速度Vw Minを入力として、(41)式により最小
車輪加速度αw Minを求めて出力する。
【0085】
【数35】 αw Min=s・Vw Min …(41) 但し、sは微分演算子である。車体加速度推定部45にお
いては、微分部44から出力される最小車輪加速度αwMi
nを入力として、(42)式により車体加速度推定値αT
_Hを求めて出力する。
【0086】
【数36】 但し、T3 は一時遅れフィルタ時定数、sは微分演算子
である。積分部46においては、車体加速度推定部45から
出力される車体加速度推定値αT_Hと、定常偏差補正
部47から出力される定常偏差補正値ΔαTとの和を入力
として、(43)式により車体速度推定値Vt _Hを求め
て出力する。
【0087】
【数37】 但し、sは微分演算子である。定常偏差補正部47におい
ては、最小値選択部43から出力される最小車輪速度Vw
Minと、積分部46から出力される車体速度推定部Vt _
Hとの差ΔVt を入力とし、(44)式により定常偏差補
正値ΔαTを求めて出力する。
【0088】
【数38】 Δαt =G(s) ・ΔVt …(44) 但し、G(s) は補正ゲインで、例えばG(s) =K2(K
2は正の定数)である。
【0089】この様に各軸の最小値から車体速度Vt _
Hを推定するので、従輪などに車体速度検出用のセンサ
を取り付けることなく、どのようなレール状況において
も常に粘着力最大値に近い値を出力することができるよ
うになる。
【0090】次に図19は本発明の第8の実施の形態を示
す制御装置の構成図である。制御装置2は、車体速度推
定部41と、空転抑制制御部42とで構成される。空転抑制
制御部42は、図16に示した第6の実施の形態における制
御装置2と同一の構成である。
【0091】空転抑制制御部42の構成要素である空転速
度演算部11においては、車輪速度Vw と、車体速度推定
部41から出力される車体速度推定値Vt _Hとを入力と
して、(45)式により空転速度Vs を求めて出力する。
【0092】
【数39】 Vs =Vw −Vt _H …(45) 空転抑制制御部42のその他の構成要素の動作は、第6の
実施の形態と同一である。
【0093】車体速度推定部41は、最小値選択部43と、
微分部44と、車体慣性逆数推定部51と、積分部46と、定
常偏差補正部47とで構成される。列車編成の中に駆動軸
がふたつである場合を例に説明する。
【0094】最小値選択部においては、第一の駆動軸の
車輪速度Vw 1と、第二の駆動軸の車輪速度Vw 2とを
入力として、次の条件分岐により最小車輪速度Vw Min
を求めて出力する。
【0095】
【数40】 (1)力行時: Vw 1≧Vw 2の時:Vw Min=Vw 2 …(46) Vw 1<Vw 2の時:Vw Min=Vw 1 …(47) (2)回生時: Vw 1≧Vw 2の時:Vw Min=Vw 1 …(48) Vw 1<Vw 2の時:Vw Min=Vw 2 …(49) 微分部44においては、最小値選択部43から出力される最
小車輪速度Vw Minを入力として、(50)式により最小
車輪加速度αw Minを求めて出力する。
【0096】
【数41】 αw Min=s・Vw Min …(50) 但し、sは微分演算子である。車体慣性逆数推定部51に
おいては、微分部44から出力される最小車輪加速度αw
Minを運転手が操作するトルク指令設定器の信号に基づ
いて設定されるトルク指令TrqRefDrvで割った値を入
力として、(51)式により車体慣性逆数推定値JT_H
を求めて出力する。
【0097】
【数42】 但し、T4 は一時遅れフィルタ時定数、sは微分演算子
である。積分部46においては、車体慣性逆数推定部51か
ら出力される車体慣性逆数推定値JT_Hに運転手が操
作するトルク指令設定器の信号に基づいて設定されるト
ルク指令TrqRefDrvを乗じた値αT_Hと、定常偏差
補正部47から出力される定常偏差補正値ΔαTとの和を
入力として、(52)式により車体速度推定値Vt_Hを
求めて出力する。
【0098】
【数43】 但し、αT_H=JT_H×TrqRefDrv、sは微分演
算子である。定常偏差補正部47においては、最小値選択
部43から出力される最小車輪速度Vw Minと、積分部46
から出力される車体速度推定値Vt _Hとの差ΔVt を
入力とし、(53)式により定常偏差補正値ΔαTを求め
て出力する。
【0099】
【数44】 Δαt =G(s) ・ΔVt …(53) 但し、G(s) は補正ゲインで、例えばG(s) =K2(K
2は正の定数)である。
【0100】この様に構成することにより、従輪などに
車体速度検出用のセンサを取り付けることなく、どのよ
うなレール状況においても常に粘着力最大値に近い値を
出力することができるとともに、運転手が操作するトル
ク指令の設定値をフィードフォワード的に作用させるこ
とでその変化に対して追従性よく車体速度推定を行うこ
とができるようになる。
【0101】次に図20は本発明の第9の実施の形態を示
す制御装置の構成図である。制御装置2は、車体速度推
定部41と、空転抑制制御部42とで構成される。空転抑制
制御部42は、図16に示した第6の実施の形態における制
御装置2と同一の構成である。
【0102】空転抑制制御部42の構成要素である空転速
度演算部11においては、車輪速度Vw と、車体速度推定
部41から出力される車体速度推定値Vt _Hとを入力と
して、(54)式により空転速度Vs を求めて出力する。
【0103】
【数45】 Vs =Vw −Vt _H …(54) 空転抑制制御部42のその他の構成要素の動作は、第6の
実施の形態と同一である。
【0104】車体速度推定部41は、最小値選択部43と、
車体加速度推定部45と、積分部46と、定常偏差補正部47
とで構成される。列車編成の中に駆動軸がふたつである
場合を例に説明する。
【0105】最小値選択部においては、第一の駆動軸の
車輪速度Vw 1と、第二の駆動軸の車輪速度Vw 2とを
入力として、次の条件分岐により最小車輪速度Vw Min
を求めて出力する。
【0106】
【数46】 (1)力行時: Vw 1≧Vw 2の時:Vw Min=Vw 2 …(55) Vw 1<Vw 2の時:Vw Min=Vw 1 …(56) (2)回生時: Vw 1≧Vw 2の時:Vw Min=Vw 1 …(57) Vw 1<Vw 2の時:Vw Min=Vw 2 …(58) 車体加速度推定部45においては、車体に取りつけられた
図示しない加速度センサから出力される加速度αを入力
として、(59)式により車体加速度推定値αT_Hを求
めて出力する。
【0107】
【数47】 但し、T5 は一時遅れフィルタ時定数、sは微分演算子
である。積分部46においては、車体加速度推定部45から
出力される車体加速度推定値αT_Hと、定常偏差補正
部47から出力される定常偏差補正値ΔαTとの和を入力
として、(60)式により車体速度推定値Vt _Hを求め
て出力する。
【0108】
【数48】 但し、sは微分演算子である。定常偏差補正部47におい
ては、最小値選択部43から出力される最小車輪速度Vw
Minと、積分部46から出力される車体速度推定値Vt _
Hとの差ΔVt を入力とし、(61)式により定常偏差補
正値ΔαTを求めて出力する。
【0109】
【数49】 Δαt =G(s) ・ΔVt …(61) 但し、G(s) は補正ゲインで、例えばG(s) =K2(K
2は正の定数)である。
【0110】この様に構成することにより、乗り心地制
御などの他の用途に用いられる加速度センサを用いて、
どのようなレール状況においても常に粘着力最大値に近
い値を出力することができるようになる。
【0111】次に図21は本発明の第10の実施の形態を示
す制御装置の構成図である。列車編成の中に駆動軸がふ
たつである場合を例に説明する。制御装置2は、第一軸
用空転抑制制御部31と、第二軸用空転抑制制御部32と、
トルク指令フィードフォワード補正値演算部33と、トル
ク指令フィードフォワード補正値合成部34と車体速度推
定部41で構成される。
【0112】第一軸用空転抑制制御部31と、第二軸用空
転抑制制御部32とに構成要素としてそれぞれ含まれる空
転速度演算部11においては、車輪速度Vw と、車体速度
推定部41から出力される車体速度推定値Vt _Hとを入
力として、(62)式により空転速度Vs を求めて出力す
る。
【0113】
【数50】 Vs =Vw −Vt _H …(62) 第一軸用空転抑制制御部31と、第二軸用空転抑制制御部
32との構成要素は、それぞれ図2に示した第1の実施例
における制御装置1と同一の構成および動作である。
【0114】トルク指令フィードフォワード補正値演算
部33においては、第一軸用空転抑制制御部31の構成要素
である符号判別部13から出力されるトルク絞り量ΔTrq
を入力として、(63)式により、トルク指令フィードフ
ォワード補正値ΔTrqFFを求めて出力する。
【0115】
【数51】 但し、T2 は一時遅れフィルタ時定数、sは微分演算子
である。トルク指令フィードフォワード補正値合成部34
においては、第二軸用空転抑制制御部32から出力される
トルク指令TrqRef2と、トルク指令フィードフォワー
ド補正値演算部33から出力されるトルク指令フィードフ
ォワード補正値ΔTrqFFを入力として、(64)式によ
り、新たな第二軸トルク指令値TrqRef21を求めて出力
する。
【0116】
【数52】 TrqRef21=TrqRef2−ΔTrqFF …(64) 車体速度推定部41においては、第一の駆動軸の車輪速度
Vw 1と、第二の駆動軸の車輪速度Vw 2とを入力とし
て、車体速度推定値を演算して出力する。車体速度推定
部41の構成および動作は第7の実施の形態と同一であ
る。
【0117】この様に構成することにより、空転速度−
粘着力曲線の粘着力最大値を与える空転速度が変化して
も常に粘着力最大値に近い値で運転することができると
ともに、第二軸の駆動軸において、空転発散の確率をよ
り低くすることができる。また、第二軸の空転発散の確
率が低減することにより、車体速度推定部の出力である
車体速度推定値を、より車体速度実際値に近づけること
ができ、空転抑制制御の性能を向上させることができ
る。
【0118】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
駆動トルクはレール車輪間の粘着力曲線の最大値付近に
交点を持つようになり、どのようなレール状況において
も常に粘着力最大値に近い値を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す電気車制御装
置の構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を示す制御装置の構
成図である。
【図3】図2のn乗トルク絞り量演算部の構成図であ
る。
【図4】空転速度と粘着力との関係を示す図である。
【図5】車体速度とトルク指令との関係を示す図であ
る。
【図6】本発明の第2の実施の形態を示す制御装置の構
成図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態を示す制御装置の構
成図である。
【図8】図7のn乗トルク絞り量演算部の構成図であ
る。
【図9】図8のゲイン増減判定部の構成図である。
【図10】図7の動作説明図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態を示す制御装置の
構成図である。
【図12】図11のn乗トルク絞り量演算部の構成図であ
る。
【図13】本発明の第5の実施の形態を示す制御装置の
構成図である。
【図14】図13のトルク指令補正値演算部の構成図であ
る。
【図15】本発明の第6の実施の形態を示す電気車制御
装置の構成図である。
【図16】本発明の第6の実施の形態を示す制御装置の
構成図である。
【図17】本発明の第6の他の実施の形態を示す制御装
置の構成図である。
【図18】本発明の第7の実施の形態を示す制御装置の
構成図である。
【図19】本発明の第8の実施の形態を示す制御装置の
構成図である。
【図20】本発明の第9の実施の形態を示す制御装置の
構成図である。
【図21】本発明の第10の実施の形態を示す制御装置の
構成図である。
【符号の説明】
IM…電動機 S…センサ 1,2…制御装置 11…空転速度演算部 12…絶対値演算部 14…n乗トルク絞り量演算部 16…トルク指令合成部 19…一次遅れフィルタ部 141 …ゲイン演算部 143 …n乗演算部 144 …ゲイン演算部 146 …ゲイン設定部 41…車体速度推定部

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気車の車輪に連結された電動機の回転
    速度を検出する車輪速度検出手段と、 前記回転速度と前記電気車の車体速度との差の絶対値の
    n(n>1)乗に比例するトルク絞り量絶対値を演算
    し、前記車体速度に応じたトルク指令に前記トルク絞り
    量絶対値を加算または減算した値をトルク指令値として
    前記電動機を制御する制御手段とを有する電気車制御装
    置。
  2. 【請求項2】 電気車の同一編成内の複数の車輪に連結
    された複数の電動機の回転速度をそれぞれ検出する複数
    の車輪速度検出手段と、 前記複数の回転速度それぞれと前記電気車の車体速度と
    の差の絶対値のn(n>1)乗に比例するトルク絞り量
    絶対値をそれぞれ演算し、前記車体速度に応じたトルク
    指令に前記トルク絞り量絶対値それぞれを加算または減
    算した値をトルク指令値として前記複数の電動機それぞ
    れを制御する制御手段とを有する電気車制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の電気車
    制御装置において、前記制御手段は、 前記回転速度と前記電気車の車体速度との差である空転
    速度を演算して出力する空転速度演算手段と、 前記空転速度の絶対値を演算して出力する絶対値演算手
    段と、 前記空転速度の絶対値のn(n>1)乗に比例するトル
    ク絞り量絶対値を演算するトルク絞り量演算手段と、 前記空転速度が正の場合は、前記車体速度に応じたトル
    ク指令に前記トルク絞り量絶対値を減算した値をトルク
    指定値とし、前記空転速度が負の場合は、前記トルク指
    令に前記トルク絞り量絶対値を加算した値を前記トルク
    指定値とするトルク指令合成手段とを有する電気車制御
    装置。
  4. 【請求項4】 請求項1または請求項2に記載の電気車
    制御装置において、前記制御手段は、 前記回転速度と前記電気車の車体速度との差である空転
    速度を演算して出力する空転速度演算手段と、 前記空転速度の絶対値を演算して出力する絶対値演算手
    段と、 前記空転速度の絶対値のn(n>1)乗に比例するトル
    ク絞り量絶対値を演算するトルク絞り量演算手段と、 前記トルク絞り量絶対値の1次遅れ成分を演算する1次
    遅れフィルタ手段と、 前記空転速度が正の場合は、前記車体速度に応じたトル
    ク指令に前記トルク絞り量絶対値と前記1次遅れ成分と
    を減算した値をトルク指定値とし、前記空転速度が負の
    場合は、前記トルク指令に前記トルク絞り量絶対値と前
    記1次遅れ成分とを加算した値を前記トルク指定値とす
    るトルク指令合成手段とを有する電気車制御装置。
  5. 【請求項5】 請求項3または請求項4記載の電気車制
    御装置において、前記トルク絞り量演算手段は、 前記空転速度の絶対値のn(n>1)乗を演算する演算
    手段と、 前記空転速度の絶対値のn乗にゲインを乗算してトルク
    絞り量絶対値を演算する乗算手段と、 前記ゲインを可変するゲイン演算手段とを有する電気車
    制御装置。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の電気車制御装置におい
    て、 前記ゲイン演算手段は、前記車体速度に基づいて前記ゲ
    インを可変することを特徴とする電気車制御装置。
  7. 【請求項7】 電気車の同一編成内の複数の車輪に連結
    された複数の電動機の回転速度をそれぞれ検出する複数
    の車輪速度検出手段と、 前記複数の電動機のうち所定の1台の回転速度と前記電
    気車の車体速度との差の絶対値のn(n>1)乗に比例
    する第1のトルク絞り量絶対値を演算し、前記車体速度
    に応じたトルク指令に前記第1のトルク絞り量絶対値を
    加算または減算した値を第1のトルク指令値として前記
    所定の1台の電動機を制御し、他の前記電動機それぞれ
    の回転速度と前記電気車の車体速度との差の絶対値のn
    (n>1)乗に比例する第2のトルク絞り量絶対値を演
    算し、前記車体速度に応じたトルク指令に前記第2のト
    ルク絞り量絶対値を加算または減算した値に前記第1の
    トルク指令値成分を補正した値を第2のトルク指令値と
    して前記他の電動機それぞれを制御する制御手段とを有
    する電気車制御装置。
  8. 【請求項8】 請求項2記載の電気車制御装置におい
    て、 前記車体速度は、前記複数の電動機の回転速度のうち最
    小速度から推定することを特徴とする電気車制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007282499A (ja) * 2007-06-18 2007-10-25 Hitachi Ltd 電気車の制御装置
JP2013123311A (ja) * 2011-12-09 2013-06-20 Toshiba Corp 電気車制御装置

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